JP3180543B2 - 反響消去装置 - Google Patents

反響消去装置

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JP3180543B2
JP3180543B2 JP00559694A JP559694A JP3180543B2 JP 3180543 B2 JP3180543 B2 JP 3180543B2 JP 00559694 A JP00559694 A JP 00559694A JP 559694 A JP559694 A JP 559694A JP 3180543 B2 JP3180543 B2 JP 3180543B2
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昭二 牧野
雅史 田中
豊 金田
陽一 羽田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、2線4線変換系およ
び拡声通話系などにおいてハウリングの原因および聴覚
上の障害となる反響信号を、反響路の特性を推定して設
定した擬似反響路よりの信号により消去する反響消去装
置、特に反響路の特性推定を射影法あるいはES射影法
により行う反響消去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】衛星通信や音声会議の普及に伴い、同時
通話性能に優れ反響感の少ない通話装置の提供が望まれ
ている。この要求を満たすものとして反響消去装置があ
る。図7は従来の反響消去装置の一例を示すブロック図
で、拡声通話の場合を示している。受話信号(入力信
号)x(t) を受ける受話入力端1からスピーカ2に至る
受話系と、マイクロホン3から送話出力端4に至る送話
系とからなる通話系において、A/D変換器5により受
話信号x(t) がサンプル値化され、その受話信号x(n)
が擬似反響路6へ供給され、擬似反響路6からの擬似反
響信号y(n) ′を、マイクロホン3から入力され、A/
D変換器7によりサンプル値化された反響信号y(n) か
ら減算器8で差し引くことにより反響信号y(n) は消去
され、その消去された残りの信号がD/A変換器9でア
ナログ信号に変換されて送話出力端4へ出力される。
【0003】ここで擬似反響路6は、スピーカ2からマ
イクロホン3へ至る反響路11の経時変動に追従する必
要がある。この構成例において擬似反響路6はディジタ
ルFIRフィルタを用いて構成し、残差信号e(n) =y
(n) −y(n) ′が0に近づくように、例えばLMS法、
学習同定法、ES法、射影法またはES射影法などを用
いた推定回路12によってフィルタ係数の逐次修正を行
なう。このように擬似反響路6の修正が行なわれること
によって、常に最適な反響消去が維持される。
【0004】前記射影法は、アルゴリズム内部で入力信
号の自己相関を取り除くことにより、音声信号のように
相関のある信号に対する収束速度を改善するという考え
方に基づいている。ここでは簡単のめた、2次の射影法
について述べる。2次の射影法により、音声信号に対す
る収束速度を学習同定法の約2倍に改善できる。2次の
射影法により擬似反響路6は次の(1)式に従って逐次
修正され、擬似反響路6のインパルス応答h(n) ′は
真の反響路11のインパルス応答h(n) に近づいてゆ
く。
【0005】 h(n+1) ′=h(n) ′+α[β(n) x(n) +γ(n) x(n-1) ] (1) ただし、h (n) ′=(h1(n)′,h2(n)′,…,hL (n) ′)
T :擬似反響路 (FIRフィルタ)6のインパルス応答、つまりフィル
タ係数x (n) =(x(n) ,x(n-1) ,…,x(n-L+1) )T
受話信号ベクトル α:ステップサイズ(スカラ量) e(n) :残差信号(=y(n) −y(n) ′) y(n) ′=h(n) ′T x(n) L:擬似反響路6のタップ数T :ベクトルの転置 n:離散化時間 2次の射影法では、過去の2個の入力信号ベクトルx
(n),x(n-1) に対して正しい出力y(n) ,y(n-1) を
得るようにh(n) ′を修正する。すなわち、α=1の
