JP2005255714A - 生物学的認識分子結合ポリマー、製造方法および用途 - Google Patents

生物学的認識分子結合ポリマー、製造方法および用途 Download PDF

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Abstract

【課題】検査対象生物材料と特異的に結合する生物学的認識分子またはその分子断片を固定化し得る共有結合性官能基を有しかつ検査対象生物材料を非特異的に吸着しないポリマーを提供する。
【解決手段】カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上が結合していることを特徴とするポリマー。
【選択図】なし

Description

本発明は、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の少なくとも1種を結合したポリマー、特に生物学的認識分子結合ポリマーに関する。本発明のポリマーは、生物に由来する生物材料の収集、確認に有用であり、特に臨床検査、食品検査の分野で利用される試料中の生物材料の検出に優れている。
より詳しくは、本発明は、ヒトの血液、体液、尿、糞便、組織等を直接若しくは懸濁した試料中、または食品を直接若しくは懸濁した試料中、これらに含まれる複数種あるいは少量の生物材料の中から、目的とする生物材料を選択的に捕捉、濃縮し、生物を検出するポリマー、特に生物学的認識分子結合ポリマー、その製造方法および用途に関する。さらに、本発明は、その生物材料が、細胞、特に微生物細胞類の場合に有用であるポリマー材料及びその使用方法に関する。
臨床検査や食品検査分野では古典的に、試料中の特定の生物を優勢に増殖させたり、試料中から少量の生物を分離した後増殖させて検出する方法(培養検査法)が用いられてきた。しかし、そういった培養検査法では検査に熟練を要する上、十数時間〜数日の培養が必要で検体入手後検査成績が判明するためには膨大な時間を要したり、また化学療法の普及等により試料に生菌がほとんど含まれないケースがある等臨床医の治療に際しての要求に必ずしも応えられていないのが現状であり、高感度で迅速な検査法の開発が望まれていた。
近年、これら培養検査法の問題点を解決する手段として、PCR法に代表される分子遺伝学的方法や、ELISA法、逆受身ラテックス凝集反応法(RPLA法)に代表される免疫学的検査法が開発され研究が進められている(例えば、「食品微生物の簡便迅速測定法はここまで変わった!」佐藤順編、サイエンスフォーラム(2002)第117−222ページ;非特許文献1参照。)。
これらの方法はいずれも、特異性、迅速性、簡便性等の点で優れ、しかも直接検体から検出できる可能性を有しているので、極めて迅速に診断が可能となり得るものとして期待されており、実用化されているものもいくつかある。
また最近では、「親和性センサー」も数多く報告されている。これらのセンサーは洗浄及び分離工程を使用しない直接検出法であり、生物学的反応を物理的転換器、例えばピエゾ電気的転換器、光学的転換器または電気化学的転換器などを用いて電気信号に変換することにより検出する(例えば、Anal.Chem.63(1991)393A;非特許文献2、Biosensors & Bioelectronics 6(1991)55;非特許文献3参照。)。
これらの迅速検査法のポイントの一つは、混合物である試料中から検査対象生物材料のみを高感度かつ高選択的に分離・識別する点にあり、キー技術としてしばしば、検査対象生物材料と特異的に結合するタンパク質、糖鎖、核酸などの生物学的認識分子または分子断片を物理的に吸着させ、あるいは共有結合的に固定することにより特定の生物を選択的に結合/吸着する固体相が、アッセイ材料あるいはセンサー素子として使用される(例えば、特許文献1、2、3)。
このとき、用いる固体相の性質としては、
(1)生物学的認識分子またはその分子断片の固体表面への結合が安定であること、
(2)生物学的認識分子またはその分子断片の機能が固体表面への結合によって低下しないこと、
(3)生物学的認識分子またはその分子断片が固定された固体相に、検査対象生物材料が認識分子または分子断片との結合以外の要因で結合しないこと、
が重要である。
検査対象生物材料がタンパク質や核酸の場合は、無反応性のタンパク質や核酸断片で固体相表面を覆う(マスキング)ことで、非特異的吸着を無くす方法が知られている。ところが、検査対象生物材料が細胞または粒子である場合には、この非特異的吸着を回避する効果的な方法や材料は知られていない。例えば、バイオアッセイで汎用されるマイクロタイタプレートやビーズの素材であるポリスチレンは、細胞または粒子を強く非特異的に吸着するため、細胞または粒子を対象とする検査では、しばしば擬陽性を与える。
例えば、PCR法を用いて試料中の特定微生物を検出する場合、試料中に存在する検査対象微生物の数が多い場合には問題はないが、極めて少ない場合には一部サンプリングした試料中に目的とする微生物が存在しない可能性が高く、目的の遺伝子が検出されない場合が多い。そこで、検査対象微生物細胞のみを、細胞と特異的に結合する抗体などの生物学的認識分子を用いて捕捉・濃縮することが行われている。ところがこの時、認識分子との結合に依存しない固体相への非特異的吸着により検査対象微生物以外の微生物が混在し、偽陽性を引き起こす可能性が高くなるという問題点があった。
さらに、生物学的認識分子または分子断片が固定された固体相を、検査キットやセンサーとして用いようとするときには、生物学的認識分子または断片が固体相表面から脱着するのを防止するために、共有結合的に結合されていることが望ましい。このためには、固体相をなす材料の表面に、生物学的認識分子または分子断片と共有結合しうる官能基が必要である。
ところが、生物学的認識分子または分子断片を固定化した固体相で、検査対象生物材料が細胞または粒子である場合に、共有結合官能基を有しかつ検査対象生物材料を非特異的に吸着しないポリマーは従来知られていなかった。
特開2000−146978号公報 特表2001−526046号公報 特開平5−34349号公報 「食品微生物の簡便迅速測定法はここまで変わった!」佐藤順編、サイエンスフォーラム(2002)第117−222ページ Anal.Chem.63(1991)393A Biosensors & Bioelectronics 6(1991)55
本発明は、検査対象生物材料が細胞または粒子である場合に、それらと特異的に結合する生物学的認識分子またはその分子断片を固定化し得る共有結合性官能基を有しかつ検査対象生物材料を非特異的に吸着しないポリマーを提供し、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体を結合したポリマー材料、特に生物学的認識分子結合ポリマー材料を提供することを課題の一つとする。
また本発明は前記のポリマーにより、研究試薬、臨床検査および食品検査の分野で利用される試料液中の検査対象生物材料を選択的に捕捉、収集、濃縮する方法、確認する方法を提供することを課題の一つとする。
さらに本発明は前記本発明の方法により、生物材料を検出する方法、装置等を提供することを課題の一つとする。
本発明者らは上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、生物学的認識分子または分子断片を共有結合しうるカルボキシル基を有し、かつ生物学的認識分子または分子断片を共有結合した後の表面に、検査対象生物材料である細胞または粒子を非特異的に吸着しない、カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体に糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体を結合したポリマーが特に有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、特定の微生物を特異的に結合する生物学的認識分子を固定化したポリマーを作成し、これを試料液に浸漬することにより、目的とする微生物のみが選択的に捕捉・濃縮されることを見出し、さらにこの濃縮された微生物はPCR法や蛍光染色法により検出が可能となることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の事項に関する。
