JPH0995631A - 可剥離性塗料組成物 - Google Patents

可剥離性塗料組成物

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JPH0995631A
JPH0995631A JP6532696A JP6532696A JPH0995631A JP H0995631 A JPH0995631 A JP H0995631A JP 6532696 A JP6532696 A JP 6532696A JP 6532696 A JP6532696 A JP 6532696A JP H0995631 A JPH0995631 A JP H0995631A
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JP
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emulsion
ethylenically unsaturated
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resin
peelable
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Application number
JP6532696A
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English (en)
Inventor
Toshiyuki Kitamura
俊行 北村
Senjiyu Kanazawa
泉樹 金沢
Hiroyuki Takanashi
裕幸 高梨
Osamu Kaji
修 梶
Tatsuya Noiri
達也 野杁
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Koatsu Gas Kogyo Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
Original Assignee
Koatsu Gas Kogyo Co Ltd
Nihon Parkerizing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境上好ましい水系で、良好な塗装性を示す
と共に、形成される塗膜が良好な塗面保護性と共に良好
な剥離性を示す可剥離性塗料組成物の提供。 【解決手段】 各特定量の、(a)カルボキシル基また
はアセトアセチル基を有するエチレン性不飽和化合物、
および(b)上記成分(a)以外のエチレン性不飽和化
合物(b)、および、必要に応じ、(c)カルボキシル
基またはアセトアセチル基と反応し得る官能基を有する
エチレン性不飽和化合物またはエチレン性不飽和結合を
分子内に2個以上有する化合物を水中で乳化共重合させ
て得られる樹脂エマルションであって、かつ該樹脂エマ
ルションから形成される塗膜のガラス転移温度が−20
〜+20℃の範囲にある樹脂エマルション、および該樹
脂エマルション中で多価金属イオンを形成する特定量の
多価金属化合物からなる可剥離性塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は可剥離性塗料組成物
に関する。さらに詳しくは、本発明は、乗用車、オート
バイ等の乗り物、農業機械、建設機械等の機械類、およ
びこれらの部品等の塗装面を、一時的に保護する目的で
塗布する、可剥離性塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、新車の輸送や保管時に起こる自動
車外板等の塗膜の汚染および損傷を防止するための塗面
保護剤としては、ワックス類を脂肪族炭化水素系溶剤に
分散させたワックスタイプのもの、水溶性アクリル樹脂
タイプのもの、およびポリオレフィン系フィルムタイプ
のものが使用されている。しかしながら、ワックスタイ
プおよび水溶性アクリル樹脂タイプのものは、酸性雨、
鉄錆分および鳥糞等からの保護能力が十分でない。また
ワックスタイプのものは、除去時に大量のケロシン等の
溶剤を使用するので、環境上好ましくない。また水溶性
アクリル樹脂タイプのものは、除去時に大量のアルカリ
洗浄剤を使用するために、除去設備の投資、排水処理等
の問題がある。一方、ポリオレフィン系フィルムタイプ
のものは、塗面保護性は良好であり、剥離作業も容易で
あるが、材料として高価であり、手作業でのフィルム貼
り付け作業に工数が掛かるという問題点がある。また形
状追従性が劣るので、フィルムに皺が寄りやすくなり、
長期屋外放置後、塗面にその皺の跡が残るという問題点
もある。
