JPH10106502A - 蛍光ランプおよびこれを用いた表示装置 - Google Patents

蛍光ランプおよびこれを用いた表示装置

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JPH10106502A
JPH10106502A JP25999896A JP25999896A JPH10106502A JP H10106502 A JPH10106502 A JP H10106502A JP 25999896 A JP25999896 A JP 25999896A JP 25999896 A JP25999896 A JP 25999896A JP H10106502 A JPH10106502 A JP H10106502A
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JP
Japan
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light
film
fluorescent lamp
emitting chamber
envelope
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Application number
JP25999896A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Nakamura
俊之 中村
Norihiro Umeoka
則広 梅岡
Hiroyuki Matsunaga
啓之 松永
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製作が容易で光出力を高めるようにする。 【解決手段】 発光室6の内面に、金属酸化膜の微粒子
による反射面を形成し、その反射膜の表面に蛍光体膜を
形成する。したがって、放電により発生した紫外線が反
射膜により何回も反射され、その反射膜への入射と反射
の度に紫外線が蛍光体膜を透過して蛍光体膜を励起する
ので、光出力を高めることができる。また、反射膜は、
酸化チタンやアルミナ等を混合した金属酸化物の微粒子
の膜であるため、金属を蒸着するような従来の構成に比
して容易に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光ランプおよび
これを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一端開口で容器状の外囲器の内部
にテーパー筒を設け、このテーパー筒の内部を十字形の
仕切板により仕切って複数の発光室を形成し、これらの
発光室のそれぞれにアノードを配設し、これらのアノー
ドと外囲器に設けた共通カソードとの間で放電させるこ
とにより、透光プレートから光を照射するようにした表
示用の蛍光ランプがある。
【0003】このような蛍光ランプにおいては、出力を
高めるために放電による紫外線を受けて光励起する蛍光
体膜や反射膜を内面に具備していているが、直接透光プ
レートに向かう紫外線は蛍光体膜を光励起しないので、
有効に光出力を利用することができない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、特開平4−8
2154号公報に記載されているように、透光プレート
の内面に、紫外線を反射して可視光を透過する紫外線反
射膜や蛍光体膜を形成する内容が開示されている。ま
た、発光室を形成するテーパー筒や、発光室を仕切る仕
切板に、反射率を高めるための金属蒸着膜を形成するこ
とが開示されている。
【0005】しかしながら、透光プレートの内面に紫外
線を反射して可視光を透過する紫外線反射膜を形成する
ことは、特殊な反射材料をも用いなければならず、製作
にも困難性が伴う。また、発光室を形成するテーパー筒
や、発光室を仕切る仕切板に、金属蒸着膜を形成する場
合、蒸着工程が煩雑となり、やはり製作上困難性が伴
う。
【0006】本発明は、製作が容易で所望の出力を得る
ことができる蛍光ランプおよびこれを利用した表示装置
