JPH0978008A - 低反射性透明導電膜 - Google Patents

低反射性透明導電膜

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JPH0978008A
JPH0978008A JP23878795A JP23878795A JPH0978008A JP H0978008 A JPH0978008 A JP H0978008A JP 23878795 A JP23878795 A JP 23878795A JP 23878795 A JP23878795 A JP 23878795A JP H0978008 A JPH0978008 A JP H0978008A
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JP
Japan
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fine powder
conductive film
film
transparent conductive
black
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JP23878795A
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English (en)
Inventor
Toshiharu Hayashi
年治 林
Masahiro Sekiguchi
昌宏 関口
Akira Nishihara
明 西原
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ブラウン管表面に、可視光最低反射率が1.0
%以下、ヘーズが0.5 %以下、好ましくは0.3 %以下、
表面抵抗値が105 Ω/□台以下、好ましくは 103〜104
Ω/□台、全可視光線透過率が75%以上、好ましくは80
%以上の、低反射性と電磁波シールド性を備え、紫〜青
味または赤〜黄色味の反射光のない無色の透明導電膜を
形成する。 【構成】 アルコキシシランから形成されたシリカマト
リックス中に、錫ドープ酸化インジウム微粉末45〜95重
量%とチタンブラック微粉末3〜30重量%とを含有する
膜厚60〜1000 nm の透明導電膜。塗料中にアルコキシチ
タンまたはチタンカップリング剤を少量含有させてもよ
い。 【効果】 外部映像の映り込みによる視認性低下とブラ
ウン管からの電磁波漏洩とを防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管などの
透明基体に帯電防止、電磁波シールド、映り込みの防止
などの機能を付与するのに適した、低反射性の透明導電
膜形成用塗料、ならびにこの透明導電膜を透明基体
(例、ブラウン管)上に形成する方法およびこの透明導
電膜が形成された基体に関する。
【0002】
【従来の技術】TVや各種ディスプレイ用CRTを含む
ブラウン管の画像表示部 (スクリーン面)には、静電気
によりほこりが付着し易く、また表面が高反射性である
ため、スクリーンへの外部の光の反射や外部映像の映り
込みにより画像が不明瞭になるといった問題点がある。
【0003】ほこりの付着防止には帯電防止効果のある
透明導電膜をスクリーン外面に形成する手段が一般に採
用され、映り込みの防止対策としては、スクリーン面を
微細凹凸処理して光を散乱させるノングレアー処理が一
般に行われてきた。しかし、ノングレアー処理は画像の
解像度を悪化させ、視認性が低下するという問題があ
る。
【0004】そのため、最近では高屈折率の透明導電膜
の上に低屈折率の透明オーバーコート膜を形成した2層
膜によって、帯電防止(ほこり付着防止)と映り込み防
止の両方の機能を付与することが試みられている。この
ような2層膜では、高屈折率膜と低屈折率膜の屈折率差
が大きければ、上層の低屈折率膜表面からの反射光が下
層の高屈折率膜との界面からの反射光の干渉によって打
ち消され、結果として映り込みが防止される。
【0005】例えば、特開平5−290634号公報には、Sb
ドープ酸化錫 (ATO) 微粉末を界面活性剤を用いて分
