JPH0975080A - 新規dnaポリメラーゼ - Google Patents

新規dnaポリメラーゼ

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JPH0975080A
JPH0975080A JP7262246A JP26224695A JPH0975080A JP H0975080 A JPH0975080 A JP H0975080A JP 7262246 A JP7262246 A JP 7262246A JP 26224695 A JP26224695 A JP 26224695A JP H0975080 A JPH0975080 A JP H0975080A
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JP
Japan
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dna
dna polymerase
polymerase
pol
amino acid
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JP7262246A
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Yasukazu Tanuma
靖一 田沼
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  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 HIVプロモーターに選択的に結合する
新規DNAポリメラーゼ。該酵素をコードするDNA、
該DNAを含有する組換えベクター、該組換えベクター
で形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養すること
による該酵素の製法、及び該酵素に親和性を示す抗体。 【効果】 本発明のDNAポリメラーゼ、該酵素をコー
ドするDNA及び該酵素の抗体は、癌やウィルス感染症
等の診断、予防及び治療に利用できる点で有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒト後天性免疫不
全症候群ウイルス(以下、HIVと称する)プロモータ
ーに結合する新規DNAポリメラーゼに関する。詳細に
は、HIVプロモーター中に存在する特定の塩基配列に
選択的に結合する新規DNAポリメラーゼに関する。ま
た本発明は、該DNAポリメラーゼのアミノ酸配列をコ
ードするDNA、該DNAを含有する組換えベクター、
該組換えベクターで形質転換された宿主細胞、該宿主細
胞を培養することによる該DNAポリメラーゼの製造方
法、及び該DNAポリメラーゼもしくはそのペプチド断
片に対して親和性を示す抗体に関する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】DNAポ
リメラーゼは、遺伝子DNAの複製反応を触媒する酵素
である。大腸菌では、DNAポリメラーゼI〜IIIが
知られており、特にDNAポリメラーゼIIIがDNA
複製時の重合反応を担い、DNAポリメラーゼI(以
下、ポルIと称する)は、プライマーRNAの除去、ギ
ャップの補修及びDNA損傷の修復を担当している。一
方、真核細胞のDNAポリメラーゼはこれまでにα、
β、γ、δ及びε(以下、それぞれポルα、ポルβ、ポ
ルγ、ポルδ及びポルεと称する)が知られている。ポ
ルαはDNA複製フォーク上でのラギング鎖の合成を、
ポルβはDNA修復を、ポルγはミトコンドリアでのD
NA複製を、ポルδはDNA複製フォーク上でのリーデ
ィング鎖の合成をそれぞれ担っている。また、ポルεに
ついてはDNA修復を行っているという説と、DNA複
製フォーク上での複製反応に関与しているという説があ
る。
【0003】細胞に、血清や成長因子の添加、癌ウィル
スの感染等の増殖刺激を与えた場合、ポルα、ポルδ及
びポルεは、血清添加後10時間以上経過してから発現
誘導が起こる。このことから、癌細胞やウィルスの無秩
序且つ無制限な増殖、また、受精及び発生の初期段階に
おける非常に早いDNA複製を矛盾なく説明するために
は、図1に示すような、増殖刺激に対して非常に早い応
答性を示す未知のDNAポリメラーゼの存在を仮定する
必要がある。すなわち、かかるDNAポリメラーゼは、
増殖刺激に応答して速やかに発現誘導され、クロモソー
ム中の複製起点(ori)に結合して、さらに何らかの
因子と共同して複製を開始する。本発明は、増殖刺激に
対して非常に早い応答性を示す新規DNAポリメラー
ゼ、及び該酵素をコードするDNAを提供することを目
的とする。また本発明は、該DNAを含むベクター、該
ベクターで形質転換された宿主細胞、該宿主細胞を培養
することによる該酵素の製法及び該酵素に対する抗体の
提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、増殖刺激に
対して非常に早い応答性を示す新規DNAポリメラーゼ
の探索を行っていたところ、HIV遺伝子プロモーター
内の特定の塩基配列に選択的に結合するタンパク質(H
PBと命名)をコードする遺伝子が、増殖刺激後30分
から1時間で発現が最大に達し、以後低下すること、及
び該遺伝子cDNAを含む組換えベクターで形質転換し
た宿主細胞の培養物から精製したHPBを含む融合タン
パク質が、DNA重合活性をも有することを発見した。
さらなる研究遂行の結果、本発明者は、HPBを増殖刺
激に対して非常に早い応答性を示す新規DNAポリメラ
ーゼであると断定し、DNAポリメラーゼο(以下、ポ
ルοと称する)と改名した。さらに、該ポルοを含む融
合タンパク質を抗原として、ポルοに対する抗体を作製
して本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は以下に述べるものであ
る。 (1)HIVプロモーター、詳細には、HIVプロモー
ターの塩基配列中、配列表配列番号1に示される塩基配
列に結合することを特徴とし、且つ以下の性状を有する
新規DNAポリメラーゼ。 (a)分子量(単量体):57.6kDa(アミノ酸配
列より類推される理論値)。 (b)ロイシンジッパー構造を有する。 (c)N末端近傍にDNA結合ドメインが存在する。 (d)大腸菌DNAポリメラーゼIと約60%以上の相
同性を有する約430残基から成る領域を含む。 (e)インビトロにおいて、細胞核抽出物共存下で二本
鎖DNAを鋳型としてDNA重合活性を有する。 (f)該酵素をコードする遺伝子が、増殖刺激に対して
1時間以内に最大発現し、以後低下する。(RT−PC
R法) (2)実質的に、配列表配列番号2に示されるアミノ酸
配列を有する上記(1)の新規DNAポリメラーゼ。 (3)上記(1)又は(2)のDNAポリメラーゼをコ
ードする塩基配列を有するDNA。好ましくは、配列表
配列番号3に示される塩基配列中、塩基番号427〜1
