JPH0987722A - ステンレス粗溶鋼の精錬方法 - Google Patents

ステンレス粗溶鋼の精錬方法

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JPH0987722A
JPH0987722A JP27345395A JP27345395A JPH0987722A JP H0987722 A JPH0987722 A JP H0987722A JP 27345395 A JP27345395 A JP 27345395A JP 27345395 A JP27345395 A JP 27345395A JP H0987722 A JPH0987722 A JP H0987722A
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勝彦 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 精錬炉内に残滓された高Cr含有率の脱炭ス
ラグと精錬炉内に投入された溶銑のCr濃度差を利用し
て脱炭スラグ中のクロム分を高還元速度で回収すると共
に、低Cr含有率のクロム回収済スラグを排滓させ、さ
らに、精錬炉内に投入される炭材の重量比率を適宜選択
することで、フォーミングを制御して効率的且つ安定的
な精錬操業ができるステンレス粗溶鋼の精錬方法を提供
する。 【解決手段】 精錬炉10内に前チャージの仕上げ精錬
期で生成されクロム酸化物を含有する脱炭スラグ13を
残留させたまま次チャージの溶銑14を投入すると共に
精錬炉10内に酸化性ガス及び炭材を投入して脱炭スラ
グ13中のクロム酸化物を溶銑14中に還元し、次い
で、クロム酸化物を溶銑中に還元して得たクロム回収済
スラグ13aを排滓した後、精錬炉10内に残留された
溶銑14aにフェロクロム合金を溶解しながら脱炭精錬
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステンレス粗溶鋼
の精錬方法に係り、更に詳しくは、前チャージで生成さ
れた脱炭スラグを精錬炉内に残滓したまま次チャージの
脱炭精錬を開始し、脱炭スラグ中のクロム分を次チャー
ジの溶銑中に還元するとともに、クロム分を還元して生
成されたクロム回収済スラグを脱炭精錬中に排滓した
後、引き続き同一精錬炉内で溶銑の脱炭精錬を継続する
ステンレス粗溶鋼の精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ステンレス粗溶鋼の精錬方法で
は、LD転炉等の精錬炉内に溶銑(又は溶鉄という)を
投入するとともに、精錬炉内にランス等を介して酸素
(以下O2という)を吹き込んで、溶銑中に含有される
炭素(以下[C]M という)に下記(1)式に示す酸化
反応を生じせしめ、脱炭している。 2[C]M +O2 →2CO ・・・・・・・・・・・(1)
【0003】また、精錬時には、精錬炉内に投入された
造滓剤等によってクロム分(通常クロム酸化物(以下
(Cr2 3 S という))を含有する脱炭スラグが生
成されている。そして、この脱炭スラグ中のクロム分と
溶銑中の炭素に下記(2)式に示す還元反応を生じせし
め、溶銑中に還元させている。 (Cr2 3 S +3[C]M →2[Cr]M +3CO ・・(2) なお、前記(2)式中[Cr]M は、溶銑中に還元され
たクロムをいう。
【0004】しかしながら、前記(2)式の還元反応に
よって脱炭スラグ中のクロム分を溶銑中に還元している
が、精錬終了時に溶銑中のCr濃度を11〜19wt%
と高くするために、脱炭スラグ中のCr含有率もやはり
11〜19wt%と高くなってしまい、溶銑中の炭素の
みによる還元反応だけでは脱炭スラグ中のクロム分を全
て還元することができず、この結果、高Cr含有率の脱
炭スラグをそのまま廃棄するしかなかった。
【0005】一方、精錬操業中、前記(1)式の脱炭反
応や前記(2)式の還元反応等の炭素の燃焼反応等によ
って一酸化炭素ガス(以下COガスという)が生じるこ
とで、通常、脱炭スラグが発泡(又はフォーミング或い
はスロッピングという)している。
【0006】しかしながら、精錬操業中に脱炭スラグが
フォーミングし過ぎると、この脱炭スラグが精錬炉外に
溢れて精錬炉の周辺設備を溶損させる等、極めて作業性
や生産性を阻害する一方、脱炭スラグの排滓(又は出滓
という)時である精錬操業終了時に脱炭スラグがフォー
ミングしないと排滓作業が困難となる等、やはり極めて
作業性や生産性を阻害するという問題点を有していた。
【0007】このため、ステンレス粗溶鋼の精錬操業で
は、脱炭スラグ中のクロム分を回収したり、脱炭スラグ
のフォーミングを制御する何等かの方法が希求されてい
た。
【0008】そこで、これらの問題点を解決するため
に、特開昭63−195206号公報には、上方から
酸化性ガスを吹込みつつ、炉底羽口を介して酸素あるい
は不活性ガスを供給して溶鉄にクロム鉱石と炭材を添加
して溶融還元する上底吹転炉精錬において、5〜50mm
の直径を有する塊状炭材を上吹酸素ジェットの火点部以
外の場所に添加すると共に、該塊状炭材を全酸素供給速
度F(Nm3 /(T・Hr))に対して0.1F〜0.
