JPH111640A - 剥離性水性被覆組成物及びこれを用いた自動車外板塗膜の一時保護方法 - Google Patents

剥離性水性被覆組成物及びこれを用いた自動車外板塗膜の一時保護方法

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JPH111640A
JPH111640A JP17124997A JP17124997A JPH111640A JP H111640 A JPH111640 A JP H111640A JP 17124997 A JP17124997 A JP 17124997A JP 17124997 A JP17124997 A JP 17124997A JP H111640 A JPH111640 A JP H111640A
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coating
film
meth
composition
acrylic copolymer
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JP17124997A
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English (en)
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Seiji Kashiwada
清治 柏田
Nobumitsu Oi
与三 大井
Hiromi Harakawa
浩美 原川
Kenya Suzuki
研哉 鈴木
Hiroaki Komine
宏明 小峯
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Kansai Paint Co Ltd
Original Assignee
Kansai Paint Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 自動車外板塗膜との接着力が被膜温度によっ
て大きく変化することなく、長時間経過後も容易に剥離
可能な被膜を形成しうる剥離性水性被覆組成物および該
組成物を用いる自動車外板塗膜の一時保護方法の提供。 【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステルを必須とし
これに必要に応じて(メタ)アクリロニトリルを除く他
の重合性不飽和モノマーを加えたモノマー混合物を共重
合して得られるガラス転移温度0〜50℃のアクリル共
重合体エマルション(A)、及び(メタ)アクリル酸エ
ステルを必須としこれに必要に応じて(メタ)アクリロ
ニトリルを除く他の重合性不飽和モノマーを加えたモノ
マー混合物を共重合して得られるガラス転移温度−50
〜10℃のアクリル共重合体エマルション(B)を必須
として含み、且つ該(A)と(B)のガラス転移温度の
差が少なくとも10℃以上であることを特徴とする剥離
性水性被覆組成物、および該組成物を自動車外板に塗装
された上塗り硬化塗膜の表面に塗布することを特徴とす
る自動車外板塗膜の一時保護方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車外板塗膜や
その他塗装された物品の表面を一時的に保護するのに有
用な剥離性水性被覆組成物、及び該組成物を用いる自動
車外板塗膜の一時保護方法に関する。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】自動車、
車両、機械部品及び家庭用品などの金属製品、木工製
品、ガラス製品、プラスチック製品及びゴム製品などの
表面を塗装せしめた製品の塗膜を一時的に保護すること
は一般に行われている。
【0003】例えば、これらの塗装製品が完成してから
需要家にわたるまでに、屋外ストックヤードでの保管中
や自送、鉄道、トレーラー、船舶などによる輸送中に、
他の物体との接触による塗膜のスリキズ、大気中の砂
塵、鉄粉、塩類、煤煙、鳥糞、昆虫の体液や死骸などや
太陽光線、風雨(特に酸性雨)などによるキズ、シミ、
変色、汚染など発生し、その商品価値が低下するので、
それを防止するために、塗装製品が完成してから需要家
にわたるまでの期間一時的に保護する。従来、このよう
な塗装製品を一時保護するために下記〜のように種
々の方法が行われているが、いずれも十分でなかった。
【0004】 ワックス類の脂肪族炭化水素系溶剤分
散液を塗装する。該方法では塗布した一時被膜を除去す
るのに、洗浄剤を炭化水素系溶剤や水に分散したエマル
ションが使用されているが、例えば自動車にこれを適用
すると、ドア内部やヒンジ部などに塗布されている防錆
剤や防錆ワックスなども同時に除去され、さらに塗膜が
これらの溶剤によって膨張したり、火気危険性や排水処
理などの環境上の課題も有している。 ワックスに固体粉末を混合しワックス被膜の強度を
低下させて、保護被膜を手拭きで容易に除去可能なワッ
クス−固体粉末有機溶剤型分散液を塗装する。これは、
一時保護性が劣り、手で触れると容易に脱落し、しかも
酸性雨に汚染されやすい。 水性一時保護剤としてアルカリ溶解型アクリル樹脂
を主成分とするエマルションを用いる(例えば、米国特
許第5428095号明細書)。これはアクリル酸やメ
タクリル酸などのカルボキシル基含有モノマーが多量に
含まれているために、剥離が困難でアルカリ水溶液で除
去することが行われ、多大な工数を必要とし、しかも排
水処理などにも課題がある。 さらに水性一時保護剤として(メタ)アクリロニト
リルを含むアクリル樹脂エマルションを用いることが知
られており(例えば、特開昭60−161465号、特
開平3−259966号公報)、このものは被膜強度、
剥離性などには優れているが、(メタ)アクリロニトリ
ルを含むために、剥離被膜の廃棄処理が困難である。即
ち該被膜を地中に埋めると水質汚染の可能性があり、焼
却するとシアン化水素ガスが発生して大気を汚染する恐
れがある。 水性保護剤として酢酸ビニルエマルションを主成分
とする塗料を用いることも知られている(例えば、米国
特許第5143949号明細書)が、耐酸性や耐水性等
が十分でない。
【0005】またこれらの一時保護剤を車両塗膜面に塗
布し保護膜を形成する方法として、例えば特開平7−8
0397号、特開平7−80398号、特開平7−80
399号などに示される方法が採用できる。これらの方
法によれば車両塗膜面を水洗しその洗浄水を水切りして
から一時保護剤を塗布し乾燥させて保護膜を形成する、
あるいは自動車の製造工程のボディの塗装工程後、組立
工程前にボディの塗膜面に一時保護剤を塗布し乾燥させ
て保護膜を形成するものである。しかしながらこれらの
方法で上記例示の一時保護剤を用いると、該一時保護剤
の塗布工程で垂れが発生したり、乾燥時に保護膜にワレ
状の塗面異常が発生したり、また得られる保護膜の強度
や伸びの温度依存性が大きいなどの問題があった。
【0006】このように、一時保護剤を用いる場合に
は、下記イ)〜ト)の特性を有する組成物を用いること
が重要である。
【0007】イ)保護すべき塗膜に対して適度な接着性
を有し、その接着性が被膜温度や経時によって大きく変
化せず、剥離する際は塗膜を傷つけることなく人手又は
高圧水流で1枚の連続したシートとして容易に剥離でき
る。 ロ)スプレー塗装、又はローラー、刷毛塗装ができる。 ハ)酸性雨、鉄粉などによるシミ、汚染の防止及び物の
接触、チッピングによる傷付きの防止などの保護機能に
優れる。 ニ)被膜が適度な弾性、強度、伸びおよび耐久性を有
し、且つ該強度、伸びなどの特性が被膜温度に影響を受
けにくい。即ち屋外で剥離する場合に、夏場の高温期で
は被膜が伸びすぎて剥離できない。また冬場の低温期で
は伸びが著しく低下して被膜が割れるためシート状に剥
離できない、などの不具合が生じにくい。 ホ)屋外保管に必要な耐水性、耐候性、熱安定性を有し
ている。 ヘ)保護すべき塗膜を膨潤させたり、または変形、変
色、シミ、ボケなどの塗面異常を起こさせるような溶
剤、可塑剤、分散剤などの添加剤を含まない。 ト)剥離された被膜は破棄されるものであることから、
埋立て又は焼却されても、人体、環境に有害となるよう
な成分を一切含まない。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記〜
の問題点を解決し、且つ前記イ)〜ト)の特性を有す
る剥離性水性一時保護被覆組成物を開発するため鋭意検
討した結果、特定のガラス転移温度差を有する2種以上
のアクリル共重合体のエマルションを含有する剥離性水
性被覆組成物を用いると、得られる保護被膜はその接着
力が被膜温度によって大きく変化することなく、長時間
経過後も容易に剥離でき、且つ剥離後の埋立て又は焼却
処分においても環境上の問題を全く有せず、一時保護を
なし得ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、異なるガラス転移温度を
有するアクリル共重合体のエマルションを少なくとも2
種以上含有する剥離性水性被覆組成物であって、該アク
リル共重合体エマルションとして、(メタ)アクリル酸
エステルを必須としこれに必要に応じて(メタ)アクリ
ロニトリルを除く他の重合性不飽和モノマーを加えたモ
ノマー混合物を共重合して得られるガラス転移温度0〜
50℃のアクリル共重合体エマルション(A)、及び
(メタ)アクリル酸エステルを必須としこれに必要に応
じて(メタ)アクリロニトリルを除く他の重合性不飽和
モノマーを加えたモノマー混合物を共重合して得られる
ガラス転移温度−50〜10℃のアクリル共重合体エマ
ルション(B)を必須として含み、且つ該(A)と
(B)のガラス転移温度の差が少なくとも10℃以上で
あることを特徴とする剥離性水性被覆組成物、及びこれ
を自動車外板に塗装された上塗り硬化塗膜の表面に塗布
する自動車外板塗膜の一時保護方法を提供するものであ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の組成物および方法
