JP2002030293A - 冷蔵庫用作動媒体および冷蔵庫 - Google Patents

冷蔵庫用作動媒体および冷蔵庫

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JP2002030293A JP2000217242A JP2000217242A JP2002030293A JP 2002030293 A JP2002030293 A JP 2002030293A JP 2000217242 A JP2000217242 A JP 2000217242A JP 2000217242 A JP2000217242 A JP 2000217242A JP 2002030293 A JP2002030293 A JP 2002030293A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】冷媒/油混合液の潤滑性を改善し、冷蔵庫の信
頼性を大幅に向上する冷蔵庫用作動媒体の提供。 【解決手段】イソブタン(A)と、ナフテン系鉱油ある
いはパラフィン系鉱油(1)と、ポリオールエステル
(2)との混合油(B)とを含み、混合油(B)におけ
るポリオールエステル(2)の混合割合が5〜70重量
%であり、かつ、混合油(B)の40℃の粘度が7〜2
5mm2/sである冷蔵庫用作動媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、冷蔵庫用作動媒
体、並びにそれを用いた冷蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫に使用されていたクロロフ
ルオロカーボン(CFC)は、オゾン層保護の観点から
全廃された。
【0003】これらの代替冷媒としては、分子中に塩素
を含まず、オゾン層を破壊しないハイドロフルオロカー
ボン(HFC)系冷媒がある。具体的には、ジクロロジ
フルオロメタン(CFC12)に近い熱力学特性を有す
る1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134
a)が採用されている(特開平10−265790号公
報)。
【0004】しかし、これらHFCはオゾン層破壊には
寄与しないが、地球温暖化防止の観点から、規制が進む
方向にある。欧州では冷蔵庫の代替冷媒には、地球温暖
化係数が小さい炭化水素系冷媒、いわゆる自然冷媒を用
いた冷蔵庫が製品化されている。日本国内でも97年1
2月に開催された地球温暖化防止京都会議(COP3)
において、HFCが温室効果物質に指定された背景もあ
り、冷媒としてイソブタン(R600a)を用いた冷蔵
庫の開発が急速に進んでいる。
【0005】一方、冷蔵庫の冷媒圧縮機に使用され冷凍
機油は、該圧縮機の摺動部の潤滑、密封、冷却等の役割
を果たすものである。
【0006】近年、冷媒圧縮機は省エネルギー化,小型
化,低騒音化,高効率化等が要求され、これに伴って冷
凍機油の使用条件が苛酷化している。このため、圧縮機
の信頼性確保の面から、潤滑性、特に、耐摩耗性に優れ
た冷凍機油が要求されている。
【0007】こうした冷凍機油としては、ナフテン系や
パラフィン系鉱油およびアルキルベンゼンがCFC系冷
媒との相溶性がよく、安価であることから広く用いられ
てきた。
【0008】一方、イソブタンは、上記の冷凍機油との
溶解性が高すぎ、冷媒/油混合液の粘度低下をもたら
し、圧縮機の潤滑不良が懸念される。また、イソブタン
を用いた作動媒体は、分子中に塩素やフッ素を含んでい
るCFC系冷媒と比べ、冷媒自身の潤滑性が期待できな
い。
【0009】これに対し、ポリオールエステルはイソブ
タンとの相溶性に優れ、潤滑性にも優れているが、水分
が入った場合に加水分解し易く、キャピラリーチューブ
の閉塞の原因にもなる。
【0010】冷蔵庫の圧縮機として主流であるレシプロ
式冷媒圧縮機の高効率化を図るために冷凍機油の粘度が
低くなる傾向にあり、さらに潤滑性が低下し、圧縮機の
信頼性が低くなると云った問題がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
