JPH098709A - サブバンド反響消去方法 - Google Patents

サブバンド反響消去方法

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JPH098709A
JPH098709A JP9552396A JP9552396A JPH098709A JP H098709 A JPH098709 A JP H098709A JP 9552396 A JP9552396 A JP 9552396A JP 9552396 A JP9552396 A JP 9552396A JP H098709 A JPH098709 A JP H098709A
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陽一 羽田
Akira Nakagawa
朗 中川
Masafumi Tanaka
雅史 田中
Suehiro Shimauchi
末廣 島内
Junji Kojima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 射影法又はES射影法を用い、射影次数を増
加させて従来よりも収束速度の大きなサブバンド反響消
去方法を得る。 【解決手段】 受話信号を反響路に出力すると共に複数
の周波数帯域に分割してサブバンド受話信号を生成し、
それぞれの周波数帯域の擬似反響路に通して擬似反響信
号を生成する。反響路を経由した反響信号を複数の周波
数帯域に分割してサブバンド反響信号を生成し、それら
のサブバンド反響信号から対応する擬似反響信号を減算
して反響消去誤差信号を生成する。各周波数帯域のサブ
バンド受話信号と、それに対応する反響消去誤差信号と
から射影法またはES射影法により疑似反響路に与える
係数を修正する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、2線4線変換系
および拡声通話系などにおいてハウリングの原因および
聴覚上の障害となる反響信号を消去する反響消去方法に
関し、特に分割された周波数帯域毎に疑似反響路の推定
インパルス応答を射影アルゴリズムにより修正するサブ
バンド反響消去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】衛星通信や音声会議の普及に伴い、同時
通話性能に優れ反響感の少ない通話装置の提供が望まれ
ている。この要求を満たすものとして反響消去装置があ
る。図1は例えば日本特許出願公開1-220530に示されて
いる従来の反響消去装置の一例を拡声通話系に用いた場
合を示す。受話入力端1に受信された受話信号x(t)がス
ピーカ2により再生され、マイクロホン3に入力された
送話信号が送話出力端4から送出される反響消去装置に
おいて、A/D変換器5により受話信号x(t)はサンプル
値化され、その受話信号x(n)は室内反響路9を模擬する
擬似反響路6へ供給され、擬似反響信号y^(n) を生成す
る。一方、スピーカ2で再生された音声は反響路9を経
てマイクロホン3で反響信号y(t)としてピックアップさ
れ、それがA/D変換器7によりサンプル値化された反
響信号y(n)とされる。この反響信号y(n)から擬似反響信
号y^(n) を減算器8で差し引くことにより反響信号y(n)
は消去される。その消去誤差e(n)は残差信号としてD/
A変換器10でアナログ信号に変換されて送話出力端4
へ出力される。
【0003】ここで室内反響路9のインパルス応答h(t)
は例えば人や物の移動による音場の変化により変化する
ので、スピーカ2からマイクロホン3に至る反響路9の
経時変動に追従して擬似反響路6もインパルス応答を変
化させる必要がある。この構成例において擬似反響路6
はディジタル FIRフィルタを用いて構成し、残差e(n)=
y(n)−y^(n) が0に近づくように、例えばLMS法、学
習同定法、ES法、射影法、またはES射影法などを用
いた推定部11によってフィルタ係数h^(n) の逐次修正
を行なう。このように擬似反響路6の伝達特性、即ちイ
ンパルス応答に対応するフィルタ係数h^(n)の修正が
行なわれることによって、常に最適な反響消去が維持さ
れる。
【0004】LMS法、学習同定法などの勾配形適応ア
ルゴリズムは次式で示される。 h^(n+1)= h^(n)+α[-Δ(n)] (1) ただし、h ^(n)= [h^1(n),h^2(n),…,h^L(n)]T :擬似反響路(FIRフィルタ)の係数ベクトル(イン
パルス応答) Δ(n) :(平均)2乗誤差の勾配ベクトル α:ステップサイズ(スカラ量) L:タップ数T :ベクトルの転置 n:離散化時間 ES法はこの勾配形適応アルゴリズムにおいて従来スカ
ラ量として与えられていたステップサイズαをステップ
サイズ行列Aという対角行列に拡張したもので次式で
表わされる。
【0005】 h^(n+1)= h^(n)+A[-Δ(n)] (2) ただし、A = diag[α1,α2,…,αL]:ステップサイズ行列 αi= α0λi-1 (i=1,2,…,L) λ:インパルス応答変動量の減衰率(0<λ<1) 擬似反響路6がディジタルFIRフィルタで構成される
場合には、そのフィルタ係数h^(n) は室内反響路9
のインパルス応答h(n)を直接模擬したものとなって
いる。従って、反響路9の変動に応じて必要なフィルタ
係数修正の大きさは、反響路インパルス応答h(n) の
変動量と一致する。そこで、フィルタ係数修正動作にお
ける修正幅を表わすステップサイズ行列Aはインパル
ス応答の経時変動特性で重み付けられている。一般に室
内音場におけるインパルス応答変動量は減衰率λを用い
た指数関数として表わされる。ステップサイズ行列A
の対角成分αi(i=1,2,…,L) は図2Aに示すようにiの
増加に伴ってα0 からインパルス応答の指数減衰特性と
同じ傾きで指数減衰し0に漸近する。以上の詳細は特開
01-220530 、S.Makino, Y.Kaneda and N.Koizumi,“Exp
onentially weightedstepsize NLMS adaptive filter b
ased on the statistics of a room impulserespons
e”,IEEE Trans. Speech and Audio, vol.1, no.1, p
p.101-108, Jan.1993 に記載されている。このアルゴリ
ズムは、人や物の移動により室内反響路のインパルス応
答が変動する場合に、その変動量(インパルス応答の差
分)はインパルス応答と同じ減衰率で指数減衰するとい
う音響学的知見を利用したものである。変動の大きいイ
ンパルス応答の初期の係数は大きなステップで、変動の
小さいインパルス応答の後期の係数は小さなステップで
修正することにより、収束速度の大きな反響消去装置を
提供することができる。
【0006】射影法は、アルゴリズム内部で入力信号の
自己相関を取り除くことにより、音声のように相関のあ
る信号に対する収束速度を改善するという考え方に基づ
いている。自己相関成分を除去することは時間領域にお
いて信号の白色化を行っていることを意味している。射
影法の詳細は尾関,梅田の“アフィン部分空間への直交
射影を用いた適応フィルタアルゴリズムとその諸性
