JPH0993134A - ウェーブレット変換方法 - Google Patents

ウェーブレット変換方法

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JPH0993134A
JPH0993134A JP27176095A JP27176095A JPH0993134A JP H0993134 A JPH0993134 A JP H0993134A JP 27176095 A JP27176095 A JP 27176095A JP 27176095 A JP27176095 A JP 27176095A JP H0993134 A JPH0993134 A JP H0993134A
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odd
low
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JP27176095A
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Hitoshi Atsuta
均 熱田
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Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Dainippon Screen Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 処理対象となるデジタルデータ列のデータ個
数が奇数であってもウェーブレット変換を行なうことの
できる方法を提供する。 【解決手段】 処理対象となるデジタルデータ列のデー
タ個数Nを調べ、個数Nが奇数の場合には、奇数個のデ
ータを付加または削除することによって偶数個のデジタ
ルデータ列に調整する。そして、調整後の偶数個のデジ
タルデータ列をウェーブレット変換することによって変
換係数(低域成分および高域成分)を求め、奇数個のデ
ータを付加または削除したこと示す情報とともに変換結
果として出力する。また、こうして得られた低域成分を
処理対象のデジタルデータ列として、上記の変換を所定
の回数だけ再帰的に繰返す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、画像データや音
声データなどのデジタルデータ列をウェーブレット変換
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ウェーブレット変換は、画像データや音
声データなどのデジタルデータ列に用いる変換方法とし
て、フーリエ変換やDCT変換(離散コサイン変換)な
どのような従来の直交変換の代わりに使用される変換方
法である。「ウェーブレット(Wavelet )」とは、「小
波」、「さざなみ」という意味である。フーリエ変換で
は、無限に続く周期関数(サイン関数およびコサイン関
数)を基底(basis )として用いて変換を行なっていた
のに対して、ウェーブレット変換では局所に限定された
関数を基底として用いている。このように、「局所に限
定された関数」を基底として用いることが、「ウェーブ
レット」の名前の由来である。
【0003】ウェーブレット変換については、例えば特
開平5−183385号公報に記載されている。従来の
ウェーブレット変換では、次の手順で変換が行なわれ
る。 (1)処理対象のN個のデジタルデータ列に対してロー
パスフィルタ処理を行ない、得られた低域成分を1/2
ダウンサンプリング(1/2間引き処理)することによ
って、N/2個の低域成分flを得る。 (2)上記(1)と同じN個のデジタルデータ列に対し
てハイパスフィルタ処理を行ない、得られた高域成分を
1/2ダウンサンプリングすることによって、N/2個
の高域分fhを得る。 (3)上記(1)で得られた低域成分flに対して、さら
に再帰的に(1)、(2)の処理を所定回数繰返すこと
によって、複数の周波数帯域に分割された変換結果を得
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のウェーブレット
変換方法では、処理対象となるデジタルデータ列のデー
タ個数が常に偶数でなければならないという制約があっ
た。すなわち、デジタルデータ列のデータ個数が奇数個
の場合には、ウェーブレット変換を行なうことができな
かった。また、上記(1)〜(3)の手順に従って、低
域成分flに対して再帰的にウェーブレット変換を繰返し
た場合に、その途中で低域成分のデータ個数が奇数とな
った場合にも、それ以上の変換を行なうことが不可能で
あった。従って、n回の変換を再帰的に行なう場合に
は、最初の入力デジタルデータ列のデータ個数が2n
なければならないという制約があった。
【0005】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、処理対象となる
デジタルデータ列のデータ個数が奇数であってもウェー
ブレット変換を行なうことのできる変換方法を提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
述の課題の少なくとも一部を解決するため、第1の発明
は、デジタルデータ列をウェーブレット変換する方法で
あって、(a)処理対象となるデジタルデータ列のデー
タ個数Nを調べる工程と、(b)前記個数Nが奇数の場
合には、奇数個のデータを付加または削除することによ
って偶数個のデジタルデータ列に調整する工程と、
(c)調整後の偶数個のデジタルデータ列をウェーブレ
ット変換することによって変換係数を求める工程と、
(d)前記奇数個のデータを付加または削除したことを
示す情報と前記変換係数とを変換結果として出力する工
程と、を備えることを特徴とする。
【0007】デジタルデータ列のデータ個数Nが奇数の
場合に、奇数個のデータを付加または削除することによ
って偶数個のデジタルデータ列に調整するので、データ
個数に係わらずウェーブレット変換を行なうことができ
る。また、変換結果として、変換係数とともに奇数個の
データを付加または削除したこと示す情報を出力するの
で、この情報と変換係数とから逆変換を行なうことも可
能である。
【0008】なお、前記工程(b)は、前記個数Nが奇
数の場合には、M個(Mは奇数)のデータを削除するこ
とによって偶数個のデジタルデータ列に調整する工程を
備え、前記工程(d)は、前記削除したM個のデータと
前記変換係数とを変換結果として出力する工程を備える
ことが好ましい。
