JPH0994098A - 微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法 - Google Patents

微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法

Info

Publication number
JPH0994098A
JPH0994098A JP25248795A JP25248795A JPH0994098A JP H0994098 A JPH0994098 A JP H0994098A JP 25248795 A JP25248795 A JP 25248795A JP 25248795 A JP25248795 A JP 25248795A JP H0994098 A JPH0994098 A JP H0994098A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
microorganisms
container
antibody
microorganism
immobilized
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25248795A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuki Yabushita
安紀 藪下
Norio Koike
紀夫 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP25248795A priority Critical patent/JPH0994098A/ja
Publication of JPH0994098A publication Critical patent/JPH0994098A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 試料液中の目的の微生物のみを選択的に捕捉
・濃縮する方法、およびそれを用いた効率的な微生物の
検査方法を提供する。 【解決手段】 目的とする微生物に特異的に結合する抗
体が内面に固定化された容器に試料液を加えて、試料液
中に存在する目的の微生物を選択的に捕捉し、次いで容
器の内面に捕捉された微生物を、試料液よりも少量でか
つ微生物を含まない液体に分散させることを特徴とする
微生物の選択的濃縮方法、および上記方法により濃縮さ
れた微生物からDNAを取り出し、PCR法により遺伝
子を増幅させた後、その遺伝子情報をもとに微生物を検
査することを特徴とする微生物検査法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、臨床検査、食品検
査の分野で利用される試料中の微生物の選択的濃縮方法
およびこれを用いた微生物検査法に関するものであり、
さらに詳しくは、ヒトの血液、体液、尿、糞便、組織等
を直接若しくは他の分散液に懸濁した試料、または食品
を直接若しくは他の分散液に懸濁した試料中に含まれる
複数種あるいは少量の微生物の中から、目的とする微生
物を選択的に捕捉、濃縮する方法、およびこの微生物か
らDNAを取り出し、PCR法により試料液中の微生物
を検査する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】臨床検査や食品検査において試料中の微
生物の検査は正確にかつ迅速に行われる必要がある。微
生物検査で一般的に行われている培養検査法では検査に
熟練を要する上、10〜16時間の増菌培養、18〜24時間の
分離培養が必要であり、検体入手後検査成績が判明する
ためには膨大な時間を要し、また化学療法の普及等によ
り試料に生菌がほとんど含まれないケースがあるなど臨
床医の治療に際しての要求に必ずしも応えられていない
のが現状であり、微生物検査においては高感度で迅速な
検査法の開発が望まれていた。
【0003】近年、これら培養検査法の問題点を解決す
る手段として、DNAプローブ法等の分子遺伝学的検査
法やELISA法、逆受身ラテックス凝集反応法(RP
LA法)に代表される免疫学的検査法が開発され研究が
進められている。これらの方法は、いずれも特異性、迅
速性、簡便性などの点で優れ、しかも直接検体から検出
できる可能性を有しているので、極めて迅速に診断が可
能となり得るものとして期待されており、実用化されて
いるものもいくつかある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、分子遺伝学的検
査法に関しては、最近、目的とする特定の遺伝子を合
成、増幅させるPCR(Polymerase chain reaction) 法
が開発され、急速に普及しつつある。この方法は目的と
する遺伝子の塩基配列に特異的に反応するプライマーと
DNA合成酵素を利用して目的の遺伝子のみを増幅させ
るものであり、増幅された遺伝子はアガロースゲル電気
泳動法またはDNAプローブ法により検出できる。PC
R法は理論上目的とする遺伝子が試料中に1個以上あれ
ば検出が可能であり、目的とする微生物の遺伝子の特定
の塩基配列が決定されていれば、極めて高感度で迅速な
検出方法となり得る。しかし、このPCR法を用いて試
料中の微生物を検出する場合、試料中に存在する目的と
する微生物の数が多い場合には問題はないが、逆に極め
て少ない場合には試料の一部を取り、PCR反応にかけ
た際、取った試料中に目的とする微生物が存在しない可
能性が高く、増幅反応のサイクルをいくら増やしても目
的の遺伝子が検出されない場合が多い。そのために1つ
の試料から複数サンプリングする必要が生じ、結果的に
確率に依存しなければならないという問題点があった。
また、試料中に目的とする微生物以外の微生物が混在し
ている場合には、その微生物の遺伝子を同時に増幅する
ために偽陽性を引き起こす可能性が高くなるという問題
点もあった。
【0005】このため、PCR法により直接検体から目
的の微生物の有する遺伝子を増幅させて検出すること
