JPH09512437A - 酵母中での哺乳類アデニリルシクラーゼの機能的発現 - Google Patents

酵母中での哺乳類アデニリルシクラーゼの機能的発現

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JPH09512437A
JPH09512437A JP7528355A JP52835595A JPH09512437A JP H09512437 A JPH09512437 A JP H09512437A JP 7528355 A JP7528355 A JP 7528355A JP 52835595 A JP52835595 A JP 52835595A JP H09512437 A JPH09512437 A JP H09512437A
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ジエイムズ・アール ブローチ,
マンフレデイ,ジヨン・ピー
ジヨシユア トウルーハート,
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カダス・フアーマシユーチカル・コーポレーシヨン
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    • C12N9/88Lyases (4.)

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Abstract

(57)【要約】 哺乳類アデニリルシクラーゼは酵母細胞中で機能的に発現する。酵母細胞は、アデニリルシクラーゼの阻害剤もしくは活性化剤、または酵母細胞中で機能的に共発現するアデニリルシクラーゼの調節体の阻害剤もしくは活性化剤を選別するのに使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】 酵母中での哺乳類アデニリルシクラーゼの機能的発現 本出願は現在係属中で1994年4月26日出願の出願番号08/233,7 00の一部継続出願であり、引用することによって全開示内容が本明細書に取り 込まれている。本出願の出願日の利益は本明細書によってすべての関係法令およ び条約に基いて請求される。 発明の背景関連出願のクロス・リファレンス 1994年10月13日出願で、引用することによって本明細書に取り込まれ ている、同一所有されている出願米国出願第08/322,137号は、酵母フ ェロモン系タンパク質、例えば、酵母フェロモン受容体、Gタンパク質結合受容 体の哺乳類代用体の活性をモジュレートする物質をスクリーニングする際の遺伝 子操作された酵母の使用に関する。発明の技術分野 本発明は特に、酵母中での哺乳類アデニリルシクラーゼの発現、形質転換され た酵母細胞、並びに例えば哺乳類アデニリルシクラーゼ、または遺伝子操作され た酵母細胞中で哺乳類アデニリルシクラーゼに先天的もしくは人工的に結合して いる他のタンパク質の潜在的な阻害剤もしくは活性化剤を同定するのに使用する ことに関する。背景技術の説明 シグナル伝達 幾つかの例において、疾病を治療するかまたはその症状を軽減する薬 物の場合、その薬物は適切な細胞に送達され、そして正確な「スイッチ」を押さ なければならない。細胞スイッチは「受容体」として知られている。ホルモン、 成長因子、神経伝達物質および他の多くに生物分子は特異的細胞受容体との相互 作用によって正常に作用する。薬物は特定の受容体を活性化または遮断して、所 望の医薬的効果を達成する。細胞表面受容体は「体外」シグナル(リガンドの受 容体への結合)の「体内」シグナル(細胞の増殖、物質代謝または細胞消滅に関 与する細胞質または核中の経路のモジュレーション)中への導入を媒介する。 多くの場合、導入は以下のシグナリング・カスケードによって達成される。 ● アゴニスト(リガンド)は細胞表面上の特異的タンパク質(受容体)に結 合する。 ● リガンド結合の結果として、受容体は、細胞膜中の導入タンパク質を活性 化するアロステリック変化を受ける。 ● 導入タンパク質は、細胞内で、いわゆる「第二メッセンジャー分子」の産 生を活性化する。 ● 第二メッセンジャー分子は、特定遺伝子を「スイッチオン」もしくは「ス イッチオフ」するかまたはいくつかの代謝工程を変える潜在力を有する、細胞内 のある種の調節タンパク質を活性化する。 この一連の出来事は、各々の可能な細胞応答に特異的な様式で結びついている 。特定リガンドに対する応答は、細胞がどのような受容体を発現するかに依存す ることができる。例えば、α−アドレナリン受容体を発現している細胞中でのア ドレナリンに対する応答は、β−アドレナリン受容体を発現している細胞中での 応答の反対であることができる。 上記の「カスケード」は理想と考えられ、そしてこの主題についての変化が起 こる。例えば、受容体はそれ自体の導入タンパク質として作用することができる か、または導入タンパク質は、「第二メッセンジャー」による媒介なしで、細胞 内標的に直接に作用することができる。 Gタンパク質によるシグナル伝達 多種類の哺乳類ホルモンおよび神経伝達物質によって始められたシグナルは、 細胞の形質膜中の7つの膜内外ドメイン受容体によって受理され、そして異種三 量体Gタンパク質を経て細胞内エフェクターに導入される。多くの異なったGタ ンパク質は受容体と相互作用することが知られている。Gタンパク質シグナリン グ系には3つの成分が含まれる。即ち、受容体自体、GTP結合タンパク質(G タンパク質)、および細胞内標的、通常はタンパク質。 細胞膜はスイッチボードとして作用する。種々の受容体を経て到着する情報は は、受容体が同一の種類のGタンパク質に作用する場合、単一の効果を生み出す ことができる。他方、単一受容体を活性化するシグナルは、受容体が異なった種 類のGタンパク質に作用する場合、またはGタンパク質が種々のエフェクターに 作用することができる場合、一つを超える効果を生み出すことができる。 異種三量体Gタンパク質は、βおよびγサブユニットのしっかりした複合体と 共に、グアニンヌクレオチド結合αサブユニットから構成される。それらの休止 状態では、アルファ(α)、ベータ(β)およびガンマ(γ)サブユニットから なるGタンパク質は、ヌクレオチドグアノシン二リン酸(GDP)と複合して、 受容体と接触する。ホルモンまたは他の第一メッセンジャーが受容体と結合する 場合、受容体は配座を変化 させ、これがGタンパク質との相互作用を変える。これがαサブユニットを刺激 して、GDP、およびそれに代わってGタンパク質を活性化するさらに豊富なヌ クレオチドグアノシン三リン酸(GTP)を放出させる。次いで、Gタンパク質 は解離して、まだ複合されたベータおよびγサブユニットからαサブユニットを 分離する。遊離のGαおよびGβγサブユニットの両方は特異的エフェクター分 子(例えば、酵素アデニリルシクラーゼ、サイクリックGMPホスホジエステラ ーゼ(PDE)、ホスホリパーゼC、ホスホリパーゼA2、および選択されたイ オンチャンネル)の活性に影響することができる。エフェクター(しばしば酵素 である)は順に不活性な前駆体分子を活性な「第二メッセンジャー」に転化させ 、それは細胞質中に拡散し、代謝カスケードの引金を引く。数秒の後、Gタンパ ク質シグナリングは、Gαサブユニットの内因性GTPアーゼ活性によるGTP のGDPへの加水分解、およびその後の不活性な異種三量体を形成するGα−G DPとGβγとの再会合で終結する。この再会合はGDP結合GαのGβγに対 する高いアフィニティーによって駆動される。 数千でなくとも、数百の受容体が異種三量体Gタンパク質によって情報を伝達 し、その中の少なくとも17の異なった形態が単離された。最大の変動性はαサ ブユニット中に見出されるが、数種の異なったβおよびγ構造が報告されている 。追加的には、数種の異なったGタンパク質依存性エフェクターがある。 微生物の研究から、Gタンパク質シグナル伝達経路の発生は真核細胞の進化の 初期に起こったことが示されている。Gタンパク質調節機能は酵母中の交配フェ ロモンに対する応答に対し内因性であり(White way等,1989)、細胞粘菌類タマホコリカビ(Dictyosteliu m discoideum)の発生はcAMPに対するGタンパク質媒介応答に よって制御される(Devreotes,1989)。Gタンパク質媒介性シグ ナル伝達におけるアデニリルシクラーゼの役割 アデニリルシクラーゼは、哺乳類細胞中で活性化Gタンパク質に応答して機能 するエフェクター分子について研究された最高のものの一つである。アデニリル シクラーゼの活性化は、シグナルが特定の細胞受容体から導入されると、GTP 結合Gαsが放出される場合に、起こる。Gαs(「s」は刺激的を表す)は元 来、アデニリルシクラーゼ活性を欠いた変異体S49細胞中のアデニリルシクラ ーゼ活性の調節体として同定された。Gαs−GTPはそれらのcyc-細胞中 でのアデニリルシクラーゼ活性を刺激した[Northup等(1980)Pr oc.Natl.Acd.Sci.USA,77,6516−6520]。cA MPの産生は純粋のGTP−γS−結合Gαs(GTP−γSはヌクレオチドの 非加水分解的形態である)によって刺激されることができる。シクラーゼのGT P−結合Gαsによる活性化は過剰のGβγによって逆転する。阻害は不活性な Gタンパク質異種三量体が改編する場合、起こると考えられる。 Gタンパク質の他のクラス、Gαi(Gαi1、Gαi2、およびGαi3を 含む)と相互作用する受容体によってシグナルする分子はアデニリルシクラーゼ の阻害を媒介する。アゴニストがGi−結合受容体に結合すると、活性化Gαi タンパク質および放出Gβγ複合体の両方はアデニリルシクラーゼの活性を阻害 することができるようである[Taussig等(1993)Science, 261,218−221]。 Gβγ複合体は、異種三量体を遊離Gαsで改編してその調節分子を隔離するこ とによって、酵素活性を阻害することができる[Gilman(1984)Ce ll,36,577−579]。さらに、Gαiサブユニットはアデニリルシク ラーゼ活性を直接に阻害することができる[Taussig等(1993)Sc ience,261,218−221]。アデニリルシクラーゼの負の調節のた めの第三の機構は、Gβγ複合体による直接阻害を含む。精製された1型アデニ リルシクラーゼはβγサブユニットによって直接に阻害されることが示された[ Taussig等(1993)J.Biol.Chem.,268,9−12]。 サイクリックヌクレオチドは多数の細胞活性の調節で重要な役割を果たす。ア デノシン3′,5′−サイクリックリン酸(サイクリックアデノシン一リン酸ま たはcAMP)の合成はアデニリルシクラーゼによって触媒され、酵素は哺乳類 細胞中では統合膜タンパク質である。サイクリックAMPは、特異的プロティン キナーゼ(cAMP依存性プロティンキナーゼまたはプロティンキナーゼA)に よる細胞シグナルに応答して作用し、標的分子、例えば、他のプロティンキナー ゼまたは輸送もしくは細胞形態に関与するタンパク質をリン酸化する第二メッセ ンジャーである。キナーゼの刺激によって、細胞内cAMPは、細胞物質代謝お よび細胞増殖の調節におけるホルモンの効果の多くを媒介する。サイクリックA MPは数種のホスホジエステラーゼ(PDE)によって加水分解され、そして多 分特定の輸送体によって幾つかの細胞型から活性的に分泌されるか、または細胞 内細胞小器官の膜中に存在する輸送体によって細胞質から隔離されることができ る。 脊椎動物細胞では、アデニリルシクラーゼは異種三量体Gタンパク質 によって調節され[Gilman(1984)Cell,36,577−579 ]、他方酵母中では、RASタンパク質がアデニリルシクラーゼを調節する[T oda等(1985)Cell,40,27−36;Broek等(1985) Cell,41,763−769]。順に、異種三量体Gタンパク質およびRA Sタンパク質の両方は、それらが結合しているグアニンヌクレオチドの形態によ って調節される。 多くのアデニリルシクラーゼは形質膜に随伴して見出だされるが、細菌中で発 現する酵素のある種の形態は、精巣中に見出だされる哺乳類酵素のように、細胞 質ゾル状である。周辺膜アデニリルシクラーゼはE.コリ(Aiba等,198 4)中およびS.セレビシエ(Kataoka等、1985)中で発現する。タ マホコリカビ属のAGG遺伝子によってコードされたアデニリルシクラーゼは単 一の膜内外膜ドメインを有するようである(Pitt等,1992)。タマホコ リカビ属からの第二のアデニリルシクラーゼ遺伝子(ACA)(Pitt等,1 992)、ドロソフィラ・ルタバヤ(Drosophila rutabaya )遺伝子(Levin等,1992)、および最近までにクローン化された、哺 乳類アデニリルシクラーゼをコードしている6つの全長のcDNAは、統合膜タ ンパク質をコードしてる。 酵母フェロモン系タンパク質およびそれらの代謝機能 一倍体酵母細胞は栄養増殖するのみならず、交配して二倍体細胞を形成するこ とができる。一倍体細胞の2種の交配型(「有性」)はaおよびαと呼称される 。a細胞はドデカペプチドa因子を産生し、α細胞はトリデカペプチドα因子を 産生する。a因子およびα因子は、反対の「性」の酵母細胞中の交配反応を誘発 するから、それらはフェロモンと 呼ばれる。これらのフェロモン、並びにフェロモンの産生もしくは輸送またはフ ェロモンに対する反応に特異的に関与する他のタンパク質は「フェロモン系タン パク質」と考えられる。 α因子受容体遺伝子と同様に、a因子フェロモンをコードしている遺伝子はa 細胞特異的遺伝子である。a細胞特異的遺伝子はa細胞中でのみ発現する。α因 子フェロモンをコードしている遺伝子は、a因子受容体遺伝子と同様に、α細胞 特異的遺伝子である。α細胞特異的遺伝子はα細胞中でのみ発現する。他の酵母 遺伝子は一倍体特異的遺伝子セットに属し、そして一倍体細胞(a細胞またはα 細胞)中で発現するが、二倍体(a/α)細胞中ではしない。さらに、胞子形成 に関与するそれらの遺伝子を含めて、二倍体細胞特異的遺伝子セットが存在する 。真核細胞では、RNAポリメラーゼIIプロモーターは、転写因子TFIID (TATA結合タンパク質またはTBP)が結合する特異的配列(TATAボッ クス)を含有する。活性な転写開始複合体には、TFIID、補助開始タンパク 質、およびRNAPol IIが含まれる。より高級の真核細胞中のように、T ATAボックスは酵母プロモーター中では必須の制御配列である。酵母TATA ボックス結合タンパク質(TBP)は、それが機能的に哺乳類TFIIDを代理 する能力によって同定された[Buratowski等,Nature,334 ,37(1988);Cavallini等,Nature,334,77(19 88)]。ほんの少数の明らかな例外を除いて[幾つかの解糖酵素遺伝子の転写 、Struhl,Mol.Cell,Biol.,6,3847(1986)お よびOgden等,Mol.Cell Biol.,64335(1986)参 照]、酵母遺伝子の転写は、転写の開始のために、近接 のTATAボックス要素およびTFIIDを必要とする。また、効率的な転写に は、遺伝子特異的活性化剤タンパク質が必要である。これらの遺伝子特異的調節 タンパク質が転写に影響する正確な機構は完全には解明されていない。 MCM1p(MCM1遺伝子中にコードされた)は酵母中の非細胞型特異的転 写因子である。MCM1pは、単独でまたは、a−およびα−細胞特異的遺伝子 の発現を制御する他の調節タンパク質と協調して作用する。酵母交配型遺伝子座 は、細胞型特異的発現の制御に貢献する調節タンパク質をコードする。これらの タンパク質は、Mata1p(MATa遺伝子によってコードされた)およびM atα1pとMatα2p(MATα遺伝子座によってコードされた)である。 MCM1pは、a特異的遺伝子の制御領域中に位置する上流活性化配列(USA )に結合することによって、a特異的遺伝子絵の転写を活性化する。Matα1 pおよびMCM1pは相互作用して、特異的USA結合部位への相互の結合を増 強して、α細胞中のα細胞特異的遺伝子転写を活性化する。Matα2pはMC M1pと会合して、α細胞中のa特異的遺伝子転写を抑制する。二倍体(a/α )細胞では、Matα1pおよびMatα2pが会合して一倍体特異的遺伝子の 転写を抑制する。Matα1p/Matα2p調節性実体は二倍対細胞中にのみ 見出だされる。 酵母は、α因子フェロモン、MFα1およびMFα2をコードしている2つの 遺伝子を含有する。これらの配列中に突然変異をもつ酵母の分析の結果から、M Fα1は、細胞によって産生された大多数のα因子を生成することが示される。 発現は、MFα2からよりも、MFα1からのほうが高い水準で起こる[Kur jan,Mol.Cell.Bio l.,5,787(1985)]。酵母のMFα1遺伝子は、N末端に85aa リーダー配列を含有する165aa前駆体タンパク質をコードする。リーダーに は、3つのオリゴ糖側鎖の添加のための部位を含有する19aaシグナル配列お よび66aa配列が含まれる[Kurjan and Herskowitz, Cell,39,933(1982);Singh等,Nuc.Acids.R es.,11,4049(1983);Julius等,Cell,36,30 9(1984)]。13aaα因子の4つの双頭コピーは前駆体のC末端部分中 に存在する。6−8aaスペーサーペプチドはα因子配列の前に在る(図2を参 照)。 新生のα因子ポリペプチドのERへのトランスロケーションの後、シグナル配 列は前駆体タンパク質から切断されて、プロ−α因子を与える(Waters等 ,J.Biol.Chem.,263,6209(1988))。コアN結合炭 水化物は、プロα因子のN末端中の3つの部位に添加される[Emter等,B iochem,Biophys.Res.Commun.,116,822(1 983);Julius等,Cell,36,309(1984);Juliu s等,Cell,37,1075(1984)]。追加的のグリコシル化は、K EX2エンドペプチダーゼによるプロ−α因子の切断の前に、ゴリジ体中で起こ る。この酵素はスペース反復の各々の中を切断して、α因子ペプチドのC末端に 結合しているLys−Arg配列を残す[Julius等,Cell,37,1 075(1984)]。Lys−Arg配列はKEX−1プロテアーゼの作用に よって除去される[Dmochowska等,Cell,50,573(198 7)]。α因子ペプチドのN末端に存在する追加のスペーサー残基は、STE1 3によってコードされたジペプ チジルアミノペプチダーゼによって除去される[Julius等,Cell,3 2,839(1983)]。4つのα因子ペプチドが、各前駆体タンパク質から 上記のタンパク質分解加工によって放出され、成熟α因子が細胞から分泌される 。 12aa成熟a因子ペプチドの前駆体はMFa1およびMFa2遺伝子中にコ ードされ、そして夫々36aaおよび38aa残基になる(MFa1遺伝子の図 式については、5を参照)。前駆体はa因子の一つのコピーを含有し、そして2 つの遺伝子の生成物は1つのアミノ酸で配列が異なる。a因子の2つの形態はa 細胞によって同量に産生される(Manney等,真核微生物における性的相互 作用(in Sexual interaction in eukaryot ic microbes),第21頁,Academic Press,New York(1981))。 a因子の加工は、α因子の加工とはすべての詳細においては異なる工程を必要 とする。a因子の加工は細胞質ソル中で始まり、そしてファルネシルトランスフ ェラーゼによるカルボキシル末端近辺のC末端システイン残基(−CVIA)の ファルネシル化を含む[Schafer等,Science,245,379( 1989);Schafer等,Science,249,1133(1990 )]。ファルネシルトランスフェラーゼのαおよびβサブユニットは、それぞれ RAM2およびRAM1によってコードされている[He等、Proc.Nat l.Acad.Sci.,88,11373(1991)]。ファルネシル化の 後に、修飾システィンに対してC末端である3個のアミノ酸の、膜結合エンドプ ロテアーゼによるタンパク質分解的除去が続く。次いで、カル ボキシ末端ファルネシル化システイン残基がさらに修飾される。カルボキシル基 はSTE14遺伝子の生成物によってメチル化される。STE14pは膜結合S −ファルネシルシステインカルボキシルメチルトランスフェラーゼである[Hr cycyna等,EMBO.J.10,1699(1991)]。a因子のN末 端加工の機構は解明されていない。前駆体の加工が完結した後、成熟a因子は、 STE6遺伝子[Kuchler等,EMBO.J.,8,3973(1989 )]の生成物およびATP結合カセット(ABC)輸送体によって細胞内腔に輸 送される。 正常なS.セレビシエ(出芽酵母)a細胞では、α因子はGタンパク質結合膜 受容体STE2に結合する。Gタンパク質はGαおよびGβγサブユニットに解 離し、そしてGβγは未同定エフェクターに結合し、それは順に多数の遺伝子を 活性化する。STE20、キナーゼ、はSTE5、未知の機能のタンパク質を活 性化する。STE5はSTE11キナーゼを活性化し、それがSTE7キナーゼ を刺激し、それがKSS1および/またはFUS3を誘発する。これらは転写因 子STE12の発現のスイッチを入れる。STE12は、FUS1(細胞融合) 、FAR1(細胞周期の阻止)、STE2(受容体)、MFA1(フェロモン) 、SST2(修復)、KAR3(核融合)、およびSTE6(フェロモン分泌) を含む、交配に関与する多種類の遺伝子の発現を刺激する。経路によって活性化 された他の遺伝子はCHS1AGα1、およびKAR3である。多重縦列配列 TGAAACAは、この経路の遺伝子の多くの5′フランキング領域中に見出だ された「フェロモン反応要素」として認識された。 交配フェロモンに対する応答の一つは、細胞周期のG1相中の酵母細 胞の過渡休止である。これには、3つのG1サイクリン(CLN1、CLN2お よびCLN3)のすべてが不活性化されることが必要である。FUS3はCLN 3を不活性化し、FAR1はCLN2を阻害すると考えられる。(CLN1を不 活性化する原因の生成物は未知である。) 増殖休止は多数の異なった機構によって停止される。第一に、フェロモン結合 の後、α因子受容体は内在化され、フェロモン結合部位の数が過渡的に減少する 。第二に、受容体のC末端尾部はリガンドの結合の結果リン酸化され、導入する Gタンパク質から受容体が脱離する。第三に、GPA1p(異種三量体Gタンパ ク質のGαサブユニット)の発現のフェロモン誘発的増加は、GβとGγサブユ ニットに比してαサブユニットの水準を増加させ、遊離Gβγの水準の低下をも たらし、その結果フェロモン応答経路が不活性化する。追加の機構には、SST 2とBAR1の発現の誘発およびαサブユニットのリン酸化(多分SVG1によ る)が含まれる。 シグナリングは、CDC36CDC39CDC72CDC73、および SRM1を含む、多数の遺伝子の発現によって阻害される。これらの遺伝子が不 活性化すると、シグナリング経路が活性化する。 同様のフェロモンシグナリング経路はα細胞中に認められるが、命名法は幾つ かの場合で異なる。(例えば、STE2の代わりにSTE3) 他の酵母もGタンパク質媒介性交配因子応答経路を有する。例えば、融合酵母S.ポンベS.pombe)では、M因子がMAP3受容体に結合するか、ま たはP因子がMAM2受容体に結合する。Gタンパク質の解離はキナーゼ・カス ケード(BYR2、BYR1、SPK1)を活性化し、それは順に転写因子(S TE11)を刺激する。しかし、S. ポンベ では、Gαサブユニットがシグナルを伝達し、勿論詳細においては他の相 違点がある。 酵母細胞中での外来タンパク質の発現 多種類の外来タンパク質がS.セレビシエ中で産生され、それらは酵母細胞質 中に残るか、または酵母分泌経路に導かれる(Kingsman等,TIBTE CH,5,53(1987))。これらのタンパク質として、例えば、インスリ ン様増殖因子受容体(Steube等,Eur.J.Biochem.,198 ,651(1991))、インフルエンザウイルス血球凝集素(Jabbar等 ,Proc.Natl.Acad.Sci.,82,2019(1985))、 ラット肝臓チトクロームP−450(Oeda等,DNA,4,203(198 5))および機能的哺乳類抗体(Wood等,Nature,314,446( 1985))が挙げられる。酵母分泌経路の使用は、それが外来タンパク質の忠 実な折りたたみ、グリコシル化および安定化を達成する可能性を増加するから、 好適である。従って、酵母中での異種タンパク質の発現はしばしば、酵母分泌タ ンパク質の遺伝子(例えば、α因子フェロモンまたはSUC2[インベルターゼ ]遺伝子)中にコードされたシグナル配列と外来タンパク質遺伝子のコード領域 との融合を含む。 多数の酵母発現ベクターが、外来タンパク質の構成的または調節的発現を可能 にするように設計された。構成的プロモーターは、ホスホグリセリンキナーゼ( PGK1)またはアルコールデヒドロゲナーゼI(ADH1)様の解糖酵素をコ ードするもののような高度に発現された遺伝子から誘導され、そして調節可能な プロモーターは、ガラクトキナーゼ(GAL1)遺伝子を含む多数の遺伝子から 誘導された。さらに、超分 泌性の酵母変異株が誘導されることができる。これらの菌株はさらに効率的に哺 乳類タンパク質を分泌し、そして酵母中に大量の生物学的活性な哺乳類タンパク 質を生成する「産生」株として使用される(Moir and Davidow ,Meth.in Enzymol.194,491(1991))。 異種Gタンパク質結合受容体は、S.セレビシエ中で機能的に発現したもので ある。MarshとHershkowitz(Cold Spring Har bor Symp.,Quant.Biol.,53:557−65(1988 ))はS.セレビシエSTE2をS.クルイベンS.kluyven)からの その相同体で置換すた。さらに劇的には、哺乳類ベーターアドレナリン受容体お よびGαサブユニットが酵母中に発現し、酵母交配シグナル経路を制御すること が見出だされた。King等,Science,250:121−123(19 90)。 Duke大学、国際特許第92/05244号明細書(1992年4月2日) には、酵母Gタンパク質αサブユニットを産生することができないが、哺乳類G タンパク質αサブユニットおよび上記の哺乳類Gタンパク質αサブユニット「と 結合する」(即ち、と相互作用する)哺乳類受容体の両方を産生するように遺伝 子操作された形質転換酵母が記載されている。具体的には、Dukeは、ヒト・ ベーター2アドレナリン受容体(hβAR)、7つの膜内外受容体(STR)を 、酵母中、GAL1プロモーターの制御下で、コード配列の最初の63塩基対をSTE2 遺伝子からの11塩基対の非コード配列と42塩基対をもつコート配列 で置換することによって改変されたhβAR遺伝子を用いて、発現させることを 報告している。(STE2は酵母α因子受容体をコードする)。 Dukeは、同族酵母タンパク質を欠く同一の細胞、酵母株8C中で、ラットG タンパク質αサブユニットを共発現させた。Dukeは、単離された膜がhβA Rの種々の既知のアゴニストおよびアンタゴニストと適切に相互作用する能力の 研究によって示されるように、改変されたhβARは膜中に機能的に統合される ことを見出した。酵母発現hβARに対するリガンド結合親和性は、天然産hβ ARについて観察されたものと殆ど同一であると言われていた。リガンドが結合 すると、Gタンパク質媒介シグナルが導入される。Dukeはこれらの細胞中で は哺乳類アデニリルシクラーゼを共発現させられなかった。 酵母中での異種アデニリルシクラーゼの発現 アフリカトリパノソームは、宿主免疫防御を、それらの表面糖タンパク質を変 えることによって回避することができる原生動物寄生虫である。可変性の抗原性 は、コートタンパク質をコードしている遺伝子の逐次発現によって達成される。 可変性の表面糖タンパク質遺伝子(VSG)は、不活動領域から活性な末端小粒 結合発現部位に転位する。発現部位関連遺伝子(ESAGs)と呼称される追加 の転写解読枠(ORFs)はこれらの発現部位に見出される。トリパノソーマ・ ブルセイ(Trypanosoma brucei)からクローン化されたES AG4は、S.セレビシエのアデニリルシクラーゼと相同性である配列を含有す [Pays等(1989)Cell,57,835−845]。さらに、T.ブ ルセイのESAG4に相同性である、トリパノソーマ・エクイペルダム(Try panosoma equiperdum)からのESAG(eESAF4c) は、S.セレビシエのアデニリルシクラーゼ(cyr−1)欠失変異株を補足す るアデニリルシクラーゼをコードすること が示された[Ross等(1991)EMBO J.,10,2047−205 3]。 eESAG4c ORFは、S.セレビシエおよびS.ポンベのアデニリルシ クラーゼの両方に相同性をもつ配列を含有する[Kataoka等(1985) Cell,43,493−505;Yamawaki−Kataoka等(19 89)PNAS,86,5693−5697;Young等(1989)PNA S,86,7989−7993]。トリパノソームと酵母との間に保存されてい る領域は酵母アデニリルシクラーゼ触媒的ドメイン内にあり、そして50%の位 数で配列同一性を示す。eESAG4c配列は、ウシ脳アデニリルシクラーゼ1 型のそれと約40%同一性である[Krupinski等(1990)Scie nce,244,1558−1562]。eESAG4c配列によって予想され たタンパク質は、アデニリルシクラーゼ触媒性ドメインと相同性である配列をフ ランキングしている推定される膜内外ドメインをコードするN末端配列を有する 。 「ロイシンに富む反復」遺伝子系統群と相同性を有する配列は、トリパノソー マ・エクイペルダムのESAG内で同定されている[Takahashi等(1 985)PNAS,82,1906−1910;Lopez等(1988)PN AS,85,2135−2139,Hashimoto等(1988)Cell ,52,269−279]。この系統群の成員によってコードされたタンパク質 は種々の機能に関与するが、しかしその反復配列は、膜会合およびタンパク質− タンパク質相互作用に関与すると考えられる。S.