JPH0979673A - 新代替冷媒ガスhfc(ハイドロ・フルオロカーボン) を使用した、ヒートポンプ装置及びその運転方法並びに そのレトロフィット方法。 - Google Patents

新代替冷媒ガスhfc(ハイドロ・フルオロカーボン) を使用した、ヒートポンプ装置及びその運転方法並びに そのレトロフィット方法。

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JPH0979673A
JPH0979673A JP27044195A JP27044195A JPH0979673A JP H0979673 A JPH0979673 A JP H0979673A JP 27044195 A JP27044195 A JP 27044195A JP 27044195 A JP27044195 A JP 27044195A JP H0979673 A JPH0979673 A JP H0979673A
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JP
Japan
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refrigerant gas
condenser
temperature
hfc
refrigerant
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JP27044195A
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English (en)
Inventor
Yoriyuki Oguri
頼之 大栗
Takashi Sato
高志 佐藤
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Sato Tekko Co Ltd
Original Assignee
Sato Tekko Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新代替冷媒ガスHFC(水素を含んだフルオ
ロカーボン)を単独又は混合して注入したヒートポンプ
装置で、冷房、冷蔵、冷凍運転を行なうことを目的とす
る。 【解決手段】 コンプレッサー、コンデンサー、膨張弁
(キャピラリチューブを含む)及び蒸発器を含むヒート
ポンプ装置において、コンデンサーの放熱量を冷凍量の
1.5倍以上のものとし、冷媒ガスを所定の凝縮温度に
おいて泡のない液体状態に達するまで凝縮する。また、
この状態を安定に、長期間保持するために凝縮温度を従
来のものより5゜C以上低くする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定フロンCFC(ク
ロロ・フルオロカーボン)、代替フロンHCFC(ハイ
ドロ・クロロ・フルオロカーボン)等の冷媒ガスに代え
て、オゾン層破壊係数が0である新代替冷媒ガスHFC
(ハイドロ・フルオロカーボン)を使用して正常に運転
することができる冷蔵(凍)庫用冷凍機、家庭用・業務
用クーラー及び空調用に使用されているヒートポンプ等
に使用される冷凍サイクルを行う装置(以下ヒートポン
プ装置という。)及びその運転方法に関する。さらに
は、現在稼働中の特定フロンCFC、代替フロンHCF
Cを冷媒として使用しているヒートポンプ装置を、最小
限の変更で新代替冷媒ガスHFCを使用して正常に運転
することができるレトロフィット(RETROFIT=
補修、改装、改造などと訳されている)方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今や、フロンガスは全廃に向かってお
り、新たに開発されたオゾン層に影響を与えない新代替
冷媒ガスには、沸点がマイナス26.3°Cで冷房、冷
蔵庫用に使用されている低圧運転用のHFC134a、
沸点がマイナス48.5°Cで冷凍機用に開発された高
圧運転用のHFC125等が有望とされているが、これ
らの冷媒ガスは、現在使用されている冷房機、冷凍機に
入れ替えて運転しても正常に作動しないのが通常であ
る。その理由としては、現用のCFC、HCFC系の冷
媒ガスと異なり、HFC系の冷媒ガスには塩素が含まれ
ていないため、現用の鉱物油系、PAM等の潤滑油と相
溶性がなく、ヒートポンプの運転中に冷媒ガスとオイル
が分離して、冷媒ガスと共にオイルがコンプレッサーに
戻らず、その結果コンプレッサーの温度が上昇してコン
プレッサーが焼き付きを起こすことが原因である、とい
われている。また、長時間HFC系の冷媒ガスでヒート
ポンプを運転すると、理由は詳らかでないが冷媒ガスが
高温になって突然運転が不可能になること(飽和とい
う。)がある、等といわれている。
【0003】そこで、HFC系の冷媒ガスと相溶性のあ
るエステル油の開発、可燃性ではあるがオイルとの相溶
性のある冷媒ガスを加えた、混合冷媒の研究が進めら
れ、そのいくつは発表されているが、現用の装置に単に
入れ替えて使用しても正常に運転することができないよ
うである。たとえば、冷房用に使用されているHCFC
22の代替として開発されたHFCの3種混合ガス、冷
凍機用に使用されているR502の代替として開発され
たHFCの3種混合ガスは、いずれも可燃性の冷媒ガス
が混合されているばかりでなく、前述のように現用のヒ
ートポンプ装置にそのまま入れ替えて使用すると、安定
した運転が行われないといわれている。
【0004】一方、潤滑油の改良によって、新代替冷媒
ガスHFCによる運転を可能とするために、新代替冷媒
ガスHFCと相溶性があるとされているポリエーテル系
(ポリアルキレングリコール)、エステル系、ポリカー
ボネート系等の合成油系のものや、各種の添加物の利用
が検討されているようであるが、これらの潤滑油を使用
しても現用のヒートポンプ装置でHFC系の冷媒を使用
することはできず、ヒートポンプ装置の各部の材質、能
力、構造等をこれらの潤滑油に適合したものに変更する
必要があるようである。
【0005】現在、CFC12を使用していた低圧で動
作する自動車用クーラー、家庭用冷蔵(凍)庫等は、前
述の努力の結果、新代替冷媒ガスHFC134aを単体
で使用したものが既に開発され、上市されている。しか
しながら、市場で1500万台以上稼働しているといわ
れている業務用冷凍機、市場で100万台以上稼働して
いるといわれている輸送用冷凍機、年間100万台前後
生産されているパッケージエアコンディショナー、数十
万台以上といわれている鉄道車両用クーラー等は、耐用
年数の長いものが多く、ガスの供給がなくなるとたちま
ち業務に支障を来すので、最小限の変更でHFC系の冷
媒への転換が果たせるレトロフィット方法の出現が待望
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明のうち請
求項1記載の発明は、HFC系の冷媒ガスを単独、又は
混合して使用し、ヒートポンプ装置の運転を可能とする
と共に、特に庫内をマイナス20°C以下に冷却する冷
凍運転をも正常に行なうことを可能とする、ヒートポン
プ装置の提供を目的とするものである。請求項2記載の
発明は、請求項1記載のヒートポンプ装置の正常な運転
を長期間安定に行える、ヒートポンプ装置の提供を目的
とするものである。請求項3記載の発明は、HFC系の
冷媒ガスを単独、又は混合して使用したヒートポンプ装
置の運転方法、特に庫内をマイナス20°C以下に冷却
する冷凍運転を正常に行なうことを可能とする、ヒート
ポンプ装置の運転方法の提供を目的とするものである。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のヒートポンプ装
置の運転を長期間安定に行える、運転方法の提供を目的
とするものである。請求項5記載の発明は、特定の機種
の特定の型式のヒートポンプ装置のレトロフィットのた
めに特別に設計され製作された取り替え用のコンデンサ
ー、又は追設するコンデンサーと膨張弁又はキャピラリ
チューブと、入れ替え用のHFC134a又はHFC1
25或いは両者の混合ガスを含むレトロフィットキット
