JPH0988988A - シャフトの外周面にボールスプライン溝を形成する方法 - Google Patents

シャフトの外周面にボールスプライン溝を形成する方法

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JPH0988988A
JPH0988988A JP7249423A JP24942395A JPH0988988A JP H0988988 A JPH0988988 A JP H0988988A JP 7249423 A JP7249423 A JP 7249423A JP 24942395 A JP24942395 A JP 24942395A JP H0988988 A JPH0988988 A JP H0988988A
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ball spline
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punches
peripheral surface
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 良質の、外周面にボールスプライン溝2、2
を有するシャフト1を低コストで造る。 【構成】 第一工程でシャフト1の外周面に、断面形状
が三角形の中間凹溝を加圧成形する。続く第二工程で、
この中間凹溝部分を更に加圧して、所望形状を有するボ
ールスプライン溝2、2とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明のシャフトの外周面にボー
ルスプライン溝を形成する方法は、例えばトロイダル型
無段変速機に組み込まれて入力側ディスクと共に回転す
る回転軸の外周面にボールスプライン溝を形成する為に
利用する。
【0002】
【従来の技術】自動車用の変速機としてトロイダル型無
段変速機を使用する事が、研究されている。トロイダル
型無段変速機は、互いに対向した状態で同心に配置され
た入力側ディスクと出力側ディスクとの間に複数のパワ
ーローラを回転自在に挟持して成り、各パワーローラの
回転中心の傾斜角度を変える事で、上記入力側ディスク
と出力側ディスクとの間の変速比を調節する。又、トロ
イダル型無段変速機により伝達可能な動力を大きくする
為に、上記入力側ディスクと出力側ディスクとを、動力
の伝達方向に関して互いに並列に2組設ける事も、例え
ば特開平1−193454号公報に記載されている様
に、従来から知られている。
【0003】この様に、入力側ディスクを2組設けるト
ロイダル型無段変速機の場合には、1本のシャフトの両
端部に1対の入力側ディスクを、このシャフトに対して
軸方向に亙る若干の変位を自在とした状態で、このシャ
フトと共に回転自在に支持する。各入力側ディスクをシ
ャフトに、軸方向に亙る変位自在に装着する理由は、動
力伝達時に生じる構成各部材の弾性変形を吸収する為で
ある。この様な目的で、上記各入力側ディスクをシャフ
トの軸方向に亙って円滑に変位させると共に、これら各
入力側ディスクをシャフトと共にがたつきなく回転させ
る為、このシャフトの両端部外周面と上記各入力側ディ
スクの内周面とをボールスプライン係合させる事も、上
記公報に記載されている様に、従来から知られている。
【0004】図9は、この様なトロイダル型無段変速機
に組み込まれるシャフトの1例を示している。この図9
に示したシャフト1の両端部にはそれぞれ、図10〜1
1に示す様に断面形状が半円よりも少し小さい円弧形で
ある、ボールスプライン溝2、2を形成している。これ
ら各ボールスプライン溝2、2の断面の曲率半径は、ボ
ールスプラインを構成するボールの外径面の曲率半径よ
りも僅かに大きい。又、このシャフト1の一端部(図9
の左端部)には鍔部3を、他端部(図9の右端部)には
雄ねじ部4を、それぞれ形成している。トロイダル型無
段変速機を組み立てた状態では、上記各ボールスプライ
