JPH0955159A - 含浸型陰極構体、これに用いられる陰極基体、これを用いた電子銃構体、及び電子管 - Google Patents
含浸型陰極構体、これに用いられる陰極基体、これを用いた電子銃構体、及び電子管Info
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Abstract
衝撃性を有し、良好な電子放射特性を有する含浸型陰極
構体を得る。 【解決手段】 大粒径低空孔率領域と、大粒径低空孔率
領域の電子放射面側に設けられ、大粒径低空孔率領域の
平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ大粒径低空
孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する小粒径高
空孔率領域とを含み、電子放射物質が含浸されてなる含
浸型陰極基体を用いた含浸型陰極構体。
Description
ライストロン、進行波管、及びジャイロトロン等の電子
管に関する。
子管は、高出力化の傾向がある。特に核融合や粒子加速
器のためのプラズマ装置に使用するものについては、そ
の出力がメガワット級になり、ますます高出力化が要求
されている。また、走査線を増加させ解像度を改善した
カラー受像管や、超高周波対応受像管の開発が要請され
ており、その輝度の向上が要求されている。また、投写
管等においても輝度の向上が要求されている。これらの
要求にこたえるためには、陰極からの放出電流密度を、
従来に対し大幅に増大させる必要がある。
れるカラー受像管において、陽極電圧以外にコンバージ
ェンス電極や、フォーカス電極等に供給される高電圧が
必要とされるものがある。この場合、カラー受像管のス
テム部より高電圧を供給すると、耐電圧の面から問題を
生ずるので、カラー受像管内に電子銃と共に分圧用の抵
抗器を電子管内蔵用抵抗器として組み込み、この抵抗器
によって陽極電圧を分圧してそれぞれの電極に高電圧を
供給する方式が採用されている。
まり、UHF帯からミリ波領域にわたる広い範囲の増幅
管、発振管として開発されてきた。1960年代には衛
星通信地球局用のクライストロンの開発が始められたほ
か、1970年代にはいると、クライストロンの高効率
動作に関する研究が進み、UHF−TV放送用を初めと
して効率50%を越える製品が実用化された。最近で
は、効率50〜70%で連続波出力1MW、パルス出力
150MWの超大電力クライストロンが開発され、超大
型の加速器や核融合研究のためのプラズマ加熱装置に使
用されている。クライストロンは高効率で大電力を発生
することができることから、特に大電力分野で今後とも
広く利用されると考えられる。
後完成された。進行波管は、使用する遅波回路の種類に
よって、らせん形、空胴結合形、交差指形、はしご形な
ど多くの種類がある。らせん型進行波管は、帯域が広
く、マイクロ波中継回線をはじめ、航空機や人口衛星に
搭載する送信管として広範囲に用いられてきた。空胴結
合型進行波管は、らせんの耐電力容量を補う目的で開発
され、主として、衛星通信地球局用の送信管として実用
化された。進行波管の効率は、数〜20%程度が普通で
あるが、電位低下形のコレクタを採用することにより、
衛星搭載用の進行波管など50%のものが開発されてい
る。
イクロンメーザ作用を動作原理とする電子管で、数10
〜数100GHz帯の大電力ミリ波を発生する高周波大
電力源として利用されている。
べて大きな放射電流密度が得られることから、これまで
上述のような陰極線管、進行波管、クライストロン、及
びジャイロトロン等の電子管に使用されてきた。含浸型
陰極の使用は、カラー受像管の分野ではHD−TV管、
ED−TV管等の特種用途のみに限られていたが、近年
大型CRT用等の要請が高まり、その採用が急速に拡大
されている。
に用いられる含浸型陰極構体では、その陰極基体は、例
えば空孔率15〜20%の多孔質のタングステン(W)
からなり、この陰極基体の空孔部に、例えば酸化バリウ
ム、(BaO)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化ア
ルミニウム(Al2 O3 )等の電子放射物質が含浸され
ている。さらに、この陰極基体の電子放射面上に、スパ
ッタ法などの薄膜形成手段によりイリジウム(Ir)薄
膜層がさらに設けられたイリジウムコートの含浸型陰極
構体が使用されている。
後のエージング工程により、陰極構体内に含浸されてい
る例えばバリウム(Ba)あるいは酸素(O2 )等を拡
散させることにより、陰極構体表面の電子放射面上に電
気2重層が形成され、高放射電流が可能となる。
は、対象とする電子管の使用時の印加電圧により種々設
定されるが、低電圧動作で使用される電子管、例えば1
0kV程度の印加電圧で使用される電子管においては、
50時間程度で、電気2重層が形成され得る。
動作で使用される電子管例えば70kVの印加電圧で使
用される超大電力クライストロンの場合では、取り出す
電流が、例えばそのパルス幅が5μsで、1秒間の繰り
返しが500の場合は、数十時間の比較的短時間のエー
ジングで十分な電流密度の電流が取り出せるが、取り出
す電流が直流の場合、同じ電流密度の電流を取り出すに
は、500時間以上のエージングが必要になる。
使用される電子管の場合には、エージングによる電気2
重層の形成と同時に、コレクタから放出された大量のガ
スが放射電子との衝突のためにイオン化される。更に、
このイオンが、高電圧により電子放射面に衝突し、電気
2重層を破壊する。ここで、イオン化されたガスは、高
エネルギーを有しており、電子放射面に衝突するガスの
量が増えるほど、電子放射面の電気2重層は破壊され得
る。このため、高電圧動作で使用される電子管では、長
時間のエージングが必要となってしまう。
力の目的からコンパクトな構造に形成されている。その
ため、陰極線管用含浸型陰極構体は、必然的に、その厚
さ及び直径の大きさが制限され、電子放射物質を十分な
量含浸することが困難である。一般的に、含浸型陰極の
寿命特性は、電子放射物質の主要成分であるバリウムの
蒸発量に支配されている。蒸発によりバリウムが消耗す
ると、陰極基体の単原子被覆密度が減少し、仕事関数の
増加にともなって電子放射能力が減少し、その結果、要
求される長寿命特性が得られない。これは実用上大きな
問題である。これらの観点から低温動作可能な含浸型陰
極構体が望まれている。
年、スカンジウム(Sc)系含浸型陰極構体が注目され
ている。上記スカンジウム系含浸型陰極構体は、メタル
コートの含浸型陰極構体に比較して低デューティのパル
スエミッション特性が遥かに優れており、低温動作が可
能であると期待されている。
ンジウム系含浸型陰極構体においても、その陰極は、高
周波数条件下でイオン衝撃を受けると、消失したScの
回復が遅く、低温動作性が低下するという欠点があり、
実用性に不十分な点が多かった。
物を被着するタイプでは、陰極製造工程中に表面の変質
が生じる。また、長時間作動させると、スカンジウムが
消耗し、電子放射特性の劣化をきたす。また、イオン衝
撃で基体表面が局部的に破壊され、その部分の仕事関数
が高くなり、電子放射分布が不均一となる。
る表面解析の結果、スカンジウム系含浸型陰極は、イオ
ン衝撃を受けると、表面のスカンジウムが消失し、電子
放射の良好な濃度に回復するまでに時間を要することが
判明した。
のようなものがあげられる。例えば特開昭56−528
35号及び特開昭58−133739号には、多孔質基
体上に、この多孔質基体よりも空孔率の低い例えば17
ないし30%の空孔率を有する被覆層を設けた陰極基体
が開示されている。しかしながら、このような陰極基体
では、被覆層の空孔率を低くしているため、電子放射物
資の蒸発が低く抑えられ、陰極の寿命を延ばすことは可
能である。しかしながら、高電流密度で動作する電子管
のように、イオン衝撃の強い動作条件下では、陰極基体
表面の構造の回復が遅く、良好な結果が得られない。ま
た、特開昭58−177484号には、スカンジウムと
を含有する陰極基体が開示されているが、イオン衝撃後
のスカンジウムの回復が十分ではない。このため、低温
動作性が不十分である。特開昭59−79934号に
は、高融点金属層上に、高融点金属とスカンジウムを含
有する層を形成した陰極基体が開示されているが、イオ
ン衝撃後のスカンジウムの回復が十分ではなく、低温動
作性が不十分である。
ステンからなる多孔質基体上に0.1ないし2μmの微
細なタングステン、スカンジウム酸化物及び電子放射物
質を含む均一層が形成された陰極基体が開示されてい
る。しかしながら、この陰極基体は、スカンジウムを含
んでいるために、低温動作は可能である。しかしなが
ら、ここでも、イオン衝撃の強い動作条件下で用いられ
ると、陰極基体表面の構造の回復が遅く、良好な結果が
得られない。特開昭61−91821号には、多孔質基
体上に、タングステンとスカンジウム酸化物とからなる
被覆層を設けた陰極基体が開示されている。この陰極基
体は、スカンジウムを含んでいるために、低温動作は可
能である。しかしながら、ここでも、イオン衝撃の強い
動作条件下で用いられると、陰極基体表面の構造の回復
が遅く、良好な結果が得られない。特開昭64−218
43号には、例えば20ないし150μmの大きな平均
粉末粒度を有する第1成型体上にその第1成型体よりも
小さな平均粉末粒度を有する頭頂が設けられた陰極構体
が開示されている。しかしながら、このような陰極構体
は、電子放射物質の蒸発が低く抑えられ、陰極寿命を延
ばすことは可能であるけれども、イオン衝撃の強い動作