1.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上が結合していることを特徴とするポリマー。
2.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上からなる生物学的認識部位を有する分子または分子断片が共有結合していることを特徴とするポリマー。
3.検査対象生物材料と特異的に結合する糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体を生物学的認識分子とし、その1種または2種以上と共有結合しうるカルボキシル基を有し、かつカルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、前記の生物学的認識分子またはその分子断片を共有結合させたポリマーであって、前記ポリマーの共有結合部位以外の表面に検査対象生物材料が非特異的に吸着しない、生物学的認識分子またはその断片が結合したポリマー。
4.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体の25℃での水への溶解度が10g/100g以下である1〜3のいずれかに記載のポリマー。
5.カルボキシル基を有する単量体が重合性の炭素炭素二重結合を有する単量体である1〜3のいずれかに記載のポリマー。
6.カルボキシル基を有する単量体が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、p−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸およびo−ビニル安息香酸から選ばれる1種または2種以上である5に記載のポリマー。
7.カルボキシル基を有する単量体が、アクリル酸および/またはメタクリル酸である6に記載のポリマー。
8.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体におけるカルボキシル基を有する単量体に対する共重合成分が、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、有機酸のビニルエステル、有機酸のアリルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル、N−ビニルアルキルアミド、末端不飽和炭化水素、及びそれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上である1〜3のいずれかに記載のポリマー。
9.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体におけるカルボキシル基を有する単量体に対する共重合成分が、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種または2種以上である8に記載のポリマー。
10.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のDSCで測定したTgが−30℃以上90℃以下である1〜3のいずれかに記載のポリマー。
9.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体の酸価が5〜200mg−KOH/gである1〜3のいずれかに記載のポリマー。
12.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体において、カルボキシル基を有する単量体の比率が5〜50モル%である1〜3のいずれかに記載のポリマー。
13.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体において、カルボキシル基を有する単量体に対する共重合成分のうちのスチレン誘導体および/または(メタ)アクリル酸エステルの比率が70〜100モル%である9に記載のポリマー。
14.カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基に糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上を結合させることを特徴とする1〜13のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
15.1〜13のいずれかに記載のポリマーを用いることを特徴とする生物材料を集める方法。
16.1〜13のいずれかに記載のポリマーを用いることを特徴とする生物材料の存在を確認する方法。
17.生物材料が、動物細胞および/またはその加熱、酸・アルカリもしくは化学薬品処理物である15または16に記載の方法。
18.生物材料が、植物細胞および/またはその加熱、酸・アルカリもしくは化学薬品処理物である15または16に記載の方法。
19.生物材料が、微生物および/またはその加熱、酸・アルカリもしくは化学薬品処理物である15または16に記載の方法。
20.微生物が病原性微生物である19に記載の方法。
21.微生物が食中毒原因菌である19に記載の方法。
22.微生物が、結核菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、淋菌、梅毒菌、百日咳菌、破傷風菌、大腸菌、肺炎球菌、緑膿菌、赤痢菌、ジフテリア菌、腸チフス菌、パラチフス菌、セレウス菌、エルシニア菌、カンピロバクター、ウエルシュ菌、ディフィシル菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、ボツリヌス菌、ヘリコバクター、プレシオモナス菌、エロモナス菌、レジオネラ、クラミジア、スピロヘータ、カンジダ、アスペルギルス、肺炎ウィルス、肝炎ウイルス、エイズウィルス、ロタウィルス、ヘルペスウィルス、RSウィルス、ポリオウィルス、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、サイトメガロウィルス、デングウィルス、アデノウイルス、コロナウィルス、ノロウィルスである19に記載の方法。
23.微生物が大腸菌のO−157株である22に記載の方法。
24.1〜13に記載のポリマーを用いた検査用試薬。
25.1〜13に記載のポリマーを用いたセンサー、マイクロアレイ、アフィニティーカラム、またはアフィニティー担体。
26.25に記載のセンサー、マイクロアレイ、アフィニティーカラム、またはアフィニティー担体を用いた装置。
本発明のポリマー、特に生物学的認識分子結合ポリマーは、センサー素子やマイクロチップの作成に用いることが出来る他、フィルム状にしたり、固体表面に塗布したものとすることで、容易に細胞あるいは粒子バイオアッセイに有用な固体相材料とすることが出来る。本発明のポリマーで作成した固体相を用いれば、試料溶液中から固体相表面に捕捉・濃縮された細胞あるいは粒子を特異的に検出することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において生物材料とは、特に限定されないが、特に動物細胞、植物細胞、微生物細胞およびウイルス粒子などであり、好ましくは微生物細胞およびウイルス粒子である。また微生物細胞およびウイルス粒子とは、例えば、結核菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、淋菌、梅毒菌、百日咳菌、破傷風菌、大腸菌(O−157株など)、肺炎球菌、緑膿菌、赤痢菌、ジフテリア菌、腸チフス菌、パラチフス菌、セレウス菌、エルシニア菌、カンピロバクター、ウエルシュ菌、ディフィシル菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、ボツリヌス菌、ヘリコバクター、プレシオモナス菌、エロモナス菌、レジオネラ、クラミジア、スピロヘータ等の細菌、カンジダ、酵母、アスペルギルス、カビ等の真菌、肺炎ウィルス、肝炎ウイルス、エイズウィルス、ロタウィルス、ヘルペスウィルス、RSウィルス、ポリオウィルス、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、サイトメガロウィルス、デングウィルス、アデノウイルス、コロナウィルス、ノロウィルス等のウィルス等の病原微生物の他、一般環境下に存在するバチルス菌、放線菌、光合成細菌、古細菌、硝酸菌等の病原性を有さない微生物、藻類等も含まれる。