に鑑み、冷凍機油としてナフテン系鉱油あるいはパラフ
ィン系鉱油と、ポリオールエステルとの混合油を用いる
ことで、冷媒/油混合液の潤滑性が優れた冷蔵庫用作動
媒体を提供することにある。
【0012】また、本発明の目的は、上記冷蔵庫用作動
媒体を用いて、圧縮機摺動部の摩耗を抑制し、キャピラ
リーチューブの閉塞がない、高信頼性の冷蔵庫を提供す
ることにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の要旨は下記のとおりである。
【0014】〔1〕 イソブタン(A)と、ナフテン系
鉱油あるいはパラフィン系鉱油(1)と、ポリオールエ
ステル(2)との混合油(B)を含み、前記ポリオール
エステル(2)が混合油(B)に対し5〜70重量%含
み、かつ、混合油(B)の40℃の粘度が7mm2/s
以上であることを特徴とする冷蔵庫用作動媒体。
【0015】〔2〕 冷蔵庫用作動媒体を用いた冷媒圧
縮機から吐出された冷媒ガスを凝縮手段、脱水手段、膨
張手段、蒸発手段を介し循環する冷凍サイクルを備えた
冷蔵庫において、前記冷蔵庫用作動媒体がイソブタン
(A)と、ナフテン系鉱油あるいはパラフィン系鉱油
(1)と、ポリオールエステル(2)との混合油(B)
を含み、前記ポリオールエステル(2)の混合油(B)
に対し5〜70重量%含み、かつ混合油(B)の40℃
の粘度が7〜25mm2/sであることを特徴とする冷
蔵庫。
【0016】冷蔵庫用作動媒体の冷媒としてはイソブタ
ンが挙げられる。イソブタンは分子中に塩素を含んでい
るCFC系冷媒と比べ、冷媒自身の潤滑性が期待でき
ず、圧縮機の耐摩耗性を低下させる。
【0017】前記〔1〕に記載の冷蔵庫用作動媒体組成
物を用いることで、冷媒/油混合液の潤滑性を大幅に向
上でき、かつ、熱安定性が優れた冷蔵庫用作動媒体を得
ることができる。
【0018】上記混合油(B)に用いられるポリオール
エステル(2)としては、多価アルコールと1価の脂肪
酸とから合成され、熱安定性に優れるヒンダードタイプ
が好ましい。
【0019】例えば、多価アルコールとしては、ネオペ
ンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエ
リスリトールがある。1価の脂肪酸としては、ペンタン
酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−メチル
ブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−メチルヘキサン
酸、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、3,5,5
−トリメチルヘキサン酸等があり、これらを1種以上用
いることができる。
【0020】特に、冷凍機油の基油として、分子中にエ
ステル結合を少なくとも2ケ有する下式〔1〕,〔2〕
または〔3〕で示される脂肪酸のエステル油から選ばれ
る1種以上が用いられる。
【0021】
【化3】 (R1−CH2)2C(CH2OCO−R2)2 …〔1〕 R1−CH2C(CH2OCO−R2)3 …〔2〕 C(CH2OCO−R2)4 …〔3〕 (式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、
2は炭素数5〜12のアルキル基)。
【0022】本発明の冷蔵庫に用いる混合油の粘度グレ
ードは圧縮機の種類により異なるが、レシプロ式冷媒圧
縮機では40℃における粘度が7〜25mm2/sの範
囲が好ましい。また、混合油におけるポリオールエステ
ル(2)の混合割合は5〜70重量%、特に、5重量%
〜30重量%がより好ましい。
【0023】ポリオールエステルが5重量%未満では充
分な潤滑性が得られず、70重量%を超えると加水分解
に起因する油劣化が進行し、脂肪酸および脂肪酸の金属
石鹸等を生成して、圧縮機の腐食摩耗や冷凍サイクルの
構成要素であるキャピラリーチューブの閉塞現象の要因
となる。なお、本発明では前記作動媒体に酸化防止剤、
