JPH0967477A - 軟質オレフィン重合体組成物 - Google Patents

軟質オレフィン重合体組成物

Info

Publication number
JPH0967477A
JPH0967477A JP16185196A JP16185196A JPH0967477A JP H0967477 A JPH0967477 A JP H0967477A JP 16185196 A JP16185196 A JP 16185196A JP 16185196 A JP16185196 A JP 16185196A JP H0967477 A JPH0967477 A JP H0967477A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
group
bis
transition metal
methyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP16185196A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Matsunaga
永 慎 也 松
Junichi Imuda
淳 一 伊牟田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP16185196A priority Critical patent/JPH0967477A/ja
Publication of JPH0967477A publication Critical patent/JPH0967477A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】(A)極限粘度[η]が0.5〜10dl
/gの範囲にあり、示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)が1
00℃以上であるオレフィン重合体と、(B)極限粘度
[η]が0.5〜10dl/gの範囲にあり、NMRで
測定したダイアッド分布において、mr/(mm+r
r)の値が0.8〜1.2の範囲にあるプロピレン単独
重合体と、(C)エラストマーとからなることを特徴と
する軟質オレフィン重合体組成物。 【効果】光学的特性および/または機械的特性に優れて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、軟質オレフィン重合体組
成物に関し、さらに詳しくは、優れた光学的特性および
/または機械的特性を有する軟質オレフィン重合体組成
物に関するものである。
【0002】
【発明の技術的背景】プロピレン重合体などのオレフィ
ン重合体は、剛性、耐熱性、耐衝撃性などに優れている
ため、各種成形体用など種々の分野に用いられている。
【0003】このようなオレフィン重合体の耐衝撃強度
をさらに改良する方法として、たとえばプロピレンを単
独重合した後に、プロピレンとエチレンとを共重合して
ブロック共重合体を製造する方法が知られている。
【0004】特開平4−337308号公報には、シリ
レン基で橋架けしたシクロペンタジエニルを配位子とす
る遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物の存在下
に、まずプロピレン単独重合体あるいはエチレン単位を
6重量%未満の割合で含有するプロピレン共重合体を最
終的に得られる全重合体の40〜95重量%になるまで
重合し、次いで、エチレンとプロピレンとを10/90
〜95/5の重量比で、最終的に得られる全重合体の6
0〜5重量%となるように重合するブロック共重合体の
製造方法が開示されている。そしてこの方法により得ら
れたブロック共重合体は、耐衝撃性と剛性とのバランス
に優れると記載されている。
【0005】また、特開平5−202152号公報に
は、 (1)プロピレン単位の含有量が95重量%以上の結
晶質ポリマー20〜99重量%、 (2)エチレン単位の含
有量が20〜90重量%の非結晶質エチレン−プロピレ
ン−コポリマー1〜80重量%より成るポリプロピレン
成形材料を、遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物
とよりなる触媒の存在下に製造するに当たり、非結晶質
エチレン−プロピレン−コポリマーの重合を特定の架橋
型メタロセン化合物とアルミノキサンを用いて実施する
ことを特徴とするポリプロピレン成形材料の製造方法が
開示されている。そしてこの方法により得られたポリプ
ロピレン成形材料は、特に低温衝撃強度に優れると記載
されている。
【0006】オレフィン重合体の耐衝撃強度をさらに改
良する方法として、ポリプロピレンにエラストマーをブ
レンドすることも知られている。しかし、このようなエ
ラストマーをブレンドしたポリプロピレンは、透明性な
どの光学的特性が劣っているため、その用途が限定され
ていた。
【0007】また、ポリプロピレンの性質を改良するた
めに、アクタクチックポリプロピレンをブレンドするこ
とが例えば特開平6−263934号公報に記載されて
いる。
【0008】近年、ポリプロピレンなどのオレフィン重
合体に対する物性の要求は益々厳しくなってきており、
さらに優れた特性を有するオレフィン重合体組成物の出
現が望まれている。
【0009】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、光学的特性および/または機
械的特性を有する軟質オレフィン重合体組成物を提供す
ることを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明に係る軟質オレフィン重合体組成
物は、 (P)(p-1) 極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの
範囲にあり、(p-2) 示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)が1
00℃以上であるオレフィン重合体10〜80重量%
と、 (Q)(b-1) 極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの
範囲にあり、(b-2) NMRで測定したダイアッド分布に
おいて、mr/(mm+rr)の値が0.7〜1.3の
範囲にあるプロピレン単独重合体5〜80重量%と、 (R)エラストマー10〜80重量%とからなることを
特徴としている。
【0011】本発明では、前記オレフィン重合体(P)
が、(p-1) 極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの範
囲にあり、(p-2) 示差走査型熱量計(DSC)により測
定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)が10
0℃以上であり、(p-3) プロピレンから誘導される構成
単位を100〜80モル%の割合で含有し、エチレンか
ら誘導される構成単位を0〜10モル%の割合で含有
し、炭素原子数が4〜12のα−オレフィンから誘導さ
れる構成単位を0〜15モル%の割合で含有するプロピ
レン重合体であることが好ましい。
【0012】本発明の軟質オレフィン重合体組成物は、
優れた光学的特性および/または機械的特性を有してい
る。また、各成分の比率を変えることにより、優れた光
学的特性および/または機械的特性を有するとともに、
種々の弾性率を有する組成物となる。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る軟質オレフィ
ン重合体組成物について具体的に説明する。なお、本明
細書において「重合」という語は、単独重合だけでな
く、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、
「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合
体をも包含した意味で用いられることがある。
【0014】本発明に係る軟質オレフィン重合体組成物
は、 (P)(p-1) 極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの
範囲にあり、(p-2) 示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)が1
00℃以上であるオレフィン重合体と、 (Q)(b-1) 極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの
範囲にあり、(b-2) NMRで測定したダイアッド分布に
おいて、mr/(mm+rr)の値が0.7〜1.3の
範囲にあるプロピレン単独重合体と、 (R)エラストマーとから形成されている。
【0015】まず、オレフィン重合体(P)、プロピレ
ン単独重合体(Q)およびエラストマー(R)について
説明する。オレフィン重合体(P) オレフィン重合体(P)は、オレフィンの単独重合体ま
たは2種以上のオレフィンの共重合体である。
【0016】ここでオレフィンとして具体的には、エチ
レン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセ
ン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オ
クテン、3-メチル-1-ブテン、1-デセン、1-ドデセン、1
-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-
エイコセンなどの炭素原子数が2〜20のα−オレフィ
ン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、
5-エチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-
エチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒ
ドロナフタレンなどの炭素原子数が3〜20の環状オレ
フィンが挙げられる。さらにスチレン、ビニルシクロヘ
キサン、ジエンなどを挙げることもできる。
【0017】オレフィン重合体(P)は、炭素原子数が
3〜6のオレフィンを主な構成単位とする重合体である
ことが好ましく、特にプロピレン単位を主な構成単位と
する重合体(プロピレン重合体)であることが好まし
い。
【0018】オレフィン重合体(P)が、プロピレン重
合体である場合には、プロピレンから誘導される構成単
位を80〜100モル%、好ましくは90〜100モル
%、より好ましくは92〜100モル%の割合で含有
し、エチレンから誘導される構成単位を0〜10モル
%、好ましくは0〜8モル%、より好ましくは0〜6モ
ル%の割合で含有し、炭素数4〜12のオレフィンより
選ばれるオレフィンから誘導される構成単位が0〜15
モル%、好ましくは0〜10モル%、より好ましくは0
〜5モル%の割合で含有する重合体であることが望まし
い。
【0019】オレフィン重合体(P)は、上記のような
オレフィンから誘導される構成単位以外に、3-メチル-1
-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテ
ン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-
ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エ
チル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、アリルナフタ
レン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチルスチレ
ン類、ビニルナフタレン類、アリルトルエン類、アリル
ベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロペンタ
ン、ビニルシクロヘプタンなどの分岐構造を有するオレ
フィンから誘導される構成単位;1,3-ブタジエン、1,3-
ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、
1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-
ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、6-メチル-
1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エ
チル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエ
ン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-ノナジ
エン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジ
エン、7-エチル-1,6-ノナジエン、6-メチル-1,6-デカジ
エン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデ
カジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、イソプ
レン、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノ
ルボルネン、ジシクロペンタジエンなどの炭素数4〜2
0のジエン化合物から誘導される構成単位を5モル%以
下の割合で含有していてもよい。
【0020】このようなオレフィン重合体(P)は、極
限粘度[η]が0.5〜10dl/g、好ましくは1.
5〜3.5dl/gの範囲にあり、示差走査型熱量計
(DSC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の
温度(Tm)が100℃以上、好ましくは125〜16
7℃の範囲にあることが望ましい。
【0021】なお、示差走査型熱量計(DSC)により
測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度(Tm)は、
試料約5mgをアルミパンに詰め10℃/分で200℃
まで昇温し、200℃で5分間保持したのち10℃/分
で室温まで降温し、次いで10℃/分で昇温する際の吸
熱曲線より求められる。測定は、パーキンエルマー社製
DSC-7 型装置を用いた。
【0022】上述したようなオレフィン重合体(P)
は、たとえば、 (A-1)下記式(I)で表される遷移金属化合物のラセ
ミ体と、 (B)(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、または
(B-2)前記遷移金属化合物(A-1)と反応してイオン
対を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とからなるオレフィン重
合用触媒(1)の存在下にオレフィンを重合または2種
以上のオレフィンを共重合するか、あるいは、(Ia)
マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必
須成分として含有する固体状チタン触媒成分(a)と、
(II)有機金属触媒成分(b)と、(III)下記式
(i)で示されるケイ素化合物(c)または複数の原子
を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する化合
物(d)とから形成されるオレフィン重合用触媒(2)
の存在下にオレフィンを重合または2種以上のオレフィ
ンを共重合することにより製造することができる。
【0023】次に、オレフィン重合用触媒(1)および
オレフィン重合用触媒(2)について具体的に説明す
る。オレフィン重合用触媒(1)は、 (A-1)下記式(I)で表される遷移金属化合物のラセ
ミ体と、 (B)(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
/または(B-2)前記遷移金属化合物(A-1)と反応し
てイオン対を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とから形成される。
【0024】遷移金属化合物(A-1)は、下記式(I)
で表される遷移金属化合物のラセミ体である。
【0025】
【化1】
【0026】式中、M1 は、周期律表第IV〜VIB族の遷
移金属原子を示し、具体的には、ジルコニウム、チタニ
ウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、ク
ロム、モリブデンまたはタングステンであり、好ましく
はジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムである。
【0027】R1 、R2 、R3 およびR4 は、互いに同
一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜20の炭
化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素
基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含
有基、リン含有基、水素原子またはハロゲン原子を示
す。R1 、R2 、R3 およびR4 で示される基のうち、
互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合す
る炭素原子とともに環を形成していてもよい。なお、R
1 、R2 、R3 およびR4 が各々2ヶ所に表示されてい
るが、それぞれ例えばR1 とR1 などは、同一の基でも
よくまた相異なる基でもよい。Rで示される基のうち同
一のサフィックスのものは、それらを継いで、環を形成
する場合の好ましい組み合せを示している。
【0028】R1 、R2 、R3 およびR4 として、具体
的には、炭素原子数1〜20の炭化水素基としてはメチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、
ノニル、ドデシル、アイコシルなどのアルキル基;シク
ロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマン
チルなどのシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シ
クロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニ
ルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル
基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチル
フェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェ
ニル、ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フ
ェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。
【0029】これらの炭化水素基が結合して形成する環
としてはベンゼン環、ナフタレン環、アセナフテン環、
インデン環などの縮環基、ベンゼン環、ナフタレン環、
アセナフテン環、インデン環などの縮環基上の水素原子
がメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル基
で置換された基が挙げられる。
【0030】ハロゲン化炭化水素基としては、前記炭化
水素基にハロゲンが置換したハロゲン化炭化水素基が挙
げられる。ケイ素含有基としてはメチルシリル、フェニ
ルシリルなどのモノ炭化水素置換シリル;ジメチルシリ
ル、ジフェニルシリルなどのジ炭化水素置換シリル;ト
リメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリ
ル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、
ジメチルフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、ト
リトリルシリル、トリナフチルシリルなどのトリ炭化水
素置換シリル;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水
素置換シリルのシリルエーテル;トリメチルシリルメチ
ルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルフェニルな
どのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
【0031】さらにケイ素含有基としては前記以外の−
SiR3〔ただし、Rは、ハロゲン原子、炭素原子数が
1〜10のアルキル基、または炭素原子数が6〜10の
アリール基〕で表される基が挙げられる。
【0032】酸素含有基としてはヒドロキシ基;メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコキシ
基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキ
シ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキ
シ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基など
が挙げられる。
【0033】さらに酸素含有基としては−OSiR
3〔ただし、Rは、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜1
0のアルキル基、または炭素原子数が6〜10のアリー
ル基〕で表される基が挙げられる。
【0034】イオウ含有基としては前記含酸素化合物の
酸素がイオウに置換した置換基などが挙げられる。さら
にイオウ含有基としては前記以外の−SR〔ただし、R
は、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10のアルキル
基、または炭素原子数が6〜10のアリール基〕で表さ
れる基が挙げられる。
【0035】窒素含有基としてはアミノ基;メチルアミ
ノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミ
ノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのア
ルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、
ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルア
ミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールア
ミノ基などが挙げられる。
【0036】さらに窒素含有基としては前記以外の−N
2〔ただし、Rは、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜
10のアルキル基、または炭素原子数が6〜10のアリ
ール基〕で表される基が挙げられる。
【0037】リン含有基としてはジメチルフォスフィ
ノ、ジフェニルフォスフィノなどのフォスフィノ基など
が挙げられる。さらにリン含有基としては前記以外の−
PR2〔ただし、Rは、ハロゲン原子、炭素原子数が1
〜10のアルキル基、または炭素原子数が6〜10のア
リール基〕で表される基が挙げられる。
【0038】ハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素などが挙げられる。これらのうち炭化水素基である
ことが好ましく、特にメチル、エチル、プロピル、ブチ
ルの炭素原子数が1〜4の炭化水素基、炭化水素基が結
合して形成されたベンゼン環、炭化水素基が結合して形
成されたベンゼン環上の水素原子がメチル、エチル、n-
プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert
-ブチルなどのアルキル基で置換された基であることが
好ましい。
【0039】X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、酸
素含有基、イオウ含有基、ケイ素含有基、水素原子また
はハロゲン原子を示す。
【0040】炭化水素基としては、炭素原子数1〜20
の炭化水素基が好ましく、具体的には、R1 、R2 、R
3 およびR4 と同様の基を挙げることができる。ハロゲ
ン化炭化水素基としては、炭素原子数1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基が好ましく、具体的には、R1 、R2
3 およびR4 と同様の基を挙げることができる。
【0041】酸素含有基およびハロゲン原子としては、
1 、R2 、R3 およびR4 と同様の基または原子が例
示できる。イオウ含有基としては、R1 、R2 、R3
よびR4 と同様の基、ならびにメチルスルフォネート、
トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォ
ネート、ベンジルスルフォネート、p-トルエンスルフォ
ネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソ
ブチルベンゼンスルフォネート、p-クロルベンゼンスル
フォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートな
どのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニ
ルスルフィネート、ベンゼンスルフィネート、p-トルエ
ンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネー
ト、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスル
フィネート基が例示できる。
【0042】ケイ素含有基としては、前記と同様のケイ
素置換アルキル基、ケイ素置換アリール基が挙げられ
る。これらのうち、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20
の炭化水素基またはスルフォネート基であることが好ま
しい。
【0043】Y1 は、2価の炭化水素基、2価のハロゲ
ン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニ
ウム含有基、2価のスズ含有基、−O−、−CO−、−
S−、−SO−、−SO2−、−Ge−、−Sn−、−
NR5 −、−P(R5 )−、−P(O)(R5 )−、−
BR5 −または−AlR5 −〔ただし、R5 は、互いに
同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原
子、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、アルコキシ基
である〕を示す。
【0044】炭化水素基としては、炭素原子数が1〜2
0の2価の炭化水素基が好ましく、具体的には、メチレ
ン、ジメチルメチレン、1,2-エチレン、ジメチル-1,2-
エチレン、1,3-トリメチレン、1,4-テトラメチレン、1,
2-シクロヘキシレン、1,4-シクロヘキシレンなどのアル
キレン基、ジフェニルメチレン、ジフェニル-1,2- エチ
レンなどのアリールアルキレン基などが挙げられる。
【0045】ハロゲン化炭化水素基としては、炭素原子
数が1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基が好まし
く、具体的には、クロロメチレンなどの上記炭素原子数
が1〜20の2価の炭化水素基をハロゲン化した基など
が挙げられる。
【0046】2価のケイ素含有基としては、シリレン、
メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレ
ン、ジ(n-プロピル)シリレン、ジ(i-プロピル)シリ
レン、ジ(シクロヘキシル)シリレン、メチルフェニル
シリレン、ジフェニルシリレン、ジ(p-トリル)シリレ
ン、ジ(p-クロロフェニル)シリレンなどのアルキルシ
リレン基;アルキルアリールシリレン基;アリールシリ
レン基;テトラメチル-1,2-ジシリル、テトラフェニル-
1,2- ジシリルなどのアルキルジシリル、アルキルアリ
ールジシリル基;アリールジシリル基などが挙げられ
る。
【0047】2価のゲルマニウム含有基としては、上記
