JPH0971553A - ナフタレンジカルボン酸の精製方法 - Google Patents

ナフタレンジカルボン酸の精製方法

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JPH0971553A
JPH0971553A JP7230148A JP23014895A JPH0971553A JP H0971553 A JPH0971553 A JP H0971553A JP 7230148 A JP7230148 A JP 7230148A JP 23014895 A JP23014895 A JP 23014895A JP H0971553 A JPH0971553 A JP H0971553A
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JP
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naphthalenedicarboxylic acid
acid
pyridine
crude
water
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JP7230148A
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English (en)
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Takasuke Shigematsu
隆助 重松
Kenichi Nakamura
健一 中村
Minoru Takagawa
實 高川
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】粗ナフタレンジカルボン酸から高純度なナフタ
レンジカルボン酸を、高い回収率で且つ工業的にも容易
に製造できる方法を提供する。 【解決手段】ナフタレンジカルボン酸をピリジン類また
はピリジン類の水溶液に溶解し水素化処理した後、水の
存在下においてピリジン類を留去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はジアルキルナフタレ
ンを酸化して得られる粗ナフタレンジカルボン酸の精製
方法に関する。ナフタレンジカルボン酸は優れた性能を
有するポリエチレンナフタレート(PEN) 樹脂の原料とし
て有用である。
【0002】
【従来の技術】ナフタレンジカルボン酸とエチレングリ
コール等のジオール類とを重合することにより得られる
ポリエステルは、優れた引っ張り強度と耐熱性を有し、
フィルムやポリエステル繊維、プラスチックボトル等の
素材として、工業的に重要な用途をもっている。特に2,
6-ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールを重合
させてできるポリエチレンナフタレート(PEN) は、ポリ
エチレンテレフタレートに代わる優れた工業用樹脂とし
て近い将来の需要拡大が見込まれている。
【0003】ナフタレンジカルボン酸は、ジアルキルナ
フタレンを酢酸溶媒中でCoやMn等の重金属と臭素化合物
の存在下に、分子状酸素を高温、高圧で作用させること
により得られる。しかしながらこうして得られるナフタ
レンジカルボン酸には、触媒金属であるCoやMnの他に、
酸化反応の中間生成物であるホルミルナフトエ酸やメチ
ルナフトエ酸、分解で生じるトリメリット酸、臭素が付
加したナフタレンジカルボン酸ブロマイド、原料ジアル
キルナフタレンの不純物に由来するナフトエ酸やナフタ
レントリカルボン酸等が不純物として含まれる。これら
の不純物の含まれるナフタレンジカルボン酸をジオール
類との重合の原料に用いた場合、得られるポリエステル
には耐熱性及び軟化点の低下や着色する等の品質の劣化
がみられる。特にホルミルナフトエ酸がある程度以上含