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の蛍光ラ
ンプは、内部に共通カソードが設けられるとともに一端
側に開口が形成された外囲器と;アノードが配設された
複数の発光室を仕切る仕切板を有して前記外囲器の内方
に装着された発光室形成部材と;前記外囲器の前記開口
に対向配置された透光プレートと;金属酸化膜の微粒子
によって前記発光室の少なくとも内面に形成された反射
膜と;この反射膜の表面に形成された蛍光体膜と;を具
備する。したがって、反射膜は金属酸化膜の微粒子によ
って形成されるため、材料の選択幅が広く、また容易に
製作することが可能である。放電によって発生した光
は、発光室内の蛍光体膜を励起した後に反射膜により反
射され、再び蛍光体膜を励起して透過される。具体的に
は、反射膜は、少なくとも酸化チタンとアルミナとを混
合して形成され(請求項2)、また、アルミナは酸化チ
タンに対して1.5重量%以下の割合で混合されている
(請求項3)。
【0008】請求項4の発明の蛍光ランプは、内部に共
通カソードが設けられるとともに一端側に開口が形成さ
れた外囲器と;アノードが配設された複数の発光室を仕
切る仕切板を有して前記外囲器の内方に装着された発光
室形成部材と;前記外囲器の前記開口に対向配置された
透光プレートと;前記外囲器の内面側に設けられたゲッ
ター作用を有する被膜と;を具備している。したがっ
て、製造時において、外囲器内の不純ガスが被膜により
吸収され、放電ガスの純度が高められる。これにより、
放電開始電圧の低下等に寄与することが可能となる。
【0009】請求項5の発明は、請求項4記載の蛍光ラ
ンプであって、発光室形成部材の外周面にもゲッター作
用を有する被膜が形成されている。したがって、不純ガ
スはより効果的に吸収される。具体的には、ゲッター膜
は、少なくとも酸化チタンとアルミナとの混合材により
形成されている(請求項6)。
【0010】請求項7の発明は、請求項4または5記載
の蛍光ランプであって、発光室の内面には蛍光体膜が形
成されている。したがって、蛍光体膜が別個に存在する
ため、ゲッター作用を有する被膜は蛍光体等の特殊な材
料を用いることなく形成され、また、その被膜と蛍光体
膜とを同一工程で焼成することも可能となる。
【0011】請求項8の発明は、請求項4ないし7のい
ずれか一記載の蛍光ランプであって、透光プレートの外
側から高周波加熱装置により加熱可能な仕切板の位置に
水銀合金およびゲッター設けられている。したがって、
水銀合金とゲッターとを加熱して活性化すると、ゲッタ
ーは不純ガスを吸収し、水銀合金は外囲器内に水銀ガス
を放出する。この場合、水銀合金は固体であるため量の
管理が容易となる。また、水銀合金とゲッターとは、比
較的に温度上昇が少ないガラス等の透光プレートの外側
から加熱することが可能であるため、金属の外囲器を用
いても外囲器の温度上昇を防止することが可能となる。
この場合、発光室のゲッターは、Fe−Niメッキプレ
ート上に、Zr−Al合金粉末をコーティングしたもの
が一例として挙げられるが、これに限られるものではな
く、粉末状やペレット状のものでもよい。また、水銀合
金は、Ti−Hg等のアマルガムが適用可能であるが、
他の材質であってもよい。
【0012】請求項9の発明の蛍光ランプは、内部に共
通カソードが設けられるとともに一端側に開口が形成さ
れた外囲器と;アノードが配設された複数の発光室を仕
切る仕切板を有して前記外囲器の内方に装着された発光
室形成部材と;前記外囲器の前記開口に対向配置された
透光プレートと;金属酸化膜の微粒子によって前記透光
プレートの内面に形成された透光性の保護膜と;を具備
している。したがって、透光プレートの内面への水銀ガ
スや他の不純物の付着が防止され、高い透光率が維持さ
れる。
【0013】保護膜としては、アルミナ、酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化亜鉛と酸化チタンとの混合物等が挙げら
れる。
【0014】請求項10の発明の蛍光ランプは、共通カ
