JPH0991023A - 帯状シート巻取装置の速度設定装置 - Google Patents

帯状シート巻取装置の速度設定装置

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JPH0991023A
JPH0991023A JP27050295A JP27050295A JPH0991023A JP H0991023 A JPH0991023 A JP H0991023A JP 27050295 A JP27050295 A JP 27050295A JP 27050295 A JP27050295 A JP 27050295A JP H0991023 A JPH0991023 A JP H0991023A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 巻取速度の急変時や設定変更時の巻取不良を
防ぐと共に、能率的な巻取運転ができる巻取速度の設定
が的確にできるようになる帯状シート巻取装置の速度設
定装置を提供する。 【解決手段】 帯状シートを原反ロールから巻き戻しな
がら巻き取って所要巻取長さの巻取ロールを形成する巻
取装置において帯状シート搬送用駆動装置の速度制御装
置へ巻取速度の目標値を与える速度設定装置において、
設定手段15により、所要巻取速度Vs、加速時の加速
度制限値A、減速時の負の加速度制限値D、加速度の漸
増率Ja及び漸減率Jdを設定し、加速度演算手段16
により、加速度の目標値aを刻々算出し、この加速度の
目標値aに基づき巻取速度演算手段17により巻取速度
の目標値vを演算して速度制御装置5へ与え、これに基
づき巻取速度が制御される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は帯状シートを原反ロール
から巻き戻しながら巻き取ることにより所要巻取長さの
巻取ロールを形成する巻取装置の速度設定装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、上述の巻取装置では、一般に、帯
状シートは原反ロールから巻き戻されて所要の速度で送
りローラにより巻取位置へ送り出され、その送り速度に
応じた巻取速度で巻き取られて巻取ロールになる。送り
ローラは、速度制御装置により速度制御されるモータに
より回転駆動され、速度制御装置は、速度設定装置から
巻取速度の目標値を得る。
【0003】図5は従来の速度設定装置より速度制御装
置へ目標値として与えられる巻取速度の変化曲線の代表
例を示している。この巻取速度の変化曲線において巻取
速度vは巻取開始から時間t1まで一定の加速度で加速
され所要の巻取速度Vsになる。そして、所要の巻取速
度速度Vsで一定に維持され、時間t2において減速指
令を受けると一定の負の加速度で減速され、時間t3に
おいて所定の微小速度V0になり、時間t4において巻
取停止指令を受けとる更に減速して零になる。
【0004】巻取速度の変化曲線において、巻取速度V
sや加速・減速時の加速度が大きすぎると巻き取られた
帯状シートが幅方向にずれて不良品となり、それらが小
さすぎると巻取時間が長くなり能率が低下する。また、
巻取終了直前において微小速度での巻取時間が長いと、
巻取ロールの表層部が硬巻きとなって品質低下の原因に
なる。そして、最適な変化曲線は帯状シート滑り易さや
その他の巻取条件に応じて変わり得る。それゆえ、巻取
速度の変化曲線を必要に応じて変えることができるよう
にするために、従来の速度設定装置は、通常、所要巻取
速度Vs、加速時間T1、減速時間T2、微小速度V0
の各設定部を備えている。また、従来の速度設定装置に
は、減速開始時期を自動的に演算して減速を指令する演
算回路と、巻取停止を指令するためのプリセットカウン
タとを備え、帯状シートが所要量巻き取られるのとほぼ
同時に減速が完了して巻取運転が自動的に停止するよう
にしたものがある。そして、一般に巻取ロールの巻取量
は巻取長さで管理されるので、前記プリセットカウンタ
には、検出した巻取長さが入力され、その設定部には必
要な巻取長さが設定される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図5に示す
ような巻取速度変化曲線に基づき巻取速度が制御される