まれている場合には、重合度が上がらない他、ゲル化や
着色を生じるためその量の抑制が重要となる。従って高
品質のポリエステルを得るためには、純度 99%以上の高
純度のナフタレンジカルボン酸が必要とされる。
【0004】一般に有機物の精製には、蒸留、再結晶、
昇華等の方法が工業的に用いられるが、ナフタレンジカ
ルボン酸は高温での加熱で分解するため蒸留が不可能で
あり、また一般の溶媒に難溶性であるため通常の簡便な
再結晶による精製法の適用が困難である。このため高純
度のナフタレンジカルボン酸を得る工業的方法は未だ確
立しておらず、現在は粗ナフタレンジカルボン酸とメタ
ノール等のアルコール類を反応させてナフタレンジカル
ボン酸エステルとし、蒸留、再結晶等の操作で精製され
ている。しかしながらジメチルテレフタレートから、高
純度テレフタル酸に代替され、経済的に有利な直接重合
法によるポリエチレンテレフタレートの製造が可能にな
ったように、ポリエチレンナフタレートの原料としては
ナフタレンジカルボン酸エステルではなく、高純度ナフ
タレンジカルボン酸が望ましく、その精製法の確立が急
がれている。
【0005】ナフタレンジカルボン酸を溶媒に溶解し精
製する方法として次のような方法が提案されている。米
国特許 5,256,817号では、水または酢酸水溶液を溶媒と
して、 300℃以上の高温下で溶解し、水添、晶析を行う
ことにより精製を行っている。この方法では、高い溶解
度を得るには高温を必要とするため副反応を生じやす
く、例えば脱炭酸反応によりナフトエ酸、核水添反応に
よりテトラリンジカルボン酸が生成し、なお且つホルミ
ルナフトエ酸の水添が不十分であり、晶析後の結晶に残
存してしまうという問題がある。
【0006】また特開昭62-230747 号では粗2,6-ナフタ
レンジカルボン酸をジメチルスルホキシド、ジメチルア
セトアミド、ジメチルホルムアミド等の溶媒に溶解、晶
析による精製方法が示されている。しかし2,6-ナフタレ
ンジカルボン酸のこれらの溶媒への溶解度は低く、且つ
該溶液を水素化した場合、溶媒も水素化されるために水
素化処理を行う事ができず、重合の際に特に問題とされ
るホルミルナフトエ酸の完全な除去が難しいという欠点
がある。
【0007】そこでナフタレンジカルボン酸をアルカリ
塩として溶解度を向上させ、精製する方法が提案されて
いる。例えば特公昭52-20993号や特公昭48-68554号で
は、粗ナフタレンジカルボン酸を KOHやNaOH等のアルカ
リ水溶液に溶解し、炭酸ガスや亜硫酸ガスによる酸析に
よりモノアルカリ塩として析出させ、当該モノアルカリ
塩と水とを接触させて不均化することにより2,6-ナフタ
レンジカルボン酸を遊離させている。しかしこれらの方
法では、モノアルカリ塩を析出する際に、2,6-ホルミル
ナフトエ酸等他の不純物の塩も同時に析出してしまうほ
か、大量のアルカリや酸の処理及び回収が必要となると
いう欠点がある。
【0008】また特公昭52-20994号や特開昭48-68555号
では、粗2,6-ナフタレンジカルボン酸を KOHやNaOH等の
アルカリ水溶液に溶解し、冷却または濃縮によりジアル
カリ塩での晶析を行い、更に不均化することにより、精
製された2,6-ナフタレンジカルボン酸を得る方法が提案
されている。しかしこの方法では、アルカリ塩の溶解度
の温度依存性が低く、また低温においてもジアルカリ塩
の水に対する溶解度が非常に高いため回収率が低く、更
に結晶中の微量のアルカリの除去が困難という問題があ
る。
【0009】特開昭50-135062 号では粗2,6-ナフタレン
ジカルボン酸を炭素数 6以下の脂肪族アミン水溶液に溶
解し、冷却または濃縮によりジアミン塩として晶析し、
加熱分解により精製された2,6-ナフタレンジカルボン酸
を得る方法が示されている。しかしこの方法では、低温
においてもアミン塩の水に対する溶解度が非常に高いた
め回収率が低く、工業的には問題がある。特開平5-2948