散させたアルコール分散液をガラス基体に塗布し、乾燥
して、従来の導電性の屈折率 (1.50〜1.54) より高い屈
折率 (1.55〜2.0)を持った導電膜を形成し、その上にフ
ッ化マグネシウム (1.38) を含有していてもよいアルコ
キシシランから形成されたシリカ (1.45) の低屈折率膜
を形成することにって、反射率を0.7 %まで低減させた
2層膜が提案されている。
【0006】特開平6−12920 号公報には、基体上に形
成した高屈折率層−低屈折率層の光学的膜厚nd (n:
膜厚、d:屈折率)をそれぞれ 1/2λ− 1/4λ (λ=反
射を防止したい波長) とした場合に低反射性となること
が記載されている。この公報によれば、高屈折率層はA
TOまたはSnドープ酸化インジウム (ITO) 微粉末を
含有するシリカ質の膜であり、低屈折率層はシリカ膜で
ある。
【0007】特開平6−234552号公報には、ITO含有
シリケート高屈折率導電膜 (69〜86nm)−シリケートガ
ラス低屈折率膜 (97 nm)からなる 1/4λ− 1/4λとした
2層膜が開示されている。
【0008】特開平5−107403号公報には、導電性微粉
末とTi塩を含有する液を塗布して形成した高屈折率導電
膜と低屈折率膜との2層膜が記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の高屈折
率導電体膜/低屈折率膜からなる2層膜には、次の大き
な問題点がある。
【0010】(1) ブラウン管の視認性を高めるには、表
面の低反射膜のヘーズが0.5 %未満、可視光最低反射率
が0.5 %未満であることが要求されるが、上記の2層膜
はヘーズが0.5 %以上、反射率が0.7 %以上であって、
いずれも不十分であり、ブラウン管の視認性が悪化す
る。即ち、ヘーズにより映像の鮮明さが低下し、かつ外
部映像の映りにより映像が見えにくくなる現象の防止も
十分ではない。
【0011】(2) 上記2層膜の多くは、導電性が不十分
(106〜1010Ω/□) なため、特に最近問題となっている
コンピュータ用および高性能化した大型TV用のブラウ
ン管から発生する電磁波の漏洩をシールドするのに必要
な低抵抗性(103〜105 Ω/□)を得ることができない。
即ち、導電性が帯電防止に必要な程度にとどまってお
り、電磁波シールド性を確保するには導電性が不十分で
ある。
【0012】電磁波シールド性レベルまで低抵抗化を達
成した例 (特開平6−234552号公報、7.22×104 〜8.92
×104 Ω/□) もあるが、この場合にはヘーズが 0.6〜
2.8%と高すぎ、しかも光学的膜厚の 1/4λの条
件から大きく外れてしまう (導電層の膜厚襟: 160〜26
0 nm) ため、可視光反射率が7%以上と著しく高く、ブ
ラウン管の光学的要求性能を満たすことができない。
【0013】(3) 高屈折率導電膜−低屈折率膜の2層膜
の反射スペクトルは、視感度の高い550 nm付近で反射率
が極小になるが、それより低波長側および高波長側では
反射率が非常に高くなる。その結果、この2層膜は紫〜
青味 (低波長側の反射率が高い場合) 、或いは赤〜黄色
味 (高波長側の反射率が高い場合) の反射色調を帯び、
画像の色調を変化させてしまう。
【0014】特開平6−344489号公報には、ATO微粉
末と黒色導電性微粉末 (好ましくはカーボンブラック微
粉末) とからなる固形分が緻密に充填された高屈折率の
第1層膜と、その上に形成したシリカ質の低屈折率膜と
からなる、黒色味を帯びた2層膜が開示されている。こ
の2層膜は、下層の導電膜の屈折率が非常に高く、上層
の低屈折率膜との屈折率差が大きくなるため、低ヘー
ズ、低反射率が達成される。しかし、導電性と透明性が
両立しない。即ち、全光線透過率が75%以上と高い場合
には、表面抵抗が 106Ω/□台であって、電磁波シール
ド性を確保する水準には達しない。一方、表面抵抗を 1
04〜105 Ω/□台にするには、黒色導電性微粉末を多量
に含有させる必要がある。そのため、全光線透過率は75
%未満 (56〜71%) に低下し、透明性が大きく阻害さ
れ、画像の視認性が悪化する。従って、この2層膜で
