JP3402427B2 - 多チャネル反響消去方法及び装置 - Google Patents
多チャネル反響消去方法及び装置Info
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Description
系を有する例えば通信会議システムにおいて、ハウリン
グの原因および聴覚上の障害となる室内反響信号を消去
する多チャネル反響消去方法及びそれを使った反響消去
装置に関するものである。
通話システムを提供するために、反響消去装置がある。
まず、1チャネル用の反響消去装置について、従来の反
響消去方法および装置構成を図1を参照して説明する。
拡声通話において、受話端子11に相手の発話等で得ら
れる受話信号は、そのままスピーカ(再生器)12から
再生される場合と、スピーカ12へ送る前に、受話信号
の振幅やパワー等の大きさに応じて自動的に利得を調節
する受話信号加工部13が挿入され、受話信号に何らか
の加工が施された後に、スピーカ12から再生される場
合とがある。このため、この明細書で受話信号x1(k) と
は、相手からの受話信号そのものとは限らず、受話信号
加工部13が挿入されたときは、加工された後の受話信
号を指すものとする。kは離散時間を表す。反響消去装
置14は、受話信号x1(k) がスピーカ12から反響路1
5を経て、マイクロホン(集音器)16に集音されて得
られる反響信号y1(k)を消去する。ここで、反響信号y
1(k)は、時刻kにおける反響路15のインパルス応答を
h11(k,n)として、 y1(k)=Σh11(k,n)x1(k−n) (1) ただしΣはn=0からL-1までについての加算を表す のような畳み込み演算で得られるものとモデル化でき
る。Lはタップ数で、反響路15の残響時間に対応させ
て、あらかじめ設定しておく定数である。まず、受話信
号蓄積・ベクトル生成部17において、受話信号x1(k)
をL-1 時刻過去のものまで蓄積しておく。蓄積された信
号は、受話信号ベクトルx1(k) 、即ち、 x1(k)=[x1(k),x1(k-1),…, x1(k-L+1)]T (2) として出力される。但し、(*)T はベクトルの転置を表
す。疑似反響信号生成部18では、式(2)の受話信号ベ
クトルx1(k) と、反響路推定部19から得られる疑
似反響ベクトルh∧11(k) との内積演算
成する。この内積演算は、式(1)のような畳み込み演算
と等価である。反響路推定部19では、疑似反響信号生
成部18で用いる疑似反響路ベクトル h∧11(k)を生
成する。この反響路推定に用いる最も一般的なアルゴリ
ズムは、NLMSアルゴリズム(学習同定法)である。
NLMSアルゴリズムでは、時刻kにおける受話信号ベ
クトルx1(k) と、残留反響信号 e1(k)、すなわち差
回路21でマイクロホン16の出力から疑似反響信号を
差し引いた次式 e1(k)=y1(k)−y∧1(k) (4) とから、時刻k+1 において用いる疑似反響路ベクトル
h∧11(k+1)を次式のように求める。
2の範囲で適応動作の調整に用いる。以上のような処理
を繰り返すことにより、反響路推定部19では、次第に
疑似反響路ベクトル h∧11(k)を、真の反響路15の
インパルス応答h11(k,n)の時系列を各要素として持つ反
響路ベクトルh11(k)、即ち h11(k)=[h11(k,0),h11(k,1),…,h11(k,L-1)]T (6) と一致させることが可能となり、その結果、式(4)の残
留反響信号 e1(k)を小さくすることができる。
(>1)チャネルの集音系とで構成される通信会議シス
テムの場合の反響の消去は、図2に示すような構成によ
り行われる。すなわち再生側の全Nチャネルと集音側の
各1チャネルとの間にN入力1出力時系列信号を処理す
るNチャネル反響消去装置221,222,…,22M をそ
れぞれ接続した反響消去システム23として実現され
る。この場合システム全体でN×M個の反響路15
nm(1<n<N,1<m<M)が存在する。このシステ
ムの構成単位である再生側の全Nチャネルと集音側の各
1チャネルとの間に接続されるNチャネル反響消去装置
221,222,…,22M については、図1に示した反響
消去装置14の構成を拡張して、図3に示すように構成
される。これは例えばB.Widrow and S.D.Stearns,"Adap
tive signal processing," Prince-Hall, Inc., pp. 19
8-200, (1985)に詳しく述べられている。ここで、集音
側が第m集音チャネル(1<m<M)に接続されている
Nチャネル反響消去装置22m を考える。第mチャネル
の集音器16m で集音される反響信号は、各再生チャネ
ルの受話信号がそれぞれの反響路151m〜15Nmを経て
集音側で全て加算されることにより得られるために、反
響路推定を、どの再生チャネルについても、統一的に同
じ1つの残留反響信号 em(k)のみを評価して行なうため
の工夫が必要となる。まず、各再生チャネルの受話信号
について、受話信号蓄積・ベクトル生成部171,172,
…,17N により、受話信号ベクトル x1(k)=[x1(k),x1(k-1),…,x1(k-L+1)]T (7) x2(k)=[x2(k),x2(k-1),…,x2(k-L+1)]T (8) : xN(k)=[xN(k),xN(k-1),…,xN(k-L+1)]T (9) を生成する。但し、Lはタップ数で、各反響路の残響時
間に対応させて、あらかじめ設定する定数である。これ
らのベクトルをベクトル結合部24によって、
再生チャネルと第m集音チャネルとの間のN個の反響路
を模擬するためのそれぞれの疑似反響路ベクトルh∧
1m(k),h∧2m(k),…,h∧Nm(k)を結合して
は、NLMSアルゴリズムを用いた場合、
内積演算
に対する疑似反響信号y∧ m(k)を生成する。このよう
に、各チャネル毎のベクトルを結合して1つのベクトル
として扱うことにより、基本的な処理の流れは、図1に
示した1チャネル反響消去装置と同様となる。
とで構成される通信会議システムに用いられる従来の反
響消去システムの欠点のうち、この発明が解決しようと
するものを、具体例に沿って説明する。図4に示すよう
に、A地点とB地点との間において、2チャネルで集音
・再生を行なうステレオ音声会議装置に従来の反響消去
システムを適用した場合、B地点側の反響路が全く変動
しない場合においても、A地点側で発話者が移動あるい
は交替を行なう度にその発話に対するB地点からの反響
音が増大するという問題がある。これは、B地点側の反
響消去システムにおいて反響路推定が正しく行なわれて
いないために起こる問題である。
点における反響消去システムの構成単位である2チャネ
ル反響消去装置のうちの1つである第1集音チャネルに
接続された装置22b1の動作に注目する。以下では、各再
生チャネルの動作を明確化するために、従来技術の項で
用いた結合ベクトルの各再生チャネルについての要素が
明示された形で表記する。結合ベクトルを用いずに各再
生チャネル毎のベクトルで表記するB地点側における2
チャネル受話信号ベクトルをx1(k)とx2(k)とす
る。各再生チャネルに対する真の反響路1511,1521の反
響路ベクトルをh11(k),h21(k)とすると、これら
反響路1511,1521を経て集音される反響信号y1(k) は、
似反響信号y∧1(k)は、装置内で生成される疑似反響路
h∧11(k) とh∧21(k) とを用いて、
は、この受話信号ベクトルx1(k)とx2(k)との間に