セレビシエでは、アデニリル シクラーゼの反復ドメインは、酵素のRASタンパク質による調節および酵素の 形 質膜との会合に必要である[Colicelli等(1990)Mol.Cel l.Biol.,10,2539−2543;Field等(1990)Sci ence,247,464−467;Mitts等(1990)Mol.Cel l.Biol.,10,3873−3883]。ESAG内には、酵母中のRa sの調節機能と類似のトリパノソーメ中の調節機能を有すると仮定された、ヌク レオチド結合ドメイン[Florent等(1991)Mol.Cell.Bi ol.,11,2180−2188]と限定された相同性をもつ配列がある。酵 母cyr欠失変異株を補足する配列中には、ロイシンに富む反復領域もヌクレオ チド結合ドメインも含まれていない[Ross等(1991)EMBO J., 10,2047−2053]。Ross等(1991)は、これらの潜在的調節 配列の欠乏が、プラスミドからの内因性CYR遺伝子を発現する酵母中で見られ るよりも、eESAGcを発現するcyr−1欠失変異株によって示される、よ り大きいアデニリルシクラーゼ活性の原因であると考えた。 トリパノソーマ・ブルセイのVSG領域からクローン化されたESAG4の外 に、T.ブルセイからクローン化された少なくとも3つの他の遺伝子、GRES AG 4.1、4.2および4.3は、真核生物アデニル酸シクラーゼおよびグ アニル酸シクラーゼと配列相同性を持つ[Alexandre等(1990)M ol.Biochem,Parasitol.,43,279−288]。[「 GRESAG」は発現部位関連遺伝子に関する遺伝子を示す。]ESAG 4お よびGRESAG4.1の両方はS.セレビシエのアデニリルシクラーゼ欠失変 異株、cyr1Δ、を補足することができる。酵母膜フラクションに付随してい るトリパノソーム・シクラーゼはそれらのCa2+に対する反応が異なり、酵母中 で適切に調節されるようではない[Paindavoine等(1992)Mo l.Cell.Biol.,12,1218−1225]。 従って、酵母中で活性を表す(非調節であるが)ことがで示された異種アデニ リルシクラーゼは、トリパノソーム種から誘導される。トリパノソーム・シクラ ーゼ遺伝子は、酵母アデニリルシクラーゼの調節ドメインと相同性を持つ、ロイ シンに富むモチーフをコードしている配列の近辺の領域中に在る。このことは、 2つの異なったトリパノソーム配列から誘導されたタンパク質が相互作用して、 調節性複合体を形成することを示唆している。これは、アデニリルシクラーゼの 活性が、酵素と調節性RASタンパク質との相互作用によって制御される、サッ カロミセス・セレビシエ中の状態と類似していることができる。酵母酵素とトリ パノソーム酵素との間の配列および調節の相同性は、アデニリルシクラーゼを欠 失した酵母にトリパノソーム酵素をコードしている配列を補足することを助けた ようである。 酵母中で哺乳類アデニリルシクラーゼを発現させる試み 他の実験室による、酵母中で哺乳類アデニリルシクラーゼを発現させる以前の 試みは不成功であった。Texas大学、Southwest Medical CenterのAlfred Gilmanの研究室で研究しているRona ld Taussigは、サッカロミセス・セレビシエ中で1型アデニリルシク ラーゼを発現させることを試みた(個人的連絡)。Taussigによって使用 されたプロトコールは、哺乳類の1型アデニリルシクラーゼを用いた形質転換に よるcyr細胞 の救助を含んだ。シクラーゼ活性の測定基準はフォルスコリン含有培地中での試 験細胞の増殖であった。フォルスコリンは、哺乳類細胞中でアデニリルシクラー ゼ1−6型に直接に結合し、刺激することが知られている。Taussigは、 哺乳類酵素で形質転換されたcyr細胞中には酵素活性を検出できなかった。即 ち、フォルスコリン含有培地中の形質転換細胞の増殖を検出することができなか った。 タマホコリカビ中での哺乳類アデニリルシクラーゼの発現 哺乳類2型アデニリルシクラーゼは、原始真核生物タマホコリカビ中で、公開 されていない方法によって、機能的に発現させられた。「Iyengar(19 93)に記載したP.Devreotesからの個人的連絡」。タマホコリカビ から単離された2つのアデニリルシクラーゼ遺伝子、ACA,の一つの構造は、 それが統合膜タンパク質である点において、哺乳類シクラーゼと構造的に類似し ていると予測される[Pitt等、1992]。さらに、タマホコリカビ属は8 つのGαサブユニットを発現することができ、その各々は哺乳類Gαタンパク質 と約45%の配列相同性を有する[Hadwiger等,1991;Wu an d Devreotes,1991]。酵母中で機能的哺乳類1型アデニリルシ クラーゼを発現させることが、Gilman研究室で成功せず、そしてタマホコ リカビ中で哺乳類酵素の発現が成功したことは、シグナルのこの酵素への導入に おける差異が、酵母とより高級な真核生物との間に存在することを示している。 さらに、これらの差異は、酵母中の哺乳類アデニリルシクラーゼによるシグナル 伝達経路を再現するいづれの試みにおいて考慮されなければならない。 ペプチドライブラリー ペプチドライブラリーは、多種類かつ多数のペプチド集合物を、標的との相互 作用を可能にする形態で、同時に提出するシステムである。これらのペプチドは 、溶液(Houghten,1991)、またはビーズ(Lam,1991)、 チップ(Fodor,1991)、細菌(Ladner,USP 5,223, 409)、胞子(Ladner,USP,409)、プラスミド(Cull,1 992)、またはファージ(Scott,Devlin,Felici,Lad ner,409)で提供されることができる。これらのペプチドの多くは、ペプ チドの最高の長さまたはペプチドの組成の点で、制限されている(例えば、Cy sは除外される)。支持体の近接のような立体因子は結合を妨害することができ る。通常、スクリーニングは、人工的に提供された標的に対する生体外での結合 についてであり、生活細胞中の細胞シグナル伝達経路の活性化または阻害につい てではない。細胞表面受容体は標的として使用されることができるが、スクリー ニングは、ペプチドの結合が受容体の配座のアロステリック変化を起こすかどう かを明らかにしない。 Ladner,米国特許第5,096,815号明細書には、所望のDNA結 合活性によって新規のタンパク質またはペプチドを同定する方法が記載されてい る。多数の異なった潜在的結合タンパク質をコードしている半任意(「まだらな 」)DNAが、発現可能な形態で、適切な宿主細胞中に導入される。標的DNA 配列は、タンパク質またはペプチドの結合が、選択的条件下で細胞に有害である 遺伝子生成物の発現を防止するように、遺伝子操作されたオペロン中に取り込ま れる。従って、選択的条件下で生残する細胞は、標的DNAに結合するタンパク 質を発現する細胞である。酵母細胞が試験に使用することができると教示されて いるが、細菌細胞が好適である。タンパク質と標的DNAとの間の相互作用は、 細胞中でのみ起こり、周辺質中では起こらず、そして標的は核酸であり、タンパ ク質ではない。 任意ペプチド配列による細胞タンパク質中の機能的ドメインの置換によって、 機能の達成のための特定配列の必要条件を幾らか決定することができる。細胞内 でのタンパク質の位置確認に作動する認識現象の詳細は未だ大部分未知であるが 、ミトコンドリア標的配列およびタンパク質分泌シグナル配列の配列変動上の制 約は、任意ペプチドを使用して解明された[それぞれ、Lemire等,J.B iol.Chem.,264,20206(1989)およびKaiser等, Science,235,312(1987)]。 酵母は、哺乳類受容体の潜在的アンタゴニストとして試験される外来ポリペプ チド変種を発現するように遺伝子操作された。変異グルカゴン分子をコードして いるライブラリーは、哺乳類グルカゴンのコード配列を含有するポリゴヌクレオ チドの合成中のヌクレオチドの任意的な取り込み間違いによって生じたものであ る。これらのライブラリーは酵母中で発現し、そして形質転換細胞からの培養液 は、ラット肝細胞膜中に存在するグルカゴン受容体に対するアンタゴニスト活性 を試験するのに使用された(Smith等,1993)。 本明細書中に引用されたすべての文献は引用することによって本明細書中に取 り込まれている。いずれの文献も先行技術を構成することは許可されない。 発明の要旨 本発明は酵母中での哺乳類アデニリルシクラーゼの機能的発現、およ び哺乳類アデニリルシクラーゼの潜在的阻害剤または活性化剤のみならず、遺伝 子操作された酵母際中で哺乳類アデニリルシクラーゼに天然でまたは人工的に「 結合」している他のタンパク質の潜在的阻害剤または活性化剤を同定するのに遺 伝子操作された酵母細胞を使用することに関する。本明細書中の用語「結合され た」は、結合タンパク質が阻害または不活性化されると、アデニリルシクラーゼ の阻害または不活性化(必ずしも夫々ではない)となることを意味する。ヒト・ アデニリルシクラーゼの機能的発現は特に望ましい。 サッカロミセス.セレビシエ(Saccharomyces cerevis iae)のアデニリルシクラーゼは、クローン化された哺乳類アデニリルシクラ ーゼの構造とは実質的に異なる構造を持つ周辺膜タンパク質である。最近までに クローン化された全部で6種の哺乳類アデニリルシクラーゼcDNAのすべては 、それらの全構造の顕著な部分を形成する複雑な膜内外構造を持つ統合膜タンパ ク質をコードしている。さらに、酵母は異種三量体Gタンパク質を含有するが、 これらのタンパク質はS.セレビシエのアデニリルシクラーゼの調節に関与しな いようであり、むしろ、酵母酵素はGTP結合タンパク質系統群の他の成員、R as1およびRas2によって調節される。従って、酵母アデニリルシクラーゼ は構造上および調節上で哺乳類酵素にあまり類似していないで、そして哺乳類酵 素がサッカロミセス中で機能させることができると考えることができなかった。 しかし、これらの不適合性は、哺乳類アデニリルシクラーゼおよび哺乳類Gタ ンパク質サブユニット、Gαs、の酵母中での共発現によって克服された。これ は、適切な酵母株を遺伝学的に操作することによって 達成された。本発明者等は野生型Gαs単独の存在が哺乳類アデニリルシクラー ゼを活性化するのに十分であると予想する先行理由を持っていなかった。本発明 者等は、哺乳類の7種のトランスメンブラン受容体を発現させ、その刺激が順番 にGαsおよび次いでシクラーゼを活性化することが必要であるという仮説の下 で研究してきた。それ故、本発明者らの結果は予想外の発見であった。 理論にしばられないならば、酵母細胞によって産生されたGTPは哺乳類Gα sに結合し、それは順に哺乳類アデニリルシクラーゼを活性化すると現在考えら れる。この酵素はATPをサイクリックAMPに転化し、それは酵母細胞の増殖 に必要である。それ故、酵母の生来のアデニリルシクラーゼが不活性である場合 、その増殖は哺乳類アデニリルシクラーゼの機能的発現に依存する。 好適には、酵母細胞は二倍体株、または酵母Gα、GβまたはGγを発現しな い他の株である。 遺伝子操作された酵母細胞は、哺乳類アデニリルシクラーゼの阻害剤または活 性化剤を検出するのに使用することができる。所望に応じて、他の外因性タンパ ク質が哺乳類アデニリルシクラーゼに結合することができるので、他の外因性タ ンパク質の阻害剤または活性化剤が、アデニリルシクラーゼ活性に対するそれら の効果によって検出されることができる。好適な態様では、他の外因性タンパク 質は、以下に記載するように、フェロモン系タンパク質のための代理体である。 特に好適な態様では、他の外因性タンパク質は哺乳類Gタンパク質結合受容体で あり、それは酵母フェロモン受容体のための代理体である。 好適な態様では、選別された阻害剤および活性化剤は遺伝子操作され た酵母細胞中で共発現されたペプチドである。特に好適な態様では、培養された 酵母細胞はペプチドライブラリーを集合的に発現し、モジュレート的活性につい て選別される。 添付された請求の範囲は好適な態様の非制限的説明として取り扱われるべきで ある。 図面の簡単な説明図1.哺乳類アデニリルシクラーゼの構造的モデル この図は、Tang等(1992年)C.S.H.Symposia on Quantitative Biology,57,135−144に記載され た哺乳類アデニリルシクラーゼのモデルを採録したものである。M1およびM2は 2つのドメインを表し、各々は推定される6つの膜スパニング配列を含有する。 N1およびN2は共に短いアミノ末端尾部を含み、それは細胞内に存在すると考え られる。N2配列は第一膜内外配列に近接している配列である。C1aおよびC1b は、2つの膜内外ドメインに結合する大きい細胞質ループを形成する。C2aおよ びC2b配列は、第二の大きい細胞質ループを形成する。C2bで示されるC末端配 列は1型および3型アデニリルシクラーゼ中にのみ存在する。図2. 酵母自己分泌系の発生における逐次段階の略図 交配フェロモンの正常な合成および放出の略図を左上に図示する。2つの遺伝 子、MFα1およびMFα2は、成熟α−因子を表すトリデカペプチドの各々4 つおよび2つの反復を含有する前駆体タンパク質(MFα1pおよびMFα2p )をコードする。これらの前駆体は、小胞体中のシグナル配列の切断で始まりそ してリーダーペプチドのグリコシル 化およびプロテアーゼKEX2p、STE13p、およびKEX1pによる切断 の両方を含む一連の酵素反応中でタンパク質分解的に加工される。結果は成熟α −因子の分泌であり、それは、通常a細胞の表面上に正常に発現したSTE2p に結合すると、増殖停止を含むa細胞中の多数の変化を誘発する。a細胞は、順 に、2つの遺伝子、MFa1およびMFa2を発現させ、それらはa−因子のた めの前駆体(MFa1pおよびMFa2p)をコードする。これらの前駆体はR AM1およびRAM2によるファルネシル化、C末端の3個のアミノ酸のタンパ ク質分解的切断(仮にRAM3pと同定されたタンパク質による)、新たに露呈 したC末端のシステインのSTE14pによるカルボキシメチル化、および仮に STE19pと同定された活性によるN末端リーダー配列のタンパク質分解的除 去を受ける。Ste5pによって細胞から成熟a−因子が輸出されると、それは α細胞の表面上に発現したSTE3pに結合し、それらの増殖を停止させる。 段階1は、SST2、FAR1、およびHIS3が不活性化され、fus1: :HIS3にような適切なリポーター構築物がαおよびa細胞の両方のゲノム中 に統合される酵母菌株の発生を含む。α細胞は、正常に発現したSTE3pのS TE2pによる置換によってさらに改造され、他方a細胞は、正常に発現したS TE2pのSTE3pによる置換によってさらに改変される。その結果得られた 菌株はヒスチジン欠乏培地中で、外因性フェロモンの不在下で増殖を示すべきで ある。 段階2は、最初に、細胞中のMFα1とMFα2の不活性化および段階1中で 発生したa細胞中のMFa1とMFa2の不活性化を含む。これらの改変によっ て、ヒスチジン栄養要求性である菌株が生成する。次 に、適切な発現プラスミドが導入される。即ち、α−因子をコードしているオリ ゴヌクレオチドを含有する発現プラスミドpADC−MF(図4を参照)は、α 細胞に、ヒスチジン欠乏培地で増殖する能力を与えべきである。a−因子をコー ドしているオリゴヌクレオチドを含有する発現プラスミドpADC−MFa(図 6を参照)は、a細胞が、ヒスチジン欠乏培地で増殖することを可能にするべき である。 段階3は、発現プラスミドの挿入のために、段階2で発生させた細胞を使用す る。しかし、真性フェロモンをコードするオリゴヌクレオチドを含有するプラス ミドを使用する代わりに、酵母は、任意または半任意オリゴヌクレオチドを含有 する発現プラスミドで形質転換される。ヒスチジン欠乏培地で増殖することがで きる形質転換体を増殖させ、そしてそれらのプラスミドは挿入されたオリゴヌク レオチドの配列決定のために単離される。 発明の好適な態様の詳細な説明1.一般的考察 1.1 定義 本発明の目的のためには、「外因性」タンパク質とは、当酵母細胞によって天 然で産生されたタンパク質とアミノ酸配列が十分に異なり、それ故その最も近接 の同族物が酵母細胞以外の細胞によって産生されたタンパク質であるようなタン パク質である。この同族タンパク質を産生する細胞は、微生物細胞(酵母細胞以 外の)、植物細胞または動物細胞であることができる。動物細胞の場合、それは 無脊椎動物(例えば、昆虫または線虫)または脊椎動物(例えば、鳥類、魚類ま たは哺乳類、特にヒト)起源のものであることができる。それが、正常な人間の 染色体に よって、またはヒト細胞中に感染し複製するウイルスのゲノムによってコードさ れているかどうかに関係なく、タンパク質は、例えば、ヒト起源のものと考えら れる。 酵母フェロモンの翻訳後修飾、移送、認識またはシグナル形質導入に関与する 酵母タンパク質は、「フェロモン系タンパク質」(PSP)と呼称され、そして 十分にPSPの代理をすることができ、遺伝子操作された酵母細胞中で酵母タン パク質の役割を、少なくとも幾つかの環境下で、実行することができる同族の非 酵母タンパク質は、PSP代理体と呼称される。 アデニリルシクラーゼの「活性化剤」とは、適切な酵母細胞中で、アデニリル シクラーゼをさらに活性にして、前記細胞中のcDNAシグナルを検出可能な程 度まで増強させる物質である。活性化剤の作用の様式は、直接的、例えば、シク ラーゼに結合することによるか、または間接的、例えば、シクラーゼと別の方法 で相互作用する他の分子に結合することによるものであることができる。 反対に、アデニリルシクラーゼの「阻害剤」とは、適切な酵母細胞中で、シク ラーゼを低活性にして、cDNAシグナルを検出可能な程度まで低下させる物質 である。この低下は完全または部分的、および直接的または間接的効果によるも のとすることができる。 フェロモン系タンパク質代理体の「活性化剤」とは、適切な酵母細胞中で、フ ェロモン系タンパク質代理体をさらに活性にして、前記細胞の原生または改変フ ェロモンシグナル経路によって導入されたシグナルを検出可能な程度に増強させ る物質である。代理体は最初は非機能的であるが、活性化剤の作用の結果として 機能的にすることができるか、また はそれは機能的であることができ、そして活性化剤の効果は代理体の活性を向上 させることである。活性化剤の作用の様式は、直接的、例えば、代理体に結合す ることによるか、または間接的、例えば、代理体に別な方法によって相互作用す る他の分子に結合することによるものであることができる。PAP代理体がフェ ロモン受容体の代理体体であり、そして活性化剤がフェロモンの代理をする場合 、活性化剤を受容体のアゴニストと呼称するのが習慣である。 反対に、フェロモン系タンパク質代理体の「阻害剤」とは、適切な酵母細胞中 で、PSP代理体を低活性にして、導入されたシグナルを検出可能な程度に低下 させる物質である。低下は完全かまたは部分的であることができる。PSP代理 体がフェロモン受容体の代理体であり、そして阻害剤が受容体に結合するために フェロモンと競合する場合、阻害剤を「アンタゴニスト」と呼称するのが習慣で ある。 用語「モジュレーター」には、「活性化剤」および「阻害剤」が含まれる。 「哺乳類アデニリルシクラーゼ」とは、哺乳類中に天然に存在するアデニリル シクラーゼと同一であるか、またはかかるアデニリルシクラーゼと実質的に相同 でありそして配列が酵母アデニリルシクラーゼよりもそれに類似している変異体 であるかいずれかのタンパク質である。「霊長類アデニリルシクラーゼ」または 「ヒト・アデニリルシクラーゼ」のような関連用語は相似的に定義される。哺乳 類アデニリルシクラーゼは、単独もしくは他の外因性タンパク質と提携した場合 、酵母タンパク質と「機能的に相同で」あるか、または薬物によって修飾された 後、それは遺伝子操作された酵母細胞内のアデニリルシクラーゼ活性を与えるこ と ができる。それは酵母タンパク質と同じほど効率的であることは必要ではないが 、しかしそれが同族酵母タンパク質の活性の少なくとも10%を有することが望 まれる。 代理PSPタンパク質が、単独もしくは薬物によって修飾された後、遺伝子操 作された酵母細胞内で酵母PSPの機能または類似の機能を実行することができ る場合、代理PSPタンパク質は酵母タンパク質に「機能的に相同で」ある。そ れが酵母タンパク質と同じほど効率的であることは必要ではないが、しかしそれ が酵母タンパク質のフェロモン系関連活性の少なくとも一つの少なくとも10% を有することが望まれる。それが酵母タンパク質と同一の範囲の作用を有するこ とは必要ではなく、例えば、それが受容体である場合、それは外因性受容体の場 合と完全に異なるリガンド、または幾つかの共通のリガンドおよび幾つかの新規 のものに応答することができる。表2の受容体は、それらが酵母フェロモンに応 答せず、そしてそれらがG結合受容体であるが、それらが未修飾の外因性Gタン パク質に結合することができない場合でも、酵母フェロモン受容体と機能的に相 同であると考えられる。これは「相似的機能」と考えられる。 PSP代理体は、機能的である薬物による幾つかの方法で修飾されなければな らないタンパク質であることができる。例えば、薬物はPSP代理体の立体配座 にアロステリック変化を起すことができるか、またはそれは代理体の一部を切断 して、次いでタンパク質の平衡を機能的分子とすることができる。 PSP代理体はまた、他の改変が酵母細胞中に行われた場合のみ、例えば、外 因性Gタンパク質結合受容体と相互作用するキメラGαサブユ ニットの発現、機能的であるものとすることができる。 用語「実質的に相同的」とは、アミノ酸配列との関連で使用された場合、立体 配座の相同性および従って類似の生物学的活性を与える、配列が実質的に同一か または類似である配列をいう。この用語は配列の通常の進化を含むことを意図さ れていない。 典型的には、「実質的に相同的」アミノ酸配列は、該技術分野で許容された方 法によって並べられた場合、所望の活性に関与すると知られている少なくともい ずれの領域に亙って、配列の少なくとも50%、さらに好適には少なくとも80 %同一である。本発明者らが使用する配列アラインメントツールは、GCG(G enetics Computer Group,575 Science,D rive,Madison,Wisconsin 53711)から入手した配 列分析ソフトウエアパッケージ、7.3版の一部である。BESTFITは、S mith and Waterman[Advance in Applied Mathematics,2,482−489(1981)]の相同性アルゴ リズムを使用して2つの配列の最良のアラインメントを同定する。最初は、パラ メーターを以下のように設定した。即ち、マッチ=1.0 ギャップ・ウエイト =1.0 ミスマッチ=−0.9 レングス・ウエイト=0.0 「ロウロード 」オプションも[ハイロード]オプションも選択していない。 最も好適には、末端以外で5個以下の残基が異なる。好適には、配列の、少な くとも上記の領域での、拡散性が、「保存的修飾」の形態にある。 「保存的修飾」は以下のように定義される。 (a)下記のアミノ酸の保存的置換;および (b)末端での、インタードメイン境界での、ループ中、または比較的に高い移 動性をもつ他のセグメント中のアミノ酸の単一もしくは多重挿入または欠失。 好適には、末端を除く、約5個以下のアミノ酸が特定の遺伝子座に挿入または 除去され、そして修飾は、活性に重要な結合部位を含有すると知られている領域 の外にある。 保存的置換は、本明細書では、以下の5つの群の一つの中での交換と定義され る。 I. 小さい脂肪族、非極性または僅かに極性残基: Ala、Ser、Thr(Pro、Gly) II. 極性、陰電荷残基、およびそれらのアミド: Asp、Asn、Glu、Gln III.極性、陽電荷残基: His、Arg、Lys IV. 大きい、脂肪族、非極性残基: Met、Leu、Ile、Val(Cys) V. 大きい、芳香族残基: Phe、Tyr、Trp 残基Pro、GlyおよびCysは特殊な立体配座的役割を有するから、括弧 書きしてある。Cysはジスルフィド結合の形成に参加する。Glyは鎖に柔軟 性を与える。Proは鎖に剛性を与え、αヘリックスを分断する。これらの残基 はポリペプチドのある種の領域において必須であり得るが、他のところでは置換 可能である。 「半保存的置換」とは、本明細書では、スーパー群I/II/III内または スーパー群IV/V内の置換であるが、群I−Vの単独の1群内の置換ではない と定義される。置換が保存的でない場合、それは好適には半保存的である。 2つの調節性DNA配列(例えば、プロモーター)は、それらがヌクレオチド 配列の実質的同一性の結果と実質的に同一の調節的効果を有する場合、「実質的 に相同的」である。典型的には、「実質的に相同的」配列は、少なくとも所望の 調節に関与していると知られている領域において、少なくとも50%、さらに好 適には少なくとも80%同一である。最も好適には、5個以下の塩基が異なる。 「不活性化」は、機能的遺伝子生成物が防止または抑制されることを意味する 。不活性化は、遺伝子の欠失、発現が起こらないようなプロモーターの突然変異 、遺伝子生成物が不活性であるようなコード配列の突然変異、または遺伝子生成 物の生物学的活性に必要な因子を与える欠損によって達成される。不活性化は部 分的または全体であることができる。「機能的発現」とは、その遺伝子生成物が 発現するだけではなく、発現細胞内で生物学的に活性であるような条件下での遺 伝子の発現をいう。 用語「自己分泌性細胞」とは、本明細書で使用される場合、その細胞のシグナ ル伝達経路を刺激することができる物質を産生する細胞をいう。野生型αおよび a細胞はフェロモン経路に関して自己分泌性ではない。しかし、α−因子とα− 因子受容体の両方、またはa−因子とa−因子受容体の両方を産生する酵母細胞 は、機能的形態において、極めて自己分泌性である。拡張すると、Gタンパク質 結合受容体、酵母フェロモン受容体の代理体を活性化する能力についてスクリー ニング されているペ プチドを産生する酵母細胞は、それは「推定される自己分泌性細胞」と呼ぶのが もっと正確であるが、「自己分泌性細胞」と呼ばれる。勿論、多数の種々のペプ チドが産生される、かかる細胞のライブラリー中では、細胞の一つまたはそれ以 上は、用語の厳密な意味において「自己分泌性」であるようである。1.2 キメラタンパク質の設計 未修飾の哺乳類または他の外因性タンパク質が、酵母細胞中で所望の程度まで 、機能的に発現されることができない場合、酵母細胞を、興味を起こさせる外因 性タンパク質のキメラおよび同族酵母タンパク質であるタンパク質を発現するよ うに遺伝子操作することができる。用語「キメラ」は、配列の一部が(例えば) 哺乳類タンパク質よりも酵母タンパク質に対して相同的であり、そして他の部分 は逆であることを包含する。可能な組合せとして、哺乳類/酵母、酵母/哺乳類 、哺乳類/酵母/哺乳類、および酵母/哺乳類/酵母が挙げられる。 機能的キメラは組織的な合成と試験の戦略によって同定することができる。理 論的考えられるすべてのキメラが直接に評価される必要はない。 1つの戦略を、以下に図式的に記載する。本発明者らは直線のタンパク質配列 を2つまたはそれ以上の試験可能な単位に分断した。これらの単位は等しい長さ または異なった長さとすることができる。好適には、単位は、機能的ドメインに 対応するか、或いは配列の特殊な特徴、例えば、異常に高い多様性もしくは類似 性をもつ領域、関連するタンパク質系統群中または配列モチーフの存在下の保存 的もしくは非保存的な領域、或いは異常な親水性もしくは疎水性の区域に対応す るように、分離される。「Y」で酵母タンパク質の単位を表し、「M」で哺乳類 タンパク質 の対応する単位を表す。5個(2、3、4、6、10等の代わりに5を選択する のは任意的である)の単位がある場合、以下のキメラのいずれかまたはすべてを 合成し試験することができ、これは重要な領域を迅速に位置を確認する助けとな る。 (a)酵母配列の代わりに哺乳類配列による漸進的C末端置換、例えば、 YYYYY YYYYM YYYMM YYMMM YMMMM MMMMM (b)酵母配列の代わりに哺乳類配列による漸進的N末端置換、例えば、 YYYYY MYYYY MMYYY MMMYY MMMMY MMMMM (c)二重末端置換、例えば、 MMMMM YMMMY YYMYY YYYYY および YYYYY MYYYM MMYMM MMMMM、 並びに (d)単独置換「走査(Scans)」、例えば、 MYYYY YMYYY YYMYY YYYMY YYYYM および YMMMM MYMMM MMYMM MMMYM MMMMY これらの試験で得たデータに基づけば、例えば、酵母膜上に現れる酵母配列と 哺乳類配列との間の基本的な差異は、第5単位中にあるようである。そこで、そ の単位をサブ単位に分断して、さらに試験することができる。例えば、 MMMM (mm) MMMM (my) MMMM (ym) MMMM (yy) 式中、丸括弧内は第5単位が分断された2つのサブ単位を表す。1.3 機能的突然変異体の設計、全般的 タンパク質は以下の突然変異を耐容するようである。 (a)挿入または欠失よりむしろ、置換である; (b)内部よりむしろ、末端の挿入または欠失; (c)内部残基よりむしろ、表面残基に影響する; (d)結合部位から遠位の分子の部分に影響する; (e)一つのアミノ酸による、類似の大きさ、電荷、および/または疎水性を もつ他のアミノ酸の置換;および (f)興味を起こさせるタンパク質が属する相同性タンパク質の系統群の中で の実質的な変異をうける部位である。 これらの考察は機能的変異体を設計するのに使用することができる。 表面残基対内部残基 荷電残基の殆ど常にタンパク質の表面上に在る。非荷電残基の場合、必然性は 少ないが、一般的に、親水性残基は表面に分配されているが、疎水性残基は内部 に分配されている。勿論、膜タンパク質の場合、膜スパニング・セグメントは疎 水性残基に富むようである。 表面残基は、種々の標識技術によって、またはX線回折およびNMRのような 3−D構造マッピング技術によって、実験的に同定することができる。相同タン パク質の3−Dモデルは有用であることができる。 結合部位残基 結合部位を形成する残基は、(1)タンパク質をそる標的に複合させる前およ び後に、表面残基を標識する効果を比較すること、(2)結合部位を直接にアフ ニティーリガンドで標識すること、(3)タンパク質を断片にして、その断片を 結合活性について試験すること、および(4)どの変異体が結合を破壊するかを 決定する系統的突然変異誘発(例えば、アラニン走査突然変異誘発)によって、 同定することができる。