について説明する。
【0011】本発明組成物は、被膜形成成分として、異
なるガラス転移温度を有するアクリル共重合体のエマル
ションを少なくとも2種以上含有するものであり、該ア
クリル共重合体エマルションとして、(メタ)アクリル
酸エステルを必須としこれに必要に応じて(メタ)アク
リロニトリルを除く他の重合性不飽和モノマーを加えた
モノマー混合物を共重合して得られるガラス転移温度0
〜50℃のアクリル共重合体エマルション(A)、及び
(メタ)アクリル酸エステルを必須としこれに必要に応
じて(メタ)アクリロニトリルを除く他の重合性不飽和
モノマーを加えたモノマー混合物を共重合して得られる
ガラス転移温度−50〜10℃のアクリル共重合体エマ
ルション(B)の2種を少なくとも必須とするものであ
る。
【0012】本発明で言うところのアクリル共重合体の
ガラス転移温度(Tg)は、JISK 7121に準じ
て、示差走査熱量測定(DSC)により求められる値で
ある。
【0013】上記エマルション(A)のアクリル共重合
体は、ガラス転移温度(TgA)が0〜50℃、好まし
くは20〜40℃の範囲を有する。該TgAが0℃未満
であると、得られる被膜の粘着性が増大し被膜強度も低
下するため、経時における剥離性が低下し、一方50℃
を越えると造膜性に支障をきたし被膜強度も低下するの
で好ましくない。また上記エマルション(B)のアクリ
ル共重合体は、ガラス転移温度(TgB)が−50〜1
0℃、好ましくは−15〜5℃の範囲を有する。該Tg
Bが−50℃未満であると、得られる被膜の粘着性が増
大し被膜強度も低下するため、経時における剥離性が低
下し、一方10℃を越えると、造膜性に支障をきたし、
特に低温環境下(0℃以下)で塗布した場合に、得られ
る被膜がヒビ割れ状となり連続被膜が得られなくなるの
で好ましくない。
【0014】本発明では、上記TgAとTgBの差ΔT
gが少なくとも10℃以上、好ましくは20℃以上、さ
らに好ましくは30℃以上であることが必須である。該
ΔTgが10℃未満では、屋外での剥離性が環境温度に
大きく依存し、夏場の高温期では密着性が高く且つ被膜
が伸びすぎて剥離できない、一方冬場の低温期では被膜
の伸びが著しく低下して被膜が割れシート状に剥離でき
なくなるので好ましくない。
【0015】またエマルション(A)及び(B)を含む
被膜形成成分となる混合エマルション中の共重合体混合
物全体のみかけのガラス転移温度は、各共重合成分であ
るモノマーのホモポリマーのガラス転移温度を用いて下
記式から算出することができ、かかる全体のみかけのガ
ラス転移温度が0〜20℃、好ましくは5〜20℃の範
囲内であることが望ましい。
【0016】 1/Tg′=W1 /T1 +W2 /T2 + … +Wn /Tn {式中、Tg′は共重合体混合物全体のみかけのガラス
転移温度(絶対温度)、W1 ,W2 ,…,Wn は各モノ
マーの重量分率、T1 ,T2 ,…,Tn は各ホモポリマ
ーのガラス転移温度(絶対温度)}
【0017】上記エマルション(A)及び(B)のアク
リル共重合体は、夫々、重量平均分子量が20,000
以上、好ましくは50,000〜200,000の範囲
内であることが望ましい。該重量平均分子量が20,0
00未満では、被膜強度が低下し、剥離性が低下するの
で望ましくない。
【0018】上記アクリル共重合体の製造に使用される
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリ
レート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)
アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボ
ルニル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸
の炭素数1〜24個のアルキル又はシクロアルキルエス
テル;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メ
タ)アクリル酸の炭素数2〜8個のヒドロキシアルキル
エステルなどが挙げられる。
【0019】他の重合性不飽和モノマーとしては、上記
(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリロニト
リル以外であって、例えば、スチレン、ビニルトルエ
ン、メチルスチレン、クロルスチレン、N−ビニルピロ
リドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピ
オン酸ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルイソブ
チルエーテル、メチルビニルエーテル、2−エチルヘキ
シルビニルエーテル;((メタ)アクリル酸、マレイン
酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレートな
どのカルボキシル基含有モノマー、2−アクリルアミド
−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、
スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタク
リレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩などの
スルホン酸基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、
ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどの
アミド基含有モノマー、ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとアミ
ン類との付加物など;ポリオキシエチレン鎖を有する
(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリ
レート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
トなどの多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸
エステル;1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン
ジ(メタ)アクリレートなどの多塩基酸の重合性不飽和
アルコールエステル;ジビニルベンゼン、アリル(メ
タ)アクリレートなどが挙げられ、これらは所望の性能
に応じて適宜使用される。
【0020】アクリル共重合体エマルション(A)及び
(B)において、(メタ)アクリル酸エステルと他の重
合性不飽和モノマーとの混合比率は、夫々、該当ガラス
転移温度範囲になるようにする以外は特に制限なく、該
両成分の合計量に基づいて、(メタ)アクリル酸エステ
ルを1〜100重量%、好ましくは50〜99.8重量
%、他の重合性不飽和モノマーを99〜0重量%、好ま
しくは50〜0.02重量%とするのが適当である。他
の重合性不飽和モノマーとして水溶性モノマーを用いた
場合には、得られる被膜の耐水性の面からこの使用量を
10重量%以下に抑えることが好ましく、特にカルボキ
シル基含有モノマー及びアミド基含有モノマーの場合
は、量が多くなると、保護すべき塗膜との密着性が高
く、被膜の剥離が困難となるため0.5重量%未満が好
ましい。
【0021】上記アクリル共重合体エマルション(A)
及び(B)は、公知の方法にて得ることができる。例え
ば乳化剤の存在下で、上記モノマー成分を乳化重合させ
ることで容易に得られる。乳化剤としては、アニオン性
界面活性剤、ノニオン性界面活性剤などが挙げられ、該
乳化剤の1種又は2種以上の存在下で重合開始剤を使用
して乳化重合することができる。乳化重合以外にも公知
の懸濁重合などを採用してもよい。
【0022】本発明では、上記の通り得られる非架橋型
の2種のアクリル共重合体エマルション(A)及び
(B)を、被膜形成成分として用いることができるが、
さらに該アクリル共重合体エマルション(A)及び
(B)のいずれか一方又は両方に、モノマー成分として
カルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和モノマーを
モノマー混合物中0.1〜30重量%含有せしめたモノ
マー混合物を共重合してなるヒドラジド化合物などと架
橋可能なアクリル共重合体エマルションを用いることが
できる。これを用いると得られる被膜が強度が強く適度
な伸びを有し、且つ強度や伸びの温度依存性が小さいと
いう特徴を付与できる。
【0023】該カルボニル基含有α,β−エチレン性不
飽和モノマーとしては、例えばアクロレイン、ダイアセ
トンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、
ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニ
ルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニル
エチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられる。
このうち特にダイアセトンアクリルアミド、ダイアセト
ンメタクリルアミドが好適である。
【0024】カルボニル基を有する架橋可能なアクリル
共重合体エマルションとする場合には、前記他の重合性
不飽和モノマーの1つとしてカルボニル基含有α,β−
エチレン性不飽和モノマーを用いれば良く、その際の各
モノマーの混合比率は、該当ガラス転移温度範囲になる
ようにする以外は特に制限なく、例えばカルボニル基含
有α,β−エチレン性不飽和単量体を0.1〜30重量
%、好ましくは0.5〜10重量%、(メタ)アクリル
酸エステルを99.9〜70重量%、好ましくは99.
