JPH09504959A - 哺乳動物細胞周期蛋白質 - Google Patents

哺乳動物細胞周期蛋白質

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Abstract

(57)【要約】 新規哺乳動物細胞周期蛋白質であるp55CDC、p55CDCをコードするDNA配列、及びこの蛋白質を製造する方法が記述される。また、p55CDCを検出する方法、及びp55CDCもしくはp55CDC関連蛋白質複合体のレベル又は活性を制御する化合物による細胞分裂を調節する方法も記述される。

Description

【発明の詳細な説明】 哺乳動物細胞周期蛋白質 本発明は、哺乳動物細胞周期蛋白質、p55CDC、これをコードするDNA 配列、この蛋白質に特異的な抗体、この蛋白質を製造する方法及びp55CDC 又はp55CDC関連蛋白質複合体のレベルもしくは活性を制御することによる 細胞分裂を調節する方法に関する。 発明の背景 真核細胞周期には成長期と分裂期(reproductive phase)があり、分裂期は細 胞分裂装置の確立と重なる中心体周期と染色体周期とからなる(詳細については 、47を参照のこと)。細胞分裂に導く深部形態変化には、リン酸化及び脱リン 酸化事象のカスケードが伴う。哺乳動物細胞においては、キナーゼ及びそれらの 関連調節蛋白質の種々の複合体が、中断期間を介して細胞周期の進行を制御する (詳細については、60、67を参照のこと)。全ての真核細胞が、細胞周期の 各段階を介して細胞周期の進行を制御する類似の機構を利用するが、その制御に 関与するサイクリン、キナーゼ及びホスファターゼの独特の組合せが細胞分裂の 細胞や生物に特異的なパターンの原因である ことは明らかである(18、51、52参照)。 細胞周期における各期間の決定的な移行を調節する様々なキナーゼが同定され ている。検討された全ての真核細胞において同定されたp34cdc2が最もよく特 徴付けられている(3、16、20、28、40、41、42、59、76参照 )。加えて、p34cdc2との相同性を有し、細胞周期内でのp34cdc2様の活性 の変動を示す多くの他のキナーゼが記述されている(48、60参照)。また、 別の型のキナーゼが細胞周期の異なる期間で活性が変動することも示されており 、それらがp34cdc2とはほとんど、あるいは全く相同性がないにもかかわらず 、細胞分裂の調節において特定の役割を果たすことが提唱されている。これらに は、MAPキナーゼ、及びMAPキナーゼ活性を調節するMEKキナーゼが含ま れる(詳細については、11を参照のこと)。さらに、真菌アスペルギルス・ニ デュランス(Aspergillus nidulans)中に、有糸分裂の開 始に必要な新規キナーゼ、NIMAキナーゼが同定された(53−55参照)。 このNIMAキナーゼと相同性を有する哺乳動物キナーゼ、Nek1が、それが 生殖腺組織内に高レベルで発現し、かつ減数分裂に必要とされ得る 場合に、マウスに見出されている(43参照)。 上述のように、これらのキナーゼの多くの活性は、それらの1以上のサイクリ ンとの関連によって調節されている。サイクリンは、サイクリンボックスと呼ば れる保存領域内において互いに相同である(44参照)。細胞周期内でのサイク リン依存性キナーゼの活性の変動は、新たに合成されたサイクリンとの他から区 別される関係の結果であり、この新たに合成されたサイクリンは、その後、細胞 周期の特定の移行点で分解される。しかしながら、全てのサイクリンが細胞周期 内で同程度の変動を示すわけではない;例えば、D型サイクリンのレベルは、細 胞周期内で、A及びB型サイクリンほど顕著には変動しない。加えて、近年記述 されるサイクリン、S.ポンベ(pombe)のmcs2サイクリンは、細 胞周期内でのレベルの変動を示さず、mcs2サイクリンに関連する新規キナー ゼ活性の変動も示さない(49参照)。 酵母における実験では、細胞周期の秩序だった進行にも極めて重要な多数の他 の細胞分裂周期(Cdc)蛋白質を、これらの蛋白質の多くの機能は正確には定 義されてはいないものの、明確にしている(34参照)。これらの蛋白質のうち の2つ、CDC20 及びCDC4遺伝子の産生物は、紡錘体または分離装置の要素である ことが提唱されている(32参照)。cdc20温度感受性変異体は、非許容温 度での有糸分裂において、完全な短紡錘体が形成されて母細胞と巨大芽体との間 のネック部分に核が移動した後、停止する(6参照)。Cdc20蛋白質が染色 体移動に直接必要であることが提唱されている(56参照)。加えて、Cdc2 0蛋白質は、微小管の解離を促進すること(1、65参照)、又は微小管の表面 を変化させることのいずれかにより微小管構造の調節(modulation) に必要であり、有糸分裂以外の微小管依存性過程にも必要である(65参照)。 S.セレビシアエ(S. cerevisiae)のCDC4遺伝子は、DN A合成の開始に不可欠である。cdc4における条件的致死性、温度感受性変異 を有する細胞は非許容温度で分裂を停止し、この細胞は終止表現型の多数の芽体 、単一の核、橋かけ構造によって接続された2つの紡錘体極体を有する(6参照 )。また、CDC4は、核融合(karyogamy)及び胞子形成にも必要で あると思われる(21、68、71参照)。Cdc4蛋白質の作用機序は未だに 不明であるが、酵母 での細胞下位置付け(subcellular localization)研 究は、それが核骨格に関連することを示している(7参照)。2つの紡錘体極体 の出現は、CDC4遺伝子産物が極体の分離及び完全な紡錘体の形成に必要であ ることを示すものであることが提唱されている(6、75参照)。近年、哺乳動 物細胞から中心体(高等真核細胞における紡錘体極体の等価物)を除去すると、 成長周期が分裂周期から分離することが示されており、これは、細胞分裂が、二 極紡錘体の確立に中心体の存在を必要とすることを示している(45参照)。 本発明の目的は、細胞周期の制御に関連する1以上の蛋白質を同定することに あり、ここで、この蛋白質は、細胞周期を調節する化合物の標的であってもよい 。p55CDCと呼ばれる新規タンパク質が同定された。p55CDCをコード するmRNAは、胚性組織、胎盤及び成人造血組織の他に、試験した全ての細胞 系に遍在したが、分化が誘発された細胞及び細胞分裂を停止した細胞には検出さ れなかった。ヒトp55CDCの推定アミノ酸配列は、S.セレビシアエCdc 20及びCdc4蛋白質と相同の領域を、これら3つの蛋白質のカルボキシ末端 側半分に見出されるGβ−繰り返し内に示す。p55CDCの 発現は、哺乳動物細胞の細胞分裂に極めて重要であると思われる。細胞周期にあ る細胞(cycling cell)においては、p55CDCはリン酸化され ている。p55CDCに対するポリクローナル抗血清によって沈降する免疫複合 体は、p55CDC自体はキナーゼ活性の内在性基質であるとは思われないにも かかわらず、細胞周期内で変動するキナーゼ活性を有している。 発明の要約 本発明は、細胞分裂に不可欠の新規哺乳動物蛋白質、p55CDCに関する。 p55CDCは、ゆっくりと分裂する細胞又は静止細胞においては検出されず、 活発に増殖している細胞において発現することが見出された。CHO細胞にアン チセンスp55CDC cDNAをトランスフェクションすることにより、結果 として、センス方向のp55CDC mRNAが補償的に増加した細胞のみが単 離される。 本発明により、生物学的に活性なp55CDCをコードするDNA配列も提供 される。DNA配列には、ラット(配列番号1)及びヒト(配列番号3)p55 CDC並びにラットもしくはヒトp55CDC、又はそれらの断片にハイブリダ イズする DNAが含まれ、ここで、ハイブリダイズするDNAは生物学的に活性なp55 CDCをコードする。また、p55CDCDNA配列を有するベクター及びこの ベクターで形質転換もしくはトランスフェクトされた宿主細胞も提供される。ま た、p55CDCが発現するように形質転換もしくはトランスフェクトされた宿 主細胞を培養することを包含するp55CDCポリペプチドの製造方法も含まれ る。 本発明のp55CDCポリペプチドは、複合体が細胞周期依存性キナーゼ活性 を有するように、1以上の宿主蛋白質と好ましく複合体を形成する。p55CD C複合体のキナーゼ活性は、細胞周期内で変動する。 また、細胞分裂を調節する方法も本発明に包含される。ここで、この方法は、 細胞(例えば、腫瘍細胞)に、p55CDC複合体のキナーゼ活性を調節する化 合物を導入することを包含する。p55CDC関連キナーゼ活性の調節は、細胞 周期内の特定の期間での活性の増加又は減少に関与し、これは、次に、p55C DC関連キナーゼ活性のタイミング又は特異性の変更に繋がる。好ましい実施態 様において、p55CDC複合体形成を阻止する化合物に晒すことにより、細胞 分裂が阻害される。 図面の説明 図1.p55CDCのノーザン分析。 (A)異なる発達段階の様々なラット組織由来の全RNA(30μg)を、ラ ットゲノム0.26kb PstI断片で精査(プロービング)した。 (B)ヒト組織由来のポリA+ RNA(2.5μg)を、ラット由来の[32 P]標識p55CDC cDNAで精査した。 (C)ヒト造血細胞系由来のポリA+ RNA(2.5μg)を、図1Bと同 じプローブで分析した。比較のため、ラットアクチンcDNAプローブで得られ た信号を示す。 (D)実験手順に記述される通りに分化を誘発した細胞系及び対照細胞から調 製した全RNA(30μg)を、図1Bと同じプローブで精査した。比較のため 、28SRNAのエチジウム・ブロマイド染色を示す。RNA単離及びノーザン ・ブロット・ハイブリダイゼーションの詳細の全ては、実験手順に記述されてい る。 図2.ラット及びヒトp55CDC DNA配列。 