2価のケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムに置換した
基などが挙げられる。さらに2価のケイ素含有基、2価
のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基としては、下
記[化5]で表される基のうち、ケイ素、ゲルマニウ
ム、スズのうちいずれか1つを含む基が挙げられる。
【0048】これらの中では、ジメチルシリレン基、ジ
フェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの
置換シリレン基が特に好ましい。このような前記式
(I)で表される遷移金属化合物のラセミ体として具体
的には、下記化合物のラセミ体が挙げられる。
【0049】ジメチルシリレン-ビス(1-シクロペンタ
ジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン
-ビス{1-(3-メチルシクロペンタジエニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,4-
ジメチルシクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,5-トリメチル
シクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリドな
ど。
【0050】さらに、上記のような化合物においてジル
コニウム金属、チタニウム金属、ハフニウム金属を、バ
ナジウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロム金
属、モリブデン金属、タングステン金属に置き換えた遷
移金属化合物を挙げることができる。
【0051】本発明では、前記式(I)で表される遷移
金属化合物のなかで、特に下記式(III)、(IV)また
は(V)で表される遷移金属化合物のラセミ体を用いる
ことが好ましい。
【0052】
【化2】
【0053】式中、M1 は、前記式(I)におけるM1
と同様の周期律表第IV〜VIB族の遷移金属であり、好ま
しくはジルコニウム、チタニウムまたはハフニウムであ
り、特に好ましくはジルコニウムである。
【0054】R11、R12およびR14〜R16は、互いに同
一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、
炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20
のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、
イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示し、ま
た互いに隣接する基の一部が結合してそれらの基が結合
する炭素原子とともに環を形成していてもよい。
【0055】具体的には、前記式(I)と同様の、ハロ
ゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原
子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有
基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン
含有基が挙げられる。
【0056】R13は、炭素原子数6〜16のアリール基
を示し、具体的には、フェニル、α-ナフチル、β-ナフ
チル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、ア
セナフチル、フェナレニル、アセアントリレニルなどで
ある。これらのうちフェニル、ナフチル、フェナントリ
ルであることが好ましい。これらのアリール基は、前記
と同様のハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素
基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換
されていてもよい。
【0057】X1 およびX2 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、前記式(I)におけるX1 およびX2
同様であり、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化
水素基またはスルフォネート基であることが好ましい。
【0058】Y1 は、前記式(I)におけるY1 と同様
であり、ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、
メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基である
ことが好ましい。
【0059】このような前記式(III)で表される遷移
金属化合物のラセミ体として具体的には、下記化合物の
ラセミ体が挙げられる。ジメチルシリレン-ビス{1-(4
-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-メチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}
ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-メチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチ
ル-4-(1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-
4-(2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-
(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(9-
フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-フル
オロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(ペンタ
フルオロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ク
ロロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-クロ
ロフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o-クロロフ
ェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(o,p-ジクロロフ
ェニル) フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ブロ
モフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-トリル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-(m-トリル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2-メチル-4-(o-トリル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-
メチル-4-(o,o'-ジメチルフェニル)インデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2
-メチル-4-(p-エチルフェニル)インデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メ
チル-4-(p-i-プロピルフェニル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-
メチル-4-(p-ベンジルフェニル)インデニル)}ジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-
メチル-4-(p-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-
4-(m-ビフェニル)インデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-(p-ト
リメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコニウム
ジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-
(m-トリメチルシリルフェニル)インデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エ
チル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(α-ナ
フチル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメ
チルシリレン-ビス{1-(2-エチル-4-(β-ナフチル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-エチル-4-(1-アントラセニル)イン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン
-ビス{1-(2-エチル-4-(2-アントラセニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2-エチル-4-(9-アントラセニル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2-エチル-4-(9-フェナントリル)インデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-フェニルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-フ
ェニル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-フ
ェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(α-ナフチ
ル)インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチル
シリレン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(β-ナフチル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(1-アントラセニル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(2-アントラセニル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-アントラセニル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-フェニルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-i-ブチル-4-(α-ナフチル)インデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-
ブチル-4-(β-ナフチル)インデニル)}ジルコニウム
ジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-
4-(1-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-
(2-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-
(9-アントラセニル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-i-ブチル-4-
(9-フェナントリル)インデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ジエチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェ
ニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ-(i-
プロピル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルイ
ンデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ-(n-ブチ
ル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジシクロヘキシルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジ
ルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレン-ビス
{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、ジフェニルシリレン-ビス{1-(2-メチ
ル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジ(p-トリル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フ
ェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(p-
クロロフェニル)シリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェ
ニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチレン
-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコ
ニウムジクロリド、エチレン-ビス{1-(2-メチル-4-フ
ェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチ
ルゲルミレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニ
ウムジブロミド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチ
ル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウムジメチル、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルイン
デニル)}ジルコニウムメチルクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジ
ルコニウムクロリドSO2Me、ジメチルシリレン-ビス
{1-(2-メチル-4-フェニルインデニル)}ジルコニウ
ムクロリドOSO2Me、ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-メチル-4-フェニルインデニル)}チタニウムジク
ロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-フェ
ニルインデニル)}ハフニウムジクロリドなど。
【0060】さらに、上記のような化合物においてジル
コニウム金属、チタニウム金属、ハフニウム金属を、バ
ナジウム金属、ニオブ金属、タンタル金属、クロム金
属、モリブデン金属、タングステン金属に置き換えた遷
移金属化合物を挙げることができる。
【0061】次に、一般式(IV)で表される遷移金属化
合物について説明する。
【0062】
【化3】
【0063】式中、M1 は、前記式(I)におけるM1
と同様の周期律表第IV〜VIB族の遷移金属であり、好ま
しくはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであ
り、特に好ましくはジルコニウムである。
【0064】R21およびR22は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が
1〜20の炭化水素基、炭素原子数が1〜20のハロゲ
ン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含
有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。
【0065】具体的には、前記式(I)と同様の、ハロ
ゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基、炭素原
子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有
基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン
含有基が挙げられる。
【0066】これらのうちR21は、炭化水素基であるこ
とが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルの炭素原
子数が1〜3の炭化水素基であることが好ましい。R22
は、水素原子、炭化水素基であることが好ましく、特に
水素原子あるいは、メチル、エチル、プロピルの炭素原
子数が1〜3の炭化水素基であることが好ましい。
【0067】R23およびR24は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、炭素原子数が1〜20のアルキル基を示
し、具体的には前記一般式(I)に例示したものと同様
である。
【0068】これらのうちR23は、2級または3級アル
キル基であることが好ましい。R24は、2重結合、3重
結合を含んでいてもよい。X1 およびX2 は、互いに同
一でも異なっていてもよく、前記式(I)におけるX1
およびX2 と同様である。
【0069】Y1 は、前記式(I)におけるY1 と同様
である。このような前記式(IV)で表される遷移金属化
合物のラセミ体として具体的には、下記化合物のラセミ
体が挙げられる。
【0070】ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチ
ル-4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、
ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-プロピ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシ
リレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ブチルインデニル)}ジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7
-ジメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-
4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ペンチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-n-ヘキシルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,7-ジメチル-4-シクロヘキシルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,7-ジメチル-4-メチルシクロヘキシルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-
ビス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルエチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,7-ジメチル-4-フェニルジクロルメチルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン
-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-クロロメチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシリルメチルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン
-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-トリメチルシロキシメチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジエチルシリ
レン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(i-プロピル)シリ
レン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(n-ブチル)シリレ
ン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(シクロヘキシル)
シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリ
レン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレ
ン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン-ビス{1
-(2,7-ジメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,7-ジ
メチル-4-i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ジフェニルシリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-
4-エチルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ
(p-トリル)シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-i-プ
ロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(p-
クロロフェニル)シリレン-ビス{1-(2,7-ジメチル-4-
i-プロピルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ
メチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-i-プロピル-7-
エチルインデニル)}ジルコニウムジブロミド、ジメチ
ルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-エチルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン
-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-n-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,3,7-トリメチル-4-n-ブチルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-
(2,3,7-トリメチル-4-sec-ブチルインデニル)}ジル
コニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,
3,7-トリメチル-4-t-ブチルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,7-ト
リメチル-4-n-ペンチルインデニル)}ジルコニウムジ
クロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメ
チル-4-n-ヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-
4-シクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジクロリ
ド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-
メチルシクロヘキシルインデニル)}ジルコニウムジク
ロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチ
ル-4-トリメチルシリルメチルインデニル)}ジルコニ
ウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2,3,7-
トリメチル-4-トリメチルシロキシメチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,3,7-トリメチル-4-フェニルエチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2,3,7-トリメチル-4-フェニルジクロルメチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-クロルメチルイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、ジエチルシリレン
-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(i-プロピル)シリ
レン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(n-ブチル)シリ
レン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(シクロヘキシ
ル)シリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェ
ニルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェ
ニルシリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-t-ブチル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシ
リレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-t-ブチルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン
-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン-
ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-エチルインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)シリレン-ビ
ス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジ(p-クロロフェニ
ル)シリレン-ビス{1-(2,3,7-トリメチル-4-i-プロピ
ルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシ
リレン-ビス{1-(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチル
インデニル)}ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレ
ン-ビス{1-(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチルイン
デニル)}ジルコニウムメチルクロリド、ジメチルシリ
レン-ビス{1-(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチルイ
ンデニル)}ジルコニウム-ビス(メタンスルホナ
ト)、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4-i- プ
ロピル-7- メチルインデニル)}ジルコニウム-ビス(p
-フェニルスルフィナト)、ジメチルシリレン-ビス{1-
