JPH10109258A - 回転対称非球面加工方法 - Google Patents

回転対称非球面加工方法

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JPH10109258A
JPH10109258A JP26087996A JP26087996A JPH10109258A JP H10109258 A JPH10109258 A JP H10109258A JP 26087996 A JP26087996 A JP 26087996A JP 26087996 A JP26087996 A JP 26087996A JP H10109258 A JPH10109258 A JP H10109258A
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spherical
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grinding wheel
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正樹 清水
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工効率及び加工される回転対称非球面の面
粗さを向上させることができる回転対称非球面加工方法
を提供する。 【解決手段】加工目標としての回転対称非球面は、その
光軸を夫々中心とする同心円の輪帯Sに区分される。そ
して、各輪帯は、加工目標としての回転対称非球面との
誤差が最小になるように近似された球面として夫々研削
加工される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、ワークスピンドル
の軸方向と砥石スピンドルの軸方向とが斜交可能な研削
加工装置を用いて回転対称非球面を加工する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、回転対称非球面は、図10に示さ
れる非球面加工専用の研削加工装置を用いて加工されて
いた。この研削加工装置は、被加工物Wを回転軸lを中
心に回転させるスピンドル装置Sと、このスピンドル装
置Sの回転軸lに対してねじれの位置関係にある回転軸
を中心に回転するソロバン玉型の砥石Gとを、有してい
る。このような研削加工装置を用いれば、この砥石Gを
被加工物Wに当て付けるとともに回転軸lを含む特定面
内においてこの砥石Gを自在に移動させることによっ
て、任意の形状の回転対称非球面を研削加工することが
できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来における非球面加工専用の研削加工装置を用い
た研削加工においては、被加工物Wと砥石Gとの接触が
点当たりに近いので、加工効率が悪く、加工に時間が掛
かってしまっていた。
【0004】また、被加工物Wの径方向におけるカーブ
は砥石Gの移動軌跡に依って定まるので、その加工精度
は砥石Gの回転軸の移動精度如何であって、面粗さを向
上させることが困難であった。
【0005】本発明の課題は、以上の点に鑑み、通常の
球面加工のために用いられている研削加工装置,即ち、
ワークスピンドルの軸方向と砥石スピンドルの軸方向と
が斜交可能な研削加工装置を用いた回転対称非球面の研
削加工を可能とし、被加工物Wの表面と砥石とを線当た
りで接触させることによってその加工効率及び加工され
る回転対称非球面の面粗さを向上させることができる回
転対称非球面加工方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
上記課題を解決するために、被加工物が取り付けられる
ワークスピンドルの軸方向と砥石が取り付けられる砥石
スピンドルの軸方向とが斜交可能な研削加工装置を用い
て回転対称非球面を加工する方法であって、前記被加工
物の表面を、同心円状の複数の輪帯に区分し、各輪帯の
表面を、加工すべき回転対称非球面における対応する部
分との誤差が最小となる曲率半径の球面として加工する
ことを特徴とする。
【0007】このようにすれば、同心円状の輪帯に区分
された球面の集合として、回転対称非球面を加工するこ
とができる。従って、各輪帯を加工する際には、被加工
物の表面に砥石を当て付ける位置,及び砥石スピンドル
の軸方向を調整することによって、通常の球面加工の場
合と同じように加工することができる。そのため、砥石
が被加工物の表面に対して線当たりとなるので、加工効
率が向上するとともに面粗さも向上する。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1における
砥石が、前記砥石スピンドルの軸を中心とした環状の作
用点を有することで、特定したものである。請求項3記
載の発明は、請求項2における砥石がカップ砥石である
ことで、特定したものである。
【0009】請求項4記載の発明は、請求項1における
区分の際には、各輪帯の境界位置を特定する予め設定さ
れたデータに基づいて、前記被加工物の表面を、同心円
状の複数の輪帯に区分することで、特定したものであ
る。
【0010】請求項5記載の発明は、請求項4における
各輪帯の表面を加工する際には、前記各輪帯の境界位置
を特定するデータに基づいて、その輪帯の内側及び外側
の境界位置を夫々含むとともに前記ワークスピンドルの
軸上の一点をその曲率中心とする球面として加工するこ
とで、特定したものである。
【0011】請求項6記載の発明は、請求項1における
区分の際には、各輪帯の幅を特定する予め設定されたデ
ータに基づいて、前記被加工物の表面を同心円状の複数
の輪帯に区分することで、特定したものである。
【0012】請求項7記載の発明は、請求項6における
各輪帯の表面を加工する際には、予め設定された曲率半
径を有するとともに前記ワークスピンドルの軸上の一点
をその曲率中心とする球面として加工することで、特定
したものである。
