JPH0994833A - 通気性成形型及び熱可塑性樹脂成形品の成形方法 - Google Patents

通気性成形型及び熱可塑性樹脂成形品の成形方法

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JPH0994833A
JPH0994833A JP27713195A JP27713195A JPH0994833A JP H0994833 A JPH0994833 A JP H0994833A JP 27713195 A JP27713195 A JP 27713195A JP 27713195 A JP27713195 A JP 27713195A JP H0994833 A JPH0994833 A JP H0994833A
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義彦 鈴木
Atsuo Ishikawa
淳夫 石川
Toshio Mizue
俊夫 水江
Kazuaki Igarashi
和明 五十嵐
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Abstract

(57)【要約】 【課題】平滑性に優れた鏡面又は精緻な模様の型表面を
有し、しかも通気量の大きい通気性成形型、及び、熱可
塑性樹脂板より鏡面状態の表面又は精緻な模様の表面を
有する成形品を生産性よく製造する成形方法を提供す
る。 【解決手段】熱硬化性樹脂、硬化前の該熱硬化性樹脂に
は相溶するが、硬化後の該熱硬化性樹脂には相溶しない
有機液体及び充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を硬
化してなる表裏両面を連通する細孔を有する多孔質樹脂
表面層と、平均粒径10〜1,000μmの硬質粒子を
合成樹脂バインダーで接着させてなる多孔質裏打ち層か
らなる通気性成形型、並びに、該通気性成形型を用いる
熱可塑性樹脂成形品の成形方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、通気性成形型及び
成形方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、鏡面の
ように平滑な、又は皮革のように微細な柄及び凹凸模様
の表面を有する熱可塑性樹脂成形品を得るのに好適な通
気性成形型及び該成形型を用いる熱可塑性樹脂成形品の
成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】微細な模様の表面を有する熱可塑性樹脂
成形品は、通常、真空成形、圧空成形、圧縮成形、ブロ
ー成形などにより成形されている。これらの成形には微
細模様の表面を再現する成形型が必要である。この目的
の成形型は、真空又は空気加圧のための通気孔を有する
が、成形品に通気孔の跡が残らないように、近年無数の
微細な通気孔を型全体に有する成形型が用いられるよう
になった。熱可塑性樹脂板を、型を用い、空気圧力差を
利用して成形する方法は広く行われている。もっとも容
易な成形法の一つは真空成形であり、真空成形において
は、加熱により軟化した熱可塑性樹脂板の周辺部を型に
固定し、真空によって熱可塑性樹脂板を型面に引き付け
て成形する。また、圧空成形においては、加熱により軟
化した熱可塑性樹脂板の周辺部を型に固定し、圧縮空気
によって熱可塑性樹脂板を型面に押し付けて成形する。
真空成形においても、圧空成形においても、成形型は通
気性を有することが必要であり、通常は通気性は成形型
に細孔を設けることによって与えられる。しかし、空気
圧力差を利用した成形においては、熱可塑性樹脂板は加
熱により軟化した状態で成形型に押し付けられるため、
成形品表面に通気のための細孔による型痕が生ずること
は避けられず、美観を要求される成形品にとって大きな
問題となっている。型痕を目立たなくするために細孔径
を小さくすると、通気量が低下するために生産性が低下
し、一方、細孔径を大きくして通気量を増し生産性を上
げると、型痕が目立つようになる。このため、細孔径を
小さくしながら大きい通気量を確保するための研究がな
され、さまざまな提案がなされている。例えば、特公昭
51−7452号公報には、模型に対して金属を溶射し
て多孔質型体を形成する方法が提案されている。しか
し、溶射された金属の流動及び固化の状態は温度によっ
て微妙に変化するので、金属の溶射によって制御された
細孔を有する多孔質層を形成することは容易ではない上
に、金属溶射装置は高価で操業費も高く、模型も耐熱性
を必要とするために高価となる。特開昭51−4032
7号公報には、金属粒子を焼結し、又は細粒の砂を樹脂
で結合することにより多孔質材料とする、真空造型法に
より鋳型を製造するための鋳物模型が提案されている。
しかし、金属粒子の焼結には特殊な高価な設備を必要と
し、高温加熱を必要とするために操業費も高く、かつ寸
法精度の維持に難があり、また、これらの粒子を結合す
る方法によると、通気量を大きくするためには大きい粒
子を使用する必要があり、粒子径が大きくなると必然的
に多孔質材料の表面が粗くなることを免れないという問
題がある。特開昭60−152692号公報には、電導
性付与塗膜に塩化ビニルラッカー液などの絶縁物質を混
入したスプレー液を噴射し、乾燥したのち電鋳すること
により成形用金型を得る方法が提案されている。しか
し、電鋳には長時間を要し、高価となる。特開昭63−
297005号公報には、微細粒子を熱硬化性樹脂と混
合して有機溶媒で希釈し、希釈した混合物を模型に塗布
後乾燥、硬化してポーラス型本体を形成し、さらにポー
ラス型本体から空気を吹き出しながら表面をめっきする
ことにより、ポーラス型を得る方法が提案されている。
