JPH0957965A - インクジェットヘッド及びその駆動方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその駆動方法

Info

Publication number
JPH0957965A
JPH0957965A JP21508395A JP21508395A JPH0957965A JP H0957965 A JPH0957965 A JP H0957965A JP 21508395 A JP21508395 A JP 21508395A JP 21508395 A JP21508395 A JP 21508395A JP H0957965 A JPH0957965 A JP H0957965A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
individual electrode
substrate
ink jet
diaphragm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21508395A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiro Fujii
正寛 藤井
Hiroyuki Maruyama
博幸 丸山
Shigeo Nojima
重男 野島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP21508395A priority Critical patent/JPH0957965A/ja
Publication of JPH0957965A publication Critical patent/JPH0957965A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 アクチュエータ内の残留電荷の発生を抑制
し、安定したインク吐出が可能で信頼性の高いインクジ
ェットヘッドを提供する。 【解決手段】 ノズル4と、ノズル4に連通するインク
流路と、流路の一部に設けられた振動板5と、振動板5
に対向して設けられた個別電極21と、振動板5と個別
電極21の間に気体層9と有し、振動板5と個別電極間
21に駆動電圧を印加し、振動板5を静電気力により変
形させ、ノズル4からインク液滴104を吐出するイン
クジェットヘッド10において、個別電極21及び振動
板5の材料が半導体材料よりなり、個別電極21と振動
板5とは半導体の型が異なることを特徴とするインクジ
ェットヘッド及びその駆動方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェットヘッ
ド及びその駆動方法に関し、詳しくはその駆動部の構造
と駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェットプリンタは、記録時の騒
音が極めて小さいこと、高速印字が可能であること、イ
ンクの自由度が高く安価な普通紙を使用できることなど
多くの利点を有する。この中でも記録の必要な時にのみ
インク液滴を吐出する、いわゆるインク・オン・デマン
ド方式が、記録に不要なインク液滴の回収を必要としな
いため、現在主流となっている。
【0003】従来のインク・オン・デマンド方式のイン
クジェットヘッドには例えば特開平2−289351が
あった。これは第1の電極と対抗する第2の電極間に粘
弾性を有する強誘電体を挿入し、第1の電極と第2の電
極に電圧を印加して駆動しインク滴を吐出させるもので
あった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
技術では以下に挙げる2点において、インクジェットヘ
ッドとしては、構造上重大な課題を有していた。
【0005】第1に、従来の技術では、繰り返し駆動電
圧の印加により、即ち駆動することにより、第1の電極
と第2の電極間に挿入された絶縁物質即ち誘電体に分極
等により電荷が残留し、誘電体が帯電してインクをノズ
ルより吐出するに十分な静電気力即ち駆動力が得られな
くなり、安定した印刷品位を保てなくなってしまい、つ
いには印刷不能となって、ヘッドの寿命が短いといった
課題を有していた。
【0006】第2に、従来の技術では第1及び第2の電
極間で放電が発生し、インクジェットヘッドの駆動部の
短絡破壊が生じて動作不能となる。これは、絶縁性確保