974で示される塩基配列を有するDNA。 (4)上記(3)のDNAを含有する組換えベクター。 (5)上記(4)の組換えベクターで形質転換された宿
主細胞。 (6)上記(5)の宿主細胞を培養し、得られる培養物
から上記(1)又は(2)の新規DNAポリメラーゼを
採取することを特徴とする上記(1)又は(2)の新規
DNAポリメラーゼ製造法。 (7)実質的に、配列表配列番号2に示されるアミノ酸
配列の全部又は一部を有するペプチドに親和性を示す抗
体。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。本発明者は、これまでに茶などに含まれる天然成分
であるタンニン酸が、HIV遺伝子の発現を抑制するこ
とを見出している。さらにHIVプロモーターのディリ
ーションシリーズを用いた研究から、HIVプロモータ
ーの−133〜−104の塩基配列HΔκ(転写開始点
を+1、その直前の塩基を−1とする;配列は配列表配
列番号1に示す)がタンニン酸による転写抑制に関与す
ることが確認されている。本発明DNAポリメラーゼο
(ポルο)は、HIVプロモーター内の特定の塩基配
列、詳細には上記HΔκに選択的に結合することを特徴
とする新規DNAポリメラーゼである。
【0007】本発明ポルοは、動物組織または細胞を原
料として抽出精製する方法、化学的合成による方法また
は遺伝子組換え技術等公知手法を適宜用いることによっ
て製造することができる。好ましくは、サウスウェスタ
ン法を用いて、まず該酵素をコードするDNAをヒト、
ラット等の動物細胞由来のcDNAライブラリーよりH
Δκをプローブとしてクローニングし、次いで、該DN
Aを含有する組換えベクターで形質転換された宿主細胞
を培養することによって該酵素を採取する方法が例示さ
れる。
【0008】サウスウェスタン法は、タンパク抽出液を
ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)で分離し
た後、ニトロセルロース膜やナイロン膜にトランスブロ
ットし、標識したDNAをプローブとしてハイブリダイ
ゼーションを行う方法であり、該DNAプローブ中の塩
基配列に結合するタンパク質のみが検出される。この原
理に基づき、cDNAライブラリーのファージが産生す
る(融合)タンパク質を膜上に固定し、標識したDNA
プローブを結合させて目的のcDNAを単離することが
できる。
【0009】使用するcDNAライブラリーは、動物細
胞又は組織、好ましくはヒト、ラット等の細胞又は組織
から抽出したmRNAより作製されるcDNAを、λg
t11等の宿主大腸菌中でポルο遺伝子を発現できるフ
ァージベクターに挿入したものであればよい。
【0010】本発明ポルοは、実質的に配列表配列番号
2に示されるアミノ酸配列を有し、516アミノ酸残基
で構成されている。かかるアミノ酸配列は、該ポルοの
性状を変化させない限り特に限定されず、アミノ酸配列
の一部で置換、欠失、挿入又は修飾が起こっていてもよ
い。また、該アミノ酸配列から計算される単量体分子の
理論分子量は57.6kDaである。ポルοのアミノ酸
配列は、以下の〜によって得られたデータを総合し
て同定する直接的方法、 該酵素を完全加水分解しアミノ酸組成を決定する エドマン法等によりN末端を、加ヒドラジン分解等に
よりC末端を決定する プロテアーゼ又は化学物質を用いて限定分解後、プロ
テインシークエンサーで各断片のアミノ酸配列を決定す
る 別のプロテアーゼ又は化学物質を用いてと同様の処
理を行う又は該ポルοのcDNAもしくはゲノミックD
NAをクローニングし、そのコード領域(ORF)の塩
基配列より対応するアミノ酸配列を決定する間接的方法
により同定される。
【0011】また本発明ポルοは、配列表配列番号2記
載のアミノ酸配列中、アミノ酸番号69〜498で示さ
れる430アミノ酸からなる領域で、大腸菌DNAポリ
メラーゼI(ポルI)と63%の相同性を有している。
一方、ポルοは真核のDNAポリメラーゼ(α、δ、
ε)とは相同性を持たない。
【0012】本発明ポルοは、ロイシンジッパー構造と
いわれる7アミノ酸残基毎にロイシンが存在し、それが
5回繰り返されるドメイン(配列表配列番号2記載のア
ミノ酸配列中、アミノ酸番号214〜242で示される
アミノ酸配列)を有する。該ドメインは疎水性の面をつ
くり、二量体を形成することが推定される。また、一般
にロイシンジッパーのN末端近傍には、アルギニンやリ
ジン等の正荷電を有するアミノ酸に富んだドメインがあ
る。
【0013】また本発明ポルοは、配列表配列番号2記
載のアミノ酸配列中、アミノ酸番号1〜87で示される
アミノ酸配列の或る領域が、HIVプロモーター内のシ
ス配列HΔκとの結合ドメインとなっている(実施例3
参照)。
【0014】本発明ポルοは、インビトロにおいて、H
eLa細胞核抽出物共存下で未変性の二本鎖DNAを鋳
型としてDNA重合活性を有する(実施例4参照)。公
知の真核DNAポリメラーゼには、このような活性は認
められない。
【0015】さらに、本発明ポルοをコードする遺伝子
は、血清刺激等の増殖刺激に対して30分〜1時間で発
現がピークに達し、その後発現レベルは低下する(実施
例2参照)。このような非常に早い遺伝子発現応答は、
公知の真核DNAポリメラーゼ(α、δ、ε)では見ら
れない。該ポリメラーゼは増殖刺激後、10時間以上経
過してから発現誘導が起こる。
【0016】本発明のDNAは、本発明ポルοのアミノ
酸配列をコードする塩基配列を有するDNAであれば特
に限定されないが、好ましくは配列表配列番号2に示さ
れるアミノ酸配列をコードするDNA、より好ましく
は、配列表配列番号3に示される塩基配列中、塩基番号
427〜1974で示される塩基配列を有するDNAで
ある。
【0017】また、本発明のDNAはいかなる方法で得
られるものであってもよい。例えばmRNAから調製さ
れる相補DNA(cDNA)、ゲノミックDNAから調
製されるDNA、化学合成によって得られるDNA、R
NA(cDNA)又はDNAを鋳型としてPCR法で増
幅させて得られるDNAおよびこれらの方法を適当に組
み合わせて構築されるDNAをも全て包含するものであ
る。
【0018】例えば、ポルοを産生する細胞由来のcD
NAライブラリーからポルοのcDNAをクローン化す
る方法としては、以下の方法が例示される。
【0019】まず、ポルοを産生する細胞組織、好まし
くはヒト、ラット等の細胞又は組織よりmRNAを抽出
する。mRNA〔poly (A) RNA〕の調製は、例えばグア
ニジンチオシアネート法〔Chirgwin, J. M. et al., Bi
ochem., 18, 5294 (1979) 〕、熱フェノール法もしくは
酸グアニジン−フェノール−クロロホルム(AGPC)
法等の公知の方法を用いて調製した全RNAをオリゴ
(dT)セルロースやポリU−セファロース等によるア
フィニティクロマトグラフィーにかけることによって行
うことができる。
【0020】次いで得られたmRNAを鋳型として、例
えば逆転写酵素を用いる等の公知の方法〔Okayama, H.