しかし、この方法は有機溶媒を使用するので作業環境及
び地球環境を汚染するおそれがあり、必要な厚さを得る
ためには塗布を繰り返す必要があり、さらにめっき工程
を経るなど、工程が長くかつ煩雑である。特開平2−3
08858号公報には、二液反応型有機高分子化合物質
に有機高分子化合物質の粉末を含有せしめて硬化した、
真空成形などの成形分野に利用可能な多孔性有機高分子
化合物質が提案され、エポキシ樹脂とポリ塩化ビニル樹
脂粉末が例示されている。しかし、この方法によっては
確実に通気性を有する細孔を形成することは容易ではな
い。特公平5−50373号公報には、表面に合成樹脂
層を有する硬質球状体を加熱し、連続気孔を残しながら
硬質球状体を互いに結合することにより通気性成形型を
製造する方法が提案されている。しかし、この方法も球
状体を使用するために、通気量を大きくするためには粒
径の大きい球状体を用いて表面平滑性を犠牲にしなけれ
ばならない。特開平6−220683号公報には、模型
表面に網状体を貼りつけて電鋳を行い、電鋳被覆部を薄
く電着させたのち模型から剥がし、さらに電鋳を行って
得られる多数の貫通孔を備えた三次元形状の型用電鋳殻
が提案されている。しかし、この方法は網状体を出発材
料とするので電鋳を厚く行っても網目模様は残り、平滑
な表面や精緻な模様を有する表面を得ることは困難であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、平滑性に優
れた鏡面又は精緻な模様の型表面を有し、しかも通気量
の大きい通気性成形型、及び、熱可塑性樹脂板より鏡面
状態の表面又は精緻な模様の表面を有する成形品を生産
性よく製造する成形方法を提供することを目的としてな
されたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、熱硬化性樹脂
に、硬化前は相溶し、硬化後は相溶しない有機液体を配
合して硬化することにより多孔質樹脂表面層を形成し、
さらにその裏面に接点部において接着した硬質粒子より
なる多孔質裏打ち層を形成することにより、表面状態が
良好で、しかも通気量が大きい通気性成形型を得ること
ができることを見いだし、この知見に基づいて本発明を
完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)熱硬化
性樹脂、硬化前の該熱硬化性樹脂には相溶するが、硬化
後の該熱硬化性樹脂には相溶しない有機液体及び充填剤
を含有する熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる表裏両面
を連通する細孔を有する多孔質樹脂表面層と、平均粒径
10〜1,000μmの硬質粒子を合成樹脂バインダー
で接着させてなる多孔質裏打ち層からなる通気性成形
型、(2)熱可塑性樹脂成形品の成形面に対応する表面
を有する模型の周囲に型枠をめぐらし、該表面上に、熱
硬化性樹脂、硬化前の該熱硬化性樹脂には相溶するが、
硬化後の該熱硬化性樹脂には相溶しない有機液体及び充
填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を厚さ10〜1,0
00μmの膜状に塗布し、これを硬化することにより、
分離した有機液体が充満した表裏両面を連通する細孔を
有する多孔質樹脂表面層を形成し、次いで該多孔質樹脂
表面層と型枠とにより形成される空間部に、合成樹脂バ
インダーを表面に被覆した平均粒径10〜1,000μ
mの硬質粒子を充填して加熱することにより、硬質粒子
間及び硬質粒子と多孔質樹脂表面層の相互間を合成樹脂
バインダーで接着させて多孔質裏打ち層を形成し、しか
るのち模型及び型枠を取り外し、加圧又は減圧により細
孔内の有機液体を除去して得られる、多孔質樹脂表面層
及び多孔質裏打ち層を有する通気性成形型、(3)第
(1)項又は第(2)項記載の通気性成形型の多孔質樹脂表
面層側に、加熱により軟化した熱可塑性樹脂板を設置
し、多孔質裏打ち層側を減圧することにより、該熱可塑
性樹脂板を通気性成形型の多孔質樹脂表面層側に密着さ
せることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の成形方法、
(4)第(1)項又は第(2)項記載の通気性成形型におい
て、多孔質樹脂表面層が共に雌型である一対の通気性成
形型を対面配置し、両雌型の間に加熱により軟化した熱
可塑性樹脂製のパリソンを介在させて両雌型を接面し、
次いで両雌型の多孔質裏打ち層側を減圧することにより
パリソンの外面に通気性成形型の表面形状を転写するこ
とを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の成形方法、及び、
(5)第(1)項又は第(2)項記載の通気性成形型におい
て、多孔質樹脂表面層が雄型及び雌型である一対の通気
性成形型を形成し、雄型及び雌型の間に加熱により軟化
した熱可塑性樹脂板を介在させてプレス成形するととも
に、一方の通気性成形型の多孔質裏打ち層側を減圧し、
他方の通気性成形型の多孔質裏打ち層側を加圧すること
により、熱可塑性樹脂板の片面に多孔質裏打ち層側を減
圧した通気性成形型の表面形状を転写することを特徴と
する熱可塑性樹脂成形品の成形方法、を提供するもので
ある。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の通気性成形型は、熱硬化
性樹脂、硬化前の熱硬化性樹脂には相溶するが硬化後の
熱硬化性樹脂には相溶しない有機液体及び充填剤を含有
する熱硬化性樹脂組成物を硬化してなる表裏両面を連通
する細孔を有する多孔質樹脂表面層を有する。本発明に
使用する熱硬化性樹脂は、重合において、架橋結合を生
じ三次元化しながら高分子化する樹脂であり、したがっ