の目的で第1の電極と第2の電極間に挿入されてた絶縁
体が不可逆な絶縁破壊をおこしてしまうためである。駆
動部の短絡破壊にょりインクジェットヘッドはインク吐
出不能となり、やはり前述の第1の課題同様に寿命が短
いといった課題を有していた。
【0007】これら第1、第2の課題はいずれも従来の
技術によるインクジェットヘッドの信頼性が低いといっ
た課題を有していることにおいて共通している。
【0008】ところが第1の課題においては第1の電極
と第2の電極間に絶縁体が存在して帯電すことが課題で
あるのに対し、第2の課題においては絶縁体が不完全で
あることが課題でであり、これらの2点の課題は一方は
絶縁体の存在が課題であるのに対して、他方では絶縁体
が無いことが課題であるといった矛盾した構造上の課題
であった。
【0009】本発明の目的はこの様な従来の技術の課題
を解決し、安定した吐出が得られ、印刷品位が良好で、
寿命が長く、高い信頼性を有したインクジェットヘッド
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
ヘッドは、ノズルと、該ノズルに連通するインク流路
と、該流路の一部に設けられた振動板と、該振動板に対
向して設けられた個別電極と、前記振動板と前記個別電
極間に設けられた気体層とを有し、前記個別電極と前記
振動板の間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電気力
により変形させ、前記ノズルからインク液滴を吐出する
インクジェットヘッドにおいて、前記個別電極及び前記
振動板が半導体材料よりなり、前記個別電極と前記振動
板とは半導体の型が異なることを特徴とする。
【0011】また、本発明のインクジェットヘッドの駆
動方法は、前記個別電極と前記振動板とに印加する駆動
電圧の極性が、前記個別電極がn型半導体よりなる時に
は前記個別電極が(+)、前記個別電極がp型半導体よ
りなる時には前記個別電極が(−)であることを特徴と
する。
【0012】更に、本発明のインクジェットヘッドは、
前記個別電極及び前記振動板がシリコンからなることを
特徴とする。
【0013】加えて、本発明のインクジェットヘッド
は、前記振動板と前記個別電極間に絶縁体が付設されて
いることを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明のインクジェットヘッドの振動板と個別
電極はそれぞれ型の異なる半導体より構成されている。
インクジェットヘッド駆動のため振動板と個別電極に駆
動電圧を印加すると電荷が振動板と個別電極に瞬時にし
て蓄積され、静電圧力のため振動板が個別電極側に撓ん
で変形し、振動板は個別電極に当接する。
【0015】振動板と個別電極は異なる型の半導体より
なるので、振動板と個別電極の当接によって生じた電位
差即ち拡散電位は半導体よりなる振動板及び個別電極中
のキャリアの流れを抑制する障壁となるため、電流は殆
ど流れない。よって、当接後も駆動電圧を印加し続ける
ことにより振動板を個別電極へ吸引保持して振動板と個
別電極の当接状態が維持される。かつ、駆動電圧を更に
大きくした場合でもツェナー降伏もしくは電子なだれ降
伏等の降伏現象が発生するため、電圧が自動的に適正な
大きさに降下し、インクジェットヘッドの駆動部を短絡
によって破損しない。
【0016】駆動電圧の印加を止めて各々の電極を同電
位にすると、蓄積されていた電荷は各々の電極を介して
瞬時に消滅し、振動板の復元力により振動板はインク流
路のインクを排除しながら復元する。排除されたインク
の一部はノズルよりインク滴として吐出し、紙等の印刷
媒体に面に付着、浸透、固化若しくは印刷媒体と反応し
て画素を形成し、この繰り返し制御により印刷が行われ
る。
【0017】繰り返し駆動を実施しても、振動板と個別
電極間には帯電する絶縁体(誘電体)がないので電荷を
蓄積して残留させることはなく、本発明のインクジェッ
トヘッドの駆動部は半永久的に安定して駆動することが
可能である。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例における
インクジェットヘッドの分解斜視図であり、一部断面図
で示してある。本実施例はインク液滴を基板の端部に設
けたノズル孔から吐出させるエッジイジェクトタイプの
例を示すものであるが、基板の上面部に設けたノズル孔
からインク液滴を吐出させるフェイスイジェクトタイプ