は、検体中に比較的多く含まれる一部の微生物の検出へ
の応用に限られ、大部分の微生物の検出には依然として
増菌培養操作の必要性があった。
【0006】本発明は試料液中の目的の微生物のみを選
択的に捕捉・濃縮する方法、およびそれを用いたPCR
法による効率的な微生物の検査方法を提供することを目
的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、このよう
な課題を解決するために鋭意検討の結果、目的とする微
生物に特異的に結合する抗体を内面に固定化した高分子
材料からなる容器を用いることにより、試料液中の目的
とする微生物のみを選択的に捕捉し、濃縮することがで
きることを見出し、さらに、この濃縮した微生物のDN
AをPCR法にかけることにより目的の微生物の遺伝子
を効率的に増幅させることができ、微生物の検査が可能
となることを見出し、本発明に到達した。
【0008】すなわち、本発明は目的とする微生物に特
異的に結合する抗体が内面に固定化された容器に試料液
を加えて、試料液中に存在する目的の微生物を選択的に
捕捉し、次いで容器の内面に捕捉された微生物を、試料
液よりも少量でかつ微生物を含まない液体に分散させる
ことを特徴とする微生物の選択的濃縮方法、および上記
方法により濃縮された微生物からDNAを取り出し、P
CR法により遺伝子を増幅させた後、その遺伝子情報を
もとに微生物を検査することを特徴とする微生物検査法
を要旨とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における微生物とは、例えば、結核菌、ブドウ球
菌、レンサ球菌、淋菌、梅毒菌、百日咳菌、破傷風菌、
大腸菌、肺炎球菌、緑膿菌、赤痢菌、ジフテリア菌、腸
チフス菌、パラチフス菌、セレウス菌、エルシニア菌、
カンピロバクター、ウエルシュ菌、ディフィシル菌、サ
ルモネラ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、ボツリヌス菌、
ヘリコバクター、プレシオモナス菌、エロモナス菌、レ
ジオネラ、クラミジア、スピロヘータ等の細菌、カンジ
ダ、酵母、アスペルギルス、カビ等の真菌、肺炎ウィル
ス、肝炎ウィルス、エイズウィルス、ロタウィルス、ヘ
ルペスウィルス、RSウィルス、ポリオウィルス、イン
フルエンザウィルス、麻疹ウィルス、サイトメガロウィ
ルス、デングウィルス等のウィルス等の病原微生物、一
般環境下に存在するバチルス菌、放線菌、光合成細菌、
古細菌、硝酸菌等の病原性を有さない微生物、藻類等が
挙げられる。
【0010】本発明における試料液とは、(1) ヒトの血
液,体液,喀痰,尿,糞便等をそのまま、または蒸留
水,緩衝液,生理食塩水等に懸濁した溶液、(2) ヒトの
組織を蒸留水,緩衝液,生理食塩水等に懸濁した溶液、
(3) 魚貝類、肉類、穀類、野菜果物類等の食品類、また
はこれらの加工食品類を蒸留水,緩衝液,生理食塩水等
に懸濁した溶液、(4) 海水,河川水,工業用水,飲料
水,廃水,下水等自然環境下に存在する水系、(5) 土壌
等を蒸留水,緩衝液,生理食塩水等に懸濁した溶液、
(6) 先に挙げた微生物のコロニー等を培養液や蒸留水,
緩衝液,生理食塩水等に懸濁した溶液等が挙げられる。
【0011】本発明に用いる容器の材質としては、いか
なるものでもよく、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合
体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、ナイロンなどのポリアミ
ド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアクリル
酸、セルロース、天然ゴム、ガラス等の高分子材料及び
それらの誘導体等が挙げられ、有機高分子材料でも、無
機高分子材料でもよい。また、これらの材料を他の材料
からなる容器の内面にコーティングして得られる容器を
用いてもよい。
【0012】本発明に用いる容器の形状としてはいかな
るものでもよいが、好ましくは容器の底面が開口面より
も狭まった逆円錐状の容器が良い。また、試料液、補足
した微生物を分散させる液体等の液交換を効率的に行う
ために、容器の内面は角が丸まり継ぎ目が無いことが好
ましい。さらに、使用する容器にはしっかりと密閉でき
る蓋を設けることが望ましい。蓋の材質はいかなるもの
でもよいが、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン
等の反応性官能基を持たない材質がよい。
【0013】本発明においては、試料中の微生物を選択
的に捕捉するために、目的とする微生物に特異的に結合
し得る抗体を容器の内面に固定化する。抗体としては目
的とする微生物表面の構造に特徴的な成分を有するもの
であればいかなるものであってもよく、例えば微生物そ
のものや、細胞表面に存在する糖質、タンパク質、糖タ
ンパク、脂質、および定着因子を含めた鞭毛、線毛に対
する抗体であってもよい。
【0014】本発明において微生物を捕捉するために、
高分子材料からなる容器の内面に抗体を固定化する方法
としては、例えば、物理的吸着法、イオン結合法、共有
結合法等が挙げられるが、より多くの抗体を安定に固定
化できる点から共有結合法を用いることが好ましい。
【0015】高分子材料からなる容器に抗体を共有結合
により固定化するには、高分子材料表面にカルボキシル
基、ホルミル基、アミノ基、アジド基、イソシアネート
基、クロロホルミル基、酸無水物基、エポキシ基等の反
応性官能基を導入する必要がある。予めこれらの官能基
が存在する材料はそのまま用いることができるが、これ
らの官能基を有する高分子材料であってもこれらの官能
基を増幅させて用いることもできる。
【0016】高分子材料表面に反応性官能基を導入する
方法としては、例えば、以下のような方法が挙げられ
る。反応性官能基としてカルボキシル基を導入する場合
は、例えばセルロースの水酸基や、ケン化したエチレン
酢酸ビニル共重合体等の水酸基をカルボキシメチル化す