酸捕捉剤、消泡剤、金属不活性剤等を添加してもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】〔実施例1,2および比較例1〜
3〕実施例1,2では下記に示す化合物を用いた。
【0025】 冷媒:イソブタン(R600a) 混合油成分1: (A)ナフテン系鉱油 40℃粘度18.9mm2/s (B)パラフィン系鉱油 40℃粘度22.5mm2/s 混合油成分2: (C)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘度22.7mm2/s (トリメチロールプロパン系の分岐鎖混合脂肪酸エステル) 実施例1,2では、冷媒にイソブタンを用い、冷凍機油
には成分1の(A),(B)と、成分2の(C)とを5
0/50(重量比)で配合して冷媒/冷凍機油混合液の
潤滑性を評価した。
【0026】比較例1〜3では、前記(A),(B)の
化合物単独、および、(D)ポリ−α−オレフィン、4
0℃粘度17.6mm2/sと(C)とを50/50(重
量比)に混合した混合油を用いた。
【0027】上記の冷媒と成分1,2を混合した冷凍機
油、あるいは、単独のものを用い、冷媒/冷凍機油混合
液の潤滑性を評価した。冷媒と冷凍機油の混合割合は5
0/50重量%とした。
【0028】これらの評価装置には冷媒共存下において
冷凍機油の潤滑性を評価できる高圧雰囲気摩擦試験機を
用いた。本装置は摩擦部が圧力容器内に存在する。試験
片としては、回転試験片と固定試験片共にねずみ鋳鉄を
用い、その形状は回転試験片が外径20mm×内径10
mm×高さ12mm、固定試験片が外径20mm×内径
10mm×高さ8mmであり、固定試験片の表面には幅
4mm×深さ3mmの油溝が形成されている。
【0029】試験方法は下記のとおりである。まず、圧
力容器内に治具およびロードセルをセットし、トルエン
で十分洗浄(10分×2回)した試験片をセットする。
予め冷媒/冷凍機油混合液量が160mlとなるように
冷媒、冷凍機油を耐圧ガラス容器に採取し、圧力容器を
装置に組み込み真空排気した後、冷媒/冷凍機油混合液
を圧力容器内に導入する。
【0030】試験条件は、始めにならし運転を荷重0.
20kN、回転速度1200min~1で10分間行った。
その後、荷重0.39kN(面圧2.88MPa)、回転
速度1200min~1(すべり速度1.0m/s)、雰囲気
温度は室温とし、摩擦時間は5時間とした。
【0031】測定項目は運転前後の試験片重量、摩擦係
数である。試験の結果を表1に示す。表中の括弧内の数
値は冷凍機油の混合割合(重量%)を示している。ま
た、同じ組み合わせによる加水分解性試験を実施した。
加水分解性の試験方法は次のとおりである。
【0032】冷媒(イソブタン)と冷凍機油を1:1の
重量比で圧力容器に封入し、オートクレーブテストを実
施した。油中の水分を100ppmに調整し、触媒には
銅、鉄、アルミニウムを共存させ、175℃、21日間
加熱後の油を1/10N−KOH水溶液(イソプロパノ
ール溶液)を用いて全酸価を求めた。試験結果を表1に
併記した。
【0033】冷蔵庫用作動媒体においては、潤滑性と熱
安定性の両特性が優れていることが望まれる。実施例で
示した摩耗量の目標値は摩耗量2mg以下、摩擦係数
0.1以下であり、耐加水分解性では全酸価が0.1mg
KOH/gである。以下に実施例の結果を示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1の比較例2で示したパラフィン系鉱油
は、試験の途中で試験片同士が金属接触して融着を起こ
す焼付きを生じており、摩耗量の測定ができなかった。
【0036】一方、比較例1のナフテン系鉱油単独では
試験片の摩耗量が多く、摩擦係数が高いことから潤滑性
が劣る。また、比較例3では、ポリ−α−オレフィンと
ポリオールエステルとの混合油においても摩耗を抑制で
きていない。
【0037】これに対して、実施例1,2から明らかな
ように、本発明の冷蔵庫用作動媒体組成物は、ナフテン