ソードを収納するとともに、アノードを収納する複数の
発光室が形成され、一端側に開口を有した金属製の筐体
と;この筐体の前記開口に取り付けられた透光プレート
と;前記筐体の少なくとも内面に形成された反射作用を
有する金属酸化物が混入されたガラス被膜と;を具備し
ている。したがって、金属製の筐体は、その内面に形成
されたガラス被膜により絶縁され、且つ、強度が高めら
れる。ガラス被膜が内在する金属酸化物は放電によって
生ずる紫外線を有効に反射する。さらに、反射膜として
機能する金属酸化物はガラス被膜に内在するためガラス
被膜の成膜時に同時に成膜される。この場合、ガラス被
膜に混入された金属酸化物は、酸化チタンにアルミナ等
を混合し白色化されている(請求項11)。
【0015】請求項12の発明は、請求項10記載の蛍
光ランプであって、筐体は発光室を形成する金属製の発
光室形成部材を有し、この発光室形成部材の内面には反
射作用を有する金属酸化物が混入されたガラス被膜が形
成され、前記発光室の内面にはさらに蛍光体膜が形成さ
れている。したがって、発光室では、紫外線が蛍光体膜
に向けて反射され、蛍光体膜の励起作用が促進される。
【0016】この場合、蛍光体膜は発光室形成部材の内
面に形成された反射材を内在したガラス被膜の上に積層
してもよく、或いは発光室形成部材の内部を仕切る仕切
板に形成してもよい。
【0017】請求項13の発明の表示装置は、請求項1
ないし12のいずれか一記載の蛍光ランプと;この蛍光
ランプを複数個面状に配設して表示面を形成する装置本
体と;を器具本体に具備していている。したがって、輝
度の高い表示面が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1
ないし図4を参照して説明する。図1は図2におけるA
−A線部の縦断側面図、図2は平面図、図3はテーパー
筒の縦断側面図、図4は単位面積当りの蛍光体膜量と光
出力相対値との関係を示すグラフである。
【0019】図1ないし図3において、1は蛍光ランプ
である。この蛍光ランプ1の筐体2は、ステンレスや鉄
等の金属材により形成された角筒状の外囲器3の内部
に、発光室形成部材である容器状のテーパー筒4を嵌合
することにより形成されている。テーパー筒4は十字形
に組み合わされた仕切板5を有し、内部は仕切板5によ
り四つの発光室6に区切られている。これらの発光室6
はテーパー筒4の底面に形成された放出孔7を介して外
囲器3内のカソード室8に連通されている。
【0020】さらに、外囲器3の開口側の端部には外方
に拡開する拡開段部9が形成され、この拡開段部9には
ガラス製の透光プレート10がフリットガラスで密閉状
態で嵌合されている。外囲器3の反対側の端部には排気
管11が密閉状態で形成されている。そして、外囲器3
のカソード室8には、リード線12を介して点灯回路
(図示せず)に接続される共通カソードとしての熱陰極
フィラメント13が設けられ、各発光室6にはリード線
14を介して点灯回路に接続されるアノード15が配設
されている。
【0021】そして、図3に示すように、各発光室6の
内面、すなわち、テーパー筒4の内面及び仕切板5の表
面には、金属酸化物の微粒子の膜による反射膜17と、
その反射膜17の表面に形成された蛍光体膜18とが成
膜されている。反射膜17は、酸化チタンにアルミナや
他の材料を混合して被着することにより形成されてい
る。酸化チタンに対するアルミナの混合比は、1.5重
量%以下である。
【0022】このような構成において、熱陰極フィラメ
ント13と所望のアノード15とに所定の電圧を印加す
ると、熱陰極フィラメント13とアノード15との間で
放電が起きる。この放電により発生した光は水銀原子を
励起して紫外線を発生させる。本実施の形態では、紫外
線は発光室6の蛍光体膜18を励起して可視光となり、
反射膜17により反射されて再び蛍光体膜18を励起し
て透光プレート10から外部に照射されるので、単位面
積当りの蛍光体膜量に対する光出力相対値を高めること
ができる。
【0023】その測定結果を図4に示す。Aは本実施の
形態の構成による測定結果、Bは従来の構成による測定
