【発明の詳細な説明】
8−置換テトラヒドロ−β−カルボリン
本発明は、有機化学の分野に関する。本発明は、5−HT2受容体に対して高
い親和性を有する新規8−置換テトラヒドロ−β−カルボリン化合物および中間
体を提供する。
実質的な証拠内容により、5−HT2受容体変調(modulation)と種々の疾患お
よび病態との間の関係が裏付けられる。本明細書中で使用する5−HT2受容体
群には、5−HT2A、5−HT2B、および/または5−HT2C受容体が総括的に
含まれる。特異的5−HT2受容体サブタイプは、特異的サブタイプを意図する
場合に指定される。
5−HT2受容体の活性化は、多くの行動的および生理的作用と関係している
。TiPS、11、181(1990年5月)。辺縁系における5−HT2受容体
は、気分、行動、および幻覚発生に影響を与え得る。Hartigら、The 5−HT1C
Receptor Annals New York Academy of Science、149、159。5
−HT2受容体の変調は、精神分裂病および精神分裂病型障害と関係している。
Ugedo,L.ら、Psychopharmacology、98、45(1989);Canton H.ら
、Eur.J.Pharmacol.、191、93(1990)。視床下部の5−HT2受容
体は、睡眠、食欲、体温調節、性的行動、運動活性、および神経内分泌機能に影
響を及ぼし得る。Hartigら、The 5−HT1C Receptor Annals New York Academy of Science
、149、159。加えて、研究により、5−HT2受容
体が、ラットにおいて食物摂取の減退を引き起こす活動低下状態を媒介し、また
不安発生作用を有することが示されている。同文献。研究により、薬物により誘
発される勃起陰茎が5−HT2により媒介されるものであることが示されている
。Psychopharmacology、101、57(1990)。同様に、5−HT2変調は
、持続勃起を治療または予防することができる。
研究により、5−HT2受容体が、不安、強迫障害、恐慌障害、ジル・ド・ラ
・
トゥーレット症候群および片頭痛の発生に影響を及ぼすことが示されている。T iPS
、11、181(1990年5月)。その研究により、5−HT2受容体が
、アルツハイマー病にもまた関与し得ることが示されている。同文献。5−HT2
受容体は、脳脊髄液のバランス変調に関与する。さらに、5−HT2受容体は、
疼痛感覚と関係する。Zemlan,F.P.ら、Neurochem.Int.、16、507(1
990)。
さらに、5−HT2受容体に対して高い親和性および選択性を有する化合物は
、5−HT2A、5−HT2B、および/または5−HT2C変調に関する種々の病態
を治療するのに有用となり得る。例えば、5−HT2B受容体の変調に有用な化合
物は、イクラシア(ichlasia)、緊張亢進性下部食道括約筋(hypertonic lower es
ophogeal sphincter)、タキガストリア(tachygastria)、過敏性腸症候群と関係
する運動過剰、便秘、消化不良、および他の5−HT2B関連病態を患っているか
、または患いやすい患者を治療するのに有用である。加えて、5−HT2A受容体
の変調は、精神分裂病、不安、うつ病、および片頭痛と関係している。Koek,W
.、Neuroscience and Biobehavioral Reviews、16、95−105(199
2)。
5−HT2A、5−HT2B、および/または5−HT2C受容体の変調を可能とす
る化合物を得るのが有利であろう。高い5−HT2受容体サブタイプ親和性およ
び選択性を有する化合物を得るのが特に望ましいであろう。摂食障害、性的障害
、および5−HT2受容体サブタイプ変調と関係する他の障害または病態の作用
を最小とする化合物を得るのがさらに有利であろう。
本発明は、5−HT2受容体活性を有する一群の新規化合物を提供する。本発
明はまた、所望の選択的5−HT2Aおよび5−HT2C受容体活性を有する化合物
も提供する。加えて、本発明の化合物は、5−HT2受容体の作用を特徴付ける
のに、また5−HT2受容体および5−HT2受容体サブタイプ変調に基づいた治
療物質を開発するのに有用な手段である。
従って、本発明は、式I:
[式中、
R1は水素、C1−C3アルキル、置換C3−C8シクロアルキル、C3−C8シク
ロアルキル、C3−C8シクロアルキル−(C1−C3)アルキル、C5−C8シクロア
ルケニル−(C1−C3)アルキル、またはC7−C16アリールアルキルであり;
R4およびR5は独立して、水素、C1−C3アルキル、C2−C6アルケニル、ハ
ロ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C2−C6)アルケニル、COR7、C1−C10
アルカノイル、CO2R7'、(C1−C6アルキル)mアミノ、NO2、−SR7、OR7
、置換C3−C8シクロアルキル、C3−C8シクロアルキル、C3−C8シクロア
ルキル−(C1−C3)アルキル、C5−C8シクロアルケニル−(C1−C3)アルキル
、またはC7−C16アリールアルキルであり;
mは1または2であり;
各々のR7は独立して、水素またはC1−C4アルキルであり;
R7'はC1−C4アルキルであり;
R6はC1−C4アルキル、OR5'、フルオロ、ブロモ、ヨード、およびクロロ
よりなる群から選択され;
R5'は水素およびC1−C4アルキルよりなる群から選択される]
の化合物または薬学上許容され得るそれらの塩もしくは溶媒和物に関する。
本発明はまた、式Iの化合物または薬学上許容され得るそれらの塩もしくは溶
媒和物の使用方法、およびそれらを含む医薬品製剤も提供する。
本発明のさらなる一態様は、包装用材料および該包装用材料内に含まれる1つ
またはそれ以上の薬剤を含んでなる製品であり、ここで、該薬剤は、5−HT2C
変調と関係する病態の治療に有効であって、式Iの化合物または薬学上許容され
得るそれらの塩もしくは溶媒和物であり;また包装用材料は、該薬剤が5−HT2C
変調と関係する病態の治療に使用することができることを示す標識を含んでな
る。
本明細書中で使用する「5−HT2」受容体という用語には、特異的サブタイ
プが指定されない限り、5−HT2A、5−HT2B、および5−HT2C受容体サブ
タイプが含まれる。
本明細書中で使用する「治療する」という用語には、指定された肉体的および
/または精神的病態の予防、または一度確立された場合には、発症した肉体的お
よび/または精神的病態の回復もしくは除去が含まれる。
「中枢神経系に対する傷害」という語句には、これに制限されるものではない
が、脊髄、神経管、または脳の硬膜に対する傷害が含まれる。中枢神経系に対す
る傷害にはまた、持続勃起、脳脊髄液不均衡、および他の5−HT2A、5−HT2B
、並びに5−HT2C不均衡、および中枢神経系傷害から起こる関連病態も含ま
れる。
本明細書中で使用する「C1−Cnアルキル」(ここで、n=2−10)という
用語は、1個から指定された数までの炭素原子を有する分枝鎖状または直鎖状の
アルキル基を示す。典型的なC1−C6アルキル基には、メチル、エチル、n−プ
ロピル、iso−プロピル、ブチル、iso−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、
ペンチル、ヘキシル等が含まれる。
本明細書中で使用する「C2−Cnアルケニル」(ここで、n=3−10)とい
う用語は、2−10個の炭素原子および少なくとも1つの二重結合を有するオレ
フィン系不飽和の分枝鎖状または直鎖状の基を示す。その基は、分枝鎖または直
鎖となり得る。そのような基の例には、1−プロペニル、2−プロペニル(−C
H2−CH=CH2)、1,3−ブタジエニル(−CH=CHCH=CH2)、1−ブ
テニル(−CH=CHCH2CH3)、ヘキセニル、ペンテニル等が含まれる。
「ハロゲン化物」、「ハロゲン」、および「ハロ」という用語には、フッ素、
塩素、臭素、およびヨウ素が含まれる。好ましいハロゲンは塩素である。
「ハロ(C1−C6)アルキル」および「ハロ(C2−C6)アルケニル」という用語
は、1個またはそれ以上の有効炭素原子で結合した1個またはそれ以上の独立し
て選択されるハロ原子を有するアルキルまたはアルケニル置換基を示す。これら
の用語には、クロロメチル、ブロモエチル、トリフルオロエチル、トリフルオロ
メチル、トリフルオロエチレニル、3−ブロモプロピル、3−ブロモ−1−プロ
ペニル、2−ブロモプロピル、2−ブロモ−1−プロペニル、3−クロロブチル
、3−クロロ−2−ブテニル、2,3−ジクロロブチル、クロロエチレニル、5
−フルオロ−3−ペンテニル、3−クロロ−2−ブロモ−5−ヘキセニル、3−
クロロ−2−ブロモ−ブチル、トリクロロメチル、ジクロロエチル、1,4−ジ
クロロブチル、3−ブロモペンチル、1,3−ジクロロブチル、1,1−ジクロロ