条件下で用いられると、陰極基体表面の構造の回復が遅
く、良好な結果が得られない。
高融点金属からなる多孔質基体上にスカンジウム化合物
またはスカンジウム合金層を設けた陰極基体が開示され
ている。特開平3−105827号及び特開平3−25
824号には、多孔質基体上に、タングステン及びスカ
ンジウム酸化物混合層と、スカンジウム供給源例えばS
cと、Re、Ni、Os、Ru、Pt、W、Ta、Mo
との組合せを含む層との積層体、あるいはそれらの混合
物からなる層を形成した陰極基体が開示されている。ま
た、特開平3−173034号には、高融点金属多孔質
基体の上層にバリウム及びスカンジウムを含む層を有す
る陰極基体が開示されている。特開昭5−266786
には、高融点金属多孔質基体上に、例えばタングステン
層、スカンジウム層、レニウム層等の高融点金属を含む
積層体が形成された陰極基体が開示されている。しかし
ながら、これらの陰極基体では、イオン衝撃後のスカン
ジウムの回復が十分ではなく、低温動作性が不十分であ
り、十分な耐イオン衝撃性を得るには至っていない。
含浸型陰極構体においては、高電圧、高周波数下で十分
な耐イオン衝撃性が得られなかった。このため、イオン
衝撃による含浸型陰極構体の電子放出特性の劣化を十分
に防止できず、これを用いた電子管の高出力化及び受像
管の輝度の向上の妨げとなっていた。
浸型陰極構体においても、その陰極は、高周波数条件下
でイオン衝撃を受けると、消失したScの回復が遅く、
低温動作性が低下するという欠点があり、実用的に不十
分な点が多かった。
に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、高電圧、
高周波数条件下でも十分な耐イオン衝撃性を有し、良好
な電子放射特性を有する、高性能、長寿命の改良された
含浸型陰極基体を提供することにある。
陰極基体を用いて、優れた含浸型陰極構体を得ることに
ある。本発明の第3の目的は、改良された含浸型陰極基
体を用いて、優れた電子銃構体を得ることにある。
陰極基体を用いて、優れた電子管を得ることにある。本
発明の第5の目的は、本発明にかかる含浸型陰極基体の
好ましい製造方法を提供することにある。
径低空孔率領域と、該大粒径低空孔率領域の電子放射面
側に設けられ、該大粒径低空孔率領域の平均粒径よりも
小さい平均粒径を有し、かつ該大粒径低空孔率領域の空
孔率よりも大きい空孔率を有する小粒径高空孔率領域と
を含み、電子放射物質が含浸されてなる含浸型陰極基体
を提供する。
浸型陰極基体を製造するための方法であって、大粒径低
空孔率となる多孔質焼結体を形成する工程、該多孔質焼
結体の電子放射面側に、該大粒径低空孔率領域の平均粒
径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該大粒径低空孔率
領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する小粒径高空孔
率領域を形成し、多孔質陰極部材を得る工程、該多孔質
部材を切断することにより、多孔質陰極基体を形成する
工程、及び該多孔質陰極基体に電子放射物質を含浸する
工程を具備することを特徴とする含浸型陰極の製造方法
を提供する。
浸型陰極基体を製造するための方法であって、大粒径低
空孔率となる多孔質焼結体を形成する工程、該多孔質焼
結体の電子放射面側に、該大粒径低空孔率領域の平均粒
径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該大粒径低空孔率
領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する小粒径高空孔
率領域を形成し、多孔質陰極部材を得る工程、該多孔質
陰極部材の電子放射面上に、1200℃以下の融点を有
する金属及び合成樹脂からなる群から選択される充填材
を配置する工程、前記充填材が配置された多孔質陰極部
材を、該充填材が溶融し得る温度で加熱し、該多孔質陰
極部材内に該充填材を含浸せしめる工程、前記多孔質陰
極部材を所定の大きさに切断または打ち抜きし、多孔質
陰極基体を形成する工程、該多孔質陰極基体をタンブリ
ング処理に供し、バリ及び汚染物を除去する工程、該タ
ンブリング処理された多孔質陰極基体から前記充填材を
除去する工程、及び充填材を除去した該多孔質陰極基体
に、電子放射物質を含浸する工程を具備することを特徴
とする含浸型陰極基体の製造方法を提供する。
浸型陰極基体を製造するための方法であって、大粒径低
空孔率領域となる高融点金属多孔質焼結体を形成する工
程、該大粒径低空孔率領域の平均粒径よりも小さい平均
粒径を有する高融点金属粉末と、1200℃以下の融点
を有する金属及び合成樹脂からなる群からなる充填剤か
ら選択される少なくとも1種とを含むペーストを用意す
る工程、該ペーストを、前記大粒径低空孔率領域となる
高融点金属多孔質焼結体の電子放射面側に塗布する工
程、該ペーストが塗布された大粒径低空孔率領域の高融
点金属多孔質焼結体を、前記充填剤が溶融し得る温度に
加熱し、該高融点金属多孔質焼結体上に、該大粒径低空
孔率領域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ
該大粒径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率を有
する小粒径高空孔率領域を形成し、多孔質陰極部材を得
る工程、該多孔質陰極基体をタンブリング処理に供し、
バリ及び汚染物を除去する工程、該タンブリング処理さ
れた多孔質陰極基体から前記充填材を除去する工程、及
び充填材を除去した該多孔質陰極基体に、電子放射物質
を含浸する工程を具備することを特徴とする含浸型陰極
基体の製造方法を提供する。
浸型陰極基体を有することを特徴とする含浸型陰極構体
を提供する。本発明は、第6に、第1の発明にかかる含
浸型陰極基体を有する含浸型陰極構体を設けた電子銃を
具備することを特徴とする電子銃構体を提供する。本発
明は、第7に、第1の発明にかかる含浸型陰極基体を有
する含浸型陰極構体を設けた電子銃を用いた電子銃構体
を具備する電子管を提供する。
下で十分な耐イオン衝撃性を得るために、含浸型陰極構
体の電子放射面における電気2重層の形成速度を、電気
2重層がイオン衝撃により破壊または飛散される速度よ
りも早くすることを試みた。
は、基体金属粒子の表面に沿って、基体金属内部から電
子放射面に拡散していき、電子放射面で電気2重層を形
成する。
気2重層を形成するまでの時間を短縮するためには、拡
散距離を短縮することが考えられる。拡散距離を短縮す
る方法として、基体金属の粒径を小さくすることが効果
的である。基体金属を形成している例えばWの粒径は、
一般に3ないし5μmの平均粒径を有する。このW粒子
を焼結し、その粒子間に0.3μm程度の空孔部が多数
形成される。電子放射物質は、この空孔部に拡散し、こ
れらを通って放射面へ到達して電気2重層を形成する。
電気2重層がイオン衝撃により破壊された場合には、新
たな電子放射物質がこの空孔部から拡散され放射面全体
に供給されなければならない。この場合、電子放射物質
が通る空孔部間の距離が短ければ、拡散が促進され、イ
オン衝撃で電気2重層が破壊されても、直ちに新しい電
子放射物質が補われ、十分な電子放出特性が得られ、エ
ミッションが回復する。
ので、その第1の発明は、大粒径低空孔率領域と、該大
粒径低空孔率領域の電子放射面側に設けられ、該大粒径
低空孔率領域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、
かつ該大粒径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率
を有する小粒径高空孔率領域とを含み、電子放射物質が
含浸されてなる含浸型陰極基体を提供する。
含浸型陰極基体は、第1の平均粒径を有する焼結された
粒子により構成され、かつ第1の空孔率を有する第1の
領域と、その電子放射面の少なくとも一部に設けられ
た、第1の平均粒径よりも小さい第2の平均粒径及び該
第1の空孔率よりも大きい第2の空孔率を有する第2の
領域とから実質的に構成される少なくとも二層の構造を
含む。なお、ここでは、この第1の領域を大粒径低空孔
率領域、第2の領域を小粒径高空孔率領域という。
高融点金属例えばW、モリブデン(Mo)、及びレニウ
ム(Re)等の高融点金属粉末を焼結して得られる焼結
体を含むものである。
する粒子の平均粒径をいう。電子放射物質は、多孔質陰
極構体全体に含浸されていても良いし、あるいはその一
部を除く領域例えば電子放射面近傍を除く領域に含浸さ
れていてもよい。
ば、大粒径低空孔率領域は、好ましくは、その平均粒径
が2ないし10μmであり、かつその空孔率は15ない
し25%である。
第1の好ましい態様にかかる含浸型陰極基体は、2ない
し10μmの平均粒径を有する焼結された粒子により構
成され、かつ15ないし25%の空孔率を有する大粒径
低空孔率領域と、その電子放射面の少なくとも一部に設
けられ、該大粒径低空孔率領域の平均粒径よりも小さい
平均粒径及び該大粒径低空孔率領域空孔率よりも大きい
空孔率を有する小粒径高空孔率領域とから実質的に構成
される少なくとも二層の構造を含む。
よれば、小粒径高空孔率領域は、好ましくは、その平均
粒径が0.1μm以上2μm未満であり、かつその空孔
率が25ないし40%である。
の第2の好ましい態様にかかる含浸型陰極基体は、大粒
径低空孔率領域と、その電子放射面の少なくとも一部に
設けられ、その焼結体を構成する粒子の平均粒径が0.