(2-メチル-3- メチル-4-i- プロピル-7-メチルインデ
ニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-
ビス{1-(2-エチル-4-i- プロピル-7- メチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2-フェニル-4-i- プロピル-7- メチルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビ
ス{1-(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチルインデニ
ル)}チタニウムジクロリド、ジメチルシリレン-ビス
{1-(2-メチル-4-i- プロピル-7- メチルインデニ
ル)}ハフニウムジクロリドなど。
【0071】これらの中で、4位にi-プロピル,sec-ブ
チル,tert-ブチル基などの分岐アルキル基を有するも
のが、特に好ましい。本発明では、通常前記一般式(I
V)で表される遷移金属化合物のラセミ体がプロピレン
重合用触媒成分として用いられるが、R型またはS型を
用いることもできる。
【0072】上記のような一般式(IV)で表される遷移
金属化合物は、インデン誘導体から既知の方法たとえば
特開平4−268307号公報に記載されている方法に
より合成することができる。
【0073】次に、一般式(V)で表される遷移金属化
合物について説明する。一般式(V)で表される遷移金
属化合物は、EP−549900号およびカナダ−20
84017号に記載された化合物である。
【0074】
【化4】
【0075】式中、M3 は、周期律表第IVB族の遷移金
属であり、好ましくは、チタニウム、ジルコニウムまた
はハフニウムであり、特に好ましくはジルコニウムであ
る。R31は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素
原子、ハロゲン原子、好ましくは、塩素原子または臭素
原子、炭素原子数が1〜10、好ましくは1〜4のアル
キル基、炭素原子数が1〜10のハロゲン化アルキル
基、炭素原子数が6〜10、好ましくは6〜8のアリー
ル基、−NR2、−SR、−OSiR3、−SiR3また
は−PR2基〔ただし、Rは、ハロゲン原子、好ましく
は塩素原子、炭素原子数が1〜10、好ましくは1〜3
のアルキル基、または炭素原子数が6〜10、好ましく
は6〜8のアリール基〕を示す。
【0076】R32〜R38は、互いに同一でも異なってい
てもよく、前記R21と同様の原子または基を示し、これ
らのR32〜R38で示される基のうち隣接する少なくとも
2個の基は、それらの結合する原子とともに、芳香族環
または脂肪族環を形成していてもよい。
【0077】X4 およびX5 は、互いに同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子、炭素原子数が1〜10、好ま
しくは1〜3のアルキル基、炭素原子数が1〜10、好
ましくは1〜3のアルコキシ基、炭素原子数が6〜1
0、好ましくは6〜8のアリール基、炭素原子数が6〜
10、好ましくは6〜8のアリールオキシ基、炭素原子
数が2〜10、好ましくは2〜4のアルケニル基、炭素
原子数が7〜40、好ましくは7〜10のアリールアル
キル基、炭素原子数が7〜40、好ましくは7〜12の
アルキルアリール基、炭素原子数が8〜40、好ましく
は8〜12のアリールアルケニル基、OH基またはハロ
ゲン原子を示す。Z2 は、
【0078】
【化5】
【0079】−O−、−CO−、−S−、−SO−、−
SO2−、−Ge−、−Sn−、−NR39−、−P(R
39)−、−P(O)(R39)−、−BR39−または−A
lR 39−である。
【0080】ただし、R39およびR40は、互いに同一で
も異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素
原子数が1〜10、好ましくは1〜4のアルキル基、特
にメチル基、炭素原子数が1〜10のフルオロアルキル
基、好ましくはCF3基、炭素原子数が6〜10、好ま
しくは6〜8のアリール基、炭素原子数が6〜10のフ
ルオロアリール基、好ましくはペンタフルオロフェニル
基、炭素原子数が1〜10、好ましくは1〜4のアルコ
キシ基、特にメトキシ基、炭素原子数が2〜10、好ま
しくは2〜4のアルケニル基、炭素原子数が7〜40、
好ましくは7〜10のアリールアルキル基、炭素原子数
が8〜40、好ましくは8〜12のアリールアルケニル
基、炭素原子数が7〜40、7〜12のアルキルアリー
ル基である。
【0081】またR39とR40とは、それぞれそれらの結
合する原子とともに環を形成してもよい。M3 は、ケイ
素、ゲルマニウムまたはスズを示し、好ましくはケイ素
またはゲルマニウムである。
【0082】ここで、上述のアルキル基は直鎖状のまた
は枝分かれしたアルキル基であり、そしてハロゲン(ハ
ロゲン化)はフッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨ
ウ素原子であり、特にフッ素原子または塩素原子であ
る。
【0083】前記一般式(V)で表される化合物のなか
では、M3 は、ジルコニウムまたはハフニウムであり、
31は、互いに同じであり、炭素原子数が1〜4のアル
キル基であり、R32〜R38は、互いに同一でも異なって
いてもよく、水素原子または炭素原子数が1〜4のアル
キル基であり、X4 およびX5 は、互いに同一でも異な
っていてもよく、炭素原子数が1〜3のアルキル基また
はハロゲン原子であり、Z2 は、
【0084】
【化6】
【0085】(式中、M3 はケイ素であり、R39および
40は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子
数が1〜4のアルキル基または炭素原子数が6〜10の
アリール基である)である化合物が好ましく、置換基R
32およびR38は、水素原子であり、R33〜R 37は、炭素
原子数が1〜4のアルキル基または水素原子である化合
物がより好ましい。
【0086】さらに、前記一般式(IV)で表される化合
物のなかでは、M3 は、ジルコニウムであり、R31は、
互いに同一で炭素原子数が1〜4のアルキル基であり、
32およびR38は、水素原子であり、R33〜R37は、同
一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜4のアル
キル基または水素原子であり、X4 およびX5 は、いず
れも塩素原子であり、Z2 は、
【0087】
【化7】
【0088】(式中、M3 は、ケイ素であり、R39およ
びR40は、互いに同一でも異なっていいてもよく、炭素
原子数が1〜4のアルキル基または炭素原子数が6〜1
0のアリール基である)である化合物が好ましい。
【0089】特に、前記一般式(IV)で表される化合物
のなかでは、M3 は、ジルコニウムであり、R31は、メ
チル基であり、R32〜R38は、水素原子であり、X4
よびX5 は、塩素原子であり、Z2 は、
【0090】
【化8】
【0091】(式中、M3 は、ケイ素であり、R39およ
びR40は、互いに同一でも異なっていてもよく、メチル
基またはフェニル基ある)である化合物が好ましい。
【0092】このような前記式(V)で表される遷移金
属化合物のラセミ体として具体的には、下記化合物のラ
セミ体が挙げられる。ジメチルシリレン-ビス{1-(2-
メチル-4,5-ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロ
リド、ジメチルシリレン-ビス{1-(2-メチル-α−アセ
ナフトインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチル
フェニルシリレン-ビス{1-(2-メチル-4,5-ベンゾイン
デニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシ
リレン-ビス{1-(2-メチル-α−アセナフトインデニル
シクロペンタジエニル)}ジルコニウムジクロリド、メ
チルフェニルシリレン-ビス{1-(4,5-ベンゾインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレ
ン-ビス{1-(2,6-ジメチル-4,5-ベンゾインデニル)}
ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレン-ビ
ス{1-(2,4,6-トリメチル-4,5-ベンゾインデニル)}
ジルコニウムジクロリドなど。
【0093】また上記のような化合物中のジルコニウム
をチタニウムまたはハフニウムに代えた化合物を挙げる
こともできる。 (B-1)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知の
アルミノキサンであってもよく、また特開平2-786
87号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有
機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
【0094】従来公知のアルミノキサンは、たとえば下
記のような方法によって調製することができる。 (1)吸着水を含有する化合物あるいは結晶水を含有す
る塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和
物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩
化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、ト
リアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
を添加して反応させる方法。 (2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒ
ドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物に直接水や氷や水蒸気を
作用させる方法。 (3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリ
アルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物
に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなど
の有機スズ酸化物を反応させる方法。
【0095】なお、該アルミノキサンは、少量の有機金
属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミ
ノキサンの溶液から溶媒あるいは未反応の有機アルミニ
ウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解あるい
はアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0096】アルミノキサンを調製する際に用いられる
有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメ
チルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロ
ピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ト
リn-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウ
ム、トリsec-ブチルアルミニウム、トリ tert-ブチルア
ルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシル
アルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシル
アルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリシ
クロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミ
ニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;ジメチ
ルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアル
ミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライ
ド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチル
アルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウ
ムハイドライド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジ
エチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミ
ニウムアルコキシド;ジエチルアルミニウムフェノキシ
ドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが
挙げられる。
【0097】これらのうち、トリアルキルアルミニウ
ム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリ
メチルアルミニウムが特に好ましい。また、アルミノキ
サンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物
として、下記式(VI)で表されるイソプレニルアルミニ
ウムを挙げることもできる。
【0098】 (i-C49x Aly (C5 10z … (VI) (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xであ
る。)上記のような有機アルミニウム化合物は、単独で
あるいは組合せて用いられる。
【0099】アルミノキサンの調製に用いられる溶媒と
しては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメ
ンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オク
タデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シク
ロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンな
どの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油
留分あるいは上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂
環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素
化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。その他、エチル
エーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用い
ることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水
素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0100】このような有機アルミニウムオキシ化合物
(B-1)は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いる
ことができる。 (B-2)前記遷移金属化合物(A-1)と反応してイオン
対を形成する化合物(以下「イオン化イオン性化合物」
ということがある)としては、特表平1−501950
号公報、特表平1−502036号公報、特開平3−1
79005号公報、特開平3−179006号公報、特
開平3−207703号公報、特開平3−207704
号公報、US−547718号公報などに記載されたル
イス酸、イオン性化合物およびカルボラン化合物を挙げ
ることができる。
【0101】ルイス酸としてはマグネシウム含有ルイス
酸、アルミニウム含有ルイス酸、ホウ素含有ルイス酸な
どが挙げられ、こられのうちホウ素含有ルイス酸が好ま
しい。
【0102】ホウ素原子を含有するルイス酸として具体
的には、下記式(VII)で表される化合物が例示でき
る。 BRa b c … (VII) (式中、Ra 、Rb およびRc は、それぞれ独立して、
フッ素原子、メチル基、トリフルオロメチル基などの置
換基を有していてもよいフェニル基、またはフッ素原子
を示す。) 上記式(VII)で表される化合物として具体的には、ト
リフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フ
ルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェ
ニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボ
ロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリ
ス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、ト
リス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられ
る。これらのうちではトリス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボロンが特に好ましい。
【0103】本発明で用いられるイオン性化合物は、カ
チオン性化合物とアニオン性化合物とからなる塩であ
る。アニオンは前記遷移金属化合物(A-1)と反応する
ことにより遷移金属化合物(A-1)をカチオン化し、イ
オン対を形成することにより遷移金属カチオン種を安定
化させる働きがある。そのようなアニオンとしては、有
機ホウ素化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有
機アルミニウム化合物アニオンなどがあり、比較的嵩高
で遷移金属カチオン種を安定化させるものが好ましい。
カチオンとしては、金属カチオン、有機金属カチオン、
カルボニウムカチオン、トリピウムカチオン、オキソニ
ウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカ
チオン、アンモニウムカチオンなどが挙げられる。さら
に詳しくはトリフェニルカルベニウムカチオン、トリブ
チルアンモニウムカチオン、N,N-ジメチルアンモニウム
カチオン、フェロセニウムカチオンなどである。
【0104】これらのうち、アニオンとしてホウ素化合
物を含有するイオン性化合物が好ましく、具体的には、
トリアルキル置換アンモニウム塩としては、たとえばト
リエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ
プロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ
(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、
トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ホウ素、ト
リメチルアンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ素、トリ
ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)
ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチ
ルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニウムテトラ
(m,m-ジメチルフェニル)ホウ素、トリブチルアンモニ
ウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、
トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(o-トリル)ホウ
素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(4-フルオロ
フェニル)ホウ素などが挙げられ、N,N-ジアルキルアニ
リニウム塩としては、たとえばN,N-ジメチルアニリニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-ジエチルアニリニウ
ムテトラ(フェニル)ホウ素、N,N-2,4,6-ペンタメチル
アニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げら
れ、ジアルキルアンモニウム塩としては、たとえばジ
(n-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフ
ェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ
(フェニル)ホウ素などが挙げられ、トリアリールホス
フォニウム塩、たとえばトリフェニルホスフォニウムテ
トラ(フェニル)ホウ素、トリ(メチルフェニル)ホス
フォニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(ジメチル
フェニル)ホスフォニウムテトラ(フェニル)ホウ素な
どが挙げられる。
【0105】さらにホウ素原子を含有するイオン性化合
物として、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペン
タフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニ
ウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、
フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレ
ートも挙げることができる。
【0106】また以下のような化合物も例示できる。
(なお、以下に列挙するイオン性化合物において対向イ
オンはトリ(n-ブチル)アンモニウムであるがこれに限
定されない。) アニオンの塩、たとえばビス[トリ(n-ブチル)アンモ
ニウム]ノナボレート、ビス[トリ(n-ブチル)アンモ
ニウム]デカボレート、ビス[トリ(n-ブチル)アンモ
ニウム]ウンデカボレート、ビス[トリ(n-ブチル)ア
ンモニウム]ドデカボレート、ビス[トリ(n-ブチル)
アンモニウム]デカクロロデカボレート、ビス[トリ
(n-ブチル)アンモニウム]ドデカクロロドデカボレー
ト、トリ(n-ブチル)アンモニウム-1-カルバデカボレ
ート、トリ(n-ブチル)アンモニウム-1-カルバウンデ
カボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム-1-カルバ
ドデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウム-1-ト
リメチルシリル-1-カルバデカボレート、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムブロモ-1-カルバドデカボレートな
ど;ボラン、カルボラン錯化合物、カルボランアニオン
の塩としては、たとえばデカボラン(14)、7,8-ジカル
バウンデカボラン(13)、2,7-ジカルバウンデカボラン
(13)、ウンデカハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカ
ルバウンデカボラン、ドデカハイドライド-11-メチル-
2,7-ジカルバウンデカボラン、トリ(n-ブチル)アンモ
ニウム6-カルバデカボレート(14)、トリ(n-ブチル)
アンモニウム6-カルバデカボレート(12)、トリ(n-ブ
チル)アンモニウム7-カルバウンデカボレート(13)、
トリ(n-ブチル)アンモニウム7,8-ジカルバウンデカボ
レート(12)、トリ(n-ブチル)アンモニウム2,9-ジカ
ルバウンデカボレート(12)、トリ(n-ブチル)アンモ
ニウムドデカハイドライド-8-メチル7,9-ジカルバウン
デカボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカ
ハイドライド8-エチル-7,9-ジカルバウンデカボレー
ト、トリ(n-ブチル)アンモニウムウンデカハイドライ
ド-8-ブチル-7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-
ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド-8-アリル-
7,9-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アン
モニウムウンデカハイドライド-9-トリメチルシリル-7,
8-ジカルバウンデカボレート、トリ(n-ブチル)アンモ
ニウムウンデカハイドライド-4,6-ジブロモ-7-カルバウ
ンデカボレートなど;カルボラン、カルボランの塩とし
ては、たとえば4-カルバノナボラン(14)、1,3-ジカル
バノナボラン(13)、6,9-ジカルバデカボラン(14)、
ドデカハイドライド-1-フェニル-1,3-ジカルバノナボラ
ン、ドデカハイドライド-1-メチル-1,3-ジカルバノナボ
ラン、ウンデカハイドライド-1,3-ジメチル-1,3-ジカル
バノナボランなど、さらに以下のような化合物も例示で
きる。(なお、以下に列挙するイオン性化合物において
対向イオンはトリ(n-ブチル)アンモニウムであるがこ
れに限定されない。) 金属カルボランの塩、金属ボランアニオンとしては、た
とえばトリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ノナハイド
ライド-1,3-ジカルバノナボレート)コバルテート(II
I)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハ
イドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)フェレー
ト(鉄酸塩)(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウム
ビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウンデカボ
レート)コバルテート(III)、トリ(n-ブチル)アン
モニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジカルバウ
ンデカボレート)ニッケレート(III)、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド-7,8-ジ
カルバウンデカボレート)キュブレート(銅酸塩)(II
I)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハ
イドライド-7,8-ジカルバウンデカボレート)アウレー
ト(金属塩)(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウム
ビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチル-7,8-ジカルバウ
ンデカボレート)フェレート(III)、トリ(n-ブチ
ル)アンモニウムビス(ノナハイドライド-7,8-ジメチ
ル-7,8-ジカルバウンデカボレート)クロメート(クロ
ム酸塩)(III)、トリ(n-ブチル)アンモニウムビス
(トリブロモオクタハイドライド-7,8-ジカルバウンデ
カボレート)コバルテート(III)、トリ(n-ブチル)
アンモニウムビス(ドデカハイドライドジカルバドデカ
ボレート)コバルテート(III)、ビス[トリ(n-ブチ
ル)アンモニウム]ビス(ドデカハイドライドドデカボ
レート)ニッケレート(III)、トリス[トリ(n-ブチ
ル)アンモニウム]ビス(ウンデカハイドライド-7-カ
ルバウンデカボレート)クロメート(III)、ビス[ト
リ(n-ブチル)アンモニウム]ビス(ウンデカハイドラ
イド-7-カルバウンデカボレート)マンガネート(I
V)、ビス[トリ(n-ブチル)アンモニウム]ビス(ウ
ンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)コバ