ればよい。カルボキシル基はヒドラジド基を経てアシド
基に誘導することができる。また、カルボキシル基は塩
化チオニル、塩化アセチル等でクロル化することにより
クロロホルミル基に誘導することができる。
【0017】また、アミノ基は水酸基が導入された高分
子材料ではアミノアセタール化により導入することがで
き、活性化されたガラスでは3−アミノプロピルトリエ
トキシシランと反応させることにより導入することがで
きる。
【0018】エポキシ基は水酸基が導入された高分子材
料をエピクロルヒドリン、ジエチレングリコールジグリ
シジルエーテル等と反応させることにより導入される。
イソシアネート基はヘキサメチレンジイソシアナート、
トリレンジイソシアナート等と反応させることにより導
入される。
【0019】ホルミル基は水酸基が導入された高分子材
料をグルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン等と反
応させることにより導入される。
【0020】酸無水物基はアミノ基が導入された高分子
材料をエチレン−無水マレイン酸共重合体、メチルビニ
ルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水
マレイン酸共重合体等と反応させることにより導入され
る。
【0021】その他、反応性官能基の材料表面への導入
方法としては、例えば、特開平4−173090号公報
に開示されているポリウレタンやポリスチレン等に無水
マレイン酸との共重合体をγ線や電子線によりグラフト
重合させ酸無水物基を導入する等、反応性官能基を物理
的に導入することもできる。
【0022】また、反応性官能基を有する化合物を容器
全体、または容器内面のみにコーティングすることによ
り反応性官能基を導入する方法もある。
【0023】更に、あらかじめ反応性官能基を有する高
分子材料においても、例えば、ナイロン表面に大量のア
ミノ基を導入するためにナイロンを酸処理し、表面を加
水分解して、カルボキシル基を露出した後、ポリエチレ
ンイミン等のポリアミンを作用させる等の処理を行うこ
とにより、より多くの反応性官能基を導入することがで
きる。
【0024】反応性官能基と抗体との共有結合法として
は多くの方法が開発され公知となっているが、例えば、
アミノ基が導入された高分子材料を希塩酸と亜硝酸ナト
リウムによりジアゾニウム化し抗体とジアゾカップリン
グさせる方法や、カルボキシル基またはアミノ基を導入
した高分子材料にカルボジイミド試薬等の縮合試薬によ
り抗体タンパクとアミド結合させる方法、カルボキシル
基を導入した高分子材料をアジド、クロリド、イソシア
ネート等の誘導体として抗体タンパクのアミノ基と反応
させる方法、ハロゲン等の反応性官能基を導入した高分
子材料に抗体タンパクのアミノ基、フェノール性水酸
基、チオール基等とアルキル化する方法等がある(『固
定化生体触媒』千畑一郎編、講談社)。また、特開平5
−249116号公報に開示されている酸無水物基を導
入された高分子材料に抗体タンパクのアミノ基やチオー
ル基とを比較的温和な条件で固定化する方法もある。
【0025】反応性官能基が存在しない高分子化合物に
はアンモニア−プラズマ処理やγ線、電子線などの放射
線処理によりアミノ基等、目的とする反応性官能基を導
入することが可能である。
【0026】容器の内面に抗体を固定化する位置として
は、抗体を固定化した容器に試料液を加え、目的の微生
物を捕捉した後、試料液を棄て、次に捕捉した微生物を
PCR反応用分散液等の液体に分散させる際、抗体を固
定化した部分が、捕捉した目的の微生物を分散させるた
めに加えた液体に完全に浸漬していればれよい。
【0027】本発明では、目的とする微生物に対する抗
体を内面に固定化した容器に試料溶液を加え、微生物を
捕捉するが、捕捉の際の試料溶液中の温度としては、0
〜45℃、好ましくは20〜37℃である。浸漬時間と
しては、数秒〜24時間、好ましくは1分〜1時間、更
に好ましくは1分〜10分間である。この時、試料液を
入れた容器は静止状態でもよいが、蓋を取り付けて適度
に上下、左右に手で揺り動かせたり、振盪器を用いて振
盪すると、より効率的に微生物を捕捉することができ
る。この時の振盪数は1〜200rpmが好ましく、特に50〜
100rpmが好ましい。
【0028】試料液中の微生物を捕捉した容器には、試
料液よりも少量でかつ微生物を含まないPCR反応用の
分散液等の液体を加えて、この溶液に捕捉した微生物を
分散させることにより目的の微生物を選択的に濃縮する
ことができる。本発明に用いる捕捉した微生物を分散さ
せる液体としては、例えば、微生物用培養液、蒸留水、
緩衝液、生理食塩水等が挙げられる。微生物を分散させ
る際の微生物を分散させる液体の温度としては、0℃〜
45℃、好ましくは20〜37℃である。分散時間とし
ては、数秒〜1時間、好ましくは数秒〜10分間、更に
好ましくは30秒〜5分間である。この時、微生物を分
散させる液体を加えた容器は静止状態で置くことも可能
であるが、蓋を取り付けて適度に上下、左右に手で揺り
動かせたり、振盪器を用いて振盪すると、より効率的に
微生物を分散液に分散させることができる。この時の振
盪数は1〜500rpmが好ましく、特に80〜200rpmが好まし
い。
【0029】上記方法により得られた目的の微生物を選
択的に濃縮した液体は、PCR法により種々の微生物検
査に応用することが可能である。ここで微生物の検査と
は、微生物特有の遺伝子配列をもとに、微生物の種類の
決定、血清型別等の菌体表面に特徴的な構造、毒素等病
原因子の産生、その他酵素タンパク、糖質、脂質などを
産生する性状等を検査することである。本発明の微生物
検査法は、上記方法により得られた目的の微生物を選択
的に濃縮した液体中の菌体からDNAを取り出し、PC
R法等のDNA増幅法を用いて遺伝子を増幅させた後、
微生物特有の遺伝子配列をもとに微生物検査を行うもの
である。
【0030】微生物細胞からDNAを取り出す方法とし
ては、例えば、90℃以上の加熱処理、アルカリ処理、
界面活性剤処理、酵素処理などにより細胞を破壊する方