ン溝2、2と各入力側ディスクの内周面との間に、それ
ぞれ複数のボールを介在させる。この様に複数のボール
を介在させた状態では、上記各入力側ディスクがシャフ
ト1の軸方向に亙って円滑に変位自在となると共に、こ
れら各入力側ディスクがシャフト1と共にがたつきなく
回転自在となる。又、一方の入力側ディスクの背面と上
記鍔部3との間、並びに他方の入力側ディスクの背面と
上記雄ねじ部4に螺合したローディングナットとの間
は、それぞれ皿ばねを設ける。これら各皿ばねは、上記
各入力側ディスクに、それぞれが対向する出力側ディス
クに向かう弾力を付与する。
【0005】上述の様なシャフト1の両端部にスプライ
ン溝2、2を形成する作業は、一般的には切削加工によ
り行なっている。即ち、ボールエンドミルを回転させつ
つ、上記シャフト1を軸方向に送って、スプライン溝2
を1本形成する。次いで、ボールエンドミルをシャフト
1の外周面から離した状態でこのシャフト1を所定角度
(図示の例では60度)回転させてから、再びボールエ
ンドミルにより上記スプライン溝2を形成する作業を、
必要回数(図示の例では6回)行なう。
【0006】又、ボールスプライン溝2、2の他の形成
方法として、図12に示す様な1対の成形ロール5、5
による方法も、従来から知られている。この従来方法の
第2例の場合には、それぞれがシャフト1に遠近動する
方向に公転運動する軸6、6を中心として回転する1対
の成形ロール5、5を使用する。そして、この成形ロー
ル5、5を上記シャフト1の直径方向反対側面に、打撃
を加えつつ押し付けると共にこのシャフト1を軸方向に
間欠移動させて、このシャフト1の外周面に塑性変形に
基づくボールスプライン溝2、2を形成する。この作業
により、シャフト1の外周面で直径方向反対位置に1対
のボールスプライン溝2、2が形成されたならば、成形
ロール5、5をシャフト1の外周面から離した状態でこ
のシャフト1を所定角度(図示の例では60度)回転さ
せてから、再び成形ロール5、5により上記スプライン
溝2、2を形成する作業を、必要回数(図示の例では3
回)行なう。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した様な従来方法
は、生産効率が悪く、ボールスプライン溝2、2を有す
るシャフト1のコストが嵩んだり、或は品質の良いシャ
フト1を得られない。先ず、ボールエンドミルによりボ
ールスプライン溝2、2を加工する場合には、ボールエ
ンドミルの破損を防止する為に、シャフト1の送り速度
(軸方向に変位させる速度)を速くできない。この為、
加工作業の能率が悪く、シャフト1のコストが嵩んでし
まう。
【0008】又、図12に示す様に、成形ロール5、5
を叩き付ける方法の場合には、各部を同期して動かす為
の機構等、装置全体が複雑になるだけでなく、加工時に
大きな騒音を発生する為、作業環境が悪くなる。又、成
形ロール5、5が自転しつつ公転する為、各成形ロール
5、5により形成されるボールスプライン溝2、2の端
部に、シャフト1の端面に開口する場合を除き、次第に
深さ寸法が小さくなる、所謂不完全成形部が生じる。こ
の不完全成形部はボールスプライン溝として利用できな
い為、この不完全成形部の分だけ、シャフトの長さ寸法
が余分に必要になる。更に、ボールスプライン溝の端部
近くに鍔部や大径部等、成形ロール5、5と干渉する部
分を設ける事ができない。この為、シャフト1の設計の
自由度が制限される。
【0009】本発明のシャフトの外周面にボールスプラ
イン溝を形成する方法は、これらの問題を何れも解消し
て、設計の自由度を十分に有するシャフトを、低コスト
でしかも良好な作業環境の下で造れる様にするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のシャフトの外周
面にボールスプライン溝を形成する方法は、第一工程と
第二工程とから成る。最初に行なわれる第一工程では、