結果である。この測定により、本実施の形態では、発光
室6内において、紫外線が反射膜17により何回も反射
され、その反射膜17への入射と反射の度に紫外線が蛍
光体膜18を透過して蛍光体膜18を励起するので、単
位面積当りの蛍光体膜量を低く押えながら光出力を高め
ることが確認された。
【0024】また、反射膜17は、酸化チタンやアルミ
ナ等を混合した金属酸化物の微粒子の膜であるため、金
属を蒸着するような従来の構成に比して容易に形成する
ことができる。
【0025】次に、本発明の第二の実施の形態を図5及
び図6を参照して説明する。本実施の形態及びこれに続
く他の実施の形態において、前実施の形態で説明した部
分と同一構造の部分は同一符号を用い説明も省略する。
図5は外囲器の縦断側面図、図6は発光室形成部材の縦
断側面図である。
【0026】本実施の形態では、図5に示すように、外
囲器3の内面には、ガラス被膜19と、このガラス被膜
19の表面を被覆する被膜20とが形成されている。ま
た、図6に示すように、発光室形成部材としてのテーパ
ー筒4の外面にも被膜20が形成され、さらに、テーパ
ー筒4の内面及び仕切板5の表面、すなわち、発光室6
の内面には蛍光体膜18が形成されている。また、被膜
20はゲッター作用を有するように、酸化チタンにアル
ミナや他の材料を混合して被着することにより形成され
ている。
【0027】このような構成において、製造時におい
て、被膜20により不純ガスを吸収することができる。
この場合、被膜20は外囲器3の内面だけでなく、この
外囲器3の内面に対して多少隙間を開けて嵌合されたテ
ーパー筒4の外面にも形成されているので、不純ガスが
触れる被膜20の面積が広くなり、これにより、不純ガ
スをより効果的に吸収することができる。また、内部に
水銀ガスを封入する前に内部の真空度を高めることがで
きる。これにより、蛍光ランプ1として製作して使用す
る場合には、出力向上に寄与することができる。さら
に、発光室6の内面には、紫外線によって励起される蛍
光体膜18が形成されているため、さらに高出力を得る
ことができる。
【0028】また、被膜20は、蛍光体膜18が形成さ
れた発光室6の内面を除く部分に形成されているため、
蛍光材料以外の材料、例えば酸化チタンやアルミナ等を
混合した金属酸化物の微粒子の膜等によって容易に形成
することができる。さらに、被膜20と蛍光体膜18と
は、形成されている部位が異なるため同一工程で焼成す
ることも可能となる。
【0029】次に、本発明の第三の実施の形態を図7及
び図8を参照して説明する。図7は縦断側面図、図8は
平面図である。
【0030】本実施の形態では、外囲器3の内面には図
5において説明したようにガラス被膜19と被膜20と
が形成されている。さらに、それぞれ透光プレート10
の外側から高周波加熱装置21によって加熱されて活性
化される水銀合金22とゲッター23とが仕切板5に設
けられている。
【0031】この場合、発光室6内の水銀合金22は、
例えばアマルガムが用いられているがこれに限られるも
のではない。ゲッター23は、Fe−Niメッキプレー
ト上に、Zr−Al合金粉末をコーティングしたものが
用いられているが、これに限られるものではなく、粉末
状やペレット状のものでもよい。また、水銀合金22と
ゲッター23とは、成分によっては一体に形成すること
が考えられる。この場合には仕切板5への取付作業を容
易化することが可能である。
【0032】このような構成において、水銀合金22と
ゲッター23とは組立工程において仕切板5に取り付け
られる。全ての部品を組み立てた後に、内部の大気を排
気管11から抜き排気管11を封止するが、このときに
内部の不純ガスは外囲器3の内面の被膜20により吸収
される。排気管11を封止した後に透光プレート10の
外側から高周波加熱装置21によって水銀合金22とゲ
ッター23とを加熱して活性化させると、ゲッター23
は内部の不純ガスを吸収し、水銀合金22は水銀ガスを
発生する。この水銀ガスが放電光により励起されて紫外
線を発生させる。
【0033】外囲器3内に水銀ガスを満たす方法とし