92号ではナフタレンジカルボン酸をアミン類とアルコー
ル類との混合溶媒に溶解後に晶析し、析出するナフタレ
ンジカルボン酸アミン塩をそのアミンの沸点以上の温度
で加熱分解し、精製されたナフタレンジカルボン酸を得
る方法が示されている。この方法でもナフタレンジカル
ボン酸アミン塩の低級アルコールに対する溶解度が非常
に高いため、回収率が低いという欠点がある。
【0010】特開平5-32586 号ではピリジン類を溶媒と
したナフタレンジカルボン酸の精製法が提出されてい
る。これはピリジン類のみを溶媒として用い、冷却また
は濃縮により晶析を行うことによるナフタレンジカルボ
ン酸の精製方法である。この方法では、ナフタレンジカ
ルボン酸のピリジン類への溶解度の温度依存性は低いた
め回収率が低いという欠点と、トリメリット酸等の不純
物のピリジン類に対する溶解度が低いため得られるナフ
タレンジカルボン酸の純度が低いという欠点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
の如き従来技術での問題点を改善し、粗ナフタレンジカ
ルボン酸から、高純度なナフタレンジカルボン酸を、高
い回収率で且つ工業的にも容易に製造できる方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、粗ナフタ
レンジカルボン酸を精製する方法について鋭意研究を重
ねた結果、ナフタレンジカルボン酸をピリジン類または
ピリジン類の水溶液に溶解し、水素化処理することによ
りホルミルナフトエ酸やナフタレンジカルボン酸ブロマ
イドの量を低減し、更に水の存在下においてピリジン類
を留去することにより、ナフタレンジカルボン酸が析出
し、粗ナフタレンジカルボン酸から高純度のナフタレン
ジカルボン酸が容易に高収率で得られることを見出し、
本発明に到達した。
【0013】即ち本発明は、ジアルキルナフタレンの酸
化反応により得られた粗ナフタレンジカルボン酸をピリ
ジン類またはピリジン類の水溶液に溶解し、水の存在下
においてピリジン類を留去することにより、ナフタレン
ジカルボン酸を析出させることを特徴とするナフタレン
ジカルボン酸の精製方法、および粗ナフタレンジカルボ
ン酸をピリジン類またはピリジン類の水溶液に溶解後、
Pt, Pd, Rh, Ru, Ni, Coから選ばれる1種以上の金属を
含む触媒の存在下で 250℃以下の温度で水素化処理した
のちピリジン類を留去する上記のナフタレンジカルボン
酸の精製方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明において原料として使用さ
れる粗ナフタレンジカルボン酸はジアルキルナフタレン
の酸化反応により得られたものであればよく、酸化反応
に用いられるジアルキルナフタレンの種類や該酸化条件
については特に制限はない。ジアルキルナフタレンとし
ては、ジメチルナフタレン、ジエチルナフタレン、ジプ
ロピルナフタレン、ジイソプロピルナフタレン等があ
り、アルキル基の位置によりそれぞれ10種の異性体があ
る。それらのうちポリエステルの原料としては2,6-置換
体と2,7-置換体が有用である。これらのジアルキルナフ
タレンは、重金属及び臭素を主とする酸化触媒存在下、
分子状酸素により酸化することによりナフタレンジカル
ボン酸となる。
【0015】本発明で使用されるピリジン類は、例えば
ピリジン、メチルピリジン、ジメチルピリジン、エチル
ピリジン、ジエチルピリジン、エチルメチルピリジン、
プロピルピリジン、イソプロピルピリジン、N-メチルピ
リジン、N-エチルピリジン、N-プロピルピリジン、N-イ
ソプロピルピリジン、コリジン等である。これらの中で
は入手し易さと留出による回収の容易さから、ピリジン
及びメチルピリジンが好適に用いられる。
【0016】本発明ではこれらのピリジン類単独か 2種
以上、あるいはピリジン類水溶液を溶媒として用いる。
