JPH0953702A - 歯車設計方法,歯車および歯車測定方法 - Google Patents

歯車設計方法,歯車および歯車測定方法

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JPH0953702A
JPH0953702A JP13792396A JP13792396A JPH0953702A JP H0953702 A JPH0953702 A JP H0953702A JP 13792396 A JP13792396 A JP 13792396A JP 13792396 A JP13792396 A JP 13792396A JP H0953702 A JPH0953702 A JP H0953702A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】インボリュート平歯車を除くインボリュート歯
車において、回転騒音を低減させる。 【解決手段】インボリュート平歯車を除くインボリュー
ト歯車の軸受荷重の変動が0となるときのその歯車の接
触点軌跡を、その歯面と作用面との交線に直角な直線で
あって、軸直角平面(図において一点鎖線で示す)に対
して傾斜した直線として求め、歯車対の各歯面のうち歯
面上の接触点軌跡に沿って延びる中央領域においては、
基準となるインボリュートヘリコイドを歯面としてその
まま残す一方、その両側領域においては、インボリュー
トヘリコイドを修整し、この領域を非歯当たり領域とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インボリュート歯
車に関するものであり、特に、その歯面に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】歯車の回転騒音を低減させるには、歯車
の運動とその運動に伴ってその歯車に生じる荷重変動
(動荷重)とをそれぞれ解析したり、その解析結果に基
づいて歯車を設計することが有効である。それら解析お
よび設計のための理論として、歯形論、すなわち、幾何
学的に共役な歯面対とその接触状況とをそれぞれ記述す
るための理論と、動荷重論、すなわち、歯車対の運動と
その歯車対に作用する動荷重とをそれぞれ記述するため
の理論とがある。
【0003】そして、従来の歯形論は、各歯車と共に回
転しない静止座標系と各歯車と共に回転する回転座標系
とをそれぞれ定義し、各歯車について与えられた角速度
から、静止座標系上において、歯車対の各接触点毎に、
歯車対の接触の条件式を満足する共通法線を求め、回転
座標系上において、それら接触点の軌跡と共通法線とか
ら各歯車の歯形曲線を記述する。この従来の歯車論は、
歯面同士の接触点とその共通法線とをそれぞれピッチ回
転体(ピッチ円筒またはピッチ円錐)を介して記述す
る。
【0004】また、従来の動荷重論は、歯車対の運動は
歯面誤差による周期的強制変位を受ける質量−ばね系の
振動に等価的に置換できると仮定し、しかも、歯車対に
おける荷重の作用線が常に各歯車の設計基礎円同士の共
通接線上にあると仮定して、例えば円筒歯車対について
は図31に示す基本モデルによって歯車対の運動および
動荷重を記述する。
【0005】一方、歯車騒音の低減対策の一従来例が特
開平3−28565号公報に記載されている。これは、
歯車対の噛み合い回転時における同時接触線の長さの全
歯面での総和の時間的変動を低減させ、振動,騒音の原
因であると考えられる歯車対のばね剛性の時間的変動を
低減させることによって歯車騒音を低減させようという
ものであり、同時接触線の長さの総和の時間的変動が低
減されるように歯車の各歯面に面取り部を設ける技術で
ある。
【0006】また、歯車騒音の解析や歯形修整,騒音低
減対策等に先立ち、各歯車の実際の歯面形状(無負荷
時)を測定することが行われている。そして、従来、そ
の歯車測定は、図32に示すように、各歯面と軸直角平
面との交線に沿った誤差を歯形誤差として測定し、ま
た、各歯面とそれの回転軸線と同心の円筒面との交線に
沿った誤差を歯すじ誤差を測定することが行われてい
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の歯形論
は、前述のように、歯面同士の接触点とその共通法線と
をそれぞれピッチ回転体を介して記述するため、円筒歯
車からハイポイドギヤまでのすべての歯車対の接触の問
題を角速度が変化する場合を含めて統一的に記述するこ
とができなかった。
【0008】また、従来の動荷重論は、歯車対における
荷重の作用線が常に各歯車の設計基礎円同士の共通接線
上にあると仮定して動荷重を記述するものであるが、歯
面が誤差とたわみとを持つときには、作用線がその共通
接線から外れてしまうと考えるのが妥当であるため、こ
の従来理論では、歯車対の実際の運動および動荷重を十
分には正確に記述することができなかった。しかも、こ
の従来理論は、上述の従来の歯形論と同様に、いずれ
も、インボリュート円筒歯車をのみ適用対象としてお
り、それ以外のインボリュート歯車、例えば、ハイポイ
ドギヤ,かさ歯車については適用できなかった。
【0009】かかる従来技術を背景とし、請求項1ない
し5に係る第1ないし第5発明は、歯車対の幾何学的な
歯形形状を、インボリュート円筒歯車のみならずそれ以
外のインボリュート歯車について統一的に記述し、それ
に基づいて歯車対を設計する方法を提供することを課題
としてなされたものである。特に、第2発明は、第1発
明において、回転騒音が低減された歯車対を設計するこ
とを課題としてなされたものである。また、第3発明
は、その第2発明の望ましい一実施形態を提供すること
を課題としてなされたものである。また、第4発明は、
第1ないし第3発明により取得された歯形形状を実現す
る歯車を高品質でかつ効率よく設計する方法を提供する
ことを課題としてなされたものである。また、第5発明
は、媒介座標系から静止座標系を経ることなく、直接
に、回転座標系において歯形曲線を取得することを課題
としてなされたものである。請求項6に係る第6発明
は、第1ないし第5発明をそれぞれ実施するための歯車
設計プログラム記録媒体を提供することを課題としてな
されたものである。請求項7に係る第7発明は、インボ
リュート平歯車を除くインボリュート歯車において、接
触点軌跡と軸受荷重変動との関係を考慮し、回転騒音を
低減させることを課題としてなされたものである。請求
項8に係る第8発明は、ハイポイドギヤやかさ歯車等、
噛み合わされるべき相手歯車の回転軸と非平行である回
転軸を有する歯車において、回転騒音を低減させること
を課題としてなされたものである。請求項9および10
に係る第9および第10発明は、インボリュート平歯車
を除くインボリュート歯車につき、歯車対の動荷重の解
析に適したデータを直接にかつ簡単に測定可能な歯車測
定方法を提供することを課題としてなされたものであ
る。
【0010】
【第1発明の課題解決手段,作用および効果】第1発明
は、その課題を解決するために、インボリュートヘリコ
イドを歯面とする歯車を設計する方法であって、前記歯
車に対して、(a) 互いに直交する3座標軸のうちの1つ
がその歯車の回転軸に一致し、他の2座標軸のうちの1
つが、その歯車の回転軸とその歯車が噛み合わされるべ
き相手歯車の回転軸との共通垂線に一致する静止座標系
と、(b)互いに直交する3座標軸のうちの1つが前記静
止座標系の3座標軸のうち前記歯車の回転軸に一致する
ものに一致し、その一致する座標軸を中心にしてその歯
車と共に回転するとともに、その歯車の回転角が0であ
るときに他の2座標軸が前記静止座標系の他の2座標軸
にそれぞれ一致する回転座標系と、(c) 前記静止座標系
を前記歯車の回転軸を中心に、かつ、その静止座標系の
前記他の2座標軸のうちの1つが前記歯車の作用面と平
行になるように回転変換した媒介座標系とをそれぞれ想
定し、前記媒介座標系において、前記歯車の回転中、そ
の歯車と前記相手歯車との間で互いに噛み合う歯面対の
接触点が描く軌跡と、その歯面対に対する各接触点にお
ける法線である共通法線の傾き角とをそれぞれ、前記歯
車の回転角を助変数とする第1関数によって記述し、前
記静止座標系において、前記第1関数と、その静止座標
系と前記媒介座標系との相対位置関係とに基づき、前記
接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転角
を助変数とする第2関数によって記述し、これにより、
静止座標系における接触点軌跡と共通法線傾き角とをそ
れぞれ取得し、前記回転座標系において、前記第2関数
と、その回転座標系と前記静止座標系との相対位置関係
とに基づき、前記接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれ
ぞれ、前記回転角を助変数とする第3関数によって記述
し、これにより、前記歯車の歯形曲線を取得することを
特徴とする。
【0011】後に詳述するが、各歯車に対して歯車対の
2軸とそれら2軸の共通垂線とをそれぞれ基準にして固
定的に想定された静止座標系と、各歯車に対して想定さ
れた各歯車と共に回転する回転座標系との他に、その静
止座標系をそれの一座標軸が歯車対の作用面に平行にな
るように回転変換した別の座標系であって、回転座標系
との間に一定の相対位置関係が成立するものを設け、そ
の別の座標系を媒介座標系として用いれば、従来の歯形
論におけるように、各歯車の歯形曲線をピッチ回転体を
介在させることなく、直接にもとの静止座標系において
回転角の関数として記述することも、直接に回転座標系
において回転角の関数として記述することも可能とな
る。かかる知見に基づき、この第1発明はなされたもの
である。
【0012】したがって、この第1発明によれば、歯車
の歯面形状が直接、各基本座標系上において記述される
から、円筒歯車からハイポイドギヤまでのすべての歯車
対の接触の問題を統一的に記述することができ、歯車の
設計の簡単化が図られるという効果が得られる。さら
に、この第1発明によれば、歯車の歯面形状を、歯面の
誤差やたわみによって歯車対の角速度比が変化する場合
でも正確に記述可能となり、インボリュート歯車の設計
精度の向上を容易に図り得るという効果も得られる。
【0013】以下、この第1発明を補足説明する。 (1) この第1発明において「インボリュートヘリコイ
ド」とは、歯車の回転軸に沿って一定速度で進むにつれ
てインボリュート曲線を0または一定速度で回転させる
ことによって描かれる曲線をいう。 (2) この第1発明において「歯車」とは、歯車対ではな
く歯車単体を意味する。 (3) この第1発明における「歯車」と噛み合わされるべ
き相手歯車は、歯面がインボリュートヘリコイドであっ
てもそれ以外の曲面でもよく、要するに、「歯車」の歯
面と共役な歯面であればよい。 (4) この第1発明における「歯形曲線」は、実際の接触
点軌跡を反映した曲線を意味している。したがって、
「歯車」が平歯車である場合には、実際の接触点軌跡が
その歯車の軸直角平面上にあるから、「歯形曲線」はそ
の歯車の歯の軸直角断面の外形線に一致するが、それ以
外の歯車である場合には、実際の接触点軌跡がその歯車
の軸直角平面上にはないから、「歯形曲線」はその歯車
の歯の軸直角断面の外形線に一致しない。 (5) この第1発明を実施するに際し、前記回転座標系に
おいて、前記第1関数と、その回転座標系と前記媒介座
標系との相対位置関係とに基づき、前記接触点軌跡と共
通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転角を助変数とする
関数によって記述することによっても前記歯車の歯形曲
線を取得することが可能である。静止座標系と媒介座標
系との間にも一定の相対位置関係が成立するからであ
り、この場合、その関数は前記第3関数と実質的に同じ
ものとなる。
【0014】(6) この第1発明における「歯車」が、そ
れの歯面と共役である歯面を有する歯車I(この第1発
明における「歯車」を歯車IIという。)と歯車対を構成
する場合には、この第1発明の一実施形態として例えば
次のものを採用することができる。すなわち、歯車Iに
対して、前記静止座標系C2 ,媒介座標系Cq2および回
転座標系Cr2とそれぞれ種類が同じ静止座標系C1 ,媒
介座標系Cq1および回転座標系Cr1をそれぞれ想定し、
前記歯車対が歯面接触の運動条件を満たして回転する際
の各歯車I,IIの角速度比iを求め、前記歯車Iの回転
角θ1 を、その角速度比iと前記歯車IIの回転角θ2
に基づいて記述し、前記媒介座標系Cq1において、前記
接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記歯車I
の回転角θ 1 を助変数とする第4関数によって記述し、
前記静止座標系C1 において、前記第4関数と、前記静
止座標系C1 と媒介座標系Cq1との相対位置関係とに基
づき、前記接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、
前記回転角θ1 を助変数とする第5関数によって記述
し、これにより、静止座標系C1 における歯車Iの接触
点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ取得し、前記回転
座標系Cr1において、前記第4関数と、前記回転座標系
と媒介座標系との相対位置関係とに基づき、前記接触点
軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転角θ1
助変数とする第6関数によって記述し、これにより、前
記歯車Iの歯形曲線を取得することを特徴とする歯車設
計方法を採用することができるのである。そして、この
実施形態によれば、歯車の歯面形状が、歯面の誤差やた
わみによって歯車対の角速度比が変化する場合でも、正
確に記述され、インボリュート歯車の設計精度の向上が
図られるという効果が得られる。
【0015】
【第2発明の課題解決手段,作用および効果】第2発明
は、第1発明に係る歯車設計方法であって、さらに、前
記歯車に対して、その歯車の回転軸をその歯車の両側に
おいてそれぞれ回転可能に支持する一対の軸受を想定
し、前記歯車の前記接触点軌跡と共通法線傾き角とをそ
れぞれ、その歯車の回転に伴って前記一対の軸受に作用
する荷重の変動が実質的に0になるように取得する接触
状態取得工程を含むことを特徴とする。
【0016】後に詳述するが、本発明者は、歯車対から
励起される荷重変動は、静荷重Fq2 0 (=−T2 /R
b20 )の静止空間における作用点,傾き角の変化による
トルクまたは荷重変動(下記の(1) 〜(4) )と、回転変
動に起因するトルク変動(下記の(5) )とを含むことに
気がついた。 (1) 作用面の傾き角χ2 (θ2 )(図15のχ20参照)
の変動(Δχ2 )によるvq2c 軸方向の荷重変動(F
q20 Δχ2 ) (2) 接触点における共通法線の作用面G2 上の傾き角ψ
b2(θ2 )(図15のψb20 参照)の変動(Δψb2)に
よるz2C軸方向の荷重変動(Fq20 Δψb2) (3) 接触点における共通法線が接する基礎円筒の半径R
b2(θ2 )(図15のRb20 参照)の変動(ΔRb2)に
よるz2c軸周りのトルク変動(Fq20 ΔRb2) (4) 接触点の軌跡(図15参照)の作用面G2 上の傾き
角の変動(歯当たりの不適切)によって生じるvq2c
周りのトルク変動{Fq20 Δq2c(tan ηb2−tan ψ
b20 )} (5) 歯車対の回転変動によって生じる、前記z2c軸周り
のトルク変動 実際の歯形曲線の、角速度比(=入出力トルク比)一定
の運動を伝達する理想的な歯形曲線からの偏差(誤差お
よびたわみ)による不等速運動の結果生じる。
【0017】しかし、従来の動荷重論における動荷重増
分は上記の(5) 項のみを対象としていたが、実際には上
記のように静荷重の変動に起因する動荷重増分も考慮す
る必要がある。一方、歯車対を設計するに際し、歯車対
自体の運動のみならず、その歯車対を回転可能に支持す
る軸受に作用する荷重をも考慮すれば、歯車運動系全体
について荷重変動を正確に記述することができる。ま
た、その軸受荷重の変動が実質的に0になるようにすれ
ば、歯車対の回転騒音が低減される。
【0018】かかる知見に基づき、この第2発明はなさ
れたものであり、したがって、この第2発明によれば、
回転騒音が低減されたインボリュート歯車を簡単に設計
し得るという効果が得られる。
【0019】
【第3発明の課題解決手段,作用および効果】第3発明
は、その課題を解決するために、第2発明に係る歯車設
