JP3578518B2 - 質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置 - Google Patents

質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ICP−MS(高周波誘導結合プラズマ質量分析装置)は、高周波プラズマ中に試料を入れてイオン化し、このイオンをイオン種毎に検出器で検出し、試料に含まれている元素を分析するものである。図5はこの種の質量分析装置の構成概念図である。プラズマ発生部1には、励磁コイル2が巻回されており、この励磁コイル2にコイル駆動源3から高周波電流を流す。一方、プラズマ発生部1に、励起媒体としてのアルゴンガスと、試料貯溜槽4に貯溜されている試料を霧化してプラズマ発生部1に注入する。この結果、プラズマ発生部1には高周波誘導プラズマが発生する。このプラズマ中に注入された霧化試料は、イオン化される。
【0003】
このイオンは、レンズ部5により集束・制御される。該レンズ部5は、引出しレンズ、アインツェルレンズ、オメガレンズ等よりなる。この時、レンズ部5では、前記各種のレンズのパラメータを変化させてイオンの感度を調整する。レンズ部5で集束されたイオンは、マスフィルタ6により質量の違いによるフィルタリング作用を受け、検出器7にて検出される。即ち、マスフィルタ6で質量の異なるイオンを順次抽出して検出器7に導き、該検出器7は特定質量のイオンを電気的に検出する。演算処理部8は、検出器7の出力を受けて、イオン量を精密に測定し、試料中に含まれる被測定元素を分析する。
【0004】
前述した従来の質量分析装置では、あるイオンの感度を最大にする方法として、レンズパラメータを変化させて測定し、より高い感度になるパラメータを見つけだしていく所謂シンプレックス法(simplex method)が用いられる。シンプレックス法とは、幾何学的なn次元空間において、(n+1)個の頂点を有する図形を考え、各頂点で測定を行ない、最も好ましくない応答を示した頂点を新たな頂点に置き換えながら、逐次最適点に接近していく方法である。
【0005】
図6は3次元空間におけるシンプレックス法の説明図である。3次元空間では(3+1=4)個の頂点を有する図形(三角錐)を考え、4個の頂点で測定を行ない、最も好ましくない応答を示した頂点を新たな頂点で置換し、逐次最適点に近づけていく。シンプレックス法は、3次元までは幾何学的な図示が可能であるが、4次元となる3因子最適化以上は図示できない。しかしながら、原理的には何次元、つまり何因子でも適用可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したシンプレックス法は、ある一つのイオンについて感度の最大値を見つけだす方法として有効であるが、ICP−MSで求められるようなイオン全体の感度を同時に上げるためには、更に何らかの工夫をする必要がある。なぜなら、あるイオンの感度を最大にするレンズパラメータが必ずしも他のイオンの感度を最大にするとは限らないからである。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、イオン全体の感度をバランスよく上昇させることができる質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決する第1の発明は、レンズパラメータをある値に設定し、設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオン種のイオンを測定し、その中で検出イオンのカウント数(感度)が最も少ないイオンの感度をその点の測定感度とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とすることを特徴としている。
【0009】
前記した課題を解決する第2の発明は、測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定し、レンズパラメータをある値に設定し、設定したパラメータの条件下で複数のイオンの感度を測定し、その中で到達目標値に対する測定された感度の比である到達率が最も低いイオンの到達率をその点の測定到達率とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とすることを特徴としている。
【0010】
前記した課題を解決する第3の発明は、入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感度とし、測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを含んで構成されることを特徴としている。
【0011】
前記した課題を解決する第4の発明は、測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定する感度設定部と、入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度の前記到達目標値に対する測定された感度の比である到達率を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率とし、測定到達率が極大となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを含んで構成されることを特徴としている。
