JPH0970852A - 中空成形品 - Google Patents

中空成形品

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JPH0970852A
JPH0970852A JP25446495A JP25446495A JPH0970852A JP H0970852 A JPH0970852 A JP H0970852A JP 25446495 A JP25446495 A JP 25446495A JP 25446495 A JP25446495 A JP 25446495A JP H0970852 A JPH0970852 A JP H0970852A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形性に優れ、肉厚均一性に優れたポリカー
ボネート系樹脂の中空成形品を提供する。 【解決手段】 アルカリ(土類)金属含有量1〜800
ppb、芳香族モノヒドロキシ化合物含有量1〜200
ppm、分子量1000以下のオリゴマー成分及び残留
モノマー含有量がT1〜T2重量%(但し、T1=1,1
30,000×(該ポリカーボネートの重量平均分子
量)-1.60、T2=1,520,000×(該ポリカーボ
ネートの重量平均分子量)-1.44)及び末端ヒドロキシ
基の割合が1〜30モル%である塩素イオンを含まない
ポリカーボネートを主成分とするポリカーボネート系樹
脂を用いて中空射出成形法で形成されたポリカーボネー
ト系樹脂中空成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
系樹脂の成形品に関する。更に詳しくは、成形性に優れ
たポリカーボネート系樹脂を用いた肉厚均一性に優れた
ポリカーボネート系樹脂の中空成形品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは低比重性、良加工性、非
腐食性により、その応用分野は近年ますます拡大し、そ
の利用が著しく増大してきている。それに伴い利用者側
からのプラスチックに対する要求も高度化してきてお
り、耐熱性、機械物性に優れるエンジニアリングプラス
チックは特に重要な位置を占めるようになった。
【0003】ポリカーボネート樹脂は公知のエンジニア
リングプラスチックであり、寸法精度、寸法安定性、耐
衝撃性、耐クリープ性、電気特性に優れ電気・電子、自
動車、精密機械等各分野に幅広く用いられている。最近
各分野の技術の高度化に伴い、ポリカーボネート樹脂成
形品に対する寸法精度、外観の更なる向上が望まれてい
る。
【0004】このような要求に答える成形法として、溶
融樹脂の射出完了後に樹脂保圧を加える樹脂保圧法と中
空射出成形法が知られている。中空射出成形法は通常の
射出成形機とガス圧入装置を組み合わせて行われるもの
で、溶融樹脂の射出途中又は射出完了後に金型内に加圧
ガスを圧入して、金型キャビティ内の溶融樹脂中に加圧
ガスによって中空部を形成し、この中空部内の加圧ガス
の圧力を適宜保ちながら成形品の冷却を進める成形法
で、得られる成形品は中空成形品となる。
【0005】樹脂保圧法の場合、ゲートシール後はゲー
ト部で樹脂が固化して溶融樹脂の供給が止まり、樹脂保
圧がかけられなくなるのに対し、中空射出成形法では、
ゲートシール後も加圧ガスによって保圧状態を保つこと
ができる利点がある。
【0006】従って、中空射出成形法は樹脂保圧法に比
して保圧状態が確実で、冷却に伴う樹脂の収縮分が拡大
することで補われるので、得られる成形品の型再現性が
よく、優れた寸法精度が得やすい利点がある。
【0007】中空射出成形法ではガス圧入時に樹脂はキ
ャビティ内に充填されうる流動性を有している必要性が
ある。ポリカーボネート系樹脂の使用にあたっては、分
子量を下げたり、成形温度を上げること等により流動性
を向上させてきたが、強度不足を呈したり、成形温度が
高いことより成形を一時中断後、成形を再開した際に色
ムラやヤケ、黒ゴミが発生し良好な成形品が得られない
問題があった。
【0008】しかしながら連続成形中断後の成形再開時
に発生する黒ゴミ等の不良現象を減少するためにポリカ
ーボネートを改善する試みは全く行われておらず、単に
ポリカーボネートの熱安定性の向上が試みられているの
みである。
【0009】例えば、耐熱安定剤による熱安定性の向上
としては、ホスゲン法で製造されたポリカーボネートに
耐熱安定剤として、各種の亜リン酸トリエステル系安定
剤、エポキシ系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤
等の組成物が数多く提案されているが、これら方法では
熱安定性は向上するものの連続成形中断後の成形再開時
に発生する黒ゴミ等の不良現象の改善は十分ではなかっ
た。
【0010】また、ポリカーボネート中の微量な塩素原
子に着目して熱安定性を向上する方法も提案されてい
る。例えば、特公平7−5828号公報にはホスゲン法
で製造されたポリカーボネートには50ppm以上の塩
素原子が含まれており、これにより熱安定性が劣る。こ
れを改善するために、エステル交換法、特に固相重合法
により製造された塩素原子を実質的に含有しないポリカ
ーボネートからなる組成物が提案されているが、該公報
では触媒としてビスフェノールAのナトリウム塩をビス
フェノールAに対して5ppm添加し、310℃で溶融
エステル交換法(以下メルト法と記載する)にて製造し
たポリカーボネートが比較例として開示されているが、
必ずしも耐熱安定性は向上していないし、連続成形中断
後の成形再開時に発生する黒ゴミ等の不良現象の改善に
ついては全く記載されていない。
【0011】近年、このような塩素原子を実質的に含有
しないエステル交換法、特にメルト法によるポリカーボ
ネートの熱安定性向上のため特定の添加剤を配合する技
術が開示されている。例えば、特開平4−15221号
公報、特開平4−15222号公報、特開平4−152
23号公報、特開平4−36346号公報、特開平5−
112706号公報、特開平6−92529号公報等が
挙げられる。しかしながら、これら方法では連続成形中
断後の成形再開後に発生する黒ゴミ等の不良現象の改善
はできなかった。
【0012】また、メルト法ポリカーボネート中の微量
成分に着目した熱安定性の向上も提案されている。例え
ば、メルト法ポリカーボネート中の鉄濃度を5ppm以
下、ナトリウムを1ppm以下、塩素濃度を10ppm
以下、水酸基末端を20モル%以下にする方法(特開平
5−148355号公報)、メルト法ポリカーボネート
中のフェノール濃度を1000ppm以下、2価ヒドロ
キシ原料化合物を1000ppm以下、炭酸ジエステル
濃度を2000ppm以下にする方法(特開平5−15
6000号公報)が提案されている。しかしながら、こ
れらの方法では連続成形中断後の成形再開後に発生する
黒ゴミや色ムラ、ヤケ等の不良現象の改善はできなかっ
た。
【0013】また、ヒケ、ソリの少ない高精度かつ高外
観中空成形品を得るには、成形品の肉厚が均一であるこ
とが重要である。肉厚均一性を向上させるには、中空射
出成形法では圧入するガスの圧力を高めることで対処し
てきた。しかしながら、一般的なポリカーボネート系樹
脂ではガス圧を高めても、精度、外観に対し高度化して
いる各分野の要求を満足する肉厚均一な成形品を得るに
は至っていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
ポリカーボネート系樹脂を用いた中空射出成形において
は、成形中断後の再成形開始時に色ムラ、ヤケ及び黒ゴ
ミ等が発生し良好な成形品が得られないという問題、及
び高精度、高外観成形品を得るために必要な肉厚均一な
成形品が得られないという問題があった。
【0015】本発明者は、この問題点を解決すべく鋭意
検討を行った結果、驚くべきことに特定のポリカーボネ
ートを主成分とするポリカーボネート系樹脂を用いるこ
とにより、上記目的を達成できることを見いだした。
【0016】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は(a)
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属含有量が1〜
800ppb、(b)芳香族モノヒドロキシ化合物含有
量が1〜200ppm、(c)分子量1000以下のオ
リゴマー成分及び残留モノマー含有量がT1〜T2重量%
(但し、T1=1,130,000×(該ポリカーボネ
ートの重量平均分子量)-1.60、T2=1,520,00
0×(該ポリカーボネートの重量平均分子量)-1.44
である芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとか
らエステル交換法にて製造された実質的に塩素原子を含