【0013】請求項8記載の発明は、請求項2における
各輪帯の表面を加工する際には、前記ワークスピンドル
の軸と前記砥石スピンドルの軸とを含む面内において、
その輪帯の内側の境界位置に前記砥石の作用点を当てる
ことで、特定したものである。
【0014】請求項9記載の発明は、請求項8における
各輪帯の表面を加工する際には、前記ワークスピンドル
の軸と前記砥石スピンドルの軸との交点と前記砥石の作
用点までの距離が前記球面の曲率半径と一致するよう
に、前記ワークスピンドルの軸方向と前記砥石スピンド
ルの軸方向とを互いに傾けることで、特定したものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
実施の形態を説明する。
【0016】
【実施形態1】最初に、本発明の第1の実施形態の説明
を行う。 <研削加工装置の構造>先ず、本発明の第1実施形態に
よる回転対称非球面加工方法に用いられる研削加工装置
の構造を、図1に基づいて説明する。
【0017】図1において、研削加工装置は、ワーク部
Aと砥石部Bとから構成されている。このワーク部A
は、図示せぬベッド上でX方向(図中の左右方向)にス
ライドするXテーブル2と、その回転軸(ワーク軸)l
1をX方向に向けてXテーブル2上に固定されたワーク
スピンドル装置11と、ワーク軸l1を中心に回転する
様にワークスピンドル装置11の先端に取り付けられた
ワークホルダ3とから、構成されている。そして、この
ワークホルダ3には、被加工物(超硬合金ブランク,ガ
ラスブランク,等)Wが装着される。
【0018】一方、砥石部Bは、図示せぬベッド上でY
方向(図中の上下方向)にスライドするYテーブル5
と、このYテーブル5上においてZ方向(X方向及びY
方向に直交する方向)を向いたθ軸を中心に回転するθ
テーブル6と、その回転軸(砥石軸)l2をθ軸に直交
させてθテーブル6上に固定された砥石スピンドル装置
12と、砥石軸l2を中心とする様に砥石スピンドル装
置12の先端に取り付けられたテーパ形状の砥石ホルダ
7とから、構成されている。そして、この砥石ホルダ7
の先端には、有底筒形状のカップ砥石Cが固着されてい
る。これら砥石ホルダ7とカップ砥石Cとは、砥石軸l
2と同軸となっている。なお、このカップ砥石Cの先端
内縁は、凸面を研削加工する際の作用点として機能し、
その先端外縁は、凹面を研削加工する際の作用点として
機能する。以下、このカップ砥石Cの内径(砥石内径)
をriと記し、外径(砥石外径)をroと記す。また、ワ
ーク軸l1と砥石軸l2とがなす角をθnと記し、ワーク
軸l1及び砥石軸l2の交点と作用点とを結ぶ線がワーク
軸l1に対してなす角をθsn(但し、0度<θsn<90
度)と記す。また、ワーク軸l1と砥石軸l2とをともに
含む面を、以下、「X−Y平面」という。
【0019】以上のXテーブル2,Yテーブル5,及び
θテーブル6は、それぞれケーブル10を介してNC
(numerical control)コントローラ8に接続されてい
る。このNCコントローラ8は、メモリに格納されたN
Cデータに基づいて各テーブル2,5,6を夫々別個に
制御する。 <回転対称非球面加工方法の原理>次に、上記した研削
加工装置を用いて回転対称非球面を加工する原理を説明
する。
【0020】上記した研削加工装置は、その構造上、ワ
ーク軸l1上にその曲率中心を有する球面(又はその一
部分)のみしか加工することができない。一方、回転対
称非球面は、図2に示されるように、その光軸に対して
同心円をなす多数の輪帯の集合と考えることができる。
そして、この輪帯の径方向の幅を或る程度以下まで狭く
すれば、各輪帯の表面は、夫々、ワーク軸l1上に各々
の曲率中心を有する球面に近似されることができる。従
って、被加工物Wの表面を、ワーク軸l1を中心とした
複数の極細の輪帯に区分するとともに、カップ砥石Cの
作用点のX−Y平面内での位置及び砥石軸l2がワーク
軸l1に対してなす角度を各輪帯毎に適宜設定すること
により、各輪帯の表面を夫々独自の曲率半径を有する球
面として加工すれば、全体としてみた場合に所望の回転
対称非球面として扱い得る面形状を得ることができる。
このように、その表面が夫々球面として加工される各輪
帯を、以下、「球面輪帯Sn」という。
【0021】図3は、ワーク軸l1を含む径方向面によ
って被加工物Wを切断した状態を概念的に示す縦断面図
であって、所望の回転対称非球面を破線で示すととも
に、球面輪帯Snの集合として加工された回転対称非球
面を実線で示している。図3におけるΔdは、各球面輪
帯Snにおける所望の回転対称非球面とのX方向におけ
る誤差を示している。なお、各球面輪帯Snの幅は、こ
の誤差Δdが設計仕様(設計性能を満たす範囲)を上回
らない範囲で適宜調整される。例えば、所望の回転対称
非球面の曲率変化が大きい箇所では、各球面輪帯Sn
幅が狭く設定され、曲率変化が小さい箇所では、各球面
輪帯Snの幅が広く設定される。
【0022】図3において、Pnは、X−Y平面内にお
ける各球面輪帯Snの内縁,即ち、カップ砥石Cの作用
点が当てつけられる箇所(以下、「輪帯境界」という)
を示し、Rnは、各球面輪帯Sn表面の曲率半径を示して
いる。 <回転対称非球面加工の工程>回転対称非球面の加工を
行うために、本実施形態においては、各球面輪帯Sn
曲率半径Rn,径方向における幅,及び、各球面輪体Sn
の境界の軸方向ずれ量が、設定値として図示せぬNCデ
ータ計算用コンピュータで計算され、計算されたNCデ
ータはNCコントローラ内のメモリに格納される。
【0023】そして、最初に、被加工物Wの表面中央の
円形部分(いわゆる近軸部分)S0の研削加工が行われ
る。この場合には、設定された曲率半径R0に基づい
て、ワーク軸l1と砥石軸l2とがなす角度θ0(θ0=s
in-1(ri or o/R0))が計算されて、ワーク軸l1
に対して砥石軸l2がこの角度θ0で交わるように、θテ
ーブル6が回転駆動される。それとともに、被加工物W
の表面中心(ワーク軸l1との交点)P0にカップ砥石C