1μm以上2μm未満であり、かつその空孔率が25な
いし40%である小粒径高空孔率領域とから実質的に構
成される少なくとも二層の構造を含む。
によれば、小粒径高空孔率領域は、好ましくは、その厚
さが30μm以下である。さらに詳しく述べると、この
第1の発明の第3の好ましい態様にかかる含浸型陰極基
体は、大粒径低空孔率領域と、その電子放射面の少なく
とも一部に設けられ、その厚さが30μm以下である小
粒径高空孔率領域とから実質的に構成される少なくとも
二層の構造を含む。
によれば、小粒径高空孔率領域は、好ましくは、大粒径
低空孔率領域の電子放射面側に、線状または点状に存在
している。
第4の好ましい態様にかかる含浸型陰極基体は、大粒径
低空孔率領域と、その電子放射面側に、線状または点状
に存在する小粒径高空孔率領域とから実質的に構成され
る構造を含む。
によれば、大粒径低空孔率領域から前記小粒径高空孔率
領域にかけて、その平均粒径及び空孔率は、好ましく
は、段階的に変化する。
第5の好ましい態様にかかる含浸型陰極基体は、その平
均粒径が、その厚さ方向において、電子放射面側に近付
くほど減少し、かつその空孔率がその電子放射面側に近
付くほど増加するように段階的に変化する構成を実質的
に有する。
ば、好ましくは、その電子放射面上に、イリジウム(I
r)、オスミウム(Os)、レニウム(Re)、ルテニ
ウム(Ru)、ロジウム(Rh)、及びスカンジウム
(Sc)からなる群から選択される少なくとも1種の金
属を含む層がさらに形成される。
6の好ましい態様にかかる含浸型陰極基体は、大粒径低
空孔率領域と、その電子放射面側に設けられた小粒径高
空孔率領域と、この小粒径高空孔率領域の電子放射面側
に設けられたイリジウム、オスミウム、レニウム、ルテ
ニウム、ロジウム、及びスカンジウムからなる群から選
択される少なくとも1種の金属を含む層とから実質的に
構成される少なくとも三層の積層構造を含む。
孔質陰極基体全体に含浸されていても良いし、その一部
を除く領域例えば電子放射面近傍を除く領域に含浸され
ていてもよいし、あるいは大粒径低空孔率領域のみに含
浸されていても良い。
陰極基体を製造するための好ましい方法の1つであっ
て、(1)大粒径低空孔率となる多孔質焼結体を形成す
る工程、(2)該多孔質焼結体の電子放射面側に、該大
粒径低空孔率領域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有
し、かつ該大粒径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空
孔率を有する小粒径高空孔率領域を形成し、多孔質陰極
部材を得る工程、(3)該多孔質部材を切断または打ち
抜き加工することにより、多孔質陰極基体を形成する工
程、及び(4)該多孔質陰極基体に電子放射物質を含浸
する工程を具備することを特徴とする含浸型陰極基体の
製造方法が提供される。
法、スピンコート法、スプレー法、電着法、及び溶射法
から選択される方法を用いて形成される。第3の発明
は、第2の発明にかかる方法の改良例の1つであって、
(1)大粒径低空孔率の多孔質焼結体を形成する工程、
(2)多孔質焼結体の電子放射面側に、該大粒径低空孔
率領域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該
大粒径低空孔率領域の空孔率よりも大きいを有する小粒
径高空孔率領域を形成し、多孔質陰極部材を得る工程、
(3)多孔質陰極部材の電子放射面側に、1200℃以
下の融点を有する金属及び合成樹脂からなる群から選択
される充填材を配置する工程、(4)充填材を有する形
成体を、充填材が溶融し得る温度で加熱処理し、該充填
材のみを溶融する工程、(5)多孔質焼結体を所定の大
きさに切断または打ち抜き加工し、多孔質陰極基体を形
成する工程、多孔質陰極基体をタンブリング処理に供
し、バリ及び汚染物を除去する工程、(6)タンブリン
グ処理された多孔質陰極基体から充填材を除去する工
程、及び(7)充填材が除去された多孔質陰極基体に、
電子放射物質を含浸する工程を具備することを特徴とす
る含浸型陰極基体の製造方法が提供される。
形状の多孔質陰極基体に切断または打ち抜き加工する前
の多孔質陰極基体のことをいう。第4の発明によれば、
第2の発明にかかる方法の改良例の他の1つであって、
(1)大粒径低空孔率領域となる高融点金属多孔質焼結
体を形成する工程、(2)該多孔質焼結体の電子放射面
側に、大粒径低空孔率領域の平均粒径より小さい平均粒
径を有する高融点金属粉末と、1200℃以下の融点を
有する金属及び合成樹脂からなる群から選択される少な
くとも1種の充填材とを含有するペーストを塗布し、前
記充填材が溶融し得る温度で焼成し、小粒径高空孔率領
域となる多孔質焼結体を形成するとともに、該多孔質焼
結体内に該充填材を溶融せしめ、多孔質陰極部材を形成
する工程、(3)多孔質焼結体を、所定の大きさに切断
または打ち抜き加工し、多孔質陰極基体を形成する工
程、(4)多孔質陰極基体をタンブリング処理に供し、
バリ及び汚染物を除去する工程、(5)タンブリング処
理された多孔質陰極基体から充填材を除去する工程、及
び(6)多孔質陰極基体に、電子放射物質を含浸する工
程を具備することを特徴とする含浸型陰極基体の製造方
法が提供される。
基体を用いて含浸型陰極構体を形成することが可能であ
る。また、この含浸型陰極構体を用いて電子管を形成す
ることもできる。
陰極基体を用いた例えば陰極線管用多孔質陰極構体、ク
ライストロン用多孔質陰極構体、進行波管用多孔質陰極
構体、及びジャイロトロン用多孔質陰極構体等に使用さ
れる多孔質陰極構体を提供する。
の含浸型陰極構体は、電子放射物質が含浸された、高融
点金属粉末の焼結体からなる多孔質陰極基体、該多孔質
陰極基体を支持する支持部材、及び該支持部材内に設け
られたヒータを具備する多孔質陰極構体であって、前記
多孔質陰極基体は、第1の平均粒径を有する焼結された
粒子により構成され、かつ第1の空孔率を有する大粒径
低空孔率領域と、その電子放射面の少なくとも一部に設
けられた、第1の平均粒径よりも小さい第2の平均粒径
及び該第1の空孔率よりも大きい第2の空孔率を有する
小粒径高空孔率領域とから実質的に構成される。
含浸型陰極構体は、電子放射物質が含浸された、高融点
金属粉末の焼結体からなる多孔質陰極基体、該多孔質陰
極基体を支持する支持部材、及び該支持部材内に設けら
れたヒータを具備する陰極構体であって、前記多孔質陰
極基体は、2ないし10μmの平均粒径を有する焼結さ
れた粒子により構成され、かつ15ないし25%の空孔
率を有する大粒径低空孔率領域と、その電子放射面の少
なくとも一部に設けられ、該大粒径低空孔率領域の平均
粒径よりも小さい平均粒径及び該大粒径低空孔率領域空
孔率よりも大きい空孔率を有する小粒径高空孔率領域と
から実質的に構成される少なくとも二層の構造を有す
る。
含浸型陰極構体は、電子放射物質が含浸された、高融点
金属粉末の多孔質焼結体からなる陰極基体、この陰極基
体を支持する支持部材、及びこの支持部材内に設けられ
たヒータを具備する多孔質陰極構体であって、この多孔
質陰極基体は、大粒径低空孔率領域と、その電子放射面
の少なくとも一部に設けられ、その焼結体を構成する粒
子の平均粒径が0.1μm以上2.0μm未満であり、
かつその空孔率が25ないし40%である小粒径高空孔
率領域とから実質的になる少なくとも二層の構造を含
む。
含浸型陰極構体は、大粒径低空孔率領域と、その電子放
射面の少なくとも一部に設けられ、その厚さが30μm
以下である小粒径高空孔率領域とから実質的に構成され
る少なくとも二層の構造を含む多孔質陰極基体と、この
陰極基体を支持する支持部材、及びこの支持部材内に設
けられたヒータを具備する。
含浸型陰極構体は、大粒径低空孔率領域と、その電子放
射面側に、線状または点状に存在する小粒径高空孔率領
域とから実質的に構成される少なくとも二層の構造を含
む多孔質陰極基体と、この多孔質陰極基体を支持する支
持部材、及びこの支持部材内に設けられたヒータを具備
する。
含浸型陰極構体は、その平均粒径が、その厚さ方向にお
いて、電子放射面側に近付くほど減少し、かつその空孔
率がその電子放射面側に近付くほど増加するように段階
的に変化する構成を実質的に有する多孔質陰極基体と、
この多孔質陰極基体を支持する支持部材、及びこの支持
部材内に設けられたヒータを具備する。
含浸型陰極構体は、大粒径低空孔率領域と、その電子放
射面側に設けられた小粒径高空孔率領域と、この小粒径
高空孔率領域の電子放射面側に設けられたイリジウム、
オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、及びス
カンジウムからなる群から選択される少なくとも1種の
金属を含む層とから実質的に構成される少なくとも三層
の積層構造を含む多孔質陰極基体と、この多孔質陰極基
体を支持する支持部材、及びこの支持部材内に設けられ
たヒータを具備する。
である場合、例えば筒状の陰極スリーブと、該陰極スリ
ーブの一端部の内面に固定された含浸型陰極基体固定部
材と、該含浸型陰極基体固定部材に固定された第1の発
明にかかる含浸型陰極基体と、前記陰極スリーブを包囲
するように、その外側に同軸的に配置された筒状ホルダ
ーと、一端部が該陰極スリーブの外側に固定され、他端
部が該筒状ホルダーの内側に固定された複数のストラッ
プと、該陰極スリーブの内側に配置されたヒーターとを
有する。
イストロン用である場合、例えば第1の発明にかかる含
浸型陰極基体と、該含浸型陰極基体を支持する支持筒
と、該支持筒に内蔵され、かつ絶縁物に埋め込まれてな
るヒーターとを有する。
陰極基体を用いて例えば陰極線管用電子銃構体、クライ
ストロン用電子銃構体、進行波管用電子銃構体、及びジ
ャイロトロン用電子銃構体等の電子銃構体を提供するも
のである。
用電子銃構体である場合には、例えば第5の発明にかか
る含浸型陰極構体と、該含浸型陰極構体の電子放射面側
に同軸的に配置された複数のグリット電極と、前記複数
のグリット電極の前面に、同軸的に配置されたコンバー
ジェンス電極とを有する電子銃と、前記電子銃に接続さ
れる分圧用の抵抗器とを有する。
子銃構体の一例として、電子管内蔵抵抗器が組み込まれ
たカラー受像管を表わす概略断面図を示す。図1におい
て、61は真空容器であり、この真空容器61に形成さ
れたネック部61aの内部には、電子銃構体Aが配置さ
れている。この電子銃構体Aには、3個のカソードに対
し、共通に第1グリッド電極G1、第2グリッドG2、
第3グリッドG3、第4グリッドG4、第5グリッドG
5、第6グリッドG6、第7グリッドG7、及び第8グ
リッドG8が順次同軸上に配置されている。グリッド電
極G8の後段には、コンバージェンス電極62が配置さ
れている。
G5、G6、G7、及びG8は、相互に所定位置関係を
維持して、ビードガラス3によって、機械的に保持され
ている。また、第3グリッド電極G3と第5グリッド電
極G5とは、導線64によって電気的に接続されてお