5〜90重量%、及び他の重合性不飽和モノマーを0〜
20重量%、好ましくは0〜5重量%とするのが適当で
あり、これらを、上述の非架橋型の場合と同様に乳化剤
の存在下で乳化重合させることにより容易にカルボニル
基を有する架橋可能なアクリル共重合体エマルションが
得られる。
【0025】上記の通りアクリル共重合体エマルション
(A)及び(B)のいずれか一方又は両方がカルボニル
基を導入せしめた架橋可能なタイプである場合には、該
エマルションに架橋剤としてヒドラジド化合物を含有さ
せることができる。該ヒドラジド化合物としては、1分
子中少なくとも2個のヒドラジド基を有するものであ
り、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジ
ド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、
アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなど
の2〜18個の炭素原子を有する飽和脂肪族カルボン酸
ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒ
ドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィ
ン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;炭酸ジヒドラ
ジド、ビスセミカルバジド、ポリイソシアネート化合物
とポリオキシエチレン鎖等の親水性基含有活性水素化合
物との反応物にヒドラジド誘導体を反応させてなる水系
セミカルバジド化合物(特開平8−151358号参
照);フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸ジヒド
ラジド、ならびにピロメリット酸のジヒドラジド、トリ
ヒドラジド又はテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸ト
リヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−
ベンゼントリヒドラジト;エチレンジアミンテトラ酢酸
テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラ
ヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有す
る低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラ
ジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド(特
公昭52−22878号参照)、その他にカルボヒドラ
ジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボエチル)−5−
イソプロピルヒダントインなどが挙げられる。
【0026】上記ヒドラジド化合物は、疎水性が強すぎ
ると水分散化が困難となり、均一な架橋塗膜が得られな
いことから適度な親水性を有する比較的低分子量(30
0以下程度)の化合物を使用することが好適であり、上
記例示中では、例えば、アジピン酸ジヒドラジド、セバ
シン酸ジヒドラジドなどのジカルボン酸のジヒドラジド
が好適である。
【0027】上記ヒドラジド化合物の添加量は、前記カ
ルボニル基を含有するアクリル共重合体エマルション
(A)、(B)成分中のカルボニル基1モルに対し、ヒ
ドラジド基の量が0.02〜3.0当量、好ましくは
0.1〜2.0当量となる量が適当である。
【0028】本発明組成物の被膜形成成分には、上記の
通り異なるガラス転移温度を有する前記アクリル共重合
体エマルション(A)及び(B)の少なくとも2種を混
合したものが使用され、該(A)及び(B)は夫々、一
方又は両方が非架橋型及び架橋型のいずれであってもよ
く、また(A)及び(B)とも、各ガラス転移温度範囲
に入る非架橋型及び架橋型のものを併用して含むもので
あってもよい。その使用比は、アクリル共重合体エマル
ション(A)及び(B)を、固形分重量比で(A)/
(B)=95/5〜5/95、好ましくは65〜35〜
35/65の割合で混合することができる。
【0029】さらに必要に応じて、これらに該(A)及
び(B)とは異なったガラス転移温度を有するアクリル
共重合体のエマルションや、従来塗料分野で使用されて
いる酢酸ビニルエマルション、エチレン−酢酸ビニルエ
マルションなどを配合したものを被覆形成成分として使
用してもよい。
【0030】本発明組成物には、さらに剥離助剤(C)
を配合することができる。該剥離助剤(C)を併用する
と、得られる被膜が保護すべき塗膜面に適度な密着性を
有し剥離する際は該塗膜を傷付けることなく完全に剥離
できる機能を格別顕著に長期間(3〜5倍)維持するこ
とが可能となる。
【0031】かかる剥離助剤としては、ワックス系、シ
リコーン系、フッ素系などから選ばれる少なくとも1種
以上の化合物が好適に使用できる。これらは水に溶解、
もしくは分散化されたもの、もしくは粉末状のいずれの
ものであっても使用できる。
【0032】ワックス系としては、具体的には植物系;
キャンデリワックス、カルナバワックス、ライスワック
ス、木ろう、ホホバ油など、動物系;みつろう、ラノリ
ン、鯨ろうなど、鉱物系;モンタンワックス、オゾケラ
イト、セレシンなど、石油系;パラフィンワックス、マ
イクロクリスタリンワックス、ペトロラタムなど、合成
炭化水素系;フィッシャー・トロブシュワックス、酸化
ポリエチレンワックス、ポリエチレンワックス、アクリ
ル−エチレン共重合体ワックスなど、変性ワックス系;
モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、
マイクロクリスタリンワックス誘導体など、水素系ワッ
クス;硬化ひまし油、硬化ひまし油誘導体など、その
他;12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミ
ド、無水フタル酸イミド、ビスアマイド、アマイド、グ
リセリンエステル、ソルビタンエステル、高級アルコー
ル(C12以上、好ましくはC16以上)、高級脂肪酸(C
12以上、好ましくはC16以上)などが挙げられる。
【0033】これらのワックス系は、融点約15〜25
0℃、好ましくは約20〜180℃の範囲を有するもの
が望ましい。融点が上記範囲をはずれると被膜の耐水
性、耐酸性などが低下する恐れがある。
【0034】シリコーン系化合物としては、シロキサン
結合を主骨格とするシリコーンオイル、シリコーン粉
末、シリコーンエマルション、シリコーン水溶性樹脂な
どが使用できる。具体的にはジメチルポリシロキン系、
メチルフェニルポリシロキン系、環状ジメチルポリシロ
キン系、フロロポリシロキン系、変性(アミノ、エポキ
シ、ポリエーテル、アルコール、フッ素、メルカプト、
カルボキシル、アルキル高級脂肪酸)、例えば商品名
(トーレ・シリコーン社製)でSH203、BY16−
828、SF8411、SF8418、BY16−83
8、SF8422、BY16−848、SH3771、
SH3746、SF8419、FS1265の如きシリ
コーンオイル;R900、R901、R902、F10
0、F101、F200、F201、F202、F20
3、F400、F300、F301、F250、E50
0、E501、E600、E601、E602、E60
3、E850の如きシリコーン粉末;SH204、SH
490、SH7024、SH7028、SH7035、
SH7060の如きシリコーンエマルション;SH37
46、SH3749、SH3771の如きシリコーン水
溶性樹脂などが挙げられる。上記シリコーン粉末として
は通常約0.1〜100μm、好ましくは約5〜50μ
mの平均粒子径を有することができる。