【0003】以上の状況から、スプレー、ローラー、刷
毛等で容易に塗布でき、塗面保護性も良好で、剥離も容
易な保護剤として、可剥離性塗料組成物の開発が行われ
ている。従来、この種の可剥離性塗料組成物は特公昭4
9−8690号公報、特開昭57−179号公報、特開
昭60−161465号公報、特開平3−259966
号公報および特開平4−310271号公報で提案され
ているものの、種々の欠点を有している。例えば、可剥
離性の一時保護塗膜の耐薬品性、耐候性が劣るために、
被塗装表面を完全保護できないという問題、塗装後の屋
外暴露で被塗装塗面と可剥離性塗料組成物塗膜との付着
強度が増大し、剥離性が極端に低下するという問題等が
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の抱える問題点を解決するためになされたもので、環
境上好ましい水系で、良好な塗装性を示すと共に、形成
される塗膜が良好な塗面保護性および良好な剥離性を示
す可剥離性塗料組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するための手段について鋭意研究を重ねた結果、
自動車外板等に用いられる硬化型のクリヤー塗料、メタ
リック塗料またはソリッドカラー塗料が塗布された被塗
物に、通常アクリル樹脂を主体とする樹脂のエマルショ
ンに特定の成分を配合した組成物を塗装して得られる塗
膜が、可剥離性保護塗膜として適していることを見出し
た。通常のアクリル樹脂エマルション組成物を、可剥離
性保護塗料として、塗装された自動車外板被塗物に塗装
して得られた塗膜は、長期屋外暴露での加熱、光照射、
水湿潤−乾燥を繰り返し行うと、被塗物との付着強度が
増大し、剥離不能になる現象が起こる。本発明者らは、
通常アクリル樹脂を主体とする樹脂のエマルションに、
該樹脂エマルション中で多価金属イオンを形成し得る多
価金属化合物を配合することにより、長期屋外暴露での
被塗物への付着強度の増大のない、良好な剥離性と塗面
保護性とを合せ持つ塗膜を与えることを見出し、本発明
を完成した。
【0006】すなわち、本発明は、 (1)下記成分(a)および(b)の合計量に対して、
(a)カルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物
およびアセトアセチル基を有するエチレン性不飽和化合
物から選ばれる少なくとも1種0〜5重量%、および
(b)上記成分(a)以外のエチレン性不飽和化合物の
少なくとも2種95〜100重量%を水中で乳化共重合
せしめて得られる樹脂エマルションであって、かつそれ
から形成される塗膜のガラス転移温度が−20〜+20
℃の範囲にある樹脂エマルション、および該エマルショ
ン中で多価金属イオンを形成する多価金属化合物からな
る可剥離性塗料組成物であって、該多価金属化合物の含
有量が該樹脂エマルション中の樹脂100gに対して
0.01〜1.20モルである可剥離性塗料組成物に関
する。
【0007】本発明者らは、また、上記可剥離性塗料組
成物を形成する該樹脂エマルションの乳化重合時に、カ
ルボキシル基および/またはアセトアセチル基と反応し
得る官能基を有するエチレン性不飽和化合物、およびエ
チレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する化合物か
ら選ばれる少なくとも1種(これを成分(c)とする)
を共重合させる場合には、温度変化による塗膜物性の変
化が小さく、冬季、夏季を通じて優れた剥離性および塗
面保護性とが維持されることを見出した。かくして、本
発明はまた、 (2)該樹脂エマルションが、下記成分(c) (c)カルボキシル基および/またはアセトアセチル基
と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和化合物、
およびエチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する
化合物から選ばれる少なくとも1種を成分(a)および
(b)の合計量に対して1〜5重量%乳化共重合せしめ
て得られる樹脂エマルションである上記(1)の可剥離
性塗料組成物に関する。本発明者らは、さらに、上記樹
脂エマルション中で多価金属イオンを形成する多価金属
化合物が該樹脂エマルション中でカルシウムイオンを形
成するカルシウム化合物である場合には、可剥離性塗料
組成物の乾燥過程での塗膜形成性が良好であり、得られ
た塗膜は引っ張り強度が大きく、優れた剥離性と塗面保
護性とを合せ持つことを見出した。かくして、本発明は
また、 (3)該多価金属化合物が該樹脂エマルション中でカル
シウムイオンを形成するカルシウム化合物である上記
