JPH0971600A - ヒトアンチトロンビンiii 変異体 - Google Patents

ヒトアンチトロンビンiii 変異体

Info

Publication number
JPH0971600A
JPH0971600A JP7228694A JP22869495A JPH0971600A JP H0971600 A JPH0971600 A JP H0971600A JP 7228694 A JP7228694 A JP 7228694A JP 22869495 A JP22869495 A JP 22869495A JP H0971600 A JPH0971600 A JP H0971600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
iii
mutant
dna
heparin
amino acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP7228694A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiharu Mizui
井 佳 治 水
Shinji Yoshitake
武 新 次 吉
Hiroyuki Kato
藤 弘 之 加
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Eisai Co Ltd
Original Assignee
Eisai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Eisai Co Ltd filed Critical Eisai Co Ltd
Priority to JP7228694A priority Critical patent/JPH0971600A/ja
Publication of JPH0971600A publication Critical patent/JPH0971600A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Saccharide Compounds (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ヘパリン非存在下で高い抗凝固活性を有する、
新規なヒトアンチトロンビンIII (AT III )変異体を
提供することにある。 【解決手段】AT III をコードするDNA を鋳型として、
遺伝子組換え法によりATIIIのC末端にチロシンを含む
オリゴペプチドを付加することにより、またはATIIIC
末端にオリゴペプチドを付加したAT III変異体のAT III
反応部位アミノ酸の置換を組み合わせることにより、目
的とするAT III変異体を得た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】遺伝子組換え法を用いてヒト
アンチトロンビンIIIのC末端にオリゴペプチドを付加
すること、更には反応部位のアミノ酸の変異と組み合わ
せることにより、ヘパリン非存在下で高い抗凝固活性を
有するAT III変異体を提供するもので血栓性疾患の治療
薬として利用される。
【0002】
【従来の技術】ヘパリンをはじめとするグリコサミノグ
リカンの有する血液凝固阻害活性は、血中のアンチトロ
ンビンIII(AT III)およびヘパリンコファクターII(HC
II)により媒介される。AT IIIおよび HC IIは、いわゆ
るセルピンと総称されるセリンプロテアーゼインヒビタ
ーである。これらのうちAT IIIは先天的あるいは後天的
な理由による血中活性レベルの低下により血栓症が発症
するという報告が多く、一連のセリンプロテアーゼによ
り構成される血液凝固系の調節因子として生理的に重要
な役割を担っている。ヒトAT IIIはトロンビンおよびXa
因子をはじめとする主として凝固系に携わるセリンプロ
テアーゼを阻害することが知られている。ヒトAT IIIの
一次構造はアミノ酸配列の直接決定(Petersen, T. E.
et al., In The Physiologocal Inhibitors of Blood C
oagulation and Fibrinolysis , Elsevier Science Pub
lishers , Amsterdam, 43, 1979 )ならびに cDNA のク
ローニング(Bock, S. C. etal., Nucl. Acid Res., 1
0, 8113, 1982 ; Prochownik, E. V. et al., J. Bio
l. Chem., 258, 8389, 1982 ; Chandra, T. et al., Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA, 80, 1845, 1983) により明
らかにされている。これらの報告によると、ヒトAT III
は前駆体蛋白質より32残基のシグナルペチドが切断除去
されて分泌生成される、432 アミノ酸からなる一本鎖糖
蛋白である。分子内にN 結合性の糖鎖付加を受ける部位
を4 カ所含んでおり、分子量の約15%は糖である。AT I
II はトロンビンなどのセリンプロテアーゼと1:1で
反応し、安定な複合体を形成することにより、これらの
プロテアーゼ活性を阻害する(Rosenberg,R. D. & Damu
s, P. S.,J. Biol. Chem., 248, 6490, 1973 : Owen,
W. G., Biochim. Biophys. Acta, 405, 380, 1975)。
この際AT III分子中の393 番目のArg 残基と394 番目の
Ser 残基の間のペプチド結合がプロテアーゼにより切断
され、この結果、新たに生じた末端のArg 残基とプロテ
アーゼの活性中心のSer 残基との間にアシル結合が生じ
ると考えられている。一般的に、このArg (393)-Ser(39
4)領域を反応部位と呼ぶ。反応部位近傍のアミノ酸配列
はプロテアーゼインヒビターとしての機能発現に重要な
役割を担っているとともに、各種プロテアーゼにたいす
る阻害活性および、特異性を決定する上でも重要である
ことが多くの報告により明らかとなっている。AT IIIに
よるプロテアーゼの阻害反応は比較的穏やかに進行する
が、反応系にヘパリンが存在すると、その反応速度は劇
的に加速され、AT IIIによるトロンビンの阻害速度はヘ