でもよい。図2は本発明の一実施例におけるインクジェ
ットヘッドの組み立てられたインクジェットヘッド全体
の斜視図である。図3は本発明の一実施例におけるイン
クジェットヘッドのインク流路部の断面側面図である。
以下図に従い、本発明の実施例について説明する。
【0019】本実施例のインクジェットヘッド10は次
に詳述する構造を持つ3枚の基板1、2、3を重ねて接
合した積層構造となっている。
【0020】中間の第1の基板1は、シリコン基板であ
り、不純物として燐がドープされたn型の単結晶シリコ
ンよりなる。第1の基板1は、複数のノズル孔4を構成
するように、基板1の表面に一端より平行に等間隔で形
成された複数のノズル溝11と、各々のノズル溝11に
連通し、底壁を振動板5とする圧力発生部である圧力室
6を構成することになる凹部12と、凹部12の後部に
設けられたオリフィス7を構成することになるインク流
入口のための細溝13と、各々の圧力室6にインクを供
給するためインク供給部であるリザーバ8を構成するこ
とになる凹部14とを有する。
【0021】本発明の実施例に示すインクジェットヘッ
ドの基板1は単結晶シリコンを異方性エッチングにて形
成されている。異方性エッチングとはエッチング速度が
エッチング方向により異なることを利用してなされるエ
ッチングである。本実施例では単結晶シリコン(10
0)面のエッチング速度が(111)面に比較して約4
0倍以上速いことを利用して、前述のノズル溝11、凹
部12、細溝13、凹部14を形成している。この内ノ
ズル溝11、細溝13はそれぞれエッチング速度が遅い
(111)面からなるV字状の溝となっている。即ち、
ノズル溝11、細溝13の断面形状を三角形に構成して
ある。ノズル溝11の幅は60μm、細溝13は3本の
流路を並列に構成してありその幅は55μmである。ま
た、凹部12及び14は底面が(100)面で側面が
(111)面からなる台形状の溝となっている。凹部1
2及び14の溝深さはエッチング時間を調整することに
より決められる。一方V字状の溝となっているノズル溝
11、細溝13はエッチング速度の遅い(111)面の
みからなるのでその深さはエッチング時間に寄らず溝幅
のみにより決まる。
【0022】これらノズル溝11、細溝13はインク流
路の内で吐出インクの量や速度等の特性に対して敏感な
部位であり、最も高い加工精度が要求される。本発明の
実施例では、これらの高い加工精度が要求される部位を
エッチング速度が遅い面を用いて構成し、異方性エッチ
ングにより加工することにより、一度に異なる寸法の流
路を高精度で得ることを可能にしている。従って、基板
1の材料として単結晶材料、特に単結晶Siを適用する
ことにより高い寸法精度を有する基板1を容易に得るこ
とが可能である。
【0023】図1において、17は共通電極であり、A
l等の金属をスパッタしてシンタリング(熱拡散)する
ことにより付設されており基板1との導通が確保されて
いる。これは、半導体材料よりなる基板1とオーミック
コンタクトを取るためである。
【0024】19は第1の基板1の溝形成面の反対側の
裏面に形成された酸化膜である。酸化膜19は等方性エ
ッチングにより、基板1の振動板5の圧力室6とは反対
側の面には除去されている。9は除去された部分で、イ
ンクジェットヘッド10を組み立てた後は気体層となる
部分である。
【0025】第1の基板1の下面に接合される下側の第
2の基板2は基板1と同種類の材料である半導体のシリ
コン(Si)よりなる。
【0026】基板材料としてシリコンを用いることによ
り、前述のように異方性エッチングにより高精度に流路
を形成できるといった利点を有することの他にも、様々
な利点を有する。まず、シリコンは集積回路作製用に常
用される材料であり、材料が入手し易い。また、シリコ
ンはゲルマニュームによる素子よりも高温に耐える。更
に、電気的な整流性において、逆方向電流即ち飽和電流
が極めて少ない為、本発明にとっては好都合である。こ
の様に、基板材料にシリコンを用いる利点は大きい。
【0027】25は第2の基板2の基板部であり、シリ
コンの基板層である。24は基板2の絶縁体層であり、
基板層25表面に設けられた酸化膜層である。26は酸
化膜層24の表面のシリコン層である。基板2のシリコ
ン層26は回路等の機能を有する部材を形成するための
層であり、その材料であるシリコンは前述の基板層25
のシリコンとはタイプや抵抗率等の性質は必ずしも同じ
