JPH0969455A - 電磁コイルおよびその製造装置 - Google Patents

電磁コイルおよびその製造装置

Info

Publication number
JPH0969455A
JPH0969455A JP8155716A JP15571696A JPH0969455A JP H0969455 A JPH0969455 A JP H0969455A JP 8155716 A JP8155716 A JP 8155716A JP 15571696 A JP15571696 A JP 15571696A JP H0969455 A JPH0969455 A JP H0969455A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
wire
wound
electromagnetic coil
wire rod
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8155716A
Other languages
English (en)
Inventor
Keisuke Kono
恵介 河野
Kazutoyo Osuga
一豊 大須賀
Noriyasu Inomata
憲安 猪俣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP8155716A priority Critical patent/JPH0969455A/ja
Publication of JPH0969455A publication Critical patent/JPH0969455A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 絶縁品質を向上する電磁コイルおよびその製
造装置を提供する。 【解決手段】 トラバース軸部609がボビン回転部6
04の回転に伴い所定の巻付ピッチP1 、例えば線材5
20の線径2倍以上10倍以下で移動する。このトラバ
ース軸部609の移動によってトラバース軸部609と
共に移動する巻線ノズル部610から吐出する線材52
0が、第1巻線部541によって形成された斜面530
に線径2倍以上10倍以下の巻付ピッチP1 の間隔で螺
旋状に巻付けられる。すると、往路側の線材520aと
復路側の線材520bとは互いに逆の傾きで交わるよう
に巻付けられる。これにより、例えば往路側の線材52
0aの上に重ねて巻かれる復路側の線材520bが往路
側の線材520aを引っかけて所定の巻付位置から往路
側の線材520aを逸脱させるのを抑制するため、巻線
崩れを生じ難くする効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁コイルおよび
その製造装置に関し、例えば内燃機関用点火コイル、小
型トランス等に用いられる電磁コイルおよびその製造装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、内燃機関用点火コイル、小型
トランス等に用いられる電磁コイルにおいては、耐電
圧、効率等を向上させるため、図11に示すいわゆる斜
向重巻きという巻き方で電磁コイルが構成されているこ
とが知られている。ここで、「斜向重巻き」とは、例え
ば図11に示すボビン701に電磁コイル用の線材70
2を巻付ける電磁コイルの巻き方であって、ボビン70
1の外周面に対して所定の傾斜角度θ0 をもって線材7
02を斜めに重ねて巻付ける電磁コイルの巻き方をい
う。
【0003】ところで、図11に示すボビン701に巻
付けられる線材702の傾斜角度θ 0 は、小さく設定す
るほど一斜面当たりの線材702の巻数が増加するた
め、隣接した斜面に巻付けられる線材702との線間電
位差が高くなる。すると、線材702の耐電圧確保が困
難になるため、線材702の傾斜角度θ0 を大きくする
必要があった。
【0004】ところが、このような大きい傾斜角の斜向
重巻きにより電磁コイル700を構成すると、ボビン7
01に巻付けられる線材702の線径が細くなると、ボ
ビン701に線材701を巻付ける途中において巻線崩
れを生ずることがある。これは、線材702を巻付ける
ピッチP0 が線径の2倍より小さく設定されているとき
に生じ易く、重ねて巻付けられる線材702が既に巻付
けられている線材702を引っかけて崩すためである。
図11に示す例では、往路側の線材702aの上に復路
側の線材702bが重ねて巻付けられる場合、ボビン7
01に復路側の線材702bを巻付けられるときに働く
ボビン701の径方向内側に向かう力によって復路側の
線材702bが往路側の線材702aを引っかけると、
ボビン701の軸方向に線材702aを押出すことか
ら、押出された線材702aが所定の巻付位置から逸脱
するため巻線崩れを生ずることになる。
【0005】このように、ボビンに線材が巻付けられる
途中で巻線崩れが生ずると、巻線崩れによって所定の巻
付位置から逸脱した線材がその巻線崩れが生じた位置よ
り高電位の巻付位置の線材に接近することがある。する
と、高電位にある線材同士の間でコロナ放電や絶縁破壊
を誘発するという問題を生ずる。そこで、このような巻
線崩れを防止するため、例えば特開平2−106910
号公報に開示される電気巻線部品の巻線方法、特開平2
−156513号公報に開示される電気巻線部品の巻線
方法が提案されている。このような巻線方法によると、
例えば図11に示す線材の傾斜角度θ0 を45°以下の
小さい角度に設定し、線材の巻付けピッチTO を線材の
外径の2倍より小さく設定することで前述した巻線崩れ
の防止を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
2−106910号公報および特開平2−156513
号公報に開示される電気巻線部品の巻線方法によると、
ボビンに巻付けられる線材の外径が0.1mm以下の場
合、巻付時の巻線崩れを十分に防止することができな
い。
【0007】また、特開昭60−107813号公報に
開示される点火コイルでは、ボビンに線材を巻付ける途
中に生ずる巻線崩れを防止するため、フェルト等で作ら
れた一対のガイドにより径方向から巻付けられた線材を
押さえながら線材を巻付けるという方法が提案されてい
る。ところが、この方法を用いても巻付時の巻線崩れを
生じ易い。
【0008】したがって、特開平2−106910号公
報および特開平2−156513号公報に開示される電
気巻線部品の巻線方法、特開昭60−107813号公
報に開示される点火コイルでは、線材の外径を0.1mm
以下に設定すると、十分な耐電圧保証を確保することが
困難になるという問題を生ずる。また、ボビンに線材を
巻付けるときに生ずる巻線崩れの別の原因として、ボビ
ンに巻付けられる線材が吐出する巻線ノズルとボビンの
巻付位置との距離が巻線状態によって変動することが挙
げられる。図11に示すように、この巻線ノズル703
と巻付位置との距離は、ボビン701に巻付けられる線
材702が復路側の線材702bから往路側の線材70
2aに転じる位置において最短距離L01となり、線材7
02が復路側の線材702aから復路側の線材702b
に転じる位置において最長距離L02となる。このため、
線材702の巻付位置がボビン701の径方向外側に位
置するほど巻線ノズル703との距離が小さくなり、ボ
