JPH0985534A - バリ取り工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】アルミダイキャストにより製造したワークの押
し出しピン部の端面に発生する王冠状のバリを本体側を
身喰いすることなく除去すること。 【解決手段】バリ取り工具１０に、回転軸線０ｔと直交
しワークＷの押し出しピン部Ｗａの端面に当接しても押
し出しピン部Ｗａを切削しない大径部１２の端面１２ａ
と、この端面１２ａ上に径方向に延び十字状に設けられ
バリを除去するスリット１２ｂとを備えさせた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】アルミダイキャスト等によっ
て製造されたワークに円周状に発生したバリを取るバリ
取り工具に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】アルミダイキャスト等によってワークを
製造すると、図１に示すように、例えば、シリンダヘッ
ドカバーＷの押し出しピン部Ｗａには、王冠状（円周
状）にバリＢが発生する。従来、このバリを除去する方
法としては、例えば、図６に示すように、図略のロボッ
トの先端にエアリューター等の回転工具Ｔ１を取り付
け、この回転工具Ｔ１にエンドミルｔ１を装着し、バリ
Ｂが発生した押し出しピン部Ｗａの端面に対して、回転
駆動されたエンドミルｔ１を押し当てることによりバリ
取りを行っていた。

【０００３】また、図７に示すように、図略のロボット
の先端にスケラー等の振動工具Ｔ２を取り付け、この振
動工具Ｔ２に平ヤスリｔ２を装着し、図の矢印方向（図
の左右方向）に振動した平ヤスリｔ２を押し当てること
によりバリ取りを行っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記２
つの方法ともに、切削能力が大きいため、バリだけでな
く、押し出しピン部Ｗａも削ってしまうという問題があ
った。また、アルミを削ると、工具への目づまり，溶着
が発生し、工具寿命が短くなるという問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明のバリ取り工具
は、上述した問題を解決するためになされたもので、ワ
ーク端面に形成されたバリを除去するためのバリ取り工
具であって、回転軸線と直交し前記ワーク端面に当接し
ても前記ワーク端面を切削しないフラット面と、このフ
ラット面上に径方向に延びて設けられバリを除去する加
工溝とを備えたことを特徴とするものである。

【０００６】これによれば、バリ取り工具を回転させ
て、バリ取り工具のフラット面とワーク端面に対して平
行に押し付けた場合、バリは加工溝のエッジにて除去さ
れ、遠心力によって加工溝を通って外方に排出される。
ワーク端面とフラット面が当接したとしても、ワーク端
面が削られることなく、バリのみが除去される。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図１乃至図
３に基づいて説明する。図１，図２は本実施の形態のバ
リ取り装置の全体構成を示すもので、バリ取り工具１０
はワークＷに円周状に形成されたバリＢを除去するもの
である。ここで、前記ワークＷはアルミダイキャストに
より製造されたシリンダヘッドカバーであり、シリンダ
ヘッドカバーの押し出しピン部Ｗａの端面上に前記バリ
Ｂが王冠状に発生している。

【０００８】前記バリ取り工具１０は、エアリュータ等
の回転工具２０の回転軸２１に着脱可能に装着されて回
転駆動されるとともに、ロボット３０の動作によって移
動されて、前記バリＢを除去するものである。ここで、
回転工具２０の回転軸２１は図略の圧縮エアポンプから
圧縮エアが供給されることにより回転駆動されるように
なっている。

【０００９】前記バリ取り工具１０には、ワークＷより
も固い材質、例えば、工具鋼の焼き入れ材が用いられて
いる。このバリ取り工具１０は、前記回転工具２０の回
転軸２１に取り付けられる小径シャフト部１１と、この
小径シャフト部１１の先端に連続して一体的に設けられ
た大径部１２とから成る２段形状となっている。

【００１０】前記大径部１２の端面１２ａはバリ取り工
具１０の回転軸線に対して直交するフラットな面として
構成され、この端面１２ａにはその交点がバリ取り工具
１０の回転軸線上にある十字状のスリット１２ｂが形成
されている。このように構成されるバリ取り工具１０の
大径部１２の端面１２ａをワークＷの押し出しピン部Ｗ
ａの端面に平行に接近させ、前記スリット１２ｂによっ
てバリＢの除去を行うようになっている。即ち、バリＢ
がスリット１２ｂのエッジに接触することにより除去さ
れる。

【００１１】ここで、前記大径部１２の端面１２ａが切
削能力がないフラット部を構成し、前記スリット１２ｂ
がフラット部に半径方向に延びて形成された加工溝を構
成している。前記回転工具２０はロボット３０に対して
フローティングフォルダ４０を介して取り付けられ、こ
のフローティングフォルダ４０によって、バリ取り工具
１０のワークＷに対するバリ取り時の押付力が調整さ
れ、ワークＷの大きさやバリの大きさのバラツキに対応
してバリ取り性能を維持できるようになっている。

【００１２】このフローティングフォルダ４０は、前記
ロボット３０の手首部３１の先端に取り付けられた案内
ベース４１と、この案内ベース４１上で図の上下方向に
案内支持された移動体４２と、この移動体４２を上下方
向に進退移動させる押付力が可変のエアシリンダ４３
と、前記移動体４２に取り付けられ前記回転工具３０を
回転軸線が鉛直となるように支持する支持部材４４とか
ら構成されている。

【００１３】従って、バリ取り時に、このフローティン
グフォルダ２０のエアシリンダ２３によって、ワークＷ
に形成されたバリＢに対してバリ取り工具１０が所定の
押付力でもって当接するようになっており、ワークＷや
バリの大きさのバラツキがあったとしても、エアシリン
ダ２３の押付力を調整することによってバリ取り性能を
維持するようになっている。