質”,電子通信学会論文誌(A),Vol.J67-A,No.2,pp.126
-132,1984年, 2月,に記載されている。p次の射影法で
は、過去のp個の入力信号ベクトルx(n),x(n-
1),…,x(n-p+1)に対して 正しい出力y(n),y(n-
1),…,y(n-p+1) を得るようにh^(n)を修正する。
すなわち、x (n)Th^(n+1)= y(n) (3)x (n-1)Th^(n+1)= y(n-1) (4) …x (n-p+1)Th^(n+1)= y(n-p+1) (5) ただし、x (n)= [x(n),x(n-1),…,x(n-L+1)]T を満足するh^(n+1)を求める。未知数の数(タップ
数)Lより方程式の数pが少ないため、(3)から(5)式
の連立方程式の解h^(n+1)は不定となる。そこで、修
正の大きさ‖h^(n+1)-h^(n)‖ が最小になるよう
に修正を行なう。その 場合のp次の射影法は次式 h^(n+1) = h^(n)+α[−Δ(n)] = h^(n)+α[X(n)T]+e(n) = h^(n)+αX(n)[X(n)TX(n)]-1e(n) = h^(n)+αX(n)β(n) = h^(n)+α[β1x(n)+β2x(n-1)+…+βpx(n-p+1)] (6) で表される。ただし、X (n)= [x(n),x(n-1),…,x(n-p+1)]e (n)= [e(n),…,(1-α)p-1e(n-p+1)]T e(n)= y(n)−y^(n)y ^(n)= h^(n)Tx(n)β (n)= [β1,β2,…,βp]T + :一般化逆行列-1 :逆行列 である。β(n)は次のp元連立一次方程式 [X(n)TX(n)]β(n)= e(n) (7) の解である。逆行列演算における不安定性を回避するた
めに小さな正の定数δを用いて [X(n)TX(n)+δI]β(n)= e(n) (7)' としてもよい。ただしIは単位行列である。式(6)中
のX(n)β(n)は入力信号の自己相関を取り除く処理
を表しており、従ってこれは時間領域内での信号の白色
化処理を意味している。即ち、射影法は時間領域におけ
る入力信号の白色化によりインパルス応答の修正速度を
高めているといえる。射影法には演算量の低減をはかっ
た高速算法がいくつか提案されており、それらの詳細は
日本特許出願公開7-92980に記載されている。
【0007】ES法が反響路の変動特性のみに着目した
手法であるのに対して、射影法は入力信号の性質のみに
着目した手法である。ES射影法は、ES法と射影法を
組み合わせたものであり、それぞれの利点を生かして収
束速度の大きな反響消去装置を提供することができる。
p次のES射影法は次式で表わせる。 h^(n+1)=h^(n)+μA[−Δ(n)] =h^(n)+μ[{AX(n)}T]+e(n) =h^(n)+μAX(n)[X(n)TAX(n)]-1e(n) =h^(n)+μAX(n)β(n) =h^(n)+μA[β1x(n)+β2x(n-1)+…+βpx(n-p+1)] (8) ただし、 μ:第2のステップサイズ(スカラ量)β (n)は次のp元連立一次方程式 [X(n)TAX(n)]β(n)= e(n) (9) の解である。逆行列演算における不安定性を回避するた
めに小さな正の定数δを用いて [X(n)TAX(n)+δI]β(n)= e(n) (9)' としてもよい。ただしIは単位行列である。
【0008】図3に図1における推定部11の構成例と
してp次のES射影法を用いた機能構成例を示す。な
お、ES射影法においてA=I(Iは単位行列)
とすれば、射影法となる。受話信号記憶部31は受話信
号x(n)が与えられる毎にp個の受話信号ベクトルx
(n),x(n-1),…,x(n-p+1)から成る受話信号行列
X(n) を生成する。ステップサイズ行列記憶部32に
は第1のステップサイズ行列Aが記憶される。自己相
関演算部33では第1のステップサイズ行列Aで重み
付けた受話信号行列X(n) についての自己相関行列
X(n)TAX(n) が演算される。その演算された自
己相関行列と、残差記憶部34からの残差e(n) と
が、β(n)演 算部35に供給されてp元連立一次方程
式(9)を解き、定数β(n)を求める。
【0009】A,X(n),β(n)とステップサイズ
記憶部36に記憶されている第2のステップサイズμと
が修正ベクトル生成部37に供給されて修正ベクトル μAX(n)β(n) (10) が演算され、その出力は加算器38へ供給されてタップ
係数記憶部39からの現係数ベクトルh^(n)に加算さ
れてh^(n+1)が得られる。この演算結果 h^(n+1)
は擬似反響路6(図1)へ出力されると同時に、タップ
係数記憶部39の値を更新する。
【0010】以上の操作により、擬似反響路6は次式 h^(n+1)= h^(n)+μAX(n)β(n) (11) に従って逐次修正され、擬似反響路6のインパルス応答
h^(n)は真の反響路9のインパルス応答h(n)に近
づいてゆく。反響消去装置を複数のDSPチップで構成
する場合には、図2Bに示すようにステップサイズαi
の指数減衰曲線を階段状に近似し、各チップ毎に一定の
αiを設定する。これにより、従来の射影法とほぼ同等
の演算量と記憶容量でES射影法を実現することができ
る。ES射影法の詳細は日本国特許出願公開5-244043、
文献S.Makino and Y.Kaneda,“Exponentially weighted
step-size projection algorithm for acoustic echo
cancellers”,Trans. IEICE Japan, vol.E75-A, no.1
1, pp.1500-1508, Nov.1992 に記載されている。
【0011】また従来において、信号を複数の周波数帯
域に分割し、その各周波数帯域について、LMS法、学
習同定法、ES法などの勾配形適応アルゴリズムによ
り、反響路9の変動にもとづく擬似反響路6のフィルタ
係数の逐次修正を行い、これら各周波数帯域ごとの残差
を合成して出力することが行われている。これは例え
ば、米国特許第5,272,695、文献S.Gay and R.Mammone,
“Fast converging subbandacoustic echo cancellatio
n using RAP on the WER DSP16A”,Proc.ICASSP90, p
p.1141-1144, Apr.1990などに示されている。この帯域
分割法によれば、周波数領域で信号の平坦化、いわゆる
白色化が行われ、反響路の変動時の擬似反響路フィルタ
係数の推定における収束速度が速くなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来の反響路のインパ
ルス応答の推定アルゴリズムは、射影法またはES射影
法においては全周波数帯域におけるインパルス応答に対
して行っていた。この従来技術は、2次の射影法または
ES射影法により、反響路の変動に対する収束速度を学
習同定法の約2〜4倍に改善できるが、射影法またはE
S射影法の次数を2次以上に増加させても収束速度が向
上しないという問題があった。この問題の詳細は、文献
「田中,牧野,金田,“音声入力に対する射影法の次数
と収束特性について”、日本音響学会講演論文集,1-4-