て、加熱によって高分子化するもののほか、樹脂と硬化
剤を混合することにより室温又は室温以下の低温で架橋
反応が起こり高分子化する樹脂も、本発明において使用
することができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エ
ポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシアクリ
レート樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素
樹脂、メラミン樹脂、フタル酸樹脂、シリコーン樹脂な
どを挙げることができる。エポキシ樹脂としては、例え
ば、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹
脂、ビスフェノールAD型樹脂、フェノールノボラック
型樹脂、クレゾールノボラック型樹脂、環状脂肪族エポ
キシ樹脂、グリシジルエステル系樹脂、グリシジルアミ
ン系樹脂、複素環式エポキシ樹脂などを使用することが
できる。本発明の通気性成形型の製造に用いる熱硬化性
樹脂組成物においては、硬化剤を配合することができ
る。硬化剤は、熱硬化性樹脂の種類、硬化条件などに応
じて適宜選定することができる。熱硬化性樹脂がエポキ
シ樹脂である場合は、硬化剤として、例えば、脂肪族ポ
リアミン、芳香族ポリアミン、第三級アミン、ポリアミ
ドアミン、ポリメルカプタン、フェノール樹脂、メラミ
ン樹脂、酸無水物、イミダゾール類、ヒドラジッド付加
物、ジシアンジアミドなどを使用することができる。熱
硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂である場合は、硬
化剤として、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシピバレートなどの過酸化物や、アゾビスイソブチロ
ニトリルなどのアゾ化合物などを使用することができ、
さらに必要に応じてコバルトの有機酸塩などの促進剤を
加えて常温硬化型とすることができる。また、不飽和ポ
リエステル樹脂及びエポキシアクリレート樹脂は、紫外
線、電子線などによっても硬化することができ、紫外線
硬化の場合には、ジメチルベンジルケタールなどの光重
合開始剤を併用することができる。ポリウレタン樹脂
は、ポリオール及びポリイソシアネートを主成分として
配合するものであり、ポリオール又はポリイソシアネー
トの一部を三官能性以上の化合物とし、あるいは、他の
三官能性以上の反応性化合物を配合することにより、樹
脂を三次元架橋型とすることができる。本発明に用いる
熱硬化性樹脂組成物には、熱硬化性樹脂の硬化前は熱硬
化性樹脂に相溶し、熱硬化性樹脂が三次元化して硬化し
た後は樹脂と相溶しない有機液体を含有せしめる。硬化
前の熱硬化性樹脂は、一般に極性の高い化合物であるの
で、極性を有する多くの有機液体が相溶し、硬化後の熱
硬化性樹脂は三次元化するので多くの有機液体は相溶性
を失って分離する。本発明においては、熱硬化性樹脂の
硬化前には相溶し、硬化後に相溶しない有機液体であれ
ば特に制限なく使用することができるが、このような有
機液体としては、例えば、炭素数14〜22の一塩基脂
肪酸又はヒドロキシ一塩基脂肪酸と炭素数1〜4のアル
コールの脂肪酸エステル、炭素数5〜10のアルキル基
又は炭素数6〜10のアリール基若しくはアルキルアリ
ール基を有するトリアルキルホスフェート、トリアリー
ルホスフェート、アルキルジアリールホスフェート又は
ジアルキルアリールホスフェート、フタル酸又は炭素数
4〜16の脂肪族二塩基酸と炭素数8〜10のアルコー
ルとのエステル、炭素数2〜24の脂肪酸とポリアルキ
レングリコールの脂肪酸エステル、炭素数8〜24の脂
肪酸とモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モ
ノプロパノールアミン又はジプロパノールアミンの脂肪
酸アミド、炭素数2〜24の脂肪酸とグリセリン−ソル
ビタン縮合物のエステル、動植物油、水添動植物油、流
動パラフィン、塩素化パラフィンなどを挙げることがで
きる。さらに、前記ホスフェート類の具体例としては、
トリオクチルホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)
ホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジ
ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフ
ェート、オクチルジフェニルホスフェートなどを、ま
た、前記二塩基酸エステルの具体例としては、ジ−2−
エチルヘキシルフタレート、ジ−n−ノニルフタレー
ト、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシル
アジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケートなどを
挙げることができる。これらの有機液体は、1種を単独
で使用することができ、あるいは2種以上を混合して使
用することができる。
【0006】本発明に使用する熱硬化性樹脂組成物にお
いて、有機液体の配合量には特に制限はないが、通常は
熱硬化性樹脂及び硬化剤の合計量100重量部当たり5
〜50重量部であることが好ましい。有機液体の配合量
が熱硬化性樹脂及び硬化剤の合計量100重量部当たり
5重量部未満であると、多孔質表面における細孔の存在
量が少なく、通気性成形型が十分な通気量を有しないお
それがある。有機液体の配合量が熱硬化性樹脂及び硬化
剤の合計量100重量部当たり50重量部を超えると、
多孔質表面における細孔の直径が大きくなりすぎたり、
硬化した熱硬化性樹脂の強度が不足したりするおそれが