溶媒は水素化処理の反応温度において粗ナフタレンジカ
ルボン酸を溶解させるだけの量が最低限必要となる。ピ
リジン類の水溶液を溶媒として用いる場合は、水の混合
比が大きくなるほどナフタレンジカルボン酸の溶解度は
低下するため、なるべく水の混合比は小さくする方が工
業的には好ましい。またピリジン類は水との共沸を生じ
る場合が多く、この場合に循環使用する溶媒はピリジン
類と水との共沸組成により決められることになる。粗ナ
フタレンジカルボン酸を溶解する際の温度は80〜300 ℃
であり、好ましくは 100〜250 ℃の範囲である。系内の
圧力は使用する溶媒種と温度に依存し、特に制限はな
い。使用する溶媒量は溶媒の種類と組成、溶解温度によ
り適宜決められ、一般的には粗ナフタレンジカルボン酸
に対して重量比で 1〜50倍であり、好ましくは 5〜30倍
の範囲である。ナフタレンジカルボン酸を溶解後、その
溶液は必要に応じて活性炭等による脱色処理や、不溶物
がある場合は濾過により除去した後、次の示す処理を行
う。
【0017】粗ナフタレンジカルボン酸を上記の溶媒に
溶解した後、粗ナフタレンジカルボン酸に含まれるホル
ミルナフトエ酸やナフタレンジカルボン酸ブロマイドを
に除去するために、通常、水素化処理が行われる。水素
化処理には、触媒として活性炭やシリカ、アルミナ等の
表面積の大きな担体上に、Pt, Pd, Rh, Ru, Ni, Coのう
ち一種以上の金属を分散させたものを用いる。特にPdま
たはPtを活性炭上に分散させた触媒が好適である。これ
らの触媒の存在下、粗ナフタレンジカルボン酸を前記溶
媒に溶解させた溶液を水素化処理する。反応方式は回分
方式でも、連続流通式でも良いが、工業的には連続流通
式が好ましい。その際の反応条件は、使用する触媒種や
触媒量、滞留時間により異なるが、反応温度は通常 100
〜250 ℃で、粗ナフタレンジカルボン酸を溶媒に溶解す
る温度と同じとすることが望ましい。また反応系に作用
させる水素の量は、水素化処理を行う原料中の不純物の
量により異なり、適宜決められる。
【0018】この水素化処理により、重合の際に特に問
題になるホルミルナフトエ酸の水素化とナフタレンジカ
ルボン酸ブロマイドの水素化分解を行うことができる。
但し水素化反応が過度に進行した場合、副反応としてナ
フタレン環の核水素化反応によりテトラリンジカルボン
酸や、ナフタレンジカルボン酸の脱炭酸反応によりナフ
トエ酸が生じる場合がある。これらの副生物はナフタレ
ンジカルボン酸の回収率を低下させるだけでなく、次の
留出やリンスにおいて除去が困難となるため、精製ナフ
タレンジカルボン酸中に残存することとなり好ましくな
い。また反応温度が 250℃以上の高温になると、ナフタ
レンジカルボン酸の着色が起こり好ましくない。しかし
ながら上記の溶媒でナフタレンジカルボン酸を溶解する
場合には、比較的低温での溶解が可能であり、反応条件
を適切に制御することにより、これらの副反応を抑制し
た上で目的の反応を高選択的に行うことができる。
【0019】本発明方法では、水の存在下でピリジン類
を留去し、ナフタレンジカルボン酸を析出させることに
より、精製されたナフタレンジカルボン酸を得ることが
できる。その際のナフタレンジカルボン酸に対する水の
量は、1〜20倍、好ましくは5〜10倍量である。水の存
在下でピリジン類を留去することにより、ピリジン類の
みを溶媒とする晶析精製法に比べ、高いナフタレンジカ
ルボン酸の回収率が得られるようになり、またピリジン
溶媒のみでは除去が困難であったトリメリット酸のよう
な水溶性不純物の除去が可能となる。ピリジン類を留去
する際の温度は、使用されるピリジン類の沸点以上で、
水と共沸する場合は共沸温度以上で行い、一般に50〜30
0 ℃の範囲、好ましくは 100〜250 ℃の範囲である。こ
の際ピリジン類の留出に伴い適当量の水を補給すること
もできる。留去されたピリジンは、新たに供給される粗
