JPH0961593A - 高レベル放射性物質の貯蔵設備 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 収納管の振動を相殺する高レベル放射性物質
の貯蔵設備を提供する。 【解決手段】 ピット４に上端部を取り付けられ且つそ
れぞれ異なる固有の長さを有する収納管２０と、収納管
２０を取り囲んで空気流通路１２を形成し且つ収納管２
０に取り付けられた通風管２１と、通風管２１を相互に
結合しピット４の内周面とを連結する弾性支持部材２
２，２３とを備える。 【効果】 長さが異なる各収納管は固有振動数が異なり
振動を相殺する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は高レベル放射性物質
の貯蔵設備に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、原子力発電所等において発生する
放射性廃液を、溶融状態のガラスに混ぜて円筒状の金属
容器に流し込み、このガラスが固化することにより形成
されるガラス固化体を貯蔵設備に保管することが検討さ
れている。

【０００３】図３は、高レベル放射性物質の貯蔵設備の
一例を示す縦断面図であって、１は鉄筋コンクリート構
造の躯体で、地表面近くの地中に設けられているもので
あり、この躯体１の内部には、ガラス固化した高レベル
放射性物質２を収納し得る複数の収納管３が垂下したピ
ット４と、上下方向に延びる冷却空気入口シャフト５と
が形成されている。

【０００４】また、前記の躯体１には、躯体１の外部の
地上から冷却空気入口シャフト５の上端部に連通する冷
却空気入口流路６と、冷却空気入口シャフト５の下端部
から前記のピット４の最下部に連通する空気流入口７
と、ピット４の上部から躯体１の外部の地上へ連通する
空気流出口８とが設けられている。

【０００５】更に、前記の躯体１には、躯体１の外部か
らピット４へ略鉛直に貫通する放射性物質挿入口９が、
前記の収納管３に対応させて開口されている。

【０００６】この放射性物質挿入口９は、プラグ１０及
び蓋１１によって閉鎖されるようになっている。

【０００７】前記の収納管３は下端部が閉塞されている
筒状のもので、その内部には、ガラス固化した複数の高
レベル放射性物質２を上下方向へ直列に並べて収納でき
るようになっている。

【０００８】この収納管３は、上端部が前述した放射性
物質挿入口９に連通するように躯体１のピット４の天井
を形成する部分に埋め込まれ、また、収納管３の前記天
井部分に埋め込まれている箇所より下方の部分は、ピッ
ト４の内部に位置している。

【０００９】収納管３のピット４の内部に位置している
部分の外側には、収納管３の外周との間に空気流通路１
２を形成する通風管１３が上下方向に配置されており、
この通風管１３はステー１４により収納管３と同芯状に
支持され、通風管１３の外側は支持架構１５により相互
に結合されると共に、ピット４の内面に固定されてい
る。

【００１０】そして、通風管１３の下端はピット４内の
下部に開口し、通風管１３の上端はピット４内の上部に
開口している。

【００１１】通風管１３の下部近傍の外側とピット４の
内周面との間には、全面にわたり板状の下部プレナム形
成板１６が設けてあって、通風管１３の下部近傍の外側
でピット４を上下に遮断している。

【００１２】また、通風管１３の上部近傍の外側とピッ
ト４の内周面との間には、全面にわたり板状の上部プレ
ナム形成板１７が設けてあって、通風管１３の上部近傍
の外側でピット４を上下に遮断している。

【００１３】なお、１８，１９はルーバーであり、一方
のルーバー１８は空気流入口７に設けられ、また、他方
のルーバー１９は空気流出口８に設けられている。

【００１４】図３に示す高レベル放射性物質の貯蔵設備
においては、冷却空気入口流路６から流入した地上から
の空気は、冷却空気入口シャフト５を下降して空気流入
口７からルーバー１８を介してピット４の下部に冷却用
の空気として流入する。

【００１５】通風管１３の外側とピット４の内周面との
間は、全面にわたり下部プレナム形成板１６および上部
プレナム形成板１７によって遮断されているので、ピッ
ト４の下部に流入した空気は、分散して通風管１３の下
端から空気流通路１２内に入り、空気流通路１２を上昇
しながら収納管３内に収納されている高レベル放射性物
質２の崩壊熱を除熱し、通風管１３の上端からピット４
の上部に流れ、ルーバー１９を介して空気流出口８を通
って躯体１の外部の地上へ排出される。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
高レベル放射性物質の貯蔵設備においては、すべての収
納管３が同じ長さに設定され、各収納管３が同じ固有振
動数を有するので、地震発生時には全部の収納管３が同
位相で振動し、片持ち梁状に支持されている収納管３に
は過大な内部応力が発生し、支持架構１５には大きな反
力が加わることになる。