et al., Mol.Cell.Biol., 2, 161 (1982) 及び同誌 3,
280(1983)、Gubler, H. and Hoffman, B.J., Gene, 25,
263(1983) 等〕でcDNA鎖を合成し、RNaseH
で鋳型RNAにニックを導入した後DNAポリメラーゼ
Iで二本鎖cDNAを作製する。さらに末端平滑化、リ
ンカー結合後、該cDNAをファージベクターに組み込
み、インビトロパッケージングを行いcDNAライブラ
リーを作製する。また、市販のヒト、ラット細胞由来の
cDNAライブラリーを用いることもできる。
【0021】ファージベクターにcDNAを組み込む方
法としては、Hyunh,T. V. らの方法(Hyunh,T.V., DNA
Cloning, a practical approach,1,49(1985))などが挙
げられる。簡便には、市販のライゲーションキット(例
えば、宝酒造製等)を用いることもできる。このように
して得られるファージベクターは、原核細胞(例えば、
E.coliHB101,DH5またはMC1061/
P3等)等の適当な宿主に導入する。
【0022】ファージベクターを宿主に導入する方法と
してはファージDNAをインビトロパッケージングした
後、増殖させた宿主に導入(トランスフェクション)す
る方法等が例示される。インビトロパッケージングは、
市販のインビトロパッケージングキット(例えば、スト
ラタジーン社製,アマシャム社製等)を用いることによ
って簡便に行うことができる。
【0023】上記の方法によって作製されたcDNAラ
イブラリーから、本発明ポルοをコードするcDNAを
単離する方法は、一般的なcDNAスクリーニング法を
組み合わせることによって行うことができる。例えば、
別個にポルοの部分アミノ酸配列に対応すると考えられ
るオリゴヌクレオチドを化学合成したのち、これを32
でラベルしてプローブとなし、公知のプラークハイブリ
ダイゼーション法〔Molecular Cloning, A Laboratory
Manual, second edition , Cold Spring Harbor Labora
tory, 2.108 (1989)〕により、目的のcDNAを含有す
るクローンをスクリーニングする方法、PCRプライマ
ーを作製しポルοの特定領域をPCR法により増幅し、
該領域をコードするDNA断片を有するクローンを選択
する方法等が挙げられる。また、cDNAを発現しうる
ベクター(例えば、λgt11ファージベクター)を用
いて作製したcDNAライブラリーを用いる場合には、
ポルοに対する抗体を用いるイムノスクリーニングによ
り、目的のクローンを選択することができる。大量にク
ローンを処理する場合には、PCR法を利用したスクリ
ーニング法を用いることが好ましい。
【0024】また、本発明ポルοのように、DNA結合
タンパク質をコードするcDNAの場合は、そのDNA
結合特異性を利用して、上述のようにサウスウェスタン
法を応用した方法によりクローニングが可能である。本
法の好ましい態様については、実施例1において詳述す
る。
【0025】この様にして得られたDNAの塩基配列は
マキサム・ギルバート法〔Maxam, A.M. and Gilbert,
W., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 74, 560 (1977)〕
あるいはファージM13を用いたジデオキシターミネー
ション法〔Sanger,f. ら、Proc. Natl. Acad. Sci. US
A., 74, 5463-5467 (1977)〕によって決定することがで
きる。ポルοcDNAは、その全部または一部を上記の
ようにして得られるクローンから制限酵素等により切り
出すことにより取得できる。
【0026】また、ゲノミックDNAライブラリーから
本発明ポルοをコードするDNAを単離する方法として
は以下の方法が例示される。まず、ラット胸腺又は脾臓
等の細胞からSDSーフェノール法、セチルトリメチル
アンモニウムブロマイド(CTAB)法等の公知の方法
を用いてゲノミックDNAを調製する。好ましくはリボ
ヌクレアーゼによりRNAを分解除去する。得られるD
NAを適当な制限酵素により部分消化し、得られるDN
A断片を適当なファージ又はコスミドで増幅しライブラ
リーを作製する。そして目的の配列を有するクローン
を、例えば放射性標識されたDNAプローブを用いる方
法等により検出し、該クローンからポルο遺伝子の全部
または一部を制限酵素等により切り出し取得する。
【0027】また、化学的合成による本発明のDNAの
製造は、配列表配列番号3記載の塩基配列中、塩基番号
427〜1974で示される塩基配列を基にして、その
全部又は一部を合成することにより行うことができる。
【0028】さらに本発明は、上述のポルοをコードす
るDNAを含有する組換えベクターに関する。本発明の
組換えベクターとしては、原核細胞及び/又は真核細胞
の各種の宿主内で複製保持または自己増殖できるもので
あれば特に制限されず、プラスミドベクターおよびファ
ージベクターが包含される。当該組換えベクターは、簡
便には当分野において入手可能な組換え用ベクター(プ
ラスミドDNAおよびバクテリオファージDNA)に本
発明ポルοをコードするDNAを常法により連結するこ
とによって調製することができる。用いられる組換え用
ベクターとして具体的には、大腸菌由来のプラスミドと
して例えばpBR322, pBR325, pUC12, pUC13など、酵母由
来プラスミドとして例えばpSH19, pSH15など、枯草菌由
来プラスミドとして例えばpUB110, pTP5, pC194 などが
例示される。また、ファージとしては、λファージなど
のバクテリオファージが、さらにレトロウイルス、ワク
シニヤウイルス、核多角体ウイルスなどの動物や昆虫の
ウイルス〔pVL1393 (インビトロゲン社製) 〕が例示さ
れる。
【0029】ポルοを発現・生産させる目的において
は、発現ベクターが有用である。発現ベクターとして
は、原核細胞および/または真核細胞の各種の宿主細胞
中でポルο遺伝子を発現し、該酵素を生産する機能を有
するものであれば特に制限されない。宿主細胞として細
菌、特に大腸菌を用いる場合、一般に発現ベクターは少
なくともプロモーター−オペレーター領域,開始コド
ン,本発明ポルοをコードするDNA,終止コドン,タ
ーミネーター領域および複製可能単位から構成される。
宿主として酵母,動物細胞または昆虫細胞を用いる場
合、発現ベクターは少なくともプロモーター,開始コド
ン,本発明ポルοをコードするDNA,終止コドンを含
んでいることが好ましい。またシグナルペプチドをコー
ドするDNA,エンハンサー配列,本発明ポルο遺伝子
の5’側および3’側の非翻訳領域,スプライシング接
合部,ポリアデニレーション部位,選択マーカー領域ま
たは複製可能単位などを含んでいてもよい。
【0030】細菌中で本発明のポルοを発現させるため
のプロモーター−オペレータ−領域は、プロモーター、
オペレーターおよび Shine-Dalgarno(SD) 配列(例え
ば、AAGGなど)を含むものである。例えば宿主がエ
シェリキア属菌の場合、好適にはTrpプロモーター,
lacプロモーター,recAプロモーター,λPLプ
ロモーター,lppプロモーター,tacプロモーター
などを含むものが例示される。宿主がバチルス属菌の場
合は、SLO1プロモーター,SPO2プロモーター,
penPプロモーターなどが挙げられる。また、真核細
胞の酵母中で本発明のDNaseγを発現させるための
プロモーターとしては、PHO5プロモーター,PGK
プロモーター,GAPプロモーター,ADHプロモータ
ーが挙げられ、さらに宿主が哺乳動物細胞等である場