それぞれの内側面に断面形状が三角形である荒加工突条
を形成した複数の荒加工パンチをシャフトの外周面に向
けて強く押し付ける。そして、このシャフトの外周面に
断面形状が三角形でそれぞれがこのシャフトの軸方向に
長い、複数の中間凹溝を形成する。続いて行なわれる第
二工程では、それぞれの内側面に断面形状が円弧形であ
る仕上加工突条を形成した複数の仕上加工パンチを、各
仕上加工パンチの仕上加工突条と上記第一工程で造られ
た中間凹溝とを整合させた状態でシャフトの外周面に向
けて強く押し付ける。そして、このシャフトの外周面
に、断面形状が円弧形でそれぞれがこのシャフトの軸方
向に長い複数のボールスプライン溝を形成する。
【0011】尚、上述した第一工程と第二工程とを順次
行なう事により、ボールスプライン溝の左右両側部が盛
り上がるが、この盛り上がり部分が邪魔になる場合に
は、第二工程に続いて第三工程を行なう事により、この
盛り上がり部分を含む、上記シャフトの表皮部分を除去
する。この様な除去作業は、旋盤加工等、一般的且つ能
率の良い切削加工により簡単に行なえる。又、この様に
してボールスプライン溝を形成したシャフトの外周面
は、必要に応じ、第四工程として(上記切削加工を行な
う場合)或は第三工程として(上記切削加工を省略する
場合)、高周波焼き入れ、浸炭窒化処理等、従来から知
られている適宜の方法により硬化させる。
【0012】
【作用】上述の様に構成される本発明のシャフトの外周
面にボールスプライン溝を形成する方法によれば、それ
ぞれが短時間で終了する第一工程及び第二工程のみで、
シャフトの外周面にボールスプライン溝を形成できる。
これら第一、第二工程は何れも、荒加工パンチ或は仕上
加工パンチをシャフトの外周面に押し付ける静圧押し出
しで行なえる為、作業時に大きな騒音が発生せず、作業
環境を悪化させる事はない。又、得られるボールスプラ
イン溝の端部に形成される不完全成形部の軸方向長さを
極く短くできる。この為、ボールスプライン溝の端部近
傍に鍔部等を設けられる等、シャフトの設計の自由度が
高い。
【0013】
【実施例】図1〜8は本発明の実施例を示している。
尚、図示の実施例では、シャフト1の外周面に6本のボ
ールスプライン溝2、2を、円周方向等間隔に(中心角
ピッチが60度となる様に)形成する。第一工程では、
それぞれが図1に示す様な形状を有する、6個の荒加工
パンチ7、7を使用する。これら各荒加工パンチ7、7
は、それぞれ断面形状が等脚台形である主部8、8の内
周側面に、断面形状が三角形である荒加工突条9、9を
突出成形して成る。尚、これら各荒加工突条9、9の先
端縁は、多少の曲率半径を有する円弧状凸面としてい
る。そして、総ての荒加工パンチ7、7は、同大且つ同
形状に造られている。上記主部8、8の円周方向両側面
10、10同士の傾斜角度θは60度としている。
【0014】上述の様に構成される上記6個の荒加工パ
ンチ7、7は、上記各荒加工突条9、9を内周側に位置
させた状態で、上記シャフト1を中心とする同一円周上
に配置している。そして、図示しない油圧シリンダ等の
加圧装置により、カム機構等の同期手段を介し機械的に
同期して、上記シャフト1に遠近動自在としている。
【0015】上述の様な6個の荒加工パンチ7、7によ
りシャフト1に第一工程を施すには、上記油圧シリンダ
によりこれら各荒加工パンチ7、7を直径方向外側に移
動させる。そして、各荒加工パンチ7、7の荒加工突条
9、9の先端縁の最大内接円の直径を上記シャフト1の
外径よりも大きくした状態で、このシャフト1を上記6
個の荒加工パンチ7、7の内側に挿入する。そして、こ
のシャフト1の外周面でボールスプライン溝2、2を形
成すべき部分と上記各荒加工突条9、9とを対向させ
る。次いで、上記油圧シリンダにより上記各荒加工パン
チ7、7を直径方向内側に、図1に矢印で示す様に同期
して変位(前進)させる。
【0016】上記油圧シリンダにより上記各荒加工パン
チ7、7を前進させると、図2に示す様に、隣り合う荒