て、内部の大気を排気管11から除去し、この排気管1
1から液体水銀を流し込み、予め内部に設けたゲッター
を加熱することにより水銀ガスを発生させることが従来
から行われているが、このような方法は、ゲッターが活
性化する温度に達する前に外囲器3が高温になるため、
作業がしにくくなる。場合によっては高温のため外囲器
3が劣化することもある。
【0034】しかし、本実施の形態の場合には、ゲッタ
ー23と水銀合金22とが、透光プレート10の外側か
ら高周波加熱装置21によって加熱されるため、外囲器
3を高温に加熱することなくゲッター23と水銀合金2
2とを活性化させることができる。また、水銀合金22
は固体であるため量の管理が容易となる。これにより、
水銀ガスの量を均一にすることが容易になされる。
【0035】次に、本発明の第四の実施の形態を図9及
び図10に基づいて説明する。図9は縦断側面図、図1
0は点灯時間と相対光出力との関係を測定したグラフで
ある。
【0036】本実施の形態では、金属酸化膜の微粒子に
よる透光性の保護膜24が透光プレート10の内面に形
成されている。この保護膜24は、アルミナ、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化亜鉛と酸化チタンとの混合物等に
より形成されているが、これらに限られるものではな
い。
【0037】このような構成において、保護膜24によ
り透光プレート10の内面への水銀ガスや他の不純物の
付着が防止されるので、透光プレート10の内面のくも
りや変色を防止することができる。これにより、長期間
使用した場合でも透光プレート10の透光率を高い状態
に維持することができる。
【0038】図10に、従来の構成と、本実施の形態の
構成との比較結果を示す。縦軸の相対光出力は、初期状
態の出力を基準(100%)とし、点灯時間の経過によ
る出力の低下を示す。この結果、本実施の構成の測定結
果(A)が、従来の構成の測定結果(B)より改善され
ていることが分かる。
【0039】なお、透光プレート10がガラス製であ
り、また、外囲器3の拡開段部9の内面やテーパー筒4
の表面にガラス被膜が形成されている場合には、これら
のガラス被膜に接触する透光プレート10の周縁付近を
除いて保護膜24を形成する。これにより、外囲器3や
テーパー筒4と透光プレート10とは、同質のガラス材
として接触するため、接着、溶着等に際して密着性を高
めることができる。
【0040】次に、本発明の第五の実施の形態を図11
及び図12に基づいて説明する。図11は筐体2の一部
を示す縦断側面図、図12は蛍光体付着量相対値と水平
中心光度相対値との関係を示すグラフである。
【0041】筐体2は金属製の外囲器3と金属製の発光
室形成部材であるテーパー筒4とにより成形されてい
る。そして、筐体2の表面、すなわち、外囲器3及びテ
ーパー筒4の表面には反射作用を有する金属酸化物が混
入されたガラス被膜25が形成されている。この例で
は、ガラス被膜25はデッピング法により形成されてい
るので、ガラス被膜25は外囲器3及びテーパー筒4の
内面のみならず外面にも形成されている。さらに、発光
室6の内面の一部となる仕切板5の表面には蛍光体膜2
6が形成されている。
【0042】この蛍光体膜26は、仕切板5が金属の場
合、蛍光材が混入されたガラス被膜として形成してもよ
く、或いは、テーパー筒4の内面に形成した金属酸化物
が混入されたガラス被膜25の表面に形成してもよい。
この場合、ガラス被膜に混入された金属酸化物は、酸化
チタンにアルミナ等を混合し白色化されたものが用いら
れている。
【0043】このような構成において、金属製の筐体2
は、その内面及び外面に形成されたガラス被膜により強
度が著しく高められ、且つ、絶縁される。そして、ガラ
ス被膜25に混入された金属酸化物は放電によって生ず
る紫外線を有効に反射する。特に、発光室6内では、ガ
ラス被膜25内の金属酸化物による反射と、その反射光
による蛍光体膜26の励起とが活発に行われるため、発
光出力を高めることができる。
【0044】ここで、本実施の形態の構成と従来の構成
との比較を、図12に示す蛍光体付着量相対値と水平中
