JPH0961068A - 集塵ダクト機構 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 出湯時に発生するガス（煙）の捕集を簡単且
つ良好な状態で行える集塵ダクト機構を得る。 【解決手段】 上部に炉体開口を備え且つ内部に被溶融
物が投入されて溶融される炉体と、溶融状態にある被溶
融物を出湯するための炉体開口に接続された出湯用導出
路を有する炉の排煙設備に備えられる集塵ダクト機構を
構成するに、姿勢変更自在に構成される炉体、出湯用導
出路５と一体に設けられ、出湯用導出路５の先端近傍
に、出湯操作時の前記被溶融物の吐出方向に開口する出
湯集塵開口１３を備えて、集塵ダクト機構を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、上部に炉体開口を
備え且つ内部に被溶融物が投入されて溶融される炉体
と、溶融状態にある被溶融物を出湯するための炉体開口
に接続された出湯用導出路を有する炉の排煙設備に備え
られる集塵ダクト機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の炉の一例としては、所謂、低周
波誘導電気炉等の溶融炉を挙げることができる。従来、
この種の炉にあっては、炉体の上端面の上方に、この上
端面に沿って炉体開口を包囲するように形成された略環
状の中空リングフードが設けられ、この中空リングフー
ドに炉体開口側に開口する排ガス吸引口が備えられてい
た。従って、この中空リングフードにより、炉体開口か
ら上がっている排ガスを吸引して、排ガスの処理をおこ
なうことができた。一方、出湯時にあっては、炉体が傾
斜姿勢に設定されて出湯用導出路を介して取鍋へ溶融状
態にある被溶融物を吐出させるが、この出湯時には、取
鍋の上部に大量の粉塵を含んだガスが舞い上がる。従っ
て、従来は、このようなガスを炉とは別個に設けられる
集塵機構で、集塵していた。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、出湯時に、出湯時用の集塵機構を出湯用導出路の先
端である出湯口近傍に移動させ、さらにこれを稼働させ
る必要があるため、機器構成が複雑になるとともに、そ
の操作制御系統も複雑化していた。従って、このような
点で改良の余地があった。そこで、本発明の目的は、出
湯時に発生するガス（煙）の捕集を簡単且つ良好な状態
で行える集塵ダクト機構を得ることにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明による請求項１に係わり、上部に炉体開口を備
え且つ内部に被溶融物が投入されて溶融される炉体と、
溶融状態にある前記被溶融物を出湯するための前記炉体
開口に接続された出湯用導出路を有する炉の排煙設備に
備えられる集塵ダクト機構の特徴構成は、これが、姿勢
変更自在に構成される前記炉体、前記出湯用導出路と一
体に設けられ、前記出湯用導出路の先端近傍に、出湯操
作時の前記被溶融物の吐出方向に開口して集塵動作可能
な出湯集塵開口を備えたことにある。この集塵ダクト機
構にあっては、出湯に伴う炉体の姿勢傾斜において、出
湯集塵開口は炉体、出湯用導出路と一体に、傾斜され、
出湯集塵開口が取鍋側を向く姿勢とされる。従って、出
湯に伴って発生するガスを、この出湯集塵開口を介して
捕集できる。結果、従来のように、別途、集塵機構を移
動させて、作動させる必要はなく、簡単な構成、操作で
充分な捕集をおこなうことができる。請求項１に係わる
集塵ダクト機構において、前記集塵ダクト機構が、前記
炉体の上端面の上方に、前記上端面に沿って前記炉体開
口を包囲するように形成された略環状の第１中空リング
フード部を備え、前記第１中空リングフード部に前記炉
体開口側に開口する排ガス吸引口を備えるとともに、前
記第１中空リングフード部の一端が前記出湯用導出路に
沿ってその先端まで延出した導出路延出部を備え、前記
導出路延出部の先端に前記出湯集塵開口を備えることが
好ましい。このように構成すると、炉体開口を介して発
生するガスを中空リングフード部によって捕集すること
ができるとともに、出湯時には、出湯集塵開口を介して
取鍋側から発生するガスを捕集できる。さらに、請求項
２に係わる集塵ダクト機構において、前記出湯用導出路
が上部側に開いた樋状に形成され、前記出湯用導出路の
一方の側部に前記導出路延出部を、前記導出路延出部の
先端に前記出湯集塵開口を備え、前記出湯用導出路の他
方の側部に、前記出湯集塵開口を先端部位に備えた第２
中空フード部を備え、前記第１中空リングフード部を主
体とする集塵動作をおこなう第１集塵状態と、前記出湯
集塵開口を主体とする集塵動作をおこなう第２集塵状態
とに切り換える切り換え機構を備え、前記被溶融物が前
記炉体内で溶融され且つ前記炉体が縦型姿勢に維持され
る溶融姿勢において、前記第１集塵状態で集塵をおこな
い、前記炉体を傾斜姿勢にして、前記被溶融物を前記出
湯用導出路を介して出湯する出湯姿勢において、前記第
２集塵状態で集塵をおこなうことが好ましい。このよう
にすると、溶融姿勢においては炉体開口からのガスの捕
集を主に、第１リングフード部によりおこない、出湯姿
勢においては、第１中空リングフード部と前記第２中空
フード部とを共に働かせて、出湯集塵開口からの集塵能
力が高い状態で、取鍋側からのガスの捕集を良好におこ
なうことができる。さらに、請求項３に係わる集塵ダク
ト機構において、前記導出路延出部に前記出湯用導出路
側に開口する出湯路開口を備えるとともに、前記第２中
空フード部に前記出湯用導出路側に開口する出湯路開口
を備えることが好ましい。このようにすると、出湯路開
口を介して、出湯用導出路から発生するガスを、第１中
空リングフード部と前記第２中空フード部に良好に捕集
することができる。