【0035】中でも、水に対して難溶性であり、且つ少
量の界面活性剤により容易に水分散体になり得て、被膜
の下層部にも十分配向して、保護すべき塗膜との界面に
生じる経時による密着性の増大を緩和する機能に優れる
ものとして、下記一般式で表される分子量1,000〜
20,000のポリエーテル変性シリコーンオイルが最
適である。
【0036】
【化1】
【0037】(式中、mおよびnは正の整数を示し、P
OAはエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド変
性による、ポリエーテル部分を示す。)
【0038】また、フッ素系化合物としては、分子中に
フルオロアルキル基を含有する分子量1,000〜2
0,000のものが好ましい。具体的にはパーフロロア
ルキルカルボン酸塩、パーフロロアルキルリン酸エステ
ル、パーフロロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パ
ーフロロアルキルペンタノン、パーフロロアルキルEO
付加物などが挙げられる。また商品名(旭硝子社製)と
してサーフロンS−111、同左S−112、同左S−
113、同左S−121、同左S−131、同左S−1
32、同左S−142、同左S−145、同左S−13
1S、同左S−145Sなどが挙げられる。
【0039】これらの剥離助剤の中で、ワックス系及び
シリコーン化合物を用いると耐水性及び耐酸性に優れた
被膜が得られやすいという利点がある。
【0040】剥離助剤(C)の使用割合は、通常、組成
物中の樹脂固形分100重量部に対してワックスの場合
には約0.5〜10重量部、好ましくは約1〜5重量
部、シリコーン化合物の場合には約0.01〜10重量
部、好ましくは約0.1〜5重量部、フッ素系化合物の
場合には約0.01〜5重量部、好ましくは約0.01
〜3重量部が好ましい。
【0041】本発明組成物には、さらに必要に応じて紫
外線吸収剤及び/又は光安定剤よりなる耐候性助剤
(D)や顔料(E)、特にチタン白を含有することがで
きる。
【0042】該紫外線吸収剤及び/又は光安定剤よりな
る耐候性助剤(D)の使用目的は、数ケ月以上屋外で放
置されると光劣化により被膜の伸びが低下したり、光酸
化により自動車外板塗膜に被膜が接着し剥離性が低下
し、そのため剥離の際、チギレ易く多大な剥離工数が必
要となる場合があり、このような被膜の光劣化等を防
ぎ、長期にわたる保護の後の良好な剥離性を得ることで
ある。該紫外線吸収剤及び光安定剤は、夫々単独でまた
は併用して用いることができる。
【0043】紫外線吸収剤としては従来から公知のもの
が使用できる。このものの具体例としてはフェニルサリ
シレート、p−オクチルフェニルサリシレート、4−t
ert−ブチルフェニルサリシレートなどのサリチル酸
誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′−ジ
ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロ
キシ−4−メトキシ−2′−カルボキシベンゾフェノ
ン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾ
フェノントリヒドレート、2,2′−ジヒドロキシ−
4,4′−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4
−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,
2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ−5−スル
ホベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロ
キシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキ
シベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾ
フェノン、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4−
ジベンゾイルレゾルシノール、4,6−ジベンゾイルレ
ゾルシノール、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、
2,2′−ジヒドロキシ−4(3−メタクリルオキシ−
2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベン
ゾフェノン系;2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチル
フェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾー
ル系及びその他(シュウ酸アニリド、シアノアクリレー
トなど)の化合物などが挙げられる。
【0044】光安定剤としては従来から公知のものが使
用できる。主としてヒンダードアミン誘導体であるが、
具体的にはビス−(2,2′,6,6′−テトラメチル
−4−ピペリジニル)セバテート、4−ベンゾイルオキ
シ−2,2′,6,6′−テトラメチルピペリジンなど
が好適である。
【0045】耐候性助剤(D)の配合量は目的に応じて
任意に選択できるが、組成物中の樹脂固形分100重量
部に対して、紫外線吸収剤が0.1〜10重量部、好ま
しくは0.5〜5重量部、光安定剤が0.1〜5重量
部、好ましくは0.3〜3重量部が適当である。
【0046】顔料(E)の使用目的は、顔料、特にチタ
ン白を水分散体とした上で本発明の組成物に配合するこ
とにより、白色化された被膜が得られ、白色化すること
により、紫外線、熱などに対するバリヤー効果を高め、
経時の剥離性を向上させることにある。また該チタン白
を配合することにより、被膜に発生する収縮応力を緩和
でき、このことは、特に冬期、雨や雪により被膜が吸水
した状態で低温に晒されると大きな応力が被膜に発生
し、塗布された被膜の端面に浮きや剥がれが生じて強風
などで自然に被膜が剥離する不具合を防止するので有効
である。
【0047】顔料(E)としては、チタン白、カーボン
ブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリ
ーンなどの着色顔料、タルク、炭酸カルシウム、シリ
カ、硫酸バリウム、クレー、マイカなどの体質顔料が挙
げられ、これらは単独でまたは2種以上併用して用いる
ことができる。これらのうち特にチタン白が好適であ
る。
【0048】顔料(E)の配合量は、組成物中の樹脂固
形分100重量部に対して3〜50重量部、好ましくは
10〜30重量部である。3重量部未満では、紫外線、
熱などに対するバリヤー効果が小さく、応力緩和能も極
めて小さい。又、50重量部を越えて配合すると、被膜
の伸びが低下し、剥離する際にチギレ易くなり、また被
膜の吸水性が高まり、雨などにあうと被膜にフクレが発
生し易くなるので好ましくない。
【0049】本発明組成物は、例えば前記アクリル共重
合体エマルション(A)及び(B)に、必要に応じて剥
離助剤(C)、耐候性助剤(D)、顔料(E)を予め水
性エマルションとした上で配合する。該(C)〜(E)
成分の水性エマルション化には機械的分散、乳化剤によ
る分散などの方法が実施できる。本発明組成物には、さ
らに必要に応じて公知の塗面調整剤、消泡剤、増粘剤な
どが配合できる。
【0050】本発明は、また、上記の通り得られる剥離
性水性被覆組成物を自動車外板に塗布された上塗り硬化
塗膜の表面に塗布して該硬化塗膜を一時保護する方法を
提供する。
【0051】本発明において上記剥離性水性被覆組成物
が塗布される上塗り硬化塗膜は、従来から公知の硬化形
塗料を自動車外板に塗装し適当な温度及び時間で焼付け
るなどして得られるものであり、硬化塗膜のガラス転移