2つのラットcDNAクローンから編集した配列を示す。ヒトcDNAのオー プン・リーディング・フレームは、ラットの 配列と異なる場合にのみ示す。ヌクレオチド塩基対番号を左に示し、右にこのヌ クレオチド配列から推定されたアミノ酸の番号をふった。開始メチオニンの上流 の2つのフレーム内停止コドンに下線を付し、この停止コドンの下流のポリアデ ニル化シグナルをボックスで示す。 図3.p55CDCは7つのGβ−繰返しを有し、S.セレビシアエCdc2 0及びCdc4蛋白質との相同性を示す。 (A)7つのラットp55CDC繰返しを、GCG BESTFITプログラ ムを用いる対にしての比較(pairwise comparisons)の後 に、人力により構築した。最適の整列を得るためにギャップを導入した。ギャッ プは空白で表す。同一の残基、又は4回以上の頻度で発生する高度に保存された 残基、を黒地に白抜きで示す。高度の保存性を有する置換は、Ile、Leuも しくはVal、SerもしくはThr、及びAlaもしくはGlyであることが 明らかにされる。 (B)ヒトp55CDCのGβ−繰返しの配列を、GCG BESTFITプ ログラム、次いで視認最適化を用いて、Cdc20及びCdc4の繰返しの配列 と一緒に整列させた。最適の整列を得るためにギャップを導入した。ギャップは 空白で表 す。同一の残基を黒地に白抜きで示し、高度に保存された残基をボックスで示す 。高度の保存性を有する置換は、Ile、LeuもしくはVal、Serもしく はThr、AlaもしくはGly、TyrもしくはPhe、AspもしくはGl u、及びArg、LysもしくはHisであることが明らかにされる。 図4.様々な種に由来するゲノムDNAのサザーン分析。 幾つかの種に由来するゲノムDNA(10μg)をHindIIIで消化し、1 %アガロースゲルで分離した。材料及び方法に記述される通りに、中程度に厳格 (medium stringency)な条件下において、ラットp55CD C cDNAでフィルターを精査した。 図5.CHO細胞中でのセンスまたはアンチセンス方向のp55CDC cD NAの過発現が、成長プロフィールの変更を生じる結果となる。 (A)CHOd-細胞に、(△)PMT、(○)PMTp55s又は(□)P MTp55as DNAをトランスフェクションし、材料及び方法に記述される 通りに増幅した。細胞を0.5×106細胞/60mm皿の開始密度で塗布し、 示される時間に計数した。矢印は、培地を変えた日を示す。各点は、並行する培 養の2回の計数の平均を示し、これらは通常プロッ トされた平均から2−14%変動する。 (B)固定化され、ヨウ化プロピジウム染色されたPMTp55s(−)及び PMTp55as(−−)細胞のフローサイトメトリー分析を、材料及び方法に 記述される通りに行った。 図6.p55CDCに対する抗体によって検出される免疫複合体。 (A)対数期にある35S−標識細胞からの細胞溶解物(レーン1、2、3、6 、7、8、11、12、13について250μg、またはレーン4、5、9、1 0及び14について500μg)を、様々な抗体で免疫沈降させた。10μlの p34cdc2MAb(レーン1、6および11)、p55CDC競合抗血清(8. 4μg/レーン2、4、7、9、12)及びアフィニティ精製p55CDC抗血 清(1μg/レーン3、5、8、10、13、14)で得られた免疫複合体を、 10%SDS−PAGEゲルで分析した。乾燥したゲルをオートラジオグラフィ ーに21時間露出した。 (B)静止期にある35S−標識細胞からの細胞溶解物(レーン1、2、3、6 、7、8、11、12、13について250μg、またはレーン4、5、9、1 0、14、15について 500μg)を、様々な抗体で免疫沈降させた。10μlのp34cdc2MAb( レーン1、6、11)、p55CDC競合抗血清(8.4μg/レーン2、4、 7、9、12、14)又はアフィニティ精製p55CDC抗体(1μg/レーン 3、5、8、10、13、15)で得られた免疫複合体を、10%SDS−PA GEゲルで分析した。オートラジオグラフィーを1週間行った。 図7.p55CDC免疫複合体のヒストンH1キナーゼ活性及びp55CDC のリン酸化。 (A)ベクター(PMT)、センス転写体を含むベクター(PMTp55s) 及びアンチセンス転写体を含むベクター(PMT55as)をトランスフェクト したCHO細胞系の溶解物を、アフィニティ精製p55CDC抗体で免疫沈降さ せた。材料及び方法に記述される通りに、免疫複合体をヒストンH1キナーゼ活 性について検定した。 (B)CHO細胞を、材料及び方法に記述される通りに、[32P]−オルトリ ン酸で標識した。900μgの溶解物から得られ、1μgのアフィニティ精製p 55CDC抗体(レーン1)又は28μgのp55CDC競合抗血清(レーン2 )で沈 降した免疫複合体をSDS−PAGEにより分析した。 図8.ラット1及びHeLa細胞においてp55CDC抗体により検出された 免疫複合体及び細胞周期の異なる期間での様々な基質に対するそれらのキナーゼ 活性。 (A)指数的に増殖するラット1及びHeLa細胞からの溶解物を、p55C DC競合抗血清(レーン1及び3)、アフィニティ精製p55CDC抗体(レー ン2及び4)、及び網膜芽細胞腫タンパク質に対する2種の異なるモノクローナ ル抗体(レーン5及び6)で免疫沈降させた。 (B)材料及び方法に記述される通りに調製したHeLa細胞からの溶解物( 200μg)を、各基質の最初のレーンに示される対照p55CDC競合抗血清 か、またはアフィニティ精製p55CDC抗体のいずれかで免疫沈降させた。材 料及び方法に記述される通りにキナーゼアッセイを行った。図では、外在性基質 の濃度は左から右に向かって減少する。これらのアッセイにおけるヒストンH1 の濃度は、0.4mg/ml、0.2mg/ml及び0.1mg/mlであった 。ミエリン塩基性蛋白質(MBP)及びα−カゼインの濃度は、0.4mg/m lから0.1mg/mlに減少した。対照アッセイは、常 に最高基質濃度を用いて行った。 (C)材料及び方法に記述される通りにHeLa細胞から調製した溶解物(2 00μg)を、増量するアフィニティ精製p55CDC抗体(0.07μg、0 .28μg及び1.12μg)で免疫沈降させた。4.2μgのp55CDC競 合抗血清を用いて陰性対照を行った。0.4mg/mlのMBPを基質として用 いて、材料及び方法に記述される通りにキナーゼアッセイを行った。 (D)細胞周期の様々な段階でのHeLa細胞から材料及び方法に記述される 通りに溶解物(200μg)を調製し、8.4μgのp55CDC競合抗血清( レーン1、8及び9)又は1.0μgのアフィニティ精製p55CDC抗体(レ ーン2−7)のいずれかで免疫沈降させた。0.4mg/mlのH1、0.4m g/mlのMBP又は0.4mg/mlのα−カゼインを外在性基質として用い て、キナーゼアッセイを行った。 (E)図7Dにおいて得られた乾燥ゲルからの切除バンドを計数した。実験値 (図8D)レーン2−7)から対照値(図8D、レーン1、8及び9)を引き算 し、結果をグラフにした。 図9.細胞周期にある細胞は、静止細胞と比較して、p55CDCを活発に翻 訳し、高レベルの関連α−カゼインキナーゼ活性を示す。 (A)成長及び静止ラット1細胞を、材料及び方法に記述される通りに、35S −トランスラベル(Translabel)で1時間標識した。溶解物(100 μg)を様々な抗体で免疫沈降させた。10μlのp34cdc2MAb(レーン1 及び7)、p55CDC競合抗血清(8.4μg/レーン2及び8)及びアフィ ニティ精製p55CDC抗体(0.035μg/レーン3、0.14μg/レー ン4及び9、0.56μg/レーン5及び10、1.12μg/レーン6及び1 1)で得られた免疫複合体をSDS−PAGEにより分析した。 (B)材料及び方法に記述される通りに、成長及び静止ラット1細胞から溶解 物(100μg)を調製した。10μlのp34cdc2MAb、8.4μgのp5 5CDC競合抗血清及び1.12μgのアフィニティ精製p55CDC抗体を用 いて免疫複合体を得た。0.4mg/mlのα−カゼインを基質として用いて、 材料及び方法に記述される通りにキナーゼアッセイを行った。 発明の詳細な説明 本発明は、哺乳動物細胞分裂に関与する、p55CDCと命名されるポリペプ チドに関する。p55CDCをコードするmRNA転写体は、増殖細胞の集団を 含む胚性組織及び成人造血組織では発現したが、活発に分裂する細胞を欠く成人 組織においては検出されなかった。さらに、化学物質で分化が誘導されたヒト造 血細胞系も、分裂を停止した細胞と同様に、p55CDC転写体の欠失を示した 。ラットp55CDC DNA配列(図2及び配列番号1)及びヒトp55CD C DNA配列(図2及び配列番号3)によってコードされるポリペプチドが、 サッカロミセス・セレビシアエ(Sacchromyces cerevisi ae )に由来するcdc4及びcdc20蛋白質の一部に相同の広範なアミノ酸 配列を有することが観察された(図3)。cdc4及びcdc20は共に有糸分 裂及び細胞分裂に関与することが知られているので、この相同性は、これらの分 裂過程へのp55CDCの関与をも示唆している。細胞分裂へのp55CDCの 関与のさらなる証拠が、実施例2にある。宿主細胞にラットp55CDCアンチ センス・クローンをトランスフェクトすることによるp55CDC発現のダウン レギュレーション(down−regulation)が、センス転写体を過剰 産生する細胞を生き残らせる結果となり、明らかにp55CDC mRNAの欠 失を相殺することが示された。加えて、ラットp55CDCは、活発に成長する 細胞において高レベルで合成されるが、静止細胞では合成されないように思われ る(実施例5)。 