(1)または(2)の可剥離性塗料組成物に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳説する。本発明
において用いられる成分(a)中、カルボキシル基を有
するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、クロトン酸等が挙げられる。アセトアセチル基を有
するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリ
ル酸アセトアセトキシエチルを例示することができる。
好ましくはアクリル酸およびメタクリル酸であり、さら
に好ましくはメタクリル酸である。
【0009】本発明において用いられる成分(b)とし
ては、アクリル樹脂エマルションの合成に通常用いられ
るエチレン性不飽和化合物であれば化合物の構造は特定
されない。例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メ
タ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルカノールとのエ
ステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)
アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等を使用する
ことができる。成分(b)は、これらの2成分以上から
構成される。この成分(b)は、25℃の水100重量
部への溶解度が5重量部以下のエチレン性不飽和化合物
の2種以上からなり、各々のエチレン性不飽和化合物の
25℃の水への溶解度が2重量部以上とするのが好まし
い。
【0010】上記成分(a)の配合量は成分(a)およ
び(b)の合計量に対して0〜5重量%であることが必
要であり、0〜3重量%が好ましい。成分(a)の配合
量が5重量%を越えると、得られる塗膜の耐水性が不足
して降雨後の塗膜剥離に困難を来したり、長期屋外暴露
後の塗膜の付着力が増大してで塗膜剥離に困難を来した
りする。なお、上記成分(b)の配合量は成分(a)の
残量であり、95〜100重量%となる。成分(b)は
2成分以上よりなるが、成分(b)同士の使用比率は、
本発明の可剥離性塗料組成物を塗布、乾燥して得られる
塗膜のガラス転移温度が規定された範囲、すなわち−2
0〜+20℃の範囲に入る限り、特に制限されない。
【0011】また、本発明において用いられる、該樹脂
エマルション中で多価金属イオンを形成する多価金属化
合物としては、アルカリ土類金属(バリウム、カルシウ
ム、マグネシウム、ベリリウム、ストロンチウム等)、
亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ビスマス、鉄、ニッ
ケル、ジルコニウム等の多価金属の酸化物、水酸化物お
よび塩(炭酸塩、重炭酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩
等)であって、該樹脂エマルション中で多価金属イオン
を形成し得るものが挙げられ、具体的には、アルカリ土
類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、塩化
物、硫酸塩等、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基
性炭酸塩、塩化物、硫酸塩等、カドミウムの酸化物、硫
酸塩等、アルミニウムの酸化物(酸可溶性のもの)、水
酸化物、塩化物、硫酸塩等、ビスマスの塩基性炭酸塩、
塩基性硝酸塩、塩化物等、鉄の酸化物(酸可溶性のも
の)、水酸化物、塩化物、硫酸塩等、ニッケルの酸化
物、硫酸塩、ジルコニウムの酸化物、水酸化物、塩化
物、硫酸塩等が挙げられる。これらは単独で使用しても
組み合わせて使用してもよい。
【0012】かかる多価金属化合物の配合量は、樹脂エ
マルション中の樹脂100gに対して0.01〜0.2
0モル、好ましくは0.03〜0.15モルである。多
価金属化合物の配合量が0.01モル未満の場合、長期
屋外暴露後に塗膜の付着強度が増大し、塗膜剥離に困難
を来す。0.20モルを越える場合、耐水性が不足し、
降雨後の塗膜剥離に困難を来したりする。本発明の目的
に使用する多価金属化合物の作用については、保護塗膜
の長期屋外暴露で、水分、光、熱等によるアクリル樹脂
等の加水分解によって生成するカルボキシル基、および
保護塗膜中に元来存在するカルボキシル基またはアセト
アセチル基と多価金属イオンが結合して、付着に機能す
るカルボキシル基やアセトアセチル基の作用を抑制し、
保護塗膜の被塗物への付着力増大を防止すると考えられ