【００１４】上記において、バリ取り工具１０の大径部
１２の直径Ｄが例えばＤ＝φ１５〔ｍｍ〕で、ワークＷ
の押し出しピン部Ｗａに形成された王冠状のバリＢが例
えば、厚さ０．１〜０．２〔ｍｍ〕、高さ１〜２〔ｍ
ｍ〕の大きさであった場合、前記スリット１２ｂは幅
１．５〔ｍｍ〕，深さ１〔ｍｍ〕程度である。図１にお
いて、５０は、バリ取り工具１０の大径部１２の端面１
２ａとワークＷの押し出しピン部Ｗａの端面とが平行と
なるようにバリＢに対してバリ取り工具１０を接近移動
させるよう前記ロボット３０を制御する制御装置であ
る。

【００１５】以上の構成に基づいて本実施の形態の作用
を説明する。上記した構成のバリ取り工具１０を用い
て、バリＢを除去する場合に、予め、作業者はロボット
３０に対して加工軌跡を教示しておく。そして、この加
工軌跡に基づいてロボット３０を動作させるとともに、
回転工具２０を作動させてバリ取り工具１０を鉛直軸線
まわりに回転駆動しつつ、バリ取り工具１０の大径部１
２の端面１２ａとワークＷの押し出しピン部Ｗａの端面
とが平行となるようにバリ取り工具１０を接近移動させ
る。この時、バリ取り工具１０の回転軸心ＯT と押し出
しピン部Ｗａの軸心Ｏw とが一致する位置にバリ取り工
具１０は移動される。

【００１６】バリ取り工具１０とワークＷの接近によっ
て、回転されるスリット１２ｂ内にバリＢが侵入し、ス
リット１２ｂのエッジによってバリＢが除去される。こ
こで、スリット１２ｂが半径方向に向けて形成されてい
るため、スリット１２ｂのエッジのバリＢに対する除去
力が回転に対して接線方向に作用し、バリ取り工具１０
の回転によりスリット１２ｂのエッジが次々にバリＢに
対して接触するため、バリを効果的に除去できる。ま
た、除去されたバリＢは遠心力により、スリット１２ｂ
内を通って外方にスムーズに排出される。

【００１７】さらに、バリ取り工具１０とワークＷとが
接近し、押し出しピン部Ｗａの端面とバリ取り工具１０
の端面１２ａとが当接すると、端面１２ａに切削能力が
無いため、押し出しピン部Ｗａは削られないで、バリＢ
のみが除去される。上記のように、円周状に発生してい
るバリのみを本体側を身喰いすることなく、効果的に除
去することができる。

【００１８】上記では、アルミダイキャストにより製造
したワークＷの押し出しピン部Ｗａの端面上に発生した
王冠状のバリの除去を行う例を示したが、他に、中子や
樹脂を用いて型で成形したワークにおける押し出しピン
部のバリの除去に対しても有効である。また、図４，図
５はバリ取り工具１０のスリット１２ｂの本数を増やし
た他の変形例であって、図４は半径方向に延びる３本の
スリット１２ｂを交差させるようにしたもので、図５は
半径方向に延びる４本のスリット１２ｂを交差させるよ
うにしたものであり、スリット１２ｂの本数を増やすこ
とによって、バリ取りの除去力を高めることができる。

【００１９】なお、上記実施の形態においては、バリ取
り工具１０の回転軸心ＯT と押し出しピン部Ｗａの軸心
Ｏw とが一致する位置でバリ取りを行うようにしたが、
特に一致させなくとも、本体側が身喰いすることなくバ
リＢのみを除去できる。

【００２０】

【発明の効果】本発明のバリ取り工具は、ワーク端面に
形成されたバリを除去するためのバリ取り工具であっ
て、回転軸線と直交し前記ワーク端面に当接しても前記
ワーク端面を切削しないフラット面と、このフラット面
上に径方向に延びて設けられバリを除去する加工溝とを
備えているので、バリ取り工具を回転させて、バリ取り
工具のフラット面とワーク端面に対して平行に押し付け
た場合、バリは加工溝のエッジにて除去されるが、ワー
ク端面とフラット面が当接したとしても、ワーク端面が
削られることなく、バリのみを除去することができる。

【００２１】また、加工溝が径方向に延びて形成されて
いるので、除去されたバリは加工溝内を通ってスムーズ
に排出されるので、目ずまり等の発生を抑えることがで
き、長期間使用できるバリ取り工具を提供することがで
きる。さらに、バリに接触する加工溝のエッジにおける
除去力が回転に対して接線方向に作用するとともに、バ
リ取り工具の回転により加工溝のエッジが次々にバリに
対して接触するため、バリを効果的に除去でき、特に、
円周状に発生したバリの除去に有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態の全体構成を示す斜視図で
ある。

【図２】本発明の実施の形態の全体構成を示す側面図で
ある。

【図３】図２におけるバリ取り工具のＢ矢視図である。

【図４】本発明の他の実施の形態を示す図である。

【図５】本発明の他の実施の形態を示す図である。

【図６】従来技術を説明するための図である。

【図７】従来技術を説明するための図である。

【符号の説明】

１０ バリ取り工具 １１ 小径シャフト部 １２ 大径部 １２ａ 端面（フラット面） １２ｂ スリット（加工溝） Ｗ ワーク Ｗａ 押し出しピン部 Ｂ バリ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ワーク端面に形成されたバリを除去する
   ためのバリ取り工具であって、回転軸線と直交し前記ワ
   ーク端面に当接しても前記ワーク端面を切削しないフラ
   ット面と、このフラット面上に径方向に延びて設けられ
   バリを除去する加工溝とを備えたことを特徴とするバリ
   取り工具。