ルテート(III)、ビス[トリ(n-ブチル)アンモニウ
ム]ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボ
レート)ニッケレート(IV)などが挙げられる。
【0107】以下、上記(B-1)有機アルミニウムオキ
シ化合物および(B-2)遷移金属化合物(A-1)と反応
してイオン対を形成する化合物から選ばれる1種の化合
物を「活性化化合物」ということがある。
【0108】必要に応じて用いられる(C)有機アルミ
ニウム化合物としては、たとえば下記式(VIII)で表さ
れる有機アルミニウム化合物を例示することができる。 Rd n AlX3-n … (VIII) (式中、Rd は炭素原子数1〜12の炭化水素基を示
し、Xはハロゲン原子または水素原子を示し、nは1〜
3である。) 上記式(VIII)において、Rd は炭素原子数1〜12の
炭化水素基、たとえばアルキル基、シクロアルキル基ま
たはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチ
ル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル
基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などであ
る。
【0109】このような有機アルミニウム化合物(C)
として具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、ト
リイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニ
ウム、トリオクチルアルミニウム、トリ(2-エチルヘキ
シル)アルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのト
リアルキルアルミニウム;イソプレニルアルミニウムな
どのアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムク
ロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピ
ルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムク
ロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキ
ルアルミニウムハライド;メチルアルミニウムセスキク
ロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロ
ピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウム
セスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドな
どのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアル
ミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、
イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニ
ウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライ
ド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチル
アルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウム
ハイドライドなど。
【0110】また有機アルミニウム化合物(C)とし
て、下記式(IX)で表される化合物を用いることもでき
る。 Rd n AlY3-n … (IX) (式中、Rd は上記と同様であり、Yは−ORe 基、−
OSiRf 3 基、−OAlRg 2 基、−NRh 2 基、−S
iRi 3 基または−N(Rj )AlRk 2 基を示し、nは
1〜2であり、Re 、Rf 、Rg およびRk はメチル
基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロ
ヘキシル基、フェニル基などであり、Rh は水素原子、
メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、ト
リメチルシリル基などであり、Ri およびRj はメチル
基、エチル基などである。) このような有機アルミニウム化合物として具体的には、
以下のような化合物が挙げられる。 (1)Rd n Al(ORe3-n で表される化合物、たと
えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミ
ニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシ
ドなど、 (2)Rd n Al(OSiRf 33-n で表される化合
物、たとえばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)
2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiE
3)など; (3)Rd n Al(OAlRg 23-n で表される化合
物、たとえばEt2 AlOAlEt2 、(iso-Bu)2
AlOAl(iso-Bu)2 など; (4) Rd n Al(NRh 23-n で表される化合物、た
とえばMe2 AlNEt2 、Et2 AlNHMe、Me
2 AlNHEt、Et2 AlN(SiMe32、(iso-
Bu)2 AlN(SiMe32 など; (5)Rd n Al(SiRi 33-n で表される化合物、
たとえば(iso-Bu)2 AlSiMe3など; (6)Rd n Al(N(Rj)AlRk 23-n で表される
化合物、たとえばEt2 AlN(Me)AlEt2
(iso-Bu)2 AlN(Et)Al(iso-Bu)2
ど。
【0111】上記式(VIII)または(IX)で表される有
機アルミニウム化合物の中では、式Rd 3 Alで表され
る化合物が好ましく、特にRd がイソアルキル基である
化合物が好ましい。
【0112】このような有機アルミニウム化合物(C)
は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることがで
きる。上記のような(A-1)遷移金属化合物、(B-1)
有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2)イオン化イオ
ン性化合物および(C)有機アルミニウム化合物の少な
くとも1種は、微粒子状担体に担持させて用いることが
できる。
【0113】このような微粒子状担体は、無機あるいは
有機の化合物であって、粒径が10〜300μm、好ま
しくは20〜200μmの顆粒状ないしは微粒子状の固
体である。
【0114】このうち無機担体としては多孔質酸化物が
好ましく、具体的にはSiO2、Al23、MgO、Z
rO2、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、T
hO 2 など、またはこれらの混合物、たとえばSiO2-
MgO、SiO2-Al23、SiO2-TiO2、SiO2
-V25、SiO2-Cr23、SiO2-TiO2-MgO
などを例示することができる。これらの中でSiO2
よび/またはAl23 を主成分とするものが好ましい。
【0115】なお、上記無機酸化物には少量のNa2
3、K2CO3、CaCO3、MgCO3、Na2SO4
Al2(SO43、BaSO4、KNO3、Mg(NO3
2、Al(NO33、Na2O、K2O、Li2Oなどの炭
酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差
しつかえない。
【0116】このような微粒子状担体は、その種類およ
び製法により性状は異なるが、本発明に好ましく用いら
れる微粒子状担体は、比表面積が50〜1000m2
g、好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり、
細孔容積が0.3〜2.5cm3/gの範囲にあること
が望ましい。該微粒子状担体は、必要に応じて100〜
1000℃、好ましくは150〜700℃の温度で焼成
して用いられる。
【0117】さらに、微粒子状担体としては、粒径が1
0〜300μmである有機化合物の顆粒状ないしは微粒
子状固体を挙げることができる。これら有機化合物とし
ては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-
ペンテンなどの炭素原子数2〜14のα-オレフィンを
主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシ
クロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合
体もしくは共重合体を例示することができる。
【0118】このような微粒子状担体は、表面水酸基お
よび/または水を含有していてもよい。オレフィン重合
用触媒(1)は、(A-1)遷移金属化合物が担持した微
粒子状担体と、(B)活性化化合物とからなる触媒であ
ってもよく、(A-1)遷移金属化合物と、(B)活性化
化合物とが微粒子状担体に担持された固体触媒であって
もよく、(A-1)遷移金属化合物と、(B)活性化化合
物と、微粒子状担体との存在下にオレフィンを予備重合
して得られた予備重合触媒であってもよい。
【0119】固体触媒は、(A-1)遷移金属化合物と、
(B)活性化化合物と、微粒子状担体と、必要に応じて
(C)有機アルミニウム化合物とを不活性炭化水素媒体
中またはオレフィン媒体中で混合接触させることにより
調製することができる。
【0120】オレフィン重合用触媒の調製に用いられる
不活性炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタ
ン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカ
ン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂
環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳
香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジ
クロロメタンなどのハロゲン化炭化水素あるいはこれら
の混合物などを挙げることができる。
【0121】上記各成分を混合接触させる順序は任意に
選ばれるが、好ましくは微粒子状担体と活性化化合物
(B)とを混合接触させ、次いで遷移金属化合物(A-
1)を混合接触させるか、活性化化合物(B)と遷移金
属化合物(A-1)との混合物と、微粒子状担体とを混合
接触させるか、あるいは、微粒子状担体と活性化化合物
(B)と水とを混合接触させ、次いで遷移金属化合物
(A-1)を混合接触させることが選ばれる。
【0122】前記遷移金属化合物(A-1)を微粒子状担
体に担持する方法としては、通常、炭化水素媒体中で遷
移金属化合物(A-1)と微粒子状担体とを混合接触させ
る方法が用いられる。なお、上記各成分を接触させる際
には、さらに有機アルミニウム化合物(C)を混合接触
させてもよい。
【0123】より具体的には、下記のような方法が挙げ
られる。 (1)炭化水素媒体中に懸濁させた微粒子状担体に活性
化化合物(B)を加え、混合した後、媒体を濾過により
除去し、得られた固体成分に炭化水素溶媒に懸濁または
溶解させた遷移金属化合物(A-1)を接触させる方法。
【0124】(2)芳香族炭化水素媒体中に懸濁させた
微粒子状担体に活性化化合物(B)を加え、混合した
後、さらに脂肪族炭化水素を加え、減圧下に芳香族炭化
水素を除去する。この操作により微粒子状担体上に有機
アルミニウムオキシ化合物が析出する。次に、脂肪族炭
化水素を濾過により除去して得られた固体成分と、炭化
水素媒体に懸濁または溶解された遷移金属化合物(A-
1)とを接触させる方法。
【0125】(3)炭化水素媒体中に懸濁させた微粒子
状担体に活性化化合物(B)と遷移金属化合物(A-1)
とを加え、混合した後、濾過またはエバポレーターによ
り炭化水素媒体を除去する方法。
【0126】上記各成分を混合するに際して、遷移金属
化合物(A-1)は、微粒子状担体1g当たり、通常10
-6〜5×10-3モル、好ましくは3×10-6〜10-3
ルの量で用いられ、遷移金属化合物(A-1)の濃度は、
約5×10-6〜2×10-2モル/リットル、好ましくは
10-5〜10-2モル/リットルの範囲である。活性化化
合物(B)として有機アルミニウムオキシ化合物(B-
1)を用いる場合、有機アルミニウムオキシ化合物(B-
1)中のアルミニウムと、遷移金属化合物(A-1)中の
遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜
3000、好ましくは20〜2000である。活性化化
合物(B)としてイオン化イオン性化合物(B-2)を用
いる場合、遷移金属化合物(A-1)とイオン化イオン性
化合物(B-2)とのモル比〔(A-1)/(B-2))は、通
常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であ
る。有機アルミニウム化合物(C)を用いる場合、有機
アルミニウム化合物(C)中のアルミニウムと、遷移金
属化合物(A-1)中の遷移金属との原子比(Al/遷移
金属)は、通常10〜3000、好ましくは20〜20
00である。
【0127】上記各成分を混合する際の混合温度は、通
常−50〜150℃、好ましくは−20〜120℃であ
り、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜60
0分間である。また、混合接触時には混合温度を変化さ
せてもよい。
【0128】遷移金属化合物(A-1)を微粒子状担体に
担持する際には、ゼオライトまたは有機アミンの共存下
で行うことができる。ゼオライトとしては、たとえば下
記一般式 M2/nO・Al23・xSiO2・yH2O (式中MはNa、K、CaまたはBaを示し、nはMの
価数を示し、xは2〜10であり、yは2〜7であ
る。)で表される化合物が挙げられ、モレキュラーシー
TMが好ましい。
【0129】有機アミンとしては、メチルアミン、エチ
ルアミン、n-プロピルアミン、イソプロピルアミン、n-
ブチルアミン、t-ブチルアミンなどのモノアルキルアミ
ン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn-プロピルア
ミン、ジイソプロピルアミン、ジn-ブチルアミン、ジt-
ブチルアミンなどのジアルキルアミン;トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、トリn-プロピルアミン、トリn-
ブチルアミンなどのトリアルキルアミンなどが挙げられ
る。
【0130】ゼオライトは、微粒子状担体1g当たり、
通常、1×10-2〜1×102 g、好ましくは1×10
-1〜10gの量で用いられることが望ましい。また有機
アミンは、微粒子状担体1g当たり、通常、1×10-7
〜2×10-2モル、好ましくは1×10-5〜1×10-2
モルの量で用いられることが望ましい。
【0131】固体触媒を調製する際にゼオライトまたは
有機アミンを用いると高い担持率で遷移金属化合物(A
-1)が担持された固体触媒を調製することができる。上
記のようにして得られた固体触媒は、微粒子状担体1g
当たり遷移金属原子換算で10-6〜10-3グラム原子、
好ましくは2×10-6〜3×10-4グラム原子の遷移金
属化合物(A-1)が担持され、アルミニウム原子換算で
約10-3〜10-1グラム原子、好ましくは2×10-3
5×10-2グラム原子の有機アルミニウムオキシ化合物
(B-1)〔または有機アルミニウム化合物(C)〕が担
持されていることが望ましい。またイオン化イオン性化
合物(B-2)は、微粒子状担体1g当たりイオン化イオ
ン性化合物(B-2)中のホウ素原子として10-7〜0.
1グラム原子、好ましくは2×10-7〜3×10-2グラ
ム原子の量で担持されていることが望ましい。
【0132】予備重合触媒は、(A-1)遷移金属化合
物、(B)活性化化合物および微粒子状担体の存在下、
必要に応じて(C)有機アルミニウム化合物の共存下
に、不活性炭化水素媒体中またはオレフィン媒体中で少
量のオレフィンを予備重合することにより調製すること
ができる。なお、遷移金属化合物(A-1)、活性化化合
物(B)および微粒子状担体は前記固体触媒を形成して
いることが好ましい。
【0133】予備重合触媒の調製に用いられる不活性炭
化水素溶媒としては、前記と同様のものが挙げられる。
予備重合触媒を調製するに際して、遷移金属化合物(A
-1)は、微粒子状担体1g当たり通常10-6〜5×10
-3モル、好ましくは3×10-6〜10-3モルの量で用い
られ、遷移金属化合物(A-1)の濃度は約5×10-6
2×10-2モル/リットル(媒体)、好ましくは10-5
〜10-2モル/リットル(媒体)の範囲である。活性化
化合物(B)として有機アルミニウムオキシ化合物(B-
1)を用いる場合、有機アルミニウムオキシ化合物(B-
1)中のアルミニウムと、遷移金属化合物(A-1)中の
遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常10〜
3000、好ましくは20〜2000である。活性化化
合物(B)としてイオン化イオン性化合物(B-2)を用
いる場合、遷移金属化合物(A-1)とイオン化イオン性
化合物(B-2)とのモル比〔(A-1)/(B-2)〕は、通
常0.01〜10、好ましくは0.1〜5の範囲であ
る。必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物
(C)は、有機アルミニウム化合物(C)中のアルミニ
ウムと、遷移金属化合物(A-1)中の遷移金属との原子
比(Al/遷移金属)は、通常10〜3000、好まし
くは20〜2000である。
【0134】予備重合温度は−20〜80℃、好ましく
は0〜60℃であり、また予備重合時間は0.5〜10
0時間、好ましくは1〜50時間程度である。予備重合
に用いられるオレフィンとしては、重合に用いられるオ
レフィンの中から選ばれるが、好ましくは重合と同じモ
ノマーまたは重合と同じモノマーとオレフィンの混合物
である。
【0135】上記のようにして得られた予備重合触媒
は、微粒子状担体1g当たり遷移金属原子換算で10-6
〜10-3グラム原子、好ましくは2×10-6〜3×10
-4グラム原子の遷移金属化合物(A-1)が担持され、ア
ルミニウム原子換算で約10-3〜10-1グラム原子、好
ましくは2×10-3〜5×10-2グラム原子の有機アル
ミニウムオキシ化合物(B-1)が担持されていることが
望ましい。またイオン化イオン性化合物(B-2)は、イ
オン化イオン性化合物(B-2)中のホウ素原子換算で1
-7〜0.1グラム原子、好ましくは2×10-7〜3×
10-2グラム原子の量で担持されていることが望まし
い。さらに予備重合によって生成する重合体量は、微粒
子状担体1g当たり約0.1〜500g、好ましくは
0.3〜300g、特に好ましくは1〜100gの範囲
であることが望ましい。
【0136】このようなオレフィン重合用触媒(1)の
存在下にオレフィンを重合または2種以上のオレフィン
を共重合することによりオレフィン重合体(P)を製造
することができる。
【0137】重合に用いられるオレフィンとしては、前
記と同様の炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、炭
素原子数が3〜20の環状オレフィン、スチレン、ビニ
ルシクロヘキサン、ジエンなどが挙げられる。さらに、
前記と同様の分岐構造を有するオレフィン、炭素数4〜
20のジエン化合物を用いることができる。
【0138】本発明では、プロピレンを単独で、または
プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとを組み
合わせて用いることが好ましい。重合に際して、遷移金
属化合物(A-1)は、重合系内の遷移金属化合物(A-
1)中の遷移金属原子の濃度として、通常10-8〜10
-3グラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4
ラム原子/リットルの量で用いられることが望ましい。
活性化化合物(B)として有機アルミニウムオキシ化合
物(B-1)を用いる場合、有機アルミニウムオキシ化合
物(B-1)中のアルミニウムと、遷移金属化合物(A-
1)中の遷移金属との原子比(Al/遷移金属)は、通
常5〜10000、好ましくは10〜5000の範囲で
ある。活性化化合物(B)としてイオン化イオン性化合
物(B-2)を用いる場合、遷移金属化合物(A-1)とイ
オン化イオン性化合物(B-2)とのモル比〔(A-1)/
(B-2)〕は、通常0.01〜10、好ましくは0.5
〜5の範囲である。有機アルミニウム化合物(C)を用
いる場合、有機アルミニウム化合物(C)中のアルミニ
ウムと、遷移金属化合物(A-1)中の遷移金属との原子
比(Al/遷移金属)は、通常5〜10000、好まし
くは10〜5000の範囲である。
【0139】なお固体触媒または予備重合触媒を用いる
場合は、微粒子状担体に担持されている(B-1)有機ア
ルミニウムオキシ化合物、(B-2)イオン化イオン性化
合物または(C)有機アルミニウム化合物に加えて、さ
らに担持されていない有機アルミニウムオキシ化合物
(B-1)、イオン化イオン性化合物(B-2)または有機ア
ルミニウム化合物(C)からなる群より選ばれる化合物
を用いることができる。
【0140】重合温度は、スラリー重合法を実施する際
には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の
範囲であることが望ましい。気相重合法を実施する際に
は、重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜1
00℃の範囲であることが望ましい。また、重合圧力
は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧
〜50kg/cm2 である。
【0141】得られるオレフィン重合体(P)の分子量
は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を
変化させることによって調節することができる。オレフ
ィン重合用触媒(2)は、(Ia)マグネシウム、チタ
ン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有す
る固体状チタン触媒成分(a)と、(II)有機金属触媒
成分(b)と、(III)下記式(i)で示されるケイ素
化合物(c)または複数の原子を介して存在する2個以
上のエーテル結合を有する化合物(d)とから形成され
る。
【0142】 Rp n−Si−(ORq4-n … (i) (式中、nは1、2または3であり、nが1のとき、R
p は2級または3級の炭化水素基を示し、nが2または
3のとき、Rp の少なくとも1つは2級または3級の炭
化水素基を示し、他は炭化水素基であり、複数のRp
同一であっても異なっていてもよく、Rq は炭素数1〜
4の炭化水素基であって、4−nが2または3であると
き、Rq は同一であっても異なっていてもよい。) 触媒成分(Ia)である固体状チタン触媒成分(a)
は、下記のようなマグネシウム化合物、チタン化合物お
よび電子供与体を接触させることにより調製することが
できる。
【0143】固体状チタン触媒成分(a)の調製に用い
られるチタン化合物として具体的には、たとえば、次式
で示される4価のチタン化合物を挙げることができる。 Ti(OR)n4-n (式中、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示
し、nは0≦n≦4である) このようなチタン化合物として、具体的には、TiCl
4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタ
ン;Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3
Ti(On-C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、T
i(O-iso-C49)Br3 などのトリハロゲン化アル
コキシチタン;Ti(OCH32Cl2、Ti(OC2
52Cl2、Ti(On-C492Cl 2、Ti(OC2
52Br2 などのジハロゲン化ジアルコキシチタン;T
i(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti
(On-C493Cl、Ti(OC253Br などの
モノハロゲン化トリアルコキシチタン;Ti(OC
34、Ti(OC254、Ti(On-C494、T
i(O-iso-C494、Ti(O-2-エチルヘキシル)
4 などのテトラアルコキシチタンなどを例示することが
できる。
【0144】これらの中ではハロゲン含有チタン化合物
が好ましく、さらにテトラハロゲン化チタンが好まし
く、特に四塩化チタンが好ましい。これらチタン化合物
は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用
いてもよい。さらにこれらのチタン化合物は、炭化水素
化合物あるいはハロゲン化炭化水素化合物などに希釈さ
れていてもよい。
【0145】固体状チタン触媒成分(a)の調製に用い
られるマグネシウム化合物としては、還元性を有するマ
グネシウム化合物および還元性を有しないマグネシウム
化合物を挙げることができる。
【0146】ここで還元性を有するマグネシウム化合物
としては、たとえばマグネシウム−炭素結合あるいはマ
グネシウム−水素結合を有するマグネシウム化合物を挙
げることができる。このような還元性を有するマグネシ
ウム化合物の具体的な例としては、ジメチルマグネシウ
ム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、
ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキ
シルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、エチル塩化
マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化
マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化
マグネシウム、ブチルエトキシマグネシウム、エチルブ
チルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドな
どを挙げることができる。これらマグネシウム化合物
は、単独で用いることもできるし、後述する有機金属化
合物と錯化合物を形成していてもよい。また、これらマ
グネシウム化合物は、液体であってもよく、固体あって
もよいし、金属マグネシウムと対応する化合物とを反応
させることで誘導してもよい。さらに触媒調製中に上記
の方法を用いて金属マグネシウムから誘導することもで
きる。
【0147】還元性を有しないマグネシウム化合物の具
体的な例としては、塩化マグネシウム、臭化マグネシウ
ム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムのような
ハロゲン化マグネシウム;メトキシ塩化マグネシウム、
エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネ
シウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マ
グネシウムのようなアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マ
グネシウムのようなアリロキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、
ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-
エチルヘキソキシマグネシウムのようなアルコキシマグ
ネシウム;フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキ
シマグネシウムのようなアリロキシマグネシウム;ラウ