も、導電性の問題は解決されていない。
【0015】また、2層膜は、当然ながら1層膜に比べ
て塗布工程が複雑となる。本発明の目的は、1層の皮膜
構成によって、上記(1) 〜(3) の問題点が全て解消され
たブラウン管用に適した低反射性の透明導電膜とその形
成用塗料および形成方法を提供することである。
【0016】具体的な本発明の目的は、可視光最低反射
率が1.0 %以下、ヘーズが0.5 %以下、好ましくは0.3
%以下、表面抵抗値が105 Ω/□台以下、好ましくは 1
03〜104 Ω/□台の、電磁波シールド性を備え、無色か
つ低反射性の透明導電膜と、この低反射性透明導電膜の
形成用塗料および形成方法を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的は、アルコキシ
シランから形成されたシリカマトリックス中に、錫ドー
プ酸化インジウム (ITO) 微粉末および黒色導電性微
粉末を含有する、透明基体の表面に設けた、低反射性、
電磁波シールド性の無色透明導電膜、により達成され
る。好適態様にあっては、上記黒色導電性微粉末はチタ
ンブラックであり、上記透明基体はブラウン管の画像表
示部である。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の透明導電膜は、アルコキ
シシランの加水分解・縮合により形成されたシリカをマ
トリックスとし、電磁波シールド性を確保できる低抵抗
化を達成するためのITO微粉末と、無色の低反射性を
付与するための黒色導電性微粉末とを含有する。それに
より、本発明の透明導電膜は電磁波シールド性と低反射
性を兼ね備え、かつ紫〜青味や赤〜黄色味といった色味
のない、無色の透明導電膜となる。
【0019】アルコキシシランとしては、少なくとも1
個、好ましくは2個以上、さらに好ましくは3個以上の
アルコキシル基を有する任意の1種または2種以上のシ
ラン化合物が使用できる。その具体例としては、テトラ
エトキシシラン (=エチルシリケート) 、テトラプロポ
キシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメ
トキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、クロルト
リメチルシラン、各種のシランカップリング剤 (例、ビ
ニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン) などが挙げられる。好ましいのは、最も安
価で容易に加水分解するエチルシリケートである。
【0020】アルコキシシランは無機バインダーとして
作用する。即ち、アルコキシシランは加水分解を受けて
アルコールが離脱した後、生成したOH基同士が縮合し
て、シリカゾルになり、乾燥により脱水させると最終的
に硬質のシリカ (SiO2) となって、本発明の透明導電膜
のマトリックスを構成する。
【0021】ITO微粉末は、透明性を阻害しないた
め、平均一次粒子径が0.2 μm以下のものを使用し、平
均一次粒子径が0.1 μm以下のものが好ましい。ITO
における錫のドープ量は、Sn+Inの合計量に対して1〜
15モル%、特に3〜8モル%の範囲が好ましい。ITO
微粉末に加えて、他の透明導電性微粉末、例えば、AT
O微粉末、Alドープ酸化亜鉛 (AZO) 微粉末なども、
少量 (透明導電性微粉末の合計量の50重量%未満の量)
であれば併用することができる。透明導電粉としてIT
O微粉末を使用することは、電磁波シールド性に必要な
低抵抗化を達成するために必須である。
【0022】黒色導電性微粉末としては、チタンブラッ
クが可視光吸収性が特に高いことから最も好ましいが、
マグネタイト (=磁鉄鉱, Fe3O4)、カーボンブラックな
どの他の黒色導電性微粉末も使用できる。チタンブラッ
クは、TiOx・Ny (0.7<x<2.O, y<0.2)で示され
る組成を持つ酸窒化チタンであり、結晶格子内に酸素欠
陥があるため、導電性を示す。特に好ましいチタンブラ
ックは、上記組成においてxが 0.8〜1.2 のものであ
る。黒色導電性微粉末の平均一次粒子径は特に制限され