時 x(n) T h(n+1) ′=y(n) (2) x(n-1) T h(n+1) ′=y(n-1) (3) が成り立つように(1)式の定数β(n) ,γ(n) を決定
する。即ち(1)式を(2)式に代入すれば β(n) x(n) T x(n) +γ(n) x(n-1) T x(n) =e(n) (4) となる。同様に(1)式を(3)式に代入すれば β(n) x(n-1) T x(n) +γ(n) x(n-1) T x(n-1) =(1−α)e(n-1) (5) となる。
【0006】連立方程式(4)(5)をβ(n) ,γ(n)
について解けば
【0007】
【数1】 となる。β(n),γ(n) を(1)式に代入すれば(2)
(3)式を満足するh(n+1) ′が求まる。図8は2次
の射影法を用いた推定回路12の内部の一例を示したも
のである。受話信号(入力信号)x(n) は受話信号記憶
回路141 ,142 で受話信号ベクトルx(n) ,x
(n-1) とされる。ノルム演算回路151 ,152 ,153 ,15
4ではそれぞれx(n) T x(n),x(n) T x(n-
1),x(n-1) T x(n),x(n-1) T x(n-1) が演
算される。これら演算されたノルムと、残差信号e(n)
と、残差記憶回路16からの残差信号e(n-1) およびス
テップサイズ記憶回路17からのステップサイズαと
は、β(n),γ(n) 演算回路18に供給されて(6)
(7)式の演算がなされて、定数β(n),γ(n) を求め
る。これらβ(n),γ(n) と前記 x(n),x(n-1),α
とは修正情報生成回路19に供給されて α[β(n) x(n) +γ(n) x(n-1) ] (8) が演算され、その出力は加算器21へ供給されてタップ
係数記憶回路22からのh(n) ′に加算されてh(n
+1) ′が得られる。この演算結果h(n+1) ′は擬似反
響路6へ出力されると同時に、タップ係数記憶回路22
の値を更新する。
【0008】以上の操作により、擬似反響路6は(1)
式に従って逐次修正され、擬似反響路6のインパルス応
答h(n) ′は真の反響路11のインパルス応答h
(n) に近づいてゆく。ES射影法は、射影法において従
来スカラ量として与えられていたステップサイズαをス
テップサイズ行列Aという対角行列に拡張し、第2の
ステップサイズμ(スカラ量)を導入したもので、反響
路11の変動特性に着目したES法と、入力信号の性質
に着目した射影法とのそれぞれの利点を生かした手法で
ある(詳細は特願平4−44649に記載されてい
る)。ここでは簡単のため、2次のES射影法について
述べる。2次のES射影法により、音声信号に対する収
束速度を学習同定法の約4倍に改善できる。2次のES
射影法により擬似反響路6は次の(9)式に従って逐次
修正され、擬似反響路6のインパルス応答h(n) ′の
真の反響路11のインパルス応答h(n) に近づいてゆ
く。h (n+1) ′=h(n) ′+μA[β(n) x(n) +γ(n) x(n-1) ](9) ただし、A =diag[α1 ,α2 ,…,αL ]:ステップサイズ
行列 αi =α0 λi-1 (i=1,2,…,L) λ:インパルス応答変動量の減衰率(0<λ<1) μ:第2のステップサイズ(スカラ量) 2次のES射影法では、過去の2個の入力信号ベクトル
x(n),x(n-1) に対して正しい出力y(n),y(n-1)
を得るようにh(n) ′を修正する。すなわち、 x(n) T h(n+1) ′=y(n) (10) x(n-1 ) Th(n+1) ′=y(n-1) (11) が成り立つように定数β(n),γ(n) を決定する。このた
め(9)式を(10)式に代入すれば β(n) x(n) T Ax(n) +γ(n) x(n-1 ) TAx(n) =e(n) (12) となる。同様に(9)式を(11)式に代入すれば β(n) x(n-1) T Ax(n) +γ(n) x(n-1 ) TAx(n-1) =(1−μ)e(n-1) (13) となる。
【0009】連立方程式(12)(13)をβ(n),γ(n) に
ついて解けば
【0010】
【数2】 となる。β(n),γ(n) を(9)式に代入すれば(10)
(11)式を満足するh(n+1) ′が求まる。図9は2次