プロピル等が含まれる。さらに好ましいハロ(C1−C6)アルキル基は、トリクロ
ロメチル、トリクロロエチル、およびトリフルオロメチルである。最も好ましい
ハロ(C1−C6)アルキルはトリフルオロメチルである。
「C1−C10アルカノイル」という用語は、式 C(O)(C1−C9)アルキルの基
を示す。典型的なC1−C10アルカノイル基には、アセチル、プロパノイル、ブ
タノイル等が含まれる。
「(C1−C6アルキル)mアミノ」(ここで、m=1−2)という用語は、モノ
またはジアルキルアミノ基のいずれかを示し、ここで、その基のアルキル部分は
、直鎖状であっても、または分枝鎖状であってもよい。そのような基の例は、メ
チルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、2−プロピルア
ミノ、1−プロピルアミノ、ジ(n−プロピル)アミノ、ジ(iso−プロピル)アミノ
、メチル−n−プロピルアミノ、t−ブチルアミノ等である。
「C3−Cnシクロアルキル」(ここで、n=4−8)という用語は、シクロプ
ロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、お
よびシクロオクチルを示す。
「置換(C5−Cn)シクロアルキル」という用語は、上記のようなシクロアルキ
ル基を示し、ここで、そのシクロアルキル基は、水素、C1−C6アルキル、NO2
、ハロ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C2−C6)アルケニル、C2−C6アル
ケニル、CO2R5、(C1−C6アルキル)mアミノ、−SR5、およびOR5よりな
る群から独立して選択される1−4つの置換基で置換されていてよい。
「C3−C8シクロアルキル−(C1−C3)アルキル」という用語は、末端炭素が
C3−C8シクロアルキル基で置換されている直鎖状のアルキル基を示す。典型的
なシクロアルキルアルキル基には、シクロヘキシルエチル、シクロヘキシルメチ
ル、3−シクロペンチルプロピル等が含まれる。
「C5−C8シクロアルケニル」という用語は、5−8個の炭素原子を有するオ
レフィン系不飽和環、例えば、フェニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘキセ
ニル、シクロペンテニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル、シクヘキサジ
エニル、シクロヘプタジエニル、シクロオクタトリエニル等を示す。
「置換(C5−C8)シクロアルケニル」という用語は、上記のようなシクロアル
ケニル基を示し、ここで、そのシクロアルケニル基は、水素、C1−C6アルキル
、NO2、ハロ、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C2−C6)アルケニル、C2−C6
アルケニル、COR5、C1−C10アルカノイル、C7−C16アリールアルキル、
CO2R5、(C1−C6アルキル)mアミノ、−SR5、およびOR5よりなる群から
独立して選択される1−4つの置換基で置換されていてよい。
「C5−C8シクロアルケニル−(C1−C3アルキル)」という用語は、末端炭素
がC5−C8シクロアルケニル基で置換されている直鎖状のC1−C3アルキル基を
示す。
「アリール」という用語は、フェニルまたはナフチルを示す。そのアリール基
は、置換されていなくてもよく、またはC1−C6アルキル、C3−C8シクロアル
キル、置換C3−C8シクロアルキル、C2−C6アルケニル、C3−C8シクロアル
キル−(C1−C3)アルキル、フェニル、C5−C8シクロアルケニル、置換C5−
C8シクロアルケニル、C5−C8シクロアルケニル−(C1−C3)アルキル、CO
R5、C1−C10アルカノイル、OR5、およびC7−C16アリールアルキルよりな
る群から独立して選択される1つまたは2つの置換基を有し得る。その置換基は
、アリール環上のいずれの有効位置にあってもよい。
「C7−C16アリールアルキル」という用語は、アリール−(C1−C10)アルキ
ル置換基を示し、ここで、そのアルキル基は、ベンジル、フェネチル、3−フェ
ニルプロピル、またはフェニル−t−ブチルといったような直鎖状であるか、ま
たは分枝鎖状である。
「5−HT2A受容体の選択的結合」という用語は、他の5−HT2受容体サブ
タイプを結合するより大きい程度で5−HT2A受容体を結合する方法を示す。同
様に、本発明の幾つかの化合物は、他の5−HT2サブタイプを結合するより大
きい程度で5−HT2Bまたは5−HT2C受容体を選択的に結合する。
「プロトン酸」という用語は、酸性水素を有する酸を示す。好ましいプロトン
酸には、水性媒体中の塩酸、ギ酸、過塩素酸、硫酸、およびリン酸が含まれる。
最も好ましいプロトン酸は、塩酸、硫酸、およびギ酸である。
「有機溶媒」という用語には、ハロゲン化炭化水素、エーテル、トルエン、キ
シレン、ベンゼン、およびテトラヒドロフランといったような、炭素を含む溶媒
が含まれる。
「かき混ぜる」という用語には、撹拌、遠心分離、混合、および他の同様の方
法といったような技術が含まれる。
「非プロトン性溶媒」という用語は、酸性水素を含まない、中程度の誘電率の
極性溶媒を示す。一般的な非プロトン性溶媒の例は、ジメチルスルホキシド(D
MSO)、ジメチルホルムアミド、スルホラン、テトラヒドロフラン、ジエチル
エーテル、メチル−t−ブチルエーテル、または1,2−ジメトキシエタンである
。
「プロトン性溶媒」という用語は、酸素に結合した水素を含む溶媒を示すこと
から、幾分酸性である。一般的なプロトン性溶媒には、水、メタノール、エタノ
ール、2−プロパノール、および1−ブタノールといったような溶媒が含まれる
。
「不活性雰囲気」という用語は、混合物が窒素またはアルゴンといったような
不活性ガスの層で覆われている反応条件を示す。
本明細書中で使用する略語は、特にことわらない限り、それらの許容される意
味を有する。例えば、「Me」および「Et」は各々、メチル、エチルを示し、ま
た「t−Bu」は第三級ブチルを示す。「RT」という略語は、特に指示しない限
り、室温または周囲条件を示す。
「リガンド」という用語は、5−HT2受容体が結合する化合物を示す。5−
HT2の選択的リガンドとして有用な化合物は、5−HT2受容体部位を選択的に
占有するのに使用してもよいし、または5−HT2受容体部位での選択的アゴニ
ストとして作用させてもよい。幾つかの化合物は、5−HT2A、5−HT2B、ま
たは5−HT2Cの選択的リガンドである。
「実質的に純粋な」という用語は、他の可能な立体配置に比べて、少なくとも
約90モル%、さらに好ましくは少なくとも約95モル%、また最も好ましくは
少なくとも約98モル%の所望の鏡像異性体または立体異性体が存在することを
意味しようと意図する。
本明細書中で使用する「機能的腸障害」という用語は、(1)腹痛および/ま
たは(2)排便障害の症状(急迫、しぶり腹、不十分な便通感、便の形状[軟度
]の変化および排便の頻度/タイミングの変化)および/または(3)鼓脹(膨満
)により発現する機能的胃腸障害を示す。「機能的腸障害」という用語には、こ
れに制限されるものではないが、過敏性腸症候群、運動過剰、イクラシア、緊張
亢進性下部食道括約筋、タキガストリア、便秘、過敏性腸症候群と関係する運動
過剰が含まれる。
当業者なら、式Iの化合物が、説明するように番号を付与されることが分かる
であろう。
式Iおよび本明細書中で請求する全ての化合物は、広範囲にわたる種々の無機
および有機酸と共に酸付加塩を形成し得る。使用することができる典型的な酸に
は、硫酸、塩酸、臭化水素酸、リン酸、次リン酸、ヨウ化水素酸、スルファミン
酸、クエン酸、シュウ酸、酢酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、ケ
イ皮酸、安息香酸、アスコルビン酸、マンデル酸、p−トルエンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、馬尿酸等が含まれる
。
式Iの化合物の薬学上許容され得る酸付加塩が特に好ましい。
式Iの化合物は、5−HT2(5−HT2A、5−HT2B、および/または5−H
T2Cを含む)受容体を変調するのに有用である。本発明の範囲内の幾つかの化合
物が、その使用に好ましい。表にして挙げる以下の本発明の態様および化合物特
性を独立して組み合わせて、本発明の種々の好ましい化合物および態様とするこ
とができる。本発明の態様の以下の一覧表は、決して本発明の範囲を何ら制限し
ようと意図するものではない。
A)R1は水素である。
B)R5は6位にある。
C)R6はフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メトキシ、エトキシ、または
C1−C4アルキルである。
D)R4はC1−C6アルキル、C5−C8シクロアルキル、フェニル、または置