まないポリカーボネートを主成分とするポリカーボネー
ト系樹脂を用いて中空射出成形法で成形されたポリカー
ボネート系樹脂中空成形品を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の態様】以下本発明について詳細に説明す
る。本発明の実質的に塩素原子を含まない特定のポリカ
ーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとのエステル交換反応によって得られるものである。
【0018】本発明において、芳香族ジヒドロキシ化合
物とは、HO−Ar−OHで示される化合物である。式
中、Arは2価の芳香族基を表し、例えば下記式で示さ
れる有機基である。
【0019】
【化1】
【0020】(式中、R1、R2は、各々独立に水素原
子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素
数1〜10のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基であって、m及びnは1
〜4の整数で、mが2〜4の場合には各R1はそれぞれ
同一でも異なるものであっても良いし、nが2〜4の場
合には各R2はそれぞれ同一でも異なるものであっても
良い。)
【0021】また、芳香族基Arは、例えば、−Ar1
−Y−Ar2−で示される2価の芳香族基である(式
中、Ar1及びAr2は、各々独立にそれぞれ炭素数5〜
70を有する2価の炭素環式又は複素環式芳香族基を表
し、Yは炭素数1〜30を有する2価のアルカン基を表
す。)。
【0022】2価の芳香族基Ar1、Ar2において、1
つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の置
換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキ
ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、フ
ェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド
基、ニトロ基などによって置換されたものであっても良
い。
【0023】複素環式芳香族基の好ましい具体例として
は、1ないし複数の環形成窒素原子、酸素原子又は、硫
黄原子を有する芳香族基を挙げることができる。
【0024】2価の芳香族基Ar1、Ar2は、例えば、
置換又は非置換のフェニレン、置換又は非置換のビフェ
ニレン、置換又は非置換のピリジレンなどの基を表す。
ここでの置換基は前述のとおりである。
【0025】2価のアルカン基Yは、例えば、下記式で
示される有機基である。
【0026】
【化2】
【0027】(式中、R3、R4、R5、R6は、各々独立
に水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10
のアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシクロアルキ
ル基、環構成炭素数5〜10の炭素環式芳香族基、炭素
数6〜10の炭素環式アラルキル基を表す。kは3〜1
1の整数を表し、R7及びR8は、各Xについて個々に選
択され、お互いに独立に、水素又は炭素数1〜6のアル
キル基を表し、Xは炭素を表す。また、R3、R4
5、R6、R7、R8において、1つ以上の水素原子が反
応に悪影響を及ぼさない範囲で他の置換基、例えば、ハ
ロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜
10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニ
ル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基など
によって置換されたものであっても良い。)
【0028】このような2価の芳香族基Arとしては、
例えば、下記式で示されるものが挙げられる。
【0029】
【化3】
【0030】
【化4】
【0031】
【化5】
【0032】
【化6】
【0033】
【化7】
【0034】
【化8】
【0035】
【化9】
【0036】
【化10】
【0037】
【化11】
【0038】
【化12】
【0039】(式中、R1、R2、m及びnは、前述の通
りである。)
【0040】さらに、2価の芳香族基Arは、−Ar1
−Z−Ar2−で示されるものであっても良い。
【0041】(式中、Ar1、Ar2は前述の通りで、Z
は単結合又は−O−、−CO−、−S−、−SO2−、
−SO−、−COO−、−CON(R1)−などの2価
の基を表す。ただし、R1は前述の通りである。)
【0042】このような2価の芳香族基Arとしては、
例えば、下記式で示されるものが挙げられる。
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】
【化19】
【0050】
【化20】
【0051】
【化21】
【0052】(式中、R1、R2、m及びnは、前述の通
りである。)
【0053】本発明で用いられる芳香族ジヒドロキシ化
合物は、単一種類でも2種類以上でもかまわない。芳香
族ジヒドロキシ化合物の代表的な例としてはビスフェノ
ールAが挙げられる。また、これら芳香族ジヒドロキシ
化合物は、塩素原子とアルカリ又はアルカリ土類金属の
含有量が少ない方が好ましく、できれば実質的に含有し
ていないことが好ましい。
【0054】本発明で用いられるジアリールカーボネー
トは、下記式で表される。
【0055】
【化22】
【0056】(式中、Ar3、Ar4はそれぞれ1価の芳
香族基を表す。)
【0057】Ar3及びAr4は、1価の炭素環式又は複
素環式芳香族基を表すが、このAr3、Ar4において、
1つ以上の水素原子が、反応に悪影響を及ぼさない他の
置換基、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアル
キル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、
フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミ
ド基、ニトロ基などによって置換されたものであっても
良い。Ar3、Ar4は同じものであっても良いし、異な
るものであっても良い。
【0058】1価の芳香族基Ar3及びAr4の代表例と
しては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリ
ジル基を挙げることができる。これらは、上述の1種以
上の置換基で置換されたものでも良い。
【0059】好ましいAr3及びAr4としては、それぞ
れ例えば、下記式などが挙げられる。
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】ジアリールカーボネートの代表例として
は、下記式で示される置換又は非置換のジフェニルカー
ボネート類を挙げることができる。
【0066】
【化28】
【0067】(式中、R9及びR10は、各々独立に水素
原子、炭素数1〜10を有するアルキル基、炭素数1〜
10を有するアルコキシ基、環構成炭素数5〜10のシ
クロアルキル基又はフェニル基を示し、p及びqは1〜
5の整数で、pが2以上の場合には、各R9はそれぞれ
異なるものであっても良いし、qが2以上の場合には各
10はそれぞれ異なるものであっても良い。)
【0068】このジフェニルカーボネート類の中でも、
非置換のジフェニルカーボネートや、ジトリルカーボネ
ート、ジ−t−ブチルフェニルカーボネートのような低
級アルキル置換ジフェニルカーボネートなどの対称型ジ
アリールカーボネートが好ましいが、特にもっとも簡単
な構造のジアリールカーボネートであるジフェニルカー
ボネートが好適である。
【0069】これらジアリールカーボネート類は単独で
用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良
い。また、これらジアリールカーボネートは、塩素原子
とアルカリ又はアルカリ土類金属の含有量が少ない方が
好ましく、できれば実質的に含有していないことが好ま
しい。
【0070】芳香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカ
ーボネートとの使用割合(仕込比率)は、用いられる芳
香族ジヒドロキシ化合物とジアリールカーボネートの種
類や、重合温度その他の重合条件及び得ようとするポリ
カーボネートの分子量や末端比率によって異なるが、ジ
アリールカーボネートは芳香族ジヒドロキシ化合物1モ
ルに対して、通常0.9〜2.5モル、好ましくは0.
