JPH09508006A - キネシンと化学療法薬に対する感受性との関連 - Google Patents

キネシンと化学療法薬に対する感受性との関連

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JPH09508006A JP7518581A JP51858195A JPH09508006A JP H09508006 A JPH09508006 A JP H09508006A JP 7518581 A JP7518581 A JP 7518581A JP 51858195 A JP51858195 A JP 51858195A JP H09508006 A JPH09508006 A JP H09508006A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、1種以上の化学療法薬に対する耐性を細胞に与える遺伝的サプレッサー因子、かかる因子を同定および入手するための方法、ならびに、かかる因子を用いる方法を提供するものである。本発明は、また、化学療法薬に対する感受性に関連するクローン化遺伝子、特に、DNAダメージング剤に対する耐性に関係するクローン化ヒトキネシン重鎖遺伝子を提供するものでもある。

Description

【発明の詳細な説明】 キネシンと化学療法薬に対する感受性との関連 発明の背景 1.発明の分野 本発明は、化学療法薬に対する感受性に関連する遺伝因子に関する。さらに詳 しくは、本発明は、かかる因子の同定方法およびかかる因子のための使用に関す る。本発明は、特に、哺乳動物キネシン遺伝子から誘導された遺伝的サプレッサ ー因子、ならびにそれに関係する治療的および診断的使用を提供するものである 。 2.関連技術の概要 ヒトの癌治療において広範囲な種々の化学治療薬が用いられる。例えば、テキ ストブックであるキャンサー:プリンシプルズ・アンド・プラクティス・オブ・ オンコロジー(CANCER:Principles & Practice of Oncology)、第2 版(デ・ビータ(De Vita)ら編)、ジェイ・ビー・リッピンコット・カンパニ ー(J.B.Lippincott Company)、ペンシルベニア州フラデルフィア(1985 )には、主要な抗腫瘍剤として、ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビンデ シンなどの植物アルカロイド;アクチノマイシン−D、ドキソルビシン、ダウノ ルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシンCおよびブレオマイシンなどの抗生 物質;メトトレキセート、5−フルオロウラシル、5−フルオロデオキシウリジ ン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シトシンアラビノシド、5−ア ザ−シチドンおよびヒドロキシ尿素などの代謝拮抗物質;シクロホスファミド、 メルファラン、ブスルファン、CCNU、MeCCNU、BCNU、ストレプト ゾトシン、クロラムブシル、ビスジアミンジクロロ−白金、アゼチジニルベンゾ キノンなどのアルキル化剤;ならびにダカルバジン、mAMSAおよびミトザン トロンなどの種々雑多な薬物が開示されている。 これらの薬物ならびにエトポシドおよびアムサクリンなどの他の薬物は、癌の 治療において非常に有用であることが証明された。残念ながら、特定の化学療法 薬に対して耐性を有するようになった腫瘍細胞があり、多くの化学療法薬に対し ても耐性を有するような場合もある。かかる薬物耐性または多剤耐性は、理論的 には、薬物に対する耐性を与える遺伝因子の存在、または、薬物に対する感受性 を与える遺伝因子の欠如のいずれかにより生じることができる。前者のタイプの 因子は、同定されており、多薬物耐性遺伝子mdr−1が挙げられる[チェン( Chen)ら、1986、セル(Cell)47:381−389を参照]。しかしな がら、後者のタイプの因子は、おそらく一部分、かかる因子の欠如が劣性形質で ある傾向にあるので、大部分が知られていない。 化学療法薬に対する感受性に関連する遺伝子の発見により、癌細胞および薬物 耐性癌に対する診断的および治療的アプローチならびに遺伝子治療および合理的 薬物設計における改良を行うことができるので、該遺伝子の同定が望ましい。最 近、細胞毒感受性に関係する因子を含む劣性遺伝因子を単離する困難な領域にお いていくつかの研究が行われた。ロニンソン(Roninson)らのU.S.特許第5, 217,889号(1993年6月8日発行)には、特定の遺伝的サプレッサー 因子(GSE)が対応する遺伝子の劣性型表現型を与える優性ネガティブ因子で ある遺伝的サプレッサー因子(GSE)を得るための一般化した方法が開示され ている[ホルツマイヤー(Holzmayer)ら、1992、ニュークリイック・アシ ッズ・リサーチ(Nucleic Acids Res.)20:711−717も参照]。グッ ドコヴ(Gudkov)ら、1993、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・ア カデミー・オブ・サイエンシズ・ユー・エス・エイ(Proc.Natl.Acad.Sci., USA)90:3231−3235には、トポイソメラーゼII型cDNAからの トポイソメラーゼII型−相互作用薬に対する耐性を誘発するGSEの単離が開示 されている。1993年3月3日に出願された同時係属U.S.特許出願第08/ 033,986号には、本発明者による、抗癌性DNAダメージング剤であるエ トポシドに対する耐性を有する細胞のRNAから単離したGSEを同定するため に行われた実験の新規かつ予想外の結果の発見が開示されている。この文献には 、マウスのキネシン重鎖遺伝子の一部と相同であるアンチセンスRNAをコード するGSEがGSEを発現する細胞にエトポシド耐性を与える能力を有すること が 開示されている。該文献に開示されている実験は、該文献に開示されている特定 のキネシン重鎖遺伝子の過小発現が薬物選択ヒト腺癌細胞の培養物中の天然のエ トポシド耐性に関連していたことを示している。これらの結果は、エトポシド耐 性におけるキネシン遺伝子の役割が本発明者らの発見よりも前の技術では知られ ていなかったので、特に予想外であった。 キネシンは、真核細胞中の微小管に沿って小胞または巨大分子の細胞内運動に 関係する一のファミリーの運動タンパクからなる[ヴェイル(Vale)、1987、 Ann.Rev.Cell Biol.3:347−378;およびエンドウ(Endow)、199 1、Trends Biochem.Sci.16:221−225を参照]。キネシン遺伝子の該フ ァミリーには、組み立てて成熟キネシンを形成するキネシン軽鎖およびキネシン 重鎖をコードするものがある。多くのキネシン遺伝子が従来の技術で単離されて いた。 ゲイジャー(Gauger)およびゴールドスタイン(Goldstein)、1993、ジ ャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)268: 13657−13666には、ショウジョウバエ属(Drosophila)のキネシン 軽鎖遺伝子のクローニングおよび配列決定が開示されている。 ネイヴォン(Navone)ら、1992、J.Cell.Biol.117:1263−1 275には、ヒトのキネシン重鎖遺伝子のクローニングおよび配列決定が開示さ れている。 カト(Kato)、1991、J.Neurosci.2:704−711には、マウスのキ ネシン重鎖遺伝子のクローニングおよび配列決定が開示されている。 キル(Cyr)ら、1991、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデ ミー・オブ・サイエンシズ・ユー・エス・エイ(Proc.Natl.Acad.Sci.US A)88:10114−10118には、ラットのキネシン軽鎖遺伝子のクロー ニングおよび配列決定が開示されている。 マクドナルド(McDonald)およびゴールドスタイン(Goldstein)、1990 、セル(Cell)61:991−1000には、ショウジョウバエ属のキネシン 重鎖遺伝子の単離が開示されている。 コジック(Kosik)ら、1990、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミ ストリー(J.Biol.Chem.)265:3278−3283には、イカのキネシ ン重鎖遺伝子の単離が開示されている。 本発明者らは、今まで予想されなかった遺伝子であるキネシン重鎖遺伝子が抗 癌剤エトポシドに対する細胞感受性に関係すること、および、このキネシン重鎖 遺伝子の機能的発現の下方調節がこの薬物に対する耐性に関連していることを示 した。本明細書に記載しているさらなる実験は、化学療法薬におけるキネシン遺 伝子の役割がキネシン遺伝子ファミリーのこの単一のメンバーに限定されないこ とを示した。これらの結果は、さらに、癌細胞における薬物耐性の予想外のメカ ニズムを解明するためにこれらの発明者らによって研究されたGSEテクノロジ ーの力を強調しており、これにより、癌患者における薬物耐性を克服するための 機会および手段が提供される。かかる目的に対する試薬および方法は、この明細 書中に記載される。 発明の簡単な説明 本発明は、化学療法薬に対する感受性に関連する遺伝子から誘導されたランダ ムフラグメントであり、遺伝的サプレッサー因子(GSE)を発現する細胞に化 学療法薬およびDNAダメージング剤に対する耐性を与えるGSEを提供するも のである。本発明は、詳細には、キネシン遺伝子をコードするcDNAおよびゲ ノムDNAから誘導されたGSEを提供するものである。化学療法薬および他の DNAダメージング剤を含む特定の制癌性治療モダリティー(modality)の適用 によって成功裏に軽減または除去されそうな腫瘍に罹っている適当な候補癌患者 を判定するのに有用な診断アッセイは、かかる癌患者によって生じた腫瘍細胞に おけるキネシン遺伝子発現を基礎として本発明によって提供される。イン・ビト ロでの薬物スクリーニングおよび合理的薬物設計方法もまた、本明細書の範囲内 である。 本発明は、耐性が起こり得る化学療法薬に対する耐性を与えるGSEの同定お よび単離方法を提供する1993年3月3日に出願された同時係属U.S.特許出 願第08/033,086号に開示されている発見に一部基づいている。