5F(kg/(T・Hr))の速度で添加するクロム酸
化物の溶解還元方法が提案されている。
【0009】また、特開昭53−119210号公報
には、製鋼炉にて溶製された13%以上のクロム含有量
を有する含クロム鋼の残滓を冷却固化せしめ、転炉にお
ける他の含クロム鋼用チャージの吹錬時に前記の固体残
滓を添加せしめる含クロム鋼滓よりのクロム回収利用方
法や、脱炭スラグの排滓前に珪素(以下Siという)
を添加し、下記(3)式に示す還元反応を生じせしめる
方法が提案されている。 2(Cr2 3 S +3Si→4[Cr]M +3(SiO2 S ・・(3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、の特
開昭63−195206号公報に示されたクロム酸化物
の溶解還元方法では、塊状炭材の添加速度を規定するこ
とによりクロム酸化物を高速で還元することはできる
が、クロム分を還元した(又は回収した)スラグを排滓
する際に、このスラグの厚みが薄いことに起因してスラ
グの排滓率にバラツキが生じ易く、この結果、スラグと
共に溶銑が出銑される所謂メタルロスが発生し、歩留り
が低下するという問題点を有していた。また、脱炭スラ
グのフォーミングを制御することができないという問題
点を有していた。
【0011】また、の特開昭53−119210号公
報に示された含クロム鋼滓よりのクロム回収利用方法で
は、製鋼炉にて溶製された13%以上のクロム含有鋼の
残滓を冷却固化し、他の含クロム鋼用チャージの吹錬時
に固体残滓を添加しているため、吹錬時に冷却固化され
た残滓を昇温する必要が生じるとともに、冷却固化され
た残滓上に高温の溶銑を投入しても溶銑温度が低下しや
はり昇温作業が必要となり、このため、昇温還元時間を
大幅に延長させ、精錬操業を迅速に行うことができず、
極めて生産性を阻害するという問題点を有していた。ま
た、脱炭スラグのフォーミングを制御することができな
いという問題点を有していた。
【0012】さらに、のSiを添加する方法では、こ
のSiがCに比べ高価であることから製造原価が高騰す
るとともに、前記(3)式により生じた二酸化硅素
((SiO2 S )による耐火物の溶損等を防止するた
めに、生石灰等を投入してスラグの塩基度を高めること
(又は高塩基度化という)が必要であるため、生石灰等
の投入により生成されたスラグの量が増大するという問
題点を有していた。
【0013】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、前チャージの仕上げ精錬期終了時の高Cr含有
率の脱炭スラグを精錬炉内に残滓させたまま次チャージ
の溶銑を投入し、前記溶銑と前記脱炭スラグのCr濃度
差を利用して脱炭スラグ中のクロム分を高還元速度で回
収するとともに、吹酸昇温還元期終了時の低Cr含有率
のクロム回収済スラグを排滓させることで、従来廃棄等
していた脱炭スラグ中のクロム分をステンレス鋼中に回
収させることができ、さらに、吹酸昇温還元期に投入さ
れる炭材の脱炭スラグ又はクロム回収済スラグに対する
重量比率を適宜選択することで、吹酸昇温還元期の脱炭
スラグ又はクロム回収済スラグのフォーミングを制御し
て異常フォーミング等を防止するとともに、効率的且つ
安定的なクロム回収済スラグの排滓を行うことができる
ステンレス粗溶鋼の精錬方法を提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う請求項1
記載のステンレス粗溶鋼の精錬方法は、精錬炉内に前チ
ャージの仕上げ精錬期で生成されクロム酸化物を含有す
る脱炭スラグを残留させたまま次チャージの溶銑を投入
するとともに、前記精錬炉内に炭材を添加し且つ酸化性
ガスを吹き込んで前記脱炭スラグ中のクロム酸化物を前
記溶銑中に還元する吹酸昇温還元期と、前記吹酸昇温還
元期でクロム酸化物を前記溶銑中に還元して得たクロム
回収済スラグを排滓する中間排滓期と、前記中間排滓期
で前記精錬炉内に残留された溶銑にフェロクロム合金を
溶解しながら脱炭精錬する前記仕上げ精錬期とを備えて
いる。
【0015】また、請求項2記載のステンレス粗溶鋼の
精錬方法は、請求項1記載のステンレス粗溶鋼の精錬方
法において、前記吹酸昇温還元期の前記炭材の含有率
(VC)を前記脱炭スラグに対し重量比率で3wt%≦
C ≦6wt%とし、及び/又は、前記吹酸昇温還元期
終了時の前記炭材の含有率(VC )を前記クロム回収済
スラグに対し重量比率で0.5wt%≦VC ≦3wt%
とする。
【0016】さらに、請求項3記載のステンレス粗溶鋼
の精錬方法は、請求項2記載のステンレス粗溶鋼の精錬
方法において、前記脱炭スラグ又は前記クロム回収済ス
ラグの塩基度((CaO/SiO2 S )を重量比率で
1.2≦(CaO/SiO2S ≦4.5とし、及び/
又は、前記脱炭スラグのAl2 3 の含有率((Al2
3 S )を3wt%≦(Al2 3 S ≦23wt%
とする。
【0017】なお、ステンレス粗溶鋼の精錬方法を適用
する精錬炉としては、上底吹転炉、底吹転炉、上吹転炉
等のLD(Linz Donawitz)転炉、AOD
(Argon Oxigen Decarburiza
tion)転炉、電気炉等が適用可能である。
【0018】吹酸昇温還元期とは、前チャージで生成さ
れクロム酸化物を含有する脱炭スラグを残留させた精錬
炉内に次チャージの溶銑を投入した後、酸化性ガスを吹
き込むとともに炭材を投入して、少なくとも前記(2)
式に示した還元反応を生じせしめ、脱炭スラグ中のクロ
ム酸化物を溶銑中に還元して、クロムを除去したクロム
回収済スラグを生成する期間をいう。
【0019】また、中間排滓期(又はクロム回収済スラ
グ排滓期という)とは、吹酸昇温還元期でクロム酸化物