り、さらに、コンバージェンス電極62は、第8グリッ
ド電極G8と溶接により、接続されている。このような
電子銃構体Aには、電子管内蔵用抵抗器65が取り付け
られている。この抵抗器65は、絶縁基板65Aを備え
ている。この絶縁基板65Aには、所定パターンの抵抗
体層(図示せず)及びこの抵抗体層に接続されている電
極層が形成されている。この抵抗器65の絶縁基板65
Aには、電極層に接続される高圧の電極取り出し用の端
子66a、66b、66cが設けられ、これら各端子6
6a、66b、66cは第7グリッド電極G7、第6グ
リッド電極G6、第5グリッド電極G5に接続されてい
る。また、抵抗器65の絶縁基板65Aに設けられて電
極層に接続される端子67は、コンバージェンス電極6
2と接続され、さらに絶縁基板65Aに設けられて電極
層に接続されたアース側の取り出し端子68はアース電
極ピン69に接続されている。
ル部61bの内壁には、前記ネック部61aの内壁まで
伸びるグラファイト導電膜70が被着されており、ファ
ンネル部61bに設けられた高電圧供給ボタン(図示し
ない陽極ボタン)を通じて陽極電圧が供給される。
導電ばね79が設けられており、導電ばね79がグラフ
ァイト導電膜70と接触することにより、コンバージェ
ンス電極62に第8グリッド電極G8、及び電子管内蔵
用抵抗器65のコンバージェンス端子67に陽極電圧が
供給され、高圧の66a,66b,66cに発生する分
圧電圧が第7グリッド電極G7、第6グリッド電極G
6、及び第5グリッド電極G5に供給される。
トロン用電子銃構体である場合には、第5の発明にかか
る含浸型陰極構体と、該含浸型陰極構体を内蔵する陰極
部と、該含浸型陰極構体の電子放射面に同軸的に配置さ
れた陽極部を有する。
ン用電子銃構体の一例の主要部を説明するための概略断
面図を示す。図2に示すように、クライストロン用電子
銃構体の一例の要部では、陰極構体81を配置する。陰
極部181と、絶縁部93は、ほぼ軸方向に沿ってテー
パ状に嵌合する薄肉金属リングからなる溶接つば18
0,181の先端のアーク溶接封止部184により封止
されている。なお、また、絶縁部93と陽極部95は、
同じくほぼ軸方向に沿ってテーパ状に嵌合する薄肉金属
リングからなる溶接つば182,183の先端アーク溶
接封止部185により機密封止されている。なお、陽極
部95に対して電極間隔を定めながら組み立てるため
に、最後に嵌合させ、両者の溶接封止部98にて機密封
止することにより電子銃構体を組み立てている。
なりかねない電子銃構体の不具合の一つに、電極間隔の
設計寸法からのずれが挙げられる。このずれは、主に部
品精度及び組み立て精度に起因している。そこで、電極
間隔は、次のように調整される。すなわち、軸方向のず
れは、陰極部のステム板84とステム端板86との間に
適当な導体スペーサを挿入し、ねじ85にて固定する。
またはバックアップ用セラミックリング92と溶接つば
180もしくは183との間にスペーサを挿入する。ま
た、半径方向のずれは、陰極部83を回転台治具でウェ
ネルト82と溶接つば180との軸出しを行なった後、
ねじ85にて固定する。また、絶縁部93については溶
接つば181,182の同軸度が得られるように適当な
組み立て治具を用いて鑞付けする。
含浸型陰極基体を使用した例えば陰極線管用電子管、ク
ライストロン用電子管、進行波管用電子管、及びジャイ
ロトロン用電子管等の電子管を提供するものである。
である場合には、例えばフェース部を有する真空外囲器
と、該フェース部内面に設けられた蛍光体層と、該真空
外囲器のフェース部に対向する位置に配置された第6の
発明にかかる電子銃構体と、前記蛍光体層と該電子銃構
体の間に配置されたシャドウマスクを有する。
の一例を説明するための概略断面図を示す。図3に示す
ように、この陰極線管用電子管は、矩形状のパネル31
と漏斗状のファンネル32とネック33とからなる外囲
器を有している。パネル31の内面には赤、緑、青に各
々発光する蛍光体層34がストライプ状に設けられてお
り、ネック33には、図1に示すような電子銃構体がパ
ネル31の水平軸に沿って一列に配列された赤、緑、青
に対応する電子ビーム35を射突するインライン型電子
銃36が内設されている。また蛍光体34に近接対抗し
た位置には、多数の微細な開孔を有するシャドウマスク
7がマスクフレーム38に支持固定されている。偏向装
置38により電子ビーム35を偏向走査して画像を再現
している。
ロン用である場合には、例えば第6の発明にかかる電子
銃構体と、該電子銃構体の電子放射面側に同軸的に配置
された複数の共振空胴がドリフト間で連結された高周波
作用部及びコレクタ部と、該高周波作用部の外周部に配
置された磁界発生装置を有する。
電子管の一例の主要部を説明するための概略断面図を示
す。図4に示すように、このクライストロン用電子管の
要部において、符号191は電子銃部であり、192は
陰極構体である。図2に示すような構成を有する電子銃
部191には複数の共振空胴193がドリフト管194
で連結された高周波作用部195とコレクタ部196が
順次連結されている。さらに、高周波作用部195の外
側には磁界発生装置例えば電磁石コイル197が配設さ
れている。なお、198は電子ビームである。また、出
力導波管部は図示を省略している。
である場合には、例えば本発明の含浸型陰極構体を用い
た電子銃構体と、該含浸型陰極構体の電子放射面側に同
軸的に配置された信号を増幅する遅波回路と、電子ビー
ムを捕捉するコレクタ部を有する。
の一例を説明するための概略断面図を示す。図5に示す
ように、この進行波管は、本発明の含浸型陰極基体を用
いた電子銃171と、信号を増幅する遅波回路(高周波
作用部)172と、電子ビームを捕捉するコレクタ17
3とを備えている。そして、遅波回路172は、パイプ
状真空外囲器174内にヘリックス175が3本の誘電
体支持棒176に支持固定されてなり、この遅波回路1
72の両端には、それぞれ入力177と出力接栓178
が突設されている。
ロン用である場合には、例えば本発明の含浸型陰極構体
を用いた電子銃構体と、該含浸型陰極構体の電子放射面
側に配置された次第に径が小さくなるテーパ状の電子ビ
ーム圧縮部と、該テーパ状電子ビーム圧縮部に連続的に
配置された空胴共振部と、前記空胴共振部に連続的に配
置された次第に径が大きくなるテーパ状電磁波案内部
と、電子ビームを補足するコレクタ部と、空胴共振部の
外周部に配置された磁場発生装置とを有する。
電子管の一例を説明するための概略断面図を示す。図6
において、符号230はジャイロトロン本体、231は
本発明の含浸型陰極構体を用いて組み立てられ、その中
空電子ビームを発生する電子銃部、232は、その電子
ビーム下流に配置され、次第に径小となるテーパ状電子
ビーム圧縮部、233はその下流に連続的に設けられ、
次第に径大になるテーパ電磁波案内部、235はその後
に配置され、相互作用を行なった後の電子ビームを捕捉
するコレクタ部、236はその下流に配置されたセラミ
ックス気密窓を有する出力窓、237は導波管結合フラ
ンジ、239は磁場発生装置のソレノイドを表わしてい
る。
第1の発明においては、その含浸型陰極構体の少なくと
も電子放射面側から、小粒径、高空孔率の多孔質領域、
及び大粒径、低空孔率の多孔質領域が順々に設けられて
いる。
された電子放射物質の供給を一定に維持することができ
る。また、大粒径低空孔率領域上に、小粒径高空孔率領
域を設けることにより、電子放射面側の小粒径高空孔率
領域では、陰極基体を構成する粒子間距離が短いために
電子放射物質の拡散距離が短縮されている。このため、
電子放射物質による電子放射面の被覆がより速く、より
均一に行なわれ、電子放射物質の十分な供給、電子放射
面の十分な被覆率が達成できる。被覆率が向上すると、
より優れた耐イオン衝撃性が得られる。また、このよう
にして、高電圧操作の含浸型陰極構体のエージング時間
を短縮することができる。また、たとえ拡散速度の遅い
電子放射物質を含む場合でも、イオン衝撃による含浸型
陰極構体の電子放出特性の劣化を防止することができ
る。
定体積の物体(固体)中に存在する空間の割合であり、
下記式(1)で表わされる。 P1−W/Vd…(1) 但し、式中wは被測定物の重量(g)、Vは被測定物の
体積(cm3 )、dは被測定物の密度(タングステンの
場合なら19.3g/cm3 )、Pは空孔率(%)を表
わす。しかしながら、本発明が要求している小粒径大空
孔率領域は層となっていることが望ましく、さらには、
この層は30μm以下の厚さになっていることが好まし
い。このため、上式のw,Vを実際に測定することは実
施不可能で、空孔率を算出することはできない。そこ
で、現実に空孔率を制御するために、以下の方法によっ
て空孔率の測定を行なう。
の電子放射物質を全て除去した後、これら空孔内に着色
樹脂を溶融含浸する。その後、陰極表面に垂直な断面を
出すために金属研磨機などで研磨を行なう。陰極基体の
寸法が大きい場合には、予め切断して粗い断面を出して
おいてもよい。平滑な断面が得られたら、この断面の断
面像を光学顕微鏡あるいは電子顕微鏡にて撮影する。こ
の断面像を画像処理装置例えばKEYENCE社製CV
−100によって画像処理を行ない、本断面中の高融点
金属が現れている部分の面積Sbaseと着色樹脂が現れて
いる部分の面積を求める。そうすれば、P=Spore/
(Spore+Sbase)×100(%)を空孔率として用い
ることができる。このとき、領域Sporeと陰極基体外部
領域との境界は、陰極基体の最外周に存在する高融点金
属粒のもっとも陰極基体外部に突出した点同志を結んだ
線分とする。面積Sbaseと面積Sporeの算出は陰極基体
全面にわたって行なうことが好ましいが、そのような処
理を行なうことは現実にはむずかしい。そこで、陰極基
体の断面のうち任意の点を少なくとも5点選び、その近
傍1000μm2 以上の領域について面積Sbaseと面積
Sporeを求め、その平均から計算されたPを空孔率とし
て用いることができる。
おいては、大粒径低空孔率領域の粒径が2μm未満であ
ると、製造時の焼結の進行と共に、クローズドポアの存
在が無視できなくなり、空孔率は確保できても、電子放
射物質の含浸には意味をなさなくなる傾向があり、また
10μmを越えると、意図する空孔率が得られなくな
り、小粒径高空孔率領域への電子放射物質の供給が不十
分であると共に、所望の空孔率を得るためには、焼結温
度も極端に高くなる傾向があり、工業的な製造が困難と
なる傾向がある。大粒径低空孔率領域のさらに好ましい
平均粒径は、2〜7μmであり、さらにまた好ましい平
均粒径は、2〜5μmである。また、その空孔率が15
%未満であると、小粒径高空孔率領域への電子放射物質
の供給が不十分となる傾向があり、25%を越えると、
必要な強度が得られなくなると共に電子放射物質の消耗
が増加して寿命が短くなる傾向がある。大粒径低空孔率
領域のさらに好ましい空孔率は、15〜22%であり、
さらにまた好ましい空孔率は、17〜21%である。
て、小粒径高空孔率領域の平均粒径は、0.1μm未満
