JPH0992550A - コイルおよびその製造方法 - Google Patents

コイルおよびその製造方法

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JPH0992550A
JPH0992550A JP24211595A JP24211595A JPH0992550A JP H0992550 A JPH0992550 A JP H0992550A JP 24211595 A JP24211595 A JP 24211595A JP 24211595 A JP24211595 A JP 24211595A JP H0992550 A JPH0992550 A JP H0992550A
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JP
Japan
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coil
winding
conductor
lead wire
tap
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JP24211595A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tsutsui
宏 筒井
Akira Nakayama
中山  晃
Yoichi Kamo
洋一 加茂
Tomohiro Kaizu
朋宏 海津
Takayuki Tsujiguchi
孝之 辻口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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  • Coils Of Transformers For General Uses (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 熱放散性,耐絶縁性,耐電磁機械力、製造時
の作業性に優れた樹脂モールドコイルおよびその製造方
法を提供することを目的とする。 【構成】 絶縁処理を施した帯状導体1の幅方向端部が
それぞれ内周側の絶縁物及び外周側の絶縁物まで達する
ようにしながら軸方向にスパイラル状に巻線する。この
場合、帯状導体の一部を外周側に迂回させるように引き
出すことで、該引き出した導体部分をタップリード線1
2とする。 【効果】 熱放散性、耐絶縁性、耐電磁機械力に優れた
樹脂モールドコイルが得られる。製造工程における工数
低減が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、変圧器等に使用される
巻線の構造及びその製造方法に係り、特に導体巻線をエ
ポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂でモールドしてなるコイ
ルおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】導体巻線をエポキシなどでモールドして
なるモールドコイルは、機械的強度,絶縁性能,耐湿性
能が優れ、かつ難燃性である等の防災の面で利点も多い
ため、その需要は増加している。このモールドコイルを
用いたモールド変圧器も最近ではより小型でより安価な
ものが市場から求められている。この要求にこたえる為
には、より放熱特性の優れた構造が不可欠である。
【0003】従来のモールドコイルの巻線構造は、大略
次ぎの構造に分けられる。一つは例えば特開昭63−7210
6号公報(公知例1)に記載されているように、丸線ある
いは角線を軸方向に円筒状に巻回し、その外周側に絶縁
材を巻き、更にこの上に巻線導体を巻回する。これを所
定回繰り返して巻線単位が構成され、この巻線単位を必
要な個数軸方向直列に接続してコイル巻線が形成され
る。
【0004】もう1つは例えば特開昭54−104529号公報
(公知例2)に記載されているように、絶縁材を介在させ
ながら帯状導体を筒状に巻回して巻線単位を形成し、こ
れを必要な個数,軸方向に配列接続してコイル巻線が形
