JPH10110238A - 高い降伏強度を有する溶接缶胴用鋼板及びその製造方法 - Google Patents
高い降伏強度を有する溶接缶胴用鋼板及びその製造方法Info
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- JPH10110238A JPH10110238A JP28456596A JP28456596A JPH10110238A JP H10110238 A JPH10110238 A JP H10110238A JP 28456596 A JP28456596 A JP 28456596A JP 28456596 A JP28456596 A JP 28456596A JP H10110238 A JPH10110238 A JP H10110238A
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Abstract
およびフランジ成形性の劣化がない溶接缶胴用鋼板およ
びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 重量%で、C:0.005〜0.05
%,AL:0.08%以下、N:0.012%以下を含
有する連続鋳造鋼片を素材とし、熱間圧延し、連続焼鈍
法を施した後、5%以上15%未満の圧下率の調質圧延
を行い鋼板中に固溶するCおよびNの間に、50ppm
≦固溶C+N、または50ppm≦固溶Cまたは50p
pm≦固溶Nなる関係を有し、さらに上降伏点が42k
gf/mm2以上であることを特徴とする溶接缶用鋼板
の製造方法。
Description
く、かつ、ネック成形性に優れた溶接缶胴用鋼板および
その製造方法に関するものである。
胴、底蓋からなる鋼製容器の成形法は、半田付け、樹脂
接着による方法および溶接による方法で行われている。
その中で、接合代が少なく素材歩留り向上に有利な溶接
による方法が近年の主流である。この溶接による胴成形
後、その両端の径を縮めるネックイン加工が行われ、フ
ランジ加工を施して天蓋、底蓋を捲き締めて3ピース溶
接缶が完成する。
ウンの観点から3ピース溶接缶への素材使用量を削減す
る方向で製造法の変更が広がりつつあり、最近では鋼板
の板厚を薄くする(以下、薄手化と称す)方向にあるの
みならず製缶技術面からネックイン加工による缶径の小
径化、いわゆる縮径化も進められている。
が容易に生じるため、素材の鋼板強度は薄手化にともな
い徐々に高くなっている。
131413号公報にみられるように、熱間圧延鋼板を
冷間圧延後、焼鈍し、調質圧延段階で再度冷間圧延を行
う2回冷延法(以下、2CR法、2CR鋼板と称す)に
より製造した鋼板、いわゆる2CR鋼板がある。
いほど冷延蓄積歪みに起因する鋼板の加工性劣化、特に
ネックイン加工による缶端部の座屈しわや溶接部近傍の
熱影響部(以下HAZ部と称す)の軟化が著しく、フラ
ンジ加工においてHAZ部へのフランジ加工歪みが集中
することに起因する局部的なくびれ(以下、ネッキング
と称す)やネッキングが長じてフランジ割れが生じやす
くなる欠点がある。
缶用鋼板の薄手化において、従来2CR法による冷延蓄
積歪みを利用した溶接缶用鋼板にある上記のような欠点
をなくして、缶胴部の降伏強度が高く、ネックイン成形
性およびフランジ成形性の劣化がない溶接缶胴用鋼板お
よびその製造方法を提供することにある。
施すことで鋼板内に冷延歪みを蓄積し、結晶格子のすべ
りに制限を与えて外力に抗しうる強度を得るものであ
る。
ト結晶格子が非常に多くのすべり面を持つ特性から、破
断に対する抵抗が強くなる反面、外力が加わると抵抗の
少ないすべり面から素材の変形(塑性変形)が容易に起
こる欠点がある。これは降伏点が消失することで弾性変
形域が縮小し、外力を塑性変形で吸収することに当た
り、引張り強度の増加ほど缶胴部が強化されないためと
考えられる。
力容器内に入れ、外圧をかけて缶が変形したときの圧力
で評価する方法や缶胴側面を指で押さえつけた状態を装
置内でシミュレートして缶が凹んだときの荷重を評価す
る方法等があるが、いずれにしても缶に永久歪み(塑性
変形)が生じた荷重が缶強度になると考えられる。
に高い強度が付与できることになるのである。一般に降
伏点の大きい鋼板は、弾性変形域が広い特徴がある。さ
らに歪み時効性が強くなると上降伏点が大きくなる傾向
にあり、弾性変形域を広げる場合は歪み時効性の利用が
有効である。
持たせることに着眼した。即ち、一般に調質圧延の圧下
率が大きい高強度材の場合、歪み時効性は小さくなり消
失するが、この歪み時効性を残せれば弾性変形域の広い