特に、 本発明は、キネシン遺伝子から誘導されたGSEであって、該GSEを発現する 細胞にDNAダメージング剤に対する耐性を与える能力を有するGSEの同定方 法を提供するものである。この方法は、キネシン特異的cDNAから誘導された ランダムフラグメント発現ライブラリーからのクローンを収容する細胞の化学療 法薬選択、および、次なる、薬物耐性細胞からのライブリー挿入物のレスキュー を利用する。第2の態様では、本発明は、イン・ビボでGSEとして機能し、あ る種の化学療法薬を含むDNAダメージング剤に対するGSE耐性を発現する細 胞に与えるキネシン遺伝子から誘導されるオリゴヌクレオチドおよび/またはペ プチドからなるGSEを提供するものである。第3の態様では、本発明は、化学 療法薬に対する感受性に関連するキネシン遺伝子に対する最適化サプレッサー活 性を有するGSEを得るための方法を提供するものである。この方法は、化学療 法薬に対する感受性に関連するキネシン遺伝子のDNAから誘導されるランダム フラグメント発現ライブラリーからのクローンを収容する細胞の化学療法薬選択 、および、次なる、薬物耐性細胞からのライブラリー挿入物のレスキューを利用 する。特に好ましくは、マウスまたはヒトのキネシン遺伝子から誘導したかかる 最適化GSEが提供される。第4の態様では、本発明は、ある種の化学療法薬を 含むDNAダメージング剤に対する耐性を細胞に与える合成ペプチドおよびオリ ゴヌクレオチドを提供するものである。これらの合成ペプチドおよびオリゴヌク レオチドは、本発明のマウスまたはヒトのキネシン遺伝子から誘導された薬物耐 性を与えるGSEの配列に基づいて設計される。 第5の態様では、本発明は、キネシン遺伝子の発現の欠如または過小発現によ る、1つまたはそれ以上の治療用DNAダメージング剤に対する耐性を有し、同 時に、治療用抗微小管剤に対する感受性を有する腫瘍細胞についての診断アッセ イを提供するものである。この診断アッセイは、試験されるべき特定の腫瘍細胞 試料における特定のキネシン遺伝子産物の発現のレベルを定量化し、次いで、こ のようにして得られた発現レベルを、変化する量のキネシン遺伝子mRNAおよ び/またはタンパクを発現する細胞系であってキネシン遺伝子発現のそれらのレ ベルに関連する化学療法薬およびDNAダメージング剤に対して種々の程度の耐 性を有する細胞系の標準化されたセットと比較することからなる。好ましい具体 例では、かかる細胞系の標準化されたセットは、組織タイプによって、評価され るべき腫瘍細胞の組織タイプに合わせられる。 第6の態様では、本発明は、特定の癌の化学療法的治療モダリティーについて の候補の適正さを判定するための方法を提供するものである。1つの好ましい具 体例では、本発明は、本明細書および同時係属U.S.特許出願第08/033, 086号に開示されているキネシン重鎖遺伝子などのキネシン遺伝子が、本明細 書に記載されているように細胞系の標準化されたセットと比較して、癌患者によ って生じた腫瘍細胞中で過剰発現されるかまたは過小発現されるかを測定するこ とからなる、癌患者がDNAダメージング化学療法薬または放射線などの他のD NAダメージング剤による治療のために適切な候補であるかを判定するための手 段を提供するものである。この方法を用いる場合、ある種の化学療法薬を含むD NAダメージング剤による治療に適切な候補は、腫瘍細胞がキネシン遺伝子を過 剰発現する患者であろう。別の具体例では、本発明は、癌患者が抗微小管化学療 法薬による治療に適切な候補であるかを判定するための手段を提供するものであ る。当該方法のこの態様を用いる場合、抗微小管剤治療に適切な候補は、腫瘍細 胞が細胞系の標準化されたセットにおける発現レベルと比較してキネシン遺伝子 を過小発現する患者であろう。本発明のこの態様の特に有用な具体例では、抗微 小管抗癌剤による治療のための有効な候補癌患者は、DNAダメージング剤を用 いる癌の化学治療の経過に対して抵抗力を失うか、または、抵抗力を有すること を証明したであろう。 第7の態様では、本発明は、化学療法薬に対して耐性を有する腫瘍細胞に対し て有用である医薬品の合理的設計のための出発点を提供するものである。DNA ダメージング剤に対する耐性および抗微小管化学療法薬に対する感受性に関連す るキネシン遺伝子の構造、機能、局在性および発現のパターンを試験することに よって、ストラテジーは、かかるキネシン遺伝子が過剰発現または過小発現され る腫瘍細胞における薬物耐性を克服するであろう医薬品を創作するために研究さ れ得る。 本発明の特に好ましい具体例は、以下により詳述される好ましい具体例および 請求の範囲から明らかになるであろう。 図面の簡単な説明 第1A図および第1B図は、NIH 3T3 cDNAからのランダムフラグメ ント発現ライブリー(RFEL)の構築のためのスキームを示す。第1A図は、 全構築スキームを示す。第1B図は、cDNAフラグメントの規準化を示す。第 1B図において、tは、全非画分化cDNAを表し、sおよびdは、ヒドロキシ アパタイトによって分離された一本鎖および二本鎖フラクションを表し、時点は 、再アニーリングの期間を示し、チューブリン、c−mycおよびc−fosは 、全ての一本鎖および二本鎖フラクションとのサザンハイブリダイゼーションで 用いられたプローブを示す。 第2図は、cDNAクローニングで用いたLNCXベクターおよびアダプター の構造を示す。ヌクレオチド配列は、アダプターのATG−センス鎖(配列番号 1)およびATG−アンチセンス鎖(配列番号2)について示される。 第3図は、化学療法薬耐性を与えるGSEを含有する細胞系を選択し、これら の細胞からGSEをレスキューするための全スキームを示す。 第4A図および第4B図は、予備選択されたウイルスによって与えられたエト ポシド耐性(第4A図)および選択された群および選択されなかった群のPCR 分析(第4B図)を示す。第4C図は、オリジナルプラスミドにおけると同一の 位置および配向でLNCXベクター中に個々のPCR増幅フラグメントを再クロ ーニングするためのスキームを示す。 第5A図および第5B図は、IPTG誘導性プロモーターの下で、GSE抗− khcsによって細胞に与えられた種々の濃度のエトポシドに対する耐性(第5 A図)、およびこの実験のためのスキーム(第5B図)を示す。 第6図は、GSE抗−khcsのヌクレオチド配列(配列番号3)を示す。 第7図は、マウスkhcs cDNAのコード化領域のほとんどのヌクレオチ ド配列(配列番号4)を示す。 第8A図〜第8D図は、ヒト(第8A図)、マウス(第8B図)、ショウジョウ バエ(第8C図)およびGSE−C(第8D図)由来のキネシン重鎖配列を有す る第7図におけるヌクレオチド配列から導き出されたkhcsタンパク配列のド ットマトリックスアラインメントを示す。 第9A図および第9B図は、キネシン誘導性GSEの薬物選択産生のための実 験プロトコール(第9A図)およびランダムフラグメントKHCS cDNAラ イブラリーの調製のために用いたアダプターの構造(第9B図)を示す。 第10図は、無挿入物ベクターウイルスまたはヒトKHCS cDNAのラン ダムフラグメントライブラリーを有するHT1080細胞におけるエトポシド耐 性を示す。 第11図は、無挿入物ベクターウイルスまたは抗−khcsをコードするウイ ルスに感染したNIH 3T3細胞の4日間増殖に対する種々の薬物の効果を示 す。薬物の不在下での細胞増殖は、比較群について5%未満異なった。薬物濃度 は、ng/mlで与えられる。3重に行われる並行アッセイの代表的なシリーズ が示される。 第12図は、コルヒチンまたはビンブラスチンによる処置後の抗khcsを有 する細胞(太線)および対照細胞(破線)の増殖を示す。細胞は、薬物と一緒に 4日間、次いで、所定の無薬物培地中で2または4日間インキュベートした。任 意の単位で表される細胞増殖は、メチレンブルー染色によって評価した。 第13図は、種々の薬物と一緒にインキュベートした抗−khcs GSEを 有する細胞(黒色の線)および対照細胞(灰色の線)の細胞増殖の速度分析を示 す。細胞増殖は、第13図について説明したと同様に測定した。細胞を平板培養 し、1日後(最初の矢印で示す)、所定の薬物を所定の濃度で添加した。4日後 (第2の矢印で示す)、プレートのいくつかから薬物を除去した。太線は、薬物 の連続存在下での細胞増殖を示し、破線は、薬物の除去後の細胞増殖を示す。 第14図は、LNCXベクター単独に感染した細胞または非感染(対照)細胞 と比較して、抗−khcs GSEを含有するLNCXベクターによる感染によ って主要なマウス胚線維芽細胞の増加した不死化を示す。 第15図は、増殖発症におけるヒト皮膚線維芽細胞(対照)と比較して、感染 後、第4継代で抗−khcs GSE(抗−khcs)を含有するLNCXベク ターによる感染によって主要なヒト皮膚線維芽細胞の増加した不死化を示す。 第16図は、種々の非選択およびエトポシド選択ヒトHeLa細胞におけるヒ トkhcs遺伝子の発現のcDNA−PCR定量的分析を示す。レーンaは、ク ローンCS(0)についての結果、レーンa'は、クローンCX(200)について の結果、レーンbは、クローンΣ11(0)についての結果、レーンb'は、クロ ーンΣ11(1000)についての結果、レーンcは、クローン6(0)についての 結果、レーンc'は、クローン6(1000)、レーンdは、クローンΣ20(0) についての結果、レーンd'は、クローンΣ20(1000)についての結果を示 す。各クローン名について括弧内の数字は、増殖培地中に存在するエトポシドの 濃度(ng/ml)を示す。khcs発現の指摘されたバンドは、内部対照とし てβ−2マクログロブリン発現についてのバンドと一緒に示される。 好ましい具体例の詳細な説明 本発明は、化学療法薬に対する感受性および耐性に関連する特異的遺伝子機能 を抑制するための手段に関する。本発明は、遺伝的抑制効果を有し、かくして、 化学療法薬を含むDNAダメージング剤に対する耐性を与えるキネシン遺伝子か ら誘導された遺伝的サプレッサー因子(GSE)を提供するものである。本発明 は、さらに、かかるGSEの同定方法およびそれらの使用方法を提供するもので ある。 本発明の目的のために、「キネシン遺伝子」なる用語は、いずれのキネシン遺 伝子も包含し、特に、哺乳動物、好ましくは、マウスまたはヒトのキネシン遺伝 子を包含すると解されるであろう。キネシンは、真核細胞中の微小管に沿った小 胞または巨大分子の細胞内運動に関連する多くの関連運動タンパクをコードする 関連遺伝子の一ファミリーからなる(発明の背景を参照)。成熟した機能的キネ シン分子は、キネシン重鎖遺伝子およびキネシン軽鎖遺伝子の産生物からなる。 