相同タンパク質の結合部位が既知の場合、結合部位は類 似性によって仮定することができる。 タンパク質ライブラリーを構築しスクリーニングすることができるので、大き い系統群(例えば、108)の関連変異体を同時に評価することができる。2.哺乳類アデニリルシクラーゼ 2.1 概観 哺乳類細胞中で異種三量体タンパク質によって導入されたシグナルは、エフェ クターと呼ばれる分子の作用を通して細胞内の出来事を影響する。これらのエフ ェクター分子を特徴とする最良のものの一つにホルモン感受性酵素、アデニリル シクラーゼがある。1994年初期の現在、アデニリルシクラーゼの6種の全長 および2種の部分的aDNAクローンが、多種類の哺乳類組織から得られている 。コードされているタンパク質の配列分析8種の酵素型が同定され、他方機能的 特性からそれらを5種の系統群(FASEB J.7,768−775)に分類 することが決定された。第一の系統群は1型アデニリルシクラーゼからなり、こ の酵素は、Gαsを経るホルモン受容体によって、フォルスコリンによって、お よびCa+/カルモジュリンによって刺激される。1型をコードして いるcDNAはウシ脳ライブラリーから単離された[Krupinski等,( 1989)Science,244,1558−1564]。1型酵素の活性は Gβγサブユニットの発現によって抑制される。細胞中で発現した他の各クロー ン化哺乳類シクラーゼはGαsによっておよびフォルスコリンによって刺激され る。しかし、Gβγに対するおよびCa+/カルモジュリンに対する反応はこれ らの他の酵素間で異なることが示された。 第二の系統群は2型および4型アデニリルシクラーゼからなる。これらの酵素 はGβγによって刺激されるが、その刺激は活性化Gαsの存在に依存する。こ の第二系統群に属する酵素は、ラット脳からクローン化され[Feinstei n等,(1991)PNAS,88,10173−77]、および試験された[ Gao and Gilman(1991)PNAS,88,10178−10 182]。アデニリルシクラーゼのこの系統群はCa+/カルモジュリンに対し 非感受性である。2型および4型アデニリルシクラーゼは、配列相同性によって 関連しているが、分布および調節において異なる。2型メッセージは脳および肺 組織中に見出され、一方4型はさらに広く発現して、脳、肝臓、心臓、肺臓およ び精巣中に検出されている。2型酵素および4型を除いて最近までにクローン化 された他のすべての哺乳類アデニリルシクラーゼは、プロモーターキナーゼAに よるリン酸化のための潜在的部位を含有する。さらに、2型酵素は活性化プロモ ーターキナーゼCによって実質的に刺激されることが知られ、一方4型アデニリ ルシクラーゼはそのキナーゼによって影響されない。 ラット嗅覚組織からクローン化された3型アデニリルシクラーゼ[B akalyar and Reed(1990)Science,250,14 03−1406]は、嗅覚神経上皮中で豊富に発現し、Ca+/カルモジュリン による刺激に対して感受性であり、Gβγの存在によって直接には影響されない 。3型酵素は嗅覚シグナル形質導入の中心となることができる。 アデニリルシクラーゼの第4の系統群は、イヌ心臓[Ishikawa等(1 992)J.Biol.Chem.267,13553−13557]、ラット 肝臓および腎臓[Premont等(1992)PNAS,89,9808−9 813]、マウスのリンパ腫細胞[Premont等(1992)Endocr inology,131,2774−2783]を含む多種類の起源から、およ びマウス/ハムスターハイブリッド細胞株NCB−20[Yoshimura and Cooper(1992)PNAS,89,6716−6720]から クローン化された。これらの酵素は配列に基づいて5型および6型と呼ばれ、活 性化Gαsの存在または不在下で、Gβγによって影響されず、低濃度のCa+ によって阻害される。5型および6型のための多重メッセージが観察され、その ことは別にスプライスされた形態が存在することを示唆する。6型酵素は、N末 端の14個のアミノ酸ストレッチの存在または不在によって異なる、長形態およ び短形態で存在することが示された(Iyenger(1993)FASEB J.,7,768−775)。5型および6型は、アデニリルシクラーゼ亜型の 間で最高度の配列拡散性が存在する推定される膜内外領域中で、50%を超える 相同性を含む顕著な全配列の類似性を示す(Katsushika等(1992 )Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89,8774−8 778)。5型と同様に、6型発現は心臓および脳で最高であり、5型と相違し て、6型のmRNAはまた多種類の他の組織中に検出される。 S49マウスのリンパ腫細胞株から部分的cDNAとしてクローン化された7 型アデニリルシクラーゼは[Krupinski等(1992)J.Biol. Chem.267,24858−25862]、2型酵素と関連しているようで ある。8型アデニリルシクラーゼを呼ばれる第二の部分的クローンは、ヒト脳ラ イブラリーから得られ、そして既に特性決定された酵素と異なるタンパク質をコ ードし[Parma等(1991)Biochem.Biophys.Res. Comm.179,455−462]、脳特異性であることができる[Krup inski等(1992)J.Biol.Chem.,267,24858−2 5862]。 大多数の哺乳類アデニリルシクラーゼは統合膜タンパク質である。クローン化 された酵素の配列分析から、各々6個の疎水性配列を含有する2つのドメイン中 に存在する12の膜スパニングの領域の存在が推測される。短N−および長C− 末端配列が細胞内に存在すると推定される。各種アデニリルシクラーゼ型間の全 配列類似性はは約50%であり、幾つかの分離体の間により大きい相同性がある と、亜系統群に分類される。6つの膜内外配列(C1)の第一セットと第二セッ トとの間に、2つの大きい細胞質ドメイン、350個のアミノ酸ループが存在し 、そして伸長C−末端尾部(250−300個のアミノ酸)が6つの膜内外配列 (C2)の第二セットに続く。これらの細胞質ドメインの一部は、クローン化さ れたグアニリルシクラーゼ[Chinker and Garbers(199 1)Ann.Rev.Biochem.60,553−5 75]中に同定され、ある程度相互に相同性があり(C1とC2ドメインの間の 60−80%相同性)、そして最近までに配列決定された(50−92%)哺乳 類アデニリルシクラーゼ[Iyengar(1993)FASEB,J.,76 8−775;Koesling等(1991)]FASEB,J.,5,278 5−2791;Tang and Gilman(1992)Cell,70, 869−872]中で高度に保存的である触媒性ドメインに対する配列類似性を 持っている。反対に、種々のアデニリルシクラーゼの膜内外領域は相互の配列相 同性を欠く。 グアニリルシクラーゼの触媒性ドメインに対する配列相同性とは別に、ウシI 型アデニリルシクラーゼのドロソフィラ(Drosophila)相同体を分析 すると、哺乳類酵素のC−末端尾部は触媒作用に貢献するという追加の証明が得 られる。ドロソフィラ酵素のC末端細胞質ドメイン中の点突然変異(Glyから Arg)によって、アデニリルシクラーゼ活性が減少する。この突然変異は、す べての哺乳類アデニリルシクラーゼ分離体[Levin等(1992)Cell ,68,479489]中で完全に保存されているグリシン残基を変える。C1 およびC2の保存的ドメイン中の点突然変異はよって、哺乳類酵素の触媒的活性 は減少する(Tang等,1992年,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.,57,135−144)。さらに、中央 細胞質ループまたはC末端尾部配列のいずれも欠くアデニリルシクラーゼの切断 された形態は、酵素活性を有しない。従って、分子のいずれかの半分の発現は不 活性な酵素を与え、一方両方の半分の共発現は部分的に触媒活性を回復する[T ang等(1991)J.Biol.Chem.,266,8595−8603 ]。分子の2つの半分の 共発現は全部の活性を回復しないから、酵素の膜内外ドメインは、タンパク質の 2つの大きな細胞質領域の間の最適の相互作用を指示し、従って活性部位の安定 な形成を指示する[Iyengar(1993)FASEB J.,7,768 −775]という仮説が設けられた。グアニリルシクラーゼの可溶性形態は、ア デニリルシクラーゼの高度に保存的なC1およびC2領域に対する相同性を持つ 配列を与える各サブユニットとの異種二量体として機能することが知られている [Nakane等(1990)J.Biol.Chem.,265,479−4 89]。 活性部位安定化の提案された役割とは別に、アデニリルシクラーゼ機能に対す る膜内外ドメインの貢献は不可解である。疎水性ドメインはフォルスコリン作用 のための部位であるようである。フォルスコリンは、Gタンパク質結合受容体ア ゴニストの不在下で、哺乳類細胞中のアデニリルシクラーゼに特異的に結合しそ して活性化する脂質可溶性ジテルペンである。フォルスコリンは、哺乳類の精巣 特異性シクラーゼに対しまたは細菌シクラーゼに対し効果を有しない;これらの タンパク質は細胞質ゾル状(cytosolic)である。しかし、タマホコリ カビ(Dictyostelium)のACAシクラーゼ、統合膜タンパク質、 はフォルスコリンに対して非感受性であり、他方哺乳類2型シクラーゼはタマホ コリカビ中で発現した場合、ジテルペンによる刺激に対して感受性である[Iy engar(1993)FASEB J.,7,768−775に記載のP.D evreotesからの個人的文通]。 好適には、酵母細胞は遺伝子操作されて、1、2、3、4、5、6、7または 8型哺乳類アデニリルシクラーゼを発現する。2型のシクラーゼは特に好適であ る。上記の型の内、以下のシクラーゼが特に興味を起 させる。 数種の種からの哺乳類アデニリルシクラーゼの10種もの相違するアイソフォ ームがクローン化された。I〜VIII型が配列決定され、文献に報告されてい る。IX型およびX型のクローニングおよび配列決定は出版されていないが、X 型の配列は1995年2月のGordon Conferenceで発表された 。配列が発表されているこれらのアイソフォームは以下の通りである。ウシI型 (Krupinski,J.等,Science,244:1558−1564 ,1989);ヒトII型(Stengel,D.等,Hum Genet,9 0:126−130,1992);ラットII型(Feinstein,PG等 ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10173−101 77,1991);ラットIII型(Bakalyar,HA,and Ree d,RR,Science,250:1403−140 6,1990);ラットIV型(Gao,B.and Gilman,A.G. ,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:10178−101 82,1991);イヌV型(Ishikawa,Y.等,J.Biol.Ch em.,267:13553−13557,1993);ウサギV型(Wall ach,J.等,FEBS Lett,338:257−263,1994); イヌVI型(Katsushika,S.等,Proc.Natl.Acad. Sci.USA,89:8774−8778,1992);マウスVI型(Yo shimura,M.,and Cooper,D.M.,Proc.Natl .Acad.Sci.USA,89:6716−6720,1992);ラット VI型(Premont,R.T.等,Proc.Natl.Acad.Sci .USA,89:9808−9813、1992);マウスVII型(Wats on,P.A.等,J.Biol.Chem.269:28893−28898 ,1994);ヒトVIII型(Defer,N.等,FEBS Lett., 351:109−113,1994);ラットVIII型(Cali,J.J. 等,J.Biol.Chem.,269:12190−5,1994) 種々のアイソフォームの数種の調節に関する詳細な情報は入手可能である。最 近までの出版されたアイソフォームは、Gαsサブユニット、Gβγサブユニッ ト、カルシウム、およびプロティンキナーゼCによる制御において異なるが、す べてのものはGαsによって活性化される(Taussig等,J.Biol. Chem.,269:6093−6100,1994;Chen,J.and Iyengar,R.,J.Biol.Chem.,268:12253−12 256,199 3;Cooper等,Nature,374:421−424,1995)。本 発明は、酵母中の機能的および調節可能な活性体として、これらのアデニリルシ クラーゼを提供するのに使用することができる。 本発明は、現在既知の哺乳類アデニリルシクラーゼ、またはかかるシクラーゼ の現在既知の型の発現に限定されるものではない。 シクラーゼは好適には、霊長類、特にヒトのシクラーゼであるが、齧歯目(ネ ズミ、ラット、ウサギなど)、偶蹄目(ヤギ、ブタ、ヒツジ、ウシなど)もしく は食肉目(ネコ、イヌなど)または他の哺乳目の哺乳類に関連するシクラーゼで あることができる。 本発明の哺乳類アデニリルシクラーゼは天然に存在するタンパク質である必要 はなく、むしろ、その配列が、CYR1によってコードされた天然に存在する酵 母アデニリルシクラーゼのそれよりも、天然に存在する哺乳類アデニリルシクラ ーゼのそれに類似しているならば、それは変異体であることができる。好適には 、変異体は、天然に存在する哺乳類アデニリルシクラーゼ、または機能的である と知られている変異体と実質的に相同である。 アデニリルシクラーゼ、CYR1、をコードするS.セレビシエ遺伝子はKa taoka等[(1985)Cell,43,493−505]によってクロー ン化された。CYR1は2026個のアミノ酸からなるタンパク質をコードする ;タンパク質の4つのドメインは、同定され、N末端およびC末端ドメイン並び に中央、反復両親媒性配列および触媒性ドメインを含む。中央反復配列は、酵母 、哺乳類およびドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila mel anogaster)中に同定された一系統群のタンパク質中に反復して見出さ れる23個の アミノ酸のロイシンに富むモティーフと相同性を持つ[Field等(1990 )Science,247,464−467]。それがRasタンパク質と相互 作用するためには、酵素のロイシンに富む領域およびカルボキシル末端が必要で ある。酵母アデニリルシクラーゼの触媒性ドメインはC末端の417アミノ酸に 局在していた[Kataoka等(1985)Cell,43,493−505 ]。酵母アデニリルシクラーゼは周辺膜タンパク質であるようである。それは、 細胞の非洗浄剤抽出後の不溶性細胞中に見出される。配列の水治療(hydro pahic)分析によっては、疎水性、膜スパニングのドメインが示されず、そ してコード配列は分泌または統合膜タンパク質中に通常見出されるシグナル配列 を欠く[Liao and Thorner(1980)PNAS,77,18 98−1902;Kataoka等,(1985)Cell,43,493−5 05;Perlman and Halvorson(1983)J.Mol. Biol.,167,391−409]。しかし、両親媒性配列を含有する反復 性ドメインによって、タンパク質の膜中への包埋が可能になることが仮定される 。この仮定を支持するものとして、中央両親媒性配列を含有する、切断された酵 母アデニリルシクラーゼ分子は、E.コリ(E,coli)中で発現した場合、 膜フラクションに局在する[Kataoka等(1985)Cell,43,4 93−505]。 S.セレビシエ中の2種のras遺伝子は本来、哺乳類ras遺伝子から誘導 されたプローブとの配列相同性によって同定された[Broach and D eschennes(1990)Adv.Cancer Res.,54,79 −139]。S.セレビシエ中の2種のRa s1およびRas2タンパク質は、アデニリルシクラーゼのRas依存性活性化 による単相細胞の栄養増殖およびcAMPの合成に必要である[Toda等(1 985)Cell,40,27−36;Broek等(1985)Cell,4 1,763−769]。RASが酵母中でいずれかの追加の必須機能を有するか どうかは分かっていないが、酵母中のアデニリルシクラーゼの過発現は、ras 1およびras2分断変異株中のRAS機能の低下に由来する致死率を抑制する ことができる。それ故、RASのいずれかの追加の必須機能は、cAMPの産生 が増加することによって補償される[Kataoka等(1985)Cell, 43,493−505]。 天然に存在するアデニリルシクラーゼに「実質的に相同で」ある変異タンパク 質はまた貴重であることができる。ラットII型アデニリルシクラーゼでは、考 えられる「中立」突然変異として、第一膜内外ドメイン中の非保存的の第二の膜 スパニングの配列中の置換(Leu78Ile;Leu79Ile;Leu93 IleおよびLeu948Ile)があげられる。第一膜内外ドメイン中の非保 存的な第5の膜スパニング配列中の残基中で行われた置換は(Ile162Le u;Leu163Ile)、野生型の活性をもつ変異タンパク質を与える。本明 細書中に特に記載しなかった他の保存的アミノ酸置換が、野生型のタンパク質活 性の減少することなく、アデニリルシクラーゼ配列中で行うことができることが 可能である。2.2 スクリーニングにおけるアデニリルシクラーゼの使用 その天然の状態では、哺乳類アデニリルシクラーゼは不活性である。しかし、 それは、他の分子、特に遊離のGαサブユニットまたはGβγ 複合体によって、活性化することができる。 1つの態様では、遺伝子操作された細胞は、Gαおよびある場合にはGβγの ように、アデニリルシクラーゼを直接に活性化するか、または部分的に活性化さ れたアデニリルシクラーゼの活性を増加させることができる薬物をすクリーニン グするのに使用される。 第二の態様では、遺伝操作された細胞は、哺乳類アデニリルシクラーゼを阻害 する薬物をスクリーニングするのに使用される。この場合には、アデニリルシク ラーゼは最初に活性化されなければならない。このことは、GαまたはGβγを 過発現するように適切に遺伝子操作することによって、行うことができる。別法 として、細胞は、Gタンパク質およびGタンパク質結合受容体の両方、或いはア デニリルシクラーゼの活性に影響する他のいずれのタンパク質、例えば、カルノ ジュリン、PKAもしくはPKCまたはアデニリルシクラーゼと結合/相互作用 してその機能に影響する、今まで未知または未特性決定のタンパク質、および外 部から添加されたリガンドによっておよび共発現されたリガンドによって刺激さ れた受容体を共発現するように遺伝子操作することができる。この場合、受容体 は酵母フェロモン受容体とすることができ、リガンドは酵母α因子または因子と することができる。或いは、受容体は外来受容体とすることができ、リガンドは その受容体に適切なものとすることができる。いずれの場合も、リガンドは、ア デニリルシクラーゼの活性化を刺激するために単に使用された既知の活性化剤で あり、薬物はこのアデニリルシクラーゼの阻害のために選別される。 第三の態様では、遺伝子操作された細胞は、アデニリルシクラーゼを、間接に 例えば、Gタンパク質結合受容体に対するそれらの作用によって、 阻害または活性化する薬物を選別するのに使用される。受容体は、アデニリルシ クラーゼに対するGタンパク質サブユニットの作用を活性化する。この場合、適 合Gタンパク質結合受容体および適合Gタンパク質は、同一の酵母細胞中の哺乳 類アデニリルシクラーゼが供給される。 第四の態様では、遺伝子操作された細胞は、フェロモン受容体の「上流」で作 用するフェロモン系タンパク質の代理体を阻害または活性化する薬物を選別する のに使用される。 アデニリルシクラーゼがGαまたはGβγによって活性化されることが望まれ るそれらの態様では、遺伝子操作された細胞は、この機能を実行することができ るGαまたはGβγの形態を発現することが必要である。酵母GαまたはGβγ が哺乳類アデニリルシクラーゼを活性化しない場合、哺乳類またはキメラGαま たはGβγを、この目的のために発現させる。Gタンパク質については次節で説 明する。3.Gタンパク質 3.1 哺乳類Gタンパク質αサブユニット 3.1.1調節性(Gαs)サブユニット S49マウスのリンパ腫細胞のcyc変異体の再構成分析によって、Gαsタ ンパク質を、ホルモン受容体をアデニリルシクラーゼに結合させる調節性グアニ ンヌクレオチド結合タンパク質として同定した[Ross and Gilma n(1977)J.Biol.Chem.,252,6966−6969]。哺 乳類GαscDNAクローンは、ヒト脳(Bray等,1986,1987)、 ヒト肝臓(Mattera等,1986)、ウシ脳(Harris等,1985 )、ウシ副腎(Robisha等,1986)、ウシ大脳皮質(Nukada等 ,198 6)、ハムスター肺繊維芽細胞(Mercken等,1990)、ラット神経膠 腫細胞(Itoh等,1986,1988)、ラット嗅覚神経上皮(Jones and Reed,1987)、マウス・マクロファージ(Sullivan 等,1986)、およびマウス・リンパ腫細胞(Sullivan等,1987 ;Rall and Harris,1987)から得た。Bray等(198 6)はヒト脳から4種の異なったGαs cDNA(Gαs1−4)を単離した 。これらの形態は一本鎖Gαs遺伝子から交互のスプライシングによって生じる ようである。Gαs遺伝子は、13のエクソンを含有し(Kozasa等,19 88)、それらはすべてGαsの長い形態中に存在する。分子の短い形態は、エ クソン3によってコードされた15個のアミノ酸を欠く。さらに、種々のスプラ イス部位がエクソン4の5′末端で使用される場合、エクソン4の開始点でのセ リン・コドンの存在または不在で異なる2種の代替mRNAが生成する。3.1.2 阻害性(Gαs)サブユニット アデニリルシクラーゼの受容体媒介刺激の場合のように、GTPはその酵素の 受容体依存阻害に必要であることが見出された。このことは、この阻害における 、機能でGαsと異なる、Gタンパク質の役割を示している。このタンパク質の 同定は、B.ペルトゥシス(B.pertussis)毒素の作用の機構に関す る研究に由来している。この毒素は、(1)アデニリルシクラーゼのホルモン性 阻害を廃止する、および(2)41−kd膜タンパク質をADPリボシル化する ことが見出された。この毒素基質を精製することによって、哺乳類Gタンパク質 Gαsおよびトランスデューシンに関連するグアニンヌクレオチド結合タンパク 質と 同定することができた。そのタンパク質はGαiで示された(i=アデニリルシ クラーゼに阻害的)。 3種の一本鎖コピー遺伝子はGαi型のGタンパク質サブユニットをコードし 、予想されたタンパク質(Gαi−1、Gαi−2およびGαi−3)は85% の配列同一性を共有する。この酵素のシグナル抑制にアデニリルシクラーゼが結 合すると、Gαiタンパク質は細胞cAMP水準を制御するGαsと協調して機 能する。 最近までに得られたGαi−1cDNAクローンは、ヒト(Bray等,19 87)、ウシ(Nukada等,1986)およびラット(Jones and o Reed,1987)である。ヒト(Itoh等,1988;Weinst ein等,1988;Beals等,1987;Michel等,1986;D idsbury等,1987)、ラット(Jones and Reed,19 87;Itoh,1986)、マウス(Sullivan等,1986)および ウシ(Yatomi等,1992)Gαi−2cDNAクローンが単離された。 Gαi−3クローンには、ヒト(Itoh等,1988;Beals等,198 8;Suki等,1987;Kim等,1988)およびラット(Itoh等, 1988;Jones and Reed,1987)が含まれる。 本発明中の好適なGαiクローンは亜型Gαi−2およびGαi−3のヒトク ローンである。これらの亜型は炎症細胞中で発現することが見出されている。こ れらのクローンは酵母中で発現し、アデニリルシクラーゼ活性のそれらの抑制を 防止することができる化合物の同定のために、標的として使用される。Gαiの 阻害剤は、炎症疾患の治療に非常に効能がある。即ち、好中球およびマクロファ ージ中で発現した多数の細胞 表面受容体はGαiを経てシグナルを媒介する。ヒトGαi中で行われた可能な アミノ酸置換のサブセットは、十分に機能的な、アルベイト(albeit)変 異体、タンパク質を与えるようである。以下の突然変異はタンパク質の野生型活 性を変えないことは可能である。Ala59Asp、Glu64Asp、Asp 160Glu、Ala163Ser、Val332Ile。特に本明細書に記載 しない他のアミノ酸置換は、野生型Gαi活性のいかなる減少もなく、行うこと が可能である。3.1.3. キメラまたは他の変異Gタンパク質を設計する構造的モデルの使 Gαタンパク質構造のモデルは、活性に対して有害でないアミノ酸修飾を予想 するのに使用することができる。GαのcDNAの分析およびGTPアーゼ超系 統群の成員中に存在する保存的配列との比較によって、「複合」Gα分子全体に 存在する5種の保存的ストレッチ、G1−G5、の同定が可能となった[Con klin and Bourne(1993);Bourne等,(1991) ]。さらに、推定されるα−ヘリックス、β鎖、ループドメインおよび挿入の位 置は、p21の既知の二次構造とのGα配列の比較によって推論された。従って 、α−ヘリックス1−5、β鎖1−6、ループ1−10および挿入1−4は、R asタンパク質との比較に基づいて、一次Gα配列中の位置が与えられた。生化 学および遺伝学並びに配列分析によって、Gαタンパク質の概念的モデル描写さ れた(Conklin and Bourne,1993)。この概念的モデル は、Gαのグアニンヌクレオチド結合ポケットは、細胞質、受容体と相互作用す る残基、エフェクターの方に向けられ、そしてGβγ複合体は原形質膜に面する と仮定している。モデルは以下のこ とを主張する。 (1)GαのN末端はGβγ複合体との相互作用のための主要な部位である。 (2)α2ヘリックスおよび挿入1領域はGαのGβγとの相互作用に貢献する 。 (3)少なくとも3つの領域が受容体と連結すると仮定される。アミノとカルボ キシル末端および保存的G5配列。概念的モデルでは、末端は原形質膜に面する Gαの部分上に位置し、一方G5配列は分子の「頂部」に位置する。 (4)Gαのエフェクターとの相互作用に関与すると意図された配列は、Gαの 原形質膜近接側面上に存在すると予想される。これらの配列には、α2ヘリック スの端部半分、挿入2−ループ7配列および挿入4−ループ9配列が含まれる。 この概念的モデル中の分子の配向は、タンパク質のGTPアーゼ活性を抑制す ることによってGαを構成的に活性化することが示された突然変異体に基づいて 、GTP結合部位に特異的アミノ酸を割当てる実験的証拠によって部分的に支持 される。問題の突然変異体はp21rasのGTPアーゼ抑制突然変異体の相同体 である。 N末端配列に対して生起したモノクローン性抗体はGαt1異種三量体の解離を 起こす。さらに、N末端でミリスチル化されたペプチドはGαt1のGβγへの結 合を競合的に阻害する。化学的架橋実験はα2ヘリックスとGβγとの密接な近 接を示し、そして特異的Gαs突然変異(G226A)は2つの欠失を示す示す 。即ち、α2ヘリックス領域はGTP誘発配座変化を受けず、そしてGTPはG βγとGαsの解離の 起こさない。α2ヘリックスとして記載された配列(p21rasのα2ヘリック スに類似の)は、Gα中の他のいずれの配列よりも高度に保存的である。この厳 密な保存性は、異種三量体の形成が最近までに記載されたすべてのGタンパク質 経路中のシグナリングの基礎をなす点で、Gβγとの相互作用でのヘリックスの 関与をさらに支持する。 追加のデータはGαの概念的モデルの発展に貢献する。Gαのアミノおよびカ ルボキシル末端は、マストパランを使用して行った架橋研究に基づき、そしてG αt1に対するモノクローン性抗体の特異性に基づいて、密接に近接しているよう である。実験的証拠はまた、C末端およびp21rasのα2ヘリックスと類似で ある領域の近接を示唆している。最後に、挿入1、ループ2内に位置する大きな 配列はGAP機能を有し、そしてGTPアーゼドメインと異なるドメインとして 折たたまれているようである[Markby等(1993)]。 実験的証拠は、Gαの3つの領域(NとC末端および保存的G5領域)は受容 体と接触する。さらに、Conklin等(1993)は、Gαの極限C末端の アミノ酸残基は受容体−Gタンパク質の相互作用の特異性に貢献するというデー タを得た。Gαqの極限C末端の4−9残基を、Gαiの同一の領域から誘導さ れたアミノ酸で置換して構築されたキメラは、D2ドパミンとA1アデノシン受容 体からホスホリパーゼC、Gq特異性エフェクターにシグナルを変換することが できるGαタンパク質となる。これらの受容体は通常はGαiに結合する。 C末端に関して−3位置にあるグリシン残基は、Gα分子のこの領域中でのβ 回転の形成の中核である。β回転は、受容体とGαi、Gαo、Gαt系統群の αサブユニットとの相互作用を特定する構造的シグナル であるようである[Dratz等(1993)]。受容体とGαのC末端との相 互作用が、後者の分子の開放配座、即ちヌクレオチド交換が起こることができる 配置、をもたらす配座変化となることが仮定された。 Gαsの突然変異誘発は、分子の3つの領域(α2ヘリックス、i2−L7お よびi4−L9の部分)をアデニリルシクラーゼの活性化に関係づけた。第二系 列の実験では、Gαt1から誘導されたペプチドを利用して、ホスホジエステラー ゼを活性化する分子の領域を推定した。i4−<9から誘導されたペプチドはαt1 −GTPのcGMPホスホジエステラーゼを刺激する能力を模倣した。