JPH0983027A - 超電導回路 - Google Patents

超電導回路

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JPH0983027A
JPH0983027A JP7239511A JP23951195A JPH0983027A JP H0983027 A JPH0983027 A JP H0983027A JP 7239511 A JP7239511 A JP 7239511A JP 23951195 A JP23951195 A JP 23951195A JP H0983027 A JPH0983027 A JP H0983027A
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superconducting
inductor
superconducting inductor
superconductor
circuit
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JP7239511A
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Tsunanori Oka
維▲禮▼ 丘
Mutsumi Hosoya
睦 細谷
Shinya Kominami
信也 小南
Juichi Nishino
壽一 西野
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダンピング抵抗の自己インダクタンスを共振
の原因である超電導インダクタと磁気結合することによ
って共振を抑制する超電導回路を提供する。 【構成】2つのジョセフソン接合部111、112で接
続されている2つの超電導インダクタ101、102か
らなる超電導回路において、2つのジョセフソン接合部
に対して並列になるように超電導インダクタ101に電
気的に接続されて超電導インダクタ101の共振を抑制
するダンピング抵抗120が超電導インダクタ101に
遮られずに超電導インダクタ102と対向し合う面積を
広くする。 【効果】 ダンピング抵抗120の自己インダクタンス
105を超電導インダクタ102に生じる寄生インダク
タンスと磁気結合することにより、ダンピング抵抗12
0と超電導インダクタ102による共振を効果的に抑制
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は超電導量子干渉器を用い
た、特に、極微弱の磁場を測定する磁束計や超高速で動
作する超電導回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ジョセフソン素子はピコ秒程度のスイッ
チング遅延特性より超高速のスイッチング回路の応用
に、また、超電導ループに挿入された場合その臨界電流
が磁束量子単位の入力磁束に対して周期的に変わること
から極敏感の磁束計の応用に研究されて来た。本発明に
関する量子干渉器はスイッチング回路と磁束計の応用に
ついては、例えば、菅野卓雄監修早川尚夫編「超高速ジ
ョセフソン・デバイス」のページ53〜55とページ7
7〜89に書いており、本研究分野では周知である。
ジョセフソン素子を用いた量子干渉器は直流電源では電
圧が生じない磁束型と直流電源でも電圧が生じる電圧型
の2種類がある。後者のそのもっとも基本的な概略回路
構成を図4に示す。超電導インダクタ101、ジョセフ
ソン接合部111とジョセフソン接合部112が、その
順に接続され、超電導ループ110を構成する。超電導
インダクタ101と、ジョセフソン接合部111とジョ
セフソン接合部112の接点の間に電源130が接続さ
れている。ジョセフソン接合部111とジョセフソン接
合部112の合計臨界電流に対し、電源130から供給
される電流が小さい場合、量子干渉器の2つの超電導イ
ンダクタ間に生ずる電圧はこの電流値に関係なく略0を
示すが、大きい場合、ジョセフソン接合部は所謂電圧状
態になり、電流値に対して略直線的に変化する電圧が量
子干渉器において観測される。
【0003】ところが、電圧状態にあるジョセフソン素
子は次のジョセフソンの関係式から分かるように超高周
波のジョセフソン振動が伴う。
【0004】
【数1】
【0005】
【数2】
【0006】ただし、Vはジョセフソン接合部の電圧、
φは当該接合部の両側に位置する超電導電極(即ち、イ
ンダクタ)の波動関数の位相差、tは時間、Φ0は単位
量子磁束、IJはジョセフソン接合部を流れる電流、I0
はジョセフソン接合部の臨界電流とする。一般に、超高
周波源のように振る舞うジョセフソン素子は量子干渉器
