JPH10103239A - 密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置 - Google Patents

密閉型圧縮機およびそれを用いた冷凍装置

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JPH10103239A
JPH10103239A JP25955796A JP25955796A JPH10103239A JP H10103239 A JPH10103239 A JP H10103239A JP 25955796 A JP25955796 A JP 25955796A JP 25955796 A JP25955796 A JP 25955796A JP H10103239 A JPH10103239 A JP H10103239A
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JP
Japan
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oil
refrigerant
carbodiimide
hermetic compressor
coil
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JP25955796A
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Yoshinobu Obokata
芳信 小保方
Takayuki Mizuno
隆行 水野
Takashi Sunaga
高史 須永
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Sanyo Electric Co Ltd
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Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エステル系冷凍機油とHFC系冷媒を使用し
た場合でも、スラッジが発生せず、密閉型圧縮機の電動
機部に使用したプラステイック絶縁フィルムやエステル
系冷凍機油が劣化せず、長期に亘り安定して運転できる
密閉型往復圧縮機およびそれを用いた冷凍装置を提供す
ること。 【解決手段】 冷凍機油としてエポキシあるいはカルボ
ジイミドを添加したエステル系潤滑油を使用し、前記プ
ラステイック絶縁フィルムとしてカルボジイミドで被覆
したポリエステルフィルムを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は密閉型圧縮機およ
びそれを用いた冷凍装置に関し、さらに詳しくは、冷媒
として1,1,1,2−テトラフルオロエタン(以下R
134aという)単体又はR134aとジフルオロメタ
ン(以下R−32という)とペンタフルオロエタン(以
下R−125という)との混合冷媒、R−32とR−1
25との混合冷媒などのHFC系冷媒およびこの冷媒と
相溶性のある冷凍機油を使用した密閉電動型圧縮機およ
びそれを用いた冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】冷蔵庫、自動販売機及びショーケース用
の圧縮機は従来冷媒としてジクロロジフルオロメタン
(以下R12という)を多く使用していた。このR12
は、その高いオゾン破壊の潜在性により、大気中に放出
されて地球上空のオゾン層に到達すると、このオゾン層
を破壊する問題からフロン規制の対象となっている。こ
のオゾン層の破壊は冷媒中の塩素基(Cl)により引き
起こされる。そこで、この塩素基を含有しない冷媒、例
えばR32、R125やR134a、あるいはこれらの
混合物が代替冷媒として考えられており、前記R12の
代替冷媒としてR134aなどが冷凍機用として検討さ
れている(例えば、特開平1−271491号公報を参
照)。
【0003】また、空気調和機等は従来冷媒としてクロ
ロジフルオロメンタ(R22)が使用されていたが、や
はり、オゾン層の破壊の環境問題の観点からHFC系冷
媒が着目されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たR134a等のHFC系冷媒は現在使われている鉱物
油やアルキルベンゼン油等の冷凍機油との相溶性が悪
く、圧縮機への油の戻りの悪化や寝込み起動時の分離冷
媒の吸い上げなどから圧縮機の潤滑不良に至る問題があ