95〜2.0モル、より好ましくは0.98〜1.5モ
ルの割合で用いられる。
【0071】また、本発明においては、本発明の目的を
損なわない範囲で、分岐構造を導入するための芳香族多
価ヒドロキシ化合物を併用しても良いし、末端変性や分
子量調節のための芳香族モノヒドロキシ化合物を併用し
ても良い。
【0072】本発明のポリカーボネートの分子量は重量
平均分子量で通常1,000〜300,000の範囲で
あり、好ましくは1,000〜100,000の範囲で
ある。
【0073】また、末端比率は該ポリカーボネートの全
末端に占める末端ヒドロキシ基の割合が1〜30モル%
の範囲にあることが好ましい。好ましくは1〜20モル
%の範囲にあり、より好ましくは1〜15モル%の範囲
にある。末端ヒドロキシ基の全末端に占める割合が30
モル%を越えると、成形再開時に色ムラ、ヤケ、黒ゴミ
が発生しやすい傾向にあり、かつ一般にポリカーボネー
トに求められる耐熱水性や耐熱性が低下し好ましくな
い。また、1モル%未満では成形再開時に色ムラ、ヤ
ケ、黒ゴミの発生が増加しやすい傾向にあり好ましくな
い。
【0074】本発明において、該ポリカーボネートは実
質的に塩素原子を含まないものであり、具体的には、
硝酸銀溶液を用いた電位差滴定法による塩素イオンの測
定方法で、塩素イオンが0.5ppm以下であり、同時
に燃焼法による塩素原子の測定方法で、塩素原子が検
出限界の10ppm以下である。好ましくは、塩素イ
オンが、上記測定法の検出限界以下の0.1ppm以下
であり、同時に塩素原子が10ppm以下である。塩
素原子が上記範囲を越えると、成形機素材を腐食させや
すく、そのため黒ゴミの発生が増加する傾向にあり好ま
しくない。
【0075】また、本発明のエステル交換法で製造され
たポリカーボネートは該ポリカーボネート1.0gを塩
化メチレン7mlに溶解した溶液を光路長1cmのセル
に入れ、分光光度計により測定した400nmでの吸光
度が0.01未満であることが好ましい。吸光度が小さ
い、即ち着色が小さいポリカーボネートは、同時に重合
時の副反応が少ないと考えられ、耐熱性に優れると共に
成形再開時の色ムラ、ヤケ、黒ゴミの発生が少ない。
【0076】本発明のポリカーボネート中に含有される
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属は1〜800
ppb、好ましくは1〜400ppb、さらに好ましく
は1〜200ppbの範囲でなければならない。
【0077】アルカリ金属及びアルカリ土類金属として
は、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が
挙げられる。これら金属類は、触媒残査や原材料中の不
純物、製造過程で混入する異物としてポリカーボネート
中に混入し、その状態もイオン、無機化合物、有機化合
物との塩やコンプレックス等であり、ポリカーボネート
中に存在する形態は特に限定されない。該金属類の測定
は特に限定されないが、ポリカーボネートを灰化した後
に原子吸光法で測定する方法が好ましい。
【0078】該金属類含有量が1ppb未満では肉厚が
均一な成形品が得られず好ましくない。また、800p
pbを越えると成形再開時に色ムラ、ヤケ、黒ゴミが発
生し好ましくない。
【0079】本発明のポリカーボネート中に含有される
芳香族モノヒドロキシ化合物は1〜200ppm、好ま
しくは1〜150ppm、さらに好ましくは5〜90p
pmの範囲でなければならない。
【0080】芳香族モノヒドロキシ化合物としては、重
縮合過程で発生する芳香族モノヒドロキシ化合物類と、
分子量調節又は特定末端基用に用いられる芳香族モノヒ
ドロキシ化合物類が挙げられる。前者の場合、原料とし
て用いる炭酸ジエステルの種類によって発生する芳香族
モノヒドロキシ化合物の種類も異なるが、例えば、炭酸
ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用した場
合には、フェノールが発生する。後者の場合、例えば、
t−ブチルフェノール、t−オクチルフェノール、クミ
ルフェノール、クロマニルフェノール及びその核置換体
等が一般に用いられている。
【0081】芳香族モノヒドロキシ化合物含有量が1p
pm未満では肉厚が均一な成形品が得られず好ましくな
い。また、200ppmを越えると成形再開時に色ム
ラ、ヤケ、黒ゴミが発生し好ましくない。
【0082】本発明のポリカーボネート中に含有される
分子量1000以下のオリゴマー成分及び残留モノマー
含有量はT1〜T2重量%(但し、T1=1,130,0
00×(該ポリカーボネートの重量平均分子
量)-1.60、T2=1,520,000×(該ポリカーボ
ネートの重量平均分子量)-1.44)の範囲でなければな
らない。
【0083】分子量1000以下のオリゴマー成分及び
残留モノマー含有量は、ポリカーボネートの分子量、分
子量調節又は特定末端基用に用いられる芳香族モノヒド
ロキシ化合物類の使用量、製造方法、製造条件等により
大きく変化する。
【0084】分子量1000以下のオリゴマー成分及び
残留モノマー含有量がT1%未満では肉厚が均一な成形
品が得られず好ましくない。また、T2%を越えると成
形再開時に色ムラ、ヤケ、黒ゴミが発生し好ましくな
い。本発明において残留モノマーとは、前述の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物及び炭酸エステルをいう。
【0085】本発明のポリカーボネートは、上記のよう
な芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとからエ
ステル交換法にて製造されるが、エステル交換法とは、
上記化合物を触媒の存在もしくは無存在下で、減圧下及
び/又は不活性ガスフロー下で加熱しながら溶融状態で
エステル交換反応にて重縮合する方法をいい、その重合
方法、装置等には制限はない。例えば、攪拌槽型反応
器、薄膜反応器、遠心式薄膜蒸発反応器、表面更新型二
軸混練反応器、二軸横型攪拌反応器、濡れ壁式反応器、
自由落下させながら重合する多孔板型反応器、ワイヤー
に沿わせて落下させながら重合するワイヤー付き多孔板
型反応器等を用い、これらを単独もしくは組み合わせる
ことで容易に製造できる。また、溶融状態でエステル交
換反応を行いプレポリマーを製造した後、固相状態で減
圧及び/又は不活性ガスフロー下で重合度を高める固相
重合法でも製造できる。エステル交換の反応の温度は、
通常50〜350℃、好ましくは100〜300℃の温
度の範囲で選ばれ、特に制限はない。一般に、上記範囲
より高い温度では、得られるポリカーボネートの着色が
大きくかつ熱安定性にも劣る傾向にある。また、上記範
囲より低い温度では、重合反応が遅く実用的でない。反
応圧力は、溶融重合中のポリカーボネートの分子量によ
っても異なり、数平均分子量が1000以下の範囲で
は、50mmHg〜常圧の範囲が一般に用いられ、数平
均分子量1000〜2000の範囲では、3〜80mm
Hgの範囲が、数平均分子量が2000以上の範囲で
は、10mmHg以下、特に5mmHg以下が用いられ
る。
【0086】特に、微量成分含有量が特定範囲にある、
肉厚均一性に優れかつ成形再開性に優れる本発明ポリカ
ーボネートを得るためには、280℃を越えない温度で
重合するのが好ましい。これ以上の温度では、芳香族モ
ノヒドロキシ化合物と分子量1000以下のオリゴマー
成分の含有量が増加しやすい傾向にある。前述の重合装
置及び重合方法の内で、表面更新型二軸混練反応器、二
軸横型攪拌反応器、自由落下させながら重合する多孔板