のES射影法を用いた推定回路12の内部の一例を示し
たものであり、図8と対応する部分には同一符号を付け
てある。
【0011】ステップサイズ行列記憶回路24には第1
のステップサイズ行列Aが記憶される。受話信号x
(n) は受話信号記憶回路141,142 で受話信号ベクト
ルx(n) ,x(n-1) とされる。ノルム演算回路2
31 ,232 ,233 ,234 ではそれぞれ第1のステップサイズ
行列Aで重み付けたノルムx(n) T Ax(n) ,
x(n) T Ax(n-1) ,x(n-1) T Ax(n)
,x(n-1) T Ax(n-1) が演算される。これ
ら演算されたノルムと、残差信号e(n) と、残差記憶回
路16からの残差信号e(n-1) およびステップサイズ記
憶回路25からの第2のステップサイズμとは、β(n),
γ(n) 演算回路26に供給されて(14)(15)式の演算
がなされて、定数β(n),γ(n) を求める。これらβ(n)
,γ(n) ,前記x(n) ,x(n-1) ,μ,Aは修
正情報生成回路27に供給されて μA[β(n) x(n) +γ(n) x(n-1) ] (16) が演算され、その出力は加算器21へ供給されてタップ
係数記憶回路22からのh(n) ′に加算されてh(n
+1) ′が得られる。その演算結果h(n+1) ′は擬似反
響路6へ出力されると同時に、タップ係数記憶回路22
の値を更新する。
【0012】以上の操作により、擬似反響路6は(9)
式に従って逐次修正され、擬似反響路6のインパルス応
答h(n) ′は真の反響路11のインパルス応答h
(n) に近づいてゆく。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】射影法およびES射影
法は、入力信号が白色信号のように定常な信号であれば
安定した動作を示す。しかし、音声信号のように語と語
の区切り、息継ぎなどによって無音区間が生じる場合に
は、射影法における(6)(7)式、およびES射影法
における(14)(15)式は、入力信号ベクトルx(n),
x(n-1) が零となって零除算を行なうことになるため
発散し、推定インパルス応答h(n) ′、即ちフィルタ
係数は大きく乱れる。その結果、このような無音区間で
は反響消去量が低下するという問題があった。実際の反
響消去装置では、入力信号がないときには適応を止める
などの対策(ダブルトーク制御)が講じられているが、
微小時間の無音区間にまでダブルトーク制御を適用する
のは困難であり、その解決策が強く求められていた。
【0014】この発明は上記の問題点に鑑みてなされた
もので微小時間の無音区間がある場合にも収束速度を遅
くすることなく反響消去量の大きな反響消去装置を提供
することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明によれば正の零
除算防止用定数δが記憶部に記憶され、推定手段では射
影法あるいはES射影法に含まれる連立方程式を解く際
の計算式の分母に前記零除算防止用定数δが加えられ
る。さらに、定数δの大きさは周囲騒音レベルに応じて
適応的に決定される。
【0016】
【作用】この発明は、上記のように構成されているか
ら、音声信号のように語と語の区切り、息継ぎなどによ
って無音区間が生じる場合にも安定に動作し、収束速度
を遅くすることなく反響消去量の大きな反消去装置を得
ることができる。射影法において(6)(7)式の分母
に正の定数δを加えることにより、次の(17)(18)式
を演算することに、微小時間の無音区間があり、x
(n),x(n-1) が0となる場合にも零除算が防止され
る。
【0017】
【数3】 またES射影法において(14)(15)式の分母に正の定
数δを加えることにより、次の(19)(20)式を演算す
ることになり、微小時間の無音区間があり、x(n),
x(n-1) が0となる場合にも零除算が防止される。
【0018】
【数4】 δが小さ過ぎる場合には効果が期待できず、また、大き
過ぎる場合には収束速度が遅くなってしまう。δの最適
値は周囲騒音レベルに関係し、周囲騒音レベルが小さい
場合にはδの最適値は小さく、周囲騒音レベルが大きい
場合にはδの最適値は大きい。そこで、定数δの大きさ