ビン701の径方向の内側に位置するほど巻線ノズル7
03との距離が大きくなることから、巻線ノズル703
から吐出する線材702の振れ幅もこの距離に比例して
増減する。すると、線材702の振れ幅は、巻線ノズル
703と巻付位置との距離が大きくなるほど、つまり線
材702の巻付位置がボビン701の外周壁に近づくほ
ど増大するため、ボビン701の外周壁では巻付けられ
た線材702の整列度が低下することになる。したがっ
て、ボビン701の外周壁に近づくほど巻線崩れを誘発
し易いという問題を生ずる。
【0009】本発明の目的は、絶縁品質を向上する電磁
コイルおよびその製造装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の
電磁コイルによると、巻線部に斜向重巻きされる線材の
うち、隣合う線材同士の線間距離が線径の2倍以上10
倍以下であることから、斜向重巻きされる線材が線径2
倍以上10倍以下の間隔で螺旋状に巻付けられる。この
ため、例えば斜向重巻きされる線材を斜向重巻きされる
斜面に往復移動させながら巻付けるとすると、往路側の
線材と復路側の線材とが互いに逆の傾きで交わるように
巻付けられる。これにより、線径の2倍未満の間隔で螺
旋状に巻付けられる場合と比較して、重ねて巻かれる往
路側の線材と復路側の線材とが互いに接触する面積が減
少する。したがって、上側に巻かれる線材が下側に巻か
れる線材を引っかけて所定の巻付位置から逸脱させるの
を抑制することで巻線崩れを生じ難くするため、絶縁品
質を向上する効果がある。
【0011】また、本発明の請求項2記載の電磁コイル
によると、巻線部に斜向重巻きされる線材のうち、隣合
う線材同士の線間距離が2倍以上4倍以下であることか
ら、斜向重巻きされる線材が線径2倍以上4倍以下の間
隔で螺旋状に巻付けられる。すると、斜向重巻きされる
斜面、1面当たりの巻数が増加するため、巻線部の所定
の巻線位置に線材を送出す例えばノズル部等の往復回数
を減少させることができる。また斜向重巻きされる斜
面、1面当たりの巻数が増加することから、電磁コイル
の巻線密度を増加させることができる。したがって、絶
縁品質を向上する効果に加え、生産効率を向上させると
ともに電磁コイルを小型化にする効果がある。
【0012】さらに、本発明の請求項3記載の電磁コイ
ルによると、巻線部に斜向重巻きされる斜面の傾斜角度
が6°以上であることから、斜向重巻きされる斜面、1
面当たりの巻数の増加を抑制することができる。これに
より、斜向重巻きされる斜面の隣合う斜面同士の電位差
を減少させるため、耐電圧の確保を容易にするとともに
巻線崩れをも防止する効果がある。
【0013】さらにまた、本発明の請求項4記載の電磁
コイルによると、斜向重巻きされる斜面の傾斜角度が6
°以上20°以下であることから、傾斜角度が20°よ
りも大きい場合と較べ巻付時の巻線崩れを防止し、巻線
間の耐電圧の確保が容易になる。また、本発明の請求項
5記載の電磁コイルによると、筒状のボビンに形成され
た巻線部の外周に周方向に沿って一部に巻線渡し部が形
成されることから、巻線部の外周壁面の隣接する巻線層
に巻付けられる線材はこの巻線渡し部を通過させて巻付
けることができる。そして、巻線部の外周に周方向に沿
って残部に巻線係止部が形成されることから、巻線部に
巻付けられた線材が軸方向に滑って移動してもこの巻線
係止部によって移動が阻止される。これにより、巻線部
の外周壁面を線材が滑ることによる巻線崩れを防止する
効果がある。したがって、巻線崩れによる絶縁品質の低
下を防止する効果がある。
【0014】さらに、本発明の請求項6記載の電磁コイ
ルによると、同一周上に形成される巻線渡し部および巻
線係止部は、軸方向に隣接する巻線渡し部または巻線係
止部と所定距離離れて配置されることから、この所定距
離間に線材を所定回数巻付けることができ、巻線係止部
による線材の移動を阻止しながら巻付け回数等の管理を
容易にする効果がある。
【0015】さらにまた、本発明の請求項7記載の電磁
コイルによると、断面円形の筒状のボビンに形成された
巻線部の外壁に軸方向に沿って延びて角部が形成される
ことから、ボビンに線材が巻回されるとき生ずるボビン
の径方向内側に働く力によって巻回される線材が角部に
特に強く押付けられる。これにより、巻線部に巻付けら
れた線材がボビンの外周壁を軸方向に滑って移動するの
を阻止できる。また例えば断面矩形の筒状のボビン(以
下、「角形ボビン」という。)に線材を巻回する場合と
比較すると、本案ではボビンの外周壁が断面円形の筒状
であることから、ボビンの径方向内側に働く力を均一に
保つことができ線材の断線を防止する効果がある。さら
に角形ボビンと比較すると、断面円形の筒状であること
から太さを細くすることができる。したがって、断面円
形の筒状のボビンの利点を備えながら巻線崩れによる絶
縁品質の低下を防止する効果がある。
【0016】また、本発明の請求項8記載の電磁コイル
によると、巻線部の角部は、巻線部の外周壁を形成する
曲面部と平面部とより形成されることから、断面円形の
筒状のボビンの外周壁の一部を切削することにより容易
に角部を形成することができる。このように容易に形成
される平面部とボビンの外周壁である曲面部と境界に形
成される角部に巻回される線材が特に強く押付けられる
ため、巻線部に巻付けられた線材がボビンの外周壁を軸
方向に滑って移動するのを容易に阻止できる効果があ
る。
【0017】本発明の請求項9記載の電磁コイルによる
と、巻線部に斜向重巻きされる斜面の傾斜角度が6°以
上であることから、斜向重巻きされる斜面、1面当たり
の巻数の増加を抑制することができる。これにより、斜
向重巻きされる斜面の隣合う斜面同士の電位差を減少さ
せるため、耐電圧の確保を容易にするとともに巻線崩れ
をも防止する効果がある。
【0018】また、本発明の請求項10記載の電磁コイ
ルによると、斜向重巻きされる斜面の傾斜角度が8°以
上17°以下であることから、傾斜角度が6°の場合と
較べ、斜向重巻きされる斜面、1面当たりの巻数の増加
をさらに抑制できる。したがって、耐電圧の確保を一段
と容易にするとともに巻線崩れをも防止することができ
る。
【0019】さらにまた、本発明の請求項11記載の電
磁コイルによると、斜向重巻きされる線材のうち、隣合
う線材同士の線間距離が線径の2倍以上10倍以下であ
ることから、請求項1と同様に巻線崩れを生じ難くする
ため、絶縁品質を向上する効果がある。さらにまた、本
発明の請求項12記載の電磁コイルによると、巻線部に
斜向重巻きされる線材のうち、隣合う線材同士の線間距
離が2倍以上4倍以下であることから、請求項2と同様
に絶縁品質を向上する効果に加え、生産効率を向上させ
るとともに電磁コイルを小型化にする効果がある。
【0020】さらに、本発明の請求項13記載の電磁コ
イルの製造装置によると、ボビンに巻回される線材を吐
出するノズル部が駆動機構によってボビンの軸に対して
所定角をなす斜面に沿って移動することから、ボビンに
巻付けられる線材の巻付位置にかかわらずノズル部と線
材の巻付位置との距離を最小に保つことができる。これ
により、ノズル部と線材の巻付位置との距離が大きいこ
とにより生ずる線材の振れ幅を最小限に抑制することが
でき、ボビンに巻付けられる線材の巻付位置にかからず
巻付けられた線材の整列度を向上させることができる。
したがって、ボビンに巻付けられた線材の整列度が向上