系鉱油およびパラフィン系鉱油にポリオールエステルを
配合することで、試験の途中での焼付きを抑制し、摩耗
量および摩擦係数を大幅に低減できる。また、実施例
1、2は加水分解性試験においても全酸価の増加が小さ
く、潤滑性および熱安定性に優れた冷蔵庫用作動媒体を
得ることができる。
【0038】〔実施例3〜7および比較例4〜6〕実施
例2において潤滑性向上が確かめられた冷蔵庫用作動媒
の混合油の濃度を変えて同様な摩擦試験を行った。ま
た、実施例2で行った加水分解性試験をそれぞれ実施し
た。比較として前記したポリオールエステルCを3重量
%、90重量%および単独のものを用いた。これらの試
験結果を表1に示した。
【0039】表1から明らかなように、ポリオールエス
テルの混合割合が3重量%では試験中に焼付きを発生し
ており、潤滑性が劣る。これに対して、実施例3〜7で
示すように、ポリオールエステルの混合割合が5重量%
以上にすることで、焼付きが抑制され、摩耗量および摩
擦係数を大幅に低減できる。しかし、加水分解性から、
ポリオールエステルの混合割合が70重量%を超えると
全酸価が大幅に増加する。
【0040】上記からポリオールエステルの混合割合を
70重量%以下とすることによって、比較例5,6と比
べ全酸価の増加が少なく、耐加水分解性に優れた冷蔵庫
用作動媒体を得ることができる。また、金属触媒におい
ても変化はみられなかった。
【0041】上記から、ポリオールエステルの混合割合
については、5重量%未満では十分な潤滑性が得られ
ず、70重量%を超えると、加水分解性に起因する油劣
化の進行により5〜70重量%の範囲とするのがよい。
さらに好ましくは混合油の耐加水分解性の観点からは5
〜30重量%配合することがより好ましい。
【0042】〔実施例8〜11および比較例7〕実施例
8〜11では下記に示す化合物を用いた。
【0043】冷媒:イソブタン(R600a) 混合油成分1: (E)パラフィン系鉱油 40℃粘度8.12mm2/s (F)ナフテン系鉱油 40℃粘度12.3mm2/s (G)ナフテン系鉱油 40℃粘度29.4mm2/s 混合油成分2: (H)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃
粘度4.4mm2/s(ネオペンチルグリコール系の分岐
鎖混合脂肪酸エステル) (I)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃
粘度7.0mm2/s(ネオペンチルグリコール系の直鎖
単一脂肪酸エステル) (J)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘
度16.1mm2/s(トリメチロールプロパン系の分岐
鎖混合脂肪酸エステル) (K)ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃粘
度14.9mm2/s(ペンタエリスリトール系の分岐鎖
混合脂肪酸エステル) 実施例8〜11では、冷凍機油である混合油の40℃に
おける粘度を変化させた。比較例7では、40℃におけ
る粘度が7mm2/s未満のものを用い、実施例1,2
と同様な潤滑性の試験と加水分解性試験を行った。但
し、冷媒と冷凍機油の混合割合は10/90(重量比)
とした。表1に実施例8〜11および比較例7の結果を
示す。表中の括弧内は冷凍機油の混合割合(重量%)を
示している。
【0044】比較例7では混合油の粘度が低いため、摺
動面に形成される油膜が薄く、潤滑性が劣る。これに対
して、実施例8〜10に示すように、本発明の冷蔵庫用
作動媒体は、比較例7の潤滑性と比べ、混合油の組み合
わせに関係なく、40℃における混合油の粘度を7mm
2/s以上とすることにより、摩耗量および摩擦係数を
大幅に低減できる。
【0045】また、実施例8〜11は全酸価の増加も少
なく、潤滑性および熱安定性に優れた冷蔵庫用作動媒体
を得ることができる。
【0046】また、実施例9は、直鎖脂肪酸で構成され
るポリオールエステルを混合することで、より優れた潤
滑性を得ることができる。
