JPH0984856A

JPH0984856A - 殺菌方法および殺菌装置

Info

Publication number: JPH0984856A
Application number: JP7241668A
Authority: JP
Inventors: Noboru Yoshimura; 昇吉村; Masafumi Suzuki; 雅史鈴木; Kozo Kudo; 行蔵工藤; Noriaki Kazama; 典昭風間; Minoru Yamada; 実山田
Original assignee: YKK Corp
Current assignee: YKK Corp
Priority date: 1995-09-20
Filing date: 1995-09-20
Publication date: 1997-03-31

Abstract

(57)【要約】【課題】効率的な磁気殺菌法およびそのための殺
菌装置を提供すること。【解決手段】生菌を含む液体を多数の連通孔からなる
多孔質体に供給し、多孔質体の外部に配した磁石により
これを挟持して菌を圧殺する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、磁場を利用した殺
菌方法および装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】水等の各種の飲料や工業的施設、あるい
はプール等の用水は殺菌を施して利用に供される。こう
した殺菌手段として従来より加熱によるもの、殺菌剤に
よるもの、紫外線照射によるもの、あるいは放射線の照
射によるものが知られている。しかしこれらのいずれの
方法も飲料の風味を損なったり、人体への悪影響が懸念
されたり、あるいはその実施に作業上の危険性が伴うな
どといった問題点を有している。

【０００３】そこで、こうした欠点のない殺菌手段とし
て磁場を利用することが提案された（特開平１−２５７
４７３号、特開平１−２５４２８９号）。さらにこの磁
場殺菌の効果的な改良法として磁場を変動させることが
提案された（特開平２−３９８８７号）。また、高圧を
利用して食品を殺菌する方法も提案されている。これは
液状食品をゴム等の弾性材からなる膨脹・収縮可能な袋
体の中に満たし、これを高圧に加圧することにより殺菌
するというものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
外部磁場を利用するだけの殺菌方法では殺菌効果が十分
でなく、また特定の菌を効率よく殺菌できないといった
問題も有する。また、前記の高圧による殺菌方法は、バ
ッチ方式であり、処理に長時間を要し、効率よく連続的
に殺菌できないとともに、特定の菌を効率よく殺菌でき
ないといった問題を有する。

【０００５】本発明は、こうした実情の下、効率的な磁
気殺菌処理ができ、また特定の菌を選択的に効率よく殺
菌できる殺菌方法を提供することを目的とするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した
結果、連通孔を有する多孔質体流路に被処理液体を供給
し、この多孔質体を圧縮させることにより液体中の生菌
を連続的に効率よく殺菌できることを知見し、本発明に
至った。

【０００７】すなわち、本発明は、 (1) 生菌が存在する液体を多数の連通孔からなる多孔質
体流路内に供給し、該多孔質体流路内で連通孔を圧縮さ
せることにより生菌を圧殺することを特徴とする殺菌方
法、及び、 (2) 生菌が存在する液体の流路と殺菌処理部から構成さ
れる殺菌装置であって、該殺菌処理部が前記流路内にあ
って前記液体を通過させる連通孔を有する多孔質体流路
と該多孔質体流路外に該流路を介して対向して設けた磁
場発生部材とからなり磁界の印加により該磁場発生部材
が該多孔質体流路を挟持することを特徴とする液体殺菌
装置、に関する。

【０００８】本発明における殺菌の原理を図１ａ、ｂに
基づき説明する。

【０００９】被処理液体をその流路に連らなる連通孔を
有する多孔質体流路に導き吸収させる（図１ａ）。その
流路をはさんで設置した磁場発生部材の電磁石に通電し
て磁界を発生させて、磁場発生部材（磁石）により多孔
質流路を挟持させる（図１ｂ）。この際、多孔質流路内
の連通孔は圧縮されてその内部の生菌を圧殺することが
できる。同時に液体は多孔質流路から排出される。次い
で、電磁石の通電をオフにして多孔質流路が開放され
る。本発明の殺菌方法は、以上の電磁石への通電オン−
オフを繰返すことにより行われる。

【００１０】本発明において使用する多孔質体流路は、
供給された生菌を含む被処理液体をその連通孔内に吸収
し、圧縮されることにより生菌を圧殺するものである。
このような多孔質体としては、被処理液体に対して耐性
のゴム、プラスチック製の連通気孔を有するものであれ
ばよいが、とくに天然ゴムやフッ素ゴム等製の多孔質体
が好ましい。