リン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムのよう
なマグネシウムのカルボン酸塩などを例示することがで
きる。
【0148】これら還元性を有しないマグネシウム化合
物は、上述した還元性を有するマグネシウム化合物から
誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化
合物であってもよい。還元性を有しないマグネシウム化
合物を、還元性を有するマグネシウム化合物から誘導す
るには、たとえば、還元性を有するマグネシウム化合物
を、ハロゲン、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シ
ラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、アルコ
ール、エステル、ケトン、アルデヒドなどの活性な炭素
−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
【0149】なお、本発明において、マグネシウム化合
物は上記の還元性を有するマグネシウム化合物および還
元性を有しないマグネシウム化合物の外に、上記のマグ
ネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物ある
いは他の金属化合物との混合物であってもよい。さら
に、上記の化合物を2種以上組み合わせて用いてもよ
い。
【0150】固体状チタン触媒成分(a)の調製に用い
られるマグネシウム化合物としては、上述した以外にも
多くのマグネシウム化合物が使用できるが、最終的に得
られる固体状チタン触媒成分(a)中において、ハロゲ
ン含有マグネシウム化合物の形をとることが好ましく、
従ってハロゲンを含まないマグネシウム化合物を用いる
場合には、調製の途中でハロゲン含有化合物と接触反応
させることが好ましい。
【0151】上述したマグネシウム化合物の中では、還
元性を有しないマグネシウム化合物が好ましく、ハロゲ
ン含有マグネシウム化合物がさらに好ましく、塩化マグ
ネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩
化マグネシウムが特に好ましい。
【0152】本発明で用いられる固体状チタン触媒成分
(a)は、上記のようなマグネシウム化合物と、前述し
たようなチタン化合物および電子供与体を接触させるこ
とにより形成される。
【0153】固体状チタン触媒成分(a)の調製の際に
用いられる電子供与体としては、具体的には下記のよう
な化合物が挙げられる。メチルアミン、エチルアミン、
ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、
テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ト
リブチルアミン、トリベンジルアミンなどのアミン類;
ピロール、メチルピロール、ジメチルピロールなどのピ
ロール類;ピロリン;ピロリジン;インドール;ピリジ
ン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジ
ン、ジメチルピリジン、エチルメチルピリジン、トリメ
チルピリジン、フェニルピリジン、ベンジルピリジン、
塩化ピリジンなどのピリジン類;ピペリジン類、キノリ
ン類、イソキノリン類などの含窒素環状化合物;テトラ
ヒドロフラン、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピノ
ールフラン、メチルフラン、ジメチルフラン、ジフェニ
ルフラン、ベンゾフラン、クマラン、フタラン、テトラ
ヒドロピラン、ピラン、ジテドロピランなどの環状含酸
素化合物;メタノール、エタノール、プロパノール、ペ
ンタノール、ヘキサノール、オクタノール、2-エチルヘ
キサノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、
オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエ
チルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアル
コール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数
1〜18のアルコール類;フェノール、クレゾール、キ
シレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、
ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトールなど
の低級アルキル基を有してもよい炭素数6〜20のフェ
ノール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、アセ
チルアセトン、ベンゾキノンなどの炭素数3〜15のケ
トン類;アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オ
クチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒ
ド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2〜15のアルデヒ
ド類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニ
ル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシ
ル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、
クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸
メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸
エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プ
ロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸
シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジ
ル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸
アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、マレ
イン酸n-ブチル、メチルマロン酸ジイソブチル、シクロ
ヘキセンカルボン酸ジn-ヘキシル、ナジック酸ジエチ
ル、テトラヒドロフタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ
エチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ブチル、
フタル酸ジ2-エチルヘキシル、γ-ブチロラクトン、δ-
バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチルなど
の炭素数2〜30の有機酸エステル;アセチルクロリ
ド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス
酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド類;メチ
ルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、
ブチルエーテル、アミルエーテル、アニソール、ジフェ
ニルエーテルエポキシ-p-メンタンなどの炭素数2〜2
0のエーテル類;2-イソペンチル-2-イソプロピル-1,3-
ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2,2-ジイソプロピル-1,3-ジメトキシプロ
パン、2-シクロヘキシルメチル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2,2-ジイソペンチル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピル-1,3-ジメト
キシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,
3-ジメトキシプロパン、1,2-ビス-メトキシメチル-ビシ
クロ-[2,2,1]-ヘプタン、ジフェニルジメトキシシラ
ン、イソプロピル-t-ブチルジメトキシシラン、2,2-ジ
イソブチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソペ
ンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシシクロヘキサ
ン、9,9-ジメトキシメチルフルオレンなどのジエーテル
類;酢酸アミド、安息香酸アミド、トルイル酸アミドな
どの酸アミド類;アセトニトリル、ベンゾニトリル、ト
ルニトリルなどのニトリル類;無水酢酸、無水フタル
酸、無水安息香酸などの酸無水物などが用いられる。
【0154】これらの他にも、水、アニオン系、カチオ
ン系、非イオン系の界面活性剤を用いることもできる。
またさらに有機酸エステルとして、下記一般式で表され
る骨格を有する多価カルボン酸エステルを特に好ましい
例として挙げることができる。
【0155】
【化9】
【0156】上記式中、R11は置換または非置換の炭化
水素基、R12、R15、R16は、水素または置換または非
置換の炭化水素基、R13、R14は、水素あるいは置換ま
たは非置換の炭化水素基であり、好ましくはその少なく
とも一方は置換または非置換の炭化水素基である。また
13とR14とは互いに連結されて環状構造を形成してい
てもよい。炭化水素基R11〜R16が置換されている場合
の置換基は、N、O、Sなどの異原子を含み、たとえ
ば、C−O−C、COOR、COOH、OH、SO
3H、−C−N−C−、NH2 などの基を有する。
【0157】このような多価カルボン酸エステルとして
は、具体的には、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチ
ル、メチルコハク酸ジエチル、α-メチルグルタル酸ジ
イソブチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸
ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロ
ン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマ
ロン酸ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、マレイン
酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジ
ブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸
ジエチル、β-メチルグルタル酸ジイソプロピル、エチ
ルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ-2-エチルヘキシ
ル、イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジオクチルなど
の脂肪族ポリカルボン酸エステル、1,2-シクロヘキサン
カルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジ
イソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック
酸ジエチルなどの脂環族ポリカルボン酸エステル、フタ
ル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエ
チル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸エチルイソブチル、フタル酸ジn-プロピル、フタ
ル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジ
イソブチル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ-2-エ
チルヘキシル、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジネオ
ペンチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチ
ル、フタル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジエ
チル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット
酸トリエチル、トリメリット酸ジブチルなどの芳香族ポ
リカルボン酸エステル、3,4-フランジカルボン酸などの
ヘテロ環ポリカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0158】また多価カルボン酸エステルの他の例とし
ては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、
セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn-ブチル、セ
バシン酸ジn-オクチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシ
ルなどの長鎖ジカルボン酸のエステルなどを挙げること
ができる。
【0159】また電子供与体として、後述するような一
般式(i)で示されるケイ素化合物を用いることもでき
る。これらの化合物は2種以上併用することもできる。
【0160】また上記のようなチタン化合物、マグネシ
ウム化合物および電子供与体を接触させる際に、下記の
ような担体化合物を用い、担体担持型の固体状チタン触
媒成分(a)を調製することもできる。
【0161】このような担体化合物としては、Al
23、SiO2、B23、MgO、CaO、TiO2、Z
nO、ZnO2、SnO2、BaO、ThOおよびスチレ
ン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂などを挙げる
ことができる。これら担体化合物の中でも、好ましくは
SiO2 、Al23、MgO、ZnO、ZnO2などを
挙げることができる。
【0162】なお、上記の成分は、たとえばケイ素、リ
ン、アルミニウムなどの他の反応試剤の存在下に接触さ
せてもよい。固体状チタン触媒成分(a)の製造方法
は、上記したようなチタン化合物、マグネシウム化合物
および電子供与体を接触させることなどにより製造する
ことができ、公知の方法を含むあらゆる方法を採用する
ことができる。
【0163】これら固体状チタン触媒成分(a)の具体
的な製造方法を数例挙げて以下に簡単に述べる。 (1) マグネシウム化合物、電子供与体および炭化水素溶
媒からなる溶液を、有機金属化合物と接触反応させて固
体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物
と接触反応させる方法。
【0164】(2) マグネシウム化合物と電子供与体から
なる錯体を有機金属化合物と接触反応させた後チタン化
合物を接触反応させる方法。 (3) 無機担体と有機マグネシウム化合物との接触物に、
チタン化合物および好ましくは電子供与体を接触反応さ
せる方法。この際、あらかじめ該接触物をハロゲン含有
化合物および/または有機金属化合物と接触反応させて
もよい。
【0165】(4) マグネシウム化合物、電子供与体、場
合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶液と無機または
有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持さ
れた無機または有機担体を得、次いでチタン化合物を接
触させる方法。
【0166】(5) マグネシウム化合物、チタン化合物、
電子供与体、場合によっては更に炭化水素溶媒を含む溶
液と無機または有機担体との接触により、マグネシウ
ム、チタンの担持された固体状チタン触媒成分を得る方
法。
【0167】(6) 液状状態の有機マグネシウム化合物を
ハロゲン含有チタン化合物と接触反応させる方法。この
とき電子供与体を少なくとも1回は用いる。 (7) 液状状態の有機マグネシウム化合物をハロゲン含有
化合物と接触反応後、チタン化合物を接触させる方法。
このとき電子供与体を少なくとも1回は用いる。
【0168】(8) アルコキシ基含有マグネシウム化合物
をハロゲン含有チタン化合物と接触反応する方法。この
とき電子供与体を少なくとも1回は用いる。 (9) アルコキシ基含有マグネシウム化合物および電子供
与体からなる錯体をチタン化合物と接触反応する方法。
【0169】(10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物
および電子供与体からなる錯体を有機金属化合物と接触
後チタン化合物と接触反応させる方法。 (11)マグネシウム化合物と、電子供与体と、チタン化合
物とを任意の順序で接触、反応させる方法。この反応
は、各成分を電子供与体および/または有機金属化合物
やハロゲン含有ケイ素化合物などの反応助剤で予備処理
してもよい。なお、この方法においては、上記電子供与
体を少なくとも一回は用いることが好ましい。
【0170】(12)還元能を有しない液状のマグネシウム
化合物と液状チタン化合物とを、好ましくは電子供与体
の存在下で反応させて固体状のマグネシウム・チタン複
合体を析出させる方法。
【0171】(13) (12)で得られた反応生成物に、チタ
ン化合物をさらに反応させる方法。 (14) (11)あるいは(12)で得られる反応生成物に、電子
供与体およびチタン化合物をさらに反応させる方法。
【0172】(15)マグネシウム化合物と好ましくは電子
供与体と、チタン化合物とを粉砕して得られた固体状物
を、ハロゲン、ハロゲン化合物および芳香族炭化水素の
いずれかで処理する方法。なお、この方法においては、
マグネシウム化合物のみを、あるいはマグネシウム化合
物と電子供与体とからなる錯化合物を、あるいはマグネ
シウム化合物とチタン化合物を粉砕する工程を含んでも
よい。また、粉砕後に反応助剤で予備処理し、次いでハ
ロゲンなどで処理してもよい。反応助剤としては、有機
金属化合物あるいはハロゲン含有ケイ素化合物などが挙
げられる。
【0173】(16)マグネシウム化合物を粉砕した後、チ
タン化合物と接触・反応させる方法。この際、粉砕時お
よび/または接触・反応時に電子供与体や、反応助剤を
用いることが好ましい。
【0174】(17)上記(11)〜(16)で得られる化合物をハ
ロゲンまたはハロゲン化合物または芳香族炭化水素で処
理する方法。 (18)金属酸化物、有機マグネシウムおよびハロゲン含有
化合物との接触反応物を、好ましくは電子供与体および
チタン化合物と接触させる方法。
【0175】(19)有機酸のマグネシウム塩、アルコキシ
マグネシウム、アリーロキシマグネシウムなどのマグネ
シウム化合物を、チタン化合物および/またはハロゲン
含有炭化水素および好ましくは電子供与体と反応させる
方法。
【0176】(20)マグネシウム化合物とアルコキシチタ
ンとを少なくとも含む炭化水素溶液と、チタン化合物お
よび/または電子供与体とを接触させる方法。この際ハ
ロゲン含有ケイ素化合物などのハロゲン含有化合物を共
存させることが好ましい。
【0177】(21)還元能を有しない液状状態のマグネシ
ウム化合物と有機金属化合物とを反応させて固体状のマ
グネシウム・金属(アルミニウム)複合体を析出させ、
次いで、電子供与体およびチタン化合物を反応させる方
法。
【0178】固体状チタン触媒成分(a)を調製する際
に用いられる上記各成分の使用量は、調製方法によって
異なり一概に規定できないが、たとえばマグネシウム化
合物1モル当り、電子供与体は0.01〜10モル、好
ましくは0.1〜5モルの量で用いられ、チタン化合物
は0.01〜1000モル、好ましくは0.1〜200
モルの量で用いられる。
【0179】このようにして得られる固体状チタン触媒
成分(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび
電子供与体を必須成分として含有している。この固体状
チタン触媒成分(a)において、ハロゲン/チタン(原
子比)は約2〜200、好ましくは約4〜100の範囲
にあり、前記電子供与体/チタン(モル比)は約0.0
1〜100、好ましくは約0.2〜10の範囲にあり、
マグネシウム/チタン(原子比)は約1〜100、好ま
しくは約2〜50の範囲にあることが望ましい。
【0180】このような固体状チタン触媒成分(a)
〔触媒成分(Ia)〕は、該固体状チタン触媒成分
(a)と下記有機金属触媒成分(b)との存在下、オレ
フィンの予備重合を行うことにより得られる(Ib)予
備重合触媒成分として重合に用いることもできる。
【0181】(Ib)予備重合触媒成分の調製に用いら
れる有機金属触媒成分(b)としては、周期律表第I族
〜第III族金属の有機金属化合物が用いられ、具体的に
は、下記のような化合物が用いられる。
【0182】(b-1) 前記有機アルミニウムオキシ化合物
(B-1)と同様の有機アルミニウムオキシ化合物および
前記有機アルミニウム化合物(C)と同様の有機アルミ
ニウム化合物。
【0183】(b-2) 次式で表される第I族金属とアルミ
ニウムとの錯アルキル化物。 M3 AlR17 4 (式中、M3 はLi、Na、Kを示し、R17は炭素原子
を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基
を示す) (b-3) 次式で表される第II族または第III族のジアルキ
ル化合物。
【0184】R17184 (式中、M4 はMg、ZnまたはCdを示し、R17は上
記と同様であり、R18は炭素原子を通常1〜15個、好
ましくは1〜4個含む炭化水素基を示す) これらの中では有機アルミニウム化合物が好ましく用い
られる。
【0185】(Ib)予備重合触媒成分の調製に用いら
れるオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブ
テン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセ
ン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-
オクタデセン、1-エイコセンなどの直鎖状オレフィン;
3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセ
ン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテ
ン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、アリ
ルナフタレン、アリルノルボルナン、スチレン、ジメチ
ルスチレン類、ビニルナフタレン類、アリルトルエン
類、アリルベンゼン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシ
クロペンタン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアル
キルシラン類などの分岐構造を有するオレフィンが挙げ
られる。
【0186】予備重合では、本重合における系内の触媒
濃度よりもかなり高濃度の触媒を用いることができる。
予備重合における固体状チタン触媒成分(a)の濃度
は、後述する不活性炭化水素媒体1リットル当り、チタ
ン原子換算で、通常約0.01〜200ミリモル、好ま
しくは約0.05〜100ミリモルの範囲にあることが
望ましい。
【0187】有機金属触媒成分(b)の量は、固体状チ
タン触媒成分(a)1g当り0.1〜1000g、好ま
しくは0.3〜500gの重合体が生成するような量で
あればよく、固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原
子1モル当り、通常約0.1〜100ミリモル、好まし
くは約0.5〜50ミリモルの範囲とすることが望まし
い。
【0188】また予備重合を行う際には、固体状チタン
触媒成分(a)、有機金属触媒成分(b)の他に電子供
与体(e)を用いてもよい。この電子供与体(e)とし
て、具体的には、先に固体状チタン触媒成分(a)を調
製する際に用いた電子供与体、後述する式(i)で示さ
れるケイ素化合物(c)および複数の原子を介して存在
する2個以上のエーテル結合を有する化合物(d)、さ
らには下記式(c-i)で表される有機ケイ素化合物を挙
げることができる。
【0189】 Rn−Si−(OR’)4-n …(c-i) (式中、RおよびR’は炭化水素基であり、0<n<4
である) このような一般式(c-i)で示される有機ケイ素化合物
としては、具体的には、トリメチルメトキシシラン、ト
リメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシ
シラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチル
ジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビス
o-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシ
ラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジ
エトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシ
シラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメ
トキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエト
キシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノ
プロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラ
ン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブト
キシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチル
フェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シ
ラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシシラン)、
ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシ
ジシロキサンなどが挙げられる。
【0190】これらの電子供与体(e)は、単独である
いは2種以上併用して用いることができる。電子供与体
(e)は、固体状チタン触媒成分(a)中のチタン原子
1モル当り0.1〜50モル、好ましくは0.5〜30
モル、さらに好ましくは1〜20モルの量で用いられ
る。
【0191】予備重合は、不活性炭化水素媒体に上記オ
レフィンおよび上記触媒成分を加え、温和な条件下で行
うことが好ましい。この際用いられる不活性炭化水素媒
体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シク
ロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水
素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水
素;エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン
化炭化水素、あるいはこれらの接触物などを挙げること
ができる。これらの不活性炭化水素媒体のうちでは、特
に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
【0192】予備重合の際の反応温度は、生成する予備
重合体は実質的に不活性炭化水素媒体中に溶解しないよ
うな温度であればよく、通常約−20〜+100℃、好
ましくは約−20〜+80℃、さらに好ましくは0〜+
40℃の範囲にあることが望ましい。
【0193】なお、予備重合においては、水素のような
分子量調節剤を用いることもできる。このような分子量
調節剤は、135℃のデカリン中で測定した予備重合に
