JPH097541A - 質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置 - Google Patents

質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置

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JPH097541A
JPH097541A JP7154528A JP15452895A JPH097541A JP H097541 A JPH097541 A JP H097541A JP 7154528 A JP7154528 A JP 7154528A JP 15452895 A JP15452895 A JP 15452895A JP H097541 A JPH097541 A JP H097541A
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lens
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ion
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は質量分析装置におけるレンズパラメ
ータの最適化方法及び最適化装置に関し、イオン全体の
感度をバランスよく上昇させることができる質量分析装
置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装
置を提供することを目的としている。 【構成】 入射するイオンを制御する複数のレンズ群
と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レ
ンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出
器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えなが
ら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下におけ
る前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度又は
到達率を測定し、その中で最も感度又は到達率の低いイ
オンの測定値をその点の測定感度又は測定到達率とし、
これが極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到
達値とする制御部とを含んで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は質量分析装置におけるレ
ンズパラメータの最適化方法及び最適化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ICP−MS(高周波誘導結合プラズマ
質量分析装置)は、高周波プラズマ中に試料を入れてイ
オン化し、このイオンをイオン種毎に検出器で検出し、
試料に含まれている元素を分析するものである。図5は
この種の質量分析装置の構成概念図である。プラズマ発
生部1には、励磁コイル2が巻回されており、この励磁
コイル2にコイル駆動源3から高周波電流を流す。一
方、プラズマ発生部1に、励起媒体としてのアルゴンガ
スと、試料貯溜槽4に貯溜されている試料を霧化してプ
ラズマ発生部1に注入する。この結果、プラズマ発生部
1には高周波誘導プラズマが発生する。このプラズマ中
に注入された霧化試料は、イオン化される。
【0003】このイオンは、レンズ部5により集束・制
御される。該レンズ部5は、引出しレンズ、アインツェ
ルレンズ、オメガレンズ等よりなる。この時、レンズ部
5では、前記各種のレンズのパラメータを変化させてイ
オンの感度を調整する。レンズ部5で集束されたイオン
は、マスフィルタ6により質量の違いによるフィルタリ
ング作用を受け、検出器7にて検出される。即ち、マス
フィルタ6で質量の異なるイオンを順次抽出して検出器
7に導き、該検出器7は特定質量のイオンを電気的に検
出する。演算処理部8は、検出器7の出力を受けて、イ
オン量を精密に測定し、試料中に含まれる被測定元素を
分析する。
【0004】前述した従来の質量分析装置では、あるイ
オンの感度を最大にする方法として、レンズパラメータ
を変化させて測定し、より高い感度になるパラメータを
見つけだしていく所謂シンプレックス法(simple
x method)が用いられる。シンプレックス法と
は、幾何学的なn次元空間において、(n+1)個の頂
点を有する図形を考え、各頂点で測定を行ない、最も好
ましくない応答を示した頂点を新たな頂点に置き換えな
がら、逐次最適点に接近していく方法である。
【0005】図6は3次元空間におけるシンプレックス
法の説明図である。3次元空間では(3+1=4)個の
頂点を有する図形(三角錐)を考え、4個の頂点で測定
を行ない、最も好ましくない応答を示した頂点を新たな
頂点で置換し、逐次最適点に近づけていく。シンプレッ
クス法は、3次元までは幾何学的な図示が可能である
が、4次元となる3因子最適化以上は図示できない。し
かしながら、原理的には何次元、つまり何因子でも適用
可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述したシンプレック
ス法は、ある一つのイオンについて感度の最大値を見つ
けだす方法として有効であるが、ICP−MSで求めら
れるようなイオン全体の感度を同時に上げるためには、
更に何らかの工夫をする必要がある。なぜなら、あるイ
オンの感度を最大にするレンズパラメータが必ずしも他
のイオンの感度を最大にするとは限らないからである。