加工パンチ7、7の円周方向両側面10、10同士が互
いに密接し、上記6個の荒加工パンチ7、7が正六角筒
を構成する。この状態では、これら各荒加工パンチ7、
7の内周側面に形成された荒加工突条9、9が、それぞ
れの基端部を除き、上記シャフト1の外周面に食い込
む。即ち、上記油圧シリンダの作動に基づく上記各荒加
工パンチ7、7の前進により、上記各荒加工突条9、9
が上記シャフト1の外径寄り部分の肉を円周方向両側に
押し退け(シャフト1の一部を塑性変形させ)つつ、こ
のシャフト1内に食い込む。
【0017】この様な第一工程をシャフト1に施す事に
より、このシャフト1の外周面6個所位置には、それぞ
れがこのシャフト1の軸方向(各図の表裏方向)に長
い、複数の中間凹溝11、11が形成される。これら各
中間凹溝11、11の断面形状は、上記各荒加工突条
9、9の断面形状と同じ、頂部が湾曲した二等辺三角形
となる。尚、総ての荒加工パンチ7、7は同形・同大に
造られており、且つ、これら各荒加工パンチ7、7の前
進は、隣り合う荒加工パンチ7、7の円周方向両側面1
0、10同士が当接した状態で停止する。従って、上記
油圧シリンダの作動量を特に規制しなくても、上記各中
間凹溝11、11は、総て所望の大きさに規制できる。
言い換えれば、特に面倒な制御を要する事なく、所望の
形状と大きさとを有する中間凹溝11、11を形成でき
る。
【0018】この様に、第一工程でシャフト1の外周面
に中間凹溝11、11を形成した状態で、図3〜4に示
す様な中間材12が形成される。この中間材12の一部
外周面で、上記各中間凹溝11、11の円周方向両側に
位置する部分には、第一盛り上がり部13、13が形成
される。尚、図4の鎖線イは、完成後のシャフト1の外
周面位置及びボールスプライン溝2の形状を示してい
る。この鎖線イから明らかな通り、第一工程を終了して
上記中間凹溝11、11及び第一盛り上がり部13、1
3を形成した状態で、中間凹溝11、11は完成後のボ
ールスプライン溝2よりも浅く、各第一盛り上がり部1
3、13は、完成後のシャフト1の外周面よりも直径方
向外方に突出している。
【0019】上述の様な第一工程により、図3〜4に示
す様な中間材12を形成した後、この中間材12に第二
工程を施す。この第二工程では、それぞれが図5に示す
様な形状を有する、6個の仕上加工パンチ14、14を
使用する。これら各仕上加工パンチ14、14も、前記
荒加工パンチ7、7と同様に、それぞれ断面形状が等脚
台形である主部15、15の内周側面に、断面形状が三
角形である仕上加工突条16、16を突出成形して成
る。尚、これら各仕上加工突条16、16は、断面形状
が円弧形である先半部17、17と、この先半部17、
17と上記主部15、15とを連続させる基半部18、
18とから構成される。このうちの先半部17、17の
外周面の曲率半径は、完成後のボールスプライン溝2、
2の内周面の曲率半径に一致させている。又、上記各基
半部18、18は、円周方向両側に存在する1対の傾斜
面19、19を備える。そして、これら1対の傾斜面1
9、19同士の間隔は、上記各先半部17、17から主
部15、15に向かうに従って広くなる。又、総ての仕
上加工パンチ14、14は、同形・同大に造られてお
り、上記各主部15、15の円周方向両側面20、20
同士の傾斜角度θは60度としている。
【0020】上述の様に構成される上記6個の仕上加工
パンチ14、14は、上記各仕上加工突条16、16を
内周側に位置させた状態で、前記第一工程により造られ
た中間材12を中心とする同一円周上に配置している。
そして、図示しない油圧シリンダ等の加圧装置とカム機
構等の同期手段により、同期して上記中間材12に遠近
動自在としている。
【0021】上述の様な6個の仕上加工パンチ14、1
4により中間材12に第二工程を施すには、上記油圧シ
リンダによりこれら各仕上加工パンチ14、14を直径
方向外側に移動させる。そして、各仕上加工パンチ1
4、14の仕上加工突条16、16の先端縁の最大内接