本発明において生物材料が含まれる試料液とは、(1)血液、体液、喀痰、尿、糞便等をそのままあるいは蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液、(2)組織を蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液、(3)培養した細胞をそのままあるいは蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液、(4)魚貝類、肉類、穀類、野菜果物類等の食品類、あるいはこれらの加工食品類を蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液、(5)海水、河川水、工業用水、飲料水、廃水、下水等自然環境下に存在する水系、(6)土壌等を蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に懸濁した溶液等が挙げられる。
本発明に用いられるポリマーは、上記のような生物材料を収集、確認し、検査する方法において、上記生物材料を特異的に吸着する糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体を、生物材料が吸着しない不活性担体である(共)重合体に固定することにより得られるポリマーである。
不活性担体として用いる(共)重合体は、カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体である。この単量体としては重合性の炭素炭素二重結合を有するものが好ましい。本発明では、カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部を用いて、これらに、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上を化学的に共有結合させる。
本発明のカルボキシル基を有する単量体としては、カルボキシル基を複数有していてもよく、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、p−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸、o−ビニル安息香酸を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸及びその誘導体としては、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、2−エチルアクリル酸、α−アセトキシアクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−トリフルオロアクリル酸、α−ヒドロキシメチルアクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−ブロモアクリル酸、(メタ)アクリル酸へのアルキレン付加物の酸無水物との反応物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸へのアルキレン付加物の酸無水物の反応物としては、コハク酸の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのハーフエステル、フタル酸の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのハーフエステル、イタコン酸の2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのハーフエステル、マレイン酸2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのハーフエステル、コハク酸の2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのハーフエステル、コハク酸の3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのハーフエステル、コハク酸の2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートのハーフエステル、コハク酸の2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル(メタ)アクリレートのハーフエステルが挙げられる。
この中で(メタ)アクリル酸を用いることが特に好ましい。ここで、(メタ)アクリルとは、アクリル及び/またはメタクリルを表している。
上記のカルボキシル基を有する単量体は、1種または2種以上を混合して用いてもよい。
また、不活性担体としては25℃での水への溶解度が10g/100g以下であることが好ましく、特に5g/100g以下であることが好ましい。カルボキシル基を有する単量体の量は、上記の溶解度になれば、どの様な含有量でもよいが、カルボキシル基を有さない共重合成分もふくめたモノマー成分の5〜50モル%であることが好ましく、特に好ましくは、10〜40モル%である。5%より少ないと糖、脂質、タンパク質、ペプチドあるいはそれらの複合体等結合量が少なくなり、50%より多い場合は、水への溶解度を低下させることが困難になりやすい。酸価に換算した場合には、5〜200mg−KOH/gが好ましく、より好ましくは20〜100mg−KOH/gである。
カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体(不活性担体)は、その他の共重合成分を含んでいてもよく、上記の様に水への溶解度を調整するためには、疎水性のカルボキシル基を有さない単量体と共重合することが好ましい。このような共重合成分としては、例えば、スチレン及びその誘導体、(メタ)アクリル酸エステル類及びその誘導体、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、(メタ)アクリロニトリル及びその誘導体、有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のアリルエステル及びその誘導体、フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体、マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体、有機カルボン酸のN−ビニルアミド、末端不飽和炭化水素が挙げられる。