の作用点が当たるように、Xテーブル2及びYテーブル
5がスライド駆動される。この状態で両スピンドル1
1,12が回転すると、円形部分S0とその近傍が、曲
率半径R0の球面に加工される。
【0024】次に、円形部分S0の直ぐ外側にある球面
輪帯S1の研削加工が行われる。この場合には、設定さ
れた曲率半径R1に基づいて、ワーク軸l1と砥石軸l2
とがなす角度θ1(θ1=sin-1(ri or o/R1)+
θs1)が計算されて、ワーク軸l1に対して砥石軸l2
この角度θ1で交わるように、θテーブル6が回転駆動
される。それとともに、P0から径方向に設定幅だけず
れた輪帯境界P1にカップ砥石Cの作用点が当たるよう
に、Xテーブル2及びYテーブル5がスライド駆動され
る。この状態で両スピンドル11,12が回転すると、
球面輪帯S1の表面が、曲率半径R1(R1=ri or o
sin(θ1−θs1))の球面に加工される。
【0025】以後、最外周の球面輪帯に至るまで、この
ような研削加工が繰り返される。このとき、中心側から
n番面の球面輪帯Snを研削加工する場合には、設定さ
れた曲率半径Rnに基づいて、ワーク軸l1と砥石軸l2
とがなす角度θn(θn=sin-1(ri or o/Rn)+
θsn)が計算されて、ワーク軸l1に対して砥石軸l2
この角度θnで交わるように、θテーブル6が回転駆動
される。それとともに、(n−1)番目の球面輪帯S
n-1の研削加工時における位置Pn-1から設定幅だけずれ
た輪帯境界Pnにカップ砥石Cの作用点が当たるよう
に、Xテーブル2及びYテーブル5がスライド駆動され
る。この状態で両スピンドル11,12が回転すると、
n番面の球面輪帯Snの表面が、曲率半径Rn(Rn=r
i or o/sin(θn−θsn))の球面に加工される。
【0026】このような研削加工を繰り返すことによ
り、最終的に、図3において実線で示されるような球状
輪帯の集合としての回転対称非球面が作成される。本実
施形態の回転対称非球面加工方法によれば、被加工物W
は、各球面輪帯(円形部分)Sn毎に、カップ砥石Cに
よって線当たりで研削加工されるので、点当たりで加工
される従来の方法に比して加工効率が大幅に向上すると
ともに、面粗さも向上する。
【0027】
【実施形態2】次に、本発明の第2の実施形態を説明す
る。本第2実施形態は、上記した第1実施形態と比し
て、各球面輪帯Snの幅データの代わりに各輪帯境界Pn
の座標位置データが設定値としてNCコントローラ8に
入力されることを、特徴とする。本第2実施形態におい
て使用される研削加工装置や非球面加工方法の原理は、
第1実施形態のものと全く同じなので、その説明を省略
する。 <回転対称非球面加工の工程>以下、凹状回転対称非球
面を加工する場合の実施例(実施例1)と凸状回転対称
非球面を加工する場合の実施例(実施例2)とに分け
て、本第2実施形態による回転対称非球面加工の工程を
説明する。なお、以下において参照する図4乃至図9に
示される座標はX−Y平面を表し、そのx軸はワーク軸
1の方向と一致している。また、y軸は、各図の下方
向を+方向としている。また、ワーク軸l 1と砥石軸l2
とがなす角度θn,即ち、ワーク軸l1と平行な方向を原
点とした砥石軸l2の回転角θnは、反時計方向を+方向
としている。また、θ軸の位置,即ち、砥石軸l2の回
転中心を、θaxisnと示している。
【0028】また、図4乃至図9においては、説明をわ
かりやすくするためにカップ砥石Cはかなり小さく描か
れているが、実際の加工中においては、カップ砥石C
は、その作用線の一部が必ず被加工物Wからはみだした
状態,即ち、被加工物の最外周が常時加工される状態に
ある。
【0029】
【実施例1】先ず、最初に、凹状回転対称非球面を作成
する場合の説明を行う。 〔円形部分S0の研削加工〕図4は、非球面の中央をな
す円形部分S0を加工する際の状態を示す。この時、加
工目標としての円形部分S0中央の座標点が、原点P
0(0,0)として定義される。また、定数値であるカ
ップ砥石Cの砥石外径roの他に、この円形部分S0にお
ける球凹面の曲率半径R0が、設定値として図示せぬN
Cデータ計算用コンピュータで計算される。また、この
曲率半径R0は、加工すべき設計非球面の近軸R係数と
ほぼ同じ値を持つ。この近軸R係数は与えられている場
合が多いので、このように、既知の値としても良い。
【0030】いま、この原点P0(0,0)にカップ砥
石Cの先端外縁(作用点)を合致させれば、カップ砥石
Cの先端外縁によって研削加工される球凹面の曲率中心
は、ワーク軸l1と砥石軸l2との交点に一致する。従っ
て、その球凹面の曲率半径をR0とするには、ワーク軸
1と砥石軸l2との交点を、座標点O0(R0,0)に位
置させなければならない。この時のR0及びro,並び
に、砥石軸l2の回転角θ0の関係は、下記式(1)によ
って表される。
【0031】
【数1】
【0032】そして、この式(1)を変形すれば、回転
角θ0は、下記式(2)によって表される。
【0033】
【数2】
【0034】従って、カップ砥石Cの砥石外径ro,及
び円形部分S0に設定された曲率半径R0を式(2)に代
入することにより、砥石軸l2の回転角θ0を算出するこ
とができる。NCコントローラ8は、このように算出さ
れた回転角θ0に設定されたNCデータに従って砥石軸
2を回転させる様、θテーブル6に対して回転指示を
与える。次に、NCコントローラ8は、Xテーブル2及
びYテーブル5に対して夫々スライド指示を与えて、砥
石軸l2の回転後におけるカップ砥石Cの先端外縁を座
標点P0(0,0)に合致させる。この時点におけるθ
軸の位置を、以下、θaxis0と示す。
【0035】以上の制御を行ってワークスピンドル11
及び砥石スピンドル12を回転させるので、動作完了後
は、座標点P0(0,0)を中心とする曲率半径R0の球
凹面が形成されている。 〔球面輪帯S1の研削加工〕図5は、円形部分S0の直ぐ
外側に位置する球面輪帯S1を加工する際の状態を示