型反応器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合する
ワイヤー付き多孔板型反応器及び固相重合法による方法
が280℃を超えない温度でも効率的に重合できて好ま
しい。特に、自由落下させながら重合する多孔板型反応
器、ワイヤーに沿わせて落下させながら重合するワイヤ
ー付き多孔板型反応器を用いる方法及び固相重合法が好
ましい。
【0087】また、重合後のポリカーボネートから微量
成分を除去して、本発明のポリカーボネートを製造する
ことも可能である。例えば、該ポリカーボネートを良溶
媒に溶解し、濾過後に、貧溶媒を加え再沈する方法、微
量成分を溶解し且つポリカーボネートを溶解しない溶
媒、例えばアセトンのような溶媒で微量成分を抽出する
方法、随伴溶媒を添加して(又は無添加で)高真空下で
微量成分を強制除去する方法、ポリカーボネートが溶解
しない温度で、真空又は常圧下で乾燥する方法等が挙げ
られる。
【0088】また、エステル交換法による重合は、触媒
を加えずに実施することができるが、重合速度を高める
ため、必要に応じて触媒の存在下で行われる。重合触媒
としては、この分野で用いられているものであれば特に
制限がないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水
酸化カリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリ金属及
びアルカリ土類金属の水酸化物類;水酸化アルミニウム
リチウム、水酸化ホウ素ナトリウム、水酸化ホウ素テト
ラメチルアンモニウムなどのホウ素やアルミニウムの水
酸化物のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、第四級
アンモニウム塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウ
ム、水素化カルシウムなどのアルカリ金属及びアルカリ
土類金属の水素化合物類;リチウムメトキシド、ナトリ
ウムエトキシド、カルシウムメトキシドなどのアルカリ
金属及びアルカリ土類金属のアルコキシド類;リチウム
フェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウム
フェノキシド、LiO−Ar−OLi、NaO−Ar−
ONa(Arはアリール基)などのアルカリ金属及びア
ルカリ土類金属のアリーロキシド類;酢酸リチウム、酢
酸カルシウム、安息香酸ナトリウムなどのアルカリ金属
及びアルカリ土類金属の有機酸塩類;酸化亜鉛、酢酸亜
鉛、亜鉛フェノキシドなどの亜鉛化合物類;酸化ホウ
素、ホウ素、ホウ素ナトリウム、ホウ素トリメチル、ホ
ウ素トリブチル、ホウ素トリフェニル、(R34
56)NB(R3456)又は(R3456)PB
(R3456)で表されるアンモニウムボレート類又
はホスホニウムボレート類(R3、R4、R5、R6は前述
の通り)などのホウ素の化合物類;酸化ケイ素、ケイ酸
ナトリウム、テトラアルキルケイ素、テトラアリールケ
イ素、ジフェニル−エチル−エトキシケイ素などのケイ
素の化合物類;酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウ
ム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムフェノキシ
ドなどのゲルマニウムの化合物類;酸化スズ、ジアルキ
ルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、酢
酸スズ、エチルスズトリブトキシドなどのアルコキシ基
又はアリーロキシ基と結合したスズ化合物、有機スズ化
合物などのスズの化合物類;酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、
塩基性炭酸塩、鉛及び有機鉛のアルコキシド又はアリー
ロキシドなどの鉛の化合物;第四級アンモニウム塩、第
四級ホスホニウム塩、第四級アルソニウム塩などのオニ
ウム化合物類;酸化アンチモン、酢酸アンチモンなどの
アンチモンの化合物類;酢酸マンガン、炭酸マンガン、
ホウ酸マンガンなどのマンガンの化合物類;酸化チタ
ン、トタンのアルコキシド又はアリーロキシドなどのチ
タンの化合物類;酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウ
ム、ジルコニウムのアルコキシド又はアリーロキシド、
ジルコニウムアセチルアセトンなどのジルコニウムの化
合物類などの触媒を挙げることができる。
【0089】触媒を用いる場合、これらの触媒は1種だ
けで用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても
良い。また、これらの触媒の使用量は、原料の芳香族ジ
ヒドロキシ化合物に対して、通常の10-8〜1重量%、
好ましくは10-7〜10-1重量%の範囲で選ばれる。ま
た、アルカリ又はアルカリ土類金属系触媒を用い、重合
後の除去作業を行わない場合は、重合後のポリカーボネ
ート中のアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の合計含
有量が1〜800ppbになる範囲で用いる必要があ
る。
【0090】上記ポリカーボネートと混合して用いるこ
とのできる他の樹脂としては、本発明ポリカーボネート
の特性を著しく阻害しない限り特に制限されるものでは
なく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチ
レン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリ
アセタール、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ
フェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフ
ォン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルケトン、液
晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、熱可塑性エ
ラストマー等が挙げることができ、また本発明以外のポ
リカーボネート、例えばホスゲン法により製造されたポ
リカーボネートも挙げることができる。
【0091】本発明ポリカーボネートと他樹脂との混合
組成物を用いる場合、本発明ポリカーボネートの含有量
は50重量%以上であることが必要で、好ましくは70
重量%以上である。ポリカーボネート樹脂の含有量が少
なすぎると、ポリカーボネート樹脂のエンジニアリング
樹脂としての優れた特性が得られなくなる。
【0092】本発明におけるポリカーボネート系樹脂に
は、本発明の目的を阻害しない範囲で通常の添加剤、例
えば耐熱安定剤、酸化防止剤、難燃化剤、離型剤、着色
剤、滑剤、耐候性改良剤、防錆剤等を添加することがで
きる。特に、耐熱安定剤を添加することは好ましい。
【0093】耐熱安定剤としては、例えばリン系安定
剤、フェノール系安定剤、イオウ系安定剤、エポキシ系
安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等が使用できる。特
にリン系安定剤が好ましい。
【0094】リン系安定剤としては、リン酸類、亜リン
酸エステル類、ホスフィン酸エステル類、リン酸エステ
ル類、ホスホン酸エステル類が挙げられる。具体的に
は、リン酸類として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、
