JPH06235725A - バイオ情報変換素子及びそれを用いた生物種検出方法 - Google Patents

バイオ情報変換素子及びそれを用いた生物種検出方法

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JPH06235725A
JPH06235725A JP2301993A JP2301993A JPH06235725A JP H06235725 A JPH06235725 A JP H06235725A JP 2301993 A JP2301993 A JP 2301993A JP 2301993 A JP2301993 A JP 2301993A JP H06235725 A JPH06235725 A JP H06235725A
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antibody
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bio
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Kinya Kato
欽也 加藤
Kazusane Tanaka
和實 田中
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 生物種と抗原・抗体反応を行う抗体部と、核
酸部と微粒子を介して結合して物種情報を核酸情報に変
換するためのバイオ情報変換素子を作成する。 【効果】 生物種とバイオ情報変換素子を結合させて得
られた結合体の有する核酸部の核酸をPCR法により増
幅させ、それを検出することで、微量存在量の微生物も
しくは増殖が困難な微生物の菌種及び菌数の検出を迅速
かつ容易に行うことができ、しかも抗体部と核酸部の結
合に微粒子を用いたことで検出操作をより効率的に実施
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、細胞、微生物等の生物
種の存在情報を核酸情報に変換するバイオ情報変換素子
に関し、また本発明は、このバイオ情報変換素子を用い
て細胞、微生物等の生物種情報を核酸情報に変換するこ
とで細胞、微生物の存在を知る検出方法に関する。この
素子及び検出方法は生物種の定量または定性試験に用い
ることができるものである。
【0002】
【従来の技術】医薬・食品・農業など多くのバイオテク
ノロジーの分野で、細胞や微生物の数や菌数を把握する
ことは重要な課題である。最も単純には、顕微鏡によっ
て直接菌数を測定すれば良い。しかしこれは煩雑である
上、菌種の区別が十分できない。また、例えば1ml中
に数万匹程度しかいない場合は測定不可能である(例え
ば、分子生物学実験マニュアルp11〜(講談社サイエ
ンティフィク))。すなわち検出感度に限界がある。こ
のわずかにしか存在しない菌の、菌数と菌種を特定する
ことは直顕法では困難であるため、いろいろな手法が考
案されてきた。
【0003】単純には、培養を行い菌数を増やし検出し
易くする試みである。しかし単にこの方法では菌種の区
別はつかないし、増殖過程で定量性は失われてしまう。
このような課題を解決する方法として広く用いられてい
るのが、MPN(MostProbale Numbe
r)法である。MPN法とは、基本的に培地を入れた多
数の試験管に数段階の菌希釈液(サンプル)を一定量ず
つ接種して十分な期間培養した後に菌の生育の有無を判
定して統計処理により計数する方法である(土壌微生物
実験法、養賢堂、p45)。ここで、問題となるのは、
菌種をどうやって特定するかであるが、かかる菌が特定
物質を分離したり合成したりする場合はその活性を検出
すれば良い。また、DNAを用いた遺伝子系で検出を行
った例もある(Enumeration of Tn5
Mutant Bacteria in Soil
by Using a Most−ProbableN
umber−DNA Hybridization P
rocedure and Antibiotic R