本発明は、キネシン軽鎖およびキネシン重鎖の両遺伝子から誘導されるGSEを 包含する。本発明は、詳細には、全てのキネシン遺伝子およびそれらから誘導さ れた、DNAダメージング剤に対する耐性または感受性を生じさせる能力を有す るGSEをその範囲内に含むものである。 本発明の範囲内であるDNAダメージング剤は、限定されるものではなく、イ オン化および紫外線照射、ならびにアムサクリン、エトポシド、ドキソルビシン (アドリアマイシン)、シスプラチンおよびカンプトテシンを含むある種の化学療 法薬を含む全てのDNAダメージング剤である。 第1の態様において、本発明は、NIH 3T3細胞由来の全細胞性mRNA から作製された規準化されたランダムフラグメント発現ライブラリーから単離さ れ、トポイソメラーゼII薬物エトポシド(本明細書実施例1〜4、および、19 93年3月3日に出願された、同時係属U.S.特許出願第08/033,086 号に記載されている)に対する耐性を与えるその能力に基づいて単離されたマウ スのキネシン重鎖遺伝子のcDNAから誘導されたGSEを提供するものである 。本発明による当該発見の前には、キネシンが如何なる場合にもエトポシド感受 性に関係することは、なんら疑いがなかった。これらの結果は、一般的なGSE 同定方法の、化学療法薬に対する耐性に関する遺伝的基礎についての非常に新し くかつ驚くべき情報を提供する能力を示した。 さらに、エトポシドに対する耐性を与えるキネシン誘導GSEは、キネシンが プログラムされた細胞死に関連することを示す細胞効果を生じた。したがって、 本発明のこの態様による方法は、老化および細胞死についての遺伝的基礎につい ての貴重な情報を提供するものでもある。化学療法薬耐性または老化に関連する 遺伝子を同定するために用いたGSEは、胚におけるトランスジーンとして発現 されて、成長におけるかかる遺伝子の役割を決定することができるので、これは 、成長に関係する遺伝子を研究することについての重要な関係を有する。この薬 物耐性関連GSEに対応するマウスのキネシン重鎖遺伝子の構造の解明は、実施 例5に記載しており、このGSEの薬物耐性能の機能的分析は、実施例7に記載 している。 第2の態様では、本発明は、DNAダメージング剤に対する耐性を与えるキネ シン遺伝子誘導GSEの同定方法を提供するものである。この方法によって同定 されたGSEは、キネシン遺伝子と相同であろう。本発明の目的のために、キネ シン遺伝子と「相同」なる用語は、GSEがアンチセンスメカニズムを介してま たはアンチジーン(antigene)メカニズムを介して(すなわち、タンパクレベル での妨害メカニズムを介して)作用するかによる2種類の意味を有する。前者の 場合、アンチセンスまたは抗原オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドであ るGSEは、それが、生理学的条件下、遺伝子またはそのフーグスティーン型ま たはワトソン−クリック型塩基対によるmRNA転写産物にハイブリダイズする ヌクレオチド配列を有する場合、遺伝子と相同である。後者の場合、タンパク分 子を妨害するGSEは、それがタンパクをコードする遺伝子の一部によってコー ドされると同一のものであるか、または、保存力のあるアミノ酸置換について以 外は同一であるアミノ酸配列を有する場合、タンパク分子をコードする遺伝子と 相同である。いずれの場合も、実際問題として、GSEが遺伝子と相同であるか は、GSEが、本明細書に記載するような、遺伝子、特に、キネシン遺伝子、好 ましくは、マウスまたはヒトのキネシン遺伝子の機能を阻害するかまたは低下さ せる能力を有するかを評価することによって判定される。 本発明のこの態様による方法は、キネシン特異的cDNAまたはキネシン特異 的ゲノムDNAランダムフラグメント発現ライブラリーをスクリーニングして、 ある種の化学療法薬のようなDNAダメージング剤に対する耐性を与えるクロー ンを表現型的に同定する工程からなる。好ましくは、キネシン特異的cDNAま たはキネシン特異的ゲノムDNAのランダムフラグメントのライブラリーをレト ロウイルス発現ベクター中にクローン化する。この好ましい具体例では、該ライ ブラリーを含有するレトロウイルス粒子を用いて、細胞に感染させ、該感染細胞 を、非感染細胞を殺すDNAダメージング剤のある濃度で生存する能力について 試験する。好ましくは、ライブラリー中の挿入物は、約100b.p.〜約700 b.p.、より好ましくは、約200b.p.〜約500b.p.の範囲であろう。D NAダメージング剤に対する耐性を有する細胞のクローナル群を単離した後、G SEをコードするライブラリークローンは、該細胞からレスキューされる。この 段階で、発現ライブラリーの挿入物のヌクレオチド配列が決定される;キネシン 遺伝子特異的cDNAランダムフラグメント発現ライブラリーから誘導されるク ローンにおいて、ヌクレオチド配列は、キネシン遺伝子cDNAヌクレオチド配 列の一部と相同であると思われる。別法としては、レスキューされたライブラリ ークローンは、ヌクレオチド配列決定前に、さらなるトランスフェクションまた は感染および選択アッセイにおいて、DNAダメージング剤および化学療法薬に 対する耐性を与えるその能力についてさらに試験される。もちろん、ヌクレオチ ド配列の決定により、GSEが同定される。この方法は、さらに、実施例6にお いて説明する。 かくして、本発明は、最適化されたサプレッサー活性を有するキネシン遺伝子 誘導GSEを得るための方法を提供するものである。キネシン遺伝子特異的フラ グメントから独占的に作製されたランダムフラグメント発現ライブラリーをスク リーニングすることによって、実施例1におけるような全cDNAから調製され たランダムフラグメントライブラリーと比較して、キネシン遺伝子から特異的に 誘導された非常に多くの種類のGSEを得ることができる。その結果、最適化さ れたGSE、すなわち、化学療法薬に対する最適レベルの耐性を与えるこれらの キネシン誘導GSEを得る見込みは、実施例6においてより詳細に示すように、 単一遺伝子ランダムフラグメントライブラリーアプローチを用いて最大にされる 。 本発明のこの態様のさらなる特徴は、本発明のキネシン誘導GSEの感染性レ トロウイルスエンボディメントを産生する細胞の薬物選択による非常に多くのキ ネシン特異的GSEの産生である。この態様では、キネシンcDNAまたはキネ シンゲノムDNA特異的ランダムフラグメント発現ライブラリーに感染したエコ トロピック細胞は、DNAダメージング剤、好ましくかつ最も実用的には、エト ポシドなどの化学療法薬による選択に付される。これにより、各々、薬物耐性を 提供するキネシン誘導GSEを含有する一群の耐性クローンが得られる。これら の細胞は、本発明のGSEの感染レトロウイルスエンボディメントを産生する能 力を有するので、薬物耐性を与える能力について予め選択された非常に多くのキ ネシン誘導GSEは、容易かつ効率的に産生することができる。 第4の態様では、本発明は、化学療法薬に対する感受性に関連するキネシン遺 伝子の機能を阻害する能力を有する合成ペプチドおよびオリゴヌクレオチドを提 供するものである。本発明による合成ペプチドは、本発明によるGSEによって コードされるアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する。本発明による合成 オリゴヌクレオチドは、本発明によるGSEのヌクレオチド配列に対応するヌク レオチド配列を有する。GSEが発見され、配列決定され、その配向が決定され ると、(アンチセンス配向GSEについて)GSEのヌクレオチド配列に対応す るオリゴヌクレオチドまたは(センス配向GSEについて)GSEによってコー ドされるアミノ酸配列を調製するのは簡単なことである。ある具体例では、かか る合成ペプチドまたはオリゴヌクレオチドは、各々、GSEによってコードされ る完全な配列を有するか、または、GSE中に存在する配列の一部だけを有する 。ある他の具体例では、該ペプチドまたはオリゴヌクレオチドは、GSEコード 化またはGSE配列の一部だけを有する。かかる後者の具体例では、不適当な実 験は、特定の遺伝子に対応する多くの独立GSEクローンが5'または3'末端( 一般的には共にではない)を有するという観察によって回避される。これは、多 くのGSEが1つの臨界終点を有しており、これにより、簡単な歩行(walking )実験が遺伝子機能を阻害するために必要なペプチドまたはオリゴヌクレオチド の最小サイズを決定することを示す。ペプチドについては、6〜8アミノ酸程の 小さな機能性ドメインは、イムノグロブリン結合領域について同定された。かく して、ペプチドまたは該ペプチド以上の大きさを有するペプチド模擬体は、GS Eとして製造することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドについて、遺 伝子機能の阻害は、生理学的条件下、それらの対応するmRNAにハイブリダイ ズするのに充分な長さを有するオリゴヌクレオチドによって媒介され得る。一般 的には、約12以上の塩基を有するオリゴヌクレオチドは、この説明に適するで あろう。好ましくは、かかるオリゴヌクレオチドは、約12〜約100ヌクレオ チドを有するであろう。本明細書で用いる場合、オリゴヌクレオチドなる用語は 、ホスホチオアート、メチルホスホナート、ホスホロジチオアート、ホスホルア ミダート、ホスホトリエステル、スルホン、シロキサアート、カーボナート、カ ルボキシメチルエステル、アセトアミダート、カルバマート、チオエート、架橋 ホスホロアミダート、架橋メチレンホスフェート、ならびに架橋ホスホロチオア ー ト分子間結合を有する修飾オリゴヌクレオチドを含む。これらの修飾結合を含有 するオリゴヌクレオチドの合成は、当該技術分野でよく知られている[例えば、 ウールマン(Uhlmann)およびペイマン(Peyman)、1990、ケミカル・リビ ューズ(Chemical Reviews)90:543−584;シュナイダー(Schneid er)およびバナー(Banner)、1990、テトラヘドロン・レターズ(Terahedr on Letters)32:335]。該オリゴヌクレオチドなる用語は、修飾塩基また は修飾リボースもしくはデオキシリボース糖を有するオリゴヌクレオチドも含む 。 第5の態様では、本発明は、遺伝子コトランスファー研究に有用な優性な選択 性マーカーを提供するものである。