JPH09506765A - 菌類感染藻類由来のα−1,4−グルカンリアーゼ、その精製、遺伝子クローニングおよび微生物における発現 - Google Patents

菌類感染藻類由来のα−1,4−グルカンリアーゼ、その精製、遺伝子クローニングおよび微生物における発現

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Abstract

(57)【要約】 α-1,4-グルカンリアーゼ酵素の調製方法が記載される。この方法は、菌類感染藻類から酵素を単離する工程を包有する。酵素のアミノ酸配列が、決定されている。上記酵素をコードする核酸配列もまた、決定されている。

Description

【発明の詳細な説明】 菌類感染藻類由来のα-1,4-グルカンリアーゼ、その精製、 遺伝子クローニングおよび微生物における発現 本発明は酵素、特にα-1,4-グルカンリアーゼ(「GL」)酵素に関する。本発 明はまた同酵素を抽出する方法に関する。本発明はまた、α-1,4-グルカンリア ーゼをコードするヌクレオチド配列に関する。 FR-A-2617502およびBauteら、(Phytochemistry[1988]vol.27No.11 pp3401- 3403)はMorchella vulgarisにおける1,5-D-アンヒドロフルクトース(「AF」)の 見かけの酵素反応による産生について報告している。このAFの生産量は非常に少 ない。可能な酵素反応に言及しているのにもかかわらず、これらの2つの文献は 、ヌクレオチド配列の情報はもちろんのこと、いかなる酵素についてのアミノ酸 配列も示していない。これらの文献は、AFが抗生物質ピロンミクロテシン(pyron emicrothecin)の調製のための前駆体になり得ることを報告する。 Yuら、(Biochimica et Biophysica Acta[1993]vol 1156 pp313-320)は紅海 藻からのGLの調製およびAFを生産するためにα-1,4-グルカンを分解するGLの使 用について報告している。このAFの生産量は非常に少ない。GL酵素に言及するの にも関わらず、この文献は同酵素をコードするヌクレオチド配列の情報はもちろ んのことその酵素についてのいかなるアミノ酸配列データも示していない。この 文献はGLの供給源は藻類であることも示唆している。 本発明では、菌類感染藻類から酵素を単離する工程を包含する、酵素α-1,4- グルカンリアーゼの調製方法が提供される。 好ましくは、この酵素を、同酵素により分解されないゲルを用いて単離および /またはさらに精製する。 好ましくはゲルはデキストリン、好ましくは、β-シクロデキストリン、また はその誘導体、好ましくはシクロデキストリン、より好ましくはβ-シクロ-デキ ストリンに基づく。 本発明では、本発明の方法により調製されたGL酵素も提供する。 好ましくは、酵素は配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列、あるいはそ の任意の変異体を含む。 用語「その任意の変異体」は、その結果として生じる酵素がリアーゼ活性を有 するという条件で、配列からの、あるいは配列に対しての、任意の少なくとも1 アミノ酸の置換、多様性、修飾、置き換え、欠失、または付加を意味する。 本発明では、酵素α-1,4-グルカンリアーゼをコードするヌクレオチド配列を 提供する。好ましくはここで配列はその天然環境にはない(すなわち、酵素を発 現する細胞生物の天然のゲノムの一部を形成しない)。 好ましくはヌクレオチド配列はDNA配列である。 好ましくはDNA配列は、配列番号3または配列番号4の任意のDNA配列に同じ、 または相補的、あるいは実質的相同性を有する、もしくは任意の適切なコドン置 換を含む配列を包含する。 表現「実質的相同性」は、構造および/またはヌクレオチド成分および/また は生物学的活性に関しての相同性を含有する。 表現「任意の適正なコドン置換を含む」は、生じる酵素がリアーゼ活性を有す るという条件で、同じアミノ酸をコードする他のコドンとの任意のコドンの置き 換えまたは置換、あるいはコドンの任意の付加または削除を包含する。 他の言葉で言えば、本発明はまた、その中で少なくとも1ヌクレオチドが欠失 、置換または修飾される、あるいはその中で付加的な少なくとも1ヌクレオチド が挿入され、グルカンリアーゼ活性を有するポリペプチドをコードする、修飾さ れたDNA配列を含有する。好ましくは酵素は、増加したリアーゼ活性を有する。 本発明では、本発明のヌクレオチド配列を発現することを含む酵素α-1,4-グ ルカンリアーゼの調製方法も提供する。 本発明では酵素、好ましくはGLを精製するためのβ-シクロデキストリンの使 用を提供する。 本発明では、少なくともDNA配列が、配列番号3または配列番号4の任意のDNA 配列に同一、または相補的、または実質的相同性を有する、または適切なコドン 置換を含む配列を含む、ヌクレオチド配列を提供する。好ましくは配列は単離さ れた形態である。 本発明の鍵となる局面は、GLが菌類感染藻類に由来するという認識である。GL をコードする核酸配列の決定に加え、GLのアミノ酸配列が決定されたのはこれが 初めてである。それゆえ、本発明の鍵となる有利性は、GLが今や例えば組換えDN A技術により大量に生成し得、それゆえ、抗生物質ミクロテシンなどの化合物を 容易に、そして大量に生成し得ることである。 この酵素は、好ましくは精製を容易にするように分泌されるべきである。その ために成熟酵素をコードするDNAを、選択した宿主由来のシグナル配列、プロモ ーターおよびターミネーターに融合させる。 Aspergillus nigerにおける発現のため、gpdA(Aspergillus nidulansのグリセ ルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ遺伝子由来)プロモーターおよび シグナル配列を成熟リアーゼをコードするDNA(例えば配列番号3または配列番号 4)の5'末端に融合する。A.nigerのtrpC遺伝子のターミネーター配列をその遺 伝子の3'末端におく(Punt,P.J.ら、(1991):J.Biotech.17,19-34)。