温度が50〜130℃の範囲に調整された塗膜であるこ
とが望ましい。該硬化形塗料としてはクリヤー塗料、メ
タリック顔料(アルミニウム粉末、雲母状粉末、酸化チ
タンコーティングした雲母状粉末など)及び必要に応じ
て着色顔料を含有するメタリック塗料、着色顔料を含有
するソリッドカラー塗料などが使用できる。硬化形塗料
のタイプとしては水性形、有機溶剤形、粉体形などいず
れのものであってもかまわない。硬化形塗料を構成する
硬化形樹脂組成物としては、アクリル系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂、シリコー
ン系樹脂、エポキシ系樹脂などの基体樹脂とアミノ樹
脂、ポリイソシアネート化合物、ポリカルボン酸化合
物、ポリエポキシ化合物などの架橋剤で構成されるもの
及び自己硬化性モノマー(例えばN−ブトキシメチルア
クリルアミド)を成分とする重合体などが挙げられ、特
にアクリル樹脂系、アミノアルキド樹脂系、ウレタン樹
脂系の塗膜が好適である。また硬化形塗料中には体質顔
料、各種添加剤などを任意に配合することができる。上
記硬化塗膜は、例えば上記硬化形塗料を素材(例えば金
属、プラスチック及び無機質)に直接又はプライマー又
は中塗り又はベースコートなどを施した塗膜の表面に塗
布し、塗膜のガラス転移温度が上記範囲内になるように
硬化させたものが使用できる。
【0052】本発明において、硬化塗膜のガラス転移温
度が50℃より低いと屋外の長期暴露で剥離性被膜がは
がれ難くなったり、また剥離後の硬化塗膜に剥離跡、シ
ミ、ツヤ引け等の塗膜欠陥が生じやすく、他方、ガラス
転移温度が130℃より高いと、剥離性被膜の付着力が
小さくなりすぎて保管中に自然剥離するおそれがあるの
で好ましくない。ここで硬化塗膜のガラス転移温度は、
遊離塗膜(幅5mm、長さ20mm、厚さ30μm)を
ダイナミックビスコエラストメーターモデルバイブロン
(DPV−11−EA型、東洋バルドウィン社製品)を
用いて測定したものである。
【0053】本発明方法においては、望ましくは上記剥
離性水性被覆組成物を、固形分濃度30〜80重量%、
好ましくは40〜70重量%、粘度0.3〜5.0P
a.s、好ましくは0.7〜3.0Pa.s、及び表面
張力40mN/m以下、好ましくは35mN/m以下の
範囲に調整して自動車外板塗膜上に塗布する。固形分濃
度が30重量%未満では、ワレ状の塗面異常が発生しや
すくなり、一方80重量%を越えると液粘度が高くなり
機械的安定性も低下するため塗装の面から好ましくな
い。
【0054】該粘度が0.3Pa.s未満では、塗布し
た塗液が垂れやすく、一方5.0Pa.sを越えると、
得られる被膜面が平滑性に乏しく、凹凸の激しいものと
なり、またローラーや刷毛塗装の場合に回転不良などの
不具合が伴い塗装作業性が極めて低下するので好ましく
ない。かかる粘度範囲への調整は、ポリアクリル酸ソー
ダ、アクリル酸アルキルエステル・メタクリル酸共重合
物、ポリアクリル系スルホン酸塩、ポリオキシアルキレ
ンアルキルフェニルエーテルなどのポリエーテル系、ウ
レタン変性ポリエーテル系、エチレンビス脂肪族カルボ
ン酸アミド、ヒドロキシエチルセルロースなどの粘弾性
調整剤を添加することで容易に行うことができる。
【0055】該表面張力が40mN/mを越えると、自
動車外板塗膜に対して良好な濡れ性が得られずハジキな
どの濡れ不良現象によって連続した被膜の形成が困難と
なるので好ましくない。かかる表面張力の調整は、エチ
レンオキサイド又はプロピレンオキサイドで変性された
ジメチルポリシロキサンなどのポリエーテル変性シリコ
ーンオイルあるいはパーフルオロアルキルカルボン酸
塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオ
ロアルキルアミンオキサイドなどのフッ素系界面活性剤
など水溶性の濡れ向上剤を添加することによって達成す
ることができる。
【0056】本発明において上記組成物を自動車外板塗
膜上に塗布する方法としては、刷毛塗り、ローラー塗
り、スプレー塗り、その他従来から行われている塗装法
が採用可能であり、塗装された被膜は、室温では1時間
もしくは2時間、また加熱する場合は例えば50℃で2
0分、又は70℃で10分間加熱することにより乾燥直
後に雨にさらされても溶け落ちることのない乾燥状態に
することができる。更に、中赤外又は遠赤外線を30秒
もしくは1分照射した後に、50℃から70℃の雰囲気
温度で2分から3分間加熱することにより、乾燥時間を
短縮することが可能である。被膜の膜厚は乾燥膜厚で2
0〜200μm、好ましくは50〜100μm程度が適
当である。
【0057】上記のような自動車外板塗膜上の一時保護
膜の形成は、自動車製造工程において塗装工程と組立工
程の間に行なわれるか、あるいは組立工程後の完成車に
行われる。
【0058】前者の方法は、自動車製造工程において自
動車外板の塗装工程後、組立工程の前に、塗装工程で自
動車外板に塗装された上塗り硬化塗膜の表面に、上記剥
離性水性被覆組成物を塗布し剥離性被膜を形成した後、
該剥離性被膜を熱風乾燥炉で乾燥するかあるいは赤外線
乾燥炉で予備乾燥してから熱風乾燥炉で乾燥する工程を
設けてなる方法である。
【0059】後者の方法は、完成車の外板に塗装された
上塗り硬化塗膜の表面を水洗し、水切りした後、該上塗
り硬化塗膜の表面に上記剥離性水性被覆組成物を塗布し
剥離性被膜を形成し、該剥離性被膜に赤外線を照射して
乾燥してから、該剥離性水性被膜を熱風乾燥する方法で
ある。
【0060】ここでいずれの方法をとるにせよ、上記剥
離性水性被覆組成物の固形分濃度や粘度を前記範囲内に
調整しておくことが好適である。固形分濃度や粘度がそ
の範囲外では乾燥時にワレ状の塗面異常が生じる恐れが
あるので望ましくない。
【0061】まず前者の方法による保護膜形成は、図
1、2に示すように剥離性水性被覆組成物の塗布工程
1、セッティング工程2、乾燥工程3からなり、該乾燥
工程3が図1のように熱風乾燥のみでも、図2のように
赤外線照射による予備乾燥及び熱風乾燥からなっていて
もよい。
【0062】上記剥離性水性被覆組成物の塗布工程1
は、上記塗布方法に従って行われ、この際の塗布ブース
の環境条件は、水性塗料の成膜性に支障なく良好な連続
被膜を確保するため、ブース温度15℃以上、望ましく
は20〜30℃、風速0.1〜0.3m/s、湿度50
〜80%が望ましい。
【0063】上記剥離性被膜が形成された自動車外板
は、セッティング工程2で1〜10分間放置される。該
セッティングブースの環境条件は、塗布ブースと同様に
選択される。
【0064】上記剥離性被膜の乾燥工程3では、熱風乾
燥炉で乾燥するかあるいは赤外線乾燥炉で予備乾燥して
から熱風乾燥炉で乾燥する。熱風乾燥のみの場合の乾燥
条件は、30〜160℃、好ましくは50〜120℃の
範囲で、10〜30分間とするのが適当である。
【0065】被膜内部から乾燥させ塗面異常を防止する
点からは赤外線乾燥炉で予備乾燥するのが望ましい。赤
外線照射条件は、波長1μm以上、好ましくは2〜4μ
mに放射エネルギー強度のピークを持つ遠赤外線ヒータ
ーを使用するのが効果的であり、照射時間(乾燥時間)
は90秒以内、望ましくは30〜60秒間が適当であ
る。放射波長が1μm前後に放射エネルギー強度のピー
クを持ち近赤外線ヒーターでは自動車外板の表面温度が
極めて上がり易く表面温度の制御が困難となり剥離性被
膜中の水の突沸による気泡が発生しやすい。一方、放射
波長が3〜数十μmの幅広い赤外線を放射する超赤外線
ヒーターでは剥離性被膜中の水の蒸発が遅くなる。
【0066】予備乾燥後の熱風乾燥条件は、外板の表面
温度が30〜160℃、好ましくは50〜120℃の範
囲となる温度で、1〜10分間とするのが適当である。
従って赤外線乾燥炉で予備乾燥することによって大幅な
時間短縮が可能である。
【0067】このように剥離性被膜により保護された外