【0047】ポリオールエステルを配合するに当り、粘
度グレードの異なるものを配合しても潤滑性を向上させ
る効果が得られる。しかし、目的の粘度グレードに調整
する際に、ポリオールエステルの配合割合が決まってし
まう点があるため、任意の割合で配合できる同じ粘度グ
レードのものを配合することが望ましい。
【0048】〔実施例12,13および比較例8〜1
0〕図1は、本実施例の冷蔵庫の一例を示す模式断面
図、図2は冷蔵庫の基本的な冷凍サイクルの構成図であ
る。
【0049】冷蔵庫箱体1内には冷蔵室2、冷凍室3が
あり、両室は壁によって仕切られている。冷蔵庫内を冷
却するための冷凍サイクルは圧縮機4、凝縮器5、脱水
器6、キャピラリーチューブ10、蒸発器7、送風ファ
ン8で構成されている。
【0050】蒸発器7で冷やされた冷気は送風ファン8
により冷凍室3に送られ、その後、図1中矢印のように
ダンパー9を通り、冷蔵室2に送られダンパー9を介し
て再び蒸発器7で冷却される流路となる。次に、図2に
示す冷蔵庫の冷凍サイクルについて説明する。
【0051】圧縮機4は、低温,低圧の冷媒ガスを圧縮
し、高温,高圧の冷媒ガスを吐出して凝縮器5に送る。
凝縮器5に送られた冷媒ガスは、その熱を空気中に放出
しながら高温,高圧の冷媒液となり、脱水器6を介して
キャピラリチューブ10に送られる。
【0052】キャピラリチューブ10を通過する高温,
高圧の冷媒液は、絞り効果により低温,低圧の湿り蒸気
となり蒸発器7へ送られる。蒸発器7に入った冷媒は周
囲から熱を吸収して蒸発し、送風ファン8により箱体内
に冷気を送る。蒸発器7を出た低温,低圧の冷媒ガスは
圧縮機4に吸込まれる。以下、同じサイクルが繰り返さ
れる。
【0053】冷蔵庫用の冷媒圧縮機は、レシプロ、ロー
タリー式等容積形圧縮機が主である。圧縮手段の例とし
てレシプロ式冷媒圧縮機の概略構造を図3に示した。
【0054】一般に、レシプロ式の冷媒圧縮機は密閉容
器11内に圧縮部、モータ12を収納し、密閉容器底部
に冷凍機油13を貯溜している。前記圧縮部を構成する
シリンダ14の内径に、摺動可能なピストン15が嵌合
され、このピストン15はモータ12の回転力を伝え
る。回転軸のクランクシャフト16の偏心回転によりシ
リンダ14内を往復運動し、これによって冷媒ガスを吸
込,圧縮,吐出させる構造となっている。
【0055】圧縮された冷媒ガスは、吐出パイプ17に
より外部冷凍サイクルに吐出される。前記モータ12の
下部に油溜め部が設けられており、この油はクランクシ
ャフト16に設けられた油孔18を通って、圧縮機の各
摺動部の潤滑に供給される。
【0056】実施例12,13では図1に示す冷蔵庫を
用い、本発明の冷蔵庫用作動媒体を封入して恒温室(4
0℃)で2160時間運転する実機試験を行った。
【0057】冷媒にはイソブタンを、混合油の組み合わ
せとしては実施例1,2と同じものを取り上げた。ま
た、比較例9〜11には比較例1〜3と同じ化合物を用
いた。
【0058】冷蔵庫の評価には、レシプロ式圧縮機の摩
耗状態に着眼し、試験前後でのフレーム/シャフト間の
摩耗による隙間増加量を測定した。フレーム/シャフト
間の隙間増加量が増えるほど摩耗量が大きいことを示し
ており、一般に、隙間増加量が増えるに伴い振動や騒音
が大きくなる。さらに、試験油の全酸価を測定した。
【0059】さらにまた、試験後のキャピラリーチュー
ブを開管して付着物の有無を調べた。このキャピラリー
チューブ内の付着物が多量になると閉塞を招き、冷蔵庫
の冷え不良につながる。
【0060】また、実施例11,12の冷蔵庫を用いて
新JIS C 9801(家庭用電気冷蔵庫および電気冷
凍庫の特性および試験方法)により、消費電力量試験を
行い年間消費電力量を算出した。ここでは比較例9の年
間消費電力量を100%として表示した。
【0061】本試験の目標値は、フレーム/シャフト間
の摩耗による隙間増加量が15μm以下、年間消費電力
量が比較例9を100%とした場合に100%未満とな
ること、全酸価0.1mgKOH/g以下であり、さら
に、キャピラリーチューブに付着物が無いこと等を満た