esistance,J.K.Fredrickso
n;Applied and Environment
al Microbiology,Vol.54,N
o.2,1988)。これらの工夫で、菌の数と種類を
特定することが可能となったが、菌産生物質の検出やM
PN法では培養を行う必要があり、特に土壌微生物など
のように成育が遅い菌の場合、時間がかかり迅速な検出
が行えず不適当である。
【0004】そこで培養を行わず微生物情報を増やす手
段として、検出にDNAを用い、DNAレベルで増やす
という試みがなされている。DNAは、PCR(Pol
ymerase Chain Reaction)法で
増やすことができる(Specific DNA am
plification;Nature,Vol.33
1,1988)。しかしDNAを用いる方法ではDNA
を抽出するプロトコルが避けられず煩雑であり、菌濃度
が低い場合には抽出の際にDNAが失われ回収が困難で
ある。更に、たとえDNAが回収できたとしてもこの方
法では、定量性のある情報は得られない。菌量とDNA
回収量とはかならずしも相関がないからである。また、
定量性を出すためMPN法とPCR法を組み合わせた例
(DNA溶液の希釈それに続くPCR反応)もあるが、
この方法では最終段、即ちDNA溶液を希釈していき、
PCR法で増幅が可能な最低限度の濃度が曖味である。
菌によるMPN法では菌体一個でも比較的容易に増殖が
可能であるが、DNA一断片からPCR法で実際に増幅
が可能か否か技術的に明確でない。
【0005】またDNAや、菌を使う以外の方法とし
て、抗原・抗体反応とMPN法の組み合わせによって細
胞の数と種類を決める方法もある。しかし抗原・抗体反
応の特異性を利用して特定種の菌の有無を判断する方法
では、菌を増殖せず標識材のみで検出するため増感が高
々2〜3段(菌1個に対して標識材2〜3個を有する抗
体1個を結合させる)しか行えず、菌の増殖法、PCR
法と比べ格段に増幅しにくく感度の面で限界がある。
【0006】感度の改善については、最近ELISA
(enzyme−linked immunosolu
bent assay)とPCRとを組合せた方法が提
案されている(Science,258,(2),Oc
tober 1992,p120〜)。この方法は、従
来のELISA法の2次抗体と酵素の結合体を形成させ
る代わりに、予めDNAにビオチンを取り込ませたビオ
チン化DNAと、このビオチンと特異的に接合する部位
(ストレプトアビジン)と抗体に特異的に結合する部位
(プロテインA)を持つキメラタンパク質を用意し、こ
の両者(ビオチン化DNAとキメラタンパク質)を結合
体(例えばbitinylated pUC19 co
njugated to the streptavi
zin−protein A chimera)として
得ておき、この結合体を抗原と抗体の免疫反応の後のプ
ロセスで支持体上に固定された抗原と結合させ、この抗
体に結合した結合体の有するDNAをPCRで増幅し、
検出するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術で述
べたように、従来法は簡単にまとめると、菌数・菌種の
判断には、ある程度の量が必要なため培養若しくは増感
の手段が必要となる。細胞レベルでは比較的増殖は容易
であるが、成長の遅い菌の場合迅速検出が困難である。
一方DNAは、PCR法で迅速に増幅が行えるがDNA
抽出の煩雑さや回収率の問題がある。これらの問題は特
にサンプル数が多い場合看過できない。また、抗原・抗
体反応系では増感の大きさに限界がある。
【0008】また、ELISA法における検出工程にD
NAとキメラタンパク質の結合体を利用する方法では、
キメラタンパク質の調製に高度な技術と複雑な操作が必
要であり、また抗原・抗体反応に続いて支持体に固定さ
れた抗原と結合した抗体と該結合体を反応させる煩雑な
操作が必要であるとい問題を有する。また、PCRで増
幅されるDNAのビオチン化では、ビオチンをDAN鎖
の両端に結合させるので、次に続くPCR反応において