この構築物 をE.coliのための複製起点および選択オリジンならびにA.nigerのための選択マ ーカーを含むベクターに挿入する。A.nigerのための選択マーカーの例としては 、amdS遺伝子、argB遺伝子、pyrG遺伝子、hygB遺伝子、BmlR遺伝子などがあり、 すべて形質転換体の選択に用いられてきた。このプラスミドをA.nigerに形質転 換し得、そして成熟リアーゼを形質転換体の培養液中から回収し得る。 この構築物を、培養液中でのリアーゼのタンパク質分解を減少させるためにプ ロテアーゼ欠損株に形質転換し得る(Archer D.B.ら、(1992):Biotechnol.Lett. 14,357-362)。 他の有利性は以下の記載により明らかになる。 それゆえ、本発明は、例えば、菌類感染藻類、好ましくは中国で収集可能であ るタイプ(例えば、Gracilariopsis lemaneiformis)のような菌類感染紅藻類か らの酵素α-1,4-グルカンリアーゼの単離に関する。菌類感染藻類の一例をブダ ペスト条約に従い寄託した(以下を参照のこと)。 インサイチュハイブリダイゼーション技術を用いることにより、酵素GLは菌類 感染紅藻類Gracilariopsis lemaneiformis中で検出されることが確立された。こ の観察を支持する更なる証拠は、サザンハイブリダイゼーション実験の結果によ り提供された。このようにGL酵素活性は、従来考えられていた藻類よりもむしろ 、菌類感染藻類から得られ得る。 特に問題となるのは、各々がGLの特性を有する酵素をコードする2つの天然の DNA配列の発見である。これらのDNA核酸配列の塩基配列を決定し、これらを配列 番号3および配列番号4に示す(後に考察し示す)。 最初の酵素精製はYuら(前出)に記載の方法により行い得る。しかし、最初の 酵素精製が精製工程で分解しない固体支持体の使用を含むことが好ましい。この ゲル支持体は、標準的な実験室のタンパク質精製設備と適合性であるという有利 性を有する。この好ましい精製のプロセスの詳細は後述する。精製はタンパク質 精製のための公知の標準的な方法により終結される。酵素の純度を補足的な電気 泳動技術を用いて確立した。 精製したリアーゼは、pI、至適温度および至適pHにより特性づけられた。この 点については、この酵素は以下のような特性を有する:アミロペクチンを使用し た場合、至適基質特異性および至適pH3.5〜7.5;至適温度50℃およびpIは3.9。 前記のように、本発明による酵素を(アミノ酸配列決定技術により部分的に) 同定し、そのアミノ酸配列を後に提供する。同様に、本発明による酵素をコード するヌクレオチド配列(すなわちGL)を配列決定し、そのDNA塩基配列を後に提 供する。 以下の試料をブダペスト条約に従い承認された寄託機関であるThe National C ollections of Industrial and Marine Bacteria Limited(NCIMB)、23 St.Ma char Drive,Aberdeen,Scotland,United Kingdom,AB2 1RYに1994年6月20日に 寄託した: プラスミドpGL1保有E.coli(NCIMB 40652)-[参考DH5α-pGL1];および プラスミドpGL2保有E.coli(NCIMB 40653)-[参考DH5α-pGL2]。 以下の試料はブダペスト条約に従い承認された寄託機関であるThe Culture Co llection of Algae and Protozoa(CCAP)、Dunstaffnage Marine Laboratory PO Box 3,Oban,Argyll,Scotland,United Kingdom,PA34 4ADに1994年10月11日 に寄託の承認がされた。 菌類感染Gracilariopsis lemaneiformis(CCAP 1373/1)−[参考GLQ-1(Qingd ao)]。 このように、本発明の高度に好ましい実施態様は、寄託物NCIMB 40652または 寄託物NCIMB 40653の対象であるプラスミドに存在するGLコード配列の発現によ り取得し得るGL酵素;および寄託物CCAP 1371/1の対象である菌類感染藻類から 取得し得るGL酵素を包含する。 本発明はここで実施例によってのみ記載される。 以下の実施例において、添付する以下の図に言及する: 図1は、染色した菌類感染藻類を示す; 図2は、染色した菌類感染藻類を示す; 図3は、菌類菌糸の切片を示す; 図4は、菌類感染藻類の切片を示す; 図5は、菌類感染藻類の切片を示す; 図6は、pGL1のプラスミド地図を示す; 図7は、pGL2のプラスミド地図を示す; 図8は、配列番号3で示されるアミノ酸配列を示し、配列決定したペプチドフ ラグメントの位置を示す; 図9は、配列番号1と配列番号2とのアライメント(alignment)を示す; 図10は、顕微鏡写真である。 より詳細には、図1は、Gracilariopsis lemaneiformisの上部および下部での 菌類を表すCalcoflour White染色を示す(108×および294×)。 図2は、菌類を有するGracilariopsis lemaneiformisnのPAS/Anilinblue Blac k染色を示す。菌類は顕著により高い炭水化物を含有する。 図3は、藻類細胞の厚い壁(w)間で成長する二つの薄い壁の菌類菌糸(f)の 縦方向で表面付近の切片を示す顕微鏡写真である。藻類のクロロプラスト中のチ ラコイド膜に留意(矢印)。 図4は、クローン2プローブを用いたアンチセンス検出(上列)が、次の切片 のCalcoflour White染色(下列)により示される菌類に、限定されるようである ことを示す(46×および108×)。 図5は、クローン2プローブを用いた強いアンチセンス検出がGracilariopsis lemaneiformis内の菌類上に見出されたことを示す(294×)。 図6は、プラスミドpGL1の地図を示す。これは菌類に感染したGracilariopsis lemaneiformisから作製したゲノムライブラリーから単離した3.8kbのフラグメ ントを含有するpBluescript II KSである。このフラグメントはα-1,4-グルカン リアーゼをコードする遺伝子を含有する。 図7は、プラスミドpGL2の地図を示す。