JPH0970201A - 畦塗り機の動力伝達機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 走行機体に連結されて畦に沿って走行しなが
ら、畦の形成と突き固めとを行う畦塗り機において、畦
塗り機の起動時における過負荷による動力伝達機構及び
圧迫手段の損傷を防止する。 【構成】 走行機体から畦塗り機への動力伝達機構の中
途に、設定値以上のトルクの伝達を防止するトルクキー
パを介装する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、畦塗り機の動力伝達機
構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、トラクタ等の走行機体に連結され
て圃場の畦際を牽引されながら、走行機体から伝達され
る動力により、ロータリ部によって旧畦の側面とこれに
近接した田面とを掘削すると共に掘削土を旧畦方向に掻
き寄せ、この土をバイブレータ等の圧迫手段で圧迫して
新畦を形成する畦塗り機があり、上記ロータリ部と圧迫
手段には、走行機体から動力が供給されるように構成さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、バイブレー
タには、大きな二次モーメントを有する回転部分がある
ため、上記バイブレータはもとより動力伝達機構にも過
負荷がかかり、これらを破損させることがあるという問
題がある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、旧
畦の側面とこれに近接した田面を耕耘し、かつ、この耕
耘土を畦方向に掻き寄せるロータリ部と、この掻き寄せ
られた耕耘土を圧迫成形する畦成形部とを具備し、三点
リンク機構を介し走行機体の後部に連結されて、畦に沿
って走行しながら畦の形成と突き固めとを行う畦塗り機
において、走行機体から畦整形部への動力伝達機構の中
途に、トルクキーパを介装したことを特徴とする畦塗り
機の動力伝達機構を提供せんとするものである。

【０００５】また、次のような特徴を併せ有するもので
ある。

【０００６】上記動力伝達機構は、走行機体の動力取出
し軸に連動連結した動力受入れ軸に第１ベルト伝動機構
を内臓した第１伝動ケースの一側部を回動自在に取付
け、同第１伝動ケースの他側部に第２ベルト伝動機構を
内臓した第２伝動ケースの一側部を回動自在に取付け、
同第２伝動ケースの他側部に第３ベルト伝動機構を内臓
した第３伝動ケースの一側部を回動自在に取付け、同第
３伝動ケースの他側部にバイブレータの入力軸を連動連
結して構成され、第１伝動ケース、第２伝動ケース及び
第３伝動ケースの少なくとも一つに前記トルクキーパが
設けられていること。

【０００７】上記動力伝達機構は、上記第１、第２、第
３伝動ケース中に、それぞれ、各伝動ケースの相互回動
中心軸線に回転中心軸線を一致させたプーリを配設し、
これらのプーリにベルトを巻回して、第１、第２、第３
ベルト伝動機構を構成し、上記第１、第２、第３ベルト
伝動機構の少なくとも一つに前記トルクキーパが設けら
れていること。

【０００８】

【実施例】本発明の実施例を図面を参照して説明する。

【０００９】図１〜図３において、Ａは本発明に係る動
力伝達機構を具備した畦塗り機であり、同畦塗り機Ａは
農業用トラクタ等の走行機体（図示せず）の後部に牽引
リンクＢとしての三点リンク機構１を介して昇降自在に
連結されており、圃場の畦際に沿って牽引されながら、
走行機体の動力取出し軸（図示せず）からの動力を受け
て、畦塗り作業を行うように構成されている。

【００１０】畦塗り機Ａは、図１〜図３で示すように、
主として、三点リンク機構１の後端部と連結して畦塗り
機Ａの各部を支持する門型フレーム２と、同門型フレー
ム２に取付けたロータリ部３と畦成形部４とで構成され
ている。

【００１１】門型フレーム２は、丸パイプを下方開口略
Ｕ字形状に折曲して門型フレーム２を形成し、門型フレ
ーム２の左右下端部に左右枢着部5,5 を形成して、同左
右枢着部5,5 にそれぞれ三点リンク機構１の左右ロワリ
ンク6,6 の後端を回動自在に枢着すると共に、門型フレ
ーム２の中央上部に上枢着部７を設けて、同上枢着部７
に三点リンク機構１のトップリンク８の後端を回動自在
に枢着し、走行機体に設けた昇降機構により、畦塗り機
Ａを昇降作動させるようにしている。また、門型フレー
ム２の左右下端部間に補強厚板９を架設している。