合、SV40由来のプロモーター,レトロウイルスのプ
ロモーター,ヒートショックプロモーターなどが挙げら
れる。好ましくは、SV−40,レトロウイルスであ
る。しかし、特にこれらに限定されるものではない。ま
た、発現にはエンハンサーの利用も効果的な方法であ
る。
【0031】好適な開始コドンとしては、メチオニンコ
ドン(ATG)が例示される。 終止コドンとしては、
常用の終止コドン(例えば、TAG,TGA,TAAな
ど)が例示される。ターミネーター領域としては、通常
用いられる天然または合成のターミネーターを用いるこ
とができる。複製可能単位とは、宿主細胞中でその全D
NA配列を複製することができる能力をもつDNAをい
い、天然のプラスミド,人工的に修飾されたプラスミド
(天然のプラスミドから調製されたDNAフラグメン
ト)および合成プラスミド等が含まれる。好適なプラス
ミドとしては、E. coli ではプラスミドpBR322、
もしくはその人工的修飾物(pBR322を適当な制限
酵素で処理して得られるDNAフラグメント)が、酵母
では酵母2μプラスミド、もしくは酵母染色体DNA
が、また哺乳動物細胞ではプラスミドpRSVneo ATCC 371
98, プラスミドpSV2dhfr ATCC 37145,プラスミドpdBPV-
MMTneo ATCC 37224,プラスミドpSV2neo ATCC37149等が
あげられる。
【0032】エンハンサー配列、ポリアデニレーション
部位およびスプライシング接合部位については、例えば
それぞれSV40に由来するもの等、当業者において通
常使用されるものを用いることができる。
【0033】選択マーカーとしては、通常使用されるも
のを常法により用いることができる。例えばテトラサイ
クリン,アンピシリン,またはカナマイシン等の抗生物
質耐性遺伝子等が例示される。
【0034】本発明の発現ベクターは、少なくとも、上
述のプロモーター,開始コドン,本発明ポルοをコード
するDNA,終止コドンおよびターミネーター領域を連
続的かつ環状に適当な複製可能単位に連結することによ
って調製することができる。またこの際、所望により制
限酵素での消化やT4DNAリガーゼを用いるライゲー
ション等の常法により適当なDNAフラグメント(例え
ば、リンカー、他の制限部位など)を用いることができ
る。
【0035】本発明の形質転換細胞は、上述の発現ベク
ターを宿主細胞に導入することにより調製することがで
きる。本発明で用いられる宿主細胞としては、前記の発
現ベクターに適合し、形質転換されうるものであれば特
に限定されず、本発明の技術分野において通常使用され
る天然細胞あるいは人工的に樹立された組換え細胞など
種々の細胞〔例えば、細菌(エシェリキア属菌、バチル
ス属菌),酵母(サッカロマイセス属、ピキア属な
ど),動物細胞または昆虫細胞など〕が例示される。好
ましくは大腸菌あるいは動物細胞であり、具体的には大
腸菌(DH5,HB101等)、マウス由来細胞(CO
P、L、C127、Sp2/0、NS−1またはNIH
3 T3 等)、ラット由来細胞、ハムスター由来細胞(B
HKおよびCHO等)、サル由来細胞(COS1、CO
S3、COS7、CV1およびVelo等)およびヒト
由来細胞(Hela、2倍体線維芽細胞に由来する細
胞、ミエローマ細胞およびNamalwa等)などが例
示される。
【0036】発現ベクターの宿主細胞への導入(形質転
換又は形質移入)は従来公知の方法を用いて行うことが
できる。 例えば、細菌(E.coli, Bacillus subtilis
等)の場合は、例えばCohen らの方法〔Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA., 69, 2110 (1972)〕、プロトプラスト法
〔Mol. Gen. Genet., 168, 111 (1979) 〕やコンピテン
ト法〔J. Mol. Biol., 56, 209 (1971) 〕によって、Sa
ccharomyces cerevisiaeの場合は、例えばHinnenらの方
法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 75, 1927(1978)〕
やリチウム法〔J. Bacteriol., 153, 163 (1983)〕によ
って、動物細胞の場合は、例えばGrahamの方法〔Virolo
gy, 52, 456 (1973)〕、昆虫細胞の場合は、例えばSumm
ers らの方法〔Mol. Cell. Biol.3, 2156-2165 (1983)
〕によってそれぞれ形質転換することができる。
【0037】本発明ポルοは、上記の如く調製される発
現ベクターを含む形質転換細胞(以下、形質移入体を包
含する意味で使用する。)を栄養培地で培養することに
よって製造することができる。栄養培地は、宿主細胞
(形質転換体)の生育に必要な炭素源,無機窒素源もし
くは有機窒素源を含でいることが好ましい。炭素源とし
ては、例えばグルコース,デキストラン,可溶性デンプ
ン,ショ糖などが、無機窒素源もしくは有機窒素源とし
ては、例えばアンモニウム塩類,硝酸塩類,アミノ酸,
コーンスチープ・リカー,ペプトン,カゼイン,肉エキ
ス,大豆粕,バレイショ抽出液などが例示される。また
所望により他の栄養素〔例えば、無機塩(例えば塩化カ
ルシウム,リン酸二水素ナトリウム,塩化マグネシウ
ム),ビタミン類,抗生物質(例えばテトラサイクリ
ン,ネオマイシン,アンピシリン,カナマイシン等)な
ど〕を含んでいてもよい。
【0038】培養は当分野において知られている方法に
より行われる。培養条件、例えば温度,培地のpHおよ
び培養時間は、ポルοが大量に生産されるように適宜選
択される。なお、下記に宿主細胞に応じて用いられる具
体的な培地および培養条件を例示するが、何らこれらに
限定されるものではない。
【0039】宿主が細菌,放線菌,酵母,糸状菌である
場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地が適当であ
る。好ましくは、pHが5〜8である培地である。宿主
がE. coli の場合、好ましい培地としてLB培地,M9
培地〔Miller. J., Exp. Mol. Genet, p.431, Cold Spr
ing Harbor Laboratory, New York (1972)〕等が例示さ
れる。かかる場合、培養は、必要により通気,攪拌をし
ながら、通常14〜43℃、約3〜24時間行うことが
できる。
【0040】宿主がBacillus属菌の場合、必要により通
気,攪拌をしながら、通常30〜40℃、約16〜96
時間行うことができる。宿主が酵母である場合、培地と
して、例えばBurkholder最小培地〔Bostian. K. L. et
al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77, 4505 (1980) 〕
が挙げられ、pHは5〜8であることが望ましい。培養
は通常約20〜35℃で約14〜144時間行なわれ、
必要により通気や攪拌を行うこともできる。
【0041】宿主が動物細胞の場合、培地として例えば
約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔Science,
122, 501 (1952)〕,DMEM培地〔Virology, 8, 396
(1959) 〕、RPMI1640培地〔J. Am. Med. Asso
c., 199, 519 (1967) 〕,199培地〔proc. Soc. Ex
p. Biol. Med., 73, 1 (1950)〕等を用いることができ
る。培地のpHは約6〜8であるのが好ましく、培養は
通常約30〜40℃で約15〜72時間行なわれ、必要
により通気や攪拌を行うこともできる。