ナフタレンジカルボン酸を溶解する際の溶媒として容易
に循環使用することができる。このように溶媒の循環使
用が容易なことも、本発明方法が有利である点の一つで
ある。
【0020】ピリジン類の留去後、濾過や遠心分離によ
る固液分離操作によりナフタレンジカルボン酸の結晶を
分離する。濾過の際、スラリー中の結晶に対する液の重
量比は 1〜100 倍であり、好ましくは 3〜10倍である。
濾過温度は50〜250 ℃であり、好ましくは 100〜200 ℃
である。濾過の際の液の重量比が小さく温度が低い場合
には得られるナフタレンジカルボン酸の回収率は上がる
が精製度が低くなる。逆に液の重量比が大きく温度が高
い場合には、精製度は上がるが回収率が低くなる。従っ
て濾過する際の結晶に対する液の重量比と温度は、精製
ナフタレンジカルボン酸の純度と経済性とを勘案して決
められる。また濾過後に得られるナフタレンジカルボン
酸は、平均50μm 以上の比較的粗大な結晶となる。濾過
により得られる結晶は、水や酢酸などのナフタレンジカ
ルボン酸に対しあまり溶解度を持たない溶媒でリンスす
る。この際結晶に付着しているピリジン類も除去され
る。母液および洗浄液は、そのまま原料として循環使用
しても良く、必要があれば不純物を抜き出した後に再使
用する。
【0021】
【実施例】以下に実施例および比較例により本発明の方
法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。実施例および比較例におい
て、原料および精製ナフタレンジカルボン酸の結晶の純
度および性状は、有機物はメチルエステル化後にガスク
ロマトグラフィーで、無機物は誘導結合プラズマ発光分
析法、残留窒素は微量全窒素分析法、粒度分布はレーザ
ー回折式粒度分布測定法で分析した。
【0022】なお各表中に記した略号は次の通りであ
る。 2,6-NDCA 2,6-ナフタレンジカルボン酸 2-NA 2-ナフトエ酸 2,6-MNA 2,6-メチルナフトエ酸 2,6-FNA 2,6-ホルミルナフトエ酸 TMA トリメリット酸 NTCA ナフタレントリカルボン酸 Br-2,6-NDCA 2,6-ナフタレンジカルボン酸ブロマイ
ド TDCA テトラリンジカルボン酸 L.E. 低沸物 H.E. 高沸物
【0023】参考例1 ピリジン、ピリジン60重量% 水溶液(共沸組成)および
水に対する2,6-ナフタレンジカルボン酸の溶解度[g-2,6
-NDCA/100g溶媒] を50℃、 100℃、 150℃、 200℃、25
0 ℃について表1に示す。従来のピリジン溶媒を用いる
晶析法では、常温(25℃) でも2,6-ナフタレンジカルボ
ン酸が相当溶解するので回収率が低くなる(比較例
2)。ピリジン水溶液を溶媒として循環使用する際には
共沸組成となるのでピリジン60重量% 水溶液となる。本
発明の方法によりピリジン水溶液に2,6-ナフタレンジカ
ルボン酸を溶解してピリジンを留去した場合には、2,6-
ナフタレンジカルボン酸の水に対する溶解度が非常に小
さいため、2,6-ナフタレンジカルボン酸が高回収率で得
られる。
【0024】
【表1】 温度 (℃) 25 50 100 150 200 250 ピリジン100% 4.8 5.5 6.8 8.3 10.0 10.2 ピリジン60重量% 1.5 1.8 2.5 3.3 4.2 6.2 水 - - - <0.1 0.2 2.0
【0025】参考例2 還流冷却器、ガス吹き込み管、撹拌装置、温度測定管を
備えた5Lのチタン製オートクレーブに、酢酸コバルト 4
水塩3.8g、酢酸マンガン 4水塩32.0g、臭化水素酸5.5
g、氷酢酸1800gと99.5%純度の2,6-ジメチルナフタレ
ン 180gを仕込み、反応温度 200〜210 ℃、反応系内圧
力 20kg/cm2 に保持して撹拌した。次いで同純度の2,6-
ジメチルナフタレン 131gと、仕込みと同組成の触媒溶
液 786gを2時間かけてフィードし、同時に排ガスを13.