14,pp.489-490,(1992. 10)」に記載されている。この
問題は反響路のインパルス応答のタップ数が多いことに
起因するものと考えられる。
【0013】前述のように射影法及びES射影法は信号
を時間領域で平坦化(白色化)して収束速度を上げてい
るものである。一方、周波数帯域を分割して処理する方
法も信号を周波数領域で平坦化(白色化)して収束速度
を上げているものである。従って入力信号の白色化(平
坦化)処理を実施している周波数帯域分割処理方法にお
いてその反響路の推定アルゴリズムとして射影法やES
射影法を用いても意味がないと思われ、周波数帯域分割
処理法では反響路の推定アルゴリズムとしてはLMS
法、学習同定法、ES法などのみが適用されている。
【0014】この発明の目的は、射影法またはES射影
法を用い、次数を増加させて従来よりも収束速度の大き
なサブバンド反響消去方法を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明によれば、受話
信号を反響路に出力すると共に、擬似反響路に入力して
擬似反響信号を生成し、上記反響路を経由して拾われた
反響信号から上記擬似反響信号を減算することにより上
記反響信号を消去するサブバンド反響消去方法におい
て、以下のステップを含む: (a) 上記受話信号と上記反響信号とをそれぞれN個の周
波数帯域に分割してN個のサブバンド受話信号とN個の
サブバンド反響信号を生成し、Nは2以上の整数であ
り、(b) 上記反響路の上記N個の周波数帯域におけるそ
れぞれのインパルスレスポンスを模擬するそれぞれ予め
決めたタップ数のフィルタ係数が与えられるディジタル
フィルタによりそれぞれ構成されたN個の擬似反響路に
上記N個のサブバンド受話信号をそれぞれ通してN個の
擬似反響信号を生成し、(c) 上記N個のサブバンド反響
信号から対応する上記N個の擬似反響信号をそれぞれ減
算することによりN個の周波数帯域の反響消去誤差信号
を生成し、(d) それぞれの上記N個の反響消去誤差信号
と、上記N個のサブバンド受話信号の対応するものとか
ら、対応する上記反響消去誤差信号を最小とするように
射影法又はES射影法により上記ディジタルフィルタに
与える上記フィルタ係数をそれぞれ逐次的に修正し、
(e) 上記N個の周波数帯域の上記反響消去誤差信号を合
成して上記反響信号が抑圧された全周波数帯域の送信信
号を生成する。
【0016】
【発明の実施の形態】図4はこの発明の反響消去方法を
適用した反響消去装置の機能構成例を示し、図1と対応
する部分には同一符号を付けてある。受話信号x(t)はス
ピーカ2で音声に再生されると共に周波数帯域分割部5
1内でディジタル信号に変換してから周波数帯域別のN
個の実数信号xk(m)(k=0,1,…,N-1) に分割される。一
方、スピーカ2からの再生音声が反響路9を経てマイク
ロホン3により反響信号y(t)としてピックアップされ
る。この反響信号y(t)は周波数帯域分割部52内でディ
ジタル信号に変換され、周波数帯域分割部51と同一の
分割特性で周波数帯域別のN個の実数信号yk(m)に分割
される。
【0017】周波数帯域分割部51で分割されたそれぞ
れの周波数帯域には擬似反響路6kが設けられてあり、
それぞれの擬似反響路6k は擬似反響信号y^k(m)を生成
し、減算器8k でこれら擬似反響信号y^k(m)を対応する
周波数帯域の反響信号yk(m)から差し引くことにより反
響信号yk(m) は消去される。ここで擬似反響路6k は反
響路9の経時変動に追従する必要があり、残差ek(m)=y
k(m)−y^k(m)が0に近づくように、射影法またはES射
影法を用いた推定部11k によって逐次推定され、擬似
反響路6k の修正が行なわれることによって、常に最適
な反響消去が維持される。各周波数帯域の誤差信号(残
差信号)ek(m) は周波数帯域合成部53で全周波数帯域
の誤差信号e(t)に合成され、送信端4に出力される。
【0018】図5は周波数帯域分割部51の内部の機能
構成を示しており、A/D 変換器5により受話信号x(t)が
サンプル値化され、帯域通過フィルタ20k により帯域
制限される。または、帯域通過フィルタ20kを用いる
代わりに、文献Crochiere andRabiner,“Multirate Dig
ital Signal Processing”, Englewood Cliffs, NJ:Pre
ntice-Hall, pp.52-56, 1983 に記載されているSSB(Sin
gle Side Band)法を用いても、帯域制限された実数信号
xk(n) を得ることができる。帯域制限された実数信号xk
(n)は間引き率Mで間引かれ実数信号xk(m)とされる。以
下、分割された各周波数帯域のこの信号xk(m) をサブバ
ンド受話信号と呼ぶ。反響信号y(t)に対する周波数帯域
分割部52も図5の周波数帯域分割部51と同様に構成
されており、これによって周波数帯域毎に分割された反
響信号yk(m) をサブバンド反響信号と呼ぶ。
【0019】図6は第k番目の周波数帯域の推定部11
k の内部の機能構成例としてpk 次のES射影法(A
=Iの時には射影法)を用いた場合を示す。ES射影
法を用いたこの発明とES法を用いた前述のU.S.patent
5,272,695との構成上の主要な差異の1つはこの推定部
11k にある。受話信号記憶部31はサブバンド受話信
号xk(m) が与えられる毎にそれぞれ連続するLk 個ずつ
のサブバンド受話信号からなるpk個のサブバンド信号ベ
クトルxk (m)= [xk(m),xk(m-1),…,xk(m-Lk+1)]Tk (m-1)= [xk(m-1),xk(m-2),…,xk(m-Lk)]T :xk (m-pk+1)= [xk(m-pk+1),xk(m-pk),…,xk(m-pk-Lk
+2)]T を生成し、更にこれらベクトルからサブバンド受話信号
行列Xk (m)= [xk(m),xk(m-1),…,xk(m-pk+1)] を生成する。Lk はk番目の周波数帯域の擬似反響路6
k を構成するFIR フィルタのタップ数である。ただし、
k番目の周波数帯域ではpk次の射影法又はES射影法を
実行するものとする。ステップサイズ行列記憶部32に
は第1のステップサイズ行列Ak=diag[αk1k2,
…,αkLk] が記憶される。ステップサイズ行列Ak
対応する周波数帯域におけるインパルス応答の変動特性
で重み付けられている。
【0020】一般的な室内を対象とする場合には、第k
番目の周波数帯域におけるインパルス応答変動量は減衰
率γk を用いた指数関数として表わされる。自己相関演
算部33では第1のステップサイズ行列Ak で重み付
けたサブバンド受話信号行列Xk(m)の自己相関行列
k(m)Tkk(m)が演算される。この演算された
自己相関行列と、残差記憶部34からの残差ek(m) と
が、βk(m)演算部35に供給されて次式のpk元連立一
次方程式 [Xk(m)Tkk(m)]βk(m)= ek(m) (12) を解くことにより、定数βk(m)を求める。逆行列演算
における不安定性を回避するために、小さな正の定数δ
k を用いて式(12)の代わりに次式 [Xk(m)Tkk(m)+δkI]βk(m)= ek(m) (12)' を使ってもよい。ただし、Iは単位行列である。ステ
ップサイズ記憶部36からの第2のステップサイズμk