った。
【0005】このため、本発明者らはR134a等のH
FC系冷媒と相溶性のある冷凍機油としてエステル系油
を検討した。しかし、このエステル系油は圧縮機に使用
する場合に、圧縮機内部の摺動部材の摩擦・摩耗で温度
が上昇しやすく、その熱により加水分解したり、酸化鉄
などの作用で分解したりして、脂肪酸や金属石鹸などが
生じ、この脂肪酸などにより摺動部材に腐食を起こさせ
たり、摩耗によってスラッヂ成分が発生してキャピラリ
チューブなどを詰まらせたり、また、これらにより圧縮
機の電動要素の固定子の鉄芯とマグネットワイヤ(主コ
イル、副コイル)の間に介在させるプラステイック絶縁
フィルムなどの有機系材料からオリゴマーが抽出された
り、加水分解されるなどの悪影響がでるなど、圧縮機の
耐久性を損なう問題があった。
【0006】本発明の第一の目的は、冷媒としてR13
4a等のHFC系冷媒を使用し、且つこの冷媒と相溶性
のあるエステル系油を使用しても、摺動部材の摩擦熱に
よる熱分解やエステル系油の加水分解によるカルボン酸
の発生、及びこれに伴うスラッジの発生を抑え、摺動部
材の腐食の発生やスラッヂによるキャピラリチューブな
どの詰りがなく、圧縮機の電動要素のプラステイック絶
縁フィルムなどの有機系材料への悪影響などの問題のな
い、長期に亘り安定して運転することができる耐久性に
優れた高性能な密閉型圧縮機を提供すること、および本
発明の第二の目的はその密閉型圧縮機を用いた冷凍装置
を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、冷媒とし
てHFC系冷媒を用い、HFC系冷媒と相溶性のある冷
凍機油としてエステル系油を組み合わせて圧縮機に使用
すべく研究を重ねた結果、圧縮機の摺動部材の摩擦熱に
よってこの摺動部材を潤滑するエステル系油が加水分解
し、生じた脂肪酸で摺動部材が腐食することが明らかと
なり、そして、エステル系油と特定の添加剤と特定のプ
ラステイック絶縁フィルムの限定した組み合わせによっ
て前記摺動部材で発生する摩擦熱によるエステル系油の
熱分解や加水分解が抑えられ、プラステイック絶縁フィ
ルムの劣化も抑えられることを見出し、この発明を完成
するに至った。
【0008】即ち、耐久試験の結果、摺動部材が激しく
摩耗し、エステル系油の全酸価が高くなり、腐食摩耗が
起きることが観察された。この原因は、この摺動部材の
摩擦熱によってエステル系油が加水分解してカルボン酸
が発生し、これが鉄系材料を腐食させたり、鉄系材料と
反応して金属石鹸やスラッジとなることが推測できた。
【0009】本発明の請求項1の発明は、密閉容器内の
下側に回転軸を有する電動機部と、上側にこの電動機部
の回転軸によって駆動される往復圧縮部とを収納し、吸
入したHFC系冷媒あるいはHFC系冷媒を主体とする
冷媒をこの往復圧縮部により圧縮して前記密閉容器外に
吐出するようにした密閉型圧縮機であって、冷凍機油と
してグリシジルエーテルからなるエポキシあるいはカル
ボジイミドを添加したエステル系潤滑油を使用し、前記
電動機部の固定子の鉄芯と主コイルおよび副コイルとの
間、および、主コイルと副コイルの間に介在させるプラ
ステイック絶縁フィルムとしてカルボジイミドで被覆し
たポリエステルフィルムを用いることを特徴とする密閉
型圧縮機である。
【0010】本発明の請求項2の発明は、請求項1記載
の密閉型圧縮機において、前記絶縁フィルムがカルボジ
イミド樹脂を積層したポリエステルフィルムであること
を特徴とする。
【0011】本発明の請求項3の発明は、請求項1記載
の冷媒を凝縮液化する凝縮器、同冷媒の圧力を調整する
キャピラリーチューブ、液化冷媒を蒸発させる蒸発器、
アキュムレータおよび蒸発気化した同冷媒を圧縮して凝
縮器に吐出する密閉型圧縮機などを備えた冷凍装置であ
って、前記密閉型圧縮機として請求項1記載の密閉型圧
縮機を用いることを特徴とする冷凍装置である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で基油として用いるエステ
ル系油は特に限定されない。具体的には例えば、ペンタ
エリスリトール(PET)、トリメチロールプロパン
(TMP)、ネオペンチルグリコール(NPG)などの
多価アルコールと炭素数6〜10の脂肪酸、好ましくは
炭素数7〜9の脂肪酸、さらに好ましくは炭素数7〜9
の側鎖脂肪酸とからなるエステル系油であり、具体的に
は、平均分子量512、粘度(cSt)(40℃)5
1.8のポリオールエステル系油(α56、ジャパンエ