法が挙げられる。また、これらの方法を組合わせること
も可能である。
【0031】微生物から取り出したDNAは、PCR(p
olymerase chain reaction) 法により増幅して微生物の
検査に用いる。PCR法の原理は、2本鎖のDNAが9
0℃以上の加熱で1本鎖に分かれ、温度を下げると同じ
2本鎖に戻る性質に基づいている。基本的には2本鎖の
DNAを92〜94℃に加熱して1本鎖にするために必
要な熱変性する操作(Denature)、温度を45〜60℃ま
で下げることにより1本鎖のDNAの目的の遺伝子配列
と相補的な部分へ、予めDNAの既知の塩基配列をもと
に合成された塩基配列(プライマー)を結合させるアニ
ーリング(Annealing) 操作、温度を72〜75℃に上
げ、DNAポリメラーゼを反応させることによりアニー
リングした2箇所のプライマーと結合した部分からDN
Aの塩基配列に相補的な部分が合成される伸長(Extensi
on) 操作からなり、この操作をn回繰り返すことによ
り、目的とする遺伝子配列が(2n −n−1)倍に増幅
される。
【0032】PCR法により増幅された微生物のDNA
の塩基配列をもとに微生物を検査する方法としては、公
知の方法を用いればよい。例えば、アガロースゲル電気
泳動法、標識DNAプローブ法を用いて増幅された塩基
配列を検出することができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 参考例1(微生物捕捉用抗体の作製) 微生物に対する抗体として、コレラ菌に対するポリクロ
ナール抗体を以下の方法により作製した。コレラ菌とし
てはビブリオ・コレラ O1 (Vibrio choleraeO1)を用
いた。この菌は大阪大学微生物病研究所に所有されてい
るが「健康又は環境に対し害を及ぼし,又は及ぼす恐れ
のある性質を有する微生物」に該当するため工業技術院
生命工学工業技術研究所に寄託することができないもの
である。コレラ菌を1×107 個/mlになる様に0.9 %塩
化ナトリウムを含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0 :以下PB
S と略す)に懸濁し、これに等量のフロイント完全(Fr
eund complete )アジュバント〔ディフコ(Difco )社
製〕を加えたものを、体重約2kgのウサギに投与するこ
とにより免疫した。25日後、フロイント完全アジュバン
トの代わりにフロイント不完全(Freund incomplete )
アジュバント〔ディフコ(Difco )社製〕を加えたもの
を投与して、再び免疫した。この2回目の免疫を行った
1週間後、採血を行い、抗血清を得た。得られた抗血清
に50%の硫酸アンモニウムを加え沈殿を生じさせた。こ
の操作を2回繰り返し得られた沈殿を10mMリン酸緩衝液
(pH7.0 )に溶解し、同緩衝液で透析した後、得られた
免疫グロブリンをコレラ菌に対するポリクローナル抗体
として用いた。
【0034】参考例2(抗体固定化容器の作製) 〔ナイロン製容器への抗体の共有結合による固定化(1)
〕参考例1で得られた抗体を、酸無水物基を介してナ
イロン6製容器に固定化した。固定化は以下の方法によ
り行った。射出成形機(日本製鋼社 J-100S )を用いて
ナイロン6製容器(内径10mm、深さ30mm)を作製した。
この時の成形条件はシリンダー温度 250℃、金型温度 1
00℃、射出圧力1400kg/cm2 、二次圧力1000kg/cm2
背圧 100kg/cm2 、射出時間 0.6秒であった。この容器
に3N塩酸 0.5mlを加え、30℃、30分間反応させた後、
蒸留水にて洗浄した。乾燥後、10%(w/v )ポリエチレ
ンイミン水溶液とメタノールとの1:5混合液 0.5mlを
加え、25℃で30分間反応させ、同液を回収した。次に、
上記混合液 0.5mlに5%ジシクロヘキシルカルボジイミ
ドのメタノール溶液1.0ml を加えた溶液 0.5mlを容器に
加え、引き続き室温で2時間反応させることによりナイ
ロン表面のアミノ基の増幅を行った。さらに、メタノー
ルにて洗浄、乾燥後、2%(w/v )スチレン−無水マレ
イン酸共重合体の脱水アセトン溶液 0.5mlを加え、室温
にて1時間反応させた後、アセトンにて洗浄し、真空乾
燥し、得られた容器を抗体固定化に用いた。抗体の固定
化は、上記処理した容器に、参考例1で得られたコレラ
菌に対する抗体を2μg/mlとなるように含有した10mMリ
ン酸緩衝液 0.5mlを加え、4℃、16時間静置することに
より行った。固定化反応後は容器を蒸留水にて洗浄、乾
燥した。
【0035】参考例3(抗体固定化容器の作製) 〔ナイロン製容器への抗体の共有結合による固定化(2)
〕参考例1で得られた抗体を、グルタルアルデヒドを
用いて参考例2で作製したナイロン6製容器に固定化し
た。固定化は以下の方法により行った。射出成形により
作製したナイロン6製容器に3N塩酸 0.5mlを加え、30
℃、30分間反応させた後、蒸留水にて洗浄した。乾燥
後、10%(w/v )ポリエチレンイミン水溶液とメタノー
ルとの1:5混合液 0.5mlを加え、25℃で30分間反応さ
せ、同液を回収した。次に、上記混合液 0.5mlに5%ジ
シクロヘキシルカルボジイミドのメタノール溶液1.0ml
を加えた溶液 0.5mlを容器に加え、引き続き室温で2時
間反応させることによりナイロン表面のアミノ基の増幅
を行った。さらに、メタノールにて洗浄、乾燥後、 0.3
75%(V/V )となるようにグルタルアルデヒドを含有す
る0.02NNaOH溶液 0.5mlを加え、30℃、30分間処理し
た。その後、 0.1%タンニン酸溶液0.5ml を加え、30
℃、15分間処理し、蒸留水にて洗浄乾燥し、得られた容
器を抗体固定化に用いた。抗体の固定化は、上記処理し
た容器に、参考例1で得られたコレラ菌に対する抗体を
2μg/mlとなるように含有した10mMリン酸緩衝液 0.5ml
を加え、4℃、16時間静置することにより行った。固定