心光度相対値との関係によって示す。Aは本実施の形態
の構成による測定結果、Bは従来の構成により測定結果
である。この図で明らかなように、水平中止光度は本実
施の形態の方が高い。また、蛍光体付着量に対する水平
中心光度も本実施の形態の方が高い。これは、本実施の
形態では、金属酸化物が混入されたガラス被膜25の領
域が広く、光を透光プレート10に向けて有効に反射さ
せているためと考えられる。また、蛍光体膜26の付着
量を従来よりも少なくしても、ある程度の光量が得られ
ることも確認された。
【0045】また、従来より、蛍光体膜の量が増大する
と、光出力のバラツキが大きくなることが分かっている
が、本実施の形態の構成によれば、蛍光体膜26の付着
量を少なくしても所定の光出力が得られるので、均一な
光出力を得ることができる。
【0046】さらに、反射膜として機能する金属酸化物
は、ガラス被膜25に混入されているため、ガラス被膜
25の成膜時に同時に成膜される。
【0047】次に、本発明の第六の実施の形態を図13
ないし図15に基づいて説明する。図13は縦断側面
図、図14は点灯時間と光出力との関係を示すグラフ、
図15は留置放置時間と電圧との関係を示すグラフであ
る。
【0048】本実施の形態では、排気管11には途中か
ら分岐されたゲッター室27が密閉状態で形成されてい
る。このゲッター室27にはゲッター28が設けられて
いる。他の構成は、これまで述べた第一ないし第五の実
施の形態の構造と同様である。
【0049】このような構成において、製作時には、筐
体2内の大気を排気管11から抜き、内部に水銀ガス等
を封入して排気管11を封止する。図7で説明したよう
に、発光室6に水銀合金22とゲッター23とを設け、
これを加熱して活性化することにより水銀ガスを得る場
合には、水銀合金22とゲッター23とを加熱する前に
排気管11を封止する。何れにしても、筐体2内の不純
ガスをゲッター室27のゲッター28により効果的に吸
収することができる。なお、排気管11及びゲッター室
27は、ガラスやセラミックスにより形成されているが
これらに限られるものではない。また、ゲッター室27
に設けるゲッター28は、Fe−Niメッキプレート上
に、Zr−Al合金粉末をコーティングしたものを用い
ているが、粉末状やペレット状のものでもよい。
【0050】このように構成することにより、図14に
示すように、点灯し始めたときの光出力を基準(100
%)にすると、点灯時間の経過により光出力が低下する
が、その度合いは本実施の形態の構造による測定結果
(A)の方が、従来構造による測定結果(B)より5%
程少ないことが確認された。また、図15に示すよう
に、点灯状態に維持した一定時間留置した後の印加電圧
を測定したが、本実施の形態による構成の測定結果
(A)より、従来構造による測定結果(B)の方が印加
電圧が高くなることが確認された。
【0051】なお、これまで述べた蛍光ランプ1を、表
示装置の光源として用いることにより、高い輝度表示面
が得られる。
【0052】
【発明の効果】請求項1ないし3の発明によれば、発光
室の内面に、金属酸化膜の微粒子による反射面を形成
し、その反射膜の表面に蛍光体膜を形成したので、放電
により発生した紫外線が反射膜により何回も反射され、
その反射膜への入射と反射の度に紫外線が蛍光体膜を透
過して蛍光体膜を励起するので、光出力を高めることが
できる。また、反射膜は、酸化チタンやアルミナ等を混
合した金属酸化物の微粒子の膜であるため、金属を蒸着
するような従来の構成に比して容易に形成することがで
きる。
【0053】請求項4の発明によれば、外囲器の内面側
にゲッター作用を有する被膜を備えるので、製造時にお
いて、外囲器内の不純ガスを被膜により吸収し、放電ガ
スの純度を高めることができる。これにより、放電開始
電圧の低下に寄与することができる。
【0054】請求項5の発明によれば、請求項4の構成
を備え、さらに発光室形成部材の外周面にもゲッター作
用を有する被膜が形成されているので、被膜を広い面積
をもって不純ガスに接触させることができ、これによ