【００１２】ロータリ部３は、図１及び図４で示すよう
に、門型フレーム２の後面に斜め左下方向に延出したチ
エンケース10の上端部を固着し、同チエンケース10の下
端部に前方に延出した耕耘軸11を回動自在に軸支し、同
耕耘軸11に固着した略円盤状のボス部40に、２本の直爪
41,41 と、２本のなた爪42,42 と、４本のブレード爪4
3,43,43,43 との各基部44を放射状に取付けてロータリ1
2を構成し、同ロータリ12を耕耘軸11の前端部にスプラ
イン13及びボルト14を介し固着している。

【００１３】また、上記ロータリ12の上方をカバーする
ロータリカバー15を、前記門型フレーム２の後面とチエ
ンケース10の前面との間に挟装し、ロータリカバー15の
左側方にサイドカバー16を配置して、同サイドカバー16
を後述する畦成形部支持機構17の上端部から左側方向に
延出したカバー支持体18で昇降自在に支持している。畦
成形部４は、図１〜図３で示すように、畦成形部支持機
構17に支持された矩形箱型のバイブレータ支持体20で、
下方に整畦板21を取付けたバイブレータ22を弾性支持し
ている。

【００１４】畦成形部支持機構17は、門型フレーム２の
補強厚板９の後側面にステー23を介して固着した縦ガイ
ド体24を左傾状態で挿通し、電動シリンダ25で昇降可能
とした縦支持杆26の上端部に横ガイド体27を設け、同横
ガイド体27を左下がり傾斜状態で挿通した横支持杆28の
先端部にバイブレータ支持体20を介して畦成形部４を連
設している。

【００１５】バイブレータ支持体20には、その四隅部と
バイブレータ22上面との間に介設した４本の縦スプリン
グ29,29,29,29 と、バイブレータ支持体20の下面から垂
設したスプリング支持体30とバイブレータ22の上部に立
設したスプリング係止体31との間に介設した横スプリン
グ32とを介し、バイブレータ22を上下及び左右方向に振
動自在に支持している。

【００１６】バイブレータ22は、図５及び図６で示すよ
うに、側面視略小判形状のケーシング50中に、オイルシ
ール52とキャップ53とベアリングケース54とで密封した
ベアリング51を介し、２本の回転軸55,55 を同一高さ位
置に平行に軸架し、各回転軸55,55 にそれぞれ略扇形の
偏心ウエイト56,56 を固定ボルト57,57 を介して固着
し、ケーシング50上面の開口部を図１で示す蓋体58で閉
塞しており、ケーシング50の右側にベルトケース59を連
設して、同ベルトケース59の内部に突出させた各回転軸
55,55 の右側端部にそれぞれ受動プーリ60,60 を固着す
る一方、各受動プーリ60,60 の中間上方位置に、受動プ
ーリ60,60 よりも大径の駆動プーリ62を配置し、同駆動
プーリ62をベルトケース59の右側面を挿通しベアリング
51を介して軸支されたバイブレータ駆動軸61の左端部に
固着し、各プーリ60,60,62を歯付ベルト63で連動連結し
て、偏心ウエイト56,56 を取付けた回転軸55,55 を増速
駆動して、時間当たりの叩き数を増加させるようにして
いる。

【００１７】整畦板21は、図１〜図３で示すように、背
面視略へ字形状に屈折した略矩形板状であり、バイブレ
ータ22の下部に連結体34を介して固着している。

【００１８】また、門型フレーム２の補強厚板９後側面
から下方にそり支持体35を連設し、同そり支持体35にそ
り昇降機構36を設け、同そり昇降機構36から延出した伸
縮自在のそり支持杆37を介しそり38を取付けて、畦成形
部４を所定の地上高に保持するようにしている。

【００１９】次に、走行機体から前記ロータリ部３のロ
ータリ12及び畦成形部４のバイブレータ22への動力伝達
機構Ｍについて説明する。

【００２０】図１及び図７で示すように、ロータリ12へ
の動力伝達は、前記チエンケース10の上端部を挿通した
入力軸70と耕耘軸11との間に設けたロータリ駆動チエン
伝動機構71によって行われ、バイブレータ22への動力伝
達は、入力軸70に第１ベルト伝動機構72を内臓した第１
伝動ケース73の基端部を、入力軸70を中心として回動自
在に取付け、同第１伝動ケース73の先端部に、第２ベル
ト伝動機構74を内臓した第２伝動ケース75の基端部を、
第１中間軸76を中心として回動自在に取付け、同第２伝
動ケース75の先端部を、前記横支持杆28の中途部に垂設
した伝動ケース支持体77に下端部に取付けられ、第３ベ
ルト伝動機構78を内臓した第３ベルトケース79の右端部
に、第２中間軸80を中心として回動自在に取付け、第３
ベルトケース79の左端部を噛合傘歯車機構81を内臓した
ギヤボックス82に取付け、同ギヤボックス82から延出し
たシャフトケース83をベルトケース59に取付けて、同シ
ャフトケース83を挿通したバイブレータ駆動軸61を噛合
傘歯車機構81に連動連結しており、かかる構成により、
畦成形部支持機構17の作動によって、畦成形部４と入力
軸70との相対位置が変化しても、支障なく動力を伝達す
ることができる。