計方法であって、前記接触状態取得工程が、前記接触点
軌跡を、前記静止座標系において、前記歯車が回転する
にもかかわらず固定され、かつ、前記各接触点において
前記共通法線と一致する直線として取得する工程である
ことを特徴とする。
【0020】後に詳述するが、インボリュート歯車につ
いては、それの軸受荷重の変動が実質的に0となるため
に、接触点軌跡が、歯車が回転するにもかかわらず静止
座標系上で固定され、かつ、その接触点軌跡における各
接触点において前記共通法線と一致する直線となること
が必要である。かかる知見に基づき、この第3発明はな
されたものである。したがって、この第3発明によれ
ば、第2発明の望ましい一実施形態が提供されるという
効果が得られる。
【0021】なお、前記歯車がインボリュート平歯車で
ある場合には、接触点軌跡が当該歯車の軸直角平面に平
行な直線として取得され、それ以外の歯車である場合に
は、その軸直角平面に対して傾斜した直線として取得さ
れる。
【0022】
【第4発明の課題解決手段,作用および効果】第4発明
は、その課題を解決するために、第1ないし第3発明の
いずれかに係る歯車設計方法であって、さらに、前記取
得された歯形曲線を含むとともに前記相手歯車の歯面と
干渉しない曲面を前記歯車の歯面に決定する歯面決定工
程を含むことを特徴とする。
【0023】歯車の設計においては、例えば、まず、接
触点軌跡と共通法線傾き角とがそれぞれ決定され、次
に、それらに基づき、歯形曲線が決定される。一方、前
述のように、3種類の基本座標系を使用すれば、歯車を
直接に各基本座標系において記述することが可能とな
る。また、歯車の歯面の形状を設計するに際し、最も重
要であるのが歯当たり面に形成されるべき歯形曲線であ
り、各歯面のうちそれ以外の部分はそれほど重要ではな
い。かかる知見に基づき、この第4発明はなされたもの
である。
【0024】したがって、この第4発明によれば、歯面
のうち歯車対の回転に重要な部分が正確に設計され、設
計品質が向上するという効果が得られる。さらに、この
第4発明によれば、接触点軌跡が決定されればそれを忠
実に再現する歯面を簡単に設計可能となるという効果も
得られる。さらにまた、この第4発明によれば、歯面の
うち歯車対の回転にそれほど重要でない部分について無
駄な設計が省略可能となるから、インボリュート歯車の
設計効率が向上するという効果も得られる。
【0025】
【第5発明の課題解決手段,作用および効果】第5発明
は、その課題を解決するために、インボリュートヘリコ
イドを歯面とする歯車を設計する方法であって、前記歯
車に対して、(a) 互いに直交する3座標軸のうちの1つ
がその歯車の回転軸に一致し、他の2座標軸のうちの1
つが、その歯車の回転軸とその歯車が噛み合わされるべ
き相手歯車の回転軸との共通垂線に一致する静止座標系
と、(b)互いに直交する3座標軸のうちの1つが前記静
止座標系の3座標軸のうち前記歯車の回転軸に一致する
ものに一致し、その一致する座標軸を中心にしてその歯
車と共に回転するとともに、その歯車の回転角が0であ
るときに他の2座標軸が前記静止座標系の他の2座標軸
にそれぞれ一致する回転座標系と、(c) 前記静止座標系
を前記歯車の回転軸を中心に、かつ、その静止座標系の
前記他の2座標軸のうちの1つが前記歯車の作用面と平
行になるように回転変換した媒介座標系とをそれぞれ想
定し、前記媒介座標系において、前記歯車の回転中、そ
の歯車と前記相手歯車との間で互いに噛み合う歯面対の
接触点が描く軌跡と、その歯面対に対する各接触点にお
ける法線である共通法線の傾き角とをそれぞれ、前記歯
車の回転角を助変数とする第1関数によって記述し、前
記回転座標系において、前記第1関数と、その回転座標
系と前記媒介座標系との相対位置関係とに基づき、前記
接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転角
を助変数とする第2関数によって記述し、これにより、
前記歯車の歯形曲線を取得することを特徴とする。
【0026】前記第1ないし第4発明を実施する場合に
は、媒介座標系から静止座標系を経て回転座標系におい
て歯形曲線が取得されることになるが、静止座標系と回
転座標系との間に一定の相対位置関係が成立することか
ら、静止座標系を経ることなく直接に回転座標系におい
て歯形曲線を取得することが可能となる。したがって、
歯形曲線の取得は必要であるが、静止座標系における接
触点軌跡および共通法線傾き角の取得は不要である場合
には、媒介座標系から直接に歯形曲線を取得すれば、歯
形曲線を比較的簡単に取得可能となる。
【0027】かかる知見に基づき、この第5発明に係る
歯車設計方法においては、歯車に対して、前記静止座標
系と回転座標系と媒介座標系とがそれぞれ想定され、前
記媒介座標系において、接触点軌跡と共通法線傾き角と
がそれぞれ、前記歯車の回転角を助変数とする第1関数
によって記述され、前記回転座標系において、前記第1
関数と、その回転座標系と前記媒介座標系との相対位置
関係とに基づき、前記接触点軌跡と共通法線傾き角とが
それぞれ、前記回転角を助変数とする第2関数によって
記述され、これにより、前記歯車の歯形曲線が取得され
る。したがって、この第5発明によれば、歯形曲線を比
較的簡単に取得可能となるという効果が得られる。
【0028】
【第6発明の課題解決手段,作用および効果】第6発明
は、その課題を解決するために、第1ないし第5発明の
いずれかに係る歯車設計方法を実行するためにコンピュ
ータにより実行されるべきプログラムが予め記録されて
いることを特徴とする歯車設計プログラム記録媒体に関
するものである。
【0029】したがって、この第6発明によれば、第1
ないし第5発明をそれぞれ実施するためのコンピュータ
プログラムが提供され、このコンピュータプログラムを
コンピュータにより実行すれば第1ないし第5発明のそ
れぞれの効果が享受でき、前述のように、歯車設計の簡
単化および歯車設計の高精度化が図られるという効果が
得られる。なお、ここにおける「記録媒体」には例え
ば、フロッピーディスク,磁気テープ,磁気ディスク,
磁気ドラム,磁気カード,光ディスク,光磁気ディス
ク,ROM,CD−ROM,ICカード,穿孔テープ等
がある。
【0030】
【第7発明の課題解決手段,作用および効果】第7発明
は、その課題を解決するために、インボリュート平歯車
を除き、インボリュートヘリコイドを歯面とする歯車に
おいて、それの歯面のうち、その歯面と前記歯車の作用
面との交線にほぼ直角な一対の平面で挟まれる領域を歯
当たり領域としたことを特徴とする。
【0031】各歯車の歯形曲線は、歯車対が回転する
際、各歯面において歯面同士の接触点が移動する軌跡を
意味しており、すなわち、歯当たりを意味している。ま
た、前述のように、インボリュートヘリコイドを歯面と
する歯車については、その歯面上の前記接触点軌跡に対
応する曲線になっている。また、従来の動荷重論では、
歯当たりの選択(前記の(4) 項)は、歯車対の組付け誤
差,たわみを補正して回転変動の軽減(前記の(5) 項)
を実現する補助的な手段であると考えられていたが、接
触点の軌跡と共通法線との関係を特定する条件であっ
て、静荷重変動低減のためにも重要な手段であることに
気がついた。また、インボリュートヘリコイドを歯面と
する歯車については、歯車対の回転騒音を低減させるた
めには、軸受荷重の変動を低減させることが必要であ
り、その変動低減のためには、歯面においてそれの歯形
曲線に沿って歯当たりをつけることが有効である。かか
る知見に基づき、この第7発明はなされたものであり、
したがって、この第7発明によれば、軸受荷重の変動が
低減され、回転騒音が低減されたインボリュート歯車が
提供されるという効果が得られる。
【0032】なお、この第7発明において「インボリュ
ート平歯車を除き、インボリュートヘリコイドを歯面と
する歯車」を例示列挙すれば、歯車対の2回転軸が互い
に平行である円筒歯車に属するものとして、はすば歯車
があり、歯車対の2回転軸が非平行である歯車に属する
ものとして、かさ歯車,ハイポイドギヤ,ウォームギ
ヤ,ねじ歯車がある。なお、それらかさ歯車,ハイポイ
ドギヤ,ウォームギヤ,ねじ歯車は、歯車対の2回転軸
が交わる歯車に属するかさ歯車と、歯車対の2回転軸が
オフセットする歯車に属するハイポイドギヤ,ウォーム
ギヤおよびねじ歯車とに分類することができる。
【0033】
【第8発明の課題解決手段,作用および効果】第8発明
は、その課題を解決するために、第7発明に係る歯車で
あって、それの回転軸が、その歯車と噛み合わされるべ
き相手歯車の回転軸と非平行であることを特徴とする。
【0034】前述のように、歯車の回転騒音を低減させ
るためには、軸受荷重の変動を低減させることが必要で
あり、そのためには、回転変動によるトルク変動のみな
らず、静荷重の作用点,傾き角の変化によるトルクまた
は荷重の変動をも軽減することが必要である。一方、か
さ歯車やハイポイドギヤ等、噛み合わされるべき相手歯
車の回転軸と非平行である回転軸を有する歯車において
も、歯面をインボリュートヘリコイドとすることによ
り、共通法線の作用面上の傾き角変動,基礎円筒の半径
変動および作用面の角度変動を低減させることができる
ため、回転騒音低減のため、歯面をインボリュートヘリ
コイドとすることが重要である。かかる知見に基づき、
この第8発明はなされたものであり、したがって、この
第8発明によれば、回転騒音が低減されたハイポイドギ
ヤやかさ歯車が得られるという効果が得られる。
【0035】
【第9発明の課題解決手段,作用および効果】第9発明
は、その課題を解決するために、インボリュート平歯車
を除き、インボリュートヘリコイドを歯面とする歯車を
測定するであって、測定すべき歯車と測定子とを、その
測定子が前記歯面に沿って、かつ、その歯面と前記歯車
の作用面との交線にほぼ直角な方向に移動するように相
対変位させている状態で、前記歯面のうち前記交線にほ
ぼ直角な方向における形状誤差を測定することを特徴と
する。
【0036】まず、従来の歯車測定方法を図32に基づ
いて具体的に説明する。インボリュートヘリコイドであ
る歯面と作用面G20との交線w0 は、歯車の回転と共
に、その作用面G20上を移動する。なお、交線wは、歯
車対の軸角Σが0またはπである場合には、歯車対の接
触線に完全に一致するが、そうでない場合には、図33
に示すように、歯車対の接触線に完全には一致しないが
ほぼ一致するものとなる。ここで、図32において交線
0 上の一点を点P0 とし、かつ、角度θ2 の回転後に
は交線w0 が図において交線wに移動しているものと仮
定すれば、軸直角平面Z2 上では、点P0 は点Pq に移
動しているから、点Pq のq2C方向(作用面G20に平行
な方向)の誤差を測定して歯形誤差としている。また、
点P0 は軸方向には点Pz に移動しているから、点Pz
のq2c方向誤差を測定して歯すじ誤差としている。しか
し、このような従来の歯車測定方法は、歯面の幾何学的
形状誤差を主眼として行われるものであり、また、イン
ボリュート平歯車については有用であるが、それ以外の
インボリュート歯車につき、歯車対の運動および動荷重
の解析を行うためには、同図に示すように、接触点の軌
跡g0 近傍の歯面情報が重要でかつ直接に必要な情報で
あり、それ以外の情報はそれほど重要な情報ではない。
そこで、この第9発明は、幾何学的形状の測定という観
点からではなく、動荷重の解析という観点から新たな歯
車測定法を提供することを課題としてなされたものであ
り、したがって、この第9発明によれば、測定子を歯面
と作用面との交線にほぼ直角な方向(歯形曲線)に作用
面上を移動させることは、測定子を接触点軌跡に沿って
移動させることを意味するから、実際歯面のうち接触点
軌跡近傍の形状誤差が直接に測定され、動荷重の解析に
適した歯車測定が可能になるという効果が得られる。
【0037】
【第10発明の課題解決手段,作用および効果】第10
発明は、その課題を解決するために、第9発明に係る歯
車測定方法であって、前記誤差としての第1誤差の他
に、前記測定すべき歯車と前記測定子とを、その測定子
が前記歯面に沿って、かつ、前記交線にほぼ平行な方向
に移動するように相対変位させている状態で、前記歯面
のうち前記交線にほぼ直角な方向における形状誤差を第
2誤差として測定することを特徴とする。
【0038】前記第9発明を実施し、測定子を歯面と作
用面との交線にほぼ直角な方向(歯形曲線)に移動させ
ることによって測定された誤差が許容範囲内であったと
しても、その歯面におけるその交線に平行な方向におけ
る形状の誤差が許容範囲外であり、例えば、その形状が
歯すじ端に向かうにつれて基準となるインボリュートヘ
リコイドから適正量で減少しない場合(歯すじ方向にお
けるクラウニングが適切でない場合)には、その歯面で
は理想接触点軌跡が実現されない。すなわち、実際歯面
によって理想接触点軌跡が実現され、回転騒音が低減さ
れた歯面が形成されているか否かを判定するためには、
歯面において前記交線に直角な方向におけるのみならず
その交線にほぼ平行な方向においても形状誤差を測定
し、歯面全体について形状誤差を測定することが有効な
のである。かかる知見に基づき、この第10発明はなさ
れたものであり、したがって、この第10発明によれ
ば、実際歯面における接触点軌跡の誤差を3次元的に測
定可能となり、理想接触点軌跡が実現されているか否
か、すなわち、作用面ねじれ角ψb20 が実現されている
か否かを正しく判定可能となるという効果が得られる。
なお、前述のように、歯車対の軸角Σが0またはπであ
る場合には、歯車対の接触線が歯面と作用面との交線に
完全に一致するのに対し、そうでない場合には、完全に
は一致しないが、ほぼ一致する。
【0039】
【発明の補足説明】まず、第1発明の作用を詳細に説明
する。 1.新歯形論における歯形曲線 図10は、ある瞬間に角速度ω1i,ω2i(図示方向が正
のベクトル)で回転し、一定の入出力トルクT1 ,T2
(それぞれω1iとω2iと同方向が正のベクトル)を伝達
する歯面I,IIが点Pi で接触し、歯面IIに集中荷重の
法線力FN2i 、歯面I上にその反作用としてFN1i (=
−FN2i )を受けている状態を示している。接触点Pi
における歯面I,IIの共通法線を単位ベクトルni で表
わすものとすれば、ni は集中荷重の法線力の作用線
(有向)をも同時に表わしている。
【0040】歯車対がある任意の角度だけ回転したと
き、接触点はPj に移り、角速度はω 1j,ω2jに、集中
荷重の法線力はFN1j ,FN2j に変化したと仮定すれ
ば、Pij は各接触点において共通法線がそれぞれn
i ,nj となる接触点の軌跡を描くことになる。この接
触点の軌跡Pi j と共通法線ni ,nj とを各歯車と
共に回転する空間に変換すれば、歯形曲線I,IIが歯面
I,IIと全く同じ運動を伝達する空間曲線として定義さ
れ、歯面上の集中荷重の移動軌跡(歯当り)を表わすこ
とになる。この歯形曲線I,IIが新歯形論における歯形
曲線であり、各点で法線(または面素)をもつ空間曲線
になっている。
【0041】したがって、歯面I,IIの接触点近傍の接
触状態とこの歯車対の力学的な運動を考える場合には、
歯面I,IIの替わりに歯形曲線I,IIを考えれば十分で
ある。また、歯形曲線I,IIが与えられれば、全く同じ
力学的運動を伝達する歯面I,IIは歯形曲線I,IIを含
むとともに互いに干渉しない一対の曲面であればよく、
互いに共役な歯面対はその一つであるに過ぎない。
【0042】ここで集中荷重とその作用点とは任意の歯
面対の分布荷重(接触楕円を形成している)の合力とそ
の作用点を意味している。したがって、接触点は同時に
集中荷重の作用点であり、集中荷重に応じたたわみを含
んでいる。また、各歯面対は1ピッチの位相差をもつ同
一曲面であるから、負荷状態に応じて静止空間に同一の
接触点の軌跡(たわみを含む)を描くことになり、複数
かみあいの場合には、任意の回転角における隣接する歯
面対の分担する集中荷重がピッチ分だけ位相をずらして
上記接触点の軌跡上に並んでいる。
【0043】2.基本座標系 図11は、接触点の軌跡Pi j 上の任意点をPとし、
点Pおよび点Pにおける集中荷重の法線力FN2,FN1
共通法線n(集中荷重の作用線)を座標系C1,C2
座標系Cq1,Cq2を用いて示したものである。
【0044】2軸I,IIの軸角Σ、オフセットE(≧
0,点C1 と点C2 との距離)およびその角速度ω1
ω2 の方向が与えられている。2軸の共通垂線にω2 ×
ω1 の方向を正とする方向をもたせ、有向共通垂線vc
とするとき、2軸I,IIと共通垂線vc との交点をC