を使用して行う、最も簡単なレトロフィット方法の提供
を目的とするものである。請求項6記載の発明は、請求
項5記載の発明に、コンデンサーを出て膨張弁に入るH
FC冷媒の凝縮温度を測定する工程を加えたものであっ
て、上記レトロフィットキットを使用して確実にレトロ
フィットができる、レトロフィット方法の提供を目的と
するものである。請求項7記載の発明は、請求項5記載
の発明に、コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC冷媒
の凝縮温度を測定する工程とHFC冷媒の凝縮温度を調
整する工程を加えたもので、上記レトロフィットキット
を使用して、一層確実にレトロフィットできる、レトロ
フィット方法の提供を目的とするものである。請求項8
記載の発明は、請求項5〜7記載の発明に、液面計を取
り付け、HFC冷媒が所定の凝縮温度において泡のない
液体状態であることを視認する工程を加えたもので、個
々の業務用のヒートポンプ装置をレトロフィットする場
合、確実にレトロフィットできるとともに、液面計によ
って運転状態の管理ができる、レトロフィット方法の提
供を目的とするものである。請求項9記載の発明は、請
求項8記載の発明に、液面計を取り外す工程を加えたも
ので、個々の業務用の小型のヒートポンプ装置をレトロ
フィットする場合、余分なスペースを要せず、かつ安価
にレトロフィットできる、レトロフィット方法の提供を
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述した目的を達成する
ために、本発明のうちで請求項1記載の発明は、ガス状
態のHFC(ハイドロ・フルオロカーボン)冷媒を所定
圧力に圧縮するコンプレッサーと、前記HFC冷媒を所
定の凝縮温度において泡のない液体状態に達するまで凝
縮する冷凍量の1.5倍以上の放熱量を有する前記コン
プレッサーに接続されたコンデンサーと、前記コンデン
サーに接続された膨張弁(キャピラリチューブを含む)
と、前記膨張弁に接続され膨張弁を出たHFC冷媒を前
記ガス状態に戻すコンプレッサーに接続された蒸発器と
を含み、新代替冷媒ガスHFCを使用する、ことを特徴
とするものである。
【0008】また、請求項2記載の発明は、ガス状態の
HFC(ハイドロ・フルオロカーボン)冷媒を所定圧力
に圧縮するコンプレッサーと、前記HFC冷媒を所定の
凝縮温度において泡のない液体状態に達するまで凝縮す
る冷凍量の1.5倍以上の放熱量を有する前記コンプレ
ッサーに接続されたコンデンサーと、前記コンデンサー
に接続された膨張弁(キャピラリチューブを含む)と、
前記膨張弁に接続され膨張弁を出たHFC冷媒を前記ガ
ス状態に戻すコンプレッサーに接続された蒸発器とを含
み、コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC冷媒の凝縮
温度を大気温度プラス5°C以内とし、新代替冷媒ガス
HFCを使用する、ことを特徴とするものである。
【0009】請求項3記載の発明は、コンプレッサー、
コンデンサー、膨張弁(キャピラリチューブを含む)、
蒸発器を有するヒートポンプにおいて、冷媒としてHF
C(ハイドロ・フルオロカーボン)を選択する段階と、
蒸発器にあるガス状態の前記HFC冷媒を所定圧力にコ
ンプレッサーによって圧縮する段階と、冷凍量の1.5
倍以上の放熱量を有するコンデンサーで前記圧縮された
HFC冷媒を所定の凝縮温度において泡のない液体状態
に達するまで凝縮する段階と、膨張弁(キャピラリチュ
ーブを含む)とこの膨張弁に接続された蒸発器とによっ
て前記液体状態のHFC冷媒を前記液体状態から前記ガ
ス状態にする段階とを含み新代替冷媒ガスHFCを使用
するものである。
【0010】請求項4記載の発明は、コンプレッサー、
コンデンサー、膨張弁(キャピラリチューブを含む)、
蒸発器を有するヒートポンプにおいて、冷媒としてHF
C(ハイドロ・フルオロカーボン)を選択する段階と、
蒸発器にあるガス状態の前記HFC冷媒を所定圧力にコ
ンプレッサーによって圧縮する段階と、冷凍量の1.5
倍以上の放熱量を有するコンデンサーで前記圧縮された
HFC冷媒を所定の凝縮温度において泡のない液体状態
に達するまで凝縮する段階と、膨張弁(キャピラリチュ
ーブを含む)とこの膨張弁に接続された蒸発器とによっ
て前記液体状態のHFC冷媒を前記液体状態から前記ガ
ス状態にする段階と、コンデンサーを出て膨張弁に入る
HFC冷媒の凝縮温度を大気温度プラス5°C以内とす
る段階を含み、新代替冷媒ガスHFCを使用するもので
ある。
【0011】請求項5記載の発明は、コンプレッサー、
コンデンサー、膨張弁(キャピラリチューブを含む)、
蒸発器を有する現用のヒートポンプにおいて、現用の冷
媒ガスを抜き取る工程と、コンデンサーの放熱量を冷凍
量の1.5倍以上に変更する工程と、HFC(ハイドロ
・フルオロカーボン)冷媒を封入する工程と、を有する
ことを特徴とするものである。
【0012】請求項6記載の発明は、請求項5記載の発
明に、コンデンサーを出て膨張コンデンサーを出て膨張
弁に入るHFC冷媒の凝縮温度を大気温度プラス5°C
以内であることを確認する工程、を加えたものである。
【0013】請求項7記載の発明は、請求項5記載の発
明に、コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC冷媒の凝
縮温度を測定し、その凝縮温度を大気温度プラス5°C
以内に調整する工程、を加えたものである。
【0014】請求項8記載の発明は、請求項5〜7記載
の発明に、コンデンサーの膨張弁の間に液面計を取り付
け、HFC冷媒が所定の凝縮温度において泡のない液体
状態であることを視認する工程、を加えたものである。
【0015】請求項9記載の発明は、請求項8記載の発
明に、コンデンサーと膨張弁の間に液面計を取り付けた
液面計を取り去りその間を接続する工程、を加えたもの
である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例とともに説明する。
【0017】図1に示すものは、空冷コンデンサーを使
用したものであって、コンプレッサー1、空冷コンデン
サー2A、膨張弁3を高圧ガスパイプ5(図に細線で示
す)で接続し、膨張弁3、蒸発器4、コンプレッサー1
をそれぞれ低圧ガスパイプ6で接続したヒートポンプ装
置に、空冷コンデンサー2Aと膨張弁3との間の高圧ガ
スパイプ5を撤去し、空冷コンデンサー2Bを追設し
て、空冷コンデンサー2A、空冷コンデンサー2B、膨
張弁3を高圧ガスパイプ7(図に太線で示す)でそれぞ
れ接続したものである。このように変更するとき、空冷
コンデンサー2A、膨張弁3間の高圧ガスパイプ5を切
断して空冷コンデンサー2Bを追設したり、コンプレッ
サー1、空冷コンデンサー2A間の高圧ガスパイプ5を
切断し、その間に空冷コンデンサー2Bを追設したりす
ることもできる。
【0018】追設する空冷コンデンサー2Bの放熱量
は、例えば日本機械学会編集「機械光学便覧」改定第5
版の11−81ページ右欄には「凝縮器(コンデンサ
ー)における放熱量は、冷蔵、製氷のごとく蒸発温度が
低いときは冷凍量の1.3倍、空気調和のごとき蒸発温
度の高いときは1.2倍に取れば十分である。」とされ
ているので、追設する空冷コンデンサー2Bとして、現
用されているコンデンサーの放熱量の50%を増設する
ことにする。すなわち、蒸発温度が低いものは、冷凍量
の65%、蒸発温度の高いものは冷凍量の65%とす
る。ここに冷凍量とは、冷凍能力ともいい、単位時間に
蒸発器でうばう熱量で、単位はkcal/hである。
【0019】現用のヒートポンプ装置の運転では、空冷
コンデンサーを出た冷媒ガスの状態を液面計で観察する
と、多数の泡が混じっている状態(以下泡状態とす
る。)が、CFC、HCFC系のフロンガスには塩素が
含まれているため、冷媒ガスとオイルはこのような状態
でも相溶する、とされている。HFC系の冷媒ガスには
塩素が含まれていないため、泡状態の凝縮では冷媒ガス
とオイルは相溶しないのであるが、空冷コンデンサー2