【0042】宿主が昆虫細胞の場合、例えば胎児牛血清
を含むGrace's 培地〔Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 82,
8404 (1985)〕等が挙げられ、そのpHは約5〜8であ
るのが好ましい。培養は通常約20〜40℃で15〜1
00時間行なわれ、必要により通気や攪拌を行うことも
できる。
【0043】本発明のポルοは、上記培養により得られ
る培養物より以下のようにして取得できる。すなわち、
本発明ポルοが、培養物のうち培養液中に存在する場合
は、得られた培養物を濾過または遠心分離等の方法で培
養濾液(上清)を得、該培養濾液から天然または合成蛋
白質を精製並びに単離するために一般に用いられる常法
に従って該ポルοを精製、単離する。単離,精製方法と
しては、例えば塩析,溶媒沈澱法等の溶解度を利用する
方法、透析,限外濾過,ゲル濾過,ドデシル硫酸ナトリ
ウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動など分子量の差
を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーやヒド
ロキシルアパタイトクロマトグラフィーなどの荷電を利
用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの
特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグ
ラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気
泳動などの等電点の差を利用する方法などが挙げられ
る。
【0044】一方、本発明ポルοが培養された形質転換
体のペリプラズムまたは細胞質内に存在する場合は、培
養物を濾過または遠心分離などの常法に付して菌体ある
いは細胞を集め、適当な緩衝液に懸濁し、例えば超音
波、リゾチーム及び凍結融解などの方法で細胞等の細胞
壁および/または細胞膜を破壊した後、遠心分離や濾過
などの方法でポルοを含有する膜画分を得る。該膜画分
をトライトン−X100等の界面活性剤を用いて可溶化
して粗溶液を得る。そして、当該粗溶液を先に例示した
ような常法を用いることにより、単離,精製することが
できる。また、当該ポルοが培養された形質転換細胞の
核内に存在する場合は、常法により細胞壁及び細胞膜を
破壊して核を単離した後、超音波処理等により核膜を破
壊し、遠心処理して上清を得、該上清を先に例示したよ
うな常法を用いることにより、単離・精製することがで
きる
【0045】また、本発明は、上述のポルοもしくはそ
の前駆体ポリペプチド又はそれらのアミノ酸配列の一部
を有するペプチドに親和性を有する抗体に関する。本発
明の抗体は、上記性質を有するポリクローナル抗体およ
びモノクローナル抗体を共に包含する。また、当該モノ
クローナル抗体には、IgG,IgM,IgA,IgD
およびIgEなるいずれのイムノグロブリンクラスに属
するモノクローナル抗体をも包含し、好適には、IgG
またはIgMイムノグロブリンクラスモノクローナル抗
体が挙げられる。
【0046】本発明の抗体は常法に従って取得すること
ができる(続生化学実験講座5、免疫生化学研究法、日
本生化学会編:東京化学同人発行、等)。 例えば、本
発明のポリクローナル抗体は、以下の方法により作製す
ることができる。本発明ポルοのアミノ酸配列の全部又
は一部を有する(ポリ)ペプチドをウシ血清アルブミ
ン、Keyhole Limpets Hemocyanin(KLH)等のキャリ
アタンパク質に架橋した複合体もしくは(ポリ)ペプチ
ドのみと、完全(不完全)フロイントアジュバント〔F
CA(FIA)〕との混和物を抗原として、ウサギ、マ
ウス、ラット、モルモット又はハムスター等の哺乳動物
に免疫(初回免疫から約1〜4週間毎に1〜数回追加免
役し、各追加免疫の約3〜10日後に部分採血した血清
の抗体価を従来公知の抗原抗体反応を利用して測定、そ
の上昇を確認しておく。さらに最終免疫から約3〜10
日後全血を採取して抗血清を精製する。
【0047】また、本発明ポルοに対するモノクローナ
ル抗体は、いわゆる細胞融合によって製造されるハイブ
リドーマ(融合細胞)から製造することができる。すな
わち、抗体産生細胞と骨髄腫系細胞から融合ハイブリド
ーマを形成し、当該ハイブリドーマをクローン化し、本
発明ポルοのアミノ酸配列の全部または一部を有する
(ポリ)ペプチドを抗原として、それに対して特異的親
和性を示す抗体を生産するクローンを選択することによ
って製造される。その操作は免疫抗原として本発明のポ
ルοのアミノ酸配列の全部または一部を有する(ポリ)
ペプチドを使用する以外は、従来既知の手段を用いるこ
とができる。
【0048】本発明の「モノクローナル抗体」は、上述
の製造方法に限定されることなく、いかなる方法で得ら
れたものであってもよい。また、通常「モノクローナル
抗体」は、免疫感作を施す哺乳動物の種類によりそれぞ
れ異なる構造の糖鎖を有するが、本発明における「モノ
クローナル抗体」は該糖鎖の構造差異により限定される
ものではなく、あらゆる哺乳動物由来のモノクローナル
抗体をも包含するものである。さらに、例えばヒトイム
ノグロブリン遺伝子を組み込むことにより、ヒト型抗体
を産生するように遺伝子工学的に作出されたトランスジ
ェニックマウスを用いて得られるヒト型モノクローナル
抗体、あるいは、遺伝子組換え技術により、ある哺乳動
物由来のモノクローナル抗体の定常領域(Fc領域)を
ヒトモノクローナル抗体のFc領域と組み換えたキメラ
モノクローナル抗体、さらには抗原と相補的に直接結合
し得る相補性決定部位(CDR:complementarity dete
rmining region)以外、全領域をヒトモノクローナル抗
体抗体の対応領域と組換えたキメラモノクローナル抗体
も本発明の「モノクローナル抗体」に包含される。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもの
ではない。
【0050】実施例1 ポルοcDNAのクローニング (1)cDNAライブラリー ヒトT細胞リンパ腫培養細胞(Jurkat)cDNA
ライブラリーは、市販のhuman Jurkat λgt11 cDNA L
ibrary(クロンテック社製)を用いた。このライブラリ
ーは、ヒトT細胞リンパ腫培養細胞(Jurkat)よ
り抽出・精製したmRNAから、オリゴ(dT)ランダ
ムプライマーを用いて調製したcDNA(平均サイズ:
1.2kb)クローン(1×106 インディペンデント
クローンを含む)をアダプターを介してλgt11ベク
ターのEcoRI部位に挿入したものである。該クロー
ニング部位は、大腸菌由来lacZ遺伝子の3’末端近
傍にあるため、挿入され且つコドンフレームが一致した
cDNAはβ−ガラクトシダーゼとの融合タンパク質と
して発現する。また、lacZ遺伝子は、宿主プラスミ
ド中のlacリプレッサーにより抑制制御されており、
イソプロピル−β−D−チオガラクトシド(IPTG)
の添加により発現が誘導される。
【0051】(2)DNAプローブの作製 HIVプロモーター内の−133〜−104に位置する
シス配列HΔκの塩基配列に基づき、30bpのDNA
プローブを合成した(配列表配列番号1記載の塩基配
列)。
【0052】(3)スクリーニング スクリーニング用フィルターの作製 大腸菌Y1090r-を0.2%マルトースと10mM
MgSO4 を含む40mlのLB培地で一晩培養後、菌
体を遠心して回収し、該菌体を30〜40mlの10m
M MgSO4 に懸濁した。懸濁液200μlと上記
(1)のJurkatcDNAを有するλgt11ファ
ージ液とを混合し、SM10緩衝液〔10mMTris-HCl(ph