1 ,C2 とし、vc 軸に関してC2 がC1 の上にある場
合を扱うものとする。ただし、C2 がC1 の下にある場
合も全く同様である。
【0045】集中荷重の法線力FN2(共通法線n)を含
み、各歯車軸I,IIに平行な平面を作用面G1 ,G2
定義する。したがって、FN2(共通法線n)は作用面G
1 ,G2 の交線上にある。作用面G1 ,G2 に接し、各
歯車軸を軸とする円筒を基礎円筒と定義し、その半径を
b1,Rb2とする。
【0046】歯車IIの座標系C2 ,Cq2を次のように定
義する。座標系C2 (u2c ,v2c ,z2c)はC2 を原点
とし、II軸上ω2 の方向にz2c軸をとり、共通垂線上に
c と同方向にv2c軸、両軸に垂直にu2c軸を右手系と
なるようにとる。座標系Cq2(q2,vq2,z2c)は、原
点C2 およびz2c軸を共有し、z2c軸を回転軸として平
面v2c=0が作用面G2 に平行になるように座標系C2
をχ2 (図示方向が正)だけ回転させた座標系であり、
2c軸はq2c軸に、v2c軸はvq2 c 軸になっている。
【0047】作用面G2 は座標系Cq2を用いれば、v
q2c =−Rb2で表わされ、座標系C2に対しては、平面
2c=0に対する傾き角がχ2 であり、かつ、基礎円筒
(半径Rb2)に接する平面となっている。
【0048】座標系C2 とCq2との関係は、z2c軸は共
通であるから、 u2c=q2ccos χ2 −vq2c sin χ22c=q2csin χ2 +vq2c cos χ2 作用面G2 はvq2c =−Rb2であるから、基礎円半径R
b2を用いて表わせば、次式(1)、すなわち、 u2c=q2c cosχ2 +Rb2sin χ22c=q2c sinχ2 −Rb2cos χ2 (1) z2C=z2C なる諸式が成立する。
【0049】共通法線nは作用面G2 上にあり、そのq
2c軸成分が正となる方向を向くものと定義すれば、その
2c軸からの傾き角をψb2(図示方向が正)で表わすこ
とができる。そこで、共通法線nの座標系C2 における
傾き角は、有効共通垂線vcに対する作用面G2 の傾き
角φ2 (χ2 の余角)とψb2によってn2c(φ2b2
の形で表わすものと定義する。
【0050】集中荷重の法線力FN2の方向は共通法線は
nの方向を正とし、FN2のq2c軸方向成分、z2c軸方向
の成分をそれぞれ、Fq2,Fz2とする。
【0051】歯車Iについても全く同様にして座標系C
1 (u1C,v1c,z1c)、Cq1(q 1C,vq1c
1C)、作用面G1 、基礎円半径Rb1、共通法線nの傾
き角n1c(φ1 ,ψb1)を定義することができる。座標
系C1 とCq1との関係も、z1c軸は共通であるから全く
同様にして、次式(2)、すなわち、
【0052】 u1c=q1ccos χ1 +Rb1sin χ11c=q1csin χ1 −Rb1cos χ1 (2) z1C=z1C なる諸式で表される。
【0053】座標系C1 とC2 との関係は、次式
(3)、すなわち、 u1c=−u2ccos Σ−z2csin Σ v1c=v2c+E (3) z1c=u2csin Σ−z2ccos Σ なる諸式で表される。
【0054】ここで定義された座標系C1 ,C2 、座標
系Cq1,Cq2が本発明者が新しく提案する新歯形論の基
本座標系である。この基本座標系によって応用範囲を円
筒歯車のみならず、ハイポイドギヤ,かさ歯車まで含め
て考えることを可能としているのである。
【0055】共通法線nの傾き角n(φ1 ,φb1)とn
(φ2 ,φb2)との関係は、nが作用面G1 ,G2 の交
線上にあることから次のように求められる。nの座標系
2 の各軸方向成分は次のように表すことができる。た
だし、共通法線nの絶対値は1である。
【0056】Lu2C =cos ψb2sin φ2 (Lu2C :nの
2C軸方向成分) Lv2C =cos ψb2cos φ2 (Lv2C :nのv2C軸方向成
分) Lz2C =sin ψb2 (Lz2C :nのz2C軸方向成
分)
【0057】座標系C1 の各軸方向成分を座標系C2
各軸方向成分で表せば、前記式(3)を用いて、
【0058】Lu1C =−Lu2C cos Σ−Lz2C sin Σ
(Lu1C :nのu1C軸方向成分) Lv1C =Lv2C (Lv1C :nのv1C軸方向成
分) Lz1C =Lu2C sin Σ−Lz2C cos Σ(Lz1C :nのz
1C軸方向成分)
【0059】したがって、次式(4)、すなわち、
【0060】 tan φ1 =Lu1C /Lv1C =−tan φ2 cos Σ−tan ψb2sin Σ/cos φ2 (4) なる式と、次式(5)、すなわち、 sin ψb1=Lz1C =cos ψb2sin φ2 sin Σ−sin ψb2cos Σ (5) なる式とが得られる。ここで、 φ1 =π/2−χ1 φ2 =π/2−χ2 なる式が成立する。
【0061】3.接触点の軌跡とその共通法線 図12は、接触点の軌跡上の点Pと共通法線n、接平面
W(作用面G2 との交線wで示されている)および微小
角△θ2 だけ回転した後の接触点Pd と共通法線nd
接平面Wd との関係を座標系C2q2上に示したもので
ある。任意の接触点Pおよびその共通法線nの傾き角を
歯車IIの回転角θ2 を助変数として、座標系C2 によっ
て次のように表わすものとする。ただし、回転角θ2
図の方向が正である。
【0062】 P{u2c2),v2c(θ2),z2c(θ2)} n{φ2 (θ2), ψb2(θ2)} ここで、 φ22) =π/2−χ22) なる式が成立する。
【0063】点Pを前記式(1)により座標系Cq2を用
いて表わせば、 P{q2c2), −Rb2(θ2),z2c(θ2)} となり、また、接触点の軌跡の接線の作用面G2 上の傾
き角をηb2(θ2)とすれば、次式(6)、すなわち、 (dz2c/dθ2)/(dq2c/dθ2)=tan ηb2(θ2) (6) なる式が成立する。
【0064】歯車IIが微小角△θ2 だけ回転し、接触点
PはPd に、共通法線nはnd に変化したと仮定すれ
ば、Pd ,nd はそれぞれ次のように表わすことができ
る。
【0065】Pd {q2c2)+△q2c,−Rb2(θ2)
+△Rb2,z2c(θ2)+△z2c} nd {π/2−χ22)−△χ2 ,ψb2(θ2)+△ψb2
【0066】点Pd を通る作用面をG2dとし、G2dが作
用面G2 に平行になるように歯車(2) をΔχ2 だけ回転
させたとき、作用面G2dはG2de に、点Pd はPdeに移
動したと仮定する。さらに、点Pdeの作用面G2 への正
射影をPdfとする。作用面G 2dと点Pd における接平面
d との交線がwd で表され、wd は上記の移動により
作用面G2 上に投影されて点Pdfを通るwd ′で表わさ
れ、また、nd はnd′で表されている。wd ′と点P
を通る軸直角平面との交点がPdgである。Δθ 2 の回転
により、wd ′はwに対して作用面G2 上で△θ2 −△
χ2 だけ回転した位置にあり、また、wd ′は点Pdf
おいてwに対してΔψb2だけ傾いているから、wd ′の
wに対するq2C軸方向の移動量PPdgは次のように表す
ことができる。
【0067】PPdg={Rb2(θ2)−△Rb2/2}( △θ
2 −△χ2)+Δz2CΔψb2/cos 2ψb2(θ2 )=Rb2
(θ2)(△θ2 −△χ2)
【0068】したがって、微小角△θ2 による作用面G
2 上の微小変位△z2cは次のようになる。 △z2c〔tan {ψb2(θ2)+△ψb2}+1/tan {η
b2(θ2)+Δηb2}〕=R b2(θ2)( △θ2 −△χ2) 2次の微小量を省略して、 △z2c=Rb2(θ2)(△θ2 −△χ2)/{tan ψb2(θ
2)+1/tan ηb2(θ2)} 前記式(6)を用いれば、△q2cは次のようになる。
【0069】△q2c=Rb2(θ2)( △θ2 −△χ2)/
{tan ψb2(θ2)tan ηb2(θ2)+1} △Rb2,△χ2 ,△ψb2,△ηb2はθ2 の関数であるか
ら、△θ2 によって形式的に次のように表わすことがで
きる。
【0070】△Rb2= (dRb2/dθ2)△θ2 △ηb2= (dηb2/dθ2)△θ2 △χ2 = (dχ2/dθ2)△θ2 △ψb2= (dψb2/dθ2)△θ2
【0071】それらを0からθ2 まで積分すれば、次式
(7)、すなわち、 q2c(θ2)=∫〔Rb2(θ2)(1−dχ2/dθ2) /{tan ψb2(θ2)tan ηb2(θ2)+1 }〕dθ2 +q2c (0) Rb2( θ2)=∫(dRb2/dθ2)dθ2 +Rb2(0) z2c( θ2)=∫〔Rb2(θ2)(1−dχ2/dθ2) /{tan ψb2(θ2)+1/tan ηb2(θ2)}〕dθ2 +z2c (0) (7) ηb2(θ2)=∫(dηb2/dθ2)dθ2 +ηb2(0) χ22) =∫(dχ2/dθ2)dθ2 +χ2(0)=π/2−φ22) ψb2( θ2)=∫(dψb2/dθ2)dθ2 +ψb2(0) なる諸式が得られる。
【0072】積分定数はθ2 =0のときの接触点P0
座標とその共通法線n0 の傾き角および接触点の軌跡の
接線の作用面上の傾き角を示している。この式(7)が
接触点の軌跡とその共通法線を座標系Cq2によって表わ
す、θ 2 を助変数とする方程式である。この式(7)を
決定するには、設計基準点P0(θ2 =0)における諸
元、すなわち、
【0073】 P0 {q2c (0),−Rb2(0) ,z2c (0)} ηb2(0) n0 {π/2−χ2(0), ψb2(0) } dRb2/dθ2 dηb2/dθ2 dχ2/dθ2 dψb2/dθ2 という合計10個の変数を与えることができればよい。
この式(7)が新歯形論の歯形曲線を記述するための基
礎式である。また、この式(7)が第1発明における第
1関数であり、また、第5発明における第1関数でもあ
る。
【0074】点Pを座標系C2 (u2c,v2c,z2c)に
変換すれば、z2cが共通であるから、前記式(1)を用
いて、次式(8)、すなわち、
【0075】 u2c2)=q2C(θ2)cos χ22)+Rb2(θ2)sin χ22) v2c2)=q2C2)sin χ22)−Rb2(θ2)cos χ22) (8) z2C2)=z2C2) なる諸式が成立する。この式(8)が第1発明における
第2関数である。前記式(2),(3),(4)および
(5)を用いれば、接触点Pおよびその共通法線nの傾
き角を座標系C1 とCq1とにより、θ2 を助変数とし
て、次式(9)、すなわち、
【0076】 P{u1c2),v1c(θ2),z1c(θ2)} n{φ12), ψb1(θ2)} (9) P{q1C2), −Rb1(θ2),z1c(θ2)} なる式で表すことができる。
【0077】4.接触の条件式と歯車Iの回転角θ1 接触点Pの共通法線nは平面G1 ,G2 の交線上にある
から、接触の条件式は、次式(10)、すなわち、
【0078】 Rb1(θ2)(dθ1/dt)cosψb1(θ2)=Rb2(θ2)(dθ2/dt) cos ψb2 (θ2) (10) なる式で表される。したがって、角速度比i(θ2 )お
よび歯車Iの回転角θ1 は、次式(11)、すなわち、
【0079】 i(θ2 )=(dθ1/dt) /(dθ2/dt) =Rb2(θ2)cos ψb2(θ2)/ {Rb1(θ2)cos ψb1(θ2)} (11) θ1 =∫i( θ2)d θ2 (ただし、0からθ2 まで積分) なる式で表される。ただし、θ2 =0のとき、θ1 =0
とする。
【0080】5.歯形曲線の方程式 (1) 歯形曲線IIの方程式 図13は、点Pを歯車IIと共に回転する座標系Cr2(u
r2c ,vr2c ,zr2c) で示したものである。座標系C
r2は座標系C2 に対して、原点C2 とz2c軸とを共有
し、z2c軸の周りにθ2 で回転する座標系であり、θ2
=0のときur2c軸はu2c軸と一致しているものとす
る。接触点の軌跡およびその共通法線は前記式(7)に
よって与えられるから、座標系Cr2で表した点P(u
r2c ,vr2c ,zr2c ) およびその法線n(φr2
ψb2)は、次式(12)、すなわち、
【0081】 χr2 =χ22)−θ2 =π/2−φ22)−θ2 φr2 =φ22)+θ2r2c =q2c2)cos χr2+Rb2(θ2)sin χr2 (12) vr2c =q2c2)sin χr2−Rb2(θ2)cos χr2r2c =z2c2) なる式で表される。この式(12)が、第1発明におけ
る第3関数であり、また、第5発明における第2関数で
もある。
【0082】(2) 歯形曲線Iの方程式 全く同様にして座標系C1 に対して、θ1 で回転する座
標系Cr1(ur1c ,v r1c ,zr1c ) を定めれば、点P
(ur1c ,vr1c ,zr1c ) およびその法線n(φr1
ψb1)は前記式(9),(11)を用いて、次式(1
3)、すなわち、
【0083】 χr1 =χ12)−θ1 =π/2−φ12)−θ1 φr1 =φ12)+θ1 r1c =q1c(θ2)cos χr1+Rb1(θ2)sin χr1 (13) vr1c =q1c(θ2)sin χr1−Rb1(θ2)cos χr1r1c =z1c(θ2) なる諸式で表される。ただし、座標系Cr1と座標系C1
とは、θ1 =0のとき一致しているものとする。
【0084】上記式(12),(13)は一般には角速
度比が変化する歯形曲線を表している。
【0085】以上説明した3次元歯形論は、歯車対の基
本諸元(接触点の軌跡)をピッチ回転体(ピッチ円筒あ
るいはピッチ円錐)を介さずに直接、歯車対の2回転軸
と角速度とによって決まる静止空間に定義するものであ
る。したがって、この歯形論によれば、歯面がインボリ
ュートヘリコイドまたはその近似曲面である円筒歯車か
らハイポイドギヤまでの全ての歯車対の歯面とその接触
の問題を、この静止空間に定義された統一概念(例えば
作用平面、歯直角平面、圧力角、ねじれ角等)を用い、
共通の比較的簡単な式によって扱うことが可能となる。
【0086】次に、第2ないし第4発明の作用を詳細に
説明する。 1.歯車対の運動と軸受荷重 1.1.歯車IIとIの運動方程式と軸受荷重 図14は、図2の接触点Pにおける歯車IIの集中荷重の
法線力FN2および軸受荷重Bz2,Bvq2f,Bvq2r,B
q2f ,Bq2r の関係を、座標系Cq2を用いて示したもの
である。歯面の潤滑は十分であり、集中荷重の摩擦力成
分は無視できるものとする。また、歯車IIは軸受b2a
2f,b2rによって軸方向にも、半径方向にも剛に支え
られていて、軸の剛性も十分大きいものとする。なお、
図中、「′」および「”」はそれぞれ、点またはベクト
ルの対象平面への正射影であることを示すために付され
ている。
【0087】歯車IIは入(出)力トルクT2 および歯車
Iから集中荷重の法線力FN2を受けて固定軸IIの周りに
回転運動をしているから、歯車IIの運動方程式および軸
受荷重の式は、座標系Cq2の各軸に関するトルクと力の
釣り合いから、次式(15)、すなわち、
【0088】 J2 (d2θ2/dt2 )=Fq2b2(θ2 )+T2 z2=−Fz2=−Fq2tan ψb2(θ2 ) Bvq2r20=Fz2b2(θ2 ) Bq2f +Bq2r =−Fq2 (15) Bq2f 20=−Fq2{z2c(θ2 )−z2Cr }+Fq22c(θ2 ) tanψb2( θ2 ) Bvq2f+Bvq2r=0 なる諸式が成立する。
【0089】ここに、 J2 :歯車IIの慣性モーメント θ2 :歯車IIの回転角 T2 :歯車IIの入(出)力トルク(一定) Fq2,Fz2:F2Nのq2C,z2C軸方向成分 Bz2:軸受b2aのz2c軸方向荷重 Bq2f ,Bq2r :軸受b2f,b2rのq2c 軸方向荷重 Bvq2f,Bvq2r:軸受b2f,b2rのvq2C 軸方向荷重 z2cf ,z2cr :軸受b2f,b2rの荷重作用点のz2c
標 b20: 軸受b2f,b2rの間隔(z2Cf −z2Cr >0) ただし、荷重方向は座標系Cq2の各軸方向に正である。
歯車Iについても全く同様である。
【0090】1.2.歯車対の運動方程式 歯車IとIIの運動方程式と前記接触の条件式(10)と
を連立させれば、歯車対の運動方程式は次式(16)、
すなわち、 J1 (d2θ1/dt2 )=Fq1b1(θ2 )+T1 2 (d2θ2/dt2 )=Fq2b2(θ2 )+T2 −Fq1/cosψb1(θ2 )=Fq2/cosψb2(θ2 ) (16) Rb1(θ2 )(dθ1/dt)cos ψb1(θ2 )=Rb2(θ2 )(dθ2/dt)cos ψb2(θ2 ) なる諸式となる。