と、Ak ,Xk(m),βk(m)とが修正ベクトル演算
部37に供給されて修正ベクトル μkkk(m)βk(m) (13) が演算され、その修正ベクトルは加算器38へ供給され
てタップ係数記憶部39からのLk 個の要素からなる係
数ベクトルh^k(m) に加算されて修正された係数ベク
トル(インパルス応答)h^k(m+1)が得られる。演算
結果h^k(m+1)は擬似反響路6k へ出力されると同時
に、タップ係数記憶部39の値を更新する。
【0021】以上の操作をサブバンド受話信号xk(m) が
与えられる毎に繰り返すことにより、擬似反響路6k
次に示す(14)式に従って逐次修正され、擬似反響路6
k のインパルス応答h^k(m) は真の反響路9の第k周
波数帯域におけるインパルス応答hk(m)に近づいてゆ
く。 h^k(m+1)= h^k(m)+μkkk(m)βk(m) (14) ただし、Ak = diag[αk1,αk2,…,αkLk] :第k周波数帯域のステップサイズ行列 αki=αkoγk i-1 (i=1,2,…,Lk ) γk :第k番目の周波数帯域におけるインパルス応答変
動量の減衰率 Lk :第k周波数帯域のタップ数h ^k(m)=[h^k1(m),h^k2(m),…,h^kLk(m)]T :第k周波数帯域の擬似反響路(FIRフィルタ)係数 ek(m)=[ek(m),(1-μk)ek(m-1),…,(1-μk)pk-1ek(m-pk+1)]T (15) ek(m)= yk(m)−h^k(m)Txk(m) :第k周波数帯域の推定誤差 Xk(m)= [xk(m),xk(m-1),…,xk(m-pk+1)] (16) xk(m)= [xk(m),xk(m-1),…,xk(m-Lk+1)]T (17) :第k周波数帯域の受話信号ベクトル βk(m)= [βk1,βk2,…,βkpk]T (18) μk :第k周波数帯域の第2のステップサイズ(スカラ量) ここで特筆すべきことは、各帯域のタップ数Lk は間引
きにより少なくなっている点である。(ES)射影法で
は、次数pと収束特性の関係はタップ数Lにより影響を
受ける。すなわち、タップ数Lが大きい場合には、完全
に白色化(平坦化)するためには次数pを大きくする必
要があり、タップ数Lが小さい場合には、小さな次数p
で完全に白色化できる。例えば、タップ数Lが1000程度
の場合には、完全に白色化するためにはpが50次程度
必要であるのに対して、帯域分割と間引きによりタップ
数Lk が64程度に小さくなった場合には、16次程度
で十分となる。
【0022】図7に示す一般的な音声の周波数スペクト
ルの例では、受話信号を複数の周波数帯域F0,F1,…,
N-1に分割した場合には、各帯域でそのスペクトル形
状が異なる。その結果、各帯域の信号を白色化(平坦
化)するために必要となる(ES)射影法の次数も異な
る。一例を挙げれば、図7中の帯域Fg では、スペクト
ルが複雑に変化しているため、必要な(ES)射影法の
次数は大きく、帯域Fk ではスペクトルが平坦に近いた
め、必要な(ES)射影法の次数は小さい。
【0023】従って、この発明では各帯域においてその
帯域に適した、つまり収束速度が最も速く、かつ次数が
最も少ないような次数を各帯域ごとに決める。このた
め、図4中に示す次数決定制御部54を設ける。その内
部の機能構成例を図8に示す。それぞれの周波数帯域に
おける(ES)射影法の次数pk は、次数決定制御部5
4で次のように決定する。
【0024】方法1:次数pk を変えながらyk とek
とから収束の様子を観測する。この場合の次数決定制御
部54は図8に示すように、それぞれの周波数帯域毎に
設けられた次数決定部540〜54N-1から構成されてい
る。各周波数帯域において、例えば次数pk=1と決め、サ
ブバンド受話信号xk(m) が入力される毎に得られるサブ
バンド反響信号ykと残差信号ekの比(echo return loss
enhancement:ERLE)rpk=20log10(yk/ek)である反響消
去量を求めることにより例えば図9に模式的に示すよう
な反響消去量ERLEの収束曲線が得られる。同様にpkを順
次大にした場合についても同様のERLE収束曲線が得られ
る。そこで、方法1では、時間m=0 からpk次の射影法に
よる反響消去処理を開始し、次数決定部54k において
予め決めた時点m=mKでのERLEの値rsを求めることを単調
増加する一連の次数pk=ps,s=1,2,…、例えばps+1=ps+1,
p1=1、について順次繰り返し実行し、各次数pk=ps につ
いて反響消去量rsを求める毎にその前の次数pk=ps-1
求めた反響消去量rs-1からの増加の、次数の増加(ps-p
s-1) に対する割合R=(rs-rs-1)/(ps-ps-1) を求め、こ
の値が予め決めた閾値Rth より最初に小さくなる次数pk
=psを決定する。
【0025】図10は第1の次数決定方法による具体的
な次数決定手順の例を示す。次数決定部54k はステッ
プS1で整数パラメータs,mをそれぞれ1と0に初期
設定し、ステップS2で次数pk=ps とし、対応する周波
数帯域の推定部11k に与える。ステップS3でサブバ
ンド受話信号xk(m) が入力されると、ステップS4で受
話信号ベクトルxk(m)を擬似反響路6k に入力して擬
似反響信号y^k(m)=h^k(m)Txk(m)を得て、その擬似反響
信号y^k(m)の、サブバンド反響信号yk(m) に対する推定
誤差ek(m)=yk(m)-y^k(m)を減算器8k で求める。更に、
推定部11k において時点mを最新時点とするpk+Lk
のサブバンド受話信号xk(m),xk(m-1),…,xk(m-pk-Lk+2)
とpk個の推定誤差ek(m),ek(m-1),…,ek(m-pk+1)とを使
ってpk=ps次の射影法により擬似反響路の係数h^k(m+1)
を推定する。更に、推定した係数h^ k(m+1)を対応する擬
似反響路6k に設定する。即ち、ステップS4ではサブ
バンド受話信号xk(m) が入力される毎に、図4の反響消
去装置における第k番目の周波数帯域に係わる部分によ
りpk=ps 次の射影法に基づく反響消去処理が行われる。
【0026】ステップS5で時間mが予め決めた時間mK
に達したか判定し、達していなければステップS6でm
を1歩進してステップS3に戻り、ステップS3,S4
で同様のpk次射影法による反響消去処理を実行する。時
間mがmKに達するまで反響消去処理を繰り返し実行し、
m=mKとなった時点でステップS7において次数決定部5
k はその時のサブバンド反響信号ys=yk(mK)と推定誤
差es=ek(mK)から反響消去量rs=20log10(ys/es)を求め、
更に、次数増加(ps-ps-1)に対する反響消去量の増加の
割合(即ち白色化の飽和の程度)R=(rs-rs-1)/(ps-
ps-1) を求める。ただしs=1 の場合R=∞とする。次にス
テップS7で白色化の飽和の程度Rが予め決めた値Rth
より小さくなったか判定し、Rth より小となっていない
(白色化が飽和していない)場合はステップS10でm
を0にリセットし、sを1歩進してステップS2に戻
り、次数pk=ps について再び前述と同様の処理ステップ
S3〜S9を実行する。ステップS9でR<Rthを満足す
れば、白色化は十分飽和したと判定し、ステップS11