であると、あまりその粒径が小さいために、陰極基体に
クラックが入り易くなり、強度が低下する傾向がある。
また原料となる高融点金属の粉末の粒径があまりに小さ
いと、焼結時に容易に2次粒子、3次粒子等を形成し、
焼結が進み易くなり、所望の粒径が得られなくなること
がある。このような場合には、密度が高くなり、意図す
る空孔率が得られなくなる傾向がある。
射物質の拡散距離が大きくなることから、電子放射面へ
電子放射物質が十分に供給するために時間がかかるよう
になる。さらに、拡散距離が大きくなると、電子放射面
における均一な拡散も得難くなる。これらのことから、
粒径が2.0μm以上であると、電子放射面の電子放射
物質による被覆率が低下する傾向があることがわかる。
上述のように、被覆率が低下すると、十分な耐イオン衝
撃性が得られなくなる。
らに好ましい平均粒径は0.8〜1.5μmである。ま
た、多孔質陰極基体の小粒径高空孔率領域の平均粒径が
0.1μm以上2.0μm未満の範囲で、空孔率が25
%未満であると、電子放射物質が電子放射面に十分に供
給されなくなり、電子放射面の電子放射物質による被覆
率が低下する傾向がある。被覆率が低下すると、十分な
耐イオン衝撃性が得られなくなる。
以上2μm未満の範囲で、空孔率が40%を越えるほど
大きいと、陰極基体の機械的強度が低下する傾向があ
る。小粒径高空孔率領域のさらに好ましい空孔率は、2
5〜35%である。
示すように、少なくとも二層以上の積層構造を有する含
浸型陰極基体の場合、大粒径低空孔率領域層の電子放射
面側に設けられる小粒径高空孔率領域層の層厚は、30
μm以下が好ましい。この層厚は、より好ましくは3〜
30μm、さらに好ましくは、3〜20μmである。
の構造を有する含浸型陰極構体は、例えば以下のように
して製造される。先ず、常法により、平均粒径2ないし
10μmであり、かつ空孔率15ないし25%の大粒径
低空孔率領域となる多孔質焼結体を形成する。
に、平均粒径が大粒径低空孔率領域となる多孔質焼結体
の平均粒径よりも小さいW粉末よりなる高融点金属粉末
を有機溶剤と共にペースト状に調製し、例えばスクリー
ン印刷法により意図する膜厚になるように塗布する。そ
の後、乾燥し、真空中あるいは水素(H2 )などの還元
雰囲気中、1700〜2200℃の範囲で焼結を行な
う。このようにして小粒径高空孔率領域を大粒径低空孔
率領域上に形成する。この場合、ペーストの濃度、印刷
条件、焼結時の時間などは、焼結体を構成する粒子の意
図する平均粒径及び空孔率が得られるように、適宜設定
される。
構造としては、その第4の好ましい態様に示すように、
大粒径低空孔率領域からなるマトリックスの少なくとも
電子放射面側に複数の小粒径高空孔率領域が点在する構
造があげられる。例として、大粒径低空孔率領域の電子
放射面上に溝状あるいは孔状に凹部が存在し、その凹部
に小粒径高空孔率領域が存在する構造があげられる。こ
のような構造の陰極構体を形成するためには、例えば大
粒径低空孔率領域となる多孔質焼結体の電子放射面側に
機械加工などにより、溝あるいは孔状の凹部を形成し、
その凹部にペーストを充填させ、焼結を行ない、小粒径
高空孔率領域を形成することができる。
は、第1の発明の第5の好ましい態様に示すように、そ
の厚さ方向において、電子放射面に近付くに従って次第
にその空孔率が増加し、かつその粒径が小さくなる構成
を有するような構造があげられる。
刷法に限らず、スピンコート法、スプレー法、電着法あ
るいは溶射法など多孔質層を得られる方法であれば、何
ら限定されるものではない。また、このうち溶射法を採
用した場合には、焼結工程を省くことができる。
基体には、その後常法と同様にして例えばBaO:Ca
O:Al2 O3 モル比が4:1:1の混合物からなる電
子放射物質をH2 などの還元雰囲気中で溶融含浸する。
について説明を加える。第1の発明の第6の好ましい態
様に使用されるイリジウム(Ir)、オスミウム(O
s)、レニウム(Re)、ルテニウム(Ru)、ロジウ
ム(Rh)、及びスカンジウム(Sc)からなる群から
選択される少なくとも1種の元素は、単体、その元素を
含有する物質、または他の元素あるいは他の元素を含有
する物質との組合せとして使用し得る。
例えば合金、化合物等の形で存在する場合とを含む。こ
の第6の好ましい態様によれば、これらの元素を含む層
を形成することにより、陰極構体の電子放射面の電気2
重層がイオン衝撃により破壊されても、電子放射特性が
すぐに回復され、エミッションが可能となり、かつ十分
な低温動作が可能となる。また、低温動作が可能となる
ことにより、電子放射物質例えばバリウム等の蒸発量を
低減することができるので、陰極構体の厚さを従来より
薄く設定することが可能となる。
ウム、スカンジウムである。好ましく用いられる元素を
含有する物質は、酸化スカンジウム(SC2 O3 )、水
素化スカンジウム(ScH2 )等である。
Os−Ru、Sc2 O3 −W、Sc−W、ScH2 −
W、Sc−Re等の合金である。このOsは作用的には
単体で使用可能であるが、その酸化物が毒性を有するこ
とから、作業者の安全性を考慮すると、単体で用いるよ
りも、酸化しにくい合金の形で用いることが好ましい。
ウム、及びルテニウム(Ru)等の高融点金属から選択
される少なくとも1種の金属と組合せて用いることがで
きる。これらの高融点金属は、陰極構体の動作時に、S
cを酸素から分離する分離剤として働く。
て多孔質陰極基体表面の余分な電子放射物質を除去した
後、使用される元素成分の層を、例えばスパッタ法等の
薄膜形成手段により形成することができる。
説明を加える。第3の発明及び第4の発明は、多孔質陰
極構体の製造方法において、その多孔質体から所定形状
の陰極基体を切り出す工程を改良するものである。切断
された陰極基体には、バリが発生する。このため、陰極
基体をタンブリング処理に供することにより、バリを除
去する必要がある。タンブリング処理は、通常、切断さ
れた陰極基体を、アルミナとシリカからなる小球体とと
もに容器内で振り動かし、小球体と陰極基体とを摩擦さ
せることにより行なわれる。この際、陰極基体の電子放
射面側も同様に摩擦され、多孔質体の空孔部が塞がれ
る。この空孔部は、電子放射物質の供給路であるため、
空孔部が塞がれると、電子放射物質の含浸が妨げられる
という問題が生じる。また、多孔質体表面の見掛けの表
面積が増大し、表面における電子放射物質の拡散距離が
増大するという問題が生ずる。特に、小粒径高空孔率領
域を有する陰極基体では、これらの問題により、電子物
質の拡散距離の短縮及び供給路の増大が損なわれ、耐イ
オン衝撃特性の改善効果が得られない。
電子放射物質の吹き出しが発生し、電子放射面の変質が
生じる。電子放射面の変質は、放射電流密度の劣化等の
悪影響を及す。
する前の多孔質体の電子放射面上に、1200℃以下の
融点を有する金属及び合成樹脂からなる群から選択され
る充填材を適用し、充填材が溶融し得る温度で加熱処理
し、充填材を該多孔質用形成体内に溶融することによ
り、電子放射面上の空孔部から多孔質体の内に充填材が
溶融される。これにより、孔内の保護及び多孔質体の強
化がなされ、タンブリングの際に電子放射面が摩擦を受
けても空孔部が塞がらないようにすることができる。
と、1200℃以下の融点を有する金属及び合成樹脂か
らなる群から選択される少なくとも1種の充填材とを含
有するペーストを、充填材が溶融し得る温度で焼成し、
高融点金属を主成分とする多孔質体を形成するととも
に、多孔質体の孔内に該充填材が溶融される。これによ
り、孔内の保護及び多孔質体の強化がなされ、タンブリ
ングの際に電子放射面が摩擦を受けても空孔部が塞がら
ないようにすることができる。
えば陰極基体の電子放射面領域に、さらに高融点金属微
粉末と、酸化スカンジウムとの混合物層を形成すること
ができる。これにより、陰極構体の電子放射面の電気2
重層がイオン衝撃により破壊されても、電子放射特性が
すぐに回復され、エミッションが可能となり、かつ十分
な低温動作が可能となる。また、低温動作が可能となる
ことにより、電子放射物質例えばバリウム等の蒸発量を
低減することができるので、陰極構体の厚さを従来より
薄く設定することが可能となる。このことはまた、電子
放射物質の含浸量不足により不十分となっていた従来の
省電力型含浸型陰極の寿命特性を、大幅に改善すること
が出来ることを意味する。
してタングステンとモリブデンの合金またはその混合物
を用いることができる。これにより、低い焼結温度でも
十分強固な焼結層を得ることができる。合成樹脂として
は、好ましくは、メタクリル酸メチルを使用することが
できる。
8ないし1.5μmの平均粒径を有し、好ましくは20
ないし40%、さらに好ましくは25ないし35%の空
孔率を有する。
明する。 実施例1 図7は、本発明にかかる含浸型陰極構体の第1の例を使
用した電子管の例を表す一部切欠概略図を示す。この陰
極構体は、クライストロン用含浸型陰極構体であり、高
出力、高電圧下で使用されるものである。
からなる基体金属3と、この多孔質陰極基体3を支持す
るよう鑞付されたMo等からなる支持筒11と、支持筒
11に内蔵されたヒーター18とから主に構成され、こ
のヒーター18はAl2 O3等からなる埋め込み材14
に埋め込んで焼結することにより固定されている。この
多孔質陰極基体3の空孔部には、例えばBaO:Ca
O:Al2 O3 モル比が4:1:1の電子放射物質が含
浸されている。多孔質陰極基体3の電子放射面側には、
スパッタリングによりIrの薄膜層が設けられ、合金化
処理により、IrとWの合金化層(図示せず)が形成さ
れる。また、この陰極構体は、集束のために電子放射面
に例えば半径53mmの曲率を有する。
表わすモデル図を図8に示す。多孔質陰極基体3は、図
8に示すように、大粒径低空孔率層22とその上に形成
された小粒径高空孔率層23とから構成される二層構造
を有する。このような構成を有する多孔質陰極基体3
は、以下に示すように、例えばスプレー法により形成す
ることができる。
均粒径約3μmのW粒子からなる空孔率約17%の多孔
質W基体を用意する。この基体は、例えば直径70mm
であり、電子放射面の曲率半径は53mmである。
状態で、基体の電子放射面にW粒子と、酢酸ブチルとメ
タノールの混合物をスプレガンを用いて垂直に吹きかけ
る。吹き付け距離を10cm,エア圧力を1.2kgf
/cm2 、吹き付け流量を0.35cc/秒、吹き付け
時間を5秒とし、曲率を持った電子放射面に均一に厚さ
20μmの薄膜層を形成する。
属の接着のため、還元雰囲気中で1700〜2200℃
例えば水素雰囲気中で2000℃の温度で、1時間の熱
処理を行なう。
薄膜層は、外観上クラックがなく、また十分な強度を持
ち、平均粒径0.8μm、空孔率30%で約10μmの
均一な厚さを有していた。
O:CaO:Al2 O3 モル比が4:1:1の混合物か
らなる電子放射性物質をH2 雰囲気中、1700℃で、
約10分間加熱することにより溶融含浸させた。
陰極構体をクライストロン電子管内に取り付け、陰極温