より得られる重合体の極限粘度[η]が、約0.2dl
/g以上、好ましくは約0.5〜10dl/gとなるよ
うな量で用いることが望ましい。
【0194】予備重合は、上記のような固体状チタン触
媒成分(a)1g当り約0.1〜1000g、好ましく
は約0.3〜500gの重合体が生成するように行うこ
とが望ましい。
【0195】このような予備重合は回分式あるいは連続
式で行うことができる。オレフィン重合用触媒(2)
は、上記(Ia)固体状チタン触媒成分または(Ib)
予備重合触媒成分と、(II)有機金属触媒成分と、(II
I)ケイ素化合物(c)または複数の原子を介して存在
する2個以上のエーテル結合を有する化合物(d)とか
ら形成される。
【0196】(II)有機金属触媒成分としては、前述し
た(Ib)予備重合触媒成分の調製に用いた(b)有機
金属触媒成分と同様のものを使用することができる。成
分(III)として用いられるケイ素化合物(c)は、下
記式(i)で示される化合物である。
【0197】 Rp n−Si−(ORq4-n … (i) (式中、nは1、2または3であり、nが1のとき、R
p は2級または3級の炭化水素基を示し、nが2または
3のとき、Rp の少なくとも1つは2級または3級の炭
化水素基を示し、他は炭化水素基を示し、複数のRp
同一であっても異なっていてもよく、Rq は炭素数1〜
4の炭化水素基であって、4−nが2または3であると
き、Rq は同一であっても異なっていてもよい。) この式(i)で示されるケイ素化合物(c)において、
2級または3級の炭化水素基としては、シクロペンチル
基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、置
換基を有するこれらの基あるいはSiに隣接する炭素が
2級または3級である炭化水素基が挙げられる。より具
体的に、置換シクロペンチル基としては、2-メチルシク
ロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基、2-エチルシ
クロペンチル基、2-n-ブチルシクロペンチル基、2,3-ジ
メチルシクロペンチル基、2,4-ジメチルシクロペンチル
基、2,5-ジメチルシクロペンチル基、2,3-ジエチルシク
ロペンチル基、2,3,4-トリメチルシクロペンチル基、2,
3,5-トリメチルシクロペンチル基、2,3,4-トリエチルシ
クロペンチル基、テトラメチルシクロペンチル基、テト
ラエチルシクロペンチル基などのアルキル基を有するシ
クロペンチル基を例示することができる。
【0198】置換シクロペンテニル基としては、2-メチ
ルシクロペンテニル基、3-メチルシクロペンテニル基、
2-エチルシクロペンテニル基、2-n-ブチルシクロペンテ
ニル基、2,3-ジメチルシクロペンテニル基、2,4-ジメチ
ルシクロペンテニル基、2,5-ジメチルシクロペンテニル
基、2,3,4-トリメチルシクロペンテニル基、2,3,5-トリ
メチルシクロペンテニル基、2,3,4-トリエチルシクロペ
ンテニル基、テトラメチルシクロペンテニル基、テトラ
エチルシクロペンテニル基などのアルキル基を有するシ
クロペンテニル基を例示することができる。
【0199】置換シクロペンタジエニル基としては、2-
メチルシクロペンタジエニル基、3-メチルシクロペンタ
ジエニル基、2-エチルシクロペンタジエニル基、2-n-ブ
チルシクロペンテニル基、2,3-ジメチルシクロペンタジ
エニル基、2,4-ジメチルシクロペンタジエニル基、2,5-
ジメチルシクロペンタジエニル基、2,3-ジエチルシクロ
ペンタジエニル基、2,3,4-トリメチルシクロペンタジエ
ニル基、2,3,5-トリメチルシクロペンタジエニル基、2,
3,4-トリエチルシクロペンタジエニル基、2,3,4,5-テト
ラメチルシクロペンタジエニル基、2,3,4,5-テトラエチ
ルシクロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタメチルシ
クロペンタジエニル基、1,2,3,4,5-ペンタエチルシクロ
ペンタジエニル基などのアルキル基を有するシクロペン
タジエニル基をを例示することができる。
【0200】またSiに隣接する炭素が2級炭素である
炭化水素基としては、i-プロピル基、s-ブチル基、s-ア
ミル基、α-メチルベンジル基などを例示することがで
き、Siに隣接する炭素が3級炭素である炭化水素基と
しては、t-ブチル基、t-アミル基、α,α'-ジメチルベ
ンジル基、アドマンチル基などを例示することができ
る。
【0201】このような式(i)で示されるケイ素化合
物(c)は、nが1である場合には、 シクロペンチル
トリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメト
キシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシ
シラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、iso-ブチ
ルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、
シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルト
リエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラ
ン、2-ノルボルナントリエトキシシランなどのトリアル
コキシシラン類が例示される。
【0202】nが2である場合には、ジシクロペンチル
ジエトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、
t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエ
トキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シ
クロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシル
メチルジエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメト
キシシランなどのジアルコキシシラン類が例示される。
【0203】nが2である場合には、式(i)で示され
るケイ素化合物(c)は、下記式(ii)で示されるジメ
トキシ化合物であることが好ましい。
【0204】
【化10】
【0205】式中、Rp およびRs は、それぞれ独立
に、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロ
ペンテニル基、置換シクロペンテニル基、シクロペンタ
ジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、あるいは、
Siに隣接する炭素が2級炭素または3級炭素である炭
化水素基を示す。
【0206】このような式(ii)で示されるケイ素化合
物としては、たとえば、ジシクロペンチルジメトキシシ
ラン、ジシクロペンテニルジメトキシシラン、ジシクロ
ペンタジエニルジメトキシシラン、ジt-ブチルジメトキ
シシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシ
ラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2-エチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,4-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,5-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3-ジエチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、
ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンチル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,3,5-トリメチルシクロペンチル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,3,4-トリエチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(テトラメチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(テトラエチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ(2-メチルシクロペンテニル)ジメトキ
シシラン、ジ(3-メチルシクロペンテニル)ジメトキシ
シラン、ジ(2-エチルシクロペンテニル)ジメトキシシ
ラン、ジ(2-n-ブチルシクロペンテニル)ジメトキシシ
ラン、ジ(2,3-ジメチルシクロペンテニル)ジメトキシ
シラン、ジ(2,4-ジメチルシクロペンテニル)ジメトキ
シシラン、ジ(2,5-ジメチルシクロペンテニル)ジメト
キシシラン、ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンテニル)
ジメトキシシラン、ジ(2,3,5-トリメチルシクロペンテ
ニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4-トリエチルシクロ
ペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(テトラメチルシク
ロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(テトラエチルシ
クロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(2-メチルシク
ロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシ
クロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2-エチル
シクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2-n-ブ
チルシクロペンテニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3-ジ
メチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ
(2,4-ジメチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラ
ン、ジ(2,5-ジメチルシクロペンタジエニル)ジメトキ
シシラン、ジ(2,3-ジエチルシクロペンタジエニル)ジ
メトキシシラン、ジ(2,3,4-トリメチルシクロペンタジ
エニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,5-トリメチルシク
ロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(2,3,4-トリ
エチルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ
(2,3,4,5-テトラメチルシクロペンタジエニル)ジメト
キシシラン、ジ(2,3,4,5-テトラエチルシクロペンタジ
エニル)ジメトキシシラン、ジ(1,2,3,4,5-ペンタメチ
ルシクロペンタジエニル)ジメトキシシラン、ジ(1,2,
3,4,5-ペンタエチルシクロペンタジエニル)ジメトキシ
シラン、ジt-アミル-ジメトキシシラン、ジ(α,α'-ジ
メチルベンジル)ジメトキシシラン、ジ(アドマンチ
ル)ジメトキシシラン、アドマンチル-t-ブチルジメト
キシシラン、シクロペンチル-t-ブチルジメトキシシラ
ン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジs-ブチルジメ
トキシシラン、ジs-アミルジメトキシシラン、イソプロ
ピル-s-ブチルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0207】nが3である場合には、トリシクロペンチ
ルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラ
ン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロ
ペンチルエチルメトキシシラン、ジシクロペンチルメチ
ルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシ
ラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロ
ペンチルジメチルエトキシシランなどのモノアルコキシ
シラン類などが挙げられる。
【0208】これらのうち、ジメトキシシラン類特に式
(ii)で示されるジメトキシシラン類が好ましく、具体
的に、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-t-ブチ
ルジメトキシシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジ
メトキシシラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメト
キシシラン、ジ-t-アミルジメトキシシランが好まし
い。
【0209】これらケイ素化合物(c)は、2種以上併
用して用いることができる。成分(III)として用いら
れる複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結
合を有する化合物(d)(以下ポリエーテル化合物とい
うこともある)では、これらエーテル結合間に存在する
原子は、炭素、ケイ素、酸素、硫黄、リン、ホウ素から
なる群から選択される1種以上であり、原子数は2以上
である。これらのうちエーテル結合間の原子に比較的嵩
高い置換基、具体的には炭素数2以上であり、好ましく
は3以上で直鎖状、分岐状、環状構造を有する置換基、
より好ましくは分岐状または環状構造を有する置換基が
結合しているものが望ましい。また2個以上のエーテル
結合間に存在する原子に、複数の、好ましくは3〜2
0、より好ましくは3〜10、特に好ましくは3〜7の
炭素原子が含まれた化合物が好ましい。
【0210】このようなポリエーテル化合物としては、
たとえば下記式で示される化合物を挙げることができ
る。
【0211】
【化11】
【0212】式中、nは2≦n≦10の整数であり、R
1 〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、
リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1
種の元素を有する置換基を示し、任意のR1 〜R26、好
ましくはR1 〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形
成していてもよく、主鎖中に炭素原子以外の原子が含ま
れていてもよい。
【0213】上記のようなポリエーテル化合物として、
具体的には、2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2
-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-s-ブチル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-ク
ミル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-フェニルエチ
ル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(2-シクロヘキシル
エチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(p-クロロフェ
ニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(ジフェニルメチ
ル)-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-ナフチル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2-(2-フルオロフェニル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2-(1-デカヒドロナフチル)-1,3
-ジメトキシプロパン、2-(p-t-ブチルフェニル)-1,3-
ジメトキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメ
トキシプロパン、2,2-ジシクロペンチル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2,2-ジエチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソ
プロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-メチル-2-プロピル-1,3-ジメト
キシプロパン、2-メチル-2-ベンジル-1,3-ジメトキシプ
ロパン、2-メチル-2-エチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-メチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-
メチル-2-フェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2-メチル
-2-シクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス
(p-クロロフェニル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-
ビス(2-シクロヘキシルエチル)-1,3-ジメトキシプロ
パン、2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2-メチル-2-(2-エチルヘキシル)-1,3-ジメトキシ
プロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパ
ン、2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ
ベンジル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロ
ヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイ
ソブチル-1,3-ジエトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-
1,3-ジブトキシプロパン、2-イソブチル-2-イソプロピ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチルブチル)-2-
イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、2-(1-メチル
ブチル)-2-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ
-s- ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジ-t- ブチ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジネオペンチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-
1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-イソプロピル-
1,3-ジメトキシプロパン、2-フェニル-2-s-ブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-イソプロピル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-ベンジル-2-s-ブチル-1,3-ジメ
トキシプロパン、2-フェニル-2-ベンジル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジ
メトキシプロパン、2-シクロペンチル-2-s-ブチル-1,3-
ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-イソプロピ
ル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-s-ブ
チル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-s-ブ
チル-1,3-ジメトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-シ
クロヘキシルメチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ジ
メトキシメチルフルオレン、2,3-ジフェニル-1,4-ジエ
トキシブタン、2,3-ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシ
ブタン、2,2-ジベンジル-1,4-ジエトキシブタン、2,3-
ジシクロヘキシル-1,4-ジエトキシブタン、2,3-ジイソ
プロピル-1,4-ジエトキシブタン、2,2-ビス(p-メチル
フェニル)-1,4-ジメトキシブタン、2,3-ビス(p-クロ
ロフェニル)-1,4-ジメトキシブタン、2,3-ビス(p-フ
ルオロフェニル)-1,4-ジメトキシブタン、2,4-ジフェ
ニル-1,5-ジメトキシペンタン、2,5-ジフェニル-1,5-ジ
メトキシヘキサン、2,4-ジイソプロピル-1,5-ジメトキ
シペンタン、2,4-ジイソブチル-1,5-ジメトキシペンタ
ン、2,4-ジイソアミル-1,5-ジメトキシペンタン、3-メ
トキシメチルテトラヒドロフラン、3-メトキシメチルジ
オキサン、1,3-ジイソブトキシプロパン、1,2-ジイソブ
トキシプロパン、1,2-ジイソブトキシエタン、1,3-ジイ
ソアミロキシプロパン、1,3-ジイソネオペンチロキシエ
タン、1,3-ジネオペンチロキシプロパン、2,2-テトラメ
チレン-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ペンタメチレン-
1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ヘキサメチレン-1,3-ジ
メトキシプロパン、1,2-ビス(メトキシメチル)シクロ
ヘキサン、2,8-ジオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,7
-ジオキサビシクロ[3,3,1]ノナン、3,7-ジオキサビシ
クロ[3,3,0]オクタン、3,3-ジイソブチル-1,5-オキソ
ノナン、6,6-ジイソブチルジオキシヘプタン、1,1-ジメ
トキシメチルシクロペンタン、1,1-ビス(ジメトキシメ
チル)シクロヘキサン、1,1-ビス(メトキシメチル)ビ
シクロ[2,2,1]ヘプタン、1,1-ジメトキシメチルシク
ロペンタン、2-メチル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキ
シプロパン、2-シクロヘキシル-2-エトキシメチル-1,3-
ジエトキシプロパン、2-シクロヘキシル-2-メトキシメ
チル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-
ジメトキシシクロヘキサン、2-イソプロピル-2-イソア
ミル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、2-シクロヘキシ
ル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、
2-イソプロピル-2-メトキシメチル-1,3-ジメトキシシク
ロヘキサン、2-イソブチル-2-メトキシメチル-1,3-ジメ
トキシシクロヘキサン、2-シクロヘキシル-2-エトキシ
メチル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-シクロヘキ
シル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサ
ン、2-イソプロピル-2-エトキシメチル-1,3-ジエトキシ
シクロヘキサン、2-イソプロピル-2-エトキシメチル-1,
3-ジメトキシシクロヘキサン、2-イソブチル-2-エトキ
シメチル-1,3-ジエトキシシクロヘキサン、2-イソブチ
ル-2-エトキシメチル-1,3-ジメトキシシクロヘキサン、
トリス(p-メトキシフェニル)ホスフィン、メチルフェ
ニルビス(メトキシメチル)シラン、ジフェニルビス
(メトキシメチル)シラン、メチルシクロヘキシルビス
(メトキシメチル)シラン、ジ-t- ブチルビス(メトキ
シメチル)シラン、シクロヘキシル-t-ブチルビス(メ
トキシメチル)シラン、i-プロピル-t-ブチルビス(メ
トキシメチル)シランなどが挙げられる。
【0214】これらのうち、1,3-ジエーテル類が好まし
く用いられ、特に、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメト
キシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシ
プロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジ
メトキシプロパン、9,9-ジメトキシメチルフルオレンが
好ましく用いられる。
【0215】これらポリエーテル化合物(d)は、2種
以上併用して用いることができる。このようなオレフィ
ン重合用触媒(2)の存在下にオレフィンを重合または
2種以上のオレフィンを共重合することによりオレフィ
ン重合体(P)を製造することができる。
【0216】重合に用いられるオレフィンとしては、前
記と同様の炭素原子数が2〜20のα−オレフィン、炭
素原子数が3〜20の環状オレフィン、スチレン、ビニ
ルシクロヘキサン、ジエンなどが挙げられる。さらに、
前記と同様の分岐構造を有するオレフィン、炭素数4〜
20のジエン化合物を用いることができる。
【0217】本発明では、プロピレンを単独で、または
プロピレンとプロピレン以外のα−オレフィンとを組み
合わせて用いることが好ましい。重合に際して、前記
(Ia)固体状チタン触媒成分または(Ib)予備重合
触媒成分は、重合容積1リットル当り(Ia)固体状チ
タン触媒成分中のチタン原子または(Ib)予備重合触
媒成分中のチタン原子に換算して、通常は約0.000
1〜50ミリモル、好ましくは約0.001〜10ミリ
モルの量で用いられる。また、(II)有機金属触媒成分
は、重合系中のチタン原子1モルに対し、(II)有機金
属触媒成分に含まれる金属原子が、通常約1〜2000
モル、好ましくは約2〜500モルとなるような量で用
いられる。さらに(III)ケイ素化合物(c)またはポ
リエーテル化合物(d)は、(II)有機金属触媒成分中
の金属原子1モル当り、通常約0.001〜50モル、
好ましくは約0.01〜20モルとなるような量で用い
られる。
【0218】重合時には、固体状チタン触媒成分(a)
を調製する際に用いた電子供与体および/または上記式
(c-i)で表される有機ケイ素化合物を併用することも
できる。
【0219】重合時に水素を用いると、メルトフローレ
ートの大きいオレフィン重合体が得られ、水素添加量に
よって得られるオレフィン重合体の分子量を調節するこ
とができる。
【0220】重合反応は、通常、スラリー状でまたは気
相で行われる。スラリー重合を行なう場合には、反応溶
媒として、上述の(Ib)予備重合触媒成分の調製の際
に用いた不活性炭化水素と同様の不活性炭化水素を用い
ることができる。
【0221】重合温度は、通常、約−50〜200℃、
好ましくは約20〜100℃であり、重合圧力は、通
常、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは約2〜50
kg/cm2 に設定される。
【0222】重合は回分式、半連続式、連続式のいずれ
の方法においても行うことができる。プロピレン単独重合体(Q) プロピレン単独重合体(Q)は、極限粘度[η]が0.