p55CDCは、少なくとも1つの他の宿主細胞蛋白質との複合体の形成によ り、有糸分裂及び細胞分裂を調節するように思われる。p55CDCを含有する 複合体が、p55CDC抗血清により、ラット1細胞、HeLa細胞、及びラッ トp55CDCクローンをトランスフェクトしたCHO細胞から沈降した。推定 される宿主細胞蛋白質は、これらの細胞系の各々においてp55CDCに関連す ることが観察された(実施例3及び4)。これらの細胞系に由来するp55CD C複合体は、細胞周期内で変動するキナーゼ活性を示した。p55CDC複合体 のキナーゼ活性は、以下の方法において、サイクリンA/CDK2、サイクリン E/CDK2及びサイクリンB/p34cdc2を含む他の公知の細胞周期関連キナ ーゼと区別することが可能である:(1)p55CDC複合体は、単一の基質に 対するよ りも、むしろヒストンH1、ミエリン塩基性蛋白質及びα−カゼインを含む多数 の基質に対するキナーゼ活性を有していた;並びに(2)G1/S移行期及びG2 /M移行期では、p55CDC関連キナーゼ活性の減少が観察された。この細胞 周期キナーゼ活性のプロフィールは、以前には観察されていない。 本発明は、生物学的に活性なp55CDCポリペプチドをコードする単離DN Aを提供し、ここで、このDNAは、 a)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するDNA ; b)配列番号4のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するDNA ;及び c)(a)もしくは(b)のDNA、又はそれらの断片とハイブリダイズする ヌクレオチド配列を有するDNAであって、このハイブリダイズするDNAがp 55CDCの生物学的活性を有するポリペプチドをコードするDNA、 からなる群より選択されるDNAである。 本発明のDNAは、適切な温度及び塩の条件下において、p55CDCをコー ドするDNA配列と選択的にハイブリダイズする。適切なハイブリダイゼーショ ン条件の確立は、公表さ れているプロトコル(例えば、63を参照)を用いて、当業者の能力の範囲内に ある。例として、ハイブリダイゼーションは、42℃で、40%ホルムアミド及 び5×SSPE中において、少なくとも12時間行い、次いで、2×SSC、0 .1%SDSにおいて50℃で3回洗浄し、0.5×SSC、0.1%SDSに おいて30分間洗浄すればよい。p55CDC DNAとハイブリダイズする配 列は、欠失、挿入、点突然変異、フレームシフト、代わりのオープン・リーディ ング・フレーム、又はmRNAスプライス変種によって関連付けられる。また、 ハイブリダイズする配列は、p55CDCの発現を調節するようにp55CDC DNAもしくはRNAに結合するアンチセンス核酸(DNAもしくはRNA) であってもよい。アンチセンス核酸は、p55CDCコーディング領域又はp5 5CDCの転写及び/又は翻訳に関与する調節配列を標的としてもよい。 p55CDCにハイブリダイズするDNA配列は、好ましくは、p55CDC の生物学的活性を有するポリペプチドをコードする。実施例3及び4に示される ように、p55CDCは1以上の宿主蛋白質と会合して細胞周期依存性キナーゼ 活性を有 する複合体を形成する。ここに記述されるように、p55CDCの生物学的活性 は、ヒストンH1、α−カゼイン及びミエリン塩基性蛋白質のような様々な基質 に対して活性の複合体関連キナーゼ活性を指し、1以上の基質に対するキナーゼ 活性は細胞周期内で調節される。例えば、α−カゼインに対するp55CDC複 合体のキナーゼ活性は、哺乳動物細胞周期のG1/S及びG2/M移行期の間に消 失する。 また、本発明は、外来性DNA配列の原核細胞又は真核細胞発現の産生物とし てのp55CDCポリペプチドに関し、すなわち、p55CDCは好ましくは組 換えp55CDCである。p55CDCをコードする外来性DNAはゲノムDN Aであっても、cDNAであってもよく、あるいは部分的もしくは完全合成DN Aであってもよい。実施態様の1つにおいて、p55CDC DNAは、原核宿 主細胞、特に大腸菌(E. coli)宿主細胞中での発現に好ましい1以上の コドンを含む。p55CDC発現のための配列に組み立て上げるDNA配列の合 成は、Engelsら(Angew. Chem. Intl. Ed. 28 , 716−734 (1989))に記述される方法のような、当業者が容易 に利用可能な合成方 法を用いてなされる。 また、p55CDC蛋白質の発現のためのプラスミド及び宿主細胞も本発明に よって提供される。p55CDCの発現は、原核又は真核宿主(例えば、哺乳動 物、植物もしくは昆虫細胞、酵母もしくは細菌細胞)中で成し遂げることができ る。好ましい宿主細胞には、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞のよ うな哺乳動物細胞、大腸菌(Escherichia coli)のような細菌 宿主が含まれる。p55CDCは、用いられる宿主細胞に適する様々なプラスミ ドまたはウイルスベクターから発現させることが可能である。CHO細胞におけ るラットp55CDCの発現へのベクターpMTの使用が実施例2に記述されて いる。しかしながら、他の宿主細胞におけるp55CDCの発現に適した他のベ クターも用いることができる。当業者が利用可能な発現ベクター及びDNAトラ ンスフェクション手順を用いて、トランスジェニック動物でのp55CDCの発 現を達成することができる。 また、p55CDCポリペプチドの製造方法も含まれる。この方法は、p55 CDCポリペプチドを発現するように、p55CDC DNA配列を含む発現べ クターで形質転換 又はトランスフェクトされている原核又は真核宿主細胞を培養することを包含す る。 単離されたp55CDCポリペプチドは、本発明に包含される。このようなポ リペプチドは、p55CDCをコードするDNA分子の発現によって製造するこ とが可能であり、あるいは、当業者が利用可能な手順を用いるペプチドの化学合 成によって製造することが可能である。前述の生物学的もしくは化学的方法によ って生成されたp55CDCポリペプチドは、当業者に周知の精製技術を用いて 単離される。p55CDCポリペプチドは、それぞれ配列番号2または配列番号 4に示されるラットまたはヒトポリペプチドの類似体であってもよく、ここで、 この類似体は、1以上のアミノ酸の置換、欠失または挿入を含む。加えて、p5 5CDCポリペプチドの化学合成は、選択された位置での非天然アミノ酸(例え ば、D−アミノ酸)の組込みを可能とする。p55CDCポリペプチド内の活性 に必要なアミノ酸残基は、類似体を生成させ、この類似体を活性、例えば、細胞 周期関連キナーゼ活性を有する複合体を形成する能力、もしくは細胞周期を通し て宿主細胞を向上(advance)させる能力、について試験することにより 決定される。材料及 び方法に記述されるプロテインキナーゼアッセイを、p55CDC類似体の生物 学的活性の試験に用いることが可能である。細胞分裂蛋白質cdc4及びcdc 20と相同性を示す領域(図3参照)のようなp55CDCポリペプチドの選択 された領域を、生物学的に活性なp55CDC類似体またはペプチド断片の設計 に用いることができる。これらの領域はGβ繰返しと呼ばれ、p55CDCの構 造及び/又は機能に重要であるようである。 また、本発明のp55CDCポリペプチドに特異的に結合する抗体も提供され る。抗体はポリクローナルであっても、モノクローナルであってもよく、無傷蛋 白質の他に、p55CDCの断片、類似体及び融合ポリペプチドを認識すること が可能である。マウス抗p55CDC抗体は、当業者に利用可能な技術によって 生成させることが可能であり、キメラもしくはヒト化抗体を形成するように変性 させることが可能である。抗p55CDC抗体は、生物学的サンプル中に存在す るp55CDC及びp55CDC複合体を定量する下記検定において有用である 。 また、p55CDC及び少なくとも1つの他の宿主細胞蛋白 質を含む複合体も提供される。実施例3には、p55CDC及び会合した210 kDa蛋白質を有する、トランスフェクトされたCHO細胞からの免疫複合体が 記述されており、この複合体は細胞周期関連キナーゼ活性を有している。実施例 4には、第2のポリペプチドと会合したp55CDCを有し、かつキナーゼ活性 を示す、ラット1及びHeLa細胞からの免疫複合体が記述されている。110 kDa蛋白質がラット免疫複合体中に同定され、100kDa蛋白質がHeLa 免疫複合体中に同定された。得られた複合体が様々な宿主細胞分子をリン酸化す るように少なくとも1以上の他のポリペプチドと会合するp55CDCの能力は 、細胞周期を調節するp55CDCの能力に相関するように思われる。p55C DC類似体及び少なくとも1つの他の宿主細胞蛋白質を含む複合体も本発明に包 含される。好ましい実施態様において、p55CDC複合体は、実施例4に記述 されるような細胞周期依存性キナーゼ活性を有する。 また、本発明は、生物学的サンプル中のp55CDCのレベルを検出する方法 に関する。この方法は、p55CDC、又はそれらの断片、類似体、もしくは融 合ポリペプチドを特異的に 結合する抗体を、サンプルと共に、抗体とp55CDCとの複合体の形成に適し た条件下でインキュベートし、及びp55CDC−抗体複合体の存在を検出する ことを包含する。また、この抗体は、p55CDCが他の宿主細胞蛋白質と複合 体を形成している場合でも、p55CDCに結合することができる。したがって 、この方法は、p55CDC複合体の検出をも包含する。p55CDCは活発に 分裂する細胞中には存在するが、静止細胞中には存在しないことから、p55C DCの診断検定が、細胞分裂のレベルが高められたサンプルの同定に最も有用で あることが期待される。 