度1000℃b(℃bは輝度温度である)の条件でエー
ジングを行なった。
後の電子放射特性を表すグラフ図を示す。この電子放射
特性は、陰極温度が1100℃bのときの放射電流を1
00%としたときの比率で表わされた放射電流と陰極温
度との関係で示す。図中実線31、32は、それぞれ、
従来の含浸型陰極構体と、実施例1の含浸型陰極構体と
の特性を表わすグラフである。このグラフから明らかな
ように、低温部においては、実線32で表わされる実施
例1の含浸型陰極構体が優位であることが認められる。
高温部では、拡散速度が早いために特性上優位は認めら
れないが、低温部では、拡散速度が遅いため、本発明に
かかる含浸型陰極構体の方が著しく優位となる。また、
このグラフから、本発明の含浸型陰極構体を用いると、
エージング時間を短縮できることは明白である。
型陰極構体の第2の例を表す概略図を示す。この陰極構
体は、陰極線管用陰極構体であり、その陰極基体は、実
施例1のクライストロン用の陰極基体とは異なりほとん
ど曲率を持たない。
電子管は、例えば陰極スリーブ1と、この陰極スリーブ
1の一端部の内側に、その一端部開口縁とほぼ同一面を
なすように固定されたカップ状固定部材2と、このカッ
プ状固定部材2内に固定されていて、電子放射物質が含
浸された多孔質陰極基体3と、陰極スリーブ1を包囲す
る如くその内側に同軸的に配置された筒状ホルダー4
と、一端部が陰極スリーブ1の他端外側面に取り付けら
れ、他端部が筒状ホルダー4の一端部に形成された内側
張り出し部に取り付けられて、陰極スリーブ1を筒状ホ
ルダー4の内側に同軸的に支持する複数個の短冊状スト
ラップ5と、筒状ホルダー4の一端部に形成された内側
張り出し部に支持片6によって取り付けられて陰極スリ
ーブ1と複数個のストラップ5との間に配置されたしゃ
へい筒7とから構成され、陰極スリーブ1の内側に挿入
されたヒータ8により加熱される構造になっている。
この基体の空孔部には、例えばBaO:CaO:Al2
O3 モル比が4:1:1の混合物とSc2 O3 1重量%
からなる電子放射物質が含浸されている。
ー4の外表面に取り付けられたストラップ9を介して陰
極構体上に順次所定間隔離れて配置される複数個の電極
(図面には第1グリッドのG1のみ図示)とともに、絶
縁支持体10に固定される。
有し、以下に示すように、例えばスクリーン印刷法によ
り形成することができる。まず、W粒子と、バインダ剤
としてエチルセルロース、樹脂及び界面活性剤の混合物
と、溶剤を混合し、塗布液を得る。
μmのW粒子からなる空孔率約17%の多孔質タングス
テン基体を用意する。この基体は、例えば直径1.1m
mであり、0.32mmの厚さを有する。
クリーンを用い、上記塗布液をスクリーン印刷し、小粒
径高空孔率のタングステン薄膜層を形成する。その後、
薄膜層の焼結及び薄膜層と大粒径低空孔率層との接着及
び焼結のため、H2 雰囲気中、2000℃の温度で、1
時間の焼結を行なう。
タングステン薄膜層は、外観上クラックがなく、また、
十分な強度を持ち、平均粒径1μm、空孔率約30%
で、約10μmの均一な厚さを有していた。また、得ら
れた陰極基体は、図8に示すモデル図と同様の二層構造
を有する。
領域の粒径、空孔率及び大粒径低空孔率領域の粒径、空
孔率を変化させた陰極線管用陰極基体を作成し、そのエ
ミッション特性の評価及び強制ライフ試験を行なった。
作成した陰極基体は、その材質としてテングステンを用
い、その半径が1.1mm、厚さが0.32mmであっ
た。電子放射物質としてBaO:CaO:Al2 O3 =
4:1:1を含浸した。小粒径高空効率領域は、スクリ
ーン印刷法を用いて、10μmの厚さに形成した。さら
にこの上にはIrのスパッタ膜を形成した。
の陰極基体に、ヒーター、陽極等を取り付けて組み立て
られた二極管を用いて、陽極電圧200V、ヒーター電
圧6.3Vの条件で行なった。
組み立てられた陰極構体を画面対角寸法760mmのテ
レビジョン用受像管に搭載して、ヒーター電圧8.5
V、陰極電流600μAの条件下で行なわれた。そのエ
ミッション測定として、ヒーター電圧6.3V、第1グ
リットに200V、デューティ 0.25%のパルスを
印加した時のカソード電流を測定を行なった。その結果
を表1及び表2に示す。
ン(%)とは、小粒径高空孔率領域のない粒径3μm、
空孔率20%の陰極構体を用いた電子管で、デューティ
0.1%のパルス動作を行なったときに得られるエミッ
ション量を100として、各々の実験値をパーセントで
表わしたものである。また、同様に、デューティ4.0
%でのエミッション(%)とは、小粒径高空孔率領域を
設けない粒径3μm、空孔率20%の陰極基体を用いた
電子管で、デューティ4.0%のパルス動作を行なった
時に得られるエミッション量を100として、各々実験
値をパーセントで表示したものである。さらに、強制ラ
イフ(%)は、下記式(2)で表わされる。
率20%の陰極基体を用いた電子管の強制ライフ試験前
のエミッション値をI0 ref 、強制ライフ試験3000
時間後のエミッション値をIlife ref とし、それに対
し、表に示された構成の陰極構体を用いた電子管の強制
ライフ試験前のエミッション値をI0 、強制ライフ試験
3000時間後のエミッション値をIlifeとする。
ト電圧が6.3Vであるところを8.5Vに引き上げて
陰極温度を上昇させた状態で行なった。表1及び表2か
ら明らかなように、小粒径高空孔率領域の空孔率が25
ないし40%の場合、耐イオン衝撃性が向上するが、空
孔率が25%未満となると、エミッション特性が劣化
し、また、40%を越えると、小粒径高空孔率領域の強
度が十分に得られない傾向があることがわかる。小粒径
高空孔率領域の粒径が0.1以上2μm未満の場合、耐
イオン衝撃性が向上しているが、粒径が0.1μm未満
となると、陰極表面に開口する空孔の数が著しく減少し
て含浸が困難となり、また2μmを越えると、十分な耐
イオン衝撃性が得られない傾向があることがわかる。
ないし25%の場合、良好な陰極特性が得られるが、空
孔率が15%未満となると、含浸される電子放射物質の
量が著しく減少して寿命が短くなり、また、25%を越
えると、今度は電子放射物質に蒸発速度が上がりすぎ
て、寿命が短くなる傾向があることがわかる。大粒径低
空孔率領域の粒径が2μm以上10μm未満の場合、良
好な陰極特性が得られるが、粒径が2μm未満となる
と、クローズドポアが表れ、含浸量が減少し、寿命が短
くなり、かつエミッション特性も劣化する傾向がある。
また、大粒径低空孔率領域の粒径が10μmを越える
と、焼結によって所定の空孔率を得るのに、膨大なエネ
ルギーあるいは時間を要する傾向があることがわかる。 実施例3 この実施例は、本発明にかかる含浸型陰極構体の第3の
例を示す。
と同様の大粒径低空孔率層として多孔質W基体を用意し
た。この多孔質W基体の放射面側の表面に、加工幅20
〜50μmの深さで、同程度の20〜50μmのピッチ
で、研削等の機械加工により複数の加工溝を形成した。
その後、0.5〜1μmの平均粒径のW粉末を得られた
加工溝に充填した。
なった。このようにして得られた陰極基体のモデル図を
図11に示す。図11に示すように、この陰極基体は、
粒径約3μmのW粒子からなる空孔率約17%の大粒径
低空孔率の多孔質W基体42からなるマトリックスと、
その基体表面に点在する平均粒径0.5〜1μm、空孔
率30%の小粒径高空孔率のW領域41とから構成され
る。 実施例4 本実施例は、本発明にかかる含浸型陰極構体の第4の例
を示す。ここでは、実施例2と同様のタイプの陰極構体
に用いられる陰極基体をスプレー法を用いて形成した。
と同様の形状の粒径3μm、空孔率20%の多孔質W基
体を用意した。次に、塗布液として、W粒子と、酢酸ブ
チルとメタノールとの混合物を調製した。この塗布液
を、吹付け距離10cm、、エア圧力を1.2kg/c
m2 、吹き付け流量0.35cc/秒、吹き付け時間5
秒として、エアガンを用いてこの基体表面上に塗布液を
垂直に吹き付けた。得られた塗布膜をその後乾燥し、塗
布膜の焼結及び基体との接着のため、水素雰囲気中19
00℃の温度で10分間熱処理した。このようにして形
成された小粒径高空孔率のW薄膜層は、外観上クラック
がなく、また十分な強度を持ち、膜厚20μm、平均粒
径1μm、空孔率30%であった。また、得られた陰極
基体の構造は、図8に示すモデル図と同様である。
陰極基体23上に、BaO:CaO:Al2 O3 =4:
1:1のモル比の混合物からなる電子放射物質を適用
し、H2 雰囲気下1700℃の温度で10分間加熱し、
図中24で表わされるように電子放射物質を溶融含浸さ
せた。
0に示すような含浸型陰極構体に適用し、陽極を備え付
け、ダイオード構成の電子管を作成し、この電子管の電
子放射特性を測定した。その結果、本発明によれば、従
来の含浸型陰極に比較し、高デューティ領域での電子放
射特性が改善された。 実施例5 この実施例は、本発明の含浸型陰極構体にかかる第5の
例を示す。
成方法は、次の通りである。塗布液として、W粒子と、
炭酸ジエチルとニトロセルロースの混合液を調製し、こ
の塗布液を1000rpmで回転させた実施例4と同様
の多孔質W基体上にスピンコート法を用いて形成する以
外は、実施例4と同様にして各種層厚の小粒径高空孔率
のW薄膜層を形成し、陰極基体を得た。得られた薄膜層
は、平均粒径1μm、空孔率30%であった。また、得
られた陰極基体は、図8に示すような二層構造を有して
いた。
子放射物質を溶融含浸させた。次に、電子放射物質が含
浸された陰極基体の電子放射面側上に、Irの薄膜層
を、スパッタ法を用いて形成した。得られたIr薄膜層
と陰極基体のWとを合金化させるため、Ir薄膜層が形
成された陰極基体を高純度の水素雰囲気下1290℃の
温度で10分間加熱処理した。
て、実施例4と同様に電子放射特性を評価した。このと
きの印加パルスのデューティとエミッション変化率との
関係を表わすグラフを図12に示す。
孔率層がない場合と、小粒径高空孔率層の層厚を変化さ
せた場合とについて、そのデューティ比とエミッション
変化率との関係を示す。図中、実線100は小粒径高空
孔率層がない場合、103は、膜厚3μmの場合、11
0は膜厚10μmの場合、120は膜厚20μmの場
合、及び130は膜厚30μmの場合を各々示す。この
例では、大粒径低空孔率層として、粒径3μm、空孔率
20%のもの、小粒径高空孔率層として粒径1μm、空
孔率30%のものを用いた。また、エミッション変化率
は、デューティ0.1%のときのエミッションを100
%として表わした。その測定条件は、ヒータ電圧6.3
V、陽極電圧200Vであった。
ば、従来の含浸型陰極構体に比較し、高デューティ領域
での電子放射特性が改善されると共に、この膜厚が3〜
30μmの範囲において高デューティ領域での優れた電
子放射特性が得られた。
す。まず、大粒径低空孔率層として、粒径3μm、空孔
率20%の多孔質W基体を用意した。この陰極基体は、
図10に示す陰極線管用陰極構体に適用し得るものであ
る。その電子放射表面上層に、W粉末を有機溶剤ととも
