JPH0971951A - 管杭等を用いた深基礎構造およびその施工方法 - Google Patents

管杭等を用いた深基礎構造およびその施工方法

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JPH0971951A JP23030895A JP23030895A JPH0971951A JP H0971951 A JPH0971951 A JP H0971951A JP 23030895 A JP23030895 A JP 23030895A JP 23030895 A JP23030895 A JP 23030895A JP H0971951 A JPH0971951 A JP H0971951A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋼管杭などを用いた深基礎構造において、基礎
全体の一体化を進めることにより曲げ剛性の増大を図
り、杭本数の低減化および杭断面の縮小化等を図る。 【解決手段】構造物からの荷重を支持するために地盤中
に設置される複数の管杭2、2…よりなる深基礎構造で
あって、前記管杭2、2…の長手方向中間位置におい
て、管杭2、2同士を相互に連結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼管杭式基礎、中
掘り式基礎、多柱式基礎、鋼管矢板基礎などの管杭、鋼
管矢板を用いた深基礎構造およびその施工方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、橋梁の橋台や橋脚、カルバー
トなどの土木構造物を支持する構造としては、支持地盤
層が浅い場合にはこの支持層の上に直接的に前記橋台や
橋脚、カルバートなどを設置する支持構造が採られる
が、支持層が深い場合には鋼管杭やPC杭などの既成杭
を打ち込んだり、地盤中に柱状の孔を掘削し鉄筋を配設
した状態でコンクリートを流し込んで場所打ち杭を造成
したりして杭を地盤中に設け、この杭上に前記橋台や橋
脚、カルバートなどを設置する深基礎構造が採用されて
いる。なお、多柱式基礎、鋼管矢板基礎も深い支持層に
達する杭状の支持体を設ける点で構造的共通するが、多
柱式基礎は河川や海域に設けられ、河床や海底から杭が
突出している点で前記杭基礎と異なる。また、鋼管矢板
基礎は、図12に示されるように、継手管を有する鋼管
矢板5、5…を現場で円形、小判形または長方形等の閉
鎖形状に組み合わせながら打込み、継手管内にモルタル
を充填した後、その頭部に頂版20を設けて構造物基礎
とする構造であり、力学的挙動は前記杭基礎とケーソン
基礎との中間的な特性を示し、前記杭基礎とは構造的に
別分類とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記杭
基礎の場合において、支持層が深く杭長が長くなる場合
には、設計上杭軸方向のバネ定数が小さくなることか
ら、フーチングの回転量が大きくなり、その結果各杭に
発生する断面力も大きくなる。そのため、杭の本数が多
くなるとともに、杭の断面も大きくなる傾向にある。
【0004】また、鋼管矢板基礎の場合には継手管内に
モルタルが充填されることにより、荷重作用時に鋼管矢
板相互に剪断抵抗が生じる結果、基礎全体の曲げ剛性が
増大し、鋼管矢板群全体が一体となって挙動する。しか
し、鋼管矢板相互の連結は完全剛結ではないため、実際
は完全合成断面寄りではあるが、完全合成断面と分離断
面との中間的な挙動を示す。なお、設計上は合成効率係
数μを0.75として設計を行っている。この場合、隣
接する鋼管矢板が単に剪断力を伝達するだけではなく、
基礎全体をより剛体化できれば、基礎全体の曲げ剛性も
増大するため、鋼管矢板の断面サイズを縮小できるなど
そのメリットも大きい。
【0005】そこで、本発明の主たる課題は、鋼管杭、
中掘り杭などの管杭、鋼管矢板を用いた深基礎構造にお
いて、基礎全体の一体化を進めることにより曲げ剛性の
増大を図り、杭本数の低減化および杭断面の縮小化等を
実現し得る深基礎構造およびその施工方法を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、構造物からの荷重を支持するために地盤
中に設置される複数の管杭よりなる深基礎構造であっ
て、前記管杭の長手方向中間位置において、管杭同士を