スチレン及びその誘導体の例としては、スチレン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2、4−ジメチルスチレン、2、5−ジメチルスチレン、2、6−ジメチルスチレン、3、4−ジメチルスチレン、3、5−ジメチルスチレン、2、4、6−トリメチルスチレン、2、4、5−トリメチルスチレン、ペンタメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン、p−メトキシスチレン、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、2−ビニルビフェニル、3−ビニルビフェニル、4−ビニルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、4−ビニル−p−ターフェニル、1−ビニルアントラセン、α−メチルスチレン、o−イソプロペニルトルエン、m−イソプロペニルトルエン、p−イソプロペニルトルエン、2,4−ジメチル−α−メチルスチレン、2,3−ジメチル−α−メチルスチレン、3,5−ジメチル−α−メチルスチレン、p−イソプロピル−α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−クロロスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類及びその誘導体の例としては、単官能または多官能の(メタ)アクリレートであり、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシフェニルエチル、エチレングリコールジ(メタ)クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド及びその誘導体の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリルアミド、N−iso−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルモルフォリン、N,N‘−メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。
(メタ)アクリロニトリル及びその誘導体の例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
有機カルボン酸のビニルエステル及びその誘導体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、アイジピン酸ジビニル等が挙げられる。
有機カルボン酸酸のアリルエステル及びその誘導体の例としては、酢酸アリル、安息香酸アリル、アジピン酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、フタル酸ジアリル等が挙げられる。
フマル酸のジアルキルエステル及びその誘導体の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−sec−ブチル、フマル酸ジイソブチル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−2−エチルヘキシル、フマル酸ジベンジル等が挙げられる。
マレイン酸のジアルキルエステル及びその誘導体の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−sec−ブチル、マレイン酸ジイソブチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−2−エチルヘキシル、マレイン酸ジベンジル等が挙げられる。
イタコン酸のジアルキルエステル及びその誘導体の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジイソプロピル、イタコン酸ジ−sec−ブチル、イタコン酸ジイソブチル、イタコン酸ジ−n−ブチル、イタコン酸ジ−2−エチルヘキシル、イタコン酸ジベンジル等が挙げられる。
有機カルボン酸のN−ビニルアミド誘導体の例としては、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルプロピオアミド、N−イソプロペニルアセトアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド等が挙げられる。
末端不飽和炭化水素及びその誘導体の例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、ビニルシクロヘキサン、塩化ビニル、アリルアルコール等が挙げられる。
この中で多官能モノマーについては、ゲル化しない範囲で使用する必要がある。
これらの中では特に、スチレン、ビニルトルエン(o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン)、α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル部分の炭素数が12個以下のもの)が好ましい。
これらの共重合成分は、1種または2種以上を用いてもよい。
特に、カルボキシル基を有する単量体として(メタ)アクリル酸を使用する場合は、共重合性から、共重合成分として、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸誘導体を用いることが好ましい。スチレン誘導体と(メタ)アクリル酸エステル誘導体の比率は、70〜100mol%が好ましく、より好ましくは80〜100mol%である。
また、本発明のカルボキシル基を有する単量体の(共)重合体のDSCで測定したTgは、あまりに高い場合には、糖、脂質、タンパク質、ペプチドあるいはそれらの複合体を結合させる際に反応が進行しにくいし、あまりに低い場合には、フィルム自体の耐熱性に問題が出てくるので、−30〜90℃が好ましく、より好ましくは−20〜80℃である。
これらの共重合体を得る方法としては、通常の溶液ラジカル重合、懸濁重合、乳化重合で行なうことが出来る。
溶液重合で行なう場合の溶媒は、モノマー、ポリマーを良く溶解する必要があり、モノマーの種類によって選ばれる溶媒は異なるが、一般にはトルエン、キシレンのような芳香族炭化水素、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなエーテル系の溶媒が挙げられる。モノマーの濃度としては一概に規定できないが、あまりに高濃度であると重合熱の畜熱があり、低濃度の場合には生産性が低くなるので、10質量%から90質量%、より好ましくは20質量%から70質量%の範囲から選ばれる。
重合開始剤としては、モノマーまたは溶媒に可溶な開始剤を用いる。このようなものとしては過酸化ベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられ、モノマーに対して通常0.01mol%から2mol%より好ましくは0.05mol%から0.1mol%程度使用される。
重合温度は使用する溶媒の沸点、重合開始剤の分解温度を考慮して決められ、通常は1時間半減期温度から10時間半減期温度の間で実施する。
得られたポリマー溶液は、このままでも次の成形工程に持っていくことが出来るし、ポリマーとして単離する場合には、溶剤を蒸発乾固する方法、貧溶媒中で再沈殿を行う方法等により実施することが出来る。
懸濁重合で行なう場合には、ゼラチン、デンプン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースのような有機系分散剤、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、スラリー状ハイドロオキシアパタイトのような無機系分散剤の存在のものと、高速撹拌により水媒体中にモノマーを分散させて重合を行なう。重合開始剤としてはモノマーに可溶な開始剤を用いる。このようなものとしては過酸化ベンゾイルやアゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
得られた縣濁液はこのままでも成形工程に持っていくことも可能ではあるが、縣濁液の安定性を考慮すると、ろ過等により溶媒を分離し、乾燥することによりポリマーを単離することが望ましい。