にペースト状に調整し、スクリーン印刷によって混合物
層の厚さが20μmになるように塗布した。その後、塗
布されたペーストを乾燥し、水素雰囲気中、1900℃
で10分間熱処理することにより、小粒径高空孔率のW
薄膜層を形成した。なお、焼結後の多孔質層の平均粒径
が1μm、空孔率が30%になるように、Wペーストの
濃度、印刷条件及び前記焼結時の焼結時間・温度が調節
した。
8に示すような二層構造を有していた。この陰極基体
に、BaO:CaO:Al2 O3 =4:1:1モル比の
混合物からなる電子放射物質を適用し、陰極基体の空孔
中に水素雰囲気中で1700℃で、10分間溶融含浸さ
せた。
パッタ法によりSc化合物薄膜層であるScH2 層及び
高融点金属薄膜層であるRe層を交互に二層ずつ形成し
た。得られた陰極基体は、図13に示すように、大粒子
低空孔率層22上に小粒子高空孔率層23が積層され、
その空孔内に電子放射物質が含浸された積層体上に、S
cH2 層25,27及び高融点金属薄膜層であるRe層
26,28が交互に積層された構造を有する。ScH2
薄膜層及びRe薄膜層の厚さはいずれも20nmで、各
層を2層ずつ交互にスパッタした。特に、ScH2 薄膜
層をスパッタ時にはH2 の分離を防ぐためにスパッタガ
スとしてArガスに加え1容量%のH2 ガスを導入し
た。
0に示すような含浸型陰極構体に適用し、陽極を備え付
け、ダイオード構成の電子管を作成した。この電子管の
電子放射特性を、以下のように評価した。まず、ヒータ
ー電圧6.3Vで、陰極・陽極間に200Vのパルスを
印加した。ここで、印加パルスのデューティを0.1か
ら9.0%まで変化させ、その放出電流密度を測定し
た。
性として、そのデューティーと放出電流密度との関係を
表すグラフ図を図14に示す。図中71は従来の酸化ス
カンジウム系含浸型陰極の測定結果、72は本発明によ
るスカンジウム系含浸型陰極の測定結果、73は従来の
メタルコートの含浸型陰極の測定結果である。本発明に
よるスカンジウム系含浸型陰極は、従来の含浸型陰極よ
りも低・高デューティー領域共に放出電流特性が優れて
いる。
eの代わりにRuまたはHfを用いても、スカンジウム
化合物薄膜層のScH2 の代わりにScを用いても、前
記と同等の特性を示した。 実施例7 この実施例は、本発明の第7の例を示す。
る陰極基体の製造工程を説明するための図を示す。ま
ず、平均粒径3μmのタングステン粒子を用いて、通常
の方法を用いて空孔率20%の大粒径低空孔率層の多孔
質体を得た。
タングステンを含むペーストを、スクリーン印刷法を用
いて成膜した。次いで、成膜されたペーストを、水素雰
囲気中、1800℃で30分間焼成することにより、大
粒径低空孔率層上に、平均粒径1μm、空孔率30%の
小粒径高空孔率層の多孔質体を形成し、陰極基体を得
た。
図15に示す。図15に示すように、得られた陰極基体
123は、大粒径低空孔率層121と、その上に形成さ
れた小粒径高空孔率層122とから構成される。
を適用し、銅粒子層131を形成した。銅粒子層131
の形成手段としては、例えば銅粒子含有ペーストを用い
てスクリーン印刷を行なう方法、銅粒子を小粒径高空孔
率層122表面に直接まぶす方法等を用いることができ
る。ここでは、直接まぶす方法を用いた。
造を表すモデル図を図16に示す。図16に示すよう
に、銅粒子が適用された陰極基体133は、陰極基体1
23上に銅粒子層131を有する。
ン製のカップに入れ、水素雰囲気中で1080℃程度ま
で加熱することにより、銅粒子131を溶融させ、小粒
径高空孔率層122表面を銅被覆層で覆った。この時、
加熱温度は、最高で、銅の融点である1083℃であれ
ばよいが、銅被覆が十分に行なわれる範囲で設定するこ
とができる。
43の断面構造を表すモデル図である。図17に示すよ
うに、陰極基体143上は溶融された銅被覆層141に
より覆われている。
ための該略図である。図18に示すように、得られた陰
極基体143を、その後、レーザー光源150からのレ
ーザー光151により切断し、図19に示すように、所
定の大きさの個々の陰極基体160に切り出した。
表す図を示し、図21は、タンブリング処理後の陰極基
体の様子を模式的に表す図を示す。図20に示すよう
に、切り出された陰極基体160にはバリ161が存在
し、また、酸化、蒸発物による汚染物162等が付着し
ていた。
アルミナとシリカからなる小球体とともに密閉容器に入
れ、バレル研磨機を用いてタンブリング処理を行なっ
た。図21に示すように、この処理により、バリ161
及び汚染物162等が除去され、大粒径低空孔率層12
1と小粒径高空孔率層122と銅被覆層141層とから
構成される陰極基体180が得られた。
積比が1:1の溶液に、約12時間浸漬後、水洗、乾燥
した。その後、モリブデン製のカップに入れ、水素雰囲
気中で銅の炎光がなくなるまで1500℃で加熱し、銅
を除去した。図22は、銅を除去した陰極基体の様子を
表すモデル図である。図22に示すように、銅を除去し
た後の小粒径高空孔率層122表面は、切断、タンブリ
ングによる表面形状の悪化は見られず、良好であった。
また、小粒径高空孔率層122の空孔部にも閉塞はみら
れなかった。
酸化バリウム:酸化カルシウム:酸化アルミニウムを
4:1:1のモル比で混合して得られた電子放射物質を
適用し、水素雰囲気中で1650℃で約3分間加熱する
ことにより陰極基体180内に溶融含浸させた。図23
に、このようにして得られた含浸型陰極の構成を表すモ
デル図を示す。図23に示すように、適用された電子放
射物質208は、小粒径高空孔率層122の空孔部を通
して、大粒径低空孔率層121の空孔部内に含浸され
た。
の方法を用いることにより、切断、タンブリング工程が
改良され、電子放射面に損傷なく良好な含浸型陰極が得
られる。 実施例8 以下に、本発明の第8の例について示す。
陰極構体の製造工程を説明するための図を示す。まず、
実施例7と同様にして平均粒径3μm、空孔率20%の
タングステン多孔質体からなる大粒径低空孔率層を得
た。
タングステンと銅粒子を含むペーストを、スクリーン印
刷法を用いて成膜した。次いで、成膜されたペースト
を、水素雰囲気中、1800℃で30分間焼成すること
により、大粒径低空孔率層上に、平均粒径1μm、空孔
率30%の小粒径高空孔率層の多孔質体からなる陰極基
体を得た。
図24に示す。図24に示すように、得られた陰極基体
213は、大粒径低空孔率層211と、小粒径高空孔率
層212とからなる二層構造を有し、小粒径高空孔率層
212は、タングステン粒子214と銅粒子215とを
含む多孔質層である 陰極基体213を実施例7と同様にして加熱することに
より、銅粒子131を溶融させ、小粒径高空孔率層21
2表面を銅で覆い、その空孔部を埋めた。
極基体の断面構造を表すモデル図である。図25に示す
ように、陰極基体223の小粒径高空孔率層222は、
タングステン粒子214間の空孔部が溶融された銅22
5によって埋められた構造を有する。
にして切断し、タンブリングを行ない、銅成分を除去し
た。銅を除去した後の小粒径高空孔率層表面は、切断、
タンブリングによる表面形状の悪化は見られず、良好で
あった。また、小粒径高空孔率層の空孔部にも閉塞はみ
られなかった。
7と同様にして電子放射物質を適用、溶融させたとこ
ろ、陰極基体内に十分に溶融含浸させることができた。
第8の例によれば、本発明の方法を用いることにより、
切断、タンブリング工程が改良され、電子放射面に損傷
なく良好な含浸型陰極が得られる。
を用いた含浸型陰極構体を電子管、具体的には陰極線
管、クライストロン、進行波管さらにはジャイロトロン
に使用、さらに具体的には、図3に示す陰極線管、図4
に示すクライストロン、図5に示す進行波管、図6に示
すジャイロトロンに使用したところ、高電圧、高周波条
件下でも、十分な耐イオン衝撃性を有し、良好な電子放
射特性を有する高性能、高寿命の各種電子管が得られ
た。なお、本発明の含浸型陰極構体は、上記例に限らず
各種電子管に用いることができる。
された陰極基体を使用することにより、高電圧、高周波
数条件下でも十分な耐イオン衝撃性を示し、良好な電子
放射特性を有する。
物質層を設けることにより、その低温動作性がさらに向
上する。さらに、本発明にかかる製造方法を用いること
により、表面及び空孔部の状態が良好な含浸型陰極が得
られるため、十分な耐イオン衝撃性を示し、良好な電子
放射特性を有する含浸型陰極構体を提供することができ
る。さらにまた、本発明の含浸型陰極構体を用いること
により、高電圧、高周波数条件下でも良好な動作が可能
な優れた電子銃構体及び電子管が得られる。
を説明するための概略断面図
の一例の主要部を説明するための概略断面図
明するための概略断面図
例の主要部を説明するための概略断面図
明するための概略断面図
例を説明するための概略断面図
表す一部切欠概略図
グラフ図
す概略図
すモデル図
フ図
すモデル図
フ図
説明するための図
説明するための図
説明するための図
説明するための図
説明するための図
説明するための図
説明するための図
デル図
デル図
程を説明するための第7の例にかかる陰極基体の構造を
示すモデル図
程を説明するための図
Claims (28)
- 【請求項1】 大粒径低空孔率領域と、該大粒径低空孔
率領域の電子放射面側に設けられ、該大粒径低空孔率領
域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該大粒
径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する小
粒径高空孔率領域とを含み、電子放射物質が含浸されて
なる含浸型陰極基体。 - 【請求項2】 前記大粒径低空孔率領域は、その平均粒
径が2ないし10μmであり、かつ空孔率が15ないし
25%であることを特徴とする請求項1に記載の含浸型
陰極基体。 - 【請求項3】 前記小粒径高空孔率領域は、その平均粒
径が0.1μm以上2.0μm未満であり、空孔率が2
5ないし40%であることを特徴とする請求項1に記載
の含浸型陰極基体。 - 【請求項4】 前記小粒径高空孔率領域は、その厚さが
30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の
含浸型陰極基体。 - 【請求項5】 前記小粒径高空孔率領域は、前記大粒径
低空孔率領域の電子放射面側に、線状または点状に存在
していることを特徴とする請求項1に記載の含浸型陰極
基体。 - 【請求項6】 前記大粒径低空孔率領域から前記小粒径
高空孔率領域にかけて、その平均粒径及び空孔率が段階
的に変化することを特徴とする請求項1に記載の含浸型
陰極基体。 - 【請求項7】 その電子放射面上に、イリジウム、オス
ミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、及びスカン
ジウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属
を含む層がさらに形成された請求項1ないし3のいずれ