ある。本発明において、熱硬化性樹脂と有機液体の相溶
性は、目的とする通気性成形型の性能に応じて適宜選択
することができる。熱硬化性樹脂と有機液体の相溶性が
良い範囲の中で比較的小さい場合は、有機液体は硬化の
比較的早い段階から分離し、直径の大きい細孔が形成さ
れる。熱硬化性樹脂と有機液体の相溶性が良い範囲の中
で比較的大きい場合は、有機液体は硬化の比較的遅い段
階に達してから分離し、直径の微細な細孔が形成され
る。本発明の成形型の樹脂表面層の細孔は、大部分は
0.2〜10μmの範囲に分布するものであることが好
ましい。個数基準の平均径は0.01〜100μmが好
ましく、より好ましくは0.5〜10μmである。平均
径が0.01μmより小さいと通気性が乏しくなり易
く、又、平均径が100μmを超えると樹脂表面層の表
面粗度が粗くなり、鏡面や微細な起伏の表面を形成し難
くなる。本発明に使用する熱硬化性樹脂組成物には、必
須成分として充填剤が含有される。充填剤としては炭酸
カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、アルミナ、
カーボンブラックなどが用いられる。充填剤は形状が球
又は楕円体など球に近いものが好ましく、平均粒径が
0.01〜10μmのものが用いられる。充填剤の配合
量は、熱硬化性樹脂100重量部に対し10〜500重
量部であることが好ましく、80〜300重量部である
ことがより好ましい。充填剤の配合量が、熱硬化性樹脂
100重量部に対し10重量部未満であると、熱硬化性
樹脂組成物の粘度が低すぎて硬化前の賦形の段階で形状
が不安定となるおそれがある。また、充填剤の配合量
が、熱硬化性樹脂100重量部に対し500重量部を超
えると、本発明の通気性成形型の目的である均一な空孔
が得られ難く、また高粘度のため賦形し難くなるおそれ
がある。本発明に使用する熱硬化性樹脂組成物において
は、必要に応じて、顔料、染料などの着色剤、レベリン
グ剤、離型剤などを添加することができる。本発明の通
気性成形型の多孔質樹脂表面層は、熱硬化性樹脂、硬化
前の熱硬化性樹脂には相溶するが硬化後の熱硬化性樹脂
には相溶しない有機液体及び充填剤を含有する熱硬化性
樹脂組成物を、熱可塑性樹脂成形品の成形面に対応する
模型表面に塗布して硬化する。熱硬化性樹脂組成物を塗
布する方法には特に制限はなく、刷毛塗り、スプレーな
どにより塗布し、あるいは模型が平面である場合にはド
クターブレードなどにより塗布することができる。硬化
前の熱硬化性樹脂は粘度が低いので、模型の表面を忠実
に再現し、鏡面仕上げの表面や牛革状のしぼ模様など精
緻な模様を有する多孔質樹脂表面層を形成することがで
きる。模型の表面の再現性の点からは、一般には熱硬化
性樹脂組成物の粘度は低いことが好ましいが、模型表面
に水平面に対する傾斜が強い部分がある場合には、樹脂
組成物の流下を防ぐためにある程度の粘度を有すること
が好ましい。本発明の通気性成形型の多孔質樹脂表面層
の細孔の直径及び長さは一定ではないので、厳密にはポ
アズイユの法則は成立しないが、近似的には通気量は膜
の厚さに反比例し、かつ同一の樹脂組成物を同一条件で
硬化した場合に得られる細孔の直径はほぼ同じであるの
で、膜の厚さを変更することにより通気量を制御するこ
とができる。本発明において、多孔質樹脂表面層の厚さ
には特に制限はないが、通常は厚さ10〜1,000μ
mとすることが好ましい。多孔質樹脂表面層の厚さが1
0μm未満である場合は、表面層に欠陥が生じるおそれ
がある。多孔質樹脂表面層の厚さが1,000μmを超
えると、表面層の表裏両面に貫通しない細孔が生じるお
それがある。本発明の通気性成形型の製造に際しては、
有機液体を含有する熱硬化性樹脂組成物を塗布したのち
室温下で又は加熱することにより、熱硬化性樹脂は架橋
し三次元化しつつ高分子化する。加熱条件は熱硬化性樹
脂及び硬化剤の組み合わせに応じて温度及び時間を適切
に選択することができ、場合によっては常温において高
分子化する組み合わせを選ぶことが可能である。一般に
高温に加熱することにより硬化に必要な時間を短縮する
ことができるが、熱可塑性樹脂成形品の成形面に対応す
る模型表面が複雑な形状である場合は、歪みや応力集中
の発生を防ぐために著しい高温を避けることが好まし
い。熱硬化性樹脂が三次元化し高分子化するにつれて、
有機液体は熱硬化性樹脂から分離し、表面層の両面に貫
通する細孔を形成する。
【0007】本発明の通気性成形型は、多孔質樹脂表面
層の裏面に、硬質粒子の相互間をそれらの接点部にて合
成樹脂バインダーを介して接着させてなる多孔質裏打ち
層を有する。多孔質裏打ち層の形成方法には特に制限は
ないが、多孔質樹脂表面層が裏面に裏打ち層を形成する
材料を積層してもその表面状態が変化しない程度以上に
硬化したのち、裏打ち層を形成する材料を積層すること
が望ましい。硬質粒子の材質には特に制限はなく、例え
ば、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属粒子;アル
ミナ、水酸化アルミニウムなどの無機粒子;セラミック
粒子;ガラス粒子;カーボン粒子:ポリメチルメタクリ
レート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネ
ートなどの熱可塑性樹脂や尿素樹脂、メラミン樹脂、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂
などの熱硬化性樹脂の粉末、ペレット又は破砕体などを
使用することができる。硬質粒子は必ずしも真球状であ
ることを必要としないが、通気量を大きくするためには
形状が球形に近く、かつ粒度が揃っていることが好まし
い。本発明に使用する硬質粒子の平均粒径は10〜1,