【００１１】また、多孔質体は綿状のものであってもよ
い。

【００１２】多孔質体の形状については、とくに制限は
ないが、十分な処理がなされるように被処理液体の流れ
の方向に長い形状が好ましい。多孔質体の連通孔の孔径
は、殺菌する菌の種類によって異なる。孔径は１個の菌
体がスムーズに通過する程度でよく、一度に多量の菌の
通過を許容するようなサイズは好ましくない。例えば、
楕円形状で４〜８μｍの酵母菌を殺菌の対象とする場合
であれば、約１０μｍの孔径を有する多孔質体が好まし
く使用される。また、棹状で幅０．７〜０．８μｍ、長
さ２〜６μｍの火落菌の場合には約５μｍの孔径を有す
る多孔質体が好ましい。

【００１３】本発明の殺菌方法は、前記の連通孔を有す
る多孔質体流路に被処理液体を供給し、この被処理液体
を吸収した多孔質体流路を圧縮させて被処理液体中に含
まれる生菌を圧殺するものである。多孔質体の圧縮は、
多孔質を外部磁場内に配置してこの磁力を利用すること
によって行うのが好ましい。この外部磁場は、たとえば
多孔質体流路の外部に電磁石又は永久磁石を設け、多孔
質体をはさんでこれと対応する位置に鉄などの強磁性体
又は電磁石、永久磁石を配置することにより形成するこ
とができる。そして、電磁石のオン−オフによってこれ
らの磁石や強磁性体の間に多孔質体流路を挟持してこれ
を圧縮することができる。

【００１４】本発明の殺菌方法を実施するための殺菌装
置の概略図を図２に示す。図２に示すように、殺菌処理
は、上記のようにして形成された外部磁場発生部材と被
処理液体を吸収する多孔質体流路から構成される殺菌処
理部において行われる。そして、殺菌処理部において、
外部磁場発生部の電磁石のオン−オフにより被処理液体
を吸収した多孔質体流路を挟持と開放を繰返しながら、
連続的に供給される液体を殺菌処理することができる。

【００１５】本発明に使用される多孔質体流路は、上記
のように被処理液体の流路内に設けた殺菌処理部に配置
されて、外部磁場を印加することにより、磁石などで圧
縮される。したがって、殺菌処理部内の多孔質体流路
は、流路の外部から付加される圧縮力を多孔質体内の連
通孔に伝達できるようにすでに述べたような弾性変形可
能な材料から構成される。また、多孔質体流路は、弾性
変形可能な材料で流路を形成し、その流路内に多孔質体
を収納して多孔質体流路とすることもできる。

【００１６】本発明の殺菌方法においては前記のように
被処理液体を殺菌処理部を通過させることにより磁気お
よび圧縮力により殺菌することができるが、殺菌をより
効果的に行うため被処理液を循環させて反復して処理す
ることもできる。

【００１７】

【発明の実施の態様】本発明の殺菌装置の実施例を図面
に基づき説明する。

【００１８】図２はすでに述べたとおり、本発明の殺菌
装置の概略説明図である。本発明装置は、殺菌処理部の
構成が重要である。

【００１９】図３は本発明の殺菌装置における殺菌処理
部の実施例を示すものである。これは磁場発生部材を電
磁石と鉄板から構成したもので、電磁石のコイルへの通
電により電磁石が鉄板に引き寄せられて、多孔質体流路
を挟持、圧縮する。オン−オフを繰返すことにより連続
的に殺菌処理が可能となる。

【００２０】また、図４は、殺菌処理部の別の実施例を
説明するもので、この例では磁場発生部材を電磁石と鉄
ローラーから構成し、この鉄ローラーは電磁石に引き寄
せられて被処理液体を吸収した多孔質体流路を圧縮しな
がら前進し、多孔質体流路端部において図示しない手段
により電磁石から遠ざけられて多孔質体流路を解放し、
さらにもとの位置に復帰し、再び流路を圧縮しながら前
進を繰返す。