板には、組立工程において、エンジンや機能部品などが
組み付けられ完成車として検査工程に供される。
【0068】次いで後者の方法による保護膜形成は、図
3に示すように水洗工程11、水切り工程12、剥離性
水性被覆組成物の塗布工程13、セッティング工程1
4、乾燥工程15からなる。
【0069】上記水洗工程11では、保護膜を形成すべ
き完成車を水洗し、該外板に塗装された上塗り硬化塗膜
表面に付着した雨水や塵埃を除去する。水洗にはシャワ
ー式洗車装置を用いるのが一般的であり、冬場の低温期
には30〜50℃の温水を用いて車両の表面温度を適度
に調節することもできる。
【0070】水洗により洗浄された車両は水切り工程1
2で上塗り硬化塗膜表面に付着した洗浄水を除去され
る。これにより次の塗布工程で良好な塗装作業性と仕上
り性が確保できる。かかる水切り手段としては、エアブ
ローが一般的であり、エアブローの後に温風で完全に乾
燥させることもできる。車両の表面温度は、剥離性水性
被覆組成物の成膜性に支障がなく良好な連続被膜を確保
するために、15℃以上、望ましくは20〜30℃とな
るようにするのが適当である。従って冬場の低温期には
50〜70℃の温風によるエアブローを行ない、前述し
た温水による洗浄と組み合わせることにより、車両の表
面温度を適度に調節して次の塗布工程で良好な塗装作業
性と仕上り性が確保できる。
【0071】上記剥離性水性被覆組成物の塗布工程13
及びセッティング工程14は、上記前者方法の塗布工程
1及びセッティング工程2と同様の条件で行うことがで
きる。
【0072】乾燥工程15は、上記で塗布された剥離性
水性被膜を赤外線乾燥炉で赤外線乾燥する赤外線乾燥工
程と、それに次ぐ熱風乾燥炉で熱風乾燥する熱風乾燥工
程とよりなる。赤外線照射による乾燥は上記前者方法の
乾燥工程3におけると同様の条件で行うことができる。
【0073】赤外線乾燥後の熱風乾燥条件は、車両に装
備されている各種電装部品やプラスチック部品の保護及
び乾燥時間短縮の点から、車両の金属素材表面温度が4
0〜80℃、好ましくは50〜70℃の範囲となる温度
で、保護膜表面近辺の炉内風速は0.5〜3m/sが適
当である。
【0074】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。尚、実施例、比較例中の「部」および「%」
は重量基準である。
【0075】アクリル共重合体エマルションの製造例 製造例1 還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロートを装備した容
量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水312部、
Newcol 707SF(日本乳化剤社製、商品名、
アニオン性乳化剤、固形分30%)0.9部を加え、窒
素置換後、80℃に保った。この中に過硫酸アンモニウ
ム0.4部を添加し、添加15分後から下記組成をエマ
ルション化してなるプレエマルションを3時間にわたっ
て滴下した。 脱イオン水 350 部 メチルメタクリレート 472 部 n−ブチルアクリレート 320 部 アクリル酸 8 部 30% Newcol 707SF 53.3部 過硫酸アンモニウム 0.8部 滴下終了後30分経てから、過硫酸アンモニウム0.8
部を脱イオン水7部に溶かした溶液を30分かけて滴下
し、さらに2時間80℃に保持した。その後40〜60
℃に温度を下げ、アンモニア水でpH7〜8に調整し、
不揮発分53.6%のアクリル共重合体エマルション
(A−1)を得た。
【0076】製造例2〜14 製造例1において、モノマー組成を表1に示す配合比と
し、脱イオン水量を加減する以外は製造例1と同様の方
法で固形分濃度の異なるアクリル共重合体エマルション
(A−2)〜(A−7)、及び(B−1)〜(B−7)
を得た。表1に各エマルションの性状値を併せて示す。
尚、各共重合体のガラス転移温度は、JIS K 71
21に準じて、示差走査熱量測定(DSC)により求め
た。具体的には、アクリル共重合体エマルションを容器
(直径5mmのアルミニウム製サンプルパン)に乾燥後
の重量が約10mgとなるように入れ、容器ごと105
℃で1時間乾燥させて試料とし、「SSC/5200」
(Seiko Instruments社製、熱分析シ
ステム装置)を用いてDSC曲線を描き、検出されるピ
ークからガラス転移温度を求めた。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】製造例15 還流冷却器、攪拌器、温度計、滴下ロートを装備した容
量2リットルの4つ口フラスコに脱イオン水312部、
Newcol 707SF(日本乳化剤社製、商品名、
アニオン性乳化剤、固形分30%)0.9部を加え、窒
素置換後、80℃に保った。この中に過硫酸アンモニウ
ム0.4部を添加し、添加15分後から下記組成をエマ
ルション化してなるプレエマルションを3時間にわたっ
て滴下した。 脱イオン水 350 部 ダイアセトンアクリルアミド 40 部 メチルメタクリレート 480 部 n−ブチルアクリレート 160 部 エチルアクリレート 119.2部 アクリル酸 0.8部 30% Newcol 707SF 53.3部 過硫酸アンモニウム 0.8部 滴下終了後30分経てから、過硫酸アンモニウム0.8
部を脱イオン水7部に溶かした溶液を30分かけて滴下
し、さらに2時間80℃に保持した。その後40〜60
℃に温度を下げ、この中にアジピン酸ジヒドラジド2
0.6部を配合し、アンモニア水でpH7〜8に調整
し、不揮発分54.2%のアクリル共重合体エマルショ
ン(A−8)を得た。
【0080】製造例16〜29 製造例15において、モノマー組成比、及び架橋剤量
(当量)を表2に示す配合とし脱イオン水量を加減する
以外は製造例15と同様の方法で固形分濃度の異なるア
クリル共重合体エマルション(A−8)〜(A−1
5)、及び(B−8)〜(B−14)を得た。表2に各
エマルションの性状値を併せて示す。
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】剥離助剤(C)の調整 上記アクリル共重合体エマルションにそのままでは配合
できないものについては、下記製造例のように界面活性
剤を用いて水分散体にして配合した。
【0084】ワックスエマルションの製造例 パラフィンワックス(MP46℃)、モンタンワック
ス、Hi−Mic−1080(日本精蝋社製、マイクロ
クリスタリンワックス)を夫々20部を別のガラス容器
に入れ、続いてこれらの容器にそれぞれソルビタンモノ
ステアレート1部、ポリオキシエチレンステアリルエー
テル3部、水76部を混合し80〜90℃に加熱撹拌
し、夫々固形分20%のワックスエマルションを得た。
【0085】シリコーンオイルエマルションの製造例 変性シリコーンオイルTSF4445(東芝シリコーン
製、ポリエーテル変性シリコーンオイル)30部にポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレート2部、水68部
を加えてよく撹拌し、固形分30%のシリコーンオイル
のエマルションを得た。
【0086】耐候性助剤(D)の調整 紫外線吸収剤チヌビン1130 (ベンゾトリアゾール誘
導体、液状、チバガイギー社製)は、この30部にポリ
オキシエチレンソルビタンモノオレート5部、水65部
を加えてよく撹拌し、固形分30%の紫外線吸収剤エマ
ルションとした。
【0087】紫外線吸収剤の水分散体として、市販され
ているサンドPT−21D(ベンゾトリアゾール系水分
散体、サンド社製)は直接配合した。光安定剤サノール
LS−292 (ヒンダードアミン誘導体、液状、三共社
製)は、この50部にポリオキシエチレンソルビタンモ
ノオレート5部、水45部を加えてよく撹拌し、固形分
50%の光安定剤エマルションとした。
【0088】顔料(E)の調整 チタン白R−700(ルチル型チタン白、デュポン社