成される。
【0005】主に巻線の抵抗に起因してコイル内で発生
するジュール熱は、最終的にはコイルの外表面、即ち内
外周面及び軸方向端部から放熱される。通常のモールド
コイルは軸方向に長い筒状であるため、多くの熱は、軸
方向端部に比較して面積が格段に大きい内外周表面から
コイル外に放出される。このため、コイル内部で発生し
た熱は主に径方向に伝達されてゆくことになる。ところ
が、前記のような従来のコイル構造においては熱伝導の
小さい絶縁物が多数径方向を分割するように配置されて
いるため、径方向への熱の伝達が阻止される。その結
果、コイル内部とコイル表面との温度差の大きい熱放散
特性の悪いコイルとなっていた。
【0006】このような従来コイル構造の熱放散特性を
改善する提案として、実開昭56−63030号公報に開示さ
れている技術(公知例3)がある。これは、絶縁物を介し
ながら、帯状導体を軸方向に積み重ねながら巻回するも
のである。この構造では、径方向を分断する絶縁物を介
在せず、帯状導体が内周側から外周側まで連続している
ことから、コイル内部で発生した熱を内外周の表面まで
効率良く伝達する利点を有している。その結果として放
熱特性の優れたコイルが得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この公知例3
においては、タップリ−ド線の引出し方法,コイル支持
方法,タップの取付方法等,実際に製品化する上で必要
な具体的製造方法の提案が為されていない。
【0008】本発明は、絶縁処理を施した帯状導体もし
くは帯状導体を介在させながら、軸方向に巻回してなる
コイル巻線において、そのタップの引出し方法,コイル
の支持方法等の製品化する為の具体的製造方法を提案す
るものである。
【0009】本発明は、放熱特性に優れたコイルおよび
その製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するためになされたものであり、その第1の態様として
は、導体を巻いて構成したコイルのタップリード線の引
き出し方法において、上記導体を上記コイルの軸方向に
重ねるように巻き回し、該巻き回しの途中位置におい
て、上記導体の所定長さ分を該巻き回しの周方向外側に
迂回させるように引き出し、該引き出した導体部分をタ
ップリード線とすること、を特徴とするコイルのタップ
リード線の引き出し方法が提供される 本発明の第2の態様としては、導体をあらかじめ定めら
れた軸方向に重ねるように巻き回して構成された巻線部
と、上記巻き回しの途中位置において、上記導体の所定
長さ分を上記巻線部の外周側に迂回させるように引き出
して構成されたタップリード線と、を有することを特徴
とするコイルが提供される。
【0011】この場合、上記巻線部の外周面の一部を平
面とし、上記タップリード線は、上記平面を構成してい
る領域において形成してもよい。
【0012】上記平面に設置され、上記タップリード線
と接続されたタップ切換器をさらに有することが好まし
い。
【0013】本発明の第3の態様としては、折り曲げ加
工された帯状導体を、あらかじめ定められた軸方向に重
ねるように巻き回して構成された巻線部と、上記折り曲
げ加工に対応した表面凹凸部を備え、該表面凹凸部を上
記巻き線部の端部に向けて設置された支え部材と、を有
することを特徴とするコイルが提供される。
【0014】本発明の第4の態様としては、その一面側
にのみ凸部を形成された帯状導体を、あらかじめ定めら
れた軸方向に重ねるように巻き回して構成された巻線部
と、上記凸部に対応した表面凹凸部を備え、上記巻線部
の上記凸部が露出している側の端部において、上記表面
凹凸部を上記露出している凸部に噛み合わせるように設
置された第1の支え部材と、平坦面を備え、上記巻線部
の他端側に上記平坦面を向けて設置された、円環状の第
2の支え部材と、を有することを特徴とするコイルが提
供される。
【0015】
【作用】導体の巻き回しの途中位置において、導体の所
定長さ分を該巻き回しの周方向外側に(好ましくは、巻
き線方向に対して90°の方向に)迂回させるように引
き出す。これにより、この引き出した導体部分をタップ
