JPH09503980A - 自動車用油圧式制動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ブレーキ圧力調整が調節可能なベーンポンプを介して行われる自動車用油圧式制動装置のために、省スペース的な解決策が提案される。必要なすべてのベーンポンプ（１０，１１，１２，１３）は共通の軸を介して、回転数を安定させられた電気モータ（２１）によって駆動することが可能である。個々のベーンポンプ（１０，１１，１２，１３）の個別的な制御はベーンポンプ（１０，１１，１２，１３）当たり１個の比例マグネット（１６，１７，１８，１９）によって各々１個の往復リング（３９）を制御することによって行われる。

Description

【発明の詳細な説明】 自動車用油圧式制動装置 本発明は請求項１の上位概念に記載の自動車用油圧式制動装置に関する。 このような制動装置はドイツ連邦共和国特許出願公開第３９０６１４１号公報 によって知られている。アンチロックコントロール装置を備えたこの公知の油圧 式制動装置の場合には、車輪ブレーキシリンダに接続された制御可能な油圧ポン プが設けられている。この油圧ポンプは、アンチロックコントロールが作用しな いときにブレーキ力倍力機能を受け持ち、アンチロックコントロールが作用する ときに圧力調整器の機能を受け持つ。ブレーキペダルの操作時に自動的に始動可 能である制御可能な油圧ポンプは、その送出能力だけでなくその送出方向も制御 可能なベーンポンプとして形成され、その都度マスターシリンダから車輪ブレー キに案内されるブレーキ管に接続配置されている。この場合、その送出方向は油 圧式に調節可能な往復リングによって調節可能であり、普通のブレーキ操作の間 は車輪ブレーキの方向に向き、アンチロックコントロールが作用しているときに は圧力低下のためにマスターシリンダの方へ向いている。ロックしないようにす る制動装置ではすべての車輪ブレーキが一緒に調節されるとはかぎらず、制動装 置の種類に応じて個別的にあるい対をなして、このような複数のポンプ装置が必 要である。 本発明の課題は、複数のこのような調節可能なベーンポンプがきわめて低価格 となるようにかつ省スペース的に配置されるように、上記種類の制動装置を提供 することにある。 この構造は請求項１記載の特徴によって解決される。上記のベーンポンプの場 合には送出方向と送出能力の調節が一定回転数で可能であるので、ベーンポンプ を共通の１個のモータによってきわめて有利に駆動することができる。それにも かかわらず、個々のベーンポンプの送出は個別的に調節可能である。 個々のベーンポンプの送出能力が他のベーンポンプに依存しないようにするた めに、電気モータは好ましくは回転数を安定させられている。 請求項３〜５のモジュール構造により、この装置は異なる数の調整系統を有す るいろいろな制動装置にも使用可能である。 常に少なくとも１個のベーンポンプがモータによって駆動されるので、この第 １のベーンポンプは、請求項６記載のようにモータに固定してもよい。 請求項７による個々の往復リングの無段階調節は制御正確度を高める。その際 、請求項８の比例マグネットは特に簡単な解決策である。 往復リングの弾性的な予備付勢により、電磁的な操作力を往復リングに常に加 える必要がない。この場合好ましくは、弾性的な予備付勢によって決まる送出方 向は車輪ブレーキの方へ向いている。なぜなら、この送出方向が往々にしてポン プ操作を行うからである。 次に、三つの図に示した実施の形態を説明することにより、本発明を詳しく説 明する。 図１は本発明による制動装置の油圧回路図、 図２は本発明による制動装置のためのポンプ装置を示す図、 図３は図２による装置のベーンポンプを示す図である。 図１には、油圧回路だけが示してあり、三次元的な配置は示していない。すな わち、個々のベーンポンプの位置は実際の配置と異なっている。 図示した制動装置は、制動系統を対角線状に分割した２系統制動装置である。 ブレーキ系統Ｉ，ＩＩは同一に形成されているので、次のブレーキ系統Ｉの説明 はブレーキ系統ＩＩにも当てはまる。 マスターシリンダ１はブレーキペダル３の非操作時に圧力媒体容器２に接続さ れている。