JPH0963500A - カラー受像管 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャドウマスクと蛍光体ドット間に入り込む
外部磁束変化を減少させ、色純度の良いカラー受像管を
提供する。 【解決手段】 カラー受像管のフェースプレートガラス
１の内面の蛍光体ドット６を取り囲むブラックマトリッ
クス膜を強磁性体膜１１で構成したことを特徴とした構
成。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、家庭用テレビやコ
ンピュータの表示装置として用いられるカラー受像管に
関するもので、特に磁気シールド構造に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のカラー受像管について、図面を参
照して説明する。図４はカラー受像管の断面図、図５は
蛍光面の要部斜視図、図６は蛍光面の要部断面図であ
る。図において、１はフェースプレートガラス、２は蛍
光面、３は偏向ヨーク、５はシャドウマスク、６は蛍光
体、７はブラックマトリックス膜、８は内部磁気シール
ド板、９は電子銃である。前記蛍光面２は、蛍光体ドッ
ト６とブラックマトリックス膜７より構成される。ここ
で、電子の動きを各部の動作をまじえながら説明する。
図４の１０は電子軌道の一例であるが、図では赤、緑、
青色に対応した電子軌道はそれぞれが非常に近接してお
り、１本にまとめて記した。電子銃９より反射された
赤、緑、青色に対応したそれぞれの電子は、偏向ヨーク
３内で、偏向信号（図示せず）に応じて偏向を受けて軌
道を変え、フェースプレートガラス１に向かう。赤、
緑、青の電子は、シャドウマスク５で遮られ、フェース
プレートガラス１内側に塗布されたそれぞれ対応する色
の蛍光体ドット６を叩く。蛍光体ドット６の周辺のブラ
ックマトリックス膜７には通常黒鉛が用いられ、周囲光
による表示部と非表示部の輝度比、即ちコントラスト比
の悪化を改善する。これらの従来の技術については、
「画像ディスプレイ」（テレビジョン学会編，（株）コ
ロナ社）にくわしく紹介されている。

【０００３】さらに、近年のカラー受像管の高精細化に
ともない、外部磁界変化に伴う色純度低下についても対
策が行われている。内部磁気シールド板８は、カラー受
像管の位置が変化した場合などにより生ずる外部地場変
化の影響を受け、色純度を保証するために配設された鉄
などからなる薄板であり、偏向ヨーク３とシャドウマス
ク５の間に配置されている。また、シャドウマスクは一
般的には、鉄あるいはインバーなどの磁性体を用いるた
め、シャドウマスク５と内部磁気シールド板８に囲まれ
る空間では、磁気シールド効果があり、外部磁界変化の
影響を受けにくい構造となっている。内部磁気シールド
板の影響については、「高精細カラーディスプレイ管の
地磁気影響解析」（ＮＥＣ技報電子部品特集号 VOL.47
No.10）に記述されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の従来
のカラー受像管においては、シャドウマスク５と蛍光体
ドット６の間が数ｍｍ〜１０ｍｍ離れており、外部の磁
界にさらされている。そのため、シャドウマスク５を通
過した電子は、蛍光体ドット到達までに外部磁界により
偏向を受ける。仮に、この外部磁界が常に一定で変化す
ることがなければ、電子の偏向量は一定であり、蛍光体
ドット６との相対位置は一定となり問題ない。しかし、
この外部磁界は、地磁気などであり、カラー受像管を移
動させた場合や、設計・調整された地域としよう地域の
違いなどにより変化するため、電子の偏向量が変化し、
蛍光体ドット６との相対位置が変化することによる色純
度の低下などを招くという問題があった。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点に
鑑みて提案されたもので、カラー受像管の磁気シールド
効果を改善し、色純度の低下を防ぐものである。

【０００６】前記目的を達成するため、本発明は、フェ
ースプレートガラス１内側の蛍光体ドット６の周辺のブ
ラックマトリックス膜を強磁性体膜で構成するものであ
る。また、前記ブラックマトリックス膜が強磁性体と反
射率０．５以下の低反射率物質との混合物で構成された
ことを特徴とする請求項１記載のカラー受像管や前記ブ
ラックマトリックス膜が、強磁性体膜で構成されたカラ
ー受像管において、強磁性体膜と反射率０．５以下の低
反射率物質とで、多層構成されたことを特徴とするカラ
ー受像管の受像管を提供する。