ピロリン酸、ポリリン酸、フェニルホスホン酸が挙げら
れる。
【0095】亜リン酸エステル類としては、亜リン酸ト
リエステル、亜リン酸ジエステル、亜リン酸モノエステ
ルが挙げられ、具体的にはトリス(2、4−ジ−t−ブ
チルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスフ
ァイト、トリフェニルホスファイト、テトラフェニルジ
プロピレングリコールホスファイト、テトラ(トリデシ
ル)4、4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファ
イト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジ
ホスファイト、ビス(2、4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2、
6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリ
スリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリス
リトールジホスファイト、水添ビスフェノールA、ペン
タエリスリトールホスファイトポリマー、テトラフェニ
ルテトラ(トリデシル)ペンタエリスリトールテトラホ
スファイト、ジフェニルハイドロゲンホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホスファイト、ビス
(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホス
ファイト、ジクレジルハイドロゲンホスファイト、(ビ
ス(p−t−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスファイ
ト、ビス(p−ヘキシルフェニル)ハイドロゲンホスフ
ァイト、フェニルジハイドロゲンホスファイト、ノニル
フェニルジハイドロゲンホスファイト、2、4−ジ−t
−ブチルフェニルジハイドロゲンホスファイト等が挙げ
られる。
【0096】ホスフィン酸エステル類としては、ホスフ
ィン酸ジエステル、ホスフィン酸モノエステルが挙げら
れ、具体的には4、4’−ジフェニレンジホスフィン酸
テトラキス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)が挙げ
られる。
【0097】リン酸エステル類としては、リン酸ジエス
テル、リン酸モノエステルが挙げられ、具体的にはジフ
ェニルハイドロゲンホスフェート、ビス(ノニルフェニ
ル)ハイドロゲンホスフェート、ビス(2、4−ジ−t
−ブチルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、ジクレ
ジルハイドロゲンホスフェート、ビス(p−t−ブチル
フェニル)ハイドロゲンホスフェート、ビス(p−ヘキ
シルフェニル)ハイドロゲンホスフェート、フェニルジ
ハイドロゲンホスフェート、ノニルフェニルジハイドロ
ゲンホスフェート、2、4−ジ−t−ブチルフェニルジ
ハイドロゲンホスフェート等が挙げられる。
【0098】ホスホン酸エステル類としては、ホスホン
酸モノエステルが挙げられる。
【0099】フェノール系安定剤としては、具体的には
2、6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2、6−ジ
−t−ブチル−p−アニソール、2、6−ジ−t−ブチ
ル−4−エチルフェノール、2、2’−メチレンビス
(6−t−ブチル−p−クレゾール)、2、2’−メチ
レンビス(4−エチル−6−t−ブチル−p−フェノー
ル)、4、4’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−
クレゾール)、4、4’−ブチリデンビス(6−t−ブ
チル−m−クレゾール)、テトラキス〔メチレン−3−
(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタン、4、4’−チオビス
(6−t−ブチル−m−クレゾール)、ステアリル−β
−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート、1、3、5−トリメチル−2、
4、6−トリス(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)ベンゼン、1、1、3−トリス(2−メ
チル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタ
ン、トリエチレンブリコール−ビス〔3−(3−t−ブ
チル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオ
ネート等が挙げられる。〕
【0100】更に、リン原子を含んだフェノール系安定
剤、例えば3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジルホスフォネート−ジエチルエステル、ビス(3、
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン
酸エチル)カルシウム等も挙げられる。
【0101】イオウ系安定剤としては、スルフィン酸、
スルホン酸及びそのエステル、チオエーテル化合物が挙
げられ、具体的にはベンゼンスルフィン酸、p−トルエ
ンスルフィン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンス
ルホン酸、ナフタレンスルホン酸、及びこれら酸のメチ
ル、エチル、ブチル、オクチル、フェニルエステルが挙
げられる。また、ジラウリル−3、3’−チオジプロピ
オネート、ジトリデシル−3、3’−チオジプロピオネ
ート、ジミリスチル−3、3’−チオジプロピオネー
ト、ジステアリル−3、3’−チオジプロピオネート、
ペンタエリスリトール(β−ラウリルチオプロピオネー
ト)等が挙げられる。
【0102】エポキシ安定剤としては、例えばエポキシ
化大豆油、エポキシ化アマニ油等の油脂類、フェニルグ
リシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブ
チルフェニルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、テトラブロムビスフェノールAジ
グリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、
ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシ
ジル化合物、3、4−エポキシシクロヘキシルメチル−
3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
3、4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−
3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、
2、3−エポキシシクロヘキシルメチル−3、4−エポ
キシシクロヘキサンカルボキシレート、4−(3、4−
エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3、4
−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3、4−
エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキ
シルメチル−3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキ
シレート、3、4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシ
ルメチル−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレー
ト、ビスエポキシシクロヘキシルアジペート、オクタデ
シル−2、2’−ジメチル−3、4−エポキシシクロヘ
キサンカルボキシレート、N−ブチル−2、2’−ジメ
チル−3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、シクロヘキシル−2−メチル−3、4−エポキシシ
クロヘキサンカルボキシレート、N−ブチル−2−イソ
プロピル−3、4、−エポキシ−5−メチルシクロヘキ
サンカルボキシレート、オクタデシル−3、4−エポキ
シシクロヘキサンカルボキシレート、2−エチルヘキシ
ル−3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、4、6−ジメチル−2、3−エポキシシクロヘキシ
ル−3、4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレー
ト、ジエチル−4、5−エポキシ−シス−1、2−シク
ロヘキサンカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t
−ブチル−4、5−エポキシ−シス−1、2−シクロヘ
キサンカルボキシレート、3、4−ジメチル−1、2−
エポキシシクロヘキサン、3、5−ジメチル−1、2−
エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル
−1、2−エポキシシクロヘキサン等のエポキシシクロ
ヘキサン化合物、ビスエポキシジシクロペンタジエニル
エーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエ
イレネポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、4、5−
エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−
4、5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸等が挙げら
れる。
【0103】ヒンダードアミン系安定剤としては、ビス
(2、2、6、6−テトラメチル−4−ピペリジル)セ
バケート、ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−
4−ピペリジル)セバケート、2−(3、5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマ
ロン酸ビス(1、2、2、6、6−ペンタメチル−4−
ピペリジル)テトラキシ(2、2、6、6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)1、2、3、4−ブタンテトラカ
ルボキシレート、1−〔2−{3−(3、5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ}エチル〕−4−{3−(3、5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2、
2、6、6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−
7、7、9、9−テトラメチル−3−オクチル−1、
2、3−トリアザスピロ{4、5}ウンデカン−2、4
−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2、2、6、6−テ
トラメチルピペラジン等が挙げられる。
【0104】これら耐熱安定剤は、単独で用いても良い
し組み合わせて用いても良い。添加量は特に限定されな
いが、一般にポリカーボネート100重量部に対して
0.0005〜0.22重量部の範囲で用いられる。
【0105】これら耐熱安定剤等の添加剤をポリカーボ
ネートに混合する方法としては、従来から公知の方法で
行うことができ、特に限定されない。例えば、各成分を
ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラーミ
キサー、リボンブレンダー等で均一に混合した後、単軸
押出機や二軸押出機、バンバリーミキサー等で混練する
方法や、溶融状態のポリカーボネートに混合槽、スタチ
ックミキサー単軸押出機、二軸又は多軸押出機を用いて
添加剤を混合する方法もある。
【0106】また充填剤、例えばガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、炭化
ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バリウム、硫酸
カルシウム、カオリン、クレー、パイロフィライト、ベ
ントナイト、セリサイト、ゼオライト、マイカ、雲母、
ネフェリンシナイト、タルク、アタルパルジャイト、ウ
オラストナイト、PMF、フェライト、ケイ酸カルシウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、
酸化亜鉛、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化鉄、二
硫化モリブデン、黒鉛、石膏、ガラスビーズ、ガラスバ
ルーン、石英、石英ガラス等を混合できる。これら充填
剤は中空であってもよく、また二種類以上を併用しても
よい。
【0107】本発明に係わる成形品は上述のポリカーボ
ネート系樹脂を用いた中空射出成形法で形成された中空
の成形品である。
【0108】ここで、中空射出成形法とは、「従来の技
術」においても説明したように、溶融樹脂の射出途中又
は射出完了後に金型内に加圧ガスを圧入して、金型キャ
ビティ内の溶融樹脂中に加圧ガスによって中空部を形成
し、この中空部内の加圧ガスの圧力を適宜に保ちながら
成形品の冷却を進める成形法をいう。
【0109】更に中空射出成形法について説明すると、
中空射出成形における溶融樹脂の射出量は、金型キャビ
ティ内を満たすに十分な量を射出するフルショットで
も、金型キャビティ内を満たすに足りない量を射出する
ショートショットのいずれでもよい。フルショットの場
合、冷却に伴う樹脂の収縮に伴って加圧ガスが圧入さ
れ、ショートショットの場合、樹脂の不足量を補うと共
に樹脂の収縮に伴って加圧ガスが圧入されることにな
る。
【0110】加圧ガスとしては、ポリカーボネート系樹
脂と不活性であればどのようなものでもよく、例えば窒
素、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスや空気
を挙げることができる。経済性を考慮すると、工業的に
は窒素ガスが好ましい。加圧ガスの圧入は、アキュムレ
ータに蓄えた加圧ガスを金型へに導くことで行っても、
ポンプで連続的に金型へ供給することで行ってもよい。
また、射出ノズルに内蔵したガスノズルから行う方法
と、金型に設けたガス通路から行う方法とがある。射出
ノズルに内蔵したガスノズルから行う場合、加圧ガス
は、溶融樹脂と同様に、ゲートを介して金型キャビティ
内に圧入されることになる。金型に設けたガス通路から
行う場合、ガス通路をスプルーやランナーに開口させれ
ば、加圧ガスはゲートを介して金型キャビティ内に圧入
されることになるが、ガス通路を金型キャビティに直接