ではない。第2の基板2のシリコン層26はほう素(ボ
ロン)がドープされたp型のシリコンよりなっており、
n型の半導体である基板1の振動板部5とは半導体の型
を異ならせてある。
【0028】21、22及び23は何れも個別電極部で
あり、それぞれ第2の基板2の表面に設けられたアクチ
ュエータ電極部、リード部、電極取り出し部である。こ
れら個別電極21、22、23は、基板2のシリコン層
26をパターニングして、エッチェングすることにより
形成されてている。
【0029】個別電極取り出し部23の表面には共通電
極17と同様にAl等の金属をスパッタしてシンタリン
グ(熱拡散)することにより付設されており個別電極2
1との導通が確保されている。これは、半導体材料より
なる個別電極21とオーミックコンタクトを取るためで
ある。
【0030】第1の基板1の上面に接合される上側の第
3の基板3は、第2の基板2と同じシリコン基板を用い
ている。この第3の基板3の接合によって、ノズル孔
4、圧力室6、オリフィス7、及びリザーバ8が構成さ
れる。
【0031】インクジェットヘッド10のリザーバ8の
開口部には接続パイプ32が接続され、チューブ33を
介して図示しないインクタンクに接続されている。
【0032】次に、第1の基板1と第2の基板2及び、
第1の基板1と第3の基板3を直接接合や共晶接合等の
接合により、接合してインクジェットヘッドを組み立て
る。直接接合では1000℃程度の高温下にて接合が実
施され、純粋な基板が形成されるのに対して、共晶接合
では金等のバインダーを接合界面に介在させて接合がな
される。
【0033】接合の後に、振動板5と第2の基板2上の
個別電極21との間に形成される気体層9の厚みは、本
実施例では0.2μmとしてある。30は、気体層9を
気密封止するためのエポキシ樹脂などよりなる接着剤で
あり、封止剤である。
【0034】ノズル4、圧力室6、オリフィス7、リザ
ーバ8は連通してインク流路を構成している。
【0035】また、振動板5、空気層9、個別電極21
よりアクチュエータ部を構成している。
【0036】インク流路はカバーガラス3と第1の基板
1の接合により、アクチュエータ部は第1の基板1と第
2の基板2の接合によりそれぞれ形成される。
【0037】図2に説明されるようにインクジェットヘ
ッドを組み立てた後は、共通電極17と個別電極21の
端子部23間にFPC49により駆動回路40を接続
し、インクジェットプリンタを構成する。インク103
は、図示しないインクタンクよりインク供給部材を経て
第1の基板1の内部に供給され、リザーバ8、圧力室6
等を満たしている。そして、圧力室6のインクは、イン
クジェットヘッド10の駆動時にノズル孔4よりインク
液滴104となって吐出され、記録紙105に印刷され
る。
【0038】図4、図5及び図6はそれぞれ本発明の実
施例におけるインクジェットヘッドの側断面図を示して
いる。これらの図により本発明のインクジェットヘッド
の動作の一例を以下に説明する。
【0039】図4において、インクジェットヘッドは、
インク流路中にはインクが充填されており、インクの吐
出を行う際の待機状態にある。待機状態から、振動板5
と個別電極21に電圧を印加して電位差を生じさせる
と、振動板5と個別電極21に静電吸引力が作用して、
振動板5は個別電極21に吸引される。
【0040】図5は電圧の印加により個別電極21に吸
引された振動板5によりリザーバ8から圧力室6へ矢印
B方向にインクが供給されている状態を示している。
【0041】図6に示すように、インクが十分供給され
たタイミングを選んで、電圧の印加を止め、振動板5と
個別電極21を同電位にすると、振動板5は電界の力か
ら開放されて自らの復原力により圧力室6側に復元す
る。この時圧力室6に発生した圧力によりインク滴10
4はノズル孔4より吐出する。と同時に圧力室6のイン
クは矢印C方向にオリフィス7を通過してリザーバ8に
排出される。
【0042】この後インク流路内のインクの振動が流路
抵抗により減衰して収束し、再び図4に示す待機状態と
なり、次のインクの吐出が可能な状態となる。
【0043】吐出したインク滴104は紙面等の印刷媒
体表面に付着して浸透し、画素を形成する。複数のアク
チュエータを選択的に繰り返し制御して駆動する事によ
り画素のマトリクスを印刷媒体に印刷し、情報の印刷を
行なう。
【0044】以下に本発明インクジェットヘッドのアク