7.6), 10mM MgCl 2 , 68mM NaCl,0.1mg/mlゼラチン〕を
加えて全量を400μlとして37℃で20〜30分間
インキュベーションした。大腸菌・ファージ混合液を1
0mM MgSO4 を含む1.5%LB寒天培地上にま
き、次いで60〜65℃のLBトップアガロース6ml
をまいてよく混合した。トップアガロースが固まったら
42℃で3時間インキュベーションしてプラークを一面
に生じさせた。次いで、IPTGで処理したナイロンフ
ィルター(ポール社製)をトップアガロース上に置き、
一晩インキュベーションしてトランスファーを行った。
インキュベーション後、該ナイロンフィルターを静かに
剥がし、ファージ吸着面を上にして濾紙上に並べ15分
間風乾した後、さらにUV照射により固定した。
【0053】プローブの標識 上記(2)で作製したDNAプローブを〔γ−32P〕A
TPとT4キナーゼを用いて、5’末端を32P標識し
た。以下の組成の反応液を37℃で30分間インキュベ
ーションした。 10ng/μl オリゴDNA 1μl 10× キナーゼバッファー 4μl 〔γ−32P〕ATP 10μl UPW 23μl T4キナーゼ 2μl
【0054】サウスウェスタン法 以下のように、プレバインディング液を調製した。 2.5% スキムミルク 10mM Hepes(pH7.9) 100mM EDTA(pH8.0) 1mM DTT 0.1mg/ml サケ精子DNA(バイオラッド社製) 200mM KCl 上記で作製したフィルターを該プレバインディング液
中に入れ、4℃で6時間放置した。次いで、上記で調
製した標識化プローブを適量のバインディング液と混合
し、フィルター1枚あたり5μlのプローブ溶液を用い
て4℃、18時間ハイブリダイズさせた。ハイブリダイ
ゼーション終了後、該フィルターをプレハイブリダイゼ
ーション液で30分間振盪しながら洗った。この操作を
3〜4回繰り返した後、フィルターを濾紙上に広げて乾
燥させ、オートラジオグラフィーを行った(3日間)。
【0055】オートラジオグラフィーの結果、ポジティ
ブクローンを示すシグナルの位置に対応するトップアガ
ロースを取り出し、500μlの1×λバッファー中に
入れ、室温で30〜60分間放置した後、その103
希釈液1〜10μlを大腸菌Y1090r-懸濁液200
μlと混合した。該混合液を用いて上記〜の操作を
繰り返して二次スクリーニングを行い、単一プラークを
分離した。その結果、1個のポジティブクローンが得ら
れた。該ポジティブクローンを再び大腸菌Y1090r-
に感染させ、LB寒天培地プレート1枚に一面にプラー
クができるようにまき、そのλgt11ファージDNA
を回収した。ファージDNAの回収法の詳細について
は、Maniatisらの方法〔Molecular Cloning, A Laborat
ory Manual, second edition 2.64 (1989)〕を参照し
た。
【0056】(4)ポジティブクローンのサブクローニ
ング EcoRI処理したファージDNAをアガロースゲル電
気泳動し、GENECLEANII Kitを用いてインサートDNA
を回収した。そして、pBSIIKS(+)のEcoRI
サイトに組み込んだ(このプラスミドをpKSH1と称
する)。そのライゲーション溶液を用いてコンピテント
大腸菌DH5αを形質転換した。すなわち、全量7μl
のライゲーション溶液にコンピテント大腸菌0.3ml
を加えて氷上で数時間放置後、42℃で40秒間熱刺激
を加え氷上に戻し、200μlのLB培地を加え、37
℃で30分間インキュベーションした後、アンピシリン
含有LB寒天培地プレートに注ぎ37℃で一晩インキュ
ベーションした。シングルコロニーを採取し、1.5m
l LB培地に入れ、5時間振盪培養した。遠心した沈
殿からアルカリ法〔Molecular Cloning, A Laboratory
Manual, second edition 1.25 (1989)〕によってpKS
H1 DNAを回収した。
【0057】(5)塩基配列の決定 (4)で得られたpKSH1 DNAからΔTaq フルオ
レッセントダイ−プライマーシーケンシングキット(Am
ersham社製)を用いて、DNAシークエンサー(SQ−
5500、日立製作所製)でポルοcDNAインサート
の塩基配列を決定した。その結果、得られたポジティブ
クローンはポルοの全長をコードしていた(配列表配列
番号3)。該cDNAクローンの全長は2665bpで
あり、その内部に1551bpから成るオープンリーデ
ィングフレーム(配列表配列番号3の塩基番号427〜
1977)が存在し、516アミノ酸残基(配列表配列
番号2)をコードしていた。かかるアミノ酸配列から推
定される該タンパク質の分子量は56.7kDaであっ
た。
【0058】(6)ポルοアミノ酸配列の特徴 決定されたポルοのアミノ酸配列を、公知のDNAポリ
メラーゼのアミノ酸配列と比較すると、配列表配列番号
2記載のアミノ酸配列中、アミノ酸番号69〜498で
示される430アミノ酸からなる領域で、大腸菌DNA
ポリメラーゼI(ポルI)と63%の相同性を有してい
た。しかしながら、ポルοは公知の真核DNAポリメラ
ーゼ(α、δ、ε)とは相同性を持たないことがわかっ
た。
【0059】また、ポルοのアミノ酸配列中には、7ア
ミノ酸残基毎にロイシンが存在し、それが5回繰り返さ
れるロイシンジッパー構造といわれるドメイン(配列表
配列番号2記載のアミノ酸配列中、アミノ酸番号214
〜242で示されるアミノ酸配列)を有していた。該ド
メインは疎水性の面をつくり、二量体を形成することが
推定された。また、一般にロイシンジッパーのN末端近
傍には、アルギニンやリジン等の正荷電を有するアミノ
酸に富んだドメインがあり、該ドメインがDNAに結合
すると考えられている。
【0060】実施例2 ポルο遺伝子の増殖刺激に対す
る発現応答 (1)細胞の培養 10%(v/v)ウシ胎児血清(FCS)、2mM L
−グルタミン及びペニシリン(100U/ml), ストレプトマ
イシン(100μg/ml) を含むダルベッコ修正イーグル培地
にヒトパピローマウィルスでトランスフォームされたH
eLa細胞株を懸濁し、CO2 インキュベーター(3326
S/N Forma SCIENTIFIC Inc.)中で37℃、5%CO2
条件下で細胞密度1.0×105 〜1.0×106 細胞
/mlとなるように継代培養を行った。
【0061】(2)血清刺激 培地中のFCS濃度を0.5%に減じて48時間培養
後、終濃度10%となるようにFCSを添加した。
【0062】(3)RT−PCR法 上記(2)の方法により血清刺激を与えたHeLa細胞
から、グアニジンイソチオシアネート−塩化セシウム法
(Sambrook et al., Molecular Cloning 2nd ed., 198
9)2)により、全RNAを抽出した。得られた全RNA
(2.5μg)からランダムヘキサマーとマウス白血病
ウィルス由来逆転写酵素(Bethesda Research Laborato
ries)200UによりcDNAを合成した。得られたc
DNAの1/10量をPCR反応に供した。用いた合成
プライマーは、 5’−TATCCGCTGCCGAAGCTGCTGC
TCGAC−3’(配列表配列番号3の塩基番号127
3〜1299) 5’−GCTGGTCCGGCGTCACCTCCAG
CGGC−3’(配列表配列番号3の塩基番号1646
〜1672の逆鎖) であった。以下の組成の反応液を0.5mlマイクロチ
ューブに入れ、鉱物油を重層してサーマルサイクラー
(RICOH Model TPI-242 )を用い下記の条件で反応を行