Aで大気と熱交換した後空冷コンデンサー2Bで再度大
気と熱交換することにより、冷媒ガスは放熱カロリーを
すべて大気に放出して、空冷コンデンサー2Bを出た冷
媒ガスの温度は、空冷コンデンサー2Bに送られる大気
温度プラス5°C以内にまで低下する。
【0020】このように冷媒ガスの放出カロリーがなく
なると冷媒ガスは、表面計では全く泡を視認できない状
態となる。この状態にすることを以下「完全液化」とい
うが、完全に、すなわち100%液化しているとは限ら
ず、表面計では視認できない泡、すなわちガス成分が極
めて僅かに存在する可能性は否定できない。出願人は、
他に適切な用語がないので以下このように表現する。た
だし、請求項にはこの状態を「泡のない液体状態」と記
載するが、その意味は「表面計では全く泡が視認できな
い液体状態」ということであり、「実質的にガス成分を
有しない液体状態」と表現することもできよう。
【0021】完全液化して、泡のない液体状態とする
と、オイルと相溶性がない、といわれているHFC系の
冷媒ガスであっても必要限度でオイルと相溶するものと
思料する。でないと、現用のヒートポンプ装置に空冷コ
ンデンサーを追加し、冷媒ガスをHFC134aに取り
替えただけで、現時点で1年半以上正常に連続運転を続
けているヒートポンプ装置(冷蔵庫)があるという事実
を説明できないからである。
【0022】上述のように、空冷コンデンサーでの放熱
量を増加することによって、冷媒ガスを完全液化するこ
とにより、HFC系の冷媒ガスを使用したヒートポンプ
装置を長時間運転しても、冷媒ガスの温度が高くなって
飽和することはない。冷媒ガスは低温蒸発するとオイル
と分離しやすいので、完全液化させてオイルとの相溶性
をよくすることは、低温蒸発させて、庫内をマイナス2
0°C以下に冷却する冷凍機の運転においては、特に重
要である。
【0023】現用の空冷コンデンサー使用のヒートポン
プ装置の運転では、空冷コンデンサーを出て膨張弁に入
る冷媒ガスの凝縮温度は、空冷コンデンサーに送られる
大気温度プラス15°Cとされているが、空冷コンデン
サー2Aで大気と熱交換した冷媒ガスを、空冷コンデン
サー2Bに送り、再度大気と熱交換して放熱量を多くし
て温度を低くし、空冷コンデンサー2Bを出て、膨張弁
に入る冷媒ガスの凝縮温度を空冷コンデンサーに送られ
る大気温度プラス10゜C、好ましくは大気温度プラス
5°C以内に設定する。
【0024】ここに、冷媒ガスの凝縮温度とは、コンデ
ンサーを出て膨張弁にいたるガスパイプの表面温度をい
う。
【0025】また、空冷コンデンサー2Aに空冷コンデ
ンサー2Bを追設する、というのは、現用のヒートポン
プ装置の空冷コンデンサー2Aに空冷コンデンサー2B
を追設してもよく、また、空冷コンデンサー2A、空冷
コンデンサー2Bを合わせた能力を有する単体のものと
取り替えてもよい、ということでもある。また、新たに
ヒートポンプ装置を製作する場合、空冷コンデンサー2
A、空冷コンデンサー2Bを合わせた能力を有する単体
を設置する場合をも含むものである。このように、空冷
コンデンサー2A、空冷コンデンサー2Bを合わせた能
力を有する単体を設置した場合は、現用の空冷コンデン
サー使用の冷媒ガス凝縮温度が大気温度プラス15°C
までの部分が空冷コンデンサー2Aに相当し、冷媒ガス
温度がそれより低温になる個所からは空冷コンデンサー
2Bに相当することになる。
【0026】図2に示すものは水冷コンデンサーを使用
したものであって、コンプレッサー1、水冷コンデンサ
ー2C1、膨張弁3を高圧ガスパイプ5(図に細線で示
す)で接続し、膨張弁3、蒸発器4、コンプレッサー1
を低圧ガスパイプ6でそれぞれ接続したヒートポンプ装
置に、水冷コンデンサー2C2を追設したものである。
水冷コンデンサー2C1、追設した水冷コンデンサー2
C2、膨張弁3を高圧ガスパイプ7(図に太線で示す)
でそれぞれ接続し、水冷コンデンサー2C1、膨張弁3
間の高圧ガスパイプ5を撤去したものである。このよう
に変更するとき、水冷コンデンサー2C1、膨張弁3間
の高圧ガスパイプ5を切断し、その間に水冷コンデンサ
ー2C2を追設しても、コンプレッサー1、水冷コンデ
ンサー2C1間の高圧ガスパイプを切断し、その間に水
冷コンデンサー2C2を追設してもよい。追設水冷コン
デンサー2C2の放熱量も、空冷コンデンサーの場合と
同様50%を目処とする。
【0027】そして、クーリングタワー、ラジエーター
等の水冷却器8を設置し、水ポンプ9を介した水パイプ
10で水冷却器8と水冷コンデンサー2C1、水冷コン
デンサー2C2とを往復に接続し、冷却水が水冷却器8
と水冷コンデンサー2C1、水冷コンデンサー2C2間
を循環するようにする。水冷コンデンサー2C1で冷却
水と熱交換した冷媒ガスは、水冷コンデンサーに送られ
る冷却水温度のプラス10°Cとなる。水冷コンデンサ
ー2C1を出た冷媒ガスは、水冷コンデンサー2C2に
送られ、再度冷却水と熱交換して、放熱カロリーすべて
を冷却水に放出して冷媒ガスの温度は低下する。水冷コ
ンデンサー2C2を出て膨張弁3に送られる冷媒ガス凝
縮温度を、水冷コンデンサー2C2に送られる冷却水温
度より、1°C以上低温に設定するものである。
【0028】水冷コンデンサー2C2を出た冷媒ガス温
度が、熱交換する前の冷却水より温度が低くなるという
ことは、一見、不合理に思えるが、通常の水冷コンデン
サー2C1で冷却水と熱交換した後、追設水冷コンデン
サー2C2に入り、再度冷却水と熱交換すると、冷媒ガ
スは大気と熱交換するより冷却水と熱交換したほうが効
率がよいので、水冷コンデンサー2C2内で放熱カロリ
ーはなくなり、冷媒ガスは完全液化して体積が縮小し、
真空パイプの中の液化ガスの流れとなり、パイプ内に液
化ガスの隙間ができてガスパイプ表面の温度が下がるの
であろう。
【0029】このように、完全液化すると冷媒ガスとオ
イルはよく相溶し、HFC系の冷媒ガスを使用してヒー
トポンプ装置を運転しても、冷媒ガスとオイルの分離は
生じることがなく、長時間正常に運転することができ
る。また、水冷コンデンサーでの放熱量を増加し冷媒ガ
スを完全液化することとにより、HFC系の冷媒ガスを
使用して、ヒートポンプ装置を長時間運転しても、冷媒
ガスの温度が高くなって飽和するおそれもない。
【0030】一般的に冷媒ガスは、低温蒸発するとオイ
ルと分離しやすいので、完全液化させてオイルとの相溶
をよくすることは、低温蒸発させて、庫内をマイナス2
0゜C以下に冷却する冷凍機の運転においては、特に重
要である。
【0031】ここに、水冷コンデンサー2C1に水冷コ
ンデンサー2C2を追設する、ということは、現用のヒ
ートポンプ装置の水冷コンデンサー2C1に水冷コンデ
ンサー2C2を追設してもよく、また、水冷コンデンサ
ー2C1、水冷コンデンサー2C2を合わせた能力を有
する単体のものと取り替えてもよいということである。
また、新たに水冷コンデンサー使用のヒートポンプ装置
を製作する場合も、水冷コンデンサー2C1、水冷コン
デンサー2C2と複数にしてもよく、水冷コンデンサー
2C1と水冷コンデンサー2C2を合わせた能力を有す
る単体を設置する場合を含むものである。
【0032】このように、水冷コンデンサー2C1、水
冷コンデンサー2C2を合わせた能力を有する単体を設
置した場合は、現用の水冷コンデンサー使用の冷媒ガス
凝縮温度、水冷コンデンサーに送られる冷却水温度プラ
ス10゜Cまでの部分は水冷コンデンサー2C1に相当
し、冷媒ガス温度がそれより低温になる個所からは水冷
コンデンサー2C2に相当することになる。
【0033】現用の水冷コンデンサー使用のクーラーの
冷媒ガス凝縮温度は、湿球温度プラス15°C、乾球温
度即ち大気温度プラス10°Cとされている。そのた
め、夏期クーラーの運転は、43°C凝縮となっている
のである。クーリングタワーでの冷却水の冷却は、湿球
温度により大気温度と同温度に冷却されて水冷コンデン
サーに送られていた。そのため大気温度と水冷コンデン
サーに送られる冷却水温度は大気温度とほぼ等しくなっ
ている。このように、水冷コンデンサー2C1、水冷コ
ンデンサー2C2を合わせた能力を有する単体を設置し