パリンの添加により1000倍以上となる。この反応加速の
作用機構はヘパリンがAT IIIの特定部位(ヘパリン結合
部位)に結合することにより、AT IIIの高次構造に変化
をもたらしプロテアーゼ・ヘパリン・AT III3者複合体
を形成しやすくなることによると考えられている。ま
た、生理的には血管内皮細胞表面に存在するヘパリン様
物質が、同様の作用を現すことによりAT IIIの活性を制
御し、血液凝固系の調節に重要な役割を担っていると考
えられている。
【0003】種々の原因により引き起こされる血栓症の
予防、治療にはいわゆる抗凝固薬が使用されており、ヘ
パリンは現在でも極めて重要な抗凝固薬の一つである。
しかしヘパリンの使用により時に重篤な副作用が生じる
ことが報告されている(Amerena, J. et al., Adverse
Drug React. Acute. Poisoning Rev., 9, 1, 1990 ;Le
vine, M N. et al., Semi. in Thrombos. Hemosts., 1
2, 39, 1986 ; Kelton, J. G. et al., ibid, 12, 5
9, 1986 ; Levine, M. N., ibid, 12, 63, 1986 )。代
表的なものとして出血、血小板減少症、副腎機能障害、
過敏症、投与部位の壊死、骨粗鬆症等があげられる。こ
のため産婦人科領域あるいは外科手術後など出血の危険
性が高い場合、あるいは長期にわたる投与においてはそ
の使用は慎重に行われるべきである。またヘパリンの抗
凝固作用はあくまでもAT IIIを介したものであり、血中
のAT III濃度が低下しているような病態ではその効果は
期待されない。最近、開発されている低分子ヘパリン、
ヘパリノイドにおいては諸問題のうちのいくつかは解決
されてはいるが、その作用がAT III依存性である点では
問題は未解決のままである。一方、ヒトAT IIIは血漿由
来の濃縮製剤という形で、先天的なAT III欠乏に基づく
血栓形成傾向、およびAT III低下を伴う汎発性血管内皮
凝固症候群(DIC)において臨床的に用いられている。し
かし、先に述べたように、ヘパリン非存在下におけるAT
IIIの抗凝固活性は漸進的なもので、単独の使用は補充
療法的な意味合いが強く、抗凝固剤としての有用性は限
定される。これまでAT IIIのアミノ酸を変換することに
よりAT IIIの改良が試みられている。例えば Zettlemei
ssl らはAT III中の糖鎖付加部位のアミノ酸を変換する
ことによって、ヘパリン結合/ヘパリン活性化の性質を
向上させるAT III変異体、および反応部位のアミノ酸を
変化することにより酵素特異性を変化させたAT III変異
体の製造法を開示している(特開平2- 26259
8)。また Dijkemaらは反応部位のアミノ酸を変換する
ことによって抗トロンビン/抗Xa活性の変化したAT III
変異体の製造法を示している(EP90/01026 )。さら
に、反応部位あるいは反応部位とヘパリン結合部位を変
換することにより、ヘパリン非存在下での抗トロンビン
活性を上昇させたAT III変異体が開示されている(特開
平5- 339292)。しかし、ヘパリンを不要とする
更に強い抗凝固活性を持つAT III変異体が望まれてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はヘパリン非存
在下でも強い抗凝固活性を有する新規なAT III変異体を
提供することにある。さらに遺伝子組換え法による大量
製造法をも提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】ヘパリン非存在下におい
て強いプロテアーゼ阻害活性を有するAT IIIを発明する
にはAT IIIがヘパリンと結合した状態をヘパリン非存在
下でAT III分子に実現すれば良い。この目的はAT III分
子内の構造を変換することにより一部達成された(特開
平5−339292)。我々はさらに、AT III分子内に
プロテアーゼとの親和性を増強させる構造を付加するこ
とにより目的を達成できると考え、種々の新規なAT III
変異体を作製し鋭意研究を進めた結果、AT IIIのC末端
に血小板糖タンパク質 GPIb( Dong, J. F.,et al., Bio
chemistry, 33, 13946, 1994 ; Marchese, P., et al.,
J. Biol. Chem., 270, 9571, 1995 )由来の硫酸化修飾
を受けるチロシンを含むペプチドを導入した新規なAT I
II変異体は、ヘパリン非存在下における抗凝固活性が著
しく上昇することを発見した。同時にこの活性上昇の本
質は付加ペプチド鎖内におけるチロシン残基の特異的硫
酸化に起因することを発見し、本発明をさらに発展させ
た結果、強い抗凝固活性を有する一連の新規AT III変異
体の作製に成功し、本発明を完成するに至った。
【0006】本発明は変異させたヒトアンチトロンビン
III (AT III)であって、AT IIIのC末端に硫酸修飾を
受けるチロシンを含むペプチドを付加したATIII変異
体に関する。チロシン含有ペプチドとは、チロシンの前
後に位置するアミノ酸5個以内の中に、チロシンの前後
それぞれに少なくとも1個の酸性アミノ酸( Aspまたは
Glu ) を有し、合計少なくとも3個の酸性アミノ酸を保
有しているペプチドを意味する。付加するペプチドとし
ては例えば、配列番号1、2または3に記載されるペプ
チドである。これらペプチドのチロシンを含むその一部
を用いてもよく、これらペプチドを含むペプチドを用い
ることもできるが、チロシン硫酸化に必須な共通配列を
乱すものであってはならない( Wielando, B. H. Ann.
Rev. Physiol. 50, 363, 1988 ) 。これらペプチドを付
加したAT III変異体はさらにAT III部位の1もしく
は複数個のアミノ酸が付加、欠失もしくは置換されたア
ミノ酸の全部または一部を含むものも本発明に含まれ
る。具体的には例えば、AT IIIアミノ酸配列の391 位
のアラニンをグルタミン酸またはアスパラギン酸に置換
したもの、または391 位アラニンをロイシンに、さらに
392 位グリシンをスレオニンに置換したものなどが挙げ
られる。さらに本発明はこれらAT III変異体をコ−ド
するDNA、該DNAを含有するベクタ−、該ベクタ−