った(400bpの断片が増幅される)。 PCR反応液 鋳型cDNA 105 〜106 分子 各プライマー 20pmol 20mM Tris−HCl(pH8.3,20℃) 1.5mM MgCl2 25mM KCl 100μg/ml ゼラチン 50μM dNTP 2U Taq DNAポリメラーゼ 反応条件 変性 96℃、15秒 アニーリング 55℃、30秒 伸長 72℃、90秒 25サイクル、最後に72℃、5分間伸長反応を行った
後、反応液10μlを5%アクリルアミドゲル電気泳動
して、エチジウムブロマイド染色によりバンドを検出し
た。
【0063】血清刺激後0〜24時間の細胞から抽出し
たRNAのRT−PCRの結果、ポルο遺伝子は血清刺
激後30分〜1時間のうちに発現がピークに達し、以後
減少した(図2)。公知のDNAポリメラーゼ(α、
δ、ε)は血清刺激後10時間以上経過してから発現が
誘導されるが、本発明ポルοは、血清刺激に対して非常
に早い発現応答を示すことが明らかとなった。
【0064】実施例3 ポルοのDNA結合活性 (1)グルタチオンS−トランスフェラーゼ−ポルο
(GST−polο)発現ベクターの作製 ポルοcDNAの全長を含む前述のpKSH1のEco
RI断片(2.66kb)をグルタチオンS−トランス
フェラーゼ(GST)発現ベクターであるpGEX−1
(ファルマシア社製)のEcoRI部位に正しい方向に
挿入したプラスミド(pGEX−polο)を作製し
た。該プラスミドは、GSTと配列表配列番号2のアミ
ノ酸番号1〜516で示されるペプチドとの融合タンパ
ク質を発現する。同様に、pKSH1のAlwN1−B
amHI1.5kb断片を末端平滑化後、リンカーを介
してpGEX−1のEcoRI部位に挿入したプラスミ
ド(pGEX−polοΔ1)を作製した。該プラスミ
ドは、GSTと配列表配列番号2のアミノ酸番号88〜
516で示されるペプチドとの融合タンパク質を発現す
る。さらに、pKSH1のPvuI1.3kb断片を末
端平滑化後、リンカーを介してpGEX−1のEcoR
I部位に挿入したプラスミド(pGEX−polοΔ
2)を作製した。該プラスミドは、GSTと配列表配列
番号2のアミノ酸番号154〜516で示されるペプチ
ドとの融合タンパク質を発現する。
【0065】(2)GST−polο融合タンパク質の
製造 上記(1)の3つのプラスミドで、それぞれ公知のアル
カリ法により大腸菌DH5αを形質転換し、該形質転換
体を100μg/mlアンピシリン及びIPTGを含む
LB培地500mlで37℃、16時間ラージスケール
培養した後集菌し、1×PBS/1%TritonX−
100で抽出した。次いで、抽出液をグルタチオンセフ
ァロース4Bアフィニティーカラム(ファルマシア社
製)に付し、目的のGST−polο融合タンパク質を
精製した。それぞれの融合タンパク質の精製度は、SD
S−PAGEにより調べられた。
【0066】(3)ゲルシフトアッセイ 上記(1)及び(2)の方法で得られた3つのGST−
polο融合タンパク質のHΔκに対する結合活性を調
べた。まず、下記のように反応液を調製した。 GST−polο(100 〜200ng/μl ) 2μl B.B.溶液 15μl 1×104 cpm 32P-プローブ 1μl 競合体プローブ 1μl 0.1% BSA 1μl B.B. stok soln. 1.5 ml 25 mM HEPES-KOH (pH7.9) 0.5 mM EDTA-NaOH (pH8) 50 mM KCl 10% グリセロール 1 M DTT 0.75 μl 0.3 M PMSF 2.5μl 上記反応液(総量20μl)を静かに混和し、30分間
室温で静置した後GS色素1μlを加えて4℃で、15
0V、2時間電気泳動した。泳動後3MM濾紙(Whatma
n 社製)にトランスファーしてオートラジオグラフィー
を行った(2日間)。その結果、ポルοの全長を含むG
ST−polοは、HΔκと結合するが、ポルοのN末
端側が欠失したGST−polοΔ1及びGST−po
lοΔ2ではHΔκへの結合活性が消失していた(図
3)。このことから、ポルοのN末端から87残基まで
の領域内にHΔκとの結合ドメインが存在することが示
唆された。
【0067】実施例4 ポルοのインビトロにおけるD
NA重合活性 HIVプロモーター(−452〜+80に位置する領
域)の下流にクロラムフェニコールアセチルトランスフ
ェラーゼ(CAT)遺伝子を繋いだレポータープラスミ
ドであるpHIVCAT(Rosen et al., Cell 41, 813
-823, 1985)の二本鎖DNAを変性液処理して一本鎖に
したものと、未変性のものをそれぞれ鋳型として、ポル
οのDNA重合活性を調べた。
【0068】(1)アルカリ変性したDNA鋳型の場合 pHIVCAT2.5μgを0.25N NaOH,
0.25mM EDTAからなる変性液で37℃,5分
間処理した後、4M 酢酸アンモニウム19μlとエタ
ノール200μlをくわえて該プラスミドを沈殿させ、
上清を除いて真空乾燥させた。これを反応直前に2.5
μlの水に溶解して用いた。次いで、下記の重合反応液
を調製した。 アルカリ変性プラスミド(2μg) 2μl HΔκ+(センス鎖)0.5pmol/μl 1μl 10×シーケンスバッファー 1.2μl 70 mM Tris-HCl (pH7.5) 200 mM NaCl 70 mM MgCl2 1 mM EDTA H2 O 5.8μl 上記反応液を65℃で20分間インキュベーションし、
室温でさらに20分間インキュベーションした。次に、
1mM dNTP mix(但し、dCTPのみ0.1
mM)1μl,α−32P dCTP(5μCi)0.5
μl,GST−polο(200〜600ng/μl)
0.5μlを加えて37℃,30分又は60分重合反応
させ、氷冷後エタノール沈殿させ、シ─クエンスゲル
(6%アクリルアミド/ビスアクリルアミド,1×TB
E,7M尿素)にアプライし、電気泳動を行った(15
00V,2時間)。泳動終了後、オートラジオグラフィ
ーを行った。GST−polοをGST−polοΔ
1,GST−polοΔ2に変えて同様の重合反応を行
わせた。その結果、ポルοの全長を含むGST−pol
οは、DNA重合活性を示したが、ポルοのN末端側の
アミノ酸配列を欠失したGST−polοΔ1やGST
−polοΔ2は、DNA重合活性を持っていなかった
(図4)。
【0069】(2)未変性の二本鎖DNA鋳型の場合 鋳型のプラスミドpHIVCATを水で希釈して1mg
/mlの濃度に調整した。次いで、下記の重合反応液を
調製し、37℃で30分又は60分反応させた。 未変性プラスミド(2μg) 2μl HΔκ+(センス鎖)0.5pmol/μl 1μl 10×シーケンスバッファー 1.6μl 70 mM Tris-HCl (pH7.5) 200 mM NaCl 70 mM MgCl2 1 mM EDTA H2 O 6.4μl 1mM dNTP mix 1μl (但し、dCTPのみ0.1mM) α−32P dCTP(5μCi) 0.5μl GST−polο(200〜600ng/μl) 0.5μl HeLa核抽出液(1mg/ml)又は 4μl BSA(1mg/ml) 反応終了後氷冷し、エタノール沈殿し、上記(1)同様
にシークエンスゲルにアプライして電気泳動に付した。
泳動終了後、オートラジオグラフィーを行った。その結
果、鋳型DNAとHΔκ+プライマーだけの場合には、
GST−polοは重合活性を示さなかったが、HeL
a核抽出液の共存下では活性が認められた(図5)。お
そらく、HeLa核抽出液に含まれるヘリカーゼやトポ
イソメラーゼII等によってポルοのDNA重合活性が
増強されたものと考えられる。公知の真核DNAポリメ
ラーゼα、δにはこの様な未変性DNAを鋳型とした重
合活性はない。この点に関しても,本発明ポルοは従来
公知の真核DNAポリメラーゼとは極めて異なってい
る。
【0070】実施例5 ポルο抗体の作製 前述のGST−polο融合タンパク質を使用抗原とし