円の直径を上記中間材12の外径よりも大きくした状態
で、この中間材12を上記6個の仕上加工パンチ14、
14の内側に挿入する。そして、この中間材12の外周
面で中間凹溝11、11を形成した部分と上記各仕上加
工突条16、16とを対向させる。次いで、上記油圧シ
リンダにより上記各仕上加工パンチ14、14を直径方
向内側に、図5に矢印で示す様に同期して変位(前進)
させる。
【0022】上記油圧シリンダにより上記各仕上加工パ
ンチ14、14を前進させると、図6に示す様に、隣り
合う仕上加工パンチ14、14の円周方向両側面20、
20同士が互いに密接し、上記6個の仕上加工パンチ1
4、14が正六角筒を構成する。この状態では、これら
各仕上加工パンチ14、14の内周側面に形成された仕
上加工突条16、16の先半部17、17全体と、基半
部18、18の一部とが、上記中間材12の外周面に食
い込む。即ち、上記油圧シリンダの作動に基づく上記各
仕上加工パンチ14、14の前進により、上記各仕上加
工突条16、16が上記中間材12の外径寄り部分の肉
を円周方向両側に押し退け(中間材12の一部を塑性変
形させ)つつ、この中間材12内に食い込む。
【0023】この様な第二工程を中間材12に施す事に
より、この中間材12の外周面6個所位置には、それぞ
れがこの中間材12の軸方向に長い複数のボールスプラ
イン溝2、2が、上記各先半部17、17により形成さ
れる。又、これら各ボールスプライン溝2、2の円周方
向両側縁部には面取り部21、21が、上記各基半部1
8、18により形成される。これら各基半部18、18
の傾斜角度は同じとされている為、上記各面取り部2
1、21の傾斜角度は互いに等しい。この様な第二工程
に使用する仕上加工パンチ14、14も、総て同形・同
大に造られており、且つ、これら各仕上加工パンチ1
4、14の前進は、隣り合う仕上加工パンチ14、14
の円周方向両側面20、20同士が当接した状態で停止
する。従って、上記油圧シリンダの作動量を特に規制し
なくても、上記各ボールスプライン溝2、2及び面取り
部21、21は、総て所望の大きさに規制できる。言い
換えれば、特に面倒な制御を要する事なく、所望の形状
と大きさとを有するボールスプライン溝2、2及び面取
り部21、21を形成できる。勿論、総てのボールスプ
ライン溝2、2及び面取り部21、21の大きさは互い
に等しくなる。
【0024】この様に、第二工程で中間材12の外周面
にボールスプライン溝2、2及び面取り部21、21を
形成する事により、図7〜8に示す様な第二中間材22
が得られる。この第二中間材22の一部外周面で、上記
各面取り部21、21の円周方向両側に位置する部分に
は、第二盛り上がり部23、23が形成される。尚、図
8の鎖線ロは、完成後のシャフト1の外周面位置を示し
ている。この鎖線ロから明らかな通り、第二工程を終了
して上記ボールスプライン溝2、2及び面取り部21、
21、並びに第二盛り上がり部23、23を形成した状
態で、各第二盛り上がり部23、23は、完成後のシャ
フト1の外周面よりも直径方向外方に突出している。
又、上記各ボールスプライン溝2、2の円周方向両端縁
と上記各面取り部21、21との連続部に形成される角
部24、24は、完成後のシャフト1の外周面よりも直
径方向内方に位置する。
【0025】前述した第一工程と上述した第二工程とを
順次行なう事により、図7〜8に示した様に、各ボール
スプライン溝2、2の左右両側部に第二盛り上がり部2
3、23が形成される。この第二盛り上がり部23、2
3が入力側ディスクの内周面等、他の部材の一部と干渉
する可能性がなければ、この第二盛り上がり部23、2
3をそのまま残しておく事も考えられる。但し、ボール
スプライン構造部分の負荷容量を十分に確保する為に
は、入力側ディスクの内周面にも十分な深さを有する別
のボールスプライン溝を形成する。この様な場合には、
シャフト1の外周面と入力側ディスクの内周面とが近接
し、上記第二盛り上がり部23、23をそのまま残す