本発明によるGSEは、化学療法薬に対する 耐性を与えるので、GSEを発現するベクターの存在は、GSEの不在下で細胞 毒性である適切な細胞毒性薬物のある濃度でのベクタートランスフェクト細胞の 増殖によって容易に選択することができる。本発明のGSEは、それらの小さな サイズにより、それらが限定されたパッケージング能を有するウイルスベクター 中にでさえコトランスファーされるべき遺伝子と一緒に容易に組み込まれるので 、優性な選択性マーカーとして特によく適応される。 第6の態様では、本発明は、キネシン遺伝子の発現の欠如または過小発現によ り、ある種の化学療法薬を含む1つ以上のDNAダメージング剤に対する耐性を 有する腫瘍細胞についての診断的アッセイを提供するものである。特に、耐性が キネシン遺伝子の過小発現に関係するDNAダメージング剤のクラスとしては、 限定されないが、シスプラチン、エトポシドおよびカンプトテシンが挙げられる 。キネシン遺伝子の発現の欠如または過小発現が自然に生じ、かくして、化学療 法薬についての医薬的に重要な基礎であるかを判断するために、ヒト腫瘍細胞を 適切な化学療法薬の細胞毒性量で処理して、自発的薬物耐性突然変異体について 選択することができる。次いで、これらの突然変異体を関心のある特定の遺伝子 の発現のレベルについて評価することができる。発現の欠如または有意に低下し た発現は、化学療法薬耐性の自然のメカニズムを示す。本明細書に記載するヒト キネシン重鎖遺伝子の過小発現がエトポシド耐性ヒト腺癌(HeLa)細胞の培 養物における化学療法薬に対する天然の耐性に関連することを説明するかかる実 験 の説明は、本明細書の実施例11および1993年3月3日に出願された同時係 属中のU.S.特許出願第08/033,086号に記載されている。このアッセ イの好ましい具体例では、薬物耐性のレベルおよびキネシン遺伝子発現が定量化 され、お互いに相互関係が示された場合に組織特異的細胞系の標準的なセットは 、アッセイされるべき各組織タイプからの腫瘍について提供される。 別法として、および好ましくは、天然の治療反応性および非反応性腫瘍組織試 料の回収は、キネシン遺伝子の発現レベルについて試験され得、治療結果および 、おそらくその薬物耐性メカニズム、およびキネシン遺伝子発現の間の相互関係 が確立された。 したがって、かかる低下または欠如した発現は、関心のあるDNAダメージン グ剤または化学療法薬に対する腫瘍細胞耐性についての診断的アッセイについて の基礎であり得る。本発明のこの態様による診断的アッセイの最初の具体例は、 キネシン遺伝子の配列と相同であるオリゴヌクレオチドを利用する。この具体例 では、RNAは、腫瘍試料から抽出され、特定のキネシン遺伝子に対して特異的 なRNAは、標準的なフィルターハイブリダイゼーション法、RNase保護ア ッセイまたは定量的cDNA−PCRによって定量化される[ノーナン(Noonan )ら、1990、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・ サイエンシズ・ユー・エス・エイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)87:7 160−7164]。本発明のこの態様による診断的アッセイの第2の具体例で は、抗体は、キネシン重鎖またはキネシン軽鎖タンパクの一部と同一であるアミ ノ酸配列を有する合成ペプチドに対して生じる[ネイヴォン(Navone)らの上記 文献を参照]。次いで、これらの抗体を慣用の定量的免疫アッセイ(例えば、R IAまたは免疫組織化学的アッセイ)において用いて、試験されるべき腫瘍細胞 から抽出されたタンパクの試料中に存在するか、または試験されるべき腫瘍細胞 の表面または該腫瘍細胞内の位置にある関心のある遺伝子産物の量を測定する。 本発明のかかる診断的アッセイについての特定の利用能は、ヒトにおける悪性 疾患の緩和のための治療決定を行う際のそれらの臨床的使用である。例えば、腫 瘍のかかるキネシン過小発現細胞がかかる薬物に対して耐性を有すると思われる ので、本発明のキネシン重鎖遺伝子がこの組織からなる正常な細胞中で見られる 発現のレベルと比較して腫瘍中で過小発現されることの決定は、かかる腫瘍に罹 っている患者がDNAダメージング剤を用いる治療的介入についての乏しい候補 であることを示す。同様に、本発明のキネシン重鎖遺伝子を偶然にも過剰発現す る腫瘍細胞は、かかる薬剤に対する感受性を有し、かくして、これらの薬剤によ る腫瘍細胞死滅に影響されやすいと思われる。他方、本説明は、キネシン重鎖遺 伝子過小発現物が、例えば、コルチシン、コルセミド、ビンブラスチン、ビンク リスチンおよびビンデシンを含む抗微小管剤の細胞致死性作用に対する感受性を 有するという実験的証拠を提供する。これらの結果は、細胞が本発明のキネシン 重鎖遺伝子を過小発現する腫瘍に罹っている患者がDNAダメージング剤による 治療に反応することを示す。かくして、本発明は、DNAダメージング剤および 他の化学療法的治療モダリティーに対する個々の癌患者の腫瘍耐性または感受性 の性質に基づいて、理性的でありかつ知識のある治療的介入を可能にする。ここ で、治療の選択は、DNAダメージング剤に対して特異的な耐性のメカニズムに 基づき、かつ、キネシン重鎖遺伝子過剰または過小発現によって媒介される治療 の開始前に行われ得る。腫瘍試料中のキネシン発現レベルの検出のために、ネイ ヴォン(Navone)ら(上記文献)に開示されている抗キネシン重鎖抗体などの キネシン特異的抗体が本発明のこの態様において特に有用である。 第7の態様では、本発明は、化学療法薬に対する腫瘍細胞による耐性を中和す ることができる医薬品の合理的設計についての出発点を提供するものでもある。 薬物感受性に関係するキネシン遺伝子の生化学的機能を理解することは、かか る遺伝子の機能を刺激または模擬し、かくして、抗癌剤に対する細胞毒性反応を 増加させるための医薬的手段を示すと思われる。転写のレベルで遺伝子発現を上 方調節することもできる。これは、対応するキネシン遺伝子の各々のプロモータ ー領域をクローニングし、特異的な生物学的刺激物質に対する反応を提供するこ とが知られているcis因子の存在についてプロモーター配列を分析することに よって行うことができる。真核細胞中のキネシンの、すなわちキネシン重鎖およ びキネシン軽鎖の両方のタンパクからなる構造のために、適切なキネシン軽鎖お よび重鎖の両方のタンパクの発現の同等の上方調節は、キネシン遺伝子の発現を 調節することに基づいた効果的な治療的介入のために必要である。 別法としては、癌細胞におけるキネシン発現は、キネシン重鎖および軽鎖の機 能的な全長コピーをコードする組換え発現構築物の同時導入によって増加させる ことができる。これにより、かかる外因性キネシンの同等な同時発現が癌細胞に おける機能的なキネシン分子の増加した発現を生じるであろう。 cDNA配列から産生されたタンパク構造は、コンピューターによる薬物設計 のために用いられて、既知の抗癌剤と同様の方法でこのタンパクに影響を及ぼす 新しい薬物を研究することができる。慣用の発現系で産生された精製タンパクは 、抗癌活性を有する新しい化合物についてイン・ビトロ生化学的スクリーン系の 臨界的成分として用いられる。したがって、本発明による化学療法薬耐性を与え るGSEを発現する哺乳動物細胞は、薬物耐性を克服する能力について化合物を スクリーニングするために有用である。医薬的介入方法を用いる場合、キネシン 軽鎖および重鎖は、共に、イン・ビトロで成熟キネシン分子を再構成することが できる量でかかるイン・ビトロスクリーニング系中に存在すべきである。 本発明の特に好ましい具体例は、以下にさらに詳細に説明したある好ましい具 体例および請求の範囲から明らかにされるであろう。 実施例1 レトロウイルスベクターにおける 正常ランダムフラグメントcDNAライブラリーの構築 正常cDNA集合は、図1Aおよび1Bに示すパタンジャリ(Patanjali)らの プロトコール(プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サ イエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第88巻: 1943-1947頁(1991年))の修飾形を用いて調製した。ポリ(A)+RNA はNIH3T3細胞から抽出した。細胞成長の種々の段階において発現される異 なった遺伝子に対するmRNAを採取するために、RNAの半分は急速に成長す る培養物から単離し、もう半分は完全な単層集合に到達した静止期細胞から単離 した。ランダム・プライムド(primed)cDNA集合の5'-末端の過剰発現を回避 するために、煮沸によってRNAを600-1,000ヌクレオチドの範囲の平均 サイズに断片化した。ついで、これらのRNA断片を用いてランダム・プライム ド二本鎖cDNAを調製した。3種のすべての可能性のある読み枠で、かつ翻訳 を開始させるための適当な前後関係でATGコドンを供しつつ、このランダム・ プライムドcDNAを合成アダプターに連結した。アダプターの構造(図2参照) は、各断片がその向きから独立して開始コドンから出発するように、cDNAの 平滑末端化断片へのその連結を決定する。該アダプターには反対の鎖中に終始コ ドンを供されていなかった。なぜなら、クローニングベクターpLNCXが、ク ローニングサイトのすぐ下流にかかるサイトを含んでいるからである(このベク ターは、ミラー(Miller)およびロスマン(Rosman)、バイオテクニックス(Biot echniques)第7巻:980-986頁(1989年)によって記載されている)。連 結した混合物は、(最初のcDNA調製物をファージベクターにクローニングし 、ついでベクター由来の配列をPCRプライマーとして用いることを利用してc DNA集合を増幅させるパタンジャリ(Patanjali)らの方法に対して)PCRプ ライマーとしてアダプターの「センス」鎖を用いたPCRで増幅させた。該PC Rは、特異的配列のランダムオーバー(over-)またはアンダー(under)-増幅を最 小限化し、かつ産物の収量を増加させるために、続いて合わせる12種の 別々の反応で行った。該PCR-増幅混合物を、ゲル電気泳動によってサイズ-分 画し、続く操作のために(400−1,600bpの範囲のパタンジャリ(Patanj ali)の断片サイズに対して)200-500bpの断片を選抜した。 正常化するために、パタンジャリ(Ptanjali)ら(前掲)によって記載され、図 1Aに示すごとく、再アニーリングには異なった時点を用いてcDNA調製物を 変性し再アニーリングさせた。