か1項に記載の含浸型陰極基体。 - 【請求項8】 請求項1に記載の含浸型陰極基体を製造
するための方法であって、 大粒径低空孔率となる多孔質焼結体を形成する工程、 該多孔質焼結体の電子放射面側に、該大粒径低空孔率領
域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該大粒
径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する小
粒径高空孔率領域を形成し、多孔質陰極部材を得る工
程、 該多孔質部材を切断することにより、多孔質陰極基体を
形成する工程、及び該多孔質陰極基体に電子放射物質を
含浸する工程を具備することを特徴とする含浸型陰極基
体の製造方法。 - 【請求項9】 前記小粒径高空孔率領域は、印刷法、ス
ピンコート法、スプレー法、電着法、及び溶射法から選
択される方法を用いて形成されることを特徴とする請求
項8に記載の方法。 - 【請求項10】 請求項1記載の含浸型陰極基体を製造
するための方法であって、 大粒径低空孔率となる多孔質焼結体を形成する工程、 該多孔質焼結体の電子放射面側に、該大粒径低空孔率領
域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該大粒
径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する小
粒径高空孔率領域を形成し、多孔質陰極部材を得る工
程、 該多孔質陰極部材の電子放射面上に、1200℃以下の
融点を有する金属及び合成樹脂からなる群から選択され
る充填材を配置する工程、 前記充填材が配置された多孔質陰極部材を、該充填材が
溶融し得る温度で加熱し、該多孔質陰極部材内に該充填
材を含浸せしめる工程、 前記多孔質陰極部材を所定の大きさに切断または打ち抜
きし、多孔質陰極基体を形成する工程、 該多孔質陰極基体をタンブリング処理に供し、バリ及び
汚染物を除去する工程、 該タンブリング処理された多孔質陰極基体から前記充填
材を除去する工程、及び充填材を除去した該多孔質陰極
基体に、電子放射物質を含浸する工程を具備することを
特徴とする含浸型陰極基体の製造方法。 - 【請求項11】 請求項1に記載の含浸型陰極基体を製
造するための方法であって、 大粒径低空孔率領域となる高融点金属多孔質焼結体を形
成する工程、 該大粒径低空孔率領域の平均粒径よりも小さい平均粒径
を有する高融点金属粉末と、1200℃以下の融点を有
する金属及び合成樹脂からなる群からなる充填剤から選
択される少なくとも1種とを含むペーストを用意する工
程、 該ペーストを、前記大粒径低空孔率領域となる高融点金
属多孔質焼結体の電子放射面側に塗布する工程、 該ペーストが塗布された大粒径低空孔率領域の高融点金
属多孔質焼結体を、前記充填剤が溶融し得る温度に加熱
し、該高融点金属多孔質焼結体上に、該大粒径低空孔率
領域の平均粒径よりも小さい平均粒径を有し、かつ該大
粒径低空孔率領域の空孔率よりも大きい空孔率を有する
小粒径高空孔率領域を形成し、多孔質陰極部材を得る工
程、 該多孔質陰極基体をタンブリング処理に供し、バリ及び
汚染物を除去する工程、 該タンブリング処理された多孔質陰極基体から前記充填
材を除去する工程、及び充填材を除去した該多孔質陰極
基体に、電子放射物質を含浸する工程を具備することを
特徴とする含浸型陰極基体の製造方法。 - 【請求項12】 請求項1ないし7のいずれか1項に記
載の含浸型陰極基体を有することを特徴とする含浸型陰
極構体。 - 【請求項13】 前記含浸型陰極構体は、陰極線管用で
あることを特徴とする請求項12記載の含浸型陰極構
体。 - 【請求項14】 筒状の陰極スリーブと、該陰極スリー
ブの一端部の内面に固定された含浸型陰極基体固定部材
と、該含浸型陰極基体固定部材に固定された請求項1な
いし7のいずれか1項に記載の含浸型陰極基体と、前記
陰極スリーブを包囲するように、その外側に同軸的に配
置された筒状ホルダーと、一端部が該陰極スリーブの外
側に固定され、他端部が該筒状ホルダーの内側に固定さ
れた複数のストラップと、該陰極スリーブの内側に配置
されたヒーターとを具備することを特徴とする請求項1
3に記載の陰極線管用含浸型陰極構体。 - 【請求項15】 前記含浸型陰極構体は、クライストロ
ン用であることを特徴とする請求項12記載の含浸型陰
極構体。 - 【請求項16】 少なくとも請求項1ないし7のいずれ
か1項に記載の含浸型陰極基体と、該含浸型陰極基体を
支持する支持筒と、該支持筒に内蔵され、かつ絶縁物に
埋め込まれてなるヒーターとを具備することを特徴とす
る請求項15に記載のクライストロン用含浸型陰極構
体。 - 【請求項17】 請求項12の含浸型陰極構体を設けた
電子銃を有することを特徴とする電子銃構体。 - 【請求項18】 前記電子銃は陰極線管用であることを
特徴とする請求項17に記載の電子銃構体。 - 【請求項19】 請求項13に記載の含浸型陰極構体
と、該含浸型陰極構体の電子放射面側に同軸的に配置さ
れた複数のグリット電極と、前記複数のグリット電極の
前面に、同軸的に配置されたコンバージェンス電極とを
有する電子銃と、前記電子銃に接続される分圧用の抵抗
器とを具備することを特徴とする請求項18に記載の陰
極線管用電子銃構体。 - 【請求項20】 前記電子銃はクライストロン用である
ことを特徴とする請求項17に記載の電子銃構体。 - 【請求項21】 請求項15の含浸型陰極構体と、該含
浸型陰極構体を内蔵する陰極部と、該含浸型陰極構体の
電子放射面に同軸的に配置された陽極部を具備する請求
項20に記載のクライストロン用電子銃構体。 - 【請求項22】 請求項12ないし16のいずれか1項
に記載の構体を具備する電子管。 - 【請求項23】 前記電子管は、陰極線管用であること
を特徴とする請求項22に記載の電子管。 - 【請求項24】 フェース部を有する真空外囲器と、該
フェース部内面に設けられた蛍光体層と、該真空外囲器
のフェース部に対向する位置に配置された請求項18の
電子銃構体と、前記蛍光体層と該電子銃構体の間に配置
されたシャドウマスクを具備することを特徴とする請求
項23に記載の陰極線管用電子管。 - 【請求項25】 前記電子管は、クライストロン用であ
る請求項22に記載の電子管。 - 【請求項26】 請求項21の電子銃構体と、該電子銃
構体の電子放射面側に同軸的に配置された複数の共振空
胴がドリフト間で連結された高周波作用部及びコレクタ
部と、該高周波作用部の外周部に配置された磁界発生装
置を具備し、クライストロンに使用される請求項25に
記載の用電子管。 - 【請求項27】 請求項12の含浸型陰極構体を設けた
電子銃構体と、該含浸型陰極構体の電子放射面側に同軸
的に配置された信号を増幅する遅波回路と、電子ビーム
を細くするコレクタ部を具備し、進行波管に使用される
ことを特徴とする請求項22に記載の電子管。 - 【請求項28】 請求項12の含浸型陰極構体を設けた
電子銃構体と、該含浸型陰極構体の電子放射面側に配置
された次第に径が小さくなるテーパ状の電子ビーム圧縮
部と、該テーパ状電子ビーム圧縮部に連続的に配置され
た空胴共振部と、前記空胴共振部に連続的に配置された
次第に径が大きくなるテーパ状電磁波案内部と、電子ビ
ームを捕捉するコレクタ部と、前記共振空胴部の外周部
に配置された磁場発生装置を具備し、ジャイロトロンに
使用されることを特徴とする請求項22に記載の電子
管。
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---|---|---|---|
JP14452496A JP3720913B2 (ja) | 1995-06-09 | 1996-06-06 | 含浸型陰極構体、これに用いられる陰極基体及びこれを用いた電子管 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14312795 | 1995-06-09 | ||
JP7-143127 | 1995-06-09 | ||
JP14452496A JP3720913B2 (ja) | 1995-06-09 | 1996-06-06 | 含浸型陰極構体、これに用いられる陰極基体及びこれを用いた電子管 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH0955159A true JPH0955159A (ja) | 1997-02-25 |
JP3720913B2 JP3720913B2 (ja) | 2005-11-30 |
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ID=26474929
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14452496A Expired - Fee Related JP3720913B2 (ja) | 1995-06-09 | 1996-06-06 | 含浸型陰極構体、これに用いられる陰極基体及びこれを用いた電子管 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3720913B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004103563A (ja) * | 2002-07-18 | 2004-04-02 | New Japan Radio Co Ltd | 含浸型陰極およびその製造方法 |
JP2011129361A (ja) * | 2009-12-17 | 2011-06-30 | Toshiba Corp | 含浸型陰極構体 |
JP2014089881A (ja) * | 2012-10-30 | 2014-05-15 | Nuflare Technology Inc | カソード選別方法 |
-
1996
- 1996-06-06 JP JP14452496A patent/JP3720913B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004103563A (ja) * | 2002-07-18 | 2004-04-02 | New Japan Radio Co Ltd | 含浸型陰極およびその製造方法 |
JP2011129361A (ja) * | 2009-12-17 | 2011-06-30 | Toshiba Corp | 含浸型陰極構体 |
JP2014089881A (ja) * | 2012-10-30 | 2014-05-15 | Nuflare Technology Inc | カソード選別方法 |
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JP3720913B2 (ja) | 2005-11-30 |
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