【0009】M個のデータをデータ列から削除すること
によって偶数個のデジタルデータ列に調整する場合に
は、削除したM個のデータを変換結果として出力するこ
とによって、逆変換が可能となる。
【0010】あるいは、前記工程(b)は、前記個数N
が奇数の場合には、M個(Mは奇数)のダミーデータを
付加することによって偶数個のデジタルデータ列に調整
する工程を備え、前記工程(d)は、前記M個のダミー
データを付加したことを示す情報と前記変換係数とを変
換結果として出力する工程を備えるようにすることが好
ましい。
【0011】M個のダミーデータをデータ列に付加する
ことによって偶数個のデジタルデータ列に調整する場合
には、M個のダミーデータを追加したことを示す情報を
変換結果として出力することによって、逆変換が可能と
なる。
【0012】付加または削除するデータの個数Mは1で
あることが好ましい。こうすれば、最小数のデータを付
加または削除するだけで、処理対象となるデジタルデー
タ列のデータ個数を偶数に調整することができる。
【0013】前記工程(c)は、調整後の偶数個のデジ
タルデータ列にローパスフィルタ処理を施すとともに1
/2ダウンサンプリングすることによって前記変換係数
の低域成分を求める工程と、前記調整後の偶数個のデジ
タルデータ列にハイパスフィルタ処理を施すとともに1
/2ダウンサンプリングすることによって前記変換係数
の高域成分を抽出する工程と、を含むことが好ましい。
【0014】こうすれば、変換係数の低域成分と高域成
分とをそれぞれ求めることができる。
【0015】さらに、前記低域成分を前記工程(a)に
おける処理対象のデジタルデータ列として前記工程
(a)ないし(d)を所定の回数だけ再帰的に繰返すこ
とが好ましい。
【0016】こうすれば、処理対象となるデジタルデー
タ列のデータ個数を必要に応じて奇数から偶数に調整し
つつ複数回の変換を行なうことが可能である。
【0017】
【発明の他の態様】この発明は、以下のような他の態様
も含んでいる。第1の態様は、デジタルデータ列をウェ
ーブレット変換する装置であって、処理対象となるデジ
タルデータ列のデータ個数Nを調べ、前記個数Nが奇数
の場合には、奇数個のデータを付加または削除すること
によって偶数個のデジタルデータ列に調整し、調整後の
偶数個のデジタルデータ列をウェーブレット変換するこ
とによって変換係数を求め、前記奇数個のデータを付加
または削除したこと示す情報と前記変換係数とを変換結
果として出力することを特徴とする。
【0018】第2の態様は、コンピュータシステムのマ
イクロプロセッサによって実行されることによってデジ
タルデータ列のウェーブレット変換を行なうソフトウェ
アプログラムを格納した携帯型記憶媒体であって、処理
対象となるデジタルデータ列のデータ個数Nを調べ、前
記個数Nが奇数の場合には、奇数個のデータを付加また
は削除することによって偶数個のデジタルデータ列に調
整し、調整後の偶数個のデジタルデータ列をウェーブレ
ット変換することによって変換係数を求め、前記奇数個
のデータを付加または削除したこと示す情報と前記変換
係数とを変換結果として出力する処理を実行するソフト
ウェアプログラムを格納することを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
A.第1実施例:次に、本発明の実施の形態を実施例に
基づき説明する。図1は、この発明の第1実施例による
離散直交ウェーブレット変換を行なうウェーブレット変
換装置の構成を示すブロック図である。このウェーブレ
ット変換装置は、2段のフィルタユニット(「変換ユニ
ット」とも呼ぶ)30a,30bで構成されている。各
フィルタユニットは、奇/偶調整回路32と、ローパス
フィルタ34と、第1のダウンサンプラ35と、ハイパ
スフィルタ36と、第2のダウンサンプラ37と、を備
えている。第1段のフィルタユニット30aの第1のダ
ウンサンプラ35の出力(すなわち低域成分)fl1(x)
は、第2段のフィルタユニット30bの入力として与え
られている。
【0020】図2は、第1実施例におけるウェーブレッ
ト変換処理の手順を示すフローチャートであり、図3は
その処理の一例を示す説明図である。図2のステップS
1〜S3は、奇/偶調整回路32によって実行される奇
/偶調整処理である。ステップS1では、処理対象の入
力デジタルデータ列d(x)のデータ個数xmaxを得る。ステ
ップS2では、xmaxが奇数であるか偶数であるかを調べ
る。xmaxが奇数であれば、ステップS3において、デー
タ列d(x)の末尾の1個のデータを処理対象から削除し、
(xmax−1)個のデジタルデータ列に調整する。以下の
処理は、調整後の偶数個のデジタルデータ列に対して実
行される。図3に示す入力デジタルデータ列d(x)の個数
xmaxは18であり、偶数なので、その全部が処理の対象
となる。
【0021】奇/偶調整された偶数個のデジタルデータ
列は、奇/偶調整回路32からローパスフィルタ34と
ハイパスフィルタ36とに並列に入力される。ローパス
フィルタ34はローパスフィルタ処理を行なって変換係
数の低域成分(低周波成分)を取出し(ステップS
4)、ダウンサンプラ35がその低域成分を1/2ダウ
ンサンプリングする(ステップS5)。一方、ハイパス
フィルタ36はハイパスフィルタ処理を行なって変換係
数の高域成分(高周波成分)を取出し(ステップS
6)、ダウンサンプラ37が高域成分を1/2ダウンサ
ンプリングする(ステップS7)。(ローパスフィルタ
+1/2ダウンサンプリング)の処理、および、(ハイ
パスフィルタ+1/2ダウンサンプリング)の処理は次
の数式1で与えられる。
【0022】
【数1】
【0023】ここで、d(x)は奇偶調整後のデジタルデー
タ列、fl(x) は変換係数の低域成分(低周波成分)、fh
(x) は変換係数の高域成分(高周波成分)、h(n)はロー
パスフィルタ(LPF)係数、g(n)はハイパスフィルタ
(HPF)係数、k はフィルタの次数である。
【0024】ウェーブレット変換に用いるフィルタとし
ては種々のものが存在するが、この実施例では、ドブシ
ズ(Daubechies)の4タップのデジタルフィルタを用い
る。図4は、4タップのデジタルフィルタとして構成さ
れたローパスフィルタ34を示すブロック図である。こ
のローパスフィルタ34は、3段の遅延回路41〜43
と、4つの乗算器51〜54と、加算器60とで構成さ
れている。4つの乗算器51〜54は、LPF係数h(0)
〜h(3)をそれぞれ乗ずる回路である。ハイパスフィルタ
36も同様な構成を有しており、乗算器51〜54にお
ける乗算値をHPF係数g(0)〜g(3)に置き換えたもので