することから、整列度の低下による巻線崩れを防止する
効果がある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基
づいて説明する。 (第1実施例)本発明の電磁コイルを内燃機関用点火コ
イルに適用した第1実施例を図2〜図5に示す。
【0022】図2に示すように、内燃機関用点火コイル
(以下、「点火コイル」という。)2は、主に円筒状の
トランス部5と、このトランス部5の一方の端部に位置
しトランス部5の一次電流を断続する制御回路部7と、
トランス部5の他方の端部に位置しトランス部5の二次
電圧を図示しない点火プラグに供給する接続部6とから
構成されている。
【0023】点火コイル2は、点火コイル2のハウジン
グである樹脂材料からなる円筒状のケース100を備え
ており、このケース100の内側に形成されている収容
室102内には、高電圧発生用のトランス部5と制御回
路部7とトランス部5の周囲を満たす絶縁油29とが収
容されている。収容室102の上端部には、制御信号入
力用コネクタ9が設けられ、また収容室102の下端部
には、後述するカップ15の底部により閉塞された底部
104が形成されている。このカップ15の外周壁は、
ケース100の下端に位置する接続部6に覆われてい
る。
【0024】接続部6には、ケース100によって図示
しない点火プラグを収容する筒部105が形成され、こ
の筒部105の開口端にはゴムからなるプラグキャップ
13が装着されている。筒部105の上端に位置する底
部104には、導電部材としての金属製のカップ15が
ケース100の樹脂材料中にインサート成形されてい
る。このため、収容室102と接続部6とは液密に区画
されている。
【0025】カップ15の底部に係止されているスプリ
ング17は、圧縮コイルスプリングからなり、接続部6
内に挿入される図示しない点火プラグの電極部がスプリ
ング17の他端部に電気的に接触するようになってい
る。制御信号入力用コネクタ9は、コネクタハウジング
18とコネクタピン19とから構成されている。コネク
タハウジング18は、ケース100と一体成形されてお
り、このコネクタハウジング18内に位置する3本のコ
ネクタピン19がケース100を貫通し外部と接続可能
にコネクタハウジング18にインサート成形されてい
る。
【0026】ケース100の上側には、トランス部5、
制御回路部7、絶縁油29等をケース100の外部から
収容室102に収容するための開口部100aが形成さ
れている。この開口部100aは、樹脂製の蓋31およ
びOリング32により液密に閉塞され、さらにこの蓋3
1の表面を覆うように金属製の蓋33がケース100の
上部にかしめ固定されている。
【0027】トランス部5は、鉄心502、磁石50
4、506、二次スプール510、二次コイル512、
一次スプール514および一次コイル516から構成さ
れている。円柱状の鉄心502は、薄い珪素鋼板を断面
がほぼ円形となるように重ねて組立られている。この鉄
心502の両端には、コイルにより励磁されて発生する
磁束の方向とは逆方向の極性を有する磁石504、50
6がそれぞれ粘着テープにより固定されている。
【0028】ボビンとしての二次スプール510は、両
端に鍔部510a、bを有する有底円筒状に形成される
樹脂成形品で、底部510cにより下端部がほぼ閉塞さ
れている。二次スプール510の底部510cには、二
次コイル512の一端から引き出される図示しない引出
線が電気的に接続されたターミナルプレート34が固定
され、このターミナルプレート34にカップ15と接触
するためのスプリング27が固定されている。これらタ
ーミナルプレート34とスプリング27とがスプール側
導電部材として機能し、二次コイル516に誘起された
高電圧がターミナルプレート34、スプリング27、カ
ップ15、スプリング17を経由して図示しない点火プ
ラグの電極部に供給される。
【0029】また、二次スプール510の反底部510
c側端部には、二次スプール510と同心上に筒部51
0fが延出して形成されている。この二次スプール51
0の内部には、前記鉄心502と磁石506とが収容さ
れ、二次スプール510の外周には、後述する巻線装置
によって巻回される二次コイル512が位置している。
【0030】さらに、二次スプール510の鍔部510
a、bの間に位置する筒状の巻線部510dには、図4
に示す複数状の巻線係止部としての突起部510eが形
成されている。図4には、二次コイル512の線材52
0を巻付ける前の二次スプール510が示されており、
巻線部510dの径方向断面を軸方向から見た突起部5
10eの各位置が示されている。この突起部510eは
巻線部510dの周方向の一部範囲にわたって周方向に
延びるように形成されており、周方向に隣合う突起部5
10e同士の間には巻線部510d上に巻付けられる線
材520が通過可能な巻線渡し部としての隙間部が形成
されている。つまり、突起部510eが形成されない二
次スプール510の外壁がこの隙間部に相当する。突起
部510eの形成位置は、後述する巻線装置の模式図で
ある図1の二次スプール510に示されている。
【0031】図1に示すように、巻線部510dに形成
される突起部510eは、周方向に等間隔に形成される
とともに、周方向に隣合う突起部510e同士が巻線部
510dの外周壁面を周方向に螺旋を描くように位置し
ている。このように各突起部510eを位置させること
で、突起部510eを避けるように巻線部510dに線
材520を巻付けることができる。これにより、二次ス
プール510に巻付けられる線材520が突起部510
eの上に巻付けられることがないため、例えば突起部5
10eにより線材520の外周を覆う絶縁被覆が傷付け
られるのを防止できる。
【0032】なお、二次スプール510の巻線部510
dには、突起部510eの代わりに突起部510eと同
様、巻線部510dの周方向の一部範囲にわたって周方
向に延びるように形成される巻線係止部としての溝部を
形成しても良い。この場合、周方向に隣合う溝部同士の
間には巻線部510d上に巻付けられる線材520が通
過可能な巻線渡し部としての隙間、つまり二次スプール
510の外壁が位置している。また、二次スプール51
0の巻線部510dには、突起部510eの代わりに巻
線部510dの全周にわたって周方向に延びるように形
成される周溝部を形成しても良い。この周溝部内には周
方向の一部範囲にわたって深さが異なる部分があり、深
さが深い溝位置が巻線係止部に相当し、深さが浅い溝位
置が巻線渡し部に相当する。
【0033】二次スプール510の軸方向に沿って突起
部510eを切断したときの突起部510eの断面形状
を示す図5から判るように、突起部510eの断面形状
は、巻線部510dに巻付けられる線材520の巻付進
行方向に対向する斜面510gが角度αをなす角を有す
る三角形状である。この角度αは、巻線部510dに巻
付ける線材520がこの突起部510eを乗り越えない
程度の角度、例えば60°以上に設定されている。そし
て、二次スプール510の径方向外側に延びる突起部5
10eの高さHは、二次スプール510に巻付けられる
線材520の線径より大きく設定されている。
【0034】なお、突起部510eの断面形状は、三角
形状に限られることはなく、二次スプール510を樹脂
成形するときの型抜きが可能であれば矩形状、多角形