換フェニルである。
E)R5はメトキシ、ヒドロキシ、またはハロである。
F)R5はクロロ、メチル、またはシクロアルキルである。
G)R4は置換C5−C8シクロアルケニルである;ここで、その置換基は、水
素、NO2、ハロ、(C1−C6アルキル)mアミノ、およびOR5よりなる群から選
択される。
H)R6はC1−C4アルキル、フルオロ、クロロ、またはブロモである。
I)R6は−OCH3である。
J)R6はC1−C4アルキルである。
K)R6はメチルである。
L)1つまたはそれ以上の式Iの化合物を使用して、5−HT2受容体を結合
するための方法。
M)1つまたはそれ以上の式Iの化合物を使用して、5−HT2B受容体を結合
するための方法。
N)1つまたはそれ以上の式Iの化合物を使用して、5−HT2C受容体を結合
するための方法。
O)機能的腸障害を治療するための、1つまたはそれ以上の式Iの化合物の使
用方法。
P)機能的腸障害を治療するための、5−HT2B受容体の変調に有用である1
つまたはそれ以上の式Iの化合物の使用方法。
Q)過敏性腸症候群を治療するために、1つまたはそれ以上の式Iの化合物を
使用するための方法。
R)式Iの化合物および1つまたはそれ以上の薬学上許容され得る賦形剤を含
んでなる医薬品製剤。
S)R6がハロである化合物。
T)R4およびR5が各々C1−C3アルキルであり、およびR6がクロロまたは
ブロモである化合物。
U)R4およびR5が各々C3−C8シクロアルキルまたは置換C3−C8シクロア
ルキルである化合物。
V)R1が置換C3−C8シクロアルキル、C3−C8シクロアルキル、C5−C8
シクロアルケニル−(C1−C3)アルキル、およびC7−C16アリールアルキルよ
りなる群から選択される化合物。
W)R1が置換C3−C8シクロアルキル、C3−C8シクロアルキルよりなる群
から選択される化合物。
X)R1が水素である化合物。
Y)R4およびR5がC2−C6アルケニル、ハロ(C1−C6)アルキル、ハロ(C2
−C6)アルケニル、COR7、C1−C10アルカノイル、CO2R7'、(C1−C6ア
ルキル)mアミノ、NO2、−SR7、置換C3−C8シクロアルキル、C3−C8シク
ロアルキル、C3−C8シクロアルキル−(C1−C3)アルキル、C5−C8シクロア
ルケニル−(C1−C3)アルキル、またはC7−C16アリールアルキルよりなる群
から独立して選択される化合物。
Z)R4およびR5がC1−C10アルカノイル、CO2R7'、(C1−C6アルキル)m
アミノ、NO2、置換C3−C8シクロアルキル、C3−C8シクロアルキル、C3
−C8シクロアルキル−(C1−C3)アルキル、およびC5−C8シクロアルケニル
−(C1−C3)アルキルよりなる群から独立して選択される化合物。
Z1)R1が水素であり、R6がハロであり、R5およびR6が水素、ハロ、およ
びシクロアルキルよりなる群から選択される化合物。
特に好ましい本発明の態様は、以下の特徴を有する:
A−D、H、L、O、およびR。
式Iの化合物は、有用な中枢神経系活性を有する。式Iの化合物の例には、決
してこれらに制限されるものではないが、7−ブロモ−8−メチル−1,2,3,
4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、6−イソプロピル−8
−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール
、5−クロロ−8−エトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,
4b]−インドール、6−クロロ−7−メチル−8−フルオロ−1,2,3,4−テ
トラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、5−ジメチルアミノ−8−ヒ
ドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、
6−ニトロ−8−ブチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]
−インドール、7−シクロヘキシル−8−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、6−[3−メチル−シクロヘキシル]
−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドー
ル、6−ベンジル−8−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[
3,4b]−インドール、5−シクロヘキシルメチル−8−クロロ−1,2,3,4−
テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、6−カルボキシ−8−ブロ
モ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、6−エ
トキシ−8−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b
]−インドール、6,8−ジクロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[
3,4b]−インドール、6,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール、7,8−ジフルオロ−2(N)−メチル−1,2,3,
4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、6,8−ジブチル−2(
N)−シクロプロピルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4
b]−インドール、6,8−ジブロモ−2(N)−シクロヘキセニルメチル−1,2,
3,
4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、8−クロロ−2(N)−
ベンジル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、
8−フルオロ−4−メチル−2(N)−シクロヘキシル−1,2,3,4−テトラヒ
ドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール、6−メチルアミン−8−クロロ−3
−イソプロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インド
ール、および6−クロロメチル−8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9
H−ピリド[3,4b]−インドールが含まれる。
本発明の化合物は、適当な溶媒と共に水和物および溶媒和物を形成することが
知られている。溶媒和物形の製造に好ましい溶媒には、水、アルコール、テトラ
ヒドロフラン、DMF、およびDMSOが含まれる。好ましいアルコールは、メ
タノールおよびエタノールである。他の適当な溶媒は、溶媒分子の大きさに基づ
いて選択することができる。小さな溶媒分子は、対応する溶媒和物形成を促進す
るのに好ましい。溶媒和物および水和物は一般的に、再結晶化中に、または塩形
成中に形成される。溶媒和物に関する、有用な引用文献の1つは、Sykes、Pet
er、A Guidebook to Mechanism in Organic Chemistry、6、56、(19
86、John Wiley & Sons、New York)である。本明細書中で使用する「
溶媒和物」という用語には、一水和物および二水和物といったような水和物形が
含まれる。
本発明の化合物は、当業界で理解されている化学的プロセスを用いて製造する
ことができる;しかし、本発明の式(I)の化合物を製造するための最も好まし
い方法は、反応式IVのプロセスを利用する。
式Iの化合物は、グリオキシル酸を式(h)のアミンと接触させることにより
製造することができる。このピクテースペングラー型の反応が、通例、適用可能
であり、望ましい収率を与え、また安定な中間体を生成する。さらに、その反応
の生成物は一般的に、所望の塩として直接単離することができる。
反応式Iにおける化合物dは、式Iの化合物に対する出発物質として使用され
る。これらの化合物は市販されているか、またはトリプタミンに適用される周知
のフィッシャーのインドール合成を用いて製造することができる。そのフィッシ
ャーの合成は式Iで示される。
反応式Iにおいて使用するクロロブタナール化合物は、塩化クロロブチリルの
水素化によって製造することができる。その水素化は、Pd/Cのような触媒の
使用により促進することができる。他のハロブタナール化合物が、反応式Iに適
当であり得る。反応式Iにおける出発化合物cは、購入するか、または既知の方