す。この時には、中央部分S0の外縁(球面輪帯S1の内
縁)を示す輪帯境界P 1の座標(x1,y1),及び、球
面輪帯S1の外縁を示す輪帯境界P2の座標(x2,y2
のみが、設定値として与えられる。
【0036】まず、カップ砥石Cの先端外縁がP1に一
致するように、その座標値を設定する。いま、形成すべ
き球凹面の曲率中心座標をO1(a,0)とすると、球
凹面上の一点P(x,y)と球凹面の曲率半径Rとの関
係は、下記式(3)によって表される。
【0037】
【数3】
【0038】従って、この式(3)に上記輪帯境界P1
の座標(x1,y1)及び輪帯境界P2の座標(x2
2)を夫々代入すると、下記連立方程式(4)が得ら
れる。
【0039】
【数4】
【0040】この連立方程式をaについて解くと、下記
式(5)が得られる。
【0041】
【数5】
【0042】一方、上記式(3)からは、下記式(6)
が得られる。
【0043】
【数6】
【0044】この式(6)に式(5)を代入すると、下
記式(7)が得られる。
【0045】
【数7】
【0046】この式(7)から明らかなように、球凹面
の曲率中心がx軸(ワーク軸l1)上に存在するという
前提下においては、球面輪帯Snの曲率半径Rnは、球凹
面上の2点の座標位置のみによって、一意的に定まるの
である。
【0047】ところで、図5においては、球面輪帯S1
の曲率半径R1とカップ砥石Cの砥石外径roとは、下記
式(8)によって表される関係にある。
【0048】
【数8】
【0049】ここで、θsは、球面輪帯S1の曲率中心座
標O1(a,0)とカップ砥石Cの先端外縁とを結ぶ線
がワーク軸l1に対してなす角を示す。また、球面輪帯
1の曲率半径R1と輪帯境界P1のy座標とは、下記式
(9)によって表される関係にある。
【0050】
【数9】
【0051】これら両式(8),(9)を連立方程式と
してθSを消去すると、この輪帯曲面S1を形成する際に
おける砥石軸l2の回転角θ1を示す下記式(10)が得
られ
【0052】る。
【数10】
【0053】この式(10)に上記式(7)を代入する
と、下記式(11)が得られる。
【0054】
【数11】
【0055】この式(11)から明らかなように、球凹
面の曲率中心がx軸(ワーク軸l1)上に存在するとい
う前提下においては、砥石軸l2の回転角θnも、球凹面
上の2点の座標位置のみによって、一意的に定まる。
【0056】しかしながら、図4に示される状態から単
に砥石軸l2を回転させるだけでは、カップ砥石Cの先
端外縁は輪帯境界P1と合致しないし、砥石軸l2は座標
点O 1(a,0)においてワーク軸l1と交わらないの
で、両輪帯境界P1,P2を含む曲面を形成することがで
きない。そのため、カップ砥石Cの先端外縁を輪帯境界
1と合致させて砥石軸l2を座標点O1(a,0)にお
いてワーク軸l1と交わらせるべく、θ軸の位置をθ
axis0から図5におけるθaxis1へ補正移動させる必要が
ある。この移動のためにXテーブル2及びYテーブル5
に対して指示すべき補正移動量の算出を、以下に説明す
る。
【0057】いま、図6に示すように、砥石軸l2を、
回転角θ0から更に角度dθだけ回転させたとする。こ
の場合、カップ砥石Cは、αの位置からβの位置に移動
し、その先端縁の座標位置は、P(x,y)からP’
(x+Δx,y+Δy)に変化する。このとき、カップ
砥石Cの先端外縁の座標位置を移動させることなく砥石
軸l2の回転角のみを変えるためには、θ軸の位置θ
axisをx方向に−Δx,y方向に−Δyだけ移動させれ
ば良い。
【0058】ところで、図6において、θ軸の位置θ
axisからカップ砥石Cの先端中心までの距離をR’とす
ると、θ軸の座標位置θaxisとカップ砥石Cの先端外縁
の座標点P,P’との間の斜距離R”は、下記式(1
2)によって与えられる。
【0059】
【数12】
【0060】従って、θaxisとカップ砥石Cの先端外縁
とを結ぶ線が砥石軸l2に対してなす角をθrとすれば、
θ軸の座標位置θaxisとαの位置にあるカップ砥石Cの
先端外縁の座標位置Pとの間のX方向における距離αx
は、下記式(13)によって表される。
【0061】
【数13】
【0062】同様に、θ軸の座標位置θaxisとβの位置
にあるカップ砥石Cの先端外縁の座標位置P’との間の
X方向における距離βxは、下記式(14)によって表
される。
【0063】
【数14】
【0064】従って、座標位置Pと座標位置P’との間
のx方向における距離Δxは、下記式(15)のように
して算出される。
【0065】
【数15】
【0066】ここで、θrは、下記式(16)によって
表される。
【0067】
【数16】
【0068】また、図5における回転角θ1は、式(1
5)における(θ0+dθ)に該当する。従って、θ軸
の位置θaxisのx方向における移動量,即ち、xテーブ
ル2に対して指示すべき補正移動量−Δxは、下記式
(17)のようにして算出される。
【0069】
【数17】
【0070】一方、θ軸の座標位置θaxisとαの位置に
あるカップ砥石Cの先端外縁の座標位置Pとの間のY方
向における距離αyは、下記式(18)によって表され
る。
【0071】
【数18】
【0072】同様に、θ軸の座標位置θaxisとβの位置
にあるカップ砥石Cの先端外縁の座標位置P’との間の
Y方向における距離βyは、下記式(19)によって表
される。
【0073】
【数19】
【0074】従って、座標位置Pと座標位置P’との間
のy方向における距離Δxは、下記式(20)のように
して算出される。
【0075】
【数20】
【0076】従って、θ軸の位置θaxisのy方向におけ
る移動量,即ち、yテーブル5に対して指示すべき補正
移動量−Δyは、下記式(21)のようにして算出され
る。
【0077】
【数21】
【0078】以上により、カップ砥石Cの砥石外径
o,輪帯境界P1の座標データ(x1,y1),及び輪帯
境界P2の座標データ(x2,y2)を式(11)に代入