と、これら各第二盛り上がり部23、23が、入力側デ
ィスクの内周面と干渉する。
【0026】そこで、ボールスプライン構造部分の負荷
容量を確保する場合には、上記第二工程に続いて第三工
程を行なう事により、この第二盛り上がり部23、23
を含む、上記第二中間材22の表皮部分を除去する。こ
の様な除去作業は、旋盤加工等、一般的且つ能率の良い
切削加工により簡単に行なえる。この様な第三工程を行
なう事により、前記図9〜11に示す様な、ボールスプ
ライン溝2、2を有するシャフト1が得られる。この第
三工程を終了した時点で、各ボールスプライン溝2、2
の円周方向両側縁部分には、十分な寸法を有する面取り
部21、21が残っている事が必要である。本発明のシ
ャフトの外周面にボールスプライン溝を形成する方法の
場合には、第一、第二両工程を行なう事により、上記各
ボールスプライン溝2、2の円周方向両側縁部に、直径
方向外方に向けて十分に大きく突出する第二盛り上がり
部23、23が形成される。従って、上記第三工程を終
了した時点で各ボールスプライン溝2、2の円周方向両
側縁部分に、十分な寸法を有する面取り部21、21を
残せる。
【0027】尚、本発明者が本発明を完成させる過程で
行なった実験によると、第一工程を省略して第二工程の
みで上記各ボールスプライン溝2、2及び第二盛り上が
り部23、23を形成すると、この第二盛り上がり部2
3、23の盛り上がり量が不足する。この為、十分な面
取り部21、21を安定して形成できなくなる(面取り
部21、21に欠肉が生じ易くなる)。勿論、第二工程
で使用する仕上加工パンチ14、14の押し込み量を多
くすれば、上記第二盛り上がり部23、23の盛り上が
り量を多くして、十分な面取り部21、21を確保でき
る。但し、この様に仕上加工パンチ14、14の押し込
み量を多くすると、第二盛り上がり部23、23を含む
余肉部分の量が多くなり(円周方向に亙って幅広に盛り
上がり)、次の工程でこの余肉部分を除去する作業に時
間を要する。又、仕上加工パンチ14、14の押し込み
に伴ってシャフト1が軸方向に伸長する量が多くなり、
寸法精度を確保する事が難しくなる。これに対して、本
発明の様に第一工程と第二工程とを順次行なうと、特に
仕上加工パンチ14、14の押し込み量を多くしなくて
も、上記第二盛り上がり部23、23の盛り上がり量を
十分に確保できる。この為、上記の問題を何れも解消で
きる。
【0028】更に、この様にしてボールスプライン溝
2、2を形成したシャフト1の外周面は、第四工程とし
て、高周波焼き入れ、浸炭窒化処理等、従来から知られ
ている適宜の方法により硬化させる。上記各ボールスプ
ライン溝2、2の内面は、仕上加工突条16、16の先
半部17、17に合致する形状に正確に仕上げられ、し
かもその表面は緻密になる為、特に仕上げの為の研磨を
行なう必要はない。
【0029】上述の様に構成される本発明のシャフトの
外周面にボールスプライン溝を形成する方法によれば、
それぞれが短時間で終了する第一工程及び第二工程のみ
で、シャフト1の外周面にボールスプライン溝2、2を
形成できる。これら第一、第二工程は何れも、荒加工パ
ンチ7、7或は仕上加工パンチ14、14をシャフト1
或は中間材12の外周面に押し付ける静圧押し出しで行
なえる。この為、作業時に大きな騒音が発生せず、作業
環境を悪化させる事はない。又、得られるボールスプラ
イン溝2、2の端部に形成される不完全成形部の軸方向
長さを極く短くできる。この為、ボールスプライン溝
2、2の端部近傍に鍔部等を設けられる等、シャフトの
設計の自由度が高い。
【0030】次に、本発明の方法により実用可能なシャ
フトを造れるか否かを確認する為、本発明者が行なった
実験に就いて説明する。加工条件は次の通りである。 シャフト素材の外径 : 30mm シャフト素材の材質 : S35C丸棒材 スプライン溝の数 : 6 スプライン溝の長さ : 30mm スプライン溝の断面直径 : 6mm 面取り部の寸法 : 0.4mm スプライン溝の深さ : 3.4mm 完成後のシャフトの外径 : 30mm