【0007】本発明はこのような課題に鑑みてなされた
ものであって、イオン全体の感度をバランスよく上昇さ
せることができる質量分析装置におけるレンズパラメー
タの最適化方法及び最適化装置を提供することを目的と
している。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記した課題を解決する
第1の発明は、レンズパラメータをある値に設定し、設
定したレンズパラメータの条件下で複数のイオンを測定
し、その中で検出イオンのカウント数(感度)が最も少
ないイオンの感度を選択してその点の測定感度とする操
作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定感度
が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値
とすることを特徴としている。
【0009】前記した課題を解決する第2の発明は、測
定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定
し、レンズパラメータをある値に設定し、設定したレン
ズパラメータの条件下で複数のイオンの感度を測定し、
その中で到達目標値に対する測定された感度の比である
到達率が最も低いイオンの到達率をその点の測定到達率
とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、
測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの
最適到達値とすることを特徴としている。
【0010】前記した課題を解決する第3の発明は、入
射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレン
ズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過し
た個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レン
ズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共
に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の
出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中で
最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感度とし、
測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最
適到達値とする制御部とを含んで構成されることを特徴
としている。
【0011】前記した課題を解決する第4の発明は、測
定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定す
る感度設定部と、入射するイオンを制御する複数のレン
ズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前
記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する
検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変え
ながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下に
おける前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度
の到達率を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの
到達率をその点の測定到達率とし、測定到達率が極大値
となる測定点をレンズパラメータの到達目標値とする制
御部とを含んで構成されることを特徴としている
【0012】
【作用】 (第1の発明)レンズパラメータをある値に設定し、設
定したレンズパラメータの条件下で複数のイオンを測定
し、その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測
定感度とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り
返し、測定感度の極大値となる測定点をレンズパラメー
タの最適到達値とするようにした。これにより、複数の
イオン種を含むイオン全体の感度をバランスよく上昇さ
せることができる。
【0013】(第2の発明)測定するイオン種毎に、感
度の到達目標値を個々に設定し、レンズパラメータをあ
る値に設定し、設定したレンズパラメータの条件下で複
数のイオンの感度を測定し、その中で最も到達率の低い
イオンの到達率をその点の測定到達率とする操作をレン
ズパラメータを変えながら繰り返し、測定到達率が極大
値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする
ようにした。これにより、イオン種毎に予め定められた
到達目標値にバランスさせることができる。
【0014】(第3の発明)入射するイオンを制御する
複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆
動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度
を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメ
ータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメー
タ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイ
オンの感度を測定し、その中で最も感度の低いイオンの
感度をその点の測定感度とし、測定感度が極大値となる
測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部と
を設けた。これにより、複数のイオン種を含むイオン全
体の感度をバランスよく上昇させることができる。
【0015】(第4の発明)測定するイオン種毎に、感
度の到達目標値を個々に設定する感度設定部と、入射す
るイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群
を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個
々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆
動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、
あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力
を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中で最も
到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率と
し、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメー
タの到達目標値とする制御部とを設けた。これにより、
イオン種毎に予め定められた到達目標値にバランスさせ
ることができる。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。ここで、本発明で用いる語句の意味につい
て定義しておく。
【0017】 感度 :検出イオンのカウント数 測定感度 :あるレンズパラメータ条件下の測定点で複
数のイオンを測定し、測定した中での感度が最も少ない
イオンの感度 測定到達率:あるレンズパラメータ条件下の測定点で複
数のイオンを測定し、測定した中で到達率が最も少ない
イオンの到達率 到達目標値:イオン種毎に測定する感度の到達目標値 最適到達値:感度又は到達率が極大となるようなレンズ
パラメータの最適値 測定値 :測定感度又は測定到達率 測定点 :感度又は到達率を測定する際のレンズパラ
メータ 図1は本発明方法の一実施例を示すフローチャートであ
る。この実施例では、質量数の低いイオンと、質量数の
中程度のイオンと、質量数の高いイオン(具体的にはそ
れぞれLi(リチウム),Y(イットリウム),Tl
(タリウム))の3種類のイオンの全体の感度をバラン
スよく上昇させる方法を示している。これらイオンに対
して、3次元のシンプレックス法を用いて最適なレンズ
パラメータを求めるものである。
【0018】先ず、最初にレンズパラメータの異なる4
点で、Li、Y、Tlのイオンについての感度を同時に
測定する(S1)。そして、この4点で測定値を比較す
る(S2)。次に、各点で感度又は到達率の最も低いイ
オンの値を選択してその測定点における測定値とする
(S3)。この時の、測定点及びその測定値は記憶して
おく。次に、ステップS3で選択した最も測定値の低い
測定点に代えて新しい測定点をシンプレックス法により
求める(S4)。
【0019】次に、新しい測定点でLi、Y、Tlのそ
れぞれについて感度を測定し、感度又は到達率の最も低
いイオンの値をその測定点における測定値として選択す
る(S5)。この時の測定点及び測定値を記憶してお
く。次に、新しい測定点と、残りの3点と測定値を比較
する(S6)。次に、新しい測定点の測定値が他のいず
れかの点より高いかどうかチェックする(S7)。通常
は、最適到達値で示される極大値に到達するまでは、新
しい測定点が他のいずれかの点より高くなるので、ステ
ップS4に戻り、新しい測定点を求め、4点の測定値を
比較する操作を繰り返すことになる。
【0020】Li、Y、Tlのイオン全体の感度又は到
達率がバランスよく上昇した極大値となる最適到達値に
なると、ステップS7において、新しく選択された測定
点の測定値が他のどの測定点よりも低くなる。つまり、
各測定点における測定値がそれ以上、上昇しなくなる。
この時点で測定は終了する。このレンズパラメータで試
料を測定すれば、各イオンの感度又は到達率がバランス
よく上昇した最も好ましい条件で全てのイオンの感度又
は到達率を測定することができることになる。
【0021】図2は本発明方法の動作説明図で、分かり
やすくするために、1次元で示している。縦軸は感度、
横軸はレンズパラメータである。Liはリチウムの感度
特性、Yはイットリウムの感度特性、Tlはタリウムの
感度特性である。今、あるレンズパラメータL1の条件
下で各イオンの感度を測定する。それぞれの測定値(図
中の特性曲線中に○で示す)の内の最も感度の低い値を
その測定点における測定感度として記憶する。ここで
は、最も感度の低いのはイットリウムの測定値となる。
【0022】次に、レンズパラメータをΔ1だけ変化さ
せた点のレンズパラメータの条件下で各イオンの感度を
測定する。それぞれの測定値の内の最も感度の低い値を
その測定点における測定感度として記憶する。ここで
も、最も感度の低いのはイットリウムの測定値となる。
以下、同様の操作をレンズパラメータを変えながら行な
っていく。このようにして、各測定点における測定値の
プロットは図中に太い実線で示したものとなる。図2の
点bまできた時、更にレンズパラメータを変えて複数の
イオンの感度を測定し、その中で値の最も低いタリウム
を測定感度として続行する。