正確かつ効率良いPCR反応を常に行えるとは限らない
という問題もある。
【0009】以上のことから、増殖の遅い菌の場合にお
いても、DNAの抽出を必要とせずに簡便でそして正確
に菌などの生物種の種類や数を把握できる方法は従来に
おいて見当たらないのが現状であった。
【0010】本発明の課題は、検出対象の菌等の増殖速
度に拘らず、かつ菌等からのDNAの抽出等の操作を行
わず、高い感度で菌等の数または種を迅速に把握するこ
とができる測定素子及びそれを用いた検出方法を提供す
ることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決する本
発明は、生物種と抗原・抗体反応を行う抗体部と、核酸
からなる核酸部とを有し、該抗体部と該核酸部が微粒子
を介して結合していることを特徴とする生物種情報を核
酸情報に変換するためのバイオ情報変換素子である。好
ましくは、該核酸が0.3〜3kbのDNA断片であり、
また、核酸部1分子に対して抗体部5〜50分子が結合
しているものである。
【0012】また本発明の生物種検出方法は、検出対象
となる生物種と抗原・抗体反応を行う抗体部を有する上
記バイオ情報変換素子を該生物種と溶液中で混和し該バ
イオ情報変換素子と生物種との結合体を形成し、得られ
た結合体を溶液から分離した後、該結合体を構成するバ
イオ情報変換素子の核酸部の核酸をPCR法により増幅
し、増幅した核酸の検索を行うことにより生物種を検出
する方法であり、更に、かかる方法における結合体形成
を生物種濃度を数段階に予め希釈した溶液中で生物種と
バイオ情報素子を混和し行う生物種検出方法である。
【0013】本発明によれば、微量存在量の細胞、微生
物または増殖が困難な細胞、微生物の種類及び存在量の
検出が迅速、容易に行えるようになる。しかも、抗体部
と核酸部とを結合する媒体として微粒子を用いたので、
未反応のバイオ情報変換素子と、生物種とバイオ情報変
換素子の結合体の分離が容易となる。
【0014】以下に本発明について詳述する。
【0015】本発明のバイオ情報変換素子の基本的構成
を図1に模式的に示す。この素子は、生物種、例えば微
生物や細胞を抗原として免疫反応を行う抗体からなる抗
体部1と、PCRで増幅可能であり、かつ増幅後に検出
可能な構成を有する核酸からなる核酸部2とが、微粒子
3を介して結合した構成を有する。
【0016】本発明の変換素子に用いることのできる抗
体部としては、検出対象である生物種と特異的に反応す
るものであればよく公知の方法により調製された抗体を
用い得る。即ち、各種動物及び各クラスの免疫グロブリ
ンを用いることができ、例えば、免疫法により調製した
動物の抗血清を用いてもよいし、非特異反応を抑制し感
度を向上させるため常法により調製したモノクロ−ナル
抗体や更に、抗体の半分子や可変領域を残し特異性をよ
り高めた抗体の部分構造Fab又は(Fab’)2 等、
種々の抗体分子を用いることができる。また、通常抗原
である生物種はエピト−プを複数有するので複数種の抗
体を用いてもよい。
【0017】本発明の変換素子に用いることのできる核
酸部としては、DNA断片、RNA断片を用い得るが、
PCR法による増幅の容易性、確実性からDNA断片が
好ましい。PCR法が適用できる限りは断片の大きさや
塩基配列等は特に制限されない。調製の容易性や取扱の
容易性等の観点から適宜選定すればよい。また、プライ
マ−が結合できれば用いる断片の大きさや塩基配列は全
て既知である必要はないが、増幅後の検索の便宜から塩
基配列等が既知のものが使い易い。好ましい核酸部とし
ては、PCRを効率良く行い、かつ増幅後の検出の容易
性等から0.3〜3kb、更には、0.5〜1.0kbのD
NA断片がよい。
【0018】DNA断片としては例えば、pUC18、
19、118、119系ベクタ−やM13系ベクタ−等
公知のベクタ−を利用し常法により大腸菌等で増殖し適
当な制限酵素で切り出すことで1本鎖DNAとして調製
できる。また、スクリ−ニング容易性を考えて公知のベ
クタ−の組換え体を用いてもよい。更に、DNA合成機