リード線として用いることができる。タップリード線の
先端には、必要に応じて、圧着端子等を取り付けてもよ
い。
【0016】巻線部の外周面の一部を平面と、タップリ
ード線はここから引き出すようにする。タップ切換器
は、この平面部にそのまま設置できる。タップ切換器の
設置は、例えば、アクリル製のネジ等を使って行うこと
ができる。なお、上記平面に絶縁材からなる板を接着し
た上で、この上からタップ切換器を設置することもでき
る。このようにすれば、この板に、タップリード線と巻
線導体との間の絶縁、および、端子取付け用のガイドの
役割を果たさせることができる。
【0017】導体として、折り曲げ加工された帯状導体
を用いる場合には、折り曲げ加工に対応した表面凹凸部
を備えた支え部材を、巻き線部の端部に向けて設置する
ことで、コイルの端部を支える。
【0018】この折り曲げ加工において、その一面側に
のみ凸部を形成されている場合には、上述の支え部材
(第1の支え部材)は、この凸部が露出している側にだ
け用いればよい。凸部の露出していない側については、
平坦面を備えた円環状の第2の支え部材を用いて支え
る。これらの支え部材(第1の支え部材、第2の支え部
材)は、当然、エポキシ等の絶縁材料で構成する。
【0019】以上のように本発明によれば、帯状導体を
スパイラル状に巻いて構成したコイルにおいても、タッ
プリード線の引出し、タップ切換器の取付け、コイルの
上下方向からの締付けによる固定(支え)が可能とな
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0021】本実施例は、帯状導体を軸方向に巻回して
構成したモールドコイルである。図1は、本実施例の樹
脂モールドコイルにおける帯状導体の巻き方を、モール
ドコイルの軸方向から模式的に示したものである。図1
におけるA−A´断面の端面図を、図2に示す。またB
−B´断面を水平に見た様子を、図3に示す。
【0022】本実施例の樹脂モールドコイルは、帯状導
体1を折目2で折り曲げ、凸部3を形成しながら巻上げ
た構造となっている。巻線の各ターンの凸部3をきっち
りと重ねることで軸方向に巻線が可能になる。なお、こ
のモールドコイルの構造自体は、前記公知例3に記載さ
れている。
【0023】次に本実施例のモールドコイルの製造方法
について具体的に説明する。
【0024】モールドコイルの製造においては、いくつ
かの重要なポイント(導体の巻回し、タップリード線の
引き出し、コイルの支持、タップの取り付け)がある。
従って、以下においてポイント毎に説明する。
【0025】[導体の巻回し]図4に示すように、絶縁
紙4を巻きつけられた帯状導体1を、歯車8,9の間を
通すことで折り曲げ加工を施して、波状にする。この加
工は、帯状導体1を一定間隔毎に(図4における)上側
に凸な“山”を形成するものである。この山の高さおよ
び幅は、この帯状導体1をコイル状に巻く時に内周側に
位置させる側において大きくしている。そして、外周側
に位置させる側にゆくに従ってこの山を小さくしてい
る。そのため、内周側に位置させられる側では山と山と
が連続して配置されているのに対し、外周側に位置させ
られる側では山と山との間には、加工の施されていない
平面部分が残っている。なお、この上側面と下側面との
形状の違いが、後述する端部絶縁リング7と、端部絶縁
リング7‘等とを使い分ける原因となっている(図9、
図10参照)。
【0026】続いて、このような加工を施した帯状導体
1を、ターンテーブル10上にセットされた金型6(ある
いは、絶縁筒5)の周囲に巻付ける。この場合、絶縁筒
5(あるいは金型6)には、あらかじめ端部絶縁リング
7をはめておく。
【0027】本実施例では、帯状導体1に巻付ける絶縁
紙4として自己融着性を備えたものを採用している。従
って、過熱や加圧等の処理のみで導体間の固着,導体と
絶縁リングとの固着が可能である。従来行なわれている
フィラー入りエポキシ樹脂等の注型作業は、本実施例で
は不要である。
【0028】絶縁紙4としてプリプレグを用いた場合、
コイルを上下方向から加圧するとともに、加熱すること
で硬化させる。プリプレグ材に含浸させる半硬化樹脂を
多めにしておけば、加熱によってプリプレグは再び流動