すことを目標とした。実施例および比較例の結果を表2
に示す。表中の括弧内は混合油の重量割合を示す。
【0062】
【表2】
【0063】〔実施例14〜18および比較例11〜1
3〕表2から明らかなように、実施例14〜18で示し
た本発明の冷蔵庫は、比較例11のポリオールエステル
濃度が3重量%とした混合油と比べて、ポリオールエス
テルを5重量%以上配合することにより、フレーム〜シ
ャフト間の隙間増加量を低減でき、かつ、キャピラリー
チューブに付着物も認められない。さらに、比較例9と
比べて、年間消費電力量を低減することができる。
【0064】また、試験終了油の全酸価を測定したが、
これからポリオールエステルの混合割合が70重量%を
超える組み合わせにおいては、表2に併記したように全
酸価が高いことがわかる。
【0065】比較例12,13については、キャピラリ
ーチューブに付着物が確認され、閉塞する傾向が見られ
た。これは全酸価が高いことから、加水分解によりでき
た脂肪酸が金属石鹸を形成したことに起因する。
【0066】これに対し、本発明の冷蔵庫では試験終了
後の全酸価が低く、冷凍サイクルのキャピラリーチュー
ブには付着物も認められなかった。
【0067】また、比較例12,13では、実施例17
と比べてフレーム/シャフト間の隙間増加量が僅かに大
きくなっていることから、全酸価増加による腐食摩耗が
進行したと考えられる。
【0068】上記の理由により、ポリオールエステルの
配合割合は5〜70重量%の範囲内とすることがよい。
さらに、混合油の耐加水分解性の観点から5〜30重量
%の割合で配合することがより好ましい。
【0069】〔実施例19〜22および比較例14,1
5〕実施例19〜22では、冷凍機油である混合油の4
0℃における粘度を変えて、実施例12,13と同様な
冷蔵庫を用い実機試験を行った。
【0070】実施例19〜22では、冷媒としてイソブ
タンを、冷凍機油には実施例8〜11で用いた混合油を
取り上げ、その粘度が7〜25mm2/sの範囲のもの
を用いた。なお、比較例14は、40℃における混合粘
度が7mm2/s未満、比較例15では混合粘度が25
mm2/sを超える下記に示す化合物を用いた。
【0071】混合油成分1: (G)ナフテン系鉱油 40℃粘度29.4mm2/s 混合油成分2: (L) ヒンダードタイプポリオールエステル 40℃
粘度31.4mm2/s(ペンタエリスリトール系の混合
脂肪酸エステル) また、実施例19〜22においても実施例12,13と
同様な手法で年間消費電力量を求めた。ここでは比較例
15と同様な試験を行い、比較例9の年間消費電力量を
100%として表示した。表2に実施例19〜22およ
び比較14,15の結果を示す。表中の括弧内は冷凍機
油の混合割合(重量%)を示す。
【0072】表2に示した実施例19〜22から本発明
の冷蔵庫は、比較例14で示した40℃における粘度が
7mm2/s未満のものと比べて、フレーム/シャフト
間の隙間増加量が少なく、キャピラリーチューブに付着
物も見られず、さらに、比較例9と比べて年間消費電力
量を低減できる冷蔵庫が得られる。
【0073】比較例15で示したように混合油の粘度が
25mm2/sを超える冷蔵庫においては、比較例9と
比べ粘性抵抗増大による圧縮機効率が低下し、年間消費
電力量の増加が見られる。これから40℃における混合
粘度を7〜25mm2/sの範囲とすることで、冷蔵庫
内圧縮機摺動部の摩耗を抑制し、かつ、年間消費電力量
を低減できる冷蔵庫が得られる。また、試験終了油の全
酸価の増加も少なく、キャピラリーチューブに付着物も
見られなかった。
【0074】また、実施例20で示したように、直鎖脂
肪酸で構成されるポリオールエステルを混合すること
で、大幅に冷蔵庫内圧縮機摺動部の摩耗が抑制でき、さ
らに年間消費電力量を低減できる冷蔵庫が得られる。
【0075】混合油に対してポリオールエステルを配合
するに当たり、粘度グレードの異なるものを配合しても
潤滑性を向上させる効果が得られる。しかし、目的の粘
度グレードに調整する際に、ポリオールエステルの配合