た場合は、現用の水冷コンデンサー使用の冷媒ガス凝縮
温度、水冷コンデンサーに送られる冷却水温度プラス1
0°Cまでの部分は水冷コンデンサー2C1に相当し、
冷媒ガス温度がそれより低温になる個所からは水冷コン
デンサー2C2に相当することになる。
【0034】以上に述べたように、冷媒ガスの凝縮温度
を空冷コンデンサー使用の場合は大気温度プラス5°C
以内、水冷コンデンサー使用の場合は水冷コンデンサー
に送られる冷却水温度より1°C以上低温にして冷媒ガ
スの凝縮温度を大気温度プラス5°C以内としてヒート
ポンプ装置を運転することにより、冷媒ガスとオイルの
相溶性がよくなり、冷媒ガスとして低温特性のよいHF
C125を使用した場合、蒸発器内の蒸発温度をマイナ
ス40°Cより低温に設定しても、オイルと分離するこ
となく、常に完全蒸発するようになるのである。
【0035】なお、空冷コンデンサー2Aに水冷コンデ
ンサー2C2を追設した場合、又は水冷コンデンサー2
C1に空冷コンデンサー2Bを追設した場合は、一方が
空冷コンデンサーであれば空冷コンデンサー使用時の条
件として取り扱えばよい。
【0036】このように冷媒ガスを完全液化させ、冷媒
ガスの凝縮温度を低くしてキャピラリチューブ使用のヒ
ートポンプ装置を運転すると、冷媒ガスは泡がなくなる
ので、キャピラリチューブの小径孔の冷媒ガスの通過量
が多くなり、蒸発器での蒸発圧力、蒸発温度は高くな
る。高温時の冷房運転では、蒸発圧力、温度が高くなっ
ても問題はなく、冷媒ガスの流量が多くなることで、ク
ーラーの冷却能力は向上するので、そのまま使用するこ
とができる。
【0037】クーラーが正常に作動しているのに、コン
プレッサー入りの冷媒ガス温度がプス5°C以下の場合
は、キャピラリチューブの冷媒ガスの通過量が多くて冷
媒ガスの吸熱能力が残っているので、蒸発器の能力を1
0%以上増大させると、クーラーの吸熱量をさらに増加
させることができる。
【0038】庫内をプラス5°C以下に冷却する冷蔵、
冷凍運転をする場合、冷媒ガスを泡のない状態に完全液
化させると、キャピラリチューブ細径孔の液化ガスの流
量が多くなる。
【0039】冷媒ガスの流量を調整する膨張弁を使用す
る場合は、冷却する庫内の温度に合わせて冷媒ガスの流
量を少なくすることができるので、順次冷媒ガス蒸発温
度が低くなり、庫内は時間の経過と共に低温になる。
【0040】冷媒ガスが通過する細径孔の径が一定であ
るキャピラリチューブだけを使用すると、蒸発器に送ら
れる冷媒ガスの量が多くなると、高温蒸発して庫内の冷
却ができなくなる。このような場合は、キャピラリチュ
ーブの内径を従来のものより、0.1mm以上小さくす
る。また、キャピラリチューブを取り替えてもよく、ま
た、0.1mm以上内径の小さいものを既設のキャピラ
リチューブにつないでもよく、キャピラリチューブの長
さを増加させて、抵抗を多くして流量を少なくしてもよ
い。さらに、キャピラリチューブの径を小さくすること
と、長さを増加させることとを組み合わせて冷媒ガス流
量を調節することもできる。
【0041】なお、高温室で冷蔵庫を使用するときは、
流量調節弁を取り付けて、冷媒ガス流量を調節すること
が望ましい。
【0042】このようにコンデンサーを出た冷媒ガス凝
縮温度を、大気温度プラス5°C以内の低温にして、完
全液化してクーラーの運転をすると、高温の場所で使用
しても冷媒ガスは飽和しないのである。夏期、自動車用
クーラーで、HFC134aを使用して自動車が高温の
場所で停止しても、運転圧力は20kg/cm程度よ
り高くならず、冷媒ガスは飽和しないので常に冷房運転
が可能であり、安全である。また、高温の場所でのキャ
ブクーラーの運転、高温の部屋での冷蔵庫の運転も可能
である。
【0043】上述のように、冷媒ガスを完全液化し、凝
縮温度を低くしてすると、冷媒ガスとオイルの相溶性は
良くなり、HFC系の冷媒ガスであるHFC134a、
HFC125等を混合して使用する場合も、それぞれ単
独で使用する場合もヒートポンプ装置の運転が可能とな
る。また、冷媒ガスの凝縮温度を低くすることによって
ヒートポンプ装置の運転圧力を低くすることができる。
そして、冷房、冷蔵運転では、HFC134a、庫内を
20°C以下の低温に冷却する冷凍庫の運転にHFC1
25の単独使用又はHFC125とHFC134aとの
混合ガスの使用が可能となる。
【0044】一般に、沸点が低い冷媒ガスは、運転圧力
が高いので、冷房、冷蔵運転に適していない点もある
が、運転圧力を低くすることによって使用可能となる。
また、沸点の低い冷媒ガスは、蒸発圧力を高くしても蒸
発温度が低いので、蒸発器に送る冷媒ガスの流量を多く
して、蒸発圧力を高くすると、コンプレッサーの使用動
力値が少なくなり、省エネルギーになる。
【0045】HFC系の冷媒ガスを各種混合して、ヒー
トポンプ装置の運転は勿論可能である。冷凍運転用のフ
ロンガスR502の代替冷媒ガスである、HFC12
5、HFC143a、HFC134aの3種混合ガス
は、現用装置に入れ替えただけでは正常に運転できな
い、とされているが、本発明による変更を加えたもの
は、庫内をマイナス25°C以下に冷却する冷凍運転
で、長時間正常に作動している。
【0046】冷媒ガスとオイルの相溶性が十分であれ
ば、オイルとの相溶性はよいが、可燃性の冷媒ガスを混
合する必要性はなくなる。
【0047】上述のように、不燃性のHFC134aと
HFC125との配分を変えて混合して、必要な運転圧
力にすることができる。例えば重量比で (1) HFC134a 30%以内 HFC125 残部 (2) HFC134a 40%以内 HFC125 残部 (3) HFC134a 50%以内 HFC125 残部 (4) HFC134a 60%以内 HFC125 残部 (5) HFC134a 70%以内 HFC125 残部 (6) HFC134a 80%以内 HFC125 残部 のように各種配合して、所望の運転圧力、蒸発温度とす
ることができる。冷媒ガスHCFC22の代替には、上
記(3)、(4)の混合比率のものが、運転圧力、蒸発
温度等が似た状態になり、好適である。
【0048】HFC134aとHFC125を2種混合
した冷媒ガスは、ガス漏れが生じた場合、沸点が高く軽
いガスのHFC134aから漏れる傾向があるので、ガ
ス漏れが生じたときHFC134aのみを補充すればよ
く、冷媒ガス全量を入れ替える必要はない。
【0049】図1に示す空冷コンデンサーを使用したヒ
ートポンプ装置のレトロフィット方法について説明す
る。コンプレッサー1、空冷コンデンサー2A、膨張弁
3、蒸発器4からなる現用のヒートポンプ装置から、現
在使用されているフロンガスを抜き取り、他の容器に入
れて回収し、空冷コンデンサー2Bを追設するのである
が、冷媒ガスの放熱カロリーのすべてを放出可能な能力
を計算する。通常の場合、現在使用されている空冷コン
デンサーの放熱量の30%〜100%、すなわち、冷凍
量の36%〜120%、又は39%〜130%程度の追
設が必要である。しかし、この放熱量は熱交換する大気
の温度、風量等によって異なる場合がある。冷媒ガスと
してHFC134aを使用する場合は下限に、HFC1
25を使用する場合は上限に近い放熱量のコンデンサー
を追設する。
【0050】コンプレッサー1と空冷コンデンサー2A
との間に空冷コンデンサー2Bを追設する場合は、コン
プレッサー1、空冷コンデンサー2B、空冷コンデンサ
ー2A、膨張弁3を高圧ガスパイプで接続する。このと
き、空冷コンデンサー2B、空冷コンデンサー2Aの順
序を、空冷コンデンサー2A、空冷コンデンサー2Bの
順序としてもよい。空冷コンデンサー2A、膨張弁3間
に空冷コンデンサー2Bを追設するときは、コンプレッ
サー1、空冷コンデンサー2A、空冷コンデンサー2
B、膨張弁3とを高圧ガスパイプでそれぞれ接続する。
【0051】次に、HFC系の冷媒ガスを投入するので
あるが、コンデンサーを放熱量を増加しているのと、冷
媒ガスが完全液化して体積が縮小するので、従来のフロ
ンガスの注入量の約1.3〜2倍の量を注入する。冷媒
ガス注入の際、冷媒ガスの全量を一時に注入しないで、