【００１７】本発明は、前述の実情に鑑みてなしたもの
で、耐震性に優れた高レベル放射性物質の貯蔵設備を提
供することを目的としている。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の高レベル放射性物質の貯蔵設備において
は、地表近くの地中に設けられたピットと、該ピットの
天井部分に上端部を取り付けられてピット内に垂下し且
つ内部に高レベル放射性物質を収納し得る複数の収納管
と、該収納管を取り囲み収納管の外周との間で空気流通
路を形成し得るように配置され且つステーを介して収納
管に取り付けられた通風管と、該通風管を相互に結合し
且つ通風管とピットの内周面とを連結する弾性支持部材
と、前記の通風管の下部近傍の外側と前記のピットの内
周面との間を閉鎖する下部プレナム形成板と、前記の通
風管の上部近傍の外側と前記のピットの内周面との間を
閉鎖する上部プレナム形成板と、前記の下部プレナム形
成板よりも下方に位置するようにピットの下部に設けら
れた空気流入口と、前記の上部プレナム形成板よりも上
方に位置するようにピットの上部に設けられた空気流出
口とを備え、前記の各収納管をそれぞれ異なる長さに形
成している。

【００１９】本発明の高レベル放射性物質の貯蔵設備で
は、ピットの天井部分に上端部が取り付けられてピット
内に垂下する各収納管をそれぞれ異なる長さに形成する
ことにより、各収納管が異なる固有振動数を有するよう
にし、地震等によってピットが地盤と共に振動した場合
における収納管の同一方向への振動を抑制する。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しつつ説明する。

【００２１】図１及び図２は本発明の高レベル放射性物
質の貯蔵設備の実施の形態の一例を示すものであり、図
３と同じものには同じ符号を付すことにより説明を省略
する。

【００２２】図１及び図２に示す高レベル放射性物質の
貯蔵設備では、躯体１の内部のピット４に垂下される複
数の収納管２０の長さを、それぞれ異なるものとしてい
る。

【００２３】前記の各収納管２０は、上端部が放射性物
質挿入口９に連通するように躯体１のピット４の天井を
形成する部分に埋め込まれ、該各収納管２０の前記天井
部分に埋め込まれている箇所より下方の部分は、ピット
４の内部に位置している。

【００２４】これらの収納管２０は、先に述べた収納管
３（図３参照）と同様に、下端部が閉塞されている筒状
をなし、その内部には、ガラス固化した複数の高レベル
放射性物質２を上下方向へ直列に並べて収納できるよう
になっている。

【００２５】また、各収納管２０のピット４の内部に位
置している部分の外側には、各収納管２０の外周との間
に空気流通路１２を形成し得るように、各収納管２０の
それぞれの長さに適合する長さを有し且つ収納管２０の
長さ方向へ延びる通風管２１が配置されている。

【００２６】前記の各通風管２１は、上端部が略同じ高
さレベルに位置し且つ各収納管２０と同芯状にステー１
４を介して支持され、弾性支持部材２２によって相互に
結合され、弾性支持部材２３を介してピット４の内面に
固定されている。

【００２７】これらの弾性支持部材２２，２３は、平面
形状がΩ字形に形成された高張力鋼よりなる主弾性体Ｈ
と、該主弾性体Ｈの凸湾曲部分に貼付された軟鋼よりな
る減衰体Ｒとから構成されている。

【００２８】なお、上記の減衰体Ｒは、弾性支持部材２
２，２３に要求される条件によっては、省略することも
できる。

【００２９】前記の各通風管２１の下端はピット４内の
下部に開口し、該各通風管２１の上端はピット４内の上
部に開口している。

【００３０】前記の弾性支持部材２２，２３は、図２に
示すように長手方向の中央部がΩ字形に折り曲げられて
軸方向外力に対して緩衝作用をなすように形成されてい
る。

【００３１】前記の各通風管２１のうちの最も短い通風
管２１の下部近傍の高さレベルに合わせて、各通風管２
１の外周とピット４の内周面との間の全面にわたり板状
の下部プレナム形成板１６が設けてあって、前記の短い
通風管２１の下部近傍の外側でピット４を上下に遮断し
ている。