製)560部にポリカルボン酸ナトリウム塩の40%水
溶液12部、水160部を加えてよく撹拌し、サンドミ
ル分散機で10ミクロン以下の粒度に分散して、チタン
白の水分散体を得た。
【0089】実施例1〜22及び比較例1〜11 上記の通り製造したアクリル共重合体エマルション(A
−1)〜(A−15)、(B−1)〜(B−14)を表
3に示す組合せ及び配合量(固形分)で夫々混合し、こ
れらの樹脂固形分100部に対して上記の通り調整した
剥離助剤、紫外線吸収剤、光安定剤及び顔料を表3に示
す種類及び配合量(固形分)で夫々添加し、撹拌混合し
て、各剥離性水性被覆組成物を得た。
【0090】これらの組成物に、必要に応じてポリオキ
シアルキレンアルキルフェニルエーテル及びパーフルオ
ロアルキルアミンオキサイドなどを添加して表3に示す
粘度及び表面張力に調整した後、これらを、パルボンド
3050(商品名、リン酸亜鉛系表面処理剤、日本パー
カライジング社製)で表面張力した軟鋼板(厚さ0.7
mm)にアミノアルキド樹脂塗料(関西ペイント社製、
商品名アミラック)を140℃、30分間焼付け塗装し
た塗板(硬化塗膜ガラス転移温度約82℃)上にスプレ
ー塗装し、70℃で10分間乾燥させることにより乾燥
膜厚が60〜70μmの剥離性被膜を形成させた。これ
らの性能試験結果を表3にまとめて示す。
【0091】(*1)粘度:塗液の粘度は(株)東京計
器製のB形粘度計を用いて測定した。測定条件は塗液温
度20℃、ローター回転数60rpmとした。
【0092】(*2)表面張力:塗液の表面張力は協和
化学社製の協和CBVP式表面張力計を用いて測定し
た。
【0093】(*3)造膜性:乾燥膜厚が60〜70μ
mになるようにアプリケーターで塗装してから直ちに雰
囲気温度20℃、風速0.5〜0.7m/sの条件下で
1時間放置した後、塗面状態を観察した。 ○:異常なし。連続被膜が形成されている。 △:ヒビ割れ状の異常が塗面の30%未満に認められ
る。 ×:ヒビ割れ状の異常が塗面の30%以上に認められ
る。
【0094】(*4)ローラー塗装作業性:ウーローラ
ーB(大塚刷毛製)のローラーカバーを用いて、乾燥膜
厚が60〜70μmになるように圧送式ローラーで塗装
して塗料の濡れ性、タレ性およびローラーの回転状態を
観察した。 (濡れ性) ○:異常なし。ハジキなどの濡れ不良が認められない。 △:塗面の50%以下にハジキ状の濡れ不良が認められ
る。 ×:全面が不良状態となり、連続被膜が得られない。 (タレ性) ローラー塗装後、直ちに塗板を傾斜角60度に保持して
その時の塗布塗装のタレ具合を観察した。 ○:タレが認められない。 △:塗り幅の1/2以下にタレが発生する。 ×:塗り幅の全てにわたってタレが発生する。 (ローラーの回転状態) ○:異常なし。正常に回転して連続膜を形成する。 △:やや回転が悪く、部分的に滑り性が生じて薄膜とな
る。 ×:回転が悪く、滑りのため、所定の膜厚が確保できな
い。
【0095】(*5)剥離性(初期):被膜形成後、2
0℃で1日放置した後、試験板に塗布した剥離性被覆組
成物被膜を端部から、手で1m/30秒の速度ではがし
た場合の剥離し易さを被膜温度が0℃、20℃、40℃
の夫々の条件において試験し、下記基準で評価した。 ◎:極めて容易に剥離できる。 ○:容易に剥離できる。 □:やや重い。 △:重いが剥離できる。 △* :被膜が脆くシート状に剥離しにくい。 ×:剥離不能である。
【0096】(*6)剥離性(耐熱性):試験板を80
℃で300時間放置した後、(*5)と同様の方法で剥
離し易さを被膜温度20℃の条件で試験した。
【0097】(*7)剥離性(促進耐候性):Qパネル
社製促進耐候性試験機を用いたQUV促進バクロ試験に
より、 を1サイクルとして480時間(20サイクル)試験し
た後に(*5)と同様の方法で剥離し易さを被膜温度2
0℃の条件で試験した。
【0098】(*8)促進耐候性(被塗物の外観変
化):(*7)の試験で被膜を剥離した後に、被塗物で
ある、アミノアルキド塗膜の膨潤その他の塗面異常の有
無を観察した。 ○:異常なし。 △:軽い膨潤が認められる。 ×:著しい膨潤が認められる。
【0099】(*9)保護性(耐酸性):40%硫酸を
0.4ml被膜上にスポットし、60℃で15分加熱し
た後、水洗いしてから被膜を剥離して下のアミノアルキ
ド塗膜の膨潤、ツヤビケ、エッチング跡の有無を観察し
た。 ○:異常なし。 △:膨潤が認められる。 ×:ツヤビケ、エッチングが認められる。
【0100】(*10)保護性(鉄粉展着性):被膜上
に、200メッシュスクリーンを通して鉄粉を全面に振
りかけて、80℃で1時間加熱した後に35℃で48時
間塩水噴霧試験を行い、試験台に被膜を剥離して下のア
ミノアルキド塗膜に鉄粉の展着の有無を調べた。 ○:異常なし。 △:塗面の30%以下に鉄粉展着が認められる。 ×:塗面の30%以上に鉄粉展着が認められる。
【0101】(*11、*12)被膜の強度及び伸び:
インストロン式引張り試験機(島津製作所製、オートグ
ラフ)を用いて、0℃、20℃の温度で測定した。その
時の引張りスピードは50mm/分、加重は5kg重で
あった。 被膜の強度 ◎:120kgf/cm2 以上 ○:70〜120kgf/cm2 △:40〜70kgf/cm2 ×:40kgf/cm2 以下 被膜の伸び ◎:300〜800% ○:100〜300% △−1:60〜100% △−2:800%以上 ×:60%以下
【0102】(*13)被膜燃焼試験:JIS K 7
217に準じて下記方法で行ない、シアン化水素ガス発
生の有無を調べた。
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
【0105】
【表7】
【0106】実施例23〜30 前記実施例の剥離性水性被覆組成物を用いて、これらに
必要に応じてポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ
ーテル及びパーフルオロアルキルアミンオキサイドなど
を添加して表4に示す粘度及び表面張力に調整し、また
同表に示す固形分に水で調整した後、これらをパルボン
ド3050で表面処理した軟鋼板(厚さ0.7mm)に
アクリルメラミン樹脂系上塗り塗料(関西ペイント社
製、商品名マジクロン)を塗装し140℃、30分間焼
付けて得られた塗板の硬化塗膜上に、20℃、70%R
Hの雰囲気内でウーローラーBのローラーカバーを用い
た圧送式ローラー塗装によって乾燥膜厚で60〜80μ
mになるように塗布し、20℃、70%RHの雰囲気内
で2分間セッティングした。次いでこれに赤外線(ヘレ
ウス社製、透明石英管ヒーター)を60秒間照射し、さ
らに熱風乾燥炉で70℃、3分間乾燥して剥離性被膜を
形成させた。これらの性能試験結果を表4にまとめて示
す。
【0107】
【表8】
【0108】実施例31〜38 前記実施例の剥離性水性被覆組成物を用いて、これらに
必要に応じてポリオキシアルキレンアルキルフェニルエ
ーテル及びパーフルオロアルキルアミンオキサイドなど
を添加して表5に示す粘度及び表面張力に調整し、また
同表に示す固形分に水で調整した後、これらをパルボン
ド3050で表面処理した軟鋼板(厚さ0.7mm)に
アクリルメラミン樹脂系上塗り塗料(関西ペイント社
製、商品名マジクロン)を塗装し140℃、30分間焼
付けて得られた塗板の硬化塗膜を水洗し、60℃のエア
ブローにて水切りを行った後、20℃、70%RHの雰
囲気内でウーローラーBのローラーカバーを用いた圧送
式ローラー塗装によって乾燥膜厚で60〜80μmにな
るように塗布し、20℃、70%RHの雰囲気内で2分
間セッティングした。次いでこれに赤外線(ヘレウス社
製、透明石英管ヒーター)を60秒間照射し、さらに熱
風乾燥炉で70℃、3分間乾燥して剥離性被膜を形成さ
せた。これらの性能試験結果を表5にまとめて示す。
【0109】
【表9】
【0110】(*14)割れ性:上記条件(赤外線乾燥
