JPH0965733A - 多条植え用の田植機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 苗植付装置の格納姿勢への姿勢切り換えに伴
って、田植機全体としての前後方向長さが短くなるよう
に構成して、奥行きの狭い納屋などに対する田植機の収
納作業を容易に行えるようにする。 【解決手段】 走行機体３の後部に連結した多条植え用
の苗植付装置６を、左苗植付装置部６Ａと右苗植付装置
部６Ｂとの二分割構造に構成するとともに、前記左苗植
付装置部６Ａと右苗植付装置部６Ｂとが夫々前向きで横
一列状に並ぶ作業姿勢と、前記左苗植付装置部６Ａと右
苗植付装置部６Ｂとが夫々横向きで左右の各後車輪２の
横外側に位置する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成
した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、走行機体の後部に
六条植え用や八条植え用などの多条植え用の苗植付装置
を連結した多条植え用の田植機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、上記のような田植機としては、例
えば、特開平７‐１２３８２３号公報などで開示されて
いるように、多条植え用の苗植付装置を、左苗植付装置
部と右苗植付装置部との二分割構造に構成するととも
に、左苗植付装置部と右苗植付装置部とが夫々前向きで
横一列状に並ぶ作業姿勢と、左苗植付装置部と右苗植付
装置部とが夫々横向きで背中合わせ、あるいは、向かい
合わせになる格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成し、
この田植機を路上走行させる際やトラックなどの運搬車
にて搬送する際には、苗植付装置を作業姿勢から格納姿
勢へ切り換えることにより、苗植付装置の機体横方向へ
の張り出し量を減少できるようにして、路上走行中や搬
送中における苗植付装置の他物との衝突の虞を軽減する
ようにしたものが本出願人によって提案されていた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術によると、苗植付装置を作業姿勢から格納姿勢へ
切り換えることによって、苗植付装置の機体横方向への
張り出し量を減少させることはできるのであるが、田植
機全体としての前後方向の長さは苗植付装置を作業姿勢
に切り換えた状態よりも長くなるようになっていた。従
って、田植機を収納する納屋などの奥行きが狭いなどの
事情から、苗植付装置の格納姿勢においては、苗植付装
置の機体横方向への張り出し量を減少させるよりも、田
植機全体としての前後方向の長さが短くなることを望む
利用者の要望には応えられないものとなっていた。ちな
みに、田植機を収納する納屋などの奥行きが狭い場合に
は、走行機体から苗植付装置を取り外した状態で田植機
を収納しなければならないことから、田植機の収納作業
が煩わしいものとなっていた。

【０００４】本発明の目的は、苗植付装置の格納姿勢へ
の姿勢切り換えに伴って、田植機全体としての前後方向
長さが短くなるように構成して、奥行きの狭い納屋など
に対する田植機の収納作業を容易に行えるようにするこ
とにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では、走行機体の後部に連結した多条植え用
の苗植付装置を、左苗植付装置部と右苗植付装置部との
二分割構造に構成するとともに、前記左苗植付装置部と
右苗植付装置部とが夫々前向きで横一列状に並ぶ作業姿
勢と、前記左苗植付装置部と右苗植付装置部とが夫々横
向きで左右の各後車輪の横外側に位置する格納姿勢とに
姿勢切り換え可能に構成した。

【０００６】本発明によると、苗植付装置は、その姿勢
を走行機体に連結した状態で作業姿勢と格納姿勢とに切
り換えることができるとともに、その格納姿勢において
は、左苗植付装置部と右苗植付装置部とが夫々横向きで
左右の各後車輪の横外側に位置する状態になることか
ら、左苗植付装置部と右苗植付装置部とが走行機体の後
方に前向きで横一列状に並ぶ状態となる作業姿勢に比較
して苗植付装置が前方側に位置するようになる。つま
り、走行機体から苗植付装置を取り外す手間なく、田植
機全体としての前後方向長さを短くすることができるの
である。

【０００７】従って、奥行きの狭い納屋などに対する田
植機の収納作業を容易に行えるようになった。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。