状態となる。この状態でコイルを上下から加圧すること
で、導体間,導体と絶縁リング間の隙間が埋まる。
【0029】この加圧は、2通りの方法が考えられる。
1番目の方法は、巻線時に、金型6に巻取った導体1を
ヒータ、ドライヤ等で加熱しながら上方よりローラ等で
逐次加圧することで、導体どうしを密着させておく。そ
して、巻線終了後の最終硬化の段階では加熱のみを行う
方法である。2番目の方法は、巻線終了後に、治具を用
いてコイル上下方向から圧力を加え、そのまま加熱硬化
する方法である。より確実に導体間を固着させられるの
は1番目の方法である。
【0030】プリプレグ材としては、樹脂を多く含浸で
きるポーラスな基材(例えば、ガラス不織布)を用いる
ことが好ましい。含浸樹脂にフィラーを添加しておけ
ば、熱伝導率を向上させることもできる。
【0031】以上の巻回し方法では、従来必要であった
樹脂注入等の工程が不要となる。
【0032】[タップリード線の引き出し]本実施例に
おけるタップリード線の引き出し方を図5、図6を用い
て説明する。
【0033】電圧変動に対応するため、通常、変圧器
は、巻数の若干異なる複数の部分からリード端子を引き
出されている。このリード端子を外部と結線する為のタ
ップ取付け部は、コイル外周に設ける必要がある。そこ
で図5に示す如く、ワンターンの巻線途中に1ケ所、帯
状導体1を波状に折り曲げ加工しない部分を一定距離分
だけ設ける。この部分では、帯状導体1は直線状のまま
となっている。これが順次積み重なっていくとコイル側
面には平面部11が形成される。タップリード線12
は、この平面部分11から引き出す。以下、この引出し
方を図6を用いて具体的に説明する。
【0034】まず、帯状導体1を金型6に巻いてゆく途
中、平面部11を構成する領域において、帯状導体1を
所定の長さ分だけたぐるように(あるいは、迂回するよ
うに)折り返す(図6(a)参照)。そして、このたぐ
った(あるいは、迂回させた)部分をコイルの外周側に
(好ましくは、周方向に対して90°の方向に)折り曲
げることで、引き出す(図6(b)参照)。次に、この
引き出した部分を、図6(c),(d)の如く点線に沿
って谷折に、さらに、一点鎖線に沿って山折りすること
で、3段に折り重ね、これをタップリード線12とす
る。この時、タップリード線12の断面の縦横比を、で
きるだけ1:1に近づけておく。これは、先端に圧着端
子21を取り付けられるようにするためである。
【0035】タップリード線12の引き出し位置は、平
面部11において周方向に徐々にずれてゆくようにす
る。これにより平面部11上におけるタップリード線1
2の配列は、斜めに配置されることになる(図5参
照)。このような配置を採用するのは、タップリード線
12間での十分な絶縁距離を確保するためである。
【0036】この後は、引出したタップリード線12と
巻線された帯状導体1との絶縁を図るために絶縁材で成
形した平板13を、コイル側面の平面部11に接着する
(図7参照)。絶縁板13には、タップリード線12の
引き出し位置に合わせて予め穴を開けておく。タップリ
ード線12は、この穴を通す。そして引き出されたタッ
プリ−ド線12の先端に、圧着端子21を装着する(図
8参照)。この圧着端子21は、後述するタップ切換器
17との接続に用いるものである。この平板13は、後
述のタップ切換器17を取り付ける際のガイドの役目も
果たす。なお、図7、図8は、後述する端部絶縁リング
7、7‘を取り付けた状態で描いている。
【0037】[コイルの支持方法]コイルの支持方法
を、図9を用いて説明する。
【0038】図4のように波状に折り曲げ加工を施した
巻線は、上面側と下面側とでその形状が異なる。
【0039】帯状導体1の凹側(図9における下面側)
では、平面が作られている。従って、コイルの下端部
は、コイルと接する側の面が平坦な端部絶縁リング7で
支持できる。
【0040】一方、帯状導体1の凸側(図9における上
面側)は、三角錐状の山(突起)が存在するため、端部
絶縁リング7をそのまま使用することはできない。その
ため、帯状導体1の凸側(図9における上面側)には、
この山(突起)に合わせた凹凸を備えた端部絶縁リング