乳化重合で行なう場合には、乳化剤の存在下、モノマーを水媒体中で乳化させて重合を行なう。乳化剤としては、高級脂肪酸石けん、N−アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸、ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム(N−ココイル−N−メチルタウリンナトリウム)、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルβ−アラニンナトリウム液、ラウロイルメチルタウリンナトリウムのようなアニオン系界面活性剤、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムのようなカチオン系界面活性剤、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロビレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ラウリン酸ジエタノールアミドのようなノニオン系の界面活性剤が使用できる。
この場合の重合開始剤としては、水に可溶な重合開始剤を用いる必要がある。例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、水溶性のアゾ化合物などを用いることが出来る。
また、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体そのものを乳化剤として、微分散のミセルを形成させ、その中に(メタ)アクリル酸エステル−スチレン等の非水溶性の単量体を共重合することにより、カルボキシル基を持った共重合組成物を得ることが出来る。この場合には乳化重合の欠点である乳化剤の汚染がなく、微粒子のミセルを得ることが出来るので、非常に好ましい方法である。
乳化重合の場合には、得られた乳濁液をそのまま次の成形工程に持っていくことが望ましい。
本発明のカルボキシル基を有する単量体の(共)重合体の数平均分子量は、あまりに低い場合には、フィルム強度、水への溶解度に問題が出てくるし、あまりに高い場合には成形しにくい上に、生物学的認識分子のリガンドを固定する際の反応性も低い。従って数平均分子量としては2,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜300,000である。
このようにして得られたカルボキシル基を有する(共)重合体を、フィルムや適切な形状に成形する方法としては、通常の成形法を用いることが出来る。すなわちポリマーとして単離した場合には、押出成形法、T−ダイ成形法、カレンダー成形法によりフィルム化を行なうことが可能であるし、溶液や乳濁液の場合には、バーコーターやスピンコーターにより適切な基材にコートした後、乾燥することによりフィルム化を容易に行なうことが出来る。
フィルム以外の形状についても、押出成形や射出成形、注形法により成形を行なうことが可能である。
本発明においては、試料中の生物材料を選択的に捕捉するために、カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体に目的とする生物材料に特異的に結合し得るリガンド等の生物学的認識分子を固定化する。
リガンド等の生物学的認識分子としては、目的とする細胞や粒子表面の構造に特徴的な成分と特異的に反応しうるものであればいかなるものでもよい。本発明では、鞭毛、線毛、定着因子に対する抗体や酵素などのタンパク質、ペプチド、糖、脂質およびそれらの複合体を挙げることができる。これらは、1種を固定して、あるいは必要により2種以上を固定して使用することもできる。
本発明において(共)重合体にリガンドを固定化する方法としては、(共)重合体に存在するカルボキシル基またはその誘導基との共有結合法による。
カルボキシル基とリガンドとの共有結合法としては多くの方法が知られているが、例えば、カルボキシル基を有する(共)重合体にカルボジイミド試薬等の縮合試薬によりリガンドのアミノ基とアミド結合させる方法、カルボキシル基を導入した(共)重合体をアジド、クロリド、イソシアネート等の誘導体としてリガンドのアミノ基と反応させる方法等がある。また、カルボキシル基はヒドラジド基を経てアシド基に誘導される。さらには塩化チオニル、塩化アセチルなどによりクロル化することによりクロロホルミル基に変えられる(例えば、「固定化酵素」千畑一郎編、講談社サイエンティフィク(1986)第9−45ページ。)。
カルボキシル基とリガンドの結合は、直接行ってもよいが、分子の両末端に(共)重合体上のカルボキシル基またはその誘導体、およびリガンドと反応可能な官能基を有するスペーサーを介して行ってもよい。スペーサーの例としては、分子両末端にアミノ基を有するエチレンジアミン、ヘキシルジアミンなどのアルキルジアミン類、分子の一方の末端にアミノ基、他方の末端にカルボキシル基を有するε-アミノカプロン酸などのアミノ脂肪酸類が挙げられる。
また、カルボキシル基は、その一部を利用してもよいし、全部を利用してもよい。
カルボキシル基のリガンドとの結合率は、20〜100%が好ましく、より好ましくは、60%〜100%である。
本発明で目的とする生物材料を吸着するリガンドを固定化したポリマーを試料溶液中に浸漬して細胞と結合させる場合は、結合の際の試料溶液中の温度としては、0℃〜40℃、好ましくは常温である。浸漬時間としては、数秒〜24時間、好ましくは1分〜1時間、更に好ましくは1分〜10分間である。この時、リガンドが固定化されたポリマーは静止状態で浸漬してもよいが、適度に上下、左右に動かせたり、軸方向に回転させると、より効率的に細胞を捕捉することができる。また、例えば、軸棒状に加工した抗体固定化ポリマー材料を試料溶液中でモーター等の機械類を用いて回転させてもよい。
本発明のポリマーは特に物理的吸着による細胞性不純物の影響が低減するという性質を有するものであるが、より完全に前記細胞性不純物の影響を取り除くためには、試料溶液中の細胞を捕捉した後、適当な条件で洗浄を行うことが望ましい。洗浄液としては、リガンド等と細胞との結合を不安定化しないものであれば制限は無い。通常は蒸留水、緩衝液、生理食塩水等に、必要に応じて界面活性剤などを混入して用いる。洗浄は通常1〜3回、試料溶液と同容量〜数倍容量の洗浄液を用いて、0℃〜常温、好ましくは常温で行う。この時、細胞を捕捉したポリマー材料は静止状態でもよいが、適度に上下、左右に動かせたり、軸方向に回転させると、より効率的に洗浄することができる。
試料溶液中の細胞を捕捉したポリマーは、標識抗体を用いたサンドイッチ法や、蛍光染色法による顕微鏡観察または蛍光光度測定などにより定性、定量することが出来る。特に遺伝子型などにより細胞の型を詳細に調べる必要がある場合などには、捕捉した細胞を界面活性剤などにより溶液に懸濁し、DNAを抽出してPCRやリアルタイムPCRに供することが出来る。細胞からDNAを取り出す方法としては、例えば、90℃以上の加熱処理、アルカリ処理、界面活性剤処理、酵素処理等により細胞を破壊する方法、あるいはこれらの方法を組合せたもの等が挙げられる。
PCR法により増幅されたDNAから細胞を検査する方法としては、公知の方法を用いればよく、例えば、アガロースゲル電気泳動法、標識DNAプローブ法等で塩基配列を調べる方法等が挙げられる。
さらに本発明のポリマーで表面弾性波素子を被覆し、その後に該被覆済みの表面弾性波素子にリガンド等を結合させる事で、センサー素子とすることが出来る(例えば、特開平5−34349号公報参照。)
リガンド等が結合した表面弾性波素子に資料液を接触させ、接触の前後での表面弾性波素子の周波数変化から、リガンド等への特異的結合の有無を検出することが出来る。
本発明のポリマーを用いて作成したセンサー素子は、物理的吸着法により作成される従来の素子よりも、リガンド等の結合様式が共有結合で強固であることから耐久性が高く、かつ素子表面への細胞あるいは粒子の物理的吸着の影響が少ないことから精度の高い検出が可能である。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の内容が実施例になんら限定されるものではない。
参考例1:共重合体1〜5の合成
1リットルの三口フラスコに、アクリル酸20.8g、アクリル酸−2−エチルヘキシル159.2g、スチレン120g、重合開始剤としてAIBN1g、溶媒としてトルエン500mLを仕込み、60℃、4時間をかけて重合反応を行なった。得られた重合液を、メタノール2リットル中に滴下して、生成したポリマーを再沈させた。