ある。なお、図4においては、図示の便宜上、z変換を
利用したシステムで表現している。
【0025】図5は、ドブシズの4タップフィルタのフ
ィルタ係数の値を示している。このとき、図3(A)の
入力デジタルデータ列d(x)に対して(ローパスフィ
ルタ+1/2ダウンサンプリング)の処理を行なって得
られる低域成分fl1(0)〜fl1(8)(図3(B))は、次の
数式2で与えられる。
【0026】
【数2】
【0027】ここで、低域成分の符号fl1 の最初の文字
「f 」は変換係数であることを示し、次の文字「l 」
(Lの小文字)は低域成分であることを、また、最後の
数字「1 」は1回目の変換結果であることを示してい
る。なお、最後の低域成分fl1(8)を求める式の右辺にあ
る入力データd(18) ,d(19) は存在しないので、d(18)=
d(0),d(19)=d(1)のように、入力デジタルデータ列から
データを循環的に補って変換を行なう。これは、高域成
分についても同様である。
【0028】数式2に示す1番目の低域成分fl1(0)は、
先頭から4つの入力デジタルデータd(0)〜d(3)にLPF
係数h(0)〜h(3)をそれぞれ乗じて加算した結果である。
また、2番目の低域成分fl1(1)は、3番目以降の4つの
入力デジタルデータd(2)〜d(5)にLPF係数h(0)〜h(3)
をそれぞれ乗じて加算した結果である。図4に示すロー
パスフィルタ34の構成から解るように、隣接するデジ
タルデータの間隔は、ローパスフィルタ34内の遅延回
路41〜43の周期T(遅延時間)に相当している。ダ
ウンサンプラ35は、遅延回路41〜43の周期Tの2
倍の周期で低域成分をサンプリングして出力する。1/
2ダウンサンプリングとは、このように、デジタルフィ
ルタにおけるサンプリング周期Tの2倍の周期2Tでサ
ンプリングすることを意味している。従って、ダウンサ
ンプリングの結果として得られる低域成分fl1(x)の数
は、入力デジタルデータ列d(x)のデータ個数の1/2と
なる。
【0029】(ハイパスフィルタ+1/2ダウンサンプ
リング)処理は、(ローパスフィルタ+1/2ダウンサ
ンプリング)処理におけるLPF係数h(n)をHPF係数
g(n)に置き換えるだけであり、他は(ローパスフィルタ
+1/2ダウンサンプリング)処理と同じである。
【0030】図2に戻り、こうして第1回目の変換によ
って変換係数の低域成分fl1(x)および高域成分fh1(x)が
得られると、ステップS8においてこれらの低域成分fl
1(x)および高域成分fh1(x)を出力し、また、ステップS
3においてフィルタ処理から削除したデータnf1 (未変
換データ)も出力する。図1に示されているように、未
変換データnf1 は、奇/偶調整回路32から出力され
る。なお、図3(A)の例では、入力デジタルデータ列
d(x)の個数が偶数なので、第1回目の未変換データnf1
は存在しない。
【0031】ステップS9では、ステップS2〜S7の
変換処理を所定の回数だけ実行したか否かが判断され、
所定の回数実行していなければステップS10に移行す
る。「所定の回数」は、図1のフィルタユニットの段数
に相当する。
【0032】ステップS10では、ステップS4,S5
で得られた低域成分を新たな処理対象デジタルデータ列
としてステップS2に移行する。すなわち、低域成分fl
1(x)のデータ個数をxmaxとしてステップS2以降の処理
を再度実行する。ステップS9,S10は、図1の回路
において、第1のダウンサンプラ35の出力fl1(x)が第
2段目のフィルタユニット30bに入力されていること
に相当する。
【0033】図3(B)に示すように、第1回目の変換
で得られた低域成分fl1(x)のデータ個数は9個であり、
奇数である。この場合には、第2段目のフィルタユニッ
ト30bの奇/偶調整回路32が、最後のデータfl1(8)
を未変換データnf2 としてデータ列から削除し(ステッ
プS3)、残りの偶数個のデータ列に対して、(ローパ
スフィルタ+1/2ダウンサンプリング)の処理、およ
び、(ハイパスフィルタ+1/2ダウンサンプリング)
の処理が行なわれる(ステップS4〜S7)。そして、
ステップS8において、第2回目の変換によって得られ
た低域成分fl2(x)および高域成分fh2(x)を、未変換デー
タnf2 とともに出力する。こうして、2回の変換処理を
行なうことによって、最終的な変換データが得られる。
【0034】図1に示すように、最終的な変換データ
は、第1回目の変換における未変換データnf1 と、第1
回目の変換における変換係数の高域成分fh1(x)と、第2
回目の変換における未変換データnf2 と、第2回目の変
換における変換係数の高域成分fh2(x)および低域成分fl
2(x)とを含んでいる。なお、図3の例では、第1回目の
変換における未変換データnf1 は存在しない。一般に
は、Nt 回の変換を行なうと、(Nt +1)個の周波数
帯域に分割された変換係数と、最大Nt 個の未変換デー
タとが得られる。
【0035】図6は、最終的な変換データのデータ構造
の一例を示す説明図である。図6の変換データは、ヘッ
ダの後に、変換の段数(図1におけるフィルタユニット
の段数)に対応した数のブロックデータを有している。
変換データ全体のヘッダには、変換の段数と、変換方式
(図4のフィルタ係数を用いたウェーブレット変換であ
ること)を示す情報とが登録されている。第1のブロッ
クデータは、ブロックヘッダと、第2回目の変換におけ
る変換係数の高域成分fh2(x)および低域成分fl2(x)と、
第2回目の変換における未変換データnf2 とを含んでい
る。ブロックヘッダには、そのブロックに含まれている
データ個数が登録されている。図3(E)に示す第2回
目の変換の結果では、4つの低域成分fl2(x)と4つの高
域成分fh2(x)と1つの未変換データnf2 が得られている
ので、先頭ブロックのブロックヘッダにはデータ個数と
して9が登録される。第2回目の変換において未変換デ
ータnf2 が存在しない場合には、未変換データnf2 の位
置に、未変換データが存在しないことを示す特定の値
(例えばFFFFh(hは16進数表記であることを示
す))が登録される。図6に示すように、2つ目のブロ
ックデータは、ブロックヘッダと、第1回目の変換にお
ける変換係数の高域成分fh1(x)と、第1回目の変換にお
ける未変換データnf1 とを含んでいるが、低域成分fl1
(x)は含まれていない。図1からも解るように、フィル
タユニットが多段に構成された場合には、最後段のフィ
ルタユニットからのみ低域成分が出力され、その前段の