7‘を使用する。あるいは、端部絶縁リング7‘を複数
個の部品に分割したコイル支え14を用いる(図10参
照)。コイル支え14は、図11に示すように、V形の
溝を設けたエポキシ樹脂等の成形物16と、シリコンゴ
ム15とを貼り合わせて構成する。このようなコイル支
え14は、そのV溝のピッチが、帯状導体1の山のピッ
チと多少異なっていても使用可能である。従って、コイ
ル支え14は端部絶縁リング7‘に較べて、汎用性が高
く、コスト面で有利である。
【0041】[タップの取り付け]タップ部の詳細を図
12に示した。
【0042】樹脂製の箱形タップ切換器17を、コイル
の平面部11に設置した平板13に取付ける。既に述べ
たとおり、平板13は、タップリード線12と巻き線と
の絶縁のため、絶縁材料を用いて構成されている。取り
付けは、絶縁材で作られたネジ(例えば、エポキシネ
ジ)を用いて行う。当然、平板13にはタップ切換器1
7を取付ける為のねじ孔が、また、タップ切換器17に
はネジを通すための孔が設けられている。取付け後は、
ゆるみ防止の為、ねじ穴には接着材を流し込むのが好ま
しい。
【0043】タップ切換器17には、真ちゅう製のタッ
プ切換器用端子18(図13参照)が必要個数埋込まれ
ており、このタップ切換器用端子18にタップリード線
12を直接接続する。接続は、ボルトおよびナットを用
いて行う。余ったタップリード線12は、図14に示す
ように、タップ切換器17内に収納する。そのため、タ
ップリード線12はそれぞれ絶縁チューブ等で絶縁して
おく必要がある。なお、図15のごとく、タップリード
線12の長さをあらかじめタップ切換用端子18の位置
に合わせて設定しておけば、単に、タップリード線12
を平板13に沿うように折り曲げるだけで、その位置決
めができるため作業が容易である。また、タップ切換器
17内に余分なタップリード線12を折り曲げて収容す
る必要もないため、短絡の恐れもより少なくなる。
【0044】本実施例のタップ切換器17は、タップ側
とライン線側とに2分割した構成とすることで、いかな
る高さのコイルにも適用できるようにしている。平板1
3についても2分割することで、同様の効果が得られ
る。
【0045】以上の工程を経て完成したモールドコイル
19の外観を図16に示した。
【0046】このモードコイル19では、巻線された帯
状導体1のエッジ部がそのままコイル表面となる為、そ
の外周面は周方向の縞状となっている。防塵,防湿,外
観を考えた場合、コイル最外周に熱収縮チューブやプリ
プレグテープまたは絶縁フィルムを巻付けることが好ま
しい。高粘度の塗料を吹き付けてもよい。
【0047】モールドコイルでは鉄心の断面形状に合わ
せた角形のコイルが用いられる場合が多い。その場合に
は、図17に示すように角部のみに折り曲げ加工を施せ
ばよい。タップリード線の引出し、タップの取付け、コ
イルの支持は、上述した方法をそのまま適用できる。
【0048】モールドコイルは、隣接した巻線間の電圧
は、1ターン分のみであるため(通常数+ボルト程度)、
絶縁特性に優れ、巻線内部における部分放電はほとんど
発生しない。またコイル内周から外周に達する帯状導体
1で巻線される構造であるため、短絡時の電磁機械力に
対して非常に強度を備えている。
【0049】絶縁紙4を複数枚重ねて帯状導体1に巻け
ば、万が一、絶縁紙4にピンホールが存在していても、
導体間の短絡を避けることができる。
【0050】導体間を絶縁する方法は、絶縁紙4を帯状
導体1に巻き付ける方法に限られない。例えば、図18
に示すように、2枚の絶縁紙4の間に帯状導体1を挟む
ようにしてもよい。この方法では、絶縁紙4の挿入が簡
単であるため巻線装置を簡略化できる。
【0051】また、図19に示すように、波状に成形し
た後の帯状導体1に、絶縁粉体を順次スプレー(20)
等で吹き付けてもよい。この絶縁粉体は、荒い粒子
(0.01〜0.1mm)と、即乾性を有する接着剤と
を混合したものがよい。粒子、接着剤いずれも絶縁性の
ものを使用することは言うまでもない。この方法を用い
れば、巻線作業の効率が格段に向上する。
【0052】タップリード線12の引出し方法の他の例