を周囲騒音レベルに応じて適応的に決定する。
【0019】
【実施例】図1は射影法にこの発明を適用した実施例を
示し、図8と対応する部分には同一符号を付けてある。
δ決定回路31で受話信号(入力信号)x(n) 、反響信
号y(n) 、残差信号e(n) を用いて周囲騒音レベルを検
出し、その騒音レベルに応じて正の定数(零除算防止用
定数)δを決定する。即ち、受話信号x(n) がない時の
残差信号e(n)又は反響信号y(n) (送話信号零)は反
響路11の騒音であり、また反響信号が十分抑圧された
時の残差信号e(n) (送話信号零)も反響路11の騒音
とほぼ一致する。マイクロホン3への送話信号のレベル
は、その周辺の騒音レベルより通常は十分大である。よ
って前述のようにして求めた騒音、つまり残差信号e
(n)に対するマイクロホン3からの信号y(n) の比y(n)
/e(n) は、S/Nと対応する。このS/Nに応じて
これが大きい程大きな定数δを決定する。このS/Nと
δとの関係は予めテーブルとして持っておき、求めたS
/Nでそのテーブルを参照してδを求めればよい。この
テーブルについては後述する。δ記憶回路32にはこの
決定された正の定数δが記憶される。受話信号x(n) は
受話信号記憶回路141 ,142 で受話信号ベクトル
x(n),x(n-1) とされる。ノルム演算回路151
152 ,153 ,154 ではそれぞれx(n) T
(n),x(n) T x(n-1),x(n-1) T x(n),x(n-
1) T x(n-1) が演算される。これら演算されたノル
ム、残差信号e(n),残差記憶回路16からの残差信号e
(n-1),ステップサイズ記憶回路17からのステップサイ
ズαおよびδ記憶回路32からの正の定数δは、β(n),
γ(n) 演算回路18に供給されて(17)(18)式を演算
して、定数β(n),γ(n) を求める。これらβ(n),γ(n)
と前記x(n),x(n-1),αは修正情報生成回路19に
供給されて α[β(n) x(n) +γ(n) x(n-1) ] (8) が演算され、その出力は加算器21へ供給されてタップ
係数記憶回路22からのh(n) ′に加算されてh(n
+1) ′が得られる。演算結果h(n+1) ′は擬似反響路
6へ出力されると同時に、タップ係数記憶回路22の値
を更新する。
【0020】以上の操作により、擬似反響路6は(1)
式に従って逐次修正され、擬似反響路6のインパルス応
答h(n) ′は真の反響路11のインパルス応答h
(n) に近づいてゆく。図2はES射影法にこの発明を適
用した実施例を示したものであり、図9と対応する部分
には同一符号を付けてある。
【0021】δ決定回路31で受話信号x(n) 、反響信
号y(n) 、残差信号e(n) を用いて周囲騒音レベルを検
出し、その騒音レベルに応じて正の定数δを決定する。
δ記憶回路32にはその決定した正の定数δが記憶され
る。ステップサイズ行列記憶回路24には第1のステッ
プサイズ行列Aが記憶される。受話信号x(n) は受話
信号記憶回路141 ,142 で受話信号ベクトルx
(n),x(n-1) とされる。ノルム演算回路231 ,23
2 ,233 ,234 ではそれぞれ第1のステップサイズ
行列Aで重み付けたノルムx(n) T Ax(n),
x(n) T Ax(n-1),x(n-1) T Ax(n),
x(n-1) T Ax(n-1) が演算される。これら演算
されたノルム、残差信号e(n) 、残差記憶回路16から
の残差信号e(n-1) 、ステップサイズ記憶回路25から
の第2のステップサイズμおよびδ記憶回路32からの
正の定数δは、β(n),γ(n) 演算回路26に供給されて
(19)(20)式の演算を行って、定数β(n),γ(n) を求
める。μ,A,β(n),γ(n),x(n),x(n-1) は修
正情報生成回路27に供給されて μA[β(n) x(n) +γ(n) x(n-1) ] (16) が演算され、その出力は加算器21へ供給されてタップ
係数記憶回路22からのh(n) ′に加算されてh(n
+1) ′が得られる。その演算結果h(n+1) ′は擬似反
響路6へ出力されると同時に、タップ係数記憶回路22
の値を更新する。