で合成したものも利用できる。
【0019】又、得られる変換素子の抗体部の抗原・抗
体反応性、核酸部のPCR反応性を損なわない限りで、
変性した抗体、核酸を用いることも可能で、例えば、微
粒子との結合若しくは架橋剤との結合を容易にするため
に核酸や抗体にアミノ基等の各種官能基を導入するなど
の変性を施したものを用いることができる。
【0020】バイオ情報変換素子における核酸部と抗体
部の量比は、用いる微粒子の大きさ等にもよるが、核酸
1分子に対して抗体5〜50分子、更には、10〜20
分子が結合しているのが好ましい。結合する抗体が少な
い場合は結合が不確かになり、多い場合はPCR反応を
阻害する一因ともなる。しかしながら、これらは核酸部
の長さに応じて決めると良い。
【0021】核酸部及び抗体部の微粒子との結合には、
これらの機能を損なわない範囲内で種々の方法が利用可
能である。なかでも、化学的な結合が好ましく、カルボ
ジイミド法、臭化シアン法、イソシアネート法等が利用
できる。また、その表面を核酸部と直接または架橋剤を
介して結合し得る基で変性した微粒子を用いることも可
能である。
【0022】微粒子としては種々のものが利用可能であ
るが、例えばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート
等を主成分とした有機高分子等を用いることができ、こ
れらの有機高分子微粒子の表面を必要に応じて変性して
例えばカルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、ア
ルデヒド基、オキシシラン基等の抗体や核酸との結合を
容易とする官能基を導入したものが好ましい。
【0023】また、微粒子の径等を適当に選択すること
によって、生物種とバイオ情報変換素子が結合すること
で微粒子の分散状態のバランスが崩れ、自然沈降を生じ
るようにすることも可能であり、その場合遠心分離など
の人工的手段を用いることなく生物種と結合している素
子と未反応の素子との分離を容易に行うことが可能とな
る。このような自然沈降効果を得るための微粒子の粒径
は検出対象としての生物種の大きさ等に応じて適宜選択
すれば良いが、細菌などの微生物等の生物種の検出に有
機高分子微粒子を用いる場合には、例えば0.05〜1
0μm、好ましくは0.1〜2μmの直径を有するもの
が利用できる。粒径が0.05μm未満ではバイオ情報
変換素子を製造する工程中の遠心、洗浄における操作が
困難となり、また10μmを超えるとバイオ情報変換素
子の各種溶液内での分散安定性が不良となり、また上述
の自然沈降効果も得られないので好ましくない。
【0024】更に、生物種との結合によって凝集性を発
揮する微粒子を用いれば、生物種とバイオ情報変換素子
の結合体を凝集沈殿させることが可能となる。
【0025】これらの結合に用いる架橋剤としては、例
えば抗体の標識化及び核酸の標識化に用いられる一般的
な架橋剤が使用可能であり、マレイミド系、サクシンイ
ミド系、ジスルフィド系、カルボジイミド系、アルデヒ
ド系などの架橋剤がある。具体的には、カルボジイミド
メト−p−トルエンスルホネート、1−エチル−3−
(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド等を
好適に用い得る。
【0026】次に、本発明によるバイオ情報変換素子に
よる基本的な検出フローを図2を参照しつつ以下に示
す。 1)検出対象、例えば微生物を含む水溶液に、本発明に
よるバイオ情報変換素子を入れ混和する。このときの抗
原としての微生物濃度は10〜103個/μl程度が目
安である。また、添加する変換素子の量は微生物量に対
して過剰量がよく10μg/ml程度がよい(図2の
(A)参照)。 2)バイオ情報変換素子の抗体部は、特定の微生物に結
合し、結合が生じなかったバイオ情報変換素子はそのま
ま溶液中を浮遊する(図2の(B)参照)。反応に要す
る時間は37℃で数分間程度である。反応中は振盪する
とよい。 3)この溶液を遠心し、微生物と結合を生じたバイオ情