法を用いて製造することができる。March,J.、Advanced Organic Chemistr y Reactions,Mechanisms,and Structure
、第3(John Wiley & Sons、
New York、1985)、特に1163頁を参照。
フィッシャーの合成は、一般的には、炭酸ナトリウムのような適当な飽和塩基
をクロロホルムのような有機溶媒中のヒドラジン塩の撹拌懸濁液に加えることに
より開始される。ヒドラジン塩酸塩が、特に好ましいヒドラジン塩の1つである
。所望のヒドラジン遊離塩基を有機相で抽出する。その油状物質をアルコールお
よび水の溶液に入れて、酢酸ナトリウムのような適当な塩基で処理する。ハロブ
タナールを加えて、管を窒素のような不活性ガスでパージする。その結果得られ
た混合物を約90℃−110℃まで加熱した油浴に入れる。その混合物は、約1
7−19時間加熱したほうがよい。その混合物を室温まで冷却して、減圧下に濃
縮する。残留物をクロロホルム/メタノールおよび水性炭酸ナトリウムのような
、適当な有機相と塩基性水相との間で分配する。その有機相を濃縮して、その結
果得られた化合物dをフラッシュクロマトグラフィーのような標準的な方法によ
り精製することができる。クロマトグラフィーを用いるなら、生成物を含む画分
を合わせて、濃縮することができる。その油状物質を、約1%のアルコールを含
むジエチルエーテルのような適当な溶媒に溶解する。好ましいアルコールはメタ
ノールである。その混合物を無水HClガスのような無水酸ガスで処理して、所
望の化合物dの対応する酸付加塩を生成することができる。
式Iの化合物を製造するための方法の1つは、式IIで示されるようなピクテー
スペングラー反応を用いる。置換基は先に定義した通りである。
通例、反応式IIの反応は、エタノールまたはメタノールといったような適当な
溶媒中、化合物eを選択されたアルデヒドと約1−50時間反応させることによ
り行われる。沈澱した反応生成物を濾過のような一般的な単離方法により集めた
後、濃HClで脱炭酸し、加熱して、式fの化合物を得る。その結果得られた物
質を再結晶化により精製することができる。R1置換基を有する化合物が望まし
いなら、その反応に還元的アルキル化を続けることができる。その還元的アルキ
ル化は、反応式IIIで示される。
プロトン酸およびアルデヒドの溶液を、一般的には、化合物fの水溶液に加え
る。最も好ましいプロトン酸はギ酸である。最も好ましいアルデヒドはホルムア
ルデヒドである。当業者なら、その還元的アルキル化を促進するための他の適当
な試薬を容易に選択することができる。その結果得られた溶液を約4−80時間
還流する。還流後、その溶液は、炭酸カリウムのような適当な塩基を用いて塩基
性としたほうがよい。次いで、所望の生成物をクロロホルムのような適当な有機
相で抽出することができる。生成物を乾燥し、濃縮して、フラッシュクロマトグ
ラフィーのような既知の方法により精製することができる。
化合物hおよび化合物iを適当な水溶液中で接触させる。その反応混合物を炭
酸カリウムのような適当な塩基で中和することができる。一般的には、その反応
混合物を約1−約48時間撹拌する;しかし、その反応時間は、所望により調節
することができる。その結果得られた物質を水性溶媒に溶解して、HClのよう
なプロトン酸を徐々に加えることにより酸性とする。その混合物を加熱して、さ
らに酸を加える。その結果得られた物質を単離して、水性溶媒に溶解することが
できる。その結果得られた混合物を塩基性とした後、クロロホルムのような有機
相で抽出する。溶媒を除去した後、シリカゲルクロマトグラフィーのようなクロ
マトグラフ単離、または他の一般的な単離技術により、生成物を単離することが
できる。一般的には、生成物を酸付加塩として単離する。適当な塩の形は、先に
論じている。
以下の実施例は、式Iの化合物の幾つかの製造をさらに説明する。その例は単
に説明するだけのものであって、本発明の範囲を制限しようと意図するものでは
ない。
カラムクロマトグラフィー法には、標準的なフラッシュクロマトグラフィー技
術を用いた。適当なフラッシュクロマトグラフィー技術が記載されている周知の
引用文献の1つは、Still,W.C.Kahn、およびMitra、J.Org.Chem.、43
、2932(1978)である。生成物を含む画分を、通例、減圧下に蒸発させ
て、生成物を得る。
遊離塩基を、メタノールのようなアルコールを含むジエチルエーテルまたは他
の適当な溶媒混合物中に入れることにより、特定化合物の塩酸塩を製造した。こ
のエーテル溶液を撹拌しながら、その溶液が酸性となるまでジエチルエーテル中
のHClの溶液を滴加した。あるいはまた、そのエーテル溶液を無水HClガスで
処理した。
遊離塩基を酢酸エチルまたは他の適当な溶媒に入れて、マレイン酸で処理する
ことにより、特定化合物のマレイン酸塩を製造した。形成した沈澱を濾過し、乾
燥して、その遊離塩基の対応する塩酸塩またはマレイン酸塩を得た。
製造例 1
4−クロロブタナールの製造
4−クロロブチリル塩化物(300g、2.13mol)を無水THF(3L)に溶解
した。この溶液に、2,6−ルチジン(252ml)を加えた後、5%のPd/C(3
0g)を加えた。この混合物をパーの水素化装置に入れて、水素60psi下に6時
間振盪した。その混合物を窒素でパージし、濾過し、触媒をTHF(500ml)で
洗浄して、減圧下に室温で濃縮した。蒸留して、4−クロロブタナール(148.
3g)を無色の液状物質として得た。
製造例 2
7−ブロモ−1H−インドール−3−エタンアミン
2−ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩の試料25.8gを1N NaOHとクロ
ロホルムとの間で分配した。有機相を分離して、水性部分をクロロホルムで抽出
した。合わせた有機抽出物を乾燥し(Na2SO4)、濃縮して、遊離ヒドラジンを
油状物質として得た。
4−クロロブチルアルデヒド(12.3g)を加えながら、その油状物質をメタ
ノール100ml中で撹拌した。その結果得られた溶液をシール可能な管に移して
、窒素でパージした。その管をシールして、その反応混合物を95℃に維持した
油
浴中で14時間加熱した。その結果得られた混合物を冷却し、濃縮して、残留物
を得、これを1N NaOHとクロロホルムとの間で分配した。合わせた有機抽出
物を乾燥し、濃縮して、油状物質を得た。クロロホルム中の0−10%のメタノ
ールのグラジエントを用いて、その油状物質をシリカゲルでのクロマトグラフィ
ーにかけた。生成物を含む画分を濃縮して、油状物質を得、これを少量のメタノ
ールにとって、エーテル性HClに加えた。固形物質を集め、ジエチルエーテル
で洗浄して、50℃で減圧乾燥した。
収量:7.32g。
収率(%):23%。
融点:260−262℃。
元素分析:C 43.55:H 4.41:N 10.03。
製造例 3
7−メトキシ−1H−インドール−エタンアミン
2−メトキシフェニルヒドラジン塩酸塩の試料15.8gおよび4−フタルイ
ミドブチルアルデヒドジエチルアセタールの試料26.3gをエタノール中で撹
拌した。その混合物を還流温度で2時間加熱した。その反応混合物を冷却し、濃
縮して、残留物を得た。
その結果得られた残留物をエタノール750mlに溶解して、ヒドラジン水和物
15.5gを加えた。その混合物を還流温度で14時間加熱した。5N HClの
試料70mlを加えて、その混合物を冷却した。冷却した混合物を濃縮して、残留
物を得た。その残留物を1N NaOHとクロロホルムとの間で分配した。有機部
分を分離して、水性部分をクロロホルムで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥
し(Na2SO4)、濃縮して、油状物質を得た。クロロホルム中の0−10%のメ
タノールのグラジエントを用いて、その油状物質をシリカゲルでのクロマトグラ
フィーにかけた。生成物を含む画分を濃縮して、油状物質を得、これを少量のメ
タノールにとって、エーテル性HClに加えた。固形物質を集め、ジエチルエー
テルで洗浄し、50℃で減圧乾燥して、白色の固形物質を得た。
実施例 1
7−メチル−8−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
6−メチル−7−ブロモ−1H−インドール−3−エタンアミン塩酸塩の試料
3.0gを温水に溶解した。グリオキシル酸一水和物(1.0g)の水溶液を加えた
。水酸化カリウムまたは塩酸のいずれかを用いて、その溶液をpH 4に調節した
。固形物質を水中に懸濁させて、濃HClを徐々に加えた。その混合物を沸騰さ
せた。固形物質を集め、水で洗浄して、減圧乾燥した。その固形物質を1N Na
OHとクロロホルムとの間で分配した。有機部分を乾燥し、濃縮して、残留物を
得、クロロホルム中のメタノールを用いて、これをシリカゲルでのクロマトグラ
フィーにかけた。所望の画分をプールし、濃縮して、固形物質を得、これをメタ