状、半円状等でも良い。ここで、二次スプール510に
巻付けられる線材520の線径が線材520の絶縁被覆
を含めて0.07mmで、線材520が斜向巻きされると
きの傾斜角度が15°に設定される場合、二次スプール
510に形成される突起部510eの各寸法の一例を図
1および図5に基づいて説明する。
【0035】図1に示すように、突起部510eは、巻
線部510dの外周壁面に所定の軸方向間隔Dで形成さ
れており、この軸方向間隔Dは、線材520の線径等に
応じて適宜設定され、例えば線材520の線径が0.0
7mmであるとき、軸方向間隔Dは0.2mmに設定され
る。同様に突起部510eの最大高さHも線材520の
線径の3倍程度に設定されるため、例えば線材520の
線径が0.07mmであるとき、最大高さHは0.2mmに
設定される。また突起部510eは、二次スプール51
0の周方向の一部範囲にわたって形成されているので、
突起部510eにより線材520が小さな角度で曲げら
れることがなく、容易に隣接する巻回層に移ることがで
きる。突起部510eを形成する斜面のうち、線材52
0の巻線進行方向に対向する斜面510gは、巻線部5
10dの表面に対して角度αが前述した60°以上、例
えば85°に設定される。
【0036】このように設定された突起部510eが巻
線部510dに形成されることで、巻線部510dの外
周壁面に巻付けられた線材520が、例え軸方向に滑っ
て移動したとしても、斜面510gによって線材520
の移動が阻止される。これにより、巻線部510dの外
周壁面を線材520が滑ることによる巻線崩れを防止す
る効果がある。
【0037】図2に示すように、樹脂成形品である一次
スプール514は、両端に鍔部514a、bを有する有
底円筒状に形成されており、蓋部514cにより上端部
がほぼ閉塞されている。この一次スプール514の外周
には一次コイル516が巻回されている。一次スプール
514の蓋部514cには、一次スプール514の下端
部側に延びる筒部514fが一次スプール514と同心
上に形成されるとともに、開口部514dが形成されて
いる。この筒部514fは、前述した二次スプール51
0と一次スプール514とを組付けたとき、二次スプー
ル510の筒部510fの内側に同心円となって位置す
るように形成されている。したがって、一次スプール5
14と二次スプール510との組付時、一次スプール5
14の蓋部514cと二次スプール510の底部510
cとの間に、両端に磁石504、506を備えた鉄心5
02が挟持される。
【0038】図2および図3に示すように、一次コイル
516が巻回された一次スプール514の外側には、ス
リット508aを有する補助コア508が装着されてい
る。この補助コア508は、薄い珪素鋼板を筒状に巻回
し、巻回開始端と巻回終了端とを接続しないことから軸
方向にスリット508aを形成しており、磁石504の
外周位置から磁石506の外周位置にわたる軸方向長さ
を有する。これにより、補助コア508の周方向に発生
する渦電流を低減している。
【0039】トランス部5等が収容されている収容室1
02内には、収容室102の上端部に僅かの空気空間を
残して絶縁油29が充填されている。絶縁油29は、一
次スプール514の下側開口端、一次スプール514の
蓋部514cのほぼ中央部に開設された開口514d、
二次スプール510の上側開口端および図示しない開口
を通して侵入し、鉄心502、二次コイル512、一次
コイル516、補助コア508等の間の電気絶縁を確実
なものとしている。
【0040】次に、二次コイル512として巻付けられ
る線材520を二次スプール510に巻付ける巻線装置
を図1に基づいて説明する。図1に示すように、二次コ
イル512を巻回する巻線装置600は、ボビン支持部
602、ボビン回転部604、送り軸部607、トラバ
ース軸部609、巻線ノズル部610、制御装置612
等から構成されている。
【0041】支持部としてのボビン支持部602は、二
次スプール510の軸方向長さより長い軸部602a
と、この軸部602aが挿入された二次スプール510
の鍔部510aに当接可能なストッパ部602bとから
構成されている。このボビン支持部602は、回転機構
を備えるボビン回転部604によって所定方向に回転す
る。
【0042】回転駆動部としてのボビン回転部604
は、制御部612によって回転の開始、停止および回転
速度が制御される。このボビン回転部604の制御は、
制御部612によって制御される送り軸部607、トラ
バース軸部609等の制御状態に関連する。送り軸部6
07は、ボビン支持部602にセットされた二次スプー
ル510の軸と所定間隔を隔てて平行に位置する回転軸
606a上を回転軸606aの回転に従って移動可能な
機構を備えている。そして、トラバース軸部609が1
回往復する毎に所定距離だけ図1で矢印A方向に向かっ
て移動する。
【0043】回転軸駆動部606は回転軸606aの端
部に位置しており、回転軸606aを回転させる機構を
備えている。この回転軸駆動部606の制御は、制御部
612によって制御される。トラバース軸部609は、
二次スプール510の軸に対して所定角をなすように位
置する回転軸608a上を回転軸608aの回転に従っ
て移動可能な機構を備えている。そして、回転軸608
aの回転方向に応じて回転軸608a上をトラバース軸
部609が往復移動することで、トラバース軸部609
に取付けられた巻線ノズル部610を移動させている。
これにより、巻線部510dに斜向巻きされる線材52
0によって形成される斜面530と平行に巻線ノズル部
610が移動できる。なお、二次スプール510の軸に
対する回転軸608aの所定角は、二次スプール510
に線材520を巻回している途中において任意に変化さ
せることもできる。
【0044】回転軸駆動部608は送り軸部607に取
付けられると共に回転軸608aの端部に位置してお
り、回転軸608aを回転させる機構を備えている。こ
の回転軸駆動部608の制御は、回転軸駆動部606と
同様、制御部612によって制御される。ノズル部とし
ての巻線ノズル部610はトラバース軸部609に取付
けられており、トラバース軸部609の往復移動に従っ
て移動することで、巻線ノズル部610から吐出する線
材520を所定の巻付位置に位置決めしている。
【0045】ここで、回転軸駆動部608、回転軸60
8aおよびトラバース軸部609は、特許請求の範囲に
記載の「駆動機構」に相当する。次に、前述した巻線装
置600によって二次スプール510に巻付けられる線
材520の巻き方を図1および図6に基づいて説明す
る。図6に示すように、二次スプール510に巻付けら
れる線材520は、第1巻線部541、第2巻線部54
2、第3巻線部543からなる3つの区画に区分されて
おり、それぞれの区画によって巻き方が異なる。
【0046】第1巻線部541では、巻線ノズル部61
0から吐出した線材520を鍔部510aの内側から鍔
部510b方向に向かって巻始め、所定のターン数であ
る3ターンだけ巻付ける。その後、この巻付けられた線
材520上に重ねて反対方向、すなわち鍔部510a方
向に向かって3ターン巻付けて鍔部510aの内側に戻
る。さらに2段重ねに巻付けられた線材520上に鍔部
510b方向に向かって3ターン巻付け、続けて鍔部5
10b方向に向かって3ターン巻付ける。すると、1段
目に6ターン、2段目および3段目に3ターンそれぞれ