【0023】そして、図のK点まできた後、更にレンズ
パラメータを変えてイオンの感度を測定し、値の最も低
いものを測定感度とするとそれはリチウムとなるが、そ
の測定値はK点の測定値よりも低くなる。このことは、
それまで図の太い実線で示した測定値のプロットの上昇
傾向が止まり極大値に到達したことを示す。この極大値
となる点P1が全てのイオンを通して最も感度の出てい
る点であり、レンズパラメータの最適到達値となる。
【0024】上述の実施例では、Li、Y、Tlの到達
感度が同じに設定される場合について説明したが、本発
明はこれに限るものではなく、それぞれのイオンの感度
の到達目標値を個別に設定することができる。例えば、
Liの到達目標値を10000、Yの到達目標値を20
000、Tlの到達目標値を30000という具合に個
別に設定することができる。ここで、それぞれの目標値
は、イオン検出器のカウント数に対応させている。その
到達目標感度の比は、Li:Y:Tl=10000:2
0000:30000=1:2:3となる。
【0025】図3を用いて1次元で説明する。図におい
て、Liはリチウムの感度到達率特性、Yはイットリウ
ムの感度到達率特性、Tlはタリウムの感度到達率特性
である。Yの特性は、同一の感度でも、その感度の到達
率がLiの場合の半分になり、Tlの特性は、同一の感
度でも、その感度の到達率がLiの場合の1/3にな
る。
【0026】このように、各イオンの感度の到達目標値
を設定しておき、レンズパラメータを変えながら各イオ
ンの到達率を測定し、、それぞれの測定点の内の最も到
達率の低い値をその測定点における測定到達率として記
憶する。この結果、測定到達値は図中に太い実線で示す
軌跡で求まっていく。この測定到達値のプロットが極大
値となる点P1が全てのイオンを通して最も到達率の上
がった最適到達値となる。
【0027】この結果、到達目標値を高く設定したタリ
ウムが比較的高い感度になるような、タリウムの最適値
(図のX点)に近いレンズパラメータを見つけることが
できる。このように、各イオンの感度の到達目標値を個
別に設定することにより、各イオンの感度上昇のバラン
スを変えることができる。
【0028】以上、1次元の場合を例にとって説明した
が、3次元の場合にも同様に適用することができる。図
4は本発明装置の一実施例の要部を示す構成図である。
図5と同一のものは、同一の符号を付して示す。図にお
いて、10は入射されたイオンiを加速する引出しレン
ズ、11は該引出しレンズ10で加速されたイオンの焦
点調整を行なうアインツェルレンズ、12は該アインツ
ェルレンズ11により焦点を合わせられたイオンの軌跡
を変更するオメガレンズ、13は四重極フォーカスレン
ズ、14はプレートバイアスレンズである。
【0029】引出しレンズ10,アインツェルレンズ1
1,オメガレンズ12,四重極フォーカスレンズ13及
びプレートバイアスレンズ14のレンズ群としては、共
に静電レンズが用いられる。引出しレンズ10は、例え
ば2枚レンズにより構成され、アインツェルレンズ11
は例えば3枚レンズにより構成され、オメガレンズ12
は例えば4枚レンズにより構成されている。
【0030】6はオメガレンズ12により入射されたイ
オンを質量の違いにより軌跡を変更して検出器7に与え
るマスフィルタ、7は該マスフィルタ6から出射される
イオンを検出して電気信号(パルス信号)に変換する検
出器(エレクトロン・マルチプライア)である。マスフ
ィルタ6としては、Qホールを使い、検出したいイオン
だけを検出器に導入させる。
【0031】20は、該検出器7の出力を受けて、前述
したようなシンプレックス法を用いて、各イオンの感度
を調整する制御を行なう制御部である。21は該制御部
20内に設けられた測定値及び測定点のレンズパラメー
タを記憶するメモリ、22は制御部20に各イオンの到
達感度目標値を設定する感度設定部である。30は、各
レンズにレンズパラメータである駆動電圧を与える駆動
部であり、制御部20の制御信号を受けて駆動される。
このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の
とおりである。
【0032】この実施例では、Li、Y、Tlの感度を
測定する場合について説明する。先ず、感度設定部22
から各イオンLi、Y、Tlの感度の到達目標値を設定
する。この場合において、3次元シンプレックス法を用
いる場合には、制御部20から設定される3つのレンズ
のレンズパラメータは4点になる。例えば、引出しレン
ズ10の2枚のユニットレンズと、アインツェルレンズ
11の3個の中の1個という具合に3つのレンズを選択
し、これらのレンズパラメータの互いに異なる4点を設
定する。図1にて説明した各イオンの感度の到達目標値
が同じである場合には、設定する到達目標値の比率は、
Li:Y:Tl=1:1:1となる。
【0033】制御部20は、駆動部30に最初のレンズ
パラメータを与えて、レンズパラメータの異なる任意の
4点でLi、Y、Tlのイオンの感度を同時に測定す
る。検出器7により測定された各イオンの感度は制御部
20に入る。該制御部20は、4点での各イオンの感度
又は到達率のうち、最も値の低いものを測定点として選
択し、この測定値とその時のレンズパラメータをメモリ
21に記憶する。
【0034】次に、制御部20は測定値の最も低い点に
代えて新しい測定点をシンプレックス法により求める。
次に、制御部20は求めた新しい測定点のレンズパラメ
ータを駆動部30に与える。そして、新しい測定点でL
i、Y、Tlの感度又は到達率を測定し、その中で最も
測定値の低い感度又は到達率をその点の測定感度又は測
定到達率として選択し、該測定値及びその測定点のレン
ズパラメータをメモリ21に記憶する。
【0035】次に、制御部20は新しく求めた測定値と