ナジー社製)、平均分子量668、粘度(cSt)(4
0℃)64.2のポリオールエステル系油(α68、ジ
ャパンエナジー社製)などを挙げることができる。
【0013】エステル系油に対して0.01〜10重量
%のグリシジルエーテルからなるエポキシを添加するこ
とが好ましいが、この範囲未満であるとエポキシの効果
が現れないため、熱化学的安定性が劣る。この範囲を超
えるとエポキシが重合し、スラッジ化して堆積する恐れ
がある。エステル系油に対するエポキシの好ましい添加
範囲は0.1〜2.0重量%である。
【0014】エステル系油に対して0.01〜10重量
%のカルボジイミドを添加することが好ましいが、この
範囲未満であるとカルボジイミドの効果が現れないた
め、熱化学的安定性が劣る。この範囲を超えるとカルボ
ジイミドが重合し、スラッジ化して堆積したり、安定性
を悪くする恐れがある。エステル系油に対するカルボジ
イミドの好ましい添加範囲は0.1〜2.0重量%、さ
らに好ましくは0.05〜0.5重量%の範囲である。
【0015】エステル系油には、長期保存下の酸化劣化
を防止する目的で、添加剤としてフェノール系酸化防止
剤を加えることが好ましく、その量は0.01〜1.0
重量%、さらに好ましくは0.05〜0.3重量%であ
る。酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−パ
ラクレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−フェノール、
2,4,6−トリ−t−ブチル−フェノール等を用いる
ことができる。
【0016】また、エステル系油には、必要に応じてベ
ンゾトリアゾール系の銅不活性化剤を加えることが好ま
しく、その量は1〜100ppm、さらに好ましくは5
〜50ppmである。ベンゾトリアゾール系の銅不活性
化剤としては例えば、具体的には5−メチル−1H−ベ
ンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミノメチルベンゾ
トリアゾール等を用いることができる。
【0017】上記潤滑油組成物に対して本発明の主旨を
逸脱しない範囲において他の公知の添加剤を配合しても
差し支えない。
【0018】尚、エポキシであるグリシジルエーテル
は、ヘキシルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシル
グリシジルエーテル、イソオクタデシルグリシジルエー
テル等の群から選ばれる。
【0019】以下本発明を図1〜3に基づいて説明す
る。図1に、蒸発気化したHFC系冷媒を圧縮して凝縮
器に吐出する本発明の密閉型圧縮機a、同冷媒を凝縮液
化する凝縮器b、同冷媒の圧力を減じるキャピラリチュ
ーブc、液化冷媒を蒸発させる蒸発器dなどを順次冷媒
管でつないで形成した本発明の冷凍装置の冷凍サイクル
の例を示す。
【0020】図2は、本発明の密閉型圧縮機の一例の縦
断面図である。図3は、図2に示した本発明の密閉型圧
縮機のA−A断面図である。図2において、1は密閉容
器で、この容器内には下側に配置された電動機部2と、
上側に配置された往復圧縮部3とが収納されている。往
復圧縮部3と電動機部2とは密閉容器1の内壁に弾性的
に取り付けられている。電動機部2は内部に巻線(後述
する主コイル18と副コイル19からなる)4を鉄芯5
Aに巻回した固定子5と、この固定子の内側に配置され
た回転子6と、この回転子の中央に挿着して軸受7で軸
支される回転軸8とで構成されている。
【0021】往復圧縮部3はシリンダ9と、このシリン
ダ内を回転軸8のクランクピン10に嵌合されて往復運
動するピストン11と、シリンダ9の端面に設けられる
弁座12と、この弁座を介してシリンダ9に取り付けら
れるシリンダヘッド13とで構成されている。弁座12
にはシリンダヘッド13側に吐出ポートを開閉する吐出
弁(図示せず)が取り付けられている。
【0022】密閉容器1内にはHFC系冷媒、例えば、
R134aとR32とR125との3種混合冷媒(R4
07C)あるいはR32とR125との2種混合冷媒
(R410A)などが吸入され、この冷媒と相溶性のあ
る冷凍機油であるペンタエリスリトール(PET)やト
リメチロールプロパン(TMP)あるいはネオペンチル
グリコール(NPG)などの多価アルコールと、脂肪酸
とからなるポリオールエステル系油を基油とし、この基
油に対して0.1〜2.0重量%のトリクレジルフォス
フェート(TCP)からなるリン酸トリエステルや0.