巻付けられたことになる。そして、この巻付けられた線
材520上に重ねて鍔部510a方向に向かって6ター
ン巻付けることで、鍔部510aの内側に戻る。さらに
また4段重ねに巻付けられた線材520上に鍔部510
b方向に向かって3ターン巻付け、続けて2段重ねに巻
付けられた線材520上に3ターン巻付け、さらに続け
て鍔部510b方向に向かって3ターン巻付ける。これ
により、図6に示すように、1段目に9ターン、2段目
および3段目に6ターン、3段目および4段目に3ター
ンそれぞれ巻付けられたことになる。このように、鍔部
510b方向に向かって所定のターン数である3ターン
づつ巻付け位置を進めることで、巻線部510dの途中
において径方向外側に向かって多重に巻線層が形成さ
れ、巻付けられた線材520に斜面530が形成され
る。この斜面530の傾斜角度θ1 は、鍔部510b方
向に向かって巻付ける前述した「所定のターン数」によ
って決定され、例えば6°以上に設定されている。この
傾斜角度θ1 は、「所定のターン数」を変化させること
で任意に設定することができる。そして、傾斜角度θ1
に合わせて巻線ノズル部610が往復移動することか
ら、線材520の整列度を一定にすることができる。
【0047】ここで、この傾斜角度θ1 は、大きく設定
するほど斜面530に沿って線材520がずれやすくな
るため、ずれた線材520に対して所定の電位差よりも
高い電位差を有する線材520にずれた線材520が接
近することがある。すると、線材520同士の間での耐
電圧保証を確保することが困難になる。この巻線崩れを
防止するため、線材520の傾斜角度θ1 は20°以下
とする必要があり、望ましくは17°以下が適切であ
る。これにより、巻線崩れを防止しつつトランス部5の
線材520として要求される耐電圧をも確保できる。さ
らに、この傾斜角度θ1 は小さく設定するほど斜面53
0、1面当たりの線材520の巻数が増加し、その結果
隣接した斜面に巻付けられる線材520との線間電位差
が高くなる。すると、線材520の耐電圧を十分に確保
する必要が生ずるため、線材520の絶縁被覆厚の増加
等によりトランス部5の体格の増大を招くことになる。
そのため、線材520の傾斜角度θ1 は6°以上とする
必要があり、8°以上とすることが望ましい。これによ
り、巻線崩れを防止しつつ、線材520の絶縁被覆厚を
増加させることがないのでトランス部5の体格の増大を
防止できる。
【0048】なお、斜面上の線材520のずれ量と、そ
のずれ量を生じた場合に想定される線材間の電位差と、
線材に被覆された絶縁皮膜の絶縁強度とに基づいて、許
容しうる巻き崩れを想定することができる。上記の傾斜
角度θ1 は、このような許容範囲を考慮した数値であ
る。このような知見に基づいて、傾斜角度θ1 の推奨範
囲としては6°以上20°以下の範囲とすることができ
る。ただし、製造工程でのばらつきなどの要因を考慮す
ると、8°以上17°以下の範囲が望ましい。
【0049】さらに、巻数を低減して線間電位差を低下
させるために、傾斜角度θ1 は10°以上にすることが
より望ましい。さらにまた、巻線崩れを防止し、かつト
ランス部5の体格を増大させることなく線材520の耐
電圧を確保するために、傾斜角度θ1 は12°以上18
°以下としてもよい。また、上記実施例においては傾斜
角度θ1 を15°としたが、同程度の性能を確保しうる
範囲としては、13°から15°の範囲が好ましい。ま
た、上記条件において線材の線径は0.1mm以下とする
ことができる。
【0050】第2巻線部542では、第1巻線部541
によって形成された斜面530に沿って線材520を巻
付けられる。図1は巻線装置600により第2巻線部5
42が巻付けられている様子を示しており、巻線ノズル
部610の動きが模式的に示されている。ここで、図1
および図6においては、第2巻線部542に巻付けられ
る線材520のうち、巻線ノズル部610が二次スプー
ル510の外周壁面に近づきながら巻付けられる線材5
20を往路側の線材520aとして黒丸および幅広の黒
線で表し、巻線ノズル部610が二次スプール510の
外周壁面から離れながら巻付けられる線材520を復路
側の線材520bとして白丸および幅広の白抜き線で表
している。
【0051】トラバース軸部609がボビン回転部60
4の回転に伴い所定の巻付ピッチP 1 、例えば線材52
0の線径2倍以上10倍以下で移動する。すると、この
トラバース軸部609と共に移動する巻線ノズル部61
0から吐出する線材520が、第1巻線部541によっ
て形成された斜面530にこの巻付ピッチP1 で巻付け
られる。つまり、斜面530に線径2倍以上10倍以下
の巻付ピッチP1 の間隔で螺旋状に巻付けられる。この
ため、図1に示すように、往路側の線材520aと復路
側の線材520bとは互いに逆の傾き角度βで交わるよ
うに巻付けられる(以下、この巻付方法を「交差巻方
式」という。)。
【0052】図6では、往路側の線材520aの1段目
を巻付け、さらに1段目の上に復路側の線材520bを
巻付け終わったところを示している。このように、往路
側の線材520aと復路側の線材520bとを所定の巻
付ピッチP1 で巻付ける交差巻方式をとることで、往路
側の線材520aと復路側の線材520bとが交わる交
差角度βを大きくすることができる。この交差角度βが
大きいほど重ねて巻かれる上下の線材520同士が互い
に点で接触し交差角度βが小さいほど線で接触するた
め、交差角度βが大きいほど重ねて巻かれる上下の線材
520同士の接触部分が少なくなる。これにより、例え
ば往路側の線材520aの上に重ねて巻かれる復路側の
線材520bが往路側の線材520aを引っかけて所定
の巻付位置から往路側の線材520aを逸脱させるのを
抑制するため、巻線崩れを生じ難くする。したがって、
巻線崩れによる絶縁品質の低下を防止する効果がある。
ここで、前述したように「所定の巻付ピッチP1 」は大
きいほど巻線崩れを効果的に抑制する。ところが、「所
定の巻付ピッチP1 」が大きくなるほど第1巻線部54
1によって形成された斜面530、1面当たりの巻数が
減少するため、二次コイル512として決められた所定
巻数を巻くためにはトラバース軸部609の往復回数が
増加することになる。すると、生産効率が低下および巻
線密度の低下に伴うトランス部5の大型化を招く。その
ため、「所定の巻付ピッチP1 」は線材520の線径2
倍以上4倍以下に設定するのが望ましい。これにより、
生産効率が低下およびトランス部5の大型化を招くこと
なくして、巻線崩れを効果的に抑制できる。
【0053】また、図6に示すように、巻線ノズル部6
10は、第1巻線部541によって形成された斜面53
0と平行に往復移動することから、二次スプール510
に巻付けられる線材520の巻付位置にかからず巻線ノ
ズル部610と線材520の巻付位置との距離を最小に
保つことができる。これにより、二次スプール510に
巻付けられる線材520が復路側の線材520bから往
路側の線材520aに転じる位置において巻線ノズル部
610と線材520の巻付位置との距離L1 と、線材5
20が往路側の線材520aから復路側の線材520b
に転じる位置においての距離L2 とをほぼ同一にしかも
最小に保ちながら線材520を巻付けることができる
(以下、この巻付方法を「斜めトラバース方式」とい
う。)。したがって、線材520が往路側の線材520