報変換素子5aと結合を生じなかったバイオ情報変換素
子5bとを分離する。即ち、遠心条件として結合体のみ
が沈降する条件を設定し、その条件での遠心操作によっ
て沈殿した結合体を、非結合体を含む上清と分離する
(図2の(C)参照)。なお、上述のように微粒子の直
径を選択して結合体のみが自然沈降する場合や微粒子と
して結合体を形成した際に凝集沈殿を生じるものを利用
した場合には、遠心分離を利用せずにこの分離操作を行
っても良いが、このらの場合でも遠心分離を併用しても
かまわない。 4)沈殿物をPCR用の溶液中に溶解しPCR反応を行
う(図2の(D)参照)。所望のバイオ情報変換素子が
存在すれば、バイオ情報変換素子の核酸部の塩基配列を
鋳型としたPCR反応によって一定のDNAが増幅され
る。プライマーは、用いる核酸の塩基配列の5’側と
3’側に相補的なものを用いればよい。PCRはPCR
用キットとして市販されているのでそれらを利用して実
施すればよい。増幅の回数は30サイクル程度で分析に
必要な量が得られる。 5)溶液から、核酸を回収し電気泳動などで核酸の存否
を知ることでもとの溶液中の微生物の存在を知ることが
できる(図2の(E)参照)。これらは常法に基づいて
実施できる。
【0027】本発明の方法によれば原理的に1個の生物
種が存在すればこれを検出することが可能となる。
【0028】この方法は、MPN法のごとき数段階の希
釈サンプルそれぞれについて所望の生物種の存否を検出
する方法に適用することで、生物種の定量を容易に行う
ことができる。しかも本発明の場合は希釈するだけ足
り、その後に通常行われる培養の工程を実施する必要は
全くない。従って本方法は成長の遅い菌の場合極めて有
利である。
【0029】
【実施例】以下に実施例をもって本発明を詳細に説明す
るが、これらは本発明の範囲をなんら限定するものでは
ない。
【0030】実施例1 バイオ情報変換素子の作成法 常法により、pUC19のSspI、Cfr10I断片
(約0.7Kb)をpUC19のXbaI部位に挿入し
pUC55を構築した。このものはDNA長とAmp耐
性を指標として、常法に従い大腸菌により増殖後スクリ
ーニングをかけ、回収した。得られたpUC55からP
vuII、VspI断片(約0.9Kb)を切り出して抽
出し常法に従ってDNA断片を調製し、これを熱変性に
よって一本鎖とし以下のバイオ情報変換素子の作成に供
した。
【0031】1重量%の有機高分子微粒子水分散液(粒
子直径0.8μm、スチレン−アクリルアミド−アクリ
ル酸共重合体微粒子)の500μlに、上記一本鎖DA
N断片溶液(核酸濃度10μg/ml、溶媒として0.
1M MgCl2 を含むリン酸緩衝液−生理食塩水(以
下PBSという)を使用)の2500μl及び1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイ
ミドの0.06gを添加して混合し、室温で10分間放
置した。遠心分離による洗浄後、微粒子を1/15Nリ
ン酸塩緩衝液(pH8.0)に分散して、固形分1%の
微粒子分散液を得た。この微粒子分散液の5mlに、1
−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カル
ボジイミドの0.12gを加え、室温で3時間振とうし
た。次に、この微粒子分散液から遠心分離により微粒子
を回収し、さらに1/15Nリン酸塩緩衝液(pH8.
0)で洗浄した。洗浄後の微粒子に、大腸菌のIgGに
対するマウス抗体(フナコシ社)溶液(PBSで1mg
/mlの濃度に調整)の1.0mlを加えた後、3時間
振とうし、遠心分離によりDNA/微粒子/抗体・複合
体、すなわち本発明のバイオ情報変換素子を得た。
【0032】実施例2 Pseudomonas cepacia KK01株
のOD0.5溶液5mlに、E.coliの菌体103
個を含む溶液1mlを加え反応液Aとし、一方KK01
株のOD0.5溶液5mlだけのものを反応液Bとし
た。この2つの反応液を個々に用いて以下の作業を同様
に行った。
【0033】反応液を素早く遠心し(5,000r.