1/4〜1/2程度を注入してガス洩れのないことを確
かめた上、全量を注入し、さらにガス洩れのないことを
確認し、運転することになる。
【0052】このように変更したヒートポンプ装置を運
転すると、コンプレッサー1で圧縮されて高圧、高温で
吐き出された冷媒ガスは、空冷コンデンサー2Aに送ら
れて大気と熱交換して放熱し、半ば凝縮して泡状態とな
る。クーラーの場合、空冷コンデンサー2Aを出た冷媒
ガス温度は、空冷コンデンサー2Aに送られる大気温度
プラス15°C位である。空冷コンデンサー2Aで大気
と熱交換した冷媒ガスは、空冷コンデンサー2Bに送ら
れて再度大気と熱交換することにより、冷媒ガスの放熱
カロリーはなくなり、空冷コンデンサー2Bを出た冷媒
ガスの凝縮温度は、空冷コンデンサーに送られる大気温
度プラス5°C以内にまで低下する。放熱カロリーがな
くなると冷媒ガスは完全液化して泡のない状態になり、
オイルと相溶し、HFC系の冷媒ガスを使用してヒート
ポンプ装置を運転しても、冷媒ガスとオイルの分離は起
きないのである。
【0053】図2に示す水冷コンデンサーを使用したヒ
ートポンプ装置のレトロフィット方法について説明す
る。コンプレッサー1、水冷コンデンサー2C1、膨張
弁3、蒸発器4からなる現用のヒートポンプ装置から、
現在使用されているフロンガスを回収し、水冷コンデン
サー2C2を追設するのであるが、冷媒ガスの放熱カロ
リーのすべてを放出可能な能力を計算する。通常の場
合、現在使用されている空冷コンデンサーの放熱量の3
0%〜100%、すなわち、冷凍量の36%〜120
%、又は39%〜130%程度の追設が必要である。こ
の場合にも、この放熱量は熱交換する冷却水の水温、水
量によって異なる場合がある。
【0054】コンプレッサー1、水冷コンデンサー2C
1間に水冷コンデンサー2C2を追設する場合は、コン
プレッサー1、水冷コンデンサー2C2、水冷コンデン
サー2C1、膨張弁3をガスパイプでそれぞれ接続す
る。このとき、水冷コンデンサー2C2、水冷コンデン
サー2C1の順序を、水冷コンデンサー2C1、水冷コ
ンデンサー2C2の順序としてもよい。水冷コンデンサ
ー2C1と膨張弁3間に水冷コンデンサー2C2を追設
するときは、コンプレッサー1、水冷コンデンサー2C
1、水冷コンデンサー2C2、膨張弁3とをそれぞれ高
圧ガスパイプで接続する。
【0055】冷却水の回路は水ポンプ9の後の水パイプ
10を2分割して水冷コンデンサー2C1、水冷コンデ
ンサー2C2とつなぎ、水冷コンデンサー2C1、水冷
コンデンサー2C2を出た水パイプと合流させるか、複
数にしてクーリングタワー、ラジエーター等の水冷却器
8に戻すようにする。次に、HFC系の冷媒ガスを投入
するのであるが、コンデンサーを増設しているのと、冷
媒ガスが完全液化していて体積が縮小するので、従来の
フロンガスの注入量の約1、3〜2倍の量を注入する。
【0056】このように変更してヒートポンプ装置を運
転するのであるが、コンプレッサー1で圧縮されて高
圧、高温で吐きだされたHFC系の冷媒ガスは、水冷コ
ンデンサー2C1に送られて冷却水と熱交換して放熱
し、半ば液化した泡状態となる。このとき、水冷コンデ
ンサー2C1を出た冷媒ガス温度は、水冷コンデンサー
2C1に入る冷却水温度プラス10゜C位である。水冷
コンデンサー2C1で冷却水と熱交換して出た冷媒ガス
は、水冷コンデンサー2C2に送られて水冷コンデンサ
ー2C1に送られる同温の冷却水と再度熱交換して、冷
媒ガスの放熱カロリーをすべて放熱して完全液化し、水
冷コンデンサー2C2の後に取り付けた液面計で観察す
ると、泡一つない液体状態となっている。このように完
全液化すると冷媒ガスは体積が減少して、真空パイプの
中で隙間ができてガスパイプ表面の温度は低下し、ガス
パイプの表面で計測する冷媒ガス凝縮温度は、水冷コン
デンサーに送られる冷却水の温度より、1°C以上低温
になるという現象が起こるのである。従来、通常運転で
はオイルとの相溶性がない、といわれているHFC系の
冷媒ガスでも、凝縮温度を低くして完全液化させると充
分にオイルと相溶し、HFC系の冷媒ガスでもヒートポ
ンプ装置の運転は可能となる。
【0057】なお、追加コンデンサーは、空冷コンデン
サーより水冷コンデンサーの方が泡のない完全液化した
状態になりやすいようである。冷却水源のない車両用、
移動用のクーラー等の場合は、水冷コンデンサーを使用
し、この水冷コンデンサーの冷却水をラジエーター等の
放熱器で放熱する。このようにすると実質的には空冷と
いうことになるが、この方が容積的にも効率的にも好適
であったが、この理由も詳らかではない。したがって、
追加コンデンサーとして水冷コンデンサーにラジエータ
ー等の放熱器を配して大気と熱交換させる形式の追加コ
ンデンサーをレトロフィットすることによって、特定フ
ロンCFC12、代替フロンHCFC22等の冷媒ガス
を使用している自動車、鉄道車両、コンテナ等の冷房も
新代替冷媒ガス134aへの変換ができ、現在使用され
ているオゾン層への影響が懸念される特定フロンCF
C、代替フロンHCFC等の使用を廃止することが可能
となる。
【0058】HFC系の冷媒ガスは、一般に低温時に問
題が生じやすいといわれている。また、HFC系の冷媒
ガスは、水分を吸収しやすく、低温時に凍結するようで
ある。そのために、冷媒ガス凝縮温度を極限まで低下さ
せる必要がある。空冷コンデンサーで大気温度とプラス
5°C以内、水冷コンデンサーで冷却水温度より1°C
以上低温というように、冷媒ガスの凝縮温度を低くする
のは、通常の冷房運転でも効果はあるが、庫内をプラス
5°C以下に冷却する冷蔵庫の運転、特に庫内をマイナ
ス20°C以下に冷却する冷凍庫の運転では重大な要件
である。
【0059】このように、冷媒ガスを完全液化して泡を
なくすると、キャピラリチューブの細径孔の冷媒ガス流
量が多くなるので、蒸発器での蒸発密度が高くなり、蒸
発圧力、蒸発温度が高くなる。冷却する大気温度の高い
冷房運転では、蒸発温度が高くなるとクーラーの性能は
向上するが、冷蔵運転では従来のフロンガスで泡状態の
凝縮で運転していたものに対して冷媒ガスの流量が多く
なり、蒸発温度が約5°C上昇して、冷蔵庫内を所要温
度に冷却できないことがある。このような場合には、キ
ャピラリチューブの内径が0.1mm以上小さいものと
取り替えるか、内径が0.1mm以上小さいものを接続
し、必要に応じて長さを増加して抵抗を多くし、冷媒ガ
スの流量を少なくして蒸発温度を低くする。特に、高温
の部屋で冷蔵庫を使用する場合は、運転圧力が高くなっ
て、冷媒ガス流量が増加するので、流量調節弁を追設し
て冷媒ガス流量を調節する必要がある。前述の可燃性ガ
スを含む3種混合ガスに替えて、不燃性のHFC12
5、HFC134aを所望の運転圧力になるように混合
して使用することができる。
【0060】冷媒ガス凝縮温度を低くして完全液化する
と冷媒ガスが飽和せず、運転圧力が高くならないので、
冷房、冷蔵運転に沸点の低い冷媒ガスを使用することが
できる。例えば、沸点がマイナス48.5°CのHFC
125を使用した場合、冷媒ガスを蒸発器に大量に送っ
て蒸発圧力が高くなっても、蒸発温度は高くならないの
で、ヒートポンプ装置の吸熱効率は向上することにな
る。
【0061】前述のように、コンデンサーの放熱量は、
冷凍量の1.2倍〜1.3倍に取れば充分である、とさ
れているが、新代替冷媒ガス134aを完全液化させる
ためには、この程度の余裕では不充分で、さらに10〜
30%の追加を必要とするようである。コンデンサーの
増加放熱量は、機種、運転条件等によって異なり、空冷
コンデンサーの場合、騒音が問題とならない場合には、
送風量を2倍以上とすることで使用できるようになった
こともあるので、このような変更もレトロフィットには
有用であり、外形寸法が同一で、放熱量の多いコンデン
サーがある場合は、追設するよりも取り替えるほうが好
ましい場合もあることを考慮して変更工程を行う。いず
れの場合も、レトロフィットは、液面計によって冷媒ガ
スの状態を泡のない液体状態であることを視認すること
が重要である。特定の機種の特定の型式のものをレトロ