ノールに溶解し、HClガスで処理して、エーテルで希釈した。固形物質を集め
、エーテルで洗浄して、乾燥した。
収率:48%。
融点:321℃。
元素分析:C 47.83:H 4.89:N 9.30。
実施例 2
8−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
出発物質が7−メトキシ−1H−インドール−エタンアミンであることを除き
、実質的には、実施例1のプロセスを用いて、所望の生成物を製造した。
融点:207−209℃。
元素分析:C 60.17:H 5.56:N 8.60。
実施例 3
8−メトキシ−2(N)−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
実質的には、実施例1に記載したようにして、8−メトキシ−1,2,3,4−
テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドールの試料を製造した。インドー
ルの試料0.36gをK2CO3 1gと接触させて、その混合物を窒素でパージし
た。その結果得られた混合物に、CH3CNの試料40mlを加えた。1−ヨード
プロパンの試料0.12mlを加えた。その混合物を窒素下に維持して、暗所で撹
拌した。その結果得られた混合物を抽出した。有機相を乾燥し、蒸発させて、ク
ロマトグラフィーにかけた。所望の画分を蒸発させ、メタノール:酢酸エチル中
にとった。その結果得られた混合物を撹拌エーテル溶液に加え、これにHClガ
スを通気した。その結果得られた固形物質を減圧乾燥し、再結晶化し、蒸発させ
て、所望の生成物を得た。
収量:0.10g。
融点:282−284℃。
元素分析:C 64.45:H 7.67:N 9.91。
実施例 4
8−メトキシ−2(N)−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
実質的には、実施例1に記載したようにして、8−メトキシ−1,2,3,4−
テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドールの試料を製造した。インドー
ル(1g)、NaOAc(0.34g)、NaBH3CN(0.53g)、メタノール(50m
l)、およびHOAc(1.0g)を撹拌した。そのインドール混合物に、CH2Oの
試料1.36g(メタノール10ml中、37%)を加えた。
酸を用いて、その反応をクエンチした後、塩基性として、抽出した。有機物を
乾燥し、蒸発させて、クロマトグラフィーにかけた。所望の画分を蒸発させて、
メタノール/酢酸エチル中にとった。その結果得られた混合物をエーテル性HC
lに加えた。その結果得られた固形物質を集めて、減圧乾燥した。
収量:0.84g(79%)。
融点:291−294℃。
元素分析:C 62.06:H 6.97:N 11.32。
実施例 5
8−メトキシ−2(N)−シクロプロピルメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール
適当な試薬と、実質的には、実施例4に記載したプロセスとを用いて、所望の
生成物を製造した。
収率:88%。
融点:285−287℃。
元素分析:C 65.76:H 7.47:N 9.47。
実施例 6
適当な試薬と、実質的には、実施例4に記載したプロセスとを用いて、所望の
生成物を製造することができる。
実施例 7
7,8−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
6,7−ジメチル−1H−インドール−エタンアミンの試料2.30gを水およ
びイソプロパノールの混合物に加熱しながら溶解した。水10ml中のグリオキシ
ル酸一水和物の試料1.03gをフラスコに加えた。その溶液を冷却して、水酸
化カリウムを加えることにより塩基性とした。その反応物を48時間撹拌した。
その結果得られた固形物質を濾過により単離して、水で洗浄した。その固形物質
を水50mlに溶解して、濃HClを徐々に加えることにより、その溶液を酸性と
した。加熱を開始して、さらに濃HCl 5mlを加えた。その結果得られた固形物
質をデカントすることにより単離して、水10mlに溶解した。水酸化カリウムを
加えることにより、この溶液を塩基性とし、1:3のイソプロパノール:CHC
l3を用いて抽出した。有機相を分離し、濃縮して、粘性のある油状物質を得、こ
れをクロマトグラフィーによって精製した。その油状物質を酢酸エチルに溶解し
、その溶液にHClガスを通気して、塩酸塩を形成した。その固形物質である塩
酸塩を濾過により単離して、減圧オーブン中で乾燥した。
収率:54%。
融点:330℃。
元素分析:C 65.75:H 7.29:N 11.62。
実施例 8
6−メチル−8−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
適当な試薬と、実質的には、実施例7に記載したプロセスとを用いて、所望の
6−メチル−8−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]
−インドールを製造した。
収率:57%。
融点:346℃。
元素分析:C 48.04:H 4.68:N 9.30。
実施例 9
6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
適当な試薬と、実質的には、実施例7に記載したプロセスとを用いて、所望の
6,8−ジフルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−イン
ドールを製造した。
収率:5%。
融点:350℃。
元素分析:C 53.90:H 4.49:N 11.23。
実施例 10 8−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール
適当な試薬と、実質的には、実施例7に記載したプロセスとを用いて、所望の
8−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール
を製造した。
収率:4%。
融点:337.8℃。
元素分析:C 46.17:H 4.26:N 9.52。
実質的には、実施例7に記載したプロセスにより、以下のものを製造した。
8−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インド
ール;
収率:48%。
融点:329.5℃。
元素分析:C 58.58:H 5.43:N 12.37。
6−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドー
ル;
収率:63%。
融点:317.9℃。
6−ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドー
ル;
収率:19%。
融点:310.9℃。
6−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インド
ール;
収率:38%。
融点:316.6℃。
実施例11
7−メチル−8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−
ピリド[3,4b]−インドール
出発物質が6−メチル−7−クロロ−1H−インドール−3−エタンアミン塩
酸塩であることを除き、実質的には、実施例1に記載したプロセスを用いて、所
望の生成物を製造した。
収率:70%。
その結果得られた物質をエタノール中で沸騰させた。その結果得られた生成物
を集め、エタノールで洗浄して、減圧乾燥した。
収率:58%。
融点:330−334℃。
元素分析:C 55.88:H 5.47:N 10.93。
実質的には、先に実施例11で記載したプロセスを用いて、以下のものを製造
した。
7−メチル−8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b
]−インドール;
融点:350−352℃。
元素分析:C 55.65:H 5.68:N 10.39。
8−クロロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドー
ル;
融点:335−337℃。
元素分析:C 53.93:H 4.88:N 11.09。
7−ブロモ−8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b
]−インドール;
融点:323−325℃。
元素分析:C 47.85:H 4.84:N 9.08。
実施例 12 7−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール
Pd/C、エタノール、およびトリエチルアミンの存在下、7−メチル−8−
ブロモ−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドールの試