【０００９】図１には、多条植え用の田植機の一例であ
る八条植え用の乗用型田植機の全体側面が示されてい
る。この田植機は、左右一対の前車輪１と後車輪２とを
備えた乗用型の走行機体３と、油圧式のリフトシリンダ
４の作動により昇降自在となるように走行機体３の後部
に平行四連リンク機構５を介して連結された八条植え用
の苗植付装置６によって構成されている。図２〜図６に
示すように、苗植付装置６は、四条ずつの左苗植付装置
部６Ａと右苗植付装置部６Ｂとの二分割構造に構成され
るとともに、左苗植付装置部６Ａと右苗植付装置部６Ｂ
とが走行機体３の後方に夫々前向きで横一列状に並ぶ作
業姿勢（図２および図４参照）と、左苗植付装置部６Ａ
と右苗植付装置部６Ｂとが夫々横向きで左右の各後車輪
２の横外側に位置する格納姿勢（図３、図５および図６
参照）とに姿勢切り換え可能に構成されている。

【００１０】苗植付装置６の構成について詳述すると、
図１〜図６に示すように、苗植付装置６は、平行四連リ
ンク機構５の後端に連結された固定フレーム７、この固
定フレーム７の左右両端部夫々に縦向き姿勢で回動自在
に枢支された回動軸８、各回動軸８にその軸芯Ｐ周りに
揺動自在となる状態に一端が固着された揺動フレーム
９、各揺動フレーム９の他端（遊端）にブラケット１０
を介して一端が連結された支持フレーム１１、各支持フ
レーム１１の略中央部位に装備されたフィードケース１
２、各支持フレーム１１の両端から後方に向けて延設さ
れたフレーム兼用の植付伝動ケース１３、各植付伝動ケ
ース１３の後部に軸支された左右一対のロータリ式の植
付機構１４、作業姿勢においては各植付機構１４に対し
て一定のストロークで一体横往復移動可能となるように
連結される左右四条ずつの苗載台１５、および、作業姿
勢においては各植付機構１４による苗植え付け箇所に対
して整地作用を施す三つの整地フロート１６、などによ
って構成されている。

【００１１】図２および図３に示すように、固定フレー
ム７の略左右中央部位には、ベベルギヤ機構（図示せ
ず）を内蔵した動力分配供給部１７が装備されており、
爪クラッチ機構１８ａを備えた第一伝動軸１８を介して
走行機体３から伝達された動力を、爪クラッチ機構１９
ａとユニバーサルジョイントとを備えた左側の第二伝動
軸１９、または、ユニバーサルジョイントを備えた右側
の第三伝動軸２０を介して、左右の各フィードケース１
２へ分配供給するようになっている。つまり、図２に示
す苗植付装置６の作業姿勢においては、各爪クラッチ機
構１８ａ，１９ａが噛合連結されることから、走行機体
３からの動力は左右の各フィードケース１２へ伝達され
るようになっている。一方、図３に示す苗植付装置６の
格納姿勢においては、各爪クラッチ機構１８ａ，１９ａ
の噛合連結が解除されることから、走行機体３からの動
力は左右の各フィードケース１２に伝達されないように
なっている。

【００１２】図２および図３に示すように、左苗植付装
置部６Ａに属するフィードケース１２から左方に向け
て、このフィードケース１２の動力によって回転駆動さ
れる螺軸２１が延設されている。螺軸２１には、この螺
軸２１の回転に伴って一定ストロークで左右にネジ送り
される移動体２２が螺合されている。この移動体２２に
は、左苗植付装置部６Ａに属する苗載台１５が一体移動
可能となるように連結されている。つまり、左苗植付装
置部６Ａに装備された螺軸２１と移動体２２とからなる
横送り機構２３によって、苗植付装置６の作業姿勢にお
いては、左右の苗載台１５を植付機構１４に対して一定
のストロークで一体横往復移動させることができるよう
になっている。また、苗植付装置６の格納姿勢において
は、横送り機構２３によって左苗植付装置部６Ａに属す
る苗載台１５の不測の横移動が阻止されるようになって
いる。図７に示すように、右苗植付装置部６Ｂに属する
苗載台１５を横方向に摺動案内するスライドレール２４
は、アルミ材からなるメインレール部２４Ａと、その両
端に端部側ほど上位に位置する傾斜姿勢で連設されたゴ
ム材からなるサブレール部２４Ｂによって構成されてい
る。つまり、メインレール部２４Ａの両端に比較的大き
な摩擦抵抗を有するゴム材からなるサブレール部２４Ｂ
を連設装備することによって、苗植付装置６の作業姿勢
においては横送り機構２３の作動による苗載台１５の横
往復移動を許容しながらも、苗植付装置６の格納姿勢に
おいては、その切り換えに伴って左苗植付装置部６Ａに
属する苗載台１５との連結が解除された右苗植付装置部
６Ｂに属する苗載台１５の不測の横移動を阻止できるよ
うになっている。