を溶銑中に還元して得たクロム回収済スラグを排滓する
期間をいう。さらに、仕上げ精錬期(又は脱炭期とい
う)とは、中間排滓期で精錬炉内に残留され脱炭スラグ
中のクロム分を回収した溶銑にフェロクロム合金等を添
加し、必要に応じて酸化性ガスの吹き込みによる脱炭を
行い、その他、温度の調整を行う期間をいう。
【0020】なお、吹酸昇温還元期及び仕上げ精錬期で
は、効率良く脱炭反応させるために、各種方法で溶銑を
攪拌するのが好ましい。例えば、底吹転炉や上底吹転炉
では、これら精錬炉の底部から各種ガスを装入すること
で溶銑を攪拌することができる。また、フェロクロム合
金は溶銑のCr含有率を調整するために使用されるもの
であり、このフェロクロム合金としては、Cr含有率が
10wt%〜50wt%の一般クロム鉱石は勿論、高炭
素フェロクロム、中炭素フェロクロム、低炭素フェロク
ロム等の貧鉱を富化処理したもの、或いは還元処理され
たペレット等のクロム鉱石類等が使用されている。ま
た、この他ステンレス鋼屑等を使用してもよい。
【0021】また、脱炭スラグを残存した精錬炉内に溶
銑を装入する際の溶銑温度(TP )としては、1200
℃≦TP ≦1500℃の範囲とされるのが好ましい。溶
銑温度が1200℃未満では溶銑温度が低過ぎて酸化還
元反応を促進させるべく溶銑温度を上昇させねばなら
ず、このため精錬時間が長くなる等精錬効率が低下する
傾向が現れ、また、溶銑温度が1500℃を越えると高
炉の出銑温度を高めねばならず、このため高炉を構成す
る耐火物が溶損し易くなる傾向が現れるので、いずれも
好ましくない。
【0022】また、酸化性ガスとしては、上底吹転炉又
は上吹転炉で、受銑口からランスを介して吹き込まれる
酸素等や、上底吹転炉でガス送入口から吹き込まれる酸
素、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス、炭酸ガ
ス、燃料ガス等の混合ガス等が挙げられる。また、吹酸
昇温還元期にランスから吹き込まれる酸素の送酸速度
(VP :(単位:Nm3 /min/T))としては、
1.5≦VP ≦6の範囲とされるのが好ましい。吹酸昇
温還元期の送酸速度が1.5Nm3 /min/T未満で
は酸素供給量が減少することに起因して溶銑中の炭素に
よるクロム酸化物の還元速度(以下クロム還元速度とい
う)が小さくなり、このため精錬時間が長くなる等精錬
効率が低下する傾向が現れ、また、吹酸昇温還元期の送
酸速度が6Nm3 /min/Tを越えると溶銑や溶滓の
温度が高くなり過ぎて耐火物が溶損する傾向が現れるの
で、いずれも好ましくない。
【0023】また、炭材としては,粉状コークスや、こ
の粉状コークスを各種バインダーで塊状に固結した塊状
コークス、更に、前記粉状コークスと粒状鉄とを前記バ
インダーで塊状にした成形コークス、或いは粉状無煙炭
を前記バインダーで塊状にした無煙炭ブリケット等が挙
げられる。その他、脱炭スラグ中のクロム分を還元する
ために、アルミドロス等の還元材等を用いてもよい。ま
た、特に、アルミドロスは昇温材の役目も兼ねており、
極めて有用である。その他、脱炭スラグの組成の制御
や、これによる脱炭スラグ中のクロム分の還元速度の向
上に寄与することができる。
【0024】また、吹酸昇温還元期の炭材の含有率(V
C )としては、脱炭スラグに対し重量比率で3wt%≦
C ≦6wt%、好適には4wt%≦VC ≦5wt%の
範囲とされるのが好ましい。吹酸昇温還元期の炭材の含
有率が脱炭スラグに対し重量比率で4wt%未満では前
記(1)及び(2)式に示した炭素の燃焼反応等で生成
されたCOガスによって形成された気泡によって脱炭ス
ラグの異常フォーミングが発生する傾向が現れ、特に3
wt%未満ではその傾向が著しくなり、また、吹酸昇温
還元期の炭材の含有率が脱炭スラグに対し重量比率で5
wt%を越えると前記(1)及び(2)式に示した炭素
の燃焼反応等で生成されたCOガス量が増加することで
気泡が破壊される等して脱炭スラグ(又はクロム回収済
スラグ)のフォーミング不足を招き、地金が飛散する所
謂地金飛散ロス等により歩留りが低下する傾向が現れ、
特に6wt%を越えるとその傾向が著しくなるので、い
ずれも好ましくない。また、吹酸昇温還元期の炭材の含
有率を前記範囲とするために、精錬操業にあたって炭材
は精錬炉内に予め投入されたり精錬炉内に連続的に投入
等される。
【0025】特に、吹酸昇温還元期終了時の炭材の含有
率(VC )としては、クロム回収済スラグに対し重量比
率で0.5wt%≦VC ≦3wt%、好適には1wt%
≦VC ≦1.5wt%の範囲とされるのが好ましい。吹
酸昇温還元期終了時の炭材の含有率がクロム回収済スラ
グに対し重量比率で1wt%未満では前記(1)及び
(2)式に示した炭素の燃焼反応等で生成されたCOガ
スの合体集積不足のために、脱炭スラグの異常フォーミ
ングが急速に発生し排滓前に脱炭スラグが精錬炉外に溢
れて作業生や生産生を阻害する傾向が現れ、特に0.5
wt%未満ではその傾向が著しくなり、また、吹酸昇温
還元期終了時の炭材の含有率がクロム回収済スラグに対
し重量比率で1.5wt%を越えるとクロム回収済スラ
グ(又は脱炭スラグ)の粘度が低下して、クロム回収済
スラグ(又は脱炭スラグ)のスラグフォーミング不足に
よりスラグ厚みが不十分となってクロム回収済スラグと
共に溶銑を排出する所謂地金ロスを招き、排滓率が低下
する傾向が現れ、特に3wt%を越えるとその傾向が著
しくなるので、いずれも好ましくない。
【0026】また、吹酸昇温還元期や仕上げ精錬期の脱
炭スラグ又は中間排滓期のクロム回収済スラグの、Ca
OとSiO2 の比で示される塩基度((CaO/SiO
2 S )としては、重量比率で1.2≦(CaO/Si
2 S ≦4.5、好適には1.8≦(CaO/SiO