することにより、砥石軸l2の回転角θ1を算出すること
ができる。NCコントローラ8は、このように算出され
た回転角θ1に従って砥石軸l2を回転させる様、θテー
ブル6に対して回転指示を与える。
【0079】また、カップ砥石Cの砥石外径ro,θ軸
の位置θaxisからカップ砥石Cの先端中心までの距離
R’,上記式(2)によって算出した砥石軸l2の回転
角θ0,及び上記式(11)によって算出した回転角θ1
を上記式(17)及び式(21)に夫々代入することに
より、θ軸のx方向における補正移動量−Δx及びy方
向における補正移動量−Δyを算出することができる。
なお、このように算出された補正移動量−Δx,−Δy
は砥石軸l2の回転に拘わらずカップ砥石Cの先端外縁
の位置を一定とするための移動量であるので、図示せぬ
NCデータ計算用コンピュータは、カップ砥石Cの先端
外縁の位置を輪帯境界P1(x1,y1)から輪帯境界P2
(x2,y2)へ移動させるためのx方向移動量(x2
1)及びy方向移動量(y2−y1)も算出する。図示
せぬNCデータ計算用コンピュータは、このように算出
した各移動量を加算して、x方向移動量(−Δx+x2
−x1)及びy方向移動量(−Δy+y2−y1)を算出
し、夫々メモリに格納する。NCコントローラ8は、メ
モリからx方向移動量及びy方向移動量を夫々読み出
し、x方向移動量(−Δx+x2−x1)だけスライドす
る様、xテーブル2に対してスライド指示を与えるとと
もに、y方向移動量(−Δy+y2−y1)だけスライド
する様、yテーブル5に対してスライド指示を与える。
【0080】以上の制御を行ってワークスピンドル11
及び砥石スピンドル12を回転させるので、動作完了後
は、輪帯境界P1(x1,y1)の外側が、この輪帯境界
1(x1,y1)とその外側の輪帯境界P2(x2,y2
とを含み且つワーク軸l2上にその曲率中心を有する球
凹面として形成されている。 〔球面輪帯Snの研削加工〕円形部分S0の外側n番目に
位置する任意の球面輪帯Snを加工する際には、当該球
面輪帯Snの内縁を示す輪帯境界Pnの座標(xn
n),及び、当該球面輪帯Snの外縁を示す輪帯境界P
n+1の座標(xn+1,yn+1)のみが、設定値としてNC
コントローラ8に与えられる。
【0081】上記式(7),(10),(11),(1
7),(21)は、nによって一般化すると、夫々、下
記式(7’),(10’),(11’),(17’),
(21’)の通りとなる。
【0082】
【数22】
【0083】
【数23】
【0084】
【数24】
【0085】
【数25】
【0086】
【数26】
【0087】以上により、カップ砥石Cの砥石外径
o,輪帯境界Pnの座標データ(xn,yn),及び輪帯
境界Pn+1の座標データ(xn+1,yn+1)を式(1
1’)に代入することにより、砥石軸l2の回転角θn
算出することができる。NCコントローラ8は、このよ
うに算出された回転角θnに従って砥石軸l2を回転させ
る様、θテーブル6に対して回転指示を与える。
【0088】また、カップ砥石Cの砥石外径ro,θ軸
の位置θaxisからカップ砥石Cの先端中心までの距離
R’,今回上記式(11’)によって算出した回転角θ
n,及び、n−1番目の球面輪帯Sn-1を研削加工する際
に上記式(11’)によって算出した砥石軸l2の回転
角θn-1を上記式(17’)及び式(21’)に夫々代
入することにより、θ軸のx方向における補正移動量−
Δx及びy方向における補正移動量−Δyを算出するこ
とができる。なお、図示せぬNCデータ計算用コンピュ
ータは、カップ砥石Cの先端外縁の位置を輪帯境界Pn
(xn,yn)から輪帯境界Pn+1(xn+1,yn+1)へ移
動させるためのx方向移動量(xn+1−xn)及びy方向
移動量(yn+1−yn)も算出する。図示せぬNCデータ
計算用コンピュータは、このように算出した各移動量を
加算して、x方向移動量(−Δx+xn+1−xn)及びy
方向移動量(−Δy+yn+1−yn)を算出し、夫々メモ
リに格納する。NCコントローラ8は、メモリからx方
向移動量及びy方向移動量を夫々読み出し、x方向移動
量(−Δx+xn+1−xn)だけスライドする様、xテー
ブル2に対してスライド指示を与えるとともに、y方向
移動量(−Δy+yn+ 1−yn)だけスライドする様、y
テーブル5に対してスライド指示を与える。
【0089】以上の制御を行ってワークスピンドル11
及び砥石スピンドル12を回転させるので、動作完了後
は、輪帯境界Pn(xn,yn)の外側が、この輪帯境界
n(xn,yn)とその外側の輪帯境界Pn+1(xn+1
n+1)とを含み且つワーク軸l2上にその曲率中心を有
する球凹面として形成されている。
【0090】なお、上記〔円形部分S0の研削加工〕の
説明においては、球凹面の曲率半径R0が予め設定され
ているものとして説明を行ったが、上記式(11’)を
用いれば、曲率半径R0が未知であっても、原点P
0(0,0)に対する輪帯境界P1の座標位置さえ設定さ
れていれば、その時の砥石軸l2の回転角θ0を算出する
ことができる。
【0091】以上のようにして、最外周の輪帯境界Pn
までを研削加工すれば、予め設定された全ての輪帯境界
Pを球凹面(ワーク軸l1上に夫々曲率中心を有する球
凹面)によって繋いだ複合球凹面として、非球面が形成
さる。
【0092】ただし、全ての非球面が上記のように加工
できるわけでなく、凹面の場合は中心から外側に向かっ
て曲率半径即ち上記のRnが大きくならねばならず、逆
だと本方法では加工は不可能である。
【0093】
【実施例2】次に、凸状回転対称非球面を作成する場合
の説明を行う。 〔円形部分S0の研削加工〕図7は、非球面の中央をな
す円形部分S0を加工する際の状態を示す。この時、加
工目標としての円形部分S0中央の座標点が、原点P
0(0,0)として定義される。また、定数値であるカ
ップ砥石Cの砥石内径riの他に、この円形部分S0にお
ける球凸面の曲率半径R0が、設定値として図示せぬN
Cデータ計算用コンピュータで計算される。また、この