01〜10重量%のグリシジルエーテルからなるエポキ
シあるいは0.01〜10重量%のカルボジイミドが添
加含有されたオイル14が封入されている。
【0023】前記オイル14を使用した本発明の密閉型
圧縮機(レシプロ式圧縮機)において、ピストン11の
往復摺動によってシリンダ9内に流入したHFC系冷媒
はこのシリンダ9内で圧縮され、図示しない吐出弁を開
放して外部冷凍サイクルに吐出される。
【0024】そして、密閉容器1の底部に入れられたオ
イル14は潤滑油カップ15の孔16から潤滑油カップ
内を満たし、潤滑油カップ15の中央部分には、中空の
潤滑油通路17を有する回転軸8があり、回転軸8の高
速回転によって上方開放端にできる渦流による真空現象
によってオイル14が吸い上げられ、ピストン11/シ
リンダ9、回転軸8/軸受7などの各摺動部に循環して
潤滑させるように自己潤滑を行っている。
【0025】図3に、巻線4と鉄芯5Aを備えた固定子
5のB部を拡大して示したように、固定子5の鉄芯5A
と主コイル18の間および鉄芯5Aと副コイル19との
間にはカルボジイミドで被覆したポリエステル(ポリエ
チレンテレフタレート)絶縁フィルム20を介在させて
あり、また主コイル18と副コイル19との間にも同プ
ラステイック絶縁フィルム20を介在させてある。
【0026】カルボジイミドで被覆したポリエステル絶
縁フィルムの製法は特に限定されないが、具体的には例
えば、液状カルボジイミドを使用する場合はスプレーコ
ーテイング法、浸漬法、ロールコーテイング法、はけ塗
り法など、カルボジイミド樹脂を使用する場合は同樹脂
フィルムをドライラミする方法、同樹脂フィルムを押出
ラミする方法あるいは共押出ラミする方法、同樹脂フィ
ルムを接着剤を用いて積層する方法などを挙げることが
できる。ポリエステル絶縁フィルムをカルボジイミドで
被覆する際、ポリエステル絶縁フィルムの片面を被覆し
ても、ポリエステル絶縁フィルムの両面を被覆してもよ
く、またポリエステル絶縁フィルムの片面に被覆したも
のを被覆してない面同志を積層してもいずれでもよい。
【0027】このようにしてカルボジイミドで被覆した
ポリエステル絶縁フィルムを用いることにより、同絶縁
フィルムの劣化を抑えることができるとともに、同絶縁
フィルムから抽出されるなどによりHFC系冷媒中に入
ったカルボジイミド成分はエステル系潤滑油の劣化防止
にも貢献する。
【0028】
【実施例】以下本発明を実施例および比較例により具体
的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるもの
ではない。 (実施例1)本発明の密閉型圧縮機(排除容積7.65
cc)、凝縮機、膨張弁、蒸発器を配管で連結した本発
明の冷凍装置(ベンチスタンド試験装置)を使用し下記
の試験条件で耐久試験を行い、軸受7、回転軸8、シリ
ンダ9、クランクピン10、ピストン11の摺動部の摩
耗度、図示しない吐出弁におけるスラッジ量、オイルの
色相(測定法:JISK2580記載のASTM法によ
る)、密閉容器1の底部に戻ったオイル量、圧縮機の電
動機部2に使用したポリエステル絶縁フィルム20の劣
化を測定した。ポリエステル絶縁フィルムに劣化は生じ
なかった。試験結果を表1に示す。
【0029】表1中の摩耗度の項のAは、摩耗が少なく
新品同様の状態を示し、Bは、摩耗が通常の程度である
ことを示し、ABは、AとBとの中間の摩耗の状態を示
し、Cは、摩耗が激しく実用にならない摩耗の状態を示
す。表1中のスラッジの項のAは、スラッジの発生量が
少ない状態を示し、Bは、スラッジの発生量が通常の程
度であることを示し、ABは、AとBとの中間のスラッ
ジの発生量の状態を示し、Cは、スラッジの発生量が大
く実用にならない状態を示す。
【0030】圧力条件:高圧23.0kg/cm2
G、低圧:1.0kg/cm2 ・G 運転周波数:100HZ、運転時間:200hr、 冷媒:R134a ケース上部温度:110〜120℃ ポリエステル絶縁フィルム:カルコートEフィルム(P
ETフィルムの表面にカルボジイミド樹脂をコーテイン
グしたフィルム。日清紡社製)
【0031】潤滑油組成物(オイル):ポリエーテルエ
ステル系油(SUNICE E−68NTI、日本サン
オイル社製)を基油とし、この基油に対して0.1〜
2.0重量%のトリクレジルフォスフェート(TCP)
と0.01〜10重量%のエポキシとの添加剤(EP)
を添加含有したもの(さらに、基油には0.05〜0.