【0012】
【作用】
(第1の発明)
レンズパラメータをある値に設定し、設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオン種のイオンを測定し、その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感度とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定感度の極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とするようにした。これにより、複数のイオン種を含むイオン全体の感度をバランスよく上昇させることができる。
【0013】
(第2の発明)
測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定し、レンズパラメータをある値に設定し、設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオンの感度を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とするようにした。これにより、イオン種毎に予め定められた到達目標値にバランスさせることができる。
【0014】
(第3の発明)
入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感度とし、測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを設けた。これにより、複数のイオン種を含むイオン全体の感度をバランスよく上昇させることができる。
【0015】
(第4の発明)
測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定する感度設定部と、入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度の前記到達目標値に対する測定された感度の比である到達率を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率とし、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを設けた。これにより、イオン種毎に予め定められた到達目標値にバランスさせることができる。
【0016】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。ここで、本発明で用いる語句の意味について定義しておく。
【0017】
感度 :検出イオンのカウント数
測定感度 :あるレンズパラメータ条件下の測定点で複数のイオンを測定し、測定した中での感度が最も少ないイオンの感度
測定到達率:あるレンズパラメータ条件下の測定点で複数のイオンを測定し、測定した中で到達率が最も少ないイオンの到達率
到達目標値:イオン種毎に測定する感度の到達目標値
最適到達値:感度又は到達率が極大となるようなレンズパラメータの最適値
測定値 :測定感度又は測定到達率
測定点 :感度又は到達率を測定する際のレンズパラメータ
図1は本発明方法の一実施例を示すフローチャートである。この実施例では、質量数の低いイオンと、質量数の中程度のイオンと、質量数の高いイオン(具体的にはそれぞれLi(リチウム),Y(イットリウム),Tl(タリウム))の3種類のイオンの全体の感度をバランスよく上昇させる方法を示している。これらイオンに対して、3次元のシンプレックス法を用いて最適なレンズパラメータを求めるものである。
【0018】
先ず、最初にレンズパラメータの異なる4点で、Li、Y、Tlのイオンについての感度を同時に測定する(S1)。そして、この4点で測定値を比較する(S2)。次に、各点で感度又は到達率の最も低いイオンの値を選択してその測定点における測定値とする(S3)。この時の、測定点及びその測定値は記憶しておく。次に、ステップS3で選択した最も測定値の低い測定点に代えて新しい測定点をシンプレックス法により求める(S4)。
【0019】
次に、新しい測定点でLi、Y、Tlのそれぞれについて感度を測定し、感度又は到達率の最も低いイオンの値をその測定点における測定値として選択する(S5)。この時の測定点及び測定値を記憶しておく。次に、新しい測定点と、残りの3点と測定値を比較する(S6)。次に、新しい測定点の測定値が他のいずれかの点より高いかどうかチェックする(S7)。通常は、最適到達値で示される極大値に到達するまでは、新しい測定点が他のいずれかの点より高くなるので、ステップS4に戻り、新しい測定点を求め、4点の測定値を比較する操作を繰り返すことになる。
【0020】
Li、Y、Tlのイオン全体の感度又は到達率がバランスよく上昇した極大値となる最適到達値になると、ステップS7において、新しく選択された測定点の測定値が他のどの測定点よりも低くなる。つまり、各測定点における測定値がそれ以上、上昇しなくなる。この時点で測定は終了する。このレンズパラメータで試料を測定すれば、各イオンの感度又は到達率がバランスよく上昇した最も好ましい条件で全てのイオンの感度又は到達率を測定することができることになる。
【0021】