高強度材が得られることになり、効果的に溶接缶胴部を
強化出来るのである。
る。 (1)重量%で、C:0.005〜0.05%、AL:
0.08%以下、N:0.012%以下を含有し、かつ
鋼板中に固溶するCおよびNの間に、50ppm≦固溶
C+固溶Nなる関係を有し、さらに上降伏点が42kg
f/mm2以上であることを特徴とする、缶胴部の降伏
強度が高く、かつネック成形性に優れた溶接缶胴用鋼
板。
において、鋼板中に固溶するC量が、50ppm≦固溶
Cの範囲で、かつ上降伏点が42kgf/mm2以上で
あることを特徴とする、缶胴部の降伏強度が高く、かつ
ネック成形性に優れた溶接缶胴用鋼板。
において、鋼板中に固溶するN量が、50ppm≦固溶
Nの範囲で、かつ上降伏点が42kgf/mm2以上で
あることを特徴とする、缶胴部の降伏強度が高く、かつ
ネック成形性に優れた溶接缶胴用鋼板。
5%、AL:0.08%以下、N:0.012%以下を
含有する連続鋳造鋼片を素材とし、熱間圧延し、連続焼
鈍法を施した後、5%以上15%未満の圧下率の調質圧
延を行い鋼板中に固溶するCおよびNの間に、50pp
m≦固溶C+固溶N、または50ppm≦固溶Cまたは
50ppm≦固溶Nなる関係を有し、さらに上降伏点が
42kgf/mm2以上であることを特徴とする、缶胴
部の降伏強度が高く、かつネック成形性に優れた溶接缶
用鋼板の製造方法。
未満の極薄溶接缶に要求される諸特性について種々研究
した結果、溶接の接合部やHAZ部の健全性、およびネ
ックイン成形性等の製缶性、さらには内容物充填前後の
缶強度等の実用特性を総合すると、缶強度に関して板厚
効果が期待できない極薄溶接缶用鋼板には、冷延蓄積歪
みによる強度増よりは、侵入型固溶元素による歪み時効
性を利用する方が、容易な加工性と缶強度を両立させる
上で優れていることを新たに知見し、連続焼鈍による歪
み時効強化型素材を製造することで本発明の完成に至っ
た。
鋼板の製缶工程での材料強度変化について検討した。
強度の変化を示す実験例に基づく図である。
低く、かつ固溶元素の少ない従来鋼板(a)は、歪み時
効性が小さいことで塗装印刷時の加熱での強度増加はわ
ずかである。塗装後に溶接工程に移り、円筒成形前に溶
接機内にあるレベリング機構により曲げと曲げ戻し加工
を受けるが、降伏点はわずかに低下する程度である。
ックイン加工性は、固溶元素が少なく軟質な鋼板特性か
ら良好であったが、製缶後の経時による歪み時効硬化が
小さいため缶胴部の強度が確保できない致命的問題があ
る。
つ調質圧延で圧下率の高い従来の高強度鋼板(b)は、
製缶前の平板では冷延歪みの効果で引張り強度が高い
が、塗装印刷時の加熱での強度増加はわずかである。ま
た、溶接機内のレベリング機構の影響(以下、レベラー
効果と称す)も僅かで、高強度のまま溶接加工されるた
め円筒成形での加工不良や溶接HAZ部の軟化による割
れ、さらに溶接後のネックイン加工でのしわ発生などが
生じやすい。
ような場合は、缶胴部の強度確保が容易な反面、製缶作
業が困難になり歩留が劣化するという弊害がある。
く、調質圧延率が(b)よりも低い本発明鋼板(c)
は、製缶工程において素材強度が大きく変化するという
従来製法材(a)、(b)にない特徴がある。
効硬化があり、ついで円筒成形前のレベリング機構によ
る曲げと曲げ戻し加工により著しい軟化が起きる特徴が
ある。
塗装印刷での加熱で著しい強度増加があるため、円筒成
形でのフォーミング不良や溶接後のネックイン加工性が
劣化するという考えが一面的なものである事を示してい
る。
性がなくなって素材が軟化(降伏点が小さくなる現象)
しているのでフォーミング不良やネックイン加工不良の
弊害が生じない。
果による軟化程度は、鋼板(a)以上に良好であること
も確認された。これは、鋼板に強い時効性があると溶接
機内のレベラー効果がより大きく働き、軟化しやすくな
るものと考えられる。
るように、強い時効性があるとネックイン加工後の常温
雰囲気で短時間に歪み時効硬化が起こり、缶胴部の強度
は塗装印刷の加熱処理後と同等レベルまで大きくなるこ
とも確認された。
ては難加工性素材とならず、溶接機内のレベリング機構
を考慮すれば、缶の成形加工が容易にできるとともに、
製缶後の速やかな歪み時効硬化の利用によって高強度鋼
板(b)と同等の強度が得られるので薄手化に極めて有
用な素材でなる。
合には焼鈍板の結晶粒成長が抑制され、不均一な組織と
なり硬質で延性に乏しくなること、さらに結晶粒界に固
溶Cが速やかに折出して時効性が小さくなり、缶胴の強
度が充分得られない等の問題を生じるので、上限を0.
