JPH10102142A - 表面品質と加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents
表面品質と加工性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法Info
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Abstract
ステンレス鋼を、経済的かつ能率的に製造する。 【解決手段】 連続鋳造−熱間圧延工程において、(1)
連続鋳造速度を 1.2 m/min以上にすること、(2) 連続鋳
造スラブを、その表面温度が 400℃以下に降温する前
に、加熱炉に装入すること、(3) 1200℃以下の温度まで
加熱すること、の3つの要件を満足させる。
Description
り経済的かつ能率的で、しかも表面品質および加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法に関するも
のである。
テンレス鋼製造プロセスにおいては、連鋳スラブは一旦
常温まで冷却されてスラブ手入れが行われ、その後に加
熱炉にて1150〜1250℃の温度に加熱されたのち、熱間圧
延に供されていた。従って、このような連続鋳造−熱間
圧延工程では、多大な熱エネルギーと処理時間を必要と
した。
は、ステンレス鋼のCC−DR(Direct Rolling)またはDHCR
(Direct Hot Charge Rolling) に関する技術として、
「10〜20%Crを含有したフェライト系ステンレス鋼を連
続鋳造した後、直接熱間圧延するか、あるいは 400℃以
下に温度降下せしめることなく保熱もしくは加熱して熱
間圧延するに際し、連続鋳造スラブが(α+γ)域に置
かれる時間が3時間を超えないように保熱あるいは加熱
した後、熱間圧延する」ことからなる加工性の優れたフ
ェライト系ステンレス鋼板の省工程製造法が提案されて
いる。
304 に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼に比べ
て、安価なだけでなく、耐応力腐食割れ性(耐SCC 性)
に優れていることから、多岐にわたって使用されている
が、加工性とくに深絞り性や耐リジング性の点では劣っ
ている。従って、加工性や耐リジング性を向上させるた
めの様々な技術が提案されている。
イト系ステンレス鋼に関して、Al,Ti, Nb, B, Cおよ
びN量を規定すると共に、さらに熱間圧延時の 900℃以
下での圧下率を50%以上、仕上げ圧延温度を 800℃以下
とし、コイル巻き取り温度を600 ℃以上とすることによ
り、プレス成形加工性と表面品質を兼備したフェライト
系ステンレス鋼の製造方法が提案されている。
た従来技術においてはそれぞれ、次に述べるような問題
を残していた。すなわち、特開昭57−152420号公報で
は、成形加工性の指標である平均r値の著しい向上は期
待できず、また、特開平4-99151号公報では、熱間圧延
時に、素材自身の変形抵抗が大きい低温域で圧下しなけ
ればならないため、表面に熱延肌荒れ性欠陥が多発する
という問題があったのである。
2つの目的を同時に達成することができず、その解決が
強く望まれていた。 そこで、本発明は、上記した2つの目的を同時に達成す
ることができるフェライト系ステンレス鋼の新規な製造
方法を提案することを目的とする。
以上含有するフェライト系ステンレス鋼を、連続鋳造−
熱間圧延によって製造するに当たり、連続鋳造速度を
1.2 m/min以上にすると共に、連続鋳造スラブを、その
表面温度が 400℃以下に降温する前に、加熱炉に装入
し、1200℃以下の温度まで加熱後、熱間圧延に供するこ
とを特徴とする、表面品質と加工性に優れたフェライト
系ステンレス鋼の製造方法(第1発明)である。
フェライト系ステンレス鋼が、Cr:11.0wt%以上の他、
Ti, Nb, V, Zr, TaおよびWのうちから選んだ1種また
は2種以上を{4×(C+N)}wt%以上、0.5 wt%以
下の範囲で含有することを特徴とする、表面品質と加工
性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法(第2
発明)である。
実験結果について説明する。実験1 C:0.058 wt%, Si:0.37wt%, Mn:0.46wt%, Cr:1
6.2wt%, S:0.005 wt%, P:0.026 wt%およびN:
0.031 wt%を含み、残部は実質的にFeの組成になるSUS4
30を溶製し、厚さ:200 mm、幅:1260mmの連鋳モールド
に連続鋳造した。この時、連鋳速度は 1.3 m/minとし
た。ついで、得られた連鋳スラブを、種々の温度まで冷
却した後、熱間圧延用加熱炉に装入した。この時、加熱
温度を種々に変化させ、熱延時のスラブ抽出温度を変化
させた。また、加熱炉内でのスラブ均熱時間は2時間以