細胞分裂を調節する方法も提供される。p55CDCの活性を調節する化合物 が細胞周期活性をも調節するであろうことは、当業者によって認識されるであろ う。p55CDCの合成を調節し、及び/又は細胞周期関連キナーゼ活性を有す る複合体を形成するp55CDCの能力を調節する化合物は、p55CDC活性 の決定について記述した手順を用いて同定することができる。p55CDCキナ ーゼ活性の調節は、細胞周期内の特定の期間での活性の増大または減少に関与す る可能性があり、p55CDC複合体活性のタイミングまたは特異性の変更に繋 がるだろう。続いて細胞分裂の制御に用いられ得る化合物には以下のものが含ま れるが、これらに限定されるものではない:(1)p55CDC合成のレベルを 増大もしくは減少させる化合物;(2)p55CDCに結合してキナーゼ活性を 有するp55CDC複合体の形成を阻害する化合物;(3)複合体の形成につい てp55CDCと競合し、それ自身が不活性の複合体を形成する化合物;及び( 4)p55CDC複合体の形成を促進し、あるいは半減期を増大させることによ り解離からこの複合体を安定化する化合物。例には、p55CDC DNAもし くはp55CDCポリペプチドに結合する核酸分子、抗体、ペプチド、有機分子 及び炭水化物が含まれる。このような化合物は、化学合成又は天然源(例えば、 細菌、真菌、植物)から誘導される核酸、ペプチド又は小有機分子を含む大レー パトリー又はライブラリーをスクリーニングすることにより同定される。分子又 はポリマーの天然もしくは合成の大ライブラリーの合成、特徴付け及びスクリー ニングについて、相当数の文献が存在する。当業者は、そのようなライブラリー をp55CDC活性を調節する化合物についてスクリーニングすることが可能で あることを認めるであろう。 p55CDCの生合成または活性を阻害する化合物は、正常の非ガン性細胞と 比較してp55CDCのレベルが増大し、又はp55CDCに関連する細胞周期 依存性キナーゼ活性のレベルが増大した腫瘍細胞の成長の抑制に有用である。化 学療法剤として有用な化合物には以下のものが含まれるが、これらに限定される ものではない:(1)p55CDC合成のレベルを減少させる化合物;(2)p 55CDCに結合してキナーゼ活性を有するp55CDC−宿主細胞蛋白質複合 体の形成を阻止する化合物;及び(3)複合体形成に関与する1以上の宿主細胞 蛋白質との会合についてp55CDCと競合し、それ自身不活性の複合体を形成 する化合物。恐らく増大したp55CDC活性のおかげで正常非ガン性細胞より も急速に成長する腫瘍細胞は、p55CDC阻害剤に対しより感受性が高い可能 性がある。このような薬剤は、正常細胞のp55CDC活性にはほとんど作用が ないことが期待される。 また、医薬上有効なアジュバント中のp55CDC活性の減少もしくは抑制に 有効な量の化合物で哺乳動物を処置することを包含する化学療法も提供される。 p55CDC活性を減少もしくは抑制させる化合物は、ここに記述されるp55 CDC活 性の検定を用いて、適当な供給源をp55CDCに対する活性についてスクリー ニングすることにより同定される。p55CDC活性の減少もしくは抑制に有効 な投与量は、治療する症状及び投与レジメのような因子を考慮して、当業者が決 定することができる。重要な考慮すべき問題には、治療する腫瘍の型及び位置、 並びに投与経路が注入(静脈内、筋肉内、もしくは皮下)によるものであるか、 あるいは経口もしくは鼻摂取によるものであるかが含まれる。本発明の化合物は 、適切な緩衝剤、可溶化剤、保存剤、担体又は酸化防止剤を含み得る、医薬上許 容し得るアジュバントと混合する。好ましくは、このアジュバントは、化合物の p55CDC阻害活性を減少させないものである。医薬上許容し得るアジュバン トの広範な調査が、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 18th ed. A. R. Gennaro, ed . Mack, Easton, PA (1990)に見出される。 実施例1 p55CDCの同定および特徴付けp55CDC遺伝子 p55CDCをコードする遺伝子は、ラットα2,6シアリルトランスフェラ ーゼ(57,73参照)をコードするcDNAを有するラットゲノムライブラリ ーの低緊縮(low stringency)スクリーニングにより新規グリコ シルトランスフェラーゼ酵素を同定する試みの中で偶発的に同定された。1回の スクリーニング中に、ゲノムクローンが単離された。制限地図分析により最初に ハイブリダイジング領域を2 kb Bgl IIフラグメントに狭めた。この フラグメントの交差ハイブリダイジング領域をさらに0.26 kb Pst Iフラグメントに狭め、それを、種々の胚、新生児および大人のラットの組織の ノーザン分析のために用いた。これにより、cDNAライブラリーの構築のため のRNA源として用いることのできる組織を同定した。 ノーザン分析により、独特の転写体の組織特異性的かつ発生的に制御された発 現が示された(図1A)。2 kb mRNAは全ラット胚からのRNA中に豊 富であり、この転写体は胚 性ラットの肝臓に多い。しかしながら、2日齢の新生児ラットにおいて、肝臓に おけるメッセージレベルは急降下した。転写体は依然として2日齢ラットからの 脾臓において豊富であり、少量が腎臓に存在していた。16日齢のラットにおい て、転写体は依然として脾臓および胸腺において豊富であったが、肝臓および腎 臓においてはほとんど検出されなかった。転写体はいかなる大人の組織において も検出できなかったが、より多くのRNAを含むブロットをより長時間露出する と脾臓サンプルにおいて弱いバンドが現れた。新生児の肝臓、胸腺および脾臓の ような造血組織における転写体の存在は、細胞増殖が生じる組織においてこの新 規遺伝子の発現が最高であることを示している。 cDNAライブラリーは、2日齢ラット脾臓からのポリA+RNAを用いて構 築された。Pst Iゲノムフラグメントをプローブとして用いて、およそ1: 15000の頻度で数個の陽性プラークを同定した。二つの最も大きい挿入cD NAをサクブローニングおよび配列決定した。ヌクレオチド配列(図2および配 列番号1)は、予想される分子量が55kDaの、499アミノ酸のタンパク質 をコードした。しかしながら、グリコシルトランスフェラーゼがゴルジ体におい て適正に配向さ れるために必須である、シグナル−アンカードメインに及ぶアミノ末端疎水性膜 の形跡がなかったので、この配列は古典的グリコシルトランスフェラーゼ酵素を コードしなかったようである(57参照)。 ヒトp55CDC遺伝子を、以下の手順により、HT1080細胞系統cDN Aライブラリーから単離した。ヌクレオチド配列および推定されるアミノ酸配列 を図2および配列番号3に示す。ラットとヒトの配列のオープンリーディングフ レームの比較はヌクレオチドレベルで87%の同一性を示し、それはアミノ酸レ ベルで95%に増加した。ヒトのヌクレオチド配列の相違がラット配列の上に示 され、ヒトのアミノ酸配列の相違が下に示されている。ヒトの配列は、ラットの ATG開始部位の上流からかなりそれており、3’非翻訳領域においてもそうで あった。p55CDCの細胞周期タンパク質との相同性 genEMBLデータベースを調べると、GタンパクのβユサブユニットのW D−40反復(27参照)、およびこの不完全な繰返しモチーフを含む多くのタ ンパク(詳細については、12,72参照)に相同の7つの領域を、ラットおよ びヒトのp55CDCタンパクが有していることが示された(図3A)。 これらは、cerevisiae遺伝子CDC20(65参照)およびCD C4 (77参照)、TUP1AER2(78参照)、PRP4(58参照)な らびにMSI1(62参照)の産生物、また、melanogaster遺 伝子Esp1discoidum遺伝子AAC3(66参照)、Arab idopsis thaliana遺伝子COP1(13参照)ならびにDro sophila TF11D(22参照)のdTAF1180サブユニットの産生 物を含む。図3Bに示す最も高度の相同性が、p55CDCと、二つのce revisiae 細胞分裂周期タンパクであるCdc20(519アミノ酸)お よびCdc4(779アミノ酸)との間に見られた。BESTFIT分析により 、p55CDCのアミノ酸172〜407とCdc20タンパクのアミノ酸24 9〜479との間の同一性が45%であり、それが高度保存置換が含まれる場合 は59%に増加することが示された。これは、p55CDCにおける縮重内部G β−反復との高度の類似性が判明した唯一のタンパクであった。Cdc4タンパ クは、Cdc4タンパクにおいて見られる9つの反復の最初の7つを用いると、 p55CDCにおいて見られる7つの反復全てに相同性が 高い唯一のタンパクであった(図3B)。これら二つのタンパクにおける高度縮 重WD−40反復の整列は、300アミノ酸残基に16個のギャップを導入する ことを要求する。この比較は、この領域の28%の残基が同一であり、41%が 同一または高度に保存されていることを示した。注目すべきは、S.cerev isiae Cdc20およびCdc4タンパクはそれぞれ、相互の相同性より も、哺乳類p55CDCタンパクに対して大きな程度の相同性を示した。 最近、cerevisiae cdc15突然変異体の温度感受性欠陥を 抑制する能力に基づいてXenopus卵母細胞cDNAライブラリーから単離 されたクローンが、カルボキシ末端側の半分に7つのGβ−反復を有する518 アミノ酸のタンパク(69参照)をコードすることが示された。βTrCP(β −トランスデューシン反復を含むタンパク)と呼ばれるこのタンパクは、CDC 20 の機能的相同体ではないが、これら両遺伝子の過発現はCDC15突然変異 を抑制することができる(1,69参照)。