【0091】接触点とその共通法線は前記式(7)によ
って与えられているから、前記式(16)は未知数
θ1 ,θ2 ,Fq1,Fq2の連立方程式になっていて、歯
形曲線が与えられた歯車対の運動を記述するための基礎
式である。ただし、前記式(16)は接触点の軌跡が連
続かつ微分可能な領域でのみ成立する。したがって、接
触点の軌跡が微分不可能な点(例えば、噛み合い歯数が
変化する点)を含む場合には、その点近傍の運動は別に
求める必要があり、前記式(16)だけで歯車対の定常
運動を表すことは一般的にはできない。
【0092】2.軸受荷重の変動を0とするための条件 歯車対の回転によって歯車IIに生じる荷重変動は、軸受
2a,b2f,b2rの荷重の静止座標系C2 に対する変動
としてとらえることができる。そこで、座標系Cq2で表
された各軸受荷重を座標系C2 の各軸方向成分に変換す
れば、次式(17)で表される。 Bz2c =Bz2 (軸受b2aのz2c軸方向荷重) Bu2cf=Bq2f cos χ2 −Bvq2f sinχ2 (軸受b2fのu2c軸方向荷重) Bv2cf=Bq2f sin χ2 +Bvq2f cosχ2 (軸受b2fのv2c軸方向荷重) (17) Bu2cr=Bq2r cos χ2 −Bvq2r sinχ2 (軸受b2rのu2c軸方向荷重) Bv2cr=Bq2r sin χ2 +Bvq2r cosχ2 (軸受b2rのv2c軸方向荷重)
【0093】軸受荷重の変動分は上記式(17)の微分
を用いて次のように表すことができる。 (a)軸受b2aのz2C軸方向荷重の変動分 △Bz2c =△Bz2=−ΔFz2 △Fz2 =△Fq2tan ψb2+Fq2Δψb2/cos 2 ψb2 △Fq2 ={△(J2 (d2θ2/dt2 )−Fq2△Rb2}/
b2
【0094】(b)軸受b2fのu2c,v2C軸方向荷重の
変動分 △Bu2cf=△Bq2f cos χ2 −Bq2f sin χ2 △χ2
△Bvq2f sinχ2 −Bvq2f cosχ2 △χ2 △Bv2cf=△Bq2f sin χ2 +Bq2f cos χ2 △χ2
△Bvq2f cosχ2 −Bvq2f sinχ2 △χ2 △Bq2f =−〔△Fq2(z2c−z2Cr −q2c tanψb2) +
q2{△z2c−△q 2Ctan ψb2−q2cΔψb2/cos 2 ψ
b2}〕/b20 △Bvq2f=−( △Fz2b2+Fz2△Rb2) /b20
【0095】(c)軸受b2rのu2c,v2C軸方向荷重の
変動分 △Bu2cr=△Bq2r cos χ2 −Bq2r sin χ2 △χ2
△Bvq2r sinχ2 −Bvq2r cosχ2 △χ2 △Bv2cr=△Bq2r sin χ2 +Bq2r cos χ2 △χ2
△Bvq2r cosχ2 −Bvq2r sinχ2 △χ2 △Bq2r =−△Fq2−△Bq2f △Bvq2r=−△Bvq2f
【0096】任意の回転角θ2 における歯車IIの軸受荷
重の変動分は、 Δq2C ΔRb2 Δz2C Δχ2 Δψb2 Δ(d2θ2/dt2 ) という6個の変数の変動分で表すことができる。
【0097】入(出)力トルク一定の条件下で歯車IIが
回転するとき、回転位置によらず歯車IIの軸受荷重の変
動が常に0となるためには、少なくともその変動分が0
でなければならないから、次の関係が成立する。 ΔBz2C =ΔBu2cf=ΔBv2cf=ΔBu2cr=ΔBv2cr
0 したがって、歯車IIの軸受荷重の変動が0となる条件
は、次式(18)により、次の5項目に整理される。た
だし、ここにtは時間を表している。 (1) △χ2 =0 (2) △ψb2=0 (3) △Rb2(θ2 )=0 (18) (4) △z2c(θ2 )=△q2C(θ2 )tan ψb2(θ2 ) (5) △(d2θ2/dt2 ) =0
【0098】上記(1)〜(5)の各項目について順次
説明する。 (1) △χ2 (θ2 )=0の条件 作用面G2 の傾き角χ2 (θ2 )は一定(χ20とする)
である。 χ22)=χ2(0) =χ20=π/2−φ20 (2) △ψb2(θ2 )=0の条件 接触点における共通法線の作用面G2 上の傾き角ψ
b2(θ2 )は一定(ψb20)である。 ψb2(θ2) =ψb2(0) =ψb20 (3) △Rb2(θ2 )=0の条件 接触点における共通法線の接する基礎円筒半径Rb2(θ
2 )は一定(Rb20 とする)である。 Rb2(θ2)=Rb2(0) =Rb20 (4) △z2c(θ2 )=△q2C(θ2 )tan ψ
b2(θ2 )の条件 ψb2(θ2)=ψb20 および前記式(7)を用いれば、 △z2c=△q2c(θ2 )tan ψb20 ηb2(θ2)=ψb20 =ηb2(0) すなわち、接触点の軌跡の接線の作用面G2 (q2c−z
2c平面)上の傾き角は共通法線のそれに一致しなければ
ならないのである。
【0099】条件(1) 〜(4) の結果を前記式(7)に代
入し、座標系C2 を用いて表せば、接触点の軌跡および
その共通法線の傾き角は、次式(19)で表される。
【0100】 q2c(θ2)=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2c (0) u2c(θ2)=q2c(θ2)cos χ20+Rb20sinχ202c(θ2)=q2c(θ2)sin χ20−Rb20cosχ20 (19) z2c(θ2)=Rb20 θ2cosψb20sinψb20 +z2c (0) n(φ20=π/2−χ20,ψb20) この式(19)は、接触点の軌跡が座標系Cq2上で点P
0 {q2c(0) ,−Rb2 0 ,z2c(0) }を通り、座標系C
2 に対する傾き角n(φ20=π/2−χ20,ψb2 0)の共通
法線に一致する直線であることを表している。また、こ
の式(19)は、Rb20 ,ψb20 ,q2c (0),χ20およ
びz2c (0)という5個の変数を特定することによって、
接触点軌跡を特定可能となる。
【0101】この式(19)を座標系C1 ,Cq1に変換
すれば、前記式(9)を用いて点P 0 {q1c(0) ,−R
b10 ,z1c(0) }を通り、座標系C1 に対する傾き角n
(φ 10=π/2−χ10,ψb10)の直線として表すことがで
きる。したがって、角速度比および歯車Iの回転角は前
記式(11)を用いて次式(20)で表すことができ
る。
【0102】 i(θ2 )=(dθ1/dt) /(dθ2 /dt)=Rb20 cos ψb20 /(Rb10 cos ψb1 0 )=i0 (20) θ1 =i0 θ2 角速度比は一定(i0 とする)である。
【0103】(5) △(d2θ2/dt2 )=0の条件 (d2θ2/dt2 )は一定、すなわち、等加速度運動を意味
している。ここで対象としている歯車対は入出力一定の
定常運動を仮定しているから、(d2θ2/dt2 )=0、す
なわち、等速運動を意味している。さらに、前記式(2
0)を用いれば、(dθ1 /dt)も一定となるから、歯車
Iについても、(d2θ1/dt2 )=0が成立する。したが
って、前記式(16)により、 Fq2b20 =−T2q1b10 =−T1 前記式(20)と作用反作用の式を用いれば、 i0 =Fq2b2/(−Fq1b10 ) =−T2 /T1 すなわち、歯車対の角速度比i0 は、与えられたトルク
比(この場合には入出力についての仮定から一定)でな
ければならない。
【0104】歯車Iに生じる荷重変動についても全く同
様にして前記式(18)の条件によって軸受荷重変動0
が実現している。したがって、入出力一定で定常運動す
る歯車対から発生する軸受荷重変動を0にするために
は、接触点の軌跡とその共通法線は次の条件を満たさな
ければならない。 (a) 接触点が静止空間(座標系C2 上)に任意に与え
られたとき、接触点の軌跡はその接触点の共通法線に一
致する直線で、しかも、静止空間に固定された直線でな
ければならない。 (b) しかも、その接触点における角速度比i0 は一定
であり、与えられたトルル比に一致しなければならな
い。
【0105】図15に、軸受荷重変動が0となる作用平
面G20、基礎円筒(半径Rb20 )、接触点の軌跡(共通
法線n)、集中荷重の法線力FN2の関係を、座標系C
2 ,C q2によって示している。接触点の軌跡がすべての
接触領域(複数噛み合い領域を含めて)で同一直線であ
れば、それは全領域で連続かつ微分可能となるから、軸
受荷重変動0の定常運動を実現できることになる。
【0106】3.軸受荷重の変動が0となる歯形曲線 3.1.歯形曲線II 座標系C2 に対して原点C2 とz2C軸を共有し、z2c
の周りにθ2 で回転する座標系を座標系Cr2(ur2c
r2c ,zr2c )とすれば、前記式(19)を座標系C
r2に変換して、軸受荷重の変動が0となる歯形曲線IIは
次式(21)で求められる。ただし、θ2 =0のとき、
r2c 軸がu2c軸に一致すると仮定する。
【0107】 χr2 =χ20−θ2 =π/2−φ20−θ2r2c =q2c(θ2)cos χr2+Rb20sinχr2 (21) vr2c =q2c(θ2)sin χr2−Rb20cosχr2r2c =z2c(θ2 ) n(φ20+θ2 ,ψb20)
【0108】3.2.歯形曲線I 全く同様にして座標系C1 に対して、z1c軸の周りにθ
1 で回転する座標系を座標系Cr1(ur1c ,vr1c ,z
r1c )とする。前記式(19)を座標系C1 ,Cq1に変
換すれば、点P0 {q1c(0) ,−Rb10 ,z1c(0) }を
通り、座標系C 1 に対する傾き角n(φ10=π/2−
χ10,ψb10)の直線となり、この直線上の任意の点は前
記式(9)によって与えられているから、この直線を座
標系Cr1に変換すれば、軸受荷重の変動が0となる歯形
曲線Iは、次式(22)で求められる。ただし、θ1
0のとき、ur1c 軸がu1c軸に一致すると仮定する。
【0109】 χr1 =χ10−θ1 =π/2−φ10−θ1r1c =q1c(θ2)cos χr1+Rb10sinχr1 (22) vr1c =q1c(θ2)sin χr1−Rb10cosχr1r1c =z1c(θ2 ) n(φ10+θ1 ,ψb10)
【0110】ここで、θ1 =i0 θ2 であることを用
い、改めてθ1 を助変数として、q1c(θ2 )とz
1c(θ2 )をq1c(θ1 )とz1c(θ1 )とで置換し直
せば、次式(23)が得られる。
【0111】 q1c(θ1 )=Rb10 θ1 cos 2 ψb10 +q1c(0) z1c(θ1 )=Rb10 θ1 cos ψb10 sin ψb10 +z1c(0) χr1=χ10−θ1 =π/2−φ10−θ1 (23) ur1c =q1c(θ1 )cos χr1+Rb10 sin χr1r1c =q1c(θ1 )sin χr1−Rb10 cos χr1r1c =z1c(θ1 ) n(φ10+θ1 ,ψb10
【0112】実用上はこの式(23)の方が前記式(2
2)よりも使い易い。前記式(21),(23)は、歯
形曲線I,IIがインボリュートヘリコイド上の前記接触
点の軌跡に対応する曲線になっていることを示してい
る。歯面としてはこの歯形曲線I,IIを含む任意の互い
に干渉しない曲面が使用可能であるが、インボリュート
ヘリコイドまたはその修整歯面以外の曲面は、実際上上
記のような接触点の軌跡とその共通法線を実現すること
は難しいから、動力伝達用歯車としては不向きである。
【発明の実施の形態】以下、本発明のいくつかの実施の
形態を図面に基づいて説明する。 1.第1の実施形態 本実施形態は、第1ないし第5発明に係る歯車設計方法
を実施する際の一形態であり、インボリュートヘリコイ
ドを歯面とする歯車IIとその歯面と共役な歯面を有する
歯車Iとであって、各歯車についての2回転軸が共通垂
線を有する歯車対を設計する方法である。この歯車設計
方法は、3種類の基本座標系により、歯車対の接触点軌
跡,共通法線および歯形曲線をそれぞれ記述して各歯車
I,IIを設計する方法であり、図1に示すように、設計
情報取得工程SS1と、接触状態取得工程SS2と、歯
形曲線取得工程SS3と、歯面決定工程SS4とを含ん
でいる。3種類の基本座標系とは、歯車IIについては、
それぞれ図11に示す静止座標系としての座標系C2
よび媒介座標系としての座標系Cq2と、図13に示す回
転座標系としての座標系Cr2とである。また、歯車Iに
ついても同様に、それぞれ図11に示す静止座標系とし
ての座標系C1 および媒介座標系としての座標系C
q1と、図13に示す回転座標系としての座標系Cr1とで
ある。設計情報取得工程SS1は、接触状態取得と歯形
曲線取得とにそれぞれ必要な情報を取得する工程であ
る。設計情報の具体的内容は後述する。接触状態取得工
程SS2は、軸受荷重の変動が0となるときの接触点軌
跡とその共通法線の傾き角を静止座標系としての座標系
2 ,C1 で取得する工程である。
【0113】歯車IIについては、接触点軌跡が、前記式
(19)、すなわち、 q2c(θ2)=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2c (0) u2c(θ2)=q2c(θ2)cos χ20+Rb20sinχ202c(θ2)=q2c(θ2)sin χ20−Rb20cosχ20 (19) z2c(θ2)=Rb20 θ2cosψb20sinψb20 +z2c (0) なる諸式を用いて取得され、一方、共通法線の傾き角
も、前記式(19)、すなわち、 n(φ20=π/2−χ20,ψb20) なる式を用いて取得される。この式(19)は、接触点
の軌跡が座標系Cq2上で点P0 {q2c(0) ,−Rb20
2c(0) }を通り、座標系C2 に対する傾き角n(φ20
=π/2−χ20,ψb20)の共通法線に一致する直線である
ことを表している。この式において、 Rb20 ψb202c (0) χ202c (0) という5個の変数に適当な値を代入すれば、軸受荷重の
変動が0となるときの接触点軌跡とその共通法線の傾き
角を座標系C2 で取得することができる。すなわち、そ
れら5個の変数に代入すべき値が設計情報なのである。
歯車Iについては、取得すべき接触点軌跡は歯車IIのも
のと同一であるから、上記のようにして取得された接触
点軌跡を単に座標変換することにより接触点軌跡が取得
される。なお、それら5個の変数の具体的な決定方法に
ついては後に詳述する。
【0114】歯形曲線取得工程SS3は、前記取得され
た接触点軌跡とその共通法線の傾き角とに基づき、軸受
荷重の変動が0となる歯形曲線を取得する工程である。
歯車IIについては、歯形曲線が回転座標系としての座標
系Cr2で、 χr2 =χ20−θ2 =π/2−φ20−θ2r2c =q2c(θ2)cos χr2+Rb20sinχr2 (21) vr2c =q2c(θ2)sin χr2−Rb20cosχr2r2c =z2c(θ2 ) n(φ20+θ2 ,ψb20 ) なる諸式を用いて取得される。
【0115】これに対し、歯車Iについては、歯形曲線
Iが回転座標系としての座標系Cr1で、 q1c(θ1 )=Rb10 θ1 cos 2 ψb10 +q1c(0) z1c(θ1 )=Rb10 θ1 cos ψb10 sin ψb10 +z1c(0) χr1=χ10−θ1 =π/2−φ10−θ1 (23) ur1c =q1c(θ1 )cos χr1+Rb10 sin χr1r1c =q1c(θ1 )sin χr1−Rb10 cos χr1r1c =z1c(θ1 ) n(φ10+θ1 ,ψb10 ) なる諸式を用いて取得される。
【0116】歯面決定工程SS4は、各歯車についてそ
れぞれ求められた2つの歯形曲線を含むとともに互いに
干渉しない一対の曲面を歯車対の歯面に決定する工程で
ある。歯車対の歯面は、求められた各歯形曲線を含むこ
とと、歯車対間で干渉しないことという2つの要件さえ
満たせば、あらゆる曲面を選ぶことが可能であるが、そ
の選択の具体的方法を後に詳述する。
【0117】本実施形態においては、図2に示すCAD
システムにより歯車設計が支援されるようになってい
る。このCADシステムは、プロセッサ1およびメモリ
2を含むコンピュータ3と、入力装置4と、出力装置5
と、外部記憶装置6とを備えている。外部記憶装置6に
おいては、記録媒体に対してデータの読み書きが行われ
る。その記録媒体には、前記歯車設計方法を実施するた
めの歯車設計プログラムであって図1のフローチャート
で表されるものが予め記録されており、必要に応じて記
録媒体から歯車設計プログラムが読み出されてコンピュ
ータ3により実行される。すなわち、この記録媒体が第