エフェ クター活性化で同定された領域は、原形質膜の方に向いていると考えられる分子 の表面上に存在する。さらに、関係配列の1つ(α2ヘリックス)は、GTPに よって誘発された配座変化を受けることが知られている。 初期の結晶構造に基づくモデルは、E.コリ EF−TunoのGTP結合ド メインの結晶構造(Jurnak,1985;LaCour等,1985)並び にHa−ras−p21の結晶構造(Holbrook and Kim,19 89)を考える。最近、GTPγSと複合したトランスデューシン−α(Gtα )の結晶構造が、2.2オングストローム単位の解像度で得られた(Noel等 ,1993)。この結晶構造の分析は、上記の生化学的および遺伝学的データと 共に、すべてのGα分子に利用可能な一般的構造/機能の相関関係を誘導するの に使用されている。 第三次元の構造において、2つのドメインが、Gtα−GTPγS複合体中で 最も鮮明であり、その各々はグアニンヌクレオチド結合中裂に隣接する。これら は、異種三量体Gタンパク質に特有の(1)高度に保 存的なGTPアーゼドメインおよび(2)高度にラセン状のドメインである。G TPアーゼドメインは構造的にp21のGTPアーゼドメインおよびEF−Tu に類似していて、そして6つの鎖状β−シートを囲む5つのα−ヘリックスから なる。他のドメインは、異種三量体Gタンパク質に特有の高度にラセン状であり 、そして2つのリンカー配列を介してGTPアーゼドメインに結合している。ラ セン状でGTPアーゼのドメインはGTPγS分子および付随Mg2+イオンを囲 んでいるようである。この配置から、ヌクレオチド交換が起こるためには、Gα 分子の配座変化が必要であることが示唆される。リンカー配列中の配座変化はラ セン状ドメインの移動と分子の開放を起こすようである。 結晶構造は、GTP分子の三リン酸エステル部分、必須Mg2イオン、および ヌクレオチドと相互作用するGαの残基の描写を可能にする。Gtαでは、ヌク レオチドおよびリン酸エステルと接触する残基はラセン状ドメインおよびリンカ ー2の一部を形成する。これらの領域は、受容体調節されたヌクレオチド交換に 関係する。Noel等(1993)は、Gα残基とグアノシンとの間の広範な相 互作用を記載している。これらのサブセットはGタンパク質に特有であり、他方 他のものはGTPアーゼ超系統群の成員中に保存されている。ヌクレオチド結合 部位と受容体と相互作用すると言われているGαの表面との結合も記載されてい る。著者等は、「このシステムの機械論的に重要な特徴は、ヌクレオチドの一部 分との相互作用が他のものとの接触を支持する精密にして簡潔な様式であると力 説する。これらのしっかりと結合した相互作用は、ヌクレオチド結合中裂中にG DPとGTPを強く固定する要素の高度に協力的な受容体媒介性分解を強化する ようである」と力説する[Noel等 (1993)]。 特異的α−ヘリックスおよびβシート(α2/β4、α3/β5、α4/β6 )をエフェクター結合および活性化に関係ずける実験データが存在する。これら の領域は、Gtα−GTPγS結晶の分析から誘導された三次元モデル中に一連 の表面ループを形成することが見出された。Gtαで行われた仕事から、これら のループとホスホジエステラーゼまたはその酵素の阻害性γ−サブユニットとの 相互作用が示唆される。Gsα/Giαのキメラを使用して行われた研究から、 これらの表面ループはアデニリルシクラーゼの調節の役割を果たすことが示唆さ れる。さらに、Gtα−GTPγSの結晶構造から、GTPがどのようにしてこ れらのエフェクターループ中で配座変化を行うことができるかが示される。α/ γ2ヘリックス中のグリシン残基はGTPのγ−リン酸エステルと相互作用し、 そしてGTPの加水分解の際に起こる配座変化に必要な順応性の源と考えられる 。α2中のGDP/GTP誘発変化は、結合した一連のヘリックス間接触を介し てα3およびα4に伝わり、γ−リン酸エステルのα2との相互作用中の変化を エフェクター結合表面ループに連結すると仮定される。 結晶構造から、GTPの加水分解で役割を果たすようである2つの残基に関心 が引かれる。保存的アルギニン残基(Arg174)はγ−リン酸エステルに直 接に接触し、加水分解時にその放出を容易にすることができる。GsαおよびG iα中の同族アルギニンの突然変異はGTPアーゼ活性を大きく損なって、構成 的に活性なGαとなる。構造から、γ−リン酸エステルに対する加水分解的攻撃 の開始剤として、位置203のグルタミンが示唆される。Glu203は、γ− リン酸エステルに 対する求核的攻撃のために良好に位置した水分子を活性化するのに適切に配向し ているようである。このグルタミン酸塩はα2ヘリックス中に存在し、そしてG αサブユニットの系統群中に保存される。 Gα構造の上記のモデルによって示されるように、分子の機能は受容体、βγ 複合体、GTPまたはGDP、およびエフェクター分子との相互作用に依存する 。実験的証拠または結晶構造誘導データが、これらの多数の相互作用に貢献して いるものとして示した残基の突然変異は、Gα機能を損なうことができる。以下 の配列、残基およびドメインは、Gα機能に特に重要であると示された。N−末 端残基、極限C−末端の残基(特に位置−3のグリシン)、高度に保存的なα2 ヘリックス、GαtのArg174の同族体、Gαtのグルタミン203の同族 体、GTPアーゼドメイン並びにα2/β4、α3/β5およびα4/β6領域 。他の配列は、GTPアーゼ系統群の成員中でのそれらの保存性に基づいて、ま たはそれらが異種三量体的Gタンパク質αサブユニットに特有である点において 重要であるようである。これらには、保存性配列G1−G5およびGαとRas タンパク質との間の比較によって挿入体として同定された領域が含まれる。研究 の激しい分野が残されているから、機能的に重要な領域の明確な記載を行うこと ができないことを述べなければならない。 将来の研究が、最も機能に貢献している大きいドメイン中の残基を同定し、そ してその特性がGα機能の中核である追加の特定残基を同定することが期待され る。Gαの重要な領域中の保存的突然変異が分子の機能を無傷で残すけれども、 変化が激しい程、タンパク質機能に対する妨害の可能性が高くなる。上記のモデ ルはGα分子の重要な特徴を強調し ている。配座の変化はヌクレオチドの交換に固有であり、その交換はGα機能の 中核となる。配座の変化は、分子の一つのドメインから他のものへのシグナル伝 達の波として起こるようである。従って、モデルは、タンパク質の機能的ドメイ ンのいずれか一つの中の変化がシグナルの最後の変換に影響すること、即ち、分 子の機能は数個のドメインの良好な協調性に依存することを強調している。 しかし、実験系でGαタンパク質の効用に貢献することができる突然変異を行 うことができることを述べなければならない。例として、GTPアーゼ機能を特 異的に損なう突然変異は、エフェクタータンパク質とのGα相互作用に影響する ことなく、構成的に活性なタンパク質を与える。実験シナリオのサブセットでは 、構成的に活性なGαは所望の分子試薬である。 ヒトGαsの配列中に以下の保存的アミノ酸置換を、タンパク質の野生型活性 を損なうことなく、行うことは可能であることができる。Ile183Leu、 、Arg184Glu、Leu198Val、Val121Leu、およびIl e373Val。特に記載しない他の保存的アミノ酸置換を、Gαsの配列中で 、野生型タンパク質の活性に顕著な変化を誘発することなく、行うことができる ようである。3.2 哺乳類GβおよびGγサブユニット 1994年初期現在、少なくとも4種の哺乳類Gβサブユニットが知られて、 クローン化された。Gβ1のヒトおよびウシのクローンの両方(Codina J.等,(1986)FEBS Lett.,207,187−192;Sug imoto K.等,(1985)FEBS Lett.,191,235−2 40;Fong H.K.W.等,(1 986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83,2162−2 166)およびGβ2(Fong H.K.W.等,(1987)Proc.N atl.Acad.Sci.USA,84,3792−3796;Gao B. 等,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,61 22−6125)が単離された。ヒトGβ3(Levine M.A.等,(1 990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,2329−2 333)およびマウスGβ4(Von Weizsacker E.等,(19 92)Biochem.Biophys.Res.Commun.,183,3 50−356)もクローン化された。5種の完全な哺乳類Gγサブユニットはク ローン化された。ウシGγ1(Hurley J.B.(1985)Proc. Natl.Acad.Sci.USA,81,6948−6952)、ウシGγ 2(Robishaw J.D.(1989)J.Biol.Chem.,26 7,24023−24027)、ウシおよびラットGγ5(Fisher K. J.and Aronson N.N.(1992)Mol.Cell.Bio l.,12,1585−1591)およびウシGγ7(Cali J.J.等, (1992)J.Biol.Chem.,267,24023−24027)。 第6のGγサブユニットの一部、Gγ4、は単離された(Gautam N.等 ,(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87,797 3−7977)。 GβおよびGγの種々の組合せが試験管内で観察され、それ故、生理学的に活 性である潜在力を有する。例えば、Gβ1はGγ1、Gγ2、Gγ3およびGγ 5と二量体化することができ(Iniguez−Ll uhi J.A.(1992)J.Biol.Chem.,267,23409 −23417)、そしてβ1γ1、β1γ2、およびβ1γ5は、ホスホリパー ゼC β2によるホスホイノシチド加水分解を刺激する(Katz A.等,( 1992)Nature,360,686−688)。他の組合せは観察されて いない。例えば、Gβ2はGγ1と二量体化しない(Schmidt C.J. 等,(1992)J.Biol.Chem.,267,13807−13810 ;Pronin A.N.and Gautam N.(1992)Proc. Natl.Acad.Sci.USA,89,6220−6224)。βγ二量 体のアデニリルシクラーゼに対する効果は、アデニリルシクラーゼのアイソフォ ームおよび問題の特定のβγ二量体の両方に依存する。1型アデニリルシクラー ゼは種々のβγ二量体によって種々の程度に阻害されるが、同一の二量体は、G αsの2型アデニリルシクラーゼに対する調節効果を増強する(Iniguez −Lluhi J.A.(1992)J Biol Chem.,267,23 409−23417)。両方の場合、β1γ2、β1γ3、β2γ2、およびβ 2γ3の効能はβ1γ1のそれと等しいかそれより大きい。 以下の追加の文献は貴重であることができる。 Gベータ5: 哺乳類Gタンパク質β−サブユニット系統群の第5成員。ホスホリパーゼCの ベータ2アイソタイプの脳中での発現および活性化。Watson AJ,Ka tz A,Simon MI,19994,J Biol Chem,269: 22150−6。 Gガンマ8: 新規のGTP結合タンパク質ガンマーサブユニット、Gガンマ18、は嗅覚お よびじょう鼻神経上皮中の神経発生中に発現する。RybaNJP,Tirin delli R,J Biol Chem,270:6757−6767,19 95。 Gガンマ7: cDNAクローン化によって同定されたガン・マサブユニットの新規形態を含 む、Gタンパク質ガンマサブユニットの選択的組織分布。Cali JJ,Ba lcueva EA,Rybalkin I,and Robishaw JD ,J Biol Chem,267:24023−24027,1992。 Gガンマ6: 脳中でのGタンパク質の2種のガンマ・サブユニットの存在。J.D.Rob ishaw,V.K.Kalman,C.R.Moomaw,C.A,Slau ghter,J Biol Chem,264:15758−15761,19 89。 変異GβおよびGγサブユニットは、Gαサブユニットに関して記載したものと 類似の方法で設計することができる。4. 薬物スクリーニング 新規の分子の生物学的活性の同定は歴史的には、試験管内または全動物の使用 によって達成されてきた。無傷の生物学的実体、細胞または全生体のいずれか、 が、試験管内で抗微生物剤、抗カビ剤、抗寄生虫剤および抗ウイルス剤をスクリ ーニングするのに使用された。培養された哺乳類細胞も、潜在的な治療用化合物 を検出するように設計されたスクリーニングで使用された。哺乳類細胞のスクリ ーニングでは、細胞の増殖 または分化の刺激、細胞運動性の変化、特定代謝産物の産生、細胞内での特異的 タンパク質の発現、改造されたタンパク質機能、および改造された導電率特性を 含む多種類のバイオアッセイ終点が利用された。癌化学療法で使用された細胞毒 性化合物は、生体内または生体外で腫瘍細胞の増殖を抑制するそれらの能力によ って同定された。分散された細胞の培養物の外に、筋肉の収縮性に基づく場合の ように、全組織がバイオアッセイに役立った。 試験管内試験は、高速のスクリーニングの設計を可能にする、即ち多数の化合 物の少量を短時間で、低費用で試験することができる点で、好適な方法である。 最適には、動物は化合物評価の後者の段階にために保留され、発見フェーズでは 使用されない。全動物体の使用は労働集約的であり、極めて高価である。 微生物は、哺乳類細胞および組織よりもっと大きい程度で、迅速な薬物スクリ ーニングでの使用のために容易に利用することができる。酵母は特に魅力的な試 験システムを提供する。この微生物の広範な分析の結果、酵母およびより高級な 真核生物中の基礎的細胞工程で活性である多種類のタンパク質の構造と機能が明 らかになった。 酵母中の哺乳類アデニリルシクラーゼの機能的発現は、その活性が哺乳類細胞 中の中央シグナリング分子の生成に必要である、この酵素のモジュレーターの同 定に有用である安価なスクリーニングの設計を提供する。化学的実体または化学 的実体の組合せは、天然または合成品であれ、哺乳類アデニリルシクラーゼをモ ジュレートする能力についてスクリーニングされることができる。これらのモジ ュレーターはシクラーゼに直接に作用して、酵素の活性を変えるか、または以下 の分子:Gαs、G αiまたはGβγのアデニリルシクラーゼ活性化を変える能力に影響することが できる。4.1 薬物、全般 その中からアデニリルシクラーゼのモジュレーターを同定することができる適 切な化学的実体には、ヌクレオチド類似体(特に、ATPの類似体、アデニリル シクラーゼの天然基質、およびGTPの類似体、Gαsの活性化剤)が含まれる 。フォルスコリン、ジテルペン、はアデニリルシクラーゼに直接に結合して、そ の分子の有効な刺激体となる。それ故、フォルスコリン様構造、フォルスコリン 誘導体、および全体としてのジテルペン類の化合物は、アデニリルシクラーゼ活 性に対する効果について試験する適切な化学的実体である。合成ペプチドは興味 を起こさせるものである。例によれば、カルモジュリン依存性アデニリルシクラ ーゼのカルモジュリン結合ドメインに基づくペプチドは、アデニリルシクラーゼ 活性のモジュレーターとして働くことができる。さらに、シクラーゼとアデニリ ルシクラーゼ活性の既知の内因性モジュレーターとの間の相互サブユニットを阻 害するいずれの構造をもつペプチドまたは分子は興味を起こさせる。既知の内因 性アデニリルシクラーゼもジュとして、Ca2+、Ca2+/カルモジュリン、プロ ティンキナーゼC、プロティンキナーゼA、Gαs、Gαi、Gβγ、およびア デノシンが挙げられる。 プロティンキナーゼCの活性化はアデニリルシクラーゼ活性を刺激することが でき、そしてアデニリルシクラーゼは、プロティンキナーゼCによるリン酸化の ための直接の標的であることがで示された[Yoshimasa等(1991) Nature,327,67−70]。P2 プリネルギック(purinergic)およびM5ムスカリン様受容体、プロ ティンキナーゼC経路の刺激体はアデニリルシクラーゼを活性化する[John son等(1991)J.Pharmacol.Exp.Ther.,39,5 39−546]。最近までにクローン化されたアデニリルシクラーゼは、プロテ ィンキナーゼC活性化による調節に対する感受性について試験された。2型酵素 の基礎活性はプロティンキナーゼCの活性化によって大きく増加し、他方1型お よび3型の活性は低い程度に影響される。反対に、アデニリルシクラーゼ4、5 および6型はプロティンキナーゼC活性化によって刺激されない[Jacobw itz等(1993)J.Biol.Chem.,268,3829−3832 ;Yoshimura and Cooper(1993)J.Biol.Ch em.,268,4604−4607]。 研究の結果から、哺乳類細胞膜をプロティンキナーゼAに露呈させた後、フォ ルスコリン刺激アデニリルシクラーゼ活性が増加することが示された[Prem ont等(1992)Endocrinology,131,2774−278 3;Yoshimura and Cooper(1992)PNAS,89, 6716−6720]。一サブセットの同定された哺乳類アデニリルシクラーゼ は、プロティンキナーゼA依存性リン酸化による負の調節に感受性があるようで ある。推定されるプロティンキナーゼA依存性リン酸化部位は、4型アデニリル シクラーゼを除いて、各酵素の配列中に同定された。リン酸化の推定される部位 の位置は5型および6型では保存されるが、他のシクラーゼでは変化する[Iy engar(1993)FASEB J.7,768−775]。4.2 ペプチド薬 1クラスの特に興味を起こさせる潜在的モジュレーターはペプチド・クラスで ある。用語「ペプチド」は、本明細書では、隣接するアミノ酸がペプチド(−N HCO−)結合によって結合している、2つまたはそれ以上のアミノ酸の鎖を言 うのに使用される。従って、本発明のペプチドとして、オリゴペプチド、ポリペ プチド、およびタンパク質が挙げられる。現在、本発明のペプチドは、2−20 0個、さらに好適には5−50個のアミノ酸の長さである。最小のペプチドの長 さは主として、活性化剤または阻害剤として十分な効力を得る必要によって指示 される。最大のペプチドの長さは、活性ペプチドが同定されると、合成上の便宜 性いかんによる。ペプチド薬が測定される場合、酵母細胞は、ペプチドに露呈さ れるよりむしろ、単にペプチドを培養培地に添加することによって、ペプチドを 発現するように遺伝子操作されることができる。4.3 自己分泌性細胞 他の研究者は外因性薬物を受容体アゴニストおよびアンタゴニストとしてスク リーニングすくのを容易にするために酵母細胞を遺伝子操作したが、細胞はそれ 自体は薬物および受容体を産生しない。受容体を産生するように遺伝子操作され たが、薬物それ自体を産生しない酵母細胞は非効力である。それらを利用するた めに、薬物が作用を有するかどうかを検出するためには、十分な濃度の各薬物を 多数の細胞と接触させなければならない。それ故、各薬物のために、マイクロタ イター・プレート・ウエルまたは試験管を使用しなければならない。薬物は前も って合成して、そして酵母細胞に対するその作用を判定するのに十分に純粋でな ければならない。酵母細胞が薬物を産生することができる場合、有効濃度はより 高い。4.4 ペプチドライブラリー 一つの態様では、酵母細胞はペプチドライブラリーを発現するように遺伝子操 作される。「ペプチドライブラリー」とは、多くの異なった配列(典型的には1 000以上の異なった配列)のペプチドの集合物であり、それは実質的に同時に 、幾つかの活性について同時に試験される場合、「陽性」のペプチドを特性決定 することが可能であるように、製造される。本発明のペプチドライブラリーは酵 母細胞培養物の形態を取り、その中では、実質的に個々の細胞はライブラリーの 一つのペプチド、通常一つのみを発現する。各細胞が異なった配列のペプチドを 産生する場合、ライブラリーの多様性は最大になるが、幾らか余剰があるように ライブラリーを構築することが通常無難である。さらに、各配列は測定可能な濃 度で産生されねばならない。 ライブラリーのペプチドは異なった配列を持つDNA分子の混合物によってコ ードされている。各ペプチドコードDNA分子はベクターDNA分子に連結され 、得られた組換えDNA分子は酵母細胞中に導入される。どのペプチドコードD NA分子が特定の細胞中に導入されるかは偶然の問題であるから、その細胞がど のようなペプチドを産生するかは予測できない。しかし、混合物が製造される方 式の知識に基づいて、ペプチドライブラリー中のペプチドの混合物についてある 種の統計的予測を行うことができる。 ライブラリーのペプチドを、定常および変動残基から構成されるものとして、述 べることは便宜である。ライブラリーのすべてのペプチドについて番目の残基 が同一である場合、定常であると言われる。問題のペプチドについて、番目の 残基が変わる場合、残基は変動残基である。 ライブラリーのペプチドは、一つの、通常は一つ以上の変動残基を有する。変動 残基は、全部で20個の遺伝学的にコードされたアミノ酸のいずれかに対して2 個のいづれかの間で変動することができる。可能性の範囲は、ペプチドの変動残 基の各々について、所望に応じて、異なることができる。さらに、特定の残基位 置での許容されるアミノ酸の発生の頻度は同一または相違することができる。ペ プチドはまた一つまたはそれ以上の定常残基を有することができる。 所要DNA混合物を製造するには2つの主要な方法がある。1つの方法では、 DNAを一度に一塩基で合成する。変動が必要である場合、遺伝暗号によって指 示された塩基位置で、ヌクレオチドの適切な混合物を、慣用のポリヌクレオチド 合成の純粋なヌクレオチド試薬よりむしろ、発生期のDNAと反応させる。 第二の方法は、アミノ酸変動に対するさらに厳密な制御を提供する。最初に、 各三ヌクレオチドが、ペプチドライブラリー中で特徴的である一つ(一つのみ) のアミノ酸のコドンである、三ヌクレオチド試薬を製造する。特定の変動残基が 合成されることになっている場合、適切な三ヌクレオチドの混合物を作成し、発 生期のDNAと反応させる。必要な「変性」DNAが完成すると、それを、他の 所で詳細に記載したように、ペプチドの発現を確保するのに必要なDNA配列に 結合させなければならない、そして完全なDNA構築物を酵母細胞中に導入しな ければならない。4.5 細胞周辺分泌 酵母細胞の細胞質は原形質膜と呼ばれる脂質二重層によって囲まれている。こ の原形質膜と細胞壁との間が細胞周辺空間である。酵母細胞に よって分泌されたペプチドは、多種類の機構によって原形質膜を通過し、細胞周 辺空間に入る。次いで、分泌されたペプチドは、細胞周辺中に存在するかまたは 原形質膜の外表面上に存在する他の分子と自由に相互作用する。次いで、ペプチ ドは細胞中への再摂取を受け、細胞壁を通って媒質中に拡散するか、または細胞 周辺空間内で分解する。 ペプチドライブラリーは、それらが連結している発現系の性質に依存する、2 つの異なった機構の1つによって、細胞周辺中に分泌されることができる。1つ のシステムでは、ペプチドは、小胞体およびゴルギ体によって分泌を指示する、 α因子前駆体中に存在するような、酵母シグナル配列に構造的に連結することが できる。これは、受容体タンパク質が原形質膜への移動中にたどる同一の道筋で あるから、特定のペプチドが、分泌経路を経て通過する間に受容体と相互作用す る機会が、受容体およびペプチドの両方を発現する細胞中存在する。これは、自 己分泌活性化を示す哺乳類細胞中で起こると仮定された。かかる相互作用は、通 過中の連結フェロモン応答経路の活性化を与えるようであり、それはペプチドア ゴニストを発現するそれらの細胞の同定を可能にする。外部から適用された受容 体アゴニストに対するペプチドアンタゴニストが求められる状況の場合、ペプチ ドアンタゴニストおよび受容体の両方が協力して細胞の外部に送達されるから、 このシステムはなお有効である。従って、アンタゴニストを産生するそれらの細 胞は、ペプチドアンタゴニストが、適切にかつ適時に位置して、常用体が外部か ら適用されたアゴニストによって刺激されるのを防止するから、選択可能である 。 ペプチドを細胞周辺空間に送達する別の機構は、STE6/MDR1クラスの ATP依存性輸送体を使用することである。この輸送体経路、 およびタンパク質またはペプチドをこの経路に指示するシグナル、小胞体に基づ く分泌経路ほどには、特性決定されていない。それにもかからわず、これらの輸 送体は明らかに、ペプチドがER/ゴリジ経路を通過する必要がなく、原形質膜 を通って直接に効率的に輸送することができる。本発明者等は、少なくとも1つ のサブセットペプチドが、この経路を経て、a−因子前配列および末端テトラペ プチドの文脈中のライブラリーを発現することによって、分泌されることを予想 している。このシステムの考えられる利点は、受容体およびペプチドが細胞の外 部表面に送達されるまで、両者が接触しないということである。従って、このシ ステムは、細胞の外部から通常送達されるアゴニストまたはアンタゴニストの状 態と模倣している。記載された経路のいずれを使用することも本発明の範囲内に ある。 本発明は、細胞周辺分泌、またはかかる分泌が提供される場合、いずれの特定 の分泌シグナルもしく輸送経路も必要としない。5. 哺乳類アデニリルシクラーゼ活性の阻害および活性化の検出 哺乳類アデニリルシクラーゼを阻害または活性化する能力について薬物をスク リーニングする際に有用である遺伝子操作された酵母細胞の場合、アデニリルシ クラーゼ活性に検出できる変化がなければならない。この変化(シグナル)は背 景(薬物の不在下でのアデニリルシクラーゼ活性の基礎水準)に対して検出可能 でなければならない。シグナルは細胞の増殖速度で変化するか、または色彩変化 もしくはルミネッセンスのような他の表現型変化で変化ことができる。 内在性(酵母)アデニリルシクラーゼは背景に貢献する。この貢献は、内在性 アデニリルシクラーゼとして酵母アデニリルシクラーゼの変異対 立遺伝子、cdc35−1、を持つ酵母細胞を使用することによって減少させる ことができる。 この対立遺伝子は、細胞が室温で増殖する場合に活性である温度感受性酵素を コードする。30℃またはそれ以上では、そのアデニリルシクラーゼは不活性で あり、酵母細胞は増殖することができない。この菌株は好適にはCam表現型を 示し、このことは内因性cAMPの添加によって高温での増殖を救出する能力を 反映する(Cam表現型を示す酵母はcAMPを摂取し、利用することができる 。)[Matsumoto等(1982)J.Bacterol.,150,2 77−285]。 従って、好適な態様では、試験菌株の背景は、タンパク質が発現プラスミドを 介してこれらの細胞中に導入される場合、哺乳類シクラーゼの機能の簡単な測定 基準を提供する。哺乳類アデニリルシクラーゼが活性である場合、酵母は30℃ を超える温度で増殖し、その範囲内では酵母シクラーゼは非機能的である。試験 酵母細胞の増殖が、哺乳類酵素の活性の簡単にして手際のよい指標である。 別法として、内因性アデニリルシクラーゼをコードする遺伝子(CYR1)が 、例えば、欠失によって、完全に無条件に不活性化される宿主菌株を使用するこ とができる。かかる酵母は、Cam表現型を示し、そして内因性cAMPが与え らるならば、グルコースの存在下で増殖することができる。別法として、これら の細胞はまた、ラットアデニリルシクラーゼおよびGαsを発現するならば、増 殖することができる。従って、本明細書に記載の本発明で使用されたcdc35 −1変異株以外の宿主はある種の利点を有することができる。例えば、cdc3 5−1対立遺伝子中の自然逆突然変異によって、野生型活性をもつアデニリルシ クラーゼが生成する。かかる逆突然変異は、内因性アデニリルシクラーゼの欠失 変異体を使用して事実上回避することができる。 シグナル発生について、細胞の内因性成分に対するアデニリルシクラーゼの効 果に頼るよりのむしろ、酵母細胞中に遺伝子操作されたマーカー遺伝子によって 、アデニリルシクラーゼ活性を選択またはスクリーニングすることも可能である 。マーカー遺伝子は、その発現がスクリーニング可能または選択可能である表現 型変化を起こす遺伝子である。変化が選択可能である場合、表現型変化は、マー カー遺伝子を発現する細胞としない細胞との間の増殖または生残率に差異を生み 出す。変化があスクリーニング可能である場合、表現型変化は、マーカーを発現 する細胞を発現しないものから区別することができる、細胞の幾つかの検出でき る特性に差異を生み出す。選択は好適にはにはスクリーニングすることである。 シクラーゼ活性の測定として増殖以外の読出しを使用することが有利である状 態が起こることができる。増殖速度は測定するのに少なくとも1日を要するが、 転写活性の直接の読出しはさらに迅速な測定法の可能性を与える。例えば、la cZをコードしている細菌遺伝子をFUS1プロモーターの制御下に置くことに よって、酵母フェロモン応答経路の活性化は、浸透性化された酵母が色素産生基 質から色素を生成する能力を監視することによって、1時間以下で検出すること ができる。かかる読出しの迅速性はそれ自体有利である。かかる読出しは、酵母 が増殖しない条件下でシクラーゼ活性を監視することが必要である。 哺乳類細胞では、cAMPは、転写因子CREBをリン酸化しそれによって活 性化する、プロティンキナーゼA(PKA)を活性化すること によって、一パネルの遺伝子からの転写に影響する[Brindle,PK a nd Montminy,MR(1992)Curr.Opinion Gen .Dev.,2:199−204に概説]。しかし、酵母中には、数種の遺伝子 しかPKAによって影響されることが知られていない。即ち、ADH2[Den is,CL等(1992)Mol.Cell Biol.,12:1507−1 514]、UB14[Tanaka,K等(1988)EMBO J.7:49 5−502]、CTT1[Marchler,G(1993)EMBO J.1 2:1997−2003]、およびRPS13様の種々のリボソームタンパク質 遺伝子[Sussel,L and Shore,D(1991)Proc.N atl.Acad.Sci.USA 88:7749−7753]。