り、不純ガスをより効果的に吸収することができる。
【0055】請求項7の発明によれば、請求項4又は5
の構成を備え、さらに発光室の内面には蛍光体膜が形成
されているので、被膜を蛍光体等の特殊な材料を用いる
ことなく形成することができ、また、被膜と蛍光体膜と
を同一工程で焼成することもできる。
【0056】請求項8の発明によれば、請求項4ないし
7の何れかの構成を備え、さらに、透光プレートの外側
から高周波加熱装置により加熱可能な仕切板の位置に水
銀合金およびゲッターが仕切板に設けられているので、
水銀合金とゲッターとを加熱して活性化するとゲッター
が不純ガスを吸収し、水銀合金は外囲器内に水銀ガスを
放出するが、水銀合金は固体であるため量の管理が容易
となる。したがって、水銀ガスの量を一定に管理するこ
とが容易となり、光出力を高めることに寄与することが
できる。また、水銀合金とゲッターとは、比較的に温度
上昇が少ないガラス等の透光プレートの外側から加熱す
ることが可能であるため、金属の外囲器を用いても外囲
器の温度上昇を防止し、製作を容易にすることができ
る。
【0057】請求項9の発明によれば、金属酸化膜の微
粒子によって透光プレートの内面に形成された透光性の
保護膜を備えるので、透光プレートの内面への水銀ガス
や他の不純物の付着を防止することができ、これによ
り、透光プレートの透光率を高い値に維持し、光出力を
高めることができる。
【0058】請求項10の発明によれば、複数の発光室
を有する金属製の筐体の内面に、反射作用を有する金属
酸化物が混入されたガラス被膜を備えるので、ガラス被
膜に混入された金属酸化物によって紫外線を有効に反射
させることができ、これにより、光出力を高めることが
できる。さらに、反射膜として機能する金属酸化物はガ
ラス被膜に内在するため、ガラス被膜の成膜時に同時に
反射膜として成膜することができる。これにより、製造
工程を短縮することができる。
【0059】請求項12の発明によれば、請求項10の
構成を備え、さらに筐体は発光室を形成する金属製の発
光室形成部材を有し、この発光室形成部材の内面には金
属酸化物が混入されたガラス被膜が形成され、発光室の
内面にはさらに蛍光体膜が形成されているので、発光室
では、紫外線を蛍光体膜に向けて反射し、蛍光体膜の励
起作用を促進することができる。
【0060】請求項13の発明によれば、表示装置は請
求項1ないし12の何れか一記載の蛍光ランプを光源と
して用いているので、輝度の高い表示面を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示すもので、図2
におけるA−A線部の縦断側面図
【図2】平面図
【図3】発光室形成部材の縦断側面図
【図4】単位面積当りの蛍光体膜量と光出力相対値との
関係を示すグラフ
【図5】本発明の第二の実施の形態における外囲器の縦
断側面図
【図6】発光室形成部材の縦断側面図
【図7】本発明の第三の実施の形態における縦断側面図
【図8】平面図
【図9】本発明の第四の実施の形態における縦断側面図
【図10】点灯時間と相対光出力との関係を測定したグ
ラフ
【図11】本発明の第五の実施の形態における筐体の一
部を示す縦断側面図
【図12】蛍光体付着量相対値と水平中心光度相対値と
の関係を示すグラフ
【図13】本発明の第六の実施の形態における縦断側面
【図14】点灯時間と光出力との関係を示すグラフ
【図15】留置放置時間と電圧との関係を示すグラフ
【符号の説明】
1:蛍光ランプ 2:筐体 3:外囲器 4:発光室形成部材 5:仕切板 6:発光室 8:発光室 10:透光プレート 13:共通カソード 15:アノード 17:反射膜 18:蛍光体膜 20:ゲッター作用を有する被膜 21:高周波加熱装置 22:水銀合金 23:ゲッター 24:保護膜 25:金属酸化物が混入されたガラス被膜 26:蛍光体膜

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に共通カソードが設けられるととも
    に一端側に開口が形成された外囲器と;アノードが配設
    された複数の発光室を仕切る仕切板を有して前記外囲器