1L/minの割合で抜き出し、一定圧力を保持しながら圧
縮空気を供給した。フィード終了後30分間保持し、その
後反応器を室温まで冷却し、反応混合物を回収し、水及
び酢酸で洗浄後、乾燥した。その結果、表2の原料に示
す組成の粗2,6-ナフタレンジカルボン酸が収率85.6%で
得られた。なお粗2,6-ナフタレンジカルボン酸中の金属
量はCo 340ppm 、Mn 2400ppmであった。
【0026】参考例3 100 mlオートクレーブに、参考例2で得られた粗2,6-
ナフタレンジカルボン酸2g、ピリジン30g と、1%Pd/Cの
粉末 0.1g を仕込み、窒素置換後、水素を5kg/cm2 充填
し 200℃で1hr振盪し水素化処理した。反応生成物の有
機物組成を表2に示す。この水素化処理により特に 2,6
-FNAと 2,6-Br-NDCAが低減している。
【0027】参考例4 水素化処理の温度を 300℃とした以外は、参考例3と同
一の装置と条件で反応した。反応生成液の有機物組成を
表2に示す。反応温度が高すぎるため、2-ナフトエ酸や
2,6-メチルナフトエ酸、テトラリンジカルボン酸の生成
や、低沸物、高沸物の増加が著しい。
【0028】
【表2】 参考例2 参考例3 参考例4有機物組成(%) (原料) (反応生成液) (反応生成液) 2,6-NDCA 98.59 99.11 95.71 2-NA 0.056 0.097 0.120 2,6-MNA 0.010 0.094 0.132 TMA 0.630 0.331 0.111 2,6-FNA 0.263 0.002 0.000 TDCA 0.000 0.011 0.547 L.E. 0.097 0.127 0.638 Br-2,6-NDCA 0.165 0.028 0.000 NTCA 0.164 0.154 0.158 H.E. 0.022 0.048 2.578 合計 100.00 100.00 100.00
【0029】実施例1 200 mlの加圧濾過装置に、参考例2で得られた粗2,6-
ナフタレンジカルボン酸10.0g とピリジン100.0gとを仕
込み、 200℃で溶解し 1μmのフィルターで濾過した。
撹拌装置、加圧濾過装置、ガス抜きだし口を備えた 300
mlの留出装置に濾液を移し、200 ℃まで加熱し、同温
度下で 100g/hr の速度で 5hr留出し、同時にオートク
レーブ下部より留出量と同量の水を供給した。留出後、
150℃まで冷却し、10μm のフィルターで濾過した。更
に水 100gをオートクレーブに供給し 200℃で1hr加熱
後 150℃まで冷却し濾過する操作を 3回繰り返した。精
製された2,6-ナフタレンジカルボン酸の結晶が回収率9
7.8%で得られた。組成分析の結果と結晶の性状を表3
に示す。
【0030】実施例2 200 mlの加圧濾過装置に、参考例2の方法で得られた
粗2,6-ナフタレンジカルボン酸10.0g、γ−ピコリン 1
00.0g、1%Pd/Cの粉末 0.5gを仕込み、水素を5kg/cm2
充填後、 200℃で1hr反応し、 1μm のフィルターで濾
過した。濾液を実施例1と同一の留出装置に移し、実施
例1と同条件で留出操作と濾過操作を行った。次に10重
量% 酢酸水溶液100gを供給し 200℃で1hr加熱撹拌後 1
50℃で濾過した。更に 100gの水で 200℃で2hr撹拌後
150℃で濾過する操作を2回繰り返した。精製された2,6
-ナフタレンジカルボン酸の結晶が回収率97.3%で得られ
た。組成分析の結果と結晶の性状を表3に示す。
【0031】実施例3 200 mlの加圧濾過装置に、参考例2の方法で得られた
粗2,6-ナフタレンジカルボン酸 4.0g、ピリジン60g、
水40gと1%Pd/Cの粉末0.20gを仕込み、水素を5kg/cm2
充填後、 200℃で1hr反応し、 1μm のフィルターで濾
過した。濾液を実施例1と同一の留出装置に移し、実施
例1と同じ条件で留出操作と濾過操作を行った。次に10
重量%酢酸水溶液 40gを供給し、200 ℃で1hr加熱撹拌
後 150℃で濾過した。更に40gの水で200 ℃で2hr撹拌
後 150℃で濾過する操作を 2回繰り返した。精製された
2,6-ナフタレンジカルボン酸の結晶が回収率96.4% で得
られた。組成分析の結果と結晶の性状を表3に示す。
【0032】比較例1 200 mlの加圧濾過装置に、参考例2の方法で得られた