【００１３】図２および図３に示すように、各回動軸８
の上部には、各回動軸８とその軸芯Ｐ周りに一体回動す
るスプロケット２５が固着されるとともに、それらのス
プロケット２５には無端チェーン２６が交差する状態に
巻き掛けられており、一方のスプロケット２５が回動す
ると、他方のスプロケット２５が逆方向に回動するよう
になっている。つまり、左苗植付装置部６Ａと右苗植付
装置部６Ｂとは、左右いずれかの苗植付装置部６Ａ，６
Ｂの姿勢切り換え操作に連動して他方も姿勢切り換え操
作されるようになっている。

【００１４】以上の構成によって、苗植付装置６を走行
機体３に連結した状態のまま作業姿勢から格納姿勢に切
り換えることによって、左苗植付装置部６Ａと右苗植付
装置部６Ｂとが走行機体３の後方に前向きで横一列状に
並ぶ状態から、左苗植付装置部６Ａと右苗植付装置部６
Ｂとが夫々横向きで左右の各後車輪２の横外側に位置す
る状態に切り換えることができるようになる。つまり、
走行機体３から苗植付装置６を取り外す手間なく、田植
機全体としての前後方向長さを短くすることができるよ
うになることから、奥行きの狭い納屋などに対する田植
機の収納作業を容易に行うことができるのである。

【００１５】図８に示すように、左右の各苗植付装置部
６Ａ，６Ｂには施肥装置２７が装備されており、この施
肥装置２７の後部カバー２７Ａには、後方から目視可能
な蛍光材からなる銘板２８が貼付されている。つまり、
後方から目視可能な銘板２８に蛍光のものを採用するこ
とによって、反射鏡などを別途設けることなく夜間にお
ける田植機の存在を認識させることができるようになっ
ている。

【００１６】〔別実施形態〕以下、本発明の別実施形態
を列記する。 上記実施形態においては、多条植え用の田植機とし
て八条植え用の苗植付装置６を装備したものを例示した
が、六条植え用、十条植え用、あるいは、十二条植え用
の苗植付装置６を装備したものであってもよい。 上記実施形態においては、左右の苗植付装置部６
Ａ，６Ｂを、一方の姿勢切り換え操作に連動して他方も
姿勢切り換え操作されるように連動連結したが、左右の
苗植付装置部６Ａ，６Ｂを連動連結せずに、個々に姿勢
切り換え操作を行うようにしてもよい。

【００１７】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】乗用型田植機の全体側面図

【図２】作業姿勢に切り換えた苗植付装置の平面図

【図３】格納姿勢に切り換えた苗植付装置の平面図

【図４】作業姿勢に切り換えた田植機の概略全体平面図

【図５】格納姿勢に切り換えた田植機の概略全体平面図

【図６】格納姿勢に切り換えた田植機の背面図

【図７】右苗植付装置部に属するスライドレールの構成
を示す背面図

【図８】銘板の貼付箇所を示す作業姿勢における苗植付
装置の背面図

【符号の説明】

２ 後車輪 ３ 走行機体 ６ 苗植付装置 ６Ａ 左苗植付装置部 ６Ｂ 右苗植付装置部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行機体（３）の後部に連結した多条植
   え用の苗植付装置（６）を、左苗植付装置部（６Ａ）と
   右苗植付装置部（６Ｂ）との二分割構造に構成するとと
   もに、前記左苗植付装置部（６Ａ）と右苗植付装置部
   （６Ｂ）とが夫々前向きで横一列状に並ぶ作業姿勢と、
   前記左苗植付装置部（６Ａ）と右苗植付装置部（６Ｂ）
   とが夫々横向きで左右の各後車輪（２）の横外側に位置
   する格納姿勢とに姿勢切り換え可能に構成してある多条
   植え用の田植機。