    の内方に装着された発光室形成部材と;前記外囲器の前
    記開口に対向配置された透光プレートと;金属酸化膜の
    微粒子によって前記発光室の少なくとも内面に形成され
    た反射膜と;この反射膜の表面に形成された蛍光体膜
    と;を具備していることを特徴とする蛍光ランプ。
  2. 【請求項2】 反射膜は、少なくとも酸化チタンとアル
    ミナとを混合して形成されていることを特徴とする請求
    項1記載の蛍光ランプ。
  3. 【請求項3】 アルミナは酸化チタンに対して1.5重
    量%以下の割合で混合されていることを特徴とする請求
    項2記載の蛍光ランプ。
  4. 【請求項4】 内部に共通カソードが設けられるととも
    に一端側に開口が形成された外囲器と;アノードが配設
    された複数の発光室を仕切る仕切板を有して前記外囲器
    の内方に装着された発光室形成部材と;前記外囲器の前
    記開口に対向配置された透光プレートと;前記外囲器の
    内面側に設けられたゲッター作用を有する被膜と;を具
    備していることを特徴とする蛍光ランプ。
  5. 【請求項5】 発光室形成部材の外周面にもゲッター作
    用を有する被膜が形成されていることを特徴とする請求
    項4記載の蛍光ランプ。
  6. 【請求項6】 ゲッター作用を有する被膜は、少なくと
    も酸化チタンとアルミナとの混合材により形成されてい
    ることを特徴とする請求項4または5記載の蛍光ラン
    プ。
  7. 【請求項7】 発光室の内面には蛍光体膜が形成されて
    いることを特徴とする請求項4または5記載の蛍光ラン
    プ。
  8. 【請求項8】 透光プレートの外側から高周波加熱装置
    により加熱可能な仕切板の位置に水銀合金およびゲッタ
    ーが設けられていることを特徴とする請求項4ないし7
    のいずれか一記載の蛍光ランプ。
  9. 【請求項9】 内部に共通カソードが設けられるととも
    に一端側に開口が形成された外囲器と;アノードが配設
    された複数の発光室を仕切る仕切板を有して前記外囲器
    の内方に装着された発光室形成部材と;前記外囲器の前
    記開口に対向配置された透光プレートと;金属酸化膜の
    微粒子によって前記透光プレートの内面に形成された透
    光性の保護膜と;を具備していることを特徴とする蛍光
    ランプ。
  10. 【請求項10】 共通カソードを収納するとともに、ア
    ノードを収納する複数の発光室が形成され、一端側に開
    口を有した金属製の筐体と;この筐体の前記開口に取り
    付けられた透光プレートと;前記筐体の少なくとも内面
    に形成された反射作用を有する金属酸化物が混入された
    ガラス被膜と;を具備していることを特徴とする蛍光ラ
    ンプ。
  11. 【請求項11】 ガラス被膜に混入された金属酸化物
    は、酸化チタンにアルミナ等を混合し白色化されている
    ことを特徴とする請求項10記載の蛍光ランプ。
  12. 【請求項12】 筐体は発光室を形成する金属製の発光
    室形成部材を有し、この発光室形成部材の内面には金属
    酸化膜が混入さめたガラス被膜が形成され、前記発光室
    の内面にはさらに蛍光体膜が形成されていることを特徴
    とする請求項10記載の蛍光ランプ。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし12のいずれか一記載
    の蛍光ランプと;この蛍光ランプを複数個面状に配設し
    て表示面を形成する装置装置本体と;を器具本体に具備
    していていることを特徴とする表示装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101876178B1 (ko) * 2017-11-27 2018-07-09 장명옥 고도산화처리 장치

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