2 S ≦3.5の範囲とされるのが好ましい。吹酸昇温
還元期等の脱炭スラグ等の塩基度が1.8未満では脱炭
スラグの塩基度が低過ぎて精錬炉を構成する耐火物の溶
損が進行する傾向が現れ、特に1.2未満ではその傾向
が著しくなり、また、吹酸昇温還元期等の脱炭スラグ等
の塩基度が3.5を越えると脱炭スラグの量(以下スラ
グ量という)が増大し、この結果、脱炭スラグからのク
ロム回収率が低下したり、中間排滓期のクロム回収済ス
ラグの排滓率が低下したり、或いは地金ロスの増加を招
く傾向が現れ、特に4.5を越えるとその傾向が著しく
なるので、いずれも好ましくない。
【0027】また、吹酸昇温還元期の脱炭スラグのAl
2 3 の含有率((Al2 3 S)としては、3wt
%≦(Al2 3 S ≦23wt%、好適には8wt%
≦(Al2 3 S ≦20wt%の範囲とされるのが好
ましい。吹酸昇温還元期の脱炭スラグのAl2 3 の含
有率が8wt%未満ではダイカルシウムシリケートの析
出による脱炭スラグの液相率の低下に伴って、クロム還
元速度が低下する傾向が現れ、特に3wt%未満ではそ
の傾向が著しくなり、また、吹酸昇温還元期の脱炭スラ
グのAl2 3 の含有率が20wt%を越えると脱炭ス
ラグの粘度が上昇することで脱炭スラグの異常フォーミ
ングが発生し易くなるとともに、精錬炉を構成する耐火
物の溶損も進行する傾向が現れ、特に23wt%を越え
るとその傾向が著しくなるので、いずれも好ましくな
い。
【0028】また、吹酸昇温還元期の脱炭スラグのMg
Oの含有率((MgO)S )としては、5wt%≦(M
gO)S ≦15wt%の範囲とされるのが好ましい。吹
酸昇温還元期の脱炭スラグのMgOの含有率が5wt%
未満では精錬炉を構成する耐火物からMgOが溶出し易
くなるために、耐火物の溶損が進行する傾向が現れ、ま
た、吹酸昇温還元期の脱炭スラグのMgOの含有率が1
5wt%を越えると脱炭スラグ中のクロム酸化物とMg
Oが結合してスピネルを形成し易くなるために、クロム
還元速度が低下するとともに、スラグ量の増大化による
クロム回収率の低下や中間排滓期のクロム回収済スラグ
の排滓率低下、更に地金ロスを招く傾向が現れるので、
いずれも好ましくない。
【0029】また、仕上げ精錬期のフェロクロム合金等
の添加前の溶銑中の炭素含有率([C]M )としては、
1.5wt%≦[C]M ≦4wt%の範囲とされるのが
好ましい。仕上げ精錬期のフェロクロム合金等の添加前
の溶銑中の炭素含有率が1.5wt%未満では吹酸昇温
還元期でのクロム還元速度が低下する傾向が現れ、ま
た、仕上げ精錬期のフェロクロム合金等の添加前の溶銑
中の炭素含有率が4wt%を越えると仕上げ精錬期、特
に仕上げ精錬末期での溶銑温度の上昇によって精錬炉を
構成する耐火物の溶損が進行したり精錬制御性が悪化す
る傾向が現れるので、いずれも好ましくない。
【0030】また、仕上げ精錬期の溶銑温度(TR )と
しては、1450℃≦TR ≦1600℃とされるのが好
ましい。仕上げ精錬期の溶銑温度が1450℃未満では
溶銑中の炭素の酸化ロスが増大する傾向が現れ、また、
仕上げ精錬期の溶銑温度が1600℃を越えると精錬炉
を構成する耐火物の溶損が著しくなる傾向が現れるの
で、いずれも好ましくない。
【0031】
【作用】本発明者等は鋭意研究を進めた結果、通常、精
錬操業中では脱炭スラグや溶銑中の種々含有成分の含有
率(又は濃度)が変動し、特に吹酸昇温還元期終了時の
脱炭スラグのCr含有率が3wt%と低い一方、仕上げ
精錬期終了時の脱炭スラグCr含有率が11〜19wt
%と高いことに注目することで、仕上げ精錬期終了時の
高Cr含有率の脱炭スラグを精錬炉内に残滓させたまま
精錬を開始すると溶銑と脱炭スラグのCr濃度差と炭材
による還元を利用して容易に溶銑中にCrを還元させる
ことができるとともに、吹酸昇温還元期と仕上げ精錬期
との間に中間排滓期を設けて極めて低Cr含有率のクロ
ム回収済スラグを排滓することで、Crを高効率で溶銑
中に回収することができることを知見し得た。
【0032】さらに、本発明者等は鋭意研究を進め、吹
酸昇温還元期における脱炭スラグ中の炭材の重量比率と
脱炭スラグのフォーミング高さの関係を調べた結果、図
2に示すように、吹酸昇温還元期に精錬炉内に投入され
る炭材を脱炭スラグに対し適量存在させると前記(1)
及び(2)式等の炭素の燃焼反応により発生したCOガ
スを合体集積することで、脱炭スラグの異常フォーミン
グを抑制しつつクロム酸化物の還元速度を高位に維持す
ることができるとともに、吹酸昇温還元期終了時のクロ
ム回収済スラグ中の炭材をクロム回収済スラグに対し適
量存在させると中間排滓期に地金の流出を抑制しつつク
ロム回収済スラグの排滓を高位に安定化することができ
ることを知見しえた。
【0033】なお、図2中横軸は脱炭スラグ中の炭材の
重量比率、図2中縦軸は脱炭スラグのフォーミング高さ
(すなわちフォーミング時の脱炭スラグの高さ)、図2
中破線aは精錬炉の容積から得られた脱炭スラグの高さ
上限を示し、図2中破線bは中間排滓性から得られた脱
炭スラグの高さ下限を示している。なお、脱炭スラグの
フォーミング高さは、下記(4)式で求められる。すな
わち、 L=h1 /(h2 −h3 ) ・・・・・・・・・・・(4) 但し、L:脱炭スラグのフォーミング高さ h1 :精錬炉中の脱炭スラグの高さ(m) h2 :精錬炉中の内底面から受銑口までの高さ(m) h3 :精錬炉中の溶銑又は溶鋼の高さ(m) また、前記(4)式で得られた脱炭スラグの高さ下限は
0.15、脱炭スラグの高さ上限は0.85とした。脱
炭スラグの高さ下限が0.15未満では、脱炭スラグの
排滓時に排滓作業が困難となる傾向が現れ、また、脱炭
スラグの高さ上限が0.85を越えると脱炭スラグが精