6発明の一実施形態なのである。
【0118】2.第2の実施形態 本実施形態は、第7発明を実施する際の一形態であるイ
ンボリュート歯車(インボリュート平歯車を除く。)で
ある。
【0119】図3の(c) には、本実施形態であるインボ
リュート歯車のうちの一部の歯面を示す斜視図が示され
ており、同図の(a) には、そのインボリュート歯車の一
歯面を軸直角断面に平行な方向から見た場合の歯面形状
(図においてA視)が示されている。前述のように、軸
受荷重の変動が0となる接触点軌跡(すなわち、互いに
噛み合う歯車の歯面の接触跡)は、座標系Cq2上で点P
0 {q2c(0) ,−Rb2 0 ,z2c(0) }を通り、座標系C
2 に対する傾き角n(φ20=π/2−χ20,ψb2 0)の共通
法線に一致する直線であり、この直線は、歯面と作用面
との交線に直角な作用面上の直線である。
【0120】そこで、本実施形態であるインボリュート
歯車は、歯面全体がインボリュートヘリコイドとなるよ
うに製作された後、同図の(a) に示すように、歯面のう
ち、接触点軌跡をほぼ中央位置としてその接触点軌跡に
平行な一対の平面で挟まれる帯状の領域が歯当たり領域
とされ、これに対し、歯面のうち、残りの領域について
は、歯当たり領域から歯すじ端に向かうにつれて歯厚が
連続的に減少するように歯形修整が行われている。すな
わち、同図の(b) には、(a) におけるBB断面図が示さ
れており、歯面を作用面との交線に平行な平行で切断し
た場合の断面形状が示されており、BB断面の中央部は
インボリュートヘリコイドそのものが歯面として残され
ており、両端部はインボリュートヘリコイドそのものを
10μm程度修整した(削り落とした)ものとなってい
るのである。このような歯面修整により、歯当たりが作
用面と歯面との交線にほぼ直交する方向(歯形曲線)と
なり、荷重変動が低減し歯車の回転騒音も低減する。な
お、本実施形態は、インボリュート歯車を修整する形態
であるが、これに限ることなく、インボリュート歯車と
噛み合う相手側歯車を修整する形態とすることが可能で
ある。
【0121】3.第3の実施形態 本実施形態は、第8発明を実施する際の一形態であるハ
イポイドギヤである。ハイポイドギヤは、食い違い軸の
間に運動を伝達する歯車であり、具体的には、図4の
(a) に示すように、ピニオンギヤ7とリングギヤ8とを
備えている。リングギヤ8の歯面はインボリュートヘリ
コイドとされ、これに対し、ピニオンギヤ7の歯面は、
そのリングギヤ8の歯面によって創成された曲面とされ
ている。また、リングギヤ8の歯面には、同図の(b) に
示すように、図3におけると同様な歯当たりが付けられ
ている。
【0122】4.第4の実施形態 本実施形態は、第9および第10発明に係る歯車測定方
法を実施する際の一形態である。この歯車測定方法は、
歯形誤差と歯すじ誤差とをそれぞれ測定する方法であ
り、図5には、この歯車測定方法を実施するのに好適な
歯車測定装置が示されている。この歯車測定装置は、被
測定歯車10の歯面12を測定する測定子14と、その
測定子14を保持する測定ヘッド16と、その測定ヘッ
ド16と被測定歯車10とを相対移動させる移動装置1
8とを備えている。測定子14の一形式は、測定すべき
歯面12に接触し、その歯面12に追従して変位する接
触型である。同図にはその接触型が示されている。この
歯車測定装置はさらに、被測定歯車10をそれの軸を中
心に回転させる回転装置20を備えている。
【0123】前記測定ヘッド16には測定処理装置24
が接続されている。この測定処理装置24は、測定子1
4の変位を表す電気信号を測定ヘッド16から入力し、
その入力された信号に基づき、歯面12の実際形状の理
想形状からの偏差を演算するものである。
【0124】それら移動装置18と回転装置20とには
それぞれ運動制御装置26が接続されている。この運動
制御装置26は、移動装置18により測定子14を移動
させることと、必要に応じて回転装置20により被測定
歯車10を回転させることとを互いに関連付けて行うも
のである。
【0125】具体的には、運動制御装置26は、歯形誤
差を測定する際には、被測定歯車10を一定測定ピッチ
(被測定歯車10のピッチより小さい値)で回転させつ
つ、測定ヘッド16を、被測定歯車10に固定された静
止座標系において、測定誤差が0であることを表す位置
にある測定子14が被測定歯車10に対応する理想接触
点軌跡に沿って一定測定ピッチで移動するように移動さ
せる。ここに、理想接触点軌跡は、被測定歯車10を前
記歯車IIと考えれば、前述のように、座標系C 2 で、 q2c(θ2)=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2c (0) u2c(θ2)=q2c(θ2)cos χ20+Rb20sinχ202c(θ2)=q2c(θ2)sin χ20−Rb20cosχ202c(θ2)=Rb20 θ2cosψb20sinψb20 +z2c (0) なる諸式を用いて取得される。
【0126】測定子14は、測定ヘッド16に対して弾
性的に相対変位可能に取り付けられており、測定ヘッド
16は測定子14を常に歯面に直角に押し付ける向きに
付勢する。その結果、測定子14は、歯面に接触しつつ
移動させられ、かつ、その歯面に誤差があれば、その誤
差に応じてその歯面と実質的に直角な方向に変位させら
れることになる。
【0127】したがって、歯形誤差測定に際し、測定子
14と歯面との接触点(測定点)は、概念的には、図6
に示すように変化することになる。
【0128】歯形誤差測定を図7のフローチャートに基
づいてさらに詳しく説明する。まず、ステップS1(以
下、単に「S1」で表す。他のステップについても同じ
とする。)において、歯車測定装置に被測定歯車10が
セットされる。次に、S2において、測定子14により
歯面が測定される。その後、S3において、今回の1歯
について測定が終了したか否かが判定される。1歯にお
ける複数点についての歯面測定が終了したか否かが判定
されるのである。今回は終了しないと仮定すれば、S4
において、測定子14が1測定ピッチ移動させられ、次
の測定点に移動させられる。その後、S5において、被
測定歯車10が1測定ピッチ回転させられる。以下、今
回の測定点につき、前回の測定点におけると同様にして
歯面測定が行われる。
【0129】今回の1歯につき、複数の測定点すべてに
ついて歯面測定が終了したならば、S3の判定がYES
となり、被測定歯車10が回転されて次の1歯が割り出
され、その歯につき、同様な歯面測定が開始される。
【0130】以上、歯形誤差の測定を説明したが、運動
制御装置26は、歯すじ誤差を測定する際には、被測定
歯車10を固定する一方、測定ヘッド16を、被測定歯
車10に固定された静止座標系において、測定子14が
被測定歯車10に対応する接触線に沿って一定測定ピッ
チで移動するように移動させる。接触線は、後に図26
に基づいて詳述するが、 q2m(θ2 ,ξ2 )=q2 (θ2 ,ξ2 )+Rb20 ξ2
cos 2 ψb202m(θ2 ,ξ2 )=z2 (θ2 ,ξ2 )+Rb20 ξ2
cos ψb20 sin ψb20 なる式によって求められる。ここに、ξ2 は、接触点の
軸方向位置(z2 座標)によって変化するパラメタであ
る。ただし、ξ2 は、円筒歯車(Σ=0,π)であると
きには0となる。
【0131】したがって、歯すじ誤差測定に際し、測定
子14と歯面との接触点(測定点)は、概念的には、図
8に示すように変化することになる。
【0132】歯すじ誤差測定を図9のフローチャートに
基づいてさらに詳しく説明する。まず、S11におい
て、被測定歯車10が歯車測定装置にセットされる。次
に、S12において、測定子14により歯面が測定され
る。その後、S13において、今回の1歯につき、今回
の1本の接触線における複数の測定点すべてについて歯
面測定が終了したか否かが判定される。今回は終了して
いないと仮定すれば、判定がNOとなり、S14におい
て、測定子14が今回の接触線に沿って1測定ピッチ移
動させられ、次の測定点に移動させられる。その後、新
たな測定点について歯面測定が行われる。
【0133】S12〜S14の実行が何回か繰り返され
た結果、今回の1本の接触線における複数の測定点すべ
てについて歯面測定が終了すれば、S13の判定がYE
Sとなり、S15において、今回の1歯における複数の
接触線すべてについて歯面測定が終了したか否かが判定
される。今回は終了していないと仮定すれば判定がNO
となり、S16において、被測定歯車10が1測定ピッ
チ回転させられる。接触線は被測定歯車10の回転と共
に歯面に沿って移動する状況下、次の接触点についての
歯面測定を準備するためである。以下、S12以下のス
テップが同様に実行される。その結果、今回の1歯にお
ける複数の接触線すべてについて歯面測定が終了したな
らば、S15の判定がYESとなり、被測定歯車10が
回転されて次の1歯が割り出され、その歯につき、同様
な歯面測定が開始される。
【0134】本実施形態においては、コンピュータによ
り歯車測定が支援されるようになっており、第9および
第10発明をそれぞれ実施するためのコンピュータプロ
グラムが記録媒体に予め記録され、必要に応じてその記
録媒体からその歯車測定支援プログラムが読み出されて
コンピュータにより実行されるようになっている。
【0135】ここで、前記5個の変数に代入すべき値を
決定する具体的方法を図面に基づいて詳細に説明する。
【0136】1.対象歯車対 軸受荷重変動が0となる対象歯車対は、前述のように、
次のように定義されている。 (1) 2軸の位置関係(軸角Σ,オフセットE),角速度
ω10,ω20(ω10≧ω 20とする)が与えられ、定角速度
比(i0 )の運動を伝達している。なお、角速度ω10
ω20はいずれもベクトルである。 (2) 接触点の軌跡が、接触点の共通法線nに一致する、
静止空間に固定された有向直線g0 として与えられ、そ
の作用面がG10,G20とされている。ただし、g0 は接
触点の軌跡の方向を表す単位ベクトルであり、nに一致
している。 (3) 座標系C1 ,Cq1,C2 ,Cq2が与えられ、接触点
の軌跡g0 は座標系C 2 ,Cq2によって次のように与え
られている。ただし、g0 を座標系C1 ,Cq1および歯
車Iの回転角θ1 で表すには、添字2を1に変えればよ
い。
【0137】 q2c(θ2)=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2c(0) u2c(θ2)=q2c(θ2)cos χ20+Rb20sinχ202c(θ2)=q2c(θ2)sin χ20−Rb20cosχ20 (25) z2c(θ2)=Rb20 θ2cosψb20sinψb20 +z2c(0) ここで、 θ2 :歯車IIの回転角 q2c(0) ,z2c(0) :θ2 =0の接触点のq2c,z2c
標 χ20:歯車IIの作用面G20の傾き角 ψb20 :g0 の作用面G20上の傾き角 Rb20 :作用面G20の接する基礎円筒の半径
【0138】したがって、対象歯車対が、与えられた角
速度比i0 の運動を伝達するためには、q2c(0) ,z2c
(0) ,Rb20 ,χ20,ψb20 の5個の定数を適切に選択
する必要がある。
【0139】2.相対回転軸と座標系CS 2.1.相対回転軸 図16は、相対回転軸と座標系CS との関係を示してい
る。2軸IとIIの位置関係およびその角速度ω10,ω20
が与えられた時、2軸の共通垂線vc (ω20×ω10の方
向に正)と各軸I,IIとの交点をそれぞれC1 ,C2
し、vc に関してC1 がC2 の下にあるものとする。相
対角速度ωr (ベクトル)をωr =ω10−ω20、その軸
を相対回転軸Sとする時、相対回転軸Sを含み、かつ、
共通垂線vc に垂直な平面を平面SH とし、その平面S
H と共通垂線vc との交点をCSとすれば、相対回転軸
SはCS を通る直線となっていて、相対回転軸Sの位置
は次のように決定することができる。
【0140】2軸I(ω10),II(ω20)の平面SH
の正射影をそれぞれIS (ω10”),IIS (ω20”)と
し、共通垂線vc の正方向から負方向に向かって平面S
H を見たとき、IS のIIS に対する角をΩとすれば、ω
20×ω10の定義により、ISはIIS に対し、0≦Ω≦π
(反時計方向が正)の領域にある。平面SH 上で相対回
転軸S(ωr )のIIS に対する角をΩS (反時計方向が
正)とすれば、相対回転軸の定義(ωr =ω10−ω20
により、ω10”,ω20”の平面SH 上の相対回転軸に直
交する成分が等しくなければならないから、ΩS は次式
(26)、すなわち、
【0141】 sin ΩS /sin (ΩS −Ω)=ω10/ω20 または、 (26) sin Γs /sin (Σ−ΓS )=ω10/ω20 となる。ここで、 Σ =π−Ω(軸角) ΓS =π−ΩS
【0142】ただし、いずれも図示の方向に正である。
共通垂線vc 上のCS の位置は次のようにして求められ
る。図17は、点CS の相対速度Vs (ベクトル)を示
している。仮定により共通垂線vc に関してC1 がC2
の下にあり、かつ、ω10≧ω20であるから、CS はC2
の下にある。点CS における歯車I,IIの周速度を
S1,VS2(いずれもベクトル)とすれば、相対速度V
S =VS1−VS2は周速度の定義により相対回転軸S上に
あるから、VS1,VS2(平面SH 上にある)の相対回転
軸に直交する成分が常に等しくなければならない。した
がって、点CS における相対速度VS =V S1−VS2は、
相対回転軸Sの位置(ΓS )によって、平面SH 上で同
図に示すようになり、C2 とCS との距離C2 とC
S は、次式(27)、すなわち、 C2 S =Etan ΓS /{tan (Σ−ΓS )+tan ΓS } (27) で求められる。この式は0≦ΓS ≦πの範囲で成り立つ
が、CS の位置はΓS と共に変化し、0≦ΓS ≦π/2
のときはC1 より上、π/2≦ΓS ≦πのときはC1
り下となっている。
【0143】2.2.座標系CS の定義 前記式(26),(27)によって相対回転軸Sを静止
空間に決定することができるから、座標系CS を図16
に示すように定義する。座標系CS (uC ,v c
c )は、CS を原点とし、有向共通垂線vc をv
c 軸、相対回転軸Sをz c 軸(ωr の方向が正)、そし
て、両軸に垂直に右手系となるようにとられたu c 軸に
よって構成される。対象歯車対は定角速度比の運動を伝
達することが仮定されているから、座標系CS は静止空
間に固定された座標系となり、先に定義された座標系C
1 ,C2 およびその派生座標系と共に、定角速度比の運
動伝達を行う歯車対を扱う場合における基本座標系であ
る。
【0144】2.3.座標系CS ,C1 ,C2 の関係 点C1 ,C2 を座標系CS を用いて、C1 (0,
cs1 ,0),C2 (0,v cs2 ,0)と表せば、v
cs1 ,vcs2 は、次式(29)のようになる。
【0145】 vcs2 =Cs 2 =Etan Γs / {tan ( Σ−Γs ) +tan Γs } vcs1 =Cs 1 =vcs2 −E (29) =−Etan(Σ−Γs )/{tan( Σ−Γs ) +tan Γs
【0146】vc 軸に関してC2 は常にCS の上にある
ことに注意すれば、vcs1 ,vcs2およびΣ,ΓS とに
よって、座標系Cs と、座標系C1 ,C2 の関係は次式
(30),(31)のようになる。
【0147】 u1c=uc cos(Σ−Γs ) +zC sin ( Σ−Γs ) v1c=vc −vcs1 (30) z1c=−uc sin(Σ−Γs ) +zc cos(Σ−Γs )
【0148】 u2c=−uc cos Γs +zc sin Γs 2c=vc −vcs2 (31) z2c=−uc sin Γs −zc cos Γs
【0149】座標系CS と、座標系C1 ,C2 の関係
は、図20に概念的に示されている。
【0150】3.座標系CS による接触点の軌跡g0
定義 3.1.相対速度と接触点の軌跡g0 との関係 図18は、与えられた接触点の軌跡g0 とそのg0 上の
任意点Pにおける相対速度Vrs(ベクトル)との関係を
示している。なお、図中の「′」,「”」は、点または
ベクトルの対象平面への正射影であることを示してい
る。歯面が接触点の軌跡g0 上の任意点Pで接触してい
るとき、相対回転軸S上の任意点からのPの位置ベクト
ルをrとすれば、点Pにおける相対速度Vrsは次式(3
2)で表わすことができる。