aから復路側の線材520bに転じる位置、すなわち二
次スプール510の外周壁に巻付けられる巻付位置にお
いても線材520の振れ幅W1 を最小限に抑え、巻付け
られた線材520の整列度の低下を防止できる。したが
って、二次スプール510の外周壁に近づくほど低下し
ていた線材520の整列度を向上させ、整列度の低下に
よる巻線崩れを誘発を防止するため、絶縁品質を向上す
る効果がある。
【0054】第3巻線部543では、第2巻線部542
と同様、第2巻線部542によって形成された斜面53
1に沿って、往路側の線材520aと復路側の線材52
0bとを交差巻方式で巻付ける。このとき、巻終わり近
づくほど線材520を巻付ける幅が狭くなることから、
トラバース軸部609の移動量も徐々に小さくなる。こ
の第3巻線部543においても、前述した斜めトラバー
ス方式により線材520を巻付けることから、第2巻線
部542と同様、線材520の整列度を向上させること
で、整列度の低下による巻線崩れを誘発を防止するた
め、絶縁品質を向上する効果がある。
【0055】(第2実施例)本発明の第2実施例による
二次スプールを図7および図8に示す。図7(a) 、(b)
および図8(a) に示す第2実施例は、円筒状の二次スプ
ールの外壁に軸方向に沿って延びる平面部が形成される
例であり、図8(b) に示す第2実施例は、二次スプール
の外壁に軸方向に沿って延びる断面略三角形状の角部と
しての突起部が形成される例である。
【0056】図7(a) に示すように、二次スプール56
0は円筒状に形成されており、その外壁には例えば周方
向に180°間隔に軸方向に沿って連続的に延びる平面
部564が2箇所形成されている。二次スプール560
の外壁にこの平面部564が形成されることにより、平
面部564が形成されていない曲面部562と平面部5
64との境界に角部567が形成される。これにより、
二次スプール560の外周壁に図示しない線材を巻付け
た場合、線材が巻回されるとき生ずる二次スプール56
0の径方向内側に働く力によって巻回される線材が角部
567に特に強く押付けられるため、二次スプール56
0の外周壁に巻回された線材が軸方向に滑って移動する
のを阻止する効果がある。
【0057】図7(b) に示す二次スプールの変形例1
は、前述した二次スプール560に形成される平面部5
64を部分的に形成した例である。二次スプール570
は円筒状に形成されており、その外壁には周方向に例え
ば180°間隔に軸方向に沿って部分的に延びる平面部
574が2箇所形成されている。そして、この平面部5
74が形成される同一周上には平面部574が形成され
ていない曲面部573が形成されているため、この曲面
部573と平面部574との境界に角部572が形成さ
れている。この曲面部573と平面部574とにより1
層分の巻線層が形成される。この曲面部573と平面部
574とにより形成される巻線層に隣接する巻線層は、
同様に曲面部575と平面部576とにより形成されて
いる。このとき、隣接する平面部574と平面部576
とは互いに軸方向に重ならないように周方向にずれてそ
れぞれ位置している。また同様に曲面部575と平面部
576とにより形成される巻線層に隣接する巻線層は、
曲面部577と平面部578とにより形成されている。
【0058】このように、曲面部573と平面部57
4、曲面部575と平面部576および曲面部577と
平面部578のそれぞれの境界に角部572が形成され
ることから、前述した二次スプール560と同様、二次
スプール570の外周壁に図示しない線材を巻付けた場
合、線材が巻回されるとき生ずる二次スプール570の
径方向内側に働く力によって巻回される線材が角部57
2に特に強く押付けられるため、二次スプール560の
外周壁に巻回された線材が軸方向に滑って移動するのを
阻止する効果がある。
【0059】図8(a) に示す二次スプールの変形例2
は、前述した変形例1の二次スプール570に部分的に
形成される平面部574を周方向に例えば120°間隔
に3箇所形成した例である。周方向に平面部584が3
箇所形成されることで、曲面部582と平面部584と
の境界に形成される角部585の形成箇所が増加するこ
とから、前述した二次スプール560および570と較
べ二次スプール580の外周壁に巻回された線材が軸方
向に滑って移動するのをさらに阻止する効果がある。
【0060】図8(b) に示す二次スプールの変形例3
は、二次スプール590の外壁に軸方向に沿って延びる
断面略三角形状の角部としての突起部594が周方向に
45°間隔に形成される例である。このように二次スプ
ール590の外壁に突起部594が形成されることで
も、二次スプール590の外周壁に図示しない線材を巻
付けた場合、線材が巻回されるとき生ずる二次スプール
590の径方向内側に働く力によって巻回される線材が
突起部594に特に強く押付けられるため、前述した二
次スプール560、570および580と同様、二次ス
プール590の外周壁に巻回された線材が軸方向に滑っ
て移動するのを阻止する効果がある。
【0061】上述したように、第2実施例による二次ス
プール560、570、580および590によると、
例えば角形ボビンに線材を巻回した場合と比較すると、
二次スプール560、570、580および590は円
筒状であることから、線材を巻付けるときに働きこれら
二次スプールの径方向内側に作用する力を均一に保つこ
とができるため、線材の断線を防止する効果がある。さ
らに第1実施例で説明した円筒形状の点火コイル2に角
形ボビンを用いる場合と比較すると、円筒状の二次スプ
ールはその太さを細くすることができるため、点火コイ
ル2をコンパクトにする効果がある。したがって、円筒
状のスプールの利点を備えながら巻線崩れによる絶縁品
質の低下を防止する効果がある。
【0062】(第3実施例)本発明の第3実施例による
斜向巻コイルの巻き方を図9に示す。第1実施例と実質
的に同一の構成部分については、同一符号を付す。図9
に示す第3実施例は、二次スプール510の軸と所定間
隔を隔てて平行に位置する図示しない回転軸上を巻線ノ
ズル部630が移動するもので、第1実施例で説明した
斜めトラバース方式を採らない例である。
【0063】図9に示すように、線材520を吐出する
巻線ノズル部630は、二次スプール510の軸と平行
に移動する。図9に示す第2巻線部542では、この巻
線ノズル部630が図示しない制御装置によって次に説
明するように制御される。図9は、図1と同様、第2巻
線部542に線材520が巻付けられている様子を示し
ており、巻線ノズル部630の動きを模式的に示したも
のである。ここで、第1実施例を同様、図9に示す黒丸
は往路側の線材520aを表し、白丸は復路側の線材5
20bを表している。
【0064】巻線ノズル部630が図示しないボビン回
転部の回転に伴い所定の巻付ピッチP1 、例えば線材5
20の線径2倍以上10倍以下で移動することで、巻線
ノズル部630から吐出する線材520が第1巻線部5
41によって形成された斜面530にこの巻付ピッチP
1 で巻付けられる。すると、斜面530に巻付ピッチP
1 の間隔で螺旋状に巻付けられるため、第1実施例と同
様、交差巻方式で巻付けられることになる。これによ
り、例えば往路側の線材520aの上に重ねて巻かれる
復路側の線材520bが往路側の線材520aを引っか