を保持する形質転換体、該形質転換体を用いるAT III
変異体の製造方法およびAT III変異体を有効成分とす
る医薬組成物、に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。 (1)ヒトAT IIIcDNAの単離 ヒトAT IIIは主に肝臓において合成されるので、市販の
ヒト肝臓 cDNA ライブラリー(λgt 11 、クロンテク
社)を用いればよい。クローニングする方法は公知の方
法、例えばAT IIIアミノ酸配列に対応する合成オリゴヌ
クレオチドをプローブとして用いるプラークハイブリダ
イゼーション法(Sambrook, J., et al.,Molecular Clo
ning, Cold Spring Harbor Laboratory, 1989) 等が挙
げられる。得られたクローンは必要に応じて、例えば M
13mp18などのプラスミドにサブクローニングすることが
できる。このようにして得られた cDNA の塩基配列は市
販のキットを用いたジデオキシ法(Tabor, S. and Rich
ardson, C. C., Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 84, 476
7, 1987)等によって決定することができる。得られたA
T III cDNA のコーディング領域の塩基配列とそれに基
づいて演繹されたアミノ酸配列は特開平5- 33929
2に示される。
【0008】(2)部位特異的変異導入法 変異導入法は、例えばZollerらの方法(Zoller, M. and
Smith, M. , Methodin Enzymology, 100, 468, 1983
)、Kramerらの方法(Kramer, W. and Fritz, H-J., M
ethod in Enzymology, 154, 350, 1987 )Vandeyarら
の報告(Vandeyar , M.A. et al ., Gene., 65, 129, 1
988 )などがあげられる。Kramerらの方法は gapped du
plex法と呼ばれるもので、M13 ファージのアンバー変異
体 M13tv18、M13tv19 などをベクターとして用いること
ができる。これらのベクターにATIIIをコードする DNA
をクローニングし、この一本鎖 DNAとアンバー変異の入
っていないM13 の二本鎖 DNAの断片(M13mpPを Pvu II
にて切断して得たベクター断片)とを変性後アニーリン
グさせ gapped duplex DNAを得る。次にこの DNAに導入
したい変異を含む合成オリゴヌクレオチドをハイブリダ
イズさせ、DNA ポリメラーゼと DNAリガーゼを作用させ
ることによってギャップを埋めた後、大腸菌の mutS 株
(BMH71-18mutS)にトランスフェクションし、sup 0 の
大腸菌でのみ増殖できるノンアンバーファージを選択す
ることにより目的とする変異が導入されたファージを効
率よく得ることができる。実際の操作には市販のキット
を用いてもよい(TAKARA;Mutan-G )。一方、Vanderya
r らの方法はAT IIIをコードするDNA をクローニングし
たM13 の一本鎖DNA に、導入したい変異を含むオリゴヌ
クレオチドをハイブリダイズさせる。これを鋳型としdA
TP、dGTP、dTTP、および5-methyl-dCTP を基質としてT
7 DNAポリメラーゼを作用させ二本鎖DNA を合成した
後、T4 DNAリガーゼを用いて閉環状の二本鎖DNA とす
る。次にこの二本鎖を制限酵素Msp I とHha I で処理し
たのち、エキソヌクレアーゼIII にて処理することによ
り変異が導入された鎖のみからなる環状一本鎖DNA を得
る。これをメチル化DNA に特異的な制限システムを持た
ない大腸菌(SDM 株)に導入することにより目的とする
クローンを効率よく得る。こちらの方法でも実際の操作
には市販のキットを用いてもよい(United States Bio
chemical Corporation ; T7-GEN In Vitro Mutagenesis
Kit)。AT III C末端へのアミノ酸の導入は例えば付加
するアミノ酸に対応するオリゴヌクレオチドとその相補
鎖を合成して5'端をT4ポリヌクレオチドキナーゼでリ
ン酸化後、アニーリングし、あらかじめ変異を導入して
制限酵素部位を導入しておいたAT III cDNA の3'端に連
結することにより作製する。導入したい変異を含む合成
オリゴヌクレオチドはDNA 合成機(ABI 社 380A )を用
いてフォスフォアミダイト法にて合成することができ
る。
【0009】(3)AT III cDNA 変異導入用鋳型の調製 上記(1)で得たAT III cDNA のコーディング領域の前
後に制限酵素切断部位を導入し変異導入のための鋳型を
調製する。制限酵素としては公知のものから適宜選択す
ればよく、本発明の場合はAT IIIコーディング領域の直
前に Hind III切断部位、直後に Bgl II 切断部位を導
入した。まず、上記(1)で得たAT IIIcDNA を含むプ
ラスミドを EcoR I にて切断しAT III全コーディング領
域を含む1.5Kbの断片を得る。この断片をファージM13tv
18 のRF(Replicative Form、二本鎖DNA )をEcoR Iに
て切断し開環したものに導入する。こうして得られたク
ローンのうちAT IIIのセンス鎖を含む一本鎖DNA を鋳型
として Kramer らの方法に従い、Hind IIIおよび Bgl I
I の酵素切断部位をそれぞれ含む2種の合成オリゴヌク
レオチドをプライマーとして、制限酵素切断部位をAT I
II cDNA のコーディング領域の前後に導入する。次い
で、このようにして得られたクローンからAT III cDNA
配列を含む断片を適切なプラスミドに挿入し、変異導入
のための鋳型を調製する。本発明の場合は、前記クロー
ンを Hind III および EcoR I にて切断して得らの AT
III 全コーディング配列を含む DNA断片を同酵素にて切
断したプラスミドM13mp19 あるいはpUC19 に挿入するこ
とにより、変異導入の鋳型を調製することができる。
【0010】(4)目的とする位置への変異導入 AT III アミノ酸配列において、変換させたい位置のア
ミノ酸を目的とする他のアミノ酸(以下、目的アミノ酸
と称す)に変換させるには、前記の公知の方法に従い目