相互に連結したことを特徴とするものである。
【0007】その具体例を例示すれば、前記管杭が所定
の間隔を空けて円形、小判形または長方形等の閉鎖され
た平面配列パターンで配列される場合には、周方向の隣
接する管杭同士を相互に連結する。この場合、少なくと
も1以上、略対面する管杭同士を相互に連結することも
できる。
【0008】また、前記管杭が所定の間隔を空けて縦お
よび横方向に略整列的配列パターンで配列される場合に
は、これらの管杭群を少なくとも格子状に相互に連結す
る。
【0009】さらに、前記管杭が千鳥配置の管杭を含み
ながら所定の間隔を空けて縦および横方向に略整列的配
列パターンで配列される場合には、これらの管杭群を格
子状および斜格子状に相互に連結する。
【0010】したがって、本発明の場合には、各管杭同
士が長手方向の中間位置において相互に連結されること
により、管杭群が一体となって作用する荷重に対して抵
抗するようになる。また、前記連結部を介して剪断力が
効果的に他の管杭に対して伝達されるようになり、基礎
全体としての曲げ剛性(曲げ抵抗)が増大する。したが
って、管杭同士を連結しない場合に比べて管杭の本数を
減らすことができるとともに、各管杭の断面も薄肉にま
たは小サイズのものにすることができる。
【0011】これらの場合に、管杭と管杭とを繋ぐ連結
材周りの地盤を固結させることもできる。また、前記管
杭の長手方向の中間より、支持地盤に対してステーアン
カーを設けることにより、水平荷重に対する抵抗力が大
きくなり、水平移動量を低減することができる。
【0012】一方、前記鋼管矢板が部材長手方向に沿っ
て連続的に設けられた継手部材を介して相互に連結され
ながら、円形、小判形または長方形等の閉鎖された平面
配列パターンで配列された鋼管矢板基礎において、少な
くとも1以上、略対面する鋼管矢板同士を相互に連結す
る。前記鋼管矢板基礎は、鋼管矢板同士が周方向に連結
されていることにより鋼管矢板群が一体となって荷重に
対して抵抗する構造であるが、前記のように半径方向に
も鋼管矢板同士を連結することにより、全体剛度が増
し、鋼管矢板の断面サイズを低減することができるよう
になる。
【0013】前記管杭同士を連結するための施工方法と
しては、たとえば構造物からの荷重を支持するために地
盤中に中空状態で複数の管杭よりなる深基礎を設置した
後、前記中空の管内より連結対象の管杭に向けて削孔を
行い両管杭を繋ぐ連通孔を形成し、次いでこの連通孔に
連結材を渡し管杭同士の連結を行うことにより行うこと
ができる。なお、前記連結材としては、鋼管、型材など
の鋼材の他、棒材、ワイヤーなどの線部材を用いること
もできる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の形態を図面に基づ
いて詳述する。図1は本発明に係る杭基礎形式の橋梁横
断面図であり、図2は杭連結部の要部拡大図である。図
1に示されるように、地盤面Lより地盤Sの深さ方向に
数m乃至は数十m下方位置に支持層Hがあるような地質
条件の下で橋梁などの構造物を設置する場合には、上部
工12および下部工10を強固に支えるために、下部工
のフーチング10Aの下側に支持層Hに達する複数の杭
2、2…が設置される。上部工12および下部工10の
死荷重および通行車両による活荷重は前記杭2、2…を
伝達して前記支持層Hまで伝達される。
【0015】かかる杭2には各種の形式のものがある。
例示すると、打込みまたは圧入により地盤中に貫入させ
る鋼管杭、先端開口型の杭の内部にオーガーを挿入し
て、杭先端下部の地盤を掘削しながら、打撃または圧入
により地盤中に杭を設置する中掘り杭、地盤中に削孔し
た孔内に鉄筋を挿入し、コンクリートを打設することに
より現場で杭造成を行った場所打ちコンクリート杭など
が挙げられる。これらの内、本発明は前記鋼管杭、中掘
り杭などの管状の杭を対象としている。
【0016】本発明においては、図1に示されるよう
に、前記杭2の長手方向中間位置において、杭2、2…
同士を相互に連結材3、3…により連結する。連結箇所
については任意であるが、図示のように、フーチング1
0Aから伝達される鉛直力、水平力および曲げモーメン
トに対して最も抵抗している部分、すなわち杭2の上部
側においては連結箇所の間隔を小さくし、下方に行くに
従って大きくするのが望ましい。また、連結数について