000μmであり、好ましくは50〜500μmであ
る。硬質粒子の平均粒径が10μm未満であると、多孔
質裏打ち層の通気性が十分でないおそれがある。硬質粒
子の平均粒径が1,000μmを超えると、多孔質裏打
ち層の強度が不足するおそれがある。本発明の通気性成
形型の多孔質裏打ち層は、硬質粒子の相互間を合成樹脂
バインダーを介して接着させてなる。合成樹脂バインダ
ーは、硬質粒子の表面に薄い被覆層を形成する量を必要
とし、通常は、硬質粒子に対して容積比で1/8〜1/
2、好ましくは1/5〜1/3の量を使用する。合成樹
脂バインダーの量が硬質粒子に対して容積比で1/8未
満であると、硬質粒子間の接着が不十分で成形型が脆く
なるおそれがある。尚、成形型の使用に支障ない範囲で
あれば、裏打ち層の内央部に、硬質粒子間の接着が不十
分な部分があってもよい。合成樹脂バインダーの量が硬
質粒子に対して容積比で1/2を超えると、硬質粒子間
の空隙が少なくなり通気性が損なわれるおそれがある。
使用する合成樹脂バインダーは、通気性成形型の使用温
度において十分な接着強度を有するものであれば特に制
限なく使用することができる。合成樹脂バインダーとし
ては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹
脂、フタル酸樹脂、シリコーン樹脂などの熱硬化性樹脂
が、成形型を加熱して使用しても変形や破損を起こし難
いので好ましい。熱硬化性樹脂は、硬化前は低分子又は
低分子と高分子の混合物であるので流動性に優れ、硬質
粒子の表面に層状の被覆塗膜を施すのに好適である。被
覆塗膜層には、それぞれの樹脂に適した硬化剤、例え
ば、エポキシ樹脂では、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリ
アミンなどのアミン類;ポリエステル樹脂では、メチル
エチルケトンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピ
バレートなどの過酸化物;ポリウレタン樹脂ではポリイ
ソシアネートなどを配合しておき、硬化させて多孔質裏
打ち層を形成する。合成樹脂バインダーとして、塩化ビ
ニル系樹脂ペーストや、メチルメタクリレート系樹脂塗
料などの熱可塑性樹脂を用いる場合には、それぞれチオ
ール−s−トリアジンやトリメチロールプロパントリア
クリレート等を配合したりするなどの架橋化の手段を加
味することが好ましい。本発明の通気性成形型は、多孔
質樹脂表面層が十分硬化し、多孔質裏打ち層を形成する
硬質粒子が十分強固に接着されたのち、減圧又は加圧す
ることにより細孔内の有機液体を吸引又は圧出により除
去して、多数の表裏両面を連通する細孔を開通させる。
本発明の通気性成形型の通気量は、微細な細孔を有する
多孔質樹脂表面層のみによって支配され、多孔質裏打ち
層は孔径が大きく通気抵抗が小さいので、微細な細孔を
有する良好な表面状態を保ったまま通気量を大きくする
ことができる。
【0008】以下、図面により本発明の通気性成形型の
製造方法を説明する。図1は、本発明の通気性成形型の
製造の一態様を説明する部分断面図である。熱可塑性樹
脂成形品の成形面に対応する模型1の周囲に、型枠2を
めぐらせる。好ましくは、模型の表面に、高級脂肪酸、
高級脂肪酸の金属塩、シリコーンオイル、パラフィンワ
ックス、カルナバワックスなどの離型剤3を塗布する
か、あるいは、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコー
ル、アセチルセルロースなどの溶液を塗布、乾燥して離
型フィルムを形成する。その上に熱硬化性樹脂、硬化前
の熱硬化性樹脂には相溶するが硬化後の熱硬化性樹脂に
は相溶しない有機液体及び充填剤を含有する熱硬化性樹
脂組成物4を厚さ10〜1,000μmの膜状に塗布す
る。この状態で模型及び塗布された熱硬化性樹脂組成物
を加熱条件下におき、熱硬化性樹脂を硬化する。熱硬化
性樹脂が硬化するにつれ、樹脂組成物より有機液体が分
離して細孔5を生じ、多孔質樹脂表面層6が形成され
る。熱硬化性樹脂が、裏面に多孔質裏打ち層を形成する
材料を積層してもその表面状態が変化しない程度以上に
硬化したのち、多孔質樹脂表面層と型枠とにより形成さ
れる空間部に、合成樹脂バインダーを表面に被覆した平
均粒径10〜1,000μmの硬質粒子7を充填し、加
熱硬化して多孔質裏打ち層8を形成する。多孔質裏打ち
層が形成されたのち、通気性成形型を模型から取り外
す。多孔質裏打ち層により補強された多孔質樹脂表面層
を有する通気性成形型は、離型剤の効果により容易に模
型より取り外すことができる。模型より取り外した通気
性成形型は、表面側又は裏面側から減圧又は加圧するこ
とにより、多孔質樹脂表面層の細孔内の有機液体を吸引
又は圧出し、中空の細孔を有する多孔質樹脂表面層を備
えた通気性成形型が完成する。多孔質樹脂表面層の表面
状態は、熱硬化性樹脂組成物が硬化した段階ですでに安
定しているので、多孔質裏打ち層形成材料の硬質粒子が
大きくても、その形状が表面に現れることはなく、粒径
の大きい硬質粒子を用いて粒子間の間隙を大きくし、多
孔質裏打ち層における圧力損失を低減することができ
る。このようにして製造される本発明の通気性成形型の
通気量は、微細な細孔を有する多孔質樹脂表面層のみに
よって支配され、多孔質裏打ち層の通気量に対する影響
をなくすことができるので、微細な細孔を有する良好な
表面状態を保ったまま通気量を大きくすることができ
る。
【0009】本発明の成形方法は、熱可塑性樹脂製の板
又は筒(以下、パリソンという。)を用いる成形品の成
形に適用することができる。本発明方法を適用すること
ができる熱可塑性樹脂には特に制限はなく、例えば、塩
化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリア
ミド樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メタクリル樹脂、耐衝
撃性スチレン樹脂などの樹脂板又はパリソンを用いて本
発明方法により成形品を成形することができる。熱可塑
性樹脂板又は筒の厚さには特に制限はなく、例えば、厚
さ0.1〜1mmのような薄手の材料から、厚さ1〜10m
mのような厚手の材料まで、本発明方法に用いることが
できるが、本発明方法により得られる成形品は極めて美
麗な表面を有するので、本発明方法は、特に厚手の材料
を用いる高級品に対して好適に用いることができる。図
2は、本発明の成形方法の一態様の説明図である。本発
明の通気性成形型9が筺体10に気密状態に固定され、
筺体はパイプにより真空系に接続されている。成形材料
である熱可塑性樹脂板11をクランプ12により、通気
性成形型の周辺部に圧着保持する。熱可塑性樹脂板をヒ
ーター(図示されていない。)により加熱し、熱可塑性
樹脂板が軟化したとき、筺体内を減圧にし、通気性成形
型の多孔質裏打ち層側を減圧にすることにより、軟化し
た熱可塑性樹脂板を通気性成形型の多孔質樹脂表面層に
密着させる。成形された熱可塑性樹脂板の温度が下が
り、成形型より取り外してももはや変形しない状態にな
れば、筺体内を常圧に戻し、クランプを外して成形品を
取り出す。本発明の通気性成形型は、美麗な表面を有し
ているので、このような真空成形方法により成形品に成
形型の美麗な表面を転写し、従来より肌目の細かな模型
表面を再現した、美観に優れた成形品を得ることができ
る。図3は、本発明の成形方法の他の一態様の説明図で
ある。本図の態様においては、通気性成形雌型13と通
気性成形雄型14の一対の通気性成形型を使用する。通
気性成形雌型は筺体15に気密状態に固定され、筺体は
パイプ16により真空系に接続されている。通気性成形
雄型は筺体17に気密状態に固定され、筺体はパイプ1
8により加圧系に接続されている。通気性成形雌型の筺
体を減圧にし、通気性成形雄型の筺体を加圧にすること
により、成形される熱可塑性樹脂板の表面を特に精緻に
加工することができる。
【0010】成形材料である熱可塑性樹脂板19をクラ
ンプ20により、図3(a)に示すように通気性成形雌型
の周辺部に圧着保持し、熱可塑性樹脂板をヒーター(図
示されていない。)により加熱する。熱可塑性樹脂板が
軟化したとき、ヒーターを熱可塑性樹脂板上部から移動
除去し、通気性成形雄型を軟化した熱可塑性樹脂板にラ
ム(図示されていない。)などにより押し付け、図3
(b)に示すように通気性成形雌型と通気性成形雄型の間
でプレスする。雌型と雄型を使用することにより、肉厚
成形品や深絞り成形品の加工が容易になり、成形品の良
好な肉厚分布を保つことができる。成形された熱可塑性
樹脂板の温度が下がり、成形型より取り外してももはや
変形しない状態になれば、筺体内を常圧に戻し、通気性
成形雄型を引き上げ、クランプを外して成形品を取り出
す。真空成形においては、通気性成形型の多孔質裏打ち
層側を減圧にすることにより、加熱によって軟化した熱
可塑性樹脂板を多孔質樹脂表面層に密着させるのである
が、その圧力は1kg/cm2以下であるので、成形型の表
面状態が極めて精緻に加工されていて、軟化した熱可塑
性樹脂板が完全に成形型の表面を転写することが困難な
場合も生ずる。このような場合は、通気性成形雄型側を
加圧にすることにより、通気性成形雌型の精緻な表面を
成形材料に正確に転写再現することができる。すなわ
ち、成形材料である熱可塑性樹脂板19をクランプ20
により、通気性成形雌型の周辺部に圧着保持し、熱可塑
性樹脂板をヒーター(図示されていない。)により加熱
する。熱可塑性樹脂板が軟化したとき、ヒーターを熱可
塑性樹脂板上部から移動除去し、通気性成形雄型を軟化
した熱可塑性樹脂板にラム(図示されていない。)など
により押し付け、図3(b)のように通気性成形雌型と通
気性成形雄型の間に挟み込み、通気性成形雌型を取り付
けた筺体15を減圧に、通気性成形雄型を取り付けた筺
体17を加圧にすることにより、軟化した熱可塑性樹脂
板19を強く通気性成形雌型に押し付け、その表面状態
を転写再現させる。通気性成形雄型側の圧力は、通気性
成形型及び筺体の強度を超えない範囲で任意に選ぶこと
ができるが、通常は2〜10kg/cm2が用いられる。成
形された熱可塑性樹脂板の温度が下がり、成形型より取
り外してももはや変形しない状態になれば、筺体内を常
圧に戻し、通気性成形雄型を引き上げ、クランプを外し
て成形品を取り出す。また、本発明の成形方法の別の態
様を説明する。本発明の通気性成形型の多孔質樹脂表面
層が共に雌型である一対の成形型を対面配置し、両雌型
の間に加熱により軟化した熱可塑性樹脂製のパリソンを
介在させて両雌型を接面し、次いで両雌型の多孔質裏打
ち層側を減圧し、要すればパリソンの内側を加圧する操
作も加えることにより、パリソンを膨張せしめて両雌型
の多孔質樹脂表面層に密着させる。かくしてパリソンの
外面に通気性成形型の表面形状を転写させた熱可塑性樹
脂成形品を得ることができる。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1(通気性成形型の作製) エポキシ樹脂[エピコート828、油化シェルエポキシ
(株)製]100重量部、硬化剤[エピキュアT、油化シ
ェルエポキシ(株)製の脂肪族ポリアミン系硬化剤]20
重量部、オクチルジフェニルホスフェート8重量部及び
カーボンブラック(平均粒径0.2μm)100重量部
を均一に混合した。表面を鏡面仕上げしたステンレス鋼
製の模型表面にシリコーン系離型剤を塗布し、上記の混
合物を厚さ100μmに塗布した。模型を加熱炉に入
れ、80℃で2時間加熱して多孔質樹脂表面層を形成し