は、非常に強い相互相関がある。x1(k)とx 2(k)と
の間に、一定の相互相関がある場合には、 y∧1(k)=y1(k) (16) の解としての結合ベクトル[h∧11 T(k),h∧
21 T(k)]Tは無数に存在し、x 1(k) とx2(k) との相
互相関に固有な部分空間Hx を形成する。このため、N
LMSアルゴリズムのような一般的な逐次誤差最小化ア
ルゴリズムを用いた場合に、結合ベクトル[h∧
11 T(k),h∧21 T(k)]Tは初期値から部分空間Hx まで
の距離が最小となる点に収束し、一般に真値[h
11 T(k),h21 T(k)]Tには収束しない。
値p1,p2 と原信号ベクトルs(k)により、受話信号
ベクトルx1(k),x2(k)が、 x1(k)= p1s(k),x2(k)= p2s(k) (17) と表される場合を考える。結合ベクトル[h∧
11 T(k),h∧21 T(k)] が存在し得る部分空間Hx は、
値0から適応を開始した場合、収束点[h∧
11p T(k),h∧21p T(k)] は、
の間の比が変動した時点で、式(18)は満足されなくな
るため、反響を消去できなくなり、相手側に戻る反響が
増大する。
ように、一般にNチャネルの再生系とMチャネルの集音
系とで構成される通信システムに、従来の反響消去装置
を適用した場合は、各チャネルの受話信号間に強い相互
相関があると反響路の推定が正しく行なわれないため、
受話信号間の相互相関が変動する度に反響が増大する問
題が生じる。
消去システムにおいて、以上に挙げたような、受話信号
間に相互相関があっても、反響消去可能な多チャネル反
響消去方法及び装置を提供することにある。
ば、各チャネルの受話信号がそのまま対応するチャネル
から音響信号として再生されて反響路に入力され、その
反響路の出力が集音器で実際に観測可能な従来法でも利
用されている入出力関係に加えて、各チャネルの受話信
号のいくつか、あるいは全てが入れ替わって、対応する
チャネルとは異なるチャネルから音響信号として再生さ
れた場合の入力と、この入力が反響路を経て集音器で反
響信号として観測された場合に得られるべき出力とによ
る、未知の入出力関係を近似的に求めて、この両入出力
関係を用いて疑似反響路の修正ベクトルの導出に利用す
る。
は、以下のステップを含む: (a) 複数のチャネルの受話信号をそれぞれ対応する複数
の再生器で音響信号として再生し、 (b) 上記複数の再生器からそれぞれの反響路を経て少な
くとも1つの集音器において加算され観測可能な反響信
号として得て、 (c) 上記複数のチャネルの上記受話信号をそれぞれ所定
時間蓄積し、チャネルごとに蓄積されている受話信号に
より受話信号ベクトルを生成し、 (d) 全てのチャネルについての上記受話信号ベクトルを
結合して観測可能な受話信号結合ベクトルを生成し、 (e) それぞれの上記反響路のインパルス応答が表す反響
路ベクトルの結合ベクトルを模擬する疑似反響路結合ベ
クトルを有する疑似反響路に上記受話信号結合ベクトル
を与えることによりその出力に上記観測可能な反響信号
を模擬する疑似反響信号を生成し、上記受話信号結合ベ
クトルとそれに対応する上記反響信号は上記複数の反響
路についての観測可能な入出力関係に対応しており、 (f) 上記反響信号から上記疑似反響信号を減算して残留
反響信号を得て、 (g) 上記複数のチャネルの少なくとも2つの受話信号を
入れ替えた場合の入れ替え受話信号結合ベクトルを上記
疑似反響路に与えた場合の近似疑似反響信号を求め、 (h) 上記受話信号を上記ステップ(g) と同様に入れ替え
た場合に上記複数の反響路を通って上記集音器より得ら
れるべき反響信号を近似により求め、これを近似反響信
号とし、 (i) 上記近似反響信号から上記近似疑似反響信号を減算
して近似残留反響信号を求め、 (j) 上記観測受話信号結合ベクトルとそれに対応する上
記観測可能な残留反響信号の関係を表す観測可能な入出
力関係と、上記入れ替えた受話信号結合ベクトルと上記
近似残留反響信号との関係を表す近似入出力関係を評価
し、その評価に基づいて上記修正ベクトルを求め、 (k) 上記修正ベクトルにより上記疑似反響路ベクトルを
修正する。
を含む:複数のチャネルの受話信号をそれぞれ音響信号
に再生して出力する複数の再生器と、少なくとも1つの
送信用チャネルに接続された集音器と、上記音響信号が
上記複数の再生器から上記集音器に至る音響路は反響路
をそれぞれ形成し、上記集音器に集音され、合成された
上記音響信号は反響信号として上記送話チャネルに入力
され、上記複数のチャネルの受話信号をそれぞれ一時的
に保持して各受話信号ベクトルを生成する受話信号ベク
トル生成部と、上記複数のチャネルの受話信号ベクトル
を結合して受話信号結合ベクトルを生成するベクトル結
合部と、上記受話信号結合ベクトルが与えられ、上記複
数の再生器から上記集音器に至る上記反響路のインパル
ス応答を表す反響路ベクトルを結合した反響路結合ベク
トルを模擬する疑似反響路結合ベクトルを有し、上記受
話信号結合ベクトルが入力されて、上記観測可能な反響
信号を模擬する疑似反響信号を出力する疑似反響信号生
成部と、上記集音器からの反響信号から上記疑似反響信
号を減算して、その差を観測可能な残留反響信号として
出力する減算器と、上記複数チャネルの少なくとも2つ
の受話信号を入れ替えて結合して得た並べ替え受話信号
結合ベクトルを生成するベクトル並べ替え結合部と、少
なくとも上記観測受話信号結合ベクトルと、それに対応
する上記観測可能な残留反響信号とが与えられ、上記並
べ替え受話信号結合ベクトルを上記疑似反響路に与えた
場合の近似疑似反響信号を求め、上記受話信号を入れ替
えた場合に上記集音器より得られるべき反響信号を近似
により近似反響信号として求め、上記近似反響信号から
上記近似疑似反響信号を減算して近似残留反響信号を求
め、上記受話信号結合ベクトルとそれに対応する上記観
測可能な残留反響信号との関係を表す観測可能な入出力
関係と、上記並べ替え受話信号結合ベクトルとそれに対
応する上記近似残留反響信号との関係を表す近似入出力
関係を評価し、その評価に基づいて上記修正ベクトルを
求め、上記修正ベクトルにより上記疑似反響路ベクトル
を修正した疑似反響路ベクトルを生成し上記疑似反響信
号生成部に与える反響路推定部。
ルの場合で説明する。図4及び5を参照して先に説明し
たように、受話信号x1(k),x2(k)が再生されたとき、こ
れらが、対応する反響路h1m(k),h2m(k)を経て、
第m集音チャネル(ただし図4ではm=2の場合を示し
ている)で反響信号ym(k) として集音されるときの入出
力関係は、
関が一定である場合、前述のように、式(21)の関係を満
足させる疑似反響路ベクトルh∧1m(k),h∧2 m(k)
を一意に決定できない。そこで、いま、受話信号ベクト
ルx1(k),x2(k)とは相互相関の異なる受話信号ベ
クトルx'1(k),x'2(k)に対する第m集音チャネル
における反響信号y'm(k) が観測されたとすると、式(2
1)と同様に、
2(k)とx'1(k),x'2(k)のそれぞれの組が与えられ
た場合の第m集音チャネルに対する対する疑似反響信号
をy∧m,y∧'m とすると、
号y∧m,y∧'m との誤差信号をそれぞれem(k),e'm(k)
とし、また、反響路h1m(k),h2m(k)と疑似反響路
ベクトルh∧1m(k),h∧2m(k)との反響路推定誤差
ベクトルをΔh1m(k),Δh2m(k)とすると、
クトルΔh1m(k),Δh2m(k) を一意に求めること
はできないが、その最小ノルム解をΔh∧1m(k),Δ