る。
【0013】多価金属イオンの樹脂中のカルボキシル基
への作用は、特公昭47−15597号公報に記載され
ているように、新しい艶出し剤の適用の間に以前に適用
した艶出し剤が再分散するのを抑制防止するのに利用さ
れている。この公報で開示の組成物は、重合体の1〜1
2重量%の、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和
化合物を含むエチレン性不飽和化合物の付加重合体と重
合体の1〜50重量%の多価金属化合物を含む水性組成
物である。新しい艶出し剤を施す際に、以前に適用した
艶出し剤の再分散を抑制し、しかも以前に適用した艶出
し剤をアンモニアで除去できる程度に組成物のカルボキ
シル基と多価金属イオンとをイオン的に交叉結合させる
ものである。多価金属イオンとして、ベリリウム、カド
ミウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、バリウム、
ストロンチウム、アルミニウム、ビスマス、アンチモ
ン、鉛、コバルト、鉄、ニッケル等が例示され、水への
溶解度が1重量%以上の多価金属化合物が好ましいと記
載されている。以上のごとく、本発明における多価金属
化合物を使用する目的および作用は、上記の多価金属化
合物の使用目的、作用とは明確に異なるものである。
【0014】次に本発明の可剥離性塗料組成物に使用す
る樹脂エマルションの製造方法について説明する。該樹
脂エマルションは、通常の乳化重合により製造できる。
一例を挙げると、界面活性剤、保護コロイド剤および重
合調整剤を水に予め溶解しておき、これに不活性ガス雰
囲気中でモノマー成分(a)および(b)を徐々に加え
ながら、均一に分散させる。この分散物を温度50〜8
0℃に加熱した後、重合開始剤を徐々に加えながら、上
記温度内で2〜10時間、乳化重合した後、冷却し、好
ましくは、pHを7〜9に調整する。反応終了後、樹脂
エマルションをさらに安定化させるため界面活性剤およ
び/または保護コロイド剤を適宜添加してもよい。本発
明においては、樹脂エマルション中の不揮発分は、40
〜60重量%であることが好ましいので、用いる水の量
はそれに見合った量とするのが好ましい。
【0015】この乳化重合に用いる界面活性剤として
は、エチレン性不飽和化合物の乳化重合に通常使用され
る、ノニオン性、アニオン性または両性イオン性の界面
活性剤を用いることができる。ノニオン性界面活性剤と
しては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル
(アルキルは通常C12〜18)、ポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテル(アルキルは通常C8または
C9)、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリ
オキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル、ソルビ
タン高級脂肪酸エステル等が挙げられる。アニオン性界
面活性剤としては、例えばアルキル(通常C11〜1
5)ベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル(通常C
12〜18)硫酸ナトリウム、アルキル(通常C4程
度)ナフタレンスルホン酸ナトリウム等が、両性イオン
性界面活性剤としては、例えばC8〜18アルキルアミ
ンとモノクロル酢酸ナトリウムまたはクロルアルキルス
ルホン酸ナトリウムとの反応により得られる両性イオン
性界面活性剤等が挙げられる。
【0016】保護コロイド剤としては、例えば、ポリビ
ニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシエチル
セルロース、カゼイン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリ
ウム、カゼイン酸アンモニウム、ポリアクリル酸アンモ
ニウム、アラビアガム等が挙げられる。重合調整剤とし
ては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−
ドデシルメルカプタン等が挙げられる。不活性ガスとし
ては通常窒素が用いられる。重合開始剤としては、過硫
酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、ベンゾ
イルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパ
ーオキサイド等が挙げられる。また必要に応じ、重合促