良くメタノールで洗浄した後、真空下、120℃で乾燥させてカルボキシル基の入ったポリマー(「共重合体1」)、を得た。
表1に示す仕込み比率で、同様に重合を実施し、それぞれの共重合体2〜5を得た。
得られたポリマーの水への溶解度は以下のように測定した。
得られたポリマー50gを純水200gに入れ、5時間100℃で溶解させた後、熱時デカンテーションにて不溶分を除いた。その後、25℃にて一週間放置後、ろ過により不溶分を除き、溶液50gをシャーレに入れて、乾燥機で200℃にて蒸発乾固させた。この操作の前後の重量差より、100gの水へのポリマーの溶解度を計算した。
参考例2
1リットルの三口フラスコに、ジョンクリル67(ジョンソンポリマー株式会社が販売。酸価213のスチレンアクリルポリマー)70gを分散剤として、メチルメタクリレートモノマー70g、メタアクリル酸−2−エチルヘキシル70g、スチレン70g、水300g中で乳化させ、重合開始剤として過硫酸カリウム5.0gを用いて50℃で1時間、70℃で2時間、90℃で一時間かけて乳化重合を行なった。
参考例3:フィルムの成形法
参考例1(表1)で得られたNo.1〜5のポリマー60gをメチルエチルケトン40gに溶解し、PETフィルム上バーコーターを用いてコーティングし、乾燥後に100μmのフィルムを得た。これらをフィルム1〜5とする。
参考例2で得られたエマルジョンを、スペーサーテープとしてScotch Brand Tape(3M製)を用い、ガラス棒にて樹脂液を、乾燥膜厚が約100μmになるようにPETフィルム上にコーティングした。これをフィルム−6とする。
市販のジョンクリル7100(ジョンソンポリマー株式会社が販売。スチレン−アクリル系のエマルジョン。不揮発分48%、不揮発分の酸価51、Tg−10℃)、ジョンクリル7341(ジョンソンポリマー株式会社が販売。スチレン−アクリル系のエマルジョン。不揮発分49%、不揮発分の酸価51、Tg15℃)を、直接バーコーターを用いてPETフィルム上にコーティングし、乾燥後に100μmのフィルムを得た。これらをフィルム−7、8とする。
なお、フィルム6、7、8は水にほとんど不溶であった。
実施例1:大腸菌O−157株捕捉用リガンド固定化ポリマーの作製
抗大腸菌O−157株抗体(Anti-E. coli O157:H7(Goat-Pol))は市販のものを使用した(フナコシ株式会社扱い;商品コード01-95-90、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)。
参考例3で作成した(共)重合体フィルム1〜8をそれぞれ5mm角に切断し、清浄な96穴マルチプレートに入れ、蒸留水で1回洗浄した。0.4MWSC(水溶性カルボジイミド:1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide hydrochloride:同仁化学研究所社製)水溶液200μLを加え、25℃で2時間反応させた。
反応液を捨て、蒸留水250μLで3回洗浄した後、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)200μLを加え、5分間平衡化した。緩衝液を捨て、0.1mgO−157株抗体/10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)溶液200μLを加え、25℃で2時間反応させた後、タンパク質溶液を捨て、洗浄液(10mMTBS+0.1%Tween20)250μLで3回洗浄した。洗浄液を捨て、生理食塩水200μLを加え、菌体吸着試験まで保管した。
比較例1:リガンド固定化既存ポリマーの作製
比較対象として、SUMILON ELISAプレート(MS−8796F)を用い、実施例1と同様にして抗O−157抗体をウェル底面に共有結合させた。また、抗O−157抗体の代わりに、O−157株細胞非結合性リガンドとしてグリシンを結合させたものを作成した。
実施例2:リガンド固定化ポリマーによるO−157の選択的捕捉
加熱処理した大腸菌O−157株細胞(Escherichia coli (0157) Positive Control)は市販のものを使用した(フナコシ株式会社扱い;商品コード50-95-90、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)。
大腸菌(JM109株)をL寒天平板培地(ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、塩化ナトリウム0.5%、寒天2%、pH7)上で一昼夜培養した菌体を、L7培地(上記平板培地組成から寒天を除いたもの)5mLに一白金耳植菌し、35℃で一昼夜培養した。
この培養液を滅菌生理食塩水で洗浄した後、動生理食塩水に再懸濁し、濁度を約1(=1×109個/mL)に調整した。この大腸菌懸濁液へ、加熱処理した大腸菌O−157株細胞を1×102個/mLとなるよう懸濁し、大腸菌細胞混合試料液とした。
実施例1で作成した抗O−157株抗体固定化ポリマーフィルムの生理食塩水を捨て、調製した大腸菌細胞混合試料液200μLを加えて室温で15分間接触させた後、試料液を捨て、洗浄液(10mMTBS+0.1%Tween20)250μLで3回洗浄した。さらに、洗浄液2(10mMTBS+0.5%Tween20)250μLで1回洗浄した。洗浄後のポリマーフィルムは、洗浄液(10mMTBS+0.1%Tween20)250μL中で検出まで保管した。
物理的吸着のコントロールとして、大腸菌O−157株細胞を加えない大腸菌懸濁液を同様にしてポリマーフィルムと反応させた。
比較例2:リガンド固定化既存ポリマーによるO−157の捕捉
比較例1で作成した抗O−157株抗体および、O−157非結合性リガンドとしてグリシンを結合させたSUMILON ELISAプレートのウェルから生理食塩水を捨て、実施例2と同様にして大腸菌細胞混合試料液および大腸菌懸濁液と反応させた。
実施例3:リガンド固定化ポリマーに選択的に捕捉されたO−157のHRP標識抗体による検出
HRP標識抗大腸菌O−157株抗体(Anti-E. coli O157:H7(Goat-Poly, HRP))は市販のものを使用した(フナコシ株式会社扱い;商品コード04-95-90、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)。
実施例2の洗浄済みポリマーフィルムを新しい96穴マルチプレートウェルに移し、ブロッキングバッファー(洗浄液にスキムミルク0.1%を加えたもの)200μLを加えて、室温で2時間反応させた。ブロッティング終了後、ポリマーフィルムを実施例2と同じ洗浄液で10分ずつ3回洗浄した。
ポリマーフィルムを新しいウェルに移し、HRP標識抗大腸菌O−157株抗体をブロッキングバッファーで2,000倍希釈した溶液200μLを加え、室温で2時間反応させた。反応終了後、抗体溶液を捨て、実施例2と同じ洗浄液で10分ずつ3回洗浄した。
ポリマーフィルムを新しい96穴マルチプレートウェルに移し、HRP発色試薬TMB(TMB One Solution(Promega社製、カタログ番号G7431)など)を添加して室温で5分反応して発色させ、発色の450nmの吸光度をマルチプレートリーダーで測定した。吸光度の測定値を表2に示す。表2に示すように、大腸菌細胞混合試料液と接触させたフィルムでは、強い発色が確認された。一方、O−157株細胞を含まない大腸菌懸濁液と接触させたポリマーフィルムでは、比較的弱い発色が見られた。弱い発色は抗O−157株抗体の交差反応によるものと考えられた。モノクローナル抗体のような特異性の高いリガンドを用いることで交差反応を回避すればより高倍率の選択的濃縮ができる。
比較例3:リガンド固定化既存ポリマーに捕捉されたO−157のHRP標識抗体による検出