βTrCPおよびp55CDCの両 方が7つのGβ−反復を有し、この領域に24%の同一性を示す。 Gβ−反復を越えて延びるp55CDCに大きな相同性を示 した唯一のタンパクは、cAMPレベルのRAS関連誘導の負の制御物質であるcerevisiae MSI1タンパクであった(62参照)。MSI1 タンパク(422アミノ酸)は、p55CDCに24%同一であり、これはp5 5CDCのアミノ末端178残基のみをMSI1のアミノ末端148残基と比べ た場合、28%に増加した。p55CDCの交雑種相同性 種々の哺乳類種、鶏、melanogasterおよびcerevi siae からのゲノムDNAを、ラットcDNAプローブを用いてサザンブロッ ト分析により試験すると、p55CDCオープンリーディングフレーム内におけ る高度の進化保存が見られた(図4)。全ての哺乳類および鳥類種において交雑 種を検出することができたが、cerevisiaeおよびmelan ogaster DNAを含むレーンにおいてバンドは見られなかった。これらの 結果は、p55CDCをコードする遺伝子が単一コピー遺伝子であり、試験した 種の中に密接に関係する遺伝子はないことも示している。組織および細胞系統におけるp55CDCの発現 胚性および新生児ラット組織におけるp55CDC mRNAの発現パターン 、および細胞分裂におけるp55CDCの可 能な役割を示唆するp55CDCとcerevisiaeCdc20および Cdc4タンパクとの間の明確な関係に促されて、我々はp55CDC発現のた めの他の発生哺乳類組織を試験した。ヒト組織のノーザン分析は、ラットにおい て見られるものに類似する発現パターンを示し、胎児の肝臓および幼期の胸腺に おいては発現のレベルが高く、しかし、胎児の肺、成体の肺または肝臓、あるい は主に非分裂白血球からなる成体のバフィー・コートにおいては発現が見られな かった(図1B)。ヒト成人の心臓、脳、胎盤、肺、肝臓、骨格筋、腎臓および 膵臓からのポリA+RNAを試験する第2のノーザン分析は、一つの組織のみに おいて、すなわち活発に分裂している細胞を含む胎盤のみにおいてp55CDC の発現を示し、類似の発現パターンがp34cdc2(48参照)について示された 。 多くのヒト細胞系統はp55CDC転写体も発現した。その転写体は、T細胞 系統MOLT 4fおよびCEM、B細胞系統RajiおよびRamos、単核 細胞系統U937および骨髄赤血球細胞系統K562を含む試験した全ての白血 病細胞系統において豊富であった(図1C)。実際、我々は、系統に拘わらず、 対数増殖期において試験した全ての細胞系統において p55CDCの発現を観察した。 p55CDC転写体の発現が細胞の分裂能に関係しているかどうか試験するた めに、我々は、二つの白血病細胞系統であるK−562およびHL−60の独自 の特性を利用した。K−562細胞は、成長速度に重大な影響を与えることなく 赤血球の分化を行わせるために酪酸ナトリウムで処理することにより誘導するこ とができる(2参照)。これに対して、K−562細胞をホルボールエステルT PAで処理することにより成長停止を伴う単核細胞分化が引き起こされる。HL −60細胞をTPAで処理しても単核細胞分化が引き起こされ、DNA合成およ び細胞分裂が停止される(61参照)。我々は、これら二つの細胞系統における p55CDC mRNAの発現レベルへの、これら試薬の効果を試験した(図1 D)。p55転写体は、両方の偽処理細胞系統において容易に見つけることがで きた。K−562およびHL−60の両方について、細胞をTPAで処理すると p55CDC mRNAの発現が損失した。その分化に成長停止が伴わない、酪 酸ナトリウムで処理したK−562細胞において、p55CDC転写体のレベル は偽処理細胞において見られるものにほぼ等しかった。これらの結果は、p55 CDC mRNAが分裂細胞においてのみ合成されることを示している。 実施例2 細胞増殖へのp55CDCの影響 p55CDCタンパクの可能な機能を調べるために、CHOd-細胞を、セン ス(PMTp55s)またはアンチセンス(PMTp55as)配向においてラ ットのp55CDCをコードするcDNAを含むプラスミドでトランスフェクシ ョンした。ラットcDNAの1.8kbフラグメントを、pMT010/A+哺 乳類発現ベクターにおけるメタロチオネインプロモーターの下流に挿入した(9 参照)。このベクターは、二つの主要な選択可能マーカー、すなわちSV40プ ロモーターにより作動される細菌neo遺伝子およびマウスDHFR遺伝子も含 む。対照細胞はベクターのみでトランスフェクションした(PMT)。メトトレ キセートでの増幅後に、3つの細胞プールを、亜鉛0.05mMの存在下に60 mmのプレート当たり0.5×106細胞の密度でプレーティングし、成長のプ ロフィールを14日間プロットした(図5A)。CHOd-細胞におけるクロー ン変化の作用を最少限にするために、個々のクローンではなく、トランスフェク ションした細胞のプールを研 究した。最初は、トランスフェクションした細胞の3つのプール間で成長速度に ほとんど差異が見られなかったが、フローサイトメトリーおよび顕微鏡による目 視観察により決定される順方向散乱(forward scatter)分析に より示されるようにPMTp55as細胞はPMTp55sまたは対照細胞より かなり大きい。さらに、ヨウ化プロピジウム取り込みにより測定されるDNA含 量分析は、PMTp55as細胞が増加量のDNA/細胞を有していることを示 したが、これはこれらの細胞が過2倍体(hyperdiploid)であるこ とを示している(図5B)。プレートが集密状態に達しはじめると、成長プロフ ィールに劇的な相違が観察された。層寸法に合致する、より低い細胞数において 、PMTp55as細胞が最初に集密に達した。集密に達した後、PMTp55 as細胞はゆっくりと分裂を続けた。より小さいPMTp55s細胞は、集密に 達した後により早い速度で分裂を続けた。PMTp55s細胞は14日までに2 4×106細胞/プレートの密度に達したが、これに対して、PMTp55as 細胞は6×106細胞/プレートであった。PMT細胞の成長プロフィールは、 PMTp55s細胞とPMTp55as細胞との中ほどであった。 アンチセンス転写体をコードするベクターによりトランスフ ェクションされた細胞は、変化した表現型を有していても生存を続けるので、ト ランスフェクションされた細胞プールのセンスおよびアンチセンスp55CDC mRNA転写体の存在をRNAse保護アッセイを用いて試験した(70参照 )。表1に示すように、PMT細胞は細胞当たり平均166コピーのセンスmR NAを有していたが、一方、予想されたように、PMTp55s細胞は細胞当た り平均734コピーの増加したセンスmRNAを有していた。驚くべきことに、 PMTp55as細胞も、細胞当たり平均714コピーの増加したコピー数のセ ンスmRNAを有していた。さらに、PMTp55as細胞は、アンチセンス転 写体をコードするcDNAによりトランスフェクションされていたにもかかわら ず、細胞当たり平均205コピーの中位のアンチセンスmRNAしか有していな かった。細胞プールから単離されたクローン細胞系統を分析したときに同じパタ ーンが観察された。4つのPMTp55asクローン系統の各々が、全ての系統 においてセンス転写体の量を増加させ、この量はアンチセンス転写体の量の少な くとも5倍であった。予想されたように、対照PMT細胞において、細胞当たり のセンス転写体の平均コピー数は集密細胞においてかなり低下した。 6つのクローン細胞系統全てのゲノムDNA分析は、センス転写体の高度発現 は内因性遺伝子の増幅によるものではないことを示した。センス配向転写体を発 現する二つの単離したクローンは互いに異なっていた。対照的に、プラスミドま たはp55CDC配列を検出するために二つの異なる制限酵素および二つの異な るプローブを用いた4つのクローンPMTp55as細胞系統の制限地図分析は 同一のバンドパターンを示したので、単離した4つのPMTp55asクローン 全てが、最初の細胞プール中の一つだけのトランスフェクションされた細胞の増 殖から誘導されたようである。この結果は、アンチセンス転写体によるp55C DC発現の抑制が、センス転写体の過発現により補償されたことを示していた。 このデータは、p55CDCが培地における細胞増殖の維持にために必須である ことを示した。 実施例3 p55CDCを含む免疫複合体 ポリクローン性のウサギ抗血清を、p55CDCとグルタチオンS−トランス フェラーゼとからなる融合タンパクに対して生成させた。最初の抗血清およびア フィニティ精製抗体調製物 の両方が、p55CDC cDNAを含むin vitro転写/翻訳反応からMr 5 5 kDaのタンパクを沈降させ、それはポリペプチドの予想した分子量に一致 していた。 トランスフェクションした細胞系統におけるp55CDC産生のレベルを試験 するために、アフィニティ精製抗体を用いて、対数期の35S−標識化細胞の抽出 物について免疫沈降を行った。図6Aに示すように、PMTp55sおよびPM Tp55as細胞は、PMT細胞と比べて増加したレベルのp55CDCを有し ており、これは、これらの細胞内におけるp55CDCをコードする増加した数 の転写体の立証と一致する。PMTp55s細胞において、おそらくp55CD Cの分解生成物を表す31kDaの強いバンドがあったが、このバンドは、ポリ クローン抗体調製を用いる細胞抽出物の免疫ブロット分析においても検出された 。この31kDaバンドは、プロテアーゼ阻害剤の不在下に細胞溶解物を調製し た場合にも観察され、プロテアーゼ阻害剤の不存在下には無傷のp55CDCは 検出されなかった。免疫複合体のいずれにおいてもp34cdc2タンパクは検出さ れなかったので、このペプチドはp34cdc2ではなかった。 