h∧2m(k) とすると、
れより、疑似反響路ベクトルh∧1m(k),h∧2m(k)
は、最小ノルム解Δh∧1m(k),Δh∧2m(k)を修正
ベクトルとして
パラメータである。このとき、修正ベクトルΔh∧1m
(k),Δh∧2m(k)は、受話信号x1(k),x2(k)と
は異なる相互相関を持つことができ、受話信号間の相互
相関に依存せずに、真の反響路の特性が推定可能とな
る。しかしながら、上記の議論は、受話信号x1(k),
x2(k)とは相互相関の異なる受話信号x'1(k),
x'2(k)に対する式(22)で表される入出力関係が観測
可能という前提のもとに成り立つのであり、実際には、
この入出力関係は未知である。そこで、この発明では、
近似的にこの入出力関係を満足する状態を利用する。
ては、受話信号x1(k),x2(k)と相互相関が異なる
任意の信号が利用可能である。そこで式(22)の入出力関
係を近似的に満足すると考えられる状態として、2つの
受話信号チャネルの受話信号を互いに入れ替えることに
より、 x'1(k)=x2(k) (31) x'2(k)=x1(k) (32) として再生した場合を考える。つまりx1(k):x
2(k)の相関が例えば1:2の場合、チャネル入れ替えに
より、x'1(k):x'2(k)が2:1となり、相互相関
が異なる。即ちこの発明では、一般に多チャネルの受話
信号が再生される場合には、任意の2チャネルについて
受話信号が入れ替わった信号の組合せを式(28)のように
解くことにより修正ベクトルを求める。この原理を使っ
て修正ベクトルΔh∧1m(k),Δh∧2m(k)を求める
方法を以下にいくつか示す。方法1 方法1では、式(21)で表される観測可能な入出力関係
と、式(31)、(32)により信号を入れ替えた場合に近似的
に得られると推測される式(22)の入出力関係とを異なる
重みで評価する。例えば誤差信号em(k)とe'm(k) とを異
なる重み付けで評価する。この重み付けは、時間によら
ず一定の場合と、時間的に変化させる場合との2通りあ
る。
誤差em(k)とe'm(k) とを異なる重みで評価するために、
重み係数γm,γ'm を導入し、
外の成分とに分離したあとで、重み係数を導入する。つ
まり、例えば、受話信号間の相関に着目すると、x'1
(k),x'2(k)は次式
4)右辺第2項)とそれ以外の部分(式(34)右辺第1項)
とに分離できる。さらに、式(34)の両辺に、左から[Δ
h1m T(k),Δh2m T(k)]を乗じ、式(25)、(26)の関
係を用いると、誤差e'm(k)は、
相関のある成分(式(37)右辺第2項)と、それ以外の成
分(式(37)右辺第1項)とに分離される。これより、式
(27)は、
関のある成分と、それ以外の成分とにそれぞれ独立に係
数v,wを乗じることにより、式(38)は更に、
る。式(39)に示すように、誤差e'm(k)を、誤差em(k) と
相関のある成分と、それ以外の成分とに分離し、それぞ
れの成分を独立に重み付けすることにより、v=0,w=1
とすれば、得られる修正ベクトルは、従来の技術で述べ
たNLMSアルゴリズムにより得られる修正ベクトルと
一致する。また、v=1,w=0とすれば、近似入出力関係
に関して得られた誤差e'm(k)のうち、観測可能な入出力
関係に関して得られた誤差em(k) と相関のある成分、即
ち冗長な成分を取り除いて評価し、修正ベクトルを求め
ることに相当すること等からも分るように、物理的な意
味をより明確化して重み付けを行なうことができる。
る場合の方法の一つとして、後述するこの発明の効果で
示すように基本的には疑似反響路ベクトルの真の反響路
の模擬の程度に応じて変化させる。例えば前述の方法(1
-a) においてはγm(k)=1とし、γ'm(k) を1より小と
し、真の反響路の模擬が悪い時はγ'm(k) を1を超えな
い範囲で大とする。また方法(1-b) においては、模擬が
悪いときはv=0,w=1として従来法と一致させ、状態が
良くなるに従ってv,wの値を変化させる。
信号ym(k) と残留反響信号(即ち誤差信号)em(k) との
比、反響信号と残留反響信号との平均電力比、残留反響
信号の絶対値、残留反響信号の平均電力、のうちの少な
くとも一つを利用する。方法2 この発明の原理の説明中の式(28)、又は方法(1-a)及び
(1-b)における式(33)、(39)において、Δh1m(k),Δ
h2m(k)を求める具体的方法を次に説明する。各チャ
ネルの受話信号のいくつか、あるいは全てが入れ替わっ
て、対応するチャネルとは異なるチャネルから音響信号
として再生された場合の反響路への入力と、この入力が
それぞれ対応する反響路を経て集音器で反響信号として
観測された場合に得られるべき出力とによる、未知の入
出力関係を近似して求める。この近似を行うためにここ
では、各チャネルの受話信号xm(k) がそのまま音響信号
として再生されてそれぞれ対応する反響路を経て集音器
で実際に観測される既知の入出力関係と、この入出力関
係の評価に用いられる残留反響信号(誤差信号)及び反
響路の類似性を利用する。その具体的方法として、以下
の方法がある。
り、再生器、集音器間の距離、向きなどの物理的配置関
係が類似した再生器、集音器間における反響路は互いに
等しいと仮定して利用する。例えば、再生、集音がとも
に2チャネルの場合、それぞれの集音チャネルに対する
入出力関係は、
121 ,122 、マイクロホン161,162 がこれら
の指向特性も含めて左右対称に配置されたとき、 h11(k)=h22(k) (42) h21(k)=h12(k) (43) が成り立つものとし、これらと、式(40),(41)より、
して、受話信号の再生チャネルを入れ替えた場合の入出
力関係であり、従ってe'1(k)=e2(k) 及びe'2(k)=e
1(k) が成り立つ。これらの近似結果を式(44)、(45)と
共に式(28)、(33)及び(39)に適用するとそれぞれ以下の
3つの方法が得られる。 方法(2-a-1) 即ち、式(28)にチャネル入れ替えと反響路近似を適用す
ると次の連立方程式
とができる。 方法(2-a-2) 即ち、式(33)にチャネル入れ替えと反響路近似を適用す
ると次の連立方程式
とができる。 方法(2-a-3) c(k)=r'(k)r-1(k)とおき、式(39)にチャネル入れ替えと
反響路近似を適用すると次の連立方程式
とができる。 方法(2-b) もう1つの方法(2-b)は 、上記方法(2-a) における仮
定、例えば式(42)、(43)のような物理的配置関係の類似
した再生器、集音器間における反響路は互いに等しいと
する仮定が精度良く成り立たない場合にも対応可能な方
法である。前述の例と同様に、再生、集音がともに2チ
ャネルの場合、式(42)、(43)の代わりに、 h11(k)=h22(k)+f1(k) (49) h21(k)=h12(k)+f2(k) (50) を用いる。ここでf1(k)及びf2(k)は真の反響路ベ
クトルh11(k)とh2 2(k)の類似性誤差及び真の反響
路ベクトルh12(k)とh21(k)の類似性誤差を表して
いる。これに対して疑似反響路ベクトルh∧11(k)と
h∧22(k)の類似性誤差f∧1(k)と、疑似反響路ベ
クトルh∧12(k)とh∧21(k)の類似性誤差f∧
2(k)を次式 h∧11(k)=h∧22+f∧1(k) (51) h∧21(k)=h∧12(k)+f∧2(k) (52) のように表し、更にこれら真の反響路と疑似反響路につ
いての類似性誤差ベクトルの差分を次式 Δf1(k)=f1(k)−f∧1(k) (53) Δf2(k)=f2(k)−f∧2(k) (54) で定義し、これらを類似性誤差差分と呼ぶことにする。