けて所定の巻付位置から往路側の線材520aを逸脱さ
せるのを抑制するため、巻線崩れを生じ難くする効果が
ある。
【0065】また、巻線ノズル部630は、第1実施例
の巻線ノズル部610と異なり斜め前述したトラバース
方式を採らないため、二次スプール510に巻付けられ
る線材520が復路側の線材520bから往路側の線材
520aに転じる位置において巻線ノズル部610と線
材520の巻付位置との距離L3 と、線材520が往路
側の線材520aから復路側の線材520bに転じる位
置においての距離L4とが異なる。したがって、二次ス
プール510の外周壁に巻付けられる巻付位置におい
て、線材520の振れ幅W2 が第1実施例の線材520
の振れ幅W1 と較べると増大することになる。しかし、
巻付けられた線材520が巻線崩れを生じない程度の整
列度を維持可能な振れ幅W2 であれば、第1巻線部54
1によって形成された斜面530と平行に位置する回転
軸等を必要としないことから、巻線装置の構成を簡素に
し、巻線装置の製品コストを低減する効果がある。
【0066】(第4実施例)本発明の第4実施例による
斜向巻コイルの巻き方を図10に示す。第1実施例と実
質的に同一の構成部分については、同一符号を付す。図
10に示す第4実施例は、往路側の線材520aの巻付
ピッチと復路側の線材520bの巻付ピッチとを異なる
ように設定した例である。
【0067】図10は、図1と同様、第2巻線部545
に線材520が巻付けられている様子を示している。こ
こで、第1実施例を同様、図10に示す黒丸は往路側の
線材520aを表し、白丸は復路側の線材520bを表
している。図10に示すように、交差巻方式で巻付ける
往路側の線材520aを所定の巻付ピッチP3 、例えば
線材520の線径2倍以上10倍以下に設定し、復路側
の線材520bを所定の巻付ピッチP4 、例えば線材5
20の線径2倍未満に設定する。すると、巻付ピッチP
4 を狭く設定した復路側の線材520bの巻数が増加す
るため、第1巻線部541によって形成された斜面53
0、1面当たりの巻数を増加させることができる。これ
により、第1実施例、第3実施例で示した第2巻線部5
42に巻付ける線材520の巻数と同じ巻数をこの第2
巻線部545に巻付けるとすると、斜面530、1面当
たりの巻数を増加させたことにより線材520を吐出す
る図示しない巻線ノズル部を往復させる回数を減少させ
ることができる。したがって、二次スプール510等に
線材を巻付ける工程の生産効率を向上させる効果があ
る。
【0068】なお、第4実施例では、往路側の線材52
0aを巻付ピッチP3 、復路側の線材520bを巻付ピ
ッチP4 に設定したが、本発明では、これに限られるこ
とはなく、往路側の線材520aを巻付ピッチP4 、復
路側の線材520bを巻付ピッチP3 に設定しても良
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による斜向巻コイルの製造
装置と巻付け途中の斜向巻コイルを示す模式図である。
【図2】第1実施例の斜向巻コイルを組付けた内燃機関
用点火コイルの縦断面図である。
【図3】図2に示すトランス部のIII −III 線断面図で
ある。
【図4】図1に示す一次スプールのIV−IV線断面図であ
る。
【図5】二次スプールに形成される突起部の軸方向断面
形状を示す模式図である。
【図6】第1実施例による斜向巻コイルの巻き方を示す
模式図である。
【図7】本発明の第2実施例による二次スプールの一部
を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施例による二次スプールの径方
向断面図である。
【図9】本発明の第3実施例による斜向巻コイルの巻き
方を示す模式図である。
【図10】本発明の第4実施例による斜向巻コイルの巻
き方を示す模式図である。
【図11】従来例による斜向巻コイルの巻き方を示す模
式図である。
【符号の説明】
2 点火コイル 5 トランス部 100 ケース 510、560、570、580、590二次スプール
(ボビン) 510a、b 鍔部 510d 巻線部 510e 突起部 (巻線係止部) 512 二次コイル 514 一次スプール 516 一次コイル 520 線材 562、573、575、577、582、592曲面
部 564、574、576、578、584平面部 567、572、585角部 594 突起部 (角部) 600 巻線装置 602 ボビン支持部 (支持部) 604 ボビン回転部 (回転駆動部) 606 回転軸駆動部 607 送り軸部 608 回転軸駆動部 (駆動機構) 608a 回転軸 (駆動機構) 609 トラバース軸部(駆動機構) 610、630 巻線ノズル部 (ノズル部)

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 巻線部を形成する筒状のボビンと、 前記巻線部に斜向重巻きされる線材とを備え、 隣合う前記線材同士の線間距離は線径の2倍以上10倍
    以下であることを特徴とする電磁コイル。
  2. 【請求項2】 前記線間距離は、2倍以上4倍以下であ
    ることを特徴とする請求項1記載の電磁コイル。
  3. 【請求項3】 前記斜向重巻きされる斜面の傾斜角度
    は、6°以上であることを特徴とする請求項1または2
    記載の電磁コイル。
  4. 【請求項4】 前記傾斜角度は、6°以上20°以下で
    あることを特徴とする請求項3記載の電磁コイル。
  5. 【請求項5】 巻線部を形成する筒状のボビンと、 前記巻線部の外周に周方向に沿って一部に形成される巻
    線渡し部と、 前記巻線部の外周に周方向に沿って残部に形成される巻
    線係止部と、 前記巻線部の途中において多重に巻線層を形成しながら
    一端側から他端側に向かって順に巻回される線材とを備
    えたことを特徴とする電磁コイル。
  6. 【請求項6】 同一周上に形成される前記巻線渡し部お
    よび前記巻線係止部は、軸方向に隣接する前記巻線渡し
    部または前記巻線係止部と所定距離離れて配置されるこ
    とを特徴とする請求項5記載の電磁コイル。
  7. 【請求項7】 巻線部を形成する断面円形の筒状のボビ
    ンと、 前記巻線部の外壁に軸方向に沿って延びて形成される角
    部と、 前記巻線部の途中において多重に巻線層を形成しながら
    一端側から他端側に向かって順に巻回される線材とを備
    えたことを特徴とする電磁コイル。
  8. 【請求項8】 前記角部は、前記巻線部の外周壁を形成
    する曲面部と平面部とより形成されることを特徴とする
    請求項7記載の電磁コイル。
  9. 【請求項9】 巻線部を形成する筒状のボビンと、 前記巻線部に斜向重巻きされる線材とを備え、 斜向重巻きされる前記線材の形成する斜面の傾斜角度
    は、6°以上20°以下であることを特徴とする電磁コ
    イル。
  10. 【請求項10】 前記傾斜角度は、8°以上17°以下
    であることを特徴とする請求項9記載の電磁コイル。
  11. 【請求項11】 隣り合う前記線材同士の線間距離は、
    線径の2倍以上10倍以下であることを特徴とする請求
    項9または10記載の電磁コイル。
  12. 【請求項12】 前記線間距離は、線径の2倍以上4倍
    以下であることを特徴とする請求項11記載の電磁コイ