内とした。上記加熱処理の後、3段からなる粗圧延機と
7段よりなる連続式仕上げ圧延機を用いて、板厚:4mm
まで熱間圧延を行った。得られた熱延板を再結晶焼鈍
後、酸洗により表面の酸化スケールを除去した後の、焼
鈍・酸洗板の表面品質について調査した結果を、図1に
示す。
熱炉への装入温度が、スラブ表面温度で 400℃以上でか
つ、熱延時のスラブ加熱温度が1200℃以下の場合には、
ヘゲ状欠陥や肌荒れ欠陥が全くない、表面品質に優れた
熱延板が得られた。これに対し、装入温度が 400℃未満
かまたはスラブ加熱温度が1200℃より高い場合には、ヘ
ゲ状欠陥が生じ、熱延板の表面品質が悪化することが判
明した。
たところ、スラブ加熱時に、スラブ表面で局所的な異常
酸化が生じることに起因するものであることが判明し
た。すなわち、連鋳スラブに生成したスケールは 400℃
以下に冷却されると熱応力によりクラックを発生し、そ
の後の熱延加熱時に局所的に異常酸化が生じるものと考
えられる。また、熱延加熱温度が1200℃を超えると、た
とえスケールにクラックが生じていない状態でも、酸化
が著しく促進されて局所的な異常酸化が生じ易くなるも
のと考えられる。従って、本発明では、加熱炉へのスラ
ブ装入温度はスラブ表面温度で 400℃以上で、かつ加熱
温度は1200℃以下の範囲に限定したのである。なお、加
熱温度が1050℃より低くなると熱延温度が低下し、結果
的に肌荒れが発生し易くなるので、加熱温度は1050℃以
上とすることが好ましい。
6.4wt%, S:0.003 wt%, P:0.029 wt%, N:0.008
wt%およびTi:0.17wt%を含み、残部は実質的にFeの
組成になるSUS430LXを溶製し、厚さ:200 mm、幅:1260
mmの連鋳モールドにて連続鋳造した。この時、連鋳速度
は 1.3 m/minとした。ついで、得られた連鋳スラブを、
表面温度が 500〜600 ℃のとき、加熱炉に装入し、加熱
炉の温度を種々に変化させてスラブを加熱してから、加
熱炉から抽出し、その後、3段からなる粗圧延機と7段
よりなる連続式仕上げ圧延機により板厚:4mmまで熱間
圧延を行った。得られた熱延板を、930 ℃で連続焼鈍
し、酸洗後、冷間圧延により 0.7mmの板厚に仕上げたの
ち、910 ℃での連続焼鈍−酸洗処理により、2B仕上げ
の冷延・焼鈍板とした。
プルのr値を測定し、平均化した値を示す。同図から明
らかなように、平均r値を高くし、加工性を改善する上
でも、熱延時のスラブ加熱温度を1200℃以下にすること
が有効であることが判る。
/minから 1.4 m/minまで変化させ、熱延時の加熱温度は
1170℃一定として製造した冷延・焼鈍板の平均r値につ
いて調べた結果を、図3に示す。同図から明らかなよう
に、平均r値は、連鋳時の鋳込み速度が 1.2 m/min以上
になると著しく向上することが判る。従って、本発明で
は、連鋳時の鋳込み速度は 1.2 m/min以上で、かつ熱延
時のスラブ加熱温度は1200℃以下に限定したのである。
このように、鋳込み速度を 1.2 m/min以上にすることに
より、r値が向上する理由は、鋳造組織が微細化あるい
は柱状晶率が低下したことにより、熱延・焼鈍後の組織
が均一化したことによるものであると思われる。
ス鋼としては、特に限定されることはなく、Crを11.0wt
%以上含有するものであればいずれもが適合する。ま
た、加工性や溶接性を向上させることを目的として添加
される、Ti, Nb, V, Zr, TaおよびW等の元素について
は、単独使用または併用いずれの場合においても、含有
量は{4×(C+N)}wt%以上、0.5 wt%以下とする
必要がある。というのは、含有量が{4×(C+N)}
wt%に満たないと加工性や溶接性の改善効果が十分には
認められず、一方0.5 wt%を超えると生成する炭窒化物
が粗大化し易くなり、靱性の低下や耐孔食性の低下が生
じやすくなるという不利が生じるからである。
VOD脱ガス後、短辺が 200mm、長辺が1260mmの鋳型で
連続鋳造を行った。得られた連鋳スラブを、熱間圧延の
ための加熱炉に装入し、表2に示す種々の温度に加熱し
た後、3段からなる粗圧延機と7段よりなる連続式仕上
げ圧延機で仕上げ圧延を行い、板厚:4mmの熱延板とし
た。この時の仕上げ圧延温度(FDT)は 820〜860 ℃とし
た。また一部のスラブについては、従来、冷延・焼鈍板
の加工性が向上するとされている低FDT( 750℃, 74
0 ℃)とした。ついで、得られた熱延板に、再結晶焼鈍
ついでショットブラストおよび酸洗を施したのち、冷間
圧延により板厚:0.7 mmとし、再結晶焼鈍−酸洗後、表
面仕上げが2Dの冷延・焼鈍板を作製した。このように
して得られた製品板の、(1) 熱延−焼鈍−ショットブラ
スト・酸洗後の鋼板表面品質および(2) 冷延・焼鈍板の
平均r値について調べた結果を、表2に併記する。