曲率半径R0は、加工すべき設計非球面の近軸R係数と
ほぼ同じ値を持つ。この近軸R係数は与えられている場
合が多いので、このように、既知の値としても良い。
【0094】いま、この原点P0(0,0)にカップ砥
石Cの先端内縁(作用点)を合致させれば、カップ砥石
Cの先端内縁によって研削加工される球凸面の曲率中心
は、ワーク軸l1と砥石軸l2との交点に一致する。従っ
て、その球凸面の曲率半径をR0とするには、ワーク軸
1と砥石軸l2との交点を、座標点O0(−R0,0)に
位置させなければならない。この時のR0及びri,並び
に、砥石軸l2の回転角θ0の関係は、下記式(22)に
よって表される。
【0095】
【数27】
【0096】そして、この式(22)を変形すれば、回
転角θ0は、下記式(23)によって表される。
【0097】
【数28】
【0098】従って、カップ砥石Cの砥石内径ri,及
び円形部分S0に設定された曲率半径R0を式(23)に
代入することにより、砥石軸l2の回転角θ0を算出する
ことができる。NCコントローラ8は、このように算出
された回転角θ0に設定されたNCデータに従って砥石
軸l2を回転させる様、θテーブル6に対して回転指示
を与える。次に、NCコントローラ8は、Xテーブル2
及びYテーブル5に対して夫々スライド指示を与えて、
砥石軸l2の回転後におけるカップ砥石Cの先端内縁を
座標点P0(0,0)に合致させる。この時点における
θ軸の位置を、以下、θaxis0と示す。
【0099】以上の制御を行ってワークスピンドル11
及び砥石スピンドル12を回転させるので、動作完了後
は座標点P0(0,0)を中央とする曲率半径R0の球凸
面が、形成されている。 〔球面輪帯S1の研削加工〕図8は、円形部分S0の直ぐ
外側に位置する球面輪帯S1を加工する際の状態を示
す。この時には、中央部分S0の外縁(球面輪帯S1の内
縁)を示す輪帯境界P 1の座標(x1,y1),及び、球
面輪帯S1の外縁を示す輪帯境界P2の座標(x2,y2
のみが、設定値として与えられる。
【0100】上述した凹状回転対称非球面の場合と同様
にして、球面輪帯S1の曲率半径R1は、上記式(7)に
より、輪帯境界P1の座標(x1,y1)及び輪帯境界P2
の座標(x2,y2)によって、一意的に定まる(式
(7)の導出は上述した実施例1の場合と全く同じなの
で、その説明を省略する)。
【0101】ところで、図8においては、球面輪帯S1
の曲率半径R1とカップ砥石Cの砥石内径riとは、下記
式(24)によって表される関係にある。
【0102】
【数29】
【0103】ここで、θsは、球面輪帯S1の曲率中心座
標O1(−b,0)とカップ砥石Cの先端内縁とを結ぶ
線がワーク軸l1に対してなす角を示す。また、球面輪
帯S1の曲率半径R1と輪帯境界P1のy座標とは、下記
式(25)によって表される関係にある。
【0104】
【数30】
【0105】これら両式(24),(25)を連立方程
式としてθSを消去すると、この輪帯曲面S1を形成する
際における砥石軸l2の回転角θ1を示す下記式(26)
が得られる。
【0106】
【数31】
【0107】この式(26)に上記式(7)を代入する
と、下記式(27)が得られる。
【0108】
【数32】
【0109】この式(27)から明らかなように、球凸
面の曲率中心がx軸(ワーク軸l1)上に存在するとい
う前提下においては、砥石軸l2の回転角θnも、球凸面
上の2点の座標位置のみによって、一意的に定まる。
【0110】次に、θ軸の位置をθaxis0から図8にお
けるθaxis1へ補正移動させるためにXテーブル2及び
Yテーブル5に対して指示すべき各補正移動量の算出
を、以下に説明する。
【0111】いま、図9に示すように、砥石軸l2を、
回転角θ0から更に角度dθだけ回転させたとする。こ
の場合、カップ砥石Cの先端内縁の座標位置は、P
(x,y)からP’(x+Δx,y+Δy)に変化す
る。このとき、カップ砥石Cの先端内縁の座標位置を移
動させることなく砥石軸l2の回転角のみを変えるため
には、θ軸の位置θaxisをx方向に−Δx,y方向に−
Δyだけ移動させれば良い。
【0112】ところで、図9において、θ軸の位置θ
axisからカップ砥石Cの先端中心までの距離をR’とす
ると、θ軸の座標位置θaxisとカップ砥石Cの先端内縁
の座標点P,P’との間の斜距離R”は、下記式(2
8)によって与えられる。
【0113】
【数33】
【0114】従って、θaxisとカップ砥石Cの先端内縁
とを結ぶ線が砥石軸l2に対してなす角をθrとすれば、
座標位置θaxisと座標位置Pとの間のX方向における距
離αxは、下記式(29)によって表される。
【0115】
【数34】
【0116】同様に、座標位置θaxisと座標位置P’と
の間のX方向における距離βxは、下記式(30)によ
って表される。
【0117】
【数35】
【0118】従って、座標位置Pと座標位置P’との間
のx方向における距離Δxは、下記式(31)のように
して算出される。
【0119】
【数36】
【0120】ここで、θrは、下記式(32)によって
表される。
【0121】
【数37】
【0122】また、図8における回転角θ1は、式(3
1)における(θ0+dθ)に該当する。従って、θ軸
の位置θaxisのx方向における移動量,即ち、xテーブ
ル2に対して指示すべき補正移動量−Δxは、下記式
(33)のようにして算出される。
【0123】
【数38】
【0124】一方、座標位置θaxisと座標位置Pとの間
のY方向における距離αyは、下記式(34)によって
表される。
【0125】
【数39】
【0126】同様に、座標位置θaxisと座標位置P’と
の間のY方向における距離βyは、下記式(35)によ
って表される。
【0127】
【数40】
【0128】従って、座標点Pと座標点P’との間のy
方向における距離Δyは、下記式(36)のようにして
算出される。
【0129】
【数41】
【0130】従って、θ軸の位置θaxisのy方向におけ