ブレーキ系統Ｉ，ＩＩはこの圧力媒体容器の圧力室に接続されている 。ブレーキ管４にはそれぞれ１個の圧力制限弁が挿置されている。ブレーキ管４ は車輪ブレーキ６，７の側で２本のブレーキ分岐管８，９に分割されている。各 々のブレーキ分岐管８，９にはベーンポンプ１０または１１が配置されている。 ブレーキ管４において、すなわちベーンポンプ１０，１１の上方で、圧縮歪み変 換器１３によって圧力測定が行われ、この圧縮歪み変換器の信号は電子評価ユニ ット１５に供給される。ベーンポンプ１０または１１と付設の車輪ブレーキ７ま たは７の間においてもそれぞれ、測定された圧力が同様に電子評価ユニットに供 給される。更に、車輪ブレーキ６，７にはそれぞれ、臨界的なスリップ状態を検 出するための回転数センサが設けられている。個々のベーンポンプ１０，１１は 比例マグネット（比例磁石、比例ソレノイド）１６または１７を介して制御され る。この場合、制御信号は電子評価ユニット１５によって発生する。所属の給電 線は見やすくするために図示していない。 個々のポンプの正確な構造は図２，３から明らかである。 図２では、電気モータ２１のモータ軸２２が第１のベーンポンプ１０の軸と一 体に製作されている。第２のベーンポンプ１１の軸と他のベーンポンプ１２と場 合によっては１３の軸は、軸片２３，２４，２５として形成されている。この軸 片はそれぞれ同一に形成され、差し込み継手を介してモータ軸２２に連結可能で ある。軸片の長さはそれぞれ、モータ２１によって駆動される外側のポンプの軸 の端がポンプケーシングと同一平面上に位置するように採寸されている。 第１のベーンポンプ１０がモータ２１に直接フランジ止めされているので、モ ータ２１とこのベーンポンプ１０の間には、モータ軸２２用の玉軸受２７が１個 だけ設けられている。モータ２１とポンプ１０の他端にはそれぞれ、他の玉軸受 ２６または２８が配置されている。他のすべてのポンプ１１，１２，１３は同一 に形成され、両側にそれぞれ玉軸受２９，３１，３３または３０，３２，３４を 備えている。軸全体が一体に形成され、ポンプが共通の１個のポンプブロック内 に設けられている場合には、個々のポンプの間にそれぞれ軸受部を１個だけ設け ればよい。 ベーンポンプ１０，１１，１２の下方には電子的な評価ユニット１５が示して ある。しかし、評価ユニットのこの配置は必ずしもこの位置でなくてもよい。所 望な代替案では、比例マグネット１６，１７，１８の上方に評価ユニットが取付 けられる。それによって、この比例マグネットへの電流供給を省略することがで きるからである。 図３にはベーンポンプ１０の断面が示してある。残りのベーンポンプ１１，１ ２，１３の内部構造もこれと同じである。モータ軸２２によって形成される中央 の軸にはロータ３５が固定されている。このロータは弾性的に外側へ予備付勢さ れた羽根３６を支持している。２個の圧力媒体ポート３７，３８が直径方向に対 向させて配置されている。ロータ３５は円筒状の往復リング３９によって取り囲 まれている。この往復リングは横断面が長円形の円筒状中空室内で圧力媒体ポー ト３７，３８の接続軸線に対して垂直方向に移動可能である。この移動を可能に するために、往復リング３９は磁気アーマチュア４０に連結されている。この磁 気アーマチュアが圧縮ばね４１を介して予備付勢されているので、往復リングは 長円形の中空室の縁で静止位置を占める。図では、磁気アーマチュア４０は比例 マグネット１６の方へ予備付勢されている。比例マグネット１６の通電時に、磁 気アーマチュア４０は磁場から押しのけられるので、往復リング３９はその静止 位置から外へ移動する。これにより、先ず最初に、往復リングがロータ３５と同 心となるまでポンブの送出能力は低下する。磁気アーマチュア４０が比例マグネ ット１６によって更に押しのけられると、ポンプの送出方向が回転する。この場 合、送出能力は再び往復リングの偏心度合に依存する。長円形の中空室の上端に ある往復リング３９の図示した静止位置および反時計回りのロータの図示回転方 向では、送出方向は右から左である。図１の制動装置の場合、ここで右側に示し た圧力媒体ポート３７がマスターシリンダ１に接続され、左側に示した圧力媒体 ポート３８が車輪ブレーキに接続されている。