【０００７】

【作用】フェースプレートガラス内側の蛍光体ドットを
とり囲むブラックマトリックス膜が、強磁性体膜で構成
されたカラー受像管においては、磁気シールド効果をフ
ェースプレートガラス１内側の蛍光体ドット６周辺の強
磁性体膜１１が持つため、主な外部磁界は、フェースプ
レートガラス１の面でシールドされ、シャドウマスク５
と蛍光体ドット６間に入り込む磁束が減少する。したが
って、フェースプレート内側の蛍光体ドット６の周辺に
強磁性体膜を配設することにより、シャドウマスク５か
らフェースプレートガラス１の内側までの間の外部磁界
の変化を小さくすることができ、外部磁界変化による電
子の偏向量変化も減少させることができる。

【０００８】強磁性体膜が反射率０．５以下の低反射率
物質との混合膜で構成されたことを特徴とするカラー受
像管においては、混合体中の強磁性体が磁気シールド効
果を持ち、主な外部磁界は、フェースプレートガラス１
の面の強磁性体と反射率０．５以下の低反射率物質との
混合膜１２でシールドされ、シャドウマスク５と蛍光体
ドット６間に入り込む磁束が減少する。反射率０．５以
下の低反射率物質は、コントラスト比を確保するための
ものであり、外来光の５０％以下の反射率であることが
品質を確保するうえで必要である。したがって、フェー
スプレート内側の蛍光体ドット６の周辺に強磁性体膜と
反射率０．５以下の低反射率物質例えば黒鉛粉末との混
合膜を配設することにより、シャドウマスク５からフェ
ースプレートガラス１の内側までの間の外部磁界の変化
を小さくするとともにコントラスト比も確保することが
できる。

【０００９】強磁性体膜が反射率０．５以下の低反射率
物質と多層構成されたことを特徴とするカラー受像管に
おいては、強磁性体膜が磁気シールド効果を持ち、主な
外部磁界は、フェースプレートガラス１の面の強磁性体
膜１３でシールドされ、シャドウマスク５と蛍光体ドッ
ト６間に入り込む磁束が減少する。反射率０．５以下の
低反射率物質は、コントラスト比を確保するためのもの
であり、外来光の５０％以下の反射率であることが品質
を確保するうえで必要である。このような、強磁性体膜
が反射率０．５以下の低反射率物質と多層構成されたカ
ラー受像管では、磁気シールド効果とコントラスト比改
善効果の機能がそれぞれの膜に独立に与えられるため、
材料選択の自由度、設計の自由度も増すとともに、外部
磁界変化による電子の偏向量変化も減少させることがで
きる。

【００１０】

【実施例１】以下、本発明について図面を参照して説明
する。図１は本発明の一実施例カラー受像管要部断面図
である。図１において、１はフェースプレートガラス、
６は蛍光体ドット、１１は強磁性体膜である。

【００１１】このような構造のカラー受像管は、次のよ
うな方法で製造される。フェースプレートガラス１の内
側に感光剤を含んだ強磁性体膜１１を塗布する。その
後、蛍光体ドットに対応する領域をフォトリソグラフィ
ー技術を用いて感光し、感光領域の強磁性体１１をエッ
チングする。次に、エッチングさえれた領域に蛍光体を
塗布する。この感光、エッチング工程を赤、緑、青それ
ぞれの蛍光体について行うことにより蛍光面は形成され
る。本発明のカラー受像管は蛍光面の製造方法を除いて
は、従来のカラー受像管と同一方法で製造されるので、
その製造方法についてはその説明を省略する。