各再アニーリング混合物からの一本鎖および二本 鎖DNAは、ヒドロキシアパタイト・クロマトグラフィーによって分離した。各 再アニーリング時点からの一本鎖DNA画分は、アダプター由来のプライマーを 用いてPCR-増幅し、種々のmRNAの相対量につきサザン・ハイブリダイゼ ーションによって分析した。各々、高-、中-、および低-発現の遺伝子に対応す る(図1Aおよび1B参照)、同様な比率のチューブリン、c-mycおよびc-f oscDNA配列を含む画分をライブラリーの調製に用いた。 正常化cDNA調製物は、レトロウイルス長末端反復(LTR)中に含まれるプ ロモーターから転写されるneo(G418耐性)遺伝子を運搬し、サイトメガロ ウイルス(CMV)の強力なプロモーターからインサート配列を発現する、MoM LVをベースとするレトロウイルスベクターpLNCXのClaIサイトにクロー ン化した(図2参照)。5部に分割した連結混合物を、イー・コリ(E.coli)の5 つの続く大スケール形質転換に用いた。形質転換した細菌を、合計500枚の寒 天平板(直径150mm)に平板して、洗い流した寒天のコロニーからプラスミド 集合(合計18mg)を単離した。合計約5×107クローンが得られ、50個の 任意に採取したコロニーからのインサートのPCR増幅によって概算すると、こ れらの60%を超えるものが正常化cDNAのインサートを運搬していた。これ らの結果は、レトロウイルス・プラスミド発現ベクターにおいて3×107組換 えクローン程度の正常化cDNAライブラリーを作製する容易性を示している。 実施例2 レトロウイルスランダム断片ライブラリーの ウイルス-パッケージング細胞系統およびNIH3T3細胞への形質導入 レトロウイルスのビリオン蛋白質を発現するウイルス-パッケージング細胞(N IH3T3の誘導体)(かかる細胞系統の例はマルコビッツ(Markowitz)ら、バイ ロロジー(Virology)第167巻:400-406頁(1988年)によって記載さ れている)へのトランスフェクションによって、実施例1に従って調製したプラ スミドライブラリーをレトロウイルス粒子の混合物に移入した。各々、エコトロ ピックおよび両種性ウイルス-パッケージング細胞系統であるGP+E86およ びGP+envAm12を1:1に比にて混合し、標準的なリン酸カルシウム共 沈条件下にてこの混合物107細胞をプラスミドライブラリーでトランスフェク トした。このトランスフェクションによって、パッケージングならびにエコトロ ピックおよび両種性のウイルスの分泌を生じ、これらはパッケージング細胞集合 を介して急速に拡範する。なぜなら、エコトロピックウイルスは両種性パッケー ジング細胞に感染できるかその逆であるからである。NIH3T3細胞の感染後 に得たG418-耐性コロニー数によって測定したウイルスの収量は、一過性ト ランスフェクションのステージの間(1−3日)の培地1mL当たりで105感染 単位に達し、ついで減少(4-8日)し、ついで大部分のパッケージング細胞に安 定して組み込まれるようになったプロウイルスゲノムの発現によって急激に増加 した。トランスフェクション9-12日後のウイルスの収量は、培地上清1mL 当たり>104に達した。このステージで、該ライブラリーは種々の断片のかな り一様な発現を示したが、後のステージでは個々のウイルス-産生クローンが集 合中で優勢となり始め、cDNA-由来インサートの一様でない発現を導いた。 レトロウイルス集合における均一な配列の発現は、ウイルス-含有上清で感染し た細胞からDNAを迅速に抽出し、つづいてインサートをPCR増幅することに よってモニターした。該インサートは、最初にエチジウム-ブロマイド染色アガ ロースゲルにおける連続した縞模様の産生によって、ついでトポイソメラーゼII 、c-mycおよびチューブリンを含む種々のプローブとのサザン・ハイブリダ イゼーションによって分析した。各遺伝子が複数の断片の縞模様によって表され る限り、該ライブラリーの発現性は満足いくべきものと考えた。 もう1つの実験において、発現性を欠失することなくランダム-断片正常化 cDNAライブラリーをNIH3T3細胞に形質導入するために、感染の一過性 ステージ(1-3日目)に産生されるウイルスか、または感染10−12日後に採 取した高力価ウイルスかでNIH3T3細胞を感染した。後者の場合においては 、ウイルス懸濁液100mlには108感染単位を超えるウイルスが含まれる。「 一過性」ウイルスの場合においては、ウイルス-産生細胞からの培地500ml( 感染の5つの円形、各々100mlの培地)を用いることによって少なくとも107 組換えレトロウイルスでNIH3T3細胞を感染させた。これらの結果は、大 きく複雑なランダム断片ライブラリーをレトロウイルス形に転換し、その複雑性 を欠失することなく非-パッケージング細胞系統にそれをデリバリーする容易性 を示している。 実施例3 化学療法剤エトポシドに対する耐性を付与するGSEの単離 エトポシド耐性を付与するGSEの選抜の全体スキームを図3に示す。この選 抜は、GSEの発現によって生じる耐性発現型の細胞はかかるGSEを運搬する ウイルス粒子を産生するであろうという予想で、ウイルス-産生パッケージング 細胞上で直接行った。両種性およびエコトロピック・パッケージング細胞の混合 物を、実施例1に従って調製したLNCXベクター中のcDNAライブラリーで トランスフェクトし、そのウイルスを集合を通して9日間拡範させた。G418 耐性の小部分の集合の分析により、事実上100%の細胞がneo-含有プロウ イルスを運搬していることが示された。ついで、この細胞を350ng/mLエ トポシドに15日間暴し、ついで無薬剤でさらに2週間増殖させた。エトポシド 選抜した後の該実験で得られたコロニー数と対照(非感染細胞または無インサー トLNCXウイルスで感染した細胞)で得られたものとの間に差は全く認められ なかった。ついで、生存細胞の培地上清に存在するウイルスを用いてNIH3T 3細胞を感染し、つづいて実質的に同一のプロトコールを用いてエトポシド選抜 した。エトポシドで選抜したパッキング細胞によって産生されたライブラリー- 由来ウイルスで感染したNIH3T3細胞が、無インサート-LNCXウイルス で感染した対照細胞に比してエトポシド-耐性細胞数でより大きな増加を示すこ とは、前もって選抜したウイルス集合中に生物学的に活性なGSEが存在するこ とを示している(図4A参照)。 エトポシド-選抜NIH3T3細胞で得られたプロウイルス・インサートはP CRによって分析した。この分析(図4B参照)によって、感染細胞の非選抜集合 に比して特異的なフラグメントの豊富さが示された。図4Cに示すごとく、個々 のPCR-増幅断片を元のプラスミドと同一の位置および向きでLNCXベクタ ーに再クローン化した。エトポシド選抜後に増やした合計42種のプロウイルス ・インサートを、かく再クローン化し、レトロウイルスをNIH3T3細胞に形 質導入した後のエトポシド耐性の上昇を付与する能力について、バッチまたは個 別のいずれかで試験した。これらの非-同一クローンがエトポシド耐性を誘導す ることが判明したことは、それらが生物学的に活性なGSEを含んでいることを 示している。これらのGSEを抗-khcs、VAPおよびVP9-11と命名し た。抗-khcsと命名したクローンによって誘導されたエトポシド耐性を図5 Aに示す。 バイム(Baim)ら(プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第88 巻:5072-5076頁(1991年))によって記載されているごとく、エトポ シド耐性を誘導する1種の抗-khcs GSEの能力を、イソプロピル β-D- チオガラクトピラノシド(IPTG)-誘導性プロモーター/アクチベーター系を用 いることによってさらに示した。この系の成分には、複数反復の細菌lacオペ レーターとシスで連結したエンハンサー依存性プロモーター、およびlacレプ レッサーおよび哺乳動物転写アクチベーター由来の人工調節蛋白質であるLAP 265を発現する遺伝子が含まれる。この抗-khcs GSEを、プラスミドpX 6.CLNにクローン化した。このプラスミドには、lacオペレーターの21 繰り返し配列を補充した無エンハンサーSV40初期遺伝子プロモーターからの インサートを発現するベイム(Baim)ら、前掲によって用いられた誘導性プロモ ーター(ティー・シェンク博士(Dr.T.Shenk)寄贈)が含まれる。選抜マーカー を含ま ない得られたプラスミドを、neo遺伝子を運搬するLNCXプラスミドと共に NIH3T3に同時トランスフェクトした。G418-選抜トランスフェクト細 胞の大量集合を、無インサートベクターでトランスフェクトした対照細胞と共に 、5mM IPTG存在下または不存在下にて、徐々に上昇する濃度のエトポシ ドに暴した。同時トランスフェクト・プロトコールはG418-耐性細胞の画分 でのみのGSEの組み込みを通常誘導したが、抗-khcsでトランスフェクト したものはエトポシド耐性の明らかな上昇を生じ、これはIPTG依存性であっ た(図5B)。 実施例4 化学療法剤エトポシドに対する耐性を付与するGSEの配列分析 実施例3記載のごとくクローン化したGSE抗-khcsは、標準的なジデオ キシ配列決定法によって配列決定し、予想配列を図6に示す。「センス」および 「アンチセンス」鎖のヌクレオチド配列、ならびにこれらの各鎖によってコード される予想ペプチドのアミノ酸配列を、相同性検索用のBLASTネットワークプロ グラムを用いて、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフ ォメーション(National Center for Biotechnology Information)データベ ースに存在する核酸および蛋白質配列に対する相同性につき分析した。抗-kh csGSEの「アンチセンス」鎖に対応する配列は、真核生物細胞の微小管に沿 ったオルガネラまたは高分子の細胞内移動に関与する微小管運動蛋白質ファミリ ーの一員であるキネシンの重鎖をコードする幾つかの遺伝子と非常に高い相同性 を示した。最も相同性の高いものは、ネーボン(Navone)ら(ジャーナル・オブ・ セルラー・バイオロジー(J.Cell.Biol.)第117巻:1263−1275頁( 1992年))によって記載されたごとき、ヒトキネシン重鎖(khc)遺伝子とで 見出された。したがって、抗-khcsは、本発明者らが(薬剤に対する)感受性 または老化に関連するkhcとしてkhcsと命名したマウスkhc遺伝子のア ンチセンスRNAをコードしている。