内部の微小なインダクタンスと静電容量と共振すること
が知られている。図4に示す量子干渉器のジョセフソン
接合部でも、同様な共振が発生する。その共振は数1と
数2の非線形性より直流電流が流れ、量子干渉器の電流
電圧特性に段状(電流ステップ)または共振ピークを発
生させる。図10は共振ピークのある電流電圧特性を示
す。負荷線が図の示すところに量子干渉器がスイッチす
れば共振ピ−クにひっかかり、充分大きい電圧が出ない
ことはわかる。従来の技術では超電導インダクタ101
と並列にダンピング抵抗120を接続することによって
共振を抑制する。
【0007】早川等の文献によれば、ダンピング抵抗の
直上にジョセフソン接合部を形成していたが、量子干渉
器を作製する成膜プロセスにてダンピング抵抗120の
上に超電導インダクタ101を形成すると、当該インダ
クタの超電導膜の表面が粗くなり、応答性の良いジョセ
フソン接合部を形成できないという問題が出てきた。こ
のため、近年ではジョセフソン接合部を避けるように、
即ち図5のように2つの超電導インダクタが重なる領域
を避けてダンピング抵抗を設けている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】実際に作られる量子干
渉器は多くの場合、図5に示すようにプレナー型構造を
持ち、ジョセフソン接合部111、112は第1の超電
導インダクタ101とこのインダクタの少なくとも一部
を覆うように形成された第2のインダクタの重なりあう
部分に形成される。ダンピング抵抗120は、その上面
が第1のインダクタ101の下面に電気的に接続するよ
うに形成されている。ジョセフソン接合部111とジョ
セフソン接合部112はプロセス上の制限で、ある最小
距離より接近できないため、第2の超電導インダクタ1
02(特にその超電導面)には微小ながら寄生インダク
タンスが生じる。また、ダンピング抵抗120は自己イ
ンダクタンスを有する。このため、第2の超電導インダ
クタの寄生インダクタンスとダンピング抵抗の自己イン
ダクタンスによって複数の共振が起きる。即ち、第1の
超電導インダクタ101における共振を除去するために
設けたダンピング抵抗120が、却って新たな共振を誘
起する。この共振による量子干渉器の電圧出力への影響
は、量子干渉器を極微弱の磁場を測定する磁束計や超高
速で動作する超電導回路として応用したときに深刻とな
る。
【0009】一方、量子干渉器を磁束計に使用する場
合、測定する磁束を入力する入力線103を超電導イン
ダクタ101と磁気結合するように設けるほかに、動作
点を設定するバイアス磁束を入力するためのバイアス入
力線107が必要である。そのバイアス入力線107は
超電導インダクタ101と磁気結合させることもできる
が、入力線103とバイアス入力線107との間に相互
インダクタンスが生じ、入力によって動作点が動くとい
う問題がある。この問題を解決するために、図6が示す
ように第2の超電導インダクタの超電導面をジョセフソ
ン接合部から入力線103とは反対側に延ばして、第2
の超電導インダクタと磁気結合するようにバイアス磁束
を入力するバイアス入力線107を設ける。しかし、超
電導インダクタ102の超電導面が増大する分、生じる
寄生インダクタンスも増え、共振による量子干渉器の電
圧出力への影響も大きくなる。
【0010】量子干渉器には図7に示すようにブリージ
型構造のものがある。磁束と入力する入力線103と磁
気結合する超電導インダクタ101は回路面積を最小に
するためにジョセフソン接合部111、112の間を跨
る長方形構造からなる。ブリージ型構造ではダンピング
抵抗を付けることは困難だと従来から見做されている。
例えば、図7が示すように量子干渉器の横にダンピング
抵抗120を接続すると回路面積は大幅に増加する。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の諸問題を
解決するために、第1超電導インダクタと、少なくとも
この一部に絶縁層を介して対向するように設けられた部
分を含む第2超電導インダクタと、これら二つの超電導
インダクタが対向し合う(重なり合う)部分において二
つの超電導インダクタ間に形成された第1及び第2の
(計2つの)ジョセフソン接合部を有する超電導回路
と、この回路の外で第1超電導インダクタと第2超電導
インダクタとの間に接続された電源回路とからなる量子
干渉器において、抵抗体(即ち、ダンピング抵抗)を2
つのジョセフソン接合部に対して並列に第1超電導イン
ダクタに接続し、且つこの抵抗体をその自己インダクタ
ンスが第2超電導インダクタと磁気結合する様に配置す