を図20、図21および図22を用いて説明する。
【0053】タップリード線12の引き出し方を、図2
1に示した。図21(a),(b),(c)は、図6
(a),(b),(c)と同様である。この後は、図2
1(d)に示すとおり、引き出したタップリード線12
の先端に、孔(φ10程度)を開ける。そして、この穴
をタップ切換器17との接線に用いる。なお、図6
(d)のように、引き出したタップリード線12を折り
重ねることはしない。平板13には、図5と同様にタッ
プリード線2の断面形状に合わせたスリット孔が斜めに
配置されている(図20参照)。このスリット穴を通し
てタップリード線12を外側に出す。
【0054】平板13をコイルに接着した後は、タップ
リード線12の先端に開けられた孔を、タップ切換器1
7に埋め込まれたタップ切換器用端子18の位置と一致
させるように、タップリード線12を折り曲げる(図2
2)。タップリード線12の先端に設けた穴には、ボル
トとナットを締結しておく。この場合、ボルトのネジ部
が外側に向くようにしておく。そして、その上からタッ
プ切換器17を装着する。装着は以下のようにして行
う。タップ切換器17には、各タップ切換器用端子18
およびタップ切換器17のケースのタップ切換器用端子
18に対応する位置に穴を設けておく。この穴に、タッ
プリード線12の先端に取り付けておいたボルトを通
す。そして、このボルトにナットを取り付けることで、
タップリード線12とタップ切換器用端子18とを接続
する。この穴は、最終的には、既乾性の樹脂、又は接着
剤等で埋めて密封する。タップ取り付けの様子を図23
に模式的に示した。
【0055】コイル上下端の処理の仕方の他の例を図2
4を用いて説明する。
【0056】この方法は、コイルの巻始め及び巻き終り
部分において、絶縁紙4のみを金型6(あるいは、絶縁
筒5)に巻いて積層してゆくものである。この方法によ
れば、上端に凸の山が形成されてしまう。しかし、平ら
な面を有する治具(例えば、金属円環)を用いて上下か
ら加圧、加熱すれば、プリプレグ材に含浸させられてい
た樹脂が流動してすきま部分(谷部分)を充填し、平ら
になる。但し、この方法を適用できるのは、絶縁紙4
が、プリプレグ等の自己融着性材料の場合に限られる。
この方法では、コイルを支えるための部品(例えば、上
述の絶縁リング7)が不要であり、部品点数が少なくて
済む。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、熱放散性、絶縁特性、
製造時の作業性に優れ、さらに、小型で短絡時の電磁機
械力に強いコイル及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例の樹脂モールドコイルにおける帯状導
体の巻き方を示す模式図である。
【図2】図1におけるA−A′部分の断面の端面図であ
る。
【図3】図1におけるB−B′部分の断面図である。
【図4】帯状導体1の巻き方の概略を示す斜視図であ
る。
【図5】タップリード線12の出し方を示す斜視図であ
る。
【図6】タップリード線12の形成の仕方を示す図であ
る。
【図7】タップリード線12が引き出されている様子を
示す斜視図である。
【図8】タップリ−ド線12に圧着端子21を取り付け
た様子を示す斜視図である。
【図9】コイル支持方法を示す分解斜視図である。
【図10】コイル支持方法を示す分解斜視図である。
【図11】コイル支えの一例を示す斜視図である。
【図12】タップリード線12とタップ切換器17との
接続状態を示す斜視図である。
【図13】タップ切換器用端子18の一例を示す斜視図
である。
【図14】タップ切換器17を取付けたときのタップ部
の断面模式図である。
【図15】タップリード線12の長さを、あらかじめ端
子18の位置に合わせて設定した例を示す斜視図であ
る。
【図16】本実施例のモールドコイルの外観を示す斜視
図である。
【図17】本発明を適用した角形コイルを示す斜視図で
ある。
【図18】本発明の他の巻線方法の概略を示す斜視図で
ある。
【図19】本発明のさらに他の巻線方法の概略を示す斜
視図である。
【図20】他のタップリード線12を示す斜視図であ
る。