帯状シート巻取装置では、巻き始め及び加速終了時、減
速開始時、巻取終了時に加速度が急激に変化する。その
ため巻取ロールの駆動系と帯状シートの搬送駆動系との
慣性力が衝撃的に変化すると共に両者の慣性力が相違す
ること等に起因して、巻取張力が変動したり、巻取中の
巻取ロールに衝撃が生じたりする。それによって巻取中
の帯状シートが幅方向にずれ、巻取ロールが端面不揃い
を生じて不良品になるという問題を生じる。つまり、図
5において巻取速度の変化曲線が屈折している部分で帯
状シートが幅方向にずれ易い。更に、帯状シートの搬送
駆動系、巻取駆動系に衝撃力が作用するので機械寿命の
観点からも好ましくない。
【0006】一般に、巻取条件が変わったとき、巻取不
良を生じず、かつ能率のよい運転が可能な巻取速度を、
その巻取速度の設定を巻取中多様に変更して試行錯誤に
より求めることが必要である。また、加速中に巻取不良
の兆候か認められると加速を停止し、又は減速し、その
状態で巻取不良の発生を防ぎ、その後、様子を見て加速
したり、或るいは巻取停止後、再始動したりすることが
必要になる。しかし、従来の装置では、加速時間、減速
時間、所要巻取速度により巻取速度の変化曲線を設定す
るので、巻取ロールの駆動系や帯状シートの搬送駆動系
の慣性力の大きさに比例的に関係する加速度の大きさを
把握しにくい。そのため、巻取条件が変わったとき適正
な巻取速度の変化曲線を的確に設定するのが難しい。そ
して、巻取ロールは局部的に巻きずれを生じても、また
所要の巻取長さに満たなくても製品価値を失う。そのた
め、従来の巻取装置では、巻取中の巻取速度の設定変更
が歩留低下の一因になっている。そして、最近の巻取速
度が高速化した巻取装置、大型化した巻取装置ほど前述
の問題が顕著になる傾向にある。
【0007】本発明の目的は、巻取開始時、加速終了
時、減速開始及び停止直前の加速度の急変による巻取不
良だけでなく、加速中における巻取速度の設定変更によ
る巻取不良を防止でき、かつ、巻取停止直前の低速運転
による巻取ロール表層の硬巻きや、減速中に巻取長さが
所要値に達して急停止することによる巻取不良を防ぐこ
とができると共に、能率的な巻取運転ができる巻取速度
の設定が的確にできるようになる帯状シート巻取装置の
速度設定装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、帯状シートを原反ロールから巻き戻しな
がら巻き取って所要巻取長さの巻取ロールを形成する巻
取装置において帯状シート搬送用駆動装置の速度制御装
置へ巻取速度の目標値を与える速度設定装置であって、
図1に示すように、定常時における所要巻取速度Vs、
加速時の加速度の上限を決める加速度制限値A、減速時
の負の加速度の上限を決める負の加速度制限値D、加速
度の漸増率Ja、加速度の漸減率Jd、及び所要巻取長
さLsをそれぞれ設定するための設定手段15と、加速
度の目標値aを、加速が必要なときは前記加速度の目標
値aが前記漸増率Jaに基づき漸増し、かつ漸増中に前
記加速度制限値Aを越えようとすると該加速度制限値A
に抑えられ、その後、前記漸減率Jdに基づき零まで漸
減するように、また、減速が必要なときは前記加速度の
目標値aが前記漸減率Jdに基づき漸減し、かつ漸減中
に前記負の加速度制限値Dを越えようとすると該負の加
速度制限値Dに抑えられ、その後、前記漸増率Jaに基
づき零まで漸増するように、刻々算出する加速度演算手
段16と、前記加速度演算手段16で発生した加速度の
目標値aに基づき、巻取速度の目標値vを刻々演算する
巻取速度演算手段17と、帯状シートの巻取長さ検出手
段21と、前記加速度演算手段16が現時点で減速指令
S1を受けてから巻取停止に至るまでに刻々算出する減
速中の加速度の目標値a′をシミュレーションし、前記
減速中の加速度の目標値a′に基づき、現時点で減速指
令を受けてから巻取停止に至るまでの減速中の巻取長さ
Ldを刻々演算する模擬演算手段18と、前記模擬演算
手段18で得た減速中の巻取長さLdを前記所要巻取長
さLsから差し引いて減速開始時巻取長さLを刻々演算
する減速開始時巻取長さ演算手段19と、前記巻取長さ
検出手段21で検出した巻取長さlが、前記減速開始時
巻取長さ演算手段19により演算した減速開始巻取長さ