た。模型及び多孔質樹脂表面層をいったん室温まで冷却
し、エポキシ樹脂[エピコート828、油化シェルエポ
キシ(株)製]100重量部、硬化剤[エピキュアT、油
化シェルエポキシ(株)製]20重量部及び平均粒径50
0μmのアルミニウム粉末2,000重量部を混合し、
樹脂層の裏面に厚さ15mmに積層し、再び加熱炉に入れ
て80℃で2時間、続いて150℃で2時間加熱して硬
化を完了し、多孔質樹脂表面層の裏面に多孔質裏打ち層
を形成した。室温まで冷却したのち、多孔質樹脂表面層
及びエポキシ樹脂で結合したアルミニウム粉末からなる
多孔質裏打ち層を有する成形型を、ステンレス鋼製の模
型から取り外し、裏打ち層側から減圧して、細孔内のオ
クチルジフェニルホスフェートを吸引除去して通気性成
形型を完成した。多孔質樹脂表面層は忠実に模型の鏡面
仕上げを再現し、アルミニウム粉末による凹凸は全く認
められなかった。通気性成形型の通気量を、表面樹脂層
側を大気圧、裏打ち層側を50Torrとし、両面間に71
0Torrの圧力差を設けて測定したところ、34m3(ST
P)/m2・hrであった。表面樹脂層を一部剃刀で剥し、
表面樹脂層にある無数の細孔を走査型電子顕微鏡にて測
定したところ、数平均径2.5μmであった。 実施例2(通気性成形型の作製) エポキシ樹脂[アミノクレゾールトリグリシジルエポキ
シ樹脂]100重量部、硬化剤[イソホロンジアミン3
0重量部及びエポメートQX−3(油化シェルエポキシ
(株)製の複素環式アミン系硬化剤)30重量部]、トリ
クレジルホスフェート8重量部、紅花油5重量部、グリ
セリンソルビタン縮合物のリノール酸エステル2重量部
及び水酸化アルミニウム(平均粒径2.0μm)200
重量部を均一に混合した。表面に牛革状のしぼ模様をも
った軟質塩化ビニル製シートを貼り付けた雌型用の木型
模型にシリコーン系離型剤を塗布し、上記の混合物を厚
さ80μmに塗布した。模型を加熱炉に入れ、80℃で
2時間加熱し、多孔質樹脂表面層を形成した。模型及び
多孔質樹脂表面層をいったん室温まで冷却し、エポキシ
樹脂[エピコート828、油化シェルエポキシ(株)製]
100重量部、硬化剤[エピキュアT、油化シェルエポ
キシ(株)製]20重量部及び平均粒径400μmのガラ
スビーズ2,000重量部を混合し、多孔質樹脂表面層
の裏面に厚さ12mmに積層し、再び加熱炉に入れて80
℃で2時間、続いて150℃で2時間加熱して硬化を完
了した。室温まで冷却したのち、多孔質樹脂表面層とエ
ポキシ樹脂で結合したガラスビーズからなる多孔質裏打
ち層を有する成形型を、木型模型から取り外し、裏打ち
層側から減圧して、細孔内のトリクレジルホスフェー
ト、紅花油及びグリセリンソルビタン縮合物のリノール
酸エステルを吸引除去し、通気性成形雌型を完成した。
多孔質樹脂表面層は忠実に模型の牛革状のしぼ模様を再
現し、ガラスビーズによる凹凸は全く認められなかっ
た。この通気性成形型の通気量を、多孔質樹脂表面層側
を大気圧、裏打ち層側を50Torrとし、両面間に710
Torrの圧力差を設けて測定したところ、48m3(ST
P)/m2・hrであった。又、実施例1と同様にして測定
した表面樹脂層の細孔の数平均径は3.5μmであっ
た。この通気性成形雌型に、厚さ3mmの成形材料を挟ん
で適合する形状の通気性成形雄型を、雌型と同様にして
作製した。 実施例3(通気性成形型の作製) エポキシアクリレート樹脂[ユピカネオポール8250
M、日本ユピカ(株)製]100重量部、トリオクチルホ
スフェート2重量部、トリクレジルホスフェート9重量
部、カーボンブラック(平均粒径0.2μm)100重
量部、オクテン酸コバルト(6重量%液)0.5重量部
及びクメンハイドロパーオキサイド1重量部を均一に混
合した。表面に牛革状のしぼ模様をもった軟質塩化ビニ
ル製シートを貼り付けた木型模型にシリコーン系離型剤
を塗布し、上記の混合物を厚さ100μmに塗布した。
25℃で2時間置いて硬化させ、多孔質樹脂表面層を形
成した。次いで、その上に不飽和ポリエステル樹脂[ユ
ピカ4580、日本ユピカ(株)製]100重量部、オク
テン酸コバルト(6重量%液)0.5重量部、クメンハ
イドロパーオキサイド1重量部及び平均粒径400μm
のガラスビーズ2,000重量部を混合し、多孔質樹脂
表面層の裏面に厚さ20mm乗せ、25℃で3時間置いて
硬化させた。多孔質樹脂表面層と不飽和ポリエステル樹
脂で結合したガラスビーズからなる多孔質裏打ち層とを
有する成形型を木型模型から取り外し、裏打ち層側から
減圧して、細孔内のトリオクチルホスフェート及びトリ
クレジルホスフェートを吸引除去し、通気性成形型を完
成した。多孔質樹脂表面層は忠実に模型の牛革状のしぼ
模様を再現し、ガラスビーズによる凹凸は全く認められ
なかった。この通気性成形型の通気量を、多孔質樹脂表
面層側を大気圧、裏打ち層側を50Torrとし、両面間に
710Torrの圧力差を設けて測定したところ、56m3
(STP)/m2・hrであった。実施例1と同様にして測
定した表面樹脂層の細孔の数平均径は3.7μmであっ
た。 実施例4(真空成形) 実施例1において作製した通気性成形型を用いて、硬質
塩化ビニル樹脂シートの真空成形を行った。通気性成形
型を筺体に取り付け、図2に示す装置を作製した。厚さ
1mmの硬質塩化ビニル樹脂シートを通気性成形型の周辺
部にクランプにより圧着保持し、ヒーターにより加熱し
た。硬質塩化ビニル樹脂シートの温度が105℃になっ
たとき、筺体を50Torrの減圧にした。硬質塩化ビニル
樹脂シートは直ちに通気性成形型に吸引され、その多孔
質樹脂表面層に密着した。硬質塩化ビニル樹脂シート成
形品の温度が50℃まで下がったとき、筺体内を常圧に
戻し、通気性成形型より成形品を取り外した。硬質塩化
ビニル樹脂シート成形品の表面状態を観察したところ、