【0151】 Vrs=ωr ×r+Vs (32) ここで、 ωr =ω10−ω20 ωr =ω20sin Σ/sin( Σ−Γs ) =ω10sin Σ/sinΓ
ss =ω10×〔C1 S 〕−ω20×〔C2 S 〕 Vs =ω20Esin Γs =ω10Esin(Σ−Γs )
【0152】ただし、〔C1 S 〕はC1 を始点、CS
を終点とするベクトルを表し、〔C2S 〕はC2 を始
点、CS を終点とするベクトルを表している。
【0153】相対速度Vrsは相対回転軸Sを軸とする円
筒面の接平面上にあって、この接平面上におけるVs
対する傾き角ψは次式(33)で表わすことができる。 cosψ=|Vs |/|Vrs| (33) 接触点の軌跡g0 は接触点における歯面の共通法線でも
あるから、g0 は相対速度Vrsと点Pにおいて直交して
いる。すなわち、 Vrs・g0 =0 したがって、g0 は点PにおけるVrsに垂直な平面N上
の有向直線になっている。平面Nと平面SH との交線を
n とするとき、Hn は一般には相対回転軸Sに交わる
直線となり、g0 は交点が無限遠であることを含めれば
必ずHn を通ることになる。g0 と平面SH との交点を
0 とすれば、P0 は交線Hn 上にあって、g0 および
0 は歯車対の種類に応じて次のようになる。
【0154】(1) 円筒歯車またはかさ歯車の場合(Σ=
0,πまたはE=0) Vs =0であるから、Vrsは単に相対回転軸S周りの周
速度を意味する。したがって、平面NはS軸を含むか
ら、Hn はSに一致し、接触点の軌跡g0 は必ず相対回
転軸Sを通ることになる。すなわち、点P0 は相対回転
軸S上にあるのである。したがって、これらの歯車対で
は、接触点の軌跡g0 は相対回転軸上の任意点P0 を通
る任意の有向直線となっている。 (2) 上記以外の歯車の場合(Σ≠0,πまたはE≠0) ハイポイドギヤ、ねじ歯車またはウォ−ムギヤの場合で
あり、接触点Pをある位置に選ぶと、その点Pに固有の
相対速度Vrs,平面N,直線Hn が決定される。接触点
の軌跡g0 はHn 上の任意点P0 を通る直線になってい
て、一般には相対回転軸Sを通らない。点Pは任意であ
るから、g0 は平面SH との交点P0 における相対速度
rs0 に垂直な平面上の点P0 を通る任意の有向直線で
もある。すなわち、前記式(32)は次のように表すこ
とができるのである。
【0155】Vrs=Vrs0 +ωr ×〔P0 P〕・g0 ただし、〔P0 P〕は、P0 を始点、Pを終点とするベ
クトルを表している。したがって、Vrs0 ・g0 =0な
らば、Vrs・g0 =0となり、g0 上の任意点Pは接触
点である。
【0156】3.2.設計基準点の選択 2軸の位置関係と角速度とが与えられた歯車対におい
て、接触点の軌跡g0 が同じ歯車対は同じ歯形曲線をも
ち、そのどの部分を有効部分とするかの差しかない。し
たがって、歯車対の設計においては接触点の軌跡g0
2軸によってきまる静止空間のどこに配置するかが重要
であって、設計基準点は接触点の軌跡g0を静止空間に
定義するための点にすぎないから、接触点の軌跡g0
のどこに選んでも本質的な差はない。任意の接触点の軌
跡g0 を与えたとき、g0 は交点が無限遠であることも
含めて必ず平面SH と交わるから、逆にこの交点を設計
基準点としても一般性を失わない。そこで、本実施形態
においては、平面SH (円筒歯車、かさ歯車の場合は相
対回転軸)上の任意点P0 を設計基準点として与えるも
のとする。
【0157】図19は、設計基準点P0 および接触点の
軌跡g0 を座標系Cs を用いて示したものである。座標
系CS によって表示された設計基準点をP0 (uc0, v
c0,zc0)とすれば、各座標値は次のように表わすこと
ができる。 uc0=Os 0C0=0 zc0=Cs s ただし、円筒歯車、かさ歯車の場合はuc0=0である。
また、点Os は設計基準点P0 を通り相対回転軸Sに垂
直な平面Ss と相対回転軸Sとの交点である。
【0158】3.3.接触点の軌跡g0 の傾き角の定義 点P0 における相対速度Vrs0 は前記式(32)を用い
て次のようになる。 Vrs0 =ωr ×〔uC0〕+VS ここで、〔uC0〕は、OS を始点、P0 を終点とするベ
クトルを表している。点P0 において相対回転軸Sに平
行で、かつ、平面SH に垂直な平面(uc =uc0)をS
P とすれば、Vrs0 は平面SP 上にあって、Vrs0 の平
面SH (vc=0)からの傾き角ψ0 は、前記式(3
3)を用いて次式(34)で表される。 tan ψ0 =ωr c0/VS =uC0sin Σ/{Esin (Σ−ΓS )sin ΓS } (34) ただし、ψ0 はuc0≧0のとき正とし、図18にその方
向が示されている。
【0159】点P0 を通ってVrs0 に垂直な平面をSn
とすれば、平面Sn は平面Ss に大してψ0 だけ傾いた
平面になっていて、接触点の軌跡g0 は点P0 を通り平
面S n 上にある任意の有向直線になっている。したがっ
て、g0 の座標系CS 上における傾き角は、平面Sn
平面SS (またはvC 軸)からの傾き角ψ0 と、平面S
n 上における平面Sp からの傾き角φn0とによって定義
することができ、これをg0 (ψ0n0) と表わすこと
にする。φn0は図19に示す方向を正としている。
【0160】3.4.座標系CS によるg0 の定義 図20は、座標系Cs と平面SH ,SS ,SP ,Sn
よびP0 ,g00 n0) との関係を示したものであ
る。ここで定義された平面SH は従来の理論では、円筒
歯車の場合のピッチ平面、かさ歯車の場合の軸平面に対
応している。平面SS は正面であり、平面Sp は円筒歯
車の軸平面、かさ歯車のピッチ平面に対応している。ま
た、平面Sn は一般の歯車に拡張された歯直角平面であ
り、φn0,ψ0 もまた一般の歯車に拡張された歯直角圧
力角、ねじれ角と考えることができる。これらの平面に
よって、一般の歯車対の圧力角やねじれ角が、接触点の
共通法線(この場合はg0 )の各平面に対する傾き角と
して静止空間に対して統一的ただし、ここで定義された
平面Sn ,φn0,ψ0 は従来理論のかさ歯車の場合に一
致し、他の歯車の場合のそれとは異なる。これは従来理
論が、個々の歯車のピッチ平面を基準とし、それは歯車
の種類によって静止空間に対して変化するからである。
従来の理論では、基準となるピッチ回転体(円筒あるい
は円錐)を決めれば、このピッチ回転体に任意の曲面を
歯面として固定し、相手歯面を創成すればよく、与える
歯面(接触点の軌跡とその法線)に製作上の制限以外に
条件はなかったから、むしろP0 の選択(ピッチ回転体
の議論)に重点があり、g0 (すなわちg0 を実現する
歯面)をどう設計するかの議論は歯面が存在するかどう
か以外には殆どなされなかった。歯車対の設計において
軸受荷重変動0を実現するためには、P0 の選択よりも
0 の設計が重要である。
【0161】軸角ΣとオフセットEおよび角速度の方向
とが与えられた歯車対では、接触点の軌跡g0 は一般に
は設計基準点P0 (uC0,vC0,zC0)と傾き角g
0 (ψ0,φn0)との5個の独立変数によって座標系C
S で定義できる。本実施形態においては、設計の条件と
して角速度比i0 およびvC0=0が与えられるから、接
触点の軌跡g0 の独立変数は3個になる。すなわち、円
筒歯車の場合には、zC0が実質的な意味を持たないか
ら、(zC0),φn0,ψ0 の2個、かさ歯車の場合に
は、zC0,φn0,ψ0 の3個、ハイポイドギヤやウォー
ムギヤ,ねじ歯車の場合には、zC0,φn0,ψ0 (また
はuC0)の3個の独立変数の選択によって静止空間に決
定することになる。点P0 を与えたとき、ハイポイドギ
ヤやウォ−ムギヤの場合には、ψ0 は同時に決定され、
φn0だけが自由に選べる変数であるが、円筒歯車やかさ
歯車の場合には、P0 を相対回転軸上に選ぶから、ψ0
もφn0も自由に選べる変数になっている。
【0162】4.接触点の軌跡g0 の座標系O2 ,O1
への変換 4.1.座標系O2 ,Oq2,O1 ,Oq1の定義 図21は、接触点の軌跡g0 を座標系O2 ,Oq2,O
1 ,Oq1によって示したものである。座標系O2 (u2,
2,z2 ),Oq2(q2,vq2, z2 )は、設計基準点P
0 を通る歯車II軸の軸直角平面Z20とII軸との交点O2
を原点とする座標系であり、座標系C2 ,Cq2をz2c
方向にC22 だけ平行移動したものである。全く同様
に座標系O1 (u1,v1,z1 ),Oq1(q1,vq1,
1 )は、点P 0 を通る歯車I具の軸直下平面Z10とI
軸との交点O1 を原点とする座標系であり、座標系C1
とCq1とをz1C軸方向にC1 1 だけ平行移動したもの
である。
【0163】4.2.接触点の軌跡の座標の変換式 座標系C2 とO2 ,Cq2とOq2,O2 とOq2との関係
は、次のようになる。 (1) 座標系C2 とO22 =u2C2 =v2C2 =z2c−z2c0 ここで、z2C0 =CS 2S=−(uc0sin ΓS +zc0co
s ΓS ) (2) 座標系Cq2とOq22 =q2Cq2=vq2C2 =z2c−z2c0 ここで、z2C0 =CS 2S=−(uc0sin ΓS +zc0co
s ΓS ) (3) 座標系O2 とOq2(z2 は共通) u2 =q2 cos χ2 +Rb2sin χ22 =q2 sin χ2 −Rb2cos χ2 χ2 =π/2−φ2
【0164】全く同様にして座標系C1 とO1 ,Cq1
q1,O1 とOq1との関係は、次のようになる。 (4) 座標系C1 とO11 =u1C1 =v1C1 =z1c−z1c0 ここで、z1C0 =CS 1S=−uc0sin (Σ−ΓS )+
c0cos (Σ−ΓS ) (5) 座標系Cq1とOq11 =q1Cq1=vq1C1 =z1c−z1c0 ここで、z1C0 =CS 1S=−uc0sin (Σ−ΓS )+
c0cos (Σ−ΓS ) (6) 座標系O1 とOq1(z1 は共通) u1 =q1 cos χ1 +Rb1sin χ11 =q1 sin χ1 −Rb1cos χ1 χ1 =π/2−φ1
【0165】(7) 座標系O1 とO2 との関係は次のよう
になる。 u1 =−u2 cos Σ−(z2 +z2c0 )sin Σ v1 =v2 +E z1 =u2 sin Σ−(z2 +z2c0 )cos Σ−z1c0
【0166】4.3.接触点の軌跡の傾き角の変換式 g0 を含み歯車軸IIに平行な平面を作用面G20とすれ
ば、座標系O2 上におけるg0 の傾き角は、作用面G20
のv2 軸からの傾き角φ20(χ20の余角)と作用面G20
上のq2 軸からの傾き角ψb20 とによってg020, ψ
b20)と表わすことができる。全く同様にして作用面G10
を定義し、g0 の傾き角を座標系O1 によってg
010, ψb10)と表わすことができる。
【0167】図22は、g00n0) とg010, ψ
b10)とg020, ψb20)との関係を示したものである。
歯車対の回転によって、接触点が接触点の軌跡g0 上を
0からPに移動したものとし、変位P0 P=Lg (θ2
>0のとき正)とすれば、座標系Cs の各軸方向成分
は次のように表わすことができる。
【0168】LuC=−Lg sin φn0
(LuC:Lg のuC 方向成分) LvC= Lg cos φn0 cosψ0 (LvC:Lg のvC
方向成分) LzC= Lg cos φn0 sinψ0 (LzC:Lg のzC
方向成分) 座標系O2 の各軸方向成分は、前記式(31)を用い
て、座標系Cs の各軸方向成分によって次のように表わ
される。 Lu2=−LuC cosΓs +LzC sinΓs (Lu2:Lg のu
2 方向成分) Lv2= LvC (Lv2:Lg のv
2 方向成分) Lz2=−LuC sinΓs −LzC cosΓs (Lz2:Lg のz
2 方向成分)
【0169】したがって、g0 (φ20,ψb20 )は次式
(35),(36)のようになる。 tan φ20 =Lu2/ Lv2= tanφn0cos Γs /cosψ0 +tan ψ0sinΓs (35) sinψb20 =Lz2/ Lg = sinφn0sin Γs −cos φn0sin ψ0cosΓs (36) 全く同様にしてg0 (φ10,ψb10 )は次式(37),
(38)のようになる。 tan φ10 =Lu1/ Lv1=−tan φn0cos(Σ−Γs )/cos ψ0 +tan ψ0sin( Σ−Γs ) (37) sin ψb10 =Lz1/ Lg =sin φn0sin(Σ−Γs ) +cos φn0sin ψ0cos( Σ −Γs ) (38) 式(35),(36),(37),(38)によって、
00n0) とg010, ψb10)とg020, ψb20)
との関係が定まる。実際には上式はφn0,ψ0 以外の変
数を与える場合には使いにくいので、 g010, ψb10)
とg020, ψb20)とを与えた場合の関係式を以下に求
めておく。
【0170】 g020, ψb20)からg00n0)
とg010, ψb10)とを求める関係式 sin φn0=cos ψb20sinφ20cos Γs +sin ψb20sinΓs (39) tan ψ0 =tan φ20sin Γs −tan ψb20cosΓs /cosφ20 (40) tan φ10=tan φ20sin(Σ−π/2) −tan ψb20cos( Σ−π/2)/cos φ20 (41) sin ψb10 =cos ψb20sinφ20cos(Σ−π/2) +sin ψb20sin( Σ−π/2) (42)
【0171】 g010, ψb10)からg00n0)
とg020, ψb20)とを求める関係式 sin φn0=−cos ψb10sinφ10cos(Σ−Γs ) +sin ψb10sin( Σ−Γs ) (43) tan ψ0 = tanφ10sin(Σ−Γs ) +tan ψb10cos( Σ−Γs )/cos φ10 (44) tan φ20=tan φ10sin(Σ−π/2) +tan ψb10cos( Σ−π/2)/cos φ10 (45) sin ψb20 =−cos ψb10sinφ10cos(Σ−π/2) +sin ψb10sin( Σ−π/2) (46)
【0172】4.4.接触点の軌跡g0 の座標系O2
よる表示 次に座標系O2 による接触点の軌跡の方程式について説
明する。図23は、接触点の軌跡g0 および対応する歯
形曲線IIを示している。θ2 =0のとき、設計基準点P
0 で接触し、そのときの接平面をW0 (同図では作用面
との交線で表す)とする。歯車IIがθ2 だけ回転した
後、接触点はP、接平面はWに移動しているものとす
る。
【0173】(1) 設計基準点P0 設計基準点は座標系CS によりP0(uc0,0, zc0) で与
えられている。ただし、zc0≧0とし、特に円筒歯車や
かさ歯車の場合はuc0=0とする。したがって、座標系
2 により表示された設計基準点をP0(u2p0,−vcs2,
0)とすれば、式(31)を用いて、u2P0 は次のように
なる。 u2p0 =O2s0 =−uc0cos Γs +zc0sin Γs (47) g020, ψb20)は前記式(35),(36)によって
与えられるから、P0(u2p0,−vcs2,0)を座標系Oq2
変換し、P0(q2p0,−Rb20,0)で表わせば、q 2p0 ,R
b20 は次のようになる。 q2p0 =u2p0cosχ20−vcs2sinχ20b20 =u2p0sinχ20+vcs2cosχ20 (48) χ20 =π/2−φ20
【0174】(2) 接触点の軌跡g0 の方程式 前記式(25)を座標系O2 ,Oq2に変換し、その変換
後の式(25)に式(48)を代入すれば、接触点の軌
跡g0 の方程式は回転角θ2 における接触点Pの座標と
して、座標系O2 によって次のようになる。ただし、θ
2 =0のとき、設計基準点P0 で接触している。 q22)=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2p0 22)=q22)cos χ20+Rb20sinχ2022)=q22)sin χ20−Rb20cosχ20 (49) z22)=Rb20 θ2cosψb20sinψb20
【0175】4.5.接触点の軌跡g0 の座標系O1
よる表示 図24は、接触点の軌跡g0 および対応する歯形曲線I
を示している。g0 (φ10,ψb10 )は前記式(3
7),(38)によって与えられるから、座標系O 2