3重量%の2,6−ジ−t−ブチル−パラクレゾールが
添加されている)(使用前の色相はL0.5)(仕込
量:230cc)。
【0032】(比較例1)オイル中にエポキシを添加し
なかった以外は実施例1と同様に試験した結果を、表1
に示す。
【0033】(比較例2)表面にカルボジイミド樹脂を
コーテイングしていないPETフィルムを用いた以外は
実施例1と同様に試験した結果を、表1に示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1から、実施例1においては各摺動部の
摩耗がなく、スラッジ量が少なく、オイルの色相は仕込
時と変化がなく、戻りオイル量も多いことが判る。それ
に対して比較例1においては各摺動部の摩耗がやや見ら
れ、スラッジ量は実用レベルを超えた。またオイルの色
相は仕込時より悪化した。比較例2においては各摺動部
の摩耗がやや見られ、スラッジ量が多く、PETフィル
ムが劣化した。
【0036】実施例1で使用したカルコートEフィルム
および比較例2で使用したPETフィルム3.1gを実
施例1で使用したエステル系潤滑油50ml(初期水分
量:100ppm)に入れて、175℃、10日間処理
した後の析出物の有無および各フィルムからのオリゴマ
ー抽出量を測定した結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】表2から、表面にカルボジイミド樹脂をコ
ーテイングしたPETフィルム(カルコートEフィル
ム)の場合は、析出物がなく、オリゴマーの抽出量が少
ないことが判る。それに対してPETフィルムは析出物
があり、オリゴマーの抽出量が多い。
【0039】実施例1で使用したカルコートEフィルム
および比較例2で使用したPETフィルム3.1gを実
施例1で使用したエステル系潤滑油50ml(初期水分
量:50ppmおよび100ppm)に入れて、175
℃、10日間処理した後の各潤滑油の全酸価を測定した
結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3から、表面にカルボジイミド樹脂をコ
ーテイングしたPETフィルム(カルコートEフィル
ム)は、エステル系潤滑油の劣化を抑制する効果がある
ことが判る。それに対してPETフィルムの場合はエス
テル系潤滑油のみの場合より、全酸価が高くなった。
【0042】
【発明の効果】この発明の密閉型圧縮機およびそれを用
いた冷凍装置は上記のように構成したことにより、冷凍
機油としてエステル系冷凍機油を用い、HFC系冷媒を
使用した場合でも、密閉型圧縮機の電動要素に使用した
ポリエステル絶縁フィルムや使用したエステル系冷凍機
油が劣化せず、摺動部の摩耗が抑制され、スラッジが冷
凍回路中のキャピラリーチューブに堆積して閉塞する問
題もなく、長期に亘り安定して運転できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の冷凍装置の一例の冷凍回路図であ
る。
【図2】 本発明の密閉型圧縮機の一例の縦断面図であ
る。
【図3】 図2の本発明の密閉型圧縮機のA−A断面図
である。
【符号の説明】
1 密閉容器 2 電動機部 3 往復圧縮部 4 巻線 5A 鉄芯 5 固定子 6 回転子 7 軸受 8 回転軸 9 シリンダ 10 クランクピン 11 ピストン 12 弁座 13 シリンダヘッド 14 オイル 15 潤滑油カップ 16 孔 17 潤滑油通路 18 主コイル 19 副コイル 20 ポリエステル絶縁フィルム

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器内の下側に回転軸を有する電動
    機部と、上側にこの電動機部の回転軸によって駆動され
    る往復圧縮部とを収納し、吸入したHFC系冷媒あるい
    はHFC系冷媒を主体とする冷媒をこの往復圧縮部によ
    り圧縮して前記密閉容器外に吐出するようにした密閉型
    圧縮機であって、冷凍機油としてグリシジルエーテルか
    らなるエポキシあるいはカルボジイミドを添加したエス
    テル系潤滑油を使用し、前記電動機部の固定子の鉄芯と
    主コイルおよび副コイルとの間、および、主コイルと副
    コイルの間に介在させるプラステイック絶縁フィルムと
    してカルボジイミドで被覆したポリエステルフィルムを
    用いることを特徴とする密閉型圧縮機。
  2. 【請求項2】 前記絶縁フィルムがカルボジイミド樹脂
    を積層したポリエステルフィルムであることを特徴とす
    る請求項1記載の密閉型圧縮機。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の冷媒を凝縮液化する凝縮
    器、同冷媒の圧力を調整するキャピラリーチューブ、液
    化冷媒を蒸発させる蒸発器、アキュムレータおよび蒸発
    気化した同冷媒を圧縮して凝縮器に吐出する密閉型圧縮
    機などを備えた冷凍装置であって、前記密閉型圧縮機と
    して請求項1記載の密閉型圧縮機を用いることを特徴と
    する冷凍装置。
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