化反応後は容器を蒸留水にて洗浄、乾燥した。
【0036】参考例4(抗体固定化容器の作製) 〔ナイロン製容器への抗体の共有結合による固定化(3)
〕参考例1で得られた抗体を、参考例2で作製したナ
イロン6製容器へ縮合反応により固定化した。抗体の固
定化は以下の方法により行った。射出成形により作製し
たナイロン6製容器に3N塩酸 0.5mlを加え、30℃、30
分間反応させた後、蒸留水にて洗浄した。乾燥後、10%
(w/v )ポリエチレンイミン水溶液とメタノールとの
1:5混合液 0.5mlを加え、25℃で30分間反応させ、同
液を回収した。次に、上記混合液 0.5mlに5%ジシクロ
ヘキシルカルボジイミドのメタノール溶液1.0ml を加え
た溶液 0.5mlを容器に加え、引き続き室温で2時間反応
させることによりナイロン表面のアミノ基の増幅を行っ
た。さらに、メタノールにて洗浄、乾燥後、0.01N塩酸
0.5mlを加え、室温で10分間反応させた後、蒸留水にて
洗浄した。その後、 0.1Mリン酸緩衝液:0.9 %NaCl=
1:1(pH 5.0)からなる溶液0.4ml を加えた。これに
WSC〔1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)−カルボジイミド・塩酸塩〕 0.02mg を加え、氷上
にて10分間静置した。得られた容器を抗体固定化に用い
た。抗体の固定化は、上記処理した容器に、参考例1で
得られたコレラ菌に対する抗体を2μg/mlとなるように
含有した10mMリン酸緩衝液 0.1mlを加え、氷上で、16時
間静置することにより行った。固定化反応後は容器を蒸
留水にて洗浄、乾燥した。
【0037】参考例5(抗体固定化容器の作製) 〔ポリスチレン容器への抗体の物理的吸着による固定
化〕参考例1で得られた抗体を物理的吸着反応によりポ
リスチレン容器へ固定化した。抗体の固定化は以下の方
法により行った。ポリスチレン ELISAプレート〔ベクト
ン・ディッキンソン社(Becton Dickinson& Company)
製〕に参考例1で得られたコレラ菌に対する抗体を2μ
g/mlとなるように含有した 50mM 炭酸緩衝液(pH 9.6)
0.5mlを加え、4℃、16時間静置し、抗体固定化反応を
行った。固定化反応後は容器を蒸留水にて洗浄、乾燥し
た。
【0038】参考例6(抗体固定化容器の作製) 〔ガラス容器への抗体の共有結合による固定化〕参考例
1で得られた抗体をアルキルアミノ化ガラスへ固定化し
た。抗体の固定化は以下の方法により行った。多孔質ガ
ラスチューブ(コーニング社製)に 0.1MHNO3 0.5mlを
加え、3時間加熱した。洗浄後、90℃にて真空乾燥し、
さらに 500℃、3時間加熱処理した。このガラス容器を
10%(v/v )3−アミノプロピルトリエトキシシランの
トルエン溶液中で3時間還流し、トルエンにて洗浄、乾
燥し、アルキルアミノ化ガラス容器を得た。得られたガ
ラス容器に、参考例1で得られたコレラ菌に対する抗体
を2μg/mlとなるように含有した10mMリン酸緩衝液(pH
5.0) 0.3mlにジシクロヘキシルカルボジイミド2μg
を加え、4℃、16時間放置し、抗体固定化反応を行っ
た。固定化反応後は容器を蒸留水にて洗浄、乾燥した。
【0039】実施例1(抗体固定化容器による微生物の
選択的捕捉・濃縮方法) 〔抗体固定化容器によるコレラ菌の選択的捕捉・濃縮〕
参考例2で得た抗体を固定化したナイロン容器を用いて
微生物の選択的捕捉・濃縮を行った。微生物としては、
コレラ菌〔ビブリオ・コレラ O1 (Vibrio cholerae O
1)〕のコレラ毒素(CT)産生株 AQ-1001を用いた。
この菌は大阪大学微生物病研究所に所有されているが
「健康又は環境に対し害を及ぼし,又は及ぼす恐れのあ
る性質を有する微生物」に該当するため工業技術院生命
工学工業技術研究所に寄託することができないものであ
る。上記コレラ菌を3%食塩を含むハートインフュージ
ョンプレート〔ディフコ(Difco )社製〕に植菌し、37
℃で16時間培養した。得られたコロニーは3%食塩を含
むハートインフュージョン〔ディフコ(Difco )社製〕
の液体培地にて培養し、610nm における吸光度より、1
×102 個/mlに菌数を合わせた。得られた培養液を参考
例2で得た抗体固定化ナイロン容器に 0.5ml加えた。培
養液の入ったナイロン容器は振盪機を用いて100rpm、3
分間振盪させた後、培養液を取り出し、滅菌蒸留水にて
3回置換、洗浄した。次に、菌体を捕捉したナイロン容
器に菌体を含まない3%食塩を含むハートインフュージ
ョン〔ディフコ(Difco )社製〕液体培地20μl を加
え、振盪機にて100rpm、3分間振盪させて、捕捉した菌
体を液体培地に分散させた。この液体培地に80μl の同
じ液体培地を加え、全量100 μl とした後、これをコレ
ラ菌用選択培地(TCBS培地、日水製薬社製)に塗布し、
37℃、16時間培養した。培養後、得られたコロニー数を
調べたところ、上記操作により、1mlの培養液中に存在
していた1×102 個のコレラ菌のほとんどが20μl の培
養液に懸濁されており、菌体培養液は約50倍に濃縮され
たことが確認された。
【0040】実施例2〜5(抗体固定化容器による微生
物の選択的捕捉・濃縮方法) 〔抗体固定化容器によるコレラ菌の選択的捕捉・濃縮〕
参考例2で得た抗体固定化ナイロン容器の代りに、参考
例3、参考例4、参考例5、参考例6で得られた抗体固
定化容器を用いた以外は実施例1と同様の操作を行っ
た。(参考例3で得られた抗体固定化容器を用いたもの
を実施例2、参考例4で得られた抗体固定化容器を用い
たものを実施例3、参考例5で得られた抗体固定化容器
を用いたものを実施例4、参考例6で得られた抗体固定
化容器を用いたものを実施例5とした。) 上記操作の結果、いずれの抗体固定化容器を用いた場合
も、1mlの培養液中に存在していた1×102 個のコレラ
菌のほとんどが 20 μl の培養液に懸濁されており、菌
体培養液は約25倍に濃縮されたことが確認された。