Lに達したとき、前記加速度演算手段16へ減速指令S
1を出す減速指令手段20とを備えることを特徴とす
る。
【0009】
【作用】本発明によれば、設定手段15により、所要巻
取速度Vs、加速時の加速度制限値A、減速時の負の加
速度制限値D、加速度の漸増率Ja及び漸減率Jdを設
定し、加速度演算手段16により、加速度の目標値aを
刻々算出し、この加速度の目標値aに基づき巻取速度演
算手段17により巻取速度の目標値vを演算して速度制
御装置5へ与え、これに基づき巻取速度が制御されるの
で、帯状シート巻取装置では、加速度の目標値aに基づ
く加速度が生じる。そのため、巻取運転中の加速度の大
きさや変化の状態が、設定値より把握できる。また、加
速、減速時に、加速度の目標値aが漸増・漸減するの
で、加速度の急激な変化を避けることができ巻取速度が
滑らかに変化する。しかも、加速中に所要巻取速度V
s、加速度制限値A、負の加速度制限値D等の設定変更
を行っても、加速度の急激な変化を自動的に避けること
ができ、随時に巻取速度を滑らかに変化させることがで
きる。
【0010】更に、加速度演算手段16が減速指令を受
けてから巻取停止に至るまでに発生させる減速中の加速
度の目標値a′を、減速開始時巻取長さ演算手段18に
より刻々シミュレーションし、前記減速中の加速度の目
標値a′に基づき、現時点で減速指令を受けてから巻取
停止に至るまでの減速中の巻取長さLdを刻々演算する
ので、加速中、定常時に関わらず、また巻取速度が曲線
的に変化する部分においても巻取長さを正確に算出で
き、減速中の巻取長さLdが正確に得られる。そして、
この減速中の巻取長さLdに基づき自動的に減速指令を
するので、巻取長さが所要値になる時期と、減速完了時
期との誤差を殆ど無くすることができる。
【0011】
【実施例】図2は本発明の一実施例に係る帯状シート巻
取装置の速度設定装置の説明図である。帯状シート巻取
装置において、帯状シートSは原反ロール1から巻き戻
され、モータ2により回転駆動される送りローラ3によ
り所要の速度で巻取位置へ送られ、その送り速度に応じ
た巻取速度で巻き取られて巻取ロール4になる。そし
て、モータ3は速度制御装置5により回転速度を自動制
御され、速度制御装置5は速度設定装置6により巻取速
度の目標値vを巻取中に時々刻々入力される。
【0012】速度設定装置6は、主にマイクロコンピュ
ータ7により構成され、入力インターフェイス部8、出
力インターフェイス部9、記憶部10を備えている。入
力インターフェイス部8には、巻取長さlを検出するた
めに、送りローラ3の回転に応じてパルス信号を発生す
るパルス発生器11よりパルス信号が入力される。ま
た、始動スイッチ12より巻取開始信号が入力される。
更に、例えばキーボードからなる入力装置13から所要
巻取速度Vs、加速時における加速度制限値A、加速度
の漸増率Ja及び漸減率Jd、減速時における負の加速
度制限値D、所望の巻取ロールを形成するための所要巻
取長さLsがそれぞれ入力される。そして、出力インタ
ーフェイス部9から速度制御装置5へ巻取速度の指令信
号vが出力される。また、出力インターフェイス部9に
は、各入力値や出力値を表示するための、例えばCRT
からなる表示装置14が接続されている。
【0013】図1に示すように、マイクロコンピュータ
7には、設定手段15と、加速度演算手段16と、巻取
速度演算手段17と、減速指令が出る前に、減速中の巻
取長さを模擬演算するための模擬演算手段18と、減速
指令時巻取長さ演算手段19と、減速指令手段20と、
巻取長さ検出手段21とが構成されている。そして、こ
れらはクロックパルスに応じて刻々作動する。
【0014】設定手段15には、前記入力装置13より
入力されたVs、A、Ja、Jd、D、Lsの値がそれ
ぞれ記憶されている。
【0015】加速度演算手段16は、現在の加速度の目
標値aを記憶する加速度記憶部22、現在の巻取速度か
ら目的の巻取速度まで加速又は減速するときの、現在の
巻取速度の目標値vと目的の巻取速度の値との差つまり
所要加速量ΔVを演算する加速量演算部23、加速度記
憶部22に記憶されている加速度の目標値aに、設定さ
れた漸増率Jaに基づく増分を加算するための加速度加
算部24、加速度記憶部22に記憶されている加速度の
目標値aから、設定された漸減率Jd基づく減分を減算