場合と全く同様にして、設計基準点P0 (uC0,0,z
c0)を座標系O1 ,Oq1に変換し、P0 (u1p0 ,−v
cs1 ,0),P0 (q1p0 ,−Rb10 ,0)で表せば、
前記式(30)を用いて、u1p0 ,q1p0 ,Rb10 は次
のようになる。 u1p0 =O1S0 =uc0cos (Σ−ΓS )+zc0sin (Σ−ΓS ) q1p0 =u1P0cosχ10−vcs1 sin χ10b10 =u1Psin χ10+vcs1 cos χ10 χ10 =π/2−φ10
【0176】したがって、接触点の軌跡g0 の方程式
は、前記式(25)を座標系O1 ,O q1およびθ1 で表
せば、次のようになる。 θ1 =i0 θ2 (θ2 =0の時、θ1 =0) q11)=Rb10 θ1cos2 ψb10 +q1p0 11)=q11)cos χ10+Rb10sinχ10 (49−1) v11)=q11)sin χ10−Rb10cosχ1011)=Rb10 θ1cosψb10sinψb10
【0177】接触点の軌跡g0 が静止空間に固定された
直線として与えられ、しかも、角速度比が一定であるか
ら、接触点の軌跡の方程式は2軸の位置関係によらず、
全く同じ形で表現できることになる。
【0178】5.歯形曲線の方程式 5.1.歯形曲線IIの方程式 図23に、歯形曲線IIを歯車IIと共にθ2 で回転する座
標系Or2(ur2, vr2, zr2) で示している。座標系O
r2は座標系O2 に対して原点O2 およびz2 軸を共有
し、θ2 =0のとき一致しているものとする。接触点の
軌跡g0 は前記式(49)によって与えられるから、回
転座標系Or2で表わした歯形曲線IIの方程式は次のよう
になる。
【0179】 χr2=χ20−θ2 =π/2−φ20−θ2 r2=q22)cos χr2+Rb20sinχr2 (50) vr2=q22)sin χr2−Rb20cosχr2r2=Rb20 θ2cosψb20sinψb20
【0180】5.2.歯形曲線Iの方程式 図24は、歯形曲線Iを座標系O1 および歯車Iと共に
θ1 で回転する座標系Or1(ur1, vr1, zr1) で示し
たものである。座標系Or1は座標系O1 に対して原点O
1 およびz1 軸を共有し、θ1 =0のとき一致している
ものとする。接触点の軌跡g0 は前記式(49−1)に
よって与えられているから、回転座標系Or1で表わした
歯形曲線Iの方程式は次のようになる。 χr1=χ10−θ1 =π/2−φ10−θ1r1=q11 )cos χr1+Rb10sinχr1 (53) vr1=q11 )sin χr1−Rb10cosχr1r1=Rb10 θ1 cos ψb10 sin ψb10
【0181】次に、決定された歯形曲線から歯面を決定
する具体的方法を図面に基づいて詳細に説明する。 1.対象歯車対の定義 対象とするインボリュート歯車対は次のように定義され
ているものとする。接触点の軌跡g0 に対応する歯形曲
線をそれぞれ歯形曲線I,IIとするとき、歯面IIとして
歯形曲線IIを含むインボリュートヘリコイドを与え、歯
面IIによって定角速度比i0 で創成された曲面を歯面I
(したがって、歯形曲線Iを含む)とする。このように
定義されたインボリュート歯車対の歯面を修整して歯形
曲線I,IIに沿って接触させれば、軸受荷重変動は0と
なるから、動力伝達用歯車対としては荷重変動の点から
最も有利な歯車対となる。そこで、以下、インボリュー
ト歯車対の関係式、すなわち、インボリュートヘリコイ
ドとその接触領域,共役歯面Iの方程式を説明する。
【0182】2.インボリュートヘリコイド(歯面II)
の方程式 2.1.作用面G20の方程式 図25は、前記式(25)によって与えられた設計基準
点P0 および接触点の軌跡g0 を含む作用面G20(傾き
角χ20=π/2−φ20)を座標系O2 ,Oq2によって示
したものである。点P0 における接平面W0 とG20との
交線が直線w0で表されている。歯車IIがθ2 だけ回転
したとき、接触点P0 はPに、w0 はwに移動したもの
とする。
【0183】インボリュートヘリコイドの定義によりw
上の任意点の歯面法線nは作用平面G20上にあって、し
かもそのq2 軸からの傾き角ψb20 は一定であるから、
0上の点Pを通りg0 に直交する直線になっている。
したがって、インボリュートヘリコイドは、歯車IIの回
転(回転角θ2 )と共にG20上をq2 軸方向にRb20θ2
だけ平行移動する交線wが、歯車IIに固定された回転
する空間(座標系Or2)上に描く軌跡面と定義できる。
そこで、直線w上の任意点をQとし、点Qを座標系Or2
で表わせば、求めるインボリュートヘリコイドはQの集
合として表わすことができる。
【0184】w上の任意点Qを通り、wに垂直な作用面
20上の有向直線をn(g0 と同方向を正)とし、nと
0 との交点をQ0 とすれば、座標系Oq2によって表示
された点Q0 (q20,−Rb20 ,z20)は次のようにな
る。 q20=q2p0 −z20tan ψb20 したがって、点Qを座標系Oq2によって表せば、Q(q
2 ,−Rb20 ,z2 )は次のようになる。
【0185】 q22,20 )=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q20 =Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2p0 −z20tan ψb2022,20 )=Rb20 θ2cosψb20sinψb20 +z20 さらに点Qを座標系O2 によって表わせば、Q(u2,v
2,z2)は次のようになる。 q22,20 )=Rb20 θ2cos2 ψb20 +q2p0 −z20tan ψb20 22,20 )=q22,20 )cos χ20+Rb20sinχ2022,20 )=q22,20 )sin χ20−Rb20cosχ20 (54) z22,20 )=Rb20 θ2cosψb20sinψb20 +z20
【0186】この式(54)が座標系O2 によって表わ
したθ2 とz20とをパラメタとする作用面G20の方程式
であり、θ2 を固定すれば、接平面Wと作用面G20との
交線wを、z20を固定すれば作用面上の有向直線nを表
わすことになる。接触点の軌跡g0 は点P0 を通る有向
直線nでもあるから、z20=0と置けば前記(49)が
求められる。
【0187】2.2.インボリュートヘリコイドの方程
式 図25における直線wを歯車IIと共に回転する座標系に
変換すれば、直線wの軌跡はインボリュートヘリコイド
(基礎円筒半径Rb20 、ねじれ角ψb20 )を描くから、
これを歯面IIとして与えるものとする。この時、点Qに
おける有向直線nは歯面法線nになる。
【0188】図26は、回転角θ2 における直線wを通
るインボリュートヘリコイド(歯面II)上の任意点Pm
を座標系O2 上で示したものである。歯面IIがwからさ
らにξ2 だけ回転したとき、wはwm にきているとすれ
ば、wm とnとの交点Qm は次のように表すことができ
る。 q2m( θ2,20,ξ2)=q22,20) +Rb20 ξ2cos
2 ψb202m( θ2,20,ξ2)=z22,20) +Rb20 ξ2cos
ψb20sinψb20
【0189】回転座標系Or2m を回転角θ2 のとき座標
系O2 に一致し、z2 軸回りにξ2だけ回転する座標系
とすれば、座標系Or2m によってQm (ur2m,r2m,
r2m)は次のように表わすことができる。 χr2m =χ20−ξ2 =π/2−φ20−ξ2r2m ( θ2,20,ξ2)=q2m( θ2,20,ξ2)cos χ
r2m +Rb20sinχr2mr2m ( θ2,20,ξ2)=q2m( θ2,20,ξ2)sin χ
r2m −Rb20cosχr2mr2m ( θ2,20,ξ2)=z22,20) +Rb20 ξ2c
osψb20sinψb20
【0190】座標系Or2m をξ2 だけθ2 の逆方向に回
転させて座標系O2 に重ねれば、Q m はPm に移動す
る。座標系Or2m 上の点Qm が座標系O2 上の点Pm
あり、両者は同じ座標値であるから、点Pm を座標系O
2 によって表示すれば、Pm (u2m,v2m, z2m)は次
のようになる。 χr2m =χ20−ξ2 =π/2−φ20−ξ2 2m( θ2,20,ξ2)=q22,20)+Rb20 ξ2 cos 2 ψb20 2m2,20,ξ2)=q2m( θ2,20,ξ2)cos χ2m+Rb20sinχ2m (55) v2m2,20,ξ2)=q2m( θ2,20,ξ2)sin χ2m−Rb20cosχ2m2m2,20,ξ2)=z22,20) +Rb20 ξ2cosψb20sinψb20
【0191】この式(55)が任意の回転角θ2 におけ
る接触点の軌跡g0 上の点Pを通るインボリュートヘリ
コイド(歯面II)のz20とξ2 とをパラメタとする、座
標系O2 による方程式である。θ2 =0とすれば、設計
基準点P0 を通る歯面IIとなり、さらにz20=0とすれ
ば、式(50)、すなわち点P0 を通る歯形曲線IIとな
る。または、この式(55)は、作用面G20上の点Qm
をξ2 だけθ2 の逆方向に回転させた平面G2m上の点P
m の座標系O2 による方程式と考えることができ、点P
を通るインボリュートヘリコイドを座標系O2 上で考え
るときには、この方が考えやすい。
【0192】3.接触線と接触領域 歯面IIが前記式(55)によって与えられている時、点
Pを通る接触線は、θ 2 を固定したときの接触の条件式
を満たすz20とξ2 との組合せであるから、ξ 2 をパラ
メタとして次のように求められる。
【0193】3.1.接触点の共通法線nm (P
m0m ) 図27は、接触点Pm における接触線PPm および共通
法線nm (Pm0m )を示したものである。歯車IIがθ
2 だけ回転し、接触点は接触点の軌跡g0 上の点Pにあ
るものとする。歯面II上にP以外の接触点Pm をとり、
その相対速度をVrsm 、その共通法線をnm ( |nm
=1) とする。nm と平面SH との交点をPm0、点Pm0
の相対速度をVrsm0とすれば、Pm は接触点であるから
次の関係式が成り立つ。
【0194】 nm ・Vrsm =nm ・( Vrsm0+ωr ×〔Pmom 〕・nm ) =nm ・Vrsm0 = 0 ここで、〔Pmom 〕は、Pmoを始点、Pm を終点とす
るベクトルを表している。
【0195】相対速度Vrsm0はPm0を通り平面Sp に平
行な平面Spm上にあるから、平面S pm上で平面SH に対
する傾き角をψm0とする。点Pm0を通りVrsm0に垂直な
平面をSnmとすれば、平面Snmはnm (Pm0m )を含
むから、点Pm の歯直角平面(ねじれ角ψm0)となって
いる。一方、接触点Pm およびその共通法線nm は、P
0 を通る作用面G20からξ2だけ傾いた平面G2m上にあ
るから、座標系O2 で表したnm の傾き角はnm ( φ 20
+ξ2b20)で与えられる。共通法線nm は平面Snm
2mとの交線上にあることから、座標系CS と座標系O
2 の間の傾き角の変換式(40)を用いれば、平面Snm
のねじれ角ψm0を次のように表すことができる。 tanψm0= tan( φ20+ξ2)sin Γs −tan ψb20cosΓ
s /cos( φ20+ξ2) 点Pm0の位置を座標系Cs を用いてPm0(ucm0,0,z
cm0 )とすれば、ψm0とucm0 との関係式(34)か
ら、
【0196】 ucm0 =Om m0=Etan ψm0sin(Σ−Γs )sinΓs /sinΣ (56) zcm0 =Cs m 点Pm0を座標系CS から座標系O2 に変換して、P
m0(u2m0,−vcs2,z2m0)で表せば、次のようにな
る。 u2m0 =−ucm0cosΓs +zcm0sinΓs cs2 =Etan ΓS /{tan (Σ−ΓS )+tan ΓS } z2m0 =−ucm0sinΓs −zcm0cosΓs −z2cs (57) z2c0 =−uc0sin Γs −zc0cos Γs ここで、uc0,zC0は、設計基準点P0 のuc ,zc
標値である。
【0197】この式(57)からzcm0 を消去すれば、 u2m0cosΓs +( z2m0 +z2cs )sinΓs =−ucm0 (58) この式(58)が接触点の共通法線nm の平面SH 上の
軌跡P0m0を示している。Pm0は、軌跡P0m0(前
記式(58))と、作用面G2mと平面SH との交線Hg2
m との交点であるから、座標系O2 によってξ2 をパラ
メタとして次のように表すことができる。
【0198】 u2m0 =Rb20/cos(φ20+ξ2)−vcs2tan( φ20+ξ2) vcs2 =Etan ΓS /{tan (Σ−ΓS )+tan ΓS } (59) z2m0 =−z2c0 −( u2m0cosΓs +ucm0)/sinΓs 点Pm0を、座標系Oq2を用いてPm0(q2m0 ,−
b20 ,z2m0 )で表せば、q2m0 は次のようになる。 q2m0 =u2m0 cos χ2m−vcs2sinχ2m χ2m =π/2−φ20−ξ2 =χ20−ξ2
【0199】これらの式によって共通法線nm を、点P
m0を通り、傾き角がnm (φ20+ξ 2 ,ψb20 )の有向
直線として、ξ2 をパラメタとして作用面G2m上に表す
ことができる。
【0200】3.2.接触線と接触領域の方程式 図28は、点Qm0(Pm0),Qm (Pm ),Qと点Pと
の関係を作用面G20上で示したものである。Pm0,Pm
を回転座標系Or2m で表わすと、作用面G2mは位相差ξ
2 だけ回転して、作用面G20に重なり、nm はnに、P
m0はQm0に、P m はQm に移動する。歯面IIと作用面G
20との交線をwとし、wとnとの交点をQとすれば、座
標系Oq2を用いて、既知点Qm0(q2m0,−Rb20,
2m0 ),P(q2p, −Rb20,z2p)と未知点Q{q
22,ξ2 ), −Rb20,z22,ξ2 )}との間には次
の関係が成り立つ。 z2m0 =−{q22,ξ2 )−q2m0 }tan ψb20
{q2p−q22,ξ2 )}/tanψb20 +z2p したがって、点Qは座標系Oq2を用いて、次のように表
すことができる。
【0201】 q22,ξ2 )=( q2m0tanψb20 +q2p /tan ψb20 +z2p−z2m0)/(tan ψb20 +1/tan ψb20) (60) z22,ξ2 )=z2p+{q2p−q22,ξ2 )}/tan ψb20 ここに、 q2p=q2p0 +Rb20 θ2cos2 ψb202p=Rb20 θ2cosψb20sinψb20
【0202】点Qm はξ2 をパラメタとして座標系Oq2
を用いて次のように表わすことができる。 q2m( θ2,ξ2 )=q22,ξ2 )+Rb20 ξ2cos2 ψ
b202m( θ2,ξ2 )=z22,ξ2 )+Rb20 ξ2cosψ
b20sinψb20 したがって、座標系O2 によって接触点Pm をPm (u
2m ,v2m ,z2m)で表わせば、各座標値は前記式(5
5)を用い、ξ2 をパラメタとして次のようになる。
【0203】 χ2m=χ20−ξ2 =π/2−φ20−ξ2 2m( θ2,ξ2 )=q22,ξ2 )+Rb20 ξ2cos2 ψb20 2m( θ2,ξ2 )=q2m( θ2,ξ2 )cos χ2m+Rb20 sin χ2m2m( θ2,ξ2 )=q2m( θ2,ξ2 )sin χ2m−Rb20cosχ2m (61) z2m( θ2,ξ2 )=z22,ξ2 )+Rb20 ξ2cosψb20sinψb20
【0204】この式(61)が任意の回転角θ2 におけ
るξ2 をパラメタとする接触線(PPm )の座標系O2
による方程式である。ここで、前記式(55)のパラメ
タz 20は接触の条件式からξ2 の関数になっている。し
たがって、θ2 を変化させることによって、接触線の集
合として接触領域を表わすことができる。また、前記式
(61)は任意のξ2 におけるθ2 をパラメタとする共
通法線nm (Pm0m)の方程式であり、ξ2 を変化さ
せることによって共通法線nm の集合として接触領域を
表わしていると考えることもできる。歯面IIとしてイン
ボリュートヘリコイドを用いれば、接触領域は、作用面
上のねじれ角ψb20 の有向直線(Pm0 m )が歯車II軸
方向変位と共にその傾き角φ20+ξ2 を変化させること
によって描くねじれた曲面になっている。
【0205】4.歯面IIによって創成される歯面Iの方
程式 図29は、接触点Pm および共通法線nm (Pm0m
を座標系O1 とOq1で示したものである。前記式(6
1)で与えられる接触点Pm を座標系O1 ,Oq1で表わ
し、座標系Or1に変換すれば歯面Iを表わすことにな
る。
【0206】点Pm は前記式(61)でPm (u2m ,v
2m ,z2m)として与えられるから、点Pm を座標系O1
上でPm ( u1m, v1m, z1m) と表わせば、座標系O2
とO 1 との座標変換式によって、各座標値は次のように
表わすことができる。 u1m=−u2m cosΣ−( z2m+z2c0 )sinΣ v1m=v2m+E z1m=u2msin Σ−( z2m+z2c0 )cosΣ−z1c010=−uC0sin (Σ−ΓS )+zc0cos (Σ−ΓS ) 共通法線nm の傾き角はnm ( φ20+ξ2b20)で与え
られるから、座標系O 2 とO1 との傾き角の変換式であ
る前記式(41)、(42)を用いて、nm (φ1m, ψ
b1m )を次のように求めることができる。
【0207】tan φ1m= tan( φ20+ξ2)sin(Σ−π/
2) −tan ψb20cos( Σ−π/2)/cos(φ20+ξ2) sin ψb1m =cos ψb20sin( φ20+ξ2)cos(Σ−π/2)
+ sinψb20sin( Σ−π/2)
【0208】共通法線nm を含む作用面をG1mとし、座
標系Oq1で点Pm をPm (q1m ,−Rb1m , z1m)と表
わせば、座標系O1 とOq1との変換式である前記式(5
2)を用いて、次のようになる。 q1m=u1m cosχ1m+v1msin χ1mb1m =u1m sinχ1m−v1mcos χ1m χ1m=π/2−φ1m 点Pm を座標系Or1に変換すれば、共役な歯面Iは次の
ように表すことができる。 θ1 =i0 θ2 (θ2 −0の時、θ1 =0) χr1m =π/2−φ1m−θ1 r1m =q1mcos χr1m +Rb1m sin χr1m r1m =q1msin χr1m −Rb1m cos χr1m (62) zr1m =z1m
【0209】5.同一インボリュートヘリコイドを一方
の歯面とする歯車対の群(インボリュート歯車群)歯車
II軸と歯面IIとして同一インボリュートヘリコイド(基
礎円半径Rb20 、ねじれ角ψb20 )およびこの歯面上に
点P0 (半径R20)が与えられているものとする。座標
系O2 によって、点P0 およびその法線n0 は次のよう
に表すことができる。
【0210】P0(u2p0,v2p0,0) n020, ψb20) φ20+ε20= cos-1( Rb20/R20) ε20= tan-1( v2p0/u2p0) R20=√(u2p0 2+v2p0 2) 本実施形態においては、P0 は平面SH 上に選ばれ、v
2p0 =−vcs2 となるから、軸角Σと角速度比i0 (ま
たは相対回転軸の軸角ΣS )とを与えれば、Eが求めら
れ、相対回転軸Sおよび相手歯車軸I、すなわち、歯車
対が決定される。
【0211】図30は、歯車IIを回転させ、点P0 およ
びその法線n0 を座標系O2 の適当な位置に選択固定
し、設計基準点および接触点の軌跡とした場合の、イン
ボリュート歯車群を概念的に描いたものである。また、
図中、「S」は、はすば歯車とウォームギヤ(またはね
じ歯車)の相対回転軸を示し、「Sb 」は、かさ歯車の
相対回転軸を示し、「Shy」は、ハイポイドギヤの相対
回転軸を示している。点P0 の位置によってインボリュ
ート歯車群は次のように変化する。 (1) P0 がv2 軸上にあるときには、Σの値によって変
化する。 (a) Σ=0またはπのときは、外歯はすば歯車または内
歯はすば歯車となる。ΓS =0となり、共役な相手歯面
Iもインボリュートヘリコイドとなる。 (b) Σ≠0のときは、ウォームギヤまたはねじ歯車とな
る。ウォームギヤとしてはウォームまたはウォームホイ
ールのいずれかをインボリュートヘリコイドとしたもの
が実用化されている。特に相手歯面Iにも歯形曲線Iを
含むインボリュートヘリコイドを採用した歯車対がイン
ボリュートねじ歯車として使われている。 (2) P0 がu2 軸上(P0B)にあるときには、かさ歯車
となる。相手歯面にも歯形曲線Iを含むインボリュート
ヘリコイドを与えたかさ歯車がコニカルギヤとして実用
化されている。 (3) P0 が上記以外(P0H)にあるときには、ハイポイ
ドギヤと転位ウォームギヤまたは転位ねじ歯車となる。
0Hが、|ε20|の比較的小さい領域に選ばれれば(図
示)、かさ歯車に使いハイポイドギヤを意味し、|ε20
|がπ/2の近傍に選ばれれば(P0 付近)、転位ウォ
ームギヤまたは転位ねじ歯車を意味することになる。
【0212】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらの他にも、特許請
求の範囲を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて
種々の変形,改良を施した形態で本発明を実施すること
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1ないし第5発明のそれぞれの一実施形態で
ある歯車設計方法を示すフローチャートであり、第6発
明の一実施形態である記録媒体に予め記憶されている歯
車設計プログラムを示すフローチャートでもある。
【図2】その歯車設計プログラムが実行されるCADシ
ステムを示すブロック図である。
【図3】第7発明の一実施形態であるインボリュート歯
車の歯形を示す正面図,断面図および斜視図である。
【図4】第8発明の一実施形態であるハイポイドギヤを
示す斜視図である。
【図5】第9または第10発明の一実施形態である歯車
測定方法を実施するのに好適な歯車測定装置全体を示す
系統図である。
【図6】その歯車測定方法における歯形誤差測定を概念
的に説明するための正面図である。
【図7】その歯形誤差測定工程を示すフローチャートで
あり、その歯車測定支援コンピュータプログラムを示す
フローチャートでもある。
【図8】前記歯車測定方法における歯すじ誤差測定を概
念的に説明するための正面図である。
【図9】その歯すじ誤差測定工程を示すフローチャート
であり、その歯車測定支援コンピュータプログラムを示
すフローチャートでもある。
【図10】第1発明を説明するために歯形の基本寸法を
示す斜視図である。
【図11】第1発明を説明するために歯形の基本座標系
を示す斜視図である。
【図12】第1発明を説明するために回転角によって接
触点とその共通法線との変位を示す図である。
【図13】第1発明を説明するために歯形の接触点の軌
跡を示す図である。
【図14】第2ないし第4発明を説明するために歯車II
の集中荷重と軸受荷重とをそれぞれ示す図である。
【図15】第2ないし第4発明を説明するために軸受荷
重変動が0である場合の接触点軌跡を示す図である。
【図16】接触点軌跡から歯形曲線を求めるために特定
することが必要な5個の変数の値を決定する具体的方法
(以下、単に「変数決定方法」という。)を説明するた
めに、相対回転軸Sと座標系CS とをそれぞれ示す図で
ある。
【図17】上記変数決定方法を説明するために点CS
おける相対速度VS を示す図である。
【図18】上記変数決定方法を説明するために点Pにお
ける相対速度Vrsと接触点の軌跡g0 との関係を示す図
である。
【図19】上記変数決定方法を説明するために設計基準
点P0 における相対速度Vrs0 と接触点軌跡g0 とをそ
れぞれ座標系Cs により示す図である。
【図20】上記変数決定方法を説明するために平面
H ,SS ,SP およびSn と共に設計基準点P0 ,相
対速度Vrs0 および接触点軌跡g0 をそれぞれ示す図で
ある。
【図21】上記変数決定方法を説明するために設計基準
点P0 と接触点軌跡g0 とをそれぞれ、座標系O2 ,O
q2,O1 およびOq1によって示す図である。
【図22】上記変数決定方法を説明するために接触点軌
跡gn0(ψ0 ,φn0 ),g0 (φ10,ψb10 )および
0 (φ20,ψb20 )の関係を示す図である。
【図23】上記変数決定方法を説明するために座標系O
2 とOr2とによって接触点軌跡g 0 と歯形曲線IIとをそ
れぞれ示す図である。
【図24】上記変数決定方法を説明するために座標系O
1 とOr1とによって接触点軌跡g 0 と歯形曲線一とをそ
れぞれ示す図である。
【図25】歯形曲線から歯面を決定する具体的方法(以
下、単に「歯面決定方法」という。)を説明するため
に、作用面G20を示す図である。
【図26】上記歯面決定方法を説明するために回転角θ
2 におけるインボリュートヘリコイドを示す図である。
【図27】上記歯面決定方法を説明するために接触線P
m と共通法線nm (Pm0m )とをそれぞれ示す図で
ある。
【図28】上記歯面決定方法を説明するために作用面G
20上における点Qm0(Pm0),Q m (Pm ),Qおよび
Pの関係を示す図である。
【図29】上記歯面決定方法を説明するために座標系O
1 とOq1とによって点Pm と共通法線nm とをそれぞれ
示す図である。
【図30】上記歯面決定方法を説明するために一方の歯
面が同一のインボリュートヘリコイドである歯車対の群
を示す図である。
【図31】従来の動荷重理論の基本モデルを示す図であ
る。
【図32】第9および第10発明に係る歯車測定方法を
従来の歯車測定方法と対比しつつ概念的に示す斜視図で
ある。
【図33】第9および第10発明に係る歯車測定方法を
概念的に示す斜視図である。
【符号の説明】
3 コンピュータ 6 外部記憶装置 8 リングギヤ 10 被測定歯車 12 歯 14 測定子

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】インボリュートヘリコイドを歯面とする歯
    車を設計する方法であって、 前記歯車に対して、(a) 互いに直交する3座標軸のうち
    の1つがその歯車の回転軸に一致し、他の2座標軸のう
    ちの1つが、その歯車の回転軸とその歯車が噛み合わさ
    れるべき相手歯車の回転軸との共通垂線に一致する静止
    座標系と、(b)互いに直交する3座標軸のうちの1つが
    前記静止座標系の3座標軸のうち前記歯車の回転軸に一
    致するものに一致し、その一致する座標軸を中心にして
    その歯車と共に回転するとともに、その歯車の回転角が
    0であるときに他の2座標軸が前記静止座標系の他の2
    座標軸にそれぞれ一致する回転座標系と、(c) 前記静止
    座標系を前記歯車の回転軸を中心に、かつ、その静止座
    標系の前記他の2座標軸のうちの1つが前記歯車の作用
    面と平行になるように回転変換した媒介座標系とをそれ
    ぞれ想定し、 前記媒介座標系において、前記歯車の回転中、その歯車
    と前記相手歯車との間で互いに噛み合う歯面対の接触点
    が描く軌跡と、その歯面対に対する各接触点における法
    線である共通法線の傾き角とをそれぞれ、前記歯車の回
    転角を助変数とする第1関数によって記述し、 前記静止座標系において、前記第1関数と、その静止座
    標系と前記媒介座標系との相対位置関係とに基づき、前
    記接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転
    角を助変数とする第2関数によって記述し、これによ
    り、静止座標系における接触点軌跡と共通法線傾き角と
    をそれぞれ取得し、 前記回転座標系において、前記第2関数と、その回転座
    標系と前記静止座標系との相対位置関係とに基づき、前
    記接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転
    角を助変数とする第3関数によって記述し、これによ
    り、前記歯車の歯形曲線を取得することを特徴とする歯
    車設計方法。
  2. 【請求項2】請求項1の歯車設計方法であって、さら
    に、前記歯車に対して、その歯車の回転軸をその歯車の
    両側においてそれぞれ回転可能に支持する一対の軸受を
    想定し、前記歯車の前記接触点軌跡と共通法線傾き角と
    をそれぞれ、その歯車の回転に伴って前記一対の軸受に
    作用する荷重の変動が実質的に0になるように取得する
    接触状態取得工程を含むことを特徴とする歯車設計方
    法。
  3. 【請求項3】請求項2の歯車設計方法であって、前記接
    触状態取得工程が、前記接触点軌跡を、前記静止座標系
    において、前記歯車が回転するにもかかわらず固定さ
    れ、かつ、前記各接触点において前記共通法線と一致す
    る直線として取得する工程であることを特徴とする歯車
    設計方法。
  4. 【請求項4】請求項1ないし3のいずれかの歯車設計方
    法であって、さらに、前記取得された歯形曲線を含むと
    ともに前記相手歯車の歯面と干渉しない曲面を前記歯車
    の歯面に決定する歯面決定工程を含むことを特徴とする
    歯車設計方法。
  5. 【請求項5】インボリュートヘリコイドを歯面とする歯
    車を設計する方法であって、 前記歯車に対して、(a) 互いに直交する3座標軸のうち
    の1つがその歯車の回転軸に一致し、他の2座標軸のう
    ちの1つが、その歯車の回転軸とその歯車が噛み合わさ
    れるべき相手歯車の回転軸との共通垂線に一致する静止
    座標系と、(b)互いに直交する3座標軸のうちの1つが
    前記静止座標系の3座標軸のうち前記歯車の回転軸に一
    致するものに一致し、その一致する座標軸を中心にして
    その歯車と共に回転するとともに、その歯車の回転角が
    0であるときに他の2座標軸が前記静止座標系の他の2
    座標軸にそれぞれ一致する回転座標系と、(c) 前記静止
    座標系を前記歯車の回転軸を中心に、かつ、その静止座
    標系の前記他の2座標軸のうちの1つが前記歯車の作用
    面と平行になるように回転変換した媒介座標系とをそれ
    ぞれ想定し、 前記媒介座標系において、前記歯車の回転中、その歯車
    と前記相手歯車との間で互いに噛み合う歯面対の接触点
    が描く軌跡と、その歯面対に対する各接触点における法
    線である共通法線の傾き角とをそれぞれ、前記歯車の回
    転角を助変数とする第1関数によって記述し、 前記回転座標系において、前記第1関数と、その回転座
    標系と前記媒介座標系との相対位置関係とに基づき、前
    記接触点軌跡と共通法線傾き角とをそれぞれ、前記回転
    角を助変数とする第2関数によって記述し、これによ
    り、前記歯車の歯形曲線を取得することを特徴とする歯
    車設計方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれかの歯車設計方
    法を実行するためにコンピュータにより実行されるべき
    プログラムが予め記録されていることを特徴とする歯車
    設計プログラム記録媒体。
  7. 【請求項7】インボリュート平歯車を除き、インボリュ
    ートヘリコイドを歯面とする歯車において、それの歯面
    のうち、その歯面と前記歯車の作用面との交線にほぼ直
    角な一対の平面で挟まれる領域を歯当たり領域としたこ
    とを特徴とする歯車。
  8. 【請求項8】請求項7の歯車であって、それの回転軸
    が、その歯車と噛み合わされるべき相手歯車の回転軸と
    非平行であることを特徴とする歯車。
  9. 【請求項9】インボリュート平歯車を除き、インボリュ
    ートヘリコイドを歯面とする歯車を測定する方法であっ
    て、 測定すべき歯車と測定子とを、その測定子が前記歯面に
    沿って、かつ、その歯面と前記歯車の作用面との交線に
    ほぼ直角な方向に移動するように相対変位させている状
    態で、前記歯面のうち前記交線にほぼ直角な方向におけ
    る形状誤差を測定することを特徴とする歯車測定方法。
  10. 【請求項10】請求項9の歯車測定方法であって、前記
    誤差としての第1誤差の他に、前記測定すべき歯車と前
    記測定子とを、その測定子が前記歯面に沿って、かつ、
    前記交線にほぼ平行な方向に移動するように相対変位さ
    せている状態で、前記歯面のうち前記交線にほぼ直角な
    方向における形状誤差を第2誤差として測定することを
    特徴とする歯車測定方法。
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