これは菌類に感染したGracilariopsis lemaneiformisから作製したゲノムライブラリーから単離した3.6kbのフラグメ ントを含有するpBluescript II SKである。このフラグメントはα-1,4-グルカン リアーゼをコードする遺伝子を含有する。 図9は、配列番号1(GL1)と配列番号2(GL2)とのアライメントを示す。GL 1の総残基数は1088であり;GL2の総残基数は1091である。比較をするにあたって 構造-遺伝子的マトリックス(structure-genetic matrix)を用いた(Open gap cost:10; Unit gap cost:2)図9中で、並べた二つの残基が同一であることを示 す記号は「:」であり;並べた二つの残基が類似であることを示す記号は「.」で ある。「類似である」といわれるアミノ酸はA,S,T; D,E; N,Q; R,K; I,L,M,V; F ,Y,Wである。全体で、同一が845アミノ酸(すなわち77.67%)存在し;類似が60 アミノ酸(5.51%)存在する。GL1に挿入したギャップの数は3であり、GL2に挿 入したギャップの数は2である。 図10は、藻類の壁(W)間で成長した菌糸(f)の顕微鏡写真である。藻類細胞 中の紅藻デンプン(s)およびチラコイド(矢印)の粒子に留意。 以下の配列情報は後述のPCR反応のためのプライマーを生成するため、および それぞれのヌクレオチド配列により生成されたアミノ酸配列を検定するために用 いた。 菌類感染Gracilariopsis lemaneiformis由来のペプチドから組立てたアミノ酸 配列 プライマーAおよびBを生成するために用いたアミノ酸配列(27-34)(Met Tyr Asn Asn Asp Ser Asn Val プライマーCを生成するために用いたアミノ酸配列(45-50)(Gly Gly His Asp Gly Tyr) [配列は相補鎖に対応する。]プライマーEを生成するために用いたアミノ酸配列(74-79)(Gln Trp Tyr Lys Phe Gly) [配列は相補鎖に対応する。]プライマーF1およびF2を生成するために用いたアミノ酸配列(1-6)(Tyr Arg T rp Gln Glu Val) 第1のPCR増幅から得られた配列(クローン1) 第2のPCR増幅から得られた配列(クローン1) 第3のPCR増幅から得られた配列(クローン2) 1.Gracilariopsis lemaneiformisの細胞学的検査 1.1.1 Gracilariopsis lemaneiformisにおける菌類感染の検出 中国で収集したGracilariopsis lemaneiformisの切片は手で切断するかまたは パラフィン包埋した試料から切断した。切片化した試料を光学顕微鏡で注意深く 検査した。菌類菌糸はGracilariopsis lemaneiformis内に明確に検出された。 Gracilariopsis lemaneiformisの葉状体は、高度に整然として、ほぼ対象の特 徴を示す細胞から成る。G.lemaneiformisの管状葉状体は大きい、無色の中心細 胞、ならびにその周囲に伸長された、細長い楕円形の細胞、および小さい、丸い 、赤く着色された周辺細胞から成る。全ての藻類細胞タイプは厚い細胞壁により 特性づけられる。ほとんどの菌類菌糸は、大きな細胞の中心層および周辺層の中 間相に見出される。これらの細胞は長く円筒形であるため藻類細胞と明確に区別 し得る。菌糸の成長は、高度に整然とした藻類細胞の間の不規則性として観察さ れた。最も頻繁な菌糸の方向は、藻類の葉状体の主軸に沿った向きである。中心 および周辺に向かう側枝がいくつかの場合で検出される。菌糸は藻類の内性/着 生第二世代と混同され得ない。 Calcofluor Whiteはキチンおよびセルロースを含有する組織を染色することが 知られている。キチンとの反応は、4個の共有結合した末端のn-アセチルグルコ サミン残基を要求する。セルロースは、いくつかの藻類では微量に存在し得るが 、ほとんど高等植物に限定されていることが一般に受け入れられている。さらに キチンはGracilaria内には存在しないことが公知である。 Calcofluor Whiteは切片化したGracilariopsis lemaneiformisの試料中の菌類 菌糸の細胞壁に相当する領域を染色することが見出された。 紫外線下で観察すると、菌糸はGracilaria組織の淡青色の背景に対して明確な 白色を示す(図1を参照のこと)。キチンはGracilariaには存在しないが、ほと んどの菌類においては細胞壁の主成分である。これらの観察に基づき、本発明者 らは検査した藻類は菌類に感染していると結論する。検査したGracilariopsis l emaneiformis切片の下部の40%は、菌類菌糸に感染していることが見出された。 藻類の先端では検査したGracilariopsis lemaneiformisの切片の25%が感染して いることが見出された。 Periodic acid Schiff(PAS)およびAniline blue blackでのGracilariopsis lemaneiformis切片の染色は、藻類細胞と比較して菌類細胞内の顕著に高い炭水 化物含有を示した(図2を参照のこと)。Safranin OおよびMalachit Greenは、 菌類に感染した高等植物に見出されるのと同じ菌類細胞の呈色反応を示した。 Acridin OrangeとGracilariopsis lemaneiformis切片との反応は、明確に菌類 の不規則な成長を示した。 1.1.2 電子顕微鏡検査 Calcofluor Whiteを用いて菌類を検出した、15μmの厚さの切片を有するスラ イドを2% OsO4で固定し、水で洗浄し、そしてジメトキシプロパンと無水アルコ ールで脱水した。アセトンとSpurr樹脂の1:1混合液の一滴をガラススライド上の 各々の切片に滴下し、そして1時間後純粋な樹脂の一滴で置き換えた。樹脂を充 填したゼラチン包埋カプセルを切片の表面に静置し4℃で一晩放置した。55℃で 8時間重合した後、樹脂ブロックに付着した厚い切片は、液体窒素に浸すことに よりスライドから分離され得た。 ブロックの形を整え、ミクロトーム上でダイヤモンドナイフを用いて、100nm の厚さの切片を切断した。