は、連結数が多いことは構造的に望ましいが、施工に手
間が掛かるため、一般的に採用されている数十mの杭長
範囲では2〜5箇所程度とするのがよい。
【0017】杭2、2…の連結態様としては、杭2の平
面的配列パターンとの関係で種々の態様が考えられる。
たとえば、図2および図3に示されるように、杭2、2
…が所定の間隔を空けて円形等の閉鎖された平面配列パ
ターンで配列されている場合には、周方向に隣接する杭
2、2…同士を相互に連結することができる。この場
合、図4に示されるように、少なくとも1以上、略対面
する杭2、2同士を相互に連結することもできる。この
場合には、作用荷重の分配の関係で、1つの杭2に生じ
た過大な変形が対面する側の杭2に対して直接的に伝達
されることになるため、より基礎全体の剛度が増加す
る。
【0018】また、図5に示されるように、杭2、2…
が所定の間隔を空けて縦および横方向に略整列的配列パ
ターンで配列される場合には、たとえばこれらの杭群を
格子状に相互に連結する。この場合、前記隣接する杭2
同士を斜方向にも連結することができる。
【0019】さらに、図6に示されるように、杭2が千
鳥配置の杭を含みながら所定の間隔を空けて縦および横
方向に略整列的配列パターンで配列される場合には、こ
れらの杭群を格子状および斜格子状に相互に連結する。
【0020】杭2の配列パターンは任意であるが、いず
れにしても杭2、2…全体が一体的に挙動するように、
すべての杭2が直接的または間接的に相互に連結され
る。
【0021】他方、本発明は図12に示した鋼管矢板基
礎に対しても好適に適用される。図7に示されるよう
に、周方向に連結される鋼管矢板5は、両側に部材長手
方向に沿って連続的にたとえば一部がスリット状に開口
した継手管5a、5bを備え、継手管5a、5b同士が
相互に噛み合うことにより鋼管矢板5、5…同士が相互
に連結されている。かかる鋼管矢板基礎においては、略
対面する杭2、2同士が連結材6、6…により相互に連
結される。連結数については、前記杭基礎の場合と同様
に任意であるが、少なくとも1以上、好ましくは複数箇
所連結される。たとえば、最低限、橋軸方向および橋軸
直角方向の2方向、すなわち十字方向に鋼管矢板5を連
結すれば、全体剛度の程度問題は別としてすべての荷重
方向に対して抵抗できるようになる。
【0022】次に、前記杭2、2同士を連結する連結材
3を施工するための方法について詳述すると、先ず図8
に示されるように、杭2の長手方向中間の連結箇所位置
において、予め杭2の内壁面に架け渡した梁15に対し
て、ドリルユニット7を据え付ける。
【0023】そして、連結対象の杭2に向けて削孔を行
い杭2、2同士を繋ぐ連通孔8を形成する。図示の例で
は、先端が拡翼するドリル7aを用い、先ず連結対象と
なる杭2まで削孔を行った後、図9に示されるように、
ドリル7aの引き戻し工程において、ドリル7aを拡翼
させ削孔の切り拡げを行っている。なお、杭内面に設け
られた2aは作業員が昇降できる管内壁面に設けたタラ
ップである。また、連結材3を取付けるために、杭2に
形成される孔2bについては予め形成しておき、着脱自
在の裏蓋を取付けておくことが望ましい。
【0024】次いで、前記連通孔8を形成したならば、
図10に示されるように、連結材3を杭2、2間に渡し
相互に固定する。図示の例では、連結材3として、頭部
フランジ3aを有するとともに、先端外周に螺子溝が形
成された管状体を用い、これをドリルユニット7配置側
の杭2側から差し込んだ後、連結対象側の杭2におい
て、座面を平面とするために杭内壁接触面が円弧面とさ
れる座部材16をあてがい、前記連結材3先端に螺合さ
れるナット部材17により締結を図り固定する。
【0025】なお、前記連結材3の連結構造としては、
他に種々の方法が考えられる。たとえば、連結材3を渡
した後、杭2、2側において共に溶接付けすることによ
り固定することもできる。
【0026】かかる連結材3の設置が完了したならば、
連結材3の壁面に形成した図示しない孔より、地盤固結
剤を注入して連結剤3周りに固結体9、9を形成するこ
ともできる。これにより杭2同士を相互に連結した部位
が地盤を含めて一体化し、荷重に対する抵抗力が増大さ
れる。
【0027】ところで、本発明に係る深基礎の場合は、
必要に応じて主に基礎の水平変位を抑制するために、近
接する支持層に対して定着されるステーアンカーを設け