【０００５】

【発明の実施の形態】本願の実施の形態を図面に基づい
て説明する。図１には、本願の集塵ダクト機構１が装備
される電気炉２の外観斜視図が示されている。電気炉２
は、通常の縦型姿勢にあって、炉体開口３を上部に備え
た有底筒状のるつぼ状に形成されてた炉体４を備えたも
のであり、図２の平面図で示すように溶融状態にある被
溶融物を出湯するための出湯用導出路５を備えている。
当然、この出湯用導出路５は、上部側に開いた樋状に構
成されており、その基端側が炉体開口３に接続されると
ともに、その先端部位が出湯口６として構成されてい
る。さらに、この炉は、被溶融物を溶融する縦型姿勢
と、被溶融物を取鍋７側へ出湯する傾斜姿勢との間で、
所定の揺動軸Ａ廻りに姿勢変更自在に構成されている。

【０００６】そして、さて、図３の正面図に示すよう
に、炉体４の上端面４ａの上方に、この上端面４ａに沿
って炉体開口３を包囲するように略環状に構成され、本
願の集塵ダスト機構１の一部を成す第１中空リングフー
ド部８が備えられており、図２に示すように、この第１
中空リングフード部８に炉体開口側に開口する排ガス吸
引口９が備えられている。さらに、図１に示すように、
この第１中空リングフード部８の一部及び炉体開口３の
直上部を覆うように、炉蓋１０が備えられている。この
炉蓋１０には、開閉機構１１が備えられ、図３、図４に
示すように炉体開口３を覆う閉塞姿勢と、この炉体開口
３から横方向に移動した開放姿勢との間で、切り換え自
在に構成されている。

【０００７】以上が、本願の集塵ダクト機構１が備えら
れる設備の概要であるが、以下、この集塵ダクト機構１
自体について説明する。図２に集塵ダクト機構１の平面
図を、図３に集塵ダクト機構１の正面図を、さらに、図
４に傾斜姿勢にある集塵ダクト機構１の側面図を示し
た。この集塵ダクト機構１は、前述のように所定の揺動
軸Ａ廻りに、姿勢変更自在に構成される炉体４、出湯用
導出路５と一体に取付られて使用される。この集塵ダク
ト機構１の特徴は、従来の中空リングフード型の集塵ダ
クトと同様に、炉体開口３の上部側で、これから上昇し
てくる粉塵を含んだガスを吸引する構造を備えるととも
に、出湯時に主に、取鍋７から上昇するガスを吸引する
構造を備えていることに特徴がある。従って、上記の前
者の目的から、第１中空リングフード部８を備えるとと
もに、後者の目的から、出湯集塵開口１３と出湯路開口
５を備えている。ここで、出湯集塵開口１３は、出湯用
導出路１４の先端近傍に、出湯操作時の被溶融物の吐出
方向に開口するダクトの開口部であり、樋状に形成され
る出湯口６の先端左右部位に一対備えられている。さら
に、出湯路開口１４は、出湯用導出路５に沿って複数設
けられている。