05%とする。
晶粒が粗大化して軟質となり、調質圧延率が高くなり、
冷延歪みの増加を招くので、5%〜15%未満の低圧下
率で缶胴の強度が得られる最少のC量として、下限を
0.005%とする。
ほど好ましい。AL量が、0.08%を越えると、固溶
ALによる組織の細粒化が起きて結晶粒界に固溶Cが速
やかに析出して時効性が小さくなり、加工歪みも蓄積し
やすくなってネックイン成形、フランジ成形を困難にす
るほか、ALN析出が多くなり固溶N不足による缶胴の
強度不足が生じる。
与するため多い方が好ましいが、0.012%を越える
と微細なALNが析出して組織の細粒化が起き、結晶粒
界に固溶Cが速やかに析出して歪み時効性を小さくし缶
胴の強度不足が生じる。また、著しい硬質化によってネ
ックイン成形、フランジ成形が困難になる。
は、缶胴の強度を満足するほどの降伏点が得られないの
で、固溶Cと固溶Nの合計は50ppm以上が必要であ
る。
硬質化によってネックイン成形、フランジ成形が困難に
なるので上限は200ppmとすることが望ましい。
が42kgf/mm2以上の従来鋼板では、板厚効果に
よって必要な溶接缶胴の強度を確保できるが、板厚が
0.19mm未満の従来の薄鋼板では、鋼板強度が42
kgf/mm2以上でも溶接缶胴の強度が確保できな
い。従って、本発明の効果は板厚が0.19mm未満の
鋼板において発揮される。
重量%でC:0.005〜0.05%、AL:0.08
%以下、N:0.012%以下を含有することが必要で
あるが、公知の溶接缶用鋼板中に一般的に含有される成
分元素を含有していても良い。例えば、Si:0.02
%以下、Mn:0.6%以下、P:0.02%以下、
S:0.05%以下、Cr:0.10%以下、Cu:
0.20%以下、Ni:0.15%以下、Mo:0.0
5%以下、B:0.0020%以下、Ti、Nb、Z
r、V等の1種または2種以上を0.3%以下、Ca:
0.01%以下等の成分元素を目的に応じて含有させる
ことができる。
明する。
し、熱間圧延し、達続焼鈍し、調質圧延を行った。調質
圧延後の板厚は0.17mmとした。
実績の部分に下線をつけている。
本発明範囲内にある。固溶C量は、調質圧延後の板厚が
0.17mmと薄いため直接に固溶C量を測定できない
が、本発明例のNo.1、2はC量が少ないことから、
固溶C量は30ppm以上と推定され、分析した固溶N
量を加えると、固溶元素量の合計は50ppm以上あ
る。
で固溶C量は少ないと考えられるが、固溶N量のみで固
溶元素量の合計は50ppm以上ある。従って、製缶後
に自然時効にて本発明材の缶胴強度は著しく強化されて
いる。
が多く、加えて過時効処理が施されており、固溶C量は
l0ppm程度に減少したと考えられる。またN量も少
ないので、固溶元素量の合計は50ppmを越えない。
下率が4.0%と低いため、いずれの比較例も製缶後の
缶胴強度は低いままである。
化を時系列的に調査するため、各製缶工程で素材に施さ
れる加工を実験的にシミュレーションした要領を示す図
である。
当する。塗装、印刷は鋼板の材質変化が加熱によって生
じるため、一貫の塗装、印刷での加熱条件を210℃×
30分とした。
構による曲げと曲げ戻し加工を受けるが、このレベリン
グ機構による歪み量を1.3%と想定して冷間圧延を行
った。
装置にて溶接し、ダイネッキング装置にてネック加工を
施した。
ない場合は、ネックイン成形性が良好であるとして評点
に〇印をつけ、しわが確認されたものは不良として評点
に×印をつけた。×印は比較例の高強度材No.4のみ
である。
テストの圧壊ストローク長さを調査した。圧壊ストロー
ク長さが5mm以上の場合は、経験的にフランジ成形性
が良好とされているため、評点に〇印をつけ、圧壊スト
ローク長さが5mm未満では、フランジ割れの懸念あり
として評点に×印をつけた。×印は比較例の高強度材N
o.4のみである。
質を引張り試験にて調査した。
の自然時効後0.2%耐力とした。No.4材は加工性
に問題があるが実用レベルの缶胴強度を有するためであ
る。
(a)、(b)、(c)として、図2に示す。
3の自然時効後の降伏強度は、No.4材の基準強度以