そこで、再生チャネルを入れ替えて受話信号x1(k),
x2(k)を再生した場合に、第1集音チャネルで得られ
る出力をy'1(k)、第2集音チャネルで得られる出力をy'
2(k)とすると、式(49)、(50)と式(40)、(41)の関係を利
用することにより、
似反響路ベクトルh∧1 1(k),h∧21(k),h∧12
(k),h∧22(k)と式(51)、(52)を用いて、次式のよう
にy∧'1(k),y∧'2(k)と模擬される。
との誤差e'1(k),e'2(k)は、
1(k),Δf∧2(k)がそれぞれ未知の類似性誤差ベクト
ルf1(k),f2(k)で表されているため、e'1(k),e'
2(k)を正確に知ることはできない。そこで、式(59)、(6
0)を既知のe2(k),e1(k)について解くと、
ベクトルは、式(69)の連立方程式の最小ノルム解として
得られる。ここで、類似性誤差差分Δf∧1(k),Δ
f∧2(k)は、実際には求める必要はない。 方法(2-b-1) 式(69)に基づく疑似反響路修正ベクトルを求める場合
に、前述の方法(1-a) の式(33)における重み付け係数を
導入すると、
を調節可能とする時不変あるいは時変の重み係数を導入
する。例えば、再生、集音がともに2チャネルの場合、
上記類似性誤差差分Δf∧1(k),Δf∧2(k)の評価
を、Δh∧11(k),Δh∧21(k),Δh∧12(k),
Δh∧22(k)の評価に対して重み付けする。例えば式
(63)に、Δf∧1(k),Δf∧2(k)がそれぞれ乗算さ
れる各要素に重み係数κ1,κ2,κ3,κ4 をそれぞれ
導入すると、
h∧22(k)‖/‖h∧11(k)‖が小さければf1(k)
が小さいことが推定されるので、例えば予め決めた閾値
K1より小さければκ1 を例えば1より小とするような制
御を行う。同様に、‖h∧21(k)-h∧12(k)‖/‖
h∧21(k)‖が予め決めた閾値K2より小さければκ 2
を例えば1より小とするように制御する。
b) に基づく重み付け係数v1,v2,w1,w2を導入し、c
(k)=r'(k)r-1(k)とおくと、
求めることができる。方法3 第3の方法は、過去に得られた観測した入出力関係と近
似により得られた入出力関係と、現時刻における観測さ
れた入出力関係と近似により得られた入出力関係とを合
わせて評価することにより、疑似反響路ベクトルの修正
ベクトルを導出する。
えを利用した方法(2-a)、及び(2-b) に適用する。射影
アルゴリズムは、第m受話信号チャネルの現在を含めて
過去pm時刻における入出力関係を同時に満たすように、
疑似反響路ベクトルを修正する方法である。但し、pmは
疑似反響路ベクトルのタップ数Lを越えない整数であ
る。まず、現時刻からpm時刻過去までの第nチャネルの
受話信号ベクトルをまとめて、 Xn (pm)(k)=[xn(k),xn(k-1),…,xn(k-p+1)] (77) と表記する。再び、上述の再生、集音がともに2チャネ
ルの場合、誤差信号について、
るのかを決定するパラメータは、min{p1,p2}≧max{p'1,
p'2}を満たすp1,p'1,p2,p'2のように、個々に疑似反
響路ベクトルのタップ数Lを越えない範囲で、それぞれ
独立に設定できるものとする。
射影アルゴリズムを適用し、相互相関に関する行列を
正ベクトルを得る。但し、p時刻過去までの第nチャネ
ルの受話信号ベクトルをまとめて、 Xn (p)(k)=[xn(k),xn(k-1),…,xn(k-p+1)] (85) と表記し、過去何時刻までの入出力関係を用いるのかを
決定するパラメータを、p1,p'1,p2,p'2とし、これら
はmin{p1,p2}≧max{p'1,p'2}を満たし、
反響路類似誤差ベクトルの影響を調節可能とする時不変
あるいは時変の重み係数κ1,κ2,κ3,κ4を式(82)と
同様に次式のように導入し、
導入し、
λ2とのバランスにより、重み付けを調節して修正ベク
トルを求めてもよい。方法4 上述してきた各種方法において、さらに、反響路のイン
パルス応答の指数減衰性に基づいてタップ毎に異なる修
正重み係数を与えることのできるESアルゴリズムを適
用することができる。
について、
列演算を安定化させるための小さい定数である。これに
ESアルゴリズムを適用するには、
は、式(100) により与えられるL個の数列を、等間隔あ
るいは不等間隔のブロックに分割して、各ブロック内に
おける各α(r) iの値は、同一ブロック内の先頭のα(r) i
の値に等しくすることにより、演算量の面においても有
利な簡略化された形により、基本指数減衰行列A(r)
を作る。そして、
反響路ベクトルの修正ベクトルを得る。同様に、例えば
前述の射影アルゴリズムを適用した方法(3-a) における
式(82)について、
には、式(99)の基本指数減衰行列A(r) からなる次の
行列
反響路ベクトルの修正ベクトルを得る。同様にして他の
方法にもESアルゴリズムを適用することができるのは
明かであり、それらについての説明は省略する。以上説
明したように、この発明による多チャネル反響消去方法
では、多チャネル受話信号間のいくつか、あるいは全て
が入れ替わって、対応するチャネルとは異なるチャネル
から音響信号として再生された場合の仮想入力と、この
仮想入力がそれぞれ対応する反響路を経て集音器で反響
信号として観測された場合に得られるべき仮想出力とに
よる、未知の入出力関係を、近似的に求めて、この近似
入出力関係と、従来法でも用いられている各チャネルの
受話信号がそのまま音響信号として再生されてそれぞれ
対応する反響路を経て集音器で実際に観測される入出力
関係との、両者を共に評価して疑似反響路の修正ベクト
ルを求めるため、反響路推定部における真の反響路の推
定速度を速めることができる。反響消去装置 次に、以上説明したこの発明の方法を実施する反響消去
装置の実施例を、従来法による装置構成と比較しながら
説明する。まず全体の構成であるが、Nチャネル受話系
とMチャネル送話系を有する反響消去システムを構成す
る場合、従来法では図2に示されるようにM個の集音チ
ャネルに対してそれぞれ独立にMチャネル反響消去装置
221 ,222 ,…,22M を設けて反響消去装置を構
成している。これに対し、この発明による方法を装置と
して構成する場合、図7に示すように、Nチャネル受話
系及びMチャネル送話系を有する反響消去システムをN
×Mチャネル反響消去装置23として構成し、その詳細
は図8に示すように、チャネル間相互で情報をやりとり
して反響路推定が行なえるようになっている。
たこの発明による方法1〜4のどの実施例にも適用され
る基本的構成を示し、以下に説明するように従来型の図
3の反響路推定部19m と比較して特にベクトル並べ替
え・結合部41が設けられていることが特徴となってい
る。このベクトル並べ変え・結合部41において、受話
信号ベクトルx1(k),x2(k),…の並びを、他のチ
ャネルと受話信号ベクトルを入れ替えることにより並べ
替えることによりD通りの並び方を得、それらを結合し
て得られるD個の結合ベクトルx(1)(k),x
(2)(k),…,x(D)(k) を生成し、反響路の類似性を
用いて、結合ベクトルx(1)(k),x(2)(k),…,
x(D)(k)に対する入出力関係を近似的に求めて疑似反
響路修正ベクトルΔh∧1(k),…,Δh∧M(k)を求め
ることを可能としている。
ようにNチャネルに対応してN個の受話信号蓄積・ベク
トル生成部171〜17Nを有しており、図3における受