するための加速度減算部25、加速度の目標値aが加速
度制限値Aから漸減率Jdに基づき零まで変化したと
き、その変化中に生じる巻取速度差ΔVa3を演算する第
1速度差演算部26、加速度の目標値aが負の加速度制
限値Dから漸増率Jaに基づき零まで変化したとき、そ
の変化中に生じる巻取速度差ΔVd3を演算する第2速度
差演算部27、及び制御部28とからなる。
【0016】加速量演算部23は、巻取開始後、減速指
令S1を受けるまでは、設定された所要巻取速度Vsか
ら巻取速度演算手段17に記憶されている巻取速度の目
標値vを差し引いて所要加速量ΔVを刻々演算し、その
所要加速量ΔVを記憶する。また、減速指令S1を受け
ると、現在の巻取速度の目標値vの負の値を所要加速量
ΔVとして刻々記憶する。
【0017】制御部28は、加速量演算部23の所要加
速量ΔVが正の値のとき、加速度加算部24により、加
速度記憶部22に記憶されている加速度の目標値aに、
漸増率Jaに基づく増分を加算し、それを加速度の目標
値aとして加速度記憶部22に記憶させるという動作を
刻々繰り返すことによって、加速度の目標値aを漸増率
Jaに基づき、図3における時間ta0からta1の期間の
ように漸増させることができる。そして、加速度の目標
値aが加速度制限値Aに達すると、加速度制限値Aを加
速度記憶部22に記憶させ、かつ、加速量演算部23の
所要加速量ΔVが、第1速度差演算部26で演算された
速度差ΔVd3以下になると、加速度減算部25により、
加速度記憶部22に記憶されている加速度の目標値aか
ら漸減率Jdに基づく減分を減算し、それを加速度の目
標値aとして加速度記憶部22に記憶させるという動作
を刻々繰り返すことによって、加速度の目標値aを漸減
率Jdに基づき、図3における時間ta2からta3の期間
のように漸減させることができる。
【0018】また、制御部28は、加速量演算部23の
所要加速量ΔVが負の値のとき、加速度の目標値aを加
速度減算部25により、図3における時間td0からtd1
の期間のように漸減率Jdに基づき漸減させ、加速度の
目標値aが負の加速度制限値Dに達すると、負の加速度
制限値Dを加速度記憶部22に記憶させ、かつ、加速量
演算部23の所要加速量ΔVの絶対値が、第2速度差演
算部27で演算された速度差ΔVa3の絶対値以下になる
と、加速度の目標値aを加速度加算部24により、図3
における時間td2からtd3の期間のように漸増させるこ
とができる。
【0019】巻取速度演算手段17は、加速時又は減速
時には加速度演算手段16で発生した加速度の目標値a
に基づき、記憶している現在の巻取速度の目標値vを増
減して新たに巻取速度の目標値vを演算して刻々記憶す
る。また、記憶した巻取速度の目標値vが所要巻取速度
Vsに達して加速度が零になると所要巻取速度Vsを巻
取速度目標値vとして記憶する。そして、記憶した巻取
速度の目標値vを時々刻々速度制御装置5へ出力するこ
とができる。
【0020】模擬演算手段18は、加速度演算手段16
が減速指令S1を受けてから巻取停止まで間に発生する
加速度の目標値a′を演算する加速度模擬演算手段29
と、この加速度模擬演算手段29で演算された加速度の
目標値a′に基づき減速時の巻取速度の目標値v′を刻
々演算する巻取速度模擬演算手段30と、この巻取速度
模擬演算手段30で演算された巻取速度の目標値v′に
基づき、減速指令S1を受けてから巻取停止までに巻き
取られる減速中の巻取長さLdを演算するための巻取長
さ演算手段31とからなる。
【0021】加速度模擬演算手段29は、加速度演算手
段16と同様に加速度記憶部32、加速度加算部33及
び加速度減算部34を備え、また、第2速度差演算部2
7から速度差ΔVa3、加速度記憶部22から加速度の目
標値a、巻取速度模擬演算手段30から巻取速度の目標
値v′が入力される制御部35を備えている。この制御
部35は、シミュレーション開始時、そのときの加速度
演算手段16における加速度の目標値aを、減速開始時
の加速度の目標値a′として加速度記憶部32に記憶さ
せ、この減速開始時の加速度の目標値a′に基づき、減
速指令S1を受けてから巻取停止に至るまでの間の、減
速中の加速度の目標値a′を、加速度演算手段16と同
様に加速度模擬演算手段29に算出させることができ