る。これによりダンピング抵抗の自己インダクタンスを
共振源である第2の超電導インダクタと磁気結合させて
共振を抑制することを提案する。
【0012】本発明が実施される超電導回路の構成につ
いて具体的に述べると、通常抵抗体、2つの超電導体
(超電導インダクタ)は、結晶性の基板又はこの基板面
に形成された結晶構造を有する膜(薄膜)の表面に抵抗
体、第1の超電導体、第2の超電導体の順に積層され、
各々は膜状の層として形成される。2つの超電導体は絶
縁層(電気的に絶縁性を有する材料又は空隙からなる)
により絶縁され、さらに第2の超電導体は絶縁層により
上述の抵抗体とも絶縁されている。2つの超電導体に挾
まれた絶縁層には、他の絶縁層の領域とは厚み又は材料
が異なる2つの領域がそれぞれ独立して形成される。絶
縁層において、この2つの領域に限り、2つの超電導体
のそれぞれに存在する電子対(クーパー対と呼ばれる)
が他方の超電導体にトンネル効果により滲み出していく
(即ち、ジョセフソン効果が起きる)ように形成され
る。この2つの領域をジョセフソン接合部という。この
2つのジョセフソン接合部を介して2つの超電導体は超
電導回路として接続されるため、各々の超電導体に設け
られた外部回路(即ち、上述の電源回路)との接続端子
に対して2つのジョセフソン接合部は並列に配置されて
いる。一方、上述の抵抗体は、2つの外部回路接続端子
の間において、2つのジョセフソン接合部と並列になる
ように第1超電導体に電気的に接続されている。
【0013】本発明の超電導回路では、この抵抗体と各
々の超電導体との対向(重なり)構造について、以下の
ような2つの特徴を有する。1つめとして、第2の超電
導体は、上述のジョセフソン接合部が形成されている
(ジョセフソン接合部を介して第1の超電導体に接続さ
れる)部分を含む第1の領域と、抵抗体と対向する第2
の領域とに分かれている点である。即ち、ジョセフソン
接合部は抵抗体の直上に形成されないことである。2つ
めとして、第2の超電導体の第2の領域において、上記
第1の超電導体と対向する部分は、それ以外の部分より
小という点である。上述のように通常2つの超電導体は
膜状に形成されるため、第2の超電導体膜(層)の抵抗
体に対向する面において、第1の超電導体膜(層)に対
向する部分のは、それ以外の部分よりも面積が小さい
(狭い)と規定することもできる。これらの特徴によれ
ば、第1にジョセフソン接合部の特性(例えば、超電導
回路に入射する磁束への応答)を損なわず、第2に抵抗
体の自己インダクタンスと第2の超電導体との磁気結合
を充分達成できる。
【0014】本発明の超電導回路は、特に超電導量子干
渉素子(SQUID)やこれを応用した量子干渉器に実
施すると良い。これらの素子や装置の多くの第1の超電
導体は、その両端部が間隙を介して対向し合う領域を有
し、この2つの領域においてジョセフソン接合部を介し
て第2の超電導体と接続され且つこの領域間を抵抗体に
より電気的に接続している。第1の超電導体の形状は、
コの字型、C又はU字型の所謂開ループである場合が多
い。
【0015】さらに本発明の超電導回路が実施される量
子干渉器は、第1の超電導体又は第2の超電導体に磁気
結合するように、一又は複数本の入力線を設けた構成を
有するもの(例えば、信号や情報処理に用いる回路)も
ある。この場合、通常入力線は絶縁層を介して第1の超
電導体又は第2の超電導体に対向させて配置される。
【0016】また本発明を応用した量子干渉器を薄膜プ
ロセス技術で作製する場合は、抵抗体(ダンピング抵
抗)の薄膜面と第2の超電導体(超電導インダクタ)の
薄膜面とが平行にかつ重なるように位置を定めるとその
間に充分に大きい相互インダクタンスが得られる。この
相互インダクタンス値を変える場合は、ダンピング抵抗
の薄膜面と上記第2超電導インダクタの薄膜面が重なる
部分の面積や形状を変えれば良い。
【0017】
【作用】本発明によるダンピング抵抗の自己インダクタ
ンスと磁気結合することによって共振を抑制する効果
は、例えばザッペとランドマン、ジャナル・オブ・アッ
プライド・フィジクス、第49巻、1号、1978年、
ページ344−350(Zappe and Landman,Journal o
f Applied Physics,49,(1),1978,pp.344-350)と
ザッペとランドマン、ジャナル・オブ・アップライド・
フィジクス、第49巻、7号、1978年、ページ41
49−4154(Zappe and Landman,Journal of Appl
ied Physics,49,(1)1978,pp.344-350)の論文に開
示されている手法で理論的に解析すれば理解できる。