残りの3点の測定値とを比較する。新しく求めた測定値
が他のいずれかの点の測定値より高いかどうかチェック
し、そうである場合には、制御部20はシンプレックス
法を用いて新しい測定点を求める。そして、新しい測定
点における各イオンの感度又は到達率を求め、最も値の
低いイオンの感度を新しい測定値として、残りの3点の
測定値と比較する。
【0036】以下、新しい測定点で求めた測定値が他の
どの点よりも低い値になるまで同様の操作を繰り返す。
新しい測定点で求めた測定値が最も低くなったら、処理
を終了する。この時、メモリ21に記憶されている測定
点のレンズパラメータのうち、測定値が極大となる点
が、最適到達値となる。ここでは各イオンLi、Y、T
lの感度又は到達率がどれも極端に低くならず、最もバ
ランスよく出ている状態となる。
【0037】なお、各イオンの感度の到達目標値を個別
に設定する場合には、感度設定部22から例えばLi:
Y:Tl=1:2:3というように設定してやる。制御
部20は、各イオン個別に設定された感度の到達目標値
に対して、前述の動作を繰り返す。そして、新しい測定
点の測定値が残りの3点の測定値よりも最も値が低くな
った時点で探索を終了する。この時の、メモリ21に記
憶されているレンズパラメータのうち最も測定値が極大
となる点が、最適到達値となる。ここでは各イオンの感
度目標値比をLi:Y:Tl=1:2:3というバラン
スで設定した時の各イオンの到達率がどれも極端に低く
ならず最もバランスよく出ている状態となる。
【0038】上述の実施例では、測定するイオンとして
Li、Y、Tlを測定する場合を例にとったが、本発明
はこれに限るものではなく、任意の数の任意のイオン種
を測定する際にも、本発明を適用することができる。ま
た、前述の実施例では、3次元のシンプレックス法を用
いて最適なレンズパラメータを用いた場合を例にとった
が、任意の次元のシンプレックス法を用いることができ
る。
【0039】また、各イオンに個別に感度の到達目標値
を設定する場合には、あるイオンの到達目標値を極端に
小さく設定することにより、そのイオンを無視して他の
イオンだけで感度出しをすることもできる。また、逆に
感度の到達目標値を極端に大きく設定すれば、そのイオ
ンだけに注目した感度出しを行なうことができる。
【0040】前述した方法では、各イオンの感度又は到
達率が必ずしもそれぞれの最高値に達するとは限らな
い。しかしながら、各測定点においては、3種のイオン
の中で最も感度又は到達率の低いものを選択し、これを
シンプレックス法に基づいて上昇させるので、3種のイ
オンの感度をバランスよく上昇させることができる。
【0041】また、各測定点において3種のイオンの中
で最も感度又は到達率の低い値を選択していることか
ら、あるイオンの感度又は到達率が上昇する一方で、他
のイオンの感度又は到達率がそれ以下に下がることは原
理的にあり得ない。従って、この方法によりイオン全体
の感度をバランスよく上げることが可能となり、到達目
標値をイオン毎に設定した場合、そのバランスを変える
こともできる。
【0042】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、第1の発
明によれば、レンズパラメータをある値に設定し、設定
したレンズパラメータの条件下で複数のイオンを測定
し、その中で最も感度の低いイオンの感度を選択して測
定感度とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り
返し、測定感度の極大値となる測定点をレンズパラメー
タの最適到達値とするようにした。これにより、複数の
イオン種を含むイオン全体の感度をバランスよく上昇さ
せることができる。
【0043】第2の発明によれば、測定するイオン種毎
に、感度の到達目標値を個々に設定し、レンズパラメー
タをある値に設定し、設定したレンズパラメータの条件
下で複数のイオンの感度を測定し、その中で最も到達率
の低いイオンの到達率を選択して測定到達率とする操作
をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定到達率
が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値
とするようにした。これにより、イオン種毎に予め定め
られた到達目標値にバランスさせることができる。
【0044】第3の発明によれば、入射するイオンを制
御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレ
ンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種
の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズ
パラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパ
ラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複
数のイオンの感度を測定し、その中で最も感度の低いイ
オンの感度を選択して測定感度とし、測定感度が極大値
となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制
御部とを設けた。これにより、複数のイオン種を含むイ
オン全体の感度をバランスよく上昇させることができ
る。
【0045】第4の発明によれば、測定するイオン種毎
に、感度の到達目標値を個々に設定する感度設定部と、
入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレ
ンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過
した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レ
ンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると
共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器
の出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中
で最も到達率の低いイオンの到達率を選択して測定到達
率とし、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラ
メータの到達目標値とする制御部とを設けた。これによ
り、イオン種毎に予め定められた到達目標値にバランス
させることができる。
【0046】このように、本発明によれば、イオン全体
の感度をバランスよく上昇させることができる質量分析
装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施例を示すフローチャートで
ある。
【図2】本発明方法の動作説明図である。
【図3】本発明方法の他の動作説明図である。
【図4】本発明装置の一実施例の要部を示す構成図であ
る。
【図5】質量分析装置の構成概念図である。
【図6】3次元空間におけるシンプレックス法の説明図
である。
【符号の説明】
6 マスフィルタ 7 検出器 10 引出しレンズ 11 アインツェルレンズ 12 オメガレンズ 20 制御部 21 メモリ 22 感度設定部 30 起動部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レンズパラメータをある値に設定し、 設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオンを測
    定し、 その中で検出イオンのカウント数(感度)が最も少ない
    イオンの感度をその点の測定感度とする操作をレンズパ
    ラメータを変えながら繰り返し、 測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最
    適到達値とすることを特徴とする質量分析装置における
    レンズパラメータの最適化方法。
  2. 【請求項2】 測定するイオン種毎に、感度の到達目標
    値を個々に設定し、 レンズパラメータをある値に設定し、 設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオンの感
    度を測定し、その中で到達目標値に対する測定された感
    度の比である到達率が最も低いイオンの到達率をその点
    の測定到達率とする操作をレンズパラメータを変えなが
    ら繰り返し、 測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの
    最適到達値とすることを特徴とする質量分析装置におけ
    るレンズパラメータの最適化方法。
  3. 【請求項3】 入射するイオンを制御する複数のレンズ
    群と、 これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、 前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出す
    る検出器と、 前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動
    すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記
    検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、
    その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感
    度とし、測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメ
    ータの最適到達値とする制御部とを含んで構成される質
    量分析装置におけるレンズパラメータの最適化装置。
  4. 【請求項4】 測定するイオン種毎に、感度の到達目標
    値を個々に設定する感度設定部と、 入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、 これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、 前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出す
    る検出器と、 前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動
    すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記
    検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度の到達率を
    測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をそ
    の点の測定到達率とし、測定到達率が極大点となる測定
    点をレンズパラメータの到達目標値とする制御部とを含
    んで構成される質量分析装置におけるレンズパラメータ
    の最適化装置。
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