比較例2で試料液と接触させたマルチプレートウェル上のO−157株細胞を、実施例3と同様にしてHRP標識抗大腸菌O−157株抗体により検出した。
表3に示すように、抗O−157株抗体を結合させたウェルでも、非結合性リガンドを結合させたウェルでも、強い発色が見られた。この発色から、既存ポリマー材料には、O−157株細胞がリガンドに関係無くウェル表面に物理的に吸着していることが判った。
実施例4:ヘリコバクター・ピロリ用リガンド固定化ポリマーの作製
抗ヘリコバクター・ピロリ抗体(Anti-Helicobacter pylori antibody)は市販のものを使用した(フナコシ株式会社扱い;商品コード01-93-94、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)。
実施例1と同様にして、参考例3で作成したポリマー材料共重合体No.1〜8に抗体を結合させた。また同じ方法で、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の代わりに、細胞非結合性リガンドとしてグリシンを結合させたものを作製した。
比較例4:リガンド固定化既存ポリマーの作製
比較対象として、SUMILON ELISAプレート(MS−8796F)を用い、実施例1と同様にして抗ヘリコバクター・ピロリ抗体をウェル底面に共有結合させた。また、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体の代わりに、細胞非結合性リガンドとしてグリシンを結合させたものを作成した。
実施例5:リガンド固定化ポリマーによるヘリコバクター・ピロリの選択的捕捉
加熱処理したヘリコバクター・ピロリ細胞(Helicobacter pylori Positive Control)は市販のものを使用した(フナコシ株式会社扱い;商品コード50-93-94、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)。
実施例2で作成した大腸菌JM109株懸濁液へ、加熱処理したヘリコバクター・ピロリ細胞を1×102個/mLとなるよう懸濁し、細胞混合試料液とした。
実施例4で作成した抗ヘリコバクター・ピロリ抗体固定化ポリマーフィルムおよびグリシン固定化ポリマーフィルムの生理食塩水を捨て、調製した細胞混合試料液200μLを加えて室温で15分間接触させた後、試料液を捨て、洗浄液(10mMTBS+0.1%Tween20)250μLで3回洗浄した。さらに、洗浄液2(10mMTBS+0.5%Tween20)250μLで1回洗浄した。洗浄後のフィルムは、洗浄液(10mMTBS+0.1%Tween20)250μL中で検出まで保管した。
比較例5:リガンド固定化既存ポリマーによるO−157の捕捉
比較例4で作成した抗ヘリコバクター・ピロリ抗体および、ヘリコバクター・ピロリ非結合性リガンドとしてグリシンを結合させたSUMILON ELISAプレートのウェルから生理食塩水を捨て、実施例5と同様にして細胞混合試料液と反応させた。
実施例6:リガンド固定化ポリマーに選択的に捕捉されたヘリコバクター・ピロリのHRP標識抗体による検出
HRP標識抗ヘリコバクター・ピロリ抗体(Anti-Helicobacter pylori antibody, Peroxidase labeled)は市販のものを使用した(フナコシ株式会社扱い;商品コード04-93-94、Kirkegaard & Perry Laboratories社製)。
実施例3と同様にして、共重合体フィルムに結合したヘリコバクター・ピロリ細胞を検出した。表4に示すように、細胞混合試料液と接触させたポリマーフィルムでは、強い発色が確認された。一方、非結合性リガンド(グリシン)を結合させたフィルムでは発色が無いか弱く、非特異的吸着の影響は少なかった。
比較例6:リガンド固定化既存ポリマーに捕捉されたヘリコバクター・ピロリのHRP標識抗体による検出
比較例5で細胞混合試料液と接触させたマルチプレートウェル上のヘリコバクター・ピロリ細胞を、実施例6と同様にしてHRP標識抗ヘリコバクター・ピロリ抗体により検出した。
表4の末列に示すように、既存材料(スミロン)では、ヘリコバクター・ピロリ非結合性リガンドを結合させたウェルでも強い発色が見られた。この発色は、ヘリコバクター・ピロリ細胞が、リガンドに関係無くウェル表面に物理的に吸着していることを示す。
実施例7:リガンド固定化ポリマーに選択的に捕捉された菌体の蛍光染色法による観察
実施例2で得られた、抗O−157株抗体固定化ポリマーフィルム上に結合した菌体を、蛍光染色法により観察した。菌体の蛍光染色には、LIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability Kit(Molecular Probe社製)を用いた。染色液0.1mLを表面を覆うように添加し、暗所で15分間静置した後、生理食塩水(0.2μmフィルターろ過滅菌)100mL中で染色した材料を洗浄した。材料をスライドグラス上に置き、BacLight mounting oil(キットに添付)6μLを膜上に置き、24mmカバーグラスを被せて試料とした。グリシン結合フィルムについても、同様に処理した。
試料を、落射蛍光顕微鏡(NIKON FLOROPHOT、B励起法(Ex.IF420-490(励起補助フィルタ460nm未使用)、DM505、Em.515W、対物レンズ Nikon Fluor 40(開口数0.85mm, 160/0.11-0.23)を使用して試料を観察したところ、抗O−157株抗体固定化ポリマーフィルムでは、約4×104/cm2の結合菌体が見られた(赤色蛍光)。一方、グリシン結合フィルムでは、全く結合菌体が見られなかった(図1)。
実施例8:リガンド固定化ポリマーに選択的に捕捉された菌体のPCRによる検出
実施例5で得られた、抗ヘリコバクター・ピロリ抗体固定化ポリマーフィルム上に結合した菌体DNAを鋳型として、16SrRNA用プライマーを用いて、下記条件によりPCRによる検出を試みた。
菌体が結合した5mm角のポリマーフィルムを、TaKaRa LA Taqを除く下記反応液中に沈め、10分間煮沸して加熱溶菌させた。フィルムを取り除き、TaKaRa LA Taqを加え、流動パラフィンを1滴加えた後、PCR装置にセットし、遺伝子の増幅を行った。
[反応液組成]
プライマー1(配列番号1) 10pmol
プライマー2(配列番号2) 10pmol
TaKaRa LA Taq 2.5ユニット
dNTP mixture(2.5mMeach) 8.0μL
10×LA PCR BufferII(Mg2+Free) 5.0μL
25mM MgCl2 5.0μL
滅菌蒸留水で50μLに調整
[反応サイクル]
1サイクル: 変性 94℃、60秒
アニーリング 65℃、30秒
伸長 72℃、30秒
2−30サイクル: 変性 94℃、30秒
アニーリング 60℃、30秒
伸長 72℃、30秒
PCRによる遺伝子の増幅操作の後、1.5%アガロースゲル電気泳動法(100V,約30分間)により増幅産物の確認を行ったところ、約550bpの位置に増幅されたヘリコバクター・ピロリの16SrRNA遺伝子の部分断片バンドが認められたことから、ヘリコバクター・ピロリの存在が確認された(図2)。なお、実施例5のグリシン固定化フィルムに関しても同様に断片増幅を行ったが、このフィルムでは有意な増幅産物は確認出来なかった。
本発明のポリマーをフィルム化したり表面被覆等を施した表面を用いることにより、臨床検査や食品検査の分野で多用される選択的結合リガンド等の生物学的認識分子による生物材料の検出において、リガンド等を共有結合により安定的に固定し、かつ材料表面への生物材料の物理的吸着による影響を受けることなく、目的とする生物材料を選択的に捕捉、濃縮し、検出することが出来る。
実施例7における蛍光染色したフィルム上のO−157株細胞の顕微鏡像(上段)およびグリシン結合フィルム(下段)である。 実施例8におけるフィルム上のヘリコバクター・ピロリを鋳型として増幅した16SrRNAの部分断片像である。

Claims (27)