的アミノ酸をコードするDNA を含む合成オリゴヌクレオ
チドと(3)に記載した適当なプラスミドを鋳型として
用いることにより実施することができる。例えば、AT I
II C末端に目的アミノ酸を付加させる時は、あらかじ
め、表1記載の AT 3-162 合成オリゴヌクレオチドで S
ma I制限酵素部位を導入した後、表1記載の AT 3-170、
AT 3-171、 AT 3-172、 AT 3-173 オリゴヌクレオチドの
5'端をT4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化後、
アニーリングし、あらかじめ変異を導入して制限酵素部
位 Sma Iを導入しておいたAT III cDNA の3'端のSmaI
部位に連結することにより作製する。本発明において使
用したAT III変異導入用合成オリゴヌクレオチドの代表
例を表1に、アミノ酸変換部位と目的アミノ酸を表2に
記載した。目的アミノ酸をコードする塩基コドンは表1
記載のコドンに限定されるものではなく、目的アミノ酸
をコードするコドンであれば、いずれも使用できる。
【表1】
【表2】
【0011】(5)AT III 変異体組換え発現ベクター
とその形質転換体 上記の方法で得られたAT III変異体をコードする DNAは
適切なベクターに組み込み、該ベクターを適切な宿主細
胞に移入することにより形質転換体を得ることができ
る。これを常法により培養し、培養物より AT III 変異
体を大量に生産することができる。さらに、具体的には
ヒト AT III 変異体をコードする DNAを AT III 変異体
の発現に適したベクターのプロモーター下流に制限酵素
と DNAリガーゼを用いる公知の方法により再結合して組
換え発現ベクターを作製することができる。ベクターは
宿主内で複製、増幅可能であれば特に限定されない。プ
ロモーターおよびターミネーターに関しても AT III 変
異体をコードする塩基配列の発現に用いられる宿主に対
応したものであれば特に限定されず、宿主に応じて適切
な組み合わせも可能である。このようにして得られた組
換え発現ベクターはコンピテントセル法(Hanahan,D.,
J. Mol. Biol., 166, 557, 1983)、リン酸カルシウム
法(Wigler, M. etal., Cell, 11, 222, 1977)などに
より宿主に導入し、形質転換体が作製される。宿主とし
ては大腸菌および動物細胞などが用いられ、得られた形
質転換体はその宿主に応じた適切な培地中で培養され
る。培養は通常20℃〜45℃、pH 5〜8 の範囲で行われ
る。培養物からの AT III 変異体の分離、精製法を適宜
組み合わせて実施すればよい。これらの公知の方法とし
ては塩析、溶媒沈殿法、透析、ゲル濾過法、電気泳動
法、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロ
マトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィーなど
が挙げられる。このAT III変異体は経口的、局所的、静
注的、もしくは筋注的皮下注的などにより投与すること
ができるが、局所もしくは静注投与が好ましい。投与量
は 0.1〜100mg/kg、好ましくは 0.5〜20mg/kg であり、
体重に応じて1 〜50ml の生理食塩液に溶解して用い
る。また製剤の形としては、水和剤、水溶剤、錠剤、カ
プセル剤、粉剤、座剤などが使用でき、これら製剤の担
体としては薬学的に許容される賦形剤、崩壊剤、滑沢
剤、分散剤など通常の医薬品に使用されているものが用
いられる。
【0012】
【発明の効果】
(1)AT III変異体の活性化部分トロンボプラスチン時
間(APTT) ヒト健常人(ボランティア)より採血した血液をクエン
酸ナトリウム(最終濃度 0.38%)と混和し、10〜15分の
遠心分離後、血漿を得た。凝固時間は KC10A(エム・シ
ー・メディカル社)装置で各サンプルに関して二重に測
定した。要約すると、血漿 100μl を装置内のキュベッ
トに直接加え、セフォテスト試薬(エーザイ)100 μl
を加えた後、6 分間インキュベートした。インキュベー
ト後 0.02M塩化カルシウム溶液 100μl を加え、凝固時
間を測定した。図1に各変異体のAPTT延長活性を示し
た。本発明のAT III変異体は、AT IIIに比べ20〜100 倍
のAPTT延長活性を有することが明らかになった。
【0013】(2)抗 Xa 活性 テストチームヘパリンキット(第一化学薬品)を利用し
て、本発明の AT III変異体の抗 Xa 活性を測定した。
すなわち、Xaの合成基質(S-2222)を用いて、Xaに対す
る阻害活性をヘパリンの非存在下において測定した。対
照としては ATIII ( アンスロビンP;ヘキストジャパ
ン社)を用いた。本測定において、緩衝液として 0.1%
ウシ血清アルブミンおよび 0.15M 塩化ナトリウム含有
50mM トリス塩酸緩衝液(pH 7.5)を用い、種々の濃度
に調製した検体と一定量のXa(ウシ由来)を 37 ℃で5
分間反応させた。反応後、合成基質 S-2222 を添加し2
分間に遊離してくる p- ニトロアニリン量を波長 405nm
の吸光度変化で測定することにより、残存する Xa 活性
を求めた。この条件下、Xaの活性を50% 阻害する AT II
I 変異体の濃度(以下 IC50 )を算出した。表3に各変
異体の IC50 値を示した。活性測定に用いた検体はモノ
クロ−ナル抗体カラムで精製したものを用いた。また*
印で示した検体はゲル濾過によりさらに純度を高めた検
体である。ヘパリン非存在下におけるヒトAT IIIの IC5
0 値は94.8nMであった。これに対し、本発明の AT III
変異体の IC50 値は2.4nM から38.8nMであり明らかに低
い値を示し、ヘパリン非存在下の抗 Xa 活性の上昇が認
められた。
【表3】
【0014】(3)AT III 変異体の抗血栓作用 血漿由来AT III濃縮製剤(アンスロビンP、ヘキストジ
ャパン社)を対照として、本発明の AT III 変異体の抗
血栓作用を以下のように測定した。方法は Peters ら
(Peters, R. F. et al., Thromb. Hemostas., 65, 26
8, 1991 )の報告に改良を加えて行った。すなわち、麻
酔したSprague-Dawley系雄ラット(200 〜300g)の頚動