【０００８】以下、さらに詳細に、集塵ダクト機構１の
構成について説明する。これは、炉体４の上端面４ａの
上方に、この上端面４ａに沿って炉体開口３を包囲する
ように形成された略環状の第１中空リングフード部８を
備え、この第１中空リングフード部８に炉体開口３側に
開口する排ガス吸引口９を備えている。この排ガス吸引
口９の開口方向は、図２に示すように炉体開口３の廻り
を巡る吸引流路方向に沿ったものである。そして、この
第１中空リングフード部８の一端が出湯用導出路５に沿
ってその先端まで延出されており、この部位が導出路延
出部１５として構成されている。そして、この出湯用導
出路５側に複数の出湯路開口１４を備えるとともに、こ
の導出路延出部１５の先端が、先に説明した出湯集塵開
口１３の一方（図３において出湯口６に対して左側のも
の）となっている。出湯用導出路５の他方の側部（図３
において出湯口６に対して右側）には、出湯集塵開口１
３を先端部位に備えた第２中空フード部１６を備えてい
る。この第２中空フード部１６においても、同様に出湯
用導出路側に複数の出湯路開口１４を備えている。

【０００９】このような構成を採用することにより、集
塵ダクト機構１にあっては、出湯口６に対して左側に位
置する出湯集塵開口１３ａ、導出路延出部１５、第１中
空リングフード部８を介して誘引送風機１７側へ連結さ
れる炉体開口周部を巡る第１吸引流路ａと、出湯口６に
対して右側に位置する出湯集塵開口１３ｂ、第２中空フ
ード部１６とを介して誘引送風機１７側へ連結される第
２吸引流路ｂとが備えられる構成となっている。そし
て、これらの流路ａ、ｂは、その下手側において、先に
説明した揺動軸Ａ近傍に備えられた共通吸引路ｃを介し
て誘引送風機１７側へ接続されている。さて、第１中空
リングフード部８と第２中空フード部１６との間には、
仕切り板１８が備えられるとともに、この第２中空フー
ド部１６と共通吸引路ｃとの間に開閉操作自在なダンパ
１９が設けられている。従って、誘引送風機１７を働か
せた状態において、前述の第１吸引流路ａを主に働かせ
る状態と、第１吸引流路ａ、第２吸引流路ｂとを共には
たらせる状態との二つの状態に切り換え可能に構成され
ている。即ち、第１中空リングフード部８を主体とする
第１吸引流路ａによる集塵動作をおこなう第１集塵状態
と、第１吸引流路ａ及び第２中空フード部１６とを主体
とする第２吸引流路ｂとの両方による集塵動作をおこな
う第２集塵状態とに切り換える切り換え機構（実際上
は、図３に示す上記のダンパ１９の調整機構２０）を備
えている。そして、図２に示すように、炉体４には、そ
の炉体４の姿勢を検出する姿勢検出機構２１が備えら
れ、この姿勢検出機構２１に連動し、検出結果に基づい
て所定のダンパ開度をダンパの調整機構２０に指定指示
するダンパ開度制御器２２が備えられている。

【００１０】以下、本集塵ダクト機構１の作動ととも
に、この流路の切り換えを伴った操業状態について説明
する。 １ 被溶融物の溶融をおこなう通常操業状態 この操業状態にあっては、炉体４は縦型姿勢に維持さ
れ、炉蓋１０が閉じられた状態で操業が行われる。この
場合は、炉から発生するガスは炉体開口３から上昇する
こととなるため、これを、第１中空リングフード部８に
備えられる排ガス吸引口９から吸引すればよい。従っ
て、この操業状態においては、前述の第１吸引流路ａを
使用し、前記第１集塵状態で集塵をおこなう。 ２ 出湯操業時の状態 この操業状態にあっては、炉体４は傾斜姿勢に維持さ
れ、出湯口６から溶融状態にある被溶融物が取鍋７側へ
吐出される。この場合は、取鍋７からガスが大量に上昇
することとなるため、これを、出湯集塵開口１３からガ
スを吸引すればよい。従って、この操業状態において
は、前述の第１吸引流路ａ、第２吸引流路ｂを共に利用
して、前記第２集塵状態で集塵をおこなう。