図2は本発明方法の動作説明図で、分かりやすくするために、1次元で示している。縦軸は感度、横軸はレンズパラメータである。Liはリチウムの感度特性、Yはイットリウムの感度特性、Tlはタリウムの感度特性である。今、あるレンズパラメータL1の条件下で各イオンの感度を測定する。それぞれの測定値(図中の特性曲線中に○で示す)の内の最も感度の低い値をその測定点における測定感度として記憶する。ここでは、最も感度の低いのはイットリウムの測定値となる。
【0022】
次に、レンズパラメータをΔ1だけ変化させた点のレンズパラメータの条件下で各イオンの感度を測定する。それぞれの測定値の内の最も感度の低い値をその測定点における測定感度として記憶する。ここでも、最も感度の低いのはイットリウムの測定値となる。以下、同様の操作をレンズパラメータを変えながら行なっていく。このようにして、各測定点における測定値のプロットは図中に太い実線で示したものとなる。図2の点bまできた時、更にレンズパラメータを変えて複数のイオンの感度を測定し、その中で値の最も低いタリウムを測定感度として続行する。
【0023】
そして、図のK点まできた後、更にレンズパラメータを変えてイオンの感度を測定し、値の最も低いものを測定感度とするとそれはリチウムとなるが、その測定値はK点の測定値よりも低くなる。このことは、それまで図の太い実線で示した測定値のプロットの上昇傾向が止まり極大値に到達したことを示す。この極大値となる点P1が全てのイオンを通して最も感度の出ている点であり、レンズパラメータの最適到達値となる。
【0024】
上述の実施例では、Li、Y、Tlの到達感度が同じに設定される場合について説明したが、本発明はこれに限るものではなく、それぞれのイオンの感度の到達目標値を個別に設定することができる。例えば、Liの到達目標値を10000、Yの到達目標値を20000、Tlの到達目標値を30000という具合に個別に設定することができる。ここで、それぞれの目標値は、イオン検出器のカウント数に対応させている。その到達目標感度の比は、Li:Y:Tl=10000:20000:30000=1:2:3となる。
【0025】
図3を用いて1次元で説明する。図において、Liはリチウムの感度到達率特性、Yはイットリウムの感度到達率特性、Tlはタリウムの感度到達率特性である。Yの特性は、同一の感度でも、その感度の到達率がLiの場合の半分になり、Tlの特性は、同一の感度でも、その感度の到達率がLiの場合の1/3になる。
【0026】
このように、各イオンの感度の到達目標値を設定しておき、レンズパラメータを変えながら各イオンの到達率を測定し、、それぞれの測定点の内の最も到達率の低い値をその測定点における測定到達率として記憶する。この結果、測定到達値は図中に太い実線で示す軌跡で求まっていく。この測定到達値のプロットが極大値となる点P1が全てのイオンを通して最も到達率の上がった最適到達値となる。
【0027】
この結果、到達目標値を高く設定したタリウムが比較的高い感度になるような、タリウムの最適値(図のX点)に近いレンズパラメータを見つけることができる。このように、各イオンの感度の到達目標値を個別に設定することにより、各イオンの感度上昇のバランスを変えることができる。
【0028】
以上、1次元の場合を例にとって説明したが、3次元の場合にも同様に適用することができる。
図4は本発明装置の一実施例の要部を示す構成図である。図5と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、10は入射されたイオンiを加速する引出しレンズ、11は該引出しレンズ10で加速されたイオンの焦点調整を行なうアインツェルレンズ、12は該アインツェルレンズ11により焦点を合わせられたイオンの軌跡を変更するオメガレンズ、13は四重極フォーカスレンズ、14はプレートバイアスレンズである。
【0029】
引出しレンズ10,アインツェルレンズ11,オメガレンズ12,四重極フォーカスレンズ13及びプレートバイアスレンズ14のレンズ群としては、共に静電レンズが用いられる。引出しレンズ10は、例えば2枚レンズにより構成され、アインツェルレンズ11は例えば3枚レンズにより構成され、オメガレンズ12は例えば4枚レンズにより構成されている。
【0030】
6はオメガレンズ12により入射されたイオンを質量の違いにより軌跡を変更して検出器7に与えるマスフィルタ、7は該マスフィルタ6から出射されるイオンを検出して電気信号(パルス信号)に変換する検出器(エレクトロン・マルチプライア)である。マスフィルタ6としては、Qホールを使い、検出したいイオンだけを検出器に導入させる。
【0031】
20は、該検出器7の出力を受けて、前述したようなシンプレックス法を用いて、各イオンの感度を調整する制御を行なう制御部である。21は該制御部20内に設けられた測定値及び測定点のレンズパラメータを記憶するメモリ、22は制御部20に各イオンの到達感度目標値を設定する感度設定部である。30は、各レンズにレンズパラメータである駆動電圧を与える駆動部であり、制御部20の制御信号を受けて駆動される。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下のとおりである。
【0032】
この実施例では、Li、Y、Tlの感度を測定する場合について説明する。先ず、感度設定部22から各イオンLi、Y、Tlの感度の到達目標値を設定する。この場合において、3次元シンプレックス法を用いる場合には、制御部20から設定される3つのレンズのレンズパラメータは4点になる。例えば、引出しレンズ10の2枚のユニットレンズと、アインツェルレンズ11の3個の中の1個という具合に3つのレンズを選択し、これらのレンズパラメータの互いに異なる4点を設定する。図1にて説明した各イオンの感度の到達目標値が同じである場合には、設定する到達目標値の比率は、Li:Y:Tl=1:1:1となる。