静脈に生理食塩液を満たしたアトム静脈カテーテル(4F
r, 3.5cm、アトム社)をカニュレーションし、shunt を
作製した。血液を遮断した状態で shuntの動脈側に脈波
ピックアップ(MPP-3 、日本電気)を装着し、血流の変
化をポリグラフ記録計で実験中モニターした。計算量の
検体材料を 1mlになるように生理食塩液で希釈して同ラ
ットの大腿静脈より単回急速投与した後、shunt を開い
て血流を開通させた。shunt を開いてから、shunt 内に
血栓が形成されて閉塞するまでの時間を測定し閉塞時間
とした。結果は表4に示す如く、本発明のAT III 変異
体はAT III に比較して強い抗血栓活性を有することが
判明した。以上の結果から、本発明の AT III 変異体は
血液凝固阻止剤として血栓形成を抑制し、血栓性疾患の
予防治療薬として期待される。
【表4】
【実施例】以下の実施例により本発明を詳細且つ具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるも
のではない。
【0015】実施例1 AT III cDNA 含有プラスミド
の作製 プラスミドpSV2-5H3B ( 特開平5- 339292)を H
ind III および Sac Iにて切断して得た AT III の N
端側をコードする約 730 bp の DNA 断片をやはり Hin
d III および Sac Iにて切断し開環した M13mp19に導入
して mp19-ATNとした。次に pSV2-5H3B を EcoR I お
よび Sac I にて切断して得た AT IIIのC端側をコー
ドする約 770 bp の DNA 断片をやはりEcoR Iおよび S
ac Iにて切断し開環した M13mp19に導入して mp19-ATC
とした。さらに pSV2-5H3BをHindIII 、Eco RIで切断
して得た AT III の全長をコードする約1.5kbpの断片
を、Hind III、Eco RIで切断して開環したM13mp19 およ
び pUC19に導入し、それぞれmp19-5H3B 、pUC19-5H3Bと
した。
【0016】実施例2 AT III変異体 DNAの作製 a)AT 3-173、173/5R変異体 DNAの作製 AT IIIの 391番目の Alaを Phe、392 番目の Glyを Pro
で置換した AT III 変異体 AT3-5R をコードする配列を
部位特異的変異導入法によって得た。すなわち、実施例
1で得られたmp19-ATCの一本鎖 DNAを Vandeyar らの方
法に従って、合成オリゴヌクレオチド AT 5R(表1)を
作用させることによって目的とするクローン 5R を得
た。操作は市販のキット(T7-GEN In Vitro Mutagenesi
s Kit : USB 社)添付のマニュアルに従った。初めに 1
μg のmp19-ATC一本鎖 DNAとT4ポリヌクレオチドキナー
ゼにて 5' 端をリン酸化した合成オリゴヌクレオチド A
T 5R2pmolを 40mM Tris-HCl(pH7.5)-20mM MgCl2-50mM N
aCl中65℃5 分間加熱後、室温となるまで徐冷した。次
にこの反応液(10μl)に 10 x Synthesis mix ( 100mM
Tris-HCl(pH7.5)-20mM DTT-5mM dATP-5mM dGTP-5mM dTT
P-5mM 5-Metyl-dCTP-10mM ATP )を2 μl 、2.5UのT7DN
A ポリメラーゼ、5UのT4リガーゼを加え最終液量 20 μ
l として 37 ℃1時間反応させた。反応液を70℃15分間
加熱して酵素を失活させた後制限酵素 Msp IおよびHha
I を各5U加え37℃45分間反応させた。この操作で Msp I
により二本鎖 DNAのうち鋳型としてメチル化されていな
いDNA 鎖にのみニックが入るとともに二本鎖DNA に変換
されなかった一本鎖DNA が Hha Iにより切断される。次
にこの反応液に50U のエキソヌクレアーゼIII を加え37
℃45分間反応させることによってニックの入った鋳型鎖
のみが分解され、結果として変異が導入されたDNA 鎖の
みが濃縮される。70℃10分間加熱し反応を止めた後、メ
チル化されたDNA に特異的な制限システムを持たない
(mcrAB )大腸菌SDM株に常法でトランスフェクション
した。得られたプラークを数個拾いDNA を得て塩基配列
を決定することによって、目的とする変異の導入された
クローンmp19-5R を選択した。さらに、AT IIIのC 端に
Sma I部位を導入するため、上記のmp19-5R 一本鎖 DNA
を鋳型として、上記と同様の方法で行った。用いた合成
オリゴヌクレオチド AT 162 は表1に示す。目的とする
変異の導入されたクローンをmp19-162/5R とした。ま
た、1Gの変異の導入は実施例2で得られた tv-5H3Bを鋳
型として Kramer らの方法に従って行った。用いた合成
オリゴヌクレオチド AT 1Gの配列は表1に示す。このク
ローンより制限酵素 Hind III 、Bgl IIを用いて約1.4k
bpのDNA 断片を切り出し、プラスミドpSV2-dhfr 中のマ
ウスDHFR遺伝子と入れ換えプラスミドpSV2-1Gを得た。
次に、得られた mp19-162/5Rを制限酵素 Sac I、EcoR I
で切断し反応部位近傍およびC端に変異を持つ約730bp
のDNA 断片を調製した。また、pSV2-1G を制限酵素 Hin
d III 、Sac I で切断しヘパリン結合部位に変異を持
つ、約670bp の断片を調製した。これらDNA 断片を組み
合わせて、Hind III、EcoR Iで切断して開環してある p
UC19に導入し、pUC19-162/1G5Rを得た。AT III C末端へ
の 173変異の導入は、4種類の合成オリゴヌクレオチド
AT 170, 171, 172, 173(配列は表1に示す)をそれぞ
れ約1 μg 加え、さらに500mMTris-HCl(pH8.0)-100mM M
gCl2-100mM 2-mercaptoethanol 5μl 、10mM ATP 5μl
、T4 ポリヌクレオチドキナーゼ2.5 μl を加え最終
液量50μl として、37℃1時間反応させた。反応液を70
℃15分間加熱することにより、反応を止めると同時にア
ニーリングを行った。この断片を制限酵素 Sma I、Bgl