【００１２】この実施例では、蛍光体ドット６の周辺に
強磁性体が配設されており、主な外部磁界はこの強磁性
体膜によりシールドされ、シャドウマスク５とフェース
プレートガラス１の内側間に及ぶことを防いでいる。本
実施例では、粒状強磁性体を実施例としてあげている
が、蒸着あるいは、スパッタなどの真空技術を用いたＦ
ｅ、ＦｅＡｌＳｉ、ＦｅＮｉなどの強磁性体膜を用いて
も同様の効果が得られる。

【００１３】

【実施例２】図２は強磁性体膜が黒鉛等の反射率０．５
以下の低反射率物質との混合膜で構成されたことを特徴
とするカラー受像管の実施例の図である。本実施例は、
強磁性体膜を強磁性体膜と反射率０．５以下の低反射率
物質とのこんごうまく１２に変えたことを除いては第１
の実施例と同様であるため、同一部分には同一参照番号
を付しその説明を省略する。このように、強磁性体と反
射率０．５以下の低反射率物質との混合膜１２を用いる
ことにより、画面の外来光に対するの反射率が強磁性体
と反射率０．５以下の低反射率物質の混合比で決められ
るので、周囲光による表示部と非表示部の輝度比、即ち
コントラスト比を制御できる。

【００１４】このような構造のカラー受像管は、従来の
ブラックマトリックス塗布の際に、粒状の強磁性体の黒
鉛などのブラックマトリックス材料に混合するだけで比
較的容易に実現できる特徴がある。

【００１５】

【実施例３】図３は強磁性体膜が反射率０．５以下の低
反射率物質と多層構成されたことを特徴とするカラー受
像管の実施例の図である。この実施例は、反射率０．５
以下の低反射率物質４をフェースプレートガラス１の内
側に塗布し、その上に強磁性体膜１３を配設している。
本実施例は、反射率０．５以下の低反射率物質４を追加
したことを除いては第１の実施例と同様であるため、同
一部分には同一参照番号を付しその説明を省略する。本
実施例の製造方法については、実施例１に反射率０．５
以下の低反射率物質塗布工程が追加される他は、第１の
実施例と同様であり、その説明を省略する。このような
黒鉛等との積層膜を用いると、コントラスト比改善機能
は反射率０．５以下の低反射率物質４が受け持ち、磁気
シールド機能は強磁性体膜１３が受け持つため、それぞ
れに機能を分担させることができ、設計の自由度が増え
る。

【００１６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によるカラ
ー受像管構造によれば、フェースプレートガラス内側の
蛍光体ドットをとり囲むブラックマトリックス膜に、強
磁性体膜を配設することにより、シャドウマスクと蛍光
体ドット間に入り込む磁束を減少させ、外部磁界変化に
よる電子の到達位置変化を減少させられるので、色純度
の良いカラー受像管が提供できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施例のカラー受像管の要部断面図

【図２】 本発明の強磁性体膜が反射率０．５以下の低
反射率物質との混合膜で構成された場合の実施例のカラ
ー受像管の要部断面図

【図３】 本発明の強磁性体膜が反射率０．５以下の低
反射率物質と多層構成された場合の実施例のカラー受像
管の要部断面図

【図４】 従来のカラー受像管の断面図

【図５】 従来のカラー受像管の要部斜視図

【図６】 従来のカラー受像管の要部断面図

【符号の説明】

１ フェースプレートガラス ２ 蛍光面 ３ 偏向ヨーク ４ 反射率０．５以下の低反射率物質 ６ 蛍光体ドット １１ 強磁性体膜 １２ 強磁性体膜と低反射率物質との混合膜 １３ 強磁性体膜

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フェースプレートガラス内側の蛍光体ドッ
   トをとり囲むブラックマトリックス膜が、強磁性体で構
   成されたことを特徴とするカラー受像管。
2. 【請求項２】前記ブラックマトリックス膜が強磁性体と
   反射率０．５以下の低反射率物質との混合物で構成され
   たことを特徴とする請求項１記載のカラー受像管。
3. 【請求項３】前記ブラックマトリックス膜が、強磁性体
   と反射率０．５以下の低反射率物質とで、多層構成され
   たことを特徴とする請求項１記載のカラー受像管。