造した場合には、表面品質および加工性に優れたフェラ
イト系ステンレス鋼を得ることができた。これに対し、
本発明の構成要件が1つでも欠けた場合には、両者を同
時に満足させることはできなかった。また、従来、加工
性の面で良好とされた低FDTでは、表面品質の著しい
劣化を招いた。
ェライト系ステンレス鋼の製造に際して、(1) 連続鋳造
時における鋳造速度、(2) 連鋳後、加熱炉へスラブを装
入する時のスラブ表面温度および(3) 熱延時の加熱温度
を、それぞれ適正化することにより、DHCR(CC−DR)化
を利用して表面品質および加工性に優れたフェライト系
ステンレス鋼を安定して得ることができる。
熱炉装入温度およびスラブ加熱温度の影響を示したグラ
フである。
ラフである。
係を示したグラフである。
Claims (2)
- 【請求項1】 Crを11.0wt%以上含有するフェライト系
ステンレス鋼を、連続鋳造−熱間圧延によって製造する
に当たり、 連続鋳造速度を 1.2 m/min以上にすると共に、連続鋳造
スラブを、その表面温度が 400℃以下に降温する前に、
加熱炉に装入し、1200℃以下の温度まで加熱後、熱間圧
延に供することを特徴とする、表面品質と加工性に優れ
たフェライト系ステンレス鋼の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1において、フェライト系ステン
レス鋼が、Cr:11.0wt%以上の他、Ti, Nb, V, Zr, Ta
およびWのうちから選んだ1種または2種以上を{4×
(C+N)}wt%以上、0.5 wt%以下の範囲で含有する
ことを特徴とする、表面品質と加工性に優れたフェライ
ト系ステンレス鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25967696A JP3728828B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 表面品質と深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25967696A JP3728828B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 表面品質と深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10102142A true JPH10102142A (ja) | 1998-04-21 |
JP3728828B2 JP3728828B2 (ja) | 2005-12-21 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25967696A Expired - Fee Related JP3728828B2 (ja) | 1996-09-30 | 1996-09-30 | 表面品質と深絞り性に優れたフェライト系ステンレス鋼の製造方法 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3728828B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017508067A (ja) * | 2013-12-24 | 2017-03-23 | ポスコPosco | 成形性及び耐リッジング性が向上したフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
WO2019045188A1 (ko) * | 2017-08-31 | 2019-03-07 | 주식회사 포스코 | 방열성 및 가공성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
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1996
- 1996-09-30 JP JP25967696A patent/JP3728828B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017508067A (ja) * | 2013-12-24 | 2017-03-23 | ポスコPosco | 成形性及び耐リッジング性が向上したフェライト系ステンレス鋼及びその製造方法 |
WO2019045188A1 (ko) * | 2017-08-31 | 2019-03-07 | 주식회사 포스코 | 방열성 및 가공성이 향상된 페라이트계 스테인리스강 및 이의 제조 방법 |
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JP3728828B2 (ja) | 2005-12-21 |
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