p.m(TOMY,MR−150)で5分間)、沈澱し
た菌体をPBS−Tweenに分散させ、これに実施例
1で作成したバイオ情報変換素子1μgを加え混和した
後37℃で15分間静置した。静置によって沈澱が生じ
たので、この反応液から上澄液を除去し、得られた沈澱
物に200μlのTE溶液を加え、80℃に5分間加温
した。加温後、素早く上澄液の150μlをピペットマ
ンで取り、これをPCR用チューブに移した。PCR反
応は、プローブとしてTOYOBOのプライマーPRM
−004及びPRM−005を用い所定のプロトコルに
従って反応を行った。増幅は30サイクル行った。PC
R反応後、チューブから反応液を取りMupid−2
(コスモバイオ)で電気泳動を行った(50V)。反応
液Aからのレーンでは、約0.9Kb付近にバンドが認
められたが、反応液Bではバンドは認められなかった。
即ち、バイオ情報変換素子により抗原であるcol
の検出ができた。
【0034】実施例3 KK01株のOD0.5溶液5mlに、coli
菌体103 個を含む溶液1mlを加え反応液とした。こ
の反応液を、10倍づつ段階的に希釈した。すなわち原
液を反応液0、10倍希釈液を反応液1、102 倍希釈
液を反応液2、103 倍希釈液を反応液3、と1010
釈液を反応液10までの計11本用意し1系列とした。
この系列を5つ用意し、runlからrun5までの5
系列(計55本)としてそのそれぞれについて以下の作
業を同様に行った。
【0035】先ず、各反応液を素早く遠心し(5,00
0r.p.m(TOMY,MR−150)で5分間)、
沈澱した菌体をPBS−Tweenに分散させ、これに
実施例1で作成したバイオ情報変換素子1μgを加え混
和し、37℃で15分間静置した。静置によって沈澱が
生じたので、この反応液から上澄液を除去し、得られた
沈澱物に200μlのTE溶液を加え、80℃に5分間
加温した。加温後、素早く上澄液の150μlをピペッ
トマンで取り、これをPCR用チューブに移した。PC
R反応は、プローブとしてTOYOBOのプライマーP
RM−004及びPRM−005を用い所定のプロトコ
ルに従って反応を行った。増幅は30サイクル行った。
PCR反応後、チューブから反応液を取りMupid−
2(コスモバイオ)で電気泳動を行った(50V)。
【0036】レーンに約0.9kb付近でバンドが認め
られたか否かの結果を表1に示す。即ち、反応液3まで
はバンドが全てのrunで認められたが、反応液4では
2つのrunで認められたが、ほかのrunでは認めら
れなかった。また、反応液5以降では全く認められなか
った。従って、バイオ情報変換素子により反応液中には
103個の抗原、すなわちcoliが存在してい
たことが定量的に測定できたことが判る。
【0037】
【表1】 参考例 上記の実施例において用いたKK01株は以下の方法に
より得られたものである。用いたM9培地は下記の組成
を有するものである。 M9培地組成(1リットル中); NaHPO4 6.2g KH2 PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4 Cl 1.0g (pH7.0) (フェノールによるスクリーニング)タカサゴシロアリ
のハタラキシロアリを10匹シャーレにとり、エチルア
ルコール(95%)をこれに注ぎシロアリ表面を殺菌し
た。次に、0.05%のフェノールを含有するM9培地
でシロアリを2回洗い、その表面からエチルアルコール
を除去した。洗浄後、シロアリの腸をピンセットで摘み
出し、それを0.05%のフェノールを含有するM9培
地中ですり潰し、腸破砕物を含む液状混合物を得た。こ
の混合物の一部を、0.05%フェノール及び0.05
%酵母エキストラクトを含有するM9培地に接種し、3
0℃で好気条件下で培養した。培地中のフェノール量の
変化を常法により求め、シロアリ腸内にフェノール資化
性の微生物が存在することを確認した。 (フェノールを用いた単離株の取得)上記のM9培地
(0.05%フェノール及び0.05%酵母エキストラ
クトを更に含有する)での培養により得られた培地(増
殖菌体を含む)を、フェノール含有M9寒天培地(0.