上にあり、ネック加工、フランジ加工後の缶胴部の強度
は、2CR高強度材(b)に劣らぬ優れた強度を有して
いる。
延加工硬化を用いてきたため、ネック成形性やフランジ
加工性と缶胴強度を両立できず不十分な改善効果しか得
られなかった。
害要因として扱われてきた残留固溶C、固溶Nが(食缶
用溶接機の製缶プロセスを詳細に検討することにより)
ネックイン加工性を含め、製缶加工性と缶胴強度確保を
両立させる有効な成分であることが初めて確認され、そ
の利用法も確立した。
残留固溶C、固溶Nの低減に多大な努力が払われていた
だけに、省資源、省エネルギーに寄与するところ大であ
り、その経済的効果は非常に大きい。
に調査するため、各製缶工程で素材に施される加工を実
験的にシミュレーションした要領を示す図である。
示す実験例に基づく図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.005〜0.05
%、AL:0.08%以下、N:0.012%以下を含
有し、かつ鋼板中に固溶するCおよびNの間に、50p
pm≦固溶C+固溶Nなる関係を有し、さらに上降伏点
が42kgf/mm2以上であることを特徴とする、缶
胴部の降伏強度が高く、かつネック成形性に優れた溶接
缶胴用鋼板。 - 【請求項2】 請求項1に記載の溶接缶用薄鋼板におい
て、鋼板中に固溶するC量が、50ppm≦固溶Cの範
囲で、かつ上降伏点が42kgf/mm2以上であるこ
とを特徴とする、缶胴部の降伏強度が高く、かつネック
成形性に優れた溶接缶胴用鋼板。 - 【請求項3】 請求項1に記載の溶接缶用薄鋼板におい
て、鋼板中に固溶するN量が、50ppm≦固溶Nの範
囲で、かつ上降伏点が42kgf/mm2以上であるこ
とを特徴とする、缶銅部の降伏強度が高く、かつネック
成形性に優れた溶接缶胴用鋼板。 - 【請求項4】 重量%で、C:0.005〜0.05
%、AL:0.08%以下、N:0.012%以下を含
有する連続鋳造鋼片を素材とし、熱間圧延し、達続焼鈍
法を施した後、5%以上15%未満の圧下率の調質圧延
を行い、鋼板中に固溶するCおよびNの間に、50pp
m≦固溶C+固溶N、または50ppm≦固溶Cまたは
50ppm≦固溶Nなる関係を有し、さらに上降伏点が
42kgf/mm2以上であることを特徴とする、缶胴
部の降伏強度が高く、かつネック成形性に優れた溶接缶
胴用鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28456596A JP3534960B2 (ja) | 1996-10-08 | 1996-10-08 | 高い降伏強度を有する溶接缶胴用鋼板及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28456596A JP3534960B2 (ja) | 1996-10-08 | 1996-10-08 | 高い降伏強度を有する溶接缶胴用鋼板及びその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10110238A true JPH10110238A (ja) | 1998-04-28 |
JP3534960B2 JP3534960B2 (ja) | 2004-06-07 |
Family
ID=17680114
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28456596A Expired - Lifetime JP3534960B2 (ja) | 1996-10-08 | 1996-10-08 | 高い降伏強度を有する溶接缶胴用鋼板及びその製造方法 |
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-
1996
- 1996-10-08 JP JP28456596A patent/JP3534960B2/ja not_active Expired - Lifetime
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