開口させて、加圧ガスを直接金型キャビティ内へ圧入す
ることもできる。
【0111】通常成型品は、必要な冷却完了後、中空部
内の加圧ガスを排出すると共に、中空部内を大気圧開放
してから取り出される。従って、本発明に係わる成形品
の中空部は、通常大気圧となっている。しかし、中空部
内に加圧ガスを密封した成形品としてもよい。
【0112】本発明に係わる成形品は、上述のような中
空射出成形法で成形されたものであるため、中空部を有
する。中空率は、3〜50%であることが好ましく、更
に好ましくは5〜40%である。中空率が3%未満では
加圧ガスの圧力が全体に伝播しにくく、十分な寸法精度
が得にくい。また、50%を越えると、ヘジテーション
マーク等の外観不良を生じやすくなる。
【0113】他の中空射出成形法として、キャビティ内
への前進及びキャビティ内からの後退を任意に行える可
動部分を有する金型を用いて行う成形法がある。該金型
を用いて、溶融樹脂の射出中あるいは射出完了後に加圧
ガスをキャビティ内樹脂中に注入開始し、この加圧ガス
注入開始と同時あるいは注入中にキャビティ内の容積を
拡大開始し、キャビティ内の容積を拡大完了した状態で
キャビティ内樹脂中に注入された加圧ガスの圧力を保持
する。この方法によれば中空率10〜90%の外観、寸
法精度の良好な中空成形品が得られる。
【0114】肉厚の均一性はゲート側から離れるに従い
悪くなり、かつ中空率が大きくなるに従い悪くなる。高
外観成形品を得るには、肉厚が均一であると共に反ゲー
ト側の中空部の肉厚均一性の値を中空率の平方根で除し
た値が4以下、好ましくは3以下であることが好まし
い。尚、反ゲート側の中空部の肉厚均一性の値とは、後
述する実施例中の測定法「5.肉厚均一性」におけるA
8の値をいう。
【0115】本発明の中空成形品は、自動車用途として
ドアハンドル、ドアミラーステー、ベンチレーター、シ
ロッコファン等、車両用途として吊り手、ひじ掛、整風
板、腰板等、電気・電子用途としてギヤ、ハウジング、
ハンドル等の肉厚成形品に応用できる。
【0116】
【実施例】以下、本発明の実施例及び比較例によってさ
らに詳細に説明する。尚、本発明はこれに限定されるも
のではない。
【0117】実施例中の測定法は次の通りである。
【0118】1.重量平均分子量、重量平均分子量10
00以下のオリゴマー及び残留モノマー含有量 ゲルパーミエーション クロマトグラフィーにて測定し
た。カラムはTSK−GEL(東洋曹達社製)を、溶媒
はTHFを使用した。
【0119】2.アルカリ及びアルカリ土類金属含有量 ポリカーボネートを酸素プラズマアッシュアーにて低温
灰化した後、フレームレス原子吸光法にて測定した。
【0120】3.芳香族モノヒドロキシ基含有量 高速液体クロマトグラフィーにて測定した。
【0121】4.末端ヒドロキシ基末端比率 NMRにて測定した。
【0122】5.肉厚均一性 縦×横×厚みが100mm×15mm×10mmである
中空成形品を中空射出成形法により成形し、得られた長
尺状成形体を長手方向に15mm辺の中心点で切断し
た。キャビティの固定側面の成形品の厚みを10mm間
隔で測定した。ゲート側から10mmの点をA1とし、
反ゲート側から10mmの点までをA2〜A8とした。
【0123】An点の肉厚均一性(%)={(Y−X)
/X}×100 (XはA1点における厚み、YはAn点における厚み、n
は2〜8の整数を表す。)
【0124】なお、このときの中空射出成形は以下のよ
うに行った。ゲートは1点で、成形品の15×10mm
に対応する面の1つに設け、位置は面の中心(重心)に
した。また、金型温度は100℃、シリンダー設定温度
は300℃とした。なお、中空率は計量値を変化させ調
節した。
【0125】樹脂中に注入するガス体には窒素ガスを用
い、ガス注入口はシリンダーのノズル部に設けた。この
ときシリンダーへのガスの侵入(金型と反対方向への侵
入)を防止する目的でガス注入口のスクリュー側(ホッ
パー側)にシャットオフ弁を設けた。
【0126】ガス注入装置に窒素ガスを導入し、100
kg/cm2に昇圧してアキュームレーターにたくわ
え、樹脂射出後に配管を通して樹脂中に注入した。ガス
体は、ノズルからスプルー、ランナー、ゲートを通って
角柱状のキャビティ中に導入された。このときの条件は
ガス圧入遅延時間(樹脂の射出後ガスを注入するまでの
時間)を0.5秒、ガス圧入時間(ガス注入を行う時
間)を5秒、圧力保持時間(ガスの注入を止め、ガス系
を閉じた状態に保持する時間とガス圧入時間をたした時
間)を120秒とした。型開きは圧力保持時間終了から
5秒後に行い、成形品を取り出した。
【0127】6.成形再開性 上記中空成形の途中でシリンダー温度を設定のままと
し、60分放置後成形を開始し、3〜5ショット目の成
形品について色ムラ、ヤケの有無を目視で観察すると共
に成形品両面における50μm以上の黒ゴミの個数を数
え、その平均値を求めた。
【0128】(実施例1〜3)芳香族ジヒドロキシ化合
物として塩素原子を実質的に含有しないビスフェノール
Aを、炭酸ジエステルとして塩素原子を実質的に含有し
ないジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル
比1.10)を、触媒としてビスフェノールAのジナト
リウム塩(対ビスフェノールAモル比2.8×10-8
を用いて、溶融エステル交換法でポリカーボネートを製
造した。製造は、攪拌槽型反応器3基とワイヤー付き多
孔板型反応器2基からなる連続重合装置を用い、段階的
に温度と減圧度を上げながら実施した。最高重合温度は
250℃であった。
【0129】得られたポリカーボネートには実質的に塩
素原子は含まれておらず、ヒドロキシ基末端比率は7モ
ル%、重量平均分子量が22,100、400nmでの
吸光度が0.003であった。また、該ポリカーボネー
トの微量成分は、アルカリ及びアルカリ土類金属含有量
が5ppb、芳香族モノヒドロキシ化合物であるフェノ
ール含有量が30ppm、分子量1000以下のオリゴ
マー成分及び残留モノマー含有量が0.5重量%であっ
た。
【0130】該ポリカーボネート100重量部と、耐熱
安定剤としてビス(ノニルフェニル)ハイドロゲンホス
ファイト0.002重量部とトリス(2、4−t−ブチ
ルフェニル)ホスファイト0.02重量部とをヘンシェ
ルミキサーで均一に混合した後、押出機を用いて造粒
し、ポリカーボネート(A)を得た。
【0131】得られたポリカーボネート(A)からなる
中空射出成形品の肉厚均一性の評価結果を表1に示す。
【0132】また、中空成形の途中で成形を60分中断
し、成形を再開したときの成形品の観察結果を表1に示
す。
【0133】(比較例1〜3)触媒のビスフェノールA
ジナトリウム塩の使用量を、使用ビスフェノールAに対
してモル比5.5×10-6で用いる以外は実施例1と同
様にして実施した。得られたポリカーボネートの重量平
均分子量は22,300、400nmでの吸光度0.0
08であった。また、アルカリ及びアルカリ土類金属含
有量980ppb、芳香族モノヒドロキシ化合物である
フェノール含有量160ppm、分子量1000以下の
オリゴマー成分及び残留モノマー含有量0.83%、末
端ヒドロキシ基含有量13モル%であった。実施例1と
同様にして耐熱安定剤を添加し、ポリカーボネート
(B)を得た。実施例1〜3と同様にして中空射出成形
品を得た。該中空成形品の肉厚均一性及び成形中断後の
成形品外観の観察結果を表1に示す。
【0134】(比較例4〜6)芳香族ジヒドロキシ化合
物として塩素原子を実質的に含有しないビスフェノール
Aを、炭酸ジエステルとして塩素原子を実質的に含有し