本発明者らは、哺乳細胞に存在する他のキ ネシン類とそれを区別するために、キネシン軽鎖とKHCS蛋白質との集合によ って 形成されるキネシン分子をキネシン-Sという。これらの結果は、GSEについ ての化学療法薬剤選抜によって、新規な遺伝的エレメントの発見に導くことがで き、今まで予想できなかった薬剤感受性における遺伝子の役割も明らかにするこ とができることを示している。 実施例5 抗-khcsGSE遺伝子が由来する遺伝子のクローニングおよび分析 実施例3で単離した抗-khcs GSEをプローブとして用いて、ラムダgt 10ベクター中の2つのDNAライブラリーの各々から400,000クローン をスクリーニングした。これらのライブラリーは、ロー(Lau)およびネーサンズ (Nathans)(エンボ・ジャーナル(EMBO.J.)第4巻:3145-3151頁( 1985年)およびプロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第84 巻:1182-1186頁)によって記載されている異なる期またはG0→G1期の いずれかのマウスBALB/c 3T3細胞のRNA(エル・ロー博士(Dr.L.Lau)寄贈) から常法によって調製した。最初のライブラリーのスクリーニングではハイブリ ダイズしたクローンは全く得られなかったが、2番目のライブラリーからの2種 の異なったクローンが抗-khcs配列を含んでいることが判明した。これらの クローンを精製して配列決定した。配列分析により、本発明者らが、796コド ンに相当する大方のマウスkhcs cDNAを単離したことが示された(全長ヒ トKHCcDNAは963アミノ酸をコードする)。この配列を図7に示す:アミ ノ末端から84アミノ酸をコードするさらなる252ヌクレオチドは、オーハラ (Ohara)ら(プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ エンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第86巻:5 763-5677頁(1989年))によって記載されている「アンカード(anchore d)PCR」技術を用いて単離した5'-特異的cDNAから決定した。さらなる欠 損3'末端配列は、この技術を用いて現在単離している。ヒト(ネーボン(Navone )ら、ジャーナル・オブ・セルラー・バイオロジー(J.Cell.Biol.)第117巻 :1263- 1275頁参照)、マウス(カトー(Kato)、ジャーナル・オブ・ニューロサイエ ンス(J.Neurosci)第2巻:704-711頁(1991年)参照)およびドロソフ ィラ(Drosophila)(マクドナルド(McDonald)およびゴールドシュタイン(Gold stein)、セル(Cell)第61巻:991-1000頁(1990年))から以前にク ローン化されているKHC蛋白質とkhcs蛋白質の配列決定部分とのドット- マトリックス・アライメント(dot-matrix alignment)を図8A〜8Cに;対照と してGSE-Cに対する相同性を図8Dに示す。抗-khcs GSEに対応する 部分を[]内に示す。khcs遺伝子がヒト遺伝子に対して最も高い相同性(9 7%アミノ酸相同性)を有するということは、ヒトKHC(KHCS)遺伝子がマ ウスkhcsに機能的に同等であることを示している。また、該アライメントは 、抗-khcs GSEが種々のキネシンの間で最も高く変異している領域(これ らの配列のまわりを[]によって図に示す)に対応することも示している。 実施例6 ランダム断片KHCS cDNAレトロウイルスライブラリーの作製 およびKHCS-由来GSEの単離 前記の実施例5に記載するごとく、ネズミkhcs遺伝子はネーボン(Navone )ら(ジャーナル・オブ・セルラー・バイオロジー(J.Cell.Biol.)第117巻: 1263−1275頁(1992年))によって記載されているヒトKHC(または KHCS)遺伝子に対して高い相同性を有する。これらの遺伝子の機能同等性は 、エトポシド耐性につき選抜したヒト細胞においてKHCSmRNAレベルが低 下するという知見(実施例8参照)によっても示唆された。ヒトKHCS遺伝子が マウスkhcsの機能同等性を発現するということを決定的に確認するために、 ヒトKHCS cDNAのいずれのランダム断片もエトポシド-耐性GSEとして 機能し得るか否かを決定した。 完全ヒトKHCS cDNA(2.9kb長:カリフォルニア大学サンフランシ スコ分校のアール・ベール博士(Dr.R.Vale)寄贈)のランダムDNアーゼ-I生 成断片のライブラリーは、以下の修飾を有する図9Aに説明したプロトコールを 用いて、トポイソメラーゼII cDNAについて前記したごとく(出典明示して本 明細書の一部とみなす、同時継続米国特許出願番号08/033,086号の実施 例1参照)、実質的に生成した。特には、1個の代わりに2個の合成アダプター をDNアーゼI-生成cDNA断片との連結に用いた。3つのATGコドンを含む 一方のアダプターは、HindIIIクローニングサイトを運搬している(図9B)。も う一方のアダプターは3つ全ての読み枠に終始コドンを有し、ClaIクローニン グサイトを運搬している(図9B)。両アダプターの等モル混合物と連結した後に 、各々、第一のアダプターおよび第二のアダプターのセンスおよびアンチセンス 鎖を用いたPCRによってcDNA断片を増幅した。PCR産物をClaIおよび HindIIIで消化し、pLNCXプラスミドの対応するサイトにクローニングした 。クローニング戦略のこの修飾により、レトロウイルスベクターにクローニング した後に、cDNAインサートの末端で逆反復の形成が回避された。 20,000個の独立したインサート-運搬クローンのプラスミド・ライブラリ ーを得、リン酸カルシウム共沈技術を用いてエコトロピック・パッケージング細 胞にトランスフェクトした。一過性のトランスフェクト細胞により放出されたウ イルスを用いて、HT1080/pJET-2TGH細胞、クローン2、ネズミエコト ロピック受容体を発現するプラスミド(アルブリットン(Albritton)ら、セル(C ell)第57巻:659-666頁(1989年))でトランスフェクトし、エコトロ ピック・レトロウイルスでの感染に感受性なヒトHT1080繊維肉腫細胞系統 (クリーブランド・クリニック基金(Cleveland Clinic Foundation)のジイ・ アール・スターク(Dr.G.R.Stark)博士寄贈)の誘導体を感染させた。感染およ びG418選抜後に、これらの細胞(さらに、HT1080/ERという)を、1 00mmプレート当たり105細胞にて平板し、種々のエトポシド濃度(200- 500ng/mL)で12日間培養した。該薬剤を除去した後に、細胞を無薬剤の 培地中でさらに7日間増殖させた。この時点で、幾つかのプレートを固定しクリ スタルバイオレットで染色して、生存コロニー数を測定した(図10)。図10に 示すごとく、250ng/mLエトポシドの薬剤濃度において、GSE- 含有細胞を含むプレートにおける約100倍のさらなるコロニーに比して、対照 のプレートにおいては数個のコロニーしかなかった。 平行した実験において、パッケージング細胞のウイルス-産生混合物を同様な エトポシド選抜に付した。試験したすべての薬剤濃度において、対照細胞集合に おけるよりも、GSE-運搬細胞におけるエトポシド処理での方がより多くのコ ロニーが生存していた。 これらの結果は、KHCS cDNAのランダム断片のレトロウイルスライブ ラリーがヒト細胞に薬剤耐性を誘導する数多くのGSEを含むことを示し、ヒト KHCSが薬剤耐性と関連していることが確認された。これらのGSEの幾つか は、ネズミkhcs遺伝子からのオリジナルの単一GSEである薬剤耐性の選抜 マーカーとしてより大きな潜在性があるようである。かかるエトポシド-耐性細 胞から単離したウイルスは、キネシン-由来の多重性薬剤耐性を付与するGSE の集合を発現し、この多重性はそれ自体が本発明の一態様であって、本明細書に 開示したごとき化学療法剤を含むDNA損傷剤に対する耐性を付与するのに有用 である。 実施例7 複数コピーの抗-khcsGSEを運搬する細胞集合の作製 エコトロピックおよび両種性パッケージング細胞の1:1混合物を、標準的な リン酸カルシウム共沈法を用いて、抗-khcsGSEを運搬するレトロウイル スベクターpLNCXでトランスフェクトした。2週間後に、G418-耐性N IH3T3コロニーの形成によって測定したところ、ウイルス力価は「ピンポン 」感染(ボディン(Bodine)ら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデ ミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)第 87巻:3738-3742頁(1990年)参照)の結果として1mL当たり>1 04感染単位に達していた。このウイルスを含有する上清を用いて、12時間間 隔で10回NIH3T3細胞を感染させた。対照細胞は、同一の方法によって得 た無インサートベクターウイルスで平行して感染させた。G418選抜によ り、100%のNIH3T3細胞が該ウイルスで感染されるようになったことが 示された。感染細胞からのDNAを、ウイルス-特異的プローブを用いたサザン ブロット・ハイブリダイゼーションによって分析した。この分析により、感染細 胞は、複数コピーの組み込まれたプロウイルスを含むことが示された。 新たに得た複数-感染NIH3T3細胞を増殖速度および平板効率の低下によ って特徴付けした。しかしながら、数継代後にそれらの増殖指標が対照細胞から 区別できなくなったことは、増殖の遅い細胞が集合から排除されたことを示して いる。このステージで細胞を冷凍し以下に記載する実験に用いた。 実施例8 複数コピーの抗-khcs GSEを運搬する NIH3T3細胞の薬剤耐性パターン 実施例7に記載した感染細胞集合を、増殖阻害アッセイによって、数種の抗ガ ン剤に対する耐性につき分析した。このアッセイでは、ウェル当たり104細胞 を12-ウェルプレートに平板し、徐々に上昇してゆく濃度の種々の薬剤に4日 暴した。相対細胞数はメチレンブルー染色アッセイによって測定した(ペリー(P erry)ら、ミューテーション・リサーチ(Mutation Res.)第276巻:189-1 97頁(1992年))。