リボソーム 遺伝子のcAMP依存性活性化は、広範な多種類の酵母プロモーター中のDNA 配列RMACCANNCAYYに結合している酵母RAP1転写因子によって媒 介される[Klein,C and Struhl,K(1994)Mol.C ell Biol.,14:1920−1928]。事実、RAP1結合部位は 異種HIS3プロモーターから転写を増加させることができ[Klein,C and Struhl,K(1994)Mol.Cell Biol.,14: 1920−1928]、RAP1結合部位を含有する上流調節配列が構築され、 そしてlacZのようなリポート遺伝子に結合していることを示唆する。かかる 構築物は、酵母中の哺乳類アデニリルシクラーゼの活性の迅速な比色法の読出し を提供をする。他の有用なリポーターとして、アルカリホスファターゼ、クロラ ンフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼおよび蛍光グリー ンタンパク質(FGP) が挙げられ、それは比色法の発光、蛍光または放射性同位元素的の読出しを発生 させるのに使用することができる(後者は放射性同位元素の基質を要する)。 このように、マーカー遺伝子は、マーカー遺伝子の発現がアデニリルシクラー ゼの活性に依存性であるように、哺乳類アデニリルシクラーゼに結合することが できる。この結合は、マーカー遺伝子をサイクリックAMP応答プロモーターに 作用結合させることによって達成することができる。用語「サイクリックAMP 応答プロモーター」は、サイリックAMPまたはサイクリックAMP産生の結果 として産生される代謝産物のいずれかによって、調節されるプロモーターを示す 。例えば、カリフラワーモザイクウイルス35SRNAプロモーターは、S.セ レビシエ中のcAMPによって調節されるようである[Ruth等(1992) Mol.Gen.Gent.235,365−372]。プロモーターは、サイ リクリックAMPに元来応答性であるものか、または適切なオペレーターの取込 みによって応答性であるように遺伝子操作されたものであることができる。 一つの態様では、プロモーターは、シクラーゼの活性化の際、活性化され、そ の場合、選択のためには、マーカー遺伝子の発現が細胞の利益になるべきである 。好適なマーカー遺伝子はイミダゾールグリセロールリン酸デヒドラターゼ遺伝 子(HIS3)である。サイクリックAMP応答性プロモーターが有利な遺伝子 に作用結合してる場合、細胞はアデニリルシクラーゼ活性をスクリーニングまた は選択するのに有用である。それが有害な遺伝子に結合している場合、細胞は阻 害剤をスクリーニングまたは選択するのに有用である。 別法として、プロモーターは、サイクリックAMPによって抑制され、細胞に 有害である生成物の発現を防止するものであることができる。サイクリックAM P抑制プロモーターを用いて、アゴニストを、プロモーターを有害な遺伝子に結 合させることによって、そしてアンタゴニストを、それを有益な遺伝子に結合さ せることによって、スクリーニングする。 抑制は、サイクリックAMP誘発プロモーターを、マーカー遺伝子によってコ ードされたmRNAの少なくとも一部(コーディング領域中かまたはフランキン グ領域中かいずれにせよ)に対するアンチセンスであるmRNAをコードしてい る遺伝子に、そのmRNAの翻訳を阻害するように、作用結合させることによっ て達成することができる。抑制はまた、サイクリックAMP誘発プロモーターを DNA結合抑制タンパク質をコードしている遺伝子に結合させることによって、 そして適切なオペレーター部位をマーカー遺伝子のプロモーターまたは他の適切 な領域中に取り込ませることによって、得ることができる。 適切な正の選択性(有益な)遺伝子として、以下のものが挙げられる。URA 3、LYS2、HIS3、LEU2、YRP1、ADE1、2、3、4、5、7 、8;ARG1、3、4、5、6、8;HIS2、4、5;ILV1、2、5; THR1、4;TRP2、3、4、5;LEU1、4;MET2、3、4、8、 9、14、16、19;URA1、2、4、5、10;HOM3、6;ASP3 ;CHO1;ARO2、7;CYS3;OLE1;INO1、2、4;PRO1 、3。他の無数の遺伝子が潜在的選択性マーカーである。上記のものは良く特性 決定された生合成経路に関与している。 イミダゾールグリセロールリン酸デヒドラターゼ(IGPデヒドラターゼ)遺 伝子(HIS3)は、感受性があり、かつ広範囲の発現水準に亙って選択される ことができるから、好適である。最も簡単な場合、細胞は活性化の不在下でヒス チジン栄養要求性(増殖にヒスチジンを要求する)である。活性化によって酵素 が合成され、そして細胞はヒスチジンについて原栄養性(ヒスチジンを要求しな い)になる。従って、選択は、ヒスチジンの不在下での増殖についてである。I GPデヒドラターゼの細胞当たりほんのわずかの分子しかヒスチジン原栄養性に は必要でないので、測定は極めて高感度である。測定法のさらに複合的な改造法 では、細胞を、アミノトリアゾール(AT)、IGPデヒドラターゼの活性を阻 害する薬物、に対する抵抗性について選択することができる。低い固定水準のH IS3発現をもつ細胞は薬物に感受性があり、他方高い水準をもつ細胞は抵抗性 である。AT量はHIS3発現の基礎水準をもつ細胞を阻害するように選択する ことができるが、発現の誘発水準を持つ細胞の増殖を可能にする。この場合には 、選択は、ヒスチジンの不在下で、かつAtの適切な水準の存在下での増殖につ いてである。 適切な測定法では、いわゆる対抗選択可能なまたは負に選択可能な遺伝子を使 用することができる。適切な遺伝子として、URA3(オロチンジン−5′−リ ン酸デカルボキシラーゼ;5′−フクオロオロチン酸上での増殖を阻害する)、 LYS2(2−アミノアジピン酸レダクターゼ;全窒素源としてα−アミノアジ ピン酸上での増殖を阻害する)、GAL1(ガラクトキナーゼをコードする;G AL1の発現は、GAL7(ガラクトトランスフェラーゼをコードする)または GAL10(エピメラーゼをコードする)中に突然変異を含有する菌株中のガラ クトース の存在下で毒性である);CYH2(リボソームタンパク質L29をコードする ;シクロヘキシミド感受性対立遺伝子は耐性対立遺伝子に対して優性である)、 CAN1(アルギニン透過酵素;ヌル対立遺伝子はアルギニン類似カナバニンに 耐性を与える)、および他の劣性薬剤耐性マーカーが挙げられる。 マーカー遺伝子はまたスクリーニング可能遺伝子であることができる。スクリ ーニングされた特徴は、細胞形態学、物質代謝または他のスクリーニング可能な 特徴の変化であることができる。適切なマーカーとして、ベーターガラクトシダ ーゼ(Xgal、C12FDF、Salmon−gal、Magenta−Gal (後者はBiosynth Agから入手))、酸またはアルカリホスファター ゼ、ワサビダイコンペルオキシダーゼ、エキソ−グルカナーゼ(酵母exb1遺 伝子の生成物;非必須、分泌性);ルシフェラーゼ;およびクロランフェニコー ルトランスフェラーゼが挙げられる。上記の幾つかは、それらが分泌されるよう に(β−ガラクトシダーゼによらないで)遺伝子操作することができる。好適な スクリーニング可能マーカー遺伝子はベーターガラクトシダーゼである。酵素を 発現する個々細胞は無色の基質Xgalを青色の色素に転化する。再度、プロモ ーターはサイクリックAMP誘発性またはサイクリックAMP阻害性であること ができる。 アデニリルシクラーゼの阻害剤を同定するためには、1つの態様では、MAT α2pをコードしている遺伝子を、RAP1結合部位を含有するプロモーターの 制御下に置き、その結果MATα2の転写はcAMP依存性になる。次いで、l acZ遺伝子構築物をいずれかの一倍体特異性プロモーターの制御下に置く。こ れらの2種の構築物で形質転換された 酵母細胞中では、lacZ−−の発現およびそれ故青色−−の発生はMATα2 Pの制御下になり、それは順にcAMP水準によって制御される。具体的には、 活性アデニリルシクラーゼの存在下、酵母はMATα2pの発現およびその後の lacZ発現の阻害によって白色である。シクラーゼが阻害される場合、MAT α2pは減少し、その結果一倍体特異性プロモーターからのlacZ発現は増加 する。一倍体特異性プロモーターとして、これらに限定されないが、GPA1、 STE4、STE18遺伝子のためのプロモーターが挙げられる。 アデニリルシクラーゼの阻害剤を発見する他の戦略は、cAMPによって抑制 されるプロモーターを使用することである。cAMP抑制性要素はSSA3のプ ロモーター中に見出だされ(Boorstein,WR and raig,E A,1990,EMBO J.,9:2543−2553)およびCTT1(M archler,GC等、1993、EMBO J.,12:1997−200 3)、そしてUB14プロモーター(Tanaka,KK等、1989,EMB O J.,7:495−502)中に存在することができる。これらのプロモー ターは、lacZのようなスクリーニング可能なマーカーの転写を指示するよう に遺伝子操作された場合、アデニリルシクラーゼ活性の阻害の読出しを提供する ことができる。具体的には、アデニリルシクラーゼの阻害の結果は、cAMP水 準が低下して、lacZ発現の抑制を解除し、その結果阻害剤に露呈された酵母 の培養物中に数時間内に青色が発生する。かかる読出しは、アゴニストまたはア ンタゴニストによって起こされるcAMPの水準の小さい変化に鋭敏であり、そ して上記の増殖読出しの潜在的な欠点の幾つかを有しない。6.アデニリルシクラーゼ以外のタンパク質の阻害または活性化の検出 酵母細胞がアデニリルシクラーゼに直接にまたは間接に機能的「結合」するよ うにな方式で、興味を起こさせるタンパク質を発現するか、または発現するよう に遺伝子操作されるならば、アデニリルシクラーゼ以外のタンパク質の阻害剤ま たは活性化剤を検出することは可能である。 例えば、細胞を使用して、シクラーゼ関連タンパク質(CAP)の阻害剤また は活性化剤についてスクリーニングすることができる。酵母細胞骨格(Kawm ukai等、1992、Mol.Biol.Cell,3:167−180)と 相互作用し、そして酵母アデニリルシクラーゼ活性の調節体であることができる CAPが酵母中で同定された。 同様に、酵母CAP遺伝子のヒト相同体が同定されて、そしてこれはヒトアデ ニリルシクラーゼの調節体として機能することができる。かかる調節体は潜在的 に、他のシグナル伝達経路からのシグナル中に入り込むことができる。アデニリ ルシクラーゼと相互作用しそしてそれらの活性を改変する、これらのおよび他の 未だ未同定の調節体を、本発明のさらなる態様において、クローン化された哺乳 類アデニリルシクラーゼに結合しているシグナル伝達経路のいずれの工程にも影 響するアゴニストまたはアンタゴニストを発見するために、使用することができ る。 アデニリルシクラーゼの最も特性決定された調節体はGタンパク質、またはさ らに正確には、Gタンパク質の解離から生じるGαサブユニットおよび/または Gβγ複合体である。その結果、本発明の酵母細胞を使用して、外因性(または キメラ)Gタンパク質結合受容体または他のPSP代理体と相互作用する能力に ついて、薬物を試験することができる。酵母細胞は、外因性Gタンパク質結合受 容体(またはたのPSP代 理体)、および相補性(通常は外因性またはキメラ的)Gタンパク質(または薬 物による活性化の後に必要である場合、フェロモン系中で作用するPSP代理体 に必要な他のPSP)の両方を発現しなければならず、そしてこれらの分子は、 アデニリルシクラーゼが影響されるような方式で提供されなければならない。 酵母細胞がGタンパク質結合受容体を発現し、そしてこの受容体の刺激によっ て酵母細胞によって発現したGタンパク質の解離が起こり、次いでGαサブユニ ットまたはGβγ複合体が哺乳類アデニリルシクラーゼと相互作用して、その活 性水準を増加または低下させる場合、Gタンパク質結合受容体(およびGタンパ ク質)はアデニリルシクラーゼに結合するということができる。即ち、受容体の 阻害剤または活性化剤はアデニリルシクラーゼ活性に影響する。従って、酵母細 胞は、それが外因性(通常は哺乳類)Gタンパク質結合受容体の阻害剤または活 性化剤を、結合アデニリルシクラーゼの活性に対するそれらの効果によって、検 出するのに使用することができるように、遺伝子操作されることができる。この 結合は、対応する外因性(キメラ的)Gα、Gβおよび/またはGγサブユニッ トの使用によって促進され、そしてシグナル対ノイズ率が、外因性遺伝子(また はそれらの生成物)の部分的または全不活性化によって改善されることができる 。 外因性Gタンパク質結合受容体はPSP代理体の一例であり、対応する酵母タ ンパク質はα−またはa因子受容体である。しかし、他のPSPの代理体の阻害 剤または活性化剤は、それらが内因性または外因性Gタンパク質結合受容体、お よびGタンパク質結合アデニリルシクラーゼの刺激に直接的にまたは間接的に影 響するならば、スクリーニングする ことが可能である。 これらの「上流」PSPの例として、ファルネシルトランスフェラーゼおよび カルボキシメチルトランスフェラーゼが挙げられる。発現の後、a因子はRAM 1pおよびRAM2pによってファルネシル化され、そしてSTE14pによっ てカルボキシメチル化される。 RAM1pおよびRAM2pは、異種二量体哺乳類ファルネシルトランスフェ ラーゼのサブユニットに相同であり、それ自体は哺乳類Rasタンパク質の膜会 合に必要である。酵母細胞が哺乳類ファルネシルトランスフェラーゼを発現する ように遺伝子操作される場合、それは、その酵素と相互作用する薬物を、機能的 a因子が産生するかどうかを決定することによって、同定するのに使用すること ができる。同様に、Ste14pは哺乳類カルボキシメチルトランスフェラーゼ に相同であり、それは、低分子量のGタンパク質(Ras、Rho、Rab)の 機能を制御する調節的役割を果たす。 プロテアーゼ。PSPは、KEX2、STE13またはKEX1のような酵母プ ロテアーゼであることができる。酵母α−因子フェロモンが、これらのプロテテ アーゼによる前駆体タンパク質の制御されかつ制限されたタンパク質分解によっ て生成する。酵母細胞は、代理体非酵母プロテアーゼの切断部位に対応する、ペ プチドリンカーが、切断によって成熟α−因子(またはその機能的相同体)が遊 離するように、取り込まれる酵母α−因子の不活性な前駆体を発現するように遺 伝子操作することができる。例えば、PSP代理体はHIVプロテアーゼとする ことができ、HIVプロテアーゼの切断部位はα−因子前駆体中の酵母プロテア ーゼ切断部位の代わりに置換される。前駆体およびHIVプロテアーゼ は酵母細胞中で共発現する。HIVプロテアーゼによるタンパク質分解によって 、成熟α−因子が産生され、そしてシグナル形質導入が開始される。このシステ ムはHIVプロテアーゼの阻害剤を同定するのに使用することができる。 好適には、天然に存在する酵母細胞とは異なって、酵母細胞は、α−因子前駆 体のみならず、α−因子受容体も発現するように遺伝子操作されるので、酵母の 単独一倍体型が測定を行うのに要するすべてである。ABC輸送体。Ste6は 、α−因子の輸出に必要な酵母ABC輸送体である。酵母細胞はα−因子および 外来ABC輸送体の両方を発現するように遺伝子操作される。この輸送体は、そ れ自体はα−因子を輸送することができないものであるが、興味を起こさせる薬 物の存在下では、そうすることができるものであり得るか、またはそれは既に機 能的であるものであることができる。好適には、酵母細胞は、α−因子のみなら ず、α−因子受容体も発現するように遺伝子操作される。 内因性フェロモン受容体(または同族PSP)が酵母細胞によって産生される 場合、測定は、フェロモン受容体(または同族PSP)と相互作用するペプチド と外因性受容体(またはPSP代理体)と相互作用するものとの間を容易に区別 することができる。それ故、内因性遺伝子は欠失するかまたはそうではなく非機 能的になることが望まれる。 本発明を使用して、これらに限定されないが、受容体チロシンキナーゼとサイ トカイン受容体(IL−3、IL−5、GM−CSF、M−CSFおよびEPO などのためのもののような)、Gタンパク質結合ケモカイン受容体(RANTE S、MCP−3、MCP−1、MCP−1αおよびIL−8受容体のような)、 増殖因子受容体(EGFRおよびP DGERなどのような)、MIRRsとして知られている多重サブユニット免疫 認識受容体(FcεRI、およびFcγRIIなど)を含む、多くの哺乳類受容 体の阻害剤または活性化剤を同定することができる。本発明で有用なさらなる受 容体として、Gタンパク質結合C5aペプチド受容体、トロンビンペプチド受容 体(PAR1)とその相同体PAR2、ホルミルペプチドとブラジキニン受容体 、ムスカリン様受容体、アドレナリン作用性受容体、メラトニン、ガラニン、グ ルカゴンおよびオーファン受容体および多薬剤耐性タンパク質(MDR)輸送体 タンパク質が挙げられる。6.1 哺乳類Gタンパク質−結合レセプター 本発明の酵母細胞は、哺乳類Gタンパク質−結合レセプターの活性をモジュレ ートする薬剤を同定するために使用できる。この態様では、哺乳類Gタンパク質 −結合レセプターを発現するように酵素細胞を操作する。ほとんどのGタンパク 質−結合−レセプターは、形質膜を7回貫通する一本鎖から成る。そのようなレ セプターはしばしば、セブン−トランスメンブランレセプター(seven-transmem brane receptor:STR)と呼ばれる。100種以上ものSTRが見いだされ、同じリ ガントに結合する多数の異なるレセプターを含み、そしてさらに多くのSTRが 発見されるようである。 さらに、天然のリガンドが未知なSTRが同定された:これらのレセプターは “みなし児”Gタンパク質−結合レセプターと呼ばれている。例にはNeoteら、C ell 72,415(1993):Koubaら、FEBS Lett.321,173(1993);Birkenbachら、J.Virol. 67,2209(1993)によりクローン化されたものがある。 本発明の“外因性Gタンパク質−結合レセプター”は、本発明の目的のために 特別に遺伝子操作された、野生−型酵母細胞に対して外因性である任意のGタン パク質−結合レセプターでよい。このレセプターは植物または動物細胞レセプタ ーでよい。植物細胞レセプターに対する結合のスクリーニングは、例えば除草剤 のような開発に有用である。動物レセプターの場合は、無脊椎または脊椎動物起 源でよい。もし無脊椎動物レセプターであれば、昆虫レセプターが好ましく、そ して殺虫剤の開発に利用できる。このレセプターは脊椎動物、より好ましくは哺 乳類、さらに一層好ましくはヒトのレセプターでもよい。外因性のレセプターも 好ましくは、セブントランスメンブランセグメントレセプターである。 適当なレセプターには、制限するわけではないが、ドーパミン作用性の、ムス カリン作用性のコリン作用性の、α-アドレナリン作用の、β-アドレナリン作用 性、オピオイド(デルタおよびミューを含む)の、カンナビノイド、セロトニン 作用性の、そしてGABA作用性のレセプターを含む。他の適当なレセプターは 国際公開第94/23025号明細書の表2に掲げられている。本明細書で使用する用語 “レセプター”は、天然に存在する、または突然変異体レセプターの両方を包含 する。 これらの多くのGタンパク質−結合レセプターは、酵母a-およびα-因子レセ プターのように、形質膜内にあると予想される7つの疎水性アミノ酸リッチ領域 を含む。遺伝子がすでに単離され、そしてその発現ベクターを構築できる特別な ヒトGタンパク質−結合STRには、国際公開第94/23025号明細書の表2に掲げ たものを含む。すなわち遺伝子を、酵母中で機能するプロモーターおよび酵母中 で機能するシグナル配列に操作可能に連結する。適当なプロモーターはSte2St e3 およびga110を 含む。適当なシグナル配列にはこれらのSte2Ste3および酵母細胞により分泌さ れるタンパク質をコードする他の遺伝子を含む。好ましくは遺伝子のコドンは、 酵母中での発現について至適化されている。Hoekemaら、Mol.Cell.Biol.,7:2914 -24(1987);Sharpら、14:5125-43(1986)を参照にされたい。 STRの相同性は、Dohlmanら、Ann.Rev.Biochem.,60:653-88(1991)で考察さ れている。STRを比較すると、場所的な相同性のパターンを認識できる。トラ ンスメンブラン ドメインはしばしば、最も類似しており、一方N−およびC− 末端領域、ならびにトランスメンブランセグメントVおよびVIを連結する細胞質 ループはより変化している。 異なるSTR領域の機能的な重要性は、点突然変異(置換および欠失の両方) を導入し、そして異なるが関連するSTRのキメラを構築することにより研究さ れた。個々のセグメントに対応する合成ペプチドも、活性を試験した。アフィニ ティー標識もリガンド結合部位を確認するために使用された。 酵母中で発現する外来性のレセプターが、機能的に酵母膜に組み込まれ、そし てそこで内因性の酵母Gタンパク質と相互作用することが考えられる。さらにレ セプターが修飾されるか(例えば、そのV−VIループを酵母STE2またはSTE3レセ プターと置き換えることによる)、あるいは匹敵するGタンパク質が提供される ことが必要になるだろう。 野生型外因性Gタンパク質−結合レセプターが酵母中で機能的にできなければ 、この目的のためにこれを突然変異させてもよい。外因性レセプターと酵母レセ プターとの間のアミノ酸配列の比較を行い、高および低相同性領域を同定した。 膜内への機能的組み込みの必要性から、試験 的な突然変異を、リガンドまたはGタンパク質結合に関与する領域を区別するた めに行なった。外因性レセプターを次に、酵母レセプターにさらに似せるために 、機能的組み込みが達成されるまで、後者の領域で突然変異させた。これが機能 性を得るために不十分ならば、Gタンパク質結合が関与する領域で次の突然変異 を行う。リガンド結合に関与する領域での突然変異は最後の手段として行い、そ して次に可能であればいつでも保存的置換を行うことにより、リガンド結合性を 保存するための努力をする。 好ましくは酵母ゲノムは、内因性の機能的な状態のa-およびα-因子レセプタ ーを作成できないように修飾する。あるいは陽性のアッセイ評価は、問題のレセ プターではなく内因性のGタンパク質−結合レセプターを活性化するペプチドの 能力を反映する。 PSPの代理が外因性のGタンパク質−結合レセプターであるとき、酵母細胞 は外因性レセプターにより活性化され、そして次に哺乳類アデニルシクラーゼを 活性化できるGタンパク質を生成できなければならない。内因性の酵母Gαサブ ユニット(例えばGPA)は十分に、“コンジネート(congnate)”Gαサブユニ ット(これはカップリングが起こるように外因性のレセプターと天然に結合して いる)と相同的である。さらに、外因性レセプターと正しく相互反応できる外来 のGαサブユニットを生成する酵母細胞を遺伝的に操作する必要もあるだろう。 例えば、酵母Gタンパク質のGαサブユニットは、自然に外因性レセプターと会 合したGαサブユニットに置き換えることもできる。 DietzelおよびKurjan,Cell,50:1001(1987)は、機能的に酵母Gβγ複合体にカ ップルしたラットGαsを示した。しかしラットGαi2は実 質的に過剰発現時のみ相補し、一方Gα0は全く相補しなかった。Kangら、Mol. Cell.Biol.,10:2582(1990)。結局、酵母Gαを幾つかの外来のGαサブユニット に単純に置き換えることはできない。 したがって、別の方法として、酵母GαサブユニットをキメラGαサブユニッ ト(その中の部分、実質的に酵母Gαのアミノ末端の対応する残基と相同的であ る、例えば少なくとも約20、より好ましくは少なくとも約40アミノ酸が、哺 乳類(または他の外因性の)のGα骨格と実質的に相同的な配列と融合されてい る)に置き換える。40アミノ酸が開始点として提案され、酵母Gβγとカップ リングするために必要とされる最小長、ならびに外因性レセプターに対するカッ プリング保持に匹敵する最大長を決定するために、より短い、またはより長い部 分を試験できる。現在、Gαサブユニットのカルボキン末端の最終のアミノ酸1 0または20個のみが、レセプターとの相互反応に必要であると考えられている 。 もし酵母細胞が哺乳類の、またはキメラGαiを発現するように操作されるな らば、そのGαiの阻害活性の特異的モジュレーターを予備選択できる。以下の レセプターはGαsにシグナル伝達してアデニリルシクラーゼを活性化すること が示された: β1−アドレナリン作用性 ヒスタミンH2 β2−アドレナリン作用性 グルカゴン D1ドーパミン カルシトニン D5ドーパミン グルカゴン-様ペプチド1 バソアクティブ インテスティナル ペプチド アデノコルチコトロピン作用性 ろ胞刺激ホルモン メラニン細胞刺激ホルモン 黄体形成ホルモン/ コリオゴナドトロピン セクレチン バソップレッシン V2 アデノシンA2 甲状腺刺激ホルモン 以下のレセプターはアデニリルシクラーゼの阻害に関与することが示された: この阻害はGi/Go族のGタンパク質員に対するシグナル伝達を介して起こる と考えられる: アデノシンA1 アンギオテンシンII、1型 アデノシンA3 カンナビノイド α-アドレナリン作用性 ブラジキニン ムスカリン作用性アセチルコリン レセプター2型 GABA ムスカリン作用性アセチルコリン レセプター4型 ガラニン D2ドーパミン メタボトロピックグルタメート2型 D4ドーパミン メタボトロピックグルタメート3型 5HT1a メタボトロピックグルタメート4型 5HT1b メラトニン 5HT1d NPY1 5HT1e NPY2 5HT1f ソマトスタチン2 ホルミルMet-Leu-Phe ソマトスタチン3 デルタ オピオイド ソマトスタチン4 酵母細胞を、哺乳類またはキメラGβおよび/またはGγサブユニット、なら びに哺乳類またはキメラGαsを発現するように操作できる。GαsおよびGβ γサブユニットは会合してレセプターがカップルするヘテロ三量体Gタンパク質 を形成する。レセプターの刺激により、Gαsの活性化速度が大きく増加し、G αsおよびGβγの解離を引き起こす;Gαsは引き続き哺乳類アデニリルシク ラーゼを活性化する。6.2 ファルネシルトランスフェラーゼ 酵母a-因子の活性には、そのファルネシル化(Ram1pおよびRam2Pにより成る 、タンパク質ファルネシルトランスフェラーゼにより媒介される)、1次翻訳産 物のC−末端の3アミノ酸のタンパク質溶解開裂(未だに同定されていない酵素 により媒介される)、およびC−末端システインのカルボキシメチル化(Ste14p により媒介される)が必要である。酵母および哺乳類のファルネシルトランスフ ェラーゼは、構造的および機能的に類似している(Gomez Rら、Biochem.J.289:25 -31,1933:Kohl NEら、J.Biol.Chem.266:18884-8,1991)。酵母のファルネシルト ランスフェラーゼのαおよびβサブユニットをコードする遺伝子(それぞれRAM2 およびRAM1)、ならびに哺乳類のファルネシルトランスフェラーゼのαおよびβ サブユニットをコードする遺伝子(Kohl NEら、J.Biol.Chem.266:18884-8,1991; Chen WJら、Cell 66:327-34,1991)の間には配列相同性が存在する。哺乳類のフ ァルネシルトランスフェラーゼのβサブユニットおよびRam1pは、アミノ酸配列 に7%の同一性が観察された(Chen WJら、Cell 66:327-34,1991)。 ファルネシルトランスフェラーゼのインヒビターを予備選択することの重要性 は、哺乳類のp21ras(種々の癌に関与する哺乳類細胞の成長お よび分化の抜群のレギュレーターである)が、ファルネシルトランスフェラーゼ の基質であり、そしてp21rasのファルネシル化がその活性に必要であるという事 実により示唆される。事実、ファルネシルタンパク質トランスフェラーゼの合成 の有機インヒビターは、ras-依存的な細胞の形質転換を選択的に阻害する(Kohl ら、Science 260,1934(1993)。ファルネシルトランスフェラーゼの2つのサブユ ニットのうち、βサブユニットは明らかに専らファルネシル化を行うので、イン ヒビターのより魅力的な標的である。対照的にαサブユニットは、ゲラニル−ゲ ラニルトランスフェラーゼI(ヘテロ三量体Gタンパク質およびRho/Rac族の小分 子量Gタンパク質のGγサブユニットの修飾に関与する酵素)を共有する。βサ ブユニットがファルネシル化に専念する一方、哺乳類のファルネシルトランスフ ェラーゼは、p21rasに加えて様々な基質を有する。これらの他の基質(例えばラ ミンタンパク質、トランスデューシン-γおよびロドプシンキナーゼ)のファル ネシル化に対するβサブユニットインヒビターの効果は、有力なファルネシルト ランスフェラーゼインヒビターの設計および使用に考慮されるであろう。 相同的な哺乳類の遺伝子が酵母のRam1Pと機能的に置き換わるであろうことは まだ実証されていないが、これはram1突然変異体およびファルネシルトランスフ ェラーゼのβサブユニットをコードする哺乳類遺伝子を発現するベクターを使用 して、正式に試験することができる。もし哺乳類のβサブユニットがRam1Pの代 わりに機能できれば、試験細胞は両方とも生存でき(Rasのファルネシル化の結 果として)、そして交配可能である(a-因子のファルネシル化の結果)。 もしファルネシルトランスフェラーゼのβ-サブユニットをコードす る哺乳類の遺伝子が、ram1を相補すれば、酵母は哺乳類のファルネシルトランス フェラーゼの有力なインヒビターを発見するための試験系を提供するだろう。特 にMATa酵母テスター細胞は;1.RAM1の代わりに哺乳類ファルネシルトランスフ ェラーゼのβサブユニットの遺伝子を持つ;2.cAMPの存在下で、Ras機能の損 失に対して株を耐性にするcam突然変異を持つ;3.Ste3pの異質発現により運ば れるa-因子に反応する;4.自己分泌a-因子に反応するのでガラクトースを含 有する培地では成長できないように開発できた。後者の特性は、フェロモン−反 応性プロモーターおよび突然変異したGAL7またはGAL10遺伝子を含むように操作 した細胞の制御下で、GAL1の発現に必要である。