る。
【0022】巻取速度模擬演算手段30はシミュレーシ
ョン開始時に巻取速度演算手段17から巻取速度の目標
値vを入力し、それをシミュレーションにおける巻取速
度の目標値として記憶する。そして、その記憶した巻取
速度の目標値vを、加速度模擬演算手段29からの刻々
の加速度の目標値a′に基づき減少させ、巻取速度演算
手段17により巻取速度の目標値vを演算する場合と同
様に減速時の刻々の巻取速度の目標値v′を算出するこ
とができる。
【0023】巻取長さ演算手段31は、巻取速度模擬演
算手段30で演算された刻々の巻取速度の目標値v′を
積分して、現時点において減速指令S1を受けてから巻
取が停止するまでの減速中の巻取長さLdを刻々得るこ
とができる。
【0024】減速指令時巻取長さ演算手段19は、模擬
演算手段18で得た減速中の巻取長さLdを、設定され
た所要巻取長さLsから差し引いて減速開始時巻取長さ
Lを演算することができる。そして、減速指令手段20
は、前記減速指令時の巻取長さLと、巻取長さ検出手段
21で検出した巻取長さlとを受け取り、両者を時々刻
々比較して、巻取長さlが減速指令時の巻取長さLに達
したとき加速量演算部23に減速指令S1を送ることが
できる。この実施例では巻取長さ検出手段21は図2の
パルス発生器11からのパルス信号を計数するカウンタ
回路からなる。
【0025】この実施例の速度設定装置において、図2
に示す始動スイッチ12を押して巻取開始信号を出す
と、加速量演算手段23により所要加速量ΔVが演算さ
れ、この場合、所要加速量ΔVは正の値であるため、加
速度演算手段16は、図3の左部分に示す加速度変化曲
線Ca1のように時間の経過に従い変化する加速度の目標
値aを発生させる。このとき、巻取速度の目標値vは巻
取速度変化曲線Cv1のように変化して所要巻取速度Vs
になる。そして加速度の目標値aが零になると巻取速度
の目標値vは所要巻取速度Vsに維持される。加速中、
時間t1における巻取速度の演算値V1は、図3の加速
度変化曲線Ca1、時間tに対応する横軸、及びt1を通
る縦軸に囲まれる部分の面積に相当する。また、巻取速
度の目標値vは加速度の目標値aの漸減中にΔVa3だけ
増加する。そして、ΔVa3は加速度変化曲線Ca1、時間
tに対応する横軸、及び時間ta2を通る縦軸に囲まれる
部分の面積に相当し、ΔVa3=A・A/(2・Jd)と
なる。そこで、加速度演算手段16は、加速度の目標値
aが零になったとき巻取速度の目標値vがVsになるよ
うにするために、ΔVがΔVa3になると漸減を開始す
る。
【0026】減速指令手段19より減速指令S1が出る
と、所要加速量ΔVが負の値になるので、加速度演算手
段16は、図3の右部分に示す加速度変化曲線Ca2のよ
うに変化する加速度の目標値aを発生させる。このと
き、巻取速度の目標値vは巻取速度変化曲線Cv2のよう
に変化して零になる。減速中、時間をt2における巻取
速度の目標値V2は、図3の加速度変化曲線Ca2、時間
tに対応する横軸、td0を通る縦軸、及びt1を通る縦
軸により囲まれる部分の面積に相当する。また、巻取速
度の目標値vは加速度の目標値aの漸増中に、ΔVd3だ
け減少する。そして、ΔVd3は、加速度変化曲線Ca2、
時間に対応する横軸、及び時間td2を通る縦軸に囲まれ
る部分の面積に相当し、ΔVd3=D・D/(2・Jd)
となる。そこで、加速度演算手段16は、加速度の目標
値aが零になったとき巻取速度の目標値vが零になるよ
うにするために、ΔVがΔVa3になると加速度の目標値
aの漸増を開始する。
【0027】加速度が零のとき、模擬演算手段18で
は、図3の右部分に示す加速度変化曲線Ca2と同じ加速
度変化曲線となるように刻々加速度の目標値aが発生す
る。そして、その加速度の目標値aに基づき、減速中の
巻取速度の目標値vが、巻取速度変化曲線Cv2と同様に
変化するように演算され、巻取長さ演算手段31では減
速中の巻取長さが演算される。そして、この演算された
減速中の巻取長さは、図3の巻取速度変化曲線Cv2、時
間tの横軸、時間td0を通る縦軸、及び時間td3を通る
縦軸とで囲まれる部分の面積に相当する。
【0028】加速度演算手段16が加速中に減速指令S
1を受けると、所要加速量ΔVは負の値になって、図1