チュエータ部の構成の詳細について実施例を用いて説明
する。図7及び図8は本発明のインクジェットヘッドの
実施例の圧力室6及びアクチュエータ部の横断面図であ
る。
【0045】図7において、インクジェットヘッドは第
1の基板1と第3の基板3を接合して流路部が、第1の
基板1と第2の基板2を接合してアクチュエータ部が形
成されている。図はその流路及びアクチュエータ部の断
面を示している。図示されていないインクジェットヘッ
ドの他の部分の構成は全て前述の実施例の構成と同様で
あるのでここでは省略されている。
【0046】振動板5を含む第1の基板1はn型のシリ
コンよりなり、n型の半導体である。第1の基板1は第
2の基板2に対抗する面の振動板5の部分以外はSiO
2である酸化膜19が基板1の熱酸化により付設されて
いる。酸化膜19は基板2との接合により形成されれる
個別電極21と振動板5とに挟まれた気体層9の厚みと
同一になるような厚さに形成されている。第2の基板2
は、基板2の剛性のほとんどを担う基板部25と、Si
O2の絶縁層24と、シリコン層26をパターニングし
てエッチングして形成されている個別電極21と、シリ
コン層26とからなる。シリコン層26と個別電極21
は前述の実施例同様p型の半導体よりなる。第1の基板
1と第2の基板2とはそれぞれ、第1の基板1の酸化膜
19と第2の基板2のシリコン層26と接合されてい
て、インクジェットヘッドのアクチュエータ部を形成し
ている。これより振動板5と個別電極21は半導体より
なり、それぞれ型の異なる半導体よりなっている。
【0047】図8に示す本発明のインクジェットヘッド
の実施例は図7に示された本発明の実施例と断面構成の
みが異なり、その他の部分は全て同様である。断面構成
が図示される実施例について、前述の図7にて示された
例との差異について説明する。
【0048】本実施例において、基板1の基板2側表面
に付設さた酸化膜19aは振動板5の表面に薄く形成さ
れている。即ちアクチュエータ部として、更に薄い(約
50〜100Å程度)酸化膜が振動板5と個別電極21
の間に付設された構造となっている。酸化膜19aは酸
化膜19とは異なり酸化膜19をエッチングに剥離した
後に付与された自然酸化膜である。このように振動板5
の表面に薄い酸化膜を付与することにより振動板5の表
面を安定化して、インクジェットヘッドの特性を更に安
定化することが可能である。また、酸化膜19aが薄い
ため、本発明の作用と効果にについては、他の実施例と
同等である。
【0049】上述の図8で示した実施例同様に個別電極
21の表面に薄い参加膜を付与しても同様に半導体であ
る個別電極21の表面を安定化させてインクジェットヘ
ッドの特性を安定化させるという効果は同じである。
【0050】図9は本発明のインクジェットヘッドの実
施例の圧力室6及びアクチュエータ部の横断面図であ
る。前述の図7にて示された実施例と構成は同一であ
る。本実施例では、インク流路の圧力室6の断面形状が
異なっている。このように基板材質が異方性材料である
シリコンよりなるためにエッチングの結晶面を選択する
ことにより数種類の断面形状を有するインク流路を高精
度にエッチングにより作製することが可能である。図の
ような断面形状にインク流路を作製することにより、特
に、インク流路の配設を密に行なう場合には図7に示さ
れた実施例の流路の断面形状よりも有利であるといった
特徴を有している。即ち図9に示された断面形状の流路
の方が高密度な印刷を可能にするインクジェットヘッド
の作製には好都合である。インク流路の断面形状の違い
は、図7及び図8に示された実施例と図9に示された実
施例とではインクジェットヘッドのアクチュエータ部の
構成・作用及び効果は同一である。
【0051】さて、図9は第1の基板1の振動板5に共
通電極17を介して(−)の電位を、図面中央のアクチ
ュエータの個別電極21に(+)の電位を与えた状態を
示している。振動板5は静電吸引力によって撓んで変形
し、個別電極21に吸引されて当接して保持されてい
る。
【0052】図10は図9における矢示A部の部分拡大
図で、本発明の作用の一部を説明している。
【0053】振動板5と個別電極21が当接した振動板
5と個別電極21の界面は、振動板5がn型の半導体、
個別電極21がp型の半導体であることより、pn接合
に近いエネルギー状態が発生している。即ちこの界面に
は、拡散電位が生じて、キャリアの流れを抑制する障壁
51ができている。逆の見方をすれば、この障壁は振動