GAL1の発現は、GAL7またはGAL1 0遺伝子のいずれかに突然変異を含む株では、ガラクトースの存在下で毒性であ る。フェロモン反応経路を通るシグナル伝達は、そのように操作した細胞をガラ クトース感受性にする。そのような株を、ファルネシルトランスフェラーゼのβ サブユニットを阻害する化合物に暴露すると、これらの細胞にガラクトースおよ びcAMPを含む培地中で成長できる能力を付与する。 ファルネシルトランスフェラーゼのβ-サブユニットをコードする哺乳類の遺 伝子(および遺伝子のすべての修飾された変異体がram1を相補できなければ、哺 乳類のファルネシルトランスフェラーゼの有力なエフェクターのための代理標的 として、野生型のRam1pを使用できる。特にテスター細胞として:1.cAMPの存 在下で、Ras機能の損失に対して株を耐性にするcam突然変異を持つ;2.Ste3p の異質発現により運ばれるa-因子に反応する;3.自己分泌a-因子に反応する ので、ガラクトースを含有する培地では成長できない、MATa酵母株を使用する。 そのような 株を、ファルネシルトランスフェラーゼのβサブユニットを阻害する化合物に暴 露すると、これらの細胞にガラクトースおよびcAMPを含む培地中で成長できる能 力を付与する。 上記に概説した方法で、ファルネシルトランスフェラーゼのインヒビターを、 a-因子に対する陰性反応を直接的に遮断する化合物(例えば、Ste4-Ste18複合体 とそのエフェクターとの相互作用妨害することによる)、あるいはファルネシル トランスフェラーゼに関与しないメカニズムによりa-因子の生成を遮断する化 合物、のいずれかから区別できることが望ましい。対照はそのような疑陽性を同 定する。候補薬剤は、α-因子を分泌し、そして誤って分泌したa-因子に反応し てガラクトース含有培地成長するように操作したMATa株で、上記に概説したよう な陰性選択スキームのように試験する。株は野生型Ram1Pを発現するだろう。こ れらの細胞がガラクトースおよびcAMPを含有する培地で成長できるようにする任 意の薬剤は、ファルネシルトランスフェラーゼのインヒビターとして作用しない だろう。 前述の試験に通過した候補薬剤は、Ste14p、Ste6pまたはファルネシルトラン スフェラーゼというよりはむしろa-因子の成熟および輸送に関与する他のタン パク質を標的にすることにより作用できる。(注意。しかし、細胞の生存に必須 な能力を阻害する化合物は、疑陽性を生じないだろう。例えば、a-因子前駆体 のC−末端トリペプチドのエンドプロテオリティックな除去の原因のプロテアー ゼは、Ggおよびタンパク質のRho/Rac族の員のプロセッシングに参加するよう なので、この酵素のインヒビターはテスター細胞の成長を可能にすることができ ない)。a-因子の生成に関与するタンパク質の中で、ファルネシルトランスフェ ラーゼだけがRAS機能の主要な決定基でもある、このような結果から、Ram1突然 変異体は30℃での成長を欠き、そして完全に37で成長できない(He Bら、Proc.Na tl.Acad.Sci.88:11373-7,1991)。テスター細胞(上記)は、候補インヒビターの 存在下、ガラクトース含有培地±cAMPで成長できる。もし試験化合物がファルネ シルトランスフェラーゼを阻害すれば、細胞はガラクトース±cAMPで成長できる が、cAMPの不在中のガラクトースでは成長できない。この違いは37℃で最も顕著 である。一方もし、試験化合物がa-因子生成に関与する他のタンパク質を阻害 すれば、細胞はcAMPの有無にかかわらずガラクトース含有培地中で成長するだろ う。 上記の試験を通過した化合物は、ファルネシルトランスフェラーゼのインヒビ ターであろう。これは確認され、そしてそれらの能力を直接的なインビトロ酵素 アッセイで決定できる。概説した方法は、Ram1Pに影響を及ぼすファルネシルト ランスフェラーゼインヒビターを同定するだろう。Ram2Pを遮断する薬剤は、す べての条件下で成長できないようである。実際、ram2ヌル突然変異は致命的であ り(He Bら、Proc.Natl.Acad.Sci.88:11373-7,1991)、おそらくRam2Pもゲラニル ゲラニルトランスフェラーゼIの成分として機能しているという事実によるもの であろう。6.3 カボキシメチルトランスフェラーゼ 酵母では、a−因子、Rasタンパク質および、おそらくRho/Racタンパク質のC −末端アミノ酸のメチル化は、Ste14pにより触媒される。MATa ste14突然変異体 は交配できないが、a-因子活性のカルボキシメチル化の必要性に影響し、ste14 破壊が致死的ではなく、そして細胞増殖速度に影響しない。カルボキシメチル化 は、Rasタンパク質およびSte18p(Gγサブユニットの酵母の相同体)の機能に重 要ではないようである。 酵母中のRas機能は明らかにカルボキシメチル修飾の不在に耐性であることがで きるが、これにもかかわらず哺乳類のメチルトランスフェラーゼのインヒビター は哺乳類のp21rasの活性を変化させることができる。 酵母のste14突然変異がホモロガスな哺乳類の遺伝子またはその修飾変異体に より相補できれば、これを決定できる。遺伝子型がste14である酵母中で、メチ ルトランスフェラーゼをコードする哺乳類の遺伝子を発現するために、エピソー ムベクターを使用できる。この株は、正常なa-因子レセプターの代わりにa-因 子レセプターを発現し、そして細胞に分泌されたa-因子がヒスチジン−欠失培 地でオートクリン増殖を付与するように組み込まれたfus1-HIS3構築物を含む、 修飾されたMATa株である。もし哺乳類のメチルトランスフェラーゼがSte14pの代 わりに機能できれば、テスター細胞は交配できる。すなわち、哺乳類のメチルト ランスフェラーゼは活性なa-因子をste14突然変異体中で合成することを可能に する。 もしメチルトランスフェラーゼをコードする哺乳類の遺伝子が、ste14を相補 するならば、テスター株は哺乳類のメチルトランスフェラーゼの有力なインヒビ ターを試験するために構築できる。1つの態様では、テスターMATa酵母株は:1 .STE14の代わりに哺乳類のカルボキシメチルトランスフェラーゼ遺伝子をもつ ;2.Ste3pによるヘテロロガスな発現により運ばれるa-因子に応答する;3. 自己分泌a-因子に反応するので、上記に概説した陰性GAL1選択スキームのよう にガラクトースを含有する培地で成長できないだろう。そのような株を、メチル トランスフェラーゼを阻害する化合物に暴露すると、これらの細胞にガラクトー ス含有培地中で成長できる能力を付与するだろう。 カルボキシメチルトランスフェラーゼ活性のインヒビターを、a-因子に対す る陰性反応を直接的に遮断する化合物(例えば、Ste4-Ste18複合体とそのエフェ クターとの相互作用を妨害することによる)、あるいはメチルトランスフェラー ゼに関与しないメカニズムにより、a-因子の生成を遮断する化合物のいずれか から区別できることが望ましい。以下の対照実験は、そのような疑陽性を同定す る。候補インヒビターは、a-因子を分泌し、そして誤って分泌したa-因子に反 応してガラクトース含有培地成長するように操作したMATa株で試験する。このよ うな細胞がガラクトースを含有する培地で成長できるようにする任意の薬剤は、 カルボキシメチルトランスフェラーゼのインヒビターとして作用しないだろう。 前述の試験に通過した候補化合物は、カルボキシメチルトランスフェラーゼ、フ ァルネシルトランスフェラーゼ、Ste6pまたはa-因子の成熟および輸送に関与す る他のタンパク質を標的にすることができる。化合物の標的を識別するために、 インビトロの生化学的、およびインビボの遺伝学的アッセイの組み合わせを応用 できる:候補薬剤の効果を試験するためにカルボキシメチルトランスフェラーゼ およびファルネシルトランスフェラーゼの両方が、インビトロでアッセイされる 。さらに、もし標的がSte14pならば、高コピープラスミドでのその過剰発現は、 化合物のインビボでの効果に対する耐性を付与するはずである。6.4 プロテアーゼ 成熟酵母α-因子は、成熟哺乳類メラノサイト−刺激ホルモン(MSH)またはカ ルシトニンが前駆体ポリタンパク質から誘導されるのとほぼ同様ナ様式で、ポリ タンパク質前駆体から誘導される13個のアミノ酸ペプチドである。酵母ゲノム中 の2つの遺伝子は、プレプロ-α-因子、MFα1 およびMFα2をコードする。MFα1は以下の構造のポリペプチド中に埋め込まれた 、成熟α-因子の4つのコピーを含有する前駆体ポリペプチドをコードする:疎水 性プレ-配列/親水性プロ−配列/α-因子/α-因子/α-因子/α-因子/。MF α2は、成熟α-因子の2コピーのみを含有する同様な構造のポリタンパク質前駆 体をコードする。 プレ-プロ-α-因子は細胞質で合成され、そして次に古典的なエス.セルビシエ (S.Cerevisiae)の分泌経路に沿って細胞質から小胞体に、そして次にゴルジに輸 送される。プレプロ-α-因子のシグナル配列は、ER中への移送中にシグナルペプ チダーゼにより開裂され、そしてアスパラギン結合オリゴサッカライドが付加さ れ(ER中で)、そして分泌経路を移動する時に前駆体のプロ−セグメント上で修飾 される(ゴルジ中で)。いったんゴルジに入ると、3つの異なるタンパク質溶解 プロセッシング工程が起こる。第一に、Kex2プロテアーゼが各α-因子反復のア ミノ末端付近の二塩基性残基(-KR-)で開裂する。Kex2は、哺乳類細胞のプロホル モンプロセッシングに関与するズブチリシン-様エンドプロテアーゼPC2およびPC 1/PC3に相同的である(SmeekensおよびSteiner 1990:ナカヤマら、1991)。さらに 哺乳類のKex2-様プロセッシングエンドプロテアーゼには、ヒト肝腫瘍から単離 されたPACE、精巣性生殖細胞で発現するPC4、およびガストロインテスチィナル ペプチドのプロセッシングのための候補プロテアーゼPC6を含む(Barrら、1991; ナカヤマら、1992;ナカガワら、1993)。Kex2-様タンパク質は、哺乳類細胞中の 組織−特異的エンドプロテアーゼの大きな族を含んで成るようである。 いったんKex2が未成熟なα-因子ペプチドを放出すると、2つのさらなるプロ テアーゼがプロセッシングを完了するように作用する。Kex1は、 Kex2による開裂後に残るカルボキシ−末端−KRを除く特異的なカルボキシペプチ ダーゼである。その哺乳類の対のカルボキシペプチダーゼBおよびEのように、 Kex1はカルボキシ-末端の塩基性残基を持つペプチド基質に高度に特異的である 。生じる最終的なタンパク質溶解的プロセッシングは、各プロ-α-因子ペプチド のアミノ末端でスペーサージペプチドを除去することである。これはSTE13遺伝 子産物、ジペプチジル アミノペプチダーゼAにより達成される。この酵素はジ ペプチジル アミノペプチダーゼIV型である:これは-x-A-または-x-P-部位 のいずれかのカルボキシル側で、インビトロで開裂できる。 他の種類のIV型ジペプチジル アミノペプチダーゼは、動物細胞中の様々なプ レ−ペプチドのプロセッシングにおいて活性であると考えられている(Kreil 199 0)。さらに、酵母Kex1およびKex2との間に機能的類似性が証明され、そしてその 両方の酵母酵素の哺乳類の対は、天然の酵素が欠失している哺乳類細胞中で発現 した時に、タンパク質溶解的に内因性の前駆体を開裂する(Thomasら、1988,1990 )。次に酵母プロテアーゼKex1、Kex2およびSte13pの哺乳類の相同体は、酵母中 で発現した時に、適切な開裂部位を持つ合成のα-因子フェロモン前駆体をプロ セスするように機能すると思われる。酵母中でそのように機能するヒトプロテア ーゼには、PC2およびPC1/PC3(または他のKex2相同体)、カルボキシペプチダーゼ BおよびE(Kex1相同体)、ならびにIV型ジペプチジルアミノペプチダーゼ(Ste1 3p相同体)を含む。 酵母は、合成α-因子をプロセスできるプロテアーゼのインヒビターを発見す るために、容易なアッセイ系を提供するだろう。酵母は有力なインヒビターおよ び外因性プロテアーゼの両方を発現するように操作で き、そして好ましくは後者の酵母コンジネートではない。 さらに、プロテアーゼインヒビターを同定するための酵母フェロモンプロセッ シングを活用する手段は、適当な開裂認識部位が合成のα-因子前駆体に含まれ るかぎり、酵母中で機能を発現することができる任意のプロテアーゼを包含する ように広げることができる。後者の方法では、新規なタンパク質溶解活性を酵母 に加えるようになる;これらの酵素は、α-因子成熟経路中のプロテアーゼに代 わるであろうが、Kex1、Kex2またはSte13pの“触媒的相同体”にはならないだろ う。成熟α-因子の生産は、合成のMFα遺伝子から選択された酵母酵素について の認識部位(1つ、または複数)の除去、および新規なプロテアーゼ(1つ、ま たは複数)の認識配列の挿入を通して、新規なプロテアーゼ活性に依存するよう になるだろう。6.5 外因性 ABC輸送体 細胞質中の翻訳開始を含む分泌経路を通って進行する、細胞外の環境に輸送さ れるよう定められたタンパク質の多くは、小胞体の管腔への輸送、ゴルジを通っ て分泌小胞の通過、そして続いて細胞から出る。他のタンパク質は、“ABC輸 送体”による仲介が関与する別のメカニズムにより細胞から出る。このABC輸 送体は進化的に保存されたタンパク質の一族を形成し、全体的に類似する構造を 共有し、そして細胞膜をわたって大きな、および小さな分子の輸送で機能する(H iggins、1992)。このタンパク質一族の特徴的な成分は、ATPに結合する高度 に保存された配列である(Higginsら、1986;Hydeら、1990);これら固有な膜タン パク質はATPaseであり、そのヌクレオチドの加水分解からエネルギーを取り出し 、分子の輸送を行う。この一族は50種より多くの原核および 真核細胞タンパク質を含む:アミノ酸、糖、オリゴサッカライド、イオン、重金 属、ペプチドまたは他のタンパク質の輸送体は、この超族に属する。代表的なト ランスメンブラン輸送体は、国際公開第94/23025号明細書の表1に含まれる。典 型的にはABC輸送体は、物質を濃度勾配に対して細胞膜を通過させて汲み上げ るために、ATP加水分解のエネルギーを使用する。幾つかは物質を輸入し、そ して他は輸出する。Higgins,Ann.Rev.Cell.Biol.,8:67-113(1992)を参照にされ たい。 ABC輸送体の原型構造は、4つの膜会合ドメインを含む:2つの疎水性の、 推定上の膜−スパンニング配列は、各々膜を6回横断し、そしてATP加水分解 とカップルする2つのヌクレオチド結合ドメインが、輸送されると推定される。 原核生物では、ABC輸送体のドメインは、しばしば別個のポリペプチド中に存 在する。ドメイン融合の様々なパーミューテーション(permutation)が記載され た:大腸菌のヒドロキサム酸鉄輸送体は、2つの膜スパンニングドメインを一本 のポリペプチド中に含み、そして幾つかの生物のリボース輸送体は1つの分子上 に2つのヌクレオチド−結合ドメインを持つ。主要組織適合性遺伝子複合体(M HC)ペプチド輸送体は、2つのポリペプチド、Tap1およびTap2から成る。各タ ンパク質のN-末端は、疎水性の膜-スパンニングドメインを含むが、一方C-末端 はATP−結合配列を含む。Tap1およびTap2は一緒に、機能的複合体を形成する 。分裂酵母シゾサッカロミセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)中で発現す る重金耐性タンパク質HMT1は、1本の疎水性ドメインおよびC-末端のATP-結合配 列を含むポリペプチドから成る(Ortizら、1992)。これはMHT1輸送体がホモ二量 体として機能するのかもしれない。サッカロミセス セルビシエ(Saccharomyces cerevis iae) のSte6 a-因子輸送体は、2つの膜−スパンニングドメインおよび2つのヌ クレオチド−結合ドメインを含む一本のポリペプチドとして発現する。Ste6が2 つの半分子として発現される時、明らかに形成するタンパク質複合体は、野生型 の一本のポリペプチドの50%よりも高いレベルで機能を保持している(Berkower およびMichaels 1991)。Mdr1、CFTRおよびMRPを含む他の真核生物のABC輸送 体において、4つのドメインは一本のポリペプチド内に含まれる。したがって、 ABC輸送体は一本のマルチドメインポリペプチド、または2つ以上のポリペプ チドで、各々が1つ以上のドメインを含んでなることができる。 一般的に、輸送体は各疎水性ドメインあたり6つのトランスメンブランセグメ ント、全部で12のセグメントを含む。輸送複合体の形成に必要なトランスメン ブランセグメントの最小数は、10のようである。したがって、エス.チフィム リウム(S.typhimurium)のヒスチジン輸送体は、その各疎水性ドメインに由来す るN-末端トランスメンブランセグメントを欠き、したがってドメインあたり5つ のトランスメンブランセグメントを含む(Higginsら、Nature 298,723-727(1982) 。大腸菌マルトース輸送体のMalFタンパク質は、2つのさらなるトランスメンブ ランセグメントを持つ、疎水性配列のN-末端の伸長を含み、疎水性ドメインにつ いての総数を8にする(Overduinら、1988)。しかしN-末端の伸長は、この輸送体 の機能を損失することなく削除することができる(Ehrmannら、1990)。機能的輸 送体の形成に必要なセグメントの数は、これらの研究から示唆されるが、トラン スメンブラン自体の正しい構造に関するデータは存在しない。これらの配列はα -ヘリックス構造を有すると予想されるが、これは証明されておらず、そして形 質膜中の輸送複合体の 全構造は不明なままである。 脂質二重層に広がるためには、最少20個のアミノ酸が必要であり、そしてトラ ンスメンブランセグメントを形成すると考えられる配列が、疎水性の割合を使用 して同定された。疎水性の割合は、個々のアミノ酸残基に値を与え、各分子の疎 水性の程度を示す(KyteおよびDoolittle 1982;Englemanら、1986)。これらの値 は実験データ(種々の溶媒中でのアミノ酸の溶解度の測定、可溶性タンパク質中 の側鎖の分析)および理論的考察に基づき、そして合理的な精密度で新規配列の 2次構造の予想を可能にする。疎水性測定を使用する分析で、疎水的な性質を持 つタンパク質配列のこのような広がりは、トランスメンブランヘリックスと一致 する。 2−3の例外では、2つの異なる輸送体のトランスメンブランドメインの間に 、わずかに重要なアミノ酸配列の類似性があるか、または無い。この配列類似性 の欠失は、これら疎水性ドメインの外観上の機能と一致する。これらの残基は、 形質膜を横断すると思われる疎水性のα-ヘリックス構造を形成できる一方、多 くのアミノ酸残基は疎水性であり、そしてα-ヘリックスの形成に貢献できる。 酵母STE6、ヒトMDRおよび大腸菌HlyBヘモリシン輸送体のトランスメンブラン ドメインの比較で、かなりの、未だに解明されていない配列類似性が検出された [Grosら、Cell 47,371(1986);McGrathおよびVarchavsky,Nature 340、400(1989 );Kuchlerら、EMBO J.8,3973(1989)]。他の配列類似性は、齧歯類p-グリコプロ テインのトランスメンブランドメインの場合のように、遺伝子重複により説明で きる(Endicottら、1991)。エス.ティフィムリウム(S.typhimurium)のヒスチジ ン輸送体のトラン スメンブランドメインは、アグロバクテリウム ツメファシエンス(Agrobacteri um tumefaciens)のオクトピン取り込み系のトランスメンブランドメインと相同 性を有し、この後者の2つの輸送体は化学的に同様な基質21を輸送する(Valdiva ら、1991)。 突然変異体の輸送体タンパク質の研究は、基質の認識におけるトランスメンブ ラン配列の役割を指摘した。すなわち、p-ニトロフェニル-α-マルトシドを輸送 する能力を獲得した、大腸菌のマルトース輸送体はトランスメンブランドメイン に突然変異を有する(Reyesら、1986)。MDRのトランスメンブランセグメント11中 の突然変異は、その輸送体の基質特異性を変えることが示され(Grosら、1991)、 そしてCFTRのトランスメンブランドメイン中の残基の変化の突然変異は、そのイ オン選択性を変化させる(Andersonら、1991)。 輸送機能におけるエクストラメンブランループの配列が関与する、いくつかの 解釈が明らかになっている。多数の細菌の輸送体で、短い保存モチーフがトラン スメンブランセグメント4および5を連結する細胞質ループ上に存在する[(Dass aおよびHofnung(1985)]。この配列がこれら輸送体タンパク質のATP-結合ドメイ ンと相互作用するという仮説が立てられた;この保存配列の突然変異が、輸送機 能を破壊するのだろう(Dassa 1990)。細胞質ループも基質認識に関与することが できる。したがって酵母a-因子輸送体のトランスメンブランセグメント7および 12に続く配列は、a-因子レセプター(Ste3p)中の配列に似ており、そしてフェロ モン基質と相互作用できる(Kuchlerら 1989)。事実、細胞質ループ内の突然変異 は、上記輸送体の基質特異性を変化させることが知られている。ヒトMDRのG185V 突然変異は、トランスメンブランセグメント2お よび3の間のループに位置しているが、その輸送体とビンブラスチンおよびコル ヒチンとの相互作用を変化させる(Choiら 1988)。 ATP-結合ドメインは約200アミノ酸長であり、そして種々の輸送体のドメイン は典型的には30−50%の配列同一性を有する。保存された配列は、多くのヌクレ オチド結合タンパク質と会合する“ウォーカーモチーフ(Walke rmotifs)"を含む 。Walkerら、EMBO J.1:945-951(1982)。配列保存性はATP-結合ドメイン長をわた って伸び、ウォーカーモチーフに限定されない。さらに、1つの輸送体のATP-結 合ドメインは、別の1つよりよりも、2つの異なる輸送体からのドメインにより 大きな配列同一性を表す。しかし、保存されたATP-結合ドメインに含まれるすべ てのタンパク質が輸送に関与するわけではない。細胞質酵素UvrAはDNA修復で機 能し、そして酵母のEF-3タンパク質は延長因子である。さらに両タンパク質は、 配列比較により同定可能なATP-結合カセットを含む。 ATP-結合ドメインは高度に親水性であり、そして輸送体の場合は、膜の細胞質 側に位置し、そこでこれらタンパク質の膜−スパンニングドメインとの会合を通 して固定されるようである。トランスメンブランとATP-結合ドメインとの間の相 互作用点は、実験的に決定されていない。ヌクレオチド結合ドメインの構造モデ ルは、ループ配列が構造の芯から膜を横断する親水性配列との接触面に伸びるこ とができることを示している(Hydeら、1990;Mimuraら、1991)。2つの構造モデ ルは、1つがアデニル酸シクラーゼに基づき、そしてもう1つがras p21構造に 基づき、ヌクレオチド結合の芯の折りたたみが、加水分解中にATPと反応するよ うに配置されたウォーカーAモチーフ(グリシン−リッチ−ループ)の5つのβ -シートから成ることを予想している。さらに、ループ構造(1 つのモデル中に2つのループ、1つの大きいループがもう1つの中にある)は、 ATP-結合ドメインとカップルするために、芯から輸送体の他のドメインに伸びる ことを予想している。カップリング配列は、ほとんどが構造的変化を通して、A TP加水分解のエネルギーを、輸送に関与する分子のこれらの部分に運ぶようで ある。 Ste6機能は交配に必要であるが、タンパク質は酵母の生存に必要ではない(Wil sonおよびHerskowiz 1984;Kuchlerら、1989:McGrathおよびVarshavsky 1989)。S te6は構造的に哺乳類のMDRsに相同的である。さらに2つの哺乳類MDRタンパク質 、ネズミMdr3およびヒトMdr1が、STE6を欠失している細胞中で、酵母輸送体を機 能的に置換することが実証された(Raymondら、1992;KuchlerおよびThorner 1992 )。STE6が欠失した酵母株は、外因性のABC輸送体の機能をモジュレートする 化合物を発見するための予備選択を設計する出発点として役立つ。 2つの異なる酵母の予備選択を、ABC輸送体機能のモジュレーターを同定す るために使用できる。第1の場合は、a-因子を輸送する哺乳類タンパク質が輸 送体機能の有力なインヒビターの標的として役立つだろう。したがって酵母株を 機能的輸送体である、例えば哺乳類MDR1(これはa-因子の輸送において、酵母St e6タンパク質に代わる)を発現するように操作する。さらに、この株はオートク リン様式でa-因子に反応するように操作される:例えば、細胞がガラクトースを 含有する培地中では成長できないように。この陰性選択は、GAL7およびGAL10遺 伝子の突然変異体を含むバックグラウンドの株の中で、フェロモン反応性プロモ ーターの制御下で、GAL1遺伝子の発現に依存するだろう。そのようなバックグラ ウンドの株において、ガラクトースの存在下でのGAL1の発現は、 細胞にとって毒性である。a-因子輸送の不在で、フェロモン反応経路へのシグ ナル伝達は毒性遺伝子が発現した時に止まる。試験化合物の存在下での、または 特別なランダムペプチドの発現時の細胞増殖は、輸送機能の信号阻害であり、そ して可能性のある治療剤の同定である。 MDRのインヒビターに加えて、a-因子とa-因子レセプターとの相互作用を妨害 する化合物を同定してもよい。そのような化合物は、野生型Matα株でのa-因子 -誘導成長阻止のそれらの阻害により識別できる。化合物はまた、フェロモン反 応経路に沿った他の点に影響を及ぼし、シグナル伝達を阻害し、そしてこれらの 化合物は野生型Matα株中のシグナル伝達を妨害するだろう。 第二の予備選択では、最初にa-因子またはa-因子-様ペプチドを輸送できな い、突然変異体のヘテロロガスな輸送体(例えば突然変異体CFTR)を、内因性Ste6 が欠失しているオートクリン酵母中で発現できる。細胞はこれらの細胞が生産し たa-因子に対してオートクリン反応することができるだろう。したがって、フ ェロモン-反応性プロモーターは、選択培地中で成長する能力を与える遺伝子の 発現を制御するだろう。そのような細胞は輸送体における欠失を正す化合物の同 定を可能とし、そして細胞外の場所にフェロモン類似体を輸送するように機能す ることを可能とする。このように、突然変異体タンパク質を安定化し、そして正 常なプロセッシング、輸送、形質膜への局在化および機能を可能にする、治療的 ペプチドまたは他の種類の化学的化合物を同定できた。この方法は成功するので あれば、プロセッシングおよび/または局在化の欠陥の矯正を通して、突然変異 体タンパク質の機能を回復することにより、遺伝子治療により実施されているよ うな、幾つかの突然変異体遺伝子を正 常な配列と“置き変える”必要を排除する。 突然変異体の輸送体の“アクチベーター”に加えて、内因的に発現したフェロ モンによる輸送の不在において、a-因子レセプターからのシグナル伝達を開始 できる化合物も同定できる。これらの化合物は、野生型Matα株中での増殖阻止 を引き起こすその能力により識別できる。また化合物は、フェロモン経路に沿っ た他の点でも影響を与えることができ、そしてa-因子の不在において野生型Mat α株中のシグナル伝達を開始する能力を通して識別できる。 好適な態様では、酵母細胞により生産された外因性タンパク質は、国際公開第 94/23025号明細書の表Iに掲げられた外因性ABC輸送体の1つである。7.酵母中での遺伝子発現 7.1 調節配列 ペプチド−コーディング遺伝子の酵母細胞中での発現には、酵母中で機能する プロモーターが必要である。適当なプロモーターは、メタルチオネイン、3-ホス ホグリセレートキナーゼ(Hitzemanら、J.Biol.Chem.255,2073(1980))、またはエ ノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、 ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン 酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオ ースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼ のような他の解糖系酵素(Hessら、J.Adv.Enzyme Reg.7,149(1968);およびHollan dら、Biochemistry 17,4900(1978))のプロモーターを含む。酵母の発現に適当な ベクターおよびプロモーターは、さらにR.Hitzmanら、欧州 特許出願公開第73,657号明細書に記載されている。成長条件により制御される転 写のさらなる利点を有する他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2 、イソシトクロームC、CUP1(銅により誘導される)、酸ホスファターゼ、窒素代 謝に関連する分解酵素、および前述のメタルチオネインおよびグリセルアルデヒ ド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトースおよびガラクトース利用の 原因の酵素に関するプロモーター領域である。最終的に、2つの半数体交配型の 1つだけで活性なプロモーターが、特定の状況で適当であるらしい。このような 半数体−特異的プロモーターの中で、フェロモンプロモーターMFa1およびMFα1 ならびにGPA1プロモーターが、特に興味深い。 適当な発現プラスミドの構築において、これらの遺伝子または酵母で効率的に 発現する他の遺伝子に関連する末端配列を、発現ベクター中のヘテロロガスなコ ーディング配列の3’に連結して、mRNAのポリアデニレーションおよびター ミネーション配列を提供できる。7.2 構造配列 アデニリルシクラーゼをコードする構造遺伝子は、野生型の哺乳類の遺伝子、 または修飾した遺伝子でよい。“サイレント”修飾は、例えば(1)対応するm RNA中の2次構造を排除する、または(2)例えば制限部位を導入、削除また は修飾することにより、それほど好ましくない、またはクローニングに利用でき ないコドンを酵母に好ましいコドンと置換することにより、発現を改善するため に作成できる。