p55CDCの免疫沈降物は、Mr 210 kDaのタンパクも含んでいた 。免疫沈降物中で見つかったp210の量は、p55CDCの量におおむね比例 していた。この実験を静止期の細胞について繰返し行った場合、プレーティング 後7日で、p55CDCおよびp210の両方の量が大きく減少し(図6B)、 図6Bにおいて、p55CDCの検出に1週間のオートラジオグラムの露出が必 要であったが、これに対して図6Aにおいては21時間の露出であった。これら の結果は、p55CDCの産生が増殖細胞において最も高いことを示している。 実施例4 p55CDC免疫複合体のキナーゼ活性 細胞周期内の多くの事象が種々のキナーゼにより制御されるので、p55CD C免疫複合体がキナーゼ活性を有しているかどうか決めることは興味深い。プロ ティンキナーゼ活性を試験した全ての免疫複合体は、図6と同様の条件下に沈降 した。免疫沈降緩衝液は、非特異的タンパク結合を最少限にするように調製され た(NP−40が1%、デオキシコール酸塩1%およびSDS0.1%)。多く の細胞分裂キナーゼがヒストンH1をリン酸化しうるので、この基質が最初にア ッセイされた。図 7Aに示すように、p55CDC抗体で免疫沈降した免疫複合体がヒストンH1 をリン酸化した。PMT、PMTp55sおよびPMTp55as細胞の溶解物 から調製される免疫複合体は全て、ヒストンH1に対してキナーゼ活性を示した 。p55CDCの発現の向上したPMTp55sおよびPMTp55as細胞に おいて最も高いレベルのリン酸化が見られた。競合する抗血清を用いる陰性対照 において、少量の残存活性が見られる。外因性の基質を添加せずに行った反応に おいて、リン酸化タンパクは検出されず、このことは免疫複合体中のタンパクが キナーゼ活性の内因性基質でないことを示していた。しかしながら、トランスフ ェクションした細胞の3つのプールの全てが[32p]−オルトリン酸で標識され 、p55CDCが免疫沈降されたとき、SDS−PAGE分析により、p55C DCがリン酸化されたことが示された(図7B)。すなわち、p55CDCは、 CHO細胞内の別の内因性キナーゼの基質である。PMTp55s細胞において 、32p−標識31 kDaバンドは検出されず(図6AおよびB、レーン8およ び10参照)、これは、p55CDCの31 kDa分解フラグメントがリン酸 化されないか、分解前に脱リン酸化されることを示している。 異なる細胞系統中におけるp55CDCが免疫複合体中の他のタンパクと会合 するかどうか、およびこれらの複合体がキナーゼ活性も有するかどうかを試験す ることを我々は望んだ。この分析のためにラット1線維芽細胞およびHeLa細 胞系を選択した。増殖しているラット1およびHeLa細胞を溶解し、アフィニ ティ精製p55CDC抗体を用いて免疫複合体を沈降した(図8A、レーン2お よび4)。免疫複合体のSDS−PAGE分析はCHO細胞において見られる2 10kDaバンドを示さなかったが、細胞特異的であると思われる他の別々のバ ンドを示した。ラット1細胞において、110kDaのタンパクがp55CDC 免疫複合体中に存在し、一方、100kDaのタンパクがHeLa細胞内のp5 5CDC免疫複合体内に見られた。 HeLa細胞からのp55CDC免疫複合体を、多くの異なる基質に対するキ ナーゼ活性について試験した(図8B)。キナーゼ活性は、ヒストンH1、ミエ リン塩基性タンパクおよびα−カゼインについて検出され、ミエリン塩基性タン パクについて最高の活性が検出された。β−カゼインも試験したが、基質として のβカゼインについて最小の活性が検出された(デー タは示さない)。免疫沈降に用いられる抗体の量の増加によりミエリン塩基性タ ンパクのリン酸化が増大するので、キナーゼ活性のレベルは、p55CDC濃度 に相関していた(図8C)。 p55CDC関連キナーゼ活性が、サイクリン依存性キナーゼについて記載し たように、細胞周期中に変動するかどうかを決めるために、細胞を細胞周期内の 種々の時点において休止し、細胞溶解産物から沈降された免疫複合体をキナーゼ 活性について試験した。キナーゼ活性中の細胞周期関連変動の異なるパターンが 、3つの試験した基質のうちの一つであるあるα−カゼインのみについて検出さ れた(図8DおよびE)。α−カゼインに対するキナーゼ活性はHeLa細胞、 および血清枯渇によりG1がブロックされた細胞において存在していた。α−カ ゼインに対する活性レベルは、G1/Sで休止された細胞において約4倍であり 、S期中に採集した細胞において最高レベルに戻った。キナーゼ活性は、細胞周 期のG2期における細胞において一定に維持され、G2/M移行における細胞にお いて6分の1に減少した。p55CDC免疫複合体によるヒストンH1に対する キナーゼ活性は、細胞周期を通して安定であった(図8E)。G2/M細胞にお けるヒストンH1キナーゼ活性のバ ックグラウンドレベル(図8D、レーン8)は、これらのサンプル中の残存p3 4cdc2キナーゼ活性に最も起因するようである。ミエリン塩基性タンパクに対す るキナーゼ活性も、活性が2分の1に減少することが観察されたG2/M移行を 除いて、細胞周期中において比較的一定であった。いずれの種々の期間において も、細胞から調製された細胞溶解物の免疫ブロッティングによりp55CDCを 検出することは困難であるが、細胞内に存在するp55CDCの量は、p55C DC免疫複合体について観察されるキナーゼ活性における変動と異なり、細胞周 期中に変動しないようであった。 実施例5 成長および休止細胞における p55CDC発現およびキナーゼ活性 成長および休止細胞集団におけるp55CDCの発現および関連するキナーゼ 活性を、制限血清条件下にラット1細胞が成長を停止させる能力を調べることに より比較した。図9Aに示すように、指数的に増殖しているラット1細胞は標識 化p55CDCを盛んに合成した(レーン3〜6)が、休止細胞集団は、1時間 の標識化期間中に最少のp55CDC産生を示した(レ ーン9〜11)。観察されるキナーゼ活性が非特異的に細胞溶解物から沈降しな いようにするために、免疫沈降において増加量のp55CDC抗体を用いた。レ ーン3〜6に示すように、p55CDC抗体の量の増加は、増加レベルのp55 CDCの沈降を生じた。この結果は、図8Cにおいて観察された結果と一致する が、沈降に用いられる抗体の量を増加させると、検出されるp55CDCキナー ゼ活性のレベルが増大した。また、免疫沈降物のクーマシーブルー染色ゲル上で 検出されるように、二つのサンプルにおいてp34cdc2合計量は実質的に等しい が、標識化されたp34cdc2の産生は休止細胞集団において実質的に減少する( レーン1と7とを比較)。我々はまた、これら二つの条件下におけるp55CD C関連キナーゼ活性を試験し、それを対照としてのp34cdc2免疫複合体につい て観察されるものと比較した。α−カゼインはp34cdc2キナーゼの基質として はよい基質でないので、α−カゼインを基質として用いることにより、p55C DC複合体についてより高いレベルの活性が観察された(図9B)。p34cdc2 キナーゼとp55CDC関連キナーゼの両方が、休止細胞において活性の低下を 示した。HeLa細胞において見られるように、基質としてミエリ ン塩基性タンパクを用いた場合、p55CDC関連キナーゼ活性の大きな変化は 見られなかった。 材料および方法RNA分析 コムチンスキ(Chomczynski)およびサッチ(Sacci)の方法 により、新鮮な解剖ラット組織、ヒト胸腺およびバフィコートから全RNAを調 製した(8参照)。ヒト細胞系統からのmRNAは、ファストラック・キット( Fastrack kit)(インビトロゲン社(Invitrogen)製) により調製した。ホルムアルデヒドを含む1%アガロースゲルにおいて全RNA (30μg/レーン)のゲル電気泳動を行ない、先に報告されたようにノーザン ハイブリダイゼーションを行った(73参照)。アマーシャム・マルチプライム (Amersham Multiprime)DNA標識化システムRPN. 1601を用いて放射性標識プローブをつくった。mRNAのサイズは市販のR NA標準と比較することにより決めた(ベセスダ・リサーチ・ラボラトリーズ社 (Bethesda Research Laboratories),ガイザ ースブルク(Gaithersburg), メリーランド州)。他のヒト組織からのmRNAは、多重ヒト組織ノーザンブロ ットとしてクローンテック社(Clontech)から購入した。 RNAse保護アッセイのためのリボプローブをつくるために、T7プロモー ターに対してセンスおよびアンチセンス配向の両方の配向で、ゲル精製p55C DC cDNAフラグメントをブルースクリプト(Bluescript)(ス トラタジーン社(Stratagene),ラジョラ(LaJolla),カリ フォルニア州)にサブクローニングした。その後の全ての工程は前述したように 行った(70参照)。簡単に言えば、細胞(1×106/ml)をリン酸塩緩衝 食塩水(PBS)中で洗い、室温で20分間インキュベートすることにより、ト リス(ヒドロキシメチル)アミノメタン10mM(pH8.0)、EDTA 1 mM、ジチオトレイトール20mM、プロテイナーゼK 100μg/mlおよ び0.2%SDS中に溶解した。溶解サンプルを、標識化リボプローブとともに ハイブリダイゼーション混合物に添加し、84℃で2時間インキュベートした。 RNAse AおよびRNAseT1を用いた37℃で20分間のRNAse消 化に続いて、サンプルをセファクリル (Sephacryl)S200スーパーファイン(Superfine)ゲル 濾過カラム(シグマ社(Sigma),セントルイス、メリーランド州)にロー ドし、保護されたプローブを含むボイド容積画分をカウントした。