【0018】量子干渉器に1/2単位磁束量子の磁束を
印加したときには、共振ピ−ク電流が最大に達し、図8
のような概略回路でモデル化できる。共振周波数に対し
て量子干渉器は電源線の両接点を中心に右と左に分けた
部分が結合していないため、片方の部分だけについて解
析すれば良い。なお、量子干渉器の外部回路、例えばこ
の超電導回路にゲート電流を供給する電源回路は、図8
のAとBとの間に接続される。また、この状態では高周
波成分が無視できるぐらい小さいため、ジョセフソン素
子を数3に書いた周波数の正弦波電流源と見做せる。L
pとLsは超電導インダクタ、Rdはダンピング抵抗の純
抵抗分、Lrはダンピング抵抗の自己インダクタンス、
rsはLsとLrの間の相互インダクタンス、I0,Cj
jはそれぞれジョセフソン素子の等価正弦波電流源、
静電容量と内部抵抗とする。ジョセフソン素子と並列に
小さい抵抗を接続する場合はRjにこの抵抗も含まれ
る。
【0019】
【数3】
【0020】ただし、Vはジョセフソン素子の電圧、Φ
0は単位磁束量子、ωは角周波数とする。図8の回路は
線型素子回路理論で解析すると数4の式が得られる。
【0021】
【数4】
【0022】そして、電力の流れを考えると、回路に供
給される電力は出力電圧(ジョセフソン素子の電圧に等
しい)と共振直流電流Isの積で決まり、回路が消費する
電力は抵抗を流れる交流電流で決まることから、数5の
式が得られる。
【0023】
【数5】
【0024】数3、数4と数5から出力電圧V対共振直
流電流Isの関係が分かる。図9は図8の相互インダクタ
ンスMrsを変えて計算してプロットした結果である。こ
の図から分かるように相互インダクタンスMrsが増加す
ると共振ピークの最大振幅は急激に減少する。
【0025】本発明では、共振の原因となる第2の超電
導体(インダクタ)の寄生インダクタンスを低減するた
めに、第2の超電導体と抵抗体とが第1の超電導体に遮
られることなく絶縁層を介して対向し合う部分を大きく
することにより、第2の超電導体に生じる寄生インダク
タンスと抵抗体の自己インダクタンスとの磁気結合を強
めて、夫々のインダクタンス間の相互インダクタンスを
増大させるものである。これにより、量子干渉器などの
電圧出力の障害と成る共振ピークを低減することができ
る。この効果を出すには、膜状の超電導体及び抵抗体を
用いるとき、対向しあう第2の超電導体膜と抵抗体膜と
の表面を略平行になるように形成するとさらによい。ま
た、抵抗体膜の面と第2の超電導体膜の面が重なる(対
向し合う)部分の面積又は形状を変えることで、抵抗体
の自己インダクタンスと第2の超電導体との相互インダ
クタンスを変え、超電導回路のパラメ−タ値を調節する
ことができる。
【0026】
【実施例】図1は本発明の第1実施例を示す。(a)は
その概略回路図である。入力線103と磁気結合した第
1の超電導インダクタ101、ジョセフソン接合部11
1、第2の超電導インダクタ102とジョセフソン接合
部112が、その順に超電導ループ110を形成するよ
うに接続されている。超電導インダクタ102には、2
つのジョセフソン接合部が接続され、接地電位に対して
僅かに電気的に浮遊するために寄生インダクタンスが生
じる。超電導インダクタ101と超電導インダクタ10
2の間には電源130が接続されている。ダンピング抵
抗120は、概略回路図において純抵抗分106と自己
インダクタンス105からなる直列回路として見做せ
る。それは超電導インダクタ101と並列に接続されて
おり、その自己インダクタンス105は超電導インダク
タ102と相互インダクタンス104で磁気結合してい
る。
【0027】(b)は(a)の回路を薄膜プロセスで形
成した場合の概略構造図(斜視図)である。超電導イン
ダクタ101はジョセフソン接合部の下部電極として、
超電導インダクタ102はジョセフソン接合部の上部電
極として形成される。ダンピング抵抗120は超電導イ
ンダクタ101より略下の層にあり、両端が超電導イン
ダクタ101の両端とそれぞれ電気的に接続(導通)さ
れている。入力線103は超電導インダクタ101の薄
膜面上にあり、ジョセフソン素子や超電導インダクタ1
02とは重ならない。このような構造はプレナー型と呼
ばれる。
【0028】ダンピング抵抗120は、2つのジョセフ
ソン接合部111、112と並列になるように第1の超
電導インダクタ101に接続したため、超電導インダク
タ101による共振を抑制するには効果的である。超電
導インダクタ102による共振を抑制するには本発明の
提案ではダンピング抵抗120の自己インダクタンス1
05と超電導インダクタ102を磁気結合すれば良い。