【００２１】特に、前記第３ベルト伝動機構78を構成す
る第３受動プーリ78a と第３受動軸78b との間にトルク
キーパＴを介装して、設定値以上のトルクが動力伝達機
構Ｍに作用しないようにしている。

【００２２】トルクキーパＴは、図８で示すように、上
記第３受動軸78b の端部に小径の段付部78c を形成し、
同段付部78c 内側にフランジ部T1を形成した略円筒状の
ボス部T2を固定ネジT3を介して回動不可に固定し、同ボ
ス部T2の外周に有孔略円盤形状の作動体T4と押圧板T5と
を外嵌し、作動体T4の孔の内周面とボス部T2の外周面と
の間には減摩作用を有するブッシュT6を介装し、作動体
T4の内外側面とフランジ部T1外側面及び押圧板T5内側面
との間に、それぞれ摩擦係数が大きい摩擦板T7を介装し
て、ボス部T2の外側端に螺着した調整ナットT8と皿バネ
T9,T9 とによって、押圧力調整自在に押圧板T5を内側方
向に押圧している。T10 は調整ナットT8の螺動を防止す
るための止めネジである。

【００２３】そして、前記作動体T4の外周にボルトナッ
トT11,T12 を介して第３受動プーリ78a を取付けてい
る。

【００２４】かかる構成によって、第３受動プーリ78a
と第３受動軸78b との間に、調整ナットT8によって調整
された押圧力により設定された設定値以上のトルクが作
用しても、作動体T4ボス部T2との間にスリップが発生し
て、上記設定値以上のトルクが作用するのが防止される
ので、動力伝達機構Ｍはもとより、バイブレータ22、ひ
いては走行機体の動力取出し機構に過負荷が作用するの
を防止することができる。また、設定値以下にルクが低
下するのを防止して、動力伝達機能を良好に確保するこ
とができる。

【００２５】なお、上記トルクキーパＴは、上述した第
３ベルト伝動機構78の第３受動プーリ78a と第３受動軸
78b だけではなく、同第３ベルト伝動機構78の駆動プー
リに設けてもよく、更には、第１、第２ベルト伝動機構
72,74 の駆動又は受動プーリに設けてもよい。

【００２６】本発明の実施例は上記のように構成されて
おり、畦に沿って走行機体で畦塗り機Ａを牽引しながら
畦塗り機Ａを作動させると、ロータリ12の回転によって
旧畦寄りの田面と旧畦の法面とが掘削され、土が旧畦の
上方に掻寄せられる。

【００２７】このようにして掻寄せられた土を、後続の
畦成形部４の整畦板21によって所定形状の新畦に整形
し、バイブレータ22で整畦板21を振動させて上記の土を
突き固めることにより強固な新畦を形成することができ
る。

【００２８】特に、動力伝達機構Ｍの中途にトルクキー
パＴを介装したことで、畦塗り機Ａ起動時に、動力伝達
機構Ｍ、畦塗り機Ａの作動部分及び走行機体の動力取出
し部にか過負荷を防止することができ、しかも、上記設
定値を調整ナットT8の螺動によって調整することができ
るので、作業状態に応じて伝達トルクの上限を自在に設
定することができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明によれば次のような効果を奏する
ことができる。

【００３０】本発明請求項１記載の構成によって、すな
わち、旧畦の側面とこれに近接した田面を耕耘し、か
つ、この耕耘土を畦方向に掻き寄せるロータリ部と、こ
の掻き寄せられた耕耘土を圧迫成形する畦成形部とを具
備し、三点リンク機構を介し走行機体の後部に連結され
て、畦に沿って走行しながら畦の形成と突き固めとを行
う畦塗り機において、走行機体から畦整形部への動力伝
達機構の中途に、トルクキーパを介装したことによっ
て、畦塗り機起動時に、動力伝達機構、畦塗り機の作動
部分及び走行機体の動力取出し部にかかる過負荷を防止
して、これらの部分の損傷を防止すると共に、設定値以
下にトルクが低下するのを防止して、動力の伝達機能を
良好に確保することができる。