遺伝子特異的 RNAの量を標準曲線から算出した。全てのアッセイは2回行った。RNA分析 ゲノムサザーンおよび制限地図分析は、標準的分子生物学的技術を用いて行っ た(63参照)。種々の種からのゲノムDNAはクローンテック社(Clont ech)(パロ アルト(Palo Alto),カリフォルニア州)から購入 した。中位のストリンジェントのハイブリダイゼーションを40%ホルムアミド 中42℃で行った。全てのハイブリダイゼーションは5×SSPEの塩濃度で行 った。一晩のハイブリダイゼーション後に、フィルターを2×SSC、0.1% SDS中50℃で3回洗った。最後の洗浄は0.5×SSC、0.1%SDS中 で30分間行った。DNA配列は、シークエナーゼ(Sequenase)(ユ ー・エス・バイオケミカル社(U.S.Biochemical)製)を用いて 、製造元のプロトコールに従って決定した。また、配列決定を、タグ・ダイ・デ オキ シ・ターミネーター・キット(Tag Dye Deoxy Terminat or kit)を用いて指示されたプロトコールに従い、アプライド・バイオシ ステムズ・373A自動DNAシーケンサーで行った。GCG BESTFIT プログラムを用い、ギャップ重量を2.0および長さ重量(length weight)を 0.05にして、Gβモチーフを有する遺伝子間の比較のための同一性値%を得 た。ラットp55CDCのcDNAクローニング シャロン(Charon)4A(クローンテック社製)内に連結されたEco RI部分消化物からつくられたラットゲノムライブラリーを、a2,6シアリル トランスフェラーゼ遺伝子のアミノ酸残基141〜286を含む435塩基対c DNAプローブを用いて、低ストリンジェント条件(43%ホルムアミド中37 ℃でのハイブリダイゼーション)でスクリーニングした(73参照)。単離され たゲノムクローンの制限地図分析は、プローブにハイブリダイズした2 kb Bgl IIフラグメントを示した。このフラグメントをpUCベクター内にサブ クローニングし、さらなる分析によりハイブリダイジング領域を0.26 kb Pst Iフラグメントに狭め、それを 全てのその後の分析において用いた。新生児ラットの脾臓からのポリA+RNA を、2サイクルのオリゴ(dT)−セルロース・タイプ2(コラボラティブ・リ サーチ(Collaborative Research)製)への結合により 選択した。cDNAライブラリーを、ファーマシア(Pharmacia)cD NA合成キットを用い、続いてlgt10ベクター内に連結することにより構築 した。これを、ギガパック(Gigapack)IIゴールド(Gold)クロ ーニング・キット(ストラタジーン社(Stratagene)製)を用いてパ ッケージングした。最初のパッケージング反応により3.3×106pfuを得 、プローブとして0.26 kb Pst I フラグメントを用いて1×106 pfuをスクリーニングした。ヒトp55CDCのcDNAクローニング ヒトHT1080細胞系cDNAライブラリーを、pSPORT−1プラスミ ドベクター(BRL・ライフ・テクノロジー社(BRL Life Techn ologies,Inc.)製)内に構築した。約5000コロニーの44プー ルからのDNAの各々をNot Iで線状化し、プローブとしてラット のp55CDCcDNAを用いてサザンブロットによりスクリーニングした。最 も長い挿入体を有するクローンのプラークおよびコロニー精製を標準的技術を用 いて行った(63参照)。細胞培養、同調および標識化 HL60およびK562細胞を、PRMI1640(アービン・サイエンティ フィック社(Irvine Scientific),アービン,カリフオルニ ア州)中、HEPES10mMおよび15%牛胎児血清を加えて、成長させた。 細胞は0.2×106細胞/ml培地の濃度で接種した。酪酸ナトリウム1mM で処理した細胞を75cm2フラスコ内で3日間成長させた。ホルボールエステ ルで誘導した細胞を、12−O−テトラデカノイル−ホルボール 13−アセテ ート(TPA)30ng/mlの存在下に3日間成長させた。細胞をグアニジン チオシアネートで溶解し、全RNAを記載したように調製した(8参照)。CH Od-細胞を、5%の牛胎児血清、グルタミン、非必須アミノ酸およびヒポキサ ンチンを加えたダルベッコ改良イーグル培地(DMEM)中に維持した。ラット 1細胞を、10%血清およびグルタミンを含むDMEM中に維持し、HeLa細 胞を、10%血清、グルタミンおよび非必須アミノ 酸を加えた最少必須培地中に維持した。 HeLa細胞を、ハインツ(Heintz)らにより記載された二重チミジン /アフィジコリンブロックによりS期(G1/S)の開始時に同調させた(35 参照)。4時間後に採取した細胞はS期中にあった(59参照)。G2/M移行 における同調(synchronization)は、ノコダゾール0.5μg/mlの存在下 における12〜24時間の成長により達成した。培地を注意深く吸引して取り去 り、非付着性有糸分裂細胞を、緩衝液をゆっくりとピペットで単層上に移すこと により採取した。付着性の細胞をPBSで洗い、溶解した。この個体群は有糸分 裂性ではなく、主にG2期にある(36参照)。 同調していない指数的に増殖する細胞を、2%透析血清を含みメチオニンおよ びシステインを含まない培地で1時間成長させ、続いて35S トランスラベル( Translabel)(ICN バイオメディカルズ社(ICN Biome dicals),アービン,カリフォルニア州)の培地100μCi/mlを含 む同じ培地で2時間成長させた。リン酸塩を含まない培地での1時間の予インキ ュベーションに続いて、[32P]−オルトリン酸塩(ICN バイオメディカル ズ社製)による 標識化を3時間行った。 プレートをPBSで濯ぎ、続いて0.1%牛胎児血清を含む培地中で濯ぐこと によりラット1細胞を成長停止させた。細胞を低血清培地中で48時間成長させ て休止細胞集団を得た。35S−トランスラベルによる標識化を、透析血清濃度を 0.1%に維持し、ラベルを1時間かかって組み込んだ以外は、前述のように行 った。指数的に成長するラット1細胞の集団について、標識化中に透析血清濃度 を2%に維持した。 フローサイトメトリー分析のために、1×106細胞をPBS中で洗い、70 %エタノール、2.0%トリトン(Triton)X−100中で1時間固定し た。固定した細胞をPBS中で洗い、ヨウ化プロピジウム(PI)50μg/m lおよびRNAse A20μg/mlの溶液中で染色した。FACScan( ベクトン・ディキンソン社(Becton Dickinson),マウンテン ビュー,カリフォルニア)を用いて、細胞のDNA含量(蛍光強度)および細 胞サイズ(順方向散乱)を分析した。CHOd-細胞のトランスフェクション 新生ラット脾臓ライブラリーから得られた1.8 kb cDNAを、pMT010/A+哺乳類発現ベクターのBam H1部位内にク ローニングした(9参照)。cDNAを、センス(PMTp55s)およびアン チセンス(PMTp55as)の両方の配向でメタロチオネインプロモーターの 下流に挿入した。対照としてのベクター単独のみならず、これらのプラスミドを 、指示されたプロトコールに従ってリポフェクチン(Lipofectin)( BRL・ライフ・テクノロジー社(BRL Life Technologie s,Inc.)製)を用いて細胞内にトランスフェクションした。ヒポキサンチ ンを含まないで培地中400μg/mlでのジェネチシン(Geneticin )による最初の選択に続いて、メトトレキセートによる段階的増幅により2μM の最終濃度に達した。亜鉛0.05mMを含む培地中で成長曲線を実行しメタロ チオネインプロモーターを誘導した。抗体調製 最初の10コドンを欠いているp55CDC cDNAクローンを、pGEX −3Xベクター(ファーマシア(Pharmacia)GST遺伝子融合システ ム)のEcoR1部位に挿入した。コンピテントXL−1細胞(ストラタジーン 社製)を 形質転換し、組換えプラスミドを保有するコロニーを単離した。融合タンパクの 増量生成のために、培地をイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(最終 濃度0.1mM)で誘導した。音波処理および1%トリトンCF−54による可 溶化の後に、ペレット中に留る76kDaの不溶性融合タンパクを得た。溶解お よび音波処理した細胞から得られるペレットを、1%トリトンCF−54を含む PBSで2回洗い、得られるペレットを10M尿素で抽出した。10M尿素を欠 いたもので融合タンパクを抽出しようとする全ての試みは失敗した。尿素抽出物 をPBSで一晩透析し、得られる懸濁液をアリコートとして80℃以下で貯蔵し 、その後、SDS−PAGE電気泳動によりさらに精製した。ペレットをSDS サンプル緩衝液中に再度懸濁し、10%SDSゲル中で分離した。55kDaお よび80kDaの目視できる標準マーカーの間の領域を切り取り、タンパクを電 気溶離(バイオラード・モデル・422・エレクトロエルーター(Biorad Model 422 Electro Eluter))により回収した。こ の調製物をフロイント不完全アジュバントと混合し、ウサギの免疫に用いた。フ ロイント不完全アジュバントを用いて4週間後にブースター注入を行っ た。ブースター注入後10〜14日目に動物を出血させた。抗血清の精製のため のアフィニティカラムを得るために、粗製の不溶性融合タンパクペレットをカッ プリング緩衝液(0.1M NaHCO3 pH8.3;0.5M NaCl; 0.5% SDS)中に再懸濁させ、製造者(ファーマシア社(Pharmac ia),ピスキャットアウェイ,ニュージャージー州)の指示に従ってシアノー ゲンブロミド活性化セファロースにカップリングした。