JPH09924A - ヘテロポリ酸担持固体触媒 - Google Patents

ヘテロポリ酸担持固体触媒

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JPH09924A
JPH09924A JP7150341A JP15034195A JPH09924A JP H09924 A JPH09924 A JP H09924A JP 7150341 A JP7150341 A JP 7150341A JP 15034195 A JP15034195 A JP 15034195A JP H09924 A JPH09924 A JP H09924A
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carrier
heteropolyacid
water
catalyst
acid
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JP7150341A
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Mamoru Nomura
守 野村
Shingo Ogoshi
信吾 大越
Kazuhito Saito
一仁 斎藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヘテロポリ酸またはその塩を担体に担持して
なり、該担体が下記の要件(a)および(b)の少なく
とも1つを満足することを特徴とするヘテロポリ酸担持
固体触媒。 (a).水の吸着等温線から、下記式(1) 【数1】 P:水の蒸気圧(atm)、P0:水の飽和蒸気圧(atm) V:圧力Pでの水の吸着量(g/g)、Vm:水の単分子
層吸着量(g/g) C:BET定数、測定温度25℃ を用いてBET分析したときのBET定数Cの値が10
以上である。 (b).上記式(1)を用いてBET分析を行って得ら
れた水の単分子層吸着量Vm(g/g)と、担体の比表面
積(m2/g)とから算出した単位面積当たりの水の単
分子層吸着量Vsが5個/nm2以上である。 【効果】 本発明によれば、従来のヘテロポリ酸担持固
体触媒よりヘテロポリ酸の分散性が良く、各種反応に用
いたとき目的物収率、触媒寿命の点で優れたヘテロポリ
酸担持固体触媒が提供された。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヘテロポリ酸担持固体触
媒およびこれを用いるイソパラフィンのアルキル化方法
に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】酸触
媒反応を利用して工業的に化学物質を製造するプロセス
の中には、硫酸等の液体酸に代えて固体酸触媒を用いる
プロセスの開発が望まれる例が多い。例えばアルキレー
トガソリンを製造するための硫酸法プロセスは、炭化水
素と酸の分離、廃酸の処理、装置の腐食等の問題を抱え
ているため、固体酸触媒を用いるクリーンで安価なプロ
セスの開発が望まれている。
【0003】酸強度の高い固体としてはヘテロポリ酸が
知られており、その中には固体超強酸性を示すほど酸強
度が高いものがある。例えば12−タングストリン酸や
そのセシウム酸性塩等は、ハメット指示薬法での酸強度
Hoが−13以下であるといわれている(M. Misono,
T. Okuhara, CHEMTECH NOVEMBER, 23〜29, (1993))。
このようなヘテロポリ酸やその塩は、オレフィンによる
芳香族のアルキル化、オレフィンによるイソパラフィン
のアルキル化、n−パラフィンの異性化等の酸触媒反応
に高い活性を示すことが知られており(「有機合成化学
協会誌」第51巻第2号第128〜138頁、奥原敏
夫、御園生誠、1993年、特開平5−306240号
公報および特開平6−9436号公報参照)、固体酸触
媒としての実用化が期待されている。
【0004】遊離のヘテロポリ酸は酸強度は高いもの
の、そのままでは比表面積が数m2/gと小さいため、
固体酸触媒として用いる場合は、前述のようにセシウム
酸性塩等のアルカリ金属塩等にして高表面積化すること
が知られている。
【0005】上記ヘテロポリ酸の塩は、オレフィンによ
るイソパラフィンのアルキル化反応(アルキレーション
反応)の触媒として用いられることが公知となっている
(特開平6−9436号公報)。この触媒の利点および
欠点を以下に示す。
【0006】利点 (i) 取り扱い性、安全性に優れている。 (ii) イソパラフィンのアルキル化に用いると、生成物
のアルキレートを高収率で得ることができる。
【0007】欠点 (i) 触媒活性がないか、または非常に寿命が短い遊離の
ヘテロポリ酸を出発原料として用い、アルカリ金属やア
ルカリ土類金属の塩等にして使用しなければならず触媒
調製が煩雑である。 (ii) 触媒強度がやや劣る。 (iii) 触媒への炭素分の吸着により劣化しやすく、触媒
寿命が短い。
【0008】一方、ヘテロポリ酸は水に可溶なため、シ
リカや活性炭等の担体に担持して用いることもできる。
ヘテロポリ酸担持固体触媒も、上記オレフィンによるイ
ソパラフィンのアルキレーション反応に活性を示すこと
が知られている(米国特許5324881号、米国特許
第5366945号明細書)。
【0009】ヘテロポリ酸を担体に担持させる場合、前
者を後者に高分散状態で担持させることが触媒効率など
を考えた場合、不要不可欠であるが、シリカや活性炭な
どの担体にヘテロポリ酸を担持させた従来の触媒ではヘ
テロポリ酸の分散状態が不十分であることが多かった。
【0010】またヘテロポリ酸を担体に担持する場合、
担体としてマグネシアのような塩基性担体を用いるとヘ
テロポリ酸の構造が壊れてしまい、酸性度を示さなくな
ることが知られている(Krystyna Nowinska, Ryszard F
iedorrow および Jan Adamiec, J. Chem. Soc., Farada
y Trans., 87(5), 749 (1991))。この文献は12−タ
ングストリン酸(H3PW1240)をシリカ(SiO2
に担持すると、ヘテロポリ酸の一部ではPとSiの交換
反応が起こり、H4SiW1240が生成することも報告
している。またヘテロポリ酸をアルミナ(Al23)に
担持すると、ヘテロポリ酸の構造が壊れたり(M. Mison
o, Catal. Rev., Sci. Eng., 29, 269 (1987))、ヘテ
ロポリ酸のアルミニウム塩が一部生成する(W-C. Cheng