5〜10dl/g、好ましくは1.0〜5.0dl/g
の範囲にあり、NMRで測定したダイアッド分布におい
て、mr/(mm+rr)の値が0.7〜1.3、好ま
しくは0.8〜1.2の範囲にあることが望ましい。
【0223】ここで、13C−NMRで測定したダイアッ
ド分布における、mr、mmおよびrrの値は、以下の
ようにして求めた。すなわち、試料50〜70mgをN
MRサンプル管(5mmφ)中でヘキサクロロブタジエ
ン、o-ジクロロベンゼンまたは1,2,4-トリクロロベンゼ
ン約0.5mlに約0.05mlのロック溶媒である重
水素化ベンゼンを加えた溶媒中で完全に溶解させた後、
120℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。
測定条件は、フリップアングル45°、パルス間隔3.
4T1 以上(T1 は、メチル基のスピン格子緩和時間の
うち最長の値)を選択する。メチレン基およびメチン基
のT1 は、メチル基より短いので、この条件では磁化の
回復は99%以上である。ケミカルシフトは、頭−尾結
合しメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位5連
鎖の第3単位目のメチル基を21.59ppmとして設
定した。
【0224】メチル炭素領域(19〜23ppm)に係
るスペクトルは、ピーク領域を第1領域(21.1〜2
1.9ppm)、第2領域(20.3〜21.0pp
m)および第3領域(19.5〜20.3ppm)に分
類できる。なお、スペクトル中の各ピークは、文献(Po
lymer,30(1989)1350)を参考にして帰属した。
【0225】なお、mr、mmおよびrrは、それぞれ
次式で表される頭−尾で結合しているプロピレン単位3
連鎖を示す。
【0226】
【化12】
【0227】上述したようなオレフィン重合体(Q)
は、たとえば、 (A-2)前記式(I)で表される遷移金属化合物のメソ
体と、 (B)(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、または
(B-2)前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対
を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とからなるオレフィン重
合用触媒(3)の存在下にプロピレンを重合するか、あ
るいは、 (A-3)下記式(II)で表される遷移金属化合物と、 (B)(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、または
(B-2)前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対
を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とからなるオレフィン重
合用触媒(4)の存在下にプロピレンを重合することに
より製造することができる。
【0228】次に、オレフィン重合用触媒(3)および
オレフィン重合用触媒(4)について具体的に説明す
る。オレフィン重合用触媒(3)は、 (A-2)前記式(I)で表される遷移金属化合物のメソ
体と、 (B)(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、および
/または(B-2)前記遷移金属化合物(A-1)と反応し
てイオン対を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とから形成される。
【0229】遷移金属化合物(A-2)は、前記式(I)
で表される遷移金属化合物のメソ体である。このような
遷移金属化合物(A-2)として具体的には、前記式
(I)で表される化合物として示した化合物のメソ体が
挙げられる。
【0230】本発明では、前記式(I)で表される遷移
金属化合物のメソ体なかで、特に前記式(III)、(I
V)または(V)で表される遷移金属化合物のメソ体を
用いることが好ましい。
【0231】オレフィン重合用触媒(3)で用いられ
る、(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2)前
記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する
化合物、および(C)有機アルミニウム化合物は、前記
オレフィン重合用触媒(1)で用いられる(B-1)有機
アルミニウムオキシ化合物、(B-2)前記遷移金属化合
物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(C)有機アルミニウム化合物と同様である。
【0232】このようなオレフィン重合用触媒(3)の
存在下にプロピレンを重合することによりプロピレン単
独重合体(Q)を製造することができる。重合に際し
て、遷移金属化合物(A-2)は、重合系内の遷移金属化
合物(A-2)に由来する遷移金属原子の濃度として、通
常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは1
-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられるこ
とが望ましい。活性化化合物(B)として有機アルミニ
ウムオキシ化合物(B-1)を用いる場合、有機アルミニ
ウムオキシ化合物(B-1)中のアルミニウムと、遷移金
属化合物(A-2)中の遷移金属との原子比(Al/遷移
金属)は、通常5〜10000、好ましくは10〜50
00の範囲である。活性化化合物(B)としてイオン化
イオン性化合物(B-2)を用いる場合、遷移金属化合物
(A-2)とイオン化イオン性化合物(B-2)とのモル比
〔(A-2)/(B-2)〕は、通常0.01〜10、好ま
しくは0.5〜5の範囲である。有機アルミニウム化合
物(C)を用いる場合、有機アルミニウム化合物(C)
中のアルミニウムと、遷移金属化合物(A-2)中の遷移
金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常5〜100
00、好ましくは10〜5000の範囲である。
【0233】プロピレン単独重合体(Q)を製造する際
には、通常液相重合法が用いられる。重合温度は、通常
0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲である
ことが望ましい。また、重合圧力は、通常、常圧〜10
0kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2
ある。
【0234】得られるプロピレン単独重合体(Q)の分
子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温
度を変化させることによって調節することができる。オ
レフィン重合用触媒(4)は、 (A-3)下記式(II)で表される遷移金属化合物と、 (B)(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、または
(B-2)前記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対
を形成する化合物と、必要に応じて、 (C)有機アルミニウム化合物とから形成される。
【0235】遷移金属化合物(A-3)は、下記式(II)
で表される化合物である。
【0236】
【化13】
【0237】式中、M2 は、第IVB族遷移金属原子を示
し、具体的には、チタン、ジルコニウム又はハフニウム
原子を示す。Cpは、シクロペンタジエニル基、置換シ
クロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル
基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロイン
デニル基、フルオレニル基又は置換フロオレニル基など
の環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基を示
す。X3 は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20
のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキル
アリール基若しくはアリールアルキル基又は炭素数1〜
20のアルコキシ基を示す。
【0238】Z1 は、SiR7 2、CR7 2、SiR7 2Si
7 2、CR7 2CR7 2、CR7 2CR7 2CR7 2、CR7 =C
7 、CR7 2SiR7 2またはGeRR7 2を示す。Y
2 は、−N(R8 )−、−O−、−S−又は−P
(R8 )−を示す。
【0239】上記R7 は水素原子又は20個までの非水
素原子をもつアルキル、アリール、シリル、ハロゲン化
アルキル、ハロゲン化アリール基及びそれらの組合せか
ら選ばれた基であり、R8 は炭素数1〜10のアルキル
若しくは炭素数6〜10のアリール基であるか、又は1
個若しくはそれ以上のR7 と30個までの非水素原子の
縮合環系を形成してもよい。
【0240】wは1又は2を示す。上記一般式(II)で
表される化合物の具体例としては、(tert-ブチルアミ
ド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-
エタンジイルジルコニウムジクロリド、(tert-ブチル
アミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-
1,2-エタンジイルチタンジクロリド、(メチルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタ
ンジイルジルコニウムジクロリド、(メチルアミド)
(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタ
ンジイルチタンジクロリド、(エチルアミド)(テトラ
メチル-η5-シクロペンタジエニル)-メチレンチタンジ
クロリド、(tert-ブチルアミド)ジメチル(テトラメ
チル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロ
リド、(tert-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-
η5-シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロ
リド、(ベンジルアミド)ジメチル-(テトラメチル-η
5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド、
(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル-η5-
シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル
などが挙げられる。
【0241】オレフィン重合用触媒(4)で用いられ
る、(B-1)有機アルミニウムオキシ化合物、(B-2)前
記遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する
化合物、および(C)有機アルミニウム化合物は、前記
オレフィン重合用触媒(1)で用いられる(B-1)有機
アルミニウムオキシ化合物、(B-2)前記遷移金属化合
物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(C)有機アルミニウム化合物と同様である。
【0242】このようなオレフィン重合用触媒(4)の
存在下にプロピレンを重合することによりプロピレン単
独重合体(Q)を製造することができる。重合に際し
て、遷移金属化合物(A-3)は、重合系内の遷移金属化
合物(A-3)に由来する遷移金属原子の濃度として、通
常10-8〜10-3グラム原子/リットル、好ましくは1
-7〜10-4グラム原子/リットルの量で用いられるこ
とが望ましい。活性化化合物(B)として有機アルミニ
ウムオキシ化合物(B-1)を用いる場合、有機アルミニ
ウムオキシ化合物(B-1)中のアルミニウムと、遷移金
属化合物(A-3)中の遷移金属との原子比(Al/遷移
金属)は、通常5〜10000、好ましくは10〜50
00の範囲である。活性化化合物(B)としてイオン化
イオン性化合物(B-2)を用いる場合、遷移金属化合物
(A-3)とイオン化イオン性化合物(B-2)とのモル比
〔(A-3)/(B-2)〕は、通常0.01〜10、好ま
しくは0.5〜5の範囲である。有機アルミニウム化合
物(C)を用いる場合、有機アルミニウム化合物(C)
中のアルミニウムと、遷移金属化合物(A-3)中の遷移
金属との原子比(Al/遷移金属)は、通常5〜100
00、好ましくは10〜5000の範囲である。
【0243】プロピレン単独重合体(Q)を製造する際
には、通常液相重合法が用いられる。重合温度は、通常
0〜250℃、好ましくは20〜200℃の範囲である
ことが望ましい。また、重合圧力は、通常、常圧〜10
0kg/cm2、好ましくは常圧〜50kg/cm2
ある。
【0244】得られるプロピレン単独重合体(Q)の分
子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温
度を変化させることによって調節することができる。エラストマー(R) エラストマーとしては、オレフィン系エラストマー、ス
チレン系熱可塑性エラストマーを挙げることができる。
【0245】オレフィン系エラストマーとしては、エチ
レン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテンなどのα−オ
レフィンが共重合してなるエラストマーあるいはこれら
と非共役ジエンとが共重合してなるエラストマーなどが
挙げられる。
【0246】この非共役ジエンとしては、ジシクロペン
タジエン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、
メチレンノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン
などを挙げることができる。
【0247】このようなオレフィン系エラストマーとし
ては、具体的には、エチレン・プロピレン共重合体エラ
ストマー、エチレン・1-ブテン共重合体エラストマー、
エチレン・プロピレン・1-ブテン共重合体エラストマ
ー、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体エラ
ストマー、エチレン・1-ブテン−非共役ジエン共重合体
エラストマー、エチレン・プロピレン・1-ブテン−非共
役ジエン共重合体エラストマーなどのオレフィンを主成
分とする無定型の弾性共重合体を挙げることができる。
【0248】上記のようなオレフィン系エラストマーの
230℃で測定されるメルトフローレート(MFR)
は、0.01〜50g/10分、好ましくは0.01〜1
0g/10分、さらに好ましくは0.01〜5g/10分で
あることが望ましい。
【0249】オレフィン系エラストマーのヨウ素価(不
飽和度)は16以下であることが望ましい。またスチレ
ン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系化合物
と共役ジエン化合物のブロック共重合体が挙げられる。
【0250】このスチレン系化合物としては、スチレ
ン、α−メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-t-ブチ
ルスチレンなどのアルキルスチレン、p-メトキシスチレ
ン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。これらの中で
もスチレンが好ましい。
【0251】共役ジエン化合物としては、ブタジエン、
イソプレン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニ
ルブタジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、4,5-
ジエチル-1,3- オクタジエンなどが挙げられる。これら
の中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0252】これらの化合物は、2種以上を組み合わせ
て用いることもできる。本発明で用いられるスチレン系
熱可塑性エラストマーでは、スチレン系化合物から導か
れる単位と共役ジエン化合物から導かれる単位の重量比
が、10/90〜65/35であることが好ましく、2
0/80〜50/50であることがさらに好ましい。
【0253】またこのスチレン系熱可塑性エラストマー
の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状またはこれらの
組み合わせなどいずれであってもよい。このようなスチ
レン系熱可塑性エラストマーとしては、具体的に、スチ
レン・ブタジエンジブロック共重合体、スチレン・ブタ
ジエン・スチレントリブロック共重合体、スチレン・イ
ソプレンジブロック共重合体、スチレン・イソプレン・
スチレントリブロック共重合体、スチレン・ブタジエン
ジブロック共重合体の水素添加物、スチレン・ブタジエ
ン・スチレントリブロック共重合体の水素添加物、スチ
レン・イソプレンジブロック共重合体の水素添加物、ス
チレン・イソプレン・スチレントリブロック共重合体の
水素添加物を挙げることができる。
【0254】本発明で用いられるスチレン系熱可塑性エ
ラストマーは、230℃、2.16kg荷重下に測定さ
れるメルトフローレートが1〜100g/10分であるこ
とが望ましい。
【0255】軟質オレフィン重合体組成物 軟質オレフィン重合体組成物は、前記オレフィン重合体
(P)10〜80重量%、好ましくは30〜80重量
%、より好ましくは40〜80重量%と、前記プロピレ
ン単独重合体(Q)5〜80重量%、好ましくは5〜5
0重量%、より好ましくは10〜30重量%と、前記エ
ラストマー(R)10〜80重量%、好ましくは10〜
60重量%、より好ましくは10〜40重量%とから形
成されている。
【0256】このような軟質オレフィン重合体組成物を
調製する方法としては、たとえば、下記のような方法が
挙げられる。 オレフィン重合体(P)と、プロピレン単独重合体
(Q)と、エラストマー(R)を溶融混練する方法。 オレフィン重合体(P)と、プロピレン単独重合体
(Q)とを溶融混練してオレフィン重合体組成物を調製
した後、該オレフィン重合体組成物と、エラストマー
(R)を溶融混練する方法。 少なくとも2種の触媒の存在下に、プロピレンを含む
オレフィンを1段の重合工程で重合することにより、オ
レフィン重合体(P)と、プロピレン単独重合体(Q)
とを製造し、オレフィン重合体組成物を調製した後、該
オレフィン重合体組成物と、エラストマー(R)を溶融
混練する方法。
【0257】各成分を溶融混練する方法としては、従来
公知の方法を広く採用することができる。溶融混練装置
としては、ミキシングロール、インテンシブミキサー、
たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、一軸または二
軸押出機を用いることができる。
【0258】混溶融練は、通常150〜280℃、好ま
しくは170〜240℃の温度で、通常1〜20分間、
好ましくは1〜10分間行なうことが望ましい。このよ
うに溶融混練された後、組成物は通常ペレット状で得ら
れる。
【0259】の方法においてオレフィン重合体組成物
を調製する際には、少なくとも2種の触媒として前記オ