約0.4mgタンパク/ mlゲルのカップリング効率を達成した。抗血清を最初に、関係のない不溶性融 合タンパクに吸収させて、グルタチオン S−トランスフェラーゼまたは夾雑す るcoliタンパクに対して反応性を有する抗体を除去した。この部分精製 した抗血清をアフィニティカラムに添加した。カラムを5倍カラム容積のPBS で洗い、アフィニティ精製抗体を3Mチオシアン酸ナトリウムで溶離した。抗体 画分プールを直ちにPBSで透析し、−80℃で貯蔵した。このカラムからの素 通り画分を競合する抗血清として用いた。免疫沈降およびプロティンキナーゼアッセイ ヌクレアーゼ処理ウサギ網状赤血球溶解物(プロメガ社(Promega), マジソン,ウィスコンシン州)および [3H]−ロイシン(アマーシャム(Amersham)TRK683)を用い てin vitro 翻訳を行った。ストラタジーンin vitro 転写キットを用いてmR NAテンプレートを製造し、p55CDC cDNAを支持体としてのブルース クリプトベクター内にサブクローニングした。プレートをPBSで2回濯いだ後 に細胞溶解物を記載された(59参照)ように調製した。追加のプロテアーゼを 含有する改良した放射免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液(NaCl 150 mM,1.0%NP−40,1.0%デオキシコール酸ナトリウム,0.1%S DS,EDTA2mM,Na2HPO46mM,NaH2PO44mM,NaF50 mM,Na3VO4200μM,アプロチニン20μg/ml,ロイペプチン1μ g/ml,大豆トリプシンインヒビター10μg/mlおよびフェニルメチルス ルホニルフルオライド50μg/ml)中で細胞を溶解した。全てのプロテアー ゼインヒビターはシグマ社(Sigma)から購入した。タンパク濃度はビシン コニン酸(Bicinchoninic acid)試薬(ピアース社(Pierce)製)を用い て評価した。最終容量700μlのRIPA緩衝液中の250μgの溶解物に対 し、両調製物に等量のイムノグロブリンを与えるアフィニティ精製 p55CDC抗体(140μgタンパク/ml)7μlまたはp55CDC競合 抗血清(700μgタンパク/ml)12μlを用いた。p34cdc2マウスモノ クローナル抗体17(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー社(Santa Cruz Biotechnology),サンタクルーズ,カリフォルニア州 )10μlを用いてp34cdc2複合体の免疫沈降を行った。この研究で用いた他 の抗体は、Rb(1F8)、すなわちRb−βガラクトシド融合タンパクに対す るマウスモノクローナルIgG(サンタ・クルーズ・バイオテクノロジー社(S anta Cruz Biotechnology)製)、およびRb(Ab− 1)、すなわちレチノブラストーマタンパクに対する他のモノクローナル抗体( オンコジーン・サイエンス社(Oncogene Science),ユニオン デール,ニューヨーク州)である。免疫複合体を氷上で日常的方法で一晩インキ ュベートし、翌朝、プロティンG−セファロース(ファーマシア社製)の50% スラリー30μlを用いて集めた。洗ったペレットを、(59)に記載している ようにヒストンH1キナーゼ活性についてアッセイした。全ての反応は30℃で 30分間行った。アッセイは、また、同じアッセイ条件を用い て、示された濃度において種々のキナーゼ基質を用いて行った。ヒストンH1は 、ベーリンガーマンハイムから購入し、ミエリン塩基性タンパク(MBP)、β −カゼインおよびα−カゼインの全てはシグマ社から購入した。反応生成物は、 染色したバンドを乾燥ゲルから切り出し、計数することにより定量した。 本発明を好ましい実施態様により説明してきたが、当業者はこれらを変更およ び変形するものと解される。したがって、添付の請求の範囲は、請求している発 明の範囲内においてそのような均等の変形を含むものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 16/18 7804−4B C12N 1/21 C12N 1/21 9359−4B 9/12 5/10 9637−4B C12P 21/02 C 9/12 9358−4B 21/08 C12P 21/02 0276−2J G01N 33/53 D 21/08 0276−2J 33/577 B G01N 33/53 8615−4C C07H 21/04 B 33/577 9281−4B C12N 5/00 B // C07H 21/04 9051−4C A61K 37/02 ADU (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (C12P 21/02 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AP(KE,MW,SD,SZ,UG), AM,AT,AU,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GE,HU,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LK,LR,LT,LU,LV,MD,MG,MN,M W,MX,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SI,SK,TJ,TT,UA,UZ, VN (72)発明者 ウエインステイン,ジヤスミンダー アメリカ合衆国、カリフオルニア・91361、 ウエストレイク・ビレツジ、リツジフオー ド・ドライブ・3470

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. a)配列番号2のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するD NA; b)配列番号4のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するDNA ;及び c)(a)もしくは(b)のDNA又はそれらの断片とハイブリダイズするヌ クレオチド配列を有するDNAであって、このハイブリダイズするDNAがp5 5CDCの生物学的活性を有するポリペプチドをコードするDNA、 からなる群より選択される、生物学的に活性なp55CDCポリペプチドをコー ドする単離DNA。 2. cDNA、ゲノムDNA又は合成DNAである請求項1記載の単離DNA 。 3. 大腸菌宿主細胞における発現に好ましい1以上のコドンを含む請求項1記 載の単離DNA。 4. 請求項1記載のDNAを含む、生物学的に機能的なプラスミド又はウイル スDNAベクター。 5. 請求項4記載のDNAベクターで安定に形質転換もしく はトランスフェクトされている原核又は真核宿主細胞。 6. 単離p55CDCポリペプチド。 7. 配列番号4のアミノ酸配列を有する請求項6記載のポリペプチド。 8. 外来性DNA配列の原核細胞又は真核細胞発現の産生物であることによっ て特徴づけられる請求項6記載のポリペプチド。 9. 請求項1記載のDNAによってコードされるアミノ酸配列を有するポリペ プチド。 10. 細胞周期依存性キナーゼ活性を有する複合体を形成する能力を有する請 求項9記載のポリペプチド。 11. 請求項5記載の宿主細胞を培養して該宿主細胞がp55CDCポリペプ チドを発現することを可能にすることを包含するp55CDCポリペプチドの製 造方法。 12. 請求項1記載のDNAによってコードされるポリペプチドを特異的に結 合する抗体。 13. モノクローナル抗体である請求項12記載の抗体。 14. 2以上の蛋白質の複合体であって、該蛋白質の1つがp55CDCで あり、かつ該複合体が細胞周期依存性キナーゼ 活性を有する複合体。 15. 細胞分裂を調節する方法であって、請求項14記載の複合体の細胞周期 依存性キナーゼ活性を調節する化合物を細胞に導入することを包含する方法。 16. 前記化合物が、 a)p55CDC合成のレベルを増大もしくは減少させる化合物; b)細胞周期依存性キナーゼ活性を有するp55CDC複合体の形成を阻害す る化合物;及び c)p55CDC複合体の形成を促進し、又は該複合体を安定化する化合物、 からなる群より選択される、請求項15記載の方法。 17. 前記化合物が核酸分子、ポリペプチド、ペプチド、抗体、炭水化物及び 有機分子である請求項16記載の方法。 18. 細胞周期依存性キナーゼ活性を阻害するに十分な量の化合物を細胞に導 入することにより細胞分裂が抑制される請求項15記載の方法。 19. 前記化合物が、 a)p55CDC合成のレベルを減少させる化合物;及び b)細胞周期依存性キナーゼ活性を有するp55CDC複合体の形成を阻害す る化合物、 からなる群より選択される、請求項18記載の方法。 20. 前記細胞が腫瘍細胞である請求項18記載の方法。 21. 薬学的に有効なアジュバント中の、請求項14記載の複合体のキナーゼ 活性を抑制するに十分な量の化合物で哺乳動物を処置することを包含する化学療 法。 22. 生物学的流体中のp55CDCのレベルを検出する方法であって、p5 5CDCに特異的な抗体を、該流体と共に、該抗体とp55CDCとの複合体の 形成に適する条件下でインキュベートする工程、及び抗体−p55CDC複合体 の存在を検出する工程を包含する方法。 23. 生物学的流体中の請求項14記載の複合体のレベルを検出する方法であ って、p55CDCに特異的な抗体を、該流体と共に、p55CDCへの抗体結 合に適する条件下でインキュベートする工程、及び複合体に結合した抗体の存在 を検出する工程を包含する方法。
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