でその時の次数psをk番目の周波数帯域における射影法
の次数pkとして決定し、対応する推定部11k に出力す
る。 方法2:あるいは、図9において、一定消去量rkに達す
る時間が次数pkと共に短くなることを利用して、反響消
去量の飽和値に対し、予め決めた割合の閾値rK、例えば
30dBを決める。単調増加する次数pk=ps, s=1,2,… につ
いてそれぞれ時点m=0からpk=ps次の射影法による反響消
去動作を開始し、サブバンド受話信号xk(m) が入力され
る毎に図8の次数決定部54k で反響消去量rs=20log10
(ys/es)を求めることを繰り返し、rs>rKとなる時点ms
を得る。前の次数ps-1で得た時点ms-1との差(ms-1-ms)
の、次数の増加(ps-ps-1) に対する割合R=(ms-1-ms)/(p
s-ps-1) が予め決めた閾値Rthより小さくなる次数pk=ps
を決定する。この場合の次数決定処理手順を図11に示
す。
【0027】図10の場合と同様にステップS1で整数
パラメータs,mをそれぞれ1と0に初期設定し、ステ
ップS2で次数pkをpsに決め、ステップS3でサブバン
ド受話信号xk(m) が入力される毎にステップS4でps
の射影法による反響消去処理を行う。この第2の方法で
はステップS5で次数決定部54k はサブバンド反響信
号ys=yk(m)と推定誤差es=ek(m)から反響消去量rs=20log
10(ys/es) を求め、ステップS6で反響消去量rsが予め
決めた値rKより大となったか判定し、rs>rK となってい
なければステップS7でmを1歩進してステップS3に
戻り、以下ステップS4,S5,S6で同様の処理を繰
り返す。rs>rK となるとステップS8で現在の時点mを
次数pk=psで消去量rsがrKに達した時点msと判定し、次
数pk=ps-1の場合にrKに達した時点ms-1からの時間差(m
s-1-ms) の、次数変化(ps-ps-1) に対する割合、即ち白
色化の飽和の程度をR=(ms-1-ms)/(ps-ps-1) として求め
る。ただし、s=1 の時はR=∞とする。次にステップS9
でRが予め決めた閾値Rth より小さくなったか判定し、
なっていなければステップS10でmを0にリセット
し、sを1歩進してステップS2に戻り、ステップS2
〜S9の処理を繰り返す。ステップS9でR<Rth と判定
された場合は、ステップS11でその時点での次数pk=p
s をk番目の周波数帯域における射影法の次数pkと決定
し、対応する推定部11k に設定する。
【0028】上述の第1及び第2のいずれの方法の場合
も、k番目の周波数帯域において、単調増加させる射影
法の次数pk=ps, s=1,2,…として、例えばps+1=ps+d,d
は1以上の一定の整数、としてもよいし、ps+1=ps+sd
としてもよいし、あるいはps+ 1=cps 、cは2以上の一
定整数、としてもよい。その他、漸次増加する関数であ
ればどのような単調増加関数であってもよい。
【0029】方法3:pk次の(ES)射影法は、入力信
号xkを(pk-1)次の白色化FIRフィルタ(即ちタップ数
pkの線形予測フィルタ)に通すことと等価である。そこ
で、図12に示すように次数決定制御部54の各次数決
定部54k(k=0,1,…,N-1) を(pk-1)次の白色化FIRフ
ィルタ54Fkと予測分析部54Pkで構成する。予測分析部54
Pkは白色化FIR フィルタ54Fkに入力される一連のLk個の
各サブバンド受話信号xk(m-j),j=0,1,…,Lk-1,に対し、
Lk個の予測誤差εk(m-j),j=0,1,…,Lk-1, の2乗和 Σεk 2(m-j)= Σ{xk(m-j)-Σakixk(m-j-i)}2 (19) ただし、左辺及び右辺第1のΣはj=0〜Lkについて、左
辺第2のΣはi=1〜pk-1についての総和とする、が最小
となる予測係数aki,i=1,2,…,pk-1 を求める(一般に線
形予測分析と呼ばれ、周知の技術である)。これによっ
て得られた予測係数aki をフィルタ54Fkに設定して出力
に得られるLk個の予測誤差εk(m-j), j=0,1,…,Lk-1 を
ベクトル εk(m)=[εk(m),εk(m-1),…,εk(m-Lk+1)] (20) で表すと、予測誤差ベクトルεk(m)は次式 εk(m)=Xk(m)ak(m) (21) と表すことができる。ただし ak(m)=[1,-ak1,-ak2,…,-akpk-1]T (22) 式(21)はサブバンド受話信号行列Xk(m)に対する白色
化処理を表しており、この白色化処理により得られた予
測誤差ベクトルεk(m)の共分散行列 Qk(m)=εk(m)εk(m)T (23) はLk個の固有値λk0k1,…,λkLk-1を有している。そ
れらの固有値のうちの最大値λmaxと最小値λminの比Cs
maxminはサブバンド信号行列Xk(m)に対する白
色化の程度を表している。この比Csの値が小さいほど白
色化の程度は大きい。完全な白色化が達成されると比Cs
=1となる。そこで、射影次数pkをpk=ps, s=1,2,… と順
次増加させたときの比Cs, s=1,2,…を求め、比Csが予め
決めた閾値Cth より小さくなったとき、あるいはCsの変
化量ΔCs=Cs-1-Csが予め決めた閾値ΔCth より小さくな
ったときの最初の次数psを第k番目の周波数帯域におけ
る射影の次数pkと決める。
【0030】図13は第3の方法を使って第k番目の周
波数帯域における射影アルゴリズムの次数pkを決める手
順を示す。ステップS1で整数パラメータsを1とし、
ステップS2で次数pkをpsに設定し、ステップS3で受
話信号行列Xk(m)を構成するのに必要な数のサブバン
ド受話信号xk(m),xk(m-1),…,xk(m-pk-Lk+2)を入力す
る。次にステップS4で入力されたサブバンド受話信号
に対し式(19)による線形予測分析を行って予測係数aki,
i=1,2,…,pk-1 を求め、ステップS5で式(21)によりサ
ブバンド受話信号に対し白色化処理を行って推定誤差ベ
クトルεk(m)を求める。次にステップS6で式(23)で
表される推定誤差ベクトルεk(m)の共分散行列Q
k(m)を求め、更にその共分散行列のLk個の固有値λ0
1,…,λLk-1を求める。ステップS7で固有値の最大値
と最小値の比Csmaxminを計算し、ステップS8で
比Csが閾値Cth より小となったか判定し、なっていなけ
ればステップS9でsを1歩進してステップS2に戻
り、再びステップS2〜S8による同様の処理を繰り返
す。ステップS8で比Csが閾値Cth より小と判定される
と、ステップS10で次数psを第k番目の周波数帯域に
おける射影アルゴリズムの次数pkと決定し、出力する。
【0031】上述のステップS8では比Csを閾値Cth
比較した場合を示したが、前述のようにステップS7で
前回の次数ps-1で得た比Cs-1と今回の次数psで得た比Cs
との差分ΔCs=Cs-1-Csを求め、ステップS8でこの差分
ΔCsを予め決めた閾値ΔCthと比較し、ΔCsがΔCthより
小になったらステップS10でその時の次数pk=psを出
力してもよい。次数pk=ps を単調に増加させる関数とし
ては前述の第1及び第2の次数決定方法で説明したと同
様な単調増加関数を使うことができる。