進剤として、重亜硫酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリ
ウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ホ
ルムアルデヒドスルホン酸ナトリウム等を使用してもよ
い。乳化重合に際し使用するこれらの添加剤の使用量
は、エチレン性不飽和化合物の乳化重合に際し通常使用
される量、例えば後述の可剥離性塗料組成物の製造例に
示す程度の量でよい。重合後、好ましくは、通常pHを
7〜9に、水酸化ナトリウム、アンモニア水等で調整す
る。
【0017】本発明においては、成分(a)および
(b)を、上記のように、水中で乳化共重合させて得ら
れるエマルションより得られる塗膜(乾燥後の塗膜)の
ガラス転移温度は、−20〜+20℃の範囲にある必要
があり、−10〜+15℃の範囲にあることが好まし
い。ガラス転移温度が−20℃未満の場合、特に夏季
に、保護塗膜にゴミが付着しやすくなったり、用済み後
の剥離作業時に、塗膜が過剰に伸びて、塗膜剥離に困難
を来したりする。ガラス転移温度が+20℃を越える場
合、塗膜形成が困難になったり、特に冬季、剥離作業時
に、塗膜が割れやすく、塗膜剥離に困難を来したりす
る。この対策に可塑剤を配合してガラス転移温度を調整
すると、被塗物を汚染したり、長期屋外暴露後に塗膜の
付着強度が増大して塗膜剥離に困難を来す。該ガラス転
移温度の調整は、成分(a)および(b)、および任意
成分(c)、特に主成分として2種以上使用する成分
(b)の種類、使用量等を適宜調整することにより行う
ことができる。また、ガラス転移温度は粘弾性スペクト
ロメーターにより測定することができる。
【0018】また、上記のごとき乳化共重合によって得
られる共重合体樹脂の分子量については、特に制限はな
いが、例えば、スチレン樹脂またはアクリル酸エステル
樹脂を標準物質として用いるゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーで測定した場合、5〜100万であるこ
とが好ましく、10〜100万であることがより好まし
い。
【0019】本発明の可剥離性塗料組成物について、エ
チレン性不飽和化合物の乳化重合時に、共重合成分とし
て、必要に応じて、使用する成分(c)のうち、カルボ
キシル基および/またはアセトアセチル基と反応し得る
官能基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例え
ば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)ア
クリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリ
シジル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアク
リルアミド等の分子内にヒドロキシ基、エポキシ基等の
カルボキシル基および/またはアセトアセチル基と反応
し得る官能基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げら
れる。また、成分(c)のうち、エチレン性不飽和結合
を分子内に2個以上有するエチレン性不飽和化合物とし
ては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼ
ン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,
3−ブチングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4
−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキ
サンジオールジ(メタ)アクリレート等を挙げることが
できる。なお、成分(c)自体はカルボキシル基もアセ
トアセチル基も有さないものとする。
【0020】成分(c)の配合量は、上記成分(a)お
よび(b)の合計量に対して、1〜5重量%であり、好
ましくは2〜5重量%である。1重量%以下では、温度
変化による塗膜物性の変化が大きく、冬季、夏季を通じ
て優れた剥離性および塗面保護性とを合せ持つことはで
きなくなる恐れがある。また配合量が5重量%を越える
と、得られる塗膜が硬くなり、連続皮膜の形成が難しく
なる。
【0021】また、本発明の可剥離性塗料組成物に配合
する、該樹脂エマルション中で多価金属イオンを形成す
る多価金属化合物として特に好ましいものである、カル
シウムイオンを形成するカルシウム化合物としては、カ
ルシウムの酸化物、水酸化物、酸性塩および中性塩が挙