というのは、静止位置では、車輪 ブレーキへの送出方向が望ましいからである。 個々のベーンポンプが個別的に調節可能であるので、車輪の個別的な圧力調整 を行うことができる。ベーンポンプは制動力を増大するため、アンチロックコン トロールのため、トラクションコントロールのため、後輪の電子的な制動力分配 のため、ヒルホルダのため、自動ブレーキのため、走行安定性コントロールのた めおよび油圧ブレーキの考えられる他の用途のために使用可能である。電子的な 信号処理だけをそれぞれの目的に適合させればよい。 基本的には、往復リング３９の中心軸線が図３において軸２２の中心軸線の上 方にあるときには、送出は右から左へ行われ、中心軸線が軸中心軸線の下方にあ るときには左から右へ送出が行われる。往復リングと軸が同軸に位置すると、ベ ーンポンプ１０は空転回転する。その際、比例マグネットを制御するために、回 転数センサからの信号または圧縮歪み変換器からの信号あるいはこの両方からの 信号のどれが比例マグネットを制御するために用いられるかは、制動装置のその 都度の目的に依存する。 参照符号一覧表 １ マスターシリンダ ２ 圧力媒体容器 ３ ブレーキペダル ４ ブレーキ管 ５ 圧力制限弁 ６ 車輪ブレーキ ７ 車輪ブレーキ ８ ブレーキ分岐管 ９ ブレーキ分岐管 １０ ベーンポンプ １１ ベーンポンプ １２ ベーンポンプ １３ ベーンポンプ １４ 圧縮歪み変換器 １５ 電子評価ユニット １６ 比例マグネット １７ 比例マグネット １８ 比例マグネット １９ 比例マグネット ２０ 回転数センサ ２１ 電気モータ ２２ モータ軸 ２３ 軸片 ２４ 軸片 ２５ 軸片 ２６ 玉軸受 ２７ 玉軸受 ２８ 玉軸受 ２９ 玉軸受 ３０ 玉軸受 ３１ 玉軸受 ３２ 玉軸受 ３３ 玉軸受 ３４ 玉軸受 ３５ ロータ ３６ 羽根 ３７ 圧力媒体ポート ３８ 圧力媒体ポート ３９ 往復リング ４０ 磁気アーマチュア ４１ 圧縮ばね

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クライン・アンドレアス ドイツ連邦共和国、デー‐61350 バー ト・ホムブルク、ガルテンフェルトストラ ーセ、26 (72)発明者 ノイマン・ウルリッヒ ドイツ連邦共和国、デー‐64380 ロスド ルフ、リングストラーセ、76 (72)発明者 シール・ロタール ドイツ連邦共和国、デー‐65719 ホーフ ハイム、アン・デア・ターン、16

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．付設された車輪ブレーキ（６，７）に接続されている少なくとも１個の第１ と第２のベーンポンプ（６，７）を備え、このベーンポンプがそれぞれ、各々１ 個の往復リング（３９）を調節することによってその送出能力と送出方向を制御 可能である、自動車用油圧式制動装置において、ベーンポンプ（１０，１１）の ロータ（３５）が共通の軸（２２，２３）を介して電気モータ（２１）よって駆 動されることを特徴とする自動車用油圧式制動装置。 ２．電気モータ（２１）が回転数を安定させられていることを特徴とする請求項 １記載の制動装置。 ３．軸（２２，２３）がその長さ方向で個々の片（２２，２３）から構成されて いることを特徴とする請求項１または２記載の制動装置。 ４．個々のベーンポンプ（１０，１１，１２，１３）およびまたは軸線（２２， ２３，２４，２５）が差し込み継手を介して並べることが可能であることを特徴 とする請求項３記載の制動装置。 ５．第１のベーンポンプ（１０）が電気モータ（２１）に固定連結され、このベ ーンポンプの軸がモータ軸（２２）と一体に作られていることを特徴とする請求 項１〜４のいずれか一つに記載の制動装置。 ６．個々の往復リング（３９）が互いに無関係に無段階で調節可能であることを 特徴とする請求項１〜５のいずれか一つに記載の制動装置。 ７．調節が比例マグネット（１６，１７，１８，１９）を介して行われることを 特徴とする請求項６記載の制動装置。 ８．往復リング（３９）が弾性的な手段（４１）によって、車輪ブレーキ（６， ７）への送出方向に相当する位置へ予備付勢されていることを特徴とする請求項 ６または７記載の制動装置。