そのために、ダンピング抵抗120と超電導インダクタ
102を図1の回路の平面図(c)が示すように薄膜面
が重なるように配置する。相互インダクタンス104
は、(a)の概略回路図に示した超電導インダクタに生
じる寄生インダクタンス(図番102として表示)とダ
ンピング抵抗120の自己インダクタンス105との間
に生じるもので、具体的な回路構成としては、超電導イ
ンダクタ102及びダンピング抵抗120の夫々の薄膜
面の(絶縁層を介した)重なり具合に対応する。図9の
シミュレーション結果からわかるように相互インダクタ
ンス104が大きいほど共振が抑制されるが、一般的に
はほかにも寄生インダクタンスがあり、共振ピークが複
数あって、最適な抑制効果を得るには相互インダクタン
ス104を調節する必要がある。そのために、本発明は
上記の薄膜面の重なり具合を変える方法を提案する。例
えば、図1の(c)ではダンピング抵抗120と超電導
インダクタ102を左右反対方向に移動することができ
る。
【0029】第1の実施例を、実際の薄膜デバイスに応
用した例を図11に示す。図11の(a)は、図1
(c)と概ね同じ回路図であるが、図11では薄膜デバ
イスの構造を具体的に示すために、(a)におけるA−
A’の断面を(b)に、B−B’の断面を(c)に夫々
示す。この薄膜デバイスは、シリコン(Si)の単結晶
基板200の表面に形成され、モリブデン窒化物(Mo
x)から成るダンピング抵抗120、ニオブ(Nb)
金属から成る第1の超電導インダクタ101が基板上に
順次形成されている。さらにこれらの上に酸化珪素(S
iOx)膜からなる絶縁層210が形成され、第1の超
電導インダクタに対向するようにニオブ(Nb)金属か
ら成る第2の超電導インダクタ102を形成する領域で
且つダンピング抵抗120と重ならない部分において、
第1の超電導インダクタのニオブ金属の表面が露出する
ように絶縁層210に2ヵ所のエッチピットが空けら
れ、このエッチピット内部において酸化アルミニウム
(AlOx)の薄膜211、212を第1の超電導イン
ダクタのニオブ金属に接合させて形成する。最後に第2
の超電導インダクタ102が形成されると、2つの超電
導インダクタは酸化アルミニウムの薄膜211、212
とジョセフソン接合を形成し、超電導回路として接続さ
れる。一方、第1の超電導インダクタ101に信号を入
力するための入力線103はニオブ金属で形成され、絶
縁層210を介して第1の超電導インダクタ101に対
向するように配線される。
【0030】図2は本発明の第2実施例である。(a)
はその概略回路図である。図1の(a)と同じ部分につ
いては説明を省略する。ダンピング抵抗120は、図1
の場合とは逆に超電導インダクタ102と電気的に接続
(導通)されている。その自己インダクタンス105は
超電導インダクタ101と相互インダクタンス104で
磁気結合している。
【0031】図2の(b)は(a)を薄膜プロセスで形
成したときのブリージ型構造の概略構造を示す斜視図で
ある。(a)と同じ部分については説明を省略する。超
電導インダクタ101はジョセフソン接合部の所謂上部
電極として、超電導インダクタ102はジョセフソン接
合部の所謂下部電極として、夫々形成される。ダンピン
グ抵抗120は超電導インダクタ102より下の層にあ
り、両端が超電導インダクタ102の両端とそれぞれ接
続されている。入力線103は超電導インダクタ101
の薄膜面上にある。図2では超電導インダクタ101は
その下にある構造を見せるために部分的にしか描いてい
ない(部分的に切り取ってある)。
【0032】超電導インダクタ101による共振を抑制
するために、本発明ではダンピング抵抗120の自己イ
ンダクタンス105と超電導インダクタ101を磁気結
合することを提案している。そのために、ダンピング抵
抗120と超電導インダクタ101を図2(c)の平面
図のように薄膜面が重なるように配置する。相互インダ
クタンス104は2つの薄膜面の重なり具合で決まる。
超電導インダクタ102はジョセフソン接合部の下部電
極と接続するグランド・プレーンの役割を果たすが、ダ
ンピング抵抗120をショートしないようにインダクタ
ンスが小さすぎないように細くする必要がある。超電導
インダクタ102による共振はダンピング抵抗120で
効果的に抑制できる。相互インダクタンス104の大き
さを調節する必要性と方法については図1と同じため省
略する。
【0033】図3は本発明の第3実施例である。図3の
(a)はその概略回路図である。図1(a)と同じよう
にプレナー型の量子干渉器であるが、超電導インダクタ
102はもう1つの入力線107と磁気結合しており、
正常動作に必要な素子である。トポロジー的に図1