粗2,6-ナフタレンジカルボン酸10.0g、ピリジン 100.0
g、1%Pd/Cの粉末 0.5gを仕込み、水素を5kg/cm2 充填
後、 300℃で1hr反応し、 1μm のフィルターで濾過し
た。濾液を実施例1と同一の留出装置に移し、実施例2
と同じ条件で留出操作と濾過操作を行った。次に実施例
2と同様の方法で結晶を洗浄した。結晶が回収率94.3%
で得られた。組成分析の結果と結晶の性状を表3に示
す。
【0033】比較例2 参考例2の方法で得られた粗2,6-ナフタレンジカルボン
酸10gとピリジン 100gを 200℃で加熱溶解し、 1μm
のフィルターで濾過後、濾液を実施例2と同一の留出装
置に移した。 200℃で2hr撹拌後、同温度でピリジンを
上部の抜き出し口より50g留去し、更に20℃まで徐々に
冷却し析出した結晶を濾別し、0℃に冷却したピリジン
20gで洗浄後、 120℃で5hr乾燥した。ナフタレンジカ
ルボン酸の結晶 7.1gが得られた(回収率71.4%)。組
成分析の結果と結晶の性状を表3に示す。溶媒がピリジ
ンのみの場合での晶析法による精製のため回収率が低
く、TMA 、2,6-FNA 等の不純物が十分除去されていな
い。
【0034】
【表3】 実施例1 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2 回収率(%) 97.8 97.3 96.4 94.3 71.4 有機物組成(%) 2,6-NDCA 99.84 99.94 99.95 99.67 99.60 2-NA 0.004 0.006 0.007 0.014 0.005 2,6-MNA 0.002 0.020 0.025 0.035 0.004 TMA 0.003 0.004 0.002 0.001 0.058 2,6-FNA 0.106 0.001 0.001 0.000 0.213 TDCA 0.000 0.000 0.000 0.054 0.000 L.E. 0.002 0.005 0.004 0.089 0.020 Br-2,6-NDCA 0.020 0.000 0.000 0.000 0.026 NTCA 0.014 0.015 0.008 0.012 0.046 H.E. 0.008 0.008 0.005 0.125 0.028 合計 100.00 100.00 100.00 100.00 100.00 金属量Co+Mn(ppm) 7 10 8 5 15残留窒素(ppm) 28 16 17 14 78 平均粒子径 (μm) 84 75 88 60 79
【0035】
【発明の効果】実施例より明らかなように、本発明の方
法によりジアルキルナフタレンを酸化して得られた粗ナ
フタレンジカルボン酸を精製することによって、高純度
のナフタレンジカルボン酸を高回収率で容易に得ること
ができる。溶媒として用いられるピリジン類は容易に循
環使用できることなどから、本発明の方法は工業的に有
利な方法であり、その工業的意味は極めて大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B01J 23/75 C07C 51/43 23/755 51/44 C07C 51/43 51/487 51/44 C07B 61/00 300 51/487 B01J 23/74 311X // C07B 61/00 300 321X

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ジアルキルナフタレンの酸化反応により得
    られた粗ナフタレンジカルボン酸をピリジン類またはピ
    リジン類の水溶液に溶解し、水の存在下においてピリジ
    ン類を留去することにより、ナフタレンジカルボン酸を
    析出させることを特徴とするナフタレンジカルボン酸の
    精製方法
  2. 【請求項2】粗ナフタレンジカルボン酸をピリジン類ま
    たはピリジン類の水溶液に溶解後、Pt, Pd, Rh, Ru, N
    i, Coから選ばれる1種以上の金属を含む触媒の存在下
    で 250℃以下の温度で水素化処理したのちピリジン類を
    留去する請求項1記載のナフタレンジカルボン酸の精製
    方法
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