レフィン重合用触媒(1)およびオレフィン重合用触媒
(2)から選ばれる少なくとも1種の触媒(触媒-1,2)
と、前記オレフィン重合用触媒(3)およびオレフィン
重合用触媒(4)から選ばれる少なくとも1種の触媒
(触媒-3,4)とが用いられる。
【0260】重合の際に用いられる触媒-1,2と、触媒-
3,4との比率は、用いられるオレフィン重合用触媒
(1)中の遷移金属原子およびオレフィン重合用触媒
(2)中のチタン原子との合計と、オレフィン重合用触
媒(3)中の遷移金属原子およびオレフィン重合用触媒
(4)中の遷移金属原子の合計との原子比(触媒-1,2/
触媒-3,4)で、1/10000〜1/1、好ましくは1
/1000〜1/10の範囲にあることが好ましい。
【0261】オレフィン重合用触媒(1)と、オレフィ
ン重合用触媒(3)およびオレフィン重合用触媒(4)
から選ばれる少なくとも1種の触媒とを組み合わせてオ
レフィン重合体組成物を製造する場合には、遷移金属化
合物は、合計量で重合系内の遷移金属化合物中の遷移金
属原子の濃度として、通常10-8〜10-3グラム原子/
リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム原子/リッ
トルの量で用いられることが望ましい。活性化化合物
(B)として有機アルミニウムオキシ化合物(B-1)を
用いる場合、有機アルミニウムオキシ化合物(B-1)中
のアルミニウムと、遷移金属化合物中の遷移金属の合計
量との原子比(Al/遷移金属)は、通常5〜1000
0、好ましくは10〜5000の範囲である。活性化化
合物(B)としてイオン化イオン性化合物(B-2)を用
いる場合、遷移金属化合物の合計量とイオン化イオン性
化合物(B-2)とのモル比〔遷移金属化合物/(B-2)〕
は、通常0.01〜10、好ましくは0.5〜5の範囲
である。有機アルミニウム化合物(C)を用いる場合、
有機アルミニウム化合物(C)中のアルミニウムと、遷
移金属化合物中の遷移金属の合計量との原子比(Al/
遷移金属)は、通常5〜10000、好ましくは10〜
5000の範囲である。
【0262】重合温度は、スラリー重合法を実施する際
には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の
範囲であることが望ましい。気相重合法を実施する際に
は、重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜1
00℃の範囲であることが望ましい。また、重合圧力
は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧
〜50kg/cm2 である。
【0263】オレフィン重合用触媒(2)と、オレフィ
ン重合用触媒(3)およびオレフィン重合用触媒(4)
から選ばれる少なくとも1種の触媒とを組み合わせてオ
レフィン重合体組成物を製造する場合には、遷移金属化
合物および固体状チタン触媒成分は、重合系内の遷移金
属化合物中の遷移金属原子と固体状チタン触媒成分中の
チタン原子の合計の濃度として、通常10-8〜10-3
ラム原子/リットル、好ましくは10-7〜10-4グラム
原子/リットルの量で用いられることが望ましい。活性
化化合物(B)として有機アルミニウムオキシ化合物
(B-1)を用いる場合、有機アルミニウムオキシ化合物
(B-1)中のアルミニウムと、遷移金属化合物中の遷移
金属および固体状チタン触媒成分中のチタン原子との原
子比(Al/遷移金属+Ti)は、通常5〜1000
0、好ましくは10〜5000の範囲である。活性化化
合物(B)としてイオン化イオン性化合物(B-2)を用
いる場合、遷移金属化合物および固体状チタン触媒成分
と、イオン化イオン性化合物(B-2)とのモル比〔遷移
金属化合物+Ti/(B-2)〕は、通常0.01〜1
0、好ましくは0.5〜5の範囲である。有機アルミニ
ウム化合物(C)を用いる場合、有機アルミニウム化合
物(C)中のアルミニウムと、遷移金属化合物中の遷移
金属および固体状チタン触媒成分中のチタン原子との原
子比(Al/遷移金属+Ti)は、通常5〜1000
0、好ましくは10〜5000の範囲である。
【0264】重合温度は、スラリー重合法を実施する際
には、通常−50〜100℃、好ましくは0〜90℃の
範囲であることが望ましい。気相重合法を実施する際に
は、重合温度は通常0〜120℃、好ましくは20〜1
00℃の範囲であることが望ましい。また、重合圧力
は、通常、常圧〜100kg/cm2、好ましくは常圧
〜50kg/cm2 である。
【0265】本発明に係る軟質オレフィン重合体組成物
は、本発明の目的を損なわない範囲において、軟化剤、
充填剤、顔料、安定剤、可塑剤、難燃化剤、滑剤、帯電
防止剤、電気的性質改良剤などを必要に応じて含有して
いてもよい。
【0266】充填剤としては、具体的に、沈降性炭酸カ
ルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなど
の炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
酸化マグネシウムなどの水酸化物;酸化亜鉛、亜鉛華、
酸化マグネシウムなどの酸化物;カオリナイト、焼成ク
レー、パイロフィライト、セリサイト、(微粉末)タル
ク、ウォラストナイトなどの天然ケイ酸またはケイ酸
塩、含水ケイ酸カルシウム、含水ケイ酸アルミニウム、
含水ケイ酸、無水ケイ酸などの合成ケイ酸またはケイ酸
塩で代表される粉末状充填剤、マイカなどのフレーク状
充填剤、セピオライト、PMF(Processed Mineral Fi
ber)、ゾノトライト、チタン酸カリ、エレスタダイト、
塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウ
ムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカーなどの繊
維状充填剤、ガラスバルン、フライアッシュバルンなど
のバルン状充填剤、ハイスチレン類、リグニン、再ゴム
などの有機充填剤が挙げられる。
【0267】これらの充填剤は、オレフィン重合体組成
物100重量部に対して、通常1〜100重量部の量で
用いられる。
【0268】
【発明の効果】本発明の軟質オレフィン重合体組成物
は、優れた光学的特性および/または機械的特性を有し
ている。また、各成分の比率を変えることにより、優れ
た光学的特性および/または機械的特性を有するととも
に、種々の弾性率を有する組成物となる。
【0269】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0270】なお下記の実施例において、ポリマーの組
成、物性などは下記のように測定した。メルトフローレート(MFR) ASTM D1238−65Tに準拠して、230℃、
2.16kg荷重下で測定した。
【0271】極限粘度[η] 135℃デカヒドロナフタレン中で測定した。引張弾性率(YM) ASTM D638に準拠して測定した。
【0272】アイゾット衝撃強度(IZ) ASTM D256に準拠して測定した。 試験片(ノッチ付):12.7mm(幅)×6.4mm
(厚さ)×64mm(長さ)ヘイズ ASTM D1003に準じて、200℃で成形した厚
み0.5mmのプレスシートについて測定した。
【0273】
【製造例1】 [固体アルミノキサン成分(a)の調製]300mlの
減圧可能な攪拌機付反応器、100ミリモルのアルミニ
ウム原子に相当するメチルアルミノキサンを含む67m
lのトルエン溶液(シェリング社製メチルアルミノキサ
ン)を加えた後、室温で攪拌下100mlの精製n-デカ
ンを約0.5時間かけて加えることによりメチルアルミ
ノキサンを析出させた。次いで真空ポンプを用い反応器
内を4Torrに減圧しつつ反応器内の温度を約3時間
かけて35℃に昇温することにより、反応器内のトルエ
ンを除去し、メチルアルミノキサンを更に析出させた。
この反応液をフィルターを用い濾過し、液相部を除去し
た後、固体部をn-デカンに再懸濁して0.18ミリモル
−Al/mlのアルミノキサン懸濁液〔固体アルミノキ
サン成分(a)〕を得た。
【0274】[固体触媒成分(b)の調製]充分に窒素
置換した400mlの反応器にn-ヘキサン100mlを
仕込み、上記で得た固体アルミノキサン成分(a)をA
l原子に換算して10.5ミリモル、rac-ジメチルシリ
ル-ビス{1-(2-n-プロピル-4-(9-フェナントリル)イ
ンデニル)}ジルコニウムジクロリドをZr原子に換算
して0.07ミリモルを加え20分間攪拌した。n-ヘキ
サン100mlを加え、続いてトリイソブチルアルミニ
ウムを0.9ミリモル加えて10分間攪拌した後、プロ
ピレンガス(2.2リットル/hr)を4時間、20℃
で流通させ、プロピレンの予備重合を行った。上澄み溶
液をデカンテーションによって取り除き、デカン150
mlで3回洗浄した。この結果、固体触媒1g当たりZ
r;0.010ミリモル、Al;4.3ミリモルが担持
された固体触媒成分(b)を得た。
【0275】[重 合]内容積2リットルのステンレス
製オートクレーブに、室温でプロピレンを500g、水
素を4.5リットル装入し、40℃まで昇温した後、ト
リイソブチルアルミニウムを0.5ミリモル、上記固体
触媒成分(b)をジルコニウム原子に換算して0.00
4ミリモル添加し、50℃にて25分間重合を行った。
【0276】得られたプロピレン重合体(HPP-1)
は、116gであり、極限粘度[η]は2.4dl/g
であり、融点(Tm)は161℃であり、MFRは3.
0g/10分であった。
【0277】
【製造例2】充分に窒素置換した内容積2リットルのガ
ラス製反応器に精製トルエン800mlを装入し、プロ
ピレン(200リットル/時間)を流通させ、毎分80
0回転で攪拌しながら50℃で10分間保持した。次い
で、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換
算で2.88ミリグラム原子を装入した。さらに、メチ
ルアルミノキサン(シェリング社製)をアルミニウム原
子換算で5.60ミリグラム原子と、(tert-ブチルア
ミド) ジメチル( テトラメチル−η5 −シクロペンタジ
エニル)シランチタンジクロリドがチタン原子換算で
0.016ミリグラム原子含まれたトルエン溶液4ml
を装入した。50℃、常圧で1時間重合を行なった後、
少量のイソブタノールを添加し、重合を停止した。
【0278】反応後、希塩酸のメタノール溶液400m
l中に反応液を投入し、溶媒残渣を除去して、得られた
ポリマーを1晩減圧乾燥した。得られたプロピレン単独
重合体(APP-1)は47gであり、極限粘度[η]は
1.83dl/gであった。結果を表1に示す。
【0279】
【表1】
【0280】
【実施例1】前記製造例で得たプロピレン重合体(HP
P-1)60重量部と、プロピレン単独重合体(APP-
1)20重量部、エチレン−ブテン共重合体(EBR)
(エチレン含量88モル%、極限粘度[η]1.4dl
/g)20重量部の混合物に、酸化防止剤としてテトラ
キス〔メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート〕メタンを0.2重量部、塩酸吸
収剤としてステアリン酸カルシウムを0.1重量部添加
し、これを内容積50mlのラボプラストミルを用いて
200℃、回転数50rpmで5分間溶融混練し、軟質
オレフィン重合体組成物を得た。
【0281】得られた軟質オレフィン重合体組成物につ
いて、引張弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘイズを
測定した。結果を表2に示す。
【0282】
【実施例2】実施例1においてプロピレン重合体(HP
P-1)60重量部と、プロピレン単独重合体(APP-
1)10重量部と、エチレン・ブテン共重合体30重量
部用いた以外は実施例1と同様にして軟質オレフィン重
合体組成物を製造した。
【0283】得られた軟質オレフィン重合体組成物につ
いて、引張弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘイズを
測定した。結果を表2に示す。
【0284】
【比較例1】前記製造例で得たプロピレン重合体(HP
P-1)70重量部と、エチレン−ブテン共重合体(EB
R)(エチレン含量;88モル%、極限粘度[η]=
1.4dl/g)30重量部の混合物に、酸化防止剤と
してテトラキス〔メチレン-3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート〕メタンを0.2重量
部、塩酸吸収剤としてステアリン酸カルシウムを0.1
重量部添加し、これを内容積50mlのラボプラストミ
ルを用いて200℃、回転数50rpmで5分間溶融混
練し、軟質オレフィン重合体組成物を得た。
【0285】得られた軟質オレフィン重合体組成物につ
いて、引張弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘイズを
測定した。結果を表2に示す。
【0286】
【比較例2】比較例1においてエチレン・ブテン共重合
体に代えて、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)
(エチレン含量80モル%、極限粘度[η]1.5dl
/g)を用いた以外は実施例1と同様にしてオレフィン
重合体組成物を製造した。
【0287】得られたオレフィン重合体組成物につい
て、引張弾性率、アイゾット衝撃強度およびヘイズを測
定した。結果を表2に示す。
【0288】
【表2】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(P)(p-1) 極限粘度[η]が0.5〜1
    0dl/gの範囲にあり、(p-2) 示差走査型熱量計(D
    SC)により測定した吸熱曲線の最大ピーク位置の温度
    (Tm)が100℃以上であるオレフィン重合体10〜
    80重量%と、 (Q)(b-1) 極限粘度[η]が0.5〜10dl/gの
    範囲にあり、(b-2) NMRで測定したダイアッド分布に
    おいて、mr/(mm+rr)の値が0.7〜1.3の
    範囲にあるプロピレン単独重合体5〜80重量%と、 (R)エラストマー10〜80重量%とからなることを
    特徴とする軟質オレフィン重合体組成物。
  2. 【請求項2】前記オレフィン重合体(P)が、(p-1) 極
    限粘度[η]が0.5〜10dl/gの範囲にあり、(p
    -2) 示差走査型熱量計(DSC)により測定した吸熱曲
    線の最大ピーク位置の温度(Tm)が100℃以上であ
    り、(p-3) プロピレンから誘導される構成単位を80〜
    100モル%の割合で含有し、エチレンから誘導される
    構成単位を0〜10モル%の割合で含有し、炭素原子数
    が4〜12のα−オレフィンから誘導される構成単位を
    0〜15モル%の割合で含有するプロピレン重合体であ
    る請求項1に記載の軟質オレフィン重合体組成物。
JP16185196A 1995-06-22 1996-06-21 軟質オレフィン重合体組成物 Pending JPH0967477A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP16185196A JPH0967477A (ja) 1995-06-22 1996-06-21 軟質オレフィン重合体組成物

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-156561 1995-06-22
JP15656195 1995-06-22
JP16185196A JPH0967477A (ja) 1995-06-22 1996-06-21 軟質オレフィン重合体組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0967477A true JPH0967477A (ja) 1997-03-11

Family

ID=26484266

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP16185196A Pending JPH0967477A (ja) 1995-06-22 1996-06-21 軟質オレフィン重合体組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0967477A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0930320A1 (en) Ethylene/alpha-olefin copolymers, compositions, and processes for the preparation of the copolymers and the compositions
KR100359370B1 (ko) 올레핀중합체의제조방법
US6271166B1 (en) Olefin polymerization catalyst and process for preparing polypropylene and propylene block copolymers
CA2128920C (en) Propylene polymer compositions
US6583237B1 (en) Process for producing olefin polymer and olefin polymers
JP3763070B2 (ja) 結晶性ポリプロピレン樹脂組成物
JP3984304B2 (ja) オレフィン重合用触媒、これを用いるプロピレン系重合体の製造方法
JP2000191851A (ja) プロピレン系重合体組成物
JP3483163B2 (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
JPH08208737A (ja) オレフィン重合体の製造方法
JP3512529B2 (ja) オレフィン重合用予備重合触媒、これを含むオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法
JP3529929B2 (ja) オレフィン重合体の製造方法
JP3715670B2 (ja) オレフィン重合体組成物の製造方法
JPH0967477A (ja) 軟質オレフィン重合体組成物
JP3540412B2 (ja) オレフィン重合体の製造方法
JPH0967476A (ja) オレフィン重合体組成物およびその製造方法
JP3535934B2 (ja) オレフィン重合体の製造方法
JP3483164B2 (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
JPH0967478A (ja) 熱可塑性樹脂組成物
JP2003082175A (ja) 改質剤用シンジオタクティックプロピレン共重合体組成物および該組成物を含むプロピレン重合体組成物
JP3934688B2 (ja) プロピレンブロック共重合体の製造方法
JP3529908B2 (ja) オレフィン重合用予備重合触媒、これを含むオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法
JPH07109313A (ja) プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
JPH09328526A (ja) プロピレンブロック共重合体、その製造方法および用途
JPH09328598A (ja) プロピレン系重合体組成物および用途