板5と個別電極21の当接によって生じたのである。障
壁51は空間電荷層もしくは、空乏層と呼ばれる一種の
絶縁層であり、その厚みは外部印加電圧や、半導体の不
純物濃度によって変化するため、この障壁51を制御す
るためにには、インクジェトヘッド製造上の半導体中の
不純物濃度を制御したり、駆動時の印加電圧の方向やそ
の大きさを制御する。
【0054】更に電位はn型である振動板5が(−)
に、p型である個別電極側が(+)になるような極性に
印加されているので障壁51の厚さは、熱平行状態にあ
る時よりも更に増加してその絶縁性を増している。
【0055】このように、振動板5と対向する個別電極
21を構成する半導体の型が異なることと、印加する電
圧の方向が半導体の型に対して逆方向であることによ
り、障壁51が、振動板5と個別電極21の当接時に発
生して、あたかも絶縁障壁の様に作用し、振動板5と個
別電極21の間で放電とそれによる熱破壊(短絡)が生
ずるのを防止している。かつ、駆動電圧を更に大きくし
た場合でもツェナー降伏もしくは電子なだれ降伏等の降
伏現象が発生するため、電流が流れて、電圧が自動的に
適正な大きさに降下し、インクジェットヘッドの駆動部
を短絡によって不可逆に破損しない。
【0056】また、この障壁51は駆動電圧を解除し
て、振動板5と個別電極21の当接を解除して離脱する
と、殆ど消滅してしまうため、電荷が残留して帯電する
ことはなく、駆動の妨げとなり、インクジェットヘッド
のインク吐出効率の低下を招くことはない。
【0057】即ち本発明の構成によれば従来の課題であ
った、厚い絶縁層を電極間に設けることなく電極間の絶
縁を確保することが可能となったのである。更に、加え
て高効率駆動を可能にしている。
【0058】本実施例においては振動板5をn型に個別
電極21をp型の半導体とし、電圧印加時の極性を振動
板5が(+)、個別電極21が(−)となるように構成
したが、本発明においては、振動板5をp型に個別電極
21をn型の半導体とし、電圧印加時の極性を振動板5
が(−)、個別電極21が(+)となるように構成して
も本発明の作用・効果は同一である。
【0059】図11は上述のインクジェットヘッド10
を搭載した本発明のインクジェット記録装置の一実施例
を示す概要図である。300は記録紙105を搬送する
プラテン、301は内部にインクを貯蔵するインクタン
クであり、インク供給チューブ306を介してインクジ
ェットヘッド10にインクを供給する。302はキャリ
ッジであり、インクジェットヘッド10を記録紙105
の搬送方向と直行する方向に移動させる。キャリッジ3
02を移動させながら、駆動回路40により適時インク
ジェットヘッド10よりインク104を吐出させること
により、記録紙105に任意の文字や画像を印刷するこ
とができる。
【0060】303はポンプであり、インクジェットヘ
ッド10のインク吐出不良時の回復動作を行ったり、イ
ンクの詰め替えを行う等の場合、キャップ304、廃イ
ンク回収チューブ308を介してインクを吸引し、排イ
ンク溜305に回収する機能を果たしている。
【0061】本発明のインクジェットヘッド10を搭載
した記録装置ではインクジェットヘッド10に前述した
構成を適用しているため、耐久性に優れている。その結
果、本発明のインクジェットヘッドを用いてパーマネン
トタイプ(インクジェットヘッドを印刷装置に固定し
て、装置全体が寿命に達するまでヘッドを交換しない
型)のインクジェット記録装置が可能となる。
【0062】パーマネントタイプのインクジェットヘッ
ドはヘッドの交換が不要であり、印刷装置の使用者は消
費したインクを補充するだけでよいのでたいへん便利で
ある。
【0063】また、本実施例では、インクジェットヘッ
ド10のみをキャリッジ302に配設したものを示す
が、これに限定されるものでものはなく、インクタンク
はキャリッジ上に配設されてもよい。
【0064】図12は上述のインクジェットヘッド10
を搭載した本発明のインクジェット記録装置の他の実施
例を示す概要図である。401はインクジェットヘッド
10と、インクタンクと、インクジェットヘッド10と
インクタンクを連通するインク供給部材とを一体に有し
ているヘッドユニットである。ヘッドユニット401は
キャリッジ302に装着されて、記録紙105の搬送方
向と直行する方向に移動させる。キャリッジ302を移
動させながら、適時インクジェットヘッド10よりイン