ないが、一般には 0.1μm以下のものが好ましい。
【0023】本発明の透明導電膜の好ましい組成は、I
TO微粉末が45〜95重量%、より好ましくは70〜90重量
%、最も好ましくは70〜85重量%黒色導電性微粉末が3
〜30重量%、より好ましくは5〜15重量%、最も好まし
くは5〜10重量%である。残部は、マトリックスのシリ
カと任意添加成分が占める。ITO微粉末の量が少なす
ぎると、電磁波シールド性の確保に十分な低抵抗化が不
可能となり、ITO微粉末の量が多すぎると、マトリッ
クスが少なすぎて膜の機械的強度が低下する。黒色導電
性微粉末の量が少なすぎると、膜の反射性が高くなり、
目的とする可視光最低反射率が0.5 %未満という低反射
性を得ることが困難となる。一方、黒色導電性微粉末の
量が多すぎると、膜の透明性 (可視光透過率) が低下す
る。
【0024】本発明の低反射性、電磁波シールド性の無
色透明導電膜は、アルコキシシランおよび/またはその
加水分解物を含有する溶液中にITO微粉末と黒色導電
性微粉末とを含有する塗料を透明基体の表面に塗布し、
加熱して塗膜を焼付けることにより形成することができ
る。この塗料中のITO微粉末と黒色導電性微粉末の量
は、塗膜の乾燥後のITOと黒色導電性微粉末の含有量
が上記範囲内となるようにすることが好ましい。
【0025】アルコキシシランおよび/またはその加水
分解物を含有する溶液 (シリカゾル溶液を含む) は、ア
ルコキシシランを適当な溶媒に溶解させ、場合によりそ
の加水分解反応を進めることにより調製できる。
【0026】溶媒は、アルコキシシランを溶解すること
ができれば特に制限されないが、好ましい溶媒はアルコ
ールまたはアルコールと他の相溶性有機溶媒および/ま
たは水との混合溶媒である。アルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、
ヘキサノールなどの1価アルコールのほか、2−メトキ
シエタノールなどのアルコキシアルコールも単独で、ま
たは1価アルコールと混合して使用できる。
【0027】アルコキシシランの加水分解は、反応を促
進させるため、酸触媒 (例、塩酸などの無機酸、または
p−トルエンスルホン酸などの有機酸) と水の存在下で
行うことが好ましい。アルコキシシランの加水分解は、
室温ないし加熱下で行うことができ、好ましい反応温度
は20〜80℃の範囲内である。
【0028】アルコキシシランおよび/またはその加水
分解物を含有する溶液にITO微粉末と黒色導電性微粉
末とを添加して、塗料の調製に慣用される分散手段によ
り均一分散させると、本発明で用いる塗料が得られる。
【0029】好適態様にあっては、この塗料はさらにア
ルコキシチタンおよびその加水分解物ならびにチタンカ
ップリング剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
チタン化合物を含有する。このチタン化合物は膜補強剤
として作用し、導電膜中におけるITO微粉末の粒子間
の結合性を均一化し、安定した再現性に優れた低抵抗化
を確保するのに効果がある。
【0030】このチタン化合物は、これを使用する場
合、ITO微粉末に対して 0.1〜5重量%、好ましくは
0.2〜2重量%の量で使用するのがよい。0.1 重量%未
満では上記の効果を得ることができず、5重量%を超え
ると、ITO微粉末粒子間における電子パスが阻害され
て、導電性が低下する。
【0031】本発明で使用できるアルコキシチタンの例
としては、テトライソプロポキシチタン、テトラキス(2
−エチルヘキソキシ) チタン、テトラステアロキシチタ
ンなどのテトラアルコキシチタン、ならびにジイソプロ
ポキシ・ビス (アセチルアセトナト) チタン、ジ−n−
ブトキシ・ビス (トリエタノールアミナト) チタン、ジ
ヒドロキシ・ビス (ラクタト) チタン、チタン−i−プ
ロポキシオクチレングリコレート等のトリ、ジもしくは
モノアルコキシチタンが挙げられる。好ましいのはテト
ラアルコキシチタンである。アルコキシチタンはその加
水分解物として使用することもできる。アルコキシチタ
ンの加水分解は、アルコキシシランの加水分解と同様に
実施できる。