ないジフェニルカーボネート(対ビスフェノールAモル
比1.08)を、触媒としてビスフェノールAのジナト
リウム塩(対ビスフェノールAモル比5×10-7)を用
いて、溶融エステル交換法でポリカーボネートを製造し
た。製造は、攪拌槽型反応器を用い、段階的に温度と減
圧度を上げながら実施した。目標分子量のポリカーボネ
ートを得るために、最高重合温度は300℃まで上げる
必要があった。
【0135】得られたポリカーボネートには実質的に塩
素原子は含まれておらず、ヒドロキシ基末端比率は7モ
ル%、重量平均分子量が22,300、400nmでの
吸光度0.021であった。また、該ポリカーボネート
の微量成分は、アルカリ及びアルカリ土類金属含有量が
102ppb、芳香族モノヒドロキシ化合物であるフェ
ノール含有量が220ppm、分子量1000以下のオ
リゴマー成分及び残留モノマー含有量が1.3重量%で
あった。実施例1と同様にして耐熱安定剤を添加し、ポ
リカーボネート(C)を得た。実施例1〜3と同様にし
て中空射出成形品を得た。該中空成形品の肉厚均一性及
び成形中断後の成形品外観の観察結果を表1に示す。
【0136】(実施例4〜6)触媒のビスフェノールA
ジナトリウム塩の使用量を、使用ビスフェノールAに対
してモル比2.8×10-7(実施例4)、モル比5×1
-7(実施例5)及びモル比1×10-6(実施例6)用
いる以外は実施例1と同様にして、重量平均分子量2
2,500のポリカーボネートを得た。実施例1と同様
にして耐熱安定剤を添加し、ポリカーボネート(D)、
(E)及び(F)を得た。それぞれのポリカーボネート
の400nmでの吸光度、ヒドロキシ末端比率及び微量
成分は以下の通りであった。
【0137】ポリカーボネート(D):400nmでの
吸光度0.003、ヒドロキシ末端比率6モル%、アル
カリ及びアルカリ土類金属含有量が49ppb、芳香族
モノヒドロキシ化合物であるフェノール含有量が79p
pm、分子量1000以下のオリゴマー及び残留モノマ
ー成分含有量が0.51重量%
【0138】ポリカーボネート(E):400nmでの
吸光度0.004、ヒドロキシ末端比率3モル%、アル
カリ及びアルカリ土類金属含有量が92ppb、芳香族
モノヒドロキシ化合物であるフェノール含有量が100
ppm、分子量1000以下のオリゴマー成分及び残留
モノマー含有量が0.72重量%
【0139】ポリカーボネート(F):400nmでの
吸光度0.006、ヒドロキシ末端比率4モル%、アル
カリ及びアルカリ土類金属含有量が182ppb、芳香
族モノヒドロキシ化合物であるフェノール含有量が11
3ppm、分子量1000以下のオリゴマー成分及び残
留モノマー含有量が0.78重量%
【0140】実施例2と同様にして中空射出成形品を得
た。該中空成形品の肉厚均一性及び成形中断後の成形品
外観の観察結果を表2に示す。
【0141】(比較例7〜9)ビスフェノールA、水酸
化ナトリウム、ホスゲン及び触媒としてトリエチルアミ
ン、分子量調節剤としてp−t−ブチルフェノールとか
ら塩化メチレン溶媒を用いてホスゲン法にてポリカーボ
ネートを製造した。
【0142】得られたポリカーボネートには塩素原子は
含まれており、塩素イオンが1.2ppmであり、塩素
原子が30ppmであった。また、ヒドロキシ基末端比
率は1モル%、重量平均分子量が22,800、400
nmでの吸光度0.004であった。また、該ポリカー
ボネートの微量成分は、アルカリ及びアルカリ土類金属
含有量が82ppb、芳香族モノヒドロキシ化合物であ
るp−t−ブチルフェノール含有量が43ppm、分子
量1000以下のオリゴマー成分及び残留モノマー含有
量が1.4重量%であった。実施例1と同様にして耐熱
安定剤を添加し、ポリカーボネート(G)を得た。実施
例1〜3と同様にして中空射出成形品を得た。該中空成
形品の肉厚均一性及び成形中断後の成形品外観の観察結
果を表2に示す。
【0143】(比較例10〜12)比較例7で用いたポ
リカーボネートをテトラヒドロフランに溶解し、メタノ
ールで再沈澱する操作を繰り返し、該ポリカーボネート
の精製を行った。
【0144】得られたポリカーボネートには実質的に塩
素原子は含まれておらず、分光光度計により測定した4
00nmでの吸光度は0.004、ヒドロキシル基末端
比率は1モル%、重量平均分子量が23,100であっ
た。また、該ポリカーボネートの微量成分は、アルカリ
及びアルカリ土類金属含有量が0.5ppb、芳香族モ
ノヒドロキシ化合物であるp−t−ブチルフェノール含
有量が0.1ppm、分子量1000以下のオリゴマー
成分及び残量モノマー含有量が0.7重量%であった。
実施例1と同様にして耐熱安定剤を添加し、ポリカーボ
ネート(H)を得た。実施例1〜3と同様にして中空射
出成形品を得た。該中空成形品の肉厚均一性及び成形中
断後の成形品外観の観察結果を表2に示す。
【0145】(実施例7)実施例1のポリカーボネート
(A)85重量%とABS樹脂(ブタジエン単位18重
量%、アクリロニトリル単位22重量%、スチレン単位
60重量%、JIS K7210に基づく温度220
℃、荷重10kgでのメルトフローレイト10g/分)
15重量%とをシリンダー温度240℃に設定された2
軸押出機で混練造粒し、ポリカーボネート系樹脂を製造
した。該ポリカーボネート系樹脂を用いる以外実施例2
と同様にして中空射出成形品を得た。該中空成形品の肉
厚均一性及び成形中断後の成形品外観の観察結果を表1
に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
【表2】
【0148】
【表3】
【0149】
【発明の効果】本発明のアルカリ(土類)金属含有量、
芳香族モノヒドロキシ化合物含有量、分子量1000以
下のオリゴマー成分及び残留モノマー含有量及び末端ヒ
ドロキシ基含有量が特定量の塩素イオンを含まないポリ
カーボネートは成形性に優れ、かつ肉厚均一性に優れて
いる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アルカリ金属及び/又はアルカリ
    土類金属含有量が1〜800ppb、(b)芳香族モノ
    ヒドロキシ化合物含有量が1〜200ppm、(c)分
    子量1000以下のオリゴマー成分及び残留モノマー含
    有量がT1〜T2重量%(但し、T1=1,130,00
    0×(該ポリカーボネートの重量平均分子量)-1.60
    2=1,520,000×(該ポリカーボネートの重
    量平均分子量)-1.44)である芳香族ジヒドロキシ化合
    物と炭酸ジエステルとからエステル交換法にて製造され
    た実質的に塩素原子を含まないポリカーボネートを主成
    分とするポリカーボネート系樹脂を用いて中空射出成形
    法で成形されたポリカーボネート系樹脂中空成形品。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネートの全末端に占める末端
    ヒドロキシ基の割合が1〜30モル%である請求項1記
    載の中空成形品。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート系樹脂中空成形品の中
    空率が3〜90%である請求項1から請求項2のいずれ
    か1項に記載の中空成形品。
  4. 【請求項4】 反ゲート側の中空部の肉厚均一性の値を
    中空率の平方根で除した値が4以下である請求項1から
    請求項3のいずれか1項に記載の中空成形品。
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