この遺伝子はまた、突然変異体アデニリルシクラーゼをコードす るように修飾できる。 酵母のコドン使用法の分析では、酵母に存在する最も豊富なイソ受容 tRNAから成る好適なコドン組が存在することを示し、そしてこの好適な組(6 1の可能なコーディングトリプレットの中の25)が、すべての酵母タンパク質につ いて同じであることを示している(BennetzenおよびHall(1981)J.Biol.Chem.257, 3026-3031)。豊富なタンパク質に要求される迅速な翻訳速度は、好適なコドンの 組が存在するための選択圧を提供すると考えられる。特別な遺伝子において偏向 したコドンの利用度は、遺伝子発現レベルと直接的に相関するので(Hoekmaら、( 1987)Mol.Cell.Biol.7,2914-2924)、酵母中でヘテロロガスな遺伝子発現を目的 とする実験法は、その微生物についてすでに記載されたコドン偏向を利用する(S harpら、(1986)Nucl Acids Res.14,5125-5143)。 哺乳類アデニリルシクラーゼをサッカロミセス セルビシエ(Saccharomyces c erevisiae )中で発現するために用いる配列の操作では、キメラコーディング配列 を構築した。ラット2型アデニリルシクラーゼの最初の27コドンは、発現ベクタ ー中に挿入されたオリゴヌクレオチドにより与えられ、一方コドン28から始まる コーディング配列の残りはラット脳から得たcDNAクローンに由来した。オリ ゴヌクレオチドを用いて、酵素のN-末端でのコドン使用法は、酵母中の配列の翻 訳を至適化するために変更した。7.3.ベクター ベクターは酵母細胞中で複製できなければならい。ベクターは宿主ゲノムに組 み込まれ、その後、染色体DNAの一部として複製されるDNAであることがで き、あるいはプラスミドの場合のように自律的に複製するDNAでよい。後者の 場合は、ベクターは宿主で機能する自律的複製の起源を含まなければならない。 通常使用される2つ種類の複製起源 がある:プラスミドを酵母細胞あたり40−50コピー複製できる酵母2ミクロンサ ークルに由来するもの;およびゲノムCEN ARS配列に由来するもの、これは低コ ピー数、典型的には酵母細胞あたり1または2個のプラスミドだけが維持される 。組み込みベクターの場合には、組み込みを容易にする配列、例えば宿主配列に 相同的な配列、またはインテグラーゼをコードする配列を含んでよい。 酵母細胞中で複製できる上に、ベクターが細菌細胞中でも複製できれば、そこ で多くの遺伝子操作をより都合よく行えるので好都合である。酵母および細菌の 両細胞中で複製できるシャトルベクターには、YEps、YIpsおよびpRS系がある。7.4.宿主細胞 酵母はサイクリックAMPを成長に必要とし、そして培養できる任意の種でよ い。適当な種は、クルイベレイ ラクチィス(Kluyverei lactis)、シゾサッカロ ミセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)およびウスティラゴ マイディス(Ustilago maydis);サッカロミセス セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)が 好ましい。本明細書で使用する“酵母”という用語は、分類学的意味で厳しく含 まれるものだけではなく(すなわち単細胞生物)、酵母−様多細胞真菌も含む。 宿主細胞は二倍体a/αまたは半数体細胞でよい。好ましくは第一に、酵母G タンパク質の哺乳類シクラーゼに対する効果の可能性を排除するために、二倍体 株を使用する。半数体細胞と比較して二倍体酵母細胞はGPA1を発現しないが、こ れはGαの相同体をコードし、STE4またはSTE18も発現しないが、これはそれぞ れ酵母GβおよびGγをコードする。 さらに、交配は好ましくは、内因性シクラーゼとして、酵母アデニリ ルシクラーゼcdc-35-1の突然変異体対立遺伝子を持つ、二倍体株を派生するよう に行われる。 この酵母細胞は好ましくは、cam1、cam2、cam3株のようなcAMP依存性株で ある。 実施例 酵母は、酵素アデニリルシクラーゼの触媒活性を成長のために必要とする。突 然変異体の対立遺伝子cdc35-1によりコードされるサッカロミセスセルビシエ(Sa ccharomyces cerevisiae)のアデニリルシクラーゼの突然変異体形が存在する。c dc35-1の突然変異は、温度感受性細胞分裂周期突然変異体と記載されている(Cas personら、(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82,5060-5063)。この突然変異は、 酵母アデニレートシクラーゼに変化を持つ温度感受性cyr1-1突然変異体に似た表 現型を生じる。cdc35-1を持つ半数体は、30℃より高い温度で非分裂細胞として G1で成長が止まる。cdc35-1について二倍体のホモ接合体は、リッチ培地中、 野生型酵母細胞の胞子形成を妨げる栄養条件で、胞子を形成する(Shiloら、(197 8)Exp.Cell.Res.112,241-248)。cdc35-1突然変異は、酵母CYR1をコードする配 列により相補できるか、あるいは細胞は外因性のcAMPを添加することにより 成長阻止から救われることができ、cam表現型を表す細胞も提供する。cdc35-1cyr1-1 と同じ座にマップされる(BouteletおよびHilger 1980)。制限的温度で成 長が阻止したcdc35-1細胞の抽出物は、室温でインキューベーションされた野生 型細胞とおよそ等量のインビトロ アデニリルシクラーゼ活性を表す。これらの データは、cdc35-1突然変異が触媒部位の外側のアデニリルシクラーゼ分子の部 分、おそらくシクラーゼとコーファクターまたは調節分子との間の相互作用 に関与する配列に影響を及ぼすことを示唆している。 この突然変異体対立遺伝子を持つ二倍体株(CY1106)(遺伝型:MATa/MATα cdc35 -1 /cdc35-1 cam/(cam?)ura3-52/ura3-52 leu2-3,112/leu2 trp1/trp1 his7/+)を 、ラットアデニリルシクラーゼ2型およびラットGαsをコードする配列を含む プラスミドで形質転換した。ラットアデニリルシクラーゼの発現は、構成的であ り、そしてGαsの発現は銅により誘導された。この株は34℃で銅の存在により 成長し、そして不在では成長しなかった。ラット アデニリルシクラーゼ−コー ディングプラスミドのみ、またはラットGαs−コーディングプラスミドのみの 同様な株が存在し、そして34℃未満の温度では発現できなかった。この実験は、 哺乳類のGαsの存在中でラットアデニリルシクラーゼ2型が、cdc35-1により コードされる突然変異体アデニリルシクラーゼを持つ酵母を、34℃未満の温度で 成長できるようにすることを実証した。 この実験を以下により詳細に記載する。 1.アデニリルシクラーゼ発現プラスミドの構築 ラットII型アデニリルシクラーゼを発現するプラスミドを得るために、以前構 築し、そしてYEp51に基づく酵母発現プラスミドを使用した(Broachら、(1983)、 “遺伝子発現の実験操作(Experimental Manipulation of Gene Expression)"(エ ム.イノウエ編集)、第83-117頁、アカデミック出版(Academic Press)、NY、1 983)。このベクター(Cadus 1284)の目立った特徴は次の通りである:第一に、酵 母2μ環状プラスミドの複製決定基を含む;これにより酵母中で高コピー数を複 製することが可能になる(典型的には細胞あたり10-40コピー)。またこのベクタ ーは、同遺伝子の機能的なゲノム性コピーを欠く酵母中で、プラスミドの存在 について選択できる酵母遺伝子を含む;詳細には、アミノ酸ロイシンの不在で、 ベクターを保持するleu2酵母は成長するが、ベクターを欠くこの細胞は成長しな いだろう。最終的に、親のYep51に存在するGAL10プロモーター配列の代わりに、 Cadus 1284は酵母ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)遺伝子のプロモーター配列 を含む。プラスミドから、発現すべき遺伝子の挿入を可能にするNcoIおよびBamH I制限酵素部位は、この構成的に活性なプロモーターの下流に存在する。 約100塩基対のオリゴヌクレオチドを、NcoI−およびBamHI−制限ベクター、C adus 1284に挿入した。このオリゴヌクレオチドは、酵母中での翻訳を優先する コドン使用法で、ラット シクラーゼの最初の27アミノ酸をコードする。このオ リゴヌクレオチドを、以下の一本鎖オリゴヌクレオチドを使用して構築した: オリゴ066をリン酸化オリゴ069とアニールした;オリゴ071をリン酸化 オリゴ070とアニールした。2つの2本鎖オリゴヌクレオチドを混合し、連結 し、EspIで消化し、そして生成した約92塩基対のオリゴヌクレオチドをゲル精製 し、そしてNcoI-およびBamHI-消化Cadus 1284に連結した。生成した修飾ベクタ ー、Cadus 1464はBamHI部位が重複し、そしてオリゴヌクレオチドにより与えら れた独特なXmaI部位を含む。 ラット脳に由来するアデニリルシクラーゼ2型をコードする遺伝子を、Randal l R.Reedから(ジョンズ ホプキンス 医学校)、XmaI部位を開始コ ドンの80塩基下流に、そしてシクラーゼ停止コドンの約220塩基対下流に含む6.4 キロベースのプラスミドクローンとして得た(Feinsteinら、(1991)Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA 88,10173-10177)。これらの制限酵素部位を、シクラーゼのほぼ全コ ーディング領域(コドン28から始まり、そして停止コドンまで続く)を含む3.4 キロベース断片を単離するために使用した。この断片を上記の修飾ベクターのXm aI部位に連結し、キメラシクラーゼ遺伝子を作成し、ここで最初の27コドンはベ クターに存在するオリゴヌクレオチドにより与えられ、そして残りのコドンは本 来のラットアデニリルシクラーゼ2型遺伝子配列により与えられた。シクラーゼ 発現プラスミド構築のためのこの手法の結果、以下を含む:1.キメラシクラー ゼ遺伝子によりコードされるN-末端の27アミノ酸は、天然のラット遺伝子により コードされるアミノ酸と同一であるが、これらのアミノ酸をコードするトリプレ ットは、酵母で効率的に翻訳されるものである;2.キメラシクラーゼ遺伝子は 、高い、構成的に活性なPGKプロモーターの制御下で発現する;3.シクラー ゼ遺伝子は酵母細胞中で高コピー数となるだろう。 2.Gαs発現プラスミドの構築 Gαsを発現するために使用するプラスミドは、銅−誘導性酵母プロモーター 、CUP1の制御下に、完全長のラットGαs cDNAを含む(プラスミドはKang ら、Mol.Cell.Biol.10:2582-2590,1990に記載されている)。Gαsの発現は、こ のプラスミドを保持する酵母を、100μMの硫酸銅を含有する固体培地にプレーテ ィングすることにより誘導した。 3.酵母株の誘導 酵母中で哺乳類のアデニリルシクラーゼの活性を試験するために使用 する株は、遺伝型 MATa cdc35-1 cam leu2 trp1 ura3 his7(Y1777)の半数体株か ら生成した二倍体株であった。突然変異体cdc35-1対立遺伝子を持つY1777を、プ リンストン大学のJ.R.Broach研究室から得た。Y1777をCY5(遺伝型 MATα ura3 l ys2 ade2 his3 leu2)と交配し、生成した二倍体を胞子形成させ、そして遺伝型 MATα cdc35-1cam?ura3 trp1 leu2の半数体子孫を、Y1777との交配のために 選択し、二倍体株CY1106(遺伝型 cdc35-1/cdc35-1 cam/(cam?ura3-52/ura3- 52 leu2-3 112/leu/2 trp1/trp1 his7/+)を生成した。CY1106は、これを生成し た半数体のように、室温で成長することができるが、cdc35-1突然変異体の対立 遺伝子によりコードされる、内因性の酵母アデニリルシクラーゼの温度感受性の ために、30℃以上の温度では成長できない。 二倍体株CY1106を、以下のプラスミド対で形質転換した:(1)PGKプロモー ター駆動-ラットアデニリルシクラーゼ発現プラスミド(Cadus1470)およびCUP1プ ロモーター−駆動ラットGαs発現プラスミド(Cadus 1284)およびCUP1プロモー ター−駆動ラットGαs発現プラスミド(Cadus 1046)で、CY1251株を生成した; (2)アデニリルシクラーゼ配列を欠くPGKプロモーター駆動発現プラスミド(Ca dus 1046)でCY1248を生成した;(3)PGKプロモーター駆動-アデニリルシクラー ゼ発現プラスミド(Cadus 1470)およびGαsを欠くCUP1−駆動発現プラスミド(C adus 1136)で、CY1249を生成した;(4)アデニリルシクラーゼ配列を欠くPGK プロモーター駆動発現プラスミド(Cadus 1284)およびGαs配列を欠くCUP1−駆 動発現プラスミド(Cadus 1136)で、CY1246を生成した。4つの種類の二重形質転 換体、CY1251、CY1248、CY1248、CY1249およびCY1246、(遺伝型 MATa/MATα cdc 35-1/cdc35-1 cam/(cam?ura3-52/ ura3-52 leu2-3112/leu2 trp1/trp1 his7/+)、それぞれPGKプロモーターを含 む高−コピーLEU2-マークプラスミド、およびCUP1プロモーターを含む高−コピ ーTRP1-マークプラスミドを、ロイシンおよびトリプトファンを欠き、±100μMC uSO4の合成固体培地にプレーティングした。プレートをRT、30℃、34℃および 37℃で3日間インキューベーションした。 RTおよび30℃で、4つの株は銅の存在および不在下の両方で、ほぼ同じ濃度 速度で成長し、cdc35-1対立遺伝子によりコードされる内因性の酵母アデニリル シクラーゼの活性を反映していた。 銅の不在中、34℃で、すべての4つの株は成長できなかった。しかし、34℃で 、硫酸銅の存在中、CY1251(哺乳類のアデニリルシクラーゼおよび銅−誘導性の 哺乳類Gαsの構成的発現を含む)は、急速に増殖したが、他の株は成長できな かった。したがって、34℃で哺乳類のアデニリルシクラーゼは、不活性な突然変 異体酵母アデニリルシクラーゼを相補できた、ただし哺乳類Gαsも発現した。 37℃ですべての4つの株は、銅の存在下で成長を示さず、これはこの温度での 酵母の悪い生存能力のためらしい。 4.半数体酵母細胞での哺乳類アデニリルシクラーゼの発現 酵母中での哺乳類のアデニリルシクラーゼの機能的発現の最初の結果は、二倍 体細胞(遺伝型 MATa/MATα cdc35-1/cdc35-1 cam/(cam?ura3-52/ura3-52 l eu2-3112/leu2 trp1/trp1 his7/+)を使用して得られた。同様な結果が半数体 酵母で得られるかどうかを決定するために、遺伝型がMATa cdc35-1 cam ura3-52leu2-3,112 trp1 his7 およびMAtα cdc35-1 cam ura3-52leu2-3,112 trp1 his7の半数体細胞を、二 倍体細胞を形質転換するために使用した同一のプラスミドで形質転換した:1つ は銅−誘導性ラットGαs遺伝子を含み、そして第二は構成的に発現したラット アデニリルシクラーゼ2型を含む。Gαsが発現されるならば、ラットアデニリ ルシクラーゼは、34℃で各半数体株の成長を救うことができる。しかし得られた 結果には、わずかな差異が二倍体細胞と半数体細胞に観察された。アデニリルシ クラーゼを発現している二倍体細胞では、34℃でのGαs−刺激成長はわずかに 高く、そして34℃、Gαs不在での成長はわずかに低かった(すなわち、細胞の 低いバックグラウンド成長があった)。 5.低コピープラスミドから哺乳類のアデニリルシクラーゼの発現 最初の結果は、典型的に細胞あたり10-40コピーで存在する高コピープラスミ ドから、ラットアデニリルシクラーゼ2型の発現で得た。もしラットアデニリル シクラーゼをコードする遺伝子が、酵母細胞あたり1または2コピーだけで存在 するならば、同じ表現型が観察されるのかどうかを決定するために、ラットシク ラーゼを発現する低コピープラスミドを使用した。cdc35-1対立遺伝子を持つ酵 母を、アデニリルシクラーゼ2型をコードする低コピープラスミドで形質転換し た。詳細には、ラットアデニリルシクラーゼ2型を構成的PGKプロモーターの制 御下にコードする配列を、LEU-2−含有高コピー−プラスミドから、同等な低− コピープラスミドに移した。ラットGαs遺伝子を銅−誘導性CUP1プロモーター の制御下に含む、半数体およびホモ接合体二倍体cdc35-1酵母の両方中に、低− コピープラスミドおよび適当な陰性対照を形質転換した。Gαsおよびラットア デニリルシクラーゼの両方がこれらの細胞中で発現される時、細胞は34℃で成長 する能力を獲得する。これらの結果は、 細胞の成長に十分なシクラーゼ活性は、アデニリルシクラーゼ遺伝子が細胞あた り1または2コピーで複製するプラスミドの上に存在する時に得られることを示 している。この結果は、半数体および二倍体酵母の両方で得られた。 6.組み込み配列からラットアデニリルシクラーゼの発現 低−コピープラスミドを使用して得られた結果は、ラットアデニリルシクラー ゼは、シクラーゼ遺伝子が酵母ゲノム中に組み込まれたcdc35-1酵母中での34℃ での成長を救うことを示唆している。染色体外プラスミドからよりも、遺伝子の 組み込みコピーから発現されたシクラーゼを有するほうが好ましい:遺伝子は組 み込まれた時により安定であり、そして組み込みは続く実験で導入することを望 む別のプラスミドを使用するために、選択できるLEU2マーカーを自由にする。UR A3 でマークされ、そしてLYS2遺伝子中にラットアデニリルシクラーゼ遺伝子を挿 入された組み込みプラスミドを使用して、ラット2型シクラーゼをコードする遺 伝子を、CY732(遺伝型 MATa cdc35-1 cam lys2 leu2 trp1 ura3)のlys2座中に向 ける。CY732はこのプラスミドで形質転換され、そしてURA+形質転換体を選択し 、そして5-フルオロオロティックアシッド(FOA)の存在下で成長させてURA3の損 失を選択する。FOAで成長するコロニーを取り出し、Gαsをコードするプラス ミドで形質転換し、そして34℃で生育する能力について試験する。34℃でのGα s−依存的成長を表すこれらの酵母は、LYS2座に組み込まれたラットアデニリル シクラーゼ遺伝子を持つはずである。それらの遺伝型をMATa cdc35-1 cam Lys2: Ac2 leu2 trp1 ura3と命名する。 7.2型アデニリルシクラーゼのアクチベーターおよびインヒビターの 予備選択 cdc35-1を持ち、そして2型ラットアデニリルシクラーゼを発現する酵母は、 後者のタンパク質のアクチベーターが34℃で酵母の成長を促進するので、哺乳類 シクラーゼを刺激する薬剤を予備選択するために使用できる。(したがってラッ トGαsはアデニリルシクラーゼのアクチベーターの1例である。)詳細には、cdc35-1 およびラット2型アデニリルシクラーゼの組み込みコピーを持つ半数体 酵母(遺伝型 MATa cdc35-1 cam lys2::ACII leu2 trp1 ura3)を、哺乳類のアデ ニリルシクラーゼの候補アクチベーターを同定するために、天然または合成化合 物のライブラリーを予備選択するために使用できる。候補アクチベーターは、34 ℃で試験株の成長を刺激することができるが、ラットアデニリルシクラーゼ遺伝 子を欠く親株(遺伝型 MATa cdc35-1 cam lys2 leu2 trp1 ura3)の成長を刺激す ることはできない。この方法をひろげて、試験株を、ランダム配列のペプチドを コードするURA3-含有プラスミドのライブラリーで形質転換する。形質転換体を ウラシル−欠失培地にプレーティングし、そして34℃でインキューベーションす る。哺乳類のアデニリルシクラーゼを活性化するペプチドを発現する細胞は、そ の酵素の“オートクリン”刺激のためにコロニーを形成する。これらのペプチド は、ペプチド−コーディングプラスミドを単離し、そしてランダムペプチドをコ ードする領域をシークエンシングすることにより同定できる。哺乳類アデニリル シクラーゼの候補アクチベーターは、シクラーゼの直接的な刺激を確認するため に、精製した酵素を用いてインビトロの生化学的予備選択でさらに試験する。 2型ラットアデニリルシクラーゼの組み込みコピー、およびGαsを コードするプラスミドを持つ半数体cdc35-1酵母を、哺乳類シクラーゼのインヒ ビターを最初に予備選択するために使用できる。34℃でGαs-依存的成長を減 少させる薬剤は、シクラーゼの候補インヒビターと考えられ、そして精製した酵 素を用いて第二の生化学的予備選択で試験する。この第二予備選択は、2型アデ ニリルシクラーゼを直接的に阻害する薬剤と、間接的に作用する薬剤(例えばG αsが哺乳類シクラーゼを刺激する能力を妨害する)とを識別する。Gαsとア デニリルシクラーゼの相互作用を遮断することにより作用する化合物は、それ自 体興味深く、そして独立して特性決定する。 8.酵母中での哺乳類Gαiの発現 Gαsがすべての既知のアデニリルシクラーゼの形態を刺激できる一方、1型 、5型および6型アデニリルシクラーゼはGαi-1により直接阻害されることが 示された[Taussigら、(1994)]。cdc35-1、5型アデニリルシクラーゼの組み込 みコピーおよびGαsをコードするプラスミドを持つ半数体酵母を、例えばGα i−1をコードする高コピープラスミドで形質転換する。Gα1遺伝子を発現す る酵母は、Gαi−1サブユニットの阻害効果のために、Gαi−1を欠く親株 よりも34℃での成長が遅いと予想される。これが証明されれば、哺乳類アデニリ ルシクラーゼ、GαsおよびGαi-1を発現するこの株を、Gαi-1によるシク ラーゼ阻害を妨害する化合物を予備選択するための試験株として使用する。 34℃での試験株の成長を刺激する化合物は、Gαi−1およびアデニリルシク ラーゼの相互作用を遮断することにより、この効果を発揮できる。しかし、同じ 成長−刺激効果が、アデニリルシクラーゼを直接活性 化する化合物によっても現され、Gαsのアデニリルシクラーゼに対する刺激効 果を増大し、活性がcAMP生産等に依存する下流の成分を活性化する。アデニ リルシクラーゼに対するGαi−1の阻害効果に直接影響する成長−刺激化合物 と、どこでも作用する化合物とを識別するために、すべての候補化合物を一群の 同質遺伝子対照株で試験する。1つの対照株は、Gαi−1を欠き(しかしアデ ニリルシクラーゼ5型およびGαsを含む);この株の成長を促進する、または 成長をより広い温度範囲で可能にする化合物は、Gαi−1以外の標的に作用す ると考える。他の対照株は、アデニリルシクラーゼ5型が無い、またはGαsが 無い、またはアデニリルシクラーゼおよびGαsの両方が無いものである。これ ら任意の対照株の成長を刺激する化合物は、Gαi−1とアデニリルシクラーゼ 間の相互作用のインヒビターとして除外する。これらの対照試験で、アデニリル シクラーゼを直接刺激する、またはアデニリルシクラーゼに対するGαsの刺激 効果を促進する化合物の同定を導くことができる。 9.酵母中での活性化哺乳類Gαsの発現 Gαsサブユニットは、Gαs−GTPおよびGαs−GDPと呼ばれる2つ のいずれかの形態で存在する。本発明の実験条件下で、酵母中で優勢な哺乳類G αsの形態はGαs−GDPであると予想される。Gαsがラット2型アデニリ ルシクラーゼを酵母中で刺激する能力は、比較的少量のGTP-結合形態のプー ルが原因である。多くのプール活性化種がアデニリルシクラーゼ活性を刺激でき ることが望ましい実験状況であるかもしれないので、構成的に活性なGαsの突 然変異形態を活用する。遺伝型がそれぞれ MATa cdc35-1 cam lys2 leu2 trp1 u ra3 およ び MATa/MATα cdc35-1/cdc35-1 cam/(cam?) ura3-52/ura3-52 leu2-3,112/leu2 trp1/trp1 his7/+ である半数体および二倍体酵母を、以下の2つのプラスミド で形質転換する:PGKプロモーターにより駆動されるラットアデニリルシクラー ゼ2型をコードする、低−コピーのLEU-2含有プラスミド、および優勢な突然変 異体Gαsの直接発現を支配する(もし排他的でないならば、Gαs-GTP形態で)、 CUP1プロモーターを使用するTRP1-含有高コピープラスミド。従来の野生型Gα s対立遺伝子のオリゴヌクレオチド−特異的突然変異誘発法で生成された、この Gαsの活性化形態(GαsQ227L)は、Gαsの構成的活性化および下垂体腺 腫においてアデニリルシクラーゼの持続的刺激の結果生じるGTPase−阻害突然変 異と同定された(Landisら、(1989)Nature 340,692-696)。この突然変異はGTPas e活性を95%減少させ、したがって突然変異体GαsはGTP-結合体で優勢的に存 在する。ラットアデニリルシクラーゼおよび突然変異体Gαsを同時発現する株 では、34℃でのより急速な成長により現わされる、より大きなアデニリルシクラ ーゼ活性、より広い成長温度範囲、または銅の誘導効果に対するより大きな感受 性が観察されることを期待する。 10.酵母中での哺乳類Gβγサブユニットの発現 哺乳類のGαサブユニットの発現に加えて、酵母を哺乳類の特別なGβγの組 み合わせを発現するように操作する。酵母中で、哺乳類のGαsまたはGαi、 Gβ、およびGγサブユニットの同時発現は、酵母中に哺乳類のヘテロ三量体G タンパク質の再構成を生じるだろう。哺乳類細胞において、これらのヘテロ三量 体Gタンパク質は、アデニリルシクラーゼに対するセブン−トランスメンブラン レセプターのサブセットと カップルし、この酵素を刺激または阻害する。したがって、適当なGタンパク質 −結合レセプターおよびアデニリルシクラーゼの酵母中での発現は、ヘテロ三量 体Gタンパク質の成分と一緒に、その生物中で完全な哺乳類のシグナル伝達経路 を2重にする。適当な株の中にこの経路の再構成をした時、セブン−トランスメ ンブランレセプターを活性化、または阻害する薬剤は、34℃でcAMP−依存性 成長に影響するだろう。さらに酵母中で発現するアデニリルシクラーゼの特定の イソ型、GβおよびGγの適当な選択を通して、様々なGβγ二量体の機能に影 響する薬剤は34℃でのcAMP−依存性に影響するだろう。 酵母中で発現するGβおよびGγサブタイプの賢明な選択は、哺乳類アデニリ ルシクラーゼを発現する株の利用性に影響する。Gβ1およびGγ1はGαsに結 合する機能的複合体を形成できるが、β1γ1二量体はGαsの存在中ではアデニ リルシクラーゼ2型を活性化する能力を現さない(J Biol Chem 267:23407、1992 )。したがって、哺乳類のGαsおよび2型アデニリルシクラーゼの両方を同時 発現する酵母中でのβ1およびγ1の発現は、Gαsとの複合体を形成することに より、Gαsによるシクラーゼの刺激を妨害することにより、シクラーゼによる cAMPの生成を下げる。次にこれは、Gαsおよびシクラーゼだけを発現する 時に起こる成長と比べて、酵母のより遅い成長に反映されるべきである。したが って、3つの哺乳類Gタンパク質サブユニットおよび2型アデニリルシクラーゼ を同時発現する酵母のゆっくりとした成長は、哺乳類Gタンパク質が酵母中でヘ テロ三量体を形成することを示す。この結果、機能的な哺乳類のヘテロ三量体G タンパク質が研究できる酵母株を提供する。 Gβ1およびGγ1を、カリフォルニア工科大学のMel Simon博士から得た鋳型 プラスミドを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する。これらのプラス ミドはGβ1(Fongら、(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83,2162-2166)およびG γ1(Hurleyら、(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81,6948-6952)をコードするウ シ遺伝子を含む。各々の2つの増幅した生成物を、URA3およびLEU2でマークした 高コピー数プラスミド中にクローン化する。これらのプラスミド発現は、銅−誘 導性CUP1プロモーターにより制御される。LYS2座に組み込まれたラット2型アデ ニリルシクラーゼ遺伝子を持ち、そして哺乳類のGαsを、TRP1-マーク高-コピ ープラスミドに由来するGPA1プロモーター(これは半数体細胞中で構成的に活性 である)の制御下に発現する半数体cdc35-1酵母は、URA3およびLEU2でそれぞれ マークしたGβおよびGγを含む高-コピープラスミドで形質転換する。したが って酵母は3つのプラスミドを持ち、それぞれが独特な選択性マーカーおよび哺 乳類Gタンパク質サブユニットを発現する。これらの酵母は、Gαsによるラッ ト2型アデニリルシクラーゼの刺激のため、銅の誘導が無くても34℃で成長する はずである。成長培地に銅を加えると、GβおよびGγの発現が高まり、そして これによりGβγ二量体がGαsと複合化した時に成長を阻害し、そしアルファ サブユニットによるシクラーゼの刺激を妨げる。 哺乳類のGα、GβおよびGγがヘテロ三量体を酵母中で形成できるという証 明に基づき、成長が、βγ二量体とGαsとの会合の程度に極端に感受性の酵母 を構築する。インビトロで、Gβ1およびGγ2がGαsに結合する機能的複合 体を形成することはすでに示された。しかし、β1γ1複合体とは対照的に、β 1γ2はGαsと相乗的に作用し、2 型アデニリルシクラーゼを活性化する(Iniguez-Lluhiら(1992)J.Biol.Chem.26 7,23407-23417)。すなわち、遊離のGαsが2型シクラーゼを刺激する能力は、 遊離のβ1γ2二量体により増強される。2型アテニリルシクラーゼも発現する 酵母中で、哺乳類のGαs、Gβ1およびGγ2の等しい発現レベルは、ヘテロ 三量体Gタンパク質の形成によりシクラーゼ活性を生じないはずである。