−熱風乾燥)にて乾燥後の各剥離性被膜の割れ状塗面異
常の有無を観察した。 ○:割れ状塗面異常の発生が全くなく、良好。 △:塗面の50%以下に割れ状塗面異常が認められる。 ×:全面にわたって割れ状塗面異常が認められる。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、液状の水性被覆組成物
を塗布することから、自動車の複雑な形状に対応するこ
とが可能であり、しかも本発明により形成される剥離性
被膜はその接着力が被膜温度によって大きく変化するこ
となく、長時間経過後も容易に人手又は高速水流で1枚
のシート状に剥離可能である。また剥離後の被膜は、埋
立て又は焼却処分においても環境上の問題が全くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一態様を説明するためのフローチ
ャート図である。
【図2】本発明方法の一態様を説明するためのフローチ
ャート図である。
【図3】本発明方法の一態様を説明するためのフローチ
ャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 研哉 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内 (72)発明者 小峯 宏明 神奈川県平塚市東八幡4丁目17番1号 関 西ペイント株式会社内

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なるガラス転移温度を有するアクリル
    共重合体のエマルションを少なくとも2種以上含有する
    剥離性水性被覆組成物であって、該アクリル共重合体エ
    マルションとして、(メタ)アクリル酸エステルを必須
    としこれに必要に応じて(メタ)アクリロニトリルを除
    く他の重合性不飽和モノマーを加えたモノマー混合物を
    共重合して得られるガラス転移温度0〜50℃のアクリ
    ル共重合体エマルション(A)、及び(メタ)アクリル
    酸エステルを必須としこれに必要に応じて(メタ)アク
    リロニトリルを除く他の重合性不飽和モノマーを加えた
    モノマー混合物を共重合して得られるガラス転移温度−
    50〜10℃のアクリル共重合体エマルション(B)を
    必須として含み、且つ該(A)と(B)のガラス転移温
    度の差が少なくとも10℃以上であることを特徴とする
    剥離性水性被覆組成物。
  2. 【請求項2】 アクリル共重合体エマルション(A)及
    び(B)のいずれか一方又は両方が、モノマー成分とし
    てカルボニル基含有α,β−エチレン性不飽和モノマー
    をモノマー混合物中0.1〜30重量%含有するもので
    ある請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 アクリル共重合体エマルション(A)及
    び(B)のいずれか一方又は両方に、ヒドラジド化合物
    を該エマルション粒子中のカルボニル基1当量に対して
    ヒドラジド基が0.02〜3.0当量となるよう含有さ
    せる請求項2記載の組成物。
  4. 【請求項4】 アクリル共重合体エマルション(A)及
    び(B)を、固形分重量比で(A)/(B)=95/5
    〜5/95の割合で混合してなる請求項1ないし3のい
    ずれか1項記載の組成物。
  5. 【請求項5】 剥離助剤(C)を、組成物中の樹脂固形
    分100重量部に対して0.01〜10重量部分有する
    請求項1ないし4のいずれか1項記載の組成物。
  6. 【請求項6】 紫外線吸収剤及び光安定剤からなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種の耐候性助剤(D)を含有す
    る請求項1ないし5のいずれか1項記載の組成物。
  7. 【請求項7】 顔料(E)を、組成物中の樹脂固形分1
    00重量部に対して3〜50重量部含有する請求項1な
    いし6のいずれか1項記載の組成物。
  8. 【請求項8】 顔料(E)が、チタン白である請求項7
    記載の組成物。
  9. 【請求項9】 自動車外板に塗装された上塗り硬化塗膜
    の表面に、異なるガラス転移温度を有するアクリル共重
    合体のエマルションを少なくとも2種以上含有する剥離
    性水性被覆組成物であって、該アクリル共重合体エマル
    ションとして、(メタ)アクリル酸エステルを必須とし
    これに必要に応じて(メタ)アクリロニトリルを除く他
    の重合性不飽和モノマーを加えたモノマー混合物を共重
    合して得られるガラス転移温度0〜50℃のアクリル共
    重合体エマルション(A)、及び(メタ)アクリル酸エ
    ステルを必須としこれに必要に応じて(メタ)アクリロ
    ニトリルを除く他の重合性不飽和モノマーを加えたモノ
    マー混合物を共重合して得られるガラス転移温度−50
    〜10℃のアクリル共重合体エマルション(B)を必須
    として含み、且つ該(A)と(B)のガラス転移温度の
    差が少なくとも10℃以上である剥離性水性被覆組成物
    を塗布することを特徴とする自動車外板塗膜の一時保護
    方法。
  10. 【請求項10】 剥離性水性被覆組成物を、固形分濃度
    30〜80重量%に調整して塗布する請求項9記載の方
    法。
  11. 【請求項11】 剥離性水性被覆組成物を、粘度0.3
    〜5.0Pa.sに調整して塗布する請求項9又は10
    記載の方法。
  12. 【請求項12】 剥離性水性被覆組成物を、表面張力4
    0mN/m以下に調整して塗布する請求項9ないし11
    のいずれか1項記載の方法。
  13. 【請求項13】 自動車製造工程において、自動車外板
    の塗装工程後、組立工程の前に、塗装工程で自動車外板
    に塗装された上塗り硬化塗膜の表面に、請求項9記載の
    剥離性水性被覆組成物を塗布し剥離性被膜を形成した
    後、該剥離性被膜を熱風乾燥炉で乾燥するかあるいは赤
    外線乾燥炉で予備乾燥してから熱風乾燥炉で乾燥する工
    程を設けてなる請求項9ないし12のいずれか1項記載
    の方法。
  14. 【請求項14】 完成車の外板に塗装された上塗り硬化
    塗膜の表面を水洗し、水切りした後、該上塗り硬化塗膜
    の表面に請求項9記載の剥離性水性被覆組成物を塗布し
    剥離性被膜を形成し、該剥離性被膜を赤外線を照射して
    予備乾燥してから、該剥離性水性被膜を熱風乾燥する請
    求項9ないし12のいずれか1項記載の方法。
JP17124997A 1997-06-13 1997-06-13 剥離性水性被覆組成物及びこれを用いた自動車外板塗膜の一時保護方法 Pending JPH111640A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001071393A1 (en) * 2000-03-23 2001-09-27 Sola International Holdings Ltd Removable coating for optical substrates
WO2010018645A1 (ja) * 2008-08-11 2010-02-18 Kfアテイン株式会社 防汚塗料
JP2022007666A (ja) * 2020-06-26 2022-01-13 株式会社日立製作所 車両
US11235349B2 (en) 2012-06-25 2022-02-01 3M Innovative Properties Company Devices for coating contoured surfaces

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