【0041】実施例6(選択的に濃縮された微生物のP
CR法による検出方法) 〔選択的に濃縮されたコレラ菌からのPCR法によるコ
レラ毒素遺伝子の検出〕実施例1で得られたコレラ菌の
濃縮された菌体培養液を用いて、コレラ毒素遺伝子の検
出を宮城らの方法(細菌学技術叢書12『細菌性病原因
子研究の基礎的手技と臨床検査への応用』 菜根出版 1
993 )に従って行った。×10リークションバッファー
(Reaction buffer ,東洋紡社製)5μl 、2mMデオキ
シヌクレオチド3リン酸混合液(dNTP mixture,東洋紡
社製)5μl 、100 μM DNA プライマーセンス(DNA pr
imer sense,コレラ毒素,和光純薬社製)1μl 、 100
μM DNA プライマーアンチセンス (DNA primer antisen
se,コレラ毒素,和光純薬社製)1μl 、2μg/mlサー
マス・サーモフィルス HB8(Tth )DNA ポリメラーゼ
(東洋紡社製)1μl 、滅菌蒸留水32μl からなる反応
液45μl を調製し、0.5ml マイクロチューブ(エッペン
ドルフ社製)に分注した。この反応液に、実施例1にて
菌体を濃縮した液体培地20μl を10分間煮沸して加熱溶
菌させたものを5μl 加え、流動パラフィンを1滴加え
た後、遠心分離(15,000rpm,30分間)し、上清を得た。
これをPCR装置にセットし、94℃、1分間の前熱変性
を行い、熱変性(94℃,25秒)、アニーリング(55℃,
35秒)、伸長(75℃,20秒)のステップを25サイクル行
うことにより、遺伝子の増幅を行った。PCRによる遺
伝子の増幅操作の結果を 0.8%アガロースゲル電気泳動
法(100V,30分間)により確認したところ、380bp (塩
基対)の位置に増幅された遺伝子のバンドが認められ
た。以上の結果から、本発明の微生物の選択的捕捉・濃
縮方法により得られた菌体培養液をPCR法に適用する
ことにより、微生物の検出が可能であることは明らかで
ある。
【0042】実施例7〜10(選択的に濃縮された微生
物のPCR法による検出方法) 〔選択的に濃縮されたコレラ菌からのPCR法によるコ
レラ毒素遺伝子の検出〕実施例1で得られたコレラ菌の
濃縮菌体培養液の代りに、実施例2〜5で得られたコレ
ラ菌の濃縮菌体培養液を用い、それ以外は実施例6と同
様にPCR法による遺伝子の増幅を行い、微生物の検出
を行った。(実施例3で得られたコレラ菌の濃縮菌体培
養液を用いたものを実施例7、実施例4で得られたコレ
ラ菌の濃縮菌体培養液を用いたものを実施例8、実施例
5で得られたコレラ菌の濃縮菌体培養液を用いたものを
実施例9、実施例6で得られたコレラ菌の濃縮菌体培養
液を用いたものを実施例10とした。) PCRによる遺伝子の増幅操作の後、0.8 %アガロース
ゲル電気泳動法(100V,30分間)によりコレラ毒素遺伝
子の確認を行ったところ、380bp (塩基対)の位置に増
幅されたコレラ毒素遺伝子のバンドが認められたことか
ら、コレラ毒素遺伝子の存在が確認された。以上の結果
から、本発明の微生物の選択的捕捉・濃縮方法により得
られた菌体培養液をPCR法に適用することにより、微
生物の検出が可能であることは明らかである。
【0043】参考例7〔ナイロン容器への抗大腸菌抗体
の共有結合による固定化〕 2μg/mlのコレラ菌に対する抗体を含む10mMリン酸緩衝
液の代りに2μg/mlの抗エスケリチア・コリモノクロー
ナル抗体(ケミコン社製)を含む10mMリン酸緩衝液を用
いた以外は参考例2と同様の方法により抗体をナイロン
容器に固定化した。
【0044】実施例11〔抗体固定化容器による大腸菌
の選択的捕捉・濃縮〕 参考例7で得た抗体固定化ナイロン容器を用いて微生物
の選択的捕捉・濃縮を行った。大腸菌〔エスケリチア・
コリ(Escherichia coli)HB101 株、インビトロゲン
(INVITROGEN)社より購入〕をハートインフュージョン
プレート〔ディフコ(Difco )社製〕に植菌し、37℃で
16時間培養した。得られたコロニーはハートインフュー
ジョン〔ディフコ(Difco )社製〕の液体培地にて培養
し、610nm における吸光度より、1×102 個に菌数を合
わせた。得られた培養液を参考例2で得た抗体固定化ナ
イロン容器に 0.5ml加えた。培養液の入ったナイロン容
器は振盪機を用いて 100rpm 、3分間振盪させた後、培
養液を取り出し滅菌蒸留水にて3回置換、洗浄した。次
に、菌体を捕捉したナイロン容器に菌体を含まないハー
トインフュージョン〔ディフコ(Difco )社製〕液体培
地20μl を加え、振盪機にて 100rpm 、3分間振盪さ
せ、捕捉した菌体を液体培地に分散させた。この液体培
地に80μl の同じ液体培地を加え、全量100 μl とした
後、これを大腸菌用選択培地(DHL 寒天培地、日水製薬
社製)に塗布し、37℃、16時間培養した。培養後、得ら
れたコロニー数を調べたところ、上記操作により、1ml
の培養液中に存在していた1×102 個の大腸菌のほとん
どが20μl の培養液に懸濁されており、菌体培養液は約
25倍に濃縮されたことが確認された。
【0045】実施例12〔選択的に濃縮された培養液か
らのPCR法による大腸菌の同定〕 実施例1で得られたコレラ菌の濃縮菌体培養液の代り
に、実施例11で得られた大腸菌の濃縮菌体培養液を用
いた以外は実施例6と同様に、PCR法により遺伝子の
増幅を行い、大腸菌の検出・同定を行った。PCRによ
る遺伝子の増幅操作の後、0.8%アガロースゲル電気泳動
法(100V,30分間程度)により大腸菌遺伝子の確認を行
ったところ、増幅された遺伝子のバンドが認められたこ
とから、大腸菌遺伝子の存在が確認された。以上の結果
より、本発明の微生物の選択的捕捉・濃縮方法により得
られた菌体培養液をPCR法に適用することにより、微
生物の検出が可能であることは明らかである。
【0046】実施例13〔抗体固定化容器によるヒト検
体からの大腸菌の選択的捕捉〕 大腸菌が含まれているものと予想されるヒト水様性下痢
便(検体) 0.5mlを参考例7で得た抗体固定化ナイロン