料を水素と反応させた。その結果得られた物質を濾過し、濃縮して、抽出した。
有機相を乾燥し、濃縮して、減圧乾燥した。その結果得られた固形物質をメタノ
ール中にとって、エーテル性HClに加えた。白色の固形物質を集め、Et2Oで
洗浄して、減圧乾燥した。
収率:56%。
融点:310−312℃。
元素分析:C 64.79:H 6.89:N 12.47。
実施例 13 8−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−9H−ピリド[3,4b]−インドール
実質的には、実施例12に記載したプロセスを用いて、所望の生成物を製造し
た。
収率:46%。
融点:318−320℃。
元素分析:C 64.53:H 6.94:N 12.43。
上述の通り、本発明の化合物は、5−HT2受容体でのセロトニンまたは他の
アゴニストの作用をブロックするのに有用である。従って、本発明はまた、哺乳
動物において5−HT2受容体をブロックするための方法であって、5−HT2受
容体のブロックを必要とする哺乳動物に受容体ブロック用量の本発明の化合物を
投与することからなる方法を提供する。
「受容体ブロック用量」という用語は、哺乳動物において5−HT2受容体を
ブロックするのに必要な化合物の量を意味する。活性化合物は、広い投薬量範囲
にわたって有効である。例えば、1日当りの投薬量は、通常、約0.05−約2
50mg/kg(体重)の範囲内に入るであろう。成人の治療においては、一回または
分割用量で約0.5−100mg/kgの範囲が好ましい。約5mg/kg−約60mg/k
gおよび約10mg/kg−約50mg/kgの範囲が特に好ましい。しかし、実際に投
与される化合物の量は、治療すべき病態、投与すべき化合物の選択、個々の患者
の年令、体重並びに応答、患者の症状の重篤度、および選択された投与経路を含
め、関連事情を考慮した上で医者により決定されるであろうことから、先の投与
量範囲は、本発明の範囲を何ら制限しようと意図するものではないということが
分かるであろう。該化合物は、経口、経皮、皮下、鼻腔内、筋肉内、および静脈
内経路といったような種々の経路により投与することができる。
種々の生理的機能が、5−HT2A、5−HT2B、および/または5−HT2C受
容体により影響を及ぼされる対象であることが示されている。従って、本発明の
化合物は、これらの受容体と関係する、哺乳動物における種々の障害を治療する
のに使用することができる。そのような障害には、睡眠障害、病的飢餓並びに肥
満を含む摂食障害、体温調節、性的障害、活動過剰、過剰な攻撃、アルコール中
毒、不安、強迫障害、うつ病、精神病、精神分裂病並びに精神分裂病型障害、恐
慌障害、ジル・ド・ラ・トゥーレット症候群、片頭痛、およびアルツハイマー病
が含まれる。加えて、5−HT2A、5−HT2B、および/または5−HT2C受容
体の作用により、本発明の化合物が痛覚を軽減するのに有用となり得ることが示
されている。従って、本発明はまた、先の障害を治療するための、また痛覚を軽
減するための方法も提供する。
本発明の化合物を使用して治療することができる、より具体的な障害の幾つか
の例には、これらに制限されるものではないが、以下のものが含まれる:(括弧
内の数字は、DSM−III−R分類コードを示す)注意欠損多動障害(314.0
1)、行為障害(312.20、312.00、312.90)、アルツハイマー型の
原発性変性痴呆、老年性発症(290.30、290.20、290.21、290
.00)、アルツハイマー型の原発性変性痴呆、若年性発症(290.11、290
.12、290.13、290.10)、アルコール禁断症状せん妄(291.00)
、アルコール性幻覚症(291.30)、アルコール、アルコール中毒と関係する
痴呆(291.20)、大麻、妄想障害(292.11)、コカイン、中毒(305.6
0)、幻覚薬、気分障害(292.84)、ニコチン、禁断症状(292.00)、フ
ェンシクリジンまたは同様に作用するアリールシクロヘキシルアミン中毒(30
5.90)、他の精神活性物質中毒(305.90)、せん妄(293.00)、痴呆(
294.10)、器質性妄想障害(293.81)、器質性幻覚症(293.82)、器
質性気分障害(293.83)、器質性不安障害(294.80)、器質性人格障害(
310.10)、器質性精神障害(294.80)、精神分裂病、緊張病性(295.
21、295.22、295.23、295.24、295.25、295.20)、
精神分裂病、分裂性(295.11、295.12、295.13、295.14、
295.15、295.00)、精神分裂病、パラノイド(295.31、295.3
2、295.33、295.34、295.35、295.00)、精神分裂病、未
分化(295.91、295.92、295.93、295.94、295.95、2
95.00)、精神分裂病、残存性(295.61、295.62、295.63、2
95.64、295.65、295.60)、妄想(パラノイド)障害(297.10)
、精神分裂病型障害(295.40)、分裂情動性障害(295.70)、誘発精神障
害(297.30)、双極障害、混合型(296.61、296.62、296.63
、296.64、296.65、296.66、296.60)、双極障害、躁病性(
296.41、296.42、296.43、296.44、296.45、296.
46、296.40)、双極障害、うつ病性(296.51、296.52、296.
53、296.54、296.55、296.56、296.50)、重症型うつ病
、単発性(296.
21、296.22、296.23、296.24、296.25、296.26、
296.20)、重症型うつ病、再発性(296.31、296.32、269.33
、296.34、296.35、296.36、296.30)、強迫障害(300.
30)、外傷後ストレス障害(309.89)、全身性不安障害(300.02)、心
気症(300.07)、身体化障害(300.81)、男性勃起障害(302.72)、
間欠性爆発性障害(312.34)、衝動調節障害(312.39)、パラノイド(3
01.00)、分裂病質(301.20)、精神分裂病型(301.22)、反社会的(
301.70)、および境界(301.83)。Task Force on Nomenclature and
Statistics of the American Psychiatric Associationにより作成された
、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第3版、改 訂版
、(1980)。
本発明の特に有用な態様の1つは、5−HT2B受容体に対する選択的リガンド
を提供することである。現在、本発明の化合物を、5−HT2B受容体でのアゴニ
ストの作用をブロックするため先に示した割合で使用して、5−HT2B受容体を
選択的に変調することができる。この選択的親和性により、副作用のより少ない
治療を提供することができ、またさらなる治療薬の開発が促進されるであろう。
本発明の幾つかの化合物は、5−HT2B受容体に結合する該化合物の親和性を
測定する5−HT2B受容体結合アッセイにおいて、優れた活性を示すことが分か
っている。さらに、該化合物の幾つかは、5−HT2C受容体および/または5−
HT2A受容体に結合する。該アッセイを以下の方法により行った。5−HT2Aおよび5−HT2Cアッセイ
I.生物学的試薬の調製
ウシ脳を屠殺直後に摘出して、脈絡叢を氷上で切開した。体重が125−15
0gである雄のSprague-Dawleyラット(Harlan Industries、Cumberland、
IN)を断頭により屠殺した。各々の脳を直ちに摘出して、大脳皮質を氷上で切
開した。組織を0.32mol/Lのショ糖9体積中でホモジナイズして、1,00
0×gで10分間遠心分離した。その上清を17,000×gで20分間遠心分
離した。そのペレットを50mMのトリス−HCl(pH 7.4)100体積中に懸
濁させ、37℃で10分間インキュベートして、50,000×gで10分間遠
心分離し、またその工程を3回繰り返した。その最終ペレットを−70℃で凍結
して、2週間以内に使用した。ペレットは、使用する前に生理緩衝液で再び水和
した。
II.アッセイ法
5−HT2Cおよび5−HT2A受容体に関する放射リガンド結合アッセイを記載
された方法に従って行った。該アッセイは、Hoyer D、Functional correlate
s of serotonin 5−HT1 recognition sites、J.Receptor Res.、8、59
−81(1988)、およびHoyer D、Engel G、Kalkman HO、Molecula
r pharmacology of 5−HT1 and 5−HT2 recognition sites in rat and p