【0032】一方、チタンカップリング剤の例には、イ
ソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロ
ピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプ
ロピルトリス (ジオクチルパイロホスフェート) チタネ
ート、テトライソプロピルビス (ジオクチルホスファイ
ト) チタネート、テトラオクチルビス (ジトリデシルホ
スファイト) チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシ
メチル−1−ブチル)ビス (ジ−トリデシル) ホスファ
イトチタネート、ビス (ジオクチルパイロホスフェー
ト) オキシアセテートチタネート、トリス (ジオクチル
パイロホスフェート) エチレンチタネートなどがある。
好ましいチタンカップリング剤は、次の構造式 (1)〜
(8) で示されるものである。
【0033】
【化1】
【0034】本発明の透明導電膜形成用塗料は、所望に
より塗料に添加可能な各種の添加剤を1種または2種以
上さらに含有しうる。このような添加剤としては、特に
黒色導電性微粉末の分散性向上に有効な界面活性剤 (カ
チオン系、アニオン系、ノニオン系) 、アルコキシシラ
ンの加水分解を促進させるための酸などがある。
【0035】後述するように、本発明の透明導電膜は10
00 nm 以下の薄膜で十分であるので、かかる薄膜が採用
した塗布法で容易に得られるような粘度となるように、
必要に応じて塗料を希釈する。一般に、本発明の塗料の
粘度は1〜10 cps、特に2〜5cps の範囲が好ましい。
【0036】本発明の透明導電膜を形成する基体は特に
制限されず、低反射性と電磁波シールド性を付与するこ
とが望ましい任意の透明基体に適用することができる。
代表的な透明基体はガラスであるが、透明プラスチック
等の基体上に本発明の透明導電膜を形成することもでき
る。
【0037】前述したように、低反射性と電磁波シール
ド性の付与が特に求められている透明基体は、TVやコ
ンピュータ等の表示装置として使用されるブラウン管
(CRTまたは陰極線管ともいう) の画像表示部 (スク
リーン面) である。本発明の透明導電膜は、低反射性と
電磁波シールド性に加えて、青〜紫味または赤〜黄色味
を帯びておらず、無色であるため、ブラウン管の画面表
示部の表面にこれを形成すると、画像の色調を良好に保
持したまま、健康に有害でコンピュータの誤動作の原因
ともなる電磁波の漏洩と、ほこりの付着と、視認性を悪
化させる映り込みとを防止ないし低減できる。また、透
明性も良好であり、必要以上に画像を暗くすることがな
い。
【0038】上記塗料の塗布は、スプレー法、スピンコ
ート法、浸漬法などによって行うことができるが、成膜
精度の点からスピンコート法が最も好ましい。塗布は、
乾燥後に60〜1000 nm 、好ましくは 100〜500 nmの範囲
の膜厚の透明導電膜が形成されるように行うことが望ま
しい。膜厚が60 nm 未満では導電性や低反射性を十分に
付与できず、1000 nm より厚くなると、クラック等を生
じ、密着性に劣り、膜が剥がれ易くなる。
【0039】塗布後の乾燥は、特に透明基体がブラウン
管である場合には、ブラウン管の寸法精度、蛍光体の脱
落防止のため、250 ℃以下、好ましくは200 ℃、さらに
好ましくは180 ℃以下に加熱することにより行う。透明
基体がブラウン管以外のものである場合には、その基体
材質に許される範囲内でこれより高い乾燥温度を採用し
てもよい。
【0040】こうして得られたシリカマトリックス中に
ITO微粉末と黒色導電性微粉末とが均一に分散した本
発明の透明導電膜は、1層構成の皮膜であるにもかかわ
らず、前述した(1) 〜(3) の問題のない、従来の2層膜
を凌ぐような優れた低反射性と低抵抗性 (帯電防止性と
電磁波シールド性) を示し、しかも、例えば図1に示す
ように、反射スペクトルが可視域の全波長にわたって大
きく変化しないため、従来の2層膜のような青〜紫味ま
たは赤〜黄色味が解消され、実質的に無色である。この
透明導電膜は、1層皮膜で十分に実用に耐える膜強度お