割合が決まってしまうため、同じ粘度グレードのものを
配合する方がより好ましい。
【0076】以上の結果から、イソブタン(A)と、ナ
フテン系鉱油あるいはパラフィン系鉱油(1)と、ポリ
オールエステル(2)との混合油(B)とを含む冷蔵庫
用作動媒体は、摺動部の潤滑性を向上し、かつ、熱安定
性が優れることを確認した。
【0077】また、該作動媒体を用いた冷蔵庫において
は、冷蔵庫内圧縮機の摩耗を抑制して、かつ、キャピラ
リーチューブに付着物がないので閉塞を起こさず、年間
消費電力量を低減できることを確認した。
【0078】
【発明の効果】本発明の冷蔵庫用作動媒体は、潤滑性向
上効果を有し、かつ、加水分解を抑制する効果がある。
【0079】また、本発明の冷蔵庫用作動媒体を用いた
冷蔵庫は、冷蔵庫内圧縮機の潤滑不良が抑制され、加水
分解に起因するキャピラリーチューブの閉塞を防止し、
年間消費電力量を低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の冷蔵庫の模式断面図である。
【図2】冷蔵庫の冷凍サイクルの説明図である。
【図3】レシプロ式冷媒圧縮機の模式断面図である。
【符号の説明】
1…箱体、2…冷蔵室、3…冷凍室、4…圧縮機、5…
凝縮器、6…脱水器、7…蒸発器、8…送風ファン、9
…ダンパー、10…キャピラリーチューブ、11…密閉
容器、12…モータ、13…冷凍機油、14…シリン
ダ、15…ピストン、16…クランクシャフト、17…
吐出パイプ、18…油孔。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C10N 20:02 C10N 20:02 30:06 30:06 40:30 40:30 (72)発明者 飯塚 董 栃木県下都賀郡大平町富田800番地 株式 会社日立栃木テクノロジ−内 Fターム(参考) 4H104 BB34A DA02A EA02A LA03 LA20 PA20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソブタン(A)と、ナフテン系鉱油あ
    るいはパラフィン系鉱油(1)と、ポリオールエステル
    (2)との混合油(B)を含み、 前記ポリオールエステル(2)が混合油(B)に対し5
    〜70重量%含み、かつ、混合油(B)の40℃の粘度
    が7mm2/s以上であることを特徴とする冷蔵庫用作
    動媒体。
  2. 【請求項2】 前記ポリオールエステルが式〔1〕,
    〔2〕または〔3〕 【化1】 (R1−CH2)2C(CH2OCO−R2)2 …〔1〕 R1−CH2C(CH2OCO−R2)3 …〔2〕 C(CH2OCO−R2)4 …〔3〕 (式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、
    2は炭素数5〜12のアルキル基)で示される請求項
    1に記載の冷蔵庫用作動媒体。
  3. 【請求項3】 冷蔵庫用作動媒体を用い冷媒圧縮機から
    吐出された冷媒ガスを凝縮、脱水、膨張、蒸発の各手段
    を介して循環する冷凍サイクルを備えた冷蔵庫におい
    て、 前記冷蔵庫用作動媒体がイソブタン(A)と、ナフテン
    系鉱油あるいはパラフィン系鉱油(1)と、ポリオール
    エステル(2)との混合油(B)を含み、 前記ポリオールエステル(2)の混合油(B)に対し5
    〜70重量%含み、かつ混合油(B)の40℃の粘度が
    7〜25mm2/sであることを特徴とする冷蔵庫。
  4. 【請求項4】 前記ポリオールエステルが式〔1〕,
    〔2〕または〔3〕 【化2】 (R1−CH2)2C(CH2OCO−R2)2 …〔1〕 R1−CH2C(CH2OCO−R2)3 …〔2〕 C(CH2OCO−R2)4 …〔3〕 (式中、R1は水素または炭素数1〜3のアルキル基、
    2は炭素数5〜12のアルキル基)で示される請求項
    3に記載の冷蔵庫。
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