て、該タンパク質のアミノ酸配列に親和性を示す抗体を
作製した。該タンパク質と完全フロイントアジュバント
(FCA)との混和物を抗原として、ウサギ〔Kbl:
JW、15齢、オス、体重3〜3.5kg(初回免疫
時)〕に背部皮下注射により約0.5mg免疫した。初
回免疫から約3週間毎に計3回約0.5mgずつ追加免
疫し、各追加免疫の約10日後に部分採血し、抗体価を
測定、さらに最終免疫(3回目の追加免疫)から約10
日後に全血を採取して抗血清を得た。
【0071】抗体価の測定は以下の方法で行った。抗原
を10μg/mlの濃度でマイクロタイタープレートに
固相化し、ブロッキング後、感作ウサギの部分血を10
1 〜108 まで希釈して抗原と反応させた。洗浄後、抗
ウサギIgG−ペルオキシダーゼ標識二次抗体を反応さ
せ、洗浄後、基質液ABTSの発色により抗体価を測定
した。その結果、いずれの場合も経時的に抗体価の上昇
が確認された(表5)。
【0072】
【発明の効果】本発明のDNAポリメラーゼο(ポル
ο)は、血清、増殖因子、癌ウィルス等の増殖刺激に対
して非常に早い発現応答を示すことを特徴とすることか
ら、癌やウィルスの無秩序且つ無制限な増殖、また受精
及び発生の初期段階での非常に早いDNAの複製に関与
していることが予測される。従って、ポルο、ポルοの
アンチセンス鎖及びポルο抗体は、癌やウィルス感染症
の初期段階での診断、予防又は治療薬に利用できる点で
有用である。
【0073】配列表 配列番号1 -452 TGGAAGGGCT AATTCACTCC CAACGAAGAC AAGATATCCT TGATCTGTGG ATCTACCACA -392 CACAAGGCTA CTTCCCTGAT TAGCAGAACT ACACACCAGG GCCAGGAGTC AGATATCCAC -332 TGACCTTTGG ATGGTGCTAC AAGCTAGTAC CAGTTGAGCC AGATAAGGTA GAAGAGGCCA -272 ATAAAGGAGA GAACACCAGC TTGTTACACC CTGTGAGCCT GCATGGGATG GATGACCCTG -212 AGAGAGAAGT GTTAGAGTGG AGGTTTGACA GCCGCCTAGC ATTTCATCAC GTGGCCCGAG -152 AGCTGCATCG GGAGTACTTC AAGAACTGTT GACATCGAGC TTGTTACAAG GGACTTTCCG -92 CTGGGGACTT TCCAGGGAGG CGTGGCCTGG GCGGGACTGG GGAGTGGCGA GCCCTCAGAT -32 +1 GCTGCATATA AGCAGCTGCT TTTTGCCTGT ACTGGGTCTC TCTGGTTAGA CCAGATCTGA 29 88 GCCTGGGAGC TCTCTGGCTA GCTAGGGAAC CCACTGCTTA AGCCTCAATA AAGCTGCCTT
【0074】配列番号2
【0075】
【化1】
【0076】配列番号3
【0077】
【化2】
【0078】
【化3】
【0079】
【化4】
【0080】
【化5】
【0081】
【化6】
【図面の簡単な説明】
【図1】増殖刺激に早期に応答する新規DNAポリメラ
ーゼの発現とその制御機構の仮想図である。
【図2】血清刺激に応答して発現するDNAポリメラー
ゼοmRNAの経時変化を示す電気泳動像である。矢印
の長さのバンドがポルοの断片である。 M:分子量マーカー P:ポジティブコントロール N:ネガティブコントロール
【図3】3種のGST−polο融合タンパクとHΔκ
とのゲルシフトアッセイにおける電気泳動像である。 GST−polο左より25,50,100ng GST−polοΔ2左より25,50,100ng GST−polοΔ1左より50,100ng
【図4】3種のGST−polο融合タンパクの一本鎖
DNA重合活性を示す電気泳動像である。
【図5】GST−polοの未変性DNA重合活性を示
す電気泳動像である。 HeLa N.Ex.:HeLa核抽出液
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:91) (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト後天性免疫不全症候群ウィルスプロ
    モーターに結合することを特徴とし、且つ以下の性状を
    有するDNAポリメラーゼ。 (1)分子量(単量体):57.6kDa。 (2)ロイシンジッパー構造を有する。 (3)N末端近傍にDNA結合ドメインが存在する。 (4)大腸菌DNAポリメラーゼIと約60%以上の相
    同性を有する約430残基から成る領域を含む。 (5)インビトロにおいて、細胞核抽出物共存下で二本
    鎖DNAを鋳型としてDNA重合活性を有する。 (6)該酵素をコードする遺伝子が、増殖刺激に対して
    1時間以内に最大発現し、以後低下する。(RT−PC
    R法)
  2. 【請求項2】 HIVプロモーターの塩基配列中、配列
    表配列番号1に示される塩基配列に選択的に結合するこ
    とを特徴とする請求項1記載のDNAポリメラーゼ。
  3. 【請求項3】 実質的に、配列表配列番号2に示される
    アミノ酸配列を有する請求項1又は2に記載のDNAポ
    リメラーゼ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載のDNA
    ポリメラーゼをコードする塩基配列を有するDNA。
  5. 【請求項5】 配列表配列番号3に示される塩基配列
    中、塩基番号427乃至1974で示される塩基配列を
    有する請求項4記載のDNA。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5に記載のDNAを含有す
    る組換えベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の組換えベクターで形質転
    換された宿主細胞。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の宿主細胞を培養し、得ら
    れる培養物から請求項1〜3のいずれかに記載のDNA
    ポリメラーゼを採取することを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載のDNAポリメラーゼ製造法。
  9. 【請求項9】 実質的に、配列表配列番号2に示される
    アミノ酸配列の全部又は一部を有するペプチドに親和性
    を示す抗体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001066578A1 (fr) * 2000-03-10 2001-09-13 Shanghai Biowindow Gene Development Inc. Nouveau polypeptide, adn polymerase 10, et polynucleotide codant pour ce polypeptide

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2001066578A1 (fr) * 2000-03-10 2001-09-13 Shanghai Biowindow Gene Development Inc. Nouveau polypeptide, adn polymerase 10, et polynucleotide codant pour ce polypeptide

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