容器に加えた。検体の入ったナイロン容器は振盪機を用
いて 100rpm 、3分間振盪させた後、検体を取り出し滅
菌蒸留水にて3回置換、洗浄した。次に、このナイロン
容器に菌体を含まないハートインフュージョン〔ディフ
コ(Difco )社製〕液体培地20μl を加え、振盪機にて
100rpm 、3分間振盪させて、捕捉した菌体を分散させ
た。この液体培地に80μl の同じ液体培地を加え、全量
100 μl とした後、大腸菌用選択培地(DHL 寒天培地、
日水製薬社製)に塗布し、37℃、16時間培養した。培養
後、選択培地上の大腸菌のコロニーの存在が確認され
た。以上の結果より、本発明の方法は、ヒト水様性下痢
便検体から大腸菌を選択的に捕捉し、濃縮できることが
明らかである。
【0047】実施例14、比較例1〔選択的に濃縮され
た培養液からのPCR法による大腸菌の同定〕 実施例1で得られたコレラ菌の濃縮菌体培養液の代り
に、実施例13で得られた大腸菌の濃縮菌体培養液を用
いた以外は実施例6と同様に、PCR法により遺伝子の
増幅を行い、大腸菌の検出同定を行った(実施例1
4)。また、比較のため、実施例13で用いたヒト下痢
便検体を本発明の濃縮方法を行わずに実施例6と同様
に、PCR法により遺伝子の増幅を行い、大腸菌の検出
・同定を行った(比較例1)。PCRによる遺伝子の増
幅操作の後、0.8 %アガロースゲル電気泳動法(100V,
約30分間)により大腸菌遺伝子の確認を行った結果、実
施例14では増幅された遺伝子のバンドが濃く認めら
れ、大腸菌遺伝子の存在が確認された。一方、比較例1
では、大腸菌の遺伝子のバンドは認められなかった。こ
れは、比較例1においては、濃縮せずに採取した検体中
に大腸菌あるいは大腸菌のDNAが存在していなかった
ことが考えられる。以上の結果より、本発明の微生物の
選択的捕捉・濃縮方法により得られた菌体培養液は、P
CR法により効率的に遺伝子の増幅を行うことができ、
さらに、増幅された遺伝子から微生物の検出ができるこ
とは明らかである。
【0048】
【発明の効果】本発明の微生物の選択的濃縮方法によれ
ば、試料中の目的の微生物のみを選択的に濃縮すること
ができる。また、濃縮された微生物はPCR法により効
率的に遺伝子の増幅を行うことができるので、本発明の
微生物検査法によれば、微生物の検査が可能であり、特
に病原微生物中に存在する病原因子の検出に有用であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 目的とする微生物に特異的に結合する抗
    体が内面に固定化された容器に試料液を加えて、試料液
    中に存在する目的の微生物を選択的に捕捉し、次いで容
    器の内面に捕捉された微生物を、試料液よりも少量でか
    つ微生物を含まない液体に分散させることを特徴とする
    微生物の選択的濃縮方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法により濃縮された微
    生物からDNAを取り出し、PCR法により遺伝子を増
    幅させた後、その遺伝子情報をもとに微生物を検査する
    ことを特徴とする微生物検査法。
JP25248795A 1995-09-29 1995-09-29 微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法 Pending JPH0994098A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25248795A JPH0994098A (ja) 1995-09-29 1995-09-29 微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25248795A JPH0994098A (ja) 1995-09-29 1995-09-29 微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0994098A true JPH0994098A (ja) 1997-04-08

Family

ID=17238062

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP25248795A Pending JPH0994098A (ja) 1995-09-29 1995-09-29 微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0994098A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000071700A1 (fr) * 1999-05-25 2000-11-30 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Procede de separation, de fractionnement et d'analyse de gene de virus existant dans l'eau
JP2010227103A (ja) * 1997-11-04 2010-10-14 Becton Dickinson & Co 増幅によるクラミジア・トラコマティスの分析およびクラミジア・トラコマティスの核酸の検出
JP2011217677A (ja) * 2010-04-09 2011-11-04 Fujifilm Corp 微生物凝集膜の製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010227103A (ja) * 1997-11-04 2010-10-14 Becton Dickinson & Co 増幅によるクラミジア・トラコマティスの分析およびクラミジア・トラコマティスの核酸の検出