フィルタユニットからは低域成分は出力されない。従っ
て、図6に示すデータ構造においても、低域成分を含む
のは、最後段のフィルタユニットの出力に相当する先頭
のブロックデータのみである。
【0036】各ブロックヘッダには、データ個数が登録
されており、また、各ブロックデータの未変換データの
値から、未変換データの有無とその値とを読み取ること
ができる。従って、後述する逆ウェーブレット変換の際
には、未変換データの有無を判断しつつ逆変換を行なう
ことができる。図6のように、最後段のフィルタユニッ
トの出力から始めて順次前段のフィルタユニットの出力
を配列するように変換データを構成すれば、逆変換の際
に、このデータ配列に従って順次逆変換していくことが
できるという利点がある。
【0037】以上のように、第1実施例では、奇/偶調
整回路32が、処理対象となるデジタルデータ列のデー
タ個数Nを調べ、Nが奇数であれば、その後端の1個の
データを未変換データとして出力するとともに、残りの
偶数個のデータ列にウェーブレット変換処理を行なうこ
とによって変換係数(低域成分と高域成分)を求めるよ
うにした。従って、処理対象となるデータ列のデータ個
数Nが奇数の場合にもウェーブレット変換を行なうこと
ができる。一般には、データ個数Nが奇数の場合に、M
個(MはN未満の奇数)のデータを未変換データとして
削除し、M個の未変換データを最終的な変換データに含
めるようにすればよい。また、上記実施例では、複数回
の変換を行なう際に、各回の変換時において処理対象と
なるデータ列の個数を偶数に調整しているので、最初の
入力デジタルデータ列のデータ個数を2n (nは変換回
数)に調整する必要がないという利点がある。
【0038】図7は、第1実施例における逆ウェーブレ
ット変換を行なう装置を示すブロック図である。この逆
ウェーブレット変換装置は、2段のフィルタユニット
(「逆変換ユニット」とも呼ぶ)70a,70bを備え
ている。各フィルタユニットは、第1のアップサンプラ
71と、ローパスフィルタ72と、第2のアップサンプ
ラ73と、ハイパスフィルタ74と、加算器76と、偶
/奇調整回路78とを備えている。
【0039】図8は、第1実施例における逆ウェーブレ
ット変換処理の一例を示す説明図である。図8は、図3
で得られた変換データを逆変換する処理を示している。
アップサンプラ71,73は、図8(B)に示すよう
に、変換時における最終段の低域成分fl2(x)と高域成分
fh2(x)のそれぞれについて、隣接するデータ間に0を挿
入(補間)する。補間後の低域成分fl2'(i) と補間後の
高域成分fh2'(i) とは、それぞれ次の数式3のように書
き表わせる。
【0040】
【数3】
【0041】ローパスフィルタ72とハイパスフィルタ
74は、これらの低域成分fl2'(i)および高域成分fh2'
(i) に対して、それぞれ次の数式4で示されるフィルタ
処理を実行する。
【0042】
【数4】
【0043】ここで、fl2"(j) は逆変換された低域成
分、fh2"(j) は逆変換された高域成分、h'(n) はローパ
スフィルタ(LPF)係数、g'(n) はハイパスフィルタ
(HPF)係数である。図9は、逆変換に用いられるフ
ィルタ係数を示す説明図である。なお、変換時のLPF
係数h(n)と逆変換時のLPF係数h'(n) 、および、変換
時のHPF係数g(n)と逆変換時のHPF係数g'(n) に
は、図9の下部に示す関係がある。
【0044】数式4に従って6番目の低域成分fl2"(5)
を計算する際には、fl2'(8) が必要になるが、図8
(B)にも示すようにこのデータfl2'(8) は存在しな
い。この時には、例えばfl2'(8)=fl2'(0) とおいて計算
を行なう。すなわち、データが不足する場合には、デー
タ列からデータを循環的に補って計算を行なう。同様
に、低域成分fl2"(6) を計算する場合にはfl2'(8)=fl2'
(0),fl2'(9)=fl2'(1)とおき、低域成分fl2"(7) を計算
する場合にはfl2'(8)=fl2'(0),fl2'(9) =fl2'(1),fl
2'(10)=fl2'(2) とおいてそれぞれ計算を行なう。図8
(C)は、こうして得られた結果fl2"(j) ,fh2"(j) を
示している。なお、これらの結果fl2"(j) ,fh2"(j)
は、図7の1段目のフィルタユニット70aのローパス
フィルタ72およびハイパスフィルタ74からそれぞれ
出力される。
【0045】1段目のフィルタユニット70aの加算器
76は、ローパスフィルタ72の出力fl2"(j) とハイパ
スフィルタ74の出力fh2"(j) を次の数式5に従って加
算する。
【0046】
【数5】
【0047】フィルタユニット70aの偶/奇調整回路
78は、未変換データnf2 が入力されている場合に、そ
の未変換データnf2 を加算器76の出力の後端に加え
る。一方、未変換データnf2 の値が、未変換データが存
在しないことを示す特定の値(例えばFFFFh)であ
る場合には、偶/奇調整回路78はなにもせずに、入力
されたデータをそのまま出力する。図8(A)の例で
は、未変換データnf2 =fl1(8) が存在し、これが第1段
目のフィルタユニット70aの偶/奇調整回路78に入
力される。従って、偶/奇調整回路78は、この未変換
データnf2 を加算器76の出力fl1(j)の後端に付加し
て、9個の低域成分fl1(0)〜fl1(8)を出力する。
【0048】第2段目のフィルタユニット70bの第1
のアップサンプラ71には、第1段目のフィルタユニッ
ト70aの偶/奇調整回路78から出力された低域成分
fl1(j)が与えられる。一方、第2段目のフィルタユニッ
ト70bの第2のアップサンプラ73には、図3(C)
に示す高域成分fh1(j)が入力される。低域成分fl1(j)は
アップサンプラ71によってアップサンプリングされ、
また、ローパスフィルタ72によってフィルタ処理され
る。一方、高域成分fh1(j)はアップサンプラ73によっ
てアップサンプリングされ、また、ハイパスフィルタ7
4によってフィルタ処理される。これらの処理は、第1
段目のフィルタユニット70aにおける処理と同じであ
る。また、第2段目のフィルタユニット70bにおける
加算器76は、ローパスフィルタ72とハイパスフィル
タ74の出力を加算する。図3(A),(B)における
第1回の変換時には未変換データnf1 が存在しなかった
ので、第2段目のフィルタユニット70bの偶/奇調整
回路78には未変換データが存在しないことを示すデー
タが入力される。従って、偶/奇調整回路78はなにも
せずに入力されたデータをそのまま出力する。図8