錬炉外に溢れて精錬炉の周辺設備を溶損させる傾向が現
れるからである。
【0034】以上のことから、請求項1〜3記載のステ
ンレス粗溶鋼の精錬方法においては、前チャージで生成
されクロム酸化物を含有する脱炭スラグを精錬炉内に残
留させたまま次チャージの溶銑を投入し、次いで、酸化
性ガスを吹き込むとともに炭材を投入して脱炭スラグ中
のクロム酸化物を還元した後、脱炭スラグ中のクロム酸
化物を溶銑中に還元して得たクロム回収済スラグを排滓
し、次いで、フェロクロム合金を溶解する等して溶銑の
成分調整等を行った後、溶鋼を出鋼する。このように溶
銑を脱炭精錬することにより、吹酸昇温還元期では、精
錬炉内に仕上げ精錬期の高Cr含有率の脱炭スラグを残
滓させたまま溶銑を投入等して精錬操業を開始すること
で、溶銑と脱炭スラグのCr濃度差と炭材による還元を
利用して脱炭スラグ中のクロム分を容易にかつ効率よく
溶銑中に回収することができる。また、精錬炉内に残留
された脱炭スラグが冷却固化等しないので、従来の如く
残滓を一旦冷却固化した後、昇温する作業等を必要とせ
ず、極めて迅速な精錬作業を行うことができる。
【0035】特に、請求項2記載のステンレス粗溶鋼の
精錬方法においては、吹酸昇温還元期の炭材の含有率
(VC )を脱炭スラグに対し重量比率で3wt%≦VC
≦6wt%としたことにより、精錬操業中前記(1)及
び(2)式等の炭素の燃焼反応が主に脱炭スラグ中の炭
材表面で発生することからCOガスの脱炭スラグから容
易に離脱することができ、この結果、吹酸昇温還元期に
おける脱炭スラグの異常フォーミングを抑制できる等、
脱炭スラグ(又はクロム回収済スラグ)のフォーミング
を制御することができる。さらに、脱炭スラグの異常フ
ォーミングを抑制できるので、この異常フォーミングで
脱炭スラグが精錬炉外に流出して脱炭スラグ中の未回収
クロムのロスを防止することができる。
【0036】また、吹酸昇温還元期の溶銑装入時、この
溶銑中の炭素と精錬炉内に残滓された前チャージの脱炭
スラグ中の酸素(以下[O]S という)とで下記(5)
式に示す還元反応を生じるが、溶銑中の炭素含有率が3
〜4wt%と高いこと、さらに脱炭スラグ中の酸素含有
率が高いことに起因して、過剰な還元反応を起こす虞れ
があるが、溶銑装入時又は溶銑装入前に炭材を前記範囲
内で投入することや、脱炭スラグ中の(Al2 3 S
濃度調整用に例えば金属Al分を30wt%含むアルミ
ドロス等のアルミナ源を投入することで、この過剰な還
元反応を抑制することができるので、溶銑や脱炭スラグ
が急激に溢れ出す所謂突沸を防止することができる。 [C]M +[O]S →CO ・・・・・・・・・・・(5)
【0037】また、吹酸昇温還元期終了時の炭材の含有
率(VC )を脱炭スラグに対し重量比率で0.5wt%
≦VC ≦3wt%としたことにより、中間排滓期におい
て、クロム回収済スラグに適度なフォーミングを付与す
ることができるので、この結果、クロム回収済スラグの
スラグ厚さが薄いこと等に起因する地金の流出を抑制し
つつ、クロム回収済スラグの排滓を高位に安定化するこ
とができる。
【0038】特に、請求項3記載のステンレス粗溶鋼の
精錬方法においては、脱炭スラグ又はクロム回収済スラ
グの塩基度((CaO/SiO2 S )を重量比率で
1.2≦(CaO/SiO2 S ≦4.5としたことに
より、適度の塩基度を有することで精錬炉を構成する耐
火物の溶損を防止できるとともに、スラグ量の増大化を
抑制し、脱炭スラグからのクロム回収率の低下やクロム
回収済スラグの排滓率の低下、更に地金ロスの増加を防
止することができる。また、脱炭スラグのAl23
含有率((Al2 3 S )を3wt%≦(Al
2 3 S ≦23wt%としたことにより、適度の塩基
度を有することで精錬炉を構成する耐火物の溶損を防止
できるとともに、適度な液相率とクロム酸化物活量を付
与することで、この脱炭スラグからのクロム還元速度を
高位に安定化させることができる。さらに、脱炭スラグ
又はクロム回収済スラグの塩基度を前記範囲内とし且つ
Al2 3の含有率を前記範囲としたことにより、精錬
炉を構成する耐火物の溶損を防止しつつ、クロム還元速
度とクロム回収済スラグの排滓率を高位に安定化させる
ことができる。
【0039】
【発明の効果】請求項1〜3記載のステンレス粗溶鋼の
精錬方法においては、仕上げ精錬期終了時の高Cr含有
率の脱炭スラグを精錬炉内に残滓させたまま溶銑を投入
することで、溶銑と脱炭スラグ中のクロム分を高い還元
速度で回収できるとともに、吹酸昇温還元期終了時の低
Cr含有率のクロム回収済スラグを排滓させることで、
脱炭スラグ中のクロム分を廃棄等することなくステンレ
ス鋼中に回収させることができる。さらに、吹酸昇温還
元期に投入される炭材の脱炭スラグ又はクロム回収済ス
ラグに対する重量比率を適宜選択することで、吹酸昇温
還元期の脱炭スラグ又はクロム回収済スラグのフォーミ
ングを制御して異常フォーミング等を防止することがで
きるとともに、中間排滓期において地金の流出等なく高
い排滓率でクロム回収済スラグを排滓することができ
る。従って、高価な還元材等を必要とせず、低コストで
効率的且つ安定的な精錬操業を行うことができる。
【0040】特に、請求項2記載のステンレス粗溶鋼の
精錬方法においては、吹酸昇温還元期の炭材の含有率
(VC )を脱炭スラグに対し重量比率で3wt%≦VC
≦6wt%としたので、吹酸昇温還元期で発生したCO
ガスが容易に脱炭スラグから離脱することができ、脱炭
スラグの異常フォーミング等を抑制する等、脱炭スラグ
又はクロム回収済スラグのフォーミングを制御すること
ができ、さらに、クロム酸化物の還元速度を高位に維持
することができる。また、吹酸昇温還元期終了時の炭材
の含有率(VC )を脱炭スラグに対し重量比率で0.5