る移動量,即ち、yテーブル5に対して指示すべき補正
移動量−Δyは、下記式(37)のようにして算出され
る。
【0131】
【数42】
【0132】以上により、カップ砥石Cの砥石内径
i,輪帯境界P1の座標データ(x1,y1),及び輪帯
境界P2の座標データ(x2,y2)を式(27)に代入
することにより、砥石軸l2の回転角θ1を算出すること
ができる。NCコントローラ8は、このように算出され
た回転角θ1に従って砥石軸l2を回転させる様、θテー
ブル6に対して回転指示を与える。
【0133】また、カップ砥石Cの砥石内径ri,θ軸
の位置θaxisからカップ砥石Cの先端中心までの距離
R’,上記式(23)によって算出した砥石軸l2の回
転角θ0,及び上記式(27)によって算出した回転角
θ1を上記式(33)及び式(37)に夫々代入するこ
とにより、θ軸のx方向における補正移動量−Δx及び
y方向における補正移動量−Δyを算出することができ
る。なお、このように算出された補正移動量−Δx,−
Δyは砥石軸l2の回転に拘わらずカップ砥石Cの先端
外縁の位置を一定とするための移動量であるので、図示
せぬNCデータ計算用コンピュータは、カップ砥石Cの
先端外縁の位置を輪帯境界P1(x1,y1)から輪帯境
界P2(x2,y2)へ移動させるためのx方向移動量
(x2−x1)及びy方向移動量(y2−y1)も算出す
る。図示せぬNCデータ計算用コンピュータは、このよ
うに算出した各移動量を加算して、x方向移動量(−Δ
x+x2−x1)及びy方向移動量(−Δy+y2−y1
を算出し、夫々メモリに格納する。NCコントローラ8
は、メモリからx方向移動量及びy方向移動量を夫々読
み出し、x方向移動量(−Δx+x2−x1)だけスライ
ドする様、xテーブル2に対してスライド指示を与える
とともに、y方向移動量(−Δy+y2−y1)だけスラ
イドする様、yテーブル5に対してスライド指示を与え
る。
【0134】以上の制御を行った後にワークスピンドル
11及び砥石スピンドル12を回転させるので、動作完
了後は、輪帯境界P1(x1,y1)の外側が、この輪帯
境界P1(x1,y1)とその外側の輪帯境界P2(x2
2)とを含み且つワーク軸l 2上にその曲率中心を有す
る球凸面として形成されている。 〔球面輪帯Snの研削加工〕円形部分S0の外側n番目に
位置する任意の球面輪帯Snを加工する際には、当該球
面輪帯Snの内縁を示す輪帯境界Pnの座標(xn
n),及び、当該球面輪帯Snの外縁を示す輪帯境界P
n+1の座標(xn+1,yn+1)のみが、設定値としてNC
コントローラ8に与えられる。
【0135】上記式(26),(27),(33),
(37)は、nによって一般化すると、夫々、下記式
(26’),(27’),(33’),(37’)の通
りとなる(また、上記式(7)は、nによって一般化す
ると上記式(7)’の通りとなる)。
【0136】
【数43】
【0137】
【数44】
【0138】
【数45】
【0139】
【数46】
【0140】以上により、カップ砥石Cの砥石内径
i,輪帯境界Pnの座標データ(xn,yn),及び輪帯
境界Pn+1の座標データ(xn+1,yn+1)を式(2
7’)に代入することにより、砥石軸l2の回転角θn
算出することができる。NCコントローラ8は、このよ
うに算出された回転角θnに従って砥石軸l2を回転させ
る様、θテーブル6に対して回転指示を与える。
【0141】また、カップ砥石Cの砥石内径ri,θ軸
の位置θaxisからカップ砥石Cの先端中心までの距離
R’,今回上記式(27’)によって算出した回転角θ
n,及び、n−1番目の球面輪帯Sn-1を研削加工する際
に上記式(27’)によって算出した砥石軸l2の回転
角θn-1を上記式(33’)及び式(37’)に夫々代
入することにより、θ軸のx方向における補正移動量−
Δx及びy方向における補正移動量−Δyを算出するこ
とができる。なお、図示せぬNCデータ計算用コンピュ
ータは、カップ砥石Cの先端外縁の位置を輪帯境界Pn
(xn,yn)から輪帯境界Pn+1(xn+1,yn+1)へ移
動させるためのx方向移動量(xn+1−xn)及びy方向
移動量(yn+1−yn)も算出する。図示せぬNCデータ
計算用コンピュータは、このように算出した各移動量を
加算して、x方向移動量(−Δx+xn+1−xn)及びy
方向移動量(−Δy+yn+1−yn)を算出し、夫々メモ
リに格納する。NCコントローラ8は、メモリからx方
向移動量及びy方向移動量を夫々読み出し、x方向移動
量(−Δx+xn+1−xn)だけスライドする様、xテー
ブル2に対してスライド指示を与えるとともに、y方向
移動量(−Δy+yn+ 1−yn)だけスライドする様、y
テーブル5に対してスライド指示を与える。
【0142】以上の制御を行ってワークスピンドル11
及び砥石スピンドル12を回転させるので、動作完了後
は、輪帯境界Pn(xn,yn)の外側が、この輪帯境界
n(xn,yn)とその外側の輪帯境界Pn+1(xn+1
n+1)とを含み且つワーク軸l2上にその曲率中心を有
する球凸面として形成されている。
【0143】なお、上記〔円形部分S0の研削加工〕の
説明においては、球凹面の曲率半径R0が予め設定され
ているものとして説明を行ったが、上記式(27’)を
用いれば、曲率半径R0が未知であっても、原点P
0(0,0)に対する輪帯境界P1の座標位置さえ設定さ
れていれば、その時の砥石軸l2の回転角θ0を算出する
ことができる。
【0144】以上のようにして、最外周の輪帯境界Pn
までを研削加工すれば、予め設定された全ての輪帯境界
Pを球凸面(ワーク軸l1上に夫々曲率中心を有する球
凸面)によって繋いだ複合球凸面として、非球面が形成
さる。
【0145】ただし、全ての非球面が上記のように加工
できるわけでなく、凸面の場合は中心から外側に向かっ
て曲率半径即ち上記のRnが小さくならねばならず、逆
だと本方法では加工は不可能である。
【0146】本実施形態の回転対称非球面加工方法によ