【0032】例えば工場出荷時に、方法1〜3のいずれ
かを用いていろいろな音声について射影法の次数pk
決定して推定部11k に予め設定しておいてもよい。な
お、方法1〜3のいずれかを用いていろいろな音声、い
ろいろな分割数N、タップ数Lk について射影法の次数
k を決定してその標準的な値を予めROM化してお
き、使用者が、その反響消去装置の所望の帯域分割数N
と対応して前記ROMから推定部11k にpk を設定す
るようにしてもよい。
【0033】DSPなどを用いて反響消去装置を構成す
る場合には、実時間処理の制約上、(ES)射影法の次
数を完全白色化のレベルまで上げることができない場合
も多い。このような場合には与えられた演算時間の中で
装置全体としての性能が最高となるように各帯域の次数
k を決定する。以上のように各周波数帯域における
(ES)射影法の次数を、複数の周波数帯域のそれぞれ
に対してその装置に許される最も好ましい次数に設定す
ることにより、(ES)射影法の次数を上げることによ
る白色化の効果を十分に引き出すことができ、収束速度
の大きな反響消去装置を得ることができる。
【0034】図14にこの発明の他の実施例を示す。こ
の実施例は図4に示した実施例とは周波数帯域分割方法
が異なっており、信号Xk(m),Yk(m),Ek(m) および擬似
反響路(FIR フィルタ)係数H^k(m) が複素数である
点が異なる。同様な周波数帯域分割方法を用いた反響消
去装置は前記S.Gay and R.Mammone の文献に示されてい
る。受話信号x(t)は周波数帯域分割部61で周波数帯域
別のN個のサブバンド複素数信号Xk(m)(k=0,1,…,N-
1) に分割される。同様に反響信号y(t)は周波数帯域分
割部62で周波数帯域別のN個のサブバンド複素数信号
Yk(m) に分割される。それぞれの周波数帯域には擬似反
響路65k が設けられてあり、擬似反響路65k からの
擬似反響信号Y^k(m)をサブバンド反響信号Yk(m) から減
算器66kで差し引くことによりサブバンド反響信号Y
k(m) は消去される。
【0035】擬似反響路(複素FIRフィルタ)65k
は反響路9の経時変動に追従する必要があり、残差E
k(m)=Yk(m)−Y^k(m)が0に近づくように、複素射影法
又は複素ES射影法を用いた推定部67k によって逐次
推定され、擬似反響路65k の修正が行なわれることに
よって、常に最適な反響消去が維持される。各帯域の誤
差信号Ek(m) は周波数帯域合成部63で全帯域信号e(t)
に合成される。この分割・合成過程はN点FFTを用い
て効率的に実行できる。
【0036】図15に周波数帯域分割部61の内部を示
しており、A/D変換器5により受話信号x(t)がサンプ
ル値化され、その受話信号x(n)に乗算器68k でWN -nk
=exp{-j2πnk/N}が乗算され、通過周波数帯域幅-π/N
〜π/Nの低域通過フィルタ71 k を用いて帯域制限さ
れ、N個の周波数帯域に分割される。周波数帯域制限さ
れた信号Xk(n) は間引き率Mで間引かれ、サブバンド信
号Xk(m) となる。全分割周波数帯域のサブバンド信号Xo
(m)〜XN-1(m)は短時間スペクトルに対応する。N=16
の場合の周波数帯域を図16に示す。16帯域信号のう
ち0と8が実数、残りは複素数である。帯域8に対して
対称なもの(例えば7と9、等)は複素共役の関係にあ
り、全部で9つ(2実数、7複素数)の周波数帯域信号
があれば全周波数帯域信号を合成することができる。
【0037】図17は第k番目の周波数帯域の推定部6
k の内部の一例としてpk 次の複素ES射影法(A
=Iの時には複素射影法)を用いた構成例を示したも
のである。サブバンド受話信号Xk(m) は受話信号記憶部
75でサブバンド受話信号行列Xk(m)とされる。ステ
ップサイズ行列記憶部76には第1のステップサイズ行
列Ak が記憶される。ステップサイズ行列Ak は対
応する周波数帯域におけるインパルス応答の変動特性で
重み付けられている。一般的な室内を対象とする場合に
は、第k番目の周波数帯域におけるインパルス応答変動
量は減衰率γk を用いた指数関数として表わされる。自
己相関演算部77では第1のステップサイズ行列Ak
で重み付けた受話信号行列Xk(m)の自己相関行列X
k(m)Tkk *(m) が演算される。ただし*は複素共
役を表す。この演算された自己相関行列と、残差記憶部
78からの残差Ek(m)は、βk(m)演算部79に供給
されてpk元連立一次方程式 [Xk(m)Tkk *(m)]βk(m)=Ek(m) (24) を解くことにより、定数βk(m)を求める。逆行列演算
における不安定性を回避するために、小さな正の定数δ
k を用いて式(24)の代わりに次式 [Xk(m)Tkk *(m)+δkI]βk(m)=Ek(m) (24)' を使ってもよい。ただし、Iは単位行列である。
【0038】Ak,Xk(m),βk(m) とステップサ
イズ記憶部81からのμk とが修正情報生成部82に供
給されて次式 μkkk *(m)βk(m) (25) が演算され、その出力は加算器83へ供給されてタップ
係数記憶部84からのH^k(m)に加算されてH^k(m
+1) が得られる。演算結果H^k(m+1) は擬似反響路6
k へ出力されると同時に、タップ係数記憶部84の値を
更新する。
【0039】以上の操作により、擬似反響路6k は次の
式(26)に従って逐次修正され、擬似反響路6k のインパ
ルス応答H^k(m)は真の反響路のインパルス応答H
k(m)に近づいてゆく。 H^k(m+1)=H^k(m)+μkkk *(m)βk(m) (26) ただし、Ak =diag[αk1k2,…,αkL]:第k周波数帯域のス
テップサイズ行列 αki=αkoγk i-1 (i=1,2,…,Lk) γk :第k番目の周波数帯域におけるインパルス応答変
動量の減衰率 Lk :第k周波数帯域のタップ数H ^k(m)=[h^k1(m),h^k2(m),…,h^kLk(m)]T :第k周波数帯域の擬似反響路(FIRフィルタ)係数Ek (m)=[Ek(m),(1-μk)Ek(m-1),…,(1-μk)pk-1Ek(m
-pk+1)]T Ek(m)=Yk(m)−H^k(m)Tk(m) :第k周波数帯域
の推定誤差Xk (m)=[xk(m),xk(m-1),…,xk(m-pk+
1)]xk (m)=[xk(m),xk(m-1),…,xk(m-Lk+1)]T :第k周波数帯域の受話信号ベクトルβk (m)=[βk1,βk2,…,βkpk]T μk :第k周波数帯域の第2のステップサイズ(スカラ
量) *:複素共役 ここで図4の実施例と同様に、各帯域のタップ数は間引
きにより少なくなっている。また、各帯域でそのスペク
トルが異なる。その結果、各帯域の信号を白色化(平坦
化)するために必要となる複素(ES)射影法の最小の
次数も異なる。各周波数帯域における射影法の次数pk
決定方法は図4の実施例で示した3つの方法と同様な方
法が可能である。
【0040】図18は図14中の第1又は第2の次数決
定方法を適用する場合の次数決定制御部64の機能構成
例を示したもので、それぞれの周波数帯域に対応して次
数決定部640〜64N-1が設けられる。各次数決定部6
k はサブバンド複素受話信号Xk(m)、サブバンド複素