げられるが、水や弱アルカリ水への溶解度が1重量%以
下のカルシウム化合物、例えば炭酸カルシウム、水酸化
カルシウムが好ましい。さらに好ましくは炭酸カルシウ
ムである。水や弱アルカリ水への溶解度が1重量%以下
のカルシウム化合物は、可剥離性塗料組成物中に溶解し
ているカルシウムイオンが樹脂エマルション中の樹脂の
カルボキシル基と過剰に結合することがなく、可剥離性
塗料組成物の乾燥過程で、樹脂粒子が緻密に融合して、
引っ張り強度の優れた塗膜が形成されやすくなる。ま
た、カルボキシル基のカルシウム塩は、水中でカルボキ
シル基のイオンに解離するのが小さいため、長期屋外暴
露での水湿潤−乾燥や熱環境でのカルボキシル基の付着
機能を制限すると推定される。この結果、被塗物への保
護塗膜の付着強度の増大を抑制するものと考えられる。
【0022】一般の水性塗料で、樹脂エマルションに炭
酸カルシウムが多量配合されている場合があるが、この
炭酸カルシウムの配合目的は増量剤としてであり、樹脂
との反応作用を期待するものではない。したがって、本
発明のカルシウム化合物を使用する目的およびカルシウ
ム化合物の作用は上記の場合と明確に異なる。
【0023】なお、本発明の可剥離性塗料組成物には、
必要に応じて、増粘剤、剥離助剤、紫外線吸収剤、光安
定剤、隠蔽顔料、着色顔料、分散剤、湿潤剤、消泡剤、
防腐・防かび剤等を配合することができる。上記多価金
属化合物も含め、これらの配合剤は、使用する場合、通
常、樹脂エマルションの作製後に添加する。
【0024】以上のごとくして得られる本発明の可剥離
性塗料組成物が適用される被塗物としては、自動車、オ
ートバイ等の乗り物、農業機械、建設機械等の機械類、
およびこれらの部品等が挙げられ、これらの輸送や保管
時にその塗装表面や素材表面を一時的に保護する目的
で、本発明の可剥離性塗料組成物を塗布する。例えば、
自動車、オートバイ等の乗り物、農業機械、建設機械等
の機械類、およびこれらの部品等を屋外ストックヤード
で保管する間や、鉄道、車両等で陸上輸送したり、船舶
により海上輸送する間に起こる、塗膜や素材表面の損
傷、大気中の浮遊物や沈殿物、例えば鉄錆粉、鳥糞、花
粉、煤煙、砂塵などによる汚れ等を防止するために塗布
する。そして、用済み後にこの保護塗膜を剥離除去し
て、被塗物を実用に供する。
【0025】本発明の可剥離性塗料組成物は、刷毛、ロ
ーラー、スプレー塗装等により被塗物に塗布後、通常、
40〜80℃で2〜20分乾燥して造膜させることによ
り保護塗膜を形成させる。この際の膜厚としては、目的
を達成し得る限り特に制限ないが、乾燥後の膜厚として
50μm以上が好ましい。また、膜厚の上限は特にない
が、通常300μm程度までで十分である。
【0026】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例と比較例とを挙
げて具体的に説明する。 [可剥離性塗料組成物の製造例]成分(a)としてメタ
クリル酸を表1で示す量使用し、成分(b)として、メ
タクリル酸メチル25〜55重量部、n−ブチルアクリ
レート12〜35重量部、エチルアクリレート10〜3
5重量部(ただし、成分(a)および成分(b)の合計
量が100重量部になるものとする)、および成分
(c)としてジビニルベンゼンを表1に示す量の範囲で
使用して、可剥離性塗膜(乾燥後)のガラス転移温度が
表1に示す値になるように調整し、アニオン性界面活性
剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2重量
部、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンア
ルキルフェニルエーテル3重量部、重合開始剤として過
酸化アンモニウム0.5重量部、および得られるエマル
ションの樹脂固形分が50重量%になる量の水を混合し
て、65℃で4時間、通常の方法により乳化重合し、4
0℃に冷却後アンモニア水でpH7〜8に調整して、樹
脂固形分50重量%のアクリル樹脂エマルションを製造
した。
【0027】ついで、該樹脂エマルション200重量部
(樹脂固形分100重量部)に、表1に示すモル量の多
価金属化合物、隠蔽塗料として酸化チタン12重量部、
紫外線吸収剤(商品名チヌビン1130:日本チバガイ
ギー社製)2重量部、光安定剤(商品名チヌビン29
2:日本チバガイギー社製)1.2重量部、および着色
塗料としてカーボンブラック0.2重量部を均一に混合
し、表1に示す実施例用可剥離性塗料組成物または比較
例用塗料組成物を得た。
【0028】[剥離性試験例] 試験板の作成 皮膜重量2g/m2のリン酸亜鉛処理した冷延鋼板(厚
み0.8mm×幅70mm×長さ150mm)にカチオ