非選抜外来性細胞集合で行った場合のこのアッセイの相 対的な無反応性にもかかわらず、抗-khcsGSEを運搬するウイルスでの感 染はエトポシドおよびアムサクリンの細胞増殖抑制効果に対する耐性の顕著な上 昇を誘導し、アドリアマイシン、カンプトセシンおよびシスプラチンに対するよ り低い程度の上昇を誘導した(図11)。すべてのこれらの薬剤は、異なる機作に よってではあるが、DNA損傷を誘導することが知られている。同一のアッセイ 条件下にて、コルヒチンまたはアクチノマイシンDでは耐性の上昇が全く認めら れなかった(図11)。 抗-khcsにより付与される薬剤耐性の性質をさらに特徴付けするために、 前記した短期増殖阻害アッセイにつづいて、種々の薬剤の細胞増殖抑制および細 胞毒性効果の両方を測定する長期増殖阻害アッセイを行った。これらのアッセイ は、薬剤存在下にて細胞を4日間インキュベートし、つづいて薬剤不存在下にて 2または6日間インキュベートして、薬剤-誘導阻害からの回復にしばしば関連 するプログラム細胞死させることによって行った(クン(Kung)ら、キャンサー・ リサーチ(Cancer Res.)第50巻:7307-7317頁(1990年))。これ らのアッセイにより、GSE-運搬細胞は、エトポシドおよびアドリアマイシン には耐性であるが、シスプラチン、カンプトセシンまたはアクチノマイシンDに は耐性でないことが示された。さらに、該GSE-運搬細胞は、コルヒチンおよ びビンブラスチンに過敏感であることが判明し、該過敏感はアッセイの期間が長 くなるにつれてより明白になっていく。 かくして、図12に示す実験において、抗-khcsGSEを運搬するNIH 3T3細胞および無GSEの対照細胞を培養皿当たり2×104の密度で平板し 、種々の濃度のコルヒチンまたはビンブラスチンのいずれかの中で5日間増殖さ せた。ついで、該細胞を固定して染色し、生存細胞数を測定し、無薬剤における 細胞増殖の%として示した。これらの結果は、これらの細胞における抗-khc sGSEの発現がコルヒチンおよびビンブラスチンの両方に対する過敏感を伴う ことを明らかに示している。 短期および長期薬剤アッセイで得られた結果の間の矛盾をさらに調べるために 、250ng/mLエトポシド、20ng/mLカンプトセシンおよび40ng/ mLコルヒチンで処理する間または処理した後の細胞増殖の動力学の分析を行っ た。(図13に示す)これらの実験においては、NIH3T3細胞を対応する薬剤 で5日間処理し、ついで薬剤存在下または不存在下のいずれかでさらに6日間イ ンキュベートした。選択した薬剤濃度は増殖阻害を起こしたが、薬剤が連続して 存在する細胞死はほとんど検出されなかった。薬剤に暴して11日後のエトポシ ド-またはカンプトセシン-処理対照細胞集合の合計細胞数は薬剤に暴して5日後 のものよりも少し低かったが、コルヒチン-処理対照細胞集合においては遅い細 胞増殖性がまだ検出された。薬剤を5日後に除去する実験においては、3種類す べての薬剤について細胞増殖性が最初に活性化された。薬剤不存在下で増殖させ たおよそ2日後に、エトポシドまたはカンプトセシンで処理した細胞数は減少し た が、しかしながら、広範な細胞によるものであり、よって薬剤不存在下でインキ ュベートした細胞集合の最終細胞数は、コルヒチンまたはカンプトセシン存在下 で連続して維持した細胞におけるものと事実上同一であった。それに対して、コ ルヒチンで前処理した細胞は薬剤から除去した後に限定された細胞死しか起こさ ず、薬剤から除去されて2日後の細胞増殖性に比較的少ない鈍化を生じ、コルヒ チン中で連続して維持したものに対して薬剤から除去した集合中の合計細胞数で 顕著に上昇した(図13)。 抗-khcs GSEの発現はこれらの薬剤によって誘導される増殖阻害および 回復-関連細胞死に対して種々の効果を有する。エトポシドで処理した細胞にお いて、抗-khcsは薬剤の増殖阻害効果を連続して暴して5または11日後に比 較的小さな程度で同等に低下させた。くわえて、抗-khcs GSEは、エトポ シド阻害から放出された集合における細胞死量を低下させた。結果として、この GESによって付与されるエトポシド耐性にける上昇は、連続して暴す条件下よ りも薬剤から放出された後によりさらに顕著であった(図13)。カンプトセシン で処理した細胞においては、該GSEは薬剤の増殖-阻害効果のわずかな低下を 生じ、これは暴して5日後により顕著であったが、連続して暴して11日後には 無視できるレベルまで低下した。暴して5日後の増殖性における低下は、薬剤か ら除去された後の細胞死におけるわずかな低下を伴い、その結果、GSEはカン プトセシン耐性における顕著な長期の差を全く生じなかった。コルヒチンで処理 した集合においては、抗-khcsGSEが該薬剤の増殖阻害効果に対して細胞 をより感受性とし:この効果は長期的に暴するに従って上昇し、5日後に該薬剤 から放出したか、またはコルヒチン中に連続して維持した集合において同等に明 らかであった(図13)。 前記実験の結果は、種々のDNA損傷剤の細胞増殖性抑制効果を阻害すること によって該抗-khcsGSEが作用することを示していた。くわえて、このG SEは、ある種のDNA損傷剤(エトポシド)で処理した細胞において薬剤から放 出された後には起こるが、ある種のもの(カンプトセシン)で処理したものでは起 こらないプログラム細胞死の程度を低下させるようである。 抗-khcsGSEを運搬する細胞がコルヒチンの細胞増殖性抑制効果に対し て過敏感になる知見は、潜在的に重要な治療的意義を有する。 キネシンのGSE-媒介阻害を有する細胞において認められた抗-微小管剤コル ヒチンに対する過敏感性は、該微小管に沿って種々の構造体を移動し、互いに対 する微小管の滑動、ならびに微小管の集合および分解に関与しているかもしれな いキネシンの実質的な機能に関連する機械的作用のようである。抗-微小管剤に 対する細胞の感受性に対する抗-khcs GSEの顕著な効果は、このGSEが 細胞における一般的なキネシン機能に影響し、キネシンの特定の薬剤-応答性-特 異的イソ型に限られないことも示している。本発明者らはKHCS遺伝子のダウ ン-レギュレーションがヒト腫瘍細胞における薬剤耐性の自然機構を表している ことを示したため(実施例11参照)、コルヒチンに対する過敏感性はヒトガンに おけるこの型の耐性を克服するアプローチを提供する。 実施例9 抗-キネシンGSEの細胞効果の評価 第一代マウス胚繊維芽細胞(MEF)の寿命延命能につき、抗-khcs GSE を運搬するウイルスを試験した。MEFは、標準的なトリプシン処理法によって 10日齢マウス胚から調製し、老齢細胞は危機(crisis)の前に種々の継代にて冷 凍した。危機の2週間前に、老齢MEFをインサートを有しない、または抗-k hcsを有するLNCXベクターを運搬する組換えレトロウイルスで感染した。 図14は、危機2週間後のMEF細胞コロニーを示している。非感染MEFまた は対照LNCXウイルスで感染した細胞に比して、抗-khcsで感染した細胞 は危機を生存する細胞の集合における大きな上昇を示した。抗-khcsウイル スで感染した危機後細胞は、新生生物トランスフォーメーションの顕微鏡的に見 える特徴を全く示さなかった。これらの結果は、抗-khcsが正常な老齢繊維 芽細胞の不死化を促進することを示している。これらの結果は、キネシン-Sの 正常な機能がある種の細胞毒性剤に暴した後または細胞老化の過程で起こるプロ グラム細胞死の誘導と関連し得ることを示している。また、これらの結果は、化 学療法剤に対する耐性を付与するGSEの単離によって、細胞増殖調節に関与す る細胞遺伝子およびプロセスへの洞察を提供できる。 実施例10 マウス抗-khcs GSEのヒト老齢繊維芽細胞に対する生物学的効果 第一代マウス胚繊維芽細胞の不死化を促進する実施例4に記載した抗-khcs G SEの能力(実施例9で示した)は、キネシン-Sが正常なマウス繊維芽細胞の不 死化を阻害することによって腫瘍サプレッサーとして作用し得ることを示唆した 。この遺伝子がヒト細胞においても同一の役割を演じ得るか否かを確認するため に、第一代ヒト繊維芽細胞の寿命に影響する抗-khcs GSEの能力を調べた 。 ヒト皮膚由来の第一代ヒト繊維芽細胞は、ナショナル・インスティチュート・ オブ・エイジング(National Institute of Aging)のエイジング・セル・レポ ジトリー(Aging Cell Repository)から得た。培養における通常のヒト皮膚繊 維芽細胞増殖の補充に通常用いるアミノ酸およびビタミン濃度の2倍を補充した 20%子ウシ血清を入れたDMEM中で細胞を増殖した。第五継代の細胞を、( 実施例3に前記したごとく作製した)対照pLNCXウイルスまたはマウス抗-kh cs GSEを運搬するウイルスで感染させた。4継代後に、該対照細胞は危機を 起こしたが、GSE-運搬細胞は増殖し続け(図15)、少なくともさらに5継代 現在まで生存している。これらの結果は、本発明の抗-khcsGSEが第一代 ヒト繊維芽細胞の寿命も延命することができることを示しており、KHCSがヒ ト細胞における潜在的な腫瘍サプレッサーであることを示している。 実施例11 薬剤耐性の自然に起こる機作における khcs遺伝子発現の低下の役割の評価 khcs遺伝子発現の低下が薬剤耐性のいずれかの自然に起こる機作と関連す るのか否かを試験するために、cDNA-PCRによってkhcs mRNAレベ ルを測定するアッセイを開発した。このアッセイは、mdr−1遺伝子発現を測 定するためにノーナン(Noonan)らによって記載された(プロシーディングズ・オ ブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・イン・ユウエスエイ(Proc .Natl.Acad.Sci.USA)第87巻:7160−7164頁(1990年))定量 アッセイの修飾形である。該オリゴヌクレオチド・プライマーは配列: AGTGGCTGGAAAACGAGCTA(配列番号:5)および CTTGATCCCTTCTGGTTGAT(配列番号:6)を有する。 これらのプライマーを用いて、抗-khcs GSEに対応する327bpセグメ ントのマウスkhcs cDNAを増幅した。これらのプライマーがマウスcD NA鋳型を効率的に増幅するがゲノムDNAは増幅しないことは、それらがゲノ ムDNA中の少なくとも1個のイントロンにまたがることを示している。これら のプライマーを用いて、本発明者らは、khcsmRNAがマウスの腎臓、肝臓 または脾臓よりも筋肉組織において高レベルで発現していることを確認した。 