よび膜硬度を有しているが、所望により、この透明導電
膜の上に、従来技術の2層膜で採用されているようなオ
ーバーコート層 (例、アルコキシシランから形成された
シリカ質皮膜) を保護膜として形成してもよい。
【0041】
【実施例】エチルシリケートをエタノール中で少量の酸
(塩酸) および水の存在下に部分的に加水分解させた。
得られたエチルシリケートの部分加水分解物のエタノー
ル溶液に、下記の導電性微粉末、表1に示す黒色導電性
微粉末 (いずれも平均一次粒子径は0.1 μm以下) およ
び、場合により下記のチタン化合物を添加し、直径0.3
mmのジルコニアビーズ (ミクロハイカ、昭和シェル石油
製) を用いてペイントシェーカーで6時間分散処理する
ことにより、固形分基準で表1に示す組成(但し、エチ
ルシリケートの部分加水分解物はSiO2量に換算して表
示)の試験用の各塗料 (粘度は2〜10 cpsの範囲) を得
た。
【0042】導電性微粉末 ITO:Snドープ量5モル%、平均一次粒子径0.02μm ATO:Sbドープ量5モル%、平均一次粒子径0.02μmチタン化合物 a:イソプロピルトリス (ジオクチルパイロホスフェー
ト) チタネート (構造式3の化合物) b:テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)
ビス (ジ−トリデシル) ホスファイトチタネート (構造
式8の化合物) c:ビス (ジオクチルパイロホスフェート) オキシアセ
テートチタネート (構造式1の化合物) 比較のために、黒色導電性微粉末を添加しないか、また
は導電性微粉末としてATOのみを使用して、上記と同
様に塗料を調製した。
【0043】基体として100 mm×100 mm×厚さ3mmの寸
法のソーダライムガラス (青板ガラス) を使用し、この
基体上にスピンコーターを用いて各塗料を塗布した(15
0rpm×180 秒) 後、塗膜を大気中において170 ℃で30分
間乾燥して、ガラス基体上に透明導電膜を形成した。得
られた膜の特性を次のようにして評価した。
【0044】(膜特性の評価)膜 厚 膜厚はSEM断面により測定した。表面抵抗 表面抵抗値は、四探針法 (ロレスタAP:三菱油化製) に
より測定した。光透過率 (全可視光線透過率) 光透過率は自記分光光度計 (U-4000型:日立製作所製)
により測定した。ヘーズ ヘーズはヘーズメーター (HGM-3D:スガ試験機製) によ
り測定した。
【0045】最低反射率 最低反射率は、ガラス基体の背面に黒色ビニールテープ
(No.21:日東電工) を貼り、50℃で30分保温してブラッ
クマスクを形成した後、自記分光光度計によって12°の
正反射による可視域波長の反射スペクトルを測定した。
この反射スペクトルから、視感度の高い 500〜1000 nm
における反射率の最小値を求め、これを最低反射率とし
た。
【0046】以上の試験結果も表1に併せて示す。ま
た、一部の透明導電膜の反射スペクトルを図に示す。
【0047】
【表1】
【0048】表1からわかるように、本発明例では、導
電層の膜厚が約60〜210 nmの広い範囲にわたっている(1
/4λから大きくはずれる場合がある) にもかかわらず、
得られた導電膜は0.5 %以下の最低反射率、0.3 %以下
のヘーズ、および 103〜105Ω/□台の表面抵抗値を示
し、また透明性も光透過率80%以上と良好であって、視
認性に優れた低反射性、電磁シールド性の透明導電膜が
得られている。塗料中にアルコキシチタンまたはチタン
カップリング剤をさらに添加すると、一層の低抵抗化が
達成された。
【0049】また、本発明例の透明導電膜はいずれも青
〜紫味や赤〜黄色味がなく、実質的に無色であった。こ
のことは、図面の反射スペクトルからも実証される。即
ち、本発明例の透明導電膜の反射スペクトル (図1)
は、可視域での反射率が低く、可視域のほぼ中央部の 5
00〜600 nmの長波長側と短波長側のいずれでも反射率の
変化が小さい。そのため、青〜紫や赤〜黄味が強調され
ず、全体として無色となる。
【0050】これに対し、チタンブラック等の黒色導電
性微粉末を含有させなかった比較例の透明導電膜では、