反響信号Yk(m)、複素誤差信号Ek(m)が与えられ、複素
(ES)射影法の次数pk を図8の場合と同様に次のよ
うに決定する。
【0041】第1及び第2の方法では、次数pkをpk=ps,
s=1,2,…と変えながら、Yk=YsとEk=Esとから求めた反
響消去量rs=20log10(Ys/Es)の収束の様子を観測する。
次数psを大きくするにつれ白色化の程度が大となり、図
9で示したと同様に収束速度が飽和値に近づく。収束速
度が充分飽和に近づいたと判定された時の次数pk=ps
出力して推定部67k に設定する。即ち、図9で説明し
たと同様に第1の方法では各次数毎に反響消去処理開始
後、予め決めた時点mKでの反響消去量rs=20log10(Ys/
Es) を求め、前回の次数ps-1で求めた反響消去量rs-1
らの変化の割合 Rs=(rs-rs-1)/(ps-ps-1) が閾値Rth
り小さくなったときの次数psを射影法の次数pkと決め
る。第2の方法では各次数毎に反響消去処理開始後、反
響消去量 rs=20log10(Ys/Es)が予め決めた値rKに達した
時点までの時間msを求め、前回の次数ps -1について求め
た時間ms-1からの短縮率(ms-1-ms)/(ps-ps-1)が閾値Rth
より小さくなったときの次数psを射影法の次数pkと決め
る。
【0042】図19は図14において第3の次数決定方
法を適用する場合の次数決定制御部64の構成例を示
し、図12の場合と同様に各帯域の次数決定部64k
(k=0,1,…,N-1)は(pk-1)次の白色化FIR フィルタ64Fk
と予測分析部64Pkとから構成されている。サブバンド複
素信号Xkを(pk-1)次の白色化 FIRフィルタ64Fkに通し、
予測分析部64Pkにより線形予測分析を行って予測係数a
ki,i=1,2,…,pk-1 を決め、その時の推定誤差ベクトル
εk(m)をXk(m)ak(m)から計算する。更に、推定
誤差ベクトルの共分散行列Qk(m)=εk(m)εk(m)T
を求め、そのLk個の固有値を求め、それらの固有値の最
大値と最小値の比Csmaxminを求める。この比Cs
次数psの増加につれ小さくなり、予め決めた値Cth より
小となったときの次数ps を射影法の次数pkと決める。
【0043】図4の実施例と同様に、いろいろな音声お
よびいろいろな分割数N、タップ数Lk について次数p
k を決定し、その標準的な値を予めROM化しておき、
例えば電源立ち上げの際にこのROMから推定部6k
与えるようにしてもよい。また、DSPなどを用いて反
響消去装置を構成する場合には、実時間処理の制約上、
複素(ES)射影法の次数を完全白色化のレベルまで上
げることができない場合も多い。このような場合には与
えられた演算時間の中で装置全体としての性能が最高と
なるように各帯域の次数pk を決定する。
【0044】以上のように各周波数帯域における複素
(ES)射影法の次数を、複数の周波数帯域のそれぞれ
に対して最適とされる次数に設定することにより、複素
(ES)射影法の次数を上げることによる白色化の効果
を十分に引き出すことができ、収束速度の大きな反響消
去装置を得ることができる。また、室内の残響時間は一
般に、低い周波数帯域では長く、高い周波数帯域では短
い点から、疑似反響路6k のタップ数Lkを低い周波数帯
域に対しては大に、低い周波数帯域に対しては小にし、
従って射影次数pkは低い周波数帯域に対しては大きく、
高い周波数帯域に対しては小さくするのが好ましい。例
えば音声信号では老若男女によらず一般に図7に示した
ように低い周波数対により多くのエネルギーが集中して
いることを利用して、低い周波数帯域ではタップ数Lk
大きく、従って射影の次数pkも十分大きな値とするが、
高い周波数帯域ではタップ数Lkを小さくし、かつ射影の
次数pkも小さくすることが可能である。更に、人間の聴
覚感度は一般に低い周波数帯域では高く、高い周波数帯
域では低いことからも、低い周波数帯域に対してはタッ
プ数Lkを大きく、従って射影次数pkも大きく、低い周波
数帯域に対してはタップ数Lkを小さく、従って射影次数
pkも小さくしてよい。この様に、高い周波数帯域のタッ
プ数Lkを小さくすることにより、あるいは更に射影次数
pkを小さくすることによって射影アルゴリズム全体とし
ての演算量を削減することができる。音声の場合、例え
ば周波数帯域を32帯域に分割し、周波数の低い方から
1番目と2番目の周波数帯域の射影次数をそれぞれ16
とし、3及び4番目の周波数帯域の射影次数を8とし、
5〜8番目の周波数帯域の射影次数を4とし、9〜16
番目の周波数帯域の射影次数を2とし、それより高い周
波数帯域の次数を全て1にする。
【0045】なお、上述において周波数帯域の分割数N
は32〜64程度が現実的と考えられ、分割数が多過ぎ
ると遅延が大となる。また分割方法は例えば図7Aに示
すように非等分割にする場合に限らず、等分割に分けて
もよい。各帯域の最適次数p k の決定は方法1の場合は
誤りが生じない。
【0046】
【発明の効果】図4の実施例において、周波数帯域分割
部51、52内の帯域通過フィルタ200〜20N-1(分
割部52の構成は51の構成と同様であり図示してな
い)による帯域制限の代わりに、前述のCrochiere and
Rabinerの文献に示されているSSB法を使って帯域制限さ
れた実信号xk(m)、yk(m)を得て反響消去処理を行った場
合の収束特性の計算機シミュレーション結果を図19に
示す。計算機シミュレーションには実測したインパルス
応答(512タップ、サンプリング周波数16kHz)を使用
した。帯域分割数N=32、間引き率M=8である。各
帯域のタップ数は64である。受話信号には音声信号を
用いた。反響信号にはS/N比=35dBとなるように
近端雑音を加えた。射影法の次数は、pk=1,2,4,8,16,3
2 である。ここでは、定常消去量が等しくなるように、
第2のステップサイズμk を調節した。
【0047】図20より、射影法の次数pk を増加させ
るに従って、収束速度が増加することがわかる。つまり
従来の周波数帯域を分割しない射影法やES射影法では
次数を2以上にしても収束速度は増加しなかったが、こ
の発明によれば次数を上げて収束速度を増加させること
ができる。しかも従来における周波数分割処理法で得ら
れる収束速度の高速化よりも、可成り高速に収束してお
り、周波数分割処理により白色化していても、射影法又
はES射影法により更に白色化することにより収束速度
が向上し、これは従来は予期し難い効果である。また、
k =16,32程度で白色化(平坦化)が完了し、収
束速度が飽和し、限界に近い収束速度が得られているこ
とがわかる。従って、この例ではpk を16又は32程
度にすればよい。このように、この発明を用いれば、小
さな(ES)射影法の次数で速い収束速度が得られる。
拡声通話系では人の移動などによる反響路の変動が多
く、これに迅速に適応できることは大きな利点となる。
【0048】更に、周波数帯域に応じて適切な次数を決
めることにより、一層少ない演算量で高速の収束が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の反響消去装置の機能構成例を示すブロッ
ク図。
【図2】Aはステップサイズ行列Aの対角成分αi