切片を酢酸ウラニル水溶液およびクエン酸鉛で染色し た。切片を電子顕微鏡内で、80kVで検討した。 この検査は光学顕微鏡での観察を確認し、リアーゼを生産する中国の株のG.l amneiformisが菌類の寄生体あるいは共生体に感染しているというさらなる証拠 を提供した。 菌類菌糸は、長さ50-100μmおよび直径僅か数ミクロンの管状細胞から作られ ている。この細胞は隣接した細胞の間の隔壁で連続的に整列されている。時折分 枝も見られる。菌糸は、壁を貫通したり細胞を損傷したりすることなく藻類葉状 体の厚い細胞壁の間に成長する。このような共生関係(mycophycobiosisと呼ば れる)はいくつかの糸状海洋菌類および大きな海藻間で起こることが知られてい る(DonkおよびBruning,1992- 藻類中、および藻類上での水生菌類の生態学。R eisser,W.(編):Algae and Symbioses: Plants,Animals,Fungi,Viruses,Int eractions Explored.Biopress Ltd.,Bristol.) 図10の顕微鏡写真を検討すると、藻類細胞および菌類細胞の間のいくつかの違 いに気付き得る。藻類の数μmの厚さの壁と対照的に、菌類の細胞壁は僅か100〜 200nmの厚さである。チラコイド膜を有するクロロプラストおよび紅藻デンプン 粒子のような植物に典型的なオルガネラが、藻類細胞内には見られ得るが、菌類 内には見られない。 紅藻類の細胞間の連結は壁孔プラグ(pit plug)あるいは壁孔連絡と呼ばれる 特異的な構造により特徴づけられる。この構造は突起した、電子密核(electron dense core)であり、それらは藻類分類学において重要な特徴である(Puesche l,C.M.:紅藻類の壁孔プラグの超構造の拡張した概観。J.Phycol.25,625(198 9))。本発明者らの試料では、このような連絡は頻繁に藻類葉状体内で観察され た。しかし、菌類の細胞の間には全く見られなかった。 1.2インサイチュハイブリダイゼーション実験 インサイチュハイブリダイゼーション技術はアンチセンスリボヌクレトチド配 列のmRNAへのハイブリダイゼーションの原理に基づく。この技術はmRNAが存在す る顕微鏡切片中の領域を視覚化するために用いられる。この特定の場合、この技 術をGracilariopsis lemaneiformis切片中の酵素α-1,4-グルカンリアーゼを局 在化するために用いた。 1.2.1 インサイチュハイブリダイゼーションのための35S標識したプローブの調 製 第3のPCR増幅からの238 bpのPCRフラグメント(クローン2と呼ばれる(前記 参照))をpGEM-3Zf(+)ベクター(Promega)にクローン化した。アンチセンスRN Aの転写はSP6プロモーターで駆動し、センスRNAの転写はT7プロモーターで駆動 した。Ribonuclease protection assay kit(Ambion)を以下のとおり改変して使 用した。転写産物を6%シーケンシングゲルで泳動して、取り込まれていないヌ クレオチドを除去し、T7RNA polymerase in vitro Transcription Kit(Ambion) で提供される溶出緩衝液で溶出した。アンチセンス転写産物は23の非コードヌク レオチドを含み、一方センス転写産物は39の非コードヌクレトチドを含んでいた 。ハイブリダイゼーションのために107cpm/mlの35S標識したプローブを用いた 。 インサイチュハイブリダイゼーションは本質的にLangedaleら(1988)に記載 のように実施した。ハイブリダイゼーションの温度は45℃が至適であることが見 出された。45℃で洗浄した後、切片をKodaK K-5 photographic emulsionで覆い 、3日間5℃で暗所に放置した(Langedale,J.A.,Rothermel,B.A.およびNels on,T.(1988).Genes and development 2:106-115.Cold Spring Harbour Labora t oryを参照)。 α-1,4-グルカンリアーゼのmRNAに対するリボプローブを用いたインサイチュ ハイブリダイゼーション実験は、Gracilariopsis lemaneiformis内に検出された 菌類の菌糸の上面および周辺に強いハイブリダイゼーションを示した(図4およ び5参照)。これはα-1,4-グルカンリアーゼが生産されていることを示す強い 証拠であると考えられる。弱いランダムなバックグラウンド反応を両方のGracil ariopsis lemaneiformisの藻類組織で検出した。この反応は、センスおよびアン チセンス両方のプローブについて観察された。菌類菌糸の上面の強い染色はアン チセンスプローブを用いたときにのみ得られた。 これらの結果はハイブリダイゼーションおよび洗浄の工程における45℃での標 準的なハイブリダイゼーションの条件を用いて得られた。50℃では菌類の上面の 染色は観察されなかったが、バックグラウンドの染色は同様であった。55℃に温 度を上げることにより、センスおよびアンチセンスプローブの両方で、有意にか つ等しくバックグラウンドの染色が減衰した。 相補的染色手順を用いた細胞学的検査に基づき、Gracilariopsis lemaneiform isは菌類に感染していることが結論される。感染は、藻類組織の下部において最 も顕著である。 切片化したGracilariopsis lemaneiformis試料において、インサイチュハイブ リダイゼーションの結果は、ハイブリダイゼーションが菌類の感染が見い出され る領域に限定されていることを明確に示す(図4参照)。この結果はα-1,4-グ ルカンリアーゼのmRNAがGracilariopsis lemaneiformisの菌類に感染した領域に 限定されているように見えることを示す。 これらの観察に基づき、本発明者らは菌類に感染したGracilariopsis lemanei formis内にα-1,4-グルカンリアーゼ活性が検出されると結論する。2.酵素の精製と特徴付け 菌類に感染したGracilariopsis lemaneiformis由来のα-1,4-グルカンリアー ゼの精製は以下のように実施した。 2.1 材料と方法 藻類は濾過により回収し、0.9%NaClで洗浄した。細胞をホモゲナイゼーショ ンによって破壊し、次いで氷上で6×3分間、50mMクエン酸-NaOH pH6.2(緩衝液A) 中で超音波破砕した。細胞破片(debris)は25,000×g、40分間遠心して取り除い た。この手順で得られた上清を無細胞抽出物とみなし、8〜25%の勾配ゲルで分 離した後、活性染色およびウエスタンブロッティングに用いた。 2.2 β-シクロデキストリンSepharoseゲルによる分離 無細胞抽出物をあらかじめ緩衝液Aで平衡化したβ-シクロデキストリンSephar oseゲル4Bカラム(2.6×18cm)に直接かけた。このカラムを3倍量の緩衝液Aおよ び1M NaClを含む2倍量の緩衝液Aで洗浄した。α-1,4-グルカンリアーゼを緩衝 液A中の2%デキストリンを用いて溶出した。活性のある画分をプールし、緩衝液 を20mMビス-トリスプロパン-HCl(pH7.0,緩衝液B)に変えた。 活性のある画分をあらかじめ緩衝液Bで平衡化したMono Q HR 5/5カラムにかけ た。菌類のリアーゼを0.3M NaClの直線勾配で緩衝液Bを用いて溶出した。 β-シクロデキストリンSepharoseクロマトグラフィーの後に得られたリアーゼ 調製物は、あるいは150μlに濃縮し、FPLC条件下で操作されたSuperose12カラム にかけた。 2.3 α-1,4-グルカンリアーゼ活性のアッセイならびに基質特異性、至適pH、お よび至適温度決定のための条件 α-1,4-グルカンリアーゼ活性のアッセイのための反応混合液は10mg/mlアミロ ペクチンおよび25mM Mes-NaOH(pH6.0)を含んだ。反応は30℃で30分間行い、3,5- デニトロサリチル酸試薬を加えて停止した。光学密度は、室温で10分間おいた後 に550nmで測定した。3.菌類感染Gracilariopsis lemaneiformis由来のα-1,4-グルカンリアーゼの アミノ酸配列決定 3.1 リアーゼのアミノ酸配列決定 リアーゼをClostridium histolyticum由来のエンドプロティナーゼArg-Cまた はLysobacter enzymogenes由来のエンドプロティナーゼLys-Cのいずれかでで消 化した。いずれも配列決定用グレードであり、Boehringer Mannhein,Germanyか ら購入した。エンドプロティナーゼArg-Cでの消化のために、凍結乾燥したリア ーゼ(0.1mg)を50μlの10M尿素、50mMメチルアミン、0.1M Tris-HCl、pH7.6に溶 解した。N2で覆い、10μlの50mM DTTおよび5mM EDTAを添加し、N2下50℃で10分 間、タンパク質を変性および還元させた。続いて、10μlの50mM Tris-HCl、pH8. 0中の1μgのエンドプロティナーゼArg-Cを添加し、N2で覆い、消化を37℃で6時 間行った。次のシステインの誘導体化のために、12.5μlの100mMヨードアセトア ミドを添加し、N2下、暗所で室温、15分間インキュベートした。 エンドプロティナーゼLys-Cでの消化のために、凍結乾燥したリアーゼ(0.1mg) を50μlの8M尿素、0.4M NH4HCO3、pH8.4に溶解した。N2で覆い、5μlの45mM DTT を添加した後、N2下50℃で15分間、タンパク質を変性および還元させた。室温ま で冷却した後、5μlの100mMヨードアセトアミドを添加して、N2下、暗所で室温 、15分間システインを誘導体化した。 次に、90μlの水および50μlの50mM tricineおよび10mM EDTA、pH8.0中の5μg のエンドプロティナーゼLys-Cを添加し、消化をN2下37℃24時間行った。 この結果生じたペプチドを溶媒A(水中の0.1%TFA)および溶媒B(アセトニトリル 中の0.1% TFA)を用いて、VYDAC C18カラム(0.46×15cm;10μm; The Separations Group;California)上の逆相HPLCに分離した。選択したペプチドをパルス化高 速液体サイクル(pulsed-liquid fast cycles)を用いてApplied Biosystems 476A シーケンサーによって配列決定する前に、Develosil C18カラム(0.46×10cm; 3 μm; Dr.Ole Schou,Novo Nordisk,Denmark)で再クロマトグラフした。 菌類に感染したGracilariopsis lemaneiformis由来の酵素からのアミノ酸配列 情報を以下、特に配列番号1、および配列番号2に示す。配列番号1は以下を有する: アミノ酸残基数:1088 アミノ酸組成(シグナル配列を含む) 配列番号2は以下を有する: アミノ酸残基数:1091 アミノ酸組成(シグナル配列を含む) 3.2 N-末端の分析 研究により天然のグルカンリアーゼ1のN-末端配列がブロックされていること が示された。脱ブロック化を本質的にLeGendreら(1993)[タンパク質およびペ プチドのSDS-PAGEによる精製;Matsudaira,P.(編)A practical guide to pro tein and peptide purification for microsequencing,第2版; Academic Pres s Inc.,San Diego; pp.74-101]に記載の方法に従い、PVDF膜にブロットされた グルカンリアーゼ1を無水TFAで40℃で30分間処理することにより達成した。得 られた配列はTALSDKQTAであった。これはグルカンリアーゼ1のクローン由来の 配列(配列番号1の51位〜59位の配列)と一致し、グルカンリアーゼ1のN-末端 残基がN-アセチルスレオニンであることを示す。配列番号1の1位〜50位の配列 はシグナル配列を表す。4.菌類に感染したGracilariopsis lemaneiformis由来のα-1,4-グルカンリア ーゼをコードする遺伝子のDNA配列決定 4.1 分子生物学のための方法 以下の改変を加えてSaunders(1993)に記載の方法のようにDNAを単離した: ポリサッカライドを、DNAからゲル精製のかわりにELUTIP-d(Schleicher & Schu ell)精製により除去した(Saunders,G.W.(1993).紅藻類ゲノムDNAのゲル精 製:PCRに有用なDNAを単離するための、安価で迅速な方法。Journal of phycolo gy 29(2): 251-254およびSchleicher & Schuell: ELUTIP-d.DNAの精製および濃 縮のための迅速な方法。を参照)。 4.2 PCR 目的のDNAの調製は、Gene Amp DNA Amplification Kit(Perkin Elmer Cetus, USA)を使用し、Taq ポリメラーゼを後に加え(PCRサイクルを参照のこと)、温度 サイクルを以下のように変更した以外は製造業者の使用説明書に従い行った: 4.3 PCRフラグメントのクローニング PCRフラグメントは製造業者の使用説明書に従いpT7Blue(Novagen)にクローニ ングした。 4.4 DNA配列決定 二本鎖DNAはSangerら(1979)のジデオキシ法に本質的に従い、Auto Read Seque ncing Kit(Pharmacia)およびPharmacia LKB A.L.F.DNAシーケンサー(参考:Sang er,F.,Nicklen,S.およびCoulson,A.R.(1979)。鎖終結インヒビターを用 いたDNA配列の決定Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5497.)を用いて配列決定を 行った。 配列を配列番号3および4として示す。ここで、配列番号3は以下を有する: 総塩基数:3267。 DNA配列組成:850 A;761 C;871 G;785 T配列番号4は以下を有する: 総塩基数:3276。 DNA配列組成:889 A;702 C;856 G;829 T 4.5 ライブラリーのスクリーニング Stratageneより得た、λZapライブラリーのスクリーニングを、プレハイブリ ダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを2×SSC、0.1%SDS、10×Denhar dt'sおよび100μg/ml変性サケ精子DNA中で行った以外は製造者の使用説明に従っ て行った。ハイブリダイゼーション溶液に32Pで標識した変性プローブを添加し た。ハイブリダイゼーションは55℃で一晩行った。フィルターを2×SSC、0.1% SDS中で2回、および1×SSC、0.1% SDS中で2回洗浄した。 4.6 プローブ クローン化したPCRフラグメントを、適切な制限酵素を用いた消化により、pT7 blueベクターから単離した。フラグメントをアガロースゲル電気泳動によってベ クターから分離し、フラグメントをAgarase(Boehringer Mannhein)によってアガ ロースから精製した。フラグメントはわずか90〜240 bpの長さであったので、単 離したフラグメントを、Prime-It random primer Kit(Stratagene)またはReady to Go DNA labelling kit(Pharmacia)を用いて32P-dCTPで標識する前にライゲー ション反応に曝した。 4.7 結果 4.7.1 α-1,4-グルカンリアーゼをコードするPCR DNAフラグメントの生成 α-1,4-グルカンリアーゼ由来の、3つの重複するトリプシンペプチドのアミ ノ酸配列(下に示す)を、混合オリゴヌクレオチドを生成するために用いた。この オリゴヌクレオチドはPCRプライマーとして用いられ得た(前記の配列を参照) . 第1のPCR増幅において、プライマーA/B(前記参照)を上流のプライマーとし て、プライマーC(前記参照)を下流のプライマーとして用いた。予想されるPC R産物の長さは71塩基対である。 第2のPCR増幅において、プライマーA/Bを上流のプライマーとして、E(前記 参照)を下流のプライマーとして用いた。予想されるPCR産物の長さは161塩基対 である。 第3のPCR増幅において、プライマーF1(前記参照)およF2(前記参照)を上 流のプライマーとして、Eを下流のプライマーとして用いた。予想されるPCR産 物の長さは238塩基対である。このPCR産物を2%LMTアガロースゲルで分析し、 予想される長さのフラグメントをゲルから切り出して、Agarase(Boehringer Ma nheim)で処理し、そしてpT7blueベクター(Novagen)にクローン化して配列決 定した。 第1および第2のPCR増幅由来のクローン化したフラグメントは、配列決定し たペプチド(前記参照)に相当するアミノ酸をコードしていた。第3の増幅由来 のクローン(前記参照)は配列決定したペプチドに対して約87%のみ相同であっ た。 4.7.2 クローン化したPCRフラグメントを用いたゲノムライブラリーのスクリー ニング。 前記したクローンを用いたライブラリーのスクリーニングにより2つのクロー ンを得た。1つのクローンは配列番号4(遺伝子2)のヌクレオチド配列を含有 した。他のクローンは配列番号3の配列の一部を含有した(塩基対1065から下流 )(遺伝子1)。 配列番号3の5’末端(すなわち塩基対1064から上流)はGibco BRLの5’race systemを用いたRACE(rapid amplification of cDNA ends)手順(Michael,A. F.,Michael,K.D.およびMartin,G.R.(1988).Proc..Natl.Acad.Sci.USA 85:8 998-99002)により得た。全RNAをCollingeら(Collinge,D.B.,Milligan D.E; ,Dow,J.M.,Scofield,G.およびDaniels,M.J.(1987).Plant Mol Biol 8: 40 5-414)に従い単離した。5’raceは1μgの全RNAを用いて製造業者のプロトコル に従い実施した。第2の増幅由来のPCR産物をNovagenのpT7blue vectorに製造業 者のプロトコルに従いクローン化した。PCRエラーを補償するために3つの独立 したPCRクローンを塩基配列決定した。 上で記載のクローンにATG開始コドンの直前のXbaIおよびNdeI制限部位を補足 するために以下のオリゴヌクレトチドを上流のプライマーに用いて: GCTCTAGAGCATGTTTTCAACCCTTGCG、そして配列GLI(すなわち配列番号3)の塩 基対1573-1593の相補配列を含むプライマーを下流のプライマーとして用いて、 追加のPCRを実施した。 遺伝子1の完全な配列(すなわち配列番号3)はStratageneのpBluescript II KS+ ベクターに遺伝子の3’末端をゲノムクローン由来のBamHI-HindIIIフラグ メントとしてクローン化し、そしてさらにPCRにより生成した遺伝子の5’末端 をXbal-BamHIフラグメントとして3’末端の前にクローン化することにより生成 した。 遺伝子2を、HindIII平滑末端化フラグメントとしてStratageneのpBluescript II KS+ ベクターのEcoRV部位にクローン化した。3’非転写配列の一部をSacI 消化により除去し、次に再結合した。HindIIIおよびHpaI制限部位を開始ATGの直 前に、HindIIIおよびNarI消化、および以下のアニールしたオリゴヌクレオチド の存在下での再結合により導入した。 配列決定したクローン内にイントロンを見出さなかった。 クローン1タイプ(配列番号3)は100%の同一性を示して、10のペプチド配列 全てと(図8参照)並べ得る。菌類に感染した藻類Gracilariopsis lemaneiform isから単離された遺伝子によりコードされる二つのタンパク質の配列のアライメ ントは約78%の同一性を示した。これは両方の遺伝子がα-1,4-グルカンリアー ゼ をコードすることを示す。5.微生物におけるGL遺伝子の発現 (例えば、Pichiaのリアーゼ形質転換体およびAspergillusのリアーゼ形質転換 体の分析) GLをコードするDNA配列を微生物に導入し、高い比活性を有する酵素を大量に 生産した。 これに関して、遺伝子1(すなわち配列番号3)をPichia pastorisで発現させ るために(Invitrogenにより供給されるPichia Expression Kit中に記載のプロト コールに従って)Pichia発現ベクターpHIL-D2(AOX1プロモーターを含有する)をEc oRIで消化し平滑末端化(Amersham InternationalのDNA blunting kitを使用)し たものに、NotI-HindIII平滑末端化(Amersham InternationalのDNA blunting ki tを使用)フラグメントとしてクローン化した。 別の実施様態では、MC遺伝子1すなわち配列番号3は、Aspergillus nigerで 発現させるために(Pallら、(1993)Fungal Genet Newslett.vol40 pages 59-62 )、Aspergillus発現ベクターpBARMTE1(Neuropera crassa由来のメチルトリプト ファン耐性プロモーターを含有する)をSmaIで消化したものに、NotI-HindIII平 滑末端化フラグメント(Amersham InternationalのDNA blunting kitを使用)とし てクローン化した。プロトプラストはDaboussiら(Curr Genet(1989)Vol 15 pp45 3-456)に従って溶解(lysing)酵素Sigma L-2773およびリティカーゼ(lyticase)Si gma L-8012を使用して調製した。プロトプラストの形質転換はBuxtonら(Gene(19 85)vol37 pp207-214)に記載のプロトコルに従ったが、形質転換したプロトプラ ストのプレーティングに関しては、0.6%の浸透圧安定化トップアガロースを使用 した以外はPuntら(Methods in Enzymology(1992)vol216 pp447-457)により立 案されたプロトコールに従った。 結果は、形質転換したPichia pastorisおよびAspergillus nigerにおいてリア ーゼ活性が観察されたことを示した。 5.1 一般的方法 無細胞抽出物の調製 細胞は9000rpm、5分間遠心することによって回収し、0.9%NaClで洗浄し、破砕 (breaking)緩衝液(1mM EDTA、および5%グリセロール含有50mM K-リン酸、pH7.5) に再懸濁した。細胞はガラスビーズおよびボルテックス処理を用いて破砕した。 破砕緩衝液は1mMのPMSF(プロテアーゼインヒビター)を含有した。リアーゼ抽出 物(上清)を、9000rpmで5分間遠心し、次いで20,000×gで5分間遠心後得た。 アルカリ性3,5-ジニトロサリチル酸試薬(DNS)によるリアーゼ活性のアッセイ リアーゼ抽出物の1倍量を等量の4%アミロペクチン溶液と混合した。反応混合 液は制御された温度でインキュベートし、そして試料は特定の間隔で取り出しAF について分析した。 リアーゼ活性はまた、放射活性方法を使用して分析した。 反応混合液は、10μlの14C-デンプン溶液(1μCi; Sigma Chemicals Co.)およ び10μlのリアーゼ抽出物を含有した。反応混合液は25℃で一晩おき、その後通 常のTLC系で分析した。生成された放射活性AF産生量はInstant Imager(Pachard Instrument Co.,Inc.,Meriden,CT)を用いて検出した。 電気泳動およびウェスタンブロッティング SDS-PAGEは8〜25%勾配ゲルおよびPhastSystem(Pharmacia)を使用して行った 。ウェスタンブロッティングもPhastSystemのSemidry transfer unitで実施した 。 Qingdao(China)で採取された紅海藻から精製されたリアーゼに対して生じた1 次抗体を1:100に希釈して使用した。アルカリホスファターゼ(Dako A/S,Glostr up,Denmark)に結合したブタ抗ウサギIgGを2次抗体として使用し、1:1000に希 釈して使用した。 パート1、前記構築物を含有するPichia形質転換体の分析 結果: 1.リアーゼ活性を誘導後5日目に測定し(手引き書に従い)、Bシリーズの全 ての試料について活性が細胞内であることが判明した。 試料B27の経時変化は以下のとおりである。データをまた、図1に示す。 アッセイの条件は時間の変化を除いて上記と同様である。 2.ウエスタンブロッティング分析 全ての試料のCFEは天然のリアーゼに相当する分子量を有するバンドを示した 。 