図2の反射スペクトルに示すように、短波長側の反射率
が高く (6〜7%) 、また 500〜600 nmの反射率も高い
ことから、青味を帯びた反射性の膜となった。
【0051】また、導電粉としてITO微粉末ではなく
ATO微粉末を使用した比較例の透明導電膜は、低反射
性であるが、表面抵抗が106 Ω/□台と帯電防止レベル
にとどまっていて、電磁波シールド性を示すだけの低抵
抗化が達成されなかった。
【0052】
【発明の効果】本発明の透明導電膜は、従来より問題に
なっていた紫〜青味または赤〜黄色味の反射光がなく、
実質的に無色である。しかも、1層構成の皮膜構造であ
るにもかかわらず、最低反射率が1.0 %以下、ヘーズが
0.5 %以下、好ましくは0.3 %以下、表面抵抗が105 Ω
/ □台以下、好ましくは103 〜104 Ω/ □台で、光透過
率 (全可視光線透過率) が75%以上、好ましくは80%以
上という、低反射性、電磁波シールドに必要な高い導電
性、良好な透明性の各条件を備えている。従って、本発
明の透明導電膜をブラウン管の画像表示部に形成するこ
とによって、反射による外部映像の映り込みが防止でき
ると同時に、パソコン用或いは大型TV用ブラウン管で
問題となっている電磁波の漏洩を防止できる電磁波シー
ルド性をブラウン管に付与できる。それにより、ブラウ
ン管の視認性が向上し、映像が見やすくなるだけでな
く、電磁波の漏洩による人体への悪影響やコンピュター
誤動作の防止にも役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で作製した本発明の透明導電膜の反射ス
ペクトルを示す。
【図2】実施例で作製した本発明の範囲外 (比較例) の
透明導電膜の反射スペクトルを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01B 1/20 H01B 1/20 5/14 5/14 A H01J 29/88 H01J 29/88

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコキシシランから形成されたシリカ
    マトリックス中に、錫ドープ酸化インジウム微粉末およ
    び黒色導電性微粉末を含有する、透明基体の表面に設け
    た、低反射性、電磁波シールド性の無色透明導電膜。
  2. 【請求項2】 黒色導電性微粉末がチタンブラックであ
    る請求項1記載の無色透明導電膜。
  3. 【請求項3】 透明基体がブラウン管の画像表示部であ
    る請求項1または2記載の無色透明導電膜。
  4. 【請求項4】 錫ドープ酸化インジウム微粉末を45〜95
    重量%、および黒色導電性微粉末を3〜30重量%含有
    し、膜厚が60〜1000 nm である、請求項1ないし3のい
    ずれか1項に記載の無色透明導電膜。
  5. 【請求項5】 該導電膜の形成に用いた塗料が、アルコ
    キシチタンおよびその加水分解物ならびにチタンカップ
    リング剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種のチタ
    ン化合物を、錫ドープ酸化インジウム微粉末に対して
    0.1〜5重量%の量で含有していた、請求項4記載の無
    色透明導電膜。
  6. 【請求項6】 可視光最低反射率が1.0 %以下、ヘーズ
    が0.5 %以下、表面抵抗値が105 Ω/□台以下、全可視
    光線透過率が75%以上の値を示す、低反射性、電磁波シ
    ールド性の1層型の無色透明導電膜。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2746212A1 (fr) * 1996-03-12 1997-09-19 Futaba Denshi Kogyo Kk Matrice noire destinee a un dispositif d'affichage et son procede de fabrication
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