【図21】図20のタップリード線12の形成方法を示
す図である。
【図22】タップリ−ド線12とタップ切換器17との
接続方法を示す斜視図である。
【図23】図22の例においてタップ切換器17を取付
けたときのタップ部の断面模式図である。
【図24】コイル上下端部の他の処理方法を示す図であ
る。
【符号の説明】
1……帯状導体、2……折り目、3……凸部、4……絶
縁紙、5……絶縁筒 6……金型、7……端部絶縁リング、8……導体折り曲
げ用凸歯車、9……導体折曲げ用凹歯車、10……ター
ンテーブル、11……平面部 12……タップリード、13……絶縁板、14……コイ
ル支え 15……シリコンゴム、16……エポキシ樹脂、17…
…タップ切換器 18……タップ切換器用端子、19……モールドコイ
ル、20……スプレ− 21……圧着端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 海津 朋宏 新潟県北蒲原郡中条町大字富岡46番地1 株式会社日立製作所産業機器事業部内 (72)発明者 辻口 孝之 新潟県北蒲原郡中条町大字富岡46番地1 株式会社日立製作所産業機器事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導体を巻いて構成したコイルのタップリー
    ド線の引き出し方法において、 上記導体を上記コイルの軸方向に重ねるように巻き回
    し、 該巻き回しの途中位置において、上記導体の所定長さ分
    を該巻き回しの周方向外側に迂回させるように引き出
    し、 該引き出した導体部分をタップリード線とすること、 を特徴とするコイルの製造方法。
  2. 【請求項2】導体をあらかじめ定められた軸方向に重ね
    るように巻き回して構成された巻線部と、 上記巻き回しの途中位置において、上記導体の所定長さ
    分を上記巻線部の外周側に迂回させるように引き出して
    構成されたタップリード線と、 を有することを特徴とするコイル。
  3. 【請求項3】上記巻線部の外周面の一部を平面とし、 上記タップリード線は、上記平面を構成している領域に
    おいて形成されたものであること、 を特徴とする請求項2記載のコイル。
  4. 【請求項4】上記平面に設置され、上記タップリード線
    と接続されたタップ切換器をさらに有すること、 を特徴とする請求項3記載のコイル。
  5. 【請求項5】折り曲げ加工された帯状導体を、あらかじ
    め定められた軸方向に重ねるように巻き回して構成され
    た巻線部と、 上記折り曲げ加工に対応した表面凹凸部を備え、該表面
    凹凸部を上記巻き線部の端部に向けて設置された支え部
    材と、 を有することを特徴とするコイル。
  6. 【請求項6】その一面側にのみ凸部を形成された帯状導
    体を、あらかじめ定められた軸方向に重ねるように巻き
    回して構成された巻線部と、 上記凸部に対応した表面凹凸部を備え、上記巻線部の上
    記凸部が露出している側の端部において、上記表面凹凸
    部を上記露出している凸部に噛み合わせるように設置さ
    れた第1の支え部材と、 平坦面を備え、上記巻線部の他端側に上記平坦面を向け
    て設置された、円環状の第2の支え部材と、 を有することを特徴とするコイル。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011205056A (ja) * 2010-03-05 2011-10-13 Kobe Steel Ltd コイルの端子構造
JP2015122484A (ja) * 2013-11-22 2015-07-02 株式会社タムラ製作所 コイルとその製造方法、及びリアクトル
JP2020027868A (ja) * 2018-08-10 2020-02-20 東芝産業機器システム株式会社 変圧器の製造方法、組立用テンプレート
JP2020136562A (ja) * 2019-02-22 2020-08-31 北陸電機製造株式会社 タップ切換器を備える変圧装置

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