話信号蓄積・ベクトル生成部171〜17Nと同様に、そ
れぞれの受話信号チャネルに対し決めた現時点(k) まで
のL個の受話信号を保持し、式(7)〜(9)で表される受
話信号ベクトルx1(k)〜xN(k)を生成する。更にそ
れらの受話信号ベクトルx1(k)〜xN(k)をベクトル
結合部24で結合し、式(10)で表される結合ベクトル
x(k)を生成し、疑似反響信号生成部181〜18Mに
それぞれ与える。各第m集音チャネルに対する疑似反響
信号生成部18m(m=1,…,M) は、与えられた結合ベク
トルx(k)と疑似反響路結合ベクトルh∧m(k)とか
ら式(13)により疑似反響信号y∧m(k)を計算し、減算器
21m に与える。各減算器21m は、反響信号ym(k) と
疑似反響信号y∧m(k)の差を残留反響信号(即ち誤差信
号)em(k)として出力する。
響消去装置に特徴的なことは、ベクトル並べ変え・結合
部41が設けられ、Nチャネルの与えられた受話信号ベ
クトルx1(k)〜xN(k)の並びを、チャネルの受話信
号ベクトルを入れ替えることにより並べ替えることによ
って得られたD通りの受話信号ベクトルの並びをベクト
ル結合部24と同様に式(10)により結合してD個の結合
ベクトルx(1)(k),x(2)(k),…,x(D)(k)を生
成し、反響路推定部19に与える。反響路推定部19は
D個の結合ベクトルx(1)(k)〜x(D)(k)とベクトル
結合部24からの結合ベクトルx(k)と、減算器211
〜21Mからの誤差信号e1(k)〜eM(k)と、更に必要に応
じて破線で示すように反響信号y1(k)〜yM(k)が与えら
れ、前述した各種の方法のいずれかにより疑似反響路修
正ベクトルΔh∧1(k)〜Δh∧M(k)を計算し、更に
例えば式(29),(30) と同様にして次の時点(k+1) の疑似
反響路ベクトルh∧1(k+1)〜h∧M(k+1)を得る。
γm、γ'mの重み付けを行う前述の方法(1-a),(2-a-1),
(2-a-2),(2-b-1),(2-b-2),(3-a) 等を実施する場合の反
響路推定部19の機能構成ブロック図を示す。ベクトル
並べ変え・結合部41からの結合ベクトルx(1)(k)〜
x(D)(k)とベクトル結合部24からの結合ベクトル
x(k)は修正ベクトル計算部19Aに与えられると共
に、重み係数付加部19Bにも与えられる。
り実測入出力関係と近似入出力関係との間にそれぞれ重
み係数γm,γ'm を導入し、その重み係数を、疑似反響
路ベクトルの真の反響路に対する模擬程度に応じて変化
させ、重み係数付加部19B,19C,19Dに与え
る。即ち、重み係数制御部19Eは、この例では反響信
号y1(k)〜yM(k)を誤差信号e1(k)〜eM(k)と共に取り込ん
で各集音チャネルにおけるそれらの平均電力比rpm=Av|y
m(k)|2/Av|em(k)|2 (但しAvは平均値を表す)を疑似反
響路ベクトルの模擬程度を表す指標として計算し、その
値に基づいて重み係数γm,γ'mを決める。式(33),(7
0),(73),又は(82)におけるγm は、例えば常にγm=1 に
決めておき、電力比rpが予め決めた正の値rth より大き
くなれば、重み係数γ'mを1を超えない大きい正の所定
値とし、rpm≦rthとなれば重み係数γ'mを1を越えない
小さい正の所定値に設定する。重み係数評価及び制御部
19Gは方法(2-b-2)の場合に使用され、修正ベクトル
Δh∧(k) に基づいて、反響路類似誤差ベクトルΔ
f∧の影響を調節する重み係数κ1,κ2,κ3,κ4を
決定し、重み係数付加部19Bに与える。重み係数付加
部19Bは、式(73)中に示すように、受話信号ベクトル
xT 1,xT 2に対する重み係数κ1〜κ4とγ'1,γ'2
の組み合わせにより重みを与え、修正ベクトル計算部1
9Aに与える。重み係数付加部19C,19Dは、誤差
信号e1(k),e2(k)に対し重み係数γ'1,γ'2及びγ1,
γ2を与え、修正ベクトル計算部19Aに与える。修正
ベクトル計算部19Aは与えられた信号を使って式(3
3),(70),(73),(84)のいずれか1つを解くことにより修
正ベクトルΔh∧mn(k)を得て、適応フィルタ更新部
19Fに与える。適応フィルタ更新部19Fは式(29),
(30)により、疑似反響路ベクトルを修正して、時点(k+
1) の疑似反響路ベクトルとして出力し、図8のそれぞ
れの疑似反響信号生成部181〜18Mに与える。
係数vとwの重み付けを行う前述の方法(1-b),(2-a-3),
(2-b-3),(3-b-1),(3-b-2) を実施する場合の多チャネル
反響消去装置の機能ブロック図を示す。この例におい
て、図10の場合と同様に重み係数評価・制御部19G
は反響路の類似性誤差差分Δf∧(k) の影響を調節す
る重み係数κ1 〜κ4 を修正ベクトルΔh∧(k) に基
づいて決定し、重み係数付加部19Bに与える。修正ベ
クトル計算部19Aには受話信号結合ベクトルx(k)
及びチャネル入れ替えした受話信号結合ベクトルx
(1)(k),…,x(D)(k)が与えられる。この実施例では誤
差信号e'm(k)を式(39),(74),(84),(94) あるいは(95)で
示されるようにem(k) と相関のある成分と、それ以外の
成分に分離してそれぞれ重み係数w、vを与えるため、
重み係数制御部19Eにおいて、前述と同様に反響信号
y1(k)〜yM(k)と誤差信号e1(k)〜eM(k)から各集音チャネ
ルにおけるそれらの平均電力比rpm=Av|ym(k)|2/Av|e
m(k)|2 を疑似反響路ベクトルの模擬程度を表す指標と
して計算し、w、vの値を決定する。更に、相互相関計
算部19Hで受話信号の相互相関に関する行列c(k)=r'
(k)r-1(k)あるいは式(86)〜(89)のC1(k),C2(k) により
求め、成分分離部19Jに与える。
うに、誤差信号e'm(k)をem(k) と相関のある成分とそれ
以外の成分に分離し、それぞれ重み係数付加部19K、
19Lに与えられ、重み係数w及びvが与えられる。こ
れらの重み係数が与えられた相関成分とそれ以外の成分
は加算器19Mで加算され、修正ベクトル計算部19A
に与えられる。修正ベクトル計算部19Aは与えられた
信号から連立方程式(37),(74),(84),(94)あるいは(95)
を解いて修正ベクトルΔh∧(k) を求め、適応フィル
タ更新部19Fに与えると共に、重み係数評価及び制御
部19Gに与える。適応フィルタ更新部19Fは与えら
れた修正ベクトルに基づいて式(29),(30)により疑似反
響路ベクトルを計算し、出力する。
定部19において、反響路の対称性が良く、従って方法
(2-a) を使用する場合に、更に方法3のp次の射影アル
ゴリズムと方法4のESアルゴリズムを適用可能とする
修正ベクトル計算部19Aの機能ブロック構成を示す。
p次の射影アルゴリズムを実施するため、受話信号ベク
トルは信号蓄積部19A2に与えられ、過去(p-1) 個の受話
信号ベクトルが保持され、それらと現時点kの受話信号
ベクトルとの組である式(85)に示す受話信号行列X
(p) nが指数重み係数付加部19A1に与えられ、式(99),(10
0)で表される基本指数減衰行列A(r) により重み係数
が付加されて、連立方程式演算部19A3に与えられる。そ
れと共に図9、10の重み係数付加部19Bにより重み
付けされた受話信号ベクトルも連立方程式演算部19A3に
与えられる。
1(k),…,eM(k)及びγ'm又はv,wで重み付けされた誤
差信号e1(k),…,eM(k)も同様に信号蓄積部19A4、19A5に
おいて過去(pm-1)時点の誤差信号の組がそれぞれ保持さ