ることもできる。具体的には、図11に示されるよう
に、近接する側方部分に支持岩盤がある場合にはその部
分に向けたステーアンカー18を設置することにより、
また、支持層Hに対してアンカー定着が可能であるなら
ば、鎖線で示されるように、ハの字状にステーアンカー
19、19を設けることにより、基礎を補強することが
できる。
【0028】
【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、各
管杭同士が長手方向の中間位置において相互に連結され
ることにより、管杭群が一体となって作用荷重に対して
抵抗するようになるとともに、杭連結部を介して剪断力
が他の管杭に対して伝達されるようになるため、基礎全
体としての曲げ剛性(曲げ抵抗)が増大し、杭本数の低
減化および杭断面の縮小化等を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る杭基礎により支持された橋梁の横
断面図である。
【図2】杭連結部の拡大斜視図である。
【図3】図2のIII −III 線矢視図である。
【図4】杭連結パターンの変形例図である。
【図5】他の杭配列における連結パターン図である。
【図6】他の杭配列における連結パターン図である。
【図7】鋼管矢板基礎の場合における杭連結状態断面図
である。
【図8】連結材の施工手順図である。
【図9】連結材の施工手順図である。
【図10】連結材の施工手順図である。
【図11】ステーアンカーを設けた場合の全体図であ
る。
【図12】鋼管矢板基礎の要部斜視図である。
【符号の説明】
1…杭基礎、2…杭、3・4・6…連結材、5…鋼管矢
板、7…ドリルユニット、8…連通孔、9…地盤固結
体、10…下部工、12…上部工、S…地盤、H…支持
層、L…地盤面

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造物からの荷重を支持するために地盤中
    に設置される複数の管杭よりなる深基礎構造であって、 前記管杭の長手方向中間位置において、管杭同士を相互
    に連結したことを特徴とする管杭等を用いた深基礎構
    造。
  2. 【請求項2】前記管杭が所定の間隔を空けて円形、小判
    形または長方形等の閉鎖された平面配列パターンで配列
    され、周方向の隣接する管杭同士を相互に連結した請求
    項1記載の管杭等を用いた深基礎構造。
  3. 【請求項3】少なくとも1以上、略対面する管杭同士を
    相互に連結した請求項2記載の管杭等を用いた深基礎構
    造。
  4. 【請求項4】前記管杭が所定の間隔を空けて縦および横
    方向に略整列的配列パターンで配列され、これらの管杭
    群を少なくとも格子状に相互に連結した請求項1記載の
    管杭等を用いた深基礎構造。
  5. 【請求項5】前記管杭が千鳥配置の管杭を含みながら所
    定の間隔を空けて縦および横方向に略整列的配列パター
    ンで配列され、これらの管杭群を格子状および斜格子状
    に相互に連結した請求項1記載の管杭等を用いた深基礎
    構造。
  6. 【請求項6】管杭と管杭とを繋ぐ連結材周りの地盤を固
    結させた請求項1〜5記載の管杭等を用いた深基礎構
    造。
  7. 【請求項7】前記管杭の長手方向中間より、支持地盤に
    対してステーアンカーを設けた請求項1〜6記載の管杭
    等を用いた深基礎構造。
  8. 【請求項8】鋼管矢板が部材長手方向に沿って連続的に
    設けられた継手部材を介して相互に連結されながら、円
    形、小判形または長方形等の閉鎖された平面配列パター
    ンで配列された鋼管矢板基礎において、少なくとも1以
    上、略対面する鋼管矢板同士を相互に連結したことを特
    徴とする管杭等を用いた深基礎構造。
  9. 【請求項9】構造物からの荷重を支持するために地盤中
    に中空状態で複数の管杭よりなる深基礎を設置した後、
    前記中空の管内より連結対象の管杭に向けて削孔を行い
    両管杭を繋ぐ連通孔を形成し、次いでこの連通孔に連結
    材を渡し、管杭同士の連結を行うことを特徴とする請求
    項1〜8記載の管杭等を用いた深基礎構造の施工方法。
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