および N. P. Luthra, J. Catal., 109, 163 (1988))
ことを報告している。
【0011】このようにシリカ、活性炭、マグネシア、
アルミナ等の担体にヘテロポリ酸を担持した従来の固体
触媒は、ヘテロポリ酸の担体への分散状態が不十分であ
ったり、触媒調製時または触媒使用後においてヘテロポ
リ酸の酸性度の低下が大きかったりして、イソパラィン
のオレフィンによるアルキル化反応などの各種反応に用
いたとき、十分な目的物収率と触媒寿命を得ることがで
きなかった。
【0012】従って本発明の第1の目的は、従来のヘテ
ロポリ酸担持固体触媒の欠点を改良した新規なヘテロポ
リ酸担持固体触媒を提供することにあり、また本発明の
第2の目的は、第1の目的を達成するヘテロポリ酸担持
固体触媒を用いるイソパラフィンのアルキル化方法を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するために鋭意検討した結果、ヘテロポリ酸を担
持させるための担体として親水性の担体を用いると、担
体に含浸されるヘテロポリ酸水溶液の担体への濡れ性が
良くなり、担体にヘテロポリ酸が高分散に担持されるこ
とを見い出した。
【0014】本発明者らは、上記知見に基づき、さらに
検討を加えた結果、担体の親水性を示す尺度としてBE
T定数Cおよび単位面積当たりの水の単分子層吸着量V
sに着目し、これらの少なくとも1つを下記の値に規定
した担体を用いると、ヘテロポリ酸またはその塩が極め
て高分散で担持されることになり、その結果各種反応に
用いたときに目的物収率が高く、触媒寿命の長いヘテロ
ポリ酸担持固体触媒が得られることを見い出した。
【0015】また上記ヘテロポリ酸担持固体触媒を用い
ることにより、イソパラフィンのオレフィンによるアル
キル化を効率的に行なうことができることを見い出し
た。
【0016】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たものであり、本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒は、
ヘテロポリ酸またはその塩を担体に担持してなり、該担
体が下記の要件(a)および(b)の少なくとも1つを
満足することを特徴とする。
【0017】(a).水の吸着等温線から、下記式
(1)
【数2】 P:水の蒸気圧(atm)、P0:水の飽和蒸気圧(atm) V:圧力Pでの水の吸着量(g/g)、Vm:水の単分子
層吸着量(g/g) C:BET定数、測定温度25℃ を用いてBET分析したときのBET定数Cの値が10
以上である。
【0018】(b).上記式(1)を用いてBET分析
を行って得られた水の単分子層吸着量Vm(g/g)と、
担体の比表面積(m2/g)とから算出した単位面積当
たりの水の単分子層吸着量Vsが5個/nm2以上であ
る。
【0019】また本発明のイソパラフィンのアルキル化
方法は、上記ヘテロポリ酸担持固体触媒の存在下にイソ
パラフィンをオレフィンと反応させることを特徴とす
る。
【0020】先ず本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒に
ついて説明する。
【0021】本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒は、ヘ
テロポリ酸またはその塩を担体に担持してなるものであ
る。
【0022】ここにヘテロポリ酸は縮合配位元素と中心
元素と酸素とから構成されるものである。ヘテロポリ酸
における縮合配位元素はMo,WおよびVからなる群よ
り選ばれた少なくとも1種を含むが、その他の縮合配位
元素として例えばNb,Ta等を含んでいてもよい。ま
た、ヘテロポリ酸の中心元素はP,Si,As,Ge,
Ti,Ce,Th,Mn,Ni,Te,I,Co,C
r,Fe,Ga,B,V,Pt,BeおよびZnからな
る群より選ばれた1種であり、縮合配位元素と中心元素
の原子比、(縮合配位元素)/(中心元素)は2.5〜
12である。そして、ヘテロポリアニオンの組成・構造
の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0023】 ・ケギン(Keggin)型(A型) :[XM1240n- ・ケギン(Keggin)型(分解) :[XM1139n- ・ドーソン(Dawson)型 :[X21862n- ・シルバーストーン(Silverton型)(B型) :[XM1242n- ・ストランドベルグ(Strandberg)型 :[X2523n- ・アンダーソン(Anderson)型(A型) :[XM624n- ・アンダーソン(Anderson)型(B型) :[XM6246n- ・リンドビスト(Lindqvist)型 :[XM624n-
【0024】なお、ヘテロポリアニオンを表す上記の各
化学式においてXは中心元素を示し、Mは縮合配位元素
を示し、nは各ヘテロポリアニオンに固有の原子価の絶
対値を示す。また、リンドビスト(Lindqvist)型のヘ
テロポリアニオンはアンダーソン(Anderson)型(A
型)のヘテロポリアニオンの異性体である。
【0025】上述したヘテロポリ酸の具体例としては、
リンタングステン酸(タングストリン酸)、ケイタング
ステン酸(タングストケイ酸)、リンモリブデン酸、ケ
イモリブデン酸、リンモリブドバナジン酸、リンモリブ
ドタングストバナジン酸、リンタングストバナジン酸、
リンモリブドニオブ酸、ケイモリブドタングステン酸、
ケイモリブドタングストバナジン酸、ホウタングステン
酸、ホウモリブデン酸、ホウモリブドタングステン酸、
ホウモリブドバナジン酸、ホウモリブドタングストバナ
ジン酸、コバルトモリブデン酸、コバルトタングステン
酸、砒素タングステン酸、砒素モリブデン酸、ゲルマニ
ウムタングステン酸、ゲルマニウムモリブデン酸等が挙
げられる。
【0026】またヘテロポリ酸の塩としては、上述のヘ
テロポリ酸の水素陽イオンの一部をLi,Na,K,R
b,Cs等のアルカリ金属イオン、Be,Mg,Ca,
Sr,Ba等のアルカリ土類金属イオン、Ti,Zr,
Hf等のIVA族金属イオン、Cu,AgなどのIB族金属
イオン、Al,Ga,In,Tl等のIIIB族金属イオ
ン、NH4 +、R1234+(R1〜R4は水素または
アルキル基であり、同一または異なっていてもよい)、
ピリジニウムイオンなどの陽イオンで置換したものが挙
げられる。
【0027】本発明の触媒において、上記ヘテロポリ酸
またはその塩が担持されている担体は、下記の要件
(a)および(b)の少なくとも1つを満足する必要が
ある。
【0028】(a).水の吸着等温線から、下記式
(1)
【数3】 P:水の蒸気圧(atm)、P0:水の飽和蒸気圧(atm) V:圧力Pでの水の吸着量(g/g)、Vm:水の単分子
層吸着量(g/g) C:BET定数、測定温度25℃ を用いてBET分析したときのBET定数Cの値が10
以上である。
【0029】(b).上記式(1)を用いてBET分析
を行って得られた水の単分子層吸着量Vm(g/g)と、
担体の比表面積(m2/g)とから算出した単位面積当
たりの水の単分子層吸着量Vsが5個/nm2以上であ
る。
【0030】先ず要件(a)について説明する。担体の
水の吸着等温線から、上記式(1)を用いてBET分析
したときのBET定数Cは、水の吸着熱を反映してお
り、Cの値が大きいほど、担体と水の吸着相互作用が大
きくなり、親水性および担持時のヘテロポリ酸水溶液の
濡れ性が向上し、ヘテロポリ酸またはその塩の担体への
分散状態を向上させる。なお、吸着等温線、BET分
析、BET定数Cについては定期刊行物「表面」第29
巻第5号24〜35頁(1991年)などに記載されて
いる。本発明者らの検討によれば、特にCの値が10以
上のとき、担体の親水性、濡れ性が向上し、ヘテロポリ
酸またはその塩が担体に高分散で担持されることを確認
している。従って本発明で用いる担体においてCの値は
10以上に限定される。Cの値は20以上がより好まし
く、40以上が特に好ましい。
【0031】次に要件(b)について説明する。単位面
積当たりの水の単分子層吸着量Vsは、上記式(1)を
用いてBET分析を行って得られた水の単分子層吸着量
Vm(g/g)と、担体の比表面積(m2/g)とから算出
されるものであり、Vsが大きいほど、担体の親水性サ
イトが多く、担体が親水性であることを示す。本発明者
らの検討によれば、特にVsが5個/nm2以上のと
き、ヘテロポリ酸またはその塩を担持するに十分な親水
性サイトが存在し、ヘテロポリ酸またはその塩が担体に
高分散に担持されることを確認している。従ってVsの
値は5個/nm2以上に限定される。Vsの値は5個/
nm2以上10個/nm2以下がより好ましく、8個/n
2以上10個/nm2以下が特に好ましく、6個/nm
2以上10個/nm2以下が特に好ましい。
【0032】ヘテロポリ酸担持固体触媒(ヘテロポリ酸
の塩が担持されているものも含むものとする。以下同
様)における担体に関する要件(a)および(b)は、
その少なくとも1つを満足すれば、本発明の目的は達成
されるが、本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒におい
て、担体は上記要件(a)および(b)の両者を満足す
るのが特に好ましい。その理由は、要件(a)および
(b)の両者が満足されれば、担体の親水性、濡れ性が
一層向上し、ヘテロポリ酸が担体に極めて高分散で担持
されるからである。
【0033】本発明のヘテロポリ酸担持触媒において、
担体はさらに下記要件(c)、すなわち (c).担体の単位表面積当たりの表面水酸基量が2個
/nm2以下である を満足するのが、ヘテロポリ酸またはその塩を担体に担
持したときのヘテロポリ酸またはその塩の酸性度の低下
が抑えられる点で好ましい。
【0034】担体における表面水酸基量の要件(c)を
本発明において所望要件とする理由は以下とおりであ
る。
【0035】ヘテロポリ酸またはその塩を担体に担持す
ると、担体との相互作用により酸性度が低下する。これ
は、担体の表面水酸基が塩基としてはたらき、次式のよ
うに中和反応を起こすためと考えられる(V. M. Mastik
hin, S. M. Kulikov, A. V.Nosov, I. V. Kozhevnikov,
I. L. Mudrakovsky および M. N. Timofeeva, J. Mol.
Catal., 60, 65 (1990))。
【0036】
【化1】 ヘテロポリ酸またはその塩の酸性度が低下すれば、酸性
触媒であるヘテロポリ酸またはその塩の触媒能が低下す
ることは必定であり、上記要件(c)より、単位表面積
当たりの表面水酸基量を2個/nm2以下とすることに
より、触媒におけるヘテロポリ酸またはその塩の酸性度
の低下を抑えることができる。
【0037】本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒におい
て、担体はさらに下記要件(d)、すなわち (d).担体の1H MAS NMR測定を行ったとき
に、担体表面水酸基のテトラメチルシラン基準の化学シ
フトが2ppm以上である を満足するのが、触媒におけるヘテロポリ酸の酸性度を
低下させない点で好ましい。
【0038】担体における表面水酸基の化学シフトの要
件(d)を本発明において所望要件とする理由は以下の
とおりである。
【0039】一般にプロトンは酸強度が高いほど脱遮へ
いされており、1H MAS NMR測定を行ったとき
に低磁場側にピークが観測される。一方、上述のように
担体の水酸基とヘテロポリ酸が中和反応して酸点が消失
するならば、担体の水酸基の塩基性度が低いほど消失す
る酸量は少ない。したがって、表面水酸基の化学シフト
が低磁場側に観測される担体がヘテロポリ酸の酸性質を
低下させない担体であり、その化学シフトの目安は、テ
トラメチルシラン基準で2ppm以上である。
【0040】以上、本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒
における担体の要件(a)〜(d)について説明してき
たが、本発明において用いる担体は、上記要件(a)お
よび/または(b)を満たし、さらに所望により要件
(c)および/または(d)を満すものであれば、その
種類は限定されず、例えばジルコニア、チタニア、アル
ミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、シリカ−ジルコニ
ア、けいそう土、粘土、ゼオライトなどの耐火性酸化
物、活性炭、イオン交換樹脂が好ましく使用される。粘
土には、具体的にはモンモリロナイト、バイデライト、
サポナイト、ハイドロタルサイト、フライポンタイト、
ヒドロキシアパタイト、カオリナイト、スチブンサイ
ト、ヘクトライト、バーミキュライト、雲母、セピオラ
イト、アタパルジャイト等が挙げられる。またこれらの
粘土は、Al23、ZrO2、SiO2等で架橋された架
橋粘土であってもよい。またゼオライトには、具体的に
はフォージャサイト、モルデナイト、フェリエライト、
エリオナイト、ゼオライトβ、ゼオライトL、ゼオライ
トΩ、オフレタイト、MFIゼオライト、AlPO型モ
レキュラーシーブ等が挙げられる。担体として、これら
の物質の混合物、複合体を用いることもできる。担体と
しては、特にジルコニア、チタニアが好ましく、チタニ
アでは特に結晶性のものが好ましい。
【0041】本発明の触媒の調製においてヘテロポリ酸
またはその塩の担体への担持方法は特に限定されない
が、ヘテロポリ酸またはその塩の溶液を担体に含浸、担
持させる含浸法を用いるのが好ましく、なかでもポアフ
ィリング法、蒸発乾固法が好ましい。含浸液であるヘテ
ロポリ酸またはその塩の溶液の濃度、温度等は特に限定
されない。
【0042】担持量は、ヘテロポリ酸またはその塩/担
体(重量比)が0.1〜5となる量とするのが好まし
い。その理由は以下のとおりである。すなわち、担体の
表面積、表面水酸基の量、表面水酸基の化学シフトによ
り最適量は異なり、担体の表面積が大きい場合、ヘテロ
ポリ酸またはその塩と担体との相互作用を起こす場所
(担体表面)が多くなり、担持量は多い方が良い。例え
ば100m2/gのジルコニアではヘテロポリ酸または
その塩/担体(重量比)は0.3〜1.5が好ましい
が、25m2/gのジルコニアでは0.1〜0.3が好
ましい。
【0043】また表面水酸基とヘテロポリ酸またはその
塩の相互作用により酸性質は低下する。表面水酸基の量
が多い場合、担持量が少ないと、担持したヘテロポリ酸
またはその塩のうち、劣化するヘテロポリ酸またはその
塩の割合が多くなる。したがって担持量は多い方が好ま
しい。逆に、表面水酸基の量が少ないと酸性度があまり
低下しないため、高分散にできる低担持量側に最適値が
ある。例えば、表面水酸基のほとんど存在しないチタニ
ア(表面積80m2/g)では、ヘテロポリ酸またはそ
の塩/担体(重量比)の適量はジルコニア(100m2
/g)の場合より小さく0.1〜0.5が好ましい。
【0044】一方、担持量が多すぎるとヘテロポリ酸ま
たはその塩の分散性が低下するためヘテロポリ酸または
その塩の活性点(酸点)が有効に使われないので、ヘテ
ロポリ酸またはその塩/担体(重量比)は最大でも5以
下とするのが好ましい。
【0045】次に本発明のイソパラフィンのアルキル化
方法を説明する。
【0046】本発明の方法では、上記したヘテロポリ酸
担持固体触媒を用いること以外は、通常用いられている
イソパラフィンのオレフィンによるアルキル化方法の条
件が用いられる。
【0047】すなわち、出発原料として用いられるイソ
パラフィンとしては炭素数4〜6のイソパラフィン、す
なわちイソブタン、イソペンタン、イソヘキサンが好ま
しい。反応に供するイソパラフィンは、炭素数4〜6の
イソパラフィンの単品であっても良く、混合物であって
も良い。またイソパラフィン以外の炭化水素を含有して
いても良い。
【0048】上記イソパラフィンと反応させるモノオレ
フィンは、炭素数3〜6のモノオレフィン、すなわち、
プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセンが好ましい。
オレフィンは直鎖のものでも分岐を有しているものでも
よい。反応に供するモノオレフィンは炭素数3〜6のモ
ノオレフィンの単品であっても良く、混合物であっても
良い。またモノオレフィン以外の炭化水素を含有してい
ても良い。
【0049】イソパラフィンをモノオレフィンと、本発
明のヘテロポリ酸担持固体触媒の存在下に反応させる
が、この反応は、これに限定されるものではないが、固
定床または懸濁床で行なうのが好ましい。
【0050】固体床反応においては、反応器にヘテロポ
リ酸またはその塩とマトリックスから成る触媒を充填
し、反応温度を通常0〜200℃、好ましくは0〜15
0℃とし、反応圧力を通常0〜50kg/cm2G、好
ましくは1〜30kg/cm2Gとしてイソパラフィン
とモノオレフィンを触媒充填反応器に導入して触媒を固
定した状態で両者を反応させる。
【0051】アルキル化反応は、原料を液化して流通す
ると触媒劣化が遅い。また超臨界状態とすることによ
り、炭素分の触媒への吸着が抑制されるか、または吸着
した炭素分が抽出されるという報告がある。さらに高温
では分解生成物(炭素数5〜7のパラフィン)の収率が
増加してしまう。これらの理由により、反応温度および
圧力は上記した範囲に設定される。
【0052】イソパラフィン(IP)とモノオレフィン
(MO)のモル比率(IP/MO)は通常1〜100と
するのが好ましい。その理由はIP/MOが1より低い
とモノオレフィン同志が反応し副生成物が多くなり、一
方IP/MOが100より高いと未反応パラフィンが多
くなり不経済となるからである。特に好ましいIP/M
Oは5〜80である。
【0053】オレフィンのWHSV(空間速度)は、
0.01〜10h-1とするのが好ましい。その理由は、
WHSVが0.01h-1より低いと生産性が悪く、一方
10h-1より高いとオレフィンとパラフィンの接触効率
が悪くなるからである。特に好ましくはWHSVは0.
05〜5h-1である。
【0054】一方、懸濁床反応においては、反応器に触
媒を充填し、イソパラフィンとモノオレフィンを触媒を
充填した反応器に液状で導入し、触媒を懸濁した状態で
両者を反応させる。反応温度、反応圧力、イソパラフィ
ンとモノオレフィンのモル比(IP/MO)は前記固定
床反応におけると同一である。この懸濁床反応において
は、オレフィンと触媒との比率を触媒1gに対してオレ
フィンを0.01〜0.1gとするのが好ましい。その
理由は、オレフィンが0.01g未満であるとオレフィ
ンに対して触媒が多くなり、撹拌が円滑にできず不経済
であり、一方0.1gを超えるとオレフィンと触媒との
接触効率が悪くなり生成物の収量が低下するからであ
る。特に好ましいオレフィンと触媒との比率は触媒1g
に対して0.03〜0.08gである。
【0055】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに説明する。
【0056】担体物性の測定例 (i)担体のBET定数Cおよび単位表面積当たりの水
の単分子層吸着量Vmの測定 ジルコニア担体として、第一稀元素化学工業(株)製R
C−100P(比表面積100m2/g)、RC−10
0(比表面積115m2/g)およびEP(比表面積2
5m2/g)を用い、またチタニア担体として、触媒学
会参照触媒(アナターゼ型)JRC−TI01(比表面
積80m2/g)および出光興産(株)製出光チタニア
(非晶質)IT−S(比表面積100m2/g)を用
い、さらにアルミナ担体として、日本アエロジル(株)
製 Alminum Oxide C(比表面積100m2
/g)を用いた。
【0057】比較のシリカ担体として、富士シリシア化
学(株)製CARiACT30(比表面積100m2
g)を、比較の活性炭担体としてクラレケミカル(株)
製GLC(比表面積1100m2/g)を用いた。
【0058】また比較の結晶性シリケート担体として、
前記米国特許第5,324,881号の実施例の記載に
従って本発明者が作製したMCM−41(比表面積11
50m2/g)を用いた。
【0059】さらに比較のシリカ担体として、キャボッ
ト社製Cab−O−Sil(登録商標)(比表面積20
0m2/g)を用いた。
【0060】これらの担体について水の吸着等温線を以
下の条件で測定した。
【0061】 担体試料の前処理:250℃、2時間、真空排気 試料量 :1g 測定温度 :25℃ 水の吸着等温線からBET分析を行った。BET分析は
下記式(1)
【数4】 P:水の蒸気圧(atm)、P0:水の飽和蒸気圧(at
m)、C:BET定数、V:圧力Pでの水の吸着量(g/
g)、Vm:水の単分子層吸着量(g/g)、を用いてBE
Tプロットにより行い、各担体についてBET定数Cお
よび水の単分子層吸着量Vm(g/g)を求めた。またV
mと各担体の比表面積(m2/g)から、表面積当たり
の水の単分子層吸着量Vs(個/nm2)を算出した。
【0062】各担体について測定したBET定数Cおよ
び表面積当たりの水の単分子層吸着量Vsの値を表1に
示す。
【0063】(ii)担体の表面水酸基の化学シフト値お
よび表面水酸基量の測定 チタニア担体IT−Sの1H MAS NMR測定を以
下の条件で行なった。
【0064】 試料の前処理 :250℃、3時間、真空排気 (なお、前処理後の試料は、空気中の水蒸気に接触しな
いように、窒素雰囲気のグローブボックス中で速やかに
測定セル中に充填した。) 測定温度 :室温20℃ 化学シフト基準:テトラメチルシラン 得られたチタニア担体IT−Sの表面水酸基の化学シフ
ト値は表1に示すように1.2ppmであった。
【0065】チタニア担体IT−Sの表面水酸基量は既
に測定されており(カタログ値2.8×1020個/
g)、この値と、チタニア担体IT−Sの比表面積10
0m2/gとから、チタニア担体IT−Sの表面積当た
りの水酸基量を算出すると表1に示すように2.8個/
nm2となった。
【0066】NMRスペクトルから、担体の表面水酸基
のピーク面積が得られる。NMR測定後の試料重量を測
定し、表面水酸基量、NMRピーク面積から、表面水酸
基の1プロトン当たりのNMRピーク面積を求めた。こ
の値を以下で述べる他の担体の表面水酸基量の基準とし
た。
【0067】次に同様にして、他の担体について、1
MAS NMR測定を行った。
【0068】各担体における表面水酸基の化学シフト値
を表1に示す。また前記チタニア担体IT−Sの表面水
酸基の1プロトン当たりのNMRピーク面積を基準にし
て各担体の表面水酸基量を算出した結果も表1に示す。
【0069】
【表1】
【0070】表1より、ジルコニア担体RC−100
P、RC−100およびEP、チタニア担体JRC−T
I01およびIT−S、及びアルミナ担体 Almin
um Oxide CがBET定数Cが10以上、単位表
面積当たりの水の単分子層吸着量Vsが5個/nm2
上であるのに対し、シリカ担体CARiACT30、C
ab−O−Sil、活性炭担体GLCおよび結晶性シリ
ケート担体MCM−41はCが10未満、Vsが5個/
nm2未満であることが判る。そしてCが10以上、V
sが5個/nm2以上である上記ジルコニア、チタニア
およびアルミナ担体は、親水性の担体であることを示し
ている。親水性の担体ほど、含浸液であるヘテロポリ酸
溶液に対する濡れ性が良く、ヘテロポリ酸を高分散状態
で担持することができる点で優れている。
【0071】また使用した全種のジルコニア担体および
チタニア担体JRC−TI01は、表1に示すように1
H MAS NMRで求めた表面水酸基の化学シフトが
他のチタニア担体およびアルミナ担体よりも大きく、ま
た表面水酸基量が少ない。従ってこれらの担体は、担持
されるヘテロポリ酸の酸性度を低下させないという点で
特に優れている。
【0072】触媒調製例 (1)6.8gの12−タングストリン酸(H3PW12
40・nH2O:含水率12wt%)を約20mlの純
水に溶解し、H3PW1240水溶液を調製した。
【0073】ここに20gのジルコニア担体(第一稀元
素化学工業(株)製RC−100P:比表面積100m
2/g)を加え撹拌した。これを一昼夜放置した後、ロ
ータリーエバポレータを用いて50〜60℃で水分を除
去した後、120℃で空気雰囲気で乾燥してジルコニア
担持H3PW1240を得た。担持率を下式のように担体
重量基準で定義したとき、この触媒のH3PW1240
担持率は30wt%である。
【0074】
【数5】 以下この触媒をHPW(30)/RC−100Pと表記
する。
【0075】(2)5.7gの12−タングストリン酸
を約35mlの純水に溶解してH3PW1240水溶液を
調製し、ジルコニア(RC−100P)を10g加えた
以外は触媒調製例(1)と同様にして担持量50%のH
PW(50)/RC−100Pを得た。
【0076】(3)11.4gの12−タングストリン
酸を約35mlの純水に溶解してH3PW1 240水溶液
を調製した以外は触媒調製例(2)と同様にして担持量
100%のHPW(100)/RC−100Pを得た。
【0077】(4)〜(6)同様にしてジルコニア(第
一稀元素化学工業(株)製RC−100:比表面積11
5m2/g)に、12−タングストリン酸を担持量が3
5、55、115%となるように担持した。調製した触
媒をそれぞれHPW(35)/RC−100、HPW
(55)/RC−100、HPW(115)/RC−1
00と表記する。
【0078】(7)〜(9)同様にしてジルコニア(第
一稀元素化学工業(株)製EP:比表面積25m2
g)に、12−タングストリン酸を担持量が7.5、1
2.5、25%となるように担持した。調製した触媒を
それぞれHPW(7.5)/EP、HPW(12.5)
/EP、HPW(25)/EPと表記する。
【0079】(10)〜(12)同様にしてチタニア
(触媒学会 参照触媒(アナターゼ型)JRC−TI0
1:比表面積80m2/g)に、12−タングストリン
酸を担持量が24、40、80%となるように担持し
た。調製した触媒をそれぞれHPW(24)/TI0
1、HPW(40)/TI01、HPW(80)/TI
01と表記する。
【0080】(13)〜(15)同様にしてチタニア
(出光興産(株)製出光チタニア(非晶質)IT−S:
比表面積100m2/g)に、12−タングストリン酸
を担持量が30、50、100%となるように担持し
た。調製した触媒をそれぞれHPW(30)/IT−
S、HPW(50)/IT−S、HPW(100)/I
T−Sと表記する。
【0081】(16)〜(18)同様にしてアルミナ
(日本エアロジル(株)製Aluminum Oxid
eC:比表面積100m2/g)に、12−タングスト
リン酸を担持量が30、50、100%となるように担
持した。調製した触媒をそれぞれHPW(30)/AL
OC、HPW(50)/ALOC、HPW(100)/
ALOCと表記する。
【0082】(19)〜(21)同様にしてジルコニア
(第一稀元素化学工業(株)製RC−100P)に、1
2−タングストケイ酸H4SiW1240・nH2O:含水
率13wt%)を担持量が30、50、100%となる
ように担持した。調製した触媒をそれぞれHSiW(3
0)/RC−100P、HSiW(50)/RC−10
0P、HSiW(100)/RC−100Pと表記す
る。
【0083】上記(1)〜(21)で得られた触媒の担
持量は、担体の表面積当たりの担持量がほぼ等しくなる
ように3通り選んだ。調製した触媒の担体、ヘテロポリ
酸の種類およびヘテロポリ酸担持量を表2にまとめて示
した。
【0084】(22)〜(24)比較の担体としてシリ
カ(富士シリシア化学(株)製CARiACT30:比
表面積100m2/g)を用いた以外は触媒調製例
(1)〜(3)と同様にして、シリカに、12−タング
ストリン酸を担持量が30、50、100%となるよう
に担持した。調製した触媒をそれぞれHPW(30)/
CA30、HPW(50)/CA30、HPW(10
0)/CA30と表記する。
【0085】(25)〜(26)比較の担体として活性
炭(クラレケミカル(株)製GLC:比表面積1100
2/g)を用いた以外は同様にして、活性炭に、12
−タングストリン酸を担持量が50、100%となるよ
うに担持した。調製した触媒をそれぞれHPW(50)
/GLC、HPW(100)/GLCと表記する。な
お、この担体はヘテロポリ酸が入ることができない細孔
が多く存在するため、ヘテロポリ酸が担持され得る実質
の表面積は1100m2/gよりも小さい。したがっ
て、表1に示すようにヘテロポリ酸を前述の担体表面積
あたりの担持量に換算すると他の触媒よりも小さな値に
なるように担持した。
【0086】(27)同様にして比較の担体であるシリ
カ(CARiACT30)に、12−タングストケイ酸
を担持量が50%となるように担持した。調製した触媒
をHSiW(50)/CA−30と表記する。
【0087】(28)前記の米国特許第5,324,8
81号明細書の実施例に記載のヘテロポリ酸担持固体触
媒を同明細書にしたがって調製した。すなわち、5.1
gの12−タングストリン酸(H3PW1240・nH
2O:含水率12wt%)を純水に溶解し、11.9m
lのH3PW1240水溶液を調製した。比較の結晶性シ
リケート担体として、6gのMCM−41(本発明者に
より調製したもの、比表面積1150m2/g)を用
い、これに上記H3PW1240水溶液を加えた(ポアフ
ィリング法)。これをロータリーエバポレータを用いて
50〜60℃で水分を除去した後、120℃で空気雰囲
気で乾燥して結晶性シリケート担持H3PO1240(担
持率75%)を得た。以下この触媒をHPW(75)/
MCM−41という。
【0088】(29)6.7gの12−タングストリン
酸(H3PW1240・nH2O)を純水に溶解し、43m
lのH3PW1240水溶液を調製し、シリカ担体(Ca
b−O−Sil、キャボット社製 比表面積200m2
/g)を8g用いた以外は触媒調製例(28)と同様に
してシリカ担持H3PW1240(担持率75%)を得
た。以下この触媒をHPW(75)/Cab−O−Si
lという。
【0089】上記(22)〜(29)で得られた比較の
触媒の担体、ヘテロポリ酸の種類およびヘテロポリ酸の
担持量も表2に示した。
【0090】
【表2】
【0091】なお、表2のフォーマットは後掲の表3〜
5においても同様である。
【0092】ジルコニア担体(RC−100P,RC−
100およびEP)、チタニア担体(IT−S)および
アルミナ担体(Aluminum Oxide C)を用
いて触媒調製例(1)〜(9)および(13)〜(1
8)により得た実施例の触媒およびシリカ担体CARi
ACT30を用いて触媒調製例(22)〜(24)によ
り得た比較例の触媒についてXRD測定を行った。XR
D測定は、各触媒試料を空気雰囲気で110℃で乾燥処
理を行った後、速やかに行った。
【0093】測定結果は表3に示すが、同表においてヘ
テロポリ酸の回折線が観測された触媒を○で、観測され
ない触媒を×で示してある。
【0094】
【表3】
【0095】表3から、実施例の触媒では、比較の触媒
と比較して、表面積当たりの担持量が多くてもヘテロポ
リ酸の回折線が現れにくいことがわかる。回折線は結晶
が成長しなければ観測されないことから、実施例の触媒
では、ヘテロポリ酸が担体(親水性の担体)に高分散に
担持されていることが明らかとなった。
【0096】また、後記のアルキル化反応結果よりも明
らかなように、実施例の触媒はアルキル化反応の収率も
寿命も優れていることからヘテロポリ酸の酸性度を低下
させないことが判る。したがって、本発明のヘテロポリ
酸担持固体触媒はアルキル化反応にのみ優れた触媒能を
示すのではなく、ヘテロポリ酸が高い活性を示すオレフ
ィンによる芳香族のアルキル化反応や、n−パラフィン
の異性化反応等の酸触媒反応全般に優れた活性を示すと
考えられる。
【0097】アルキル化反応例 触媒調製例(1)で得られたHPW(30)/RC−1
00Pを16〜32メッシュの大きさに成型し、その
6.5g(H3PW1240量は1.5gに相当)を反応
管に充填した。反応管内のHPW(30)/RC−10
0PをN2100ml/min流通中、120℃で0.