示す説明図、Bはステップサイズ行列Aの対角成分α
i を階段状に近似する一例を示す説明図。
【図3】図1中の推定部11の内部の機能構成例を示す
ブロック図。
【図4】この発明の実施例の機能構成例を示すブロック
図。
【図5】図4中の周波数帯域分割部51の内部の機能構
成例を示すブロック図。
【図6】図4中の第k番目の周波数帯域の推定部11k
の内部の機能構成例を示すブロック図。
【図7】音声信号の周波数スペクトルの一例を示す説明
図。
【図8】図4中の第1又は第2の次数決定方法を適用す
る場合の次数決定制御部54の機能構成例を示すブロッ
ク図。
【図9】射影次数を増加した場合の反響消去量の収束速
度の変化を模式的に示す図。
【図10】第1の次数決定方法による次数決定手順を示
すフロー図。
【図11】第2の次数決定方法による次数決定手順を示
すフロー図。
【図12】第3の次数決定方法を実施する場合の次数決
定制御部64の構成例を示すブロック図。
【図13】第3の次数決定方法による次数決定手順を示
すフロー図。
【図14】この発明のもう1つの実施例の機能構成例を
示すブロック図。
【図15】図14中の周波数帯域分割部61の内部の機
能構成例を示すブロック図。
【図16】周波数帯域信号の一例を示す説明図。
【図17】図14中の第k番目の周波数帯域の推定部6
k の内部の機能構成例を示すブロック図。
【図18】図14中の第1又は第2次数決定方法を適用
する場合の次数決定制御部64の構成例を示すブロック
図。
【図19】図14中の第3の次数決定方法を適用する場
合の次数決定制御部64の構成例を示すブロック図。
【図20】この発明の収束過程のシミュレーション結果
を示す説明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 雅史 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 島内 末廣 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 小島 順治 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日 本電信電話株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受話信号を反響路に出力すると共に、擬
    似反響路に入力して擬似反響信号を生成し、上記反響路
    を経由して拾われた反響信号から上記擬似反響信号を減
    算することにより上記反響信号を消去するサブバンド反
    響消去方法において、以下のステップを含む: (a) 上記受話信号と上記反響信号とをそれぞれN個の周
    波数帯域に分割してN個のサブバンド受話信号とN個の
    サブバンド反響信号を生成し、Nは2以上の整数であ
    り、 (b) 上記反響路の上記N個の周波数帯域におけるそれぞ
    れのインパルスレスポンスを模擬するそれぞれ予め決め
    たタップ数のフィルタ係数が与えられるディジタルフィ
    ルタによりそれぞれ構成されたN個の擬似反響路に上記
    N個のサブバンド受話信号をそれぞれ通してN個の擬似
    反響信号を生成し、 (c) 上記N個のサブバンド反響信号から対応する上記N
    個の擬似反響信号をそれぞれ減算することによりN個の
    周波数帯域の反響消去誤差信号を生成し、 (d) それぞれの上記N個の反響消去誤差信号と、上記N
    個のサブバンド受話信号の対応するものとから、対応す
    る上記反響消去誤差信号を最小とするように射影法又は
    ES射影法により上記ディジタルフィルタに与える上記
    フィルタ係数をそれぞれ逐次的に修正し、 (e) 上記N個の周波数帯域の上記反響消去誤差信号を合
    成して上記反響信号が抑圧された全周波数帯域の送信信
    号を生成する。
  2. 【請求項2】 請求項1のサブバンド反響消去方法にお
    いて、上記サブバンド受話信号及び上記サブバンド反響
    信号は実数信号であり、上記射影法またはES射影法に
    よる修正されたフィルタ係数は実数係数である。
  3. 【請求項3】 請求項1のサブバンド反響消去方法にお
    いて、上記サブバンド受話信号及び上記サブバンド反響
    信号は複素信号であり、上記射影法またはES射影法に
    よる修正されたフィルタ係数は複素係数である。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかのサブバンド反
    響消去方法において、上記N個の周波数帯域の上記射影
    法又はES射影法のそれぞれの次数は上記受話信号に対
    しそれぞれの周波数帯域において反響消去量の収束速度
    がほぼ飽和する最小の値にそれぞれ決められている。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかのサブバンド反
    響消去方法において、上記N個の周波数帯域の上記射影
    法又はES射影法のそれぞれの次数は、上記受話信号を
    線形予測フィルタにより白色化したときの推定誤差ベク
    トルの白色化がほぼ飽和する最小の値にそれぞれ決めら
    れている。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかのサブバンド反
    響消去方法において、上記N個のサブバンド受話信号と
    上記N個のサブバンド反響信号を生成するステップは、
    上記受話信号及び上記上記反響信号をそれぞれ上記N個
    の周波数帯域に分割してからそれぞれ予め決めた間引き
    率で信号を間引くステップを含む。
  7. 【請求項7】 請求項1〜3のいずれかのサブバンド反
    響消去方法において、上記N個の周波数帯域のそれぞれ
    の疑似反響路を構成する上記ディジタルフィルタのタッ
    プ数は、所望の受話信号の周波数領域におけるエネルギ
    ー分布、室内残響特性、及び人間の聴覚特性の少なくと
    も1つに基づいて予め決められている。
  8. 【請求項8】 請求項1〜3のいずれかのサブバンド反
    響消去方法において、上記N個の周波数帯域の低い周波
    数帯域に対応する上記ディジタルフィルタのタップ数
    は、高い周波数帯域の対応するディジタルフィルタのタ
    ップ数より大とされている。
  9. 【請求項9】 請求項8のサブバンド反響消去方法にお
    いて、上記低い周波数帯域における上記射影法又はES
    射影法の次数は上記高い周波数帯域における上記射影法
    又はES射影法の次数より大とされている。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010288174A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 周波数領域エコー除去装置、周波数領域エコー除去方法、プログラム
JP2018078490A (ja) * 2016-11-10 2018-05-17 日本電信電話株式会社 反響消去装置、その方法及びプログラム

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