れば、被加工物Wは、各球面輪帯(円形部分)Sn
に、カップ砥石Cによって線当たりで研削加工されるの
で、点当たりで加工される従来の方法に比して加工効率
が大幅に向上するとともに、面粗さも向上する。
【0147】なお、今までは各輪帯Sを断続的に加工す
る方法について述べたが、その動きを連続的に行うこと
でも同様に加工効率の高い加工は可能である。むしろ、
動きが連続的になることで、加工に掛かる時間自体が短
縮される効果が発生する。ただ、この場合は、面粗さは
断続的加工に比べて低下する傾向にある。
【0148】また、図11に示す如く、カップ砥石Cの
先端断面形状が円弧状になっている砥石の場合は、その
円弧の半径をeとしその中心軸からその円弧中心までの
距離をrとした場合、被加工物との角度をθとして加工
される曲率をRとすると、それらの関係は下記式(3
8)のように表される。
【0149】
【数47】
【0150】また、この式(38)を変形すると、下記
式(39)のようになる。
【0151】
【数48】
【0152】従って、図11に示すような砥石C’を使
う場合は、上記式(1),(2),(8),(9),
(27),(28),(29)等を、上記式(38)又
は(39)に従って置き換え、その後の式を変形してい
けば良い。そうすることによって、全く同様の効果が期
待できる。
【0153】
【発明の効果】以上のように構成された本発明の回転対
称非球面加工方法によれば、通常の球面加工のために用
いられているNC制御が可能な研削加工装置,即ち、ワ
ークスピンドルの軸方向と砥石スピンドルの軸方向とが
斜交可能な研削加工装置を用いて、回転対称非球面を研
削加工することが可能となる。しかも、その場合、被加
工物Wの表面と砥石とが線当たりで接触するので、その
加工効率及び加工される回転対称非球面の面粗さを向上
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態おいて用いられる研
削加工装置
【図2】 第1の実施形態によって研削加工される回転
対称非球面の正面図
【図3】 第1の実施形態によって研削加工される回転
対称非球面の縦断面図
【図4】 本発明の第2の実施形態による凹状回転対称
非球面の中央における円形部分の研削状態を示す座標図
【図5】 図4の円形部分の直ぐ外側にある球面輪帯の
研削状態を示す座標図
【図6】 砥石軸の回転と作用点の移動との関係を示す
座標図
【図7】 本発明の第2の実施形態による凸状回転対称
非球面の中央における円形部分の研削状態を示す座標図
【図8】 図7の円形部分の直ぐ外側にある球面輪帯の
研削状態を示す座標図
【図9】 砥石軸の回転と作用点の移動との関係を示す
座標図
【図10】 従来における回転対称非球面の研削加工を
示す図
【図11】 第2の実施形態に用いられるカップ砥石の
他の構成を示す図
【符号の説明】
2 Xテーブル 5 Yテーブル 6 θテーブル 8 NCコントローラ 11 ワークスピンドル 12 砥石スピンドル C カップ砥石 Pn 輪帯境界 Sn 球面輪帯 W 被加工物 l1 ワーク軸 l2 砥石軸

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被加工物が取り付けられるワークスピンド
    ルの軸方向と砥石が取り付けられる砥石スピンドルの軸
    方向とが斜交可能な研削加工装置を用いて回転対称非球
    面を加工する方法であって、 前記被加工物の表面を、同心円状の複数の輪帯に区分
    し、 各輪帯の表面を、加工すべき回転対称非球面における対
    応する部分との誤差が最小となる曲率半径の球面として
    加工することを特徴とする回転対称非球面加工方法。
  2. 【請求項2】前記砥石は、前記砥石スピンドルの軸を中
    心とした環状の作用点を有することを特徴とする請求項
    1記載の回転対称非球面加工方法。
  3. 【請求項3】前記砥石は、カップ砥石であることを特徴
    とする請求項2記載の回転対称非球面加工方法。
  4. 【請求項4】各輪帯の境界位置を特定する予め設定され
    たデータに基づいて、前記被加工物の表面を、同心円状
    の複数の輪帯に区分することを特徴とする請求項1記載
    の回転対称非球面加工方法。
  5. 【請求項5】各輪帯の表面を加工する際には、前記各輪
    帯の境界位置を特定するデータに基づいて、その輪帯の
    内側及び外側の境界位置を夫々含むとともに前記ワーク
    スピンドルの軸上の一点をその曲率中心とする球面とし
    て加工することを特徴とする請求項4記載の回転対称非
    球面加工方法。
  6. 【請求項6】各輪帯の幅を特定する予め設定されたデー
    タに基づいて、前記被加工物の表面を、同心円状の複数
    の輪帯に区分することを特徴とする請求項1記載の回転
    対称非球面加工方法。
  7. 【請求項7】各輪帯の表面を加工する際には、予め設定
    された曲率半径を有するとともに前記ワークスピンドル
    の軸上の一点をその曲率中心とする球面として加工する
    ことを特徴とする請求項6記載の回転対称非球面加工方
    法。
  8. 【請求項8】各輪帯の表面を加工する際には、前記ワー
    クスピンドルの軸と前記砥石スピンドルの軸とを含む面
    内において、その輪帯の内側の境界位置に前記砥石の作
    用点を当てることを特徴とする請求項2記載の回転対称
    非球面加工方法。
  9. 【請求項9】各輪帯の表面を加工する際には、前記ワー
    クスピンドルの軸と前記砥石スピンドルの軸との交点と
    前記砥石の作用点までの距離が前記球面の曲率半径と一
    致するように、前記ワークスピンドルの軸方向と前記砥
    石スピンドルの軸方向とを互いに傾けることを特徴とす
    る請求項8記載の回転対称非球面加工方法。
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