(E),(F)は、第2段目のフィルタユニット70b
における(アップサンプリング+フィルタ+加算)処理
を示している。こうして得られた最終結果d(0)〜d(17)
は、図3(A)に示す入力デジタルデータ列の復元デー
タである。
【0049】以上のように、第1実施例では、ウェーブ
レット変換の際に、デジタルデータ列のデータ個数が奇
数であるか偶数であるかに係わらず複数回のウェーブレ
ット変換とその逆変換を行なうことが可能である。
【0050】図10は、第1実施例におけるウェーブレ
ット変換を2次元の画像に適用するための装置の構成を
示すブロック図である。このウェーブレット変換装置
は、2段のフィルタユニット90a,90bで構成され
ている。第1段目のフィルタユニット90aに入力され
た2次元のデジタルデータ列d(x,y)は、奇/偶調整回路
92において水平方向に奇/偶調整される。すなわち、
2次元のデジタルデータ列d(x,y)の水平方向xのデータ
数が奇数である場合には、その終端にある1列のデータ
が未変換データnf1 として出力される。奇/偶調整され
たデータ列は、水平ローパスフィルタ94と水平ハイパ
スフィルタ100に与えられる。水平ローパスフィルタ
94に与えられたデータ列は、1行毎にローパスフィル
タ処理を受けるとともにダウンサンプラ96によって1
/2ダウンサンプリングを受ける。一方、水平ハイパス
フィルタ100に与えられたデータ列は、1行毎にハイ
パスフィルタ処理を受けるとともにダウンサンプラ10
2によって1/2ダウンサンプリングを受ける。奇/偶
調整回路92と2つのフィルタ94,100と2つのダ
ウンサンプラ96,102で構成される水平フィルタサ
ブユニットは、図1に示すフィルタユニット30aと同
じ構成である。
【0051】図10に示すフィルタユニット90aで
は、この水平フィルタサブユニットの下流側に、2つの
垂直フィルタサブユニットを並列に設けた構成を有して
いる。すなわち、第1のダウンサンプラ96の下流側に
は、奇/偶調整回路98と、垂直ローパスフィルタ10
6と、ダウンサンプラ108と、垂直ハイパスフィルタ
110と、ダウンサンプラ112とで構成される第1の
垂直フィルタサブユニットが設けられている。また、第
2のダウンサンプラ102の下流側にも、奇/偶調整回
路104と、垂直ローパスフィルタ114と、ダウンサ
ンプラ116と、垂直ハイパスフィルタ118と、ダウ
ンサンプラ120とで構成される第2の垂直フィルタサ
ブユニットが設けられている。奇/偶調整回路98,1
04は、データ列を垂直方向に奇/偶調整する回路であ
る。すなわち、与えられた2次元のデータ列の垂直方向
yのデータ数が奇数である場合には、その終端にある1
行のデータが未変換データとして出力される。ローパス
フィルタ94,106,114は図4に示すものと同じ
構成を有している。ハイパスフィルタ100,110,
118もローパスフィルタと同じ構成を有しており、フ
ィルタ係数が異なるだけである。
【0052】図10に示す1段目のフィルタユニット9
0aの出力は、次のデータを含んでいる。 (1)未変換データnf1 :第1の奇/偶調整回路92か
ら出力される未変換データ。 (2)未変換データnfh1:第2の垂直フィルタサブユニ
ットの奇/偶調整回路104から出力される未変換デー
タ。なお、符号nfh1の最初の2文字「nf」は未変換デー
タであることを意味し、次の文字「h 」はハイパスフィ
ルタ処理を1回受けていること、また、最後の数字「1
」は1段目のフィルタユニット90aの出力であるこ
とを意味している。 (3)高域成分fhh1(x,y) :水平方向と垂直方向にそれ
ぞれ(ハイパスフィルタ+ダウンサンプリング)処理を
行なって得られた変換係数。なお、符号fhh1(x,y) の最
初の文字「f 」は変換係数であることを意味し、次の2
つの文字「hh」は水平方向と垂直方向のフィルタリング
処理の種類(ハイパスフィルタかローパスフィルタか)
を意味し、最後の数字「1 」は1段目のフィルタユニッ
ト90aの出力であることを意味している。なお、図1
0では図示の便宜上、(x,y) を省略している。 (4)低域成分fhl1(x,y) :水平方向に(ハイパスフィ
ルタ+ダウンサンプリング)処理を行ない、垂直方向に
は(ローパスフィルタ+ダウンサンプリング)処理を行
なって得られた変換係数。 (5)未変換データnfl1:第1の垂直フィルタサブユニ
ットの奇/偶調整回路98から出力される未変換デー
タ。 (6)高域成分flh1(x,y) :水平方向に(ローパスフィ
ルタ+ダウンサンプリング)処理を行ない、垂直方向に
は(ハイパスフィルタ+ダウンサンプリング)処理を行
なって得られた変換係数。 (7)低域成分fll1(x,y) :水平方向と垂直方向にそれ
ぞれ(ローパスフィルタ+ダウンサンプリング)処理を
行なって得られた変換係数。
【0053】1段目のフィルタユニット90aのダウン
サンプラ108の出力(すなわち低域成分)fll1(x,y)
は、2段目のフィルタユニット90bの入力として与え
られている。2段目のフィルタユニット90aも1段目
と同様な出力を与えるが、その説明は省略する。
【0054】2次元のウェーブレット変換は、このよう
に、水平方向における変換処理を行なって得られた変換
係数fh1(x,y),fl1(x,y)のそれぞれに対して、垂直方向
に変換処理を行なうことによって実現することができ
る。なお、水平方向と垂直方向の処理の順序は逆にする
ことが可能である。
【0055】図11は、2次元の画像を表わす画像デー
タを図10のウェーブレット変換装置で変換する手順を
示す説明図である。図11(A)に示す原画像は、18
×18画素のサイズを有している。この原画像を表わす
画像データd(x,y)が図10に示す第1のフィルタユニッ
ト90aに入力される。奇/偶調整回路92は、水平方
向のデータ数(すなわち画素数)が奇数である場合に
は、画像の右端における1画素幅の領域の画像データを
未変換データnf1 として出力する。図11(A)の例で
は、水平方向のデータ数が18であり、偶数なので、未
変換データnf1 は出力されない。奇/偶調整回路92の
出力は、水平方向の1行毎に(ローパスフィルタ+ダウ
ンサンプリング)処理と(ハイパスフィルタ+ダウンサ
ンプリング)処理とを受けて、図11(B)に示すよう
に、2つの帯域に分割される。図11(B)の左側の帯
域は、図10の第1のダウンサンプラ96の出力である
低域成分fl1 に相当する。また、図11(B)の右側の
帯域は、図10の第2のダウンサンプラ102の出力で
ある高域成分fh1 に相当する。なお、左側の帯域内に記