【0022】以上の操作により、擬似反響路6は(9)
式に従って逐次修正され、擬似反響路6のインパルス応
答h(n) ′は真の反響路のインパルス応答h(n) に
近づいてゆく。図3はサブバンドエコーキャンセラにこ
の発明を適用した実施例を示したものであり、図7と対
応する部分には同一符号を付けてある。
【0023】サブバンドエコーキャンセラは、信号を複
数の周波数帯域に分割し、それぞれの帯域に擬似反響路
(適応フィルタ)を設け、それぞれの帯域で独立に反響
信号を消去するものである。受話入力端1からの受話信
号x(t) は周波数帯域分割回路35で周波数帯域別のN
個の実数信号xk (m) (k=0,1,…,N−1)に分
割される。同様にマイクロホン3からの反響信号y(t)
は周波数帯域分割回路36で周波数帯域別のN個の実数
信号yk (m) に分割される。
【0024】それぞれの周波数帯域と対応した擬似反響
路6k に分割された受話信号xk (m) が入力され、擬似
反響路6k からの擬似反響信号yk (m) を反響信号yk
(m)から減算器8k で差し引くことにより反響信号y
k (m) は消去される。ここで擬似反響路6k は反響路1
1の経時変動に追従する必要があり、残差信号ek (m)
=yk (m) −yk (m) が0に近づくように、射影法また
はES射影法を用いた推定回路12k によって逐次推定
され、擬似反響路6k の修正が行なわれることによっ
て、常に最適な反響消去が維持される。
【0025】各周波数帯域の残差信号ek (m) は周波数
帯域合成回路37で全周波数帯域の残差信号e(t) に合
成される。音声信号のパワーは低周波数帯域に集中して
おり、高周波数帯域には少ない。そのため、高周波数帯
域ほど無音区間が多くなる。その結果、零除算により発
散し反響消去量が低下するという問題は高周波数帯域ほ
ど深刻になる。そこで、第k番目の周波数帯域の推定回
路12k の内部に、図1又は2に示した場合と同様に定
数δを用いる。定数δの大きさは各周波数帯域ごとに、
各周波数帯域における周囲騒音レベルに応じて適応的に
決定する。この各定数δの決定は図1中のδ決定回路3
1について述べたと同様にして行えばよい。この場合、
S/Nとδとの関係テーブルは各周波数帯域に対して共
通のものを用いる。このように各周波数帯域ごとにδを
用いることにより、各周波数帯域において零除算による
発散が防止され、収束速度を遅くすることなく反響消去
量の大きな反響消去装置を提供することができる。
【0026】この発明装置における収束特性の計算機シ
ミュレーションを行なった。計算機シミュレーションに
は実測したインパルス応答(512タップ、サンプリン
グ周波数8kHz)を使用した。受話信号には日本語お
よび英語の音声信号を用い、反響信号にはS/N比=7
〜41dBとなるように近端雑音を加えた。図4は反響
消去量の収束特性の計算機シミュレーション結果であ
る。従来の2次の射影法(実線)では音声の無音区間に
反響消去量が0dB以下にまで劣化している。これに対
して、この発明(破線)では、収束速度を遅くすること
なく音声の無音区間においても10dB以上の反響消去
量を保持している。その結果、無音区間後の反響消去量
も従来のものに比べて10dB以上大きくできることが
分かる。
【0027】図5は反響消去量の収束特性の50回の平
均値である。従来の2次の射影法(実線)に比べて収束
速度を遅くすることなく10dB以上も定常反響消去量
を大きくできることが分かる。図6は学習開始後3秒間
の平均反響消去量が最大となるときのδを最適値として
求め、S/N比との関係として表示したものである。δ
は分母項の平均で正規化してあり、分母項の平均値に対
してデシベルで表示されている。δの最適値はS/N比
と簡単な対応関係にあり、S/N比を求めて図6の関係
に従ってδを決定すれば、最適な反響消去が達成でき
る。この図6の関係を予め求め、これを前述したように
テーブルとしてもっておくことにより、騒音レベルに応
じて適応的にδを変更することができる。
【0028】上述では零除算防止用定数δを、適応的に
変更したが、反響消去装置を用いる環境に応じて、その
騒音レベルがある範囲内にあることがある。このような