  1. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上が結合していることを特徴とするポリマー。
  2. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上からなる生物学的認識部位を有する分子または分子断片が共有結合していることを特徴とするポリマー。
  3. 検査対象生物材料と特異的に結合する糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体を生物学的認識分子とし、その1種または2種以上と共有結合しうるカルボキシル基を有し、かつカルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基の一部または全部に、前記の生物学的認識分子またはその分子断片を共有結合させたポリマーであって、前記ポリマーの共有結合部位以外の表面に検査対象生物材料が非特異的に吸着しない、生物学的認識分子またはその断片が結合したポリマー。
  4. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体の25℃での水への溶解度が10g/100g以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  5. カルボキシル基を有する単量体が重合性の炭素炭素二重結合を有する単量体である請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  6. カルボキシル基を有する単量体が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸誘導体、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、p−ビニル安息香酸、m−ビニル安息香酸およびo−ビニル安息香酸から選ばれる1種または2種以上である請求項5に記載のポリマー。
  7. カルボキシル基を有する単量体が、アクリル酸および/またはメタクリル酸である請求項6に記載のポリマー。
  8. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体におけるカルボキシル基を有する単量体に対する共重合成分が、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、有機酸のビニルエステル、有機酸のアリルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル、N−ビニルアルキルアミド、末端不飽和炭化水素、及びそれらの誘導体から選ばれる1種または2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  9. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体におけるカルボキシル基を有する単量体に対する共重合成分が、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンおよび(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1種または2種以上である請求項8に記載のポリマー。
  10. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のDSCで測定したTgが−30℃以上90℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  11. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体の酸価が5〜200mg−KOH/gである請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  12. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体において、カルボキシル基を有する単量体の比率が5〜50モル%である請求項1〜3のいずれかに記載のポリマー。
  13. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体において、カルボキシル基を有する単量体に対する共重合成分のうちのスチレン誘導体および/または(メタ)アクリル酸エステルの比率が70〜100モル%である請求項9に記載のポリマー。
  14. カルボキシル基を有する単量体ユニットを含む(共)重合体のカルボキシル基に糖、脂質、タンパク質、ペプチドおよびそれらの複合体の1種または2種以上を結合させることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のポリマーの製造方法。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載のポリマーを用いることを特徴とする生物材料を集める方法。
  16. 請求項1〜13のいずれかに記載のポリマーを用いることを特徴とする生物材料の存在を確認する方法。
  17. 生物材料が、動物細胞および/またはその加熱、酸・アルカリもしくは化学薬品処理物である請求項15または16に記載の方法。
  18. 生物材料が、植物細胞および/またはその加熱、酸・アルカリもしくは化学薬品処理物である請求項15または16に記載の方法。
  19. 生物材料が、微生物および/またはその加熱、酸・アルカリもしくは化学薬品処理物である請求項15または16に記載の方法。
  20. 微生物が病原性微生物である請求項19に記載の方法。
  21. 微生物が食中毒原因菌である請求項19に記載の方法。
  22. 微生物が、結核菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、淋菌、梅毒菌、百日咳菌、破傷風菌、大腸菌、肺炎球菌、緑膿菌、赤痢菌、ジフテリア菌、腸チフス菌、パラチフス菌、セレウス菌、エルシニア菌、カンピロバクター、ウエルシュ菌、ディフィシル菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、コレラ菌、ボツリヌス菌、ヘリコバクター、プレシオモナス菌、エロモナス菌、レジオネラ、クラミジア、スピロヘータ、カンジダ、アスペルギルス、肺炎ウィルス、肝炎ウイルス、エイズウィルス、ロタウィルス、ヘルペスウィルス、RSウィルス、ポリオウィルス、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルス、サイトメガロウィルス、デングウィルス、アデノウイルス、コロナウィルス、ノロウィルスである請求項19に記載の方法。
  23. 微生物が大腸菌のO−157株である請求項22に記載の方法。
  24. 請求項1〜13に記載のポリマーを用いた生物材料吸着剤。
  25. 請求項1〜13に記載のポリマーを用いた検査用試薬。
  26. 請求項1〜13に記載のポリマーを用いたセンサー、マイクロアレイ、アフィニティーカラム、またはアフィニティー担体。
  27. 請求項26に記載のセンサー、マイクロアレイ、アフィニティーカラム、またはアフィニティー担体を用いた装置。

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WO2007142331A1 (ja) * 2006-06-08 2007-12-13 Reverse Proteomics Research Institute Co., Ltd. アフィニティ担体及びその製造方法
JP2011046853A (ja) * 2009-08-28 2011-03-10 Toyama Prefecture 機能性を有する微細構造体

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