に示す加速度減算部24が働き、加速度の目標値aは、
図4に示す加速度変化曲線Ca3のように変化し、巻取速
度の目標値vは巻取速度変化曲線Cv3のように変化す
る。この場合、減速指令を受けた時間をt3、そのとき
の巻取速度の目標値をV3とすると、巻取速度の目標値
vは、t3から加速度の目標値aが零になる時間ta3ま
で、巻取速度の目標値V3より大きくなり、その後漸減
する。そして、模擬演算手段18では、シミュレーショ
ン開始時毎に、加速度演算手段16に記憶された加速度
の目標値aを現在の加速度の目標値a′として記憶する
ので、加速中は加速度の目標値a′が現在の加速度の目
標値aから漸減することになり、加速度変化曲線Ca3の
ように変化する加速度の目標値a′が発生する。そし
て、この加速度の目標値a′に基づき巻取速度の目標値
v′を図4に示す巻取速度変化曲線Cv3と同様に変化さ
せ、巻取速度変化曲線Cv3、時間tに対応する横軸、時
間t3を通る縦軸で囲まれる部分の面積に相当する巻取
長さが、減速中の巻取長さLdとして算出される。
【0029】加速中に所要巻取速度Vsが設定変更され
た場合、その所要巻取速度Vsが現在の時間t3におけ
る現在の巻取速度v3よりも大きいときは、そのまま加
速を続け、ΔVが第1速度差演算手段26で演算された
ΔVa3になると、加速度の目標値aを漸減させる。ま
た、変更した所要巻取速度Vsが現在の巻取速度v1よ
り小さいときは、所要加速量ΔVが負の値になるので、
加速度減算部25が働き、加速度の目標値aは、図4に
示すように、現在の時間t3における現在の加速度の目
標値Aから漸減し、加速度変化曲線Ca4のように変化
し、巻取速度の目標値vは巻取速度変化曲線CV4のよう
に変化して所要巻取速度Vsになる。
【0030】以上、本発明を一実施例により説明した
が、実施態様は上述に限らず必要に応じて多様に変わり
得る。たとえば、加速度の漸増率と漸減率は、大きさが
異なってもよいし、大きさを同じにして、設定手段に
は、それらの値を共通に設定するようにしてもよいし、
更に時間の関数となるものを用いてもよい。また、加速
度制限値と負の加速度制限値は、その絶対値が異なる大
きさであってもよいし、その絶対値を同じ大きさとし、
設定手段には、それらの値を共通に設定するようにして
もよい。また、帯状シートが巻取ロールの駆動系により
引き出される場合は、巻取ロール半径と巻取速度より巻
取ロールの回転数を求め、この巻取ロールの回転数を速
度制御装置に目標値として与えるようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】発明によれば、設定手段で設定値を変え
ることにより、加速度の大きさや、その漸減、漸増の勾
配が多様に異なる加速度変化曲線を得ることができる。
そして、加速・減速時の巻取不良の原因となる、巻取ロ
ールの駆動系や帯状シートの搬送駆動系の慣性力の大き
さに対して、加速度の大きさは比例的に関係するので、
設定された巻取速度の適否を予測し易い。そのため、帯
状シート表面の滑り易さ等の巻取条件が変わったとき、
それに応じて最適のパターンで変化する巻取速度を的確
に得ることが可能になる。また、巻取速度を滑らかに変
化させることができるので、巻取開始時、加速終了時、
減速開始時及び巻取停止時に、帯状シート張力が変動し
たり巻取ロールが衝撃力を受けたりすることが防止でき
る。それゆえ、巻きずれを防ぐことができ、品質の良い
巻取ロールが得られる。そして、巻取装置の故障も生じ
にくい。
【0032】また、減速中の巻取長さを、巻取速度の変
化曲線が湾曲している部分においても正確に求めること
ができ、減速開始時における巻取長さを正確に演算して
自動的に減速を開始させることができる。そのため、巻
取長さが所要値になる時期と減速が終了する時期との誤
差を殆ど無くすることができる。それゆえ、減速途中で
の急停止による巻きずれや、減速終了後の低速運転によ
る巻取ロール表層の硬巻きを防ぐことができる。したが
って、加速、減速に伴う巻きずれだけでなく巻取終了直
前での巻きずれや巻取ロール表層部の硬巻きを防止でき
る共に能率的な巻取運転ができる巻取速度を的確に設定
することができる。
【0033】更に、加速中に所要巻取速度の設定を変更
しても、巻取速度が滑らかに変化するので加速時の巻取