もう1つの実験において、ネーボン(Navone)ら(ジャーナル・オブ・セルラー ・バイオロジー(J.Cell.Biol.)第117巻:1263-1275頁(1992 年))によって公開されている報告されたヒトKHC配列に基づいて、ヒトKHC S cDNAの相同性セグメントを増幅する一対のプライマーを選抜した。これ らのプライマーの配列は: AGTGGCTTGAAAATGAGCTC(配列番号:7)および CTTGATCCCTTCTGGTAGATG(配列番号:8)であり、 それらは、327bpのcDNA断片を増幅する。これらのプライマーを用いて 、同時に獲得されたエトポシド耐性について各々選抜した幾種類かの独立して単 離されたヒトHeLa細胞の集合におけるKHCS遺伝子発現の変化につき試験 した;β2-ミクログロブリン cDNA配列を内部対照として増幅した。図16 は、以下の集合におけるcDNA-PCRアッセイの結果を示している:CX(0 )、LNCVベクターウイルスで感染しG418で選抜したHeLa集合;CX( 200)、200ng/mlエトポシドに対する耐性について選抜した同細胞;Σ 11(O)、6(O)、およびΣ21(O)、(出典明示して本明細書の一部とみなす) 同 時継続米国特許出願番号08/033,086号の実施例1に記載のごとく、トポ イソメラーゼα cDNA由来の種々のGSEを運搬する組換えレトロウイルス でHeLa細胞を感染し、G418で選抜した後に得た集合;Σ11(1000) 、6(1000)およびΣ21(1000)、1μg/mlエポトシドに対する耐性に ついて選抜した同集合。図16に示すごとく、khcs遺伝子に特異的なPCR 産物の収量は、対照細胞におけるよりも各エトポシド-選抜集合における方が顕 著に低かった。この結果は、khcs遺伝子発現の低下は薬剤耐性についての普 通の自然機構であることを示している。 実施例12 診断アッセイ 前記実施例に示した結果は、エトポシドのごときある種の化学療法剤に対する 耐性レベルと関連するよく特徴付けられたキネシン重鎖遺伝子発現レベルを有す るイン・ビトロ(in vitro)の正常化セットの細胞系統に関連する、ガン患者の腫 瘍細胞におけるキネシン遺伝子の発現レベルを測定する診断アッセイの有用性を 示唆している。かかる正常化セットの細胞系統の1種は実施例11に記載したH eLa細胞系統よりなる。別法として、例えば、慢性骨髄性白血病を患った患者 を評価するためのヒトK562細胞、または急性前骨髄球性白血病を患者のため のヒトHL60細胞を用いて評価すべき各細胞型の薬剤選抜耐性によって、種々 の、細胞系統の組織-特異的正常セット細胞系統を開発した。 キネシン用のアッセイによって、ある種の抗ガン治療様式を有するヒトガン患 者の治療の適性が評価されるであろう。キネシンを低レベルで発現する(under-e xpress)腫瘍細胞を有する患者は、放射線照射ならびに化学療法剤エトポシド、 カンプトセシン、シスプラシンおよびアドリアマイシンを包含するDNA損傷剤 での治療に対しては難治性であり得る。しかしながら、かかる患者は、コルヒチ ン、コルセミド、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビンデシンのごとき抗 -微小管剤での処理に特に応答性であり得る。反対に、キネシンを過剰発現する 腫瘍細胞を有する患者は、例えば、DNA損傷剤での治療に対して応答性であり 得、 抗-微小管剤での治療に対して難治性であり得る。これらのアッセイにより、治 療様式が試行され失敗した後よりむしろ、その事実の前にかかる治療を判断する 基礎が初めて提供される。また、該アッセイは、DNA損傷剤および抗-微小管 剤の両方に交差耐性となることが期待される薬剤耐性の他の機作からキネシン遺 伝子媒介薬剤耐性を区別することによって、以前にDNA損傷剤、特にある種の 抗ガン剤での治療に対して難治性であって、抗-微小管剤を用いるさらなる化学 療法から恩恵を受けるであろう患者を特定する基礎も提供する。 前記の開示が本発明のある特定の具体例のみを強調しているものであって、そ れらと同等なすべての修飾形または別法も、添付した請求の範囲に記載されてい る本発明の趣旨および範囲の中にあることは理解されるべきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI G01N 33/50 0276−2J G01N 33/574 A // G01N 33/574 9282−4B C12N 5/00 B (C12N 5/10 C12R 1:91)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(a)キネシン遺伝子をコードするcDNAの1組のランダムフラグメン トを生じさせ; (b)該DNAフラグメントを発現ベクターにトランスファーさせて、ライブ ラリーを得(ここで、該発現ベクターは、生細胞中でDNAフラグメントを発現 させる能力を有する); (c)工程(b)のランダムフラグメントライブラリーを生細胞中に導入する ことによって、生細胞を遺伝学的に修飾し; (d)DNAダメージング剤の存在下、細胞を選択することによって、キネシ ン誘導遺伝的サプレッサー因子を含有する遺伝学的に修飾された生細胞を単離ま たは富化させ; (e)遺伝学的に修飾された細胞から遺伝的サプレッサー因子を得ること からなることを特徴とする、1種以上のDNAダメージング剤に対する耐性を細 胞に与えるキネシン遺伝子から誘導される遺伝的サプレッサー因子の同定方法。 2.請求項1記載の方法によって同定された遺伝的サプレッサー因子。 3.ヒトまたはマウスkhcs遺伝子の一部と相同であるヌクレオチド配列を 有する請求項2記載の遺伝的サプレッサー因子。 4.請求項2記載のGS日を発現する哺乳動物細胞。 5.請求項3記載のGSEを発現する哺動物細胞。 6.遺伝的サプレッサー因子がセンス配向される請求項1記載の方法。 7.遺伝的サプレッサー因子がアンチセンス配向される請求項1記載の方法。 8.請求項6記載の方法により産生されたGSEによってコードされるアミノ 酸配列の約6アミノ酸から全部までに対応するアミノ酸配列を有する合成ペプチ ド。 9.請求項7によって産生されるGSEによってコードされるアンチセンスR NAのヌクレオチド配列の約12ヌクレオチドから全部までのヌクレオチド配列 を有する合成オリゴヌクレオチド。 10.(a)動物由来の腫瘍または悪性細胞から、メッセンジャーRNAから なる細胞性RNAを単離し; (b)動物における腫瘍または悪性細胞中でキネシンmRNAの発現のレベル を測定し; (c)腫瘍または悪性細胞中のキネシンmRNAの発現のレベルが、キネシン 遺伝子が動物における腫瘍または悪性細胞中で過剰発現または過小発現されるこ とを示すかを判定すること からなることを特徴とする診断アッセイ。 11.(a)動物由来の腫瘍または悪性細胞から、細胞性タンパクを単離し; (b)動物における腫瘍または悪性細胞中でキネシンタンパクの量を測定し; (c)腫瘍または悪性細胞におけるキネシンタンパクの量が、キネシン遺伝子 が動物における腫瘍または悪性細胞中で過剰発現または過小発現されることを示 すかを判定すること からなることを特徴とする診断アッセイ。 12.請求項10または11記載のアッセイを用いて判断した場合に腫瘍また は悪性細胞がキネシン遺伝子を過剰発現する場合、動物にDNAダメージング剤 である抗癌剤を投与することからなることを特徴とする、動物の身体中に悪性腫 瘍または悪性細胞を有する動物の治療方法。 13.請求項10または11記載のアッセイを用いて判断した場合に腫瘍また は悪性細胞がキネシン遺伝子を過剰発現する場合、動物に抗微小管剤である抗癌 剤を投与することからなることを特徴とする、動物の身体中に悪性腫瘍または悪 性細胞を有する動物の治療方法。 14.請求項10または11記載のアッセイを用いて判断した場合に腫瘍また は悪性細胞がキネシン遺伝子を過剰発現する場合、予めDNAダメージング剤で ある抗癌剤での治療が不成功に終わった動物に抗微小管剤である抗癌剤を投与す ることからなることを特徴とする、動物の身体中に悪性腫瘍また悪性細胞を有す る動物の治療方法。 15.(a)キネシン遺伝子をコードするcDNAの1組のランダムフラグメ ントを生じさせ; (b)該DNAフラグメントをレトロウイルス発現ベクターにトランスファー させて、レトロウイルスランダムフラグメント発現ライブリーを得(ここで、該 レトロウイルス発現ベクターは、生細胞中でDNAフラグメントを発現させる能 力を有する); (c)工程(b)のレトロウイルスランダムフラグメント発現ライブラリーを 培養物の生細胞中に導入することによって、生細胞の培養物を遺伝学的に修飾し (ここで、培養物の生細胞は、ライブラリーからなるレトロウイルス発現ベクタ ーの各々を増殖させる能力を有する); (d)DNAダメージング剤の存在下、細胞を選択することによって、キネシ ン誘導遺伝的サプレッサー因子を含有する遺伝学的に修飾された生細胞を単離ま たは富化させ; (e)工程(d)の薬物耐性の遺伝学的に修飾された細胞により、レトロウイ ルスランダムフラグメント発現ライブラリーのキネシン誘導遺伝的サプレッサー 因子を増殖させて、種々のキネシン誘導遺伝的サプレッサー因子からなる増幅さ れたランダムフラグメント発現ライブラリーを形成すること からなることを特徴とする、1種以上のDNAダメージング剤に対する耐性を細 胞に与えるキネシン遺伝子から誘導される種々の遺伝的サプレッサー因子の同定 方法。 16.請求項15記載の方法によって最初に同定された遺伝的サプレッサー因 子。 17.ヒトまたはマウスkhcs遺伝子の一部と相同であるヌクレオチド配列 を有する請求項16記載の遺伝的サプレッサー因子。 18.請求項16記載のGSEを発現する哺乳動物細胞。 19.請求項17記載のGSEを発現する哺乳動物細胞。 20.遺伝的サプレッサー因子がセンス配向される請求項15記載の方法。 21.遺伝的サプレッサー因子がアンチセンス配向される請求項15記載の方 法。 22.請求項21記載の方法により産生されたGSEによってコードされるア ミノ酸配列の約6アミノ酸から全部までに対応するアミノ酸配列を有する合成ペ プチド。 23.請求項22記載の方法により産生されたGSEによってコードされるア ンチセンスRNAのヌクレオチド配列の約12ヌクレオチドから全部までのヌク レオチド配列を有する合成オリゴヌクレオチド。
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