しかし これらの酵母は、GαsおよびGβγを解離させる介入に反応して、アデニリル シクラーゼ活性を大いに増大させて発現し、したがって34℃で成長するよに平衡 化されている。例えば、これらの酵母はGαsおよびβγの会合を妨害する化合 物に極端に感受性であろう。 遺伝型 MATa cdc35-1 cam lys2::ACII leu2 trp1 ura3の酵母を、以下の3つ の高−コピー数プラスミドで形質転換する: 1.CUP1プロモーターの制御下に哺乳類Gαsを持つTRP1-マークプラスミド; 2.GPA1プロモーターの制御下に哺乳類Gβ1を持つLEU2-マークプラスミド; 3.GPA1プロモーターの制御下に哺乳類Gγ2を持つURA3-マークプラスミド; CuSO4を用いたGαs発現の誘導は、GβγによるGαsの結合のために、34℃ では細胞を成長させることができないはずである。しかしもし、34℃での成長が 銅により刺激されるなら、Gβγに比べて過剰なGαsサブユニットがあると予 想される。したがって、成長が観察されなくなるまで培地中の銅の濃度を低くす ることにより、Gαsの発現を下げる。(Gβ1およびGγ2を欠く対照株のCuS O4を用いたパラレルなタイト レーションは、このCuSO4濃度が、Gβ1およびGγ2の不在中、34℃での成長 を誘導するに十分なGαsの発現を誘導できることを確認するために行う。)こ の銅濃度で、3つの哺乳類Gタンパク質サブユニットがおよそ等モルの細胞内濃 度になるはずである。一方、この株はこの臨界的銅濃度の存在下では34℃で成長 できず、成長はβγからαを解離する薬剤に極めて感受性である。したがって、 臨界的銅濃度でこれらレセプターの活性化がこの株の34℃での成長を導くように 、この株をさらに操作して哺乳類のセブントランスメンブランレセプターを発現 させる。低コピーおよび組み込みACIIはcdc35-1株の成長を助ける 。 上述の理由から、ラットAC2(アデニリルシクラーゼ2)を酵母ゲノムに組み込 んだ。AC2の組み込みを支配するプラスミドは、PGK-プロモーター-駆動AC2を、 ベクター(Cadus 1294;遺伝型 CmR 'lys2 lys2')(これはCY1789株(遺伝型 MATa t bt1-1 cdc35-1 ura3 his3 trp1 leu2(cam?)のLYS2座にPGKp-AC2の組み込みを支 配した)にクローニングすることにより構築した。詳細には、PGKp-AC2をCadusプ ラスミド1512から4.4kbのEcoRI−BglII断片として切り出し、このBglII部位を平 滑末端とし、そして断片をCadusプラスミド 1294のポリリンカー中のEcoRIおよ びSmaI部位にクローン化した。生成した構築物(Cadusプラスミド 1633)を、独特 なBglII部位で直線化し、そしてCY1789株をこの直線化DNAで形質転換した。 このAC2の標的化組み込みは野生型LYS2を破壊し、組み込み体は、α-アミノアジ ピン酸塩(2g/l)(完全に機能的なLYS2を欠く酵母に成長の要因を付与する化合物) を含有するプレートで選択した(Chatooら、Genetics 93:51,1979)。そのような 組み込み体の1つであるCY1936(遺伝型 MATa lys2::PGKp-ACII tbt1-1 cdc35-1 ura3 his3 trp1 le u2(cam?) を、発現が銅−誘導性CUP1プロモーターの制御下にあるラットGαsを コードするプラスミドで形質転換した。生成した株は、100μMCuSO4の存在中、3 4℃で成長を現し、組み込んだAC2が温度感受性cdc35-1対立遺伝子を相補する能 力を反映し、ただしGαsも発現される。同質な二倍体株をCY1936から作成し、 そしてGαsが同時発現される限り、この制限的温度で成長できるその能力によ り示されるように、この株も機能的なラットAC2を発現することを示した。ACIVは、cdc35-1株に温度耐性をGαs-依存的様式で、エピソーム的および 組み込みの両方で付与する 4型ラットアデニリルシクラーゼをコードするcDNAは、テキサス大学のサ ウスウエスタンメディカルセンターのAl.Gilman博士から提供された。出願人は 酵母中でAC4を発現するプラスミドを、AC4の読み取り枠の14N-末端アミノ酸の除 くすべてを含む3.2kbのSpeI−BglII断片を、LEU-マークした2μベクター(Cadus プラスミド 1849、これはPGKプロモーター、続いてAC4のN-末端14アミノ酸をコ ードする合成オリゴヌクレオチドを含む)中にサブクローン化することにより構 築した。SpeI−BglII断片の挿入により、Cadusプラスミド1856を生成し、その中 のPGKプロモーターは、酵母中での発現が至適化された14N-末端コドンを中に含 むAC4変異体の全読み取り枠の転写を支配する。温度感受性酵母アデニリルシク ラーゼをコードするcdc35-1対立遺伝子についてホモ接合性であり、そしてCUP1 プロモーター−駆動野生型ラットGαsをコードするプラスミドを含む二倍体酵 母を、Cadus プラスミド1856で形質転換した。形質転換体を、銅の存在下で制限 的温度(34℃)で成長能力を試験した。CY2128およびCY2129株(これらの形質転 換体の代表)は銅-依存的温度-耐 性成長を示し、AC4がこれら酵母中で哺乳類のGαsの存在中で機能することを 示す。AC2で観察されるように、LYS2座へのPGKプロモーター−駆動AC4の組み込 みは、Gαsが同時発現される時、34℃で成長する能力を保持する株を生じた。GαsQ227Lは、より大きなバックグラウンド成長、より急速な成長、そし てより大きな温度耐性を反映して、野生型Gαsよりも大きな成長を表す。Gα sG226Aを用いた実験でGαs.GTPが活性化種であることを確認する 。 半数体−特異的GPA1プロモーター、銅-誘導性CUP1プロモーター、および構成 的PGKプロモーターから野生型ラットGαs形を発現する、高コピーおよび低コ ピーの両プラスミドを構築した。各々の場合で、AC2またはAC4と一緒のGαsの 発現は、cdc35-1酵母の温度−耐性成長を生じた。上記のように、Gαsは、そ れに結合したグアニンヌクレオチド:Gαs・GTPおよびGαs・GDPにより 識別される2つの形態で存在できる。2種のどちらがアデニリルシクラーゼを刺 激するのかを、野生型Gαsを発現する株の温度-耐性成長と、Gαsの2つの 突然変異体形、GαsQ277LおよびGαsG226Aのいずれかを発現する同質遺伝子 株とを比較することにより決定した。GαsQ277L突然変異体は野生型GTPase活 性の5%を有するだけなので、Gαs・GTP形で優勢に存在する。対照的に、 GαsG226Aはかなり妥協したGTPのGDPへの変化が表されるので、主にG αs・GDP形で存在する。もしGαs・GTP形が活性種であれば、哺乳類のア デニリルシクラーゼを発現する株は、同時発現したGαsQ277Lで最大の温度耐 性成長を表し、そして同時発現したGαsG226Aで最小の温度耐性成長を表すだ ろう。 Cadusプラスミド1536は、野生型Gαsの代わりに構成的に活性なGαs(G αsQ277L)を含むことを除いて、Cadusプラスミド1046の類似体である(上記を 参照にされたい)。Cadusプラスミド 1843も、野生型Gαsの代わりにGαsG2 26A を含むことを除いて、Cadusプラスミド1046の類似体である。LEU2-マーク高 コピープラスミド(Cadusプラスミド1512)上にPGKプロモーター−駆動AC2を持つ 二倍体温度−感受性酵母株を、これらのプラスミドで形質転換してCY1429および CY1430株(遺伝型cdc35-1/cdc35-1 cam/(cam?) Ura3-52/Ura3-52 leu2-3,112/leu 2 trp1/trp1 his7/+[TRP1 CUP1P-ratGαs REP3 2mu-ori AmpR/LEU2 2mu-ori REP 3 AmpR PGKp-ratACII]);CY1773およびCY1774株(遺伝型 cdc35-1/cdc35-1 cam/( cam?) ura3-52/ura3-52 leu2-3,112/leu2 trp1/trp1 his7/+[TRP1 CUP1P-ratGα sQ227L REP3 2mu-ori AmpR/LEU2 2mu-ori REP3 AmpR PGKp-ratACII]);ならびに CY2052およびCY2053株(遺伝型 cdc35-1/cdc35-1 cam/(cam?) ura3-52/ura3-52 l eu2-3,112/leu2 trp1/trp1 his7/+[TRP1 CUP1P-ratGαsG226A REP3 2mu-ori Amp R/LEU2 2mu-ori REP3 AmpR PGKp-ratACII])。これらの各々の株を、100μMのCuS O4を含む、または含まない合成培地にプレーティングし、そして34℃でインキュ ーベーションした。野生型Gαsを発現する株は、銅の存在下で成長し、存在し ないと成長しないが、GαsG226Aを発現する株は銅の存在または不在で34℃に て成長を表さなかった。 GαsQ227Lを発現する株は銅の存在または不在で成長し、GαsQ227Lの特異的 活性がCUP1プロモーターの基本的活性から生じるレベルであっても、34℃で成長 できるほど十分に高いことを示している。野生型Gαsに比べて高いGαsQ227 L 活性は、CY1429およびCY1430株に比べて、 温度耐性株CY1773およびCY1774の広範な温度耐性によっても反映されている:G αsQ227Lを含むAC2-発現株は、もし発現が銅の添加で誘導されるならば、37℃ もの高い温度でも成長するだろうが、野生型Gαsを含む株はどのような条件で もそのような温度耐性を表すことができない。 これらの実験は、Gαs・GTPが酵母中でAC2を活性化する種であることを 示している。同様な結果はAC2の代わりにAC4を用いて得られる。この結果は、G αs・GTPがGαsの刺激形であることを示唆するインビトロ研究と一致する 。したがってこの結果は、酵母中で発現される哺乳類のアデニリルシクラーゼお よび哺乳類Gタンパク質が、正常な生理的挙動であることを示している。ヒトおよびラットGαsタンパク質は、ラットACIIの活性化において等しく効 果的である。しかし、ヒトGαs mRNAのコーディング配列の3’の1/3 の低い翻訳能のために、これらのタンパク質をコードする遺伝子は異なるレベル で発現される。 ヒトおよびラットGαsサブユニットタンパク質は、1つのアミノ酸が異なる :ラットタンパク質は6位にアスパラギンを含むが、ヒトタンパク質ではこの残 基はトレオニンである。ヒトおよびラットGαsが、アデニリルシクラーゼ2型 (AC2)に対して異なる活性を有するのかどうかを決定するために、ラットおよ びヒトコーディング配列を、LEU-2マーク、高コピープラスミド(Cadusプラスミ ド 1512)上のプロモーターからAC2を発現する半数体cdc35-1酵母中で、CUP1プロ モーターを含む高コピープラスミドから発現させた。生成した株は制限温度で異 なる成長速度を示した:ラットGαsを発現する株(CY1635およびCY1636)は、ヒ トタンパク質を発現する株(CY1703およびCY1704)よりも早く成長し た。同様な結果はホモ接合性二倍体cdc35-1酵母で、2つのGαsの発現を駆動 するプロモーター(すなわち、PGKおよびGPAプロモーター)を用い、ならびに高お よび低−コピープラスミドの両方から発現されたGαsを用いて観察された。こ れらの結果はラットとヒトタンパク質との間の1つのアミノ酸の差異がこの差異 の原因であることを示唆したが、さらなる実験では、実際、このような状況でな かった:キメラ遺伝子(これはヒトGαsコーディング配列の5’の約30%(開 始コドンからEcoRI部位まで)が、ラットGαsをコードする類似領域と置き換 えられている)からヒトGαsを発現する酵母は、ラット遺伝子を発現する酵母 と等しい速度で成長した。ヒトGαsの低活性は、ヒトGαsコーディング領域 の3’の1/3にマップされ(BglII部位から停止コドンまで)、これはこの領域 のラット遺伝子によりコードされるアミノ酸と同一のアミノ酸をコードする。発 現されたラットおよびヒトのGαsの活性(すなわちその比活性)はアデニリルシ クラーゼの刺激に関して区別できないので、ヒトコーディング配列の5’末端は ラット遺伝子の均等な領域よりも効率が低く発現されると結論する。マウスアデニリルシクラーゼ6型およびラットアデニリルシクラーゼ3型用の酵 母発現ベクターの構築 マウスアデニリルシクラーゼ6型を、Gary Johnsonから、Cadusプラスミド 17 57と命名されたプラスミド中に5kb cDNAとして得た。これを3段階で、PGKプロ モーターを含むLEU2-マーク高コピー酵母発現ベクター中にサブクローン化した( Cadusプラスミド 1284)。第一段階は:1)オリゴ110(5'CAGACATGTCTTGGTTTCGTG GCCTCCTG 3')およびオリゴ111(5'GCGGATCCAAGGTCATGACCAGTTCCTGTGCAGTGC 3')を 使用して、Cadus 1757か ら、AC6の読み取りのN-末端1.2kbを含む断片を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR )により増幅し、2)PCR生成物をAf1IIIおよびBamHIで切断し、そして3) 増幅した生成物をNcoI-およびBamHI-消化Cadusプラスミド 1284(LEU2 PGKp 2mu -ori REP3 AmpR)にクローニングする、ことから成った。これでCadusプラスミド 1918を生成した。1.2kbのPCR-増幅生成物は、AC6に由来する3’末端の付近にS phI部位を含むことに注意されたい。この内因性のSphI部位は、第2段階で使用 し、それは:1)AC6読み取り枠の3’の574ヌクレオチドを、Cadus 1757から、 2.1kbのSphI-BamHI断片の部分として切り出し、そして2)この断片をSphIおよ びBamHI消化Cadus 1918中にクローニングすることから成った。この生成物は Cadusプラスミド 1919であった。最終段階は:1)AC6読み取り枠の中ほどの2kb をSphI断片として切り出し、2)SphI−消化Cadus 1919中にクローニングし、そ して3)再構築されたAC6読み取り枠を含むプラスミドを含むクローンについて 組換え体をスクリーニングすることを含んだ。生成したプラスミドをCadusプラ スミド 1950と命名した。 ラットアデニリルシクラーゼ3型(ラットAC3)を、Gary Johnsonから、Cadusプ ラスミド 1756と命名されたプラスミド中に4.5kb cDNAとして得た。AC3を酵母中 に発現するための発現プラスミドを以下のように構築した。 オリゴ112(5'CATGACTGAAGATCAAGGTTTCTCG 3')およびオリゴ113(5'GATCCGAGAAACC TTGATCTTCAGT 3')をアニールし、そしてAC3のN-末端の9アミノ酸をコードする二 本鎖オリゴヌクレオチドを、NcoI-およびBamHI-消化Cadusプラスミド 1284(LEU 2 PGKp 2mu-ori REP3 AmpR)にクローン化し、Cadusプラスミド 1894を生成した 。AC3読み取り枠の残りを、次にCadus 1756からの3.5kbのBamHI-HindIII断片を、BamHI-およびHindIII-消化Cadus 18 94中にクローニングすることにより挿入した。生成したプラスミドCadus 1916は 、AC3-コーディング遺伝子を含み、そのN-末端の8アミノ酸は酵母中での発現に 至適化され、そしてその転写はPGKプロモーターにより支配されている。Gαsおよび様々なシクラーゼイソ型を発現するcam 1、2、3株において:ACI は室温(RT)で最適温度、30℃で幾らかの成長を表し;ACIVおよびACVIは広い温度 範囲で成長を表し;ACIVの最適温度はRTであり、ACVIは30℃である。ACIIIはい かなる温度でも成長を表さない。 cdc35-1温度−感受性対立遺伝子を含む酵母株は、30℃以下の温度で成長でき 、これらの温度での突然変異体酵母アデニリルシクラーゼの活性を反映している 。これらの株を、哺乳類のアデニリルシクラーゼがcdc35-1突然変異を相補する 能力について評価するために使用した時、相補試験は30℃より高い温度でのみ行 うことができる。実際、そのような試験に利用できる温度は、約30℃-37℃であ る。もしある理由のために、哺乳類の酵素がこの比較的狭い温度範囲で機能しな ければ、この酵母のバックグラウンドにおいて、成功裏の相補は観察されないだ ろう。したがって30℃より低い温度で、機能的なシクラーゼ活性の測定を可能に するバックグラウンドの株を有することは有利である。 ウィスコンシン大学でWarren Hiedemanにより構築された株(TC41)に由来する 酵母株を、テキサス大学サザンウエスタンメディカルセンターのAl.Gilman博士 から得た。TC41株はCYR1の欠失の結果、酵母シクラーゼをコードせず、そしてcA MPを含む培地中で成長できるようにする3つの特性が決定されていない突然変異 (cam1cam2およびcam3)を持つ。 Gilman博士のグループは、ラットのGαsQ277LをTRP1座のCUP1プロモーターの 制御下に組み込むことにより、この株を修飾した。生成した株(CY2828;遺伝型 MATa cyr1::ura3 trp1-1:CUP1p-GαsQ227L cam1 cam2 cam3 leu2-3 leu2-112 hi s3-532 his4)は、成長するためにcAMP添加が必要である。 様々な哺乳類のアデニリルシクラーゼが、CY2828の成長をcAMPの添加無しで可 能にできる能力を調査するために、CY2828を次のプラスミドで形質転換した:1 )Cadusプラスミド 1856(上記)、これはAC4をコードし、姉妹株CY2906およびCY2 907を生成した(遺伝型 MATa cyr1::ura3 trp1-1:CUP1p-G@sQ227L cam1 cam2 cam 3 leu2-3 leu2-112 his3-532 his4LEU2 2mu-ori REP3 AmpR PGKp-ACIV];2 )Cadusプラスミド 1916(上記)これはAC3をコードし、姉妹株CY2908およびCY2 909を生成した(遺伝型 MATa cyr1::ura3 trp1-1:CUP1p-G@sQ227L cam1 cam2 cam 3 leu2-3 leu2-112 his3-532 his4LEU2 2mu-ori REP3 AmpR PGKp-ACIII];3 )Cadusプラスミド 1950(上記)これはAC6をコードし、姉妹株CY2910およびCY2 911を生成した(遺伝型 MATa cyr1::ura3 trp1-1:CUP1p-G@sQ227Lcam1 cam2 cam3 leu2-3 leu2-112 his3-532 his4LEU2 2mu-ori REP3AmpR PGKp-ACVI];およ び4)Cadusプラスミド 2129(Giman博士の研究室で構築した)これはAC1をコー ドし、姉妹株CY2906およびCY2907を生成した(遺伝型 MAta cyr1::ura3 trp1-1:C UP1p-G@sQ227L cam1 cam2 cam3 leu2-3 leu2-112 his3-532 his4AmpR LEU2 CE N ARS CUP1p-ste6-ACI]。各株の成長は外因性のcAMPの不在で、室温、30℃、34 ℃および37℃で測定した。AC4およびAC6の両方は、30℃および34℃でcyr1欠失の 効果的相補を示した;AC1は室温で欠失を最も相補した;そしてAC3は試 験したどのような温度でも欠失を相補できなかった。βγが機能的ヘテロ三量体を形成でき、Gαによるシクラーゼの刺激の減少の証 同じプラスミド上に様々なGβおよびGγの対を含む、URA3-マークCEN ARS プラスミドを構築した。例えば、Gβ1およびGγ2の両方を発現するプラスミ ドを以下のように構築した。ウシGγ2の読み取り枠を、Cadusプラスミド 1319 (Melvin Simon博士から提供され、そしてGγ2 cDNAを含む)から、プライ マーA14652(5'GGGCGTCTCCCATGGCCAGCAACAACACCGC 3')およびA14653(5'GGGGTCGAC CGAGGCTCCTCAGGTTCCTC 3')を使用してPCR−増幅した。増幅生成物をEsp3Iお よびSalIで消化し、そしてCadusプラスミド 1449のNcoIおよびSalI消化部位にク ローン化した。生成したプラスミド、Cadus 1705は、Gγ2の発現を支配するPG Kプロモーターを使用する。PGKプロモーター−Gγ2単位を、次にCadus 1705か ら1kbのNcoI−XhoI断片として切り出し、そしてNcoI−XhoI-消化Cadusプラスミ ド 1460にクローン化した。生成したプラスミド、Cadus 1781は次にADH1プロモ ーターを含む422bpの断片を受容した。詳細には、ADH1プロモーターをCadus 162 5から、NheIを用いて切断することにより取り出し、突出部を埋め、SpeIで切断 し、そして422bp断片を単離した。この断片を、XbaIですでに切断したCadus 178 1に連結し、5'突出部を埋め、そしてSpeIで消化した。ADH1プロモーターとPGKプ ロモーター-駆動Gγ2を一緒に含む組換え体(Cadusプラスミド 2209)を選択し 、そしてGβ1読み取り枠の受容体として使用した。特にウシGβ1の読み取り 枠をCadus 1315(Mel Simon博士から提供され、そしてGβ1 cDNAを含む)か ら、プライマー123(5'CGGCTAGCATCTATATACAATGAGTGAA CTTGACCAGTTACGGC 3')およびプライマー127(5'CGAGCGGCCGCTCAGTTCCAGATTTTGAGG AAGCTGTCC 3')を使用してPCR増幅した。増幅生成物をNotIおよびNheIで消化 し、そしてNotIおよびNheI消化Cadus2209にクローン化し、Cadusプラスミド2254 を生成した。このようにCadusプラスミド 2254は、PGKプロモーターからGγ2 の、そしてADH1プロモーターからGβ1の発現を支配する、URA3-マーク低コピ ープラスミドである。同様な構築法で、Gβ1およびGγ1をコードする(Cadus プラスミド 2255)、Gβ2およびGγ1をコードする(Cadusプラスミド 2257)、 Gβ2およびGγ2をコードする(Cadusプラスミド 2256)、Gβ3およびGγ1 をコードする(Cadusプラスミド 2259)、Gβ3およびGγ2をコードする(Cadus プラスミド 2258)、Gβ4およびGγ1をコードする(Cadusプラスミド 2363)、 およびGβ4およびGγ2をコードする(Cadusプラスミド 2361)、類似プラスミ ドを得た。 Gβ1およびGγ2(Cadus 2254によりコードされる)ならびにGβ1およびG γ1(Cadus 2255にコードされる)が、Gαsと複合体を形成する能力を、Gαs によるAC2の刺激に対するGβおよびGγの同時発現の効果を評価することによ り試験した。もしGαβγ複合体が3つのGタンパク質サブユニットの同時発現 で形成できるならば、遊離のGαレベルはGαサブユニットのみを発現する酵母 に比べて、3つのすべてのサブユニットを発現する酵母の方が低くなるだろうと 予想した。これは3つのGタンパク質サブユニットと一緒に哺乳類のアデニリル シクラーゼを発現するcdc35-1株の成長が、Gαとのみ哺乳類のアデニリルシク ラーゼを発現する同等な株に比べて低いことにより反映される。 酵母CY2065株(遺伝型 MATa/α lys2::PGKp-ACII/lys2::PGKp-ACII tbt 1-1/tbt1-1 cdc35-1/cdc35-1 cam/(cam?) ura3/ura3 leu2/leu2 trp1/trp1)を、 Cadusプラスミド2081(TRP1 CEN6 ARSH4 AmpR CUP1p-ratGαs)およびCadusプラス ミド2254(URA3 PGKp-Gγ2 CEN6 ARSH4 AmpR ADH1p-Gβ1)で形質転換し、姉妹株C Y3845およびCY3846を得た。これらの株は哺乳類タンパク質Gβ1、Gγ2およ びAC2を構成的に、そしてGαsを銅の添加により発現するだろう。哺乳類タ ンパク質Gαs、Gβ1、Gγ1およびAC2(CY3847およびCY3848)またはGα sおよびAC2のみ(CY3861およびCY3862)を発現する同等な株を構築した。これ ら6つの株を、プラスミドの保持を選択する固体培地上に1000個細胞をスポッテ ィングすることにより、34℃の温度−耐性成長について試験した。Cadusプラス ミド2254(Gβ1およびGγ2をコードする)またはCadusプラスミド2255((Gβ 1およびGγ1をコードする)を含む株は、Gβγを発現する株よりもゆっくり と成長した。3つのGタンパク質サブユニットの同時発現は、Gタンパク質ヘテ ロ三量体の形成を生じると結論する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TT,UA, UG,US,UZ,VN (72)発明者 マンフレデイ,ジヨン・ピー アメリカ合衆国ニユーヨーク州10014ニユ ーヨーク・グリニツジストリート666・ア パートメント556 (72)発明者 トウルーハート, ジヨシユア アメリカ合衆国ニユーヨーク州10960サウ スニアク・サウスブロードウエイ212

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳類アデニリルシクラーゼを発現するように遺伝子操作された酵母細胞 であって、前記哺乳類アデニリルシクラーゼが前記細胞中で機能的でありかつ調 節可能である酵母細胞。 2.哺乳類アデニリルシクラーゼおよび哺乳類もしくはキメラGαタンパク質 サブユニットを共発現するように遺伝子操作されている請求の範囲1に記載の酵 母細胞であって、前記哺乳類アデニリルシクラーゼが前記Gαタンパク質サブユ ニットによって活性化可能であるかまたは阻害可能である酵母細胞。 3.哺乳類アデニリルシクラーゼおよび哺乳類もしくはキメラGβγ複合体を 共発現するように遺伝子操作されている請求の範囲1に記載の酵母細胞であって 、前記哺乳類アデニリルシクラーゼが前記Gβγ複合体によって活性化可能であ るかまたは阻害剤である酵母細胞。 4.内因性酵母アデニリルシクラーゼの発現が機能的でない、請求の範囲1、 2または3のいずれかに記載の酵母細胞。 5.内因性酵母アデニリルシクラーゼが温度感受性である、請求の範囲4に記 載の酵母細胞。 6.細胞が変異体対立遺伝子cdc35−1を含んでなる、請求の範囲5に記 載の酵母細胞。 7.内因性酵母アデニリルシクラーゼが不活性化される、請求の範囲1に記載 の酵母細胞。 8.哺乳類アデニリルシクラーゼが1型、2型、3型、4型、5型、6型、7 型および8型アデニリルシクラーゼからなる群から選ばれる、 請求の範囲1−7のいずれかに記載の酵母細胞。 9.哺乳類Gタンパク質サブユニットがアデニリルシクラーゼと同一の哺乳類 種から誘導される、請求の範囲2または請求の範囲3に記載の酵母細胞。 10.哺乳類アデニリルシクラーゼが酵母染色体中に統合された遺伝子から発 現する、請求の範囲1−9のいずれかに記載の酵母細胞。 11.酵母細胞が、サイクリックAMP応答性プロモーターを含みそして選択 可能または選別可能な遺伝子生成物をコードしている標識遺伝子をさらに含んで なる、請求の範囲1−10のいずれかに記載の酵母細胞。 12.前記酵母細胞が、会合してGβγ複合体を生成することができるGβサ ブユニットおよびGγサブユニットをさらに発現し、前記Gαサブユニット、G βサブユニットおよびGγサブユニットが、会合して異種三量体哺乳類または異 種三量体キメラGタンパク質を生成することができる、前記請求の範囲2に記載 の酵母細胞。 13.前記細胞が、前記哺乳類またはキメラGタンパク質と相互反応してGβ γ複合体からのGαsサブユニットの解離を起させることができる哺乳類Gタン パク質結合受容体をさらに発現する、請求の範囲11に記載の酵母細胞。 14.内因性Gタンパク質サブユニットが機能的形態で発現されないような、 酵母Gタンパク質サブユニット遺伝子中の変異をさらに含んでなる、請求の範囲 12に記載の酵母細胞。 15.Cam表現型を示す、請求の範囲1または請求の範囲2に記載の酵母細 胞。 16.cam1、cam2、cam3突然変異を含んでなる、請求の範囲15 に記載の酵母細胞。 17.細胞が二倍体である、請求の範囲1−16のいずれかに記載の酵母細胞 。 18.哺乳類Gタンパク質サブユニットがGαsサブユニットである、請求の 範囲2に記載の酵母細胞。 19.前記哺乳類アデニリルシクラーゼを阻害する哺乳類Gαiをさらに共発 現する、請求の範囲2に記載の酵母細胞。 20.請求の範囲1−19のいずれかに記載の酵母細胞を前記哺乳類アデニリ ルシクラーゼの活性の潜在的モジュレーターに露呈すること、および前記活性が 前記細胞中でモジュレートされるかどうかを決定することを含んでなる、 哺乳類アデニリルシクラーゼ活性のモジュレーターを同定する方法。 21.モジュレーターが活性化剤である、請求の範囲20に記載の方法。 22.モジュレーターが阻害剤である、請求の範囲20に記載の方法。 23.前記モジュレーションが、所定の選択的条件下で、細胞増殖、またはレ ポーター遺伝子の活性と関連可能である、請求の範囲20に記載の方法。 24.哺乳類アデニリルシクラーゼの活性に対する哺乳類Gタンパク質サブユ ニットのモジュレート的効果を拮抗または増強する物質を同定する方法であって 、請求の範囲2および請求の範囲3のいずれかに記載の酵母細胞を潜在的アンタ ゴニストまたはアンタゴニストに露呈すること、およびアデニリルシクラーゼ活 性の水準が変えられるかどうかを決 定すること、を含んでなる同定方法。 25.哺乳類Gタンパク質サブユニットがGαiサブユニットであり、そして Gαiサブユニットのモジュレート的効果がアデニリルシクラーゼ活性の阻害で ある、請求の範囲24に記載の方法。
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