(a)とよく似っているため、回路構成の説明は省略す
る。図3(b)は図3(a)を薄膜プロセスで形成した
ときの概略構造図(斜視図)である。図1(a)と同じ
部分につぃては説明を省略する。超電導インダクタ10
2の上にそれと磁気結合するように入力線107が配置
されている。超電導インダクタ101と超電導インダク
タ102による共振を抑制するに、ダンピング抵抗12
0は超電導インダクタ101とは並列に接続され、超電
導インダクタ102とは自己インダクタンス105が磁
気結合している。
【0034】以上の各実施例について、特に概略回路の
平面図(図1〜3の(c))からも明らかなように、ダ
ンピング抵抗120(ハッチ部分)とこれに磁気結合し
ようとする超電導インダクタが重なる部分において、さ
らに別の超電導インダクタが重なる部分の面積を極力小
さくしてある。別の超電導インダクタとダンピング抵抗
とは導通すれば良いのに対し、磁気結合しようとする超
電導インダクタと重なる部分は超電導インダクタとダン
ピング抵抗とが他の導体に遮られずに対向しあう面積を
大きくするほど望ましいからである。このためには、各
実施例では図示しなかったもののダンピング抵抗を矩形
に限らず、例えばT字型として磁気結合すべき超電導イ
ンダクタのジョセフソン接合部が設けられる部分を含む
第1の領域より、ダンピング抵抗と対向しあう第2の領
域を大きくすると良い。
【0035】
【発明の効果】本発明の提案する超電導回路では簡単な
構成で、複数の共振を同一のダンピング抵抗で抑制する
ことができる。本願によれば、回路構造を大きくする必
要もないため、ブリージ型の量子干渉器における共振抑
制にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の(a)概略回路図、及び
具体的な回路構造の(b)斜視図並びに(c)平面図を
示す。
【図2】本発明の第2実施例の(a)概略回路図、及び
具体的な回路構造の(b)斜視図並びに(c)平面図を
示す。
【図3】本発明の第3実施例の(a)概略回路図、及び
具体的な回路構造の(b)斜視図並びに(c)平面図を
示す。
【図4】従来の量子干渉器の回路モデル図(概略回路
図)を示す。
【図5】寄生インダクタンスが抑制されていない従来の
量子干渉器の回路構造の平面図を示す。
【図6】バイアス入力が入力と結合していない従来の量
子干渉器の回路構造の平面図を示す。
【図7】従来のブリージ型量子干渉器の回路構造の平面
図を示す。
【図8】共振時の電流電力関係を解析するための回路モ
デル図を示す。
【図9】ダンピング抵抗の自己インダクタンスとの磁気
結合による共振抑制効果のシミュレーション結果のグラ
フを示す。
【図10】共振ピークのある量子干渉器の電流電力図を
示す。
【図11】本発明の第1実施例による量子干渉器の薄膜
デバイスの(a)平面図、(b)A−A’断面図、及び
(c)B−B’断面図を示す。
【符号の説明】 101、102…超電導インダクタ、103、107…
入力線、104…相互インダクタンス、105…ダンピ
ング抵抗の自己インダクタンス、106…ダンピング抵
抗の純抵抗分、110…超電導ループ、111、112
…ジョセフソン接合部(ジョセフソン素子)、120…
ダンピング抵抗、130…電源(電源回路)。
フロントページの続き (72)発明者 西野 壽一 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1の超電導体と、該第1の超電導体の少
    なくとも一部に絶縁層を介して対向するように形成され
    た第2の超電導体と、該2つの超電導体が対向し合う部
    分において超電導体間に形成された第1及び第2のジョ
    セフソン接合部と、該2つのジョセフソン接合部に対し
    て並列に且つ少なくとも一部が該絶縁層を介して該第2
    の超電導体と対向するように該第1の超電導体に電気的
    に接続された抵抗体とからなり、上記第2の超電導体は
    上記ジョセフソン接合部が形成された部分を含む第1の
    領域と上記抵抗体と対向する第2の領域とを有し、該第
    2の領域において上記第1の超電導体と対向する部分は
    それ以外の部分より小であることを特徴とする超電導回
    路。
  2. 【請求項2】上記抵抗体と上記第2の超電導体は膜状に
    形成され、上記第2の領域において該2つの膜の表面は
    略平行になるように形成されていることを特徴とする請
    求項1に記載の超電導回路。
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