    ル。
  13. 【請求項13】 ボビンを回転可能に支持する支持部
    と、 前記支持部を回転させる回転駆動部と、 前記ボビンに巻回される線材を吐出するノズル部と、 前記ノズル部を前記ボビンの軸に対して所定角をなす斜
    面に沿って移動させる駆動機構とを備えることを特徴と
    する電磁コイルの製造装置。
JP8155716A 1995-06-19 1996-06-17 電磁コイルおよびその製造装置 Pending JPH0969455A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8155716A JPH0969455A (ja) 1995-06-19 1996-06-17 電磁コイルおよびその製造装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15195095 1995-06-19
JP7-151950 1995-06-19
JP8155716A JPH0969455A (ja) 1995-06-19 1996-06-17 電磁コイルおよびその製造装置

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004133224A Division JP4192834B2 (ja) 1995-06-19 2004-04-28 電磁コイルの製造方法及びその装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0969455A true JPH0969455A (ja) 1997-03-11

Family

ID=26481013

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8155716A Pending JPH0969455A (ja) 1995-06-19 1996-06-17 電磁コイルおよびその製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0969455A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6940382B2 (en) 2002-07-26 2005-09-06 Denso Corporation Resin composition and ignition coil device using the same
JP2006222226A (ja) * 2005-02-09 2006-08-24 Diamond Electric Mfg Co Ltd 内燃機関用点火コイル及び自動車
JP2006245428A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Diamond Electric Mfg Co Ltd 内燃機関用点火コイル及び自動車
JP2010226024A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Mitsubishi Electric Corp イグナイタトランス及び放電灯点灯装置
JP2016505746A (ja) * 2012-11-02 2016-02-25 マキャリスター テクノロジーズ、エルエルシー 推力が増強された燃料噴射装置
WO2016147890A1 (ja) * 2015-03-18 2016-09-22 オムロン株式会社 電磁石装置およびこれを備えた電磁継電器

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6940382B2 (en) 2002-07-26 2005-09-06 Denso Corporation Resin composition and ignition coil device using the same
JP2006222226A (ja) * 2005-02-09 2006-08-24 Diamond Electric Mfg Co Ltd 内燃機関用点火コイル及び自動車
JP2006245428A (ja) * 2005-03-04 2006-09-14 Diamond Electric Mfg Co Ltd 内燃機関用点火コイル及び自動車
JP2010226024A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Mitsubishi Electric Corp イグナイタトランス及び放電灯点灯装置
JP2016505746A (ja) * 2012-11-02 2016-02-25 マキャリスター テクノロジーズ、エルエルシー 推力が増強された燃料噴射装置
WO2016147890A1 (ja) * 2015-03-18 2016-09-22 オムロン株式会社 電磁石装置およびこれを備えた電磁継電器

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100320318B1 (ko) 전자코일및그제조장치
US3117294A (en) Bobbin with insulated lead-in means
CN108141082B (zh) 旋转电机
KR100310141B1 (ko) 경사권선전자코일및이를이용한내연기관용점화코일
JPH0969455A (ja) 電磁コイルおよびその製造装置
EP0142175A2 (en) Ignition coil for an internal combustion engine
US4459967A (en) Ignition coil for internal combustion engines
JP4899983B2 (ja) 超電導コイルおよび該超電導コイルを備えた超電導機器
KR970005224B1 (ko) 코일 어셈블리
JP4192834B2 (ja) 電磁コイルの製造方法及びその装置
JP4400613B2 (ja) 電磁コイル
JP2006074943A (ja) 電動機の固定子
JP3627594B2 (ja) 点火コイル
JP3178593B2 (ja) 電磁コイルおよびそれを用いた内燃機関用点火コイル
JP6763074B1 (ja) ラインフィルタ
KR200154966Y1 (ko) 정방형 수평 구획식 고압 변압기용 코일코어
KR100206356B1 (ko) 전동기용 계자코일의 제조방법
US20030106956A1 (en) System and method for winding an ignition coil
JP4239323B2 (ja) 高圧放電灯の高電圧発生コイル及びその巻線方法
KR20200084221A (ko) 헤어핀 제조방법
JPH09129459A (ja) 内燃機関用点火コイル
JPH05328651A (ja) コイルボビン
JP2001015360A (ja) 電磁コイルおよびそれを用いた内燃機関用点火コイル
JP4797337B2 (ja) ボビン、インダクタンス、トランス、およびパルス発生装置
US986291A (en) Construction of coils for electrical apparatus.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040428