されている大文字の「L」はローパスフィルタ処理を1
回受けていることを意味しており、右側の帯域における
大文字の「H」はハイパスフィルタ処理を1回受けてい
ることを意味している。これは、他の帯域も同様であ
る。
【0056】図11(B)に示す低域成分fl1 と高域成
分fh1 のそれぞれは、さらに、奇/偶調整回路98,1
04で垂直方向の奇/偶変換を受ける。しかし、低域成
分fl1 と高域成分fh1 の垂直方向のデータ数は18であ
り、偶数なので、奇/偶調整回路98,104はなにも
しない。低域成分fl1 と高域成分fh1 のそれぞれは、垂
直方向の1列毎に(ローパスフィルタ+ダウンサンプリ
ング)処理と(ハイパスフィルタ+ダウンサンプリン
グ)処理とを受けて、図11(C)に示すように、垂直
方向に帯域分割される。この結果、図10の1段目のフ
ィルタユニット90aの出力が得られる。
【0057】図11(C)の左上の帯域に相当する低域
成分fll1は、図10の2段目のフィルタユニット90b
に入力されて、上述と同様の変換処理を受ける。すなわ
ち、まず、図11(D)に示すように、水平方向に奇/
偶変換を受けるとともに、(ローパスフィルタ+ダウン
サンプリング)処理と(ハイパスフィルタ+ダウンサン
プリング)処理とを受けて、水平方向に帯域分割され
る。図11(c)に示されているように、処理対象であ
る低域成分fll1の水平方向のデータ個数は9なので、そ
の後端(右端)の1画素幅の1列の領域のデータが未変
換データnf2 として出力される。奇/偶調整後に水平方
向の変換処理を行なって得られた高域成分fh2 と低域成
分fl2 は、垂直方向に奇/偶変換を受けるとともに、
(ローパスフィルタ+ダウンサンプリング)処理と(ハ
イパスフィルタ+ダウンサンプリング)処理とを受け
て、図11(E)に示すように、垂直方向に帯域分割さ
れる。高域成分fh2 と低域成分fl2 の垂直方向のデータ
個数は9なので、その後端(下端)の1画素幅の1行の
領域のデータが未変換データnfh2,nfl2としてそれぞれ
出力される。こうして、水平方向と垂直方向のフィルタ
リング処理による変換を2回繰り返して実行することに
よって、図11(E)に示す最終的な出力が得られる。
【0058】図11(E)に示す最終的な変換結果は、
未変換データを除いて7つの帯域に分割されている。一
般に、2次元のデジタルデータ列をウェーブレット変換
する場合には、Nt 回の変換を行なうと、(3Nt +
1)個の周波数帯域に分割された変換係数と、最大3N
t 組の未変換データとが得られる。さらに一般に、n次
元のデジタルデータ列に対してNt 回の変換を行なう
と、{(2n −1)Nt +1}個の帯域に分割された変
換係数と、最大(2n −1)Nt 組の未変換データとが
得られる。
【0059】なお、図11(E)の右側に記されている
ように、第1実施例による最終的な変換データ(未変換
データも含む)のデータ個数は、変換前と同じである。
すなわち、第1実施例では、データ個数を同じに保った
まま、変換を行なうことができるという利点がある。
【0060】図12は、2次元データに対する逆ウェー
ブレット変換を行なう装置の構成を示すブロック図であ
る。この逆ウェーブレット変換装置は、2段のフィルタ
ユニット130a,130bで構成されている。各フィ
ルタユニットは、図10に示すフィルタユニット90a
の左右の向きを逆にし、ダウンサンプラ96,102,
108,112,116,120をアップサンプラ14
4,164,132,136,152,156に置き換
え、奇/偶調整回路92,98,104を偶/奇調整回
路172,142,162に置き換え、また、各偶/奇
調整回路172,142,162の前に加算器170,
140,160を設けた構成を有している。図10の右
端に示されている出力(fll2,flh2 等)は、図12の左
端に示されている入力とそれぞれ対応している。図12
の逆ウェーブレット変換装置におけるフィルタ処理とア
ップサンプラと偶/奇調整の内容は、図7〜図9におい
て説明した1次元データの場合と同様なので、その説明
は省略する。図12の逆ウェーブレット変換装置を用い
て逆変換を行なうことによって、図10の2次元の入力
デジタルデータ列d(x,y)を復元することが可能である。
【0061】図13は、ウェーブレット変換を用いた画
像処理システムを示すブロック図である。この画像処理
システムは、ウェーブレット変換装置200と、平滑化
フィルタ装置202と、逆ウェーブレット変換装置20
4とを備えている。ウェーブレット変換装置200とし
ては、例えば図10に示す装置を用いることができ、逆
ウェーブレット変換装置204としては図12に示す装
置を用いることができる。この画像処理システムに画像
データが入力されると、まず、ウェーブレット変換装置
200によってウェーブレット変換が行なわれて、複数
の周波数帯域に分割された変換係数が得られる。平滑化
フィルタ装置202は、指定された特定の周波数帯域の
変換係数に対して平滑化フィルタ処理を行なう。そし
て、平滑化フィルタ処理された結果は逆ウェーブレット
変換装置204に入力されて逆ウェーブレット変換が行
なわれる。こうして復元された画像データで表わされる
画像では、特定の周波数帯域のノイズが抑制・除去され
ている。
【0062】なお、ウェーブレット変換を利用したデー
タ処理としては、DCT(離散コサイン変換)の代わり
に離散直交ウェーブレット変換を用いた画像データの圧
縮処理などが考えられる。また、ウェーブレット変換
は、画像データの処理に限らず、音声データの処理や、
種々の信号解析、システムの解析・制御などの種々のデ
ータ処理に適用が可能である。
【0063】B.第2実施例:図14は、第2実施例に
おけるウェーブレット変換処理の手順を示すフローチャ
ートであり、図15はその処理の一例を示す説明図であ
る。図14の手順は、ステップS20およびステップS
22以外は図2に示す第1実施例の手順と同じである。
【0064】図14の処理手順では、デジタルデータ列
のデータ個数xmaxが奇数の場合に、ステップS20にお
いて、データ列の最後にその直前のデータ(すなわちデ
ータ列の後端のデータ)をダミーデータとして付加する
ことによってデータ個数を偶数に調整する。そして、奇
/偶調整後のデータ列に対して(ローパスフィルタ+1
/ダウンサンプリング)処理と(ハイパスフィルタ+1
/ダウンサンプリング)処理とを行なう。図15
(A),(B)に示すように、入力デジタルデータ列d
(x)のデータ個数は18であり、偶数なので、図14の
ステップS20は実行されない。しかし、第1回目の変