IIで切断した pUC19-162/1G5R に導入し、 pUC19-173/1
G5R を得た。pUC19-173/1G5RをHind III、Bgl IIで切断
し、Hind III、Bam HIで切断し開環した哺乳動物の発現
ベクターpK4K(特開平5−339292)に導入し pK4
K-173/1G5R を得た。173 変異体の作製は、実施例2で
得たpSV2-5H3B を Hind III 、Aat I で切断しDNA 断片
を調製した。またpK4K-173/1G5R を Aat I、Bst YIで切
断しDNA 断片を得た。これらの断片を組み合わせ、Hind
III 、Bam HIで開環したpK4K、あるいはHind III、Bg
l IIで開環したpUC19-5H3Bに導入し、pK4K-173、pUC19-
173 を得た。173/5R変異体の作製は、実施例2で得たpS
V2-5H3B を Hind III 、Eco T22Iで切断しDNA 断片を調
製した。またpK4K-173/1G5R を Eco T22I 、Bst YIで切
断しDNA 断片を得た。これらの断片を組み合わせ、Hind
III、Bam HIで開環したpK4Kに導入し、pK4K-173/5R を
得た。
【0017】b)AT 3-206、207 変異体DNA の作製 AT III C末端に変異を導入するための鋳型として、AT I
II C末端近傍に制限酵素 Hpa I切断部位を導入したAT3-
203 変異体を作製した。すなわち、mp19-5H3B一本鎖DNA
を鋳型として、合成オリゴヌクレオチド AT 203 (表
1に示す)を用いて、実施例2a)の方法で行った。得
られたクローン mp19-203 を Hind III、Bgl IIで切断
し、Hind III、Bgl IIで開環した pUC19-5H3B に導入
し、pUC19-203 を得た。206 、207 変異の導入は実施例
2a)に示したように、合成オリゴヌクレオチド AT 20
6A、206BあるいはAT 207A 、207Bを 5' リン酸化後アニ
ーリングし、それぞれをHpa I 、Bgl IIで開環したpUC1
9-203 に導入し、pUC19-206 および pUC19-207を得た。
これらを実施例2a)で示した方法により pK4K に導入
しpK4K-206、pK4K-207を得た。
【0018】c)AT 3-195、196、 197、198、 173Y、 173
DY変異体 DNAの作製 AT 3-195、196、 197、198、 173Y、 173DY変異体 DNAは実
施例2a)で得られたmp19-173/1G5R を鋳型として合成
オリゴヌクレオチド AT 195、 196、197、 198、173Y、17
3DY (表1に示す)を用いて Vandeyar らの方法で作製
し、実施例2a)に示したpUC19-173 および pK4K-173
の作製法と同じ方法により作製した。
【0019】d)AT 3-173E、 173D、 173LT変異体 DNAの
作製 173 の変異に反応部位の変化を組み合わせた。173E、17
3D、173LT の作製は mp19-173 を鋳型として、実施例2
a)で示した Vandeyar らの方法で作製し、それぞれ m
p19-173E、173D、173LT とした。これらの RF DNA を得
て Hind III 、Bgl II で切断し、DNA 断片を得て、Hi
nd III、Bam H I で切断して開環した pK4K に導入し
て、pK4K-173E、 pK4K-173D、pK4K-173LTを得た。
【0020】実施例3 AT III 変異体の BHK 細胞に
よる発現 BHK 細胞(tk-ts13 株、Waechter, D. E. and Baserga,
R., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 79,1106, 1982)を
3x105 cells/5ml/25cm2 培養フラスコに植え込み、翌
日、実施例2で得られた173 変異体の遺伝子を導入した
プラスミド pK4K-173 3μg を CellPhect(Pharmacia
社)を使ったリン酸カルシウム法でトランスフェクショ
ンした。培地はダルベッコ変法イーグル培地に牛胎児血
清を 5%になるように加えて用いた。3 日後、細胞をト
リプシン処理し、250nM MTX を含む培地で 75cm2フラス
コに継代した。2-3 日毎に培養液を交換し、コンフルエ
ントになった時点で 175cm2 フラスコに継代し、再びコ
ンフルエントになった時点で凍結保存して、173 変異体
発現細胞を得た。実施例2に示したその他の変異体に関
しても同様にして変異体発現細胞を得た。
【0021】実施例4 変異体発現細胞の培養および変
異体の精製 実施例3で得られた AT III 変異体発現細胞をローラー
ボトル(1750cm2 )にて培養した。培地として 5% 牛胎
児血清を加えたダルベッコ変法イーグル培地に250nM MT
X (終濃度)を加えたものを用いた。300ml の培地に細
胞を接種し、37℃で培養し、培養開始より3 〜4 日後よ
り毎日同量の培地で培地交換し培養上清を集めた。AT I
II変異体の精製は、抗ヒトAT IIIモノクローナル抗体を
担体に結合した抗体カラムによるアフィニティクロマト
グラフィーにて行った。すなわち、あらかじめ50mM Tri
s-HCl (pH7.5)-0.5M NaCl にて平衡化した抗体カラムに
上記培養上清をチャージし、同上バッファーにて洗浄
後、0.2M Glycine-HCl (pH2.5) にて溶出した。溶出画
分は直ちに1/2 用量の1 M Tris-HCl (pH8.0)にて中和し
た。得られた画分をダルベッコ PBS (-)に対して透析
後、限外濃縮してその後の実験に供した。一部の変異体
については、抗体カラムの溶出画分を限外濃縮後、セフ
ァクリルS-200 にチャージし、ダルベッコ PBS (-)にて
ゲルろ過した。得られた活性画分を濃縮後その後の実験
に供した。なお、培養、精製過程でのAT III変異体の定
量は抗AT III抗体を用いた EIA法にて行った。
【0022】実施例5 AT 3 - 173 変異体のチロシン
硫酸化の確認 AT 3 -173 変異体のチロシン残基に硫酸基が付加するか
否かを実施例3で得た、173 変異体発現細胞を用いて確
認した。チロシン硫酸化の確認方法は Andrewらの方法