ク104を吐出させることにより、記録紙105に任意
の文字や画像を印刷することができる。ヘッドユニット
401はインクタンクをヘッドと一体に構成したいわゆ
るディスポーザブルタイプ(インクタンクのインクが空
になった時点でインクジェットヘッドごと交換するタイ
プ)である。
【0065】ディスポーザブルタイプのヘッドでは吸引
ポンプや回収されたインクを貯留する機構や部材が不要
であり、記録装置全体を容易に且つ小さく構成すること
が可能である。
【0066】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、駆動
により残留電荷が生じないため、常にインクをノズルよ
り吐出するに十分な駆動力が得られ、安定したインク吐
出が可能である。また、駆動部の絶縁破壊がによる機能
不良が原理的に生ぜず、これを原因としたインク吐出不
能に陥ることがない。
【0067】その結果、安定した印刷品位が確保でき、
ヘッドとしての寿命が長く、高い信頼性を有したインク
ジェットヘッドを提供することができる。
【0068】更に、本発明によれば良好な印刷品位と印
刷の信頼性を有するインクジェットヘッド及びそれを用
いた記録装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のインクジェットヘッドの分解
斜視図。
【図2】本発明の実施例のインクジェットヘッドの斜視
図。
【図3】本発明の実施例のインクジェットヘッドの側断
面図。
【図4】本発明の実施例のインクジェットヘッドの待機
時の断面拡大図。
【図5】本発明の実施例のインクジェットヘッドの動作
時の断面拡大図。
【図6】本発明の実施例のインクジェットヘッドの吐出
時断面側面図。
【図7】本発明の実施例のインクジェットヘッドの断面
側面図。
【図8】本発明の実施例のインクジェットヘッドの断面
側面図。
【図9】本発明の実施例のインクジェットヘッドの断面
拡大図。
【図10】本発明の実施例のインクジェットヘッドの断
面拡大図。
【図11】本発明の実施例のインクジェットヘッドを搭
載したプリンタの概要図。
【図12】本発明の実施例のインクジェットヘッドを搭
載したプリンタの概要図。
【符号の説明】
1・・・第1の基板 2・・・第2の基板 4・・・ノズル孔 5・・・振動板 6・・・圧力室(圧力発生部) 7・・・オリフィス(インク供給路) 8・・・リザーバ(インク供給部) 9・・・空気層 10・・・インクジェットヘッド 17・・・共通電極 19・・・絶縁層 21・・・個別電極 40・・・駆動回路

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノズルと、該ノズルに連通するインク流
    路と、該流路の一部に設けられた振動板と、該振動板に
    対向して設けられた個別電極と、前記振動板と前記個別
    電極間に設けられた気体層とを有し、前記個別電極と前
    記振動板の間に駆動電圧を印加し、前記振動板を静電気
    力により変形させ、前記ノズルからインク液滴を吐出す
    るインクジェットヘッドにおいて、 前記個別電極及び前記振動板が半導体材料よりなり、前
    記個別電極と前記振動板とは半導体の型が異なることを
    特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のインクジェットヘッドの
    駆動方法において、前記個別電極と前記振動板とに印加
    する駆動電圧の極性が、前記個別電極がn型半導体より
    なる時には前記個別電極が(+)、前記個別電極がp型
    半導体よりなる時には前記個別電極が(−)であること
    を特徴とするインクジェットヘッドの駆動方法。
  3. 【請求項3】 前記個別電極及び前記振動板がシリコン
    からなることを特徴とする請求項1記載のインクジェッ
    トヘッド。
  4. 【請求項4】 前記振動板と前記個別電極間に絶縁体が
    付設されていることを特徴とする請求項1記載のインク
    ジェトヘッド。