【0031】この様な条件で、前述した第一工程〜第三
工程を順次施した場合、面取り部にも欠陥のない、良質
のボールスプライン溝付シャフトを得られた。これに対
して、第一工程を省略して第二、第三工程のみで加工を
行なった場合には、面取り部に欠肉が発生し、不完全な
ボールスプライン溝付シャフトしか造れなかった。この
様に、欠肉は面取り部に発生する事から、この面取り部
に対応する部分に十分な高さ寸法を有する盛り上がり部
を形成すべく、荒加工突条9の断面形状は三角形が好ま
しい。又、当然の事であるが、第一工程で造られる中間
凹溝11、11の深さは完成後のスプライン溝2、2の
深さよりも小さくして、このスプライン溝2の一部に中
間凹溝11、11の形状が残らない様にする。言い換え
れば、仕上加工突条16、16の先半部17、17の形
状がシャフト1の外周面に完全に転写される様に、上記
中間凹溝11、11の深さ寸法を規制する。
【0032】尚、ボールスプライン溝2、2の断面形状
は、必ずしも単一円弧面である必要はない。ゴシックア
ーチ形状等、複数の円弧面を連続させた複合曲面とする
事もできる。勿論、この場合には、仕上加工突条16、
16の先半部17、17の断面形状もボールスプライン
溝2、2の断面形状に合わせる。
【0033】
【発明の効果】本発明のシャフトの外周面にボールスプ
ライン溝を形成する方法は、以上に述べた通り構成され
作用するので、設計の自由度を十分に有するシャフト
を、低コストでしかも良好な作業環境の下で造れる。こ
の為、トロイダル型無段変速機の様に、外周面にボール
スプライン溝を有するシャフトを組み込んだ機械装置の
コスト低減及び高性能化に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の第一工程の開始段階を示す断
面図。
【図2】同じく終了段階を示す断面図。
【図3】第一工程で得られた第一素材の断面図。
【図4】図3のA部拡大図。
【図5】第二工程の開始段階を示す断面図。
【図6】同じく終了段階を示す断面図。
【図7】第二工程で得られた第二素材の断面図。
【図8】図7のB部拡大図。
【図9】本発明によりスプライン溝を形成されるシャフ
トの1例を示す側面図。
【図10】図9の拡大C−C断面図。
【図11】図10のD部拡大図。
【図12】従来から知られているボールスプライン溝の
形成方法の1例を示す斜視図。
【符号の説明】
1 シャフト 2 ボールスプライン溝 3 鍔部 4 雄ねじ部 5 成形ロール 6 軸 7 荒加工パンチ 8 主部 9 荒加工突条 10 側面 11 中間凹溝 12 中間材 13 第一盛り上がり部 14 仕上加工パンチ 15 主部 16 仕上加工突条 17 先半部 18 基半部 19 傾斜面 20 側面 21 面取り部 22 第二中間材 23 第二盛り上がり部 24 角部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの内側面に断面形状が三角形で
    ある荒加工突条を形成した複数の荒加工パンチをシャフ
    トの外周面に向けて強く押し付け、このシャフトの外周
    面に断面形状が三角形でそれぞれがこのシャフトの軸方
    向に長い複数の中間凹溝を形成する第一工程と、それぞ
    れの内側面に断面形状が円弧形である仕上加工突条を形
    成した複数の仕上加工パンチを、各仕上加工パンチの仕
    上加工突条と上記第一工程で造られた中間凹溝とを整合
    させた状態でシャフトの外周面に向けて強く押し付け、
    このシャフトの外周面に断面形状が円弧形でそれぞれが
    このシャフトの軸方向に長い複数のボールスプライン溝
    を形成する第二工程とを備えたシャフトの外周面にボー
    ルスプライン溝を形成する方法。
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