【0033】
制御部20は、駆動部30に最初のレンズパラメータを与えて、レンズパラメータの異なる任意の4点でLi、Y、Tlのイオンの感度を同時に測定する。検出器7により測定された各イオンの感度は制御部20に入る。該制御部20は、4点での各イオンの感度又は到達率のうち、最も値の低いものを測定点として選択し、この測定値とその時のレンズパラメータをメモリ21に記憶する。
【0034】
次に、制御部20は測定値の最も低い点に代えて新しい測定点をシンプレックス法により求める。次に、制御部20は求めた新しい測定点のレンズパラメータを駆動部30に与える。そして、新しい測定点でLi、Y、Tlの感度又は到達率を測定し、その中で最も測定値の低い感度又は到達率をその点の測定感度又は測定到達率として選択し、該測定値及びその測定点のレンズパラメータをメモリ21に記憶する。
【0035】
次に、制御部20は新しく求めた測定値と残りの3点の測定値とを比較する。新しく求めた測定値が他のいずれかの点の測定値より高いかどうかチェックし、そうである場合には、制御部20はシンプレックス法を用いて新しい測定点を求める。そして、新しい測定点における各イオンの感度又は到達率を求め、最も値の低いイオンの感度を新しい測定値として、残りの3点の測定値と比較する。
【0036】
以下、新しい測定点で求めた測定値が他のどの点よりも低い値になるまで同様の操作を繰り返す。新しい測定点で求めた測定値が最も低くなったら、処理を終了する。この時、メモリ21に記憶されている測定点のレンズパラメータのうち、測定値が極大となる点が、最適到達値となる。ここでは各イオンLi、Y、Tlの感度又は到達率がどれも極端に低くならず、最もバランスよく出ている状態となる。
【0037】
なお、各イオンの感度の到達目標値を個別に設定する場合には、感度設定部22から例えばLi:Y:Tl=1:2:3というように設定してやる。制御部20は、各イオン個別に設定された感度の到達目標値に対して、前述の動作を繰り返す。そして、新しい測定点の測定値が残りの3点の測定値よりも最も値が低くなった時点で探索を終了する。この時の、メモリ21に記憶されているレンズパラメータのうち最も測定値が極大となる点が、最適到達値となる。ここでは各イオンの感度目標値比をLi:Y:Tl=1:2:3というバランスで設定した時の各イオンの到達率がどれも極端に低くならず最もバランスよく出ている状態となる。
【0038】
上述の実施例では、測定するイオンとしてLi、Y、Tlを測定する場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではなく、任意の数の任意のイオン種を測定する際にも、本発明を適用することができる。また、前述の実施例では、3次元のシンプレックス法を用いて最適なレンズパラメータを用いた場合を例にとったが、任意の次元のシンプレックス法を用いることができる。
【0039】
また、各イオンに個別に感度の到達目標値を設定する場合には、あるイオンの到達目標値を極端に小さく設定することにより、そのイオンを無視して他のイオンだけで感度出しをすることもできる。また、逆に感度の到達目標値を極端に大きく設定すれば、そのイオンだけに注目した感度出しを行なうことができる。
【0040】
前述した方法では、各イオンの感度又は到達率が必ずしもそれぞれの最高値に達するとは限らない。しかしながら、各測定点においては、3種のイオンの中で最も感度又は到達率の低いものを選択し、これをシンプレックス法に基づいて上昇させるので、3種のイオンの感度をバランスよく上昇させることができる。
【0041】
また、各測定点において3種のイオンの中で最も感度又は到達率の低い値を選択していることから、あるイオンの感度又は到達率が上昇する一方で、他のイオンの感度又は到達率がそれ以下に下がることは原理的にあり得ない。従って、この方法によりイオン全体の感度をバランスよく上げることが可能となり、到達目標値をイオン毎に設定した場合、そのバランスを変えることもできる。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、第1の発明によれば、レンズパラメータをある値に設定し、設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオン種のイオンを測定し、その中で最も感度の低いイオンの感度を選択して測定感度とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定感度の極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とするようにした。これにより、複数のイオン種を含むイオン全体の感度をバランスよく上昇させることができる。
【0043】
第2の発明によれば、測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定し、レンズパラメータをある値に設定し、設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオンの感度を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とするようにした。これにより、イオン種毎に予め定められた到達目標値にバランスさせることができる。