wt%≦VC ≦3wt%としたので、中間排滓期におい
て、地金の流出を抑制しつつ効率的かつ安定的にクロム
回収済スラグを排滓することができる。
【0041】特に、請求項3記載のステンレス粗溶鋼の
精錬方法においては、脱炭スラグ又はクロム回収済スラ
グの塩基度((CaO/SiO2 S )を重量比率で
1.2≦(CaO/SiO2 S ≦4.5とし、及び/
又は、脱炭スラグのAl2 3の含有率((Al
2 3 S )を3wt%≦(Al2 3 S ≦23wt
%としたので、脱炭スラグやクロム回収済スラグに適度
の塩基度を有することで精錬炉を構成する耐火物の溶損
するのを防止できるとともに、脱炭スラグ中のクロム酸
化物の還元速度を高位に保つことができ、適度な粘度を
付与してクロム回収済スラグの排滓率の低下や地金ロス
の増加、さらに脱炭スラグの異常フォーミング等を防止
することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1(A)〜(E)はそれ
ぞれ本発明の一実施の形態に係るステンレス粗溶鋼の精
錬方法を適用した上底吹転炉の操業状態を示す説明図、
図2は吹酸昇温還元期における脱炭スラグ中の炭材の含
有率と脱炭スラグのフォーミング高さの関係を示す特性
図である。詳述すると、図1(A)は本発明の一実施の
形態に係るステンレス粗溶鋼の精錬方法を適用した上底
吹転炉内に溶銑を投入する状態を示す説明図、図1
(B)は同上底吹転炉の吹酸昇温還元期を示す説明図、
図1(C)は同上底吹転炉の中間排滓期を示す説明図、
図1(D)は同上底吹転炉の仕上げ精錬期を示す説明
図、図1(E)は同上底吹転炉の出鋼期を示す説明図で
ある。
【0043】図1(A)〜(E)に示すように、上底吹
転炉10は、耐火レンガ等を積み重ねて略対称形の略徳
利状に形成されている。本発明の一実施の形態では、溶
銑受鋼量175トンの上底吹転炉10を用いた。また、
図示しないが、上底吹転炉10は、トラニオンリング方
式又はトラニオンリングレス方式等を採用し、所定方
向、すなわち図1(A)〜(E)中時計回り方向及び反
時計回り方向に傾動自在(又は回動自在)に保持されて
いる。また、上底吹転炉10には、後述する溶銑を投入
するための受銑口10aが形成されている。また、上底
吹転炉10の受銑口10aより下方の側壁部、すなわち
図1(A)中上底吹転炉10の右側壁部には、この上底
吹転炉10で脱炭精錬された溶鋼を出鋼するための出鋼
口10bが形成されている。また、上底吹転炉10の底
部には複数のガス送気口10cが形成され、さらに、こ
のガス送気口10cには、ガス送気管10dが取り付け
られている。また、上底吹転炉10の受銑口10aの近
傍部には、取鍋11がこの上底吹転炉10に近接自在
(又は横方向移動自在)に配置されている。また、上底
吹転炉10の受銑口10aの上部には、酸素等の酸化性
ガスを供給するためのランス12が昇降自在に配置され
ている。なお、図示しないが、ランス12に近接して溶
銑(又は溶鋼)やスラグの成分測定や温度測定等を行う
ためのサブランスも配置されている。
【0044】続いて、この上底吹転炉10を用いた本発
明の一実施の形態に係るステンレス粗溶鋼の精錬方法に
ついて説明する。まず、上底吹転炉10内に前チャージ
の仕上げ精錬期に生成された脱炭スラグ13を残存させ
たまま、還元材として金属Al分を30wt%含むアル
ミドロスを適量添加する。次いで、図1(A)に示すよ
うに、上底吹転炉10を取鍋11の方へ反時計回りに傾
動させ、受銑口10aを介して取鍋11から上底吹転炉
10内に次チャージ用の溶銑14を装入するとともに、
石灰やホタル石等の造滓剤(又はフラックスという)を
装入する。
【0045】次に、粉状コークス等の炭材の含有率(V
C )を脱炭スラグ13に対し重量比率で3wt%≦VC
≦6wt%の範囲になるように連続的に投入しながら添
加するとともに、図1(B)に示すように、ランス12
の先端部を受銑口10aを介して上底吹転炉10内まで
下降させ、このランス12から酸素を供給する。このよ
うな上吹吹酸により、溶銑14及び脱炭スラグ13の昇
温を行うとともに、前記(2)式に示した反応により脱
炭スラグ13中のクロム酸化物を溶銑14中に還元し、
溶銑14中にクロムを回収させる。なお、炭材の含有率
を前記範囲内としたことで、前記(1)及び(2)式等
の炭素の燃焼反応で生じたCOガスが集積されて脱炭ス
ラグ13中に適度に気泡を生じることによって、脱炭ス
ラグ13の異常フォーミング等を抑制して適度にフォー
ミングさせることができた。
【0046】次に、脱炭スラグ13中のクロム酸化物が
還元されて、Cr含有率が3wt%以下となったクロム
回収済スラグ13aが生成されると、図1(C)に示す
ように、上底吹転炉10を、出鋼口10bとは反対方向
に反時計回りに傾動して、クロム回収済スラグ13aの
一部もしくは大部分を排滓する。なお、吹酸昇温還元期
終了時の炭材の含有率(VC )をクロム回収済スラグ1
3aに対し重量比率で0.5wt%≦VC ≦3wt%以
下とすることで、クロム回収済スラグ13aの粘度の低
下等を防止して十分な厚さを持ってクロム回収済スラグ
13aを形成できるので、クロム回収済スラグ13aが
適度にフォーミングして地金の流出を抑制しつつクロム
回収済スラグ13aを効率よく且つ安定的に排滓するこ
とができた。なお、溶銑14は、脱炭スラグ13中のク
ロムを回収したことで、Cr含有率が増加した溶鋼14
aとなっている。
【0047】次に、図1(D)に示すように、上底吹転
炉10内に、受銑口10aを介してフェロクロム合金や
フラックスを添加し、さらに前述したように、上吹吹酸
を行い、脱炭精錬を行った。これにより、溶鋼14a上
には、新たにスラグ13bが生成される。次に、所定組