【００３１】また、請求項２記載の構成、すなわち、に
よって、上記動力伝達機構を、走行機体の動力取出し軸
に連動連結した動力受入れ軸に第１ベルト伝動機構を内
臓した第１伝動ケースの一側部を回動自在に取付け、同
第１伝動ケースの他側部に第２ベルト伝動機構を内臓し
た第２伝動ケースの一側部を回動自在に取付け、同第２
伝動ケースの他側部に第３ベルト伝動機構を内臓した第
３伝動ケースの一側部を回動自在に取付け、同第３伝動
ケースの他側部にバイブレータの入力軸を連動連結して
構成したことによって、上記動力受入れ軸とバイブレー
タの入力軸との相対位置が変更しても支障なく動力を伝
達することができ、しかも、上記過負荷を防止する効果
がある。

【００３２】また、請求項３記載の構成、すなわち、上
記動力伝達機構は、上記第１、第２、第３伝動ケース中
に、それぞれ、各伝動ケースの相互回動中心軸線に回転
中心軸線を一致させたプーリを配設し、これらのプーリ
にベルトを巻回して、第１、第２、第３ベルト伝動機構
を構成したことによって、高回転の動力をバイブレータ
に伝達して、整畦板の時間当たり叩き数を増加させるこ
とにより、畦塗り機の走行速度を高めて作業能率を高め
たり、極低速走行ができない小型のトラクタを畦塗り機
を牽引する走行機体に使用することが可能になり、しか
も、上記過負荷を防止する効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る畦塗り機の背面図。

【図２】同畦塗り機の右側面図。

【図３】同畦塗り機の平面図。

【図４】ロータリの斜視図。

【図５】バイブレータの断面平面図。

【図６】同バイブレータの一部切欠正面図。

【図７】動力伝達系統を示す模式説明図。

【図８】トルクキーパの縦断面図。

【符号の説明】

Ａ 畦塗り機 Ｍ 動力伝達機構 Ｔ トルクキーパ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 旧畦の側面とこれに近接した田面を耕耘
   し、かつ、この耕耘土を畦方向に掻き寄せるロータリ部
   (3) と、この掻き寄せられた耕耘土を圧迫成形する畦成
   形部(4) とを具備し、三点リンク機構(1) を介し走行機
   体の後部に連結されて、畦に沿って走行しながら畦の形
   成と突き固めとを行う畦塗り機(A) において、 走行機体から畦整形部(4) への動力伝達機構(M) の中途
   に、トルクキーパ(T)を介装したことを特徴とする畦塗
   り機の動力伝達機構。
2. 【請求項２】 上記動力伝達機構(M) は、走行機体の動
   力取出し軸に連動連結した動力受入れ軸(70)に第１ベル
   ト伝動機構(72)を内臓した第１伝動ケース(73)の一側部
   を回動自在に取付け、同第１伝動ケース(73)の他側部に
   第２ベルト伝動機構(74)を内臓した第２伝動ケース(75)
   の一側部を回動自在に取付け、同第２伝動ケース(75)の
   他側部に第３ベルト伝動機構(78)を内臓した第３伝動ケ
   ース(79)の一側部を回動自在に取付け、同第３伝動ケー
   ス(79)の他側部にバイブレータ(22)の入力軸(61)を連動
   連結して構成され、第１伝動ケース(73)、第２伝動ケー
   ス(75)及び第３伝動ケース(79)の少なくとも一つに前記
   トルクキーパ(T) が設けられていることを特徴とする請
   求項１記載の畦塗り機の動力伝達構造。
3. 【請求項３】 上記動力伝達機構(M) は、上記第１、第
   ２、第３伝動ケース(73)(75)(79)中に、それぞれ、各伝
   動ケース(73)(75)(79)の相互回動中心軸線に回転中心軸
   線を一致させたプーリ(72a)(72b)(74a)(74b)(78a)(78b)
   を配設し、これらのプーリ(72a)(72b)(74a)(74b)(78a)
   (78b)にベルト(72c)(74c)(78c) を巻回して、第１、第
   ２、第３ベルト伝動機構(72)(74)(78)を構成し、上記第
   １、第２、第３ベルト伝動機構(72)(74)(78)の少なくと
   も一つに前記トルクキーパ(T) が設けられていることを
   特徴とする請求項１記載の畦塗り機の動力伝達構造。