ig brain membranes:Radio-ligand binding studies with[3H]5−HT,[3
H]8−OH−DPAT,(−)[125I]iodocyanopindolol,[3H]mesulergine an
d [3H]ketanserin、Eur.J.Pharmacol.、118、13−23(1985)に
より記載されているようにして行うことができる。
試験化合物の濃度を増加させる5−HT2C受容体アッセイの場合は、ポリスチ
レンチューブ中、50mMのトリス−HCl緩衝液(pH 7.4)およびトリチウム
化メスラジン(mesulergine)(2.0nM)(3Hリガンド)を室温で混合した。あらか
じめ37℃で20分間インキュベートしておいた、再び懸濁させた脈絡叢組織を
加えることにより、反応を開始した。その反応混合物を37℃の水浴中で15分
間インキュベートした。
試験化合物の濃度を増加させる5−HT2A受容体アッセイの場合は、ポリスチ
レンチューブ中、50mMのトリス−HCl緩衝液(pH 7.4)およびトリチウム
化ケタンセリン(ketanserin)(1nM)(3Hリガンド)を室温で混合した。あらかじ
め37℃で20分間インキュベートしておいた、再び懸濁させた大脳皮質組織を
加えることにより、反応を開始した。その反応混合物を37℃の水浴中で30分
間インキュベートした。
多くの化合物をスクリーニングした後、先のアッセイを一部変更して、5−H
T2Cアッセイにおける本発明の化合物の予期せぬ高い効力に適合させた。該アッ
セイにおける試験化合物の濃度範囲を[0.1−1000(nM)]から[0.1−
100(nM)]に変更して、試薬の使用および分析時間を最適化した。
あらかじめトリス緩衝液(pH 7.4)に浸しておいたWhatman GF/B ガラ
スフィルターに通して急速濾過、(Brandel Cell Harvestor)することにより
、反応を終了した。次いで、そのフィルターを氷冷トリス緩衝液(pH 7.4)5m
lで2回洗浄した。洗浄したフィルターをシンチレーションバイアル中に入れ、
10mlのRedySolv、(Brandel)、を加えて、試料をSearle D−300 βカ
ウンターで計数した。幾つかの場合における3回の実験測定に関して平均および
標準誤差統計を計算した。平均値を3つまたそれ以上の別々の測定から得た。反
応混合物に対するインキュベーション時間は、37℃で15分であった。
放射リガンド結合の50%阻害を引き起こす濃度(IC50)およびHill係数を
コンピューター支援回帰分析により得た。
本発明の化合物を試験して、5−HT2Aおよび/または5−HT2C受容体での
活性を実証した。
本発明の化合物をスクリーニングするのに有用である別の試験は、以下のよう
にして完了することができる。
放射リガンド結合試験:
形質転換細胞からの膜調製。
4℃、2,200×gで15分間遠心分離することにより、クローン化ラットの
5−HT2B受容体を発現する懸濁細胞を回収した。Kursar,J.D.、D.L.Nel
son、D.B.Wainscott、M.L.Cohen、およびM.Baez、Mol.Pharmacol.、42
:549−557(1992)。そのペレットを50mMのトリス−HCl(p
H 7.4)中にボルテックスすることにより、結合アッセイ用の膜を調製した(0
.5×109細胞/30ml)。次いで、その組織懸濁液を、4℃、39,800×g
で10分間遠心分離した。1回目と2回目の洗浄の間に37℃で10分間インキ
ュベーションする合計3回の洗浄について、この手順を繰り返した。15秒間6
5
にセットしたTissumizer(Tekmar、Cincinnati、OH)を用いて、最終ペレッ
トを67mMのトリス−HCl(pH 7.4)中でホモジナイズした(低レベルおよび
比較的高レベルの5−HT2B受容体を発現する細胞に関して、最初の細胞数が各
々、20−40および12.5×106細胞/mlで)。
[3H]5−HT結合試験。
Biomek 1000(Beckman Instruments、Fullerton、CA)を用いて、結合
アッセイを自動化して、全量0.8ml中で3回行った。膜懸濁液200μl(0.0
4−0.27mgタンパク)および薬物の希釈水溶液200μlを、[3H]5−HT、
パージリン、CaCl2、およびL−アスコルビン酸を含む67mMのトリス−HC
l(pH 7.4)400μlに加えた。パージリン、CaCl2、およびL−アスコルビ
ン酸の最終濃度は各々、10μM、3mM、および0.1%であった。試験管を
37℃で15分間または0℃で2時間インキュベートした(これらの両方の条件
に関して結合平衡を確認した)後、あらかじめ0.5%のポリエチレンイミンに浸
しておき、またあらかじめ50mMの氷冷トリス−HCl(pH 7.4)で冷却して
おいたWhatman GF/B フィルターに通すBrandel cell harvester(Model
MB−48R;Brandel、Gaithersburg、MD)を用いて、急速に濾過した。次
いで、そのフィルターを50mMの氷冷トリス−HCl(pH 7.4)1mlで急速に
4回洗浄した。そのフィルター上に捕集された[3H]5−HTの量を液体シンチ
レーション分光測定(Ready Protein and Beckman)により測定した。Biomek
1000(Beckman Instruments、Fullerton、CA)を用いて自動化して、全
量0.8ml中で3回行った。膜懸濁液200μl(0.04−0.27mgタンパク)お
よび薬物の希釈水溶液200μlを、[3H]5−HT、パージリン、CaCl2、お
よびL−アスコルビン酸を含む67mMのトリス−HCl(pH 7.4)400μlに
加えた。パージリン、CaCl2、およびL−アスコルビン酸の最終濃度は各々、
10μM、3mM、および0.1%であった。チューブを37℃で15分間また
は0℃で2時間インキュベートした(これらの両方の条件に関して結合平衡を確
認した)後、あらかじめ0.5%のポリエチレンイミンに浸しておき、またあらか
じめ50mMの氷冷トリス−HCl(pH 7.4)で冷却しておいたWhatman GF/
B フィ
ルターに通すBrandel cell harvester(Model MB−48R;Brandel、Gait
hersburg、MD)を用いて、急速に濾過した。次いで、そのフィルターを50mM
の氷冷トリス−HCl(pH 7.4)1mlで急速に4回洗浄した。そのフィルター上
に捕集された[3H]5−HTの量を液体シンチレーション分光測定(Ready Prot
ein and Beckman)により測定した。部分F−検定を用いて、1部位または2部
位結合モデルに対する最良の適合に関して測定した。De Lean,A.、A.A.Ha
ncock、およびR.J.Lefkowitz、Mol.Pharmacol.、21:5−16(198
1)。1部位結合モデルについては以下の式を使用し、
[式中、結合=特異的に結合した[3H]5−HTの量、Bmax=結合部位の最大数
、Kd=平衡解離定数、および[L]=[3H]5−HTの遊離濃度]、
2部位結合モデルについては以下の式を使用した。
[式中、結合=特異的に結合した[3H]5−HTの量、Bmax1=高親和性結合部
位の最大数、Bmax2=低親和性結合部位の最大数、Kd1=高親和性部位に関する
平衡解離定数、Kd2=低親和性部位に関する平衡解離定数、および[L]=[3H
]5−HTの遊離濃度]。
4つのパラメーター算定式の非線形回帰分析(Systat、Systat Inc、Evansto
n、IL)により、競合アッセイから得られたIC50値、IP3標準曲線に関する
結合パラメーター、およびIP3アッセイから得られたEC50値およびEmax値を
決定した。De Lean,A.、A.A.Hancock、およびR.J.Lefkowitz、Mol.P
harmacol.、21:5−16(1981)。Cheng−Prusoffの式を用いて、I
C50値をKi値に変換した。Cheng,Y.、およびW.H.Prusoff、Biochem.Pha
rmacol.、22:3099−3108(1973)。
記載したインビトロにおけるアッセイを用いて、本発明の化合物を試験した。
放射リガンド結合試験の結果を表Iで説明する。表Iにおいて報告した数値は、
以下に記載するようにして計算されたKiとして表す。
インビトロにおける5−HT2B受容体結合を測定するための別の有用なアッセイ
は、以下の方法である。
雄のWistarラット(150−375g;Laboratory Supply、Indianapolis
、IN)を頸部脱臼により屠殺して、胃底の縦の切片をインビトロにおける実験
用に作製した。1匹のラット胃底から4つの切片を得た。抜き取った頚静脈の輪
状切片は、Hooker;Blood Vessels、14:1(1977)およびCohen,M.