成で所定温度の溶鋼14bが生成されると、図1(E)
に示すように、上底吹転炉10を、出鋼口10b側に時
計回りに傾動して、この出鋼口10bから溶鋼14bを
出鋼する。なお、脱炭スラグ13のCr含有率は11w
t%〜19wt%とした。ここで、生成された脱炭スラ
グ13はそのまま上底吹転炉10内に残存させる。
【0048】以上の操業動作を繰り返して、複数チャー
ジでステンレス鋼が精錬される。なお、精錬操業中、脱
炭スラグ13又はクロム回収済スラグ13aの塩基度
((CaO/SiO2 S )を重量比率で1.2≦(C
aO/SiO2 S ≦4.5の範囲内としたため、上底
吹転炉10を構成する耐火物の溶損等がなく、さらにク
ロム回収済スラグ13aの粘性低下による排滓率の低下
等を防止できた。さらに、脱炭スラグ13のAl2 3
の含有率((Al2 3 S )を3wt%≦(Al2
3 S ≦23wt%の範囲内としたため、上底吹転炉1
0を構成する耐火物の溶損等がなく、さらにクロム還元
速度の促進と脱炭スラグ13の異常フォーミング等を防
止できた。
【0049】次に、本発明の一実施の形態に係るステン
レス粗溶鋼の精錬方法の確認試験を行った。以下その結
果について説明する。 (実験例1〜6)まず、本発明の一実施の形態に係るス
テンレス粗溶鋼の精錬方法を用いてステンレス粗溶鋼の
脱炭精錬を6チャージ行った(試験番号1〜6)。ここ
で、各チャージにおける吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中
の炭材の重量比率、塩基度((CaO/SiO2 S
及びAl2 3 含有率は表1に示す通りとした。
【0050】
【表1】
【0051】また、各チャージにおける吹酸昇温還元期
のCr還元速度(kg/min/T)及び脱炭スラグの
異常フォーミングの有無、中間排滓期のクロム回収済ス
ラグの排滓率(%) 及び地金ロス量(kg/T)、各チ
ャージ毎の精錬終了後の耐火物溶損を調べた。その結果
を表1に示した。なお、Cr還元速度とは吹酸昇温還元
期における単位時間当りのCr還元量をいう。また、地
金ロス量とは中間排滓期にクロム回収済スラグと共に排
滓された溶銑(又は溶鋼)の重量をいう。
【0052】また、排滓率は下記(6)式で求められ
る。すなわち、 排滓率(%) =Vsd/(Vsd+Vsr)・・・・・(6) 但し、Vsd:上底吹転炉から排滓されたクロム回収済ス
ラグの重量 Vsr:上底吹転炉内に残存したクロム回収済スラグの重
量 である。
【0053】(実験例7〜11)次に、吹酸昇温還元期
の脱炭スラグ中の炭材の含有率、吹酸昇温還元期終了時
の脱炭スラグ中の炭材の含有率、吹酸昇温還元期の脱炭
スラグの塩基度及びAl23含有率をそれぞれ変更して
ステンレス粗溶鋼の脱炭精錬を5チャージ行った(試験
番号7〜11)。具体的には、吹酸昇温還元期の脱炭ス
ラグ中の炭材を重量比率で3wt%未満とし(試験番号
7)、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材を重量比率
で3wt%未満とすると共に、吹酸昇温還元期終了時の
脱炭スラグ中の炭材を重量比率で3wt%を越えさせ
(試験番号8)、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材
を重量比率で3wt%未満とすると共に、吹酸昇温還元
期の脱炭スラグの塩基度を1.2未満とし(試験番号
9)、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材を重量比率
で3wt%未満とすると共に、吹酸昇温還元期の脱炭ス
ラグの塩基度を4.5を越えさせ(試験番号10)、吹
酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材を重量比率で3wt
%未満とすると共に、吹酸昇温還元期終了時の炭材の重
量比率を0.5%未満とし、更に吹酸昇温還元期の脱炭
スラグ中のAl23 含有率を23wt%を越えさせた
(試験番号11)以外は、実験例1〜6と同様にして、
吹酸昇温還元期のCr還元速度(kg/min/T)及
び脱炭スラグの異常フォーミングの有無、中間排滓期の
クロム回収済スラグの排滓率(%)及び地金ロス量(k
g/T)、各チャージ毎の精錬終了後の耐火物溶損を調
べた。その結果を表1に示した。
【0054】表1から明らかなように、吹酸昇温還元期
の脱炭スラグ中の炭材を重量比率で3wt%未満とした
場合(試験番号7)、炭素の燃焼反応により発生したC
Oガスの脱炭スラグからの離脱不足により、吹酸昇温還
元期に脱炭スラグの異常フォーミングが発生しているこ
とがわかった。この結果、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ
中の炭材は重量比率で3wt%以上とするのが良好であ
ることが確認された。
【0055】また、表1から明らかなように、吹酸昇温
還元期の脱炭スラグ中の炭材が重量比率で3wt%未満
で、かつ、吹酸昇温還元期終了時のクロム回収済スラグ
中の炭材が重量比率で3wt%を越えた場合(試験番号
8)、炭材によるフォーミング抑制でクロム回収済スラ
グの中間排滓期のスラグ厚みが不十分なため、排滓率の
低下及び地金ロスを招いていることがわかった。この結
果、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材は重量比率で
3wt%以上で、かつ、吹酸昇温還元期終了時のクロム
回収済スラグ中の炭材は重量比率で3wt%未満とする
のが良好であることが確認された。
【0056】また、表1から明らかなように、吹酸昇温
還元期の脱炭スラグ中の炭材が重量比率で3wt%未満
で、かつ、吹酸昇温還元期の脱炭スラグの塩基度が1.