れ、現時点の誤差信号と共に連立方程式演算部19A3に与
えられる。連立方程式演算部19A3はこれらの与えられた
信号から連立方程式(47)を解いて修正ベクトルΔh∧
(k) を計算し、出力する。図10の場合は、過去(pm-1)
時点の実測誤差信号e1(k),…,eM(k)の組が信号蓄積部19
A4に保持され、現時点の実測誤差信号の組と共に連立方
程式演算部19A3に与えられ、加算器19Mからの成分分
離重み付き近似誤差信号の組が信号蓄積部19A5に与えら
れて過去(pm-1)時点の重み付き近似誤差信号の組が保持
される。これら(pm-1)組みの重み付き近似誤差信号と現
時点の誤差信号の組が連立方程式演算部19A3に与えられ
る。連立方程式演算部19A3はこれらの信号から例えば式
(74)を解いて修正ベクトルを得る。
定部19において、反響路の対称性の悪さ(即ち類似誤
差)を考慮して方法(2-b) により修正ベクトルを求める
場合の修正ベクトル計算部19Aの機能ブロック構成を
示す。この場合も方法3のp次の射影アルゴリズムと方
法4のESアルゴリズムを実行可能とするように構成さ
れている。図11と異なる点は、連立方程式演算部19A3
が類似性誤差差分Δf∧を含む連立方程式(69),(70),(7
3),(82),(84),(94),(95)のいずれかを解くことにより修
正ベクトルを求めることと、図9、10における重み係
数評価・制御部19Gによる類似性誤差差分ベクトルΔ
f∧(k)の影響を調節する重み係数を与えた受話信号
ベクトルに対しても、信号蓄積部19A6と指数重み係数付
加部19A7が更に設けられている点である。その他の構成
は図11と同様なので説明を省略する。
チャネルの伝送系と、多チャネルの集音・再生系を持つ
端末装置とを用いることにより、双方の音響空間情報の
伝達を可能とする臨場間の高い音声通信を実現する際に
反響を消去するために適用することができる。
チャネルの伝送系で結び、2チャネルの集音・再生系を
持つ端末装置を用いて、ステレオ音声通信を行なう場合
を考える。例えば、A地点から複数の異なる話者が一人
づつそれぞれの席から発話した場合に、集音されるステ
レオ音声信号には、それぞれの発話者と2本のマイクロ
ホンの位置関係に依存した相互相関がある。それらの音
声信号がB地点側において再生されるとき、従来の反響
消去装置を用いた場合では、反響路推定をステレオ信号
の相互相関に依存して誤るため、話者の交替の度にA地
点側に大きな反響が戻ってしまう。ところが、この発明
の反響消去方法では、反響路推定におけるステレオ信号
の相互相関の影響を低減して反響路をより速く推定でき
るため、話者の交替の度に起きていた反響の増大を低減
できる。図13は、体や頭を固定して発話した音声をス
テレオ集音した信号を再生信号として用いた計算機シミ
ュレーション結果であり、(a)従来方法、(b)この発明
者による先の出願(特願平7-50002) による相互相関の
変動抽出による方法、及び(c)この発明方法とにおい
て、反響路推定部で生成された疑似反響路結合ベクトル
と真の反響路結合ベクトルとの誤差ベクトルの大きさを
反響路推定開始時刻を0として比較したものである。こ
こで、従来方法はNLMSアルゴリズムを使った場合、
先の出願による相互相関の変動抽出による方法では2次
の射影アルゴリズムを用いた場合である。この発明方法
では式(107) によって修正ベクトルを求めた場合であ
り、γ1,γ'1,γ2,γ'2は反響消去量に応じて時変、
κ1=κ2=κ3=κ4=1.0、p1=p' 1=p2=p'2=2、A
(1)=A(2)=A(3)=A(4)=A(5)=A(6)で
ともに4ブロックに分割して[1.0,0.5,0.25,0.125]
の重みを付けた。この結果から明らかなように、この発
明方法によれば他の方法より急速に反響路誤差ベクトル
が減少し、しかもその大きさも小さくなっている。従っ
て、が有効であるといえる。
γ1=γ2=1とし、γ'1,γ'2の影響を調べた結果を図
14に示す。図14で曲線(a)はγ'1=γ'2=1.0、曲
線(b)はγ'1=γ'2=0.5とした場合で、これらを比較
すると、フィルタ係数の収束状態に応じて適切なγ'1,
γ'2の値が異なることがわかる。そこで反響消去量によ
ってγ'1,γ'2の値を変化させ、つまり反響消去量大で
γ'1,γ'2を小とさせると、曲線(c)のように特性が改
善され、更にインパルス応答の指数減衰性に着目したE
Sアルゴリズムを組み込むと、曲線(d)を得た。これは
この発明の方法が式(55)、(57)に表わされる未知の入出
力関係を近似的に利用しているためインパルス応答の統
計的性質の利用によって、この近似精度が改善されたた
めと考えられる。
て、この発明方法(3-b) を適用した例であり、式(84)に
おいて、以下のような係数を時不変として、反響路推定
の収束特性を描いたものであり、それぞれ曲線(a)はv1
=v2=0,w1=w2=1,p1=p'1=p2=p'2=1,μ1=μ2
=0.5、曲線(b)はv1=v2=1,w1=w2=1,p1=p'1=p2
=p'2=8,μ1=μ2=0.05、曲線(c)はv1=v2=0,w1
=w2=1,p1=p'1=p2=p'2=8,μ1=μ2=0.05、曲線
(d)はv1=v2=0,w1=w2=0,p1=p'1=p2=p'2=8,
μ1=μ2=0.05、曲線(e)はv1=v2=1,w1=w2=0,p1
=p'1=p2=p'2=8,μ1=μ2=0.05、の場合である。
この結果から分かるように、方法(3-b) では、方法(1-
b) の重み付け方法を採用しているため、図19中の曲
線(e)のように、近似入出力関係に関して得られた誤差
のうち、観測可能な入出力関係に関して得られた誤差と
冗長な成分を取り除いて評価することが可能となり、図
13、14のように重み係数を時間変化させなくとも、
良好な結果を得ることができる。応用例 ステレオ再生装置を有する端末において、前述のように
相手側で2チャネル集音されたステレオ信号を受信して
そのまま再生する方法の他に、多地点間通信等では、対
地毎の受話信号を受信側で任意に音像定位処理すること
により、受話環境を快適にする方法が考えられている。
この発明方法および装置は、このような多地点間通信用
端末にも適用可能である。図16は、4地点間通信の構
成を示したものである。各地点において、集音は1チャ
ネル(モノラル)である。いま、D地点を例にとって説
明する。D地点において、A、B、C地点からの受話信
号について、それぞれ、右、中央、左に定位するように
音像定位処理を施すことにより、新たな2チャネルステ
レオ再生信号を生成して2チャネルのステレオ再生を行
なうものとする。この場合、ある地点における2チャネ
ルの受話信号x1(k),x2(k)に対する応答y1(k)
は、
h11 T(k)とh21 T(k)との間に適用して、
を入れ替えた場合に得られる応答y'1(k)は、
に連立方程式を立てることにより、この発明方法に基づ
いた疑似反響路ベクトルの修正式が得られる。一般に多
チャネル再生系と1チャネル以上の集音系で構成される
通信会議システムに、従来の反響消去方法を適用した場
合、各チャネルの受話信号間に相互相関が強い場合に、
反響路の推定が正しく行なわれないため、受話信号間の
相互相関が変動する度に反響が増大する問題が生じてい
た。この発明方法においては、一定な相互相関関係にあ
る多チャネル受話信号による入出力関係とは別に、これ
らとは異なる相互相関関係にある多チャネル信号の入出
力関係を近似的に用いる。つまり、多チャネル受話信号