L.、J.Pharamcol.Exp.Ther.、227:327(1983)により記載され
たようにして作製した。組織を、以下の組成(ミリモル濃度)の改質Krebs溶液1
0mlを含む器官浴中にマウントした:NaCl、118.2;KCl、4.6;CaC
l2・H2O、1.6;KH2PO4、1.2;MgSO4、1.2;デキストロース、1
0.0;およびNaHCO3、24.8。組織浴溶液を37℃に維持して、95%の
O2および5%のCO2で平衡化した。組織を最適静止力(4g)下に置いて、約1
時
間平衡化した後、試験化合物にさらした。Statham UC−3変換器を備えたBe
ckman Dynographで、等長収縮を力(g)の変化として記録した。
見かけのアンタゴニスト解離定数の決定:
前の濃度を15−20分毎に洗い流した後で段階的に濃度を上昇させることに
より、底におけるセロトニンに関する非累積収縮濃度−応答曲線および頚静脈に
おける累積濃度一応答曲線を得た。組織を各々のアゴニスト濃度に約2分間接触
させたままにして、各々の化合物濃度に対する最大応答を測定した。最大収縮の
半分を生ずるアゴニストの濃度として、ED50値を求めた。対照応答を得た後、
組織を適当な濃度の緩衝液またはアンタゴニストと1時間インキュベートした。
次いで、セロトニンに対する応答をアンタゴニストの存在下に繰り返した。濃度
応答では、1つの組織当り1つのアゴニストおよび1つのアンタゴニスト濃度の
みを利用した。一般に、緩衝液処理の存在下における逐次アゴニスト応答は変化
しなかった(平均用量比は、1.28+/−0.21)。
以下の式に従って、見かけのアンタゴニスト解離定数(KB)をアンタゴニスト
の各々の濃度に関して決定した:
KB=[B]/(用量比−1)
[式中、[B]はアンタゴニストの濃度であり、また用量比はアンタゴニストの
存在下におけるアゴニストのED50を対照のED50で割ったものである]。
一般には、アンタゴニストの存在下、濃度−応答曲線において平行なシフトが生
じた。その結果をKBの負の対数(すなわち、−logKB)として表した。既知の方
法を用いて、計算を完了した。Zaborowsky,B.R.、J.Pharmacol.Methods、4
:4165(1980)。
インビトロにおける方法(上記)を用いて、本発明の化合物を試験して、5−H
T2B受容体での活性を実証した。
5−HT2B受容体で活性を示す化合物は、5−HT2B受容体の変調に関する障
害を治療するのに有用である。例えば、5−HT2Bアンタゴニスト活性を有する
化合物は、結腸の痙性を減少させる。これらの化合物は、過敏性腸症候群および
過敏性腸症候群に関する症状を含め、機能的腸障害の治療に有用である。そのよ
うな化合物の抗痙攣作用により、機能的腸障害と関係する腹痛を減少させること
ができる。
5−HT2A受容体で活性を示す化合物は、5−HT2A受容体の変調に関する病
態の治療または予防において特に有用である。そのような病態の例には、高血圧
、睡眠障害、幻覚誘発活性、精神病、不安、うつ病、体温調節、栄養障害、およ
び低血圧が含まれる。Leonard,B.E.、International Clinical Psychopha rmacology
、7、13−21(1992)。
当業者なら、精神病または精神病性病態が、幻覚、妄想、または現実検討にお
いて患者が甚だしい障害を患っていることを示す、ひどく分裂した行動により特
徴付けられることが分かるであろう。従って、抗精神病活性を有する薬物が、種
々の重要な精神病性病態を治療するのに有用となり得る。
何ら製剤化することなく、本発明の化合物を直接投与することは可能であるが
、該化合物は、薬学上許容され得る賦形剤および本発明の少なくとも1つの化合
物を含んでなる医薬品製剤の形で使用するのが好ましい。そのような組成物は、
本発明の化合物を約0.1重量%−約90.0重量%含む。このように、本発明は
また、本発明の化合物および薬学上許容され得る賦形剤を含んでなる医薬品製剤
も提供する。
本発明の組成物を製造する際は、通常、活性成分を、担体となり得る賦形剤と
混合するか、または担体で希釈するか、またはカプセル、サシェ、紙もしくは他
の容器の形態となり得る担体内に充填する。担体が希釈剤として働く場合、担体
は、固体、半固体、または液体の物質であってよく、これは活性成分に対してビ
ヒクル、賦形剤または媒質として働く。従って、該組成物は、錠剤、丸剤、粉末
剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、乳剤、溶液剤、シロップ
剤、懸濁剤、エアゾール剤(固体として、または液体媒質中に)、および軟カプセ
ル剤並びに硬カプセル剤の形にすることができる。
本発明の化合物は、所望により、経皮的に送達することができる。経皮浸透増
強剤およびパッチ等を含む送達システムは、当業者に周知である。
適当な担体、賦形剤、および希釈剤の例には、ラクトース、デキストロース、
スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カ
ルシウム、アルギネート、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピ
ロリドン、セルロース、トラガカント、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース
、メチル−並びにプロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグ
ネシウム、水、および鉱油が含まれる。該製剤にはまた、湿潤剤、乳化剤並びに
懸濁化剤、保存剤、甘味料または香料も含まれ得る。当業界で周知の方法を使用
することにより、患者に投与した後、活性成分を即座に、持続的に、または遅延
して放出するよう、本発明の製剤を製剤化することができる。
既知の経皮送達システムおよび賦形剤を用いて、本発明の化合物を経皮的に送
達することができる。最も好ましくは、本発明の化合物を、これに制限されるも
のではないが、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート
、並びにアザシクロアルカン−2−オンを含め、浸透増強剤と混合して、パッチ
または同様の送達システム中に組み込む。所望により、ゲル化剤、乳化剤、およ
び緩衝剤を含め、さらなる賦形剤を経皮製剤に加えてもよい。
経口投与の場合は、理想的には、本発明の化合物を担体並びに希釈剤と混合し
て、錠剤に成形するか、またはゼラチンカプセルに充填することができる。
組成物は、単位投薬量形態で製剤化するのが好ましく、各々の投薬量に、活性
成分を約1−約500mg、さらに通常は約5−約300mg含む。「単位投薬量形
態」という用語は、対象となるヒトや他の哺乳動物に対する単位的投薬量として
適当な、物理的に独立した単位を示し、各々の単位は、所望の治療効果が得られ
るよう、適当な医薬品担体と共に、あらかじめ決定された量の活性物質を含む。
本発明の操作をより完全に説明するために、以下の製剤例を示す。それらの例
は、単に説明するだけのものであって、本発明の範囲を制限しようと意図するも
のではない。該製剤では、本発明のどの化合物も活性化合物として使用すること
ができる。
製剤例 1
以下の成分を使用して、硬ゼラチンカプセル剤を製造する。
上記成分を混合して、硬ゼラチンカプセルに460mg量で充填する。
製剤例 2
薬物を各々20mg含むカプセル剤を以下のようにして製造する。
活性成分、セルロース、デンプン、およびステアリン酸マグネシウムを混合し
、No.45メッシュU.S.篩に通して、硬ゼラチンカプセルに充填する。
製剤例 3
薬物を各々100mg含むカプセル剤を以下のようにして製造する。
上記成分を完全に混合して、空のゼラチンカプセルに入れる。
製剤例 4
活性成分を10mg含む錠剤を以下のようにして製造する。
活性成分、デンプンおよびセルロースをNo.45メッシュU.S.篩に通して、
完全に混合する。その結果得られた粉末とポリビニルピロリドン溶液とを混合し
た後、これをNo.14メッシュU.S.篩に通す。このようにして製造した顆粒を
50℃−60℃で乾燥して、No.18メッシュU.S.篩に通す。次いで、その顆
粒に、あらかじめNo.60メッシュU.S.篩に通しておいたカルボキシメチルデ
ンプンナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびタルクを加え、混合した
後、これを打錠機で圧縮して、重量が100mgである錠剤を得る。
製剤例 5
以下の成分を用いて、錠剤を製造することができる。
各成分を混合し、圧縮して、各々の重量が665mgである錠剤を成形する。
製剤例 6
5ml用量につき、薬物を各々5mg含む懸濁剤は以下の通りである。
薬物をNo.45メッシュU.S.篩に通し、カルボキシメチルセルロースナトリ
ウムおよびシロップと混合して、滑らかなペースト状物質とする。安息香酸溶液
、香料および着色料を少量の水で希釈して、そのペースト状物質に撹拌しながら
加える。次いで、十分な水を加えて、必要とされる容量とする。
製剤例 7
以下の成分を含むエアゾール溶液を製造する。
活性化合物をエタノールと混合して、その混合物をプロペラント22の一部に
加え、−30℃まで冷却して、充填装置に移す。次いで、必要とされる量をス
テンレス鋼製の容器に入れて、さらに残りの量のプロペラントで希釈する。次い
で、その容器にバルブ装置を取り付ける。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG),
AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C
H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB
,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,
LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M
W,MX,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU
,SD,SE,SG,SI,SK,TJ,TT,UA,
UG,UZ,VN
(72)発明者 ニッセン,ジェフリー・スコット
アメリカ合衆国46038インディアナ州 フ
ィッシャーズ、パークビュー・レイン
12208番