2未満の場合(試験番号9)、低塩基度スラグによる耐
火物溶損が進行していることがわかった。この結果、吹
酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材は重量比率で3wt
%以上で、かつ、吹酸昇温還元期の脱炭スラグの塩基度
は1.2以上とするのが良好であることが確認された。
【0057】また、表1から明らかなように、吹酸昇温
還元期の脱炭スラグ中の炭材が重量比率で3wt%未満
で、かつ、吹酸昇温還元期の脱炭スラグの塩基度が4.
5を越えた場合(試験番号10)、スラグ量の増大に起
因して中間排滓期のクロム回収済スラグの排滓率の低下
及び地金ロスの増加を招いていることがわかった。この
結果、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材は重量比率
で3wt%以上で、かつ、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ
の塩基度は4.5以下とするのが良好であることが確認
された。
【0058】また、表1から明らかなように、吹酸昇温
還元期の脱炭スラグ中の炭材が重量比率で3wt%未満
で、かつ、吹酸昇温還元期終了時の炭材の重量比率を
0.5%未満とし、更に吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中
のAl2 3 の含有率が23wt%を越えた場合(試験
番号11)、Al2 3 含有率の増加に伴う脱炭スラグ
の粘性の増加に起因した異常フォーミングが発生し、さ
らに耐火物の溶損も助長されていることがわかった。こ
の結果、吹酸昇温還元期の脱炭スラグ中の炭材は重量比
率で3wt%以上で、かつ、吹酸昇温還元期の脱炭スラ
グ中のAl2 3の含有率が23wt%以下とするのが
良好であることが確認された。
【0059】以上、本発明の実施の形態を説明したが、
本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではな
く、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用
範囲である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明の一実施の形態に係るステンレス
粗溶鋼の精錬方法を適用した上底吹転炉内に溶銑を投入
する状態を示す説明図である。 (B)同上底吹転炉の吹酸昇温還元期を示す説明図であ
る。 (C)同上底吹転炉の中間排滓期を示す説明図である。 (D)同上底吹転炉の仕上げ精錬期を示す説明図であ
る。 (E)同上底吹転炉の出鋼期を示す説明図である。
【図2】吹酸昇温還元期における脱炭スラグ中の炭材の
重量比率と脱炭スラグのフォーミング高さの関係を示す
特性図である。
【符号の説明】
10 上底吹転炉 10a 受銑口 10b 出鋼口 10c ガス送
気口 10d ガス送気管 11 取鍋 12 ランス 13 脱炭スラ
グ 13a クロム回収済スラグ 13b スラグ 14 溶銑 14a 溶銑又
は溶鋼 14b 溶鋼

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 精錬炉内に前チャージの仕上げ精錬期で
    生成されクロム酸化物を含有する脱炭スラグを残留させ
    たまま次チャージの溶銑を投入するとともに、前記精錬
    炉内に炭材を添加し且つ酸化性ガスを吹き込んで前記脱
    炭スラグ中のクロム酸化物を前記溶銑中に還元する吹酸
    昇温還元期と、前記吹酸昇温還元期でクロム酸化物を前
    記溶銑中に還元して得たクロム回収済スラグを排滓する
    中間排滓期と、前記中間排滓期で前記精錬炉内に残留さ
    れた溶銑にフェロクロム合金を溶解しながら脱炭精錬す
    る前記仕上げ精錬期とを備えていることを特徴とするス
    テンレス粗溶鋼の精錬方法。
  2. 【請求項2】 前記吹酸昇温還元期の前記炭材の含有率
    (VC )を前記脱炭スラグに対し重量比率で3wt%≦
    C ≦6wt%とし、及び/又は、前記吹酸昇温還元期
    終了時の前記炭材の含有率(VC )を前記クロム回収済
    スラグに対し重量比率で0.5wt%≦VC ≦3wt%
    とするステンレス粗溶鋼の精錬方法。
  3. 【請求項3】 前記脱炭スラグ又は前記クロム回収済ス
    ラグの塩基度((CaO/SiO2 S )を重量比率で
    1.2≦(CaO/SiO2 S ≦4.5とし、及び/
    又は、前記脱炭スラグのAl2 3 の含有率((Al2
    3 S )を3wt%≦(Al2 3 S ≦23wt%
    とする請求項2記載のステンレス粗溶鋼の精錬方法。
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