間のいくつか、あるいは全てが入れ替わって、対応する
チャネルとは異なるチャネルから音響信号として再生さ
れた場合にそれぞれ対応する反響路を経て集音器で得ら
れるべき未知の出力を近似的に求める。これより、これ
らの入出力関係について連立方程式を解いて反響路推定
を行なうので、その解が不定とならず、上記のような問
題を改善する効果がある。
ク図。
図。
動作を示す図。
カの対称配置状態の例を示す図。
システムの例を示すブロック図。
置の構成例を示すブロック図。
ロック図。
能ブロック図。
構成を示す機能ブロック図。
他の構成を示す機能ブロック図。
の収束特性を示す図。
の収束特性に対する影響を示す図。
ステップサイズμ1,μ2の反響路推定の収束特性への影
響を示す図。
る音声通信会議システムを示すブロック図。
Claims (25)
- 【請求項1】 多チャネル反響消去方法であり、以下の
ステップを含む: (a) 複数のチャネルの受話信号をそれぞれ対応する複数
の再生器で音響信号として再生し、 (b) 上記複数の再生器からそれぞれの反響路を経て少な
くとも1つの集音器において加算され観測可能な反響信
号として得て、 (c) 上記複数のチャネルの上記受話信号をそれぞれ所定
時間蓄積し、チャネルごとに蓄積されている受話信号に
より受話信号ベクトルを生成し、 (d) 全てのチャネルについての上記受話信号ベクトルを
結合して観測可能な受話信号結合ベクトルを生成し、 (e) それぞれの上記反響路のインパルス応答が表す反響
路ベクトルの結合ベクトルを模擬する疑似反響路結合ベ
クトルを有する疑似反響路に上記受話信号結合ベクトル
を与えることによりその出力に上記観測可能な反響信号
を模擬する疑似反響信号を生成し、上記受話信号結合ベ
クトルとそれに対応する上記反響信号は上記複数の反響
路についての観測可能な入出力関係に対応しており、 (f) 上記反響信号から上記疑似反響信号を減算して残留
反響信号を得て、 (g) 上記複数のチャネルの少なくとも2つの受話信号を
入れ替えた場合の入れ替え受話信号結合ベクトルを上記
疑似反響路に与えた場合の近似疑似反響信号を求め、 (h) 上記受話信号を上記ステップ(g) と同様に入れ替え
た場合に上記複数の反響路を通って上記集音器より得ら
れるべき反響信号を近似により求め、これを近似反響信
号とし、 (i) 上記近似反響信号から上記近似疑似反響信号を減算
して近似残留反響信号を求め、 (j) 上記観測受話信号結合ベクトルとそれに対応する上
記観測可能な残留反響信号の関係を表す観測可能な入出
力関係と、上記入れ替えた受話信号結合ベクトルと上記
近似残留反響信号との関係を表す近似入出力関係を評価
し、その評価に基づいて上記修正ベクトルを求め、 (k) 上記修正ベクトルにより上記疑似反響路ベクトルを
修正する。 - 【請求項2】 請求項1の方法において、上記ステップ
(j) の上記評価において、上記近似入出力関係と、上記
各チャネルの受話信号がそのまま再生された場合の観測
可能な入出力関係との少くとも一方に重みを付けて評価
するステップを含む。 - 【請求項3】 請求項2の方法において、上記重み付け
は、上記近似入出力関係と上記観測可能な入出力関係と
の出力に相当するそれぞれの反響信号とそれらを模擬す
る疑似反響信号と各差である残留反響信号に、それぞれ
時不変あるいは時変の係数を乗じて行うステップを含
む。 - 【請求項4】 請求項2の方法において、上記重み付け
は、上記近似残留反響信号を、上記観測可能な残留反響
信号と相関のある成分とそれ以外の成分に分離し、それ
ぞれの成分に時不変あるいは時変の係数を独立に乗じて
行うステップを含む。 - 【請求項5】 請求項4の方法において、上記実際に観
測される既知の入出力関係と、この入出力関係の評価に
用いられる上記観測可能な残留反響信号と、上記複数の
反響路間の類似性とを利用することにより上記近似入出
力関係を求め、かつ上記再生器、集音器間の距離、向き
などの物理的配置関係が類似した再生器、集音器間にお
ける反響路の類似性を仮定して、その類似性の違いを反
響路類似誤差ベクトルとして導入し、上記近似入出力関
係と、上記観測可能な入出力関係に加え、その過去の入
出力関係を射影アルゴリズムを用いて上記疑似反響路の
修正ベクトルを求めるステップを含む。 - 【請求項6】 請求項5の方法において、上記反響路類
似誤差ベクトルの影響を調節可能とする、重み係数を導
入するステップを含む。 - 【請求項7】 請求項2、3又は4の方法において、各
演算時刻ごとに、上記反響信号と上記残留反響信号との
比、上記反響信号と上記残留反響信号との平均電力比、
上記残留反響信号の絶対値、上記残留反響信号の平均電
力、のうちの少なくとも一つを利用して、上記の重み付
け係数の値を決定するステップを含む。 - 【請求項8】 請求項1の方法において、上記実際に観
測される既知の入出力関係と、この入出力関係の評価に
用いられる残留誤差信号と、反響路の類似性とを利用す
ることにより上記近似入出力関係を求めるステップを含
む。 - 【請求項9】 請求項2の方法において、上記実際に観
測される既知の入出力関係と、この入出力関係の評価に
用いられる残留誤差信号と、反響路の類似性とを利用す
ることにより上記近似入出力関係を求めるステップを含
む。 - 【請求項10】 請求項4の方法において、上記反響信
号と上記残留反響信号との比、上記反響信号と上記残留
反響信号との平均電力比、上記残留反響信号の絶対値、
上記残留反響信号の平均電力、のうちの少なくとも一つ
を計算し、その値に基づいて上記残留反響信号の収束状
態を判定し、上記残留反響信号の収束状態が悪い場合
は、上記観測可能な残留反響信号と相関のある成分に対
する重み係数を0以外の所定値とし、残りの成分に対す
る重み係数を0とし、収束状態が良い場合は両成分を0
を含む所定値にそれぞれ重み付けするステップを含む。 - 【請求項11】 請求項8の方法において、上記近似入
出力関係と、上記観測可能な入出力関係に加えて、それ
らの過去の関係を利用して、上記疑似反響路の修正ベク
トルを求めるステップを含む。 - 【請求項12】 請求項11の方法において、上記過去
の入出力関係を射影アルゴリズムを用いて利用するステ
ップを含む。 - 【請求項13】 請求項8、9又は11の方法におい
て、上記反響路の類似性は再生器、集音器間の距離、向
きなどの物理的配置関係が類似した再生器、集音器間に
おける反響路は互いに等しいと仮定して利用するステッ
プを含む。 - 【請求項14】 請求項4、8、9又は11の方法にお
いて、上記再生器、集音器間の距離、向きなどの物理的
配置関係が類似した再生器、集音器間における反響路の
類似性を仮定して、その類似性の違いを反響路類似誤差
ベクトルとして導入して利用するステップを含む。 - 【請求項15】 請求項14の方法において、上記反響
路類似誤差ベクトルの影響を調節可能とする、重み係数
を導入するステップを含む。 - 【請求項16】 請求項8、9又は11の方法におい
て、上記疑似反響路の修正ベクトルを求める際に、上記
反響路のインパルス応答の指数減衰性に基づいてタップ
毎に異なる修正重み係数を与えるESアルゴリズムを適
用するステップを含む。 - 【請求項17】 多チャネル反響消去装置であり、以下
を含む: 複数のチャネルの受話信号をそれぞれ音響信号に再生し
て出力する複数の再生器と、 少なくとも1つの送信用チャネルに接続された集音器
と、上記音響信号が上記複数の再生器から上記集音器に
至る音響路は反響路をそれぞれ形成し、上記集音器に集
音され、合成された上記音響信号は反響信号として上記