05%フェノール及び1.2%寒天を含む)の表面に塗
布し、30℃で2日間培養した。寒天培地上に良好に生
育してきたコロニーを単離株として得た。単離株の1つ
についてその菌学的性質を調べたところ下記の結果が得
られ、この単離株はシュードモナス・セパシアに属する
ものであるとの結論に至った。 A.形態的性状 (1)グラム染色:陰性 (2)菌の大きさ及び形:長さ1.0〜2.0μm、幅
0.5μm前後の桿菌 (3)運動性:あり B.各種培地における生育状況
【0038】
【表2】 C.生理的性質 (1)好気性、嫌気性の区別:偏性好気性 (2)糖の分解様式: 酸化型 (3)オキシダーゼの生成: + (4)硝酸銀の還元: + (5)硫化水素の生成: − (6)インドールの生成: − (7)ウレアーゼの生成: − (8)ゼラチンの液化: − (9)アルギニンの加水分解:− (10)リジンの脱炭酸: + (11)オルニチンの脱炭酸:− (12)クエン酸の利用: + (13)メチルカルビノールアセチル反応(VP反
応):− (14)トリプトファンデアミナーゼの検出:− (15)ONPG: − (16)炭水化物類の利用性: ブドウ糖: + 果糖: + 麦芽糖: + ガラクトース:+ キシロース: + マンニット: ± 白糖: − 乳糖: + エスクリン: − イノシット: − ソルビット: − ラムノース: − メリビオース:− アミグダリン:− L−(+)−アラビノース:+ この単離菌株をKK01株と命名して、通商産業省工業
技術院微生物工業技術研究所に寄託した(寄託日:平成
4年3月11日、寄託番号FERM P−1286
9)。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のバイオ情
報変換素子を用いることによって、微量存在量の細胞や
微生物又は増殖が困難な細胞や微生物の種類及び存在量
の検出が迅速かつ容易に行うことができる。即ち、検出
に際し、菌等の増殖を必要としないため増殖速度に拘ら
ず定性、定量の分析が可能で、又、菌等からのDNAの
抽出等の操作をすることなく、高い感度で菌等の数また
は種を迅速に把握することができる。
【0040】しかも、抗体部と核酸部とを結合する媒体
として微粒子を用いたので、未反応のバイオ情報変換素
子と、生物種とバイオ情報変換素子の結合体の分離が容
易となる。
【0041】更に、本発明のバイオ情報変換素子を用い
れば抗原として生物種ばかりでなく、低分子化合物や脂
肪、多糖質に至る迄、抗原・抗体反応を起こすものであ
れば全て検出可能であり、検出測定素子として極めて有
用性が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバイオ情報変換素子の構成を示す模式
図である。
【図2】本発明のバイオ情報変換素子を用いて抗原を検
出する方法を説明する模式図であり、図中(A)→
(B)→(C)→(D)→(E)の手順で検出を行うこ
とを示す。
【符号の説明】
1 抗体部 2 核酸部 3 微粒子 4 検出対象生物種 5 バイオ情報変換素子 5a 検出対象生物種と結合した素子 5b 未反応の素子

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生物種と抗原・抗体反応を行う抗体部
    と、核酸からなる核酸部とを有し、該抗体部と該核酸部
    が微粒子を介して結合していることを特徴とする生物種
    情報を核酸情報に変換するためのバイオ情報変換素子。
  2. 【請求項2】 前記微粒子が0.05〜10μmの直径
    を有するものである請求項1に記載のバイオ情報変換素
    子。
  3. 【請求項3】 前記微粒子が有機高分子材料からなるも
    のである請求項1または2に記載のバイオ情報変換素
    子。
  4. 【請求項4】 前記微粒子がポリスチレンを主体とする
    有機高分子微粒子である請求項3に記載のバイオ情報変
    換素子。
  5. 【請求項5】 検出対象となる生物種と抗原・抗体反応
    を行う抗体部を有する請求項1〜4のいずれかに記載の
    バイオ情報変換素子を該生物種と溶液中で混和し、該バ
    イオ情報変換素子と生物種との結合体を形成し、得られ
    た結合体を溶液から分離した後、該結合体を構成するバ
    イオ情報変換素子の核酸部の核酸をPCR法により増幅
    し、増幅した核酸の検索を行うことにより生物種を検出
    する方法。
  6. 【請求項6】 生物種濃度を数段階に予め希釈した溶液
    中で生物種とバイオ情報素子を混和し、結合体を形成す
    る請求項6に記載の生物種検出方法。
  7. 【請求項7】 結合体の分離を凝沈、自然沈降または遠
    心分離により行う請求項5または6に記載の生物種検出
    方法。
JP2301993A 1993-02-10 1993-02-10 バイオ情報変換素子及びそれを用いた生物種検出方法 Pending JPH06235725A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106906294A (zh) * 2017-03-31 2017-06-30 浙江大学 一种胞外囊泡/脂质体的定量方法

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