【００３２】また、各通風管２１の上部近傍の外周とピ
ット４の内周面との間の全面にわたり板状の上部プレナ
ム形成板１７が設けてあって、通風管２１の上部近傍の
外側でピット４を上下に遮断している。

【００３３】以下、図１及び図２に示す高レベル放射性
物質の貯蔵設備の作動について説明する。

【００３４】図１に示す高レベル放射性物質の貯蔵設備
においては、地上から冷却空気入口流路６を通って流入
した空気は、冷却空気入口シャフト５を下降して空気流
入口７からルーバー１８を介してピット４の下部に冷却
用の空気として流入する。

【００３５】通風管２１の外側とピット４の内周面との
間は、全面にわたり下部プレナム形成板１６および上部
プレナム形成板１７によって遮断されているので、ピッ
ト４の下部に流入した空気は、分散して通風管２１の下
端から空気流通路１２内に入り、空気流通路１２を上昇
しながら収納管２０内に収納されている高レベル放射性
物質２の崩壊熱を除熱し、通風管２１の上端からピット
４の上部に流れ、ルーバー１９を介して空気流出口８を
通って躯体１の外部の地上へ排出される。

【００３６】一方、地震等によってピット４が地盤と共
に振動すると、各収納管２０の長さが異なり各収納管２
０が異なる固有振動数を有するので、互いに隣接する収
納管２０の同一方向への振動（移動）が抑制され、ま
た、各通風管２１の相互間及び通風管２１とピット４の
内周面とを連結する弾性支持部材２２，２３が収納管２
０の相互間の振動の伝達を遮断するため、ピット４など
コンクリート構造物に対する影響が減少する。

【００３７】なお、本発明の高レベル放射性物質の貯蔵
設備は上述した実施の形態にのみ限定されるものではな
く、通風管２１を相互に連結する部材として弾性支持部
材２２に代えてダンパを用いるようにすること、その
他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更
を加え得ることは勿論である。

【００３８】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の高レベル放
射性物質の貯蔵設備によれば、地震等によってピットが
地盤と共に振動しても、各収納管の固有振動数が異なり
互いに隣接する収納管が異なる位相で振動し、また、弾
性支持部材が収納管の相互間の振動の伝達を遮断するの
で、収納管の同一方向への振動（移動）が抑制され、ピ
ットに対する収納管の振動の影響が減少するという優れ
た効果を奏し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の高レベル放射性物質の貯蔵設備の実施
の形態の一例を示す縦断面図である。

【図２】図１に関連する弾性支持部材の平面図である。

【図３】従来の高レベル放射性物質の貯蔵設備の一例を
示す縦断面図である。

【符号の説明】

２ 高レベル放射性物質 ４ ピット ７ 空気流入口 ８ 空気流出口 １２ 空気流通路 １４ ステー １６ 下部プレナム形成板 １７ 上部プレナム形成板 ２０ 収納管 ２１ 通風管 ２２ 弾性支持部材 ２３ 弾性支持部材

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 地表近くの地中に設けられたピットと、
   該ピットの天井部分に上端部を取り付けられてピット内
   に垂下し且つ内部に高レベル放射性物質を収納し得る複
   数の収納管と、該収納管を取り囲み収納管の外周との間
   で空気流通路を形成し得るように配置され且つステーを
   介して収納管に取り付けられた通風管と、該通風管を相
   互に結合し且つ通風管とピットの内周面とを連結する弾
   性支持部材と、前記の通風管の下部近傍の外側と前記の
   ピットの内周面との間を閉鎖する下部プレナム形成板
   と、前記の通風管の上部近傍の外側と前記のピットの内
   周面との間を閉鎖する上部プレナム形成板と、前記の下
   部プレナム形成板よりも下方に位置するようにピットの
   下部に設けられた空気流入口と、前記の上部プレナム形
   成板よりも上方に位置するようにピットの上部に設けら
   れた空気流出口とを備え、前記の各収納管をそれぞれ異
   なる長さに形成したことを特徴とする高レベル放射性物
   質の貯蔵設備。