フィットする場合には、所要の放熱量のコンデンサー、
膨張弁又はキャピラリチューブ、冷媒ガスをセットした
レトロフィットキットを使用すれば、それぞれの取り替
え又は入れ替えの工程のみによってレトロフィットする
ことができる。しかし、最低限レトロフィット後に、コ
ンデンサーを出て膨張弁(キャピラリチューブを含む)
に入るHFC冷媒の凝縮温度を測定し、所定の温度であ
ることを確認することがレトロフィットを確実にするた
めに必要であろう。また、このコンデンサーを出て膨張
弁(キャピラリチューブを含む)に入るHFC冷媒の凝
縮温度が所定の範囲でないときは、膨張弁を調整した
り、キャピラリチューブを変更したりする工程を要す
る。この場合も液面計を取り付けて、冷媒ガスの状態を
視認しながら作業することが望ましい。作業後、液面計
を残しておけるスペースがあれば、運転中の管理に有用
であるが、小型のヒートポンプ装置の場合等でスペース
がない場合や、安価にレトロフィットしたい場合などに
は、さらに液面計を取り外す工程を要することになる。
【0062】
【実施例】
〔実施例 1〕ケース内温度をマイナス25°C以下の
低温に設定して使用する冷凍庫の運転状態を示す。空冷
コンデンサー2Aの後に50%の放熱量の空冷コンデン
サー2Bを設置して、冷媒ガスは空冷コンデンサー2A
で大気と熱交換した後、空冷コンデンサー2Bに送り、
再度大気と熱交換して、凝縮温度を低くして冷凍機の運
転を行なった。冷媒ガスは、HFC125 44%、H
FC143a 52%、HFC134a 4%の3種混
合ガスである。冷凍機の運転状態を示す。 (1)冷媒ガス高圧 11.2kg/cm (2)冷媒ガス低圧 0.4kg/cm (3)コンプレッサー吐出ガス温度 29.8°C (4)空冷コンデンサー2B出ガス温度(凝縮温度) 15.9°C (5)空冷コンデンサー入り大気温度 (大気温度) 13.2°C (6)コンプレッサー入りガス温度 0.5°C (7)冷凍庫内温度 マイナス 27.5°C 空冷コンデンサー2B出の冷媒ガス凝縮温度は、大気温
度プラス2.7°Cである。冷凍庫内は、マイナス2
7.5°Cに保たれており、マイナス35°Cまで冷却
することができた。この冷凍機は、夏、冬を問わず、長
時間運転されているが、正常に作動している。
【0063】〔実施例 2〕冷媒ガスとしてHFC13
4aを使用した業務用冷蔵庫の運転状態を示す。現在使
用されているフロンガスR12を回収し、既設の空冷コ
ンデンサー2Aにその放熱量の50%の放熱量の空冷コ
ンデンサー2Bを追設して、注入されていたフロンガス
R12の2倍量の冷媒ガスHFC134aを投入し、空
冷コンデンサー2Aで大気と熱交換した後、空冷コンデ
ンサー2Bに送って再度大気と熱交換して凝縮温度を低
くして運転した。コンプレッサーの能力が180Wの業
務用冷蔵庫の運転状態を示す。 (1)冷媒ガス高圧 5.8kg/cm (2)冷媒ガス低圧 0.4kg/cm (3)コンプレッサー吐出ガス温度 34.2°C (4)空冷コンデンサー2B出ガス温度(凝縮温度) 17.2°C (5)空冷コンデンサー入り大気温度 (大気温度) 14.9°C (6)コンプレッサー入りガス温度 3.2°C (7)冷蔵庫内温度 マイナス 12.5°C 空冷コンデンサー2B出の冷媒ガス凝縮温度は、大気温
度プラス2.3°Cと低温である。冷蔵庫内は、マイナ
ス12.5°Cに冷却されており、冷蔵庫として充分機
能している。この冷蔵庫では、マイナス18°Cまで冷
却することができたのである。
【0064】〔実施例 3〕冷媒ガスとしてHFC13
4aを使用した、水冷コンデンサー使用のクーラーの運
転状態を示す。冷媒ガスHCFC22で運転されている
水冷コンデンサー使用の従来のクーラーから、冷媒ガス
HCFC22を回収し、既設の水冷コンデンサー2C1
の後にその放熱量の50%の放熱量の水冷コンデンサー
2C2を追設し、冷却水回路はクーリングタワー、ラジ
エーター等の水冷却器8につながる。水ポンプ9を出た
水パイプ10を2分割して水冷コンデンサー2C1、水
冷コンデンサー2C2に同量程度送り、水冷コンデンサ
ー2C1、水冷コンデンサー2C2を出た冷却水は合流
させてクーリングタワー、ラジエーター等の水冷却器8
に戻し、水冷却器8と水冷コンデンサー2C1、水冷コ
ンデンサー2C2との間を冷却水が循環するようにし
た。水冷コンデンサー2C1で冷却水と熱交換した冷媒
ガスは、水冷コンデンサー2C2に送られ、水冷コンデ
ンサー2C1に送られるのとほぼ同温の冷却水と再度熱
交換するようにした。クーラーは5HPのもので、水冷
コンデンサーで昇温した冷却水は、クーリングタワーで
大気温度とほぼ同温に冷却するようにした。冷媒ガスH
FC134aは、従来の冷媒ガスHCFC22の約2倍
量(重量比)を注入してクーラーを運転を行った。この
5HPの水冷コンデンサーを使用したクーラーの運転状
態を示す。 (1)大気温度 30.5°C (2)冷媒ガス高圧 9.1kg/cm (3)冷媒ガス低圧 2.0kg/cm (4)コンプレッサー吐出ガス温度 72.5°C (5)水冷コンデンサー2C1出ガス温度 36.2°C (6)水冷コンデンサー2C2出ガス温度(凝縮温度)28.5°C (7)水冷コンデンサー入り冷却水温度 30.5°C (8)水冷コンデンサー2C1、水冷コン デンサー2C2出の冷却水の合流温度 34.7°C (9)蒸発器入り大気温度 (大気温度)25.6°C (10)蒸発器出の大気温度 15.1°C (11)蒸発器吸い込み、吹き出し大気温度差 10.5°C 水冷コンデンサー入りの水温より、追設水冷コンデンサ
ー2C2出の冷媒ガスの凝縮温度が、2°C低いという
逆転現象が起きている。蒸発器の吸い込み、吹き出し大
気温度差は10.5°Cであり、冷媒ガスとしてHCF
C22を使用した場合とほとんど変わらないのである。
冷媒ガスHFC134aは、HCFC22に比べて凝縮
圧力は68%であり、HCFC22の運転圧力に合わせ
た膨張弁、キャピラリチューブでは冷媒ガスは充分に通
過せず、必要量の冷媒ガスを蒸発器に送れないのであ
る。また、冷媒ガスHFC134aは、冷媒ガスHCF
C22と比較して分子量が小さいので、同じ冷媒量では
61%の能力であるため、一般に冷媒ガスHFC134
aは冷媒ガスHCFC22の代替として使用できないも
のとされていたのである。しかしながら、このクーラー
の運転では、冷媒ガスの凝縮温度を低くして、完全液化
して泡をなくしているので、膨張弁、キャピラリチュー
ブの冷媒ガスの通過量が約1.6倍と多く、コンデンサ
ーで完全に放熱し、泡の全くない状態に液化した冷媒ガ
スは、蒸発器での蒸発状態がよくなるので、クーラーの
性能は低下しなかったのである。
【0065】〔実施例 4〕コンプレッサー能力180
Wの業務用冷蔵庫の実施例について述べる。この冷蔵庫
に封入されていたフロンガスCFC12を回収し、空冷
コンデンサー2Aに空冷コンデンサー2Bを追設し、冷
媒ガスとしてHFC134aをCFC12が注入されて
いた量の約2倍量を注入し、キャピラリチューブの内径
0.8mmの既設の状態のものを室温25°Cで運転す
ると、冷媒ガスの蒸発圧力は1.1kg/cmより下
がらず、庫内はプラス3°C以下には低下させることが
できなかった。これは、冷媒ガスが完全液化して泡がな
くなり、キャピラリチューブの冷媒ガスの通過量が多
く、蒸発圧力、蒸発温度が高くなるためであると思われ
る。そこで、キャピラリチューブの内径を0.1mm小
径の0.7mmのものを使用すると、蒸発圧力は0.4
kg/cmに下がり、冷蔵庫内はマイナス12.5゜
Cに低下して、冷蔵庫として作動し、製氷も可能となっ
た。この冷蔵庫を、室温43゜C、湿度80%の環境で
運転すると、蒸発圧力は0.9kg/cmに上昇し、
庫内はマイナス3゜Cより下がらないのである。そこ
で、キャピラリチューブの長さを倍増して300mmに
すると、蒸発圧力は0.6kg/cm、冷蔵庫内はマ
イナス8゜Cとなった。この冷蔵庫に流量調節弁を取り
付け、蒸発圧力を0.4kg/cmにすると、冷蔵庫
内はマイナス12.5゜Cに低下させることができた。