場合は、その平均騒音レベルに応じた定数δを固定的に
設定してもよい。サブバンドエコーキャンセラにおいて
は、低い帯域のδは小さく、高い帯域のδは大きな値に
それぞれ固定的に設定されることになる。拡声通話系で
は人の移動などによる反響路の変動が多く、これに迅速
に適応できることは大きな利点となる。
【0029】以上、擬似反響路のディジタルフィルタと
してFIRフィルタで説明したが、他の任意のディジタ
ルフィルタであってもよい。また、推定回路12の反響
路推定アルゴリズムとして2次の射影法あるいは2次の
ES射影法で説明したが、2次以上の射影法あるいはE
S射影法であってもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、射影法あるいはES射影法に含まれる連立方程式を
解く際の零除算を防止するため、計算式の分母に正の定
数δを加えることにより、微小時間の無音区間がある場
合にも零除算を防止し、さらに、定数δの大きさを周囲
騒音レベルに応じて適応的に決定するようにしたから、
音声信号のように語と語の区切り、息継ぎなどによって
無音区間が生じる場合にも安定に動作し、収束速度を遅
くすることなく反響消去量の大きな反消去装置を得るこ
とができる。従って通話品質が改善される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を射影法に適用した推定回路の実施例
を示すブロック図。
【図2】この発明をES射影法に適用した推定回路の実
施例を示すブロック図。
【図3】この発明をサブバンドエコーキャンセラに適用
した実施例を示すブロック図。
【図4】この発明と従来装置の収束過程のシミュレーシ
ョン結果を示す説明図。
【図5】この発明と従来装置の収束過程のシミュレーシ
ョン結果を示す説明図(50回の平均値)。
【図6】δの最適値とS/N比との関係のシミュレーシ
ョン結果を示す説明図。
【図7】従来の反響消去装置の一例を示すブロック図。
【図8】従来の射影法を用いた推定回路12の内部の一
例を示すブロック図。
【図9】従来のES射影法を用いた推定回路12の内部
の一例を示すブロック図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 羽田 陽一 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−22984(JP,A) 米国特許4956838(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 3/23 H04M 1/60

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反響路への入力信号を、ディジタルフィ
    ルタで構成された擬似反響路へ通して擬似反響信号を
    得、 その擬似反響信号を、上記入力信号が上記反響路を経由
    した反響信号から差し引いて上記反響信号を消去し、 上記反響信号から上記擬似反響信号を差し引いた残差信
    号と上記入力信号とから推定手段で射影法あるいはES
    射影法により上記反響路のインパルス応答を逐次推定し
    て、上記擬似反響路に設定する反響消去装置において、 零除算防止用定数を記憶する記憶部と、 上記反響路の騒音レベルに応じて適応的に上記零除算防
    止用定数を決定して上記記憶部に記憶する手段とを備
    え、 上記推定手段は、上記射影法あるいはES射影法に含ま
    れる連立方程式の解の演算における分母に上記零除算防
    止用定数を加算して行う手段であることを特徴とする反
    響消去装置。
  2. 【請求項2】 上記入力信号及び上記反響信号はそれぞ
    れ複数サブバンドに周波数帯域が分別され、これら対応
    サブバンドごとに上記推定手段、上記擬似反響路、上記
    記憶部がそれぞれ設けられて反響信号消去がなされ、上
    記記憶部の上記零除算防止用定数は高い周波数帯のもの
    が低い周波数帯のものより大とされていることを特徴と
    する請求項1記載の反響消去装置。
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