WO2000071700A1 (fr) * 1999-05-25 2000-11-30 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Procede de separation, de fractionnement et d'analyse de gene de virus existant dans l'eau
US6664063B1 (en) 1999-05-25 2003-12-16 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Methods for separating,fractionating and analyzing gene of virus existing in hydrosphere
JP2011217677A (ja) * 2010-04-09 2011-11-04 Fujifilm Corp 微生物凝集膜の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Singh et al. Bacteriophage based probes for pathogen detection
Stevens et al. Bacterial separation and concentration from complex sample matrices: a review
Olsvik et al. Magnetic separation techniques in diagnostic microbiology
EP1812585B1 (en) Bacteriophages as selective agents
NO332049B1 (no) Fremgangsmate for isolasjon og pavisning av celler ved binding til en fast baerer med en uspesifikk polysakkaridligand, samt et sett for isolering av mikroorganismer fra en prove.
US6780602B2 (en) Taxonomic identification of pathogenic microorganisms and their toxic proteins
US20070020649A1 (en) Chitosan capture of microorganisms for detection
JPH0767693A (ja) 生物体の検出方法
Naidoo et al. Surface-immobilization of chromatographically purified bacteriophages for the optimized capture of bacteria
EP2252892B1 (fr) Procede de detection en temps reel de microorganismes dans un milieu de culture liquide par agglutination
JPH06502534A (ja) 微生物を分析する方法及びキット
EP1668160B1 (en) Methods, compositions, and kits for the concentration and detection of microorganisms
JPH0994098A (ja) 微生物の選択的濃縮方法およびこれを用いた微生物検査法
US20060257929A1 (en) Method for the rapid taxonomic identification of pathogenic microorganisms and their toxic proteins
WO2013104858A1 (fr) Procede pour capturer et concentrer un microorganisme dans un echantillon biologique
van Amerongen et al. Simple and rapid bacterial protein and DNA diagnostic methods based on signal generation with colloidal carbon particles
JPH0956399A (ja) 微生物の選択的濃縮方法及びこれを用いた微生物検査法
AU2004274915B2 (en) Methods, compositions, and kits for the concentration and detection of microorganisms
PL242302B1 (pl) Immunoseparacja bakterii w polu magnetycznym podczas wzbogacania hodowli mikroorganizmów
JPH11248709A (ja) 抗原の測定方法
Yadav et al. CURRENT TRENDS USED IN DIAGNOSIS OF FOOD BORNE PATHOGENS
JP2005255714A (ja) 生物学的認識分子結合ポリマー、製造方法および用途
JPH06235725A (ja) バイオ情報変換素子及びそれを用いた生物種検出方法
Park Development of microscopic imaging system for rapid detection of Salmonella in raw chicken
JPH0484767A (ja) リステリア属生菌の検出法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Effective date: 20050726

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

A02 Decision of refusal

Effective date: 20051227

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02