【0066】〔実施例 5〕この実施例は、コンプレッ
サー能力180Wの業務用冷凍庫に冷媒ガスとしてHF
C125を使用したものである。この冷蔵庫に封入され
ていたフロンガスCFC12を回収し、空冷コンデンサ
ー2Bとして空冷コンデンサー2Aの放熱能力に等しい
空冷コンデンサーを追設し、冷媒ガスとしてHFC12
5をCFC12の2倍量(重量比)を注入して運転し
た。 (1)冷媒ガス高圧 19.3kg/cm (2)冷媒ガス低圧 0.8kg/cm (3)コンプレッサー吐出ガス温度 54.4°C (4)空冷コンデンサー2B出ガス温度(凝縮温度) 29.2゜C (5)空冷コンデンサー入り大気温度 (大気温度) 28.4°C (6)コンプレッサー入りガス温度 26.2°C (7)コンプレッサー表面温度 71.0°C (8)冷蔵庫内温度 マイナス 29.7°C CFC12を使用した場合の冷蔵庫内温度はマイナス1
0゜Cであったが、上記のようにマイナス29.7C
で、極めて良好な結果が得られた。なお、この場合の蒸
発温度はマイナス35°Cであった。また、この冷蔵庫
は、2ヵ月以上連続運転しているが、異状は認められな
い。
【0067】〔実施例 6〕この実施例は、コンプレッ
サー出力400Wの業務用冷蔵庫に冷媒ガスとしてHF
C125を55%、HFC134aを45%の混合ガス
を使用したものである。この冷蔵庫に封入されていたフ
ロンガスCFC12を回収し、空冷コンデンサー2Aに
その放熱能力の40%の空冷コンデンサー2Bと空冷コ
ンデンサー2Aの放熱能力の60%の空冷コンデンサー
2Cを追設し、冷媒ガスとしてHFC125を55%、
HFC134aを45%の混合ガスをCFC12の2倍
量(重量比)を注入して運転した。 (1)冷媒ガス高圧 18.2kg/cm (2)冷媒ガス低圧 2.5kg/cm (3)コンプレッサー吐出ガス温度 60.9゜C (4)空冷コンデンサー2A出ガス温度 42.7゜C (5)空冷コンデンサー2B出ガス温度 41.5°C (6)空冷コンデンサー2C出ガス温度(凝縮温度) 36.1°C (7)空冷コンデンサー位置大気温度 (大気温度) 35.0゜C (8)冷蔵庫内蒸発器吸い込み大気温度 マイナス 2.7°C (9)冷蔵庫内蒸発器吹き出し大気温度 マイナス 4.0゜C この実施例のものは、空冷コンデンサー2Bのみを追設
して冷媒ガスとしてHFC134aを使用し、庫内温度
5゜Cで運転していたものである。冷媒ガスHFC13
4aを抜き取り、冷媒ガスをHFC125を55%、H
FC134aを45%の混合ガスを注入して運転したと
ころ、冷媒ガスが完全液化しないので、さらに上記の放
熱能力を有する空冷コンデンサー2Cを追設して、図3
にしめす構成として、漸く冷媒ガスが完全液化し上記の
運転状態となったものである。庫内温度は著しく低下し
たが運転圧力は9.0kg/cmから18.2kg/
cmに上昇した。なお、この状態で、168時間連続
運転したが、異状は認められなかった。
【0068】〔実施例 7〕この実施例は実施例6とし
て示した冷蔵庫の扉を開放して、クーラーとして使用し
たものである。 (1)冷媒ガス高圧 19.2kg/cm (2)冷媒ガス低圧 2.6kg/cm (3)コンプレッサー吐出ガス温度 84.6゜C (4)空冷コンデンサー2A出ガス温度 41.0゜C (5)空冷コンデンサー2B出ガス温度 38.5°C (6)空冷コンデンサー2C出ガス温度(凝縮温度) 33.8°C (7)空冷コンデンサー位置大気温度 (大気温度) 33.8°C (8)蒸発器吸い込み大気温度 27.6°C (9)蒸発器吹き出し大気温度 21.2°C 蒸発器の吸い込み、吹き出し温度差はマイナス6.4°
Cで、クーラーとして使用できることを示している。ま
た、この状態で168時間連続運転したが、異状は認め
られなかった。
【0069】追加コンデンサーによるガス温度の低下
は、HFC134aを使用した場合、〔実施例 3〕の
ものでは2・3゜であるが、1.1゜〜3.6゜の範囲
であった。HFC125を使用して〔実施例 6〕のも
のでは6.6°C、HFC125とHFC134aの混
合ガスを使用した〔実施例 7〕のものでは実に8°C
に達しており、しかも凝縮温度は大気温度と等しい場合
があるという結果が得られている。この理由も説明が困
難であるが、追設水冷コンデンサーにおける温度逆転現
象と同様の理由によるものと考えている。
【0070】実施例の凝縮温度と大気温度の差は、冷媒
ガスとしてHFC134aを使用したた〔実施例1〜
3〕のものでは、2.3゜〜2.7°であって大気温度
プラス3°以内となっているが、大気温度プラス8°で
運転できた場合もあったが、このような凝縮温度に設定
すると、運転条件の変動によって、不安定となることが
あるので、1°〜3°の余裕を持たせると、長期にわた
って安定に、正常に運転することができるようになっ
た。また、冷媒ガスしてHFC125を使用したもので
は温度差は0.8°、HFC134aとの混合ガスを冷
媒ガスとして使用した〔実施例6〜7〕のものでは、
1.1°〜0゜となっている。
【0071】以上に述べた実施例の計測結果から、すべ
てのクーラーに実施して性能を低下させず、正常に運転
できる、と速断することはできないであろうが、特定メ
ーカーの特定機種については、そのレトロフィット条件
を明らかにすれば、レトロフィットキットとして提供
し、レトロフィットの際には前述のように各部の温度の
確認のみで適切なレトロフィットが行え、かつ潤滑油も
従来のもの(鉱物油系のものにかぎらず)で運転できる
ことは明らかである。
【0072】また、発明の実施の形態及び実施例に記載
した事項は、新代替冷媒ガス134a、HFC125及
びこれらの混合ガスを使用するヒートポンプ装置の設計
及び最適化に有用な示唆を与えるであろう。
【0073】
【発明の効果】本発明によって現用クーラーをレトロフ
ィットして本発明のヒートポンプ装置とし、本発明の運
転方法を採ることにより、新代替冷媒ガス134a、H
FC125及びこれらの混合ガスと入れ換えてクーラー
の使用継続が可能となるので、オゾン層に影響を及ぼす
ことなしに現用ヒートポンプ装置を引き続き使用できる
ことになり、地球環境を守るとともに経済的である。し
かも、理由は詳らかでないが、新代替冷媒ガス134
a、HFC125及びこれらの混合ガスを完全液化して
泡のない液体状態とすると、従来使用されていた鉱物油
系等の潤滑油との馴染みがよく、冷房能力が低下するこ
となく、むしろ最適化することによっては20%程度の
性能の向上が得られた場合もあった。
【0074】このように、本発明によれば鉱物油系の潤
滑油を使用して運転できるので、コンプレッサーが電動
機と一体となっている家庭用クーラー、自動販売機、シ
ョーケース等にも冷媒ガスの含水による絶縁低下やパッ
キングの劣化等のおそれなく、本発明を実施することが
できるものである。この場合、電動機等に損傷を与えな
い合成油系の潤滑油を使用できることは勿論であり、
又、自動車用クーラー等をレトロフィットする場合に
も、必要に応じて、合成油系、あるいはエステル系等の
潤滑油を使用することができることも当然である。
【0075】HFC系の冷媒ガスで不燃性のものを使用
しても、空冷コンデンサーで冷媒ガス凝縮温度を大気温
度プラス5°C以内、水冷コンデンサー使用の場合では
凝縮温度を水冷コンデンサーに送られる冷却水温度より
1°C以上低温し、コンデンサーで冷媒ガス凝縮温度を
大気温度プラス5°C以内とすると、冷媒ガスは泡のな
い液体状態となりオイルとの相溶性がよくなり、蒸発器
へ送る冷媒ガス流量を少なくして低温蒸発し、ヒートポ
ンプ装置は正常に作動して、冷蔵、冷凍運転が可能とな
る。上述のように本発明によれば、冷媒ガスにオイルと
の相溶性がよいが可燃性のあるガスを混合しないで、不
燃性の冷媒ガス、例えばHFC134a、HFC125
等を単独で使用することができたのである。また、HF
C134aとHFC125を混合して、所望の運転圧力
でのヒートポンプ装置の運転することもできる。
【0076】特に、本発明によれば、HFC系の冷媒ガ
スを使用して、庫内をマイナス20゜C以下に冷却する