(Andrew, J.D. et al., Method in enzymology, 185,
577, 1990 )で行った。すなわち、173 変異体発現細胞
および天然型AT III(5H3B)発現細胞をそれぞれ1x105
cells/wellになるよう24ウエルプレートに植え込む。培
地はダルベッコ変法イーグル培地に牛胎児血清を5%に
なるように加えて用いた。24時間後、培地を除去し、2m
l の硫酸イオンを除去したダルベッコ変法イーグル培地
(sulfate-free DMEM )で細胞を洗浄し、0.5ml のsulf
ate-free DMEM を加え、さらに3.7MBq/ml となるように
35S]硫酸塩(アマシャム社)を加えて24時間培養し
た。培養上清を集め公知の方法(Andrew J. D. et al.,
Method in enzymology, 185, 577, 1990 )にて免疫沈
降し、SDS-ポリアクリルアミド電気泳動にて解析した。
硫酸化のパターンを図2に示した。天然型AT IIIでは硫
酸化は起きていないが、AT 3 - 173では硫酸化が起きて
いることが明らかになった。また、チロシン硫酸化の特
異的阻害剤である NaClO3 を加えた実験により、AT 3-1
73の硫酸化が阻害されたことから、チロシン残基が硫酸
化されていることが証明できた。
【0023】実施例6 AT 3-173変異体の硫酸基の抗凝
固活性におよぼす影響 AT 3-173変異体の441、 443、444 位のチロシン残基をフ
ェニルアラニンに変換した、AT 3-173YFを作製し、抗Xa
活性を測定した(表3)。すなわち、mp19-173を鋳型と
して合成オリゴヌクレオチドAT-173YFを用いて実施例2
(a)に示す方法にて変異体DNA を作製し、実施例3お
よび実施例4に示す方法でAT3-173 変異蛋白質を得て、
発明の効果(1)で示した方法により、抗Xa活性を測定
した。硫酸基の付加部位であるチロシン残基をフェニル
アラニンに変換したAT 3-173の変異体はその抗Xa 活性
が約1/6 になった。AT 3-173における硫酸基は強い抗凝
固活性を示す上で大変重要であることが明らかになっ
た。
【表5】
【0024】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:21 配列の型:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列 Gly Asp Glu Gly Asp Thr Asp Leu Tyr Asp Tyr Tyr Pro Glu Glu Asp 1 5 10 15 Thr Glu Gly Asp Lys 20 配列番号:2 配列の長さ:11 配列の型:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列番号:3 配列の長さ:12 配列の型:直鎖状 配列の種類:ペプチド
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)モノクロ−ナル抗体で精製した検体のAP
TTの測定 (B)モノクロ−ナル抗体で精製した検体を更に、ゲル
濾過し純度を高めた検体のAPTTの測定
【図2】AT III変異体硫酸化の確認、SDS-PAGE泳動図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12N 15/09 ZNA C12N 5/00 B C12P 21/02 9162−4B 15/00 ZNAA //(C12N 1/21 C12R 1:19) (C12N 5/10 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ヒトアンチトロンビン III(AT III)の
    C末端に硫酸化修飾を受けるチロシンを含むペプチドを
    付加したAT III変異体。
  2. 【請求項2】AT IIIのC末端に配列番号1、2または
    3に記載のペプチドを付加した蛋白質の全部または一部
    を含むものからなる請求項1記載のAT III変異体。
  3. 【請求項3】AT IIIのアミノ酸配列の1もしくは複数
    のアミノ酸が、付加、欠失もしくは置換されたアミノ酸
    配列の全部または一部を含むものからなる、請求項1に
    記載のAT III変異体。
  4. 【請求項4】AT IIIアミノ酸配列の 391位アラニンを
    グルタミン酸またはアスパラギン酸に置換させた、請求
    項3に記載のAT III変異体。
  5. 【請求項5】AT IIIアミノ酸配列の 391位アラニンを
    ロイシンに、 392位グリシンをスレオニンに置換させ
    た、請求項3に記載のAT III変異体。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5に記載のAT III変異体
    をコ−ドするDNA。
  7. 【請求項7】請求項6に記載のDNAを含有するベクタ
    −。
  8. 【請求項8】請求項7に記載のベクタ−を保持する形質
    転換体。
  9. 【請求項9】形質転換体が大腸菌または動物細胞であ
    る、請求項8に記載の形質転換体。
  10. 【請求項10】請求項8に記載の形質転換体を培養し、
    発現産物を回収することを含む、請求項1ないし5に記
    載のAT III変異体の製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1ないし5に記載のAT III変異
    体を有効成分とする医薬組成物。
  12. 【請求項12】請求項1ないし5に記載のAT III変異
    体を有効成分とする血栓性疾病用医薬組成物。
JP7228694A 1995-09-06 1995-09-06 ヒトアンチトロンビンiii 変異体 Pending JPH0971600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7228694A JPH0971600A (ja) 1995-09-06 1995-09-06 ヒトアンチトロンビンiii 変異体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7228694A JPH0971600A (ja) 1995-09-06 1995-09-06 ヒトアンチトロンビンiii 変異体