5時間、さらに250℃で1時間前処理を行った。
【0098】その後、反応温度50℃、全圧25kg/
cm2G、イソブタン/ブテン−1のモル比が95/1
になるようにイソブタンとブテン−1を12g/hの割
合で触媒充填反応器に導入し、両者を固定床反応させ
た。反応開始から約1時間後の、アルキレートガソリン
の成分である炭素数5〜10のパラフィン(以下アルキ
レートと表記する)の収率を求めた結果を表4に示す。
初めのサンプリングから1時間毎に生成物収率を測定
し、アルキレートの収率が、最大時のアルキレート収率
と比較して半減したときの時間を触媒寿命と判断した。
表5にその触媒寿命を示す。
【0099】触媒調製例(2)〜(21)で得られた触
媒を用いた(触媒量はヘテロポリ酸の量が1.5gに相
当するように充填した)以外は上記HPW(30)/R
C−100Pを用いた場合と同様に反応を行った。この
アルキレート初期収率、触媒寿命をそれぞれ表4、表5
に示す。
【0100】また触媒調製例(22)〜(29)で得ら
れた比較の触媒を用いた(触媒量はヘテロポリ酸の量が
1.5gに相当するように充填した)以外は上記と同様
に反応を行った。このアルキレート初期収率、触媒寿命
をそれぞれ表4、表5に比較例として示す。
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】表4および表5より、ジルコニア、チタニ
アまたはアルミナからなり、BET定数Cが10以上、
単位表面積当たりの水の単分子層吸着量Vsが5個/n
2以上である担体を用いて得た実施例の触媒を用いる
と、アルキレート収率が155〜196%と高く、触媒
寿命が3.1〜14時間と長いことが判る。これに対し
てシリカまたは活性炭からなり、Cが10未満、Vsが
5個/nm2未満である担体を用いて得た比較例の触媒
を用いると、アルキレート収率が78〜141%と低
く、触媒寿命も2.0〜2.9と短いことが判る。
【0104】従ってCが10以上、Vsが5個/nm2
以上の担体を用いて触媒を調製するという本発明の技術
的意義が実証された。
【0105】
【発明の効果】本発明によれば、従来のヘテロポリ酸担
持固体触媒よりヘテロポリ酸の分散性が良く、各種反応
に用いたとき目的物収率、触媒寿命の点で優れたヘテロ
ポリ酸担持固体触媒が提供された。
【0106】また本発明の好ましい態様によれば、担持
されたヘテロポリ酸の酸性度を低下させないヘテロポリ
酸担持固体触媒が提供された。
【0107】本発明のヘテロポリ酸担持固体触媒は、各
種反応触媒として有効であるが、特にイソパラフィンの
オレフィンによるアルキル化に好ましく用いられる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヘテロポリ酸またはその塩を担体に担持
    してなり、該担体が下記の要件(a)および(b)の少
    なくとも1つを満足することを特徴とするヘテロポリ酸
    担持固体触媒。 (a).水の吸着等温線から、下記式(1) 【数1】 P:水の蒸気圧(atm)、P0:水の飽和蒸気圧(atm) V:圧力Pでの水の吸着量(g/g)、Vm:水の単分子
    層吸着量(g/g) C:BET定数、測定温度25℃ を用いてBET分析したときのBET定数Cの値が10
    以上である。 (b).上記式(1)を用いてBET分析を行って得ら
    れた水の単分子層吸着量Vm(g/g)と、担体の比表面
    積(m2/g)とから算出した単位面積当たりの水の単
    分子層吸着量Vsが5個/nm2以上である。
  2. 【請求項2】 担体が下記要件(c)をさらに満足す
    る、請求項1に記載のヘテロポリ酸担持固体触媒。 (c).担体の単位表面積当たりの表面水酸基量が2個
    /nm2以下である。
  3. 【請求項3】 担体が下記要件(d)をさらに満足す
    る、請求項1または2に記載のヘテロポリ酸担持固体触
    媒。 (d).担体の1H MAS NMR測定を行ったとき
    に、担体表面水酸基のテトラメチルシラン基準の化学シ
    フトが2ppm以上である。
  4. 【請求項4】 担体がジルコニアまたはチタニアであ
    る、請求項1〜3のいずれか一項に記載のヘテロポリ酸
    担持固体触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか一項に記載のヘ
    テロポリ酸担持固体触媒の存在下にイソパラフィンをオ
    レフィンと反応させることを特徴とするイソパラフィン
    のアルキル化方法。
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