【００１１】

【発明の効果】従って、本願の集塵ダクト機構にあって
は、出湯時に、別途設けられる集塵機構を使用すること
なく、炉体と一体に出湯口近傍に備えられた出湯集塵開
口より発生するガスを吸引除去することができる。さら
に、この出湯集塵開口を、従来のリングフードの流路先
端に備えることにより、従来構造を生かしながら、溶融
操業時、炉体開口から立ち上がるガス、さらには、出湯
時、取鍋から立ち上がるガスを、コンパクトな構成で良
好に吸引除去できる。

【００１２】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願の集塵ダクト機構が装備される電気炉の外
観斜視図

【図２】本願の集塵ダクト機構の平面図

【図３】本願の集塵ダクト機構の正面図

【図４】傾斜姿勢における本願の集塵ダクト機構の側面
図

【符号の説明】

３ 炉体開口 ４ 炉体 ４ａ 上端部 ８ 第１中空リングフード部 １３ 出湯集塵開口 １４ 出湯路開口 １５ 導出路延出部 １６ 第２中空フード部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上部に炉体開口（３）を備え且つ内部に
   被溶融物が投入されて溶融される炉体（４）と、溶融状
   態にある前記被溶融物を出湯するための前記炉体開口
   （３）に接続された出湯用導出路（５）を有する炉の排
   煙設備に備えられる集塵ダクト機構であって、姿勢変更
   自在に構成される前記炉体（４）、前記出湯用導出路
   （５）と一体に設けられ、前記出湯用導出路（５）の先
   端近傍に、出湯操作時の前記被溶融物の吐出方向に開口
   して、集塵動作可能な出湯集塵開口（１３）を備えた集
   塵ダクト機構。
2. 【請求項２】 前記炉体（４）の上端面（４ａ）の上方
   に、前記上端面（４ａ）に沿って前記炉体開口（３）を
   包囲するように形成された略環状の第１中空リングフー
   ド部（８）を備え、前記第１中空リングフード部（８）
   に前記炉体開口（３）側に開口する排ガス吸引口（９）
   を備えるとともに、前記第１中空リングフード部（８）
   の一端が前記出湯用導出路（５）に沿ってその先端まで
   延出した導出路延出部（１５）を備え、前記導出路延出
   部（１５）の先端に前記出湯集塵開口（１３）を備えた
   請求項１記載の集塵ダクト機構。
3. 【請求項３】 前記出湯用導出路（５）が上部側に開い
   た樋状に形成され、前記出湯用導出路（５）の一方の側
   部に前記導出路延出部（１５）を、前記導出路延出部
   （１５）の先端に前記出湯集塵開口（１３）を備え、前
   記出湯用導出路（５）の他方の側部に、前記出湯集塵開
   口（１３）を先端部位に備えた第２中空フード部（１
   ６）を備え、 前記第１中空リングフード部（８）を主体とする集塵動
   作をおこなう第１集塵状態と、前記出湯集塵開口（１
   ３）を主体とする集塵動作をおこなう第２集塵状態とに
   切り換える切り換え機構を備え、 前記被溶融物が前記炉体（４）内で溶融され且つ前記炉
   体が縦型姿勢に維持される溶融姿勢において、前記第１
   集塵状態で集塵をおこない、 前記炉体（４）を傾斜姿勢にして、前記被溶融物を前記
   出湯用導出路（５）を介して出湯する出湯姿勢におい
   て、前記第２集塵状態で集塵をおこなう請求項２記載の
   集塵ダクト機構。
4. 【請求項４】 前記導出路延出部（１５）に前記出湯用
   導出路側に開口する出湯路開口（１４）を備えるととも
   に、前記第２中空フード部（１６）に前記出湯用導出路
   側に開口する出湯路開口（１４）を備えた請求項３記載
   の集塵ダクト機構。