送話チャネルに入力され、 上記複数のチャネルの受話信号をそれぞれ一時的に保持
して各受話信号ベクトルを生成する受話信号ベクトル生
成部と、 上記複数のチャネルの受話信号ベクトルを結合して受話
信号結合ベクトルを生成するベクトル結合部と、 上記受話信号結合ベクトルが与えられ、上記複数の再生
器から上記集音器に至る上記反響路のインパルス応答を
表す反響路ベクトルを結合した反響路結合ベクトルを模
擬する疑似反響路結合ベクトルを有し、上記受話信号結
合ベクトルが入力されて、上記観測可能な反響信号を模
擬する疑似反響信号を出力する疑似反響信号生成部と、 上記集音器からの反響信号から上記疑似反響信号を減算
して、その差を観測可能な残留反響信号として出力する
減算器と、 上記複数チャネルの少なくとも2つの受話信号を入れ替
えて結合して得た並べ替え受話信号結合ベクトルを生成
するベクトル並べ替え結合部と、 少なくとも上記観測受話信号結合ベクトルと、それに対
応する上記観測可能な残留反響信号とが与えられ、上記
並べ替え受話信号結合ベクトルを上記疑似反響路に与え
た場合の近似疑似反響信号を求め、上記受話信号を入れ
替えた場合に上記集音器より得られるべき反響信号を近
似により近似反響信号として求め、上記近似反響信号か
ら上記近似疑似反響信号を減算して近似残留反響信号を
求め、上記受話信号結合ベクトルとそれに対応する上記
観測可能な残留反響信号との関係を表す観測可能な入出
力関係と、上記並べ替え受話信号結合ベクトルとそれに
対応する上記近似残留反響信号との関係を表す近似入出
力関係を評価し、その評価に基づいて上記修正ベクトル
を求め、上記修正ベクトルにより上記疑似反響路ベクト
ルを修正した疑似反響路ベクトルを生成し上記疑似反響
信号生成部に与える反響路推定部。 - 【請求項18】 請求項17の装置において、上記反響
路推定部は、 上記観測可能な残留反響信号と上記近似残留反響信号と
に対し、相対的な重みを与える残留反響信号重み付加手
段と、 上記受話信号結合ベクトル及び上記並べ替え受話信号ベ
クトルと上記観測可能な残留反響信号及び近似残留反響
信号との関係から上記修正ベクトルを求める修正ベクト
ル計算部と、 上記修正ベクトルを使って上記疑似反響路ベクトルを修
正し、上記疑似反響信号生成部に与える適応フィルタ更
新部、 とを含む。 - 【請求項19】 請求項17の装置において、上記反響
路推定部は、 上記近似残留反響信号を、上記観測可能な残留反響信号
と相関のある相関成分とそれ以外の非相関成分とに分離
する成分分離部と、 上記相関成分と非相関成分に相対的な重みを与える成分
重み係数付加手段とを含む。 - 【請求項20】 請求項19の装置において、上記反響
路推定部は上記受話信号ベクトルに対する上記並び替え
受話信号ベクトルの相互相関を求める相互相関計算部を
含み、上記成分分離部は上記近似残留反響信号の、上記
観測可能な残留反響信号と相関のある成分として、上記
相互相関計算部で求めた上記相互相関と上記観測可能な
残留反響信号の積を計算する手段を含む。 - 【請求項21】 請求項18又は19の装置において、
上記反響路推定部は各演算時刻ごとに、上記反響信号と
上記残留反響信号との比、上記反響信号と上記残留反響
信号との平均電力比、上記残留反響信号の絶対値、上記
残留反響信号の平均電力、のうちの少なくとも1つを上
記観測可能な残留反響信号の収束状態を表す指標として
計算し、その値に基づいて上記重み係数を制御する重み
係数制御部を含む。 - 【請求項22】 請求項18又は19の装置において、
上記反響路推定部は互いに類似な反響路間の類似誤差ベ
クトルと、それらに対応する上記疑似反響路間の類似誤
差ベクトルとの差分である類似誤差差分ベクトルがもた
らす上記残留反響信号への影響を調整するための重み係
数を上記受話信号ベクトルに対し与える類似誤差重み係
数付加部を含む。 - 【請求項23】 請求項18又は19の装置において、
上記修正ベクトル計算部は、上記受話信号ベクトルと、
上記並べ替え受話信号ベクトルと、上記残留反響信号を
現時点から過去の所定時点数遡って保持する信号蓄積部
と、これら現時点から過去の時点に渡るそれぞれの上記
受話信号ベクトル及び並べ替え受話信号ベクトルと、上
記残留反響信号と、上記修正ベクトルとの関係を使って
連立方程式を解くことにより上記修正ベクトルを得る連
立方程式演算部とを含む。 - 【請求項24】 請求項22の装置において、上記修正
ベクトル計算部は、上記受話信号ベクトルと、上記並べ
替え受話信号ベクトルと、上記残留反響信号を現時点か
ら過去の所定時点数遡って保持する信号蓄積部と、これ
ら現時点から過去の時点に渡るそれぞれの上記受話信号
ベクトル及び並べ替え受話信号ベクトルと、上記残留反
響信号と、上記修正ベクトル及び類似誤差差分ベクトル
との関係を使って連立方程式を解くことにより上記修正
ベクトルを得る連立方程式演算部とを含む。 - 【請求項25】 請求項23又は24の装置において、
上記修正ベクトル計算部は、上記現時点から所定時点数
過去までの上記受話信号ベクトル及び上記並べ替え受話
信号ベクトルのそれぞれに対し、同じ要素数の指数減衰
係数ベクトルにより重み付けする指数重み係数付加手段
を含み、上記連立方程式演算部はESアルゴリズムを使
って上記修正ベクトルを求める。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP25486896A JP3402427B2 (ja) | 1995-09-26 | 1996-09-26 | 多チャネル反響消去方法及び装置 |
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Publications (2)
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---|---|
JPH09312597A JPH09312597A (ja) | 1997-12-02 |
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Family
ID=27298559
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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-
1996
- 1996-09-26 JP JP25486896A patent/JP3402427B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (2)
Title |
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島内 末廣,牧野 昭二,"擬似入出力関係を利用したステレオ音響エコーキャンセラ用アルゴリズムの検討",日本音響学会平成7年度秋季研究発表会講演論文集I,1995年 9月27日,pp.543−544,(2−6−5) |
島内 末廣,牧野 昭二,"真の音響エコー経路を推定するステレオ射影エコーキャンセラの検討",1995年電子情報通信学会総合大会講演論文集 基礎・境界,1995年 3月10日,p.220,(A−220) |
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JPH09312597A (ja) | 1997-12-02 |
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