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0971600A true JPH0971600A (ja) 1997-03-18

Family

ID=16880344

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP7228694A Pending JPH0971600A (ja) 1995-09-06 1995-09-06 ヒトアンチトロンビンiii 変異体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0971600A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000078811A1 (fr) * 1999-06-23 2000-12-28 Aventis Pharma Ltd. Variants d'antithrombine humaine
JP2010533684A (ja) * 2007-07-20 2010-10-28 ユニベルシテ パリ サッド 11 血液凝固異常の治療又は予防のための変異アンチトロンビンの使用
JP2012515189A (ja) * 2009-01-16 2012-07-05 ユニベルシテ パリ サッド 11 変異アンチトロンビン、その製造方法及び薬剤としての使用

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000078811A1 (fr) * 1999-06-23 2000-12-28 Aventis Pharma Ltd. Variants d'antithrombine humaine
US7001993B1 (en) 1999-06-23 2006-02-21 Aventis Pharma Ltd. Human antithrombin variants
JP2010533684A (ja) * 2007-07-20 2010-10-28 ユニベルシテ パリ サッド 11 血液凝固異常の治療又は予防のための変異アンチトロンビンの使用
JP2012515189A (ja) * 2009-01-16 2012-07-05 ユニベルシテ パリ サッド 11 変異アンチトロンビン、その製造方法及び薬剤としての使用

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0487591B1 (en) Anticoagulant protein
JP3051995B2 (ja) 酸化抵抗性トロンボモジュリン類縁体
JP3811186B2 (ja) 線虫から抽出されるセリンプロテアーゼ阻害剤および抗凝固性タンパク質
JP3350549B2 (ja) ヒトKunitz型プロテアーゼ阻害剤変異体
US5792629A (en) Isolated DNA encoding novel protease inhibitory polypeptide
EP0312598A1 (en) Peptide functioning to accelerate activation of protein c with thrombin
JP3345420B2 (ja) 新規のヒトクニツ型プロテアーゼインヒビター及びその変異体
AU643306B2 (en) Anticoagulant polypeptides
US5747449A (en) Bovine pancreatic trypsin inhibitor derived inhibitors of factor XA
Girard et al. Identification of the 1.4 kb and 4.0 kb messages for the lipoprotein associated coagulation inhibitor and expression of the encoded protein
WO1994001461A9 (en) BOVINE PANCREATIC TRYPSIN INHIBITOR DERIVED INHIBITORS OF FACTOR Xa
EP0568833B1 (en) Human antithrombin III mutants
CS276245B6 (en) Process for preparing modification of one of hv1, hv2, hv3 hirudin forms
JPH0971600A (ja) ヒトアンチトロンビンiii 変異体
US6245741B1 (en) Protein Z-dependent protease inhibitor
JPH04210700A (ja) 組換ヒトトロンボモジュリン誘導体
WO2005034844A2 (en) Exosite-directed thrombin inhibitors
KR20020010189A (ko) 뱀의 독소로부터 유래된 피브리노겐 응고억제 단백질 및그의 제조방법
HUT52559A (en) Process for production of proteins with trombolitic effect
WO1994020537A1 (en) Non-glycosylated tfpi analogues

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081206

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081206

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 7

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101206

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111206

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111206

Year of fee payment: 9

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111206

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees