JPH09506084A - 荷電リポソームの製造 - Google Patents

荷電リポソームの製造

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JPH09506084A JP7513029A JP51302995A JPH09506084A JP H09506084 A JPH09506084 A JP H09506084A JP 7513029 A JP7513029 A JP 7513029A JP 51302995 A JP51302995 A JP 51302995A JP H09506084 A JPH09506084 A JP H09506084A
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ザクセ アンドレアス
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、リポソーム調製物の不利な作用を減らす、例えば、血行力学的作用を減らし、かつ耐容性を改善する効果のある、有効量の帯電成分を有するリポソーム調製物を投与する方法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 荷電リポソームの製造 発明の背景 本発明は、リポソーム及び受容生物へのその投与に関する。 リポソームは、治療薬、診断薬及び予防薬を含む活性剤用の担体として使用さ れている。 リポソームは、一般に、一定の条件下で反応して、脂質の少なくとも2つの層 の2分子葉構造を形成する親水性頭部及び疎水性尾部を有する両親媒性化合物か らなり、その際、極性頭部基は、水性媒体と脂質との間の界面に存在し、かつ疎 水性尾部は、相互に作用して、水を排除する環境を生ぜしめる。この脂質二重層 は、アシル基の炭化水素基の非共有結合相互作用により保持される安定な構造で ある。脂質二重層が、それ自体で包囲されると、外部環境から分離された内部空 間を有するリポソームと称される球形小胞が生じる。所望の薬剤を、この空間中 に、もしくは二重層の間に、そのまま封入することができる。 リポソームを成す脂質は、典型的に、ホスホグリセリド、例えば、ホスファチ ジルコリン(レシチン)及びスフィンゴリピドである。 リポソームは、例えば、治療薬、診断薬及び予防薬 用の担体として使用することができる。これらは、殊に、不安定な薬剤を、分解 から保護することができ、その結果、薬剤が、体内で活性である時間を増やすの で有利である。加えて、リポソームの組織又は細胞特異的ターゲッティングを、 特異的組織又は細胞タイプに選択的な成分のリポソーム内への導入、例えば、カ ップリング、結合、吸収又は、リポソーム二重層表面への吸着により達成するこ とができる。例えば、脂質、抗体、レクチン、受容体、リガンド及びその他の同 様な成分を、リポソーム中に、組織特異的ターゲッティングの達成の目的のため に導入することができる。 リポソーム技術のもう1つの用途は、肝障害の治療、予防及び診断である。画 像技術及びモダリティーの著しい多様性にも関わらず、現在、肝臓障害の利用可 能な正確な診断には、困難な診断的問題が残っている。診断的困難の理由の1つ は、1〜2cmを上回る障害の表示を可能にするのみの正常肝臓組織と腫瘍肝臓 組織との間の低いコントラスト差である。従って、器官全体の全般的な診察が可 能である時間に、コントラストを増すために、X線写真又はMRIコントラスト 媒体の、肝臓中での濃度を増すことを可能にすることが望まれた。 親水性物質の肝臓中への導入を達成する1方法は、これらを、リポソーム中に 封入することである。静脈内投与の後に、リポソームは、細網内皮組織の食細胞 により取り込まれうる。次いで、これらは、主に、肝臓のクッパー細胞及び脾臓 中のマクロファージ中に濃縮される。食細胞作用は、腫瘍組織により発揮されな いので、リポソーム造影剤は、選択的に、健康な組織中に濃縮されうる。これは 、増加された密度差を生じさせる(X線画像:ΔHU、MRI:ΔT1又はT2 Δ)。 様々な研究者が、このような方法の有効性を、原理的には証明することができ た。しかし、多くの場合、彼らは、そのリポソームの低いヨウ素負荷許容量に基 づき、充分な密度差を達成することはできず、又、薬剤学的に認容可能なリポソ ーム調製物の再現可能な大規模製造のために、好適と証明され適用される、リポ ソームを有する造影剤のための製法を有さなかった(充分な貯蔵期間、無菌、発 熱因子不含、高いヨウ素封入)。 全ての前記の限界を克服するコントラスト−含有リポソーム(Contrast-carrin g liposome)の製法が、開発されつつある。国際公開(WO)91/16039 号明細書;P40 135802参照。”エタノール−蒸発法”と称されるこの 方法は、無菌状態下での大量のリポソームの再現可能な製造を可能にする。この 方法により製造される当初のリポソーム懸濁液は、充分な貯蔵期間を有する生成 物を得るために、凍結乾燥される。適用の前に、凍結乾燥物を、135ミリモル マンニトール溶液に再懸濁させ、濾過工程の後に注入されるリポソーム懸濁液を 得る。 この方法で製造されるコントラスト含有リポソームの使用により、肝臓及び脾 臓の不透明化が、達成される。初期の生体内分布研究に基づき、肝臓及び脾臓中 での7日−保持値が、イオトロラン(iotrolan)のそれよりも充分に低いので、イ オプロミド(iopromide)が、リポソーム造影剤として選ばれた。 従って、リポソームは、潜在的に、薬剤運搬系、例えば、前記に記載の造影剤 の運搬において、重要な進展であるが、生体中でのその使用は、リポソーム投与 で観察されうる、不利な全身副作用により、限られる。これらの全身作用は、例 えば、一過性血行力学的低下、情動性血圧(affecting blood pressure)、心拍及 びECG;血球数の低下を含む。例えば、静脈内で、動物に投与する場合、リポ ソームは、受容動物の安全に深刻な危険をもたらす不利な血行力学的作用を、有 しうることが公知である。 このような全身作用の発生を考慮すると、このようなリポソーム調製物を、薬 剤運搬に使用することは不可能である。意外にも、これらと同様のリポソームを 、帯電成分を導入して製造すると、投与での不利な全身作用が、減少する、又は 消失することを発見した。 図の概略 図1は、リポソーム製造に関するエタノール蒸発法 の模式図である。 図2は、別々の脂質(脂質300mg /kg、脂質100mg /kg/min) から製造されたリポソーム及びマンニトール(300ミリモル)を、静脈内に注 入した後の中間血圧(前値に対するパーセント)である:n=6、平均±SEM 。 ●マンニトール ○DSPC/DSPG □DSPC 図3は、別々の脂質(脂質300mg/kg、脂質100mg/kg/min) から製造されたリポソーム及びマンニトール(300ミリモル)を、静脈内に注 入した後の全末梢抵抗性(前値に対するパーセント)である:n=6、平均±S EM。 ●マンニトール ○DSPC/DSPG □DSPC 図4は、別々の脂質(脂質300mg/kg、脂質100mg/kg/min)か ら製造されたリポソーム及びマンニトール(300ミリモル)を、静脈内に注入 した後の拡張終期圧(EDP)である:n=6、平均±SEM。 ●マンニトール ○DSPC/DSPG □DSPC発明の概要 不利な全身作用を有するリポソームに、帯電成分を導入すると、生じたリポソ ームは、帯電成分を除いて同一の脂質成分から形成されたリポソームが、投与さ れた場合に観察される不所望な又は不利な全身作用の発生を、減らす又は消去す ることを発見した。 殊に、負電荷を有する成分、例えば、脂肪酸、例えば、ステアリン酸を、リポ ソーム調製物に添加することは、負に帯電された成分を有さない同様の調製物を 、投与する場合に比べて、受容体の調製物に対する耐容性を、充分に改善する。 改善された耐容性は、帯電成分不含のリポソーム調製物により生じる不利な全身 作用の減少又は消失に反映される。これらの全身作用は、例えば血行力学的作用 、例えば、血行力学的低下、血圧、心拍数、収縮期圧、拡張期圧又はECG間隔 (PR、QRS、QT、QTc)における変化、反射性心頻拍、心室性期外不整 脈(premature ventricular arrhythmias)、増加される呼吸、鎮静、更に、血球 及び血小板数の変化及び死亡を含む。さもないと有害な構造物に対する耐容性を 、帯電変性により改善するこの基本的な原則は、リポソーム以外の試薬に適用可 能なことが判明している。 本発明は、例えば、リポソーム調製物の血行力学的作用の低下、耐容性の改善 又は不利な作用の減少に効果のある電荷の量に関する。電荷の有効量は、帯電成 分の有効量の存在下でのリポソームの形成又は既に形成されたリポソームへの電 荷の有効量の添加により、リポソーム調製物に加えることができる。 投与の際のリポソーム調製物の不所望な又は不利な作用を、投与されたリポソ ームの組成に関わらず、電荷の添加により減らす又は消去することができる。例 えば、全身作用を有するリポソーム調製物が、既に帯電成分を含有していてもよ い。この場合、有効量の帯電成分の導入は、既にリポソーム中に存在する帯電成 分に加えるものであってよい。導入された帯電成分は、既にリポソーム中に存在 するものと同じタイプ又は電荷、又は全て異なるタイプ又は電荷からなってよい 。従って、本発明は、帯電成分を既に有するリポソームに電荷を加えることに関 する。 帯電成分は、リポソーム中に、様々な方法で導入することができる。帯電成分 をリポソーム中に導入する際には、帯電成分は、例えば、脂質二重層の構造成分 になってよいか、かつ/又はリポソームの成分に、共役又は非共有結合的に付着 されていてよい。例えば、リポソームを、有効量の負−帯電ステアリン酸を有す る混合物から形成する場合には、ステアリン酸は、リポソームの脂質二重層中に 導入されうる。しかし、有効量の帯電成分を、既に形成されたリポソーム調製物 又は不完全に形成された調製物に、例えば、共役又は非共有結合により帯電成分 を、脂質二重層の表面に付着させることにより添加することもできる。 帯電成分のリポソームへの付着が、どの程度完全であるかは、さほど重要では ない。決定的な主眼点は、帯電成分が、リポソーム中に、例えば、受容体耐容性 を改善し、不利な作用を減らし、かつ/又はリポソーム調製物の投与により生じ る血行力学的作用を減らす ために有効な量で、存在することである。従って、電荷は、例えば、帯電成分、 例えば酸、例えば、ステアリン酸及びこれらの成分の塩、例えば、アンモニウム 塩の添加;帯電基の脂質二重層の成分へのカップリング及び;共役的にカップリ ングされる、又はその他の力により付着する電荷を有する二重層−形成性物質の 付加によることを含む、様々な方法で、リポソーム中に運び、かつ導入すること ができる。本発明は、いかなる理論にも拘束されないが、典型的には、本発明に よるリポソームは、電荷を、その二重層の外表面に示す。 例えば、ホスファチジルコリンを含有するリポソーム調製物は、不利な血行力 学的作用を有することが公知である。受容生物のその耐容性を、フォスファチジ ルコリンに加えて、有効量の帯電成分を有するリポソームの新規のバッチの調製 により改善することができ、例えば、有効量の電荷を、ステアリン酸により導入 することができる。電荷を、既に形成されたリポソーム中に導入することもでき る。例えば、電荷は、化学的変性により、又は帯電基のその表面への共有結合に より、又は非共有結合による添加により、脂質二重層の外側(外部)表面に導入 することができる。 リポソーム調製物への電荷の添加は、通常、リポソーム投与に付随する身体に 有害な作用が、生ずることなく、比較的多量の調製物を、受容生物に投与するこ とを可能にする。このことは、リポソーム中に封入される薬剤の比較的多量の投 与量の達成において、重要である。リポソームへの電荷の付加は、リポソーム調 製物の安定性及び例えば、室温を上回る温度、例えば30℃〜40℃での貯蔵を 改善することもできる。 有効量の帯電成分の性質は、例えば、耐容性の改善、リポソーム調製物の投与 により生じる不利な作用の減少及び/又は血行力学的作用の減少のための所望の 作用が、達成される限り、正又は負のどちらでもよい。負電荷が、有利である。 電荷は、例えば、イオン又は電気陰性であってよい。原則的に、特定のリポソー ム調製物は、例えば、不所望な全身作用により明白なように、受容生物により許 容されないことが公知であるが、その投与により生じる副作用の減少又は消去の 目的のために、荷電成分を、選択し、次いで、リポソーム調製物中に導入するこ とができる。種々異なる量及び種類の電荷を有するリポソーム調製物の列を調製 する際に、例えば、血行力学的作用の減少及び受容体耐容性の改善において、ど れ程の及びどの種類の電荷が、有効であるかを管理し、かつ決定することは容易 である。 有効な電荷の量を、分子又は電荷担体により導入してもよい。分子は、1つ以 上の帯電基、例えば両性イオンを有することができる。電荷は、電荷担体のどの 位置にあってもよい。電荷担体の選択は、種々のファ クターに依存する;例えば、有効性、生体相容性及び所望の作用。電荷担体は、 その所望の電荷を担う能力に加えて、他の目的のために選択することができる。 例えば、電荷担体は、ターゲッティング剤(targeting agent)としての機能を有 してもよい、即ち、受容生物中の所望の組織又は細胞タイプへのリポソーム選択 性を指示する機能を有してよい。電荷担体は、例えば、生体分子、ポリマー、脂 質、蛋白質、ヌクレイン酸、炭化水素、合成分子であるか、又はリポソーム二重 層中に導入することができ、かつ有効量の電荷を有する分子又は分子構造物であ ってよい。分子を、リポソーム二重層中に導入する際には、分子は、構造的に、 例えば、脂質二重層中に一体化された、もしくは、末端部で、リポソーム表面に 接せられたリポソーム小疱の一部となるか、又は脂質成分そのものとなってよい 。加えて、付加的な酸性基を有する小さな化合物を、二重層中に存在する、”ア ンカー”、例えば、コレステロール、フォスファチジルコリン、脂肪酸等にカッ プリングさせることができる。電荷、有利には、負電荷は、二重層に付着可能な 基にカップリングされたアミノ酸又は糖酸により導入されてもよい(コレステロ ール、フォスファチジルコリン、脂肪酸等)。 電荷担体は、ステロール、脂肪酸、グリセロールエステル、スフィンゴシン、 テルペン、又は一般的な脂質を含む電荷を担う脂質であってもよい(例えば、TE XTBOOK OF CLINICAL CHEMISTRY(1986),N.W.Tietz,editor,W.B.Saunders Co. ,Chapter 7,pp.829〜900参照)。ステアリン酸は、本発明において、例えば、 非経口的に投与されたリポソーム調製物の血行力学的作用を減少する有効な量で 、使用することができる負電荷を有する脂肪酸の有利な例である。その他の脂肪 酸には、例えば、パルミチン酸、アラキドン酸、リノール酸、リノレイン及び/ 又はそれらの混合物を包含されてよい。 電荷担体は、例えば、脂質二重層に結合しうるか、又は表面に末端的に接しう る蛋白質であってもよい。蛋白質の電荷は、蛋白質に結合又は接合されるアミノ 酸、炭水化物結合、又は非−タンパク基により生じうる。蛋白質は、脂質基を有 する蛋白質であってもよい。その所望の電荷の故に、かつその特異組織にリポソ ームをターゲットする能力の故に、蛋白質を選択することができる。 リポソーム中に導入される電荷の量は、不所望な全身作用、例えば血行力学的 低下を減らす、かつ/又は耐容性に作用がある量であってよい。電荷の量は、荷 電成分とその他のリポソーム成分とのモル比を変えることにより、変動させるこ とができる。例えば、帯電成分は、フォスファチジルコリンを有するリポソーム に、ステアリン酸を添加することにより、添加することができる。リポソーム中 の電荷の量は、2つの成分 のモル比を調節する(例えば、ホスファチジルコリン/ステアリン酸 9:1) ことで、所望の量にすればよい。 リポソーム調製物に対する受容体の改善された耐容性及びその結果である全身 作用の消失及び減少が、リポソーム小胞中への帯電成分の導入により生じうる。 この改善は、帯電成分により生じる細胞表面の変化により仲介される場合には、 表面を変性する薬剤又は方法を使用することにより生ぜしめることもできる。例 えば、有害な全身作用を有する既に形成されたリポソームを、酵素により、又は 化学的に処理して、リポソームの表面特性を変性し、かつ投与の際の耐容性を、 改善することができる。化学的変性は、例えば、リポソームを、還元剤、酸化剤 と反応させること、又は帯電成分を、その表面にカップリングすることを含む。 これらの方法は、ここに記載のように、不利な作用の減少及び消去の達成のため であるが、常法により行うことができる。 リポソームは、従来技術で慣用の方法により製造することができる(例えば、 国際公開WO86/00238号明細書参照)。付加的に、ヨーロッパ特許(E P)第69307号明細書;例えば、膜蒸留により、場合により多相の液体混合 物から液体を除去することを必要とする水性分散液の製法を記載している米国特 許(US)第5110475号明細書;及び本質的に 、単峰形で、かつ規定されたサイズ分布を有するリポソームを製造するための押 出技術として記載されている国際公開WO86/00238号明細書により、リ ポソームは製造することができる。 リポソームを、帯電成分を用いて製造すると、帯電基を、リポソーム中で、い くつかの異なる方向に配向することができる;例えば、リポソーム小胞の内部に 向かって、かつ水性媒体と脂質との界面で、外部に向かって。外部、例えば外表 面に電荷を有するリポソームが、有利である。例えば、”内部”帯電リポソーム と”外部”帯電リポソームとを分離することが望ましい。これは、電荷、電荷密 度又は電荷配向に基づき構造物を分ける、有利には、例えば、帯電した、又はそ の他に変性された保持体を使用するカラムクロマトグラフィー、電気泳動、電気 分離法及びその他の方法を含む、従来技術で公知の方法により実施することがで きる。一般に、帯電成分を有するリポソーム調製物は、本発明の目的に望ましく ない配向を消去する条件にさらすことができる。 活性剤を、リポソーム中に常法により、封入することができる。従って、有効 量の帯電成分を有するリポソーム調製物に、活性剤を含有させて、又は封入して よい。封入を、例えば、リポソームを、脂質二重層が回りに形成され、かつ活性 剤を封入する条件下に、活性剤量の存在下に形成することにより、活性剤を、既 に形成されたリポソームに、活性剤を有するリポソーム、細胞又はその他の構造 物の融合により導入することにより(例えば、このような融合は、PEG、電流 、レクチン及び従来技術で公知の方法により実施することができる)、実施する ことができる。加えて、活性剤を有するリポソームを、国際公開WO/8959 3号明細書により、例えば、水性媒体中のリポソームを、その中に、活性剤の侵 入及び圧低下の発生を可能にする、脂質配置の秩序を減らす効果のある圧力条件 下に処理することにより、製造してもよい。 活性剤を、有効量の帯電成分を有するリポソーム調製物中に封入してもよく、 例えば、Physicians Desk References,Medical Economics Data,44th Edition ,1993 又はRemingtons's Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,18 th Edition,1990 中に記載の薬剤、抗体、ペプチド、DNA、RNA、リボザ イム及びオリゴヌクレオチド、予防剤及び診断剤、例えば造影剤、例えば、イオ プロミド、常磁性体、強磁性体、放射性同位元素及びその他の慣用の構造物又は 化合物を含む、慣用の活性剤、例えば治療に使用されるものを含む。このような 活性剤は、この分野で、通常の熟練した実働者により使用及び推奨されているも のであってよい。 リポソームは、慣用の方法により、投与することができる。例えば、リポソー ム調製物を、非経口的に、 例えば、動脈又は静脈カテーテルにより静脈内に、シリンジを用いる注入により 投与することができるが、これらは、経口で又は腸を介して投与することもでき る。リポソーム調製物の典型的な量は、例えば、脂質100〜200mg/kg であり、この量は、どれほどの薬剤が、投与されようとしているのか、またリポ ソーム1つ当たりにどれ程、封入されているのかに依存している。投与しうるリ ポソーム調製物の量は、慣用的に、従来技術で公知の方法に従い、決めることが できる。リポソームは、1回注入で投与するか、又は一定の又は変動する速度で 、一定時間に渡り(例えば、2ml/minで、30分間)、投与又は注入するこ とができる。帯電成分を有するリポソームは、受容体によく許容されるので、投 与されるリポソームの注入速度及び量は、不利な作用を有するリポソーム調製物 に、典型的に使用される量を上回ってよい。 リポソームは、どのような生物、例えば、ほ乳類、例えばヒト、ラット、ネズ ミ、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、更に、トリ、両生類及びは虫類にも投与 することができる。投与の目的は、診断、治療、薬物療法、沈静化又は疾患の予 防であってよいが、ヒトに場合により使用する薬剤、造影剤、抗体及びその他の 薬剤の安全性及び効力を評価するために、動物実験の展開と組み合わせて使用す ることもできる。リポソーム投与に関連する例えば、血行力学的作用の減少、受 容体耐容性の改善又は不利な作用の減少に関する本発明の方法は、例えば前記の どの生物でも実行することができる。 リポソームは、例えば、MRI、超音波及び核医学を含む、診断又は治療的用 途で使用することができる。 更なる詳細を必要とせず、この分野に熟達した者は、先行の記載を使用して、 本発明を、その最大限まで使用できると思われる。従って、次に記載の有利な特 定の態様は、単に、詳述であり、記載の残部をいかようにも限定するものではな いと解釈されたい。 前記中、及び次の例中で、全ての温度は、特に記載の無い限り、セルシウス度 で記載されており、かつ全ての部及びパーセントは、重量に関する。 この際、前記、又後記で引用した全ての出願、特許及び刊行物の全ての記載を 、参照した。 例1 ”エタノール蒸発法”によるイオプロミドリポソームの製法を、図1に示す。 膜脂質のエタノール溶液(標準=92.5mg/ml フォスファチジルコリン /コレステロール/ステアリン酸4:5:1モル)を、Ultravist(TR)370溶液の アリコートを、20ミリモルトロメタミン緩衝液pH7.4で希釈して、46. 25mg/mlの最終ヨウ素濃度にしたイオプロミド 溶液と混合する。混合時間の後に、白色のリポソーム懸濁液が得られるまで、エ タノールを、減圧下に混合物から除去する。次いで、この懸濁液を濾過し(5μ m及び1.2μm)、小瓶中に満たし、かつ貯蔵用の安定形を製造するために、 凍結乾燥させた。 適用に先立って、このような凍結乾燥物を、先ず、乾燥物質1グラム当たり、 135ミリモルマンニトール溶液4mlで再水和する。次いで、生じたリポソー ム懸濁液を、濾過し(20μmガラス繊維プレフィルター及び5μmCNメイン フィルター)、非リポソーム構造物を除去する。これらの構造物は、スリング− (sling-)又はループ−形の二重層形成物で、部分的に10μmを上回る。これら の構造物は、前記の濾過工程により除去されることが判明している。 多量のリポソームの再現製造のためのこの製法の適応性も、既に証明されてい る。16バッチの調製物(それぞれ、リポソーム懸濁液1000ml)は、再懸 濁物質(凍結乾燥物1g当たり、135ミリモルマンニトール溶液2ml)で、 42.1±4.9%の封入率及び458±55nmの平均直径となった。 この方法は、潜在的に、無菌条件下での形成に好適である。リポソームの製造 のために使用される溶液は、限外−又は無菌濾過することができる。 再懸濁された凍結乾燥物(凍結乾燥物1g当たり、135ミリモルマンニトー ル溶液4ml)の組成を、 下記に記載する(値域を用いずに): イオプロミド: 145.5mg ホスファチジルコリン(PC): 41.3mg DL−α−トコフェロール: 0.04mg コレステロール(CH): 25.0mg ステアリン酸(SS): 3.7mg トロメタミン: 3.7mg IN HCL: 25.4mg エデト酸二ナトリウム: 0.15mg マンニトール: 21.8mg 水(f.i.) 1ml(全量) PC/CH/SS4:5:1のモル脂質混合物に、最も高い封入率(42.5 ±3.7%、n=6)、同様に、再懸濁された物質中の最も低い平均直径(43 9±87nm)が生じた。これらの値に、バッチサイズが、10倍に増やされた 場合に得られる値は、ほぼ一致する(3.1参照)。3つの膜成分のモル比、同 様に、それぞれの脂質成分のタイプ及び品質を、これらのターゲットパラメータ ーについて、最適なものにした。 イオプロミド以外のその他の非−イオンモノマー造影剤(iopamidol,iohexol 及びZK119095)の使用が、ヨウ素の封入に関してより優れているとは、判明しな かった。非−イオンダイマーイオトロラン(iotrolan) を、封入すると、より高い重量比(ヨウ素mg/脂質mg)が得られた。しかし 、試験動物の肝臓及びひ臓中での許容できないほどに長いリポソームイオトロラ ンの保持(生体内分布研究)及び肝臓の随伴性病理学的変化の故に、この化合物 に関し、更なる研究を行わなかった。 エタノール−蒸発法では、原溶液中の1:1のヨウ素/脂質比(図1参照)が 、最終調製物中の脂質の最適な効果(即ち、最も高い可能なヨウ素と脂質の重量 比)において、最も好適であることとが判明した。実験された再懸濁液媒体では 、蒸留水(2回)、種々の緩衝溶液及びより低い濃度のマンニトール溶液に比べ て、135ミリモルマンニトールに、最も高い封入率値が生じた。 例2 当初の安定性の研究のために、リポソーム凍結乾燥物のバッチを、無菌研究室 条件下で製造した。再懸濁されたリポソームを、サイズ(QUELS)、ヨウ素 封入、pH及び顕微鏡での外観に関し、特性決定した。微生物の存在は、測定さ れなかった。この研究(6カ月の貯蔵)で得られた結果により、リポソーム凍結 乾燥物(PC/CH/SS4:5:1)は、30℃までの温度で、認めうる品質 変化を生じずに貯蔵することができる。しかし、40℃での6カ月の後には、サ イズの著しい増加及びpHの減少が、再懸濁された物 質中に観察された。これらの変化は、懸濁された物質に由来する不所望な臭気を 伴った。 (濾過されない)再懸濁された物質の安定性研究で、24時間に渡り、サイズ (QUELS)、封入及びpHの著しい変化は、観察されなかった。調製物の顕 微鏡的外観に起こりうる変化を、この研究では観察しなかったが;再懸濁された 凍結乾燥物の顕微鏡的外観を、それぞれ、8時間に渡り濾過の前及び後に、観察 した。実験物質の双方で、重大な変化は観察されなかった。 例3 (A)方法 (i)外科手術手順 研究の6〜7日前に、一方の性別の6匹の通常の健康な雑種の成犬を、重量 (14.3〜15.6kg)の近似性で選択し、かつ静脈内ペントバルビタール ナトリウム35mg/kgで麻酔し、毛をそり、かつ所定の切開範囲を、2回、 ベータダイン(登録商標)外科手術用スクラブ(Betadine Surgical scrub)で洗 浄することにより、無菌外科手術のために準備し、次いで、ベータダイン(登録 商標)溶液をその範囲に、塗布した。イヌに、カフ付き気管内チューブを使用し て挿管し、かつ機械的に、Harvard animal respirator(model 607)を使用して、 室内気を呼吸させ、背殿で外科手術台上に置き、かつ外科手術のために、無菌技 術により、ドレープした(drape)。小さな(1インチ)切開を、胸骨の柄と右上 腕骨の大結節との間に入れた。ブラント切開(blunt dissection)により、右肩頚 部動脈及び右頚静脈を、カニューレ挿入のために分離した。動脈に、先ず、Tygo n microbore tubing(0.05”ID,#S‐54 HL)を使用してカニューレを挿入した。 カテーテルを、2〜0絹糸縫合で固定し、かつ皮下トンネルを介して、うなじか ら体外に出した。同様の方法で、頚静脈に、Tygon microbore tubing(0.04”ID ,#S‐54‐HL)を使用して、カテーテルをいれ、同様にうなじから体外に出した 。両方の動脈及び静脈カテーテルを、無菌のヘパリン添加された塩水で満たし、 かつ縫合し、かつ汚染を減ずるために、ベータダインを塗布した。露出カテーテ ルを、小さなプラスチックポーチ中に固定し、かつ粘着テープで補強されたコッ トンメッシュカラー中に封入した。イヌに、感染の危険を減じ、外科的手術から 回復させるために、Combioticの通常の筋内注射を施した。 (ii)実験方法 研究当日に、イヌを、同時に、2つの個々の可動スリングにつないで、研究室 中にいれた。イヌのくるぶしの所をそり、かつリードII心電図(ECG)リー ドを、表面電極及び伝導ゼリーを用いて備え付けた。特殊カラーを除去し、血液 を、それぞれのカテーテルから引き出し、カテーテルを、無菌塩水で流した。動 脈カテーテルを、圧変換器に取り付け、かつ水銀血圧計を使用して検量した。静 脈血液の試料10mlを、EDTAを有する無菌Sarstedt monovette管を使用し て、静脈カテーテルから採取した。20〜40分間の平衡時間の後に、イヌに、 交互嵌合/融合法(国際公開WO91/10422号明細書;ヨーロッパ特許( EP)第510096号明細書参照)により製造されたDMPC/DPPC又は DPPCの注入を、2ml/minで、25分間、施した。観察されたパラメータ は、観血的動脈血圧及びリードII表面ECGであった。 (iii) 薬剤投与 DMPC/DPPC又はDPPCリポソーム小胞を、静脈内に、不透明な懸濁 液として、2ml/分の速度で、1mg/kg/mlの濃度で、50mg/kg の全用量が投与されるまで投与した。全ての用量を、無菌60mlシリンジ中に 入れ、かつRazel注入ポンプを用いて注入した。カテーテル中に残留した懸濁液 を、イヌに、無菌塩水を用いて同様の注入速度で流し入れた。 (iv) 統計的分析 小胞投与の後の選択CBC数を、対検体t−テストを使用して、基本値と比較 した。差は、p≦0.05である場合に、重大とみなした。 (B)結果 心拍(HR)、中間血圧(MAP)、収縮期血圧(SP)、拡張期血圧(DP )、ECG間隔(PR、QRS、QT、QTc)及び選択血球数値に対するDM PC/DPPC又はDPPC注入の作用を、第1〜4表に示した。完全血球数( CBC)値を、付表中に記載した。 (i) 血圧 DMPC/DPPC又はDPPC小胞の静脈内投与により、収縮期−、拡張期 −及び中間動脈圧での顕著な低下が生じた。 (ii) 収縮期圧(第1表) 収縮期圧は、DMPC/DPPCの注入の間、平均して37%低下した。収縮 期圧でのより大きな低下は、DPPC小胞の注入の間に、収縮期圧55%減で、 観察された。収縮期圧が、観察期間内に、ほぼベースラインレベルに戻ったのは 、それぞれの群の1匹のイヌのみであったが、収縮期圧が、小胞投与に続く30 分の間に、通常の生理学的レベル内にあったので、この血圧低下は、一過性であ ると決定された。 (iii) 拡張期圧(第2表) 拡張期圧は、DMPC/DPPC群で、39%、かつDPPC群で、48%、 小胞注入の間に低下した。DMPC/DPPC群からのイヌ1匹が、注入の間、 拡張期圧の対照レベルを保持し、かつDPPC群からのイヌ1匹が、拡張期圧の 最小作用を示した。平均拡 張期圧が、小胞投与に続く30分の間に、ほぼ対照レベルに戻ったので、おおむ ね、拡張期圧へのリポソーム小胞の作用は、一過性であった。 (iv) 中間血圧(第3表) 中間動脈圧へのリポソーム小胞の作用は、より低く、かつより持続性の血圧低 下を伴うDPPC群ではっきりと、より顕著であった。DMPC/DPPC群の イヌには、注入の間、38%の中間血圧の平均的低下が生じたが、注入の終了近 くでほぼ対照レベルに戻った。しかし、DPPC小胞を与えられたイヌは、注入 の間に、中間血圧52%減を記録し、かつ注入の終了後30分まで、対照レベル 近くまで戻らなかった。 (v) 心拍(第4表) 意識のあるイヌの心拍へのリポソーム小胞の作用は、変動的であった。平均心 拍数は、両方の群で、リポソーム小胞の投与の間増加し、このことは、それぞれ の群のイヌの1匹にのみ記録された著しい頻脈を反映していた。それぞれの群の その他のイヌ2匹は、注入及びそれに続く45分間の観察時間の間、対照に比べ て、同じ又は低い心拍を保持した。 (vi) 心電図間隔(第5表) DMPC/DPPC又はDPPCリポソーム小胞の注入は、生理的に顕著な作 用を、ECG間隔に及ぼさなかった。PR又はQRS間隔に、変化は観察されな かった(第3A及び3B表、pg.13)。QT(第 3C表、pg.14)及びQTc(第3D表、pg.14)に、多少の増加が記 録されたが、認めるに充分な主要な生理学的作用に反映しなかった。 (vii) CBC値(第6表) DMPC/DPPCリポソーム小胞の注入は、白血球数を著しく増加させ、か つ循環血小板をやや、低下させたが、赤血球数及びヘマトクリットは、作用を受 けなかった(第4A表、pg.15)。DPPC小胞の注入は、赤血球数及びヘ マトクリットにも僅かな作用を及ぼしたが、白血球数が、やや少なくなる一方で 、血小板数が、著しく低くなった(第4B表、pg15)。 (C)論考 意識のあるイヌを、急性血行力学的及びECG変化に関して観察した本研究で は、DMPC/DPPC及びDPPCリポソーム小胞の静脈内注入は、急性かつ 重大な血圧低下を引き起こし、結果、全てのイヌに昏睡及び穏やかな鎮静を含む 種々の生理学的反応(1匹のイヌは嘔吐した)が生じることが判明した。生理学 的に重大な変化は、ECGパラメータでは、現れなかったが;白血球数及び循環 血小板数は、作用を受けた。 これらの明白な反応の大部分が、試験物質に対する可能なアナフィラキシー反 応から生ずる、一過性だが、重大な血圧の低下とみなしうる。このような反応に 伴って、白血球及び循環血小板数が変化する。 例4 (A)方法 (i)外科手術手順 研究の6〜7日前に、一方の性別の5匹の通常の健康な雑種の成犬を、重量( 13.7〜14.1kg)の近似性で選択し、かつ静脈内ペントバルビタールナ トリウム35mg/kgで麻酔し、毛をそり、かつ所定の切開範囲を、2回、ベ ータダイン(登録商標)外科手術用スクラブで洗浄することにより、無菌外科手 術のために準備し、次いで、ベータダイン(登録商標)溶液をその範囲に、塗布 した。イヌに、カフ付き気管内チューブを使用して挿管し、かつ機械的に、Harv ard animal respirator(model 607)を使用して、室内気を呼吸させ、背殿で外科 手術台上に置き、かつ外科手術のために、無菌技術で、ドレープした。小さな( 1インチ)切開を、胸骨の柄と右上腕骨の大結節との間に入れる。ブラント切開 により、右肩頚部動脈及び右頚静脈を、カニューレ挿入のために分離した。動脈 に、先ず、Tygon microbore tubing(0.05”ID,#S‐54‐HL)を使用して、カニュ ーレを挿入した。カテーテルを、2〜0絹糸縫合で固定し、かつ皮下トンネルを 介して、うなじから体外に出した。同様の方法で、頚静脈に、Tygon microbore tubing(0.04インチ ID,#S‐54‐HL)を使用して、カテーテルをいれ、同様にう なじ から体外に出した。動脈及び静脈カテーテルの両方を、無菌のヘパリン添加(6 00U/ml)された塩水(1ml)で満たし、かつ無菌キャップでキャップし た。2つの切開部を、絹糸縫合で閉じ、かつ感染の危険性を減ずるために、ベー タダインを塗布した。露出カテーテルを、小さなプラスチックポーチ中に固定し 、かつ粘着テープで補強されたコットンメッシュカラー中に封入した。イヌに、 感染の危険を減じ、外科的手術から回復させるために、Combioticの通常の筋内 注射を施した。 (ii)実験方法 研究の日に、イヌを、個々の可動スリングで、研究室中に入れた。イヌのくる ぶしの所をそり、かつリードII心電図(ECG)リードを、表面電極及び伝導 ゼリーを用いて備え付けた。特殊カラーを除去し、血液を、それぞれのカテーテ ルから引き出し、かつカテーテルを、無菌塩水で流した。動脈カテーテルを、圧 変換器に取り付け、かつ水銀血圧計を使用して検量した(0〜200mmHg) 。静脈血液の試料10mlを、EDTAを有する無菌Sarstedt monovette管を使 用して、静脈カテーテルから採取した。20〜40分間の平衡時間の後に、イヌ に、EPCの注入を、2ml/minで、25分間、施した。観察されたパラメー タは、観血的動脈血圧及びリードII表面ECGであった。 (iii) 薬剤投与 EPCリポソーム小胞を、静脈内に、不透明な懸濁液として、2ml/分の速 度で、1mg/kg/mlの濃度で、50mg/kgの全用量が投与されるまで 、投与した。全ての用量を、無菌60mlシリンジ中に入れ、かつRazel注入ポ ンプを用いて注入した。全用量のそれぞれのイヌへの投与を確実にするために、 カテーテル中に残留した懸濁液を、イヌに、無菌塩水を用いて同様の注入速度で 注入した。 (B)結果 心拍(HR)、中間血圧(MAP)、収縮期血圧(SP)、拡張期血圧(DP )、ECG間隔(PR、QRS、QT、QTc)及び完全血球数値(CBC)値 に関するEPCリポソーム小胞注入の作用を、下記に記載した。血圧及び心拍の 変化のピークは、リポソーム小胞の注入の間に生じた。 (i)血圧 EPCリポソーム小胞の静脈内投与は、試験された5匹のイヌの内、3匹に、 収縮期−、拡張期及び中間動脈圧の著しい減少を引き起こした。 (ii) 収縮期圧(第7表) 収縮期圧は、5匹のイヌの群で、平均して36%低下した。急性血圧低下を経 験したイヌ(n=3)には、基本レベルを50〜62%下回る収縮期圧のイヌが 含まれた。収縮期圧が、EPC注入の終了近くで、通 常レベルに戻ったので、収縮期圧のこれらの変化は、一過性であった。 (iii) 拡張期圧(第8表) 拡張期圧は、試験された5匹のイヌで、36%低下した。血圧の顕著な減少を 体験した3匹のイヌは、基本レベルを56%〜61%下回る拡張期圧低下を有し た。血圧のこれらの低下は重症であるが、これも、血圧値が、EPC小胞の注入 の終了近くで、ほぼ基本レベルに戻ったので、一過性であった。 (iv) 中間血圧(第9表) EPCリポソーム小胞の注入は、試験された5匹の内、2匹に、観察される作 用を有さなかったが;試験された5匹のイヌの内、3匹は、中間動脈圧の著しい 低下を示した。中間圧は、35%の平均低下だったが、顕著な血行力学的低下を 示すイヌは、基本レベルを57%〜61%下回る血圧低下を体験した。これらの 低下は、重症であるが、これらも、血圧値が、EPC小胞の注入の終了近くで、 ほぼ基本レベルに戻ったので、一過性であった。 (v) 心拍(第10表) 意識のあるイヌの心拍に対するEPCリポソーム小胞の作用は、血圧低下に対 する生理学的応答と密接に関連した。EPC注入により、血行力学的に影響を受 けたイヌは、EPC注入の間、著しい反射性頻脈、続いて短期除脈を示したが、 全てのイヌで、EPC注入 の後30分程で、基本レベルに、心拍が戻った。EPC注入の後に、血行力学的 作用を体験しなかった2匹のイヌは、比較的一定の心拍を、研究を通して保持し た。 (vi) 心電図間隔(第11表、A−D) EPCリポソーム小胞の注入は、ECG間隔に、生理学的に重大な作用を及ぼ さなかった。QRS期間に、変化は観察されなかった。PR、QT及びQTC間 隔に生じた変化は、EPC注入により、明らかに作用を受けた3匹のイヌで生じ た心拍変化と関連した。これらの変化のいずれも、その一過性の性質故に、生理 学的に重大とはみなされなかった。 1匹のイヌで、自発的不整脈(孤立性心室性期外収縮の形で)が、EPC注入 の間に起こった。例を、図2に示した。 (vii) 平均CBC値(第12表) EPCリポソーム小胞の注入は、赤血球数又はヘマトクリットに作用しなかっ た。白血球数は、一定ではなかった。血小板数は、明らかに、血行力学的低下を 体験した3匹のイヌで消耗した。血行力学的低下を体験しなかったイヌの1匹( USDA#97684)が、血小板消耗を体験したが、通常の範囲の値を下回ら なかった。 (c)考察 意識のあるイヌへのEPCリポソーム小胞の静脈内 投与は、血行力学的低下をもたらした。この研究で観察された血小板低下は、前 記の研究に記載の同様の作用と平行した。両方の研究で、血小板消耗は、リポソ ーム注入により生じた血圧のかなりの低下と、かなり関連していると思われた。 リポソーム注入の間に観察された明白な反応(血小板消耗、著しい低血圧及び反 射性頻拍)は、アナフィラキシー反応とがなり関連しているようである。EPC 小胞を与えられたイヌの1匹で観察された自発性不整脈は、カテコールアミンの 反射性活性化による突然の低血圧作用に対する応答と思われる。 例5 帯電成分ステアリン酸を有する本発明によるリポソーム(調製物;SA504 /02079及びSA504/300591)を、健康なイヌに投与した。 (A)方法 (i) 外科手術手順 研究の6〜7日前に、一方の性別の通常の健康な雑種の成犬を、重量(12. 3〜15.1kg)の近似性で選択し、かつ静脈内ペントバルビタールナトリウ ム35mg/kgで麻酔し、毛をそり、かつ所定の切開範囲を、2回、ベータダ イン(登録商標)外科手術用スクラブで洗浄することにより、無菌外科手術のた めに準備し、次いで、器官内チューブを有する範囲に、塗布し、かつ機械的に、 Harvard animal respirato r(model 607)を使用して、室内気を呼吸させ、背殿で外科手術台上に置き、かつ 外科手術のために、無菌技術で、ドレープした。小さな(1インチ)切開を、胸 骨の柄と右上腕骨の大結節との間に入れた。ブラント切開により、右肩頚部動脈 及び右頚静脈を、カニューレ挿入のために分離した。動脈に、先ず、Tygon micr obore tubing(0.05”ID,#S‐54‐HL)を使用して、カニューレを挿入した。カテ ーテルを、2〜0絹糸縫合で固定し、かつ皮下トンネルを介して、うなじから体 外に出した。同様の方法で、右頚静脈に、Tygon microbore tubing(0.05”ID,# S‐54‐HL)を使用して、カテーテルをいれ、同様にうなじから体外に出した。動 脈及び静脈カテーテルの両方を、無菌のヘパリン添加(600U/ml)された 塩水(1ml)で満たし、かつ感染を減ずるためにベータダイン(登録商標)を 無菌塗布されたキャップでキャップした。露出したカテーテルを、小さいプラス チックポーチに固定し、かつ粘着テープで補強されたコットンメッシュカラーで 囲いこんだ。イヌに、感染の危険を減じ、外科的手術からの回復のために、Comb ioticの通常の筋内注射を施した。 (ii)実験方法 研究当日に、イヌを、研究室中に入れ、個々の可動スリング中に入れた。イヌ のくるぶしの所をそり、かつリードII心電図(ECG)リードを、表面電極及 び伝導ゼリーを用いて備え付けた。特殊カラーを除去し、血液を、それぞれのカ テーテルから引き出し、カテーテルを、無菌塩水で流した。動脈カテーテルを、 圧変換器に取り付け、かつ水銀血圧計を使用して検量した。静脈血液の試料10 mlを、EDTAを有する無菌Sarstedt monovette管を使用して、静脈カテーテ ルから採取した。20〜30分間の平衡時間の後に、イヌに、SA504/02 0791又はSA504/300591の注入を、ほぼ2ml/分で、正確に3 0分間、施した。観察されたパラメータは、動脈血圧及びリードII表面ECG であった。心拍を、ECGトレーシングにより測定した。 (iii) 薬剤投与 SA504/020791又はSA504/300591ヨウ素含有リポソー ム小胞を、静脈内に、不透明懸濁液として、ほぼ2ml/分の速度で、それぞれ 4.2ml/kg及び4.5ml/kgの最終容量で投与した。注入速度を、全 注入時間が、30分間であるように調節した。全ての用量を、無菌シリンジ中に 入れ、かつRazel注入ポンプを使用して注入した。カテーテル中に残留した懸濁 液を、イヌに、無菌塩水を使用して、同じ速度の注入速度で注入した。 試験物質を、次の方法に従って製造した: SA504/020791:マンニトール溶液(135ミリモル)17.6m lsを、試験物質のそれぞ れのバイアルに添加し、かつ少なくとも10分間放置した。次いで、バイアルを 、激しく振盪し、かつ更に10分間放置した。振盪工程を繰り返した後に、懸濁 液を、視覚的に、凝集物に関して検査した(凝集物が存在した場合には、バイア ルを振盪する前記の方法を繰り返した)。次いで、懸濁液を、60mlシリンジ 中に入れ、かつ無菌濾過装置(Schering AG製)を介して濾過した。それぞれの 動物に、4.5ml/kgを投与した。 SA504/300591:方法は、正確に、前記と同様だが、マンニトール 溶液(135ミリモル)18.0mlsを、それぞれのバイアルに使用し、かつ それぞれの動物に、4.2ml/kgを投与した。 (iv) 統計的分析 血行力学的パラメーター、ECG間隔及び選択完全血球数を、対試料t−テス トを使用して、処置前の基本値と比較した。p≦0.05の場合に、重大な差と みなした。 (v) リポソーム調製物 SA504/020791及びSA504/300591を、次の処方に従っ て、製造した。 溶液1を、リポイドS100 54.6gms、コレステロール33.0gm s及びステアリン酸4.9gmsを、96.5%エタノール9.5ml中に溶か すことにより製造した。溶液2 2000mlを、イ オプロミド溶液250mlを、20ミリモルトリス(Tris)HCl9.5ml(p H7.5)及び96%エタノール9.5mlとを組み合わせることにより製造し た。撹拌下に、溶液1と、溶液2とを混合した。エタノールを、真空下に除去し 、かつ残留溶液を、凍結乾燥させた。凍結乾燥物質5gmを、135ミリモルマ ンニトール8.8ml中に再懸濁させた。再懸濁されたリポソーム調製物を、典 型的な方法で、ヨウ素300mg/kgで、注入した。 (B) 結果 心拍(HR)、中間血圧(MAP)、収縮期圧(SP)、拡張期圧(DP)、 ECG間隔(PR、QRS、QT、QTc)及び選択血球数値に対するSA50 4/020791又はSA504/300591注入の作用を、第13〜16表 中に記載した。 (i)血圧(第13表) SA504/020791又はSA504/300591小胞の静脈内投与に より、収縮期−、拡張期−又は中間動脈圧において、重大な変化は生じなかった 。第13C表にみられるように、SA504/300591で処置されたイヌの 対照中間動脈圧は、104±6であり、かつ実験期間を通じて、比較的変化せず に保持された。同様の結果が、実験物質SA504/020791で得られた。 (ii) 心拍 リポソーム小胞調製物は、意識のあるイヌの心拍に、重大な作用を及ぼさなか った。SA504/300591で処置された5匹のイヌの内で、3匹のイヌが 、注入の間に心拍の低下を示し、かつ2匹が、増加を示した。従って、一定のパ ターンは、みられなかった。SA504/020791を与えられた1匹(イヌ #10003)は、対照心拍が、特に高かった(164bpm)。このイヌは、 非常に室内の刺激(即ち、研究室の人員)に敏感であったが、実験が進行するに つれて、結局、落ちついた。これは、新環境順応に基づき、薬剤−導入作用に基 づかないと思われた。 (iii) 心電図間隔 どちらの実験剤の注入も、生理学的に顕著な作用を、ECG間隔に及ぼさなか った。PR、QRS、QT又はQTC間隔に、変化は観察されなかった。 (vii) CBC値 どちらの実験剤の注入も、RBC又はWBC数に、重大な作用を有さなかった 。WBC値は、著しくは影響されなかったが、WBCが、実験剤の投与に続いて 、増加する傾向が現れる。両方の群のデータを、一緒に計算すると(即ち、n= 8)、統計的な重要性が、上昇WBCに関して得られる(p=0.026)。5 つの実験で、実験物質の前及び後の血小板値を、それぞれ”変化なし”、”増加 ”又は”減少”に分類した。5つの全てで、血小板値は、”変化なし”として分 類された。残る3つの実験で、血小板数の値は、次のものである(千/ml): (C) 考察 DMPC/DPPC、DPPC及びEPCリポソーム小胞を有する、意識のあ るイヌに導入されるリポソーム調製物に関する前記の実験は、実験動物で、40 〜60%の急性一過性低血圧応答を示した。意識のあるイヌで、SA504/3 00591及びSA504/020791リポソーム調製物の静脈内注入で示さ れる急性血圧力学的及びECG変化を観察した本研究は、血行力学的変化(血圧 及び心拍)、ECG間隔又はRBC及びWBC値において、重大な変化を生じさ せず、従って、よく許容され、かつ不利な血行力学的作用を有さない。 例6 2つのリポソーム調製物を製造し、かつ血行力学的作用に関して、イヌモデル で実験した。 調製物1: ホスファチジルコリンのみを、約25mg/mlの濃度で、含有 するリポソーム。 調製物2: ホスファチジルコリンとステアリン酸を有するリポソーム。約7 0mg/hlの全脂質濃度 で、モル含有率は、約9:1であった。 これらの調製物を、静脈内で、5匹のイヌに、それぞれ、体重1kg当たり、 脂質約50mg(調製物1)及び1kg当たり脂質約30mg(調製物2)の用 量レベルで注入した。 イヌに、次の作用が観察された。 調製物1: 試験された5匹の動物の3匹で、一過性の血圧低下が、重大な反 射性頻脈と合併した。これら3匹の動物で、その他に観察された作用は:1匹の イヌでの注入の間及び投与の後しばらくの心室性期外不整脈及びその他の2匹の イヌでのあえぎの形で増加された呼吸を含んだ。いずれのイヌでも、ECG間隔 に、生理学的に重要な変化は無かった。調製物を与えられた5匹のイヌのうち4 匹で、血小板数が、減少した。血行力学的低下を体験したこれらのイヌは、やや おとなしくなったようであり、かつ血圧低下を体験しなかったイヌと比べると、 かなり一致する血小板消耗を有した。 調製物2: この調製物の静脈内投与は、処置された5匹のイヌのいずれにも 不利な血行力学的作用を示さなかった。 例7 この実験で、飽和非帯電リン脂質DSPCのみ、又はこれと、負に帯電された リン脂質DSPGとの組み合わせ(9:1)から製造されたリポソームの心臓− 血行力学的作用を実験した。 リポソームの製造: この研究で使用されるリポソームを、連続高圧押し出し 法により製造した。 要するに、それぞれの脂質又は脂質混合物のエタノール溶液を、丸底フラスコ の壁面に付与した。生じた脂質フィルムを、300ミリモルマンニトール溶液中 に分散させ、約100mg/mlの脂質濃度を得た。次いで、生じたMLV分散 液を、高圧押出装置(Maximotor(登録商標)、model HPE 10.0〜250、Schmidt, Kranz & Co.,Zorge,Germany)を用いて押し出した。次いで、それぞれのバッチ を、10回、減少していく細孔サイズ(1.0〜0.4と0.1μm)の2つの 重ねられたポリカーボネート膜(Nucleopore,Tuebingen,Germany)上に押し出し て、それぞれの調製物に、全部で30の膜通過を得た。押出工程の終了時に、得 られたリポソーム懸濁液を、無菌フィルターホルダー(酢酸セルロース0.4又 は0.2μm細孔サイズ、Sartorius,Goettingen,Germany)を介して、無菌状 態下に栓をされた無菌ガラスバイアル中に濾過した。 脂質物質 全てのリン脂質を、−20℃未満で貯蔵し、かつ更なる精製をせずに使用した 。 ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC−バッチ LP−04−01 3−114219及び−116298)及びジステアロイルホスファチジル−グ リセロール(DSPG−バッチ LP04−017−115751)は、Sygena (Liestal,スイス)から得られた。 リポソームサイズを、光子相関分光法(PCS)により、サブミクロン粒子− サイザー(submicron particle‐sizer)のautodilute(TM)、370型(Nicomp Ins tr.Corp.,Santa Barbara,CA,USA)を使用して測定した。 試料のモル浸透圧濃度[mOsm/kg]及びpH−値を、それぞれ、自動凝固 点浸透圧計(automatic feezing point osmometer;Knauer,Berlin,Germany)及 びpHメーター761 Calimatic(Knick,Berlin,Germany)を用いて、測定した。 動物実験 360g〜430gの体重を有する雄のラット18匹(種類:Han‐Wistar、 飼育者:Schring SPF、通常の給餌及び室環境)を、無作為に、各グループが、 n=6の動物を有する3つのグループに分ける。 ラットに、ペントバルビタール60mg/kgを用いて、腹腔内で麻酔をかけ た。器官に、自発呼吸を楽にするためにカニューレを装入した。体温を、加熱手 術台及び加熱ランプを用いて、38±0.5℃に保持した。 左心室圧及び大腿動脈の血圧を、Statham圧変換器に接続された、ポリエチレ ンで塞がれたカテーテルを 介して記録した。心送血量を、熱希釈法(腹部大動脈にサーミスタカテーテル、 右心房に氷冷塩水を注入)により測定した。動物に、400U/kgの静脈内ボ ーラスを用いてヘパリンを施与した。 ラットを、次のパラメーターの記録/算出が可能であるようにする:BPsy st(収縮期圧、mmHg)、BP中間(中間血圧、mmHg)、BPdias t(拡張期血圧、mmHg)、HR(心拍、1/分)、CO(心送血量/体重1 00g、ml/分/100g)、LVEDP(左心室拡張終期圧、mmHg)、 TPR(全末梢血管抵抗、ダイン×s×cm-5103)、ECG(心電図、ms )及びdP/dt max(左心室圧上昇の最大速度、mmHg/s)。 外科手術及び機器装備の後に30分の平衡期間をおき、その終了時に、処置前 値を測定した。データを、リポソーム又はマンニトール(容量対照)の投与の後 、45分間記録した。各動物に、処置を1つのみ施した。 ラットに、脂質300mg/体重kgの全量を有するリポソーム用量を、脂質 100mg/kg/分の注入速度で、左大腿静脈に注入した。対照に、同一の容 量の300ミリモルマンニトール溶液を与えた。研究リポソーム調製物を、DS PC又はDSPC/DSPGから製造した。 統計 前値に対する血行力学的データの平均パーセント変化を、算出した(プレ−ド ラッグ基本値からの絶対変化として表されるLVEDPを除く)。データを、対 称群と比較した。Bartlett‐testを、等変化(equal variance)の実験のために実 施し、かつ変化の一元分析(ANOVA)を、統計的差違を示すために使用した 。統計的重要性の算出は、スチューデントt−テストを使用して行った。0.0 5未満のp値を、統計的に重大とみなした。図中の値は、前値±SEMからの平 均パーセンテージ変化として表されている。 結果 対照実験 マンニトール300ミリモル(容量対照)は、心臓−血行力学的パラメーター を、それほど前値から変化させなかった。投与後のはじめの10分間の間に、B P中間は、最大、1.8%の増加(図2)、BPsystは、2.3%の増加、 かつPBdiastは、−2.2%の減少であった。HRは、−3.4%の減少 であった。TPR(図3)及びLVEDP(図4)は、それぞれ5.5%及び2 .8mmHgの短時間の増加で応答した(第17表)。収縮性は、−3.3%減 少した。 DSPCリポソーム 飽和DSPCの使用により、ラットに、脂質300mg/kgで注入した場合 に、顕著な心臓及び血行力 学的障害を引き起こす中性ゲル状リポソームが生じた。BP中間及びTRPは、 重大にも、それぞれ、−53.7%及び−46.3%の減少であった(図2及び 3)。収縮性は、注入の後5分、−34.7%の減少であった。この間、LVE DP(図4)は、著しく増加した(p<0.05)。これら全ての作用は、深刻 な心不整脈を伴った。心室期外収縮、異所性収縮、AV伝導遅延及び心室への伝 導の不全があった。しかし、投与後の初めの10分間に、HR及びCOは、僅か に作用しただけだった。この10分間の終了の後に、BP及び収縮性は、基本値 に戻った。しかし、HRは、徐々にベースライン上(約10%)に増加し始め、 かつ収縮性も同様であった。投与の後、45分で、観察を終了するまで、収縮性 はベースラインを、+66.3%上回って増加した(p<0.01)。しかし、 TPRは、観察時間の終了まで、ベースラインに戻らなかった。 DSPC/DSPGリポソーム 負に帯電されたリン脂質(10モル%)を、DSPCに添加することにより、 DSPCの心臓−血行力学的副作用の激しさが著しく、減少した。BP及びTP Rは、短い一過性の上昇の後に、それぞれ、前値の−33.3%及び−35.5 %の減少であった(図2及び3)。投与後の初めの10分間に、収縮性は、−1 4.3%に低下した。投与後30分で、通常の値に戻 り、増加した。HRも、増加により、比較的遅い時点で応答した。心電図変化は 、リポソーム注入の間に、6匹のラットのうち4匹で生じた。この作用は、3匹 の動物で、伝導された及び伝導されない心房性期外収縮として現れ、かつ1匹の 動物では、対心房性期外収縮により生じる複合不整脈として現れた。全てのEC G−作用は、注入の終了後に消えた。 従って、負電荷のDSPCリポソームへの添加は、ラットにおいて、その調製 物の心臓−血行力学的副作用を、充分に改善した。 前記の例を、同様の成功で、前記の例中で使用されたものを、この発明の一般 的に、又は特異的に記載された反応成分及び/又は手術条件に換えることにより 、繰り返すことができる。 前記の記載から、この分野での熟練者は、容易に、本発明の本質的な特徴を確 認することができ、かつその真意と意図から外れることなく、様々な用途及び条 件にそれを適応させるために、本発明の様々な変化及び変性を行うことができる 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),AT,AU,BB,BG,B R,CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB ,HU,JP,KP,KR,LK,LU,MG,MN, MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,S D,SE,SK,UA,US

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.哺乳動物に投与すると、血行力学的作用を起こす非経口的に投与可能なリ ポソーム調製物の血行力学的作用を減らす方法において、リポソーム調製物に、 投与の前に、前記の血行力学的作用を減らすために有効な量の帯電成分を導入し 、その際、前記の量は、前記のリポソーム調製物中の前記の成分の量に加えるも のであることを特徴とする、非経口的に投与可能なリポソーム調製物の血行力学 的作用を減らす方法。 2.非経口的に投与可能なリポソーム調製物に対する受容体の耐容性を改善す る方法において、リポソーム調製物に、前記のリポソーム調製物中の帯電成分の 量に加えて、前記の耐容性を改善するために有効な量の帯電成分を導入する、非 経口的に投与可能なリポソーム調製物に対する受容体の耐容性を改善する方法。 3.不利な全身作用を有するリポソーム調製物中に封入された活性剤を投与す る方法において、リポソーム調製物に、投与の前に、前記の不利な全身作用を減 らすために有効な量の帯電成分を導入し、その際、前記の量は、前記のリポソー ム中の前記の成分に加えるものである、不利な全身作用を有するリポソーム調製 物中に封入された活性剤を投与する方法。 4.不利な全身作用を有するリポソーム調製物中に封入された造影剤を投与す ることにより、受容生物組 織を画像化する方法において、前記のリポソーム調製物に、投与の前に、前記の 全身作用を減らすために有効な量の帯電成分を導入し、その際、前記の量は、前 記のリポソーム中の前記成分の量に付加するものである、不利な全身作用を有す るリポソーム調製物中に封入された造影剤を投与することにより、受容生物組織 を画像化する方法。 5.リポソーム調製物に伴う血行力学的作用を減らすために有効な量の帯電成 分を有するリポソーム調製物を投与することによる、非経口的に投与可能なリポ ソーム調製物の血行力学的作用を減ずる方法。 6.帯電成分が、負電荷を有する、請求項1に記載の方法。 7.帯電成分が、脂肪酸である、請求項1に記載の方法。 8.帯電成分が、ステアリン酸である、請求項1に記載の方法。 9.リポソームが、更に、活性剤を含有する、請求項1に記載の方法。 10.リポソームが、更に、造影剤を含有する、請求項1に記載の方法。 11.造影剤が、イオプロミドである、請求項1に記載の方法。 12.帯電成分を有さず、かつ哺乳動物に投与されると、不利な全身作用を有 するリポソームにおいて、 前記のリポソームに、前記の全身作用を減ずるために有効な量の帯電成分が導入 されている(その際、前記の量は、前記のリポソーム中の前記の成分の量に加え られるものである)、リポソーム。 13.帯電成分が、負電荷を有する、請求項12に記載のリポソーム。 14.帯電成分が、脂肪酸である、請求項12に記載のリポソーム。 15.帯電成分が、ステアリン酸である、請求項12に記載のリポソーム。 16.更に活性剤を含有する、請求項12に記載のリポソーム。 17.更に、造影剤を含有する、請求項12に記載のリポソーム。 18.帯電成分を含有し、かつ哺乳動物に投与されると、不利な全身作用を有 するリポソームにおいて、前記のリポソームに、前記の全身作用を減らすために 有効な量の帯電成分が導入されている(その際、前記の量は、前記のリポソーム 中の前記の成分に加えられるものである)、リポソーム。 19.帯電成分が、負電荷を有する、請求項18に記載のリポソーム。 20.帯電成分が、脂肪酸である、請求項18に記載のリポソーム。 21.帯電成分が、ステアリン酸である、請求項1 8に記載のリポソーム。 22.更に、活性剤を含有する、請求項18に記載のリポソーム。 23.更に、造影剤を含有する、請求項18に記載のリポソーム。 24.不利な全身作用を有するリポソーム調製物中に封入された治療薬を投与 する方法において、リポソーム調製物に、投与の前に、前記の不利な全身作用を 減らすために有効な量の帯電成分を導入し、その際、前記の量は、前記のリポソ ーム中の前記の成分の量に加えるものである、リポソーム調製物中に封入された 治療薬を投与する方法。 25.前記のリポソーム調製物に導入される帯電成分が、ステアリン酸であり 、かつこれを、リポソームが、ホスファチジルコリン、コレステロール及びステ アリン酸を、約4:5:1のモル比でそれぞれ含有するような量で導入する、請 求項1に記載の方法。 26.前記のリポソーム調製物に導入される帯電成分が、ステアリン酸であり 、かつこれを、リポソームが、ホスファチジルコリン及びステアリン酸を、約9 :1のモル比でそれぞれ含有するような量で導入する、請求項1に記載の方法。 27.前記のリポソーム調製物中に導入される帯電成分が、DSPGであり、 かつこれを、リポソームが、DSPC及びDSPGを、約9:1のモル比でそれ ぞれ含有するような量で導入する、請求項1に記載の方法。 28.帯電成分が、DSPGである、請求項1に記載の方法。 29.帯電成分が、DSPGである、請求項5に記載の方法。 30.帯電成分が、DSPGである、請求項12に記載の方法。 31.帯電成分が、DSPGである、請求項24に記載の方法。 32.不利な血行力学的作用を有するリポソーム調製物を同定し、かつ 前記のリポソーム調製物に、前記の血行力学的作用を減らすために有効な量の帯 電成分を導入し、その際、前記の量は、前記のリポソーム調製物中の前記の成分 の量に加えたものである、哺乳動物に投与されると、血行力学的作用を起こす非 経口的に投与可能なリポソーム調製物の血行力学的作用を減らす方法。
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