換で得られた低域成分fl1(0)〜fl1(8)を変換する際に
は、そのデータ個数が9なので、ステップS20におけ
る奇/偶調整処理が実行される。すなわち、処理対象の
データ列fl1(0)〜fl1(8)の最後に、その後端のデータfl
1(8)がダミーデータとして付加される。そして偶数個に
調整されたデータ列fl1(0)〜fl1(8),fl1(8)に対して変
換処理が実行されて、低域成分fl2(0)〜fl2(4)と高域成
分fh2(0)〜fh2(4)とが得られる。
【0065】図14のステップS22では、変換係数の
低域成分と高域成分とともに、ダミーデータを付加した
ことを示す情報が変換データとして出力される。第2実
施例における変換データも、図6に示す第1実施例にお
ける変換データと同様な構成を持つようにすることがで
きる。但し、第2実施例においては、第1実施例におけ
る未変換データnf2 ,nf1 の位置に、ダミーデータの付
加の有無を示す情報が登録される。なお、一般には、デ
ータ列のデータ個数Nが奇数の場合に、M個(MはN未
満の奇数)のダミーデータを付加し、M個のダミーデー
タを付加したことを示す情報を変換データに含めるよう
にすればよい。なお、ダミーデータとしては、データ列
の後端のデータを用いることもでき、また、予め定めら
れた一定の値をダミーデータとして使用することも可能
である。
【0066】以上のように、第2実施例では、奇数個の
データ列に奇数個のダミーデータを付加することによっ
てデータ個数を偶数に調整するようにしたので、奇数個
のデータ列に対してもウェーブレット変換を行なうこと
ができる。第2実施例のウェーブレット変換処理を実現
する変換装置としては、図1に示す第1実施例の装置と
ほぼ同じ構成の装置を用いることができる。第1実施例
の装置との違いは、第1実施例における装置では、奇/
偶調整回路32が図2のステップS3,S8の処理を行
なうのに対して、第2実施例における装置では、奇/偶
調整回路32が図14のステップS20,S22の処理
を行なう点だけである。第2実施例の逆ウェーブレット
変換装置も、図7に示す第1実施例の逆ウェーブレット
変換装置とほぼ同様な構成を有しており、偶/奇調整回
路の処理内容が異なるだけである。
【0067】図16は、第2実施例における逆ウェーブ
レット変換処理の一例を示す説明図である。図16は、
図15で得られた変換データを逆変換する処理を示して
いる。まず、図16(A)〜(D)に示すように、変換
データの低域成分fl2(0)〜fl2(4)と高域成分fh2(0)〜fh
2(4)をそれぞれアップサンプリング(データ間に0を挿
入)して、ローパスフィルタ処理とハイパスフィルタ処
理をそれぞれ施し、得られた結果を加算する。この結
果、図16(D)に示すように、図15(D)に示す低
域成分fl1(0)〜fl1(8),fl1(8)が得られる。変換データ
には、このデータ列の末尾にダミーデータが1つ付加さ
れていることを示す情報が登録されているので、このダ
ミーデータfl1(8)は、以下の処理では省略される。
【0068】図16(E),(F)の処理では、ダミー
データが省略された低域成分fl1(0)〜fl1(8)と、これに
対応する高域成分fh1(0)〜fh1(8)にアップサンプリング
とフィルタ処理が行なわれて、対応するデータ同士が加
算される。この結果、図16(F)に示すように、復元
されたデータ列d(x)が得られる。このように、第2実施
例においても、第1実施例と同様に、奇数個のデータ列
に対してウェーブレット変換と逆変換とを行なうことが
できる。
【0069】図17は、2次元の画像を表わす画像デー
タに対して第2実施例のウェーブレット変換処理を行な
う手順を示す説明図である。図17(A)〜(C)は、
第1実施例における図11(A)〜(C)と同じであ
る。第2実施例では、図17(C)の左上の帯域(低域
成分fll1)に対して水平方向の変換処理を行なう際に、
右端に1列分の領域のダミーデータを付加して処理を実
行する。この結果、図17(D)に示す低域成分fl2 と
高域成分fh2 が得られる。また、これらの低域成分fl2
と高域成分fh2 に対して垂直方向のフィルタ処理を行な
う際にも、下端に1行分の領域のダミーデータを付加し
て処理を実行する。このように、第2実施例のウェーブ
レット変換も、第1実施例と同様に、2次元のデジタル
データ列に適用して変換処理を行なうことが可能であ
る。2次元データの逆ウェーブレット変換は、ウェーブ
レット変換と逆の処理であり、容易に理解できるので説
明を省略する。
【0070】なお、図17(E)の右側に記されている
ように、第2実施例における最終的な変換データのデー
タ個数は、変換前のデータ個数に比べて増加している。
これに対して、前述した第1実施例では、データ個数を
同じに保ったまま変換を行なうことができるという利点
がある。一方、第2実施例では未変換データが存在せ
ず、すべてのデータを変換することができるという利点
がある。
【0071】なお、この発明は上記の実施例や実施形態
に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲に
おいて種々の態様において実施することが可能であり、
例えば次のような変形も可能である。
【0072】(1)上記実施例では、ハードウェア回路
によってウェーブレット変換と逆ウェーブレット変換を
行なう例について説明したが、これらの変換処理や逆変
換処理は、コンピュータシステムのCPU(マイクロプ
ロセッサ)がメインメモリに記憶されたソフトウェアプ
ログラムを実行することによって実現することも可能で
ある。これらの機能を実現するソフトウェアプログラム
(アプリケーションプログラム)は、フロッピディスク
やCD−ROM等の携帯型記憶媒体(可搬型記憶媒体)
に格納され、携帯型記憶媒体からコンピュータシステム
のメインメモリまたは外部記憶装置に転送される。
【0073】(2)上記実施例では、図1や図10に示
すように、多段階に分けて(すなわち複数回の)変換処
理を行なうものとしていたが、画像データのように処理
対象のデジタルデータ列が予め得られている場合には、
多段のフィルタ係数を乗じた結果をそれぞれ予め求めて
おき、入力デジタルデータ列から直ちに出力結果となる
変換係数を求めるようにすることも可能である。但し、
上記実施例のように、多段に分けて同一の変換処理を繰
返すようにすれば、その回路構成(またはソフトウェア
のルーチンの構成)を単純化することができるという利
点がある。
【0074】(3)上記実施例では、データ列の後端に
奇数個のデータを付加または削除することとしていた