成形型の鏡面状態を正確に反転再現していた。 実施例5(真空圧空成形) 実施例2において作製した一対の通気性成形型を用い
て、硬質塩化ビニル樹脂板の真空圧空成形を行った。通
気性成形雌型及び通気性成形雄型を筺体に取り付け、図
3(a)に示す装置を作製した。厚さ3mmの硬質塩化ビニ
ル樹脂板を、通気性成形雌型の周辺部にクランプにより
圧着保持し、ヒーターにより加熱した。硬質塩化ビニル
樹脂板の温度が120℃になったとき、ヒーターを移動
し、上部より通気性成形雄型を押し付けて、雌型と雄型
により硬質塩化ビニル樹脂板をプレスし、同時に雌型側
の筺体を50Torrの減圧に、雄型側の筺体を5kg/cm2
の加圧にした。硬質塩化ビニル樹脂板成形品の温度が4
0℃まで下がったとき、両筺体内を常圧に戻し、通気性
成形型より成形品を取り外した。硬質塩化ビニル樹脂板
成形品の表面状態を観察したところ、通気性成形雌型の
牛革状のしぼ模様を忠実に反転再現していた。 実施例6(真空成形) 実施例3で作製した通気性成形型を用いて、実施例4と
同様に塩化ビニル樹脂シートにて真空成形を行ったとこ
ろ、成形品は成形型の牛革状のしぼ模様を忠実に再現し
ていた。
【0012】
【発明の効果】本発明の通気性成形型は、平滑性に優れ
た鏡面あるいは精緻な模様の型表面を有し、しかも通気
量が大きく、本発明の成形方法によれば、成形の生産性
が良好であり、型面の美麗な鏡面状態あるいは精緻な表
面模様を、成形品表面に忠実に反転再現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の通気性成形型の製造の一態様
を示す部分断面図である。
【図2】図2は、本発明の成形方法の一態様の説明図で
ある。
【図3】図3は、本発明の成形方法の他の一態様の説明
図である。
【符号の説明】
1 熱可塑性樹脂板成形面に対応する模型 2 型枠 3 離型剤 4 熱硬化性樹脂組成物 5 細孔 6 多孔質樹脂表面層 7 硬質粒子 8 多孔質裏打ち層 9 通気性成形型 10 筺体 11 熱可塑性樹脂板 12 クランプ 13 通気性成形雌型 14 通気性成形雄型 15 筺体 16 パイプ 17 筺体 18 パイプ 19 熱可塑性樹脂板 20 クランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 淳夫 東京都杉並区堀ノ内三丁目29番8号 (72)発明者 水江 俊夫 神奈川県横浜市戸塚区矢部町1394番24号 (72)発明者 五十嵐 和明 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂、硬化前の該熱硬化性樹脂に
    は相溶するが、硬化後の該熱硬化性樹脂には相溶しない
    有機液体及び充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を硬
    化してなる表裏両面を連通する細孔を有する多孔質樹脂
    表面層と、平均粒径10〜1,000μmの硬質粒子を
    合成樹脂バインダーで接着させてなる多孔質裏打ち層か
    らなる通気性成形型。
  2. 【請求項2】熱可塑性樹脂成形品の成形面に対応する表
    面を有する模型の周囲に型枠をめぐらし、該表面上に、
    熱硬化性樹脂、硬化前の該熱硬化性樹脂には相溶する
    が、硬化後の該熱硬化性樹脂には相溶しない有機液体及
    び充填剤を含有する熱硬化性樹脂組成物を厚さ10〜
    1,000μmの膜状に塗布し、これを硬化することに
    より、分離した有機液体が充満した表裏両面を連通する
    細孔を有する多孔質樹脂表面層を形成し、次いで該多孔
    質樹脂表面層と型枠とにより形成される空間部に、合成
    樹脂バインダーを表面に被覆した平均粒径10〜1,0
    00μmの硬質粒子を充填して加熱することにより、硬
    質粒子間及び硬質粒子と多孔質樹脂表面層の相互間を合
    成樹脂バインダーで接着させて多孔質裏打ち層を形成
    し、しかるのち模型及び型枠を取り外し、加圧又は減圧
    により細孔内の有機液体を除去して得られる、多孔質樹
    脂表面層及び多孔質裏打ち層を有する通気性成形型。
  3. 【請求項3】請求項1又は請求項2記載の通気性成形型
    の多孔質樹脂表面層側に、加熱により軟化した熱可塑性
    樹脂板を設置し、多孔質裏打ち層側を減圧することによ
    り、該熱可塑性樹脂板を通気性成形型の多孔質樹脂表面
    層側に密着させることを特徴とする熱可塑性樹脂成形品
    の成形方法。
  4. 【請求項4】請求項1又は請求項2記載の通気性成形型
    において、多孔質樹脂表面層が共に雌型である一対の通
    気性成形型を対面配置し、両雌型の間に加熱により軟化
    した熱可塑性樹脂製のパリソンを介在させて両雌型を接
    面し、次いで両雌型の多孔質裏打ち層側を減圧すること
    によりパリソンの外面に通気性成形型の表面形状を転写
    することを特徴とする熱可塑性樹脂成形品の成形方法。
  5. 【請求項5】請求項1又は請求項2記載の通気性成形型
    において、多孔質樹脂表面層が雄型及び雌型である一対
    の通気性成形型を形成し、雄型及び雌型の間に加熱によ
    り軟化した熱可塑性樹脂板を介在させてプレス成形する
    とともに、一方の通気性成形型の多孔質裏打ち層側を減
    圧し、他方の通気性成形型の多孔質裏打ち層側を加圧す
    ることにより、熱可塑性樹脂板の片面に多孔質裏打ち層
    側を減圧した通気性成形型の表面形状を転写することを
    特徴とする熱可塑性樹脂成形品の成形方法。
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