JP21508395A 1995-08-23 1995-08-23 インクジェットヘッド及びその駆動方法 Pending JPH0957965A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21508395A JPH0957965A (ja) 1995-08-23 1995-08-23 インクジェットヘッド及びその駆動方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21508395A JPH0957965A (ja) 1995-08-23 1995-08-23 インクジェットヘッド及びその駆動方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0957965A true JPH0957965A (ja) 1997-03-04

Family

ID=16666475

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21508395A Pending JPH0957965A (ja) 1995-08-23 1995-08-23 インクジェットヘッド及びその駆動方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0957965A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0629502B1 (en) Inkjet recording apparatus
US8052249B2 (en) Liquid discharge head, liquid supply cartridge, and liquid jet apparatus having electrostatic actuator formed by a semiconductor manufacturing process
US6213590B1 (en) Inkjet head for reducing pressure interference between ink supply passages
US4638337A (en) Thermal ink jet printhead
JP3511624B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2001071504A (ja) インクジェットのプリントヘッドを含むプリント装置、プリントヘッドの形成方法およびプリント方法
JP2001071502A (ja) インクジェットのプリントヘッドを備えるプリント装置およびその製造方法、並びにプリント方法
JP2001071503A (ja) インクジェットのプリントヘッドを備えるプリント装置およびその製造方法、並びにプリント方法
US6168263B1 (en) Ink jet recording apparatus
JPH0957965A (ja) インクジェットヘッド及びその駆動方法
KR100336257B1 (ko) 잉크젯트인쇄장치및그구동방법
KR20080098158A (ko) 잉크 젯 프린트 헤드
JPH0957966A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JPH03288649A (ja) 液体噴射ヘッド
JP2002046282A (ja) 液滴吐出ヘッド及びマイクロアクチュエータ
JP3564864B2 (ja) インクジェットヘッドの製造方法
JP3520864B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2009269331A (ja) 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法
JP2002248756A (ja) インクジェットヘッド
JP4243341B2 (ja) インクジェットヘッド
JP2001010036A (ja) インクジェットヘッド及びその製造方法並びにインクジェット記録装置
JP4042235B2 (ja) 静電型アクチュエータ及びインクジェットヘッド
JP2003236797A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、マイクロアクチュエータ、マイクロポンプ、光学デバイス
JP2002254630A (ja) インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置
JPH0920008A (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法およびそれを搭載した印刷装置