ン型電着塗料を電着塗装し、ついで自動車外板用アクリ
ルメラミン系の青色塗料、ポリエステル系白色塗料また
はバンパー用ウレタン系黒色塗料を塗装し、3種類の試
験被塗板とした。上記製造例で製造した塗料組成物を、
バーコーターにより、乾燥膜厚が100μmになるよう
に試験被塗板に塗布し、塗布後80℃で10分間乾燥し
て試験片とした。
【0029】試験の内容 (1)5℃での剥離性試験 試験片温度5℃でピール剥離強度(引っ張り速度:50
mm/分:試験幅25mm)を測定して剥離性を調べ
た。 (2)40℃での剥離性試験 試験片温度40℃でピール剥離強度(引っ張り速度:5
0mm/分:試験幅25mm)を測定して剥離性を調べ
た。 (3)沖縄夏季暴露による耐候性試験 試験片を、沖縄で夏季3か月間(6月〜9月)屋外にさ
らすことにより耐候性試験を行った後、試験片温度22
℃でピール剥離強度(引っ張り速度:50mm/分:試
験幅25mm)を測定して剥離性を調べた。 (4)耐水性試験 試験片を、乾燥した後約20℃に放冷し、20℃の水中
に20時間浸漬する。取り出して直後の塗膜外観を観察
し、剥離性試験に準じて直ちに剥離性を調べた。
【0030】試験結果 試験結果を表2に示す。表2における剥離性評価の基準
は以下の通りである。 ◎:抵抗なく剥離可能(ピール剥離強度 1N/cm未
満) ○:剥離しやすい(ピール剥離強度 1〜3N/cm) △:剥離するが、膜切れしたり、剥離抵抗が大きい(ピ
ール剥離強度3N/cm)を越える) ×:全く剥離せず また、表2に示す耐水性試験結果の外観評価の基準は以
下の通りである。 ◎:外観の変化なし ○:わずかに小ブリスターが発生 △:小ブリスターが全面に発生 ×:塗膜の軟化が著しく、ブリスター、塗膜の浮きが発
生 なお、実施例の可剥離性塗料組成物による塗膜の剥離後
の被塗物塗面は該塗料組成物塗布前と同様の美麗な外観
を保持していた。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】本発明の可剥離性塗料組成物は、環境上
好ましい水系で、良好な塗工性を示すと共に、形成され
る塗膜は良好な下地塗膜等の表面保護性および良好な用
済み後の剥離性を示す。すなわち、形成された塗膜は、
長期屋外暴露後であっても、除去剤等を使用せずに、手
作業により容易に剥離除去でき、さらに剥離除去後の被
塗物表面は、可剥離性塗料組成物塗布前と同様の美麗な
外観と塗膜性能を保持している。
フロントページの続き (72)発明者 高梨 裕幸 東京都中央区日本橋一丁目15番1号 日本 パーカライジング株式会社内 (72)発明者 梶 修 千葉県佐倉市石川620−1 高圧ガス工業 株式会社東京研究所内 (72)発明者 野杁 達也 千葉県佐倉市石川620−1 高圧ガス工業 株式会社東京研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記成分(a)および(b)の合計量に
    対して、(a)カルボキシル基を有するエチレン性不飽
    和化合物およびアセトアセチル基を有するエチレン性不
    飽和化合物から選ばれる少なくとも1種0〜5重量%、
    および(b)上記成分(a)以外のエチレン性不飽和化
    合物の少なくとも2種95〜100重量%を水中で乳化
    共重合せしめて得られる樹脂エマルションであって、か
    つそれから形成される塗膜のガラス転移温度が−20〜
    +20℃の範囲にある樹脂エマルション、および該エマ
    ルション中で多価金属イオンを形成する多価金属化合物
    からなる可剥離性塗料組成物であって、該多価金属化合
    物の含有量が該樹脂エマルション中の樹脂100gに対
    して0.01〜1.20モルである可剥離性塗料組成
    物。
  2. 【請求項2】 該樹脂エマルションが、下記成分(c) (c)カルボキシル基および/またはアセトアセチル基
    と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和化合物、
    およびエチレン性不飽和結合を分子内に2個以上有する
    化合物から選ばれる少なくとも1種を成分(a)および
    (b)の合計量に対して1〜5重量%乳化共重合せしめ
    て得られる樹脂エマルションである請求項1記載の可剥
    離性塗料組成物。
  3. 【請求項3】 該多価金属化合物が該樹脂エマルション
    中でカルシウムイオンを形成するカルシウム化合物であ
    る請求項1または請求項2記載の可剥離性塗料組成物。
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