パートII、Aspergilus形質転換体 結果 I. リアーゼ活性は、5日間のインキュベーション(0.2% カゼイン酵素的加水分 解産物を含む最少培地)の後、アルカリ性3,5-ジニトロサリチル酸試薬による分 析で測定した。 1)培養培地のリアーゼ活性の分析 培養培地に含まれる0.2%アミロペクチンとともに増殖させた35の培養物の中で 、AFは2つの培養物でのみ検出された。5.4+および5.9+の培養培地はそれぞれ0. 13g AF/リットルおよび0.44g/リットルを含有していた。この結果は活性なリア ーゼが細胞から分泌されていることを示した。リアーゼ活性はまた、無細胞抽出 物中でもまた測定可能であった。 2)無細胞抽出物におけるリアーゼ活性 結果はGLの遺伝子1がA.nigerにおいて細胞内で発現したことを示す。 形質転換したE.coliを用いた実験は(QiagenのQia express vector kitのクロ ーニングベクターpQE30を用いた)、酵素の発現を示し、この酵素は菌類に感染 したGracilariopsis lemaneiformis由来の精製した酵素に対する抗体により認識 された。 宿主としてAspergillus nigerの代わりに、良好な発現系として公知の他の工 業的に重要な微生物も使用され得る;それらの例としては以下が挙げられる。 本発明の他の好ましい実施態様は、以下のすべてを含む:本明細書に記載のDN A配列を導入した結果AF産生能力を有する形質転換された宿主生物; 微生物であ るこのような形質転換された宿主生物-好ましくはここで宿主生物は細菌、糸状 菌、菌類および酵母からなる群から選択される;好ましくは宿主生物は以下の生 物からなる群から選択される: ;同上の配列をコードするヌクレオチド配列を含有する形質転換された宿主生物 によって発現される酵素α-1,4-グルカンリアーゼとα-1,4-グルカン(例えばデ ンプン)の接触工程を包含する糖1,5-D-アンヒドロフルクトースの調製方法、好 ましくは、ここでヌクレオチド配列はDNA配列であり、好ましくはここでDNA配列 は、本明細書中で先に記載の配列の1つである;本明細書が先に記載のヌクレ オチド配列を含有するベクター、好ましくは、ここでベクターは複製ベクターで ある、好ましくは、ここでベクターはプロモーター配列から下流にヌクレオチド 配列を含有する発現ベクターである、好ましくは、ベクターはマーカー(例えば 耐性マーカー)を含有する;このようなベクターで形質転換された細胞性生物、 または細胞系、;産物α-1,4-グルカンリアーゼを産生する方法あるいはα-1,4- グルカンリアーゼをコードする任意のヌクレオチド配列、またはその部分、これ は、このようなベクターで形質転換されたこのような生物(または細胞系由来の 細胞)の培養および産物の回収を包含する。 本発明の他の修飾は、本発明の範囲内からそれることなく当業者に明白である 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12R 1:84) (C12N 9/88 C12R 1:685) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ),AM, AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,GE,HU ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LK,LT, LU,LV,MD,MG,MN,MW,NL,NO,N Z,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SI,SK ,TJ,TT,UA,US,UZ,VN (72)発明者 クラフ, カーステン マシアス デンマーク国 ヴィビー ジェイ ディー ケイ―8260,スターブトラプベ 139 エ イ (72)発明者 ボジコ, マジャ デンマーク国 ゲントフテ ディーケイ― 2820,フラグトパーケン 11 (72)発明者 ニールセン, ジョン デンマーク国 コペンハーゲン エス デ ィーケイ―2300,エングベ 38 (72)発明者 マーキュセン, ジャン デンマーク国 コペンハーゲン ケイ デ ィーケイ―1210,2., クナブロストラ エド 25

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.酵素α-1,4-グルカンリアーゼ(GL)の調製方法であって、該酵素を菌類感 染藻類から単離する工程を包有する方法。 2.前記酵素が、該酵素により分解されないゲルを用いて単離および/またはさ らに精製される、請求項1に記載の方法。 3.前記ゲルが、デキストリンまたはその誘導体、好ましくはシクロデキストリ ン、より好ましくはβ−シクロ−デキストリンである、請求項2に記載の方法。 4.請求項1から3のいずれかに記載の方法により調製された、GL酵素。 5.配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列、あるいはその任意の変異体を 含む酵素。 6.酵素α-1,4-グルカンリアーゼをコードするヌクレオチド配列。 7.前記配列がDNA配列である、請求項6に記載のヌクレオチド配列。 8.前記DNA配列が、配列番号3または配列番号4の任意のDNA配列に、同一な、 または相補的な、または実質的に相同性を有する、または任意の適切なコドン置 換を含む配列を含む、請求項7に記載のヌクレオチド配列。 9.請求項6から8のいずれかに記載のヌクレオチド配列を発現させる工程を包 含する、酵素α-1,4-グルカンリアーゼの調製方法。 10.前記藻類がGracilariopsis lemaneiformisである、請求項1から9のいず れかに記載の方法。 11.酵素、好ましくはGLを精製するための、β-シクロデキストリンの使用。 12.DNA配列が、配列番号3または配列番号4の任意のDNA配列に、同一な、ま たは相補的な、または実質的に相同性を有する、または任意の適切なコドン置換 を含む配列を含む、ヌクレオチド配列。
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