不良の防止が可能になり、かつ巻取長さが所要値になる
時期と減速終了時期との誤差も殆どない。それゆえ、シ
ート材質等が変わった場合における巻取速度の不適正
や、帯状シートの不良などにより、加速中に巻取不良の
兆候が認められた場合、直ちに加速を停止し、或は減速
して、その状態で巻取不良の発生を防ぎ、その後、様子
を見て加速したり、あるいは巻取停止後、再始動したり
することができる。したがって、巻取開始後の加速時に
巻取不良を防止しすることができ、それによって歩留を
大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る速度設定装置の構成を
説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例に係る帯状シート巻取装置と
速度設定装置とのハードウェアの関連を示す説明図であ
る。
【図3】本発明において得られる加速度変化曲線及び巻
取速度変化曲線を示す線図である。
【図4】加速中に減速が必要になった場合の加速度変化
曲線及び巻取速度変化曲線を示す線図である。
【図5】従来の加速度の変化曲線、巻取速度の変化曲線
に関する線図である。
【符号の説明】
S 帯状シート 1 原反ロー
ル 2 モータ 3 送りロー
ラ 4 巻取ロール 5 速度制御
装置 6 速度設定装置 7 マイクロ
コンピュータ 12 始動スイッチ 15 設定手
段 16 加速度演算手段 17 巻取速
度演算手段 18 模擬演算手段 19 減速指
令時巻取長さ演算手段 20 減速指令手段 21 巻取長
さ検出手段 22 加速度記憶部 23 加速量
演算部 24 加速度加算部 25 加速度
減算部 26 第1速度差演算手段 27 第2速
度差演算手段 28 制御部 29 加速度
模擬演算手段 30 巻取速度模擬演算手段 31 巻取長
さ演算手段 32 加速度記憶部 33 加速度
加算部 34 加速度減算部 35 制御部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状シートを原反ロールから巻き戻しな
    がら巻き取って所要巻取長さの巻取ロールを形成する巻
    取装置において帯状シート搬送用駆動装置の速度制御装
    置へ巻取速度の目標値を与える速度設定装置であって、 定常時における所要巻取速度、加速時の加速度の上限を
    決める加速度制限値、減速時の負の加速度の上限を決め
    る負の加速度制限値、加速度の漸増率、加速度の漸減
    率、及び所要巻取長さをそれぞれ設定するための設定手
    段と、 加速度の目標値を、加速が必要なときは前記加速度の目
    標値が前記漸増率に基づき漸増し、かつ漸増中に前記加
    速度制限値を越えようとすると該加速度制限値に抑えら
    れ、その後、前記漸減率に基づき零まで漸減するよう
    に、また、減速が必要なときは前記加速度の目標値が前
    記漸減率に基づき漸減し、かつ漸減中に前記負の加速度
    制限値を越えようとすると該負の加速度制限値に抑えら
    れ、その後、前記漸増率に基づき零まで漸増するよう
    に、刻々算出する加速度演算手段と、 前記加速度演算手段で発生した加速度の目標値に基づ
    き、巻取速度の目標値を刻々演算する巻取速度演算手段
    と、 帯状シートの巻取長さ検出手段と、 前記加速度演算手段が現時点で減速指令を受けてから巻
    取停止に至るまでに刻々算出する減速中の加速度の目標
    値をシミュレーションし、前記減速中の加速度の目標値
    に基づき、現時点で減速指令を受けてから巻取停止に至
    るまでの減速中の巻取長さを刻々演算する模擬演算手段
    と、 前記模擬演算手段で得た減速中の巻取長さを前記所要巻
    取長さから差し引いて減速開始時巻取長さを刻々演算す
    る減速開始時巻取長さ演算手段と、 前記巻取長さ検出手段で検出した巻取長さが、前記減速
    開始時巻取長さ演算手段により演算した減速開始巻取長
    さに達したとき、前記加速度演算手段へ減速指令を出す
    減速指令手段とを備えることを特徴とする帯状シート巻
    取装置の速度設定装置。
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