【００２１】次に、本発明の殺菌方法を具体的に示す実
施例を説明する。

【００２２】実施例１図５に示すように、電磁石と永久磁石とから構成される
磁場発生部材を備えた殺菌処理部に、火落菌を１×１０
³ｃｅｌｌｓ／ｍｌ含む食塩水を２５０ｍｌ／ｍｉｎの
速度にてポンプで３０ｍｍ×２０ｍｍ×１０ｍｍのセル
ロース製の多孔質体流路（弾性体で被覆されている。孔
径約１０μｍ）に供給した。電磁石に１００Ｖ、５０Ｈ
ｚの交流を印加した。

【００２３】電磁石は交流の特性により、Ｎ、Ｓが交互
に入れ替わり、多孔質体流路を介して永久磁石と接近、
反発を繰返す。反発する際、多孔質体流路を解放し、そ
こに被処理液体である上記食塩水が供給される。また接
近するときは多孔質流路を挟持して内部の連通孔を圧縮
し、食塩水中の火落菌を圧殺する。この結果、多孔質体
流路を通過後の食塩水中の火落菌は、２×１０²ｃｅｌ
ｌｓ／ｍｌに減少した。

【００２４】実施例２図６に示すように、偏心鉄ローラーと電磁石とから磁場
発生部材を構成し、かつ電磁石とそれに接触した多孔質
体流路とを偏心鉄ローラーを囲むように円筒状に配置し
た殺菌処理部に、実施例１と同じ被処理液体（食塩水）
を同じ速度で供給した。この場合、多孔質体流路は、直
径６ｃｍ、長さ２ｃｍの円筒状電磁石の内側に配設され
ており、幅２ｃｍ、厚さ約１ｃｍである。電磁石には１
００Ｖの直流電圧を印加した。電磁石の内側には直径３
ｃｍ、長さ２ｃｍの偏心した鉄ローラーがあり、これを
回転することにより電磁石内側の多孔質体流路を圧縮し
ながら処理液体を排出した。ローラーの回転速度約５０
ｒ．ｐ．ｍ．であった。処理後、火落菌は、５×１０²
ｃｅｌｌｓ／ｍｌに減少した。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明殺菌方法、
および殺菌装置によれば、非加熱殺菌であることから、
飲料などの風味を損なうことがなく、また、磁性粉末を
直接被処理液と作用させないので、該粉末に含まれる成
分が溶出したり、あるいは該粉末が摩耗により被処理液
へ移行することもない。また、磁気に加えて物理的な圧
縮力により、しかも連続的に殺菌処理ができるので、従
来の磁気殺菌法や高圧殺菌法に比べて殺菌効果が大き
く、また処理効率も優れている。さらに多孔質体の孔径
の選択により、特定の菌を効率的殺菌することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明殺菌法の原理の説明図、

【図２】本発明の殺菌装置の概略説明図、

【図３】本発明の殺菌装置における殺菌処理部の実施例
の説明図、

【図４】同上別の実施例の説明図、

【図５】実施例１において使用した殺菌処理部の説明
図、

【図６】実施例２において使用した殺菌処理部の説明
図。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者鈴木雅史秋田県秋田市横森４丁目３−13 (72)発明者工藤行蔵秋田県秋田市本道１−１ (72)発明者風間典昭宮城県仙台市青葉区国見１丁目12−８ (72)発明者山田実宮城県黒川郡富谷町富ケ丘１丁目15番22− 203号

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】生菌が存在する液体を多数の連通孔から
なる多孔質体流路内に供給し、該多孔質体流路内で連通
孔を圧縮させることにより生菌を圧殺することを特徴と
する殺菌方法。
【請求項２】多孔質体流路内の連通孔の圧縮を、多孔
質体流路外部にこれをはさんで対向して設けた磁場発生
部材に磁界を印加することにより前記磁場発生部材を接
近させて多孔質体流路を挟持させることにより行う請求
項１記載の殺菌方法。
【請求項３】外部磁場が１０００〜６０００ガウスで
ある請求項２に記載の殺菌方法。
【請求項４】生菌が存在する液体の流路と殺菌処理部
から構成される殺菌装置であって、該殺菌処理部が前記
流路内にあって前記液体を通過させる連通孔を有する多
孔質体流路と該多孔質体流路外に該流路を介して対向し
て設けた磁場発生部材とからなり磁界の印加により該磁
場発生部材が該多孔質体流路を挟持することを特徴とす
る液体殺菌装置。