冷凍運転が可能となる。また、新代替冷媒ガス134
a、HFC125及びこれらの混合ガスを使用して、冷
媒ガスとしてHCFC22、CFC12等を使用してい
る現用機器、現用のオイルで冷房、冷蔵、冷凍運転がで
きるようになる。さらに、オイルとの相溶性はよいが可
燃性の冷媒ガスを使用せず、不燃性のHFC系の冷媒ガ
スを単独で、又は混合して使用し、現用のヒートポンプ
装置のレトロフィットができ、そのヒートポンプ装置の
運転を可能としたものである。
【0077】出願人は、冷媒ガスとしてフロンガスを使
用するクーラーの冷房能力等を向上する手段として、コ
ンデンサーや蒸発器を追加したり、特定の運転条件とし
たりすることを提案したが、その実験中、要所に液面計
を取り付け、冷媒ガスの状態を観察したところ、冷媒ガ
スが完全に液化した状態、すなわち液面計を通して泡の
見えない状態又はほとんど泡の見えない状態とすること
によって、10〜30%程度の冷房能力が向上すること
を発見した。冷媒ガスが泡のない液体状態となる運転条
件を求めるために、コンプレッサー、コンデンサー、膨
張弁、蒸発器の能力、これらの部分に出入りするガス圧
力、ガス温度、水温、風温等との関連を探索していた。
これらの試行錯誤を重ねているうちに新代替冷媒ガスH
FC134a、HFC125及びHFC134aとHF
C125aの混合ガスも泡のない液体状態とすることに
よって現用のヒートポンプ装置の運転が可能であるこ
と、しかも潤滑油を変更しないでも運転ができることを
発見したのである。
【0078】本明細書の説明は、あるいは誤っているか
も知れないが、HFC134a、HFC125及びHF
C125とHFC134aとの混合ガスを使用し、潤滑
油を変更しないでヒートポンプ装置が正常に運転できる
ことは事実であり、公的機関の証明書又は第三者機関の
証明書等を得たものもあり、現に、本発明によりレトロ
フィットした相当数のヒートポンプ装置が正常に運転中
であることも事実である。
【図面の簡単な説明】
【図1】空冷コンデンサー2Aに空冷コンデンサー2B
を追設し、冷媒ガスの凝縮温度を大気温度プラス5゜C
以内の低温に設定し、HFC系の冷媒ガスを使用して運
転するヒートポンプ装置の構成略図である。
【図2】水冷コンデンサー2C1に水冷コンデンサー2
C2を追設し、冷媒ガスの凝縮温度を水冷コンデンサー
に送られる水温より1゜C以上低温に設定し、HFC系
の冷媒ガスを使用して運転するヒートポンプ装置の構成
略図である。
【図3】空冷コンデンサー2Aに空冷コンデンサー2B
及び2Cを追設し、冷媒ガスの凝縮温度を大気温度プラ
ス5°C以内の低温に設定し、HFC系の冷媒ガスを使
用して運転するヒートポンプ装置の構成略図である。
【符号の説明】
1‥‥‥‥コンプレッサー 2A‥‥‥既設空冷コンデンサー 2B‥‥‥追設空冷コンデンサー 2B2‥‥第2追設空冷コンデンサー 2C1‥‥既設水冷コンデンサー 2C2‥‥追設水冷コンデンサー 3‥‥‥‥膨張弁 4‥‥‥‥蒸発器 5‥‥‥‥既設高圧ガスパイプ 6‥‥‥‥低圧ガスパイプ 7‥‥‥‥追設高圧ガスパイプ 8‥‥‥‥クーリングタワー、ラジエーター等の水冷却
器 9‥‥‥‥水ポンプ 10‥‥‥‥水パイプ

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス状態のHFC(ハイドロ・フルオロ
    カーボン)冷媒を所定圧力に圧縮するコンプレッサー
    と、前記HFC冷媒を所定の凝縮温度において泡のない
    液体状態に達するまで凝縮する冷凍量の1.5倍以上の
    放熱量を有する前記コンプレッサーに接続されたコンデ
    ンサーと、前記コンデンサーに接続された膨張弁(キャ
    ピラリチューブを含む)と、前記膨張弁に接続され膨張
    弁を出たHFC冷媒を前記ガス状態に戻すコンプレッサ
    ーに接続された蒸発器と、を含む新代替冷媒ガスHFC
    を使用する、ヒートポンプ装置。
  2. 【請求項2】 コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC
    冷媒の凝縮温度を大気温度プラス5°以内とする、請求
    項1記載の新代替冷媒ガスHFCを使用するヒートポン
    プ装置。
  3. 【請求項3】 コンプレッサー、コンデンサー、膨張弁
    (キャピラリチューブを含む)、蒸発器を有するヒート
    ポンプにおいて、冷媒としてHFC(ハイドロ・フルオ
    ロカーボン)を選択する段階と、蒸発器にあるガス状態
    の前記HFC冷媒を所定圧力にコンプレッサーによって
    圧縮する段階と、冷凍量の1.5倍以上の放熱量を有す
    るコンデンサーで前記圧縮されたHFC冷媒を所定の凝
    縮温度において泡のない液体状態に達するまで凝縮する
    段階と、膨張弁(キャピラリチューブを含む)とこの膨
    張弁に接続された蒸発器とによって前記液体状態のHF
    C冷媒を前記液体状態から前記ガス状態にする段階と、
    を含むことを特徴とする新代替冷媒ガスHFCを使用す
    る、ヒートポンプ装置の運転方法。
  4. 【請求項4】 コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC
    冷媒の凝縮温度を大気温度プラス5°以内とする段階を
    含む、請求項3記載の新代替冷媒ガスHFCを使用す
    る、ヒートポンプ装置の運転方法。
  5. 【請求項5】 コンプレッサー、コンデンサー、膨張弁
    (キャピラリチューブを含む)、蒸発器を有する現用の
    ヒートポンプにおいて、現用の冷媒ガスを抜き取る工程
    と、コンデンサーの放熱量を冷凍量の1.5倍以上に変
    更する工程と、HFC(ハイドロ・フルオロカーボン)
    冷媒を封入する工程と、を有することを特徴とする、新
    代替冷媒ガスHFCを使用するヒートポンプのレトロフ
    ィット方法。
  6. 【請求項6】 コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC
    冷媒の凝縮温度を測定し、その凝縮温度が大気温度プラ
    ス5°以内であることを確認する工程を加えた、請求項
    5記載の新代替冷媒ガスHFCを使用するヒートポンプ
    装置のレトロフィット方法。
  7. 【請求項7】 コンデンサーを出て膨張弁に入るHFC
    冷媒の凝縮温度を測定し、その凝縮温度を大気温度プラ
    ス5°以内に調整する工程を加えた、請求項5記載の新
    代替冷媒ガスHFCを使用するヒートポンプ装置のレト
    ロフィット方法。
  8. 【請求項8】 コンデンサーと膨張弁の間に液面計を取
    り付け、HFC冷媒が所定の凝縮温度において泡のない
    液体状態であることを視認する工程を加えた、請求項5
    から7、いずれか記載の新代替冷媒ガスHFCを使用す
    る、ヒートポンプ装置のレトロフィット方法。
  9. 【請求項9】 コンデンサーと膨張弁の間に液面計を取
    り付けた液面計を取り去りその間を接続する工程を加え
    た、請求項8記載の新代替冷媒ガスHFCを使用する、
    ヒートポンプ装置のレトロフィット方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10339511A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Yoriyuki Oguri ヒートポンプ式冷暖房機

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH10339511A (ja) * 1997-06-09 1998-12-22 Yoriyuki Oguri ヒートポンプ式冷暖房機
JP4208982B2 (ja) * 1997-06-09 2009-01-14 グリーンアース株式会社 ヒートポンプ式冷暖房機

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