が、データ列の先頭に奇数個のデータを付加または削除
するようにすることも可能である。
【0075】(4)上記実施例では、第1回目の変換に
よる変換係数の低域成分に対して同じ変換処理を所定回
数だけ再帰的に繰返すこととしていたが、変換係数の高
域成分に対して同じ変換処理を所定回数だけ再帰的に繰
返すことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例であるウェーブレット変
換を行なうウェーブレット変換装置の構成を示すブロッ
ク図。
【図2】第1実施例における処理手順を示すフローチャ
ート。
【図3】第1実施例における処理の一例を示す説明図。
【図4】ローパスフィルタ34の構成を示すブロック
図。
【図5】ウェーブレット変換に用いられるフィルタ係数
の一例を示す説明図。
【図6】最終的な変換データのデータ構造の一例を示す
説明図。
【図7】第1実施例における逆ウェーブレット変換装置
を示すブロック図。
【図8】逆ウェーブレット変換処理の一例を示す説明
図。
【図9】逆変換に用いられるフィルタ係数を示す説明
図。
【図10】第1実施例を適用して2次元のデジタルデー
タ列を変換するウェーブレット変換装置の構成を示すブ
ロック図。
【図11】第1実施例における画像データのウェーブレ
ット変換処理の手順を示す説明図。
【図12】2次元データに対する逆ウェーブレット変換
装置の構成を示すブロック図。
【図13】ウェーブレット変換を用いた画像処理システ
ムを示すブロック図。
【図14】第2実施例における処理手順を示すフローチ
ャート。
【図15】第2実施例における処理の一例を示す説明
図。
【図16】第2実施例における逆ウェーブレット変換処
理の一例を示す説明図。
【図17】第2実施例における画像データのウェーブレ
ット変換処理の手順を示す説明図。
【符号の説明】
30a,30b…フィルタユニット 32…奇/偶調整回路 34…ローパスフィルタ 35…ダウンサンプラ 36…ハイパスフィルタ 37…ダウンサンプラ 41〜43…遅延回路 51〜54…乗算器 60…加算器 70a,70b…フィルタユニット 71…アップサンプラ 72…ローパスフィルタ 73…アップサンプラ 74…ハイパスフィルタ 76…加算器 78…偶/奇調整回路 90a,90b…フィルタユニット 92…奇/偶調整回路 94…水平ローパスフィルタ 96…ダウンサンプラ 98…奇/偶調整回路 100…水平ハイパスフィルタ 102…ダウンサンプラ 104…奇/偶調整回路 106…垂直ローパスフィルタ 108…ダウンサンプラ 110…垂直ハイパスフィルタ 112…ダウンサンプラ 114…垂直ローパスフィルタ 116…ダウンサンプラ 118…垂直ハイパスフィルタ 120…ダウンサンプラ 130a,130b…フィルタユニット 132…アップサンプラ 134…垂直ローパスフィルタ 136…アップサンプラ 138…垂直ハイパスフィルタ 140…加算器 142…偶/奇調整回路 144…アップサンプラ 146…水平ローパスフィルタ 152…アップサンプラ 154…垂直ローパスフィルタ 156…アップサンプラ 158…垂直ハイパスフィルタ 150…加算器 162…偶/奇調整回路 164…アップサンプラ 166…水平ハイパスフィルタ 170…加算器 172…偶/奇調整回路 200…ウェーブレット変換装置 202…平滑化フィルタ装置 204…逆ウェーブレット変換装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デジタルデータ列をウェーブレット変換
    する方法であって、(a)処理対象となるデジタルデー
    タ列のデータ個数Nを調べる工程と、(b)前記個数N
    が奇数の場合には、奇数個のデータを付加または削除す
    ることによって偶数個のデジタルデータ列に調整する工
    程と、(c)調整後の偶数個のデジタルデータ列をウェ
    ーブレット変換することによって変換係数を求める工程
    と、(d)前記奇数個のデータを付加または削除したこ
    とを示す情報と前記変換係数とを変換結果として出力す
    る工程と、を備えることを特徴とするウェーブレット変
    換方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のウェーブレット変換方法
    であって、 前記工程(b)は、 前記個数Nが奇数の場合には、M個(Mは奇数)のデー
    タを削除することによって偶数個のデジタルデータ列に
    調整する工程を備え、 前記工程(d)は、前記削除したM個のデータと前記変
    換係数とを変換結果として出力する工程を備える、ウェ
    ーブレット変換方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のウェーブレット変換方法
    であって、 前記工程(b)は、前記個数Nが奇数の場合には、M個
    (Mは奇数)のダミーデータを付加することによって偶
    数個のデジタルデータ列に調整する工程を備え、 前記工程(d)は、前記M個のダミーデータを付加した
    ことを示す情報と前記変換係数とを変換結果として出力
    する工程を備える、ウェーブレット変換方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載のウ
    ェーブレット変換方法であって、 前記奇数Mは1である、ウェーブレット変換方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載のウ
    ェーブレット変換方法であって、 前記工程(c)は、 調整後の偶数個のデジタルデータ列にローパスフィルタ
    処理を施すとともに1/2ダウンサンプリングすること
    によって前記変換係数の低域成分を求める工程と、 前記調整後の偶数個のデジタルデータ列にハイパスフィ
    ルタ処理を施すとともに1/2ダウンサンプリングする
    ことによって前記変換係数の高域成分を抽出する工程
    と、を含むウェーブレット変換方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のウェーブレット変換方法
    であって、 さらに、前記低域成分を前記工程(a)における処理対
    象のデジタルデータ列として前記工程(a)ないし
    (d)を所定の回数だけ再帰的に繰返す、ウェーブレッ
    ト変換方法。
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