【0044】
第3の発明によれば、入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感度とし、測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを設けた。これにより、複数のイオン種を含むイオン全体の感度をバランスよく上昇させることができる。
【0045】
第4の発明によれば、測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定する感度設定部と、入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオン種の感度の前記到達目標値に対する測定された感度の比である到達率を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率とし、測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを設けた。これにより、イオン種毎に予め定められた到達目標値にバランスさせることができる。
【0046】
このように、本発明によれば、イオン全体の感度をバランスよく上昇させることができる質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法及び最適化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図2】本発明方法の動作説明図である。
【図3】本発明方法の他の動作説明図である。
【図4】本発明装置の一実施例の要部を示す構成図である。
【図5】質量分析装置の構成概念図である。
【図6】3次元空間におけるシンプレックス法の説明図である。
【符号の説明】
6 マスフィルタ
7 検出器
10 引出しレンズ
11 アインツェルレンズ
12 オメガレンズ
20 制御部
21 メモリ
22 感度設定部
30 起動部

Claims (4)

  1. レンズパラメータをある値に設定し、
    設定したレンズパラメータの条件下で複数のイオン種のイオンを測定し、
    その中で検出イオンのカウント数(感度)が最も少ないイオンの感度をその点の測定感度とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、
    測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とすることを特徴とする質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法。
  2. 測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定し、
    レンズパラメータをある値に設定し、
    設定したパラメータの条件下で複数のイオンの感度を測定し、その中で到達目標値に対する測定された感度の比である到達率が最も低いイオンの到達率をその点の測定到達率とする操作をレンズパラメータを変えながら繰り返し、
    測定到達率が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とすることを特徴とする質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化方法。
  3. 入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、
    これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、
    前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、
    前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオンの感度を測定し、その中で最も感度の低いイオンの感度をその点の測定感度とし、測定感度が極大値となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを含んで構成される質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化装置。
  4. 測定するイオン種毎に、感度の到達目標値を個々に設定する感度設定部と、
    入射するイオンを制御する複数のレンズ群と、
    これらレンズ群を駆動するレンズ駆動源と、
    前記レンズ群を通過した個々のイオン種の感度を検出する検出器と、
    前記レンズ駆動源をレンズパラメータを変えながら駆動すると共に、あるレンズパラメータ条件下における前記検出器の出力を受けて、複数のイオン種の感度の前記到達目標値に対する測定された感度の比である到達率を測定し、その中で最も到達率の低いイオンの到達率をその点の測定到達